説明

解析装置、解析方法及び解析プログラム

【課題】
数値解析にて物理現象を解析する解析装置に関して、解析値を極大値探索し、検証精度を向上させる解析装置を提供する。
【解決手段】
解析装置は、解析対象領域の小領域毎の解析値を数値解析にて出力する解析手段1と、解析対象領域の最大値として検出された小領域以外の小領域を検出対象領域として解析値が最大の最大値領域を検出する最大値領域検出手段2と、最大値領域及び除外節点を領域情報31及び節点情報32に記憶する領域記憶手段3と、最大値領域の除外節点を判定する節点判定手段4と、除外節点の無い最大値領域を極大値領域として極大値領域情報51に記憶し、最大値領域の節点を除外節点とする極大値領域検出手段5と、最大値領域を除く小領域を検出対象領域として最大値領域を順次検出する順次検出手段6と、隣接する極大値領域を補色表示し、極大値領域間をグラデーション表示する表示手段7と、極大値領域の上限数を受付ける上限数受付手段8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値解析により物理現象を解析する解析装置に関して、特に解析値を極値探索することにより、検証評価すべき箇所の見落としを低減し、検証精度を向上させる解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、製造業における設計作業は、コンピュータ技術を活用して製品の設計及び製造を支援するComputer Aided Engineering;計算機支援工学(以下、CAEという)を用いることが主流となっている。CAEで用いられる解析手法としては、無限の自由度を持つ連続体を、指定された有限個の未知量を含む要素の集合体を用いて近似する有限要素法が広く利用されている。
【0003】
CAEを利用する設計者は、有限要素法により解析された解析値の大きい箇所を検索し、当該箇所において製品仕様に与える影響を確認し、製品の設計作業を行う。しかし、当該設計作業は、特に解析モデルの形状が複雑な場合には、当該解析値の大きい箇所の検索に時間を要し、設計者への作業負担の増大をもたらすという問題がある。
【0004】
従来の解析装置は、処理対象の三次元モデルからエッジを検出し、当該エッジを所定の曲率半径を有する曲面によって平坦化した三次元モデルに対して、有限要素法による解析処理を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−357082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の解析装置は、有限要素法による解析値の大きい要素の上位箇所を検索することはできるが、計算状況によっては当該上位箇所が一箇所近傍に集中することがあり、他の局地的な解析値の大きい箇所が検索されず、当該箇所が設計時の検証対象として見落とされる虞があるという課題を有する。また、従来の解析装置は、設計者が手作業で解析値の大きい箇所を検索する場合であっても、解析モデルが多くの部品で構成されて複雑な接触や変形を起こす場合には、当該検索に時間を要し、設計者の作業工数が増大するという課題を有する。さらに、従来の解析装置は、前記設計者による検索時においても、解析値の大きい箇所が他の部品に隠れた位置に存在する場合には、設計時の検証対象として見落とされる虞があるという課題を有する。
【0006】
本発明は、前記課題を解消するためになされたもので、特に解析値の極大値探索を行うことにより、対象領域のうち検証評価すべき箇所の見落としを低減し、検証精度の向上及び設計者の作業工数の削減を実現する解析装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示する解析装置は、解析対象領域を複数の節点にて形成される閉じた境界線により複数の小領域に分割し、当該小領域ごとに数値解析を実施して解析値を出力し、当該解析対象領域における物理現象を解析する解析装置において、前記小領域ごとに前記数値解析を行い、前記解析値を出力する解析手段と、前記解析対象領域における既に最大値として検出された小領域を除く総ての前記小領域を検出対象領域として