触媒燃焼装置
【課題】 ガスと空気とを十分に均一に混合させて触媒燃焼させることができる触媒燃焼装置を提供する。
【解決手段】 ガス混合加熱部13内に螺旋状をした旋回羽根22を設け、旋回羽根22の内側に加熱室23を形成する。ガスバーナ12に供給されたガスの一部を燃焼口16で燃焼させて加熱室23内の混合ガスを加熱する。一方、ガスバーナ12に供給されたガスの一部をガス吐出口17から加熱室23内に吐出させる。ガス混合加熱部13の空気供給口21から吹き込まれた空気は、旋回羽根22を通過して加熱室23内に供給される。旋回羽根22を通過する空気は、旋回羽根22によって渦巻き状に旋回させられ、加熱室23内のガスと空気を旋回させることによって攪拌し均一に混合させ、触媒層14で混合ガスを完全燃焼させる。
【解決手段】 ガス混合加熱部13内に螺旋状をした旋回羽根22を設け、旋回羽根22の内側に加熱室23を形成する。ガスバーナ12に供給されたガスの一部を燃焼口16で燃焼させて加熱室23内の混合ガスを加熱する。一方、ガスバーナ12に供給されたガスの一部をガス吐出口17から加熱室23内に吐出させる。ガス混合加熱部13の空気供給口21から吹き込まれた空気は、旋回羽根22を通過して加熱室23内に供給される。旋回羽根22を通過する空気は、旋回羽根22によって渦巻き状に旋回させられ、加熱室23内のガスと空気を旋回させることによって攪拌し均一に混合させ、触媒層14で混合ガスを完全燃焼させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒を用いてガスを完全燃焼させるようにした触媒燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスが不完全燃焼すると窒素酸化物(NOx)が発生する。窒素酸化物は環境を汚染するため、ガスを燃焼させる際に発生する窒素酸化物を低減させるために触媒燃焼装置が用いられている。
【0003】
従来の触媒燃焼装置としては、例えば実開昭61−4110号公報(特許文献1)に開示されたものがある。この触媒燃焼装置では、パイロットバーナで予熱された400〜500℃のガスを一方端部から燃焼装置本体内に供給している。一方、燃焼装置本体の外周胴面には複数本の燃料ノズルが接続されており、各燃料ノズルは燃焼装置本体の中心を向く方向から傾けて螺旋状に配設されている。また、燃焼装置本体の他方端部には、触媒層を設けている。
【0004】
しかして、燃焼装置本体の一方端部から燃焼装置本体内にガスを供給すると共に燃料ノズルから燃焼装置本体内に2次燃料を供給し、燃焼装置本体内でガスと2次燃料とを混合させている。燃料ノズルは螺旋状に配置されているので、このとき燃料ノズルから吐出される2次燃料の流れが燃焼装置本体内で渦巻き状となり、ガスと2次燃料とが均一に攪拌される。そして、均一に攪拌されたガスと2次燃料を触媒層で完全に燃焼させるようにしている。
【0005】
しかしながら、このような構造の触媒燃焼装置では、燃焼ノズルから供給される2次燃料によって生じる渦巻き状の流れは燃焼装置本体内部の周囲(内壁面の近く)だけであり、燃焼装置本体の中心部においては十分にガスと2次燃料を攪拌することができず、ガスと2次燃料の混合ガスのガス濃度にむらが生じていた。
【0006】
そして、ガスと2次燃料との混合が不均一でガス濃度にむらがあると、ガス濃度の高い箇所では触媒層で反応しきれず、ガスを完全燃焼させることができなくなる恐れがあった。
【0007】
さらに、混合ガスのガス濃度に比例して触媒層との反応熱による温度分布が触媒層に生じる。触媒層は一定温度以上になると焼結(シンタリング)を生じ、触媒としての能力が低下し、触媒としての能力がなくなる。従って、かかる温度分布によって触媒に温度むらが発生すると、触媒の能力が部分的に損なわれる。そのため、触媒層は常にある一定温度以下に保たれるように管理しながら使用する必要があるが、温度分布が生じると、そのような温度管理が困難になる。
【0008】
