説明

触媒系の製造方法

リサイクルされた有機反応溶媒中の触媒前駆体を集め;この触媒前駆体を反応させて触媒化合物を生成させ;そして生成した触媒化合物を反応溶媒から分離することを含む、触媒組成物の製造方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年4月28日付け米国仮出願第61/125722号の恩恵を主張するものであり、その開示全体を参照用に取り入れる。
【0002】
本明細書に開示される具体化物は、一般的に、触媒系の製造方法に関する。特に、本明細書に開示される具体化物は、一般的に、第15族原子及び金属含有化合物並びにメタロセン化合物を含む触媒系を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マルチモード分子量分布で製造されたポリマーは、ユニークな製品特性を提供する。マルチモード製品、特に2モード製品は、異なるポリマーを混合するものや、一連の反応条件下でマルチモードポリマーを製造するもの、及び単一の反応器条件下で異なる触媒を反応させるもの等、様々な方法によって製造することができる。工業的に実行可能と認められている1つの方法は、マルチモード触媒系を製造するもの、即ち、1つより多くの触媒又は触媒成分を含み、従って実際に重合プロセスの際にモノマーを重合させるための活性部位を1つより多く提供する触媒系を製造するものである。反応系に供給されたときに、各触媒成分は並行して製品特性が異なるポリマー成分を製造する。正味の結果は、複数の異質の製品利点を有するポリマー組成物である。
【0004】
米国特許第6605675号明細書、米国特許第6846886号明細書、米国特許第6956089号明細書、米国特許第6689847号明細書、米国特許第6274684号明細書、米国特許第6841631号明細書、米国特許第6894128号及び同第6534604号明細書、並びに国際公開WO2002/046243号パンフレット及び国際公開WO2001/030861号パンフレットには、一般的に、マルチモード触媒系を製造するため及びこれらのマルチモード触媒系を用いて重合させるための方法及び技術が記載されている。例えば、これらの文献には、第15族原子及び金属含有化合物(ビスアミド化合物)とメタロセン化合物との組合せを含む2モード触媒組成物が論じられている。これらのマルチモード触媒系の1つの利点は、分子量スプリット(製造される高分子量ポリマー対低分子量ポリマーの比)にある。その他の背景文献には、国際公開WO2005/068076号パンフレット、国際公開WO2006/022918号パンフレット及び国際公開WO2006/086104号パンフレットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6605675号明細書
【特許文献1】米国特許第6846886号明細書
【特許文献2】米国特許第6956089号明細書
【特許文献3】米国特許第6689847号明細書
【特許文献4】米国特許第6274684号明細書
【特許文献5】米国特許第6841631号明細書
【特許文献6】米国特許第6894128号明細書
【特許文献7】米国特許第6534604号明細書
【特許文献8】国際公開WO2002/046243号パンフレット
【特許文献9】国際公開WO2001/030861号パンフレット
【特許文献10】国際公開WO2005/068076号パンフレット
【特許文献11】国際公開WO2006/022918号パンフレット
【特許文献12】国際公開WO2006/086104号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、これらの触媒系を製造するための方法における進歩に対する継続する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの局面において、本発明(ここに開示される具現化物)は、触媒組成物を製造するための方法であって、リサイクルされた有機反応溶媒中の触媒前駆体を集めて一緒にし;この触媒前駆体を反応させて触媒化合物を生成させ;生成した触媒化合物を反応溶媒から分離することを含む前記方法に関するものである。
別の局面において、本発明は、触媒組成物の調製において溶媒を再使用するための方法であって、反応溶媒中で一緒にされた触媒前駆体から生成させた触媒化合物から反応溶媒を蒸発させ;蒸発させた反応溶媒を集めて凝縮させ;この反応溶媒を、追加の触媒化合物を生成させるための追加の触媒前駆体と一緒にするために、リサイクルすることを含む、前記方法に関する。
【0008】
本発明の他の局面及び利点は、以下の説明及び添付した特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、リサイクルされた反応溶媒を本明細書に開示されるいくつかの実施態様に従って使用するための簡略プロセス流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、第15族原子及び金属含有化合物を製造する方法、並びに第15族原子及び金属含有化合物を含有するマルチモード触媒系を製造する方法に関する。本発明は特に、斯かる触媒の製造に溶媒をリサイクルして再使用することに関する。
【0011】
第15族原子及び金属含有化合物の調製
本発明の触媒組成物に用いられる第15族原子及び金属含有化合物(以下に詳細に論じるもの)は一般的に、欧州特許公開第0893454A1号公報、米国特許第5889128号明細書及び米国特許第5889128号で引用された文献(これらすべてを参考用に本明細書に取り入れる)に開示されたもの等の当技術分野において周知の方法によって、調製することができる。しかしながら、本発明の実施態様に従えば、第15族原子及び金属含有化合物は、反応溶媒のリサイクル流中の触媒前駆体を一緒にすることによって調製することができる。かくして、反応溶媒中の前駆体の反応から触媒化合物が生成したら、次いで、生成した触媒化合物を反応溶媒から分離することができ、そして反応溶媒は追加の触媒化合物の調製においてさらに使用するためにリサイクルすることができる。
【0012】
これらの化合物の1つの例示的な直接合成は、中性リガンド(第15族含有化合物)(例えば下記式I又はIIのYZL又はYZL’)とMnn(Mは第3〜14族金属であり、nはMの酸化状態であり、各Xはハライド等のアニオン性基である)とを非配位溶媒又は弱配位溶媒中で、約20〜約150℃(好ましくは20〜100℃)において、好ましくは24時間以上反応させ、次いでこの混合物を過剰量(例えば4当量以上)のアルキル化剤(例えばエーテル中の臭化メチルマグネシウム)で処理することを含む。マグネシウム塩は濾過によって除去することができ、金属錯体は標準的技術によって単離することができる。好ましい実施態様において、溶媒は60℃を超える沸点を有するもの、例えばトルエン、キシレン及び/又はヘキサンである。別の実施態様において、溶媒はエーテル及び/又は塩化メチレンを含み、どちらか一方であるのが好ましい。単純に溶媒として供給される溶媒に加えて、様々な触媒前駆体を反応溶媒と同一であっても異なっていてもよい溶媒中の溶液又はスラリーとして供給してもよい。
【0013】
生成した金属錯体触媒化合物の分離又は単離は、当技術分野において周知の様々な技術を用いて達成することができる。例えば、米国特許第5889128号明細書に記載されたように、触媒前駆体の混合及び反応の際に、混合物をセライトを通して濾過し、真空下で揮発性物質を除去する。次いで残渣を溶解させて塩化メチレン/ペンタンから再結晶する。蒸発させた溶媒は次いで、冷却し、凝縮させ、追加の触媒化合物の生成において再使用するために回収する。
【0014】
別法として、噴霧乾燥(スプレードライ)を利用することもできる。噴霧乾燥は、当技術分野において周知の任意の手段によって達成することができる。欧州特許公開第0668295B1号公報、米国特許第5674795号明細書及び米国特許第5672669号明細書並びに1999年12月16日付け米国特許出願第09/464114号の明細書を参照されたい(これらは特に触媒の噴霧乾燥を記載している)。
【0015】
特定的な実施態様においては、触媒前駆体の混合/反応の際に、触媒化合物供給原料の溶液/懸濁液(例えば金属化合物成分、活性剤、担体及び反応溶媒を含むもの)を噴霧乾燥することができ、この溶液/懸濁液の微細ミストを高温の窒素と接触させることによって素早く乾燥させる。特定的には、加熱された窒素(又は他の気体流)が噴霧装置において触媒供給原料と出会い、これが連続的に液滴流を作り出す。乾燥した触媒粒子は、生成した固体を窒素、反応溶媒及び他の揮発性成分の気体状混合物から分離することができるサイクロン型分離装置のような分離装置において、プロセスから捕捉される。
【0016】
例えば、反応溶媒と共に揮発性副生成物、触媒微粉及び/又は触媒分解フラグメントが蒸発することがある。気体状混合物は凝縮装置に送ることができ、反応溶媒、揮発性アルミニウム(例えば活性からのもの)、他の有機成分及び触媒微粉が例えば約−5℃の低温の向流凝縮カラムとの接触によって気体状窒素相から凝縮する。冷気体流(本質的に全部窒素)は、再加熱して追加の触媒の噴霧乾燥のために噴霧装置に戻すことができる。採集された液体は従来は廃棄物と見なされ、大量の材料を廃棄することが必要とされていた。しかしながら、溶媒リサイクルにより、このかなりの量の材料の一部は、新たな溶媒の代わりに供給原料調製に加えられる。
【0017】
図1に、本発明に従うリサイクルされた反応溶媒の使用/再使用のためのプロセス流れ図を示す。プロセス100において、触媒前駆体102が反応溶媒104と混合されて、触媒供給原料106を形成する。反応溶媒104中の触媒前駆体102の混合物は、触媒前駆体の間の反応の際に触媒112の生成をもたらす。生成した触媒112は、噴霧装置107で供給原料106の液滴を高温の窒素ガス114と接触させることによって噴霧乾燥させることによって採集される。触媒112は、分離装置108(例えばサイクロン式のもの)によって捕捉することができ、これは1種以上のオレフィンを重合させるために重合反応器116中で使用するために、随意に他の成分と一緒にして触媒組成物(図示せず)を形成させることができる。
【0018】
また、高温の窒素ガス114と供給原料106とを接触させる際に、溶媒104(及び他の任意の揮発性物質)を気相中に蒸発させて気体状混合物117を形成させ、これから触媒112をサイクロン108において分離してもよい。溶媒は、凝縮装置110を用いることによって、窒素ガス(及び噴霧装置107中で再使用するために再加熱された窒素ガス)から分離することができる。凝縮した溶媒118は、さらなる触媒調製において使用するためにリサイクル126することができる。
【0019】
追加的に、図示しないが、多少の量の凝縮した溶媒を系における使用からパージ又は除去することも本発明の範囲内である。例えば、多少の量の溶媒を系から除去することなく、リサイクルされた溶媒を供給原料に加えると、供給原料中のアルミニウム及び他の有機成分の量が変化することがあり、斯かる成分の量はそれぞれのその後のリサイクルと共に増加していく。さらに、触媒前駆体を溶媒材料中で供給原料に供給する場合(例えばMAOをトルエン中で供給することができる)、この新たな溶媒の容量(及び同様の容量の溶媒のパージ)は、リサイクル流内にアルミニウムや他の有機成分のような材料が多量に蓄積するのを防止し又は最小限に抑えるのに充分なものであることができる。
【0020】
第15族含有金属化合物の追加の情報については、オレフィンを重合させるための活性剤と組み合わされた遷移金属アミドを開示した三井化学工業の欧州特許公開第0893454A1号公報を参照されたい。
【0021】
1つの実施態様において、重合として使用する前に第15族含有金属化合物に対してエージングを行う。少なくとも1つの場合において、1つのこのような触媒化合物(少なくとも48時間エージングを行ったもの)は新たに調製した触媒化合物より良好に働くことがわかった。
【0022】
例示的な実施態様においては、13.7g(0.035モル)の(n−プロピルシクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(Boulder Scientific Company社より供給)及び70.4g(0.106モル)の[(2,3,4,5,6−Me56)NCH2CH22NHZrBz2又はビス(フェニルメチル)[N’−(2,3,4,5,6−ペンタメチルフェニル)−N−[2−[(2,3,4,5,6−ペンタメチルフェニル)アミノ−kN]エチル]−1,2−エタンジアミナト(2−)kN,kN’]ジルコニウム(Boulder Scientific Company社より供給)を、11.6kg(19.7モル)のメチルアルモキサン(MAO)(トルエン中の10重量%MAO溶液)及び1.6kgの処理済ヒュームドシリカ(Cabosil TS-610)と混合することによって、サンプル触媒組成物を調製することができる。(n−プロピルシクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、[(2,3,4,5,6−Me56)NCH2CH22NHZrBz2、MAOのトルエン溶液及び処理済ヒュームドシリカを噴霧装置中に導入し、それによってできた液滴を窒素ガス流と接触させて液体を蒸発させ、それによって形成した粉体をサイクロンによりプロセスから除去することができる。得られた粉体を次いでHYDROBRITE(商標)380 PO白色鉱油(Sonneborn社より入手可能)及びヘキサンと混合して触媒スラリーを得ることができる。混合する前に、HYDROBRITE 380オイルを約1時間窒素でガス抜きし、次いで真空下で80℃に10時間加熱することによって精製することができる。窒素と蒸発したトルエン(並びに他の揮発性成分及び/又は少量の微粉)とのガス混合物は凝縮装置に送られ、そこでトルエン(及び他の成分)を凝縮させ、採集し、触媒調製において再使用するためにリサイクルすることができる。随意に、凝縮した液体中の少量物質からトルエンを実質的に単離するために、該液体を分離技術に付すことができる。
【0023】
別の例示的な実施態様においては、19.0g(0.047モル)のビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(Boulder Scientific Company社より供給)及び62.6g(0.094モル)の[(2,3,4,5,6−Me56)NCH2CH22NHZrBz2と11.6kgトルエン中の10重量%MAO溶液(19.7モルのMAO)、16.8kgのトルエン及び1.6kgの処理済ヒュームドシリカ(Cabosil TS-610)と混合することによって、別のサンプル触媒組成物を調製することができる。ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、[(2,3,4,5,6−Me56)NCH2CH22NHZrBz2、MAOのトルエン溶液及び処理済ヒュームドシリカを噴霧装置中に導入し、それによってできた液滴をガス流と接触させて液体を蒸発させ、それによって粉体を形成させることができる。得られた粉体を次いでHYDROBRITE 380 PO白色鉱油(Sonneborn社より入手可能)及びヘキサンと混合して触媒スラリーを得ることができる。蒸発したトルエンは回収し、冷却し、凝縮させ、次いでその中に存在する少量物質を除去し又は減らすために1回以上の分離/精製工程に付すことができ、次いで触媒調製において再使用するためにリサイクルすることができる。
【0024】
本発明の触媒組成物は、1種以上の第15族原子及び金属含有化合物を含むことができる。第15族原子及び金属含有化合物は一般的に、第3〜14族金属原子、好ましくは第3〜7族、より一層好ましくは第4〜6族、さらにより一層好ましくは第4族金属原子を、少なくとも1個の脱離基に結合し且つ少なくとも2個の第15族原子(その内の少なくとも1つは別の基を介して第15族又は16族原子にも結合する)に結合した状態で含む。
【0025】
1つの好ましい実施態様において、第15族原子の内の少なくとも1つが第15又は16族原子に結合する際に介在する前記の別の基は、C1〜C20炭化水素基、ヘテロ原子含有基、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛又はリンであることができ、前記の第15又は16族原子はまた何にも結合しなくてもよく、水素、第14族原子含有基、ハロゲン又はヘテロ原子含有基に結合していてもよく、2個の第15族原子のそれぞれが環式基に結合に結合していてもよく、随意に水素、ハロゲン、ヘテロ原子若しくはヒドロカルビル基又はヘテロ原子含有基に結合していてもよい。
【0026】
別の実施態様において、本発明の第15族原子及び金属含有化合物は、次式で表わすことができる。
【化1】

又は
【化2】

{ここで、
Mは第3〜12族遷移金属又は第13若しくは14族主族金属であり、第4、5又は6族金属であるのが好ましく、第4族金属であるのがより一層好ましく、ジルコニウム、チタン又はハフニウムであるのが特に好ましく、
各Xは独立的に脱離基、好ましくはアニオン性脱離基であり、水素、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子又はハロゲンであるのがより一層好ましく、アルキルであるのが特に好ましく、
yは0又は1であり(yが0である場合には基L’は存在しない)、
nはMの酸化状態であり、+3、+4又は+5であるのが好ましく、+4であるのがより一層好ましく、
mはYZL又はYZL’リガンドの形式電荷であり、0、−1、−2又は−3であるのが好ましく、−2であるのがより一層好ましく、
Lは第15又は16族元素であり、窒素であるのが好ましく、
L’は第15若しくは16族元素又は14族(好ましくは炭素、ケイ素若しくはゲルマニウム)含有基であり、
Yは第15族元素であり、窒素又はリンであるのが好ましく、窒素であるのがより一層好ましく、
Zは第15族元素であり、窒素又はリンであるのが好ましく、窒素であるのがより一層好ましく、
1及びR2は独立的にC1〜C20炭化水素基、20個までの炭素原子を有するヘテロ原子含有基、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛又はリンであり、C2〜C20アルキル、アリール又はアラルキル基であるのが好ましく、直鎖状、分岐鎖状又は環状C2〜C20アルキル基であるのがより一層好ましく、C2〜C6炭化水素基であるのが特に好ましく、
また、R1及びR2は互いに相互連結することもでき、
3は存在しないか又は炭化水素基、水素、ハロゲン若しくはヘテロ原子含有基であるかであり、1〜20個の炭素原子を有する直鎖状、環状又は分岐鎖状アルキル基であるのが好ましく、R3は存在しないか又は水素若しくはアルキル基であるかのいずれかであるのがより一層好ましく、水素であるのが特に好ましく、
4及びR5は独立的にアルキル基、アリール基、置換アリール基、環状アルキル基、置換環状アルキル基、環状アラルキル基、置換環状アラルキル基又は多環系であり、20個までの炭素原子を有するものであるのが好ましく、3〜10個の炭素原子を有するのがより一層好ましく、C1〜C20炭化水素基、C1〜C20アリール基若しくはC1〜C20アラルキル基、又はヘテロ原子含有基、例えばPR3(ここで、Rはアルキル基である)であるのがさらにより一層好ましく、
1及びR2は互いに相互連結することもでき、且つ/又はR4及びR5は互いに相互連結することもでき、
6及びR7は独立的に存在しないか又は水素、アルキル基、ハロゲン、ヘテロ原子若しくはヒドロカルビル基であるかであり、1〜20個の炭素原子を有する直鎖状、環状又は分岐鎖状アルキル基であるのが好ましく、存在しないのがより一層好ましく、
*は存在しないか又は水素、第14族原子含有基、ハロゲン若しくはヘテロ原子含有基であるかである。}
【0027】
「YZL又はYZL’リガンドの形式電荷」とは、金属及び脱離基Xがない全体のリガンドの電荷を意味する。
【0028】
「R1及びR2は・・・相互連結することもでき」とは、R1及びR2が互いに直接結合することもでき、別の基を介して互いに結合することもできるということを意味する。「R4及びR5は・・・相互連結することもでき」とは、R4及びR5互いに直接結合することもでき、別の基を介して互いに結合することもできるということを意味する。
【0029】
アルキル基は、直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アシル基、アローイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル−若しくはジアルキルカルバモイル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アローイルアミノ基、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状アルキレン基、又はそれらの組合わせであることができる。アラルキル基とは、置換アリール基であると定義される。
【0030】
好ましい実施態様において、R4及びR5は独立的に次の式1:
【化3】