、当該検出対象領域のうち前記解析値が最大値となる前記小領域を最大値領域として検出する最大値領域検出手段と、前記最大値領域及び特定の節点である除外節点を各々の検出時に記憶して蓄積する領域記憶手段と、前記領域記憶手段に基づいて、前記最大値領域を形成する総ての節点のうち少なくとも1つの前記除外節点が含まれるかを判定する節点判定手段と、前記節点判定手段により前記最大値領域の前記節点に前記除外節点が全く含まれないと判定された場合に、当該最大値領域を極大値領域として検出し、当該検出の有無に依らず前記最大値領域検出手段により検出された前記最大値領域の前記節点を前記除外節点として検出する極大値領域検出手段と、前記領域記憶手段により蓄積された前記最大値領域を除く前記小領域を新たな前記検出対象領域として、前記最大値領域検出手段により前記最大値領域を繰返し順次検出する順次検出手段とを備えるものである。
【0008】
このように、本願に開示する解析装置は、解析手段が数値解析により前記小領域ごとの解析値を出力し、最大値領域検出手段が前記解析対象領域における既に最大値として検出された小領域を除く総ての前記小領域を検出対象領域として、当該検出対象領域のうち前記解析値が最大値となる前記小領域を最大値領域として検出し、領域記憶手段が前記最大値領域及び特定の節点である除外節点を各々の検出時に記憶して蓄積し、節点判定手段が前記領域記憶手段に基づいて、前記最大値領域の節点に前記除外節点が含まれるかを判定し、前記最大値領域に前記除外節点が含まれない場合に、極大値領域検出手段が当該最大値領域を極大値領域として検出し、当該検出の有無に依らず前記最大値領域検出手段により検出された前記最大値領域の前記節点を前記除外節点として検出し、順次検出手段が前記領域記憶手段により蓄積された前記最大値領域を除く前記小領域を新たな前記検出対象領域として、前記最大値領域検出手段により前記最大値領域を繰返し順次検出することから、極大値となる前記小領域を検出できることとなり、解析対象領域のうち検証評価すべき箇所の見落としを低減し、数値解析による検証精度を向上し、設計者の作業負担を軽減することができる。
【0009】
また、本願に開示する解析装置は必要に応じて、前記解析手段が、有限要素法に基づいて前記数値解析を行うものである。このように、本願に開示する解析装置は、前記解析手段が、有限要素法に基づいて前記数値解析を行うことから、形状が複雑な構造体に対しても前記数値解析を容易に適用できることとなり、広範囲の対象に対して前記数値解析を容易に実施することができる。
【0010】
また、本願に開示する解析装置は必要に応じて、前記極大値検出手段により検出された隣接する極大値領域を補色関係の色調にて強調表示し、当該極大値領域間を、色調が連続的に変化するグラデーションにより表示する表示手段を備えるものである。このように、本願に開示する解析装置は、表示手段が前記極大値検出手段により検出された隣接する極大値領域を補色関係の色調にて強調表示し、当該極大値領域間を、色調が連続的に変化するグラデーションにより表示することから、極大値となる要素のみをリストアップしてハイライト表示することとなり、着目すべき部位を漏れなくユーザーに明示することができ、またグラデーションにより段階的に表現された色調により、解析対象が複雑な形状の場合であっても、ユーザーに視覚的に明快な分かり易い解析結果を提供することができる。
【0011】
また、本願に開示する解析装置は必要に応じて、前記表示手段により表示される極大値領域の上限数を受付ける上限数受付手段を備え、前記表示手段が、前記極大値領域検出手段により検出された前記極大値領域の検出数が前記上限数を超過した場合には当該極大値領域を解析値上位から降順に当該上限数まで表示し、当該検出数が前記上限数に満たない場合には当該極大値領域を当該検出数まで表示するものである。このように、本願に開示する解析装置は、上限数受付手段が前記表示手段により表示される極大値領域の上限数を受付け、前記表示手段が前記極大値領域を最大で前記上限数まで表示することから、ユーザーに必要な個数の極大値箇所のみをリストアップしてハイライト表示することとなり、ユーザーに着目すべき部位を適切な数だけ漏れなく明示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る解析装置を、図1から図5に基づいて説明する。
