説明

触媒、触媒の製造方法およびプロセス

【課題】新規なナノ結晶性の亜クロム酸亜鉛担持ナノパラジウム触媒を合成し利用する。
【解決手段】Cr23、CrO3、MgOおよびγ−Al23などの異なる酸化物と混合されたナノ結晶酸化亜鉛に基づくPd担持ナノZnO触媒は、水素流下での気相プロセスにおいてアセトン縮合に高い触媒活性を示した。その中で、1重量%のn−Pd/n−ZnCr24は、気相MIBK合成反応において、300℃〜350℃で、66%〜77%のアセトン転化率、70%〜72%のMIBK選択性を示した。ジイソブチルケトン(DIBK)が主な副生成物であり、MIBK+DIBKの合計選択性は88%であった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
この開示は、一般に、新規なナノ結晶性の亜クロム酸亜鉛担持ナノパラジウム触媒を合成し、上記新規な触媒を用いてメチルイソブチルケトン(MIBK)の生成量を増加させることに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
アルドール縮合は、2つのアルデヒド分子またはケトン分子間に炭素−炭素結合を作るための有機合成の際の不可欠なツールである。アルドール生成物(β−ヒドロキシアルデヒドまたはβ−ヒドロキシケトン)は、ヒドロキシル官能基およびカルボニル官能基を有し、連続的な反応による、ジオール、α,β−不飽和アルデヒド、α,β−不飽和ケトン、飽和アルコール、アリルアルコール、アルデヒドおよびケトンなどの多数の産業上重要な生成物への転化を可能にする。しかしながら、アルドール縮合は可逆的なプロセスであり、これは、特に出発物質がケトンである場合に、不利な平衡のために転化率の点でこの反応の有用性を制限する特徴である。アセトン縮合は、アセトン転化率が低くかつ所望の生成物の選択性が低い、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジイソブチルケトン(DIBK)、ホロン(PH)およびα−イソホロン(IPH)などの非常に重要な生成物の合成の一例である。
【0003】
MIBKは、アセトンに由来する重要な生成物である。MIBKは、塗料および保護コーティングシステムにおいて溶媒として用いられる。MIBKは、3ステッププロセスを用いて商業的に生成される。アセトンからMIBKを合成するための主反応経路が図1に示されている。第1のステップは、アセトンをジアセトンアルコール(DA、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)にアルドール付加するというものである。第2のステップは、DAをメシチルオキシド(MO、4−メチル−3−ペンテン−2−オン)にアルドール縮合するというものである。最後のステップは、MOの炭素−炭素オレフィン結合を選択的に水素化して、MIBKを形成するというものである。最も一般的に観察される副反応は、過剰縮合およびランダムな水素化である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高い収率を得るために、現在のところ多数の触媒がMIBKの気相または液相生成で用いられているが、ほとんど成果が上がっていない。気圧、温度および反応相がMIBKの最終収率に極めて重要な役割を果たす。
【0005】
生成プロセスは複雑であり、運転コストが高い。均一系液体塩基触媒および酸触媒を用いることによって、腐食環境が作り出され、それらを処分するに当たってさらなる中和プロセスが必要であり、かなりの廃水流が生成される。さらに、次に続くステップを行なうにはDAとMOとの分離が必須である。したがって、MIBKの気相生成および液相生成で用いることができるより優れた触媒が必要である。MIBKの生成は、収率をより高くするはずであり、ひいては、費用対効果が高くなるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
この発明は、新規なナノ結晶性の亜クロム酸亜鉛担持ナノパラジウム触媒を合成して、1ステップの気相アセトン自己縮合プロセスによってMIBKおよび他の副生成物の生成量を増加させる方法を開示する。
【0007】