{ここで、R8〜R12はそれぞれ独立的に水素、C1〜C40アルキル基、ハライド、ヘテロ原子又は40個までの炭素原子を有するヘテロ原子含有基であり、C1〜C20直鎖状又は分枝鎖状アルキル基(好ましくはメチル、エチル、プロピル又はブチル基)であるのが好ましく、任意の2個のR基は環式基及び/又はヘテロ環式基を形成することもできる}
で表わされる基である。上記環式基は、芳香族であることができる。好ましい実施態様において、R9、R10及びR12は独立的にメチル、エチル、プロピル又はブチル基(すべての異性体を包含する)であり、好ましい実施態様において、R9、R10及びR12はメチルであり且つR8及びR11は水素である。
【0031】
特に好ましい実施態様において、R4及びR5は共に次の式2:
【化4】

で表わされる基である。
【0032】
この実施態様において、Mは第4族金属であり、ジルコニウム、チタン又はハフニウムであるのが好ましく、ジルコニウムであるのがより一層好ましく;L、Y及びZはそれぞれ窒素であり;R1及びR2はそれぞれ−CH2−CH2−であり;R3は水素であり;R6及びR7は存在しない。
【0033】
特に好ましい実施態様において、第15族原子及び金属含有化合物は、下記の化合物1である。
【化5】

化合物1において、Phはフェニルである。
【0034】
触媒組成物
本発明の形成された触媒組成物の成分には、触媒化合物(上記の第15族含有金属触媒化合物を含む)、活性剤化合物及び担体材料が含まれる。形成された触媒成分は、重合反応器中に導入するために、スラリー状で及び/又は溶液状で用いることができる。
【0035】
他の触媒化合物
上記の第15族含有金属化合物に加えて本発明の触媒組成物中に用いることができる触媒化合物には、メタロセン化合物、フェノキシド触媒化合物;追加的に発見された触媒化合物;及び慣用のタイプの遷移金属触媒が包含される。
【0036】
メタロセン化合物
第15族含有金属化合物に加えて、本発明の触媒組成物は、1種以上のメタロセン化合物を含むことができる。一般的に、メタロセン化合物には、少なくとも1個の金属原子に結合したリガンドを1個以上有する半又は全サンドイッチ化合物が包含される。典型的なメタロセン化合物は一般的に、1個以上のリガンド及び1個以上の脱離基を少なくとも1個の金属原子に結合した形で含有するものと記載される。
【0037】
リガンドは一般的に1個以上の開いた、非環状の若しくは縮合した環若しくは環系又はそれらの組合せによって表わされる。これらのリガンド(好ましくは環又は環系)は、元素周期表第13〜16族原子から選択される原子から成るのが典型的であり、これらの原子は、炭素、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、リン、ゲルマニウム、ホウ素及びアルミニウム又はそれらの組合せより成る群から選択されるのが好ましい。前記環又は環系は、炭素原子から成るもの、例えばシクロペンタジエニルリガンド若しくはシクロペンタジエニルタイプのリガンド構造、又はペンタジエン、シクロオクタテトラエンジイル若しくはイミドリガンドのようなその他の類似の官能性リガンド構造(これらに限定されるものではない)のものであるのが特に好ましい。金属原子は、元素周期表の第3〜15族及びランタニド又はアクチニド系列から選択されるのが好ましい。この金属は、第4〜12族からの遷移金属であるのが好ましく、第4、5及び6族からの遷移金属であるのがより一層好ましく、この遷移金属は、第4族からのものであるのが特に好ましい。
【0038】
1つの実施態様において、本発明の触媒組成物は、次式:
ABMQn (III)
で表わされる1種以上のメタロセン触媒化合物を含むことができる。ここで、Mは元素周期表からの金属原子であり、元素周期表の第3〜12族金属又はランタニド若しくはアクチニド系列のものであることができ、Mは第4、5又は6族遷移金属であるのが好ましく、Mは第4族遷移金属であるのがより一層好ましく、Mはジルコニウム、ハフニウム又はチタンであるのがさらにより一層好ましい。リガンドLA及びLBは、開いた、非環状の又は縮合した環又は環系であり、非置換の又は置換されたシクロペンタジエニルリガンド又はシクロペンタジエニルタイプのリガンド、ヘテロ原子置換及び/又はヘテロ原子含有シクロペンタジエニルタイプのリガンドを包含する任意の補助リガンド系である。バルキー(嵩高)リガンドの非限定的な例には、シクロペンタジエニルリガンド、シクロペンタフェナントレニルリガンド、インデニルリガンド、ベンズインデニルリガンド、フルオレニルリガンド、オクタヒドロフルオレニルリガンド、シクロオクタテトラエンジイルリガンド、シクロペンタシクロドデセンリガンド、アゼニルリガンド、アズレンリガンド、ペンタレンリガンド、ホスホイルリガンド、ホスフィンイミン(国際公開WO99/40125号パンフレット)、ピロリルリガンド、ピロゾリルリガンド、カルバゾリルリガンド、ボラベンゼンリガンド等(それらの水素化体、例えばテトラヒドロインデニルリガンドを含む)が包含される。1つの実施態様において、LA及びLBは、Mに対してπ−結合することができる任意のその他のリガンド構造であることができる。さらに別の実施態様において、LA又はLBの原子分子量(MW)は60amuを超え、65amuより大きいのが好ましい。別の実施態様において、LA及びLBは1個以上のヘテロ原子、例えば窒素、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウム、硫黄及びリンを、炭素原子と組み合わせて含んで、開いた、非環状の又は好ましくは縮合した環又は環系、例えばヘテロシクロペンタジエニル補助リガンドを形成することもできる。他のLA及びLBリガンドは、バルキーアミド、ホスフィド、アルコキシド、アリールオキシド、イミド、カルボリド、ボロリド、ポルフィリン、フタロシアニン、コリン及びその他のポリアゾマクロサイクルが包含されるが、これらに限定されるものではない。独立的に、各LA及びLBはMに結合した同一の又は異なるタイプのリガンドであることができる。式(III)の1つの実施態様においては、LA又はLBの一方だけが存在する。
【0039】
独立的に、LA及びLBはそれぞれ置換されていなくてもよく、置換基Rの組合せで置換されていてもよい。置換基Rの非限定的な例には、水素、直鎖状若しくは分枝鎖状アルキル基、アルケニル基若しくはアルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アシル基、アローイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル−若しくはジアルキルカルバモイル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アローイルアミノ基、直鎖状、分枝鎖状若しくは環状アルキレン基、又はそれらの組合わせから選択される1つ以上の基が包含される。好ましい実施態様において、置換基Rは50個までの非水素原子(水素以外の原子)、好ましくは1〜30個の炭素原子を有し、これはハロゲン又はへテロ原子等に置き換えられていてもよい。アルキル置換基Rの非限定的な例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル又はフェニル基等(それらのすべての異性体、例えばt−ブチル、イソプロピル等を含む)が包含される。その他のヒドロカルビル基には、フルオロメチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、ヨードプロピル、ブロモヘキシル、クロロベンジル及びヒドロカルビル置換有機メタロイド基(トリメチルシリル、トリメチルゲルミル、メチルジエチルシリル等を含む);並びにハロカルビル置換有機メタロイド基(トリス(トリフルオロメチル)シリル、メチルビス(ジフルオロメチル)シリル)、ブロモメチルジメチルゲルミル等を含む);並び二置換ホウ素基(例えばジメチルホウ素を含む);並びに二置換ニクトゲン基(ジメチルアミン、ジメチルホスフィン、ジフェニルアミン、メチルフェニルホスフィンを含む)、カルコゲン基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、フェノキシ、メチルスルフィド及びエチルスルフィドを含む)が包含される。非水素置換基Rは、炭素、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、窒素、リン、酸素、スズ、硫黄、ゲルマニウム等の原子を含み、オレフィンを包含し、これにはオレフィン性不飽和置換基(ビニルを末端基とするリガンド、例えば3−ブテニル、2−プロペニル、5−ヘキセニル等)が包含されるが、これらに限定されるわけではない。また、少なくとも2個のR基、好ましくは2個の隣接したR基が一緒になって、炭素、窒素、酸素、リン、ケイ素、ゲルマニウム、アルミニウム、ホウ素又はそれらの組合せから選択される3〜30個の原子を有する環構造を形成することもある。また、1−ブタニルのような置換基R基は金属Mに対して炭素σ結合を形成することもできる。
【0040】
金属Mには、少なくとも1個の脱離基Qのようなその他のリガンドも結合することができる。1つの実施態様において、QはMに対するσ結合を有する一アニオン性の不安定なリガンドである。金属の酸化状態に応じて、nの値は、上記式(III)が中性メタロセンタイプの触媒化合物を表わすように、0、1又は2となる。
【0041】
Qリガンドの非限定的な例には、弱塩基、例えばアミン、ホスフィン、エーテル類、カルボキシレート、ジエン、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、ヒドリド若しくはハロゲン等又はそれらの組合せが包含される。別の実施態様においては、2個以上のQが縮合環又は環系の一部を構成する。Qリガンドのその他の例には、上記のようなRについての置換基が包含され、シクロブチル、シクロヘキシル、ヘプチル、トリル、トリフルオルメチル、テトラメチレン、ペンタメチレン、メチリデン、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、フェノキシ、ビス(N−メチルアニリド)、ジメチルアミド、ジメチルホスフィド基等が包含される。
【0042】
別の実施態様において、本発明の触媒組成物は、式(IV)で表わされるような、式(III)においてLA及びLBが少なくとも1個の架橋(橋渡し)基Aによって互いに架橋された1種以上のメタロセン触媒化合物を含むことができる。
AALBMQn (IV)
【0043】
式(IV)の化合物は、架橋されたメタロセン触媒化合物と称される。LA、LB、M、Q及びnは上で定義した通りである。架橋基Aの非限定的な例には、少なくとも1個の第13〜16族原子、例えば炭素、酸素、窒素、ケイ素、アルミニウム、ホウ素、ゲルマニウム及びスズ原子又はそれらの組合せの内の少なくとも1つ(これらに限定されるものではない)を含有する架橋基(しばしば二価部分と称される)が包含される。架橋基Aは、炭素、ケイ素又はゲルマニウム原子を含有するものであるのが好ましく、少なくとも1個のケイ素原子又は少なくとも1個の炭素原子を含有するものであるのが特に好ましい。架橋基Aはまた、上で定義したような置換基Rを含有することもでき、これにはハロゲン及び鉄が包含される。架橋基Aの非限定的な例は、R'2C、R'2Si、R'2SiR'2Si、R'2Ge、R'Pで表わすことができ、ここで、R'は独立的にヒドリド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、ヒドロカルビル置換有機メタロイド、ハロカルビル置換有機メタロイド、二置換ホウ素、二置換ニクトゲン、置換カルコゲン又はハロゲンである基であり、また、2個以上のR'が一緒になって環又は環系を形成することもできる。1つの実施態様において、式(IV)の架橋されたメタロセンタイプ触媒化合物は、2個以上の架橋基Aを有する(欧州特許公開第664301B1号公報)。
【0044】
別の実施態様において、メタロセン触媒化合物は、式(III)及び(IV)のリガンドLA及びLB上のR置換基がそれぞれのリガンド上について同じ数又は異なる数の置換基で置換されたものである。別の実施態様において、式(III)及び(IV)のリガンドLA及びLBは、互いに異なるものである。
【0045】
本発明において有用なその他のメタロセン触媒化合物及び触媒系には、以下のものに記載されたものが包含され得る:米国特許第5064802号、同第5145819号、同第5149819号、同第5243001号、同第5239022号、同第5276208号、同第5296434号、同第5321106号、同第5329031号、同第5304614号、同第5677401号、同第5723398号、同第5753578号、同第5854363号、同第5856547号、同第5858903号、同第5859158号、同第5900517号及び同第5939503号の各明細書、並びに国際公開WO93/08221号、同WO93/08199号、同WO95/07140号、同WO98/11144号、同WO98/41530号、同WO98/41529号、同WO98/46650号、同WO99/02540及び同WO99/14221号の各パンフレット並びに欧州特許公開第0578838A号、同第0638595A号、同第0513380B号、同第0816372A1号、同第0839834A2号、同第0632819B1号、同第0748821B1号及び同第0757996B1号の各公報(これらすべてを参考用に本明細書に取り入れる)。
【0046】
別の実施態様において、本発明の触媒組成物は、架橋されたヘテロ原子メタロセン化合物を含むことができる。これらのタイプの触媒及び触媒系は、例えば国際公開WO92/00333号、同WO94/07928号、同WO91/04257号、同WO94/03506号、同WO96/00244号、同WO97/15602号及び同WO99/20637号の各パンフレット並びに米国特許第5057475号、同第5096867号、同第5055438号、同第5198401号、同第5227440号及び同第5264405号の各明細書並びに欧州特許公開第0420436A号公報(これらすべてを参考用に本明細書に取り入れる)に記載されている。
【0047】
別の実施態様において、本発明の触媒組成物は、次式で表わされる1種以上のメタロセン触媒化合物を含む。
CAJMQn (V)
(ここで、Mは元素周期表第3〜16族金属原子又はアクチニド及びランタニド群から選択される金属であり、第4〜12族遷移金属であるのが好ましく、第4、5又は6族遷移金属であるのがより一層好ましく、任意の酸化状態の第4族遷移金属であるのが特に好ましく、チタンであるのが特に好ましく、
CはMに結合した置換又は非置換リガンドであり、
JはMに結合し、
AはJ及びLcに結合し、
Jはヘテロ原子補助リガンドであり、
Aは架橋基であり、
Qは一価アニオン性リガンドであり、
nは整数0、1又は2である。)
上記の式(V)において、LC、A及びJは縮合環系を形成する。1つの実施態様において、式(V)のLCはLAについて上で定義した通りであり、式(V)のA、M及びQは式(III)において上で定義した通りである。
【0048】
式(V)において、Jはヘテロ原子含有リガンドであり、ここでJは元素周期表第15族からの配位数3の元素又は第16族からの配位数2の元素である。Jは、窒素、リン、酸素又は硫黄原子を含有するのが好ましく、窒素が特に好ましい。
【0049】
本発明の1つの実施態様において、メタロセン触媒化合物は、リガンド、環又は環系が1個以上のヘテロ原子又はそれらの組合せを含むヘテロ環式リガンド錯体である。ヘテロ原子の非限定的な例には、第13〜16族元素が包含され、窒素、ホウ素、硫黄、酸素、アルミニウム、ケイ素、リン及びスズが好ましい。これらのメタロセン触媒化合物の例は、国際公開WO96/33202号、同WO96/34021号、同WO97/17379号及び同WO98/22486号並びに欧州特許公開0874005A1号公報並びに米国特許第5637660号、同第5539124号、同第5554775号、同第5756611号、同第5233049号、同第5744417号及び同第5856258号の各明細書(これらすべてを参考用に本明細書に取り入れる)に記載されている。
【0050】
1つの実施態様において、メタロセン触媒化合物は、1998年6月23日付け米国特許出願第09/103620号明細書(参考用に本明細書に取り入れる)に記載されたもののような、ピリジン又はキノリン部分を含有する二座リガンドを基とする遷移金属触媒と称される錯体である。必要ならばこの特許出願明細書を参照されたい。別の好ましい実施態様において、メタロセン触媒化合物は、国際公開WO99/01481号及びWO98/42664号の各パンフレット(参考用に本明細書に取り入れる)に記載されたものである。
【0051】
別の実施態様において、メタロセン触媒化合物は、米国特許第5527752号及び同第5747406号の各明細書並びに欧州特許公開第0735057B1号公報(これらすべてを参考用に本明細書に取り入れる)に記載されたもののような、金属(好ましくは遷移金属)、リガンド(好ましくは置換又は非置換π結合リガンド)及び1種以上のヘテロアリル部分の錯体である。
【0052】
別の実施態様において、本発明の触媒組成物は、次式(VI)で表わされる1種以上のメタロセン触媒化合物を含む。
DMQ2(YZ)Xn (VI)
(ここで、Mは第3〜16族金属、好ましくは第4〜12族遷移金属、特に好ましくは第4、5又は6族遷移金属であり、
DはMに結合した粗大リガンドであり、
各Qは独立的にMに結合し、
2(YZ)はリガンド、好ましくは1荷電の多座リガンドを形成し、
QはこれもMに結合した一価アニオン性リガンドであり、
Xはnが2である場合には一価アニオン性基であり、nが1である場合には二価アニオン性基であり、
nは1又は2である。)
【0053】
式(VI)において、L及びMは式(III)について上で定義した通りである。Qは式(III)について上で定義した通りであり、−O−、−NR−、−CR2−及び−S−より成る群から選択されるのが好ましく、YはC又はSであり、Zは−OR、−NR2、−CR3、−SR、−SiR3、−PR2、−H及び置換又は非置換アリール基より成る群から選択され、但しQが−NR−である時にはZは−OR、−NR2、−SR、−SiR3、−PR2及び−Hより成る群の1つから選択され、Rは炭素、ケイ素、窒素、酸素及び/又はリンを含有する基から選択され、好ましくはRは1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基、特に好ましくはアルキル、シクロアルキル又はアリール基であり、nは1〜4の整数、好ましくは1又は2であり、Xはnが2である場合には一価アニオン性基、nが1である場合には二価アニオン性基であり、好ましくはXはカルバメート、カルボキシレート又はQ、Y及びZの組合せによって記載されるその他のヘテロアリル部分である。
【0054】
別の実施態様において、メタロセン触媒化合物は、国際公開WO99/01481号又は国際公開WO98/42664号パンフレット(それらを参考用に本明細書に取り入れる)に記載されたものである。
【0055】
有用な第6族メタロセン触媒系は、米国特許第5942462号明細書(参考用に本明細書に取り入れる)に開示されたものである。
【0056】
さらにその他の有用な触媒には、国際公開WO99/20665号パンフレット及び米国特許第6010794号明細書に記載された多核メタロセン触媒、並びに欧州特許公開第0969101A2号公報に記載された遷移金属メタアラクル(metaaracyle)構造が包含される(これら特許文献を参考用に本明細書に取り入れる)。他のメタロセン触媒には、欧州特許公開第0950667A1号公報に記載されたもの、二重架橋メタロセン触媒(欧州特許公開第0970074A1号公報)、繋留メタロセン(欧州特許公開第970963A2号公報)及び米国特許第6008394号明細書に記載されたスルホニル触媒が包含される(これら特許文献を参考用に本明細書に取り入れる)。
【0057】
また、1つの実施態様において、上記のメタロセン触媒がそれらの構造異性体、光学異性体又は鏡像異性体(メソ及びラセミ異性体){例えば米国特許第5852143号明細書(参考用に本明細書に取り入れる)}及びそれらの混合物を含むことも構想される。
【0058】
さらに、上記の任意のメタロセン触媒化合物が1998年11月13日付けの米国特許出願第09/191916号明細書に記載されたような少なくとも1個のフルオリド又はフッ素含有脱離基を有することも構想される。
【0059】
フェノキシド触媒化合物
本発明の触媒組成物は、次式で表わされる1種以上のフェノキシド触媒を含むことができる。
【化6】

