説明

触媒コンバータ装置

【課題】触媒担体への局所的な圧縮荷重を抑制して触媒担体を筒体内に確実に保持できる触媒コンバータ装置を得る。
【解決手段】触媒担体14の外周面には2枚の電極16A、16Bが貼着され、さらにその外周側にマット層26が配置されている。マット層26と電極16A、16Bによって構成される中間部材22の厚みが、軸方向及び周方向の少なくとも一方向で一定とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気管に設けられる触媒コンバータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関で生じた排気を浄化するために排気管に設けられる触媒コンバータ装置では、たとえば特許文献1に記載されているように、触媒を担持する金属製触媒担体を通電して昇温させ、十分な触媒効果が得られるようにしたものがある。
【0003】
ところで、特許文献1に記載の構造では、シェル(ケース)内に金属製触媒担体が嵌挿されており、さらに、金属製触媒担体の導電部材とシェルの間に、電気絶縁材で構成されたマット部材が嵌挿されている。
【0004】
特許文献1に記載の構造では、マット部材は、導電部材(電極)に対応した位置にのみ配置されている。この構造において、たとえば絶縁性の向上等の目的で、電極が設けられていない位置にもマット部材を配置すると、マット部材のみの部位と比較して、電極の存在する部位ではマット部材と電極とにより厚みが増すため、触媒担体が局所的に強く圧縮されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−253491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、触媒担体への局所的な圧縮荷重を抑制して触媒担体を筒体内に確実に保持できる触媒コンバータ装置を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明では、内燃機関から排出される排気を浄化するための触媒を担持し、通電によって加熱される触媒担体と、筒状に形成されて内部に前記触媒担体が収容されると共に排気管に取り付けられる筒体と、前記筒体と前記触媒担体との間に配置され弾性により触媒担体を筒体内に保持する筒状の保持部材と、前記触媒担体と前記保持部材との間で触媒担体に接触配置され触媒担体に通電するための一対の電極と、を含む中間部材と、を備え、前記触媒担体の軸方向及び周方向の少なくとも一方向で見て、前記中間部材の厚みが一定とされている。
【0008】
この触媒コンバータ装置では、筒体と触媒担体の間に配置された中間部材により、触媒担体が筒体内に保持されている。中間部材を構成する一対の電極は触媒担体に接触配置されており、この電極を通じて触媒担体が通電により加熱昇温されると、担持された触媒による浄化効果をより高く発揮させることができる。
【0009】
また、触媒担体は筒状の保持部材の弾性力によって筒体内に保持されているので、筒体と触媒担体との相対移動(熱膨張によるズレや、車両からの振動等)を吸収することができる。
【0010】
中間部材の厚みは、触媒担体の軸方向及び周方向の少なくとも一方向で見て、一定とされている。したがって、中間部材の厚みが、たとえば電極の存在により部分的に厚くなっている構成と比較して、触媒担体への局所的な圧縮荷重を抑制できる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記保持部材が、電気絶縁性を有している。
【0012】
このように、保持部材が絶縁性を有していると、保持部材を介して触媒担体と筒体とが短絡されることを抑制できる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記保持部材が、前記筒体の内周面に接触される弾性部材と、前記弾性部材の前記径方向の内側に配置され電気絶縁性を有する絶縁部材と、を備えている。
【0014】
したがって、弾性部材の弾性により、触媒担体を筒体内に安定的に保持できる。また、絶縁部材により、触媒担体と筒体との短絡を防止できる。保持部材を、弾性部材と絶縁部材を備えた構成とすることで、それぞれの機能に適した形状や材料を選択できる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、一対の前記電極が、前記触媒担体を挟んで向き合う位置で前記触媒担体の外周面に接触配置されている。
【0016】
このようの一対の電極を、触媒担体を挟んで向き合う位置に配置することで、効率的に触媒担体に通電することが可能になる。
【0017】
また、このように電極を配置しても、中間部材の厚みが一定とされているので、触媒担体において電極に挟まれた部分への局所的な圧縮荷重を抑制できる。
【0018】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明において、一対の前記電極の厚みが、前記保持部材の軸方向の中央から端部に向かって漸減されている。