一実施の形態には、ナノ結晶性の亜クロム酸亜鉛担持ナノパラジウムの製造方法が記載されている。白金族金属などのさまざまな組合せを酸化亜鉛でテストした。いくつかの金属および異なる濃度を試して、安定的かつ効果的な触媒を得た。
【0008】
一実施の形態では、MIBKへのアセトン縮合の活性および選択性に対するナノZnOベースの触媒の酸および塩基特性の影響を評価した。別の実施の形態では、ナノZnOを酸塩基成分としての金属酸化物および水素化成分としての白金族金属と混合した。
【0009】
別の実施の形態において、新規なナノ結晶性の亜クロム酸亜鉛担持ナノパラジウム触媒のいくつかの特性のキャラクタリゼーションを行なった。このキャラクタリゼーションは、新規な触媒の純度および有効性を証明するため、ならびに、現在の方法の効率および効果を証明するためになされた。
【0010】
別の実施の形態において、ナノ結晶性の亜クロム酸亜鉛担持ナノパラジウム触媒を用いたMIBKへのアセトンの非常に選択的な転化の気相プロセスの最適化を行なった。
【0011】
本明細書に開示される新規な触媒の組成、新規な触媒の合成方法、および化学反応での新規な触媒の利用方法は、さまざまな局面を達成する任意の手段で実現されてもよい。他の特徴は、添付の図面および以下の詳細な説明から明らかである。
【0012】
例示的な実施の形態が、限定的ではなく一例として、表および添付の図面に示されており、同様の参照符号は類似の要素を示している。
【0013】
これらの実施の形態の他の特徴は、添付の図面、表および以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】アセトン縮合プロセスにおける主反応経路を示す。
【図2】1重量%のn−Pd/n−ZnCr24(0.25gの触媒、15ml/分のH2流、水素/アセトン=2/1モル、時間−1時間)についてのアセトン転化率および生成物選択性と反応温度との関係を示す。
【図3】1重量%のn−Pd/n−ZnCr24(0.25gの触媒、350℃、15ml/分のH2流、水素/アセトン=2/1モル)についてのアセトン転化率および生成物選択性と稼動時間(time on stream)との関係を示す。
【図4】1重量%のn−Pd/n−ZnCr24(0.25gの触媒、350℃、時間−1時間)についてのアセトン転化率および生成物選択性と水素流量との関係の結果を示す。
【図5】1重量%のn−Pd/n−ZnO(0.25gの触媒、300℃、15ml/分のH2流、水素/アセトン=2/1モル)についてのアセトン転化率および生成物選択性と稼動時間との関係の結果を示す。
【図6】1重量%のn−Pd/n−ZnCr24触媒のXRDパターンおよび亜クロム酸亜鉛のデータベースPDF No.22−1107との一致を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
新規なナノ結晶性の亜クロム酸亜鉛担持ナノパラジウム触媒を合成して、新規な触媒を利用してMIBKおよび他の副生成物の生成量を増加させるいくつかの方法が開示されている。特定の例示的な実施の形態を参照してこれらの実施の形態について説明しているが、さまざまな実施の形態のより広範な精神および範囲から逸脱することなくこれらの実施の形態に対してさまざまな修正および変更がなされてもよいことは明らかである。
【実施例】
【0016】
ナノ酸化亜鉛の調製:
硫酸亜鉛七水和物(BDH、99.5%)、ピルビン酸ナトリウム(シグマ−アルドリッチ(Sigma-Aldrich)、>99%)、炭酸水素ナトリウム(フルカ(Fluka)、>99.5%)、塩酸ヒドロキシルアミン(カルロ・エルバ(Carlo Erba)、99%)、およびMilli-Q浄水システム(ミリポア(Millipore))から得られた脱イオン水(18.2MΩ.cm)から、平均結晶子サイズが24.6nmであり、BET比表面積が37.37m2/gであるナノ酸化亜鉛(n−ZnO)を調製した。これらの化学物質を、表1に示される重量比およびモル数に従って互いに反応させた。389℃でのピルビン酸オキシムの亜鉛誘導体の熱分解を行なって、最終的にn−ZnOを得た。
【0017】
【表1】

【0018】
他の金属酸化物とのn−ZnO混合物の調製:
