説明

触媒系及びポリオレフィン製品を製造するための該触媒系の使用方法

触媒系並びにその製造方法及び使用方法を提供する。この触媒系は、単一部位触媒化合物と、弗素化アルミナを含む担体と、アルミノキサンとを含むことができる。このアルミノキサンは、担体1グラム当たり約10mmol以下の量で存在することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒系及びポリオレフィン製品を製造するための該触媒系の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
単一部位触媒を含む多数の触媒組成物がポリオレフィンを製造するために使用され、比較的均質な共重合体が良好な重合速度で製造されている。伝統的なチーグラー・ナッタ触媒組成物とは異なり、メタロセン触媒などの単一部位触媒組成物は、各触媒分子が1個又は数個のみの重合部位を含む触媒化合物である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
単一部位触媒系により、許容できる経済的に存立可能な重合活性を達成するためには、メチルアルミノキサン(「MAO」)などの大量の活性剤を必要とする場合が多い。このような活性剤は高価な場合が多く、しかも、重合用の活性な単一部位触媒を製造するのに必要な大量の活性剤は、ポリオレフィン製造用単一部位触媒の商業化に対する実質的な障害となっている。したがって、新規なオレフィン重合用単一部位触媒並びにその製造及び使用方法に関する要望が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概略
触媒系並びにその製造及び使用方法を提供する。触媒系は、単一部位触媒化合物と、弗素化アルミナを含む担体と、アルミノキサン、好ましくはメチルアルミノキサン、変性メチルアルミノキサン又はそれらの組合せとを含むことができる。アルミノキサンは、担体1グラム当たり約10mmol以下の量で存在することができる。
【発明を実施するための形態】
【0005】
詳細な説明
驚くべきことに、また予期せぬことに、アルミナ含有担体を弗素化させると、単一部位触媒化合物の遷移金属成分の濃度を増加させることにより高レベルの触媒生産性が得られることが分かった。触媒系は、活性剤、例えば、1種以上のアルミノキサンを担体1グラム当たり約10mmol以下の量で含むことができる。また、驚くべきことに、また予期せぬことに、担体が弗素化されたアルミナ含有担体である場合に、高レベルの触媒生産性が少量の活性剤、すなわち、担体1グラム当たり約3mmol以下の活性剤を使用して得られることも分かった。
【0006】
単一部位触媒化合物の遷移金属成分は、触媒系の総重量に基づいて約0.2重量%、約0.5重量%、又は約0.7重量%の低から約1重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、又は約4重量%の高までを範囲とする量で存在することができる。特定の遷移金属成分によっては(少なくとも一部)、単一部位触媒の遷移金属成分の量を変更することができる。例えば、遷移金属成分がHfの場合には、該遷移金属成分は、単一部位触媒化合物中において、触媒系の総重量に基づいて、約0.6重量%以上、約0.7重量%以上、約0.8重量%以上、約0.85重量%以上、約0.9重量%以上、約0.95重量%以上、約1重量%以上、約1.05重量%以上、約1.1重量%以上、約1.15重量%以上、約1.2重量%以上、約1.25重量%以上、又は約1.3重量%以上の量で存在することができる。別の例では、Hf含有単一部位触媒化合物中におけるHf濃度は、触媒系の総重量に基づいて、少なくとも0.8重量%、少なくとも0.85重量%、少なくとも0.9重量%、少なくとも0.95重量%、少なくとも1重量%、少なくとも1.05重量%、少なくとも1.1重量%、少なくとも1.15重量%、少なくとも1.2重量%、少なくとも1.25重量%、又は少なくとも1.3重量%の量で存在することができる。別の例では、遷移金属成分がZrの場合には、遷移金属成分は、単一部位触媒化合物中において、触媒系の総重量に基づき、約0.2重量%、約0.25重量%、約0.3重量%、又は約0.35重量%の低から約0.4重量%、約0.8重量%、約1重量%、約1.2重量%、又は約1.5重量%の高までを範囲とする量で存在することができる。本明細書の目的上、用語「触媒系」とは、1種以上の単一部位触媒化合物、活性剤及び担体をまとめたものをいう。
【0007】
