説明

解体機

【課題】解体機において、ブーム輸送時にガード装置を取り外すことなく、容易にブームの全高を車高制限内に抑えるようにする。
【解決手段】キャブを有する解体機には、複数段のブーム体が順次連結されたブームが連結され、その先端に破砕機(作業アタッチメント)が取り付けられている。ブーム体のうち、第4ブーム体9の背面側に、破砕機による破砕片がキャブに落下するのを防止するガード装置20を設ける。ガード装置20を、第4ブーム体9の背面に対して起立した作業姿勢Aと、第4ブーム体9の背面側へ倒れた輸送姿勢とに切換自在に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブームの先端に作業アタッチメントが取り付けられた解体機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、油圧ショベルのフロント部にロングブーム及びアームを連設し、そのアームの先端部に破砕機等の作業アタッチメントを取り付けてビル解体などの高所解体作業を行うようにした解体機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この解体機では、ロングブーム又はアームの背面側にストッパ板(ガード装置)を配設し、そのストッパ板の上面に非金属の弾性板材を貼り付け、かつストッパ板を油圧ショベルの運転室(キャブ)配置位置から反対側の油圧ショベルの側方に向けて下り傾斜となるように傾斜させて取り付け、破砕機が破砕作業を行うときに、ストッパ板に落下する破砕片を、さらにストッパ板よりも油圧ショベルの運転室位置と反対側の側方に跳ね返し落下させるようにしている。
【特許文献1】実開平4−12547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、道路交通法施行令(平成16年3月1日より施行)では、自動車の走行時の車高は4.1mに制限されている。
【0005】
解体機を輸送するときには、通常、ブームは解体機から取り外されて輸送車両の台車上に搭載される。このとき、ブームの背面に設けたガード装置が最も上方に突出する。このことから、ブームの輸送時に輸送制限を超えるのを防ぐため、ガード装置を取り外す必要があり、ブームの輸送及び組立作業に手間取るという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、解体機において、ガード装置の構成に工夫を加えることで、ブーム輸送時にガード装置を取り外すことなく、容易にブームの全高を車高制限内に抑えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、ガード装置をブームの背面に対して起立した作業姿勢と、ブームの背面側へ倒れた輸送姿勢とに切換自在に構成した。
【0008】
具体的には、第1の発明では、ブームの先端に作業アタッチメントが取り付けられた、キャブを有する解体機を前提とする。
【0009】
そして、上記解体機における上記ブームの背面側には、上記作業アタッチメントによる破砕片が上記キャブに落下するのを防止するガード装置が設けられ、
上記ガード装置は、上記ブームの背面に対して起立した作業姿勢と、該ブームの背面側へ倒れた輸送姿勢とに切換自在に構成されている。
【0010】
上記の構成によると、解体作業時には、ガード装置はブームの背面に対して起立した作業姿勢に保持され、作業アタッチメントによる解体作業で発生した破砕片が落下してきても、ガード装置によってキャブに落下するのが防止される。一方、ブームの輸送時には、ガード装置はブームの背面側へ倒れた輸送姿勢に保持されるので、ブームの全高が抑えられる。このため、輸送時にガード装置を取り外すことなく、ブームの輸送時が行われる。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、
上記ガード装置は、
上記ブームの背面に固定されるベース部と、
該ベース部に設けた回転軸を中心に起伏自在な可動部と、
該可動部を上記作業姿勢又は輸送姿勢に位置決めして固定する位置決めピンとを備えている。
【0012】