n−ZnO自体、ならびに、γ−アルミナ、酸化クロム(III)、酸化クロム(VI)、酸化マグネシウムおよびゼオライト(ZSM−5およびUSY)などの異なる金属酸化物とのその混合物を担体として用いた。まず、窒素流下で350℃で5時間にわたって金属酸化物をか焼した。か焼後、機械的攪拌によって異なる比率で金属酸化物をナノ酸化亜鉛と混合した。次いで、これらの混合された金属酸化物粉末を室温で0.02Mの金属塩溶液で攪拌し、続いて、ロータリーエバポレータで溶媒をゆっくりと蒸発させた。次いで、結果として生じる粉末を水素流(50〜60ml/分)下で350℃で5時間にわたって還元して、必要な触媒の形成に最終的に至った。
【0019】
これらの触媒の表面積および孔径を、Autosorb-1-MP(カンタクローム(Quantachrome),U.S.A)機器を用いて、−196℃でのN2吸着によって測定した。TPD/R/O 1100 Thermo Electron機器で得られるCO2 TPDから塩基度を推定した。相分析および結晶子サイズ測定のために、2°〜100°の2θ範囲において0.02°刻みでステップ当たり1秒のサンプリング時間でCuKα放射線を用いて、40mAで40Kvで動作するPhilips X' pert pro回折計でX線粉末回折(X-ray powder diffraction)(XRD)を記録した。シェラーの式を用いて結晶子サイズを推定した。反応生成物(液体および気体)をガスクロマトグラフ(gas chromatograph)(GC)技術によって分析した。
【0020】
MIBKへの選択性は、上に示されたアセトン縮合のステップの相対速度に依存する。異なるステップの化学的性質に従って、DAへのアセトンのアルドール付加は塩基性部位または酸性部位のいずれかによって触媒され、MOへのDAのアルドール縮合は酸触媒または塩基触媒され、MIBKへのMOの選択的水素化は金属部位を必要とする。
【0021】
本研究では、n−ZnO自体および異なる金属酸化物との混合物が酸塩基成分として選択され、たとえばルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金などの白金族金属が水素化成分として用いられた。250℃〜350℃で、通常圧力で、H2/アセトンが2:1のモル比で、固定床流反応器においてアセトン自己縮合を研究した。触媒における金属積載量は1重量%であった。
【0022】
この調査で用いられたいくつかの触媒の、表面積(SBET)、孔径、塩基性部位密度、結晶相および結晶子サイズと名付けられるテクスチャ特性が、表2に示されている。
【0023】
【表2】

【0024】
表2に示されている結果から、n−ZnOベースの触媒の平均結晶子サイズがn−ZnO自体の平均結晶子サイズに類似していることに気付くことができ、これは、この触媒におけるPdの積載量およびこの触媒を1重量%の他の酸化物と混合することが結晶子サイズに影響を及ぼさないことを意味している。これらの触媒については紅亜鉛鉱相のみが観察され、Pd金属パターンは観察されなかった。これは、この担体の表面にPdの非常に微細な分散が存在することを意味している。このような観察結果は、以前は、混合されたZn−Cr酸化物担体上のPdについて報告されていた(コジェーブニコワ(Kozhevnikova)ら)。表2中の第1の触媒の表面積は、n−ZnO自体の表面積に類似している。しかしながら、n−ZnOを1重量%のγ−Al23と混合した結果、表面積がナノZnOの表面積および表2中の最初の2つの触媒の表面積の2倍になった。この表面積の増加は、γ−Al23の微細粉末を添加したことに起因し得る。混合されたZn−Cr3+−Li酸化物は、その非晶質性のために最も高い表面積を有する。このような高い表面積は、混合されたZn−Cr3+酸化物担体については報告されていた(ワダーニ(Wadaani)ら,コジェーブニコワら)。表2中の第1および第3の触媒の塩基性部位密度(nb)の値は類似しており、γ−Al23およびMgOを含む他の2つの触媒の塩基性密度よりも低い。Pd/ZnO/MgO触媒は、その塩基度で周知のMgOが存在するために最も高いnbを有している。
【0025】
ナノ結晶性の亜クロム酸亜鉛担持ナノパラジウムの調製:
合成されたn−ZnOを市販の酸化クロム(CrO3、フルカ)と1:1のモル比で混合して微粉砕し、適切な量の酢酸パラジウム[Pd(OOCCH32、アルドリッチ]と混合して微粉砕し、水素雰囲気(99.999%、アブドラ・ハシム社(Abdullah Hashim, Ltd.))下での還元プロセス後に1重量%のパラジウムナノ粒子積載量をもたらす。表3は、n−ZnO、CrO3およびPd(OOCCH32を混合するために用いられる重量比およびモル比の一例を示す。Pd(OOCCH32を溶解するために、この固体混合物に無水チオフェンフリーベンゼン(25ml、フィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific))を添加した。結果として生じる懸濁液を機械的に攪拌した。ロータリーエバポレータを用いて、真空下で周囲温度で24時間にわたってベンゼンを蒸発させた。乾燥後、ベンゼンを添加し、その後二度以上蒸発させて、最終触媒の担体上にパラジウムナノ粒子が確実に均一に分布するようにした。第3の乾燥プロセスの後、結果として生じる固体をすりつぶして、次いで、プログラム可能なデジタル管状マッフル炉において50ml/分の水素流下で350℃で5時間にわたって加熱した。温度は、10℃/分の速度で周囲温度から目標温度に上昇した。周囲温度への冷却も加熱の速度と同じ速度で行なわれた。この還元プロセス後に得られた触媒[1重量%のn−Pd/n−ZnCr24]は、使用するまでデシケータの中で水素下に置かれた。グラム重量は、n−ZnOが0.5g〜2.0gの範囲であり得て、CrO3が0.5g〜2.0gの範囲であり得て、Pd(OOCCH3)が0.01g〜1.0gの範囲であり得る。これらは、提案される範囲および限界である。
【0026】
【表3】

【0027】
X線粉末回折(XRD)技術によるこの触媒のキャラクタリゼーションは、幅の広いピークのパターンを示し、亜クロム酸亜鉛[ZnCr24]のピークと一致していた(図6)。ピークの幅の広さはナノ結晶相が形成されていることを暗に示しており、これは、表4に示されるようにシェラーの式を4つのピークに当てはめることによって推定された平均結晶子サイズが18.65nmであることによって確認された。
【0028】
【表4】

【0029】
さらに、亜クロム酸塩相が観察されたことは、以下の化学式に示されるように、触媒の調製に適用される還元条件下で六価クロム[Cr(VI)]を三価クロム[Cr(III)]に還元することを暗に意味していた。
【0030】
【数1】

【0031】
また、このXRDスペクトル(図6)は、パラジウム金属のために如何なる特徴的なパターンも示さなかった。このような観察結果は、非常に分散したパラジウム金属ナノ粒子が形成されていることを暗に示している。水素によるゼロ価金属パラジウムナノ粒子への二価パラジウムの還元は、以下の式2に示されている。
【0032】
【数2】

【0033】
ナノ結晶性の亜クロム酸亜鉛担持ナノパラジウム触媒の形成は、式3に示されるように、式1と式2との和によって示すことができる。
【0034】
【数3】

【0035】
触媒気相アセトン自己縮合:
2/アセトンのモル比が2である状態で、H2またはN2雰囲気下で、管状のガラス製固定床マイクロリアクタ(ID 0.9cm)において、大気圧下で250℃〜350℃の温度範囲でアセトン自己縮合が行なわれた。反応器は、垂直管状炉に配置された。パイレックス(登録商標)ガラスウールとセラミック片の2つの層の間の反応器に触媒サンプル(〜0.25g)を積載した。反応温度を監視するために、触媒の中央にKタイプの熱電対を配置した。触媒床の上部の反応ゾーンに入る前にH2またはN2と混合される蒸気として送られるように加熱管(65℃〜70℃)に接続された日立HPLCポンプ(モデルL−2100/2130)によって、アセトンを反応器に導入した。アセトンは、連続流で送り込まれた。反応液体生成物は、−40℃でトラップされ、1時間毎に収集され、水素炎イオン化検出器(flame ionization detector)(FID)および50m × 0.32mm × 1.2mmのCP-Wax58CBカラムを備えたVarian CP-3800ガスクロマトグラフを用いてオフラインで分析された。下流への気体流は、FIDおよび熱伝導率検出器(thermal conductivity detector)(TCD)を備えた精製所ガス分析器(refinery gas analyzer)(RGA)Varian CP-3800 GCによってオンラインで分析された。生成物は、基準試料を用いてGCによって同定された。