担体が弗素化アルミナ含有担体の場合に、単一部位触媒化合物の遷移金属成分の量を増加させると、触媒生産性が増加する。したがって、弗素化アルミナ含有担体を使用すると、単一部位触媒化合物の遷移金属成分の濃度を増加させることにより触媒生産性を増加させることが可能になる。例えば、弗素化担体を使用すると、触媒系の触媒生産性は、非弗素化アルミナ含有担体及びさらに低い濃度の単一部位触媒系の遷移金属成分を使用した同一の触媒系と比較して、単一部位触媒化合物の遷移金属成分の量を増加させることにより約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約110%、約120%、約130%以上増加できる。言い換えれば、2種の同様の触媒系について、例えば、両方とも同じ弗素化アルミナ含有担体と同じ単一部位触媒化合物とを含む実質的に同様の活性剤濃度について、触媒生産性は、単一部位触媒化合物の遷移金属成分の量を増加させることによって増加できる。
【0008】
また、驚くべきことに、また予期せぬことに、本願所定の触媒系は、重合反応器内において、特性が改善したポリエチレンを製造するのに十分な条件で、エチレン及び1種以上の有機アルミニウム化合物と混合できることが分かった。例えば、少なくとも1種の有機アルミニウム化合物の存在は、同じ触媒系であるがただし少なくとも1種の有機アルミニウム化合物の非存在下で使用した場合と比較して、重合体のメルトフロー比(「MFR」)又は(「I21/I2」)を増加させることができる。例えば、重合体のメルトフロー比(MFR)は、1種以上の有機アルミニウム化合物を重合反応器に添加することによって、少なくとも1種の有機アルミニウム化合物が重合反応器に存在しない場合と比較して、約1%、約3%、約5%、約8%、約10%、約13%、約15%、約18%、約20%、約23%、約25%、約27%、又は約30%増大できる。別の例では、メルトフロー比(MFR)は、少なくとも1種の有機アルミニウム化合物を重合反応器に導入することによって、約10%〜約20%、又は約15%〜約25%、又は約15%〜約22%、又は約13%〜約25%増大できる。ここで使用するときに、用語「MFR」及び「I21/I2」とは、交換可能に、フローインデックス(「FI」又は「I21」)対メルトインデックス(「MI」又は「I2」)の比をいう。MI(I2)は、ASTM D1238(190℃、2.16kg重量)に従って測定できる。FI(I21)は、ASTM D1238(190℃、21.6kg重量)に従って測定できる。
【0009】
重合反応器内における1種以上の有機アルミニウム化合物の量は、約1ppmw〜約100ppmwの範囲とすることができる。例えば、1種以上の有機アルミニウム化合物は、重合反応器内において、約5ppmw〜約15ppmw、約8ppmw〜約14ppmw、約5ppmw〜約60ppmw、約10ppmw〜約40ppmw、又は約5ppmw〜約30ppmwの量で存在することができる。別の例では、1種以上の有機アルミニウム化合物は、重合反応器内において、約1ppmw、約3ppmw、約5ppmw、約7ppmw、又は約10ppmwの低から約15ppmw、約20ppmw、約25ppmw、約30ppmw、約40ppmw、又は約50ppmwの高までの範囲の量で存在することができる。1種以上の有機アルミニウム化合物は、触媒系とは別に又は独立して重合反応器に導入できる。1種以上の有機アルミニウム化合物は、触媒系と混合し、そして混合物として重合反応器に導入できる。例えば、触媒系及び有機アルミニウム化合物を互いに混合し、そしてスラリーとして重合反応器に導入することができる。
【0010】
単一部位触媒化合物と活性剤と担体とを互いに任意の順序で混合して触媒系を製造することができる。触媒系の製造の順序は無視できるものである、すなわち触媒生産性にいかなる影響を及ぼさない。例えば、1種以上の単一部位触媒化合物と活性剤とを混合して触媒/活性剤混合物を製造し、続いて担体と触媒/活性剤混合物とを重合反応器に独立に添加することができる。担体と単一部位触媒化合物と活性剤とを混合し、そして単一の触媒系として重合反応器に導入することができる。或いは、まず単一部位触媒化合物と活性剤とを混合して触媒/活性剤混合物を製造し、続いて担体を触媒/活性剤混合物に添加して触媒系を製造することができる。或いは、単一部位触媒化合物と活性剤を混合して触媒/活性剤混合物を製造し、次いで触媒/活性剤混合物を担体に添加して触媒系を製造することができる。或いは、まず担体と活性剤とを混合して活性剤/担体混合物を製造し、次いで単一部位触媒化合物を活性剤/担体混合物に添加して触媒系を製造することができる。単一部位触媒化合物を重合反応器への導入前に活性剤/担体混合物に添加し、又は単一部位触媒化合物と活性剤/担体混合物とを独立に重合反応器に導入し、そしてその中で混合することができる。