式(VII)
又は
【化7】

式(VIII)
ここで、R1は水素又はC4〜C100基(好ましくは第3級アルキル基)(好ましくはC4〜C20アルキル基、好ましくはC4〜C20第3級アルキル基)(好ましくは中性C4〜C100基)であって、Mに結合しても結合していなくてもよく、R2〜R5の内の少なくとも1つはヘテロ原子含有基であり、R2〜R5の残りのものは独立的に水素又はC1〜C100基(好ましくはC4〜C20アルキル基)(好ましくはブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、イソヘキシル、オクチル、イソオクチル、デシル、ノニル又はドデシル)であって、R2〜R5の内のいずれかがMに結合していても結合していなくてもよく、Oは酸素であり、Mは第3〜10族遷移金属又はランタニド金属、好ましくは第4族金属、好ましくはTi、Zr又はHfであり、nは金属Mの原子価状態であり、2、3、4又は5であるのが好ましく、Qはアルキル、ハロゲン、ベンジル、アミド、カルボキシレート、カルバメート、チオレート、ヒドリド若しくはアルコキシド基、又はヘテロ原子含有基R(これはR1〜R5のいずれであってもよい)への結合である。ヘテロ原子含有基は、任意のヘテロ原子又は炭素シリカ若しくは別のヘテロ原子に結合したヘテロ原子であってよい。好ましいヘテロ原子には、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、窒素、リン、砒素、スズ、鉛、アンチモン、酸素、セレン、テルルが包含される。特に好ましいへテロ原子には、窒素、酸素、リン及び硫黄が包含される。さらにより一層好ましいヘテロ原子には、酸素及び窒素が包含される。このヘテロ原子はそれ自体、フェノキシド環に直接結合することもでき、フェノキシド環に結合した別の原子に結合することもできる。ヘテロ原子含有基は、1個以上の同一又は異なるヘテロ原子を含有することができる。好ましいヘテロ原子基には、イミン、アミン、オキシド、ホスフィン、エーテル、ケテン、オキサゾリン類ヘテロ環、オキサゾリン、チオエーテル等が包含される。特に好ましいへテロ原子基には、イミン類が包含される。任意の2個の隣接したR基が環構造、好ましくは5員又は6員環を形成することもできる。同様に、R基は多環構造を形成することもできる。1つの実施態様において、どの2個以上のR基も5員環を形成しない。
【0060】
好ましい実施態様において、QはR2〜R5のいずれかへの結合であり、Qが結合するR基はヘテロ原子含有基である。
【0061】
本発明はまた、欧州特許公開第0874005A1号公報(参考用に本明細書に取り入れる)に開示された触媒を用いて実施することもできる。
【0062】
好ましい実施態様において、前記フェノキシド触媒化合物は、次のものの内の1つ以上を含む:
ビス(N−メチル−3,5−ジ−t−ブチルサリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−エチル−3,5−ジ−t−ブチルサリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−イソプロピル−3,5−ジ−t−ブチルサリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−t−ブチル−3,5−ジ−t−ブチルサリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−ベンジル−3,5−ジ−t−ブチルサリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−ヘキシル−3,5−ジ−t−ブチルサリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−フェニル−3,5−ジ−t−ブチルサリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−メチル−3,5−ジ−t−ブチルサリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−ベンジル−3,5−ジ−t−ブチルサリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジクロリド;
ビス(N−ベンジル−3,5−ジ−t−ブチルサリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジピバレート;
ビス(N−ベンジル−3,5−ジ−t−ブチルサリチルイミノ)チタン(IV)ジピバレート;
ビス(N−ベンジル−3,5−ジ−t−ブチルサリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジ(ビス(ジメチルアミド);
ビス(N−イソプロピル−3,5−ジ−t−アミルサリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−イソプロピル−3,5−ジ−t−オクチルサリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−イソプロピル−3,5−ジ−(1’,1’−ジメチルベンジル)サリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−イソプロピル−3,5−ジ−(1’,1’−ジメチルベンジル)サリチルイミノ)チタン(IV)ジベンジル;
ビス(N−イソプロピル−3,5−ジ−(1’,1’−ジメチルベンジル)サリチルイミノ)ハフニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−イソブチル−3,5−ジ−(1’,1’−ジメチルベンジル)サリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−イソブチル−3,5−ジ−(1’,1’−ジメチルベンジル)サリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジクロリド;
ビス(N−ヘキシル−3,5−ジ−(1’,1’−ジメチルベンジル)サリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−フェニル−3,5−ジ−(1’,1’−ジメチルベンジル)サリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−イソプロピル−3,5−ジ−(1’−メチルシクロヘキシル)サリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−ベンジル−3−t−ブチルサリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−ベンジル−3−トリフェニルメチルサリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−イソプロピル−3,5−ジ−トリメチルシリルサリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−イソプロピル−3−(フェニル)サリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−ベンジル−3−(2’,6’−ジ−イソプロピルフェニル)サリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−ベンジル−3−(2’,6’−ジ−フェニルフェニル)サリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(N−ベンジル−3−t−ブチル−5−メトキシサリチルイミノ)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−アミルフェノキシド)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−アミルフェノキシド)ジルコニウム(IV)ジクロリド;
ビス(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−アミルフェノキシド)ジルコニウム(IV)ジ(ビス(ジメチルアミド));
ビス(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−(1’,1’−ジメチルベンジル)フェノキシド)ジルコニウム(IV)ジベンジル;
ビス(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−アミルフェノキシド)チタン(IV)ジベンジル;
ビス(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−(1’,1’−ジメチルベンジル)フェノキシド)チタン(IV)ジベンジル;
ビス(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−(1’,1’−ジメチルベンジル)フェノキシド)チタン(IV)ジクロリド;
ビス(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−(1’,1’−ジメチルベンジル)フェノキシド)ハフニウム(IV)ジベンジル;
(N−フェニル−3,5−ジ−(1’,1’−ジメチルベンジル)サリチルイミノ)ジルコニウム(IV)トリベンジル;
(N−(2’,6’−ジ−イソプロピルフェニル)−3,5−ジ−(1’,1’−ジメチルベンジル)サリチルイミノ)ジルコニウム(IV)トリベンジル;
(N−(2’,6’−ジ−イソプロピルフェニル)−3,5−ジ−(1’,1’−ジメチルベンジル)サリチルイミノ)チタン(IV)トリベンジル;及び
(N−(2’,6’−ジ−イソプロピルフェニル)−3,5−ジ−(1’,1’−ジメチルベンジル)サリチルイミノ)ジルコニウム(IV)トリクロリド。
【0063】
追加の触媒化合物
本発明の触媒組成物は、1998年6月23日付け米国特許出願第09/103620号の明細書(参考用に本明細書に取り入れる)に記載されたもののような、ピリジン又はキノリン部分を含有する二座リガンドをベースとする遷移金属触媒と称される1種以上の錯体を含むことができる。
【0064】
1つの実施態様において、これらの触媒化合物は、次式で表わされる。
((Z)XAt(YJ))qMQn (IX)
(ここで、Mは元素周期表の第3〜13族又はランタニド及びアクチニド系列から選択される金属であり、
QはMに結合し、各Qは一価、二価又は三価アニオンであり、
X及びYはMに結合し、X及びYの1つ以上はヘテロ原子であり、好ましくはX及びYの両方がヘテロ原子であり、
Yはヘテロ環J中に含有され、ここでJは2〜50個の非水素原子、好ましくは2〜30個の炭素原子を有し、
ZはXに結合し、ここでZは1〜50個の非水素原子、好ましくは1〜50個の炭素原子を有し、好ましくはZは3〜50個の原子、好ましくは3〜30個の炭素原子を有する環式基であり、
tは0又は1であり、
tが1である場合、AはX、Y又はJの少なくとも1つ(好ましくはX及びJ)に結合した架橋基であり、
qは1又は2であり、
nはMの酸化状態に依存して1〜4の整数である。)
1つの実施態様において、Xが酸素又は硫黄である場合、Zは随意である。別の実施態様において、Xが窒素又はリンである場合、Zは存在する。1つの実施態様において、Zはアリール基であるのが好ましく、置換アリール基であるのがより一層好ましい。
【0065】
1つの実施態様において、触媒化合物が下記文献に記載されたNi2+及びPd2+の錯体を含むことも本発明の範囲内である:Johnsonら、「New Pd(II)- and Ni(II)- Based Catalysts for Polymerization of Ethylene and a-Olefins」、J. Am. Chem. Soc.、1995、117、6414-6415及びJohnsonら、「Copolymerization of Ethylene and Propylene with Functionalized Vinyl Monomers by Palladium(II) Catalysts」、J. Am. Chem. Soc.、1996、118、267-268、並びに1996年8月1日発行の国際公開WO96/23010号パンフレット、同WO99/02472号パンフレット、米国特許第5852145号、同第5866663号及び同第5880241号の各明細書(これら全部を参考用に本明細書に取り入れる)。これらの錯体は、記載されたジハライド錯体のアルキル化反応生成物又はジアルキルエーテル付加物のいずれかであることができ、これは以下に記載された本発明の活性剤によって活性化してカチオン状態にすることができる。
【0066】
他の触媒化合物としては、国際公開WO99/50313号パンフレット(参考用に本明細書に取り入れる)に記載されたニッケル錯体が包含される。
【0067】
また、国際公開WO96/23010号パンフレット、同WO97/48735号パンフレット及びGibsonら、Chem. Comm.、第849〜850頁(1998)(これらすべてを参考用に本明細書に取り入れる)に開示された第8〜10族金属化合物のジイミンベースのリガンドも包含される。
【0068】
その他の有用な触媒化合物には、欧州特許公開第0816384A2号公報及び米国特許第5851945号明細書(それらの開示を参考用に本明細書に取り入れる)に記載された第5及び6族金属イミド錯体がある。メタロセン触媒にはさらに、D. H. McConvilleらによってOrganometallics、1195、14、5478-5480(参考用に本明細書に取り入れる)に記載された架橋ビス(アリールアミド)第4族化合物が包含される。さらに、架橋したビス(アミド)触媒化合物が国際公開WO96/27439号パンフレットに記載されている。その他の有用な触媒は、米国特許第5852146号明細書(参考用に本明細書に取り入れる)に、ビス(ヒドロキシ芳香族窒素リガンド)として記載されている。1個以上の第15族原子を含有するその他の有用な触媒には、国際公開WO98/46651号パンフレット(参考用に本明細書に取り入れる)に記載されたものが包含される。
【0069】
慣用の遷移金属触媒
1つの実施態様においては、本発明に実施に当たって、慣用のタイプの遷移金属触媒もまた用いることができる。慣用のタイプの遷移金属触媒は、当技術分野においてよく知られている通常のチーグラー・ナッタ触媒、バナジウム触媒及びフィリップスタイプの触媒(例えばZiegler-Natta Catalysts and Polymerizations, John Boor著, 米国ニューヨーク州所在のAcademic Press社発行, 1979年に記載されたチーグラー・ナッタ触媒等)である。また、慣用のタイプの遷移金属触媒の例も、米国特許第4115639号、同第4077904号、同第4482687号、同第4564605号、同第4721763号、同第4879359号及び同第4960741号の各明細書(これらすべてを参考用に本明細書に取り入れる)において論じられている。本発明において用いることができる慣用のタイプの遷移金属触媒化合物には、元素周期表第3〜17族、好ましくは第4〜12族、より一層好ましくは第4〜6族からの遷移金属化合物が包含される。
【0070】
これらの慣用のタイプの遷移金属触媒は、式MRxで表わすことができる。ここで、Mは第3〜17族からの金属、好ましくは第4〜6族、より一層好ましくは第4族からの金属、特に好ましくはチタンであり、Rはハロゲン又はヒドロカルビルオキシ基であり、xは金属Mの酸化状態である。Rの非限定的な例には、アルコキシ、フェノキシ、ブロミド、クロリド及びフルオリドが包含される。慣用のタイプの遷移金属触媒の内のMがチタンであるものの非限定的な例には、TiCl4、TiBr4、Ti(OC25)3Cl、Ti(OC25)Cl3、Ti(OC49)3Cl、Ti(OC37)2Cl2、Ti(OC25)2Br2、TiCl3・1/3AlCl3及びTi(OC1225)Cl3が包含される。
【0071】
本発明において有用なマグネシウム/チタン電子供与体錯体をベースとする慣用のタイプの遷移金属触媒化合物は、例えば米国特許第4302565号及び同第4302566号の各明細書(これらすべてを参考用に本明細書に取り入れる)に記載されている。MgTiCl6(エチルアセテート)4誘導体が特に好ましい。
【0072】
英国特許第2105355号明細書及び米国特許第5317036号明細書(参考用に本明細書に取り入れる)には、様々な慣用のタイプのバナジウム触媒化合物が記載されている。慣用のタイプのバナジウム触媒化合物の非限定的な例には、バナジルトリハライド、アルコキシハライド及びアルコキシド、例えばVOCl3、VOCl2(OBu)(ここで、Buはブチルである)及びVO(OC25)3;バナジウムテトラハライド及びバナジウムアルコキシハライド、例えばVCl4及びVCl3(OBu);バナジウム及びバナジルアセチルアセトナート及びクロロアセチルアセトナート、例えばV(AcAc)3及びVOCl2(AcAc)(ここで、(AcAc)はアセチルアセトナートである)が包含される。好ましい慣用のタイプのバナジウム触媒化合物は、VOCl3、VCl4及びVOCl2−OR(ここで、Rは炭化水素基、好ましくはC1〜C10脂肪族又は芳香族炭化水素基、例えばエチル、フェニル、イソプロピル、ブチル、プロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ナフチル等である)及びバナジウムアセチルアセトナートである。
【0073】
本発明において用いるのに好適な、フィリップスタイプ触媒としばしば称される慣用のタイプのクロム触媒化合物には、CrO3、クロモセン、シリルクロメート、クロミルクロリド(CrO2Cl2)、2−エチルヘキサン酸クロム、クロムアセチルアセトネート(Cr(AcAc)3)等が包含される。非限定的な例は、米国特許第3709853号、同第3709954号、同第3231550号、同第3242099号及び同第4077904号の各明細書(これらを参考用にすべて本明細書に取り入れる)に開示されている。
【0074】
本発明において用いるのに好適なさらにその他の慣用のタイプの遷移金属触媒化合物及び触媒系は、米国特許第4124532号、同第4302565号、同第4302566号、同第4376062号、同第4379758号、同第5066737号、同第5763723号、同第5849655号、同第5852144号、同第5854164号及び同第5869585号の各明細書並びに欧州特許公開第0416815A2号及び同第0420436A1号公報(これらすべてを参考用に本明細書に取り入れる)に開示されている。
【0075】
その他の触媒には、カチオン性触媒、例えばAlCl3、並びに当技術分野においてよく知られているその他のコバルト、鉄、ニッケル及びパラジウム触媒が包含され得る。例えば米国特許第3487112号、同第4472559号、同第4182814号及び同第4689437号の各明細書(これらすべてを参考用に本明細書に取り入れる)を参照されたい。
【0076】
他の触媒を本発明の触媒組成物中の触媒化合物と組み合わせて用いることも構想できる。例えば、米国特許第4937299号、同第4935474号、同第5281679号、同第5359015号、同第5470811号及び同第5719241号の各明細書を参照されたい。
【0077】
さらに、前記の1種以上の触媒化合物を1種以上の慣用の触媒化合物又は触媒系と組み合わせて用いることも構想できる。混合触媒及び触媒系の非限定的な例は、米国特許第4159965号、同第4325837号、同第4701432号、同第5124418号、同第5077255号、同第5183867号、同第5391660号、同第5395810号、同第5691264号、同第5723399号及び同第5767031号の各明細書並びに1996年8月1日付け国際公開WO96/23010号パンフレット(これらすべてを参考用に本明細書に取り入れる)に記載されている。
【0078】
触媒化合物用の活性剤及び活性化方法
上記の重合触媒化合物は、典型的には様々な態様で活性化されて空いた配位部位を有する化合物を生成し、この配位部位が配位し、挿入され、オレフィンを重合させる。本明細書及び添付した特許請求の範囲において、用語「活性剤」とは、上記のいずれかの触媒化合物を、中性の重合触媒化合物を触媒的に活性な触媒化合物に転化させることによって活性化することができる任意の化合物と定義される。非限定的な活性剤には、例えば、アルモキサン、アルミニウムアルキル類、イオン化用活性剤(これは中性であってもイオン性であってもよい)及び慣用のタイプの助触媒が包含される。
【0079】
さらに、上記のように、1種以上の活性剤を、本明細書に記載したように第15族原子及び金属含有化合物の調製の際に第15族原子及び金属含有化合物触媒前駆体と一緒にすることができる。
【0080】
アルミノキサン及びアルミニウムアルキル活性剤
1つの実施態様において、アルモキサン活性剤が、本発明の触媒組成物中の活性剤として利用される。アルモキサン類は一般的に、−Al(R)−O−サブ単位(ここで、Rはアルキル基である)を含有するオリゴマー状化合物である。アルモキサン類の例には、メチルアルモキサン(MAO)、変性メチルアルモキサン(MMAO)、エチルアルモキサン及びイソブチルアルモキサンが包含される。アルモキサン類は、それぞれのトリアルキルアルミニウム化合物の加水分解によって製造することができる。MMAOは、トリメチルアルミニウム及びもっと高級のトリアルキルアルミニウム(例えばトリイソブチルアルミニウム)の加水分解によって製造することができる。MMAOは一般的には脂肪族溶媒中により一層可溶であり且つより一層貯蔵安定性が高い。アルモキサン及び変性アルモキサンを調製するための様々な方法があり、その非限定的な例は、米国特許第4665208号、同第4952540号、同第5091352号、同第5206199号、同第5204419号、同第4874734号、同第4924018号、同第4908463号、同第4968827号、同第5308815号、同第5329032号、同第5248801号、同第5235081号、同第5157137号、同第5103031号、同第5391793号、同第5391529号、同第5693838号、同第5731253号、同第5731451号、同第5744656号、同第5847177号、同第5854166号、同第5856256号及び同第5939346号各明細書並びに欧州特許公開第0561476A号、同第0279586B1号、同第0594218A号及び同第0586665B1号の各公報、並びに国際公開WO94/10180号及び同WO99/15534号の各パンフレット(これらすべてを参考用に本明細書に取り入れる)に記載されている。別のアルモキサンは、3Aタイプの変性メチルアルモキサン(MMAO)助触媒(Modified Methylalumoxane type 3Aの商品名でAkzo Chemicals社から商品として入手でき、米国特許第5041584号明細書に開示されている)である。