【0036】
MIBKは主な反応生成物であり、相当な量のジイソブチルケトン(DIBK)も形成された。MIBKの最大選択性は、300℃〜350℃で観察された(表5)。副生成物は、イソプロピルアルコール(IPA)、ならびに、メシチレン(M)、DA、IPHおよびPHなどの他のアセトン縮合化合物を含んでいた。気相では、少量のプロペンおよびプロパンも検出された。
【0037】
【表5】

【0038】
Pdは、触媒の水素化機能のために用いられる金属の中で最も効果的であることがわかった。1重量%のn−Pd/n−ZnCr24は、アセトンからMIBKを直接合成するための最も活性のある選択性の触媒を提供した。350℃で、77.3重量%のアセトン転化率で、72.1%という最も高いMIBK選択性が得られた。これらの条件で、85.6%というMIBKおよびDIBKの合計選択性が得られた(表5、図2)。
【0039】
その他の成分を持たないn−Pd/n−ZnOも、MIBKを合成するための選択性触媒であった(選択性56.2%)。水素が存在しない状態でN2雰囲気においてn−ZnCr24が用いられた場合、MOが主な生成物であった。Pdが存在しない状態でH2雰囲気下でn−ZnCr24に対して反応が行なわれた場合、同じ結果が達成された。これらの結果は、n−ZnCr24自体が主に酸塩基触媒の役割を果たすことを示していた。n−Pd/ナノZnOおよび1重量%のn−Pd/n−ZnCr24触媒は、非常に優れた安定性を示した(図3〜図5)。50時間の連続的な動作中、触媒失活は観察されなかった。反応温度が上昇するにつれて、アセトン転化率は200℃での23.6%から350℃での77.3%に増加した。これらの条件下で、MIBK選択性も40.6%から72.1%に増加した。
【0040】
また、明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考えられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白金族金属と、
金属酸化物と、
ナノ酸化亜鉛とを含む、触媒。
【請求項2】
前記白金族金属は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記白金族金属は酢酸パラジウムである、請求項2に記載の触媒。
【請求項4】
酢酸パラジウムは、ナノパラジウムに還元される、請求項3に記載の触媒。
【請求項5】
前記金属酸化物は酸化クロムである、請求項1に記載の触媒。
【請求項6】
n−Pd/n−ZnCr24の式をさらに含む、請求項1に記載の触媒。
【請求項7】
触媒の製造方法であって、
硫酸亜鉛七水和物、ピルビン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび塩酸ヒドロキシルアミンを反応させて、ナノZnOを生成するステップと、
窒素流下で金属酸化物をか焼して、金属酸化物粉末を生成するステップと、
前記ナノZnOおよび前記金属酸化物粉末をある比率で混合して、ナノZnO−金属酸化物混合物を形成するステップとを備える、方法。
【請求項8】
機械的攪拌によって白金族金属塩をチオフェンフリーベンゼンに溶解させるステップと、
チオフェンフリーベンゼンに溶解した前記白金族金属塩と前記ナノZnO−金属酸化物混合物とを混合して、触媒前駆体を形成するステップと、
ロータリーエバポレータを用いて周囲温度で真空下で前記ベンゼンを蒸発させて、前記触媒前駆体を乾燥させるステップと、
管状マッフル炉において350℃で定常水素流下で、乾燥した前記触媒前駆体を還元するステップと、
前記触媒前駆体を加熱および冷却して、還元プロセスによって触媒を得るステップと、
さらなる使用まで、デシケータの中で、窒素およびアルゴンのうちの少なくとも1つの下で前記触媒を保管するステップとをさらに備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記金属酸化物は酸化クロムである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記白金族金属塩は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよび白金のうちの少なくとも1つである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