【特許文献1】実開昭61−4110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ガスと空気とを十分に均一に混合させて触媒燃焼させることができる触媒燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の触媒燃焼装置は、ガスと空気とを混合させるためのガス混合部と、ガス混合部にガスを供給するガス吐出口と、ガス混合部に空気を供給するための空気供給口と、ガス混合部に供給されたガスと空気の混合ガスを加熱するための燃焼部と、ガス混合部で混合及び加熱された混合ガスを燃焼させるための触媒層とを備えた触媒燃焼装置において、前記ガス混合部に供給された空気を旋回させて前記混合部内の空気とガスを混合させるための旋回羽根を前記ガス混合部内に設けたことを特徴としている。なお、ガス吐出口から供給されるガスには、空気が含まれていても差し支えない。
【0011】
本発明の請求項1の触媒燃焼装置によれば、旋回羽根を前記ガス混合部内に設けているので、ガス混合部に供給されて旋回羽根を通過する空気を旋回羽根によって旋回させて渦流を発生させることができ、この渦流によってガス混合室内のガスと空気を強制的に攪拌することができる。しかも、この渦流はガス混合室の内部に設けられた旋回羽根によって生成されるので、ガス混合室の中心部側でも渦流を発生させることができ、ガスと空気を効率よく攪拌させることができる。
【0012】
よって、請求項1の触媒燃焼装置によると、ガスと空気を均一に混合させることができると共に混合ガスを均一に加熱することができ、触媒層における混合ガスの温度やガス濃度を均一に分布させることができ、触媒層によってガスを完全燃焼させることができる。また、触媒層が部分的に高温になって劣化するのを避けることができ、触媒層の寿命を長くすることができる。
【0013】
また、旋回羽根は静止しているので、旋回羽根を回転させるための動力も必要なく、触媒燃焼装置の構造が複雑になることもない。さらに、混合ガス加熱室には、空気とガスが別々に供給されるので、混合ガス加熱室以外では逆火となってガスが不測に燃焼することがなく、触媒燃焼装置の安全性も高い。
【0014】
請求項2に記載の実施態様は、請求項1に記載の触媒燃焼装置において、前記ガス混合部の底面に、前記燃焼部とは別に前記ガス吐出口を設けたことを特徴としている。かかる実施態様によれば、ガス吐出口から供給されるガスを燃焼部により予熱しながらガス混合部へ供給することができ、より均一な温度分布となるようにガスと空気とを混合させることができる。また、燃焼部とガス吐出口をガス混合部の底面にまとめることができるので、触媒燃焼装置をコンパクト化できる。
【0015】
請求項3に記載の実施態様は、請求項1又は2に記載の触媒燃焼装置において、前記燃焼部が、ガス混合部に供給されるガスの一部を燃焼させるものであることを特徴としている。かかる実施態様によれば、触媒層で燃焼させるためのガスの一部を燃焼部へ導いて燃焼部で燃焼させることができるので、燃焼部へ別途ガスを供給する手段が必要なく、触媒燃焼装置の構造を簡単にすることができる。
【0016】
請求項4に記載の実施態様にあっては、請求項1、2又は3に記載の触媒燃焼装置において、前記旋回羽根を筒状に配置し、前記空気供給口を、空気が旋回羽根の中心軸に垂直な方向から旋回羽根に囲まれた空間へ流れ込むように配置し、前記ガス吐出口を、ガスが旋回羽根の中心軸に平行な方向から旋回羽根に囲まれた空間へ流れ込むように配置したことを特徴としている。かかる実施態様によれば、ガス混合部において旋回羽根で旋回させられている混合ガスの旋回方向に垂直な方向(あるいは、旋回羽根の中心軸に平行な方向)からガスを供給することができ、ガスと空気とをより均一に混合できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に従って詳細に説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものでなく、適宜設計変更可能であることは言うまでもない。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明の実施例1による触媒燃焼装置11を示す概略断面図、図2は図1のX−X線断面図である。この触媒燃焼装置11は、下方より順にガスバーナ12、ガス混合加熱部13(ガス混合部)および触媒層14によって構成されている。