【0011】
1種以上の希釈剤又はキャリヤーを使用して、触媒系の任意の2種以上の成分の混合を容易にすることができる。例えば、単一部位触媒化合物と活性剤とを互いにトルエン又は別の非反応性炭化水素若しくは炭化水素混合物の存在下で混合して触媒/活性剤混合物を得ることができる。トルエンの他に、他の好適な希釈剤としては、エチルベンゼン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、他の炭化水素、又はそれらの任意の組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。その後、乾燥した又はトルエンと混合された担体を触媒/活性剤混合物に添加し、又は触媒/活性剤混合物を担体に添加することができる。
【0012】
活性剤は、好ましくはアルミノキサン、より好ましくはメチルアルミノキサン(「MAO」)又は変性メチルアルミノキサン(「MMAO」)又はそれらの組合せである。アルミノキサンの量は、アルミノキサン中に含まれるアルミニウム(Al)の量に基づいて決定できる。アルミノキサンは、触媒系中において、約0.1mmolの低〜約10mmolの範囲の量で存在することができる。例えば、アルミノキサンは、触媒系中において、担体1グラム当たり約9.5mmol以下、約9mmol以下、約8mmol以下、約7.5mmol以下、約7mmol以下、約6.5mmol以下、約6mmol以下、約5.5mmol以下、約5mmol以下、約4.5mmol以下、約4mmol以下、約3.5mmol以下、約3mmol以下、約2.5mmol以下、又は約2mmol以下の量で存在することができる。例えば、アルミノキサンは、触媒系中において、担体1グラム当たり、約0.1mmol、約0.5mmol、約1mmol、又は約1.5mmolの低から約3mmol、約5mmol、約6mmol、約6.3mmol、約6.5mmol、約6.7mmol、約7mmol、又は約8mmolの高までを範囲とする量で存在することができる。ここで、好適な範囲は、任意の下限の量と任意の上限の量との組合せを含む。好ましくは、アルミノキサンは、触媒系中において、担体1グラム当たり約3mmol以下、約2.7mmol以下、約2.5mmol以下、約2.3mmol以下、又は約2mmol以下の量で存在する。アルミノキサンは、触媒系中において、担体1グラム当たり約0.1mmol、約0.5mmol、約1mmol、又は約1.5mmolの低から約2mmol、約2.5mmol、約2.6mmol、約2.7mmol、約2.8mmol、約2.9mmol、又は約3mmolの高までを範囲とする量で存在することができる。ここで、好適な範囲は、任意の下限の量と任意の上限の量との組合せを含む。好ましくは、アルミノキサンは、触媒系中において、担体1グラム当たり約1mmol〜約3.5mmol、担体1グラム当たり約1.5mmol〜約3mmol、担体1グラム当たり約1.5mmol〜約2.8mmol、担体1グラム当たり約2mmol〜約2.9mmol、又は担体1グラム当たり約1mmol〜約2.8mmolを範囲とする量で存在することができる。ここで、好適な範囲は、任意の下限の量と任意の上限の量との組合せを含む。
【0013】
担体1グラム当たり約10mmol以下、約9mmol以下、約8mmol以下、又は7mmol以下、又は6.5mmol以下の量で存在する1種以上のアルミノキサンを有する触媒系は、触媒系1グラム当たり、少なくとも7,000、少なくとも8,000、少なくとも9,000、少なくとも10,000、少なくとも11,000、少なくとも12,000、少なくとも13,000、少なくとも14,000、少なくとも15,000、少なくとも16,000、又は少なくとも17,000グラムの重合体という触媒生産性を有することができる。例えば、担体1グラム当たり約8mmol以下の量で存在する1種以上のアルミノキサンを有する触媒系は、触媒系1グラム当たり約7,000、約8,000、又は約9,000グラムの重合体の低から約12,000、約16,000、約20,000、約24,000、約26,000、約28,000、又は約30,000グラムの重合体の高までを範囲とする触媒生産性を有することができる。ここで、好適な範囲は、任意の下限の生産性と任意の上限の生産性との組合せを含む。別の例では、担体1グラム当たり約7mmol以下の量で存在する1種以上のアルミノキサンを有する触媒系は、触媒系1グラム当たり、約5,000、約6,000、約7,000又は約8,000グラムの重合体の低から約12,000、約16,000、約20,000、約24,000、約26,000、約28,000、又は約30,000グラムの重合体の高までを範囲とする触媒生産性を有することができる。ここで、好適な範囲は、任意の下限の生産性と任意の上限の生産性との組合せを含む。