【0081】
活性剤として用いることができるアルミニウムアルキル又は有機アルミニウム化合物には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム等が包含される。
【0082】
イオン化用活性剤
中性又はイオン性のイオン化用活性剤又は化学量論的活性剤、例えばトリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリスペルフルオロフェニルホウ素メタロイド前駆体若しくはトリスペルフルオロナフチルホウ素メタロイド前駆体、ポリハロゲン化ヘテロボランアニオン(国際公開WO98/43983号パンフレット)、ホウ酸(米国特許第5942459号明細書)又はそれらの組み合わせ物を用いることも、本発明の範囲内である。また、中性又はイオン性活性剤を単独で用いること及びアルモキサン又は変性アルモキサン活性剤と組み合わせて用いることも、本発明の範囲内である。
【0083】
中性化学量論的活性剤の例には、三置換されたホウ素、テルル、アルミニウム、ガリウム及びインジウム又はそれらの混合物が包含される。3つの置換基はそれぞれ独立的にアルキル、アルケニル、ハロゲン、置換アルキル、アリール、アリールハライド、アルコキシ及びハライドから選択される。好ましくは、3つの置換基は独立的にハロゲン、単環若しくは多環(ハロ置換されたものを含む)アリール、アルキル及びアルケニル化合物並びにそれらの混合物から選択され、1〜20個の炭素原子を有するアルケニル基、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基及び3〜20個の炭素原子を有するアリール基(置換アリールを含む)が好ましい。これら3つの基は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、ナフチル又はそれらの混合物であるのがより一層好ましい。これら3つの基は、ハロゲン化(好ましくはフッ素化)されたアリール基であるのがさらにより一層好ましい。特に好ましくは、中性化学量論的活性剤は、トリスペルフルオルフェニルホウ素又はトリスペルフルオルナフチルホウ素である。
【0084】
イオン性化学量論的活性剤化合物は、このイオン化用化合物の残りのイオンと連結ししかし該イオンに配位せずに又は緩く配位しただけの活性プロトン又は他のある種のカチオンを含有することができる。かかる化合物及び類似物は、欧州特許公開第0570982A号、同第0520732A号、同第0495375A号、同第0500944B1号、同第0277003A号及び同第0277004A号各公報、並びに米国特許第5153157号、同第5198401号、同第5066741号、同第5206197号、同第5241025号、同第5384299号及び同第5502124号各明細書、並びに1994年8月3日付け米国特許出願第08/285380号明細書(参考用にこれらを本明細書に取り入れる)に記載されている。
【0085】
担体、キャリアー及び一般的担持技術
特定的な実施態様において、本発明の触媒組成物は、担体材料若しくはキャリアーを含むことができ、担持された活性剤を含むのが好ましい。例えば、触媒組成物成分、好ましくは活性剤化合物及び/又は触媒化合物は、担体又はキャリアー上に乗せられ、それらと接触され、それらと共に気化され、それらに結合され、又はそれらの内部に組み込まれ、それらの中若しくは上に吸着若しくは吸収される。
【0086】
さらに、前記のように、第15族原子及び金属含有化合物を調製する際に本明細書に記載したように1種以上の担体材料を第15族原子及び金属含有化合物触媒前駆体と一緒にすることができる。
【0087】
担体材料
担体材料は、任意の慣用の担体材料である。好ましくは、被担持材料は、多孔質担体材料、例えばタルク、無機酸化物及び無機塩化物である。その他の担体材料には、ポリスチレンのような樹脂状担体材料、ポリスチレン、ジビニルベンゼン、ポリオレフィン若しくはポリマー状化合物のような官能化され若しくは架橋された有機担体、ゼオライト、クレー又はその他の任意の有機若しくは無機担体材料等、又はそれらの混合物が包含される。
【0088】
好ましい担体材料は、第2、3、4、5、13又は14族金属酸化物を含む無機酸化物である。好ましい担体には、シリカ(脱水されていても脱水されていなくてもよい)、ヒュームドシリカ、アルミナ(国際公開WO99/60033号パンフレット)、シリカ−アルミナ及びそれらの混合物が包含される。その他の有用な担体には、マグネシア、チタニア、ジルコニア、塩化マグネシウム(米国特許第5965477号明細書)、モンモリロナイト(欧州特許公開第0511665B1号公報)、層状ケイ酸塩、ゼオライト、タルク、クレー(米国特許第6034187号明細書)等が包含される。また、これらの担体材料の組合せ物、例えばシリカ−クロム、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア等を用いることもできる。追加の担体材料には、欧州特許公開第0767184B1号公報(参考用に本明細書に取り入れる)に記載された多孔質アクリルポリマーが包含され得る。その他の担体材料には、国際公開WO99/47598号パンフレットに記載されたようなナノ複合材料、国際公開WO99/48605号パンフレットに記載されたようなエーロゲル、米国特許第5972510号明細書に記載されたような球晶及び国際公開WO99/50311号パンフレットに記載されたようなポリマービーズが包含される(これらすべてを参考用に本明細書に取り入れる)。
【0089】
担体(特に好ましくは無機酸化物)は、約10〜約700m2/gの範囲の表面積、約0.1〜約4.0cc/gの範囲の孔容積及び約5〜約500μmの範囲の平均粒子寸法を有するのが好ましい。より一層好ましくは、担体材料の表面積は約50〜約500m2/gの範囲であり、孔容積は約0.5〜約3.5cc/gの範囲であり、平均粒子寸法は約10〜約200μmの範囲である。特に好ましくは、担体材料の表面積は約100〜400m2/gの範囲であり、孔容積は約0.8〜約3.0cc/gの範囲であり、平均粒子寸法は約5〜約100μmの範囲である。本発明のキャリアーの平均孔寸法は、10〜1000Åの範囲であるのが典型的であり、50〜約500Åの範囲であるのが好ましく、75〜約350Åの範囲であるのが特に好ましい。
【0090】
この担体材料は、化学的に処理、例えば国際公開WO00/12565号パンフレット(参考用に本明細書に取り入れる)に記載されたようにフッ化物化合物で処理されたものであってもよい。その他の担持された活性剤は、例えば国際公開WO00/13792号パンフレットに記載されており、これには担持されたホウ素含有固体状酸錯体が言及されている。
【0091】
好ましい実施態様において、商品名Cabosil(商品名)TS-610としてCabot社から入手できるヒュームドシリカを成核剤として又は後述する触媒成分スラリー中の粘度増加剤として用いる。ヒュームドシリカは、典型的には、寸法7〜30nmの粒子であって且つ表面のヒドロキシル基の大部分がキャップされるようにジメチルシリルジクロリドで処理されたシリカである。別の実施態様において、用いられるヒュームドシリカは、40ミクロン未満、好ましくは20ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満の粒子寸法を有する。
【0092】
担持された触媒組成物成分を形成させる好ましい方法において、活性剤を存在させる液体の量は、担体材料の孔容積の4倍未満の量であるのが好ましく、3倍未満の量であるのがより一層好ましく、2倍未満の量であるのがさらにより一層好ましい。好ましい範囲は1.1倍〜3.5倍の範囲であり、特に好ましくは1.2〜3倍の範囲である。別の実施態様においては、活性剤を存在させる液体の量を、担持された活性剤を形成させるに当たって用いられる担体材料の孔容積以下とする。
【0093】
多孔質担体の総孔容積を測定するための手順は、当技術分野においてよく知られている。これらの手順の内の1つのものの詳細は、Experimental Methods in Catalytic Research、Volume 1(Academic Press社、1968年)に議論されている(特に第67〜96頁を見よ)。この好ましい手順においては、窒素吸収のための古典的なBET装置が使用される。当技術分野においてよく知られている別の方法は、Innes、Total Porosity and Particle Density of Fluid Catalysts By Liquid Titration、Vol. 28、No. 3、Analytical Chemistry 332-334(1956年3月)に記載されたものである。
【0094】
噴霧乾燥された触媒組成物
別の実施態様において、担体が1種以上の活性剤と組み合わされ、噴霧乾燥されて、担持された活性剤が形成される。好ましい実施態様において、ヒュームドシリカがメチルアルモキサンと組み合わされ、噴霧乾燥されて、担持されたメチルアルモキサンが形成される。好ましくは、担体がアルモキサンと組み合わされ、噴霧乾燥され、次いで鉱油中に入れられて、本発明において有用なスラリーを形成する。
【0095】
別の実施態様においては、上記の触媒化合物が任意の担体材料及び/又は任意の活性剤と一緒にされ、噴霧乾燥された後に、スラリー希釈剤と一緒にされた。
【0096】
別の実施態様においては、好ましくは触媒化合物(又は前駆体)及び/又は活性剤が粒状フィラー材料のような担体材料と組み合わされ、次いで噴霧乾燥されて、好ましくは自由流動性粉体を形成する。噴霧乾燥は、当技術分野において周知の任意の手段によることができる。欧州特許公開第0668295B1号公報、米国特許第5674795号明細書及び同第5672669号明細書、並びに1999年12月16日付け米国特許出願第09/464114号の明細書を参照されたい。これらは特に担持された触媒の噴霧乾燥を記載している。一般的に、触媒化合物及び任意の活性剤を溶液状にし(、所望ならば触媒化合物及び活性剤を反応させ)、次いでシリカ又はヒュームドシリカ、例えばGASIL(商品名)又はCabosil(商品名)等を添加し、次いでその溶液を高圧においてノズルを通すことによって触媒を噴霧乾燥させることができる。前記溶液は、表面上に吹き付けることもでき、液滴が空中で乾燥するように噴霧することもできる。一般的に採用される方法は、シリカをトルエン中に分散させ、活性剤溶液中で撹拌し、次いで触媒前駆体溶液中で撹拌するものである。典型的なスラリー濃度は約5〜8重量%である。この配合物は、噴霧乾燥する前に懸濁液として保つためには穏やかに撹拌し又は手で振り混ぜることによって、30分ほどもの長さの時間の間スラリーとしてあることができる。1つの好ましい実施態様において、乾燥材料の構成は、活性剤(好ましくはアルモキサン)約40〜50重量%、SiO250〜60重量%及び触媒化合物約2重量%までである。
【0097】
別の実施態様において、触媒化合物を含有する溶液にGASIL(商品名)又はCabosil(商品名)等のヒュームドシリカを、前記溶液を触媒成分スラリーに添加する時又は重合反応器中に注入する時にヒュームドシリカが「現場噴霧」乾燥用のテンプレートとしての働きをするように、添加することができる。
【0098】
簡単な触媒化合物混合物については、2種以上の触媒化合物を最後の工程において所望の比で一緒に添加することができる。別の実施態様においては、もっと複雑な手順も可能であり、例えば第1の触媒化合物を活性剤/フィラー混合物に特定の反応時間tの間添加し、次いで第2の触媒化合物溶液を添加して別の特定時間xの間混合し、その後に混合物を一緒に噴霧する。最後に、第1の金属触媒化合物を添加する前に活性剤/フィラー混合物中に約10容量%の1−ヘキセンのような別の添加剤を存在させることができる。
【0099】
別の実施態様においては、混合物にバインダーが添加される。これらは粒子の形態学的特徴を改善する手段として、即ち粒子寸法分布を狭くし、粒子の多孔度を低くし、アルモキサンの量を減らすことを可能にする手段として添加することができ、これは「バインダー」としての働きをする。
【0100】
別の実施態様においては、メタロセン化合物及び任意の活性剤の溶液を別のスラリー化された噴霧乾燥触媒化合物と一緒にし、次いで反応器中に導入することができる。
【0101】
噴霧乾燥された粒子は一般的に鉱油スラリーとして重合反応器中に供給される。オイル中の固形分濃度は。約10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%とする。ある実施態様において、噴霧乾燥された粒子は、従来の担持触媒が約50μmの寸法であるのと比較して、寸法約10μm未満〜約100μmまでであることができる。好ましい実施態様において、担体は、約1〜50ミクロン、好ましくは10〜40ミクロンの平均粒子寸法を有する。
【0102】
本発明の触媒組成物を調製するためには、前記の触媒成分は、触媒成分スラリー状及び/又は触媒成分溶液状で使用される。本明細書においてスラリーとは、液体中の固体(多孔質であっても多孔質でなくてもよい)の懸濁液と定義される。触媒成分が一緒にされて触媒組成物を形成し、これが次いで重合反応器中に導入される。特定的な実施態様においては、触媒成分スラリー及び触媒成分溶液が一緒にされて触媒組成物を形成し、これが次いで重合反応器中に導入される。
【0103】
触媒成分スラリー
1つの実施態様において、触媒成分スラリーは、活性剤及び担体、又は担持された活性剤を含む。別の実施態様において、触媒成分スラリーは、ヒュームドシリカを含む。別の実施態様において、前記スラリーはまた、活性剤及び担体及び/又は担持された活性体に加えて、触媒化合物を含む。1つの実施態様において、スラリー中の触媒化合物は、担持されている。
【0104】
別の実施態様において、前記スラリーは、1種以上の活性剤及び担体及び/又は担持された活性剤及び/又は1種以上の触媒化合物を含む。例えば、前記スラリーは、2種以上の活性剤(例えば担持されたアルモキサン及び変性アルモキサン)並びに触媒化合物を含むことができ、また、前記スラリーは、担持された活性剤及び1種より多くの触媒化合物を含むことができる。好ましくは、前記スラリーは、担持された活性剤及び2種の触媒化合物を含む。
【0105】
別の実施態様において、前記スラリーは、担持された活性剤及び2種の異なる触媒化合物を含み、これらは別々に又は組合せとしてスラリーに添加することができる。
【0106】
別の実施態様においては、担持されたアルモキサンを含有する前記スラリーを触媒化合物と接触させて反応させ、その後にスラリーを別の触媒化合物と接触させる。別の実施態様においては、担持されたアルモキサンを含有する前記スラリーを2種の触媒化合物と同時に接触させて反応させる。
【0107】
別の実施態様においては、スラリー中における活性剤中の金属対触媒化合物中の金属のモル比は、1000:1〜0.5:1、好ましくは300:1〜1:1、より一層好ましくは150:1〜1:1とする。
【0108】
別の実施態様において、前記スラリーは、当技術分野において周知の任意の不活性粒状キャリアー材料であることができる担体材料、例えばシリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、クレー、タルク又はその他の上記のような担体材料を含有する。好ましい実施態様において、前記スラリーは、上記のもののような担持された活性剤、好ましくはシリカ担体上のメチルアルモキサン又は変性メチルアルモキサンを含有する。
【0109】
本発明の方法において用いられる触媒成分スラリーは、典型的には、触媒成分、好ましくは担体、活性剤及び随意に触媒化合物を液状希釈剤中に懸濁させることによって調製される。液状希釈剤は、典型的には3〜60個の炭素原子を有するアルカン、好ましくは5〜20個の炭素原子を有するアルカン、好ましくは分岐鎖状アルカン、又は鉱油若しくはシリコーンオイルのような有機組成物である。用いる希釈剤は、重合条件下において液状であり且つ比較的不活性であるものが好ましい。スラリー中の成分群の濃度は、所望の比の触媒化合物対活性剤、及び/又は触媒化合物対触媒化合物が反応器中に供給されるように調節する。
【0110】
典型的には、触媒化合物及び担体及び活性剤、又は担持された活性剤、及びスラリー希釈剤を、触媒化合物の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくと75%、好ましくは少なくとも80%、より一層好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは梳くなとも99%が担体中又は上に付着するのに充分な時間、互いに接触させておく。1つの実施態様においては、本発明の触媒供給システム中で使用する前に触媒成分スラリーを調製する。混合させておく時間は、10時間まで、典型的には6時間まで、より一層典型的には4〜6時間とする。本発明の1つの実施態様において、触媒化合物をスラリーに添加した後に時間が経つ内にスラリーの液体部分中の触媒化合物の濃度が低下したら、触媒化合物が担体中又は上にあると見なされる。液状希釈剤中の触媒化合物の濃度は、例えば、当技術分野において周知のように、誘電結合プラズマ分光分析(ICPS)又は紫外線(UV)分光分析により、そして好適な濃度で用意した検量線により標準化した後に、測定することができる。例えば、(担体を含まない)液体中の触媒化合物の濃度がその所期濃度から70%低下した場合には、触媒化合物の70%が担体中又は上に付着したと見なされる。
【0111】
1つの実施態様において、触媒化合物は、溶液、スラリー又は粉体としてスラリーに添加することができる。触媒成分スラリーは、本発明の重合方法において用いる前に調製することができ、また、インライン式で触媒成分スラリーを調製することもできる。
【0112】
1つの実施態様において、前記スラリーは、触媒成分群、例えば触媒又は担持された触媒及び担体及び活性剤又は担持された活性剤をすべて一度に組み合わせることによって、調製される。別の実施態様において、スラリーは、最初に担体材料を添加し、次いで触媒と活性剤成分との組合せ物を添加することによって調製される。
【0113】
別の実施態様において、前記スラリーは、担持された活性剤及び少なくとも1種の触媒化合物を含み、該触媒化合物が溶液としてスラリーと一緒にされたものである。好ましい溶媒は鉱油である
【0114】
別の実施態様においては、アルモキサン、好ましくはメチルアルモキサン又は変性メチルアルモキサンを焼成シリカ又はヒュームドシリカのような担体と一緒にして担持された活性剤を形成させ、この担持された活性剤を次いで脱ガスした鉱油のような液体中に分散させ、次いでこの分散体に1種以上の触媒化合物を添加して混合して触媒成分スラリーを形成させる。触媒化合物は、好ましくは固体、粉体、溶液又はスラリーとして、好ましくは鉱油のスラリーとして、前記分散体に添加される。1種より多くの触媒化合物を分散体に添加する場合には、これら触媒化合物を順番に又は同時に添加することができる。
【0115】
別の実施態様においては、触媒化合物を固体又は粉体形状でスラリーに加える。好ましい実施態様においては、第15族含有触媒化合物を固体又は粉体形状でスラリーに加える。別の好ましい実施態様においては、[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NHZrBz2及び/又は[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NHHfBz2を粉体としてスラリーに加える。
【0116】
好ましい実施態様において、触媒成分スラリーは鉱油を含み、(雰囲気が湿気及び酸素を実質的に含まないように、即ちそれぞれ数ppmv未満となるように)窒素パージされたドライボックス中に収納されたBrookfield LVDV-III型レオメーターを用いて測定して、20℃において約130〜約2000cP、より一層好ましくは20℃において約180〜約1500cP、さらにより一層好ましくは20℃において約200〜約800cPの粘度を有する。触媒成分スラリーは、窒素パージされたドライボックス中で作られ、試験開始時にそれらが充分に浮遊していることを保証するために、粘度測定を行う直前まで密閉ガラス容器中で回転せしめられる。粘度計の温度は、粘度計中に熱移動流体を循環させる外的温度浴によって調節される。レオメーターには、ユニットの利用ガイドに明記されたような試験材料用の好適なスピンドルを取り付けた。典型的には、SC4−34又はSC4−25スピンドルを用いた。データ分析は、Rheocalc V1.1ソフトウェア(1995年、Brookfield Engineering Laboratories社)(好ましくはユニットと共に購入して用いるもの)を用いて行った。
【0117】
1つの実施態様において、触媒成分スラリーは、担持された活性剤及び上記の式I〜IXに記載した1種以上の触媒化合物又はその組合せを含む。
【0118】
別の実施態様において、触媒成分スラリーは、担持された活性剤及び上記の式I又はIIで表わされる1種以上の第15族触媒化合物又はその組合せを含む。
【0119】
別の実施態様において、触媒成分スラリーは、担持された活性剤及び上記の式III〜VIで表わされる1種以上のメタロセン触媒化合物又はその組合せを含む。
【0120】