【0019】
ガスバーナ12は環状をしたガス室15を備えており、ガス室15の内周部においてガスバーナ12の上面板19には環状に燃焼口16が形成され、さらに、燃焼口16の外側において上面板19には複数個のガス吐出口17が開口されている。また、ガスバーナ12には、ガス室15内にガスを供給するためのガス供給管18が接続されている。なお、図示例では、ガス混合加熱部13とガスバーナ12とは一体に形成されているが、これらは別々に構成されていてもよい。
【0020】
ガス混合加熱部13は略円筒状に形成されており、その下面中央部は底板(ガスバーナ12の上面板19)によって塞がれ、上面中央部には混合ガス吹出口20が開口している。また、ガス混合加熱部13の周胴面(外周面)には、複数本のパイプ状をした空気供給口21が設けられている。
【0021】
ガス混合加熱部13内には、前記底板と混合ガス吹出口20の間の空間を囲むようにして旋回羽根22が円筒状に設けられている。ガス混合加熱部13の内部は旋回羽根22の配置された円筒状の領域によって仕切られており、空気供給口21は旋回羽根22よりも外側に位置しており、触媒層14は混合ガス吹出口20を通してガス混合加熱部13内の旋回羽根22よりも内側の空間(以下、ここを加熱室23という。)に面しており、ガス吐出口17はガス混合加熱部13内の加熱室23に面している。ガスバーナ12の燃焼口16は、下方から加熱室23内に突出するように配置されている。
【0022】
図2に示すように、旋回羽根22は上下に立てた複数枚の羽根板26によって構成されており、各羽根板26は螺旋状に傾いていて各羽根板26間の隙間を外側から内側へと空気が通過できるようになっている。また、前記空気供給口21は、その長さ方向がガス混合加熱部13の外周面をなす円形の接線方向を向くように配設されており、空気供給口21から空気を送り込んだとき、送り込まれた空気がガス混合加熱部13内を円周方向に沿って渦巻き状に流れるようになっている。
【0023】
触媒層14としては、たとえば白金触媒を用いることができるが、これ以外の触媒を用いてもよい。たとえば金属触媒に限らず、セラミックの触媒であってもよい。
【0024】
次に、上記触媒燃焼装置11においてガスが触媒で完全燃焼させられるまでの働きを説明する。ガスバーナ12のガス室15内には、ガス又は低混合ガスが送り込まれる。ここでいう低混合ガスとは、ガスと空気との混合ガスであるが、空気量が理論空気量m=1以下の混合ガスである。すなわち、空気の混合比が、ガスと空気の最適な燃焼比率における空気の混合比よりも少なくなっている。ガス室15に送り込まれたガス又は低混合ガスは、その一部が燃焼口16から加熱室23内に吐出され、また一部がガス吐出口17から加熱室23内の旋回羽根22近傍に吐出される。
【0025】
一方、空気供給口21からガス混合加熱部13内に空気が吹き込まれると、図2に示すように、ガス混合加熱部13内に円周方向に沿って渦巻き状に吹き込まれる。よって、ガス混合加熱部13内に吹き込まれた空気は、ガス混合加熱部13の周胴部内面に沿って流れるので、ガス混合加熱部13の周胴面の温度上昇が抑えられる。そして、ガス混合加熱部13に供給され空気は、旋回羽根22の羽根板26の間を通過することによってさらに渦巻き状に旋回しながら加熱室23内に供給される。
【0026】
従って、加熱室23内にはガス吐出口17からガス又は低混合ガスが供給されると共に、空気供給口21から空気が供給され、加熱室23内でガス又は低混合ガスと空気とが混合される。ここで、ガス混合加熱部13に供給される空気量は、加熱室23内における混合ガスの空気量が理論空気量の3倍程度となるようにしている。その理由は触媒燃焼では理論空気量の3倍程度の空気が必要とされるためである。従って、加熱室23内における混合ガスは希薄混合気となっており、触媒層14よりも手前の加熱室23内では、混合ガスは加熱されても燃焼しない。
【0027】