この図1は本発明の第1の実施形態に係る解析装置の構成を示すブロック図、図2は図1に記載された解析装置のデータレイアウト例、図3は図1に記載された解析装置のフローチャート、図4は図1に記載された解析装置の解析例、図5は図1に記載された解析装置の解析結果画面例を示す。
【0013】
図1において、本実施形態に係る解析装置は、有限要素法に基づいて解析対象の物理モデル100における解析対象領域を複数に分割された小領域ごとの解析値を数値解析により出力する解析手段1と、この解析対象領域における既に最大値として検出された小領域を除く総ての小領域を検出対象領域として、この検出対象領域のうち前記解析値が最大値となる小領域を最大値領域として検出する最大値領域検出手段2と、この最大値領域及び特定の節点である除外節点を各々の検出時に各々領域情報31及び節点情報32に記憶して蓄積する領域記憶手段3と、この領域記憶手段3に基づいて、この最大値領域に除外節点が含まれるかを判定する節点判定手段4と、この節点判定手段4によりこの最大値領域の節点にこの除外節点が全く含まれないと判定された場合に、この最大値領域を極大値領域として検出して極大値領域情報51に蓄積記憶し、この検出の有無に依らずこの最大値領域検出手段により検出されたこの最大値領域の節点をこの除外節点として検出する極大値領域検出手段5と、この領域記憶手段3により蓄積された最大値領域を除く前記小領域を新たな前記検出対象領域として、この最大値領域検出手段2によりこの最大値領域を繰返し順次検出する順次検出手段6と、この極大値検出手段5により検出された隣接する極大値領域を補色関係の色調にて強調表示し、この極大値領域間を、色調が連続的に変化するグラデーションにより表示する表示手段7と、この表示手段7により強調表示される極大値領域の上限数を受付ける上限数受付手段8とを備える。
【0014】
前記領域情報31は、図2(a)に示すように、領域番号項目と、解析値項目と、節点番号項目、最大値フラグ項目とを備えることができる。この領域番号項目は、解析対象領域の小領域を一意に識別する領域番号を示す。また、この解析値項目は、この領域番号の小領域における解析値を示す。また、この節点番号項目は、この小領域を構成する前記節点を節点数分示す。また、この最大値フラグ項目は、この小領域が前記最大値領域として検出されたか否かをフラグにより示す。前記領域情報31は、例えば同図では、領域番号S1の小領域が節点番号1、節点番号2、節点番号3の3つの節点から形成され、この解析値が120であり前記最大値領域として検出されたことを示す。
【0015】
前記節点情報32は、同図(b)に示すように、節点番号項目と、属性Y項目を備えることができる。この節点番号項目は、前記小領域を構成する前記節点を一意に識別する節点番号を示す。また、この属性Y項目は、この節点が前記除外節点として設定されたことを示す属性Yの有無をフラグにより示す。前記節点情報32は、例えば同図では、節点番号1の節点がこの属性Yを有することを示す。
【0016】
また、前記極大値領域情報51は、同図(c)に示すように、極大値領域番号項目を備えることができる。この極大値領域番号項目は、前記極大値領域として設定された前記小領域の前記領域番号、図の例では領域番号S1及び領域番号Sn、を示す。
【0017】
また、本実施形態に係る解析装置は、図4に示すように、数値解析の実行単位である小領域としての面形状のシェル要素を有する三次元の物理モデル100を解析対象とすることができる。このシェル要素は、例えば、同図に示すように、領域番号S5、S6、S17を備える。この領域番号S5は、同図に示すように、節点番号2、6、12、14により形成される。また,この領域番号S6は、節点番号12、13、14、15により形成される。この領域番号S5及び領域番号S6は、節点番号12、14の節点により隣接している。また、領域番号S17は、節点番号27、31、35、39により形成され、この領域番号S5及び領域番号S6とは隣接していない。