上記の構成によると、ガード装置は、可動部がベース部に設けた回転軸を中心に起伏されることで、作業姿勢と輸送姿勢とに切り換えられる。位置決めピンにより、可動部とベース部とが所定位置に位置決めされて互いに固定されるので、可動部は、確実に所定位置に保持されると共に、作業時には破砕片が当接してもぐらつくことはなく、輸送時には走行による振動によってぐらつくことはない。
【0013】
第3の発明では、第2の発明において、
上記可動部の背面側には、先端側から上記回転軸側へ伸びる複数の補強リブが設けられ、
上記補強リブには、上記回転軸よりも上記ブームの背面側へ伸びた延長部が形成され、
上記ベース部には、上記延長部が上記作業姿勢で当接する第1当接部と、上記輸送姿勢で当接する第2当接部とが形成されている。
【0014】
上記の構成によると、可動部の背面側に先端側から回転軸側へ伸びる複数の補強リブを設けることで、ガード装置の強度が保たれ、また、そのことで、ガード装置における破砕片が当接する板部材の板厚を薄くすることができる。このため、ガード装置の質量が軽くなる。また、補強リブの延長部が、作業姿勢においてベース部の第1当接部に当接し、輸送姿勢においてベース部の第2当接部に当接するので、可動部の可動範囲が作業姿勢と輸送姿勢との間で規制される。このことで、作業姿勢又は輸送姿勢に切り換える際に位置決めが容易に行われる。また、作業時には、破砕片が当接しても可動部がぐらつくことはないので、ガード装置の強度が向上する。さらに、輸送時には、走行による振動により可動部がぐらつくことはない上、延長部が第2当接部に当接することで、可動部の回動範囲が規制されるため、可動部がブームの背面を這う配管やハーネスに当接することにより損傷させることはない。
【0015】
第4の発明では、第3の発明において、
上記補強リブには、上記位置決めピンが作業姿勢で挿通される作業用貫通孔と、輸送姿勢で挿通される輸送用貫通孔とが形成され、
上記ベース部には、上記位置決めピンが上記作業姿勢及び輸送姿勢で挿通されるピン挿通孔が形成されている。
【0016】
上記の構成によると、位置決めピンを、第1当接部に当接させた補強リブの作業用貫通孔と、ベース部のピン挿通孔とに挿通することで、可動部がベース部に確実に固定されてガード装置が作業姿勢となる。また、位置決めピンを、第2当接部に当接させた補強リブの輸送用貫通孔と、ベース部のピン挿通孔とに挿通することで、可動部がベース部に確実に固定されてガード装置が輸送姿勢となる。このように、位置決めピンを所定位置に挿入することでガード装置が容易に位置決めされて姿勢切換が行われる。
【0017】
第5の発明では、第2乃至第4のいずれか1つの発明において、
上記可動部の背面側には、該可動部を上記作業姿勢又は上記輸送姿勢に切り換える際につかまれる把持部が形成されている。
【0018】
上記の構成によると、可動部を作業姿勢又は輸送姿勢に切り換える際に、その背面に設けた把持部をつかむことで、人力により、容易に可動部の姿勢が切り換えられる。
【0019】
第6の発明では、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、
上記ブームは、油圧ショベルのフロント部に起伏自在に連結されている。
【0020】
上記の構成によると、油圧ショベルは走行可能であるので、解体対象物に対して最適な位置に移動して解体作業が行われる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、上記第1の発明によれば、ガード装置を、解体作業時にはブームの背面に対して起立した作業姿勢に保持し、ブームの輸送時にはブームの背面側へ倒れた輸送姿勢に保持するようにしている。このため、ブーム輸送時にガード装置を取り外すことなく、容易にブームの全高を車高制限内に抑えることができるので、輸送作業を極めて容易に行うことができる。
【0022】
上記第2の発明によれば、可動部をベース部に設けた回転軸を中心に起伏し、位置決めピンを所定位置に挿入することにより、確実に作業姿勢又は輸送姿勢に切り換えるようにしている。このため、ガード装置の姿勢切換時に、可動部を確実かつ容易に所定位置に固定することができる。
【0023】