【0019】
このような電極の形状とすることで、触媒担体の周囲に中間部材を装着したものを筒体に対し軸方向に圧入する作業が容易になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上記構成としたので、触媒担体への局所的な圧縮荷重を抑制して触媒担体を筒体内に確実に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態の触媒コンバータ装置を排気管への取付状態において中心線を含む断面で示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の触媒コンバータ装置を構成する途中の状態を示す説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態の変形例の触媒コンバータ装置を排気管への取付状態において中心線を含む断面で示す断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態の触媒コンバータ装置を示し、(A)排気管への取付状態において中心線を含む断面で示す断面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態の変形例の触媒コンバータ装置を図4(B)と同様の断面で示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態の触媒コンバータ装置を示し、(A)排気管への取付状態において中心線を含む断面で示す断面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1には、本発明の第1実施形態の触媒コンバータ装置12が排気管10への装着状態で示されている。
【0023】
図1に示すように、触媒コンバータ装置12は、導電性及び剛性を有する材料(導電性セラミック、導電性樹脂や金属等を適用可能であるが、本実施形態では特に導電性セラミックとしている)によって形成された触媒担体14を有している。触媒担体14は、ハニカム状または波状等とした薄板を渦巻状あるは同心円状等に構成することで材料の表面積が増大されており、全体として円柱状あるいは円筒状に形成されている。触媒担体14の表面には触媒(白金、パラジウム、ロジウム等)が付着された状態で担持されている。触媒は、排気管10内を流れる排気(流れ方向を矢印F1で示す)中の有害物質を浄化する作用を有している。なお、触媒担体14の表面積を増大させる構造は、上記したハニカム状や波状に限定されるものではない。
【0024】
触媒担体14の外周面には2枚の電極16A、16Bが貼着され、さらに電極16A、16Bの中心にはそれぞれ端子18A、18Bが接続されている。端子18A、18Bから電極16A、16Bを通じて触媒担体14に通電することで、触媒担体14を加熱できる。そして、この加熱により、表面に担持された触媒を昇温させることで、触媒の浄化作用を高く発揮させることができるようになっている。
【0025】
特に本実施形態では、電極16A、16Bを、触媒担体14の中心線CLを挟んで対向する位置(図1では上下)に配置している。また、電極16A、16Bは、触媒担体14の軸方向(長手方向)の中央に配置されている。
【0026】
触媒担体14の外周には、絶縁性材料によって円筒状に形成されたマット層26が配置されている。さらに、マット層26の外周には、ステンレス等の金属で円筒状に成形されたケース筒体28が配置されている。換言すれば、円筒状のケース筒体28の内部に、触媒担体14が収容されると共に、ケース筒体28と触媒担体14との間に配置されたマット層26により、触媒担体14がケース筒体28の内部に、同心(中心線CL)で保持されている。そして、絶縁性を有するマット層26が触媒担体14とケース筒体28との間に配置されているので、触媒担体14からケース筒体28への電気の流れが阻止されている。第1実施形態では、マット層26が本発明の保持部材24となっている。
【0027】
マット層26と電極16A、16Bによって、本発明に係る中間部材22が構成されている。以下において、マット層26、電極16A、16B及び中間部材22の厚みとは、保持部材24の軸方向、又は軸方向と直交する方向である周方向で見たときの、それぞれの部材の厚みをいうものとする。
【0028】
また、マット層26は所定の弾性も有している。金属製のケース筒体28と導電性セラミック製の触媒担体14とでは線膨張係数が異なっているため、排気管10内を通過する排気の熱や触媒担体14への通電加熱による膨張量が異なることとなるが、この膨張量の違いが、マット層26の弾性により吸収される。さらに、排気管10を通じた振動の入力に対しても、マット層26が緩衝作用を発揮しつつケース筒体28と触媒担体14との位置ズレを吸収する。なお、マット層26を構成する材料としては、インタラムマットやムライト等も適用可能である。