【0014】
担体1グラム当たり約3mmol以下、又は2.5mmol以下、又は2mmol以下の量で存在する1種以上のアルミノキサンを有する触媒系は、触媒系1グラム当たり少なくとも2,000、少なくとも2,500、少なくとも3,500、少なくとも4,000、少なくとも4,500、少なくとも5,000、少なくとも5,500、少なくとも6,000、少なくとも6,500、少なくとも7,000、少なくとも7,500、少なくとも8,000、少なくとも8,500、少なくとも9,000、少なくとも9,500、又は少なくとも10,000グラムの重合体という、触媒活性である生産性を有することができる。例えば、担体1グラム当たり約3mmol以下の量で存在する1種以上のアルミノキサンを有する触媒系は、触媒系1グラム当たり、約3,000、約6,000、又は約7,000グラム重合体の低から約12,000、約16,000、約20,000、約24,000、約26,000、約28,000、又は約30,000グラム重合体の高までを範囲とする触媒生産性を有することができる。ここで、好適な範囲は、任意の下限の生産性と任意の上限の生産性との組合せを含む。好ましくは、担体1グラム当たり約2.5mmol以下、又は2mmol以下の量で存在する1種以上のアルミノキサンを有する触媒系は、触媒系1グラム当たり約2,000、約3,000、又は約4,000の低から約8,000、約10,000、約12,000、約14,000、約16,000、約20,000、約24,000、約26,000、又は約30,000グラム重合体の高までを範囲とする触媒生産性を有することができる。ここで、好適な範囲は、任意の下限の生産性と任意の上限の生産性との組合せを含む。
【0015】
担体1グラム当たり約1mmol〜約10mmolの量で存在するMAO若しくはMMAO又はその両方及び触媒系の総重量に基づいて約0.2重量%〜約1.3重量%の範囲の単一部位触媒の金属濃度を有する触媒系は、担体が弗素化されたアルミナ含有担体である場合に、触媒系1グラム当たり少なくとも7,000、少なくとも8,000、少なくとも10,000、少なくとも11,000、少なくとも12,000、少なくとも13,000、少なくとも14,000、少なくとも15,000、少なくとも16,000、又は少なくとも17,000グラムの重合体の触媒生産性を有することができる。例えば、担体1グラム当たり約2mmol〜約7mmolの量で存在するMAO若しくはMMAO又はその両方及び単一部位触媒の金属濃度、例えば、触媒系の総重量に基づいて約0.9重量%〜約1.2重量%の範囲のHfを有する触媒系は、担体が弗素化されたアルミナ含有担体である場合に、触媒系1グラム当たり、約7,000、約8,000、約9,000、又は約10,000の低から約12,000、約14,000、約16,000、約18,000、約20,000、約22,000、約24,000、約27,000、又は約30,000グラム重合体の高までを範囲とする触媒生産性を有することができる。ここで、好適な範囲は、任意の下限の生産性と任意の上限の生産性との組合せを含む。
【0016】
担体1グラム当たり約3mmol以下の量で存在するMAO若しくはMMAO又はその両方を有する触媒系は、少なくとも2,000、少なくとも4,000、少なくとも6,000、少なくとも8,000、又は少なくとも10,000グラム重合体/グラム触媒系/時間の触媒生産性を有することができる。担体1グラム当たり約3mmol以下の量で存在するMAO若しくはMMAO又はその両方を有する触媒系は、触媒系1グラム当たり、約2,000、約3,000、約4,000、約5,000、約7,000、又は約8,000の低から約12,000、約16,000、約18,000、約20,000、約22,000、約24,000、約26,000、約28,000、又は約30,000グラム重合体の高までを範囲とする触媒生産性を有することができる。ここで、好適な範囲は、任意の下限の生産性と任意の上限の生産性との組合せを含む。