加熱室23内に送り込まれたガス又は低混合ガスと空気とは、旋回羽根22によって加熱室23内に渦巻き状に送り込まれた空気の流れによって強制的に旋回させられ、渦巻き状に旋回させられて均一に攪拌される。よって、この触媒燃焼装置11によれば、加熱室23内のガス又は低混合ガスと空気とを十分均一に攪拌させることができる。さらに、この実施例1では、加熱室23内で旋回している混合ガスの旋回方向に対して垂直に(つまり、旋回羽根22の中心軸と平行に)ガス吐出口17からガス又は低混合ガスを吐出させているので、非常に効率よくガス又は低混合ガスと空気とを混合させることができる。
【0028】
また、ガス吐出口17から低混合ガスを吐出させる場合には、既に混合ガス(m=1以下)となっているので、まったく空気が混合されていないガスをガス吐出口17から吐出させる場合に比べて、低混合ガスは空気と非常に混合し易い状態にある。
【0029】
燃焼口16から加熱室23内に吐出されているガス又は低混合ガスは着火されており、燃焼口16で燃焼している。よって、燃焼口16で燃焼しているガスの燃焼熱によって加熱室23内の混合ガスが加熱される。燃焼口16でガス又は低混合ガスを燃焼させているのは、触媒反応させてガスを完全燃焼させるためには混合ガスをある温度以上に加熱する必要があるからである。ただし、前記のように加熱室23内のガスは加熱によっては燃焼しない。
【0030】
加熱室23内の混合ガスは、前記のように加熱室23内で旋回しているので、加熱室23内の混合ガスはむらなく均一に加熱される。
【0031】
こうして十分均一に混合されると共に加熱された混合ガスは触媒層14へ送られ、触媒層14において触媒燃焼させられる。よって、ガスは触媒層14で完全燃焼させられ、窒素酸化物等の発生を抑制される。
【0032】
また、この触媒燃焼装置11によれば、供給されるガスの一部を燃焼させ、その熱を利用して混合ガスを加熱しており、さらに旋回羽根22で混合ガスを旋回させることによって混合ガスをむらなく均一な濃度に混合させると共に均一に加熱することができる。この結果、触媒層14においては、均一な濃度で均一な温度の混合ガスを燃焼させることができ、触媒層14の各領域がほぼ一定の温度に保たれる。そのため、触媒層14が焼結等によって劣化するおそれが少なく、触媒層14の寿命も長くなる。
【0033】
また、このような触媒燃焼装置11においては、あらかじめガスと空気とを混合したものを空気供給口21から加熱室23に噴出させるようにしても同様な効果を得ることができるが、その場合には逆火によって空気供給口21側へ炎が広がるおそれがある。これに対し、上記実施例1のように空気とは別にガス吐出口17からガスを供給するように構成していれば、最悪の場合でもガス吐出口17に火炎が形成されるだけで、それ以上の逆火は生じないため、安全に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は本発明の実施例1による触媒燃焼装置の構造を示す概略断面図である。
【図2】図2は図1のX−X線断面図である。
【符号の説明】
【0035】
11 触媒燃焼装置
12 ガスバーナ
13 ガス混合加熱部
14 触媒層
15 ガス室
16 燃焼口
17 ガス吐出口
18 ガス供給管
19 上面板
20 混合ガス吹出口
21 空気供給口
22 旋回羽根
23 加熱室
26 羽根板
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒を用いてガスを完全燃焼させるようにした触媒燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスが不完全燃焼すると窒素酸化物(NOx)が発生する。窒素酸化物は環境を汚染するため、ガスを燃焼させる際に発生する窒素酸化物を低減させるために触媒燃焼装置が用いられている。
【0003】
従来の触媒燃焼装置としては、例えば実開昭61−4110号公報(特許文献1)に開示されたものがある。この触媒燃焼装置では、パイロットバーナで予熱された400〜500℃のガスを一方端部から燃焼装置本体内に供給している。一方、燃焼装置本体の外周胴面には複数本の燃料ノズルが接続されており、各燃料ノズルは燃焼装置本体の中心を向く方向から傾けて螺旋状に配設されている。また、燃焼装置本体の他方端部には、触媒層を設けている。
【0004】