【0018】
以下、前記構成に基づく本実施形態の解析装置の動作について説明する。
前記解析手段1は、図3に示すように、解析対象の前記物理モデル100を有限要素法により数値解析して前記シェル要素ごとの解析値を算出し、前記領域情報31の解析値項目にこの解析値を登録する(ST1)。
【0019】
前記順次検出手段6は、このシェル要素を繰返し処理により検索するための変数iを設定し、この変数iの初期値としてゼロ値を設定する(ST2)。前記順次検出手段6は、この変数iに1加算を行う(ST3)。
【0020】
前記最大値領域検出手段2は、前記領域情報31の解析値項目に基づいて、最大値を有する前記シェル要素を検出し、この検出されたシェル要素に関して前記領域情報31の最大値フラグ項目に1を設定する(ST4)。前記節点判定手段4は、前記節点情報32の属性Y項目に基づいて、この検出されたシェル要素が前記属性Yの節点を含むかを判定する(ST5)。
【0021】
前記極大値領域検出手段5は、このST5の判定により、このシェル要素が前記属性Yの節点を含まない場合には、前記ST4にて検出されたシェル要素を極大値領域としてのシェル要素max(i)として検出する(ST6)。前記領域記憶手段3は、この極大値領域のシェル要素の領域番号を前記極大値領域情報51に登録する(同ST6)。
【0022】
また、前記領域記憶手段3は、このシェル要素の節点を前記属性Yの節点として前記節点情報32の属性Y項目に1を設定して登録する(ST7)。例えば、前記領域記憶手段3は、図4に示すように、領域番号S5のシェル要素が最大値を有する場合には、節点番号2、6、12、14の節点を前記属性Yの節点として前記節点情報32に登録する。
【0023】
前記順次検出手段6は、前記図3に示すように、前記変数iが上限値numに到達したかを判定する(ST8)。この上限値numは、固定値とすることも可能であり、前記上限数受付手段8によりユーザーからの入力を受付けることにより適宜設定されることも可能である。前記上限数受付手段8によりこの上限値numが設定される場合には、ユーザーに必要な個数の極大値箇所のみを表示することとなり、ユーザーに着目すべき部位を適切な数だけ漏れなく明示することができる。
【0024】
また、前記表示手段7は、このST8の判定により前記変数iが前記上限値numに到達した場合には、前記極大値領域が蓄積された前記極大値領域情報51に基づいて、この蓄積された極大値領域としてのシェル要素max(i)〜max(num)を画面表示する(ST9)。前記表示手段7は、この画面表示に関して、隣接する前記極大値領域を補色関係の色調にて強調表示し、この極大値領域間を、色調が連続的に変化するグラデーションにより表示することができる。
【0025】
前記表示手段7は、このグラデーション表示により、極大値となる要素のみをリストアップしてハイライト表示することとなり、着目すべき部位を漏れなくユーザーに明示することができ、またグラデーションにより段階的に表現された色調により、解析対象が複雑な形状の場合であっても、ユーザーに視覚的に明快な分かり易い解析結果を提供することができる。
【0026】
また、前記領域記憶手段3は、前記ST5の判定により、前記ST4にて検出されたシェル要素が前記属性Yの節点を含む場合には、このシェル要素の節点を前記属性Yの節点として前記節点情報32に登録する(ST10)。前記順次検出手段6は、前記領域情報31及び節点情報32に基づいて、前記ST4にて一度検出されたシェル要素を検索対象から除外して、検索対象としてのシェル要素が存在するかを判断する(ST11)。
【0027】
前記順次検出手段6は、このST11にて前記検索対象としてのシェル要素が存在すると判断された場合には、前記最大値領域検出手段2に前記ST4と同様に最大値を有するシェル要素の検出を指示する。以降、本解析装置は、前記ST4からの繰り返し処理を行う。
【0028】