上記第3の発明によれば、可動部の背面側に複数の補強リブを設けることにより、ガード装置の軽量化を図ることができる。また、その補強リブの延長部を作業姿勢においてベース部の第1当接部に当接させ、輸送姿勢において第2当接部に当接させることにより、可動部の可動範囲を規制している。このため、作業姿勢又は輸送姿勢に切り換える際に位置決めが容易に行われると共に、作業時に可動部を確実に固定してぐらつきを抑えて強度向上を図ることができ、また、輸送時にブーム背面の配管やハーネスが損傷するのを容易に防ぐことができる。
【0024】
上記第4の発明によれば、位置決めピンを、作業姿勢においてベース部のピン挿通孔と補強リブの作業用貫通孔とに挿通し、輸送姿勢においてベース部のピン挿通孔と補強リブの輸送用貫通孔とに挿通するようにしている。このため、いずれの姿勢においても位置決めピンの位置を変えることにより可動部をベース部の所定位置に確実に固定することができるので、位置決めが容易で姿勢切換を効率よく行うことができる。
【0025】
上記第5の発明によれば、可動部の背面に設けた把持部をつかんで、可動部を作業姿勢又は輸送姿勢に切り換えるようにしている。このため、クレーンを用いなくても人力により、可動部の姿勢が切り換えられるので、ガード装置の姿勢切換を極めて容易に行うことができる。
【0026】
上記第6の発明によれば、ブームを油圧ショベルのフロント部に起伏自在に連結したことにより、解体対象物に対して最適な位置に移動して効率よく解体作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図2に本発明の実施形態にかかる解体機1を示し、この解体機1の本体は、油圧ショベル2で構成されている。油圧ショベル2のフロント部3には、運転手が入るキャブ4が設けられ、このキャブ4の側方の取付部(図示せず)にブーム5が連結されている。ブーム5は、複数段の第1〜第4ブーム体6〜9が順次連結されたロングブームを備えている。基端側の第1ブーム体6とフロント部3とには、第1ブームシリンダ10が連結され、この第1ブームシリンダ10により、ブーム5が起伏自在に構成されている。ロングブーム先端の第4ブーム体9には、第5ブーム体11が第2ブームシリンダ12により、起伏自在に連結されている。第5ブーム体11の先端には、アーム13が、第3ブームシリンダ14により起伏自在に連結されている。
【0029】
上記アーム13の先端には、作業アタッチメントとしての破砕機15がアタッチ用シリンダ16により起伏自在に取り付けられている。破砕機15は、油圧式でも電動式でも構わない。
【0030】
図1〜図6に示すように、上記第4ブーム体9の背面側には、破砕機15による破砕片がキャブ4に落下するのを防止するガード装置20が設けられている。本発明の特徴として、このガード装置20は、第4ブーム体9の背面に対して起立した作業姿勢Aと、第4ブーム体9の背面側へ倒れた輸送姿勢Bとに切換自在に構成されている(各図に太字符号A,Bを付す)。ガード装置20は、第4ブーム体9の背面から見たときに油圧ショベル2の側方(右方)に向けて下り傾斜となるように傾斜させて取り付けられている(図6参照)。なお、ガード装置20は、第4ブーム体9ではなく、第1〜第3ブーム体6〜8のいずれかに設けてもよい。
【0031】
ガード装置20は、第4ブーム体9の背面に固定されるベース部21を備えている。図7にも示すように、ベース部21は、鋼板を湾曲させたベース本体22と、このベース本体22の中央背面側に設けた取付用ブラケット23とを備えている。取付用ブラケット23は、略同形の鋼板が平面視でベース本体22に対して傾斜するように溶接されて構成されている。取付用ブラケット23には、第4ブーム体9の背面から突出する取付部9a(図3及び図6に示す)に対してボルト50を締結するための締結孔23aが形成されている。また、ベース本体22には、軽量化及び吊り上げのための貫通孔23bが形成されている。取付用ブラケット23の締結孔23aと取付部9aの貫通孔(図示せず)とにボルト50を挿通してナット51を締結することで、ガード装置20が第4ブーム体9の背面に固定されている。
【0032】
ベース本体22の先端側には、連結用ブラケット24が左右に間隔をあけて設けられている。各連結用ブラケット24は、2枚の同形状の鋼板をベース本体22に溶接したものよりなり、先端側に後述する位置決めピン35が挿通されるピン挿通孔25が形成されている。
【0033】