しかして、燃焼装置本体の一方端部から燃焼装置本体内にガスを供給すると共に燃料ノズルから燃焼装置本体内に2次燃料を供給し、燃焼装置本体内でガスと2次燃料とを混合させている。燃料ノズルは螺旋状に配置されているので、このとき燃料ノズルから吐出される2次燃料の流れが燃焼装置本体内で渦巻き状となり、ガスと2次燃料とが均一に攪拌される。そして、均一に攪拌されたガスと2次燃料を触媒層で完全に燃焼させるようにしている。
【0005】
しかしながら、このような構造の触媒燃焼装置では、燃焼ノズルから供給される2次燃料によって生じる渦巻き状の流れは燃焼装置本体内部の周囲(内壁面の近く)だけであり、燃焼装置本体の中心部においては十分にガスと2次燃料を攪拌することができず、ガスと2次燃料の混合ガスのガス濃度にむらが生じていた。
【0006】
そして、ガスと2次燃料との混合が不均一でガス濃度にむらがあると、ガス濃度の高い箇所では触媒層で反応しきれず、ガスを完全燃焼させることができなくなる恐れがあった。
【0007】
さらに、混合ガスのガス濃度に比例して触媒層との反応熱による温度分布が触媒層に生じる。触媒層は一定温度以上になると焼結(シンタリング)を生じ、触媒としての能力が低下し、触媒としての能力がなくなる。従って、かかる温度分布によって触媒に温度むらが発生すると、触媒の能力が部分的に損なわれる。そのため、触媒層は常にある一定温度以下に保たれるように管理しながら使用する必要があるが、温度分布が生じると、そのような温度管理が困難になる。
【0008】
【特許文献1】実開昭61−4110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ガスと空気とを十分に均一に混合させて触媒燃焼させることができる触媒燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に記載の触媒燃焼装置は、ガスと空気とを混合させるためのガス混合部と、ガス混合部にガスを供給するガス吐出口と、ガス混合部に空気を供給するための空気供給口と、ガス混合部に供給されたガスと空気の混合ガスを加熱するための燃焼部と、ガス混合部で混合及び加熱された混合ガスを燃焼させるための触媒層とを備えた触媒燃焼装置において、前記ガス混合部に供給された空気を旋回させて前記混合部内の空気とガスを混合させるための旋回羽根を前記ガス混合部内に設けたことを特徴としている。なお、ガス吐出口から供給されるガスには、空気が含まれていても差し支えない。
【0011】
本発明の請求項1の触媒燃焼装置によれば、旋回羽根を前記ガス混合部内に設けているので、ガス混合部に供給されて旋回羽根を通過する空気を旋回羽根によって旋回させて渦流を発生させることができ、この渦流によってガス混合室内のガスと空気を強制的に攪拌することができる。しかも、この渦流はガス混合室の内部に設けられた旋回羽根によって生成されるので、ガス混合室の中心部側でも渦流を発生させることができ、ガスと空気を効率よく攪拌させることができる。
【0012】
よって、請求項1の触媒燃焼装置によると、ガスと空気を均一に混合させることができると共に混合ガスを均一に加熱することができ、触媒層における混合ガスの温度やガス濃度を均一に分布させることができ、触媒層によってガスを完全燃焼させることができる。また、触媒層が部分的に高温になって劣化するのを避けることができ、触媒層の寿命を長くすることができる。
【0013】
また、旋回羽根は静止しているので、旋回羽根を回転させるための動力も必要なく、触媒燃焼装置の構造が複雑になることもない。さらに、混合ガス加熱室には、空気とガスが別々に供給されるので、混合ガス加熱室以外では逆火となってガスが不測に燃焼することがなく、触媒燃焼装置の安全性も高い。
【0014】
請求項2に記載の実施態様は、請求項1に記載の触媒燃焼装置において、前記ガス混合部の底面に、前記燃焼部とは別に前記ガス吐出口を設けたことを特徴としている。かかる実施態様によれば、ガス吐出口から供給されるガスを燃焼部により予熱しながらガス混合部へ供給することができ、より均一な温度分布となるようにガスと空気とを混合させることができる。また、燃焼部とガス吐出口をガス混合部の底面にまとめることができるので、触媒燃焼装置をコンパクト化できる。