【0017】
担体
ここで使用するときに、用語「担体」及び「キャリヤー」とは、区別なく使用されるものであり、タルク、無機酸化物及び無機塩化物などの多孔性担体材料を含めた任意の担体材料をいう。他のキャリヤーとしては、ポリスチレンなどの樹脂状担体材料、ポリスチレンジビニルベンゼン、ポリオレフィンその他の重合体化合物などの官能化有機担体若しくは架橋有機担体又は任意の他の有機若しくは無機担体材料など或いはそれらの混合物を挙げることができる。
【0018】
1種以上の単一部位触媒化合物は、活性剤と共に同一若しくは別個の担体上に担持でき、又は活性剤は、担持されていない形で使用でき、若しくは単一部位触媒化合物とは異なる担体に付着でき、或いはそれらの任意の組合せであることができる。これは、当該技術分野において一般的に使用されている任意の技術によって達成できる。例えば、単一部位触媒化合物は、米国特許第5473202号及び同5770755号に記載されるような重合体結合配位子を含有することができる。単一部位触媒化合物は、例えば米国特許第5648310号に記載されるように噴霧乾燥できる。単一部位触媒化合物と共に使用される担体は、欧州特許出願EP0802203号に記載されるように官能化され、又は少なくとも1個の置換基若しくは脱離基は、米国特許第5688880号に記載されるように選択される。
【0019】
担体は、1種以上の無機酸化物であることができる又はこれらを含むことができる。担体は、1種以上の第2、3、4、5、13又は14族金属の酸化物を含む無機酸化物とすることができる。例えば、無機酸化物としては、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、ボリア、酸化亜鉛、マグネシア又はそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。無機酸化物の例示的組合せとしては、アルミナ−シリカ、シリカ−チタニア、アルミナ−シリカ−チタニア、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−チタニアなどが挙げられるが、これらに限定されない。担体はアルミナ、シリカ若しくはそれらの組合せであることができる又はこれらを含むことができる。
【0020】
2種以上の無機酸化物を含む担体は、互いに対して任意の比又は量の酸化物を有することができる。例えば、アルミナ−シリカ触媒担体は、アルミナ及びシリカの総量に基づいて約1重量%アルミナ〜約99重量%アルミナを含むことができる。一以上の実施形態では、アルミナ−シリカ触媒担体は、アルミナ及びシリカの総量に基づいて約2重量%、約5重量%、約15重量%、又は約25重量%の低から約50重量%、約60重量%、約70重量%、又は約90重量%の高までを範囲とするアルミナ濃度を有することができる。例えば、アルミナ−シリカ担体のアルミナ濃度は、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、又は約90重量%であることができる。別の例では、担体のアルミニウム濃度は、担体の重量に基づいて約2重量%、約3重量%、約4重量%又は約5重量%の低から約10重量%、約20重量%、約30重量%、約40重量%、又は約45重量%の高を範囲とすることができる。別の例では、担体のアルミニウム濃度は、担体の重量に基づいて約2重量%〜約12重量%、約3重量%〜約10重量%、約4重量%〜約8重量% 又は約3重量%〜約7重量%を範囲とすることができる。別の例では、担体のアルミニウム濃度は、担体の重量に基づいて約20重量%、約23重量%、又は約25重量%の低から約35重量%、約40重量%、又は約45重量%までの高を範囲とすることができる。
【0021】
好適な市販のシリカ担体としては、PQコーポレーションから入手できるES757、ES70及びES70Wが挙げられるが、これらに限定されない。好適な市販のシリカ−アルミナ担体としては、SASOL(商標)から入手できるSIRAL(商標)1、SIRAL(商標)5、SIRAL(商標)10、SIRAL(商標)20、SIRAL(商標)28M、SIRAL(商標)30及びSIRAL(商標)40が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