【0029】
図1から分かるように、本実施形態では、触媒担体14とマット層26とは軸方向で同じ長さに形成されており、触媒担体14の上流側端面14Aとマット層26の上流側端面26Aとは面一になっている。同様に、触媒担体14の下流側端面14Bとマット層26の下流側端面26Bとは面一になっている。
【0030】
なお、マット層26には、端子18A、18Bの周囲において挿通孔26Hが形成されており、端子18A、18Bがマット層26に接触しないようになっている。なお、挿通孔26Hに代えて、マット層26を軸方向で2分割し、2分割されたマット層26の間に、端子18A、18Bを挿通させることが可能な隙間を構成してもよい。
【0031】
電極16A、16Bのそれぞれは、軸方向で見て、中央が最も厚く、両端(電極前端部16F及び電極後端部16R)に向かうにしたがって厚みが漸減する形状とされ、電極前端部16Fが触媒担体14の上流側端面14Aと同位置(あるいはその近傍位置)まで、電極後端部16Rが触媒担体14の下流側端面14Bと同位置(あるいはその近傍位置)まで達している。
【0032】
これに対し、マット層26は、軸方向で見て、中央が最も薄く、両端(上流側端面26A及び下流側端面26B)に向かうにしたがって厚さが漸増する形状とされている。そして、中間部材22としての厚み、すなわち、電極16A、16Bとマット層26とを合わせた厚みは、軸方向で一定とされている。換言すれば、中間部材22の厚みは軸方向で一定とされているが、軸方向端部に向かうにしたがって、電極16A、16Bは薄くされると共に、その分だけ、マット層26は厚くされている。
【0033】
次に、本実施形態の触媒コンバータ装置12の作用を説明する。
【0034】
図1に示すように、触媒コンバータ装置12は、そのケース筒体28が排気管10の途中に、排気管10と同心になるように取り付けられ、触媒担体14の内部を排気が通過する。このとき、触媒担体14に担持された触媒により、排気中の有害物質が浄化される。本実施形態の触媒コンバータ装置12では、端子18A、18B及び電極16A、16Bによって触媒担体14に通電し、触媒担体14を加熱することで、触媒担体14に担持された触媒を昇温させ、浄化作用をより高く発揮させることができる。たとえば、エンジンの始動直後等、排気の温度が低い場合には、あらかじめ触媒担体14への通電加熱を行うことで、エンジン始動初期における触媒の浄化性能を確保できる。
【0035】
本実施形態の触媒コンバータ装置12では、触媒担体14とケース筒体28との間に配置される中間部材22の厚みが、軸方向の断面で見て一定とされている。したがって、触媒担体14がケース筒体28内に保持された状態で、触媒担体14に作用する圧縮力が、軸方向で均一化される。ここで比較例として、電極は本実施形態と同一形状とされているが、マット層26が軸方向で一定の厚みとされている構造のものを考えると、比較例の構造では、中間部材の厚みは、電極が存在している部位では、マット層のみの部位と比較して、電極の分だけ凸形状となるために厚くなる。したがって、比較例では、電極が存在している部位において中間部材から触媒担体に作用する圧縮力が大きくなる。そして、この圧縮力による触媒担体の変形や破損を防止する必要が生じると、触媒担体の形状や構造の自由度が低くなる。
【0036】
これに対し、本実施形態の触媒コンバータ装置12の構造では、上記したように、中間部材22において電極16A、16Bに起因する凸形状が無くなっており、中間部材22から触媒担体14に作用する保持荷重(圧縮力)が軸方向で均一化される(完全に均一である必要はない)。このため、マット層26の破損及び触媒担体14の変形や破損を抑制できると共に、触媒担体14の形状や構造の自由度が高くなる。
【0037】
第1実施形態の触媒コンバータ装置12を製造するときは、たとえば図2に示すように、触媒担体14の外周面に中間部材22を装着したもの(端子18A、18Bは未接続)を構成し、これを、ケース筒体28内に軸方向(図2の矢印P1方向)に圧入する工程を行うことがある。電極16A、16Bの軸方向の厚みは中央から端部へと漸減されており、この工程において、圧入方向の先端側が薄くなっている(弾性を有するマット層26が相対的に厚くなっている)ことになる。したがって、圧入作業の作業性が向上している。なお、圧入後に、ケース筒体28の貫通孔を通じて端子18A、18Bをケース筒体28から電極16A、16Bにそれぞれ接続する。
【0038】
図3には、本発明の第1実施形態の変形例の触媒コンバータ装置32が示されている。この触媒コンバータ装置32では、電極16A、16Bが軸方向に一定の厚みで、触媒担体14よりも短く形成されている。そして、中間部材22を構成するマット層26は、電極16A、16Bに対応する部分(電極16A、16Bがない部分)電極16A、16Bの厚み分だけ薄くなり、これ以外の部分が厚くなるように形成されている。これ以外は、第1実施形態の触媒コンバータ装置12と同一の構成とされている。