【0015】
請求項3に記載の実施態様は、請求項1又は2に記載の触媒燃焼装置において、前記燃焼部が、ガス混合部に供給されるガスの一部を燃焼させるものであることを特徴としている。かかる実施態様によれば、触媒層で燃焼させるためのガスの一部を燃焼部へ導いて燃焼部で燃焼させることができるので、燃焼部へ別途ガスを供給する手段が必要なく、触媒燃焼装置の構造を簡単にすることができる。
【0016】
請求項4に記載の実施態様にあっては、請求項1、2又は3に記載の触媒燃焼装置において、前記旋回羽根を筒状に配置し、前記空気供給口を、空気が旋回羽根の中心軸に垂直な方向から旋回羽根に囲まれた空間へ流れ込むように配置し、前記ガス吐出口を、ガスが旋回羽根の中心軸に平行な方向から旋回羽根に囲まれた空間へ流れ込むように配置したことを特徴としている。かかる実施態様によれば、ガス混合部において旋回羽根で旋回させられている混合ガスの旋回方向に垂直な方向(あるいは、旋回羽根の中心軸に平行な方向)からガスを供給することができ、ガスと空気とをより均一に混合できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に従って詳細に説明する。ただし、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものでなく、適宜設計変更可能であることは言うまでもない。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明の実施例1による触媒燃焼装置11を示す概略断面図、図2は図1のX−X線断面図である。この触媒燃焼装置11は、下方より順にガスバーナ12、ガス混合加熱部13(ガス混合部)および触媒層14によって構成されている。
【0019】
ガスバーナ12は環状をしたガス室15を備えており、ガス室15の内周部においてガスバーナ12の上面板19には環状に燃焼口16が形成され、さらに、燃焼口16の外側において上面板19には複数個のガス吐出口17が開口されている。また、ガスバーナ12には、ガス室15内にガスを供給するためのガス供給管18が接続されている。なお、図示例では、ガス混合加熱部13とガスバーナ12とは一体に形成されているが、これらは別々に構成されていてもよい。
【0020】
ガス混合加熱部13は略円筒状に形成されており、その下面中央部は底板(ガスバーナ12の上面板19)によって塞がれ、上面中央部には混合ガス吹出口20が開口している。また、ガス混合加熱部13の周胴面(外周面)には、複数本のパイプ状をした空気供給口21が設けられている。
【0021】
ガス混合加熱部13内には、前記底板と混合ガス吹出口20の間の空間を囲むようにして旋回羽根22が円筒状に設けられている。ガス混合加熱部13の内部は旋回羽根22の配置された円筒状の領域によって仕切られており、空気供給口21は旋回羽根22よりも外側に位置しており、触媒層14は混合ガス吹出口20を通してガス混合加熱部13内の旋回羽根22よりも内側の空間(以下、ここを加熱室23という。)に面しており、ガス吐出口17はガス混合加熱部13内の加熱室23に面している。ガスバーナ12の燃焼口16は、下方から加熱室23内に突出するように配置されている。
【0022】
図2に示すように、旋回羽根22は上下に立てた複数枚の羽根板26によって構成されており、各羽根板26は螺旋状に傾いていて各羽根板26間の隙間を外側から内側へと空気が通過できるようになっている。また、前記空気供給口21は、その長さ方向がガス混合加熱部13の外周面をなす円形の接線方向を向くように配設されており、空気供給口21から空気を送り込んだとき、送り込まれた空気がガス混合加熱部13内を円周方向に沿って渦巻き状に流れるようになっている。
【0023】
触媒層14としては、たとえば白金触媒を用いることができるが、これ以外の触媒を用いてもよい。たとえば金属触媒に限らず、セラミックの触媒であってもよい。
【0024】