混合無機酸化物触媒担体は、任意の好適な方法で製造できる。例えば、シリカ触媒担体を1種以上のアルミニウム化合物と混合し、ブレンドし、接触させ、さもなければ一緒にしてシリカ担体とアルミニウム化合物との混合物を製造することができる。シリカ触媒担体を1種以上のアルミニウム化合物と水溶液及び/又はアルコール溶液中で混合し、そして乾燥させてシリカ担体とアルミニウム化合物との混合物を製造することができる。好適なアルコールとしては、1〜5個の炭素原子を有するアルコール及びそれらの混合物又は組合せが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、アルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどであることができる又は含むことができる。好適なアルミニウム化合物としては、アルミニウムモノアセテート((HO)2AlC232)、アルミニウムジアセテート(HOAl(C2322)、及びアルミニウムトリアセテート(Al(C2323)、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、水酸化アルミニウムジアセテート(Al(OAc)2OH)、トリアセチルアセトン酸アルミニウム、弗化アルミニウム(AlF3)、ヘキサフルオロアルミン酸ナトリウム(Na3AlF6)又はそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
シリカ担体とアルミニウム化合物との混合物を1種以上の不活性ガス、酸化剤、還元性ガスの存在下で、又はそれらの任意の順序/組合せで加熱(焼成)してアルミナ−シリカ触媒担体を製造することができる。ここで使用するときに、用語「酸化剤」としては、空気、酸素、ウルトラゼロエアー、酸素/不活性ガス混合物又はそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン、又はそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。還元性ガスとしては、水素、一酸化炭素、又はそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
シリカ担体とアルミニウム化合物との混合物は、窒素ガス又は他の不活性ガス下で第1温度にまで加熱できる。第1温度にまで加熱した後に、窒素ガスを停止させ、1種以上の酸化剤を導入し、そしてこの温度を第2温度にまで上昇させることができる。例えば、シリカ担体とアルミニウム化合物との混合物を不活性雰囲気下で約200℃の温度に加熱し、酸化剤を導入し、その後、この混合物を約450℃〜約1,500℃の温度に加熱してアルミナ−シリカ触媒担体を製造することができる。第2温度は、約250℃、約300℃、約400℃、又は約500℃の低から約600℃、約650℃、約700℃、約800℃、又は約900℃の高までを範囲とすることができる。例えば、第2温度は、約400℃〜約850℃、約800℃〜約900℃、約600℃〜約850℃、又は約810℃〜約890℃を範囲とすることができる。シリカ担体とアルミニウム化合物との混合物を加熱し、そして約1分〜約100時間の範囲の時間にわたって第2温度で保持することができる。例えば、シリカ担体とアルミナ化合物との混合物を加熱し、そして約30分、約1時間、又は約3時間の低から約10時間、約20時間、又は約50時間の高までを範囲とする時間にわたって第2温度で保持することができる。一以上の実施形態では、シリカ担体とアルミナ化合物との混合物は、中間又は第1温度にまで加熱することなく、周囲温度から第2温度又はそれよりも高い温度にまで加熱できる。シリカ担体とアルミナ化合物との混合物は、最初に窒素又は他の不活性雰囲気下で加熱することもできるし(これは、1種以上の酸化剤を含むように変更可能である)、或いは、この雰囲気は、周囲温度からの最初の加熱時には1種以上の酸化剤であることができる又は酸化剤を含むことができる。
【0025】
担体をハロゲン化物イオン、硫酸イオン又は陰イオンの組合せの1種以上のイオン源と混合し、ブレンドし、接触させ、さもなくば一緒にして無機酸化物触媒担体と陰イオンとの混合物を製造することができ、これを加熱又は焼成して活性化された担体を製造することができる。例えば、1種以上のハロゲン化イオン源、硫酸イオン源、金属イオン源又はそれらの任意の組合せは、無機酸化物担体と乾式混合、すなわち、液体を存在させることなく又は故意に液体を添加することなく混合できる。別の例では、1種以上のハロゲン化イオン源、硫酸イオン源、金属イオン源又はそれらの任意の組合せは、無機酸化物触媒担体と湿式混合、すなわち、液体の存在下で混合できる。例示の液体としては、アルコール、水、又はそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好適なアルコールとしては、1〜5個の炭素原子を有するアルコール及びそれらの混合物又は組合せが挙げられるが、これらに限定されない。乾式混合又は湿式混合された混合物を焼成して、活性化担体を製造することができる。