第4ブーム体9の背面には、油圧配管52、電気ハーネス(図示せず)が延びている(図2及び図6では、簡略化のために省略)。これらの油圧配管52や電気ハーネスをよけるために、ベース側の基端側の取付用ブラケット23の左右には、干渉防止用開口22aが形成されている。
【0034】
上記ベース本体22の上端中間部には、中空のベース側パイプ22bが溶接されている。このベース側パイプ22bには、回転軸26が挿入されるようになっている。この回転軸26には、可動部30が起伏自在に支持されるようになっている。
【0035】
可動部30は、板状の可動部本体31を備えている。この可動部本体31は、横長の鋼板の先端側を上方に折り曲げて形成され、その下端部両側に上記ベース側パイプ22bを挟むように該ベース側パイプ22bと同サイズの中空の可動側パイプ31aがそれぞれ溶接されている。なお、回転軸26は、ベース側パイプ22b及び可動側パイプ31aに挿入された状態で、その両端に割りピン26aを差し込むことで抜け止めされている。可動部本体31の背面側には、先端側から回転軸26側へ伸びる第1〜第3補強リブ32〜34が設けられている。可動部30の背面側に第1〜第3補強リブ32〜34を設けることで、ガード装置20の強度が保たれ、また、そのことで、可動部本体31の板厚を薄くすることができる。このため、ガード装置20の質量が軽くなっている。
【0036】
第1〜第3補強リブ32〜34には、それぞれ回転軸26よりも第4ブーム体9の背面側へ伸びた延長部32a〜34aが形成されている。左右両側の第1及び第2延長部32a,33aは、上記連結用ブラケット24に挿入されるように配置されている。第1及び第2延長部32a,33aには、可動部30を作業姿勢A又は輸送姿勢Bに位置決めする位置決めピン35が挿入される作業用貫通孔36と輸送用貫通孔37とが間隔をあけて並んでいる。位置決めピン35は、一端に鍔を有し、他端にスプリングピン35aを差し込むことで、抜け止めされるようになっている。
【0037】
ベース本体22の上側中央部は、中央の第3補強リブの延長部34aが作業姿勢Aで当接する第1当接部38を構成している。また、連結用ブラケット24には、輸送姿勢Bで左右両側の第1及び第2延長部32a,33aが当接する、板状の第2当接部39が溶接されている。第1当接部38は、ベース本体22の一部で構成したが、その位置にブロック等を溶接したもので構成してもよい。
【0038】
可動部本体31の各第1〜第3補強リブ32〜34間には、可動部30を作業姿勢A又は輸送姿勢Bに切り換える際につかまれる把持部40が形成されている。この把持部40は、丸鋼を折り曲げたものが可動部本体31に溶接されたものよりなる。
【0039】
−作用−
次に、本実施形態にかかるガード装置の作用について説明する。
【0040】
まず、図2に示す解体作業において、ガード装置20は、図1,図4,図6に示す第4ブーム体9の背面に対して起立した作業姿勢Aに固定される。解体作業を行う際には、油圧ショベル2を走行させてビルなどの解体対象物に対して最適な位置に移動する。
【0041】
作業姿勢Aでは、位置決めピン35がベース部21のピン挿通孔25と、補強リブの作業用貫通孔36とに挿通され、可動部30がベース部21に確実に固定される。破砕機15による解体作業で発生した破砕片が落下してきても、ガード装置20は、油圧ショベル2の側方に向けて下り傾斜となるように傾斜させて取り付けられているので、破砕片がキャブ4に落下するのが防止される。このため、キャブ4内の運転手は破砕片による落下音等におびえることはない。また、可動部30は、位置決めピン35で確実に固定されているので、破砕片が当接してもぐらつくことはない。
【0042】
一方、図8に示すように、解体機1を輸送する場合には、ブーム5は分解され、第3〜第5ブーム体8,9,11及びアーム13が運搬車両60の車台61上の架台62に載置される。このとき、ガード装置20が最も上側に配置され、このままでは、輸送制限に引っ掛かる場合がある。そこで、ガード装置20が輸送姿勢Bに切り換えられて運搬される。
【0043】
ガード装置20を作業姿勢Aから輸送姿勢Bとするには、まず、各位置決めピン35からスプリングピン35aを抜く。
【0044】