別の実施態様において、触媒成分スラリーは、担持された活性剤、上記の式I又はIIで表わされる第15族触媒化合物及び式III〜VIで表わされるメタロセン触媒化合物を含む。
【0121】
別の実施態様において、スラリーは、担持されたアルモキサン及び[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NHMBz2(ここで、Mは第4族金属であり、各Bzは独立してベンジル基であり、そしてMeはメチルである)を含む。
【0122】
別の実施態様において、スラリーは、担持されたアルモキサン、第15族触媒化合物及び以下のものの内の1つを含む:ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)−MX2、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(n−プロピルシクロペンタジエニル)MX2、ビス(インデニル)−MX2又は(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−プロピルシクロペンタジエニル)MX2(ここで、Mはジルコニウム、ハフニウム又はチタンであり、Xは塩素、臭素又はフッ素である)。
【0123】
下記の本発明の重合方法においては、上記の任意の触媒成分含有スラリーを、下記の任意の触媒成分含有溶液と組み合わせることができる。さらに、1種より多くの触媒成分含有スラリーを用いることもできる。
【0124】
触媒成分溶液
1つの実施態様において、触媒成分溶液は、触媒化合物を含む。別の実施態様において、この溶液は、触媒化合物に加えて活性剤をも含む。
【0125】
本発明の方法において用いられる溶液は、典型的には触媒化合物及び任意の活性剤を液状溶媒中に溶解させることによって調製される。液状溶媒は、典型的にはアルカン、例えばC5〜C30アルカン、好ましくはC5〜C10アルカンである。また、シクロヘキサンのような環状アルカン及びトルエンのような芳香族化合物を用いることもできる。さらに、鉱油を溶媒として用いることもできる。用いられる溶液は、重合条件下において液状であり且つ比較的不活性なものである。1つの実施態様において、触媒化合物溶液中に用いられる液体は、触媒成分スラリー中に用いられる希釈剤とは異なるものである。別の実施態様において、触媒化合物溶液中に用いられる液体は、触媒成分溶液中に用いられる希釈剤と同じものである。
【0126】
好ましい実施態様において、活性剤中の金属対溶液中の触媒化合物中の金属の比は、1000:1〜0.5:1、好ましくは300:1〜1:1、より一層好ましくは150:1〜1:1とする。
【0127】
好ましい実施態様において、活性剤及び触媒化合物は、溶媒及び活性剤又は触媒化合物の重量を基準として約90重量%まで、好ましくは約50重量%まで、好ましくは約20重量%まで、好ましくは約10重量%まで、より一層好ましくは約5重量%まで、より一層好ましくは1重量%未満、より一層好ましくは100ppm〜1重量%の範囲の割合で、溶液中に存在させる。
【0128】
1つの実施態様において、触媒成分溶液は、上記の式I〜IXに記載したいずれか1種の触媒化合物を含む。
【0129】
別の実施態様において、触媒成分溶液は、上記の式I又はIIで表わされる第15族触媒化合物を含む。
【0130】
別の実施態様において、触媒成分溶液は、上記の式III〜VIで表わされるメタロセン触媒化合物を含む。
【0131】
好ましい実施態様において、該溶液は、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)−MX2、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(n−プロピルシクロペンタジエニル)MX2、ビス(インデニル)−MX2、(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−プロピルシクロペンタジエニル)MX2(ここで、Mは第4族金属、好ましくはジルコニウム、ハフニウム又はチタンであり、Xは塩素、臭素又はフッ素である)を含む。
【0132】
以下に記載する本発明の重合方法においては、上記の任意の触媒成分含有溶液を、上記の任意の触媒成分含有スラリー(群)と組み合わせることができる。さらに、1種より多くの触媒成分含有溶液を用いることもできる。
【0133】
触媒組成物は、触媒化合物を上記の他の触媒成分と一緒にすることによって形成させることができる。かかる組成物は、スラリー及び/又は溶液として配合することができる。触媒組成物は、重合反応器中に導入して1種以上のオレフィンと一緒にすることができる。
【0134】
特定の実施態様において、本発明の触媒組成物は、上記のいずれかの触媒成分スラリーと上記のいずれかの触媒成分溶液とを組み合わせることによって形成させることができる。一般的に、本発明の方法においては、触媒成分スラリーと触媒成分溶液とを組み合わせて最終触媒組成物を形成させ、これを次いで重合反応器中に導入し、1種以上のオレフィンと一緒にする。好ましくは、触媒成分スラリー及び触媒成分溶液を連続的に混合して重合反応器中に導入する。
【0135】
1つの実施態様においては、前記スラリーに少なくとも1種の担体及び少なくとも1種の活性剤、好ましくは担持された活性剤を含有させ、前記溶液に少なくとも1種の触媒化合物を含有させる。
【0136】
別の実施態様においては、触媒成分スラリーに担体及び活性剤並びに/又は担持された活性剤を含有させ、触媒成分溶液に少なくとも1種の触媒化合物及び少なくとも1種の活性剤を含有させる。
【0137】
1つの実施態様においては、前記スラリーに少なくとも1種の担体及び少なくとも1種の活性剤、好ましくは担持された活性剤を含有させ、前記溶液に1種以上の触媒化合物及び/又は1種以上の活性剤化合物を含有させる。
【0138】
別の実施態様においては、触媒成分スラリーに1種より多くの担体、活性剤及び/又は担持された活性剤を含有させ、触媒成分溶液に少なくとも1種の触媒化合物を含有させる。
【0139】
別の実施態様においては、触媒成分スラリーに1種より多くの担体、活性剤及び/又は担持された活性剤を含有させ、触媒成分溶液に少なくとも1種の触媒化合物及び少なくとも1種の活性剤を含有させる。
【0140】
別の実施態様においては、触媒成分スラリーに1種より多くの担体、活性剤及び/又は担持された活性剤を含有させ、触媒成分溶液に1種以上の触媒化合物及び/又は1種以上の活性剤化合物を含有させる。
【0141】
別の実施態様においては、触媒成分スラリーに担体、活性剤及び/又は担持された活性剤を含有させ且つ触媒化合物及び/又は担持された触媒化合物をも含有させ、触媒成分溶液に少なくとも1種の触媒化合物を含有させる。
【0142】
別の実施態様においては、触媒成分スラリーに担体、活性剤及び/又は担持された活性剤を含有させ且つ触媒化合物及び/又は担持された触媒化合物をも含有させ、触媒成分溶液に少なくとも1種の触媒化合物及び少なくとも1種の活性剤を含有させる。
【0143】
別の実施態様においては、触媒成分スラリーに担体、活性剤及び/又は担持された活性剤を含有させ且つ触媒化合物及び/又は担持された触媒化合物をも含有させ、触媒成分溶液に1種以上の触媒化合物及び/又は1種以上の活性剤化合物を含有させる。
【0144】
別の実施態様においては、触媒成分スラリーに担体、活性剤及び/又は担持された活性剤並びに1種より多くの触媒化合物及び/又は担持された触媒化合物を含有させ、触媒成分溶液に少なくとも1種の触媒化合物を含有させる。
【0145】
別の実施態様においては、触媒成分スラリーに担体、活性剤及び/又は担持された活性剤並びに1種より多くの触媒化合物及び/又は担持された触媒化合物を含有させ、触媒成分溶液に少なくとも1種の触媒化合物及び少なくとも1種の活性剤を含有させる。
【0146】
別の実施態様においては、触媒成分スラリーに担体、活性剤及び/又は担持された活性剤並びに1種より多くの触媒化合物及び/又は担持された触媒化合物を含有させ、触媒成分溶液に1種以上の触媒化合物及び/又は1種以上の活性剤化合物を含有させる。
【0147】
別の実施態様においては、触媒成分スラリーに1種より多くの担体、活性剤及び/又は担持された活性剤並びに1種より多くの触媒化合物及び/又は担持された触媒化合物を含有させ、触媒成分溶液に少なくとも1種の触媒化合物を含有させる。
【0148】
別の実施態様においては、触媒成分スラリーに1種より多くの担体、活性剤及び/又は担持された活性剤並びに1種より多くの触媒化合物及び/又は担持された触媒化合物を含有させ、触媒成分溶液に少なくとも1種の触媒化合物及び少なくとも1種の活性剤を含有させる。
【0149】
別の実施態様においては、触媒成分スラリーに1種より多くの担体、活性剤及び/又は担持された活性剤並びに1種より多くの触媒化合物及び/又は担持された触媒化合物を含有させ、触媒成分溶液に1種以上の触媒化合物及び/又は1種以上の活性剤化合物を含有させる。
【0150】
1つの実施態様において、触媒成分スラリーと触媒成分溶液とを組み合わせることによって形成される触媒組成物は、20℃において約130〜約2000cPの粘度、より一層好ましくは20℃において約180〜約1500cPの粘度、さらにより一層好ましくは20℃において約200〜約800cPの粘度を有する。
【0151】
別の実施態様において、触媒成分溶液は、触媒成分溶液及び触媒成分スラリーの重量を基準として、該溶液と該スラリーとの組合せの80重量%まで、好ましくは50重量%まで、好ましくは20重量%まで、好ましくは15重量%まで、より一層好ましくは1〜10重量%、より一層好ましくは3〜8重量%を占める。別の好ましい実施態様において、触媒成分溶液は鉱油を含み、触媒成分溶液及び触媒成分スラリーの重量を基準として、該溶液と該スラリーとの組合せの90重量%まで、好ましくは80重量%まで、より一層好ましくは1〜50重量%の範囲、より一層好ましくは1〜20重量%の範囲を占める。
【0152】
1つの実施態様においては、触媒成分スラリーをスラリー供給装置(フィーダー)を用いて重合反応器に供給する。別の実施態様においては、触媒成分スラリー及び触媒成分溶液を含む触媒組成物をスラリー供給装置を用いて重合反応器に供給する。スラリー供給装置は例えば米国特許第5674795号明細書(参考用に本明細書に取り入れる)に記載されている。
【0153】
1つの実施態様においては、触媒化合物を含む触媒成分溶液と触媒成分スラリーとを、触媒成分溶液中に元々存在する触媒化合物の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より一層好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%が担体中又は担体上に付着するように、接触させる。
【0154】
別の実施態様においては、メタロセン触媒化合物を含む触媒成分溶液と担体及び活性剤(好ましくは担持された活性剤)を含む触媒成分スラリーとを接触させて、固定化触媒組成物を形成させる。接触後に、触媒成分溶液からの触媒化合物のすべて又は実質的にすべて、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より一層好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%が、触媒成分スラリー中に最初に含有される担体中又は担体上に付着せしめられる。1つの実施態様において、溶液からの触媒化合物を添加した後に組合せ物の液体部分中の触媒化合物の濃度が経時的に低下した場合には、触媒化合物は担体中又は担体上にあると考えられる。触媒濃度は、上記のようにして測定することができる。
【0155】
別の実施態様において、担持された活性剤は鉱油中にあり、これは次いで反応器に触媒組成物を導入する前にメタロセン触媒と接触せしめられ、好ましくはこの接触はインライン式で行われる。
【0156】
別の実施態様においては、固定化触媒組成物系又はその成分を、国際公開WO00/02930号及び国際公開WO00/02931号(これらを参考用に本明細書に取り入れる)に記載されたようにカルボン酸金属塩と接触させることができる。
【0157】
別の実施態様においては、溶液に触媒化合物を含ませ、スラリーに担持されたアルモキサンのような担持された活性剤及び溶液中の触媒化合物と同じであっても異なっていてもよい2種以上の触媒化合物を含ませる。この2種の触媒化合物は、担持された活性剤の前又は後にスラリーに加えることができる。好ましい実施態様においては、担持された活性剤を最初に液状希釈剤に加えてスラリーを形成させ、次いで触媒化合物をこのスラリーに加え、その後に別の触媒化合物をこのスラリーに加える。第1の触媒化合物と担持された活性剤とを少なくとも1分間、好ましくは少なくとも15分間、より一層好ましくは少なくとも30分間、より一層好ましくは少なくとも60分間、より一層好ましくは少なくとも120分間、より一層好ましくは少なくとも360分間接触させた後に、第2の触媒を加えるのが好ましい。
【0158】
別の実施態様においては、2種の触媒化合物を同じ溶液又は別の溶液中で同時にスラリーに加える。別の実施態様においては、スラリー中に入れる前に触媒化合物を担持されていない活性剤と接触させる。好ましい実施態様においては、担持されていない活性剤は変性又は未変性アルモキサン(例えばメチルアルモキサン)である。
【0159】
別の実施態様においては、触媒化合物を金属化合物の構成部分及びリガンド中で溶液又はスラリーに加えることができる。例えば、シクロペンタジエニル基、例えば置換又は非置換シクロペンタジエン、インデン、フルオレン基及び金属化合物、例えば四ハロゲン化ジルコニウムをスラリー若しくは溶液に又はそれら両方に加えて、その中で反応させることができる。同様に、すでに触媒化合物を含有させた溶液及び/又はスラリーに金属化合物及び/又はリガンドを加えることもできる。この金属化合物及びリガンドは、溶液又はスラリー中の触媒化合物の成分と同じものであっても異なるものであっていてもよい。別の実施態様において、リガンド及び/又は金属化合物を溶液及びスラリーの両方に加えることができる。
【0160】
別の実施態様において、触媒組成物は、「ビスアミド」触媒化合物(即ち、D.H. McConvilleらによりOrganometallics 1195, 14, 5478-5480に記載された架橋されたビス(アリールアミド)第4族化合物又は国際公開WO96/27439号に記載された架橋されたビス(アミド)触媒化合物)を活性剤と一緒にし、スプレードライして粉体状にし、次いで鉱油と一緒にしてスラリーを形成させたものを含むことができる。この組合せ物を次いで様々な触媒成分溶液と一緒にして、特に活性なマルチ触媒系を形成させることができる。好ましい触媒化合物には、メタロセン触媒のような上記のものが包含される。別の好ましい実施態様においては、スラリーには担持された活性剤を含ませ、溶液には触媒化合物を含ませる。触媒化合物は、メタロセンを含む上記の様々な触媒化合物から選択することができる。
【0161】
別の実施態様においては、スラリーに[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NHZrBz2又は[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NHHfBz2(ここで、各Bzは独立してベンジル基であり、Meはメチルである)を含ませ、溶液にはビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)−MX2、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(n−プロピルシクロペンタジエニル)MX2、ビス(インデニル)−MX2又は(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−プロピルシクロペンタジエニル)MX2(ここで、Mはジルコニウム、ハフニウム又はチタンであり、Xは塩素、臭素又はフッ素である)を含ませる。
【0162】
別の実施態様においては、溶液に[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NHZrBz2又は[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NHHfBz2(ここで、各Bzは独立してベンジル基であり、Meはメチルである)を含ませ、スラリーに:(1)担持されたアルモキサン及び(2)ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)−MX2、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(n−プロピルシクロペンタジエニル)MX2、ビス(インデニル)−MX2又は(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−プロピルシクロペンタジエニル)MX2(ここで、Mはジルコニウム、ハフニウム又はチタンであり、Xは塩素、臭素又はフッ素である)を含ませる。
【0163】
別の実施態様においては、スラリーに:(1)担持されたアルモキサン及び(2)ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)−MX2、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(n−プロピルシクロペンタジエニル)MX2、ビス(インデニル)−MX2又は(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−プロピルシクロペンタジエニル)MX2(ここで、Mはジルコニウム、ハフニウム又はチタンであり、Xは塩素、臭素又はフッ素である)及び(3) [(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NHZrBz2又は[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NHHfBz2を含ませ、溶液にメタロセン化合物を含ませる。
【0164】
別の実施態様においては、スラリーに鉱油及びスプレードライされた触媒化合物を含ませる。別の実施態様において、スプレードライされた触媒化合物は、第15族含有金属化合物である。好ましい実施態様において、スプレードライされた触媒化合物は、[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NHZrBz2又はそのハフニウム類似体を含む。
【0165】
別の実施態様においては、スラリー希釈剤と一緒にする前又はその後に、触媒化合物と担持された活性剤とを一緒にすることができる。
【0166】
別の実施態様においては、溶液にビスインデニルジルコニウムジクロリド、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド又はそれらの混合物を含ませる。
【0167】
別の実施態様においては、第1の触媒化合物をスラリー中で担持された活性剤と一緒にし、第2の触媒化合物及び活性剤を溶液中で一緒にし、その後にこれら2つをインライン式で混合する。別の実施態様においては、一方の活性剤はアルモキサンであり、もう一方の活性剤はホウ素をベースとする活性剤である。
【0168】
別の実施態様においては、スラリーに鉱油、スプレードライされた[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NHZrBz2を含ませ、溶液にビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを含ませる。
【0169】
本発明の1つの実施態様においては、スラリーに担持された活性剤及び触媒化合物を含ませ、溶液にスラリー中の触媒化合物とはどこかが違う触媒化合物を含ませる。例えば、スラリー触媒化合物が上記の式I又はIIで表わされる化合物であり、溶液触媒化合物が式III、IV、V、VI又はVIIで表わされる触媒化合物であることができ、また、その逆でもよい。
【0170】
別の実施態様において、2モードポリマー生成物が望まれる場合には、第1の触媒化合物をスラリー中で活性剤と混合し、次いでオンラインで同じ活性剤で活性化させることができる別の触媒化合物の溶液を加える。それぞれの触媒が少なくとも一方のポリマー種を生成させると仮定すると、2種の触媒化合物が独立した供給ライン中に導入されるので、最終2モード生成物中の2つの種の量を調節することがより容易になる。
【0171】
別の実施態様においては、第15族金属含有化合物及びメタロセン触媒化合物と担持されたアルモキサンとを本発明の方法において一緒にする。典型的には、2種の触媒化合物をスラリー中で担持されたアルモキサンと一緒にし、溶液は2種の触媒化合物の一方又はもう一方のトリム溶液を含む。
【0172】
別の実施態様においては、[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NHHfBz2及びビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドと担持されたメチルアルモキサンとを本発明の方法において一緒にする。典型的には、2種の触媒化合物をスラリー中で担持されたアルモキサンと一緒にし、溶液は2種の触媒化合物の一方又はもう一方を含む。この溶液は好ましくは、オンラインでスラリーと一緒にされる溶液の量を変化させることによって反応器中で生成される生成物を調節するためのトリム溶液として、即ち混合物をトリム(微調節)するために、用いいられる。1つの実施態様において、この触媒組合せ物は次いで、オレフィン(好ましくはエチレン)を80〜110℃の重合温度で且つほとんど又は全くコモノマー(例えばヘキサン)が存在しない下で重合させるために用いられる。
【0173】