【0026】
活性化担体としては、臭素化アルミナ、臭素化アルミナ−シリカ、臭素化シリカ、弗素化アルミナ、弗素化アルミナ−シリカ、弗素化シリカ、弗素化アルミナ−ジルコニア、弗素化シリカ−ジルコニア、弗素化−塩素化アルミナ、弗素化−塩素化アルミナ−シリカ、塩素化アルミナ、塩素化アルミナ−シリカ、塩素化シリカ、硫酸化アルミナ、硫酸化アルミナ−シリカ、硫酸化シリカ又はそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。担体は、1種以上のハロゲン化イオン源及び/又は硫酸イオン源に加えて又はその代わりに、1種以上の金属イオンで処理できる。例示の金属イオンとしては、銅、ガリウム、モリブデン、銀、錫、タングステン、バナジウム、亜鉛又はそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
例示の弗素化剤又は弗化物化剤としては、ヘキサフルオロ珪酸アンモニウム((NH42SiF6)、弗素(F2)、弗化水素酸(HF)、弗化アンモニウム(NH4F)、弗化水素アンモニウム(NH4HF2)、テトラフルオロホウ酸アンモニウム(NH4BF4)、ヘキサフルオロリン酸アンモニウム(NH4PF6)、ヘプタフルオロタンタル酸(V)アンモニウム(NH42TaF7、ヘキサフルオロゲルマン酸(IV)アンモニウム(NH42GeF6、ヘキサフルオロチタン酸(IV)アンモニウム(NH42TiF6、ヘキサフルオロジルコン酸アンモニウム(NH42ZrF6、フッ化アルミニウム(AlF3)、ヘキサフルオロアルミン酸ナトリウム(Na3AlF6)、弗化モリブデン(VI)(MoF6)、五弗化臭素(BF5)、三弗化窒素(NF3)、一水素二弗化アンモニウム(NHF2)、ペルフルオルヘキサンC614、ヘキサフルオルベンゼン(C66)、フルオルメタン(CH3F)、トリフルオルエタノール(C233O)、フレオン、それらの誘導体、又はそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。例示の塩素化剤又は塩化物化剤としては、フレオン、ペルクロルベンゼン、クロルメタン、ジクロルメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロルエタノール、塩化水素、塩素、それらの誘導体、又はそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な硫酸化剤としては、硫酸、硫酸アンモニウムなどの硫酸塩又はそれらの任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
例示のフレオンとしては、トリクロルフルオルメタン(CCl3F)、トリクロルジフルオルメタン(CCl22)、クロルトリフルオルメタン(CClF3)、クロルジフルオルメタン(CHClF2)、ジクロルフルオルメタン(CHCl2F)、クロルフルオルメタン(CH2ClF)、ブロムクロルジフルオルメタン(CBrClF2)、1,1,2−トリクロル−1,2,2−トリフルオルエタン(Cl2FC−CClF2)、1,1,1−トリクロル−2,2,2−トリフルオルエタン(Cl3C−CF3)、1,2−ジクロル−1,1,2,2−テトラフルオルエタン(ClF2C−CClF2)、1−クロル−1,1,2,2,2−ペンタフルオルエタン(ClF2C−CF3)、2−クロル−1,1,1,2−テトラフルオルエタン(CHFClCF3)、1,1−ジクロル−1−フルオルエタン(Cl2FC−CH3)、1−クロル−1,1−ジフルオルエタン(ClF2C−CH3)、テトラクロル−1,2−ジフルオルエタン(CCl2FCCl2F)、テトラクロル−1,1−ジフルオルエタン(CClF2CCl3)、1,1,2−トリクロルトリフルオルエタン(CCl2FCClF2)、1−ブロム−2−クロル−1,1,2−トリフルオルエタン(CHClFCBrF2)、2−ブロム−2−クロル−1,1,1−トリフルオルエタン(CF3CHBrCl)、1,1−ジクロル−2,2,3,3,3−ペンタフルオルプロパン(CF3CF2CHCl2)、1,3−ジクロル−1,2,2,3,3−ペンタフルオルプロパン(CClF2CF2CHClF)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