【0039】
したがって、第1実施形態の変形例の触媒コンバータ装置32においても、電極16A、16Bに起因する凸形状が無くなっており、中間部材22から触媒担体14に作用する保持荷重(圧縮力)が軸方向で均一化される。このため、マット層26の破損及び触媒担体14の変形や破損を抑制できると共に、触媒担体14の形状や構造の自由度が高くなる。
【0040】
図4には、本発明の第2実施形態の触媒コンバータ装置42が示されている。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同一の構成要素、部材等については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0041】
第2実施形態では、本発明に係る保持部材44が、径方向内側の絶縁層48と、径方向外側のマット層46とを有する2重構造とされている。絶縁層48は、電気絶縁性の他に、耐熱性及び可撓性を有する材料(たとえばタルク)により円筒状に形成されており、周方向で触媒担体14の周囲を完全に覆っている。
【0042】
マット層46は、第1実施形態に係るマット層26と同様の材料で円筒状に形成されており、所定の弾性及び絶縁性を有している。保持部材44全体としては、マット層46に加えて絶縁層48を有することで、絶縁性がより高められている。
【0043】
図4(A)に示すように、第2実施形態に係る電極50A、50Bは、軸方向では一定の厚みを有している。そして、第2実施形態において、電極50A、50Bと保持部材44とで構成される中間部材52も、軸方向に一定の厚みを有している。
【0044】
図4(B)から分かるように、電極50A、50Bは、周方向に沿って見ると、中央部分すなわち端子18A、18Bと接続された部分では厚く、周方向端部に向かうにしたがって厚みが漸減する形状とされている。そして、中間部材52の厚みが周方向で一定になるように、電極50A、50Bの上記形状に合わせて、保持部材44の厚みが決められている。特に図4(B)に示した例では、絶縁層48の厚みを周方向で変化させることで、絶縁層48(中間部材52)の外周が真円となるようにしている。
【0045】
このような構成とされた第2実施形態の触媒コンバータ装置42においても、第1実施形態の触媒コンバータ装置12と同様に、端子18A、18B及び電極50A、50Bによって触媒担体14に通電し、触媒担体14を加熱することで、触媒担体14に担持された触媒を昇温させ、浄化作用をより高く発揮させることができる。
【0046】
また、第2実施形態では、中間部材52の厚みが、軸方向及び周方向の双方向で一定とされており、電極50A、50Bに起因する凸形状が存在していない。保持部材44(マット層46)から触媒担体14に作用する保持荷重(圧縮力)が軸方向及び周方向で均一化されるので、保持部材44(特にマット層46)破損及び触媒担体14の変形や破損を抑制できると共に、触媒担体14の形状や構造の自由度が高くなる。
【0047】
なお、排気中には水分が含まれているため、触媒コンバータ装置42よりも上流側では、排気管10内の水分が凝縮し水滴となる。そして、排気の流れに沿って下流側へと飛散し、マット層46が吸水することがある。このような場合でも、マット層46と触媒担体14との間にたとえばタルク製の絶縁層48を配置すると、タルクは吸水しないので、吸水したマット層46を介して触媒担体14とケース筒体28が短絡されることを抑制できる。すなわち、中間部材52全体として、高く絶縁性を維持でき、触媒担体14への給電効率の低下も抑制できる。
【0048】
しかも、保持部材44を、マット層46と絶縁層48の2層構造とすることで、保持部材44に求められる物性をそれぞれの部材で満たすようにすることができる。たとえば、マット層46としては弾性に優れたものと、絶縁層48としては絶縁性に優れたものなど、それぞれの機能に適した材料や形状を選択可能となる。
【0049】
図5には、本発明の第2実施形態の変形例の触媒コンバータ装置62が示されている。この触媒コンバータ装置62では、電極50A、50Bが周方向で一定の厚みに形成されている。そして、中間部材52を構成するマット層46は、電極50A、50Bに対応する部分が電極50A、50Bの厚み分だけ薄くなり、これ以外の部分が厚くなるように形成されている。これ以外は、第2実施形態の触媒コンバータ装置42と同一の構成とされている。
【0050】
したがって、第2実施形態の変形例の触媒コンバータ装置62においても、電極50A、50Bに起因する凸形状が無くなっており、中間部材52(第2実施形態として示す図5(A)参照)から触媒担体14に作用する保持荷重(圧縮力)が周方向で均一化される。このため、マット層46の破損及び触媒担体14の変形や破損を抑制できると共に、触媒担体14の形状や構造の自由度が高くなる。
【0051】