別の実施態様においては、スラリー濃度を、スラリーの重量を基準として固形分0超〜90重量%、より一層好ましくは1〜50重量%、より一層好ましくは5〜40重量%、さらにより一層好ましくは10〜30重量%に保つ。別の好ましい実施態様においては、活性剤を担体上に約0.5〜約7ミリモル/g、好ましくは約2〜約6ミリモル/g、より一層好ましくは約4〜約5ミリモル/gの範囲の割合で存在させる。別の好ましい実施態様においては、担体(好ましくは担持された活性剤)上に存在させる触媒化合物の総量は、約1〜約40マイクロモル/g、好ましくは約10〜約38マイクロモル/g、より一層好ましくは30〜36マイクロモル/gとする。
【0174】
1つの実施態様においては、触媒化合物の金属対活性剤の金属の最終モル比(即ち溶液とスラリーとを組み合わせた後のモル比)は、約1000:1〜約0.5:1、好ましくは約300:1〜約1:1、より一層好ましくは約150:1〜約1:1の範囲とする;ボラン、ホウ酸塩及びアルミン酸塩等についてはこの比は約1:1〜約10:1であるのが好ましく、アルキルアルミニウム化合物(例えば水と組み合わされたジエチルアルミニウムクロリド)についてはこの比は約0.5:1〜約10:1であるのが好ましい。
【0175】
1つの実施態様において、スラリー中に用いられる触媒化合物は、溶液中に用いられる溶媒中に可溶ではないものである。「可溶ではない」とは、20℃において3分未満の撹拌で溶媒中に溶解する材料が5重量%以下、好ましくは1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、好ましくは0.01重量%以下であることを意味する。好ましい実施態様において、スラリー中に用いられる触媒化合物は、芳香族炭化水素中に少なくとも弱可溶性なだけである。特に好ましい実施態様において、スラリー中に用いられる触媒化合物は、鉱油、芳香族溶媒又は脂肪族炭化水素(ペンタン、ヘプタン等)中に可溶ではない。
【0176】
触媒組成物の送出
本発明の方法においては、触媒成分スラリーが触媒成分溶液と一緒にされ且つ/又は反応せしめられて、インライン式で触媒組成物を形成する。こうして形成される触媒組成物は、次いで重合反応器中に導入される。一般的に、触媒組成物は触媒供給システムを利用して反応器中に導入され、この触媒供給システムは、触媒成分スラリー保持容器、触媒成分溶液保持容器及びスラリー供給装置を含む。
【0177】
図1を参照すると、1つの実施態様においては、触媒成分スラリー、好ましくは少なくとも1種の担体及び少なくとも1種の活性剤、好ましくは少なくとも1種の担持された活性剤、及び随意としての触媒化合物を含む鉱油スラリーが、容器(A)に入れられる。好ましい実施態様において、(A)は固形分濃度を均一に保つために設計された撹拌型貯蔵槽である。溶媒と少なくとも1種の触媒化合物及び/又は活性剤とを混合することによって調製された触媒成分溶液が、容器(C)に入れられる。次いで触媒成分スラリーがインライン式で触媒成分溶液と一緒にされて、最終触媒組成物が形成される。シリカ、アルミナ、ヒュームドシリカ又は他の任意の粒状物質(B)のような成核剤を、前記スラリー及び/又は前記溶液にインライン式で又は容器(A)若しくは(C)中で加えてもよい。同様に、追加の活性剤又は触媒化合物をインラインで加えてもよい。好ましくは、触媒成分スラリー及び溶液をインライン式である地点(E)において所定時間混合する。例えば、静止式ミキサー又は撹拌容器を用いて前記溶液及びスラリーを混合することができる。触媒成分スラリー及び触媒成分溶液の混合は、溶液中に元々存在する触媒成分がスラリー中に元々存在する担持された活性剤中に浸透するように、触媒成分溶液中の触媒化合物を触媒成分スラリー中に分散させるのに充分な長くすべきである。それによる組合せ物は、担持された活性剤上の触媒化合物の均一な分散体となり、本発明の触媒組成物を形成する。スラリーと溶液とを接触させる時間の長さは、典型的には約120分まで、好ましくは約1〜約60分間、より一層好ましくは約5〜約40分間、さらにより一層好ましくは約10〜約30分間とする。
【0178】
別の実施態様においては、スラリーと溶液との混合物に、アルミニウムアルキル、エトキシル化されたアルミニウムアルキル、アルモキサン、帯電防止剤又はホウ酸塩活性剤、例えばC1〜C15アルキルアルミニウム(例えばトリイソブチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム等)、C1〜C15エトキシル化アルキルアルミニウム又はメチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、変性アルモキサン等をインライン式で加える。アルキル類、帯電防止剤、ホウ酸塩、活性剤及び/又はアルモキサンは、溶液及びスラリーの香味合わせ物に直接加えてもよく(F)、追加のアルカン(例えばイソペンタン、ヘキサン、ヘプタン及び/又はオクタン)キャリヤー流によって加えてもよい(G)。好ましくは、追加のアルキル、帯電防止剤、ホウ酸塩活性剤及び/又はアルモキサンは、約500ppmまで、より一層好ましくは約1〜約300ppm、より一層好ましくは10〜約300ppm、より一層好ましくは約10〜約100ppmの割合で存在させる。好ましいキャリヤー流は、イソペンタン及び/又はヘキサンを含む。アルカンは、スラリーと溶液との混合物に典型的には約0.5〜約60ポンド/時間(27kg/時間)の速度で加えることができる(G)。同様に、窒素、アルゴン、エタン、プロパン等のようなキャリヤーガスをスラリーと溶液との混合物にインライン式で加えてもよい(H)。典型的には、キャリヤーガスは、約1〜約100ポンド/時間(0.4〜45kg/時間)、好ましくは約1〜約50ポンド/時間(5〜23kg/時間)、より一層好ましくは約1〜約25ポンド/時間(0.4〜11kg/時間)の速度で加えることができる。
【0179】
別の実施態様においては、下降方向に動く溶液とスラリーとの組合せ中に液体キャリヤー流を導入することができる。溶液、スラリー及び液状キャリヤー流の混合物は、気体状キャリヤー流と接触させる前に混合のために随意としてのミキサー又は所定長さの管中に通すことができる。
【0180】
同様に、スラリーと溶液との混合物にヘキサン(又は他のα−オレフィン若しくはジオレフィン)をインライン式で加えることもできる(J)。次いで、スラリー/溶液の混合物を注入管(O)から反応器に通すのが好ましい(Q)。ある実施態様においては、注入管はスラリー/溶液の混合物をエーロゾル化することができるものである。好ましい実施態様において、注入管は、約1/16インチ〜約1/2インチ(0.16cm〜1.27cm)、好ましくは約3/16インチ〜約3/8インチ(0.5cm〜0.9cm)、より一層好ましくは1/4インチ〜約3/8インチ(0.6cm〜0.9cm)の直径を有するものである。
【0181】
1つの実施態様においては、循環ガス(リサイクルガスとも称される)をサポート管中に導入し(S)、別の実施態様においては、エチレンガスのようなモノマーガスをサポート管中に導入する。ヒュームドシリカのような成核剤(K)は、反応器に直接加えることができる。
【0182】
別の実施態様においては、プレナムを本発明において用いることができる。プレナムは、米国特許第5693727号明細書(参考用に本明細書に取り入れる)に詳細に記載された、流動床気相反応器中に微粒子が少ない帯域を作り出すために用いられる装置である。プレナムは、注入ノズルを1個、2個又はそれ以上有することができる。
【0183】
別の実施態様において、メタロセン触媒又は他の同様の触媒を気相反応器中で用いる場合、重合速度に影響を及ぼすために、酸素及び/又はフルオロベンゼンを、直接反応器に又はリサイクルガスに加えることができる。例えば、気相反応器において(酸素又はフルオロベンゼンに対して敏感な)メタロセン触媒を他の(酸素に対して敏感ではない)触媒と組み合わせて用いる場合、他の触媒の重合速度に対するメタロセン重合速度を変えるために酸素を用いることができる。かかる触媒の組合せの例としては、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドと[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NHZrBz2(ここで、Meはメチルである)との組合せ又はビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドと[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NHHfBz2(ここで、Meはメチルである)との組合せがある。例えば、酸素供給物中の酸素濃度が0.1ppmから0.5ppmに変化すると、ビスインデニルZrCl2から製造されるポリマーが有意に少なくなり、[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NHHfBz2から製造されるポリマーの相対量が増える。国際公開WO/09328号には、気相重合反応器に水及び/又は二酸化炭素を加えることが開示されている。
【0184】
別の実施態様において、図1をさらに参照して、鉱油、少なくとも1種の触媒化合物、担体及び活性剤を含むスラリーを、(A)中で混合し及び/又は(A)から導入する。トルエン、ヘキサン、鉱油若しくはテトラヒドロフランのような溶媒、並びに触媒化合物、及び/又は活性剤を含む触媒成分溶液を、(C)中で混合し及び/又は(C)から導入する。ヒュームドシリカのような成核剤(B)及び(K)は、1つ以上の箇所においてオンライン式で加えてもよく、これは湿式であっても乾式であってもよい。このスラリー及び溶液を(E)において一緒にし、典型的には混合する。トリイソブチルアルミニウム、アルモキサン、変性メチルアルモキサン及び/又はトリメチルアルミニウムのような随意としての軽質アルキル(F)をインライン式で直接組合せ物に又はイソペンタン供給物(G)のようなアルカンを介して加えることができる。また、窒素(H)及び/又はヘキサンのようなオレフィン(J)もインラインで加えることができる。次いで組合せ物を注入管{例えば1/8インチ(0.3cm)管}(O)から気相反応器(Q)中に注入することができる。注入管(O)は、1インチ(2.54cm)管のようなもっと大きい支持管(S)の内部に支持されていることができる。1種以上の触媒の活性を変化させるために、酸素を、直接反応器(Q)に又はリサイクルガス(P)に加えることができる。(R)は支持管(S)への流れ(モノマー、リサイクルガス、アルカン)である。
【0185】
別の実施態様においては、最初に供給ライン(G)から溶液とスラリーとの組合せ物にイソペンタンキャリアーを供給し、その後に、イソペンタン/スラリー混合物を反応器中に分散させるために、窒素スウィープ(H)を用いて、溶液スラリー及びイソペンタンの組合せ物を縦方向の下降流で反応器に移動させることによって、触媒ボールの形成及び/又は一般的なノズルの汚染を減少させた。
【0186】
触媒注入管は、圧縮山形パッキングを介して反応器中に通され、流動床中に約0.1インチ〜約10フィート(0.25cm〜3.1m)、好ましくは約1インチ〜6フィート(2.5cm〜1.8m)、より一層好ましくは約2インチ〜5フィート(5cm〜1.5m)の長さで流動床内に差し入れられる。典型的には、挿入深さは、反応器の直径に依存し、典型的には反応器の直径の約1/20〜1/2、好ましくは約1/10〜1/2、より一層好ましくは反応器の直径の約1/5〜1/3とする。管の端部は、軸に対して直角にカットして、0〜90°の範囲、好ましくは約10〜80°の範囲の角度のノズルコーン又はポイントを作るようにすることができる。穴の口は新しいナイフエッジにすることができる。この管は、樹脂粘着を軽減するように位置決めすることができ、防汚性又は帯電防止性化合物でコーティングすることもできる。この管はまた、単純に管の軸ラインから約0°〜80°、好ましくは0〜60°の角度で斜めにカットしたものであることもできる。管の開口部は、管の内径と同じであってもよいし、反応器中(好ましくは流動床中)への溶液スラリー及び/又は粉体の分散したスプレーをもたらすのに充分な圧力低下及び幾何学構造を有するノズルを作るように大きくなっていたり小さくなっていたりしてもよい。
【0187】
注入管は随意に、構造一体性をもたらすために流動床内の構造の内側で支持されていてもよい。この支持管は典型的には、約1/4インチ〜約5インチ(0.64cm〜12.7cm)、好ましくは約1/2インチ〜約3インチ(1.3cm〜7.6cm)、より一層好ましくは約3/4インチ〜約2インチ(1.9cm〜5cm)の内径を持つ肉厚管である。この支持管は好ましくは、反応器の壁を通り抜けてほぼ注入管の長さで、注入管の端部が支持管の端部のちょうど内側になるか又はそれより約10インチ(25.4cm)まで長くなるように、差し入れられる。好ましくは、この注入管は、支持管の端部より約0.5〜5インチ(1.8cm〜12.7cm)、より一層好ましくは約1〜3インチ(2.5cm〜7.6cm)長くなるようにする。反応器中の支持管の端部は、管の軸に対して平らに直角にカットされていてもよく、約10〜80°の範囲の角度で先細になっていてもよい。支持管の端部は、磨かれていてもよく、帯電防止性又は防汚性の材料でコーティングされていてもよい。
【0188】
触媒組成物の分散を助けて凝集物が少なく且つAPS(平均粒子寸法)が約0.005〜0.10インチ(0.01cm〜0.3cm)の範囲である良好な形態の樹脂顆粒状粒子の生産が可能となるように、流体のパージ流(R)(典型的には新たなモノマー、エチレン、ヘキサン、イソペンタン、リサイクルガス等)を反応器外から支持管の下に導入するのが好ましい。流体のパージ流は、触媒注入管及び支持管の端部の汚れを最小限に抑える手助けをする。支持管に導入される流体は、水素;オレフィン若しくはジオレフィン(C2〜C40α−オレフィン及びC2〜C40ジオレフィン、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、ノルボルネン、ペンテン、ヘキサジエン、ペンタジエン、イソブチレン、オクタジエン、シクロペンタジエン、重合反応において用いられるモノマー、水素を包含するが、これらに限定されるわけではない);アルカン、例えばC1〜C40アルカン(イソペンタン、ヘキサン、エタン、プロパン、ブタン等を包含するが、これらに限定されるわけではない);鉱油、循環ガス(凝縮した液体を含むモノ若しくは含まないもの);又はそれらの任意の組合せ:を含むことができる。支持管流は、新たなエチレン又はプロピレンであるのが好ましく、これらは加熱されていてもよい。さらに、例えばイソペンタンやヘキサンのようなアルカンを流れ中に流れの約0.001重量%〜約50重量%の範囲の割合で含ませることもできる。このアルカンは、流れ中に分散させることができ、分散した液滴として存在していてもよく、支持管出口で気化させてもよい。流体の存在は、出口における汚れを減らすことができる。
【0189】
支持管中の流体の流量は、約5〜10000pphの範囲であり、多少は反応器サイズに依存する。支持管中の流体の線速度は、約10〜500フィート/秒(11〜549km/時間)、好ましくは約20〜300フィート/秒(22〜329km/時間)、より一層好ましくは約30〜200フィート/秒(33〜219km/時間)の範囲である。
【0190】
別法として、支持管の出口は、端部をノズルの形にして気体の噴射又は分散を形成させて、触媒組成物の分配を助けるようにすることができる。1つの実施態様においては、支持管の内径が先細りに段々(端部において約3〜80%、好ましくは約5〜50%)小さくなってノズルを作り、流体の流れを促進し且つ/又は分散させるようにする。注入管の挿入は、支持管の内側の先細りによって影響を受けない。
【0191】
本発明の別の実施態様においては、スラリーと溶液との接触時間を変えることによって、活性触媒錯体の生成を制御又は調節することができる。スラリーと溶液との接触時間は、好ましくは1分間〜120分間の範囲、好ましくは2分間〜60分間の範囲、好ましくは5分間〜45分間の範囲、より一層好ましくは約10分間〜約30分間の範囲とする。
【0192】
別の実施態様において、スラリーと溶液との接触温度は、0℃〜約80℃の範囲、好ましくは約0℃〜約60℃の範囲、より一層好ましくは約10℃〜約50℃の範囲、特に好ましくは約20℃〜約40℃の範囲とする。
【0193】
別の実施態様において、本発明は、国際公開WO96/11960号及び1998年7月10日付け米国特許出願第09/113261号明細書(それら全部を参考用に本明細書に取り入れる)に記載されたような鉱油若しくは表面変性剤又はそれらの組合せの存在下での固定化触媒系の導入を提供する。別の実施態様においては、スラリー又は表面変性剤、例えば鉱油中のステアリン酸アルミニウムを、スラリーと溶液との組合せ物と共に反応器中に導入する(T)。別の実施態様においては、ステアリン酸アルミニウムをのような表面変性剤ををスラリー容器(A)に加える。
【0194】
別の実施態様においては、触媒の内の1種又は全部を、触媒の重量を基準として6重量%までの金属ステアリン酸塩(好ましくはステアリン酸アルミニウム、より一層好ましくは二ステアリン酸アルミニウム)又は帯電防止剤と一緒にする(任意の担体及びステアリン酸塩又は帯電防止剤好ましくは2〜3重量%)。1つの実施態様においては、金属ステアリン酸塩又は帯電防止剤の溶液又はスラリーを反応器中に供給する。ステアリン酸塩又は帯電防止剤は、スラリー(A)又は溶液(C)と一緒にすることもでき、また、スラリーと溶液との組合せ物と一緒に供給する(R)こともできる。好ましい実施態様においては、触媒化合物及び/又は活性剤を約0.5〜約4重量%の帯電防止剤、例えばメトキシル化アミン(例えば米国デラウェア州ブルーミントン所在のICI Specialties社からのWitco's Kemamine AS-990)と一緒にする。
【0195】
別の実施態様においては、触媒系又はその成分を、ベンジル、キシリトール、Irganox(商品名)565、ソルビトール等と一緒にし、次いで反応器中に供給する。これらの物質は、触媒化合物及び/又は活性剤と一緒にすることもでき、また、触媒系又はその成分と一緒に又はそれらなしで溶液状で反応器中に供給することもできる。同様に、これらの物質は、スラリー(A)又は溶液(C)と一緒にすることもでき、また、スラリー及び溶液の組合せ物と一緒に供給する(R)こともできる。
【0196】
別の実施態様において、本発明の方法はさらに、追加の溶液及びスラリーを含むことができる。例えば、好ましい実施態様においては、スラリーと2種以上の同じ又は異なる触媒化合物及び/又は活性剤を有する溶液とを一緒にすることができる。同様に、溶液と2種以上のそれぞれが同じまた異なる担体並びに同じ又は異なる触媒化合物及び/又は活性剤を有するスラリーとを一緒にすることもできる。同様に、本発明の方法は、2以上のスラリー(これらのスラリーはそれぞれ同じ又は異なる担体を含み且つ同じ又は異なる触媒化合物及び/又は活性剤を含むことができる)と2以上の溶液(これらの溶液は同じ又は異なる触媒化合物及び/又は活性剤を含む)とを好ましくはインライン式で一緒にして含むことができる。例えば、スラリーは担持された活性剤及び2種の異なる触媒化合物を含むことができ、そしてそれぞれがスラリー中の触媒の内の1種を含有する2つの溶液はそれぞれ独立してインライン式でスラリーと一緒にされる。
【0197】
生成物特性を調節するための触媒組成物の使用
上記の溶液、スラリー及び随意に添加される任意材料(成核剤、触媒化合物、活性剤等)を混合するタイミング、温度、濃度及び順序を利用して、生成物の特性を変化させることができる。重合系中の水素濃度の操作を含めてプロセスパラメーターを操作することによって、即ち、
(1)重合系中の第1の触媒の量を変えることによって、及び/又は
(2)重合系中の第2の触媒の量を変えることによって、及び/又は
(3)重合プロセスにおける水素濃度を変えることによって、及び/又は
(4)重合プロセスにおける触媒の相対比を変え(且つ随意に安定した一定の樹脂生産速度を維持するためにそれらの個々の供給速度を調節す)ることによって;及び/又は
(5)プロセスから取り出し且つ/若しくはパージされる液体及び/若しくはガスの量を変えることによって;及び/又は
(6)回収された液体及び/若しくは回収された気体を重合プロセスに戻す量及び/若しくはその組成を変えることによって(この回収された液体若しくは回収された液体は重合プロセスから排出されるポリマーから回収される);及び/又は
(7)重合プロセスにおいて水素化触媒を用いることによって;及び/又は
(8)重合温度を変えることによって;及び/又は
(9)重合プロセスにおけるエチレン分圧を変えることによって;及び/又は
(10)重合プロセスにおけるエチレン対コモノマーの比を変えることによって;及び/又は
(11)活性化シーケンスにおける活性剤対遷移金属の比を変えることによって;及び/又は
(12)スラリー及び/若しくは溶液の相対供給速度を変えることによって;及び/又は
(13)混合時間、スラリーと溶液とをインラインで混合する温度及び/若しくは度合いを変えることによって;及び/又は
(14)重合プロセスに様々なタイプの活性剤化合物を加えることによって;及び/又は
(15)重合プロセスに酸素又はフルオロベンゼン又は他の触媒毒を加えることによって:
メルトインデックス、各触媒によって製造されるポリマーの相対量、及び製造されるポリマーのその他の特性を変化させることができる。
【0198】
例えば、担持されたメチルアルモキサン及び[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NH}ZrBz2のスラリー並びにビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの溶液を用いて本願発明に従って製造されるポリマーのフローインデックス及び/又はメルトインデックスを変えるためには、重合反応器中の反応温度を変えることができ、反応器中の水素濃度を変えることができ、又は溶液とスラリーとを接触させる前に溶液中のビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの濃度を変えることができ、又は触媒成分溶液及び/若しくは触媒成分スラリーの相対供給速度を変えることができる。
【0199】