前記節点判定手段4は、図4に示すように、この繰り返し処理により、例えば、前記最大値領域検出手段2が前記ST4にて最大値を有するシェル要素として領域番号S5を検出した後に再度このST4にて領域番号S6を検出した場合には、領域番号S6の節点番号12、14の節点が前記属性Yを有することを前記ST5にて判定する。前記極大値領域検出手段5は、この判定により、前記ST6にてこの領域番号S6を極大値領域として検出しない。また、前記領域記憶手段3は、前記ST7にて領域番号S6の節点番号13、15の節点に対しても前記属性Yの節点として前記節点情報32に登録する。
【0029】
さらに、前記節点判定手段4は、前記繰り返し処理により、領域番号S17を検出した場合には、この領域番号S17の節点が前記属性Yを有さないことを前記ST5にて判定する。前記極大値領域検出手段5は、この判定により、前記ST6にてこの領域番号S17を極大値領域として検出する。また、前記領域記憶手段3は、前記ST7にて領域番号S6の節点番号27,31,35,39の節点を前記属性Yの節点として前記節点情報32に登録する。
【0030】
このように、前記極大値領域検出手段5は、極大値となる箇所を検出できることとなり、解析対象領域のうち検証評価すべき箇所の見落としを低減し、数値解析による検証精度を向上し、設計者の作業負担を軽減することができる。
【0031】
また、前記表示手段7は、前記順次検出手段6が前記ST11にて検索対象のシェル要素が存在しないと判断した場合には、前記ST9にて蓄積された極大値領域としてのシェル要素を画面表示する。前記表示手段7は、この場合には、前記上限数受付手段8によりユーザーから入力されたnumより極大値領域の検出数が少ないために、この検出された総ての極大値領域を画面表示する。
【0032】
前記表示手段7は、例えば、図5に示すように、このnum値が5に指定された場合に、複雑な形状を有する機械部分としての物理モデル100において検出された極大値領域のシェル要素A、B、C、D、Eの5箇所をハイライト表示する。このシェル要素C、Dは、シェル要素Eに隣接する極大値領域であるため、シェル要素Eと補色関係の色調で前記表示手段7によりハイライト表示される。また、前記表示手段7は、この5箇所の極大値領域間を、色調が連続的に変化するグラデーションにより表示する。
【0033】
前記表示手段7は、他の部品に隠れる位置に所在するこのシェル要素B、Cのように、ユーザーの手作業では探索しにくい箇所もハイライト表示することとなり、手作業による探索時間の削減や,変形が大きく複雑な箇所に所在する極大値領域の見落としを防止することができる。
【0034】
また、本解析装置は、前記ST8の判定により前記変数iが前記上限値numに到達しない場合には、前記ST3からの処理を繰り返す。
なお、上記実施形態において、前記表示手段7は、隣接する極大値領域を補色の色調を用いてハイライト表示するとしたが、この補色を用いたハイライト表示に限定されることはなく、例えば、固定色にて極大値領域を強調表示することも可能である。また、上記実施形態において、前記表示手段7は、極大値領域間をグラデーション表示するとしたが、このグラデーション表示に限定されることはなく、例えば、極大値領域間を無配色とすることで極大値領域を際立たせて表示することも可能である。
【0035】
なお、解析対象である物理モデル100は、広範な物理現象に適用することができ、例えば、衝突、衝撃、落下、塑性加工、貫通、亀裂、破壊などの物理現象に適用することができる。本願に開示する解析装置は、この広範な物理現象への適用により、広範な分野の複雑な形状を有する機械及び器具、例えば自動車、船舶、鉄道車両、プラント、スポーツ用具、精密機械、の設計を円滑に支援することができる。
また、本実施形態に係る解析装置のハードウエア構成は、CPU、メモリ、大容量記憶装置、ディスプレイ、通信装置、キーボード、マウス、入力手段及び上記各部を接続するバスからなる。
【0036】