次に、上記触媒燃焼装置11においてガスが触媒で完全燃焼させられるまでの働きを説明する。ガスバーナ12のガス室15内には、ガス又は低混合ガスが送り込まれる。ここでいう低混合ガスとは、ガスと空気との混合ガスであるが、空気量が理論空気量m=1以下の混合ガスである。すなわち、空気の混合比が、ガスと空気の最適な燃焼比率における空気の混合比よりも少なくなっている。ガス室15に送り込まれたガス又は低混合ガスは、その一部が燃焼口16から加熱室23内に吐出され、また一部がガス吐出口17から加熱室23内の旋回羽根22近傍に吐出される。
【0025】
一方、空気供給口21からガス混合加熱部13内に空気が吹き込まれると、図2に示すように、ガス混合加熱部13内に円周方向に沿って渦巻き状に吹き込まれる。よって、ガス混合加熱部13内に吹き込まれた空気は、ガス混合加熱部13の周胴部内面に沿って流れるので、ガス混合加熱部13の周胴面の温度上昇が抑えられる。そして、ガス混合加熱部13に供給され空気は、旋回羽根22の羽根板26の間を通過することによってさらに渦巻き状に旋回しながら加熱室23内に供給される。
【0026】
従って、加熱室23内にはガス吐出口17からガス又は低混合ガスが供給されると共に、空気供給口21から空気が供給され、加熱室23内でガス又は低混合ガスと空気とが混合される。ここで、ガス混合加熱部13に供給される空気量は、加熱室23内における混合ガスの空気量が理論空気量の3倍程度となるようにしている。その理由は触媒燃焼では理論空気量の3倍程度の空気が必要とされるためである。従って、加熱室23内における混合ガスは希薄混合気となっており、触媒層14よりも手前の加熱室23内では、混合ガスは加熱されても燃焼しない。
【0027】
加熱室23内に送り込まれたガス又は低混合ガスと空気とは、旋回羽根22によって加熱室23内に渦巻き状に送り込まれた空気の流れによって強制的に旋回させられ、渦巻き状に旋回させられて均一に攪拌される。よって、この触媒燃焼装置11によれば、加熱室23内のガス又は低混合ガスと空気とを十分均一に攪拌させることができる。さらに、この実施例1では、加熱室23内で旋回している混合ガスの旋回方向に対して垂直に(つまり、旋回羽根22の中心軸と平行に)ガス吐出口17からガス又は低混合ガスを吐出させているので、非常に効率よくガス又は低混合ガスと空気とを混合させることができる。
【0028】
また、ガス吐出口17から低混合ガスを吐出させる場合には、既に混合ガス(m=1以下)となっているので、まったく空気が混合されていないガスをガス吐出口17から吐出させる場合に比べて、低混合ガスは空気と非常に混合し易い状態にある。
【0029】
燃焼口16から加熱室23内に吐出されているガス又は低混合ガスは着火されており、燃焼口16で燃焼している。よって、燃焼口16で燃焼しているガスの燃焼熱によって加熱室23内の混合ガスが加熱される。燃焼口16でガス又は低混合ガスを燃焼させているのは、触媒反応させてガスを完全燃焼させるためには混合ガスをある温度以上に加熱する必要があるからである。ただし、前記のように加熱室23内のガスは加熱によっては燃焼しない。
【0030】
加熱室23内の混合ガスは、前記のように加熱室23内で旋回しているので、加熱室23内の混合ガスはむらなく均一に加熱される。
【0031】
こうして十分均一に混合されると共に加熱された混合ガスは触媒層14へ送られ、触媒層14において触媒燃焼させられる。よって、ガスは触媒層14で完全燃焼させられ、窒素酸化物等の発生を抑制される。
【0032】
また、この触媒燃焼装置11によれば、供給されるガスの一部を燃焼させ、その熱を利用して混合ガスを加熱しており、さらに旋回羽根22で混合ガスを旋回させることによって混合ガスをむらなく均一な濃度に混合させると共に均一に加熱することができる。この結果、触媒層14においては、均一な濃度で均一な温度の混合ガスを燃焼させることができ、触媒層14の各領域がほぼ一定の温度に保たれる。そのため、触媒層14が焼結等によって劣化するおそれが少なく、触媒層14の寿命も長くなる。
【0033】
また、このような触媒燃焼装置11においては、あらかじめガスと空気とを混合したものを空気供給口21から加熱室23に噴出させるようにしても同様な効果を得ることができるが、その場合には逆火によって空気供給口21側へ炎が広がるおそれがある。これに対し、上記実施例1のように空気とは別にガス吐出口17からガスを供給するように構成していれば、最悪の場合でもガス吐出口17に火炎が形成されるだけで、それ以上の逆火は生じないため、安全に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は本発明の実施例1による触媒燃焼装置の構造を示す概略断面図である。