好ましい実施態様においては、ポリマー生成物のフローインデックス(I21、ASTM D-1238, Condition Eに従って190℃において測定される)を定期的に測定し、フローインデックスを必要に応じて所望のレベルにするために、上記のファクターの1つ、好ましくは温度、触媒化合物供給速度、2種以上の触媒間の比、モノマー分圧、酸素濃度及び/又は水素濃度を変える。好ましくは、フローインデックス測定のためのサンプルを、テープ又は紐を作るための一軸スクリュー(好ましくは混合ヘッドを持つもの)又は二軸スクリューを備えた押出機を用いて押出することによって溶融均質化する。このテープ及び/又はストランドは、典型的には、フロー特性測定のために小さいピースに細断される。
【0200】
ある実施態様においては、インライン式で、一緒にされる触媒の比を変えたら、ポリマー生成物特性を測定する。1つの実施態様において、1つの実施態様において、触媒成分スラリー中の触媒化合物対触媒成分溶液中の触媒化合物のモル比は、最終触媒組成物を形成させるためにスラリーと溶液とを混合した後に500:1〜1:500、好ましくは100:1〜1:100、より一層好ましくは50:1〜1:50、特に好ましくは40:1〜1:10となるようにする。別の実施態様において、スラリー中の第15族触媒化合物対溶液中のメタロセン触媒化合物とのモル比は、触媒組成物を形成させるためにスラリーと溶液とを混合した後に、500:1、好ましくは100:1、より一層好ましくは50:1、より一層好ましくは10:1、さらにより一層好ましくは5:1となるようにする。好ましくは測定される生成物特性は、ポリマー生成物のフローインデックス、メルトインデックス、密度、MWD、コモノマー含有率及びそれらの組合せである。別の実施態様において、触媒化合物の比を変える場合には、所望の生産速度を維持するために、反応器への触媒組成物の導入速度又は他のプロセスパラメーターを変える。
【0201】
同様に、担体の構造、担体上の官能基(シリカ上の−OH基等)の数、活性剤装填量及び前含浸触媒装填量も生成物に影響を及ぼすことができる。
【0202】
同様に、エチレン分圧を変えることによって生成物特性を変えることもできる。例えば、溶液がビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを含み且つスラリーが[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NHZrBz2及び担持されたメチルアルモキサンを含む系において、気相反応器中のエチレン分圧を220psiから240psi(1.5MPaから1.7MPa)に上昇させると、フローインデックスが100dg/分から700dg/分超に上昇した。
【0203】
いずれかの理論に束縛されたり限定されたりすることは望まないが、本発明者らは、本明細書に記載した方法は溶液の触媒化合物を担体、好ましくは担持された活性剤中及びその上に固定すると信じる。本明細書に記載されたインライン式での固定技術は、好ましいことに、反応器に導入された時に良好な粒子形態、嵩密度及び/又は高い触媒活性をもたらす担持された触媒系を提供する上、触媒化合物溶液を反応器(特に気相又はスラリー相反応器)に導入するための追加の装置を必要とすることもない。メタロセン触媒化合物を担持させるための典型的な担体技術は形成される担持触媒の低い全体生産性をもたらすということが、当技術分野において知られている。ある場合には、担持プロセスは実際に、これらの触媒化合物の内のあるものを工業的重合プロセス(特に担持触媒を使用することが好ましいもの)において役に立たないものにしてしまう。これは特に、慣用の担持触媒系に対する非担持触媒系の気相プロセスへの導入を比較した場合に、真実である。慣用の担持触媒系とは、触媒供給装置の外で担体材料、活性剤及び触媒化合物を様々な方法で様々な条件下で接触させることによって形成される担持された触媒系を意味する。メタロセン触媒系を担持させる慣用の方法の例は、米国特許第4701432号、同第4808561号、同第4912075号、同第4925821号、同第4937217号、同第5008228号、同第5238892号、同第5240894号、同第5332706号、同第5346925号、同第5422325号、同第5466649号、同第5466766号、同第5468702号、同第5529965号、同第5554704号、同第5629253号、同第5639835号、同第5625015号、同第5643847号、同第5665665号、同第5698487号、同第5714424号、同第5723400号、同第5723402号、同第5731261号、同第5759940号、同第5767032号、同第5770664号、同第5846895号及び同第5939348号の各明細書並びに1994年7月7日付け米国特許出願第271598号及び1997年1月23日付け米国特許出願第788736号の各明細書、並びに国際公開WO95/32995号、WO95/14044号、WO96/06187号及びWO97/02297号、並びに欧州特許公開第0685494B1号公報に記載されている。また、驚くべきことに、気相プロセスにおいて商業的に担持可能ではない触媒系が本発明の方法を用いて固定化された時に有用であることがわかった。
【0204】
重合法
上記の調製される触媒系及び触媒系添加方法は、広範な温度及び圧力にわたって任意の予備重合及び/又は重合プロセスに使用するのに好適である。温度は−60℃〜約280℃の範囲、好ましくは50℃〜約200℃の範囲であることができ、採用される圧力は1気圧〜約500気圧の範囲又はそれ以上であってよい。
【0205】
重合プロセスには、溶液、気相、スラリー相及び高圧法又はそれらの組合せが包含される。特に好ましいのは、その少なくとも1つがエチレン又はプロピレン(より一層好ましくはエチレン)である1種以上のオレフィンの気相又はスラリー相重合である。
【0206】
1つの実施態様において、本発明の方法は、2〜30個の炭素原子、好ましくは2〜12個の炭素原子、より一層好ましくは2〜8個の炭素原子を有する1種以上のオレフィンモノマーの溶液、高圧、スラリー又は気相重合法に向けられる。本発明は、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、及びデセン−1の内の2種以上のオレフィンモノマーの重合に特によく適している。
【0207】
本発明の方法において有用なその他のモノマーには、エチレン性不飽和モノマー、4〜18個の炭素原子を有するジオレフィン、共役又は非共役ジエン、ポリエン、ビニルモノマー及び環状オレフィンが包含される。本発明において有用な非限定的なモノマーには、ノルボルネン、ノルボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン類、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン及びシクロペンテンが包含され得る。
【0208】
本発明の方法の特に好ましい実施態様においては、エチレンと共に3〜15個の炭素原子、好ましくは4〜12個の炭素原子、特に好ましくは4〜8個の炭素原子を有する少なくとも1種のα−オレフィンを有するコモノマーが気相法で重合されて、エチレンのコポリマーが製造される。
【0209】
本発明の方法の別の実施態様においては、エチレン又はプロピレンを少なくとも2種の異なるコモノマー(そのうちの1つは随意にジエンであってもよい)と重合させて、ターポリマーを生成させる。
【0210】
1つの実施態様において、コモノマー対エチレンのモル比(Cx/C2)(ここで、Cxはコモノマーの量であり、C2はエチレンの量である)は約0.001〜0.200の範囲、より一層好ましくは約0.002〜0.008の範囲である。
【0211】
1つの実施態様において、本発明は、プロピレンを単独で又はエチレン及び/若しくは4〜12個の炭素原子を有する他のオレフィンを含む1種以上の他のモノマーと共に重合させるための重合法、特に気相又はスラリー相法に向けられる。特に米国特許第5296434号及び同第5278264号の両明細書(これら両方を参照用に本明細書に取り入れる)に記載されたような架橋バルキーリガンドメタロセン触媒を用いて、ポリプロピレンポリマーを製造することができる。
【0212】
典型的には、気相重合法においては、反応器システムのサイクルのある部分において循環ガス流(リサイクル流又は流動化用媒体とも称される)が反応器内で重合の熱によって加熱される連続サイクルが採用される。この熱は、サイクルの別の部分において反応器外部の冷却システムによってリサイクル組成物から取り除かれる。一般的に、ポリマーを製造するための気相流動床法においては、1種以上のモノマーを含有する気体流が反応性条件下において触媒の存在下で流動床を通して連続的に循環される。この気体流は流動床から取り出され、反応器にリサイクルされて戻される。同時に、ポリマー生成物が反応器から取り出され、重合したモノマーの代わりに新たなモノマーが添加される。例えば米国特許第4543399号、同第4588790号、同第5028670号、同第5317036号、同第5352749号、同第5405922号、同第5436304号、同第5453471号、同第5462999号、同第5616661号及び同第5668228号の各明細書(これらすべてを参考用に本明細書に取り入れる)を参照されたい。
【0213】
気相法における反応器圧は、約100psig(690kPa)〜約600psig(4138kPa)の範囲にすることができ、約200psig(1379kPa)〜約400psig(2759kPa)の範囲にするのが好ましく、約250psig(1724kPa)〜約350psig(2414kPa)の範囲にするのがより一層好ましい。
【0214】
気相法における反応器温度は、約30℃〜約120℃にすることができ、約60℃〜約115℃の範囲にするのが好ましく、約70℃〜約110℃の範囲にするのがより一層好ましく、約70℃〜約95℃の範囲にするのが特に好ましい。
【0215】
本発明の方法によって企図されるその他の気相法には、直列又は多段重合法が包含される。本発明によって企図される気相法にはまた、米国特許第5627242号、同第5665818号及び同第5677375号の各明細書並びに欧州特許公開第0794200A号、同第0649992B1号、同第0802202A号及び同第634421B号の各公報(これらすべてを参考用に本明細書に取り入れる)に記載されたものも包含される。
【0216】
好ましい実施態様において、本発明において用いられる反応器は、ポリマーを500ポンド/時間(227Kg/時間)超〜200000ポンド/時間(90900Kg/時間)又はそれ以上、好ましくは1000ポンド/時間(455Kg/時間)超、より一層好ましくは10000ポンド/時間(4540Kg/時間)超、さらにより一層好ましくは25000ポンド/時間(11300Kg/時間)超、さらにより一層好ましくは35000ポンド/時間(15900Kg/時間)超、もっと好ましくは50000ポンド/時間(22700Kg/時間)超、特に好ましくは65000ポンド/時間(29000Kg/時間)超〜100000ポンド/時間(45500Kg/時間)超の割合で生産することができるものであり、本発明の方法はポリマーをかかる生産速度で製造する。
【0217】
スラリー重合法においては一般的に、約1〜約50気圧の範囲及びそれ以上の圧力並びに約0℃〜約120℃の範囲の温度が採用される。スラリー重合法においては、エチレン及びコモノマー及びしばしば水素が触媒と共に添加された液状重合希釈剤媒体中で固体粒状ポリマーの懸濁液が形成される。希釈剤を含むこの懸濁液は、断続的に又は連続的に反応器から取り出され、揮発性成分がポリマーから分離され、(随意に蒸留後に)反応器にリサイクルされる。重合媒体中に用いられる液状希釈剤は、3〜7個の炭素原子を有するアルカンであるのが典型的であり、分枝鎖状アルカンであるのが好ましい。用いられる媒体は、重合条件下において液状であり且つ比較的不活性であるべきである。プロパン媒体を用いた場合には、反応希釈剤の臨界温度及び圧力以上においてこの方法を操作しなければならない。ヘキサン又はイソブタン媒体を用いるのが好ましい。
【0218】
本発明の好ましい重合技術は、粒子形重合又はスラリー法と称され、温度はポリマーが溶液状になる温度より低く保たれる。かかる技術は当技術分野においてよく知られており、米国特許第3248179号明細書(参考用に本明細書に取り入れる)に記載されている。他のスラリー法には、ループ反応器を用いるもの及び直列、並列又はそれらの組合せの複数の撹拌反応器を利用するものが包含される。スラリー法の非限定的な例には、連続ループ又は撹拌タンク法が包含される。また、米国特許第4613484号及び同第5986021号の両明細書(参考用に本明細書に取り入れる)にもスラリー法のその他の例が記載されている。
【0219】
1つの実施態様において、本発明のスラリー法に用いられる反応器は、2000ポンド/時間(907Kg/時間)超、より一層好ましくは5000ポンド/時間(2268Kg/時間)超、特に好ましくは10000ポンド/時間(4540Kg/時間)超のポリマーを生産することができるものであり、本発明の方法はポリマーをかかる生産速度で製造する。別の実施態様において、本発明の方法において用いられるスラリー反応器は、15000ポンド/時間(6804Kg/時間)超、好ましくは25000ポンド/時間(11340Kg/時間)超〜約100000ポンド/時間(45500Kg/時間)でポリマーを製造する。
【0220】
溶液法の例は、米国特許第4271060号、同第5001205号、同第5236998号、同第5589555号及び同第5977251号の各明細書並びに国際公開WO99/32525号及び同WO99/40130号パンフレット(これらを参考用に本明細書に取り入れる)に記載されている。
【0221】
本発明の好ましい方法は、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム及びトリ−n−ヘキシルアルミニウム及び塩化ジエチルアルミニウム、ジブチル亜鉛等のようなスカベンジャーの不在下で又は本質的にかかるスカベンジャーなしで、本発明のバルキーリガンドメタロセン触媒系の存在下で本方法、好ましくはスラリー又は気相法が操作されるものである。この好ましい方法は、国際公開WO96/08520号パンフレット並びに米国特許第5712352号及び同第5763543号の各明細書(参考用に本明細書に取り入れる)に記載されている。
【0222】
本発明の1つの実施態様においては、オレフィン、好ましくはC2〜C30オレフィン又はα−オレフィン、好ましくはエチレン若しくはプロピレン又はそれらの組合せ物を、主重合に先立って、上記の本発明のメタロセン触媒系の存在下において、予備重合させる。この予備重合は、気相、溶液相又はスラリー相中(高圧を含む)でバッチ式で又は連続式で実施することができる。この予備重合は、任意のオレフィンモノマー若しくは組合せ物を用い且つ/又は任意の分子量調節剤(例えば水素)の存在下で行なうことができる。予備重合手順の例については、米国特許第4748221号、同第4789359号、同第4923833号、同第4921825号、同第5283278号及び同第5705578号各明細書並びにヨーロッパ特許公開第0279863B号公報並びに国際公開WO97/44371号パンフレット(これらすべてを参考用に本明細書に取り入れる)を参照されたい。
【0223】
1つの実施態様において、本発明の調製又は重合方法にはトルエンは用いられない。
【0224】
ポリマー生成物
本発明の方法によって製造されるポリマーは、広範な製品及び末端用途に用いることができる。本発明の方法によって製造されるポリマーには、線状低密度ポリエチレン、エラストマー、プラストマー、高密度ポリエチレン、中庸密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、マルチモード又は2モード高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリプロピレンコポリマーが包含される。
【0225】
これらポリマー(典型的にはエチレンベースのポリマー)は、望まれる用途に応じて0.86g/cc〜0.97g/ccの範囲の密度を有する。ある用途については0.88g/cc〜0.920g/ccの範囲の密度が好ましく、別の用途、例えばパイプ、フィルム、吹込成形等の用途については0.930g/cc〜0.965g/ccの範囲の密度が好ましい。低密度ポリマー、例えばフィルム用途用のものについては、0.910g/cc〜0.940g/ccの密度が好ましい。密度は、標準ASTM法に従って測定される。
【0226】
本発明の方法によって製造されるポリマーは、重量平均分子量対数平均分子量の比(Mw/Mn)が1.5超〜約70である分子量分布を有する。ある具体例においては製造されるポリマーが約1.5〜15の狭いMw/Mnを有し、別の具体例においては製造されるポリマーが約30〜50のMw/Mnを有する。また、本発明のポリマーは、組成分布幅指数(Composition Distribution Breadth Index)(CDBI)によって測定して狭い組成分布を有することもでき、広い組成分布を有することもできる。コポリマーのCDBIの測定のさらなる詳細は、当技術分野において周知である。例えば1993年2月18日付け国際公開WO93/03093号パンフレット(参考用に本明細書に取り入れる)を参照されたい。ある具体例において、製造されるポリマーは80%以上のCDBIを有することもでき、50%以下のCDBIを有することもできる。
【0227】
本発明のポリマーは、1つの実施態様において、一般的に50%超〜100%(好ましくは99%)の範囲、好ましくは55%〜85%の範囲、より一層好ましくは60%〜80%の範囲、さらにより一層好ましくは60%より大きい、さらにより一層好ましくは65%より大きいCDBIを有する。
【0228】
別の実施態様において、本発明を用いて製造されるポリマーは、50%より小さい、より一層好ましくは40%より小さい、特に好ましくは30%より小さいCDBIを有する。
【0229】
本発明のポリマーは、1つの実施態様において、ASTM法D−1238−Eによって測定して0.01dg/分〜1000dg/分の範囲、より一層好ましくは約0.01dg/分〜約100dg/分の範囲、さらにより一層好ましくは約0.1dg/分〜約50dg/分の範囲、特に好ましくは約0.1dg/分〜約10dg/分の範囲のメルトインデックス(MI)又は(I2)を有する。
【0230】
本発明のポリマーは、1つの実施態様において、10〜25未満、より一層好ましくは約15〜25未満のメルトインデックス比(I21/I2)(ここでI21はASTM法D−1238−Fによって測定される)を有する。
【0231】
好ましい実施態様における本発明のポリマーは、好ましくは25超、より一層好ましくは30超、さらにより一層好ましくは40超、さらにより一層好ましくは50超、特に好ましくは65超のメルトインデックス比(I21/I2)(I21はASTM法D−1238−Fによって測定される)を有する。1つの実施態様において、本発明のポリマーは、狭い分子量分布及び広い組成分布を有することもでき、また、その逆の組合せを有することもでき、そして、米国特許第5798427号明細書に記載されたポリマーであることができる。
【0232】
1つの実施態様において、本発明によって製造されるポリマーは、マルチモードの分子量分布(Mw/Mn)、典型的には2モードの分子量分布を有する。好ましい実施態様において、製造されるポリマーは、0.93〜0.96g/ccの密度、0.03〜0.10g/10分のMI(I2)、4〜12g/10分のFI(I21)、80〜180のMFR(I21/I2)、200000〜400000の全体Mw5000〜10000の全体Mn及び20〜50のMw/Mnを有する。好ましくは低分子量画分(約500〜約50000)は0.935〜0.975g/ccの密度を有し、高分子量画分(約50000〜約8000000)は0.910〜0.950g/ccの密度を有する。これらのポリマーは、フィルム及びパイプ用、特にPE−100パイプ用途に特に有用である。より一層好ましくは、この実施態様のポリマーは、次の分子量分布(MWD)特徴を有する。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)から得られるMWDは、2モードフィッティングプログラムを用いて解析することができる。ポリマーの好ましいスプリット(HMW画分の重量%とLMW画分の重量%との比)は、20−80〜80−20、より一層好ましくは30−70〜70−30、さらにより一層好ましくは40−60〜60−40である。LMWの重量%よりHMWの重量%の方が大きいのが好ましい。SEC曲線をさらに分析することによって、1MM超重量%(これは全MWDの内の1000000より大きい分子量を有する部分の重量%である)及び100K超重量%(これは、全MWD内の分子量が100000超である部分の重量%である)を与えることができる。重量%比は、単純に1MM超重量%を100K超重量%で割ったものである。全MWDをHMW(高分子量)領域とLMD(低分子量)領域とに分けるおおよその手段として100000を用いた。この比は、MWDのHMW領域中の非常に高分子量の種の相対量の簡単だが感度のよい指標を与える。ポリマーの好ましい実施態様は、10より大きいがしかし30よりは小さい、好ましくは15超25未満の好ましい範囲の重量%割当て量(WPR)を有する。下記の表に示したように、フィルム押出の際の吹込バブルの安定性はこのWPRに依存することがわかった。本発明に従ってこれらのポリマーを製造するための好ましい触媒系は、[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NH}HfBz2又は[(2,4,6−Me362)NCH2CH2]2NH}ZrBz2にビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドor (テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド及び担持されたメチルアルモキサンを組み合わせたものを含む。
【表1】