[付記] 以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)解析対象領域を複数の節点にて形成される閉じた境界線により複数の小領域に分割し、当該小領域ごとに数値解析を実施して解析値を出力し、当該解析対象領域における物理現象を解析する解析装置において、前記小領域ごとに前記数値解析を行い、前記解析値を出力する解析手段と、前記解析対象領域における既に最大値として検出された小領域を除く総ての前記小領域を検出対象領域として、当該検出対象領域のうち前記解析値が最大値となる前記小領域を最大値領域として検出する最大値領域検出手段と、前記最大値領域及び特定の節点である除外節点を各々の検出時に記憶して蓄積する領域記憶手段と、前記領域記憶手段に基づいて、前記最大値領域を形成する総ての節点のうち少なくとも1つの前記除外節点が含まれるかを判定する節点判定手段と、前記節点判定手段により前記最大値領域の前記節点に前記除外節点が全く含まれないと判定された場合に、当該最大値領域を極大値領域として検出し、当該検出の有無に依らず前記最大値領域検出手段により検出された前記最大値領域の前記節点を前記除外節点として検出する極大値領域検出手段と、前記領域記憶手段により蓄積された前記最大値領域を除く前記小領域を新たな前記検出対象領域として、前記最大値領域検出手段により前記最大値領域を繰返し順次検出する順次検出手段とを備える解析装置。
【0037】
(付記2)前記解析手段が、有限要素法に基づいて前記数値解析を行う付記1記載の解析装置。
【0038】
(付記3)前記極大値検出手段により検出された隣接する極大値領域を補色関係の色調にて強調表示し、当該極大値領域間を、色調が連続的に変化するグラデーションにより表示する表示手段を備える付記1又は付記2記載の解析装置。
【0039】
(付記4)前記表示手段により表示される極大値領域の上限数を受付ける上限数受付手段を備え、前記表示手段が、前記極大値領域検出手段により検出された前記極大値領域の検出数が前記上限数を超過した場合には当該極大値領域を解析値上位から降順に当該上限数まで表示し、当該検出数が前記上限数に満たない場合には当該極大値領域を当該検出数まで表示する付記1ないし付記3記載の解析装置。
【0040】
(付記5)解析対象領域を複数の節点にて形成される閉じた境界線により複数の小領域に分割し、当該小領域ごとに数値解析を実施して解析値を出力し、当該解析対象領域における物理現象を解析する解析方法において、前記小領域ごとに前記数値解析を行い、前記解析値を出力する解析工程と、前記解析対象領域における既に最大値として検出された小領域を除く総ての前記小領域を検出対象領域として、当該検出対象領域のうち前記解析値が最大値となる前記小領域を最大値領域として検出する最大値領域検出工程と、前記最大値領域及び特定の節点である除外節点を各々の検出時に記憶して蓄積する領域記憶工程と、
前記領域記憶工程に基づいて、前記最大値領域を形成する総ての節点のうち少なくとも1つの前記除外節点が含まれるかを判定する節点判定工程と、前記節点判定工程により前記最大値領域の前記節点に前記除外節点が全く含まれないと判定された場合に、当該最大値領域を極大値領域として検出し、当該検出の有無に依らず前記最大値領域検出工程により検出された前記最大値領域の前記節点を前記除外節点として検出する極大値領域検出工程と、前記領域記憶工程により蓄積された前記最大値領域を除く前記小領域を新たな前記検出対象領域として、前記最大値領域検出工程により前記最大値領域を繰返し順次検出する順次検出工程とを備える
解析方法。
【0041】
(付記6)前記解析工程が、有限要素法に基づいて前記数値解析を行う付記5記載の解析方法。
【0042】
(付記7)前記極大値検出工程により検出された隣接する極大値領域を補色関係の色調にて強調表示し、当該極大値領域間を、色調が連続的に変化するグラデーションにより表示する表示工程を備える付記5又は付記6記載の解析方法。
【0043】
(付記8)前記表示工程により表示される極大値領域の上限数を受付ける上限数受付工程とを備え、前記表示工程が、前記極大値領域検出工程により検出された前記極大値領域の検出数が前記上限数を超過した場合には当該極大値領域を解析値上位から降順に当該上限数まで表示し、当該検出数が前記上限数に満たない場合には当該極大値領域を当該検出数まで表示する付記5ないし付記7記載の解析方法。
【0044】