次いで、把持部40を持って両位置決めピン35を作業用貫通孔36及びピン挿通孔25から抜き出し、可動部30を回転軸26を中心に第4ブーム体9の背面側(先端側)へ回動させ、第1及び第2補強リブ32,33の延長部32a,33aをベース部21側の第2当接部39に当接させる。このことで、可動部30が輸送姿勢Bに容易に位置決めされるので、把持部40から手を離すことができる。この状態で、位置決めピン35を輸送用貫通孔37及びピン挿通孔25に挿通してスプリングピン35aで抜け止めする。このように、輸送姿勢Bへの切換がクレーンを用いることなく、人力により容易に行われる。このとき、第1及び第2延長部32a,33aが第2当接部39に当接することで、可動部30の回動範囲が規制されるので、可動部30が第4ブーム体9の背面を這う配管やハーネスに当接することにより損傷させることはない。
【0045】
このように、ブーム5の輸送時には、ガード装置20は第4ブーム体9の背面側へ倒れた輸送姿勢Bに保持され、ブーム5の全高が抑えられるので、輸送時にガード装置20を取り外すことなく、ブーム5の輸送が行われる。また、位置決めピン35により、可動部30とベース部21とが互いに固定されるので、輸送時に走行による振動によってぐらつくことはない。
【0046】
逆に、輸送後、再びブーム5を組み立てる際には、ガード装置20は、輸送姿勢Bから作業姿勢Aに戻される。この場合にも、同様に位置決めピン35を輸送用貫通孔37から抜き出して作業用貫通孔36に差し込む。この際に、第3補強リブ34の延長部34aが、ベース部21の第1当接部38に当接するので、可動部30が容易に定位置に位置決めされるので、位置決めピン35を容易に作業用貫通孔36及びピン挿通孔25に挿通させることができる。
【0047】
−実施形態の効果−
したがって、本実施形態にかかる解体機1によると、ガード装置20を、解体作業時には第4ブーム体9の背面に対して起立した作業姿勢Aに保持し、ブーム5の輸送時には第4ブーム体9の背面側へ倒れた輸送姿勢Bに保持している。このため、ブーム5輸送時にガード装置20を取り外すことなく、容易にブーム5の全高を車高制限内に抑えることができるので、輸送作業を極めて容易に行うことができる。
【0048】
可動部30をベース部21に設けた回転軸26を中心に起伏し、位置決めピン35を所定位置に挿入することにより、確実に作業姿勢A又は輸送姿勢Bに切り換えるようにしている。このため、ガード装置20の姿勢切換時に、可動部30を確実かつ容易に所定位置に固定することができる。
【0049】
可動部30の背面側に複数の補強リブ32〜34を設けることにより、ガード装置20の軽量化を図ることができる。また、その補強リブの延長部32a〜34aを作業姿勢Aにおいてベース部21の第1当接部38に当接させ、輸送姿勢Bにおいて第2当接部39に当接させることにより、可動部30の可動範囲を規制している。このことで、作業時に可動部30を確実に固定してぐらつきを抑えて強度向上を図ることができ、また、輸送時に第4ブーム体9背面の配管やハーネスが損傷するのを容易に防ぐことができる。
【0050】
位置決めピン35を、作業姿勢Aにおいてベース部21のピン挿通孔25と補強リブの作業用貫通孔36とに挿通し、輸送姿勢Bにおいてベース部21のピン挿通孔25と補強リブの輸送用貫通孔37とに挿通するようにしている。このため、いずれの姿勢においても位置決めピン35の位置を変えることで可動部30をベース部21に確実に固定することができるので、位置決めが容易で姿勢切換を効率よく行うことができる。
【0051】
可動部30の背面に設けた把持部40をつかんで、可動部30を作業姿勢A又は輸送姿勢Bに切り換えるようにしている。このため、クレーンを用いなくても人力により、容易に可動部30の姿勢が切り換えられるので、ガード装置20の姿勢切換を極めて容易に行うことができる。
【0052】
ブーム5を油圧ショベル2のフロント部3に起伏自在に連結したことにより、解体対象物に対して最適な位置に移動して効率よく解体作業を行うことができる。
【0053】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0054】
すなわち、上記実施形態では、ブーム5は、油圧ショベル2のフロント部3に起伏自在に連結したが、クローラークレーンのフロント部3に起伏自在に連結してもよく、また、固定式の床上式クレーンやクライミングクレーンなどの旋回フレームのフロント部に起伏自在に連結してもよい。