白金族金属塩は酢酸パラジウムである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
酢酸パラジウムは、ナノパラジウム金属に還元される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
形成された前記触媒は、1重量%のn−Pd/n−ZnCr24の式を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ナノZnOを合成するステップと、
金属酸化物をナノZnOに混合するステップと、
ナノパラジウム/ナノZn−金属酸化物触媒を合成するステップと、
アセトン自己縮合から、ナノパラジウム/ナノZn−金属酸化物触媒を用いて、MIBK、DIBK、MO、MおよびIPAのうちの少なくとも1つを生成するステップとを備える、プロセス。
【請求項15】
前記金属酸化物は酸化クロム(CrO3)である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
硫酸亜鉛七水和物、ピルビン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび塩酸ヒドロキシルアミンを反応させることによってナノZnOを生成するステップと、
金属酸化物のか焼中に前記金属酸化物上に定常窒素流を流して、金属酸化物粉末を生成するステップと、
1:1のモル比の前記金属酸化物粉末およびナノZnOを混合することによって、ナノZnO−金属酸化物混合物を合成するステップとをさらに備える、請求項14に記載のプロセス。
【請求項17】
チオフェンフリーベンゼン中で白金族金属塩を機械的に攪拌して、金属塩溶液を作るステップと、
チオフェンフリーベンゼンに溶解した前記白金族金属塩とナノZnO−金属酸化物混合物とを混合して、触媒前駆体を形成するステップと、
周囲温度で真空下で前記ベンゼンの回転蒸発を行なって、前記触媒前駆体を乾燥させるステップと、
定常水素流を公知の速度に維持して、350℃で前記触媒前駆体を還元するステップと、
前記触媒前駆体を冷却および加熱して、還元プロセスによって触媒を得るステップと、
さらなる使用まで、デシケータの中で、窒素およびアルゴンのうちの少なくとも1つの下で前記触媒を保管するステップとをさらに備える、請求項14に記載のプロセス。
【請求項18】
パイレックス(登録商標)ガラスウールとセラミック片の2つの層の間に触媒を配置するステップと、
前記触媒を反応器に積載するステップとをさらに備える、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
65℃〜70℃の温度でアセトンを気化させるステップと、
気化した前記アセトンとH2ガスおよびN2ガスのうちの少なくとも1つとを混合物として混合するステップと、
大気圧下で前記混合物を連続流で前記反応器に送り込むステップと、
前記反応器の温度を250℃〜350℃に維持するステップとをさらに備える、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
形成された液体生成物を収集して、ガスクロマトグラフィ機器を用いて1時間毎に前記液体生成物を分析するステップと、
ガス分析器を用いて気体生成物を分析して、前記気体生成物を同定して定量化するステップとをさらに備える、請求項19に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−40548(P2012−40548A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62385(P2011−62385)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(511072895)キング・アブドゥルアジズ・シティ・フォー・サイエンス・アンド・テクノロジー(ケイ・エイ・シィ・エス・ティ) (13)
【氏名又は名称原語表記】KING ABDULAZIZ CITY FOR SCIENCE AND TECHNOLOGY (KACST)
【Fターム(参考)】