(付記9)解析対象領域を複数の節点にて形成される閉じた境界線により複数の小領域に分割し、当該小領域ごとに数値解析を実施して解析値を出力し、当該解析対象領域における物理現象を解析するようにコンピュータを機能させる解析プログラムにおいて、前記小領域ごとに前記数値解析を行い、前記解析値を出力する解析手段、前記解析対象領域における既に最大値として検出された小領域を除く総ての前記小領域を検出対象領域として、当該検出対象領域のうち前記解析値が最大値となる前記小領域を最大値領域として検出する最大値領域検出手段、前記最大値領域及び特定の節点である除外節点を各々の検出時に記憶して蓄積する領域記憶手段、前記領域記憶手段に基づいて、前記最大値領域を形成する総ての節点のうち少なくとも1つの前記除外節点が含まれるかを判定する節点判定手段、前記節点判定手段により前記最大値領域の前記節点に前記除外節点が全く含まれないと判定された場合に、当該最大値領域を極大値領域として検出し、当該検出の有無に依らず前記最大値領域検出手段により検出された前記最大値領域の前記節点を前記除外節点として検出する極大値領域検出手段、前記領域記憶手段により蓄積された前記最大値領域を除く前記小領域を新たな前記検出対象領域として、前記最大値領域検出手段により前記最大値領域を繰返し順次検出する順次検出手段としてコンピュータを機能させる解析プログラム。
【0045】
(付記10)前記解析手段が、有限要素法に基づいて前記数値解析を行う付記9記載の解析プログラム。
【0046】
(付記11)前記極大値検出手段により検出された隣接する極大値領域を補色関係の色調にて強調表示し、当該極大値領域間を、色調が連続的に変化するグラデーションにより表示する表示手段としてコンピュータを機能させる付記9又は付記10記載の解析プログラム。
【0047】
(付記12)前記表示手段により表示される極大値領域の上限数を受付ける上限数受付手段としてコンピュータを機能させ、前記表示手段が、前記極大値領域検出手段により検出された前記極大値領域の検出数が前記上限数を超過した場合には当該極大値領域を解析値上位から降順に当該上限数まで表示し、当該検出数が前記上限数に満たない場合には当該極大値領域を当該検出数まで表示する付記9ないし付記11記載の解析プログラム。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る解析装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る解析装置のデータレイアウト例
【図3】本発明の第1の実施形態に係る解析装置のフローチャート
【図4】本発明の第1の実施形態に係る解析装置の解析例
【図5】本発明の第1の実施形態に係る解析装置の解析結果画面例
【符号の説明】
【0049】
1 解析手段
2 最大値領域検出手段
3 領域記憶手段
31 領域情報
32 節点情報
4 節点判定手段
5 極大値領域検出手段
51 極大値領域情報
6 順次検出手段
7 表示手段
8 上限数受付手段
100 物理モデル
A、B、C、D、E シェル要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析対象領域を複数の節点にて形成される閉じた境界線により複数の小領域に分割し、当該小領域ごとに数値解析を実施して解析値を出力し、当該解析対象領域における物理現象を解析する解析装置において、
前記小領域ごとに前記数値解析を行い、前記解析値を出力する解析手段と、
前記解析対象領域における既に最大値として検出された小領域を除く総ての前記小領域を検出対象領域として、当該検出対象領域のうち前記解析値が最大値となる前記小領域を最大値領域として検出する最大値領域検出手段と、
前記最大値領域及び特定の節点である除外節点を各々の検出時に記憶して蓄積する領域記憶手段と、
前記領域記憶手段に基づいて、前記最大値領域を形成する総ての節点のうち少なくとも1つの前記除外節点が含まれるかを判定する節点判定手段と、
前記節点判定手段により前記最大値領域の前記節点に前記除外節点が全く含まれないと判定された場合に、当該最大値領域を極大値領域として検出し、当該検出の有無に依らず前記最大値領域検出手段により検出された前記最大値領域の前記節点を前記除外節点として検出する極大値領域検出手段と、