担体と混合されるハロゲン化物イオン源、硫酸イオン源、及び/又は金属イオン源の量は、混合物、すなわち、担体、ハロゲン化物イオン源、硫酸イオン源及び/又は金属イオン源の総重量に基づいて、約0.01重量%、約0.1重量%、又は約1重量%の低から約10重量%、約20重量%、約30重量%、約40重量%、又は約50重量%の高までを範囲とすることができる。例えば、無機酸化物触媒担体1グラム当たり約0.01g〜約0.5gの量の弗素化剤を混合することができる。別の例では、ハロゲン化物イオン源は弗素化剤であることができ、担体はシリカ−アルミナであることができ、担体上の弗化物の量は、担体の重量に基づいて、約2重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、又は約5重量%の低から約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、又は約12重量%の高までを範囲とすることができる。別の例では、ハロゲン化物イオン源は弗素化剤であることができ、担体は、アルミニウム源の存在下で焼成されたシリカであることができ、担体上の弗化物の量は、担体の重量に基づいて約1.5重量%、約2重量%、又は約2.5重量%の低から約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、又は約5重量%の高までを範囲とすることができる。
【0030】
担体と、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン又は陰イオンの組合せの1種以上のイオン源との混合物を、1種以上の不活性ガス、酸化剤、還元性ガスの存在下において、任意の順序、それらの任意の組合せ又は任意の順序/それらの組合せで加熱して活性化担体を製造することができる。例えば、弗素化剤/アルミナ−シリカ担体混合物を窒素ガスパージ又は他の不活性ガス若しくは不活性ガスの組合せの下で第1温度にまで加熱することができる。第1温度にまで加熱した後に、不活性ガスを停止させ、1種以上の酸化剤を導入し、そして、温度を第2温度にまで上昇させることができる。例えば、弗素化剤/アルミナ−シリカ担体混合物を不活性雰囲気下で約200℃の温度に加熱し、酸化剤を導入し、そして混合物を約600℃以上の温度に加熱して活性化担体を製造することができる。弗素化剤/アルミナ−シリカ担体混合物は、約250℃、約300℃、又は約400℃の低から約600℃、約750℃、又は約900℃の高までを範囲とする第2温度に加熱できる。弗素化剤/アルミナ−シリカ担体混合物を加熱し、そして約1分〜約100時間を範囲とする時間にわたって第2温度で保持することができる。例えば、弗素化剤/アルミナ−シリカ担体混合物を加熱し、そして約30分、約1時間、又は約3時間の低から約10時間、約20時間、又は約50時間の高までを範囲とする第2温度で保持することができる。
【0031】
1種以上のハロゲン化物イオン源、硫酸イオン源、及び/又は金属イオン源を、加熱前にハロゲン化物イオン源、硫酸イオン源及び/又は金属イオン源並びに担体を混合させる代わりに又はそれに加えて、加熱又は焼成中に導入することができる。
【0032】
1種以上のハロゲン化物イオン源、硫酸イオン源、及び/又は金属イオン源をシリカ担体とアルミニウム化合物との混合物と混合し、ブレンドし、接触させ、さもなくば一緒にすることができる。続いて、一緒にされたハロゲン化物イオン源、硫酸イオン源及び/又は金属イオン源と、シリカ担体と、アルミニウム化合物との混合物を互いに(別々ではなく)加熱して活性化担体を製造することができる。例えば、ヘキサフルオロ珪酸アンモニウム((NH42SiF6)などの弗化物源をシリカとアルミニウム化合物との混合物と混合させ、その後焼成して弗素化アルミナ−シリカ担体を製造することができる。
【0033】
活性化触媒担体は、約1m2/g、約50m2/g、又は約100m2/gの低から約400m2/g、約500m2/g、又は約800m2/gの高までを範囲とする表面積を有することができる。活性化触媒担体は、約0.01cm3/g、約0.1cm3/g、約0.8cm3/g、又は約1cm3/gの低から約2cm3/g、約2.5cm3/g、約3cm3/g、又は約4cm3/gの高までを範囲とする細孔容積を有することができる。活性化