【0055】
上記実施形態では、可動部30の背面側の補強リブ32〜34の間に把持部40を設けたが、補強リブ32〜34のいずれかに作業者の手が挿入される開口を設けてもよい。
【0056】
上記実施形態では、ブーム5の構成の一例を示したが、この第1〜第4ブーム体6〜9の本数は、4本に限定されず、それより多くても少なくてもよく、また、1本で構成されていてもよい。また、第5ブーム体11を介せず、第4ブーム体9にアーム13が取り付けられていてもよい。
【0057】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態にかかるガード装置の作業姿勢を拡大して示す斜視図である。
【図2】解体機の全体を示す側面図である。
【図3】ガード装置の輸送姿勢を拡大して示す斜視図である。
【図4】ガード装置の作業姿勢を拡大して示す側面図である。
【図5】ガード装置の輸送姿勢を拡大して示す側面図である。
【図6】ガード装置の作業姿勢を拡大して示す平面図である。
【図7】ベース部を拡大して示す背面図である。
【図8】ブームの輸送姿勢を示す側面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 解体機
2 油圧ショベル
3 フロント部
4 キャブ
5 ブーム
15 破砕機(作業アタッチメント)
20 ガード装置
21 ベース部
26 回転軸
30 可動部
32 第1補強リブ
33 第2補強リブ
34 第3補強リブ
32a〜34a 延長部
35 位置決めピン
36 作業用貫通孔
37 輸送用貫通孔
38 第1当接部
39 第2当接部
40 把持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームの先端に作業アタッチメントが取り付けられた、キャブを有する解体機において、
上記ブームの背面側には、上記作業アタッチメントによる破砕片が上記キャブに落下するのを防止するガード装置が設けられ、
上記ガード装置は、上記ブームの背面に対して起立した作業姿勢と、該ブームの背面側へ倒れた輸送姿勢とに切換自在に構成されている
ことを特徴とする解体機。
【請求項2】
請求項1に記載の解体機において、
上記ガード装置は、
上記ブームの背面に固定されるベース部と、
該ベース部に設けた回転軸を中心に起伏自在な可動部と、
該可動部を上記作業姿勢又は輸送姿勢に位置決めして固定する位置決めピンとを備えている
ことを特徴とする解体機。
【請求項3】
請求項2に記載の解体機において、
上記可動部の背面側には、先端側から上記回転軸側へ伸びる複数の補強リブが設けられ、
上記補強リブには、上記回転軸よりも上記ブームの背面側へ伸びた延長部が形成され、
上記ベース部には、上記延長部が上記作業姿勢で当接する第1当接部と、上記輸送姿勢で当接する第2当接部とが形成されている
ことを特徴とする解体機。
【請求項4】
請求項3に記載の解体機において、
上記補強リブには、上記位置決めピンが作業姿勢で挿通される作業用貫通孔と、輸送姿勢で挿通される輸送用貫通孔とが形成され、
上記ベース部には、上記位置決めピンが上記作業姿勢及び輸送姿勢で挿通されるピン挿通孔が形成されている
ことを特徴とする解体機。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1つに記載の解体機において、
上記可動部の背面側には、該可動部を上記作業姿勢又は上記輸送姿勢に切り換える際につかまれる把持部が形成されている
ことを特徴とする解体機。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つに記載の解体機において、
上記ブームは、油圧ショベルのフロント部に起伏自在に連結されている
ことを特徴とする解体機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−272648(P2008−272648A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118542(P2007−118542)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】