前記領域記憶手段により蓄積された前記最大値領域を除く前記小領域を新たな前記検出対象領域として、前記最大値領域検出手段により前記最大値領域を繰返し順次検出する順次検出手段とを備える
解析装置。

【請求項2】
請求項1に記載の解析装置において、
前記解析手段が、有限要素法に基づいて前記数値解析を行う
解析装置。

【請求項3】
請求項1ないし請求項2に記載の解析装置において、
前記極大値検出手段により検出された隣接する極大値領域を補色関係の色調にて強調表示し、当該極大値領域間を、色調が連続的に変化するグラデーションにより表示する表示手段を備える
解析装置。

【請求項4】
請求項3に記載の解析装置において、
前記表示手段により表示される極大値領域の上限数を受付ける上限数受付手段を備え、
前記表示手段が、前記極大値領域検出手段により検出された前記極大値領域の検出数が前記上限数を超過した場合には当該極大値領域を解析値上位から降順に当該上限数まで表示し、当該検出数が前記上限数に満たない場合には当該極大値領域を当該検出数まで表示する
解析装置。
【請求項5】
解析対象領域を複数の節点にて形成される閉じた境界線により複数の小領域に分割し、当該小領域ごとに数値解析を実施して解析値を出力し、当該解析対象領域における物理現象を解析する解析方法において、
前記小領域ごとに前記数値解析を行い、前記解析値を出力する解析工程と、
前記解析対象領域における既に最大値として検出された小領域を除く総ての前記小領域を検出対象領域として、当該検出対象領域のうち前記解析値が最大値となる前記小領域を最大値領域として検出する最大値領域検出工程と、
前記最大値領域及び特定の節点である除外節点を各々の検出時に記憶して蓄積する領域記憶工程と、
前記領域記憶工程に基づいて、前記最大値領域を形成する総ての節点のうち少なくとも1つの前記除外節点が含まれるかを判定する節点判定工程と、
前記節点判定工程により前記最大値領域の前記節点に前記除外節点が全く含まれないと判定された場合に、当該最大値領域を極大値領域として検出し、当該検出の有無に依らず前記最大値領域検出工程により検出された前記最大値領域の前記節点を前記除外節点として検出する極大値領域検出工程と、
前記領域記憶工程により蓄積された前記最大値領域を除く前記小領域を新たな前記検出対象領域として、前記最大値領域検出工程により前記最大値領域を繰返し順次検出する順次検出工程とを備える
解析方法。
【請求項6】
解析対象領域を複数の節点にて形成される閉じた境界線により複数の小領域に分割し、当該小領域ごとに数値解析を実施して解析値を出力し、当該解析対象領域における物理現象を解析するようにコンピュータを機能させる解析プログラムにおいて、
前記小領域ごとに前記数値解析を行い、前記解析値を出力する解析手段、
前記解析対象領域における既に最大値として検出された小領域を除く総ての前記小領域を検出対象領域として、当該検出対象領域のうち前記解析値が最大値となる前記小領域を最大値領域として検出する最大値領域検出手段、
前記最大値領域及び特定の節点である除外節点を各々の検出時に記憶して蓄積する領域記憶手段、
前記領域記憶手段に基づいて、前記最大値領域を形成する総ての節点のうち少なくとも1つの前記除外節点が含まれるかを判定する節点判定手段、
前記節点判定手段により前記最大値領域の前記節点に前記除外節点が全く含まれないと判定された場合に、当該最大値領域を極大値領域として検出し、当該検出の有無に依らず前記最大値領域検出手段により検出された前記最大値領域の前記節点を前記除外節点として検出する極大値領域検出手段、
前記領域記憶手段により蓄積された前記最大値領域を除く前記小領域を新たな前記検出対象領域として、前記最大値領域検出手段により前記最大値領域を繰返し順次検出する順次検出手段としてコンピュータを機能させる
解析プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−97435(P2010−97435A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267917(P2008−267917)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】