【0233】
具体例のポリマーのSEC曲線から、解析された曲線について、HMW画分及びLMW画分の2つの独特なピークがわかる。
【表2】

【0234】
このマルチモード又は2モードポリマーは、優れたバブル安定性及び良好なフィルム押出特徴を示すことがわかる。このポリマーは優れたドローダウン(引抜き)特徴を示し、0.35ミルもの薄いフィルムが得られた。フィルム外観レートは優れており、ゲルのスペック(斑点)はなかった。フィルムの落槍衝撃強度は優れていて、買物袋(grocery sacks)用途に好適である。
【0235】
別の実施態様において、本発明によって製造されるポリマーは、2モード分子量分布(Mw/Mn)を有する。好ましい実施態様において、製造されるポリマーは、0.93〜0.97g/ccの密度、0.02〜0.5 g/10分のMI(I2)、10〜40g/10分のFI(I21)、50〜300のMFR(I21/I2)、100000〜500000のMw、8000〜20000のMn及び10〜40のMw/Mnを有する。これらのポリマーは、吹込成形用途に特に有用である。これらの2モードポリマーは並はずれたベントスプリット(Bent Strip)ESCR(環境応力亀裂抵抗)性能を示し、これは単一モードHDPEの性能をはるかに超えるものである。また、吹込成形された瓶は容易にトリムされ、つや消し仕上げされ、これは単一モードHDPEの半透明仕上げより好ましい。
【0236】
さらに別の実施態様においては、本発明の方法においてプロピレンをベースとするポリマーが製造される。これらのポリマーは、本発明の実施に当たって2つ以上の異なる触媒を用いて製造されるアタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチック及びシンジオタクチックポリプロピレン又はそれらの混合物を包含する。他のプロピレンポリマーには、プロピレンブロックコポリマー又はインパクトコポリマーがある。これらのタイプのプロピレンポリマーは当技術分野においてよく知られている。例えば米国特許第4794096号、同第3248455号、同第4376851号、同第5036034号及び同第5459117の各明細書(これらすべてを参考用に本明細書に取り入れる)を参照されたい。
【0237】
本発明のポリマーは、他の任意のポリマーとブレンドし且つ/又は同時押出することができる。他のポリマーの非限定的な例には、慣用のチーグラー・ナッタ触媒及び/又はメタロセン触媒によって製造される線状低密度ポリエチレン、エラストマー、プラストマー、高圧低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等が包含される。
【0238】
本発明の方法によって製造されるポリマー及びそのブレンドは、フィルム、シート及び繊維押出及び同時押出並びに吹込成形、射出成形及び回転成形のような成形操作において有用である。フィルムには、食品接触及び食品非接触用途における収縮フィルム、食品包装用ラップ(cling film)、ストレッチ・フィルム、密封フィルム、延伸フィルム、スナック菓子包装、丈夫な袋(heavy duty bags)、買物袋(grocery sacks)、焼いた食品や冷凍食品の包装、医療用包装、工業用ライナー、膜等として有用な、同時押出やラミネーションによって成形されるインフレートフィルム又はキャストフィルムが包含される。繊維には、フィルター、おむつ、医療用衣服、地盤用シート等を作るための織られた形又は織られていない形の用途のための溶融紡糸、溶液紡糸及び溶融吹込繊維操作が包含される。押出品には、医療用チューブ、ワイヤ及びケーブル被覆、パイプ、ジオメンブレン及び池の中敷き(pond liners)が包含される。成形品には、瓶、タンク、大型中空物品、硬質食品容器及び玩具等の形の単層及び多層構造物が包含される。
【0239】
別の実施態様において、本発明のポリマーは、当技術分野において周知の方法によってパイプにされる。パイプ用途については、本発明のポリマーは約2〜約10dg/分、好ましくは約2〜約8dg/分のI21を有する。別の実施態様において、本発明のパイプは、ISO品質要件を満たす。別の実施態様において、本発明は、−5℃未満、好ましくは−15℃未満、より一層好ましくは−40℃未満の110mmパイプについての予測S−4 Tcを有するポリエチレンパイプを作るのに用いられる(ISO法DIS13477/ASTM法F1589)。
【0240】
別の実施態様において、前記ポリマーは、ダイの円周1インチ当たり毎時約17ポンド超、好ましくはダイの円周1インチ当たり毎時約20ポンド超、より一層好ましくはダイの円周1インチ当たり毎時約22ポンド超の押出速度を有する。
【0241】
本発明のポリオレフィンは、フィルム、成形物品(パイプを含む)、シート、ワイヤ及びケーブルコーティング等にすることができる。フィルムは、押出、同時押出、積層、吹込及び注型を含む当技術分野において周知の任意の慣用の技術によって、形成させることができる。フィルムは、フラットフィルム又は管状プロセスによって得ることができ、次いでフィルム面において一軸方向に、又は互いに直角の二方向に同程度若しくは異なる程度で、延伸することができる。延伸は、両方向において同程度であってもよく、異なる程度であってもよい。ポリマーをフィルムに成形する特に好ましい方法は、吹込又は注型フィルムライン上での押出又は同時押出を包含する。
【0242】
別の実施態様において、本発明のポリマーは、当技術分野において周知の方法によってフィルムにされる。フィルム用途については、本発明のポリマーは、約2〜約50dg/分、好ましくは約2〜約30dg/分、さらにより一層好ましくは約2〜約20dg/分、さらにより一層好ましくは約5〜約15dg/分、さらにより一層好ましくは約5〜約10dg/分のI21を有する。
【0243】
製造される物品(例えばフィルム、パイプ等)は、スリップ剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、顔料、フィラー、曇り止め、UV安定剤、帯電防止剤、ポリマー加工助剤、中和剤、潤滑剤、界面活性剤、顔料、染料及び成核剤等の添加剤をさらに含有することができる。好ましい添加剤には、二酸化ケイ素、合成シリカ、二酸化チタン、ポリジメチルシロキサン、炭酸カルシウム、金属ステアリン酸塩、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、タルク、BaSO4、ケイ藻土、ワックス、カーボンブラック、難燃剤、低分子量樹脂、炭化水素樹脂、ガラスビーズ等が包含される。添加剤は、当技術分野においてよく知られた典型的に有効な量、例えば0.001重量%〜10重量%の量で、存在させることができる。
【0244】
別の実施態様において、本発明のポリマーは、当技術分野において周知の方法、例えば吹込成形及び射出引張成形によって、成形物品にされる。成形用途については、本発明のポリマーは、約20dg/分〜約50dg/分、好ましくは約35dg/分〜約45dg/分のI21を有する。
【0245】
さらに、いずれかの理論に束縛されることは望まないが、本発明によって製造されるポリマーは、2種のポリマー生成物が非常に緊密にブレンドされるので、反応器から出て来る時にポリマー粒子中で2種のポリマーが均一に分布されるという独特の利点をも有すると信じられる。未加工で未処理の粒状ポリマーは、生のポリマーと称される。生ポリマーは次いで、ASTM法D−1921、プラスチック材料の粒子寸法(篩分析)、方法A又はPEG法507に従う標準篩寸法によって、複数の画分に分ける。
【表3】

【0246】
ここの画分(画分2、3、4、5)を次いで物理的特定について試験する。メルトインデックスは、ASTM法1238条件Eに従い、190℃において測定する。
【0247】
ここで製造されるポリマーの独特な属性は、異なる画分のメルトインデックスが有意には変化しないということである。好ましい実施態様において、画分3、4及び5のメルトインデックスは、相対的に40%以上は変化せず、好ましくは相対的に30%以上変化せず、好ましくは相対的に10%以上変化せず、好ましくは相対的に8%以上変化せず、好ましくは相対的に6%以上変化せず、好ましくは相対的に4%以上変化しない。相対的にとは、画分3、4及び5についての値の平均に相対することを意味する。
【0248】
別の実施態様において、画分2、3、4及び5は、樹脂サンプルの総重量の90%超を占める。好ましくは、画分2、3及び4は、樹脂サンプルの総重量の90%超を占める。
【0249】
ここで製造されるポリマーの別の望ましい属性は、異なる画分のMw/Mnが有意には変化しないということである。好ましい実施態様において 画分1、4、5及び6のMw/Mnは相対的に20%以上変化せず、好ましくは相対的に10%以上変化せず、好ましくは相対的に8%以上変化せず、好ましくは相対的に6%以上変化せず、好ましくは相対的に4%以上変化せず、好ましくは相対的に2%以上変化しない。好ましい実施態様において、画分1、4及び6のMw/Mnは、相対的に20%以上変化せず、好ましくは相対的に10%以上変化せず、好ましくは相対的に8%以上変化せず、好ましくは相対的に6%以上変化せず、好ましくは相対的に4%以上変化せず、好ましくは相対的に2%以上変化しない。相対的にとは、画分1、4及び6についての値の平均に相対することを意味する。別の好ましい実施態様において、画分2、3、4及び5のMw/Mnは相対的に20%以上変化せず、好ましくは相対的に10%以上変化せず、好ましくは相対的に8%以上変化せず、好ましくは相対的に6%以上変化せず、好ましくは相対的に4%以上変化せず、好ましくは相対的に2%以上変化しない。相対的にとは、画分2、3、4及び5についての値の平均に相対することを意味する。別の好ましい実施態様において、画分3、4及び5のMw/Mnは相対的に20%以上変化せず、好ましくは相対的に10%以上変化せず、好ましくは相対的に8%以上変化せず、好ましくは相対的に6%以上変化せず、好ましくは相対的に4%以上変化せず、好ましくは相対的に2%以上変化しない。相対的にとは、画分3、4及び5についての値の平均に相対することを意味する。Mn及びMwは、示差屈折率検出器を備えたウォーターズ(Waters)150℃GPC装置でゲル透過クロマトグラフィーによって測定される。GPCカラムは一連の狭いポリスチレン標準物を流すことによって較正され、そして分子量は懸案のポリマーについてブロードポリエチレン標準物National Bureau of Standards 1496を用いて計算される。
【0250】
別の好ましい実施態様において、本発明に従って製造されるポリマーは、低分子量ポリマー(低分子量とは50000以下、好ましくは40000以下の分子量のことである)をポリマー重量を基準として10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より一層好ましくは40〜60重量%含む。
【0251】
1つの実施態様において、画分は次の特徴を有する:
【表4】

【0252】
別の実施態様において、製造されるポリオレフィンは、ポリマーの重量を基準として20重量%超で存在する少なくとも2つの種類の分子量を有することがわかった。
【0253】
本発明の別の実施態様において、製造されるポリマーは、2モード又はマルチモードである(SECグラフ上)。2モード又はマルチモードとは、ポリマーのSECグラフが2つ以上の上り勾配、2つ以上の下り勾配及び3以上の変曲点(変曲点とは、曲線の二次導関数が負になる地点である)を有すること又は該グラフが1つの上り勾配、1つの下り勾配、1つの変曲点、並びに上り勾配及び/又は下り勾配における変化(変化前の勾配の20%を超えるもの)を持つことを意味する。別の実施態様において、SECグラフは、1つの上り勾配、1つの下り勾配、1つの変曲点及び10以上、好ましくは15以上、より一層好ましくは20以上のMw/Mnを有する。SECグラフは、示差屈折率検出器を備えたウォーターズ(Waters)150℃GPC装置でゲル透過クロマトグラフィーによって作り出される。カラムは一連の狭いポリスチレン標準物を流すことによって較正され、そして分子量は懸案のポリマーについてマルク−ホウインク係数を用いて計算した。
分子量は懸案のポリマーについてのマルク−ホウインク計数を用いて計算した。
【0254】
本発明のポリマーを用いて製造されるフィルムは、極めて良好な外観特性を有する。該フィルムは、低いゲル分含有率を有し、且つ/又は良好な曇り度及び光沢を有する。好ましい実施態様において、1ミルフィルム(1.0ミル=25μm)は、ASTM法D−2475によって測定して7以上、好ましくは8以上の45°光沢を有する。好ましい実施態様において、1ミルフィルム(1.0ミル=25μm)は、ASTM法D−1003、条件Aによって測定して75以下、好ましくは70以下の曇り度を有する。
【実施例】
【0255】
実験室撹拌式気相反応器からの重合データ(下記の第1表に示す)は、測定精度内で、リサイクルされたトルエンを用いて作られた触媒についての生産性と「新たな」(即ち、触媒調製において前に用いられていない)トルエンを用いて作られた触媒についての生産性とが少なくともほぼ同じであることを示す。生産性は、第2のリサイクルサイクルについて試験される。触媒A及びBは、ビス(フェニルメチル)[N’−2,3,4,5,6−ペンタメチルフェニル)−N−[2−[2,3,4,5,6−ペンタメチルフェニル)アミノ−kN]エチル]−1,2−エタンジアミナト(2−)kN,kN’]ジルコニウム及びn−プロピルシクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを10%メチルアルモキサン及びCABOSIL(商品名)ヒュームドシリカ担体と混合したものである。
【0256】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リサイクルされた有機反応溶媒中の触媒前駆体を集め;
この触媒前駆体を反応させて触媒化合物を生成させ;そして
生成した触媒化合物を反応溶媒から分離する
ことを含む、触媒組成物の製造方法。
【請求項2】
前記の分離が、生成させた触媒化合物から反応溶媒を蒸発させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の蒸発が、生成した触媒化合物及び反応溶媒のミストを高温の窒素と接触させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記の蒸発させた反応溶媒を集めて凝縮させることをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記の凝縮させた反応溶媒をリサイクルして、追加の触媒化合物を生成させるための追加の触媒前駆体と一緒にすることをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記有機反応溶媒が非配位溶媒又は弱配位溶媒を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記有機反応溶媒がエーテル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン及びヘキサンの内の少なくとも1種を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記触媒前駆体が第15族原子含有リガンド化合物及び金属含有化合物を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記触媒前駆体がアルキル化剤をさらに含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
生成する触媒化合物が次式I:
【化1】

又は次式II:
【化2】

(ここで、
Mは第3〜12族遷移金属又は第13若しくは14族主族金属であり;
各Xは独立的にアニオン性脱離基であり;
yは0又は1であり;
nはMの酸化状態であり;
mはYZL又はYZL’で表わされるリガンドの形式電荷であり;
Lは第15又は16族元素であり;
L’は第15若しくは第16族元素又は第14族含有基であり;
Yは第15族元素であり;
Zは第15族元素であり;
1及びR2は独立的にC1〜C20炭化水素基、20個までの炭素原子を有するヘテロ原子含有基、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛又はリンであり;
また、R1及びR2は互いに相互連結することもでき;
3は存在しないか又は炭化水素基、水素、ハロゲン若しくはヘテロ原子含有基であるかであり;
4及びR5は独立的にアルキル基、アリール基、置換アリール基、環状アルキル基、置換環状アルキル基、環状アラルキル基、置換環状アラルキル基又は多環系であり;
4及びR5は互いに相互連結することもでき;
6及びR7は独立的に存在しないか又は水素、アルキル基、ハロゲン、ヘテロ原子若しくはヒドロカルビル基であるかであり;
*は存在しないか又は水素、第14族原子含有基、ハロゲン若しくはヘテロ原子含有基であるかである)
で表わされる化合物を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1種の活性剤を前記触媒前駆体と一緒にすることをさらに含む、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
生成した触媒化合物を少なくとも1種の希釈剤、活性剤、担体材料、追加の触媒化合物と一緒にして触媒組成物を形成させることをさらに含む、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記の追加の触媒化合物がメタロセン触媒化合物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記メタロセン触媒化合物がビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)−MX2、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(n−プロピルシクロペンタジエニル)MX2、ビス(インデニル)−MX2及び(テトラメチルシクロペンタジエニル)(n−プロピルシクロペンタジエニル)MX2(ここで、Mは第4族金属であり、Xはアニオン性脱離基である)から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
作動している重合反応器中に触媒組成物及び1種以上のオレフィンを導入することをさらに含む、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
触媒組成物の調製において溶媒を再使用する方法であって、
反応溶媒中の集められた触媒前駆体から生成した触媒化合物から有機反応溶媒を蒸発させ;
蒸発させた反応溶媒を集めて凝縮させ;そして
この反応溶媒をリサイクルして、追加の触媒化合物を生成させるための追加の触媒前駆体と一緒にする:
ことを含む、前記方法。
【請求項17】
前記の蒸発が、生成した触媒化合物及び有機反応溶媒のミストを高温の窒素と接触させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記有機反応溶媒が非配位溶媒又は弱配位溶媒を含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記有機反応溶媒がエーテル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン及びヘキサンの内の少なくとも1種を含む、請求項16〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記触媒前駆体が第15族原子含有リガンド化合物及び金属含有化合物を含む、請求項16〜19のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−520593(P2011−520593A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507413(P2011−507413)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/002452
【国際公開番号】WO2009/151507
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(599168648)ユニベーション・テクノロジーズ・エルエルシー (70)
【Fターム(参考)】