なお、第2実施形態及びその変形例において、中間部材52の外周を真円とするためには、上記したように、絶縁層48の厚みを周方向で変化させることに代えて(あるいは併用して)、マット層46の厚みを周方向で変化させてもよい。
【0052】
図6には、本発明の第3実施形態の触媒コンバータ装置72が示されている。第3実施形態では、第2実施形態と比較して、マット層76の構造のみが相違している。以下では、第2実施形態と異なる部分のみ説明し、第2実施形態と同一の部分については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0053】
第3実施形態のマット層76は、図6(B)に示すように、アルミナマット等により長尺板状に形成されたマット層構成部材78を用いており、このマット層構成部材78の長手方向に一端に形成された凸部76Pを、他端に形成された凹部76Qにはめ込み、全体として円筒状に形成されることでマット層76とされる。
【0054】
マット層76には、このように円筒状とされて触媒担体14の外周に装着された状態における電極50A、50Bに対応する位置に、多数の充填密度調整孔76Hが形成されている。この充填密度調整孔76Hは、電極50A、50Bにあたる位置に存在するため、中間部材52を全体で考えたときの充填密度が周方向で均一化される。
【0055】
このように、第3実施形態の触媒コンバータ装置72においても、第2実施形態の触媒コンバータ装置42と同様の作用効果を奏する。
【0056】
上記各実施形態では、2枚の電極を、触媒担体14の中心線CLを挟んで対向する位置(各図において上下)に配置しており、触媒担体14への通電の効率化、均一化を図ることが可能となっている。そして、このように電極を触媒担体14に対し挟み込むように対向配置しても、中間部材としては厚みが一定なので、触媒担体14に対し電極で挟まれた部分への局所的な荷重を抑制できる。もちろん、電極がこのように対向配置されていない構造でも、本発明を適用可能である。
【0057】
また、上記各実施形態では、中間部材の厚みを、保持部材の軸方向及び中方向の一方向で一定とされているものを挙げているが、中間部材の厚みは、これら双方向で一定とされていてもよい。これらの構造において、中間部材としては、第1実施形態及びその変形例のように、電極とマット層で構成されていてもよいし、第2実施形態及びその変形例(第3実施形態も含む)のように、電極と絶縁層及びマット層で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 排気管
12 触媒コンバータ装置
14 触媒担体
16A、16B 電極
22 中間部材
24 保持部材
26 マット層
28 ケース筒体
32 触媒コンバータ装置
42 触媒コンバータ装置
44 保持部材
46 マット層
48 絶縁層
50A、50B 電極
52 中間部材
62 触媒コンバータ装置
72 触媒コンバータ装置
76 マット層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出される排気を浄化するための触媒を担持し、通電によって加熱される触媒担体と、
筒状に形成されて内部に前記触媒担体が収容されると共に排気管に取り付けられる筒体と、
前記筒体と前記触媒担体との間に配置され弾性により触媒担体を筒体内に保持する筒状の保持部材と、前記触媒担体と前記保持部材との間で触媒担体に接触配置され触媒担体に通電するための一対の電極と、を含む中間部材と、
を備え、
前記触媒担体の軸方向及び周方向の少なくとも一方向で見て、前記中間部材の厚みが一定とされている触媒コンバータ装置。
【請求項2】
前記保持部材が、電気絶縁性を有している請求項1に記載の触媒コンバータ装置。
【請求項3】
前記保持部材が、
前記筒体の内周面に接触される弾性部材と、
前記弾性部材の前記径方向の内側に配置され電気絶縁性を有する絶縁部材と、
を備えている請求項1に記載の触媒コンバータ装置。
【請求項4】
一対の前記電極が、前記触媒担体を挟んで向き合う位置で前記触媒担体の外周面に接触配置されている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の触媒コンバータ装置。
【請求項5】
一対の前記電極の厚みが、前記保持部材の軸方向の中央から端部に向かって漸減されている請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の触媒コンバータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−41875(P2012−41875A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184180(P2010−184180)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】