【図2】図2は図1のX−X線断面図である。
【符号の説明】
【0035】
11 触媒燃焼装置
12 ガスバーナ
13 ガス混合加熱部
14 触媒層
15 ガス室
16 燃焼口
17 ガス吐出口
18 ガス供給管
19 上面板
20 混合ガス吹出口
21 空気供給口
22 旋回羽根
23 加熱室
26 羽根板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスと空気とを混合させるためのガス混合部と、ガス混合部にガスを供給するガス吐出口と、ガス混合部に空気を供給するための空気供給口と、ガス混合部に供給されたガスと空気の混合ガスを加熱するための燃焼部と、ガス混合部で混合及び加熱された混合ガスを燃焼させるための触媒層とを備えた触媒燃焼装置において、
前記ガス混合部に供給された空気を旋回させて前記混合部内の空気とガスを混合させるための旋回羽根を前記ガス混合部内に設けたことを特徴とする触媒燃焼装置。
【請求項2】
前記ガス混合部の底面に、前記燃焼部とは別に前記ガス吐出口を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の触媒燃焼装置。
【請求項3】
前記燃焼部は、ガス混合部に供給されるガスの一部を燃焼させるものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の触媒燃焼装置。
【請求項4】
前記旋回羽根は、筒状に配置されており、前記空気供給口は、空気が旋回羽根の中心軸に垂直な方向から旋回羽根に囲まれた空間へ流れ込むように配置され、前記ガス吐出口は、ガスが旋回羽根の中心軸に平行な方向から旋回羽根に囲まれた空間へ流れ込むように配置されていることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の触媒燃焼装置。
【請求項1】
ガスと空気とを混合させるためのガス混合部と、ガス混合部にガスを供給するガス吐出口と、ガス混合部に空気を供給するための空気供給口と、ガス混合部に供給されたガスと空気の混合ガスを加熱するための燃焼部と、ガス混合部で混合及び加熱された混合ガスを燃焼させるための触媒層とを備えた触媒燃焼装置において、
前記ガス混合部に供給された空気を旋回させて前記混合部内の空気とガスを混合させるための旋回羽根を前記ガス混合部内に設けたことを特徴とする触媒燃焼装置。
【請求項2】
前記ガス混合部の底面に、前記燃焼部とは別に前記ガス吐出口を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の触媒燃焼装置。
【請求項3】
前記燃焼部は、ガス混合部に供給されるガスの一部を燃焼させるものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の触媒燃焼装置。
【請求項4】
前記旋回羽根は、筒状に配置されており、前記空気供給口は、空気が旋回羽根の中心軸に垂直な方向から旋回羽根に囲まれた空間へ流れ込むように配置され、前記ガス吐出口は、ガスが旋回羽根の中心軸に平行な方向から旋回羽根に囲まれた空間へ流れ込むように配置されていることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の触媒燃焼装置。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2006−308120(P2006−308120A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−127586(P2005−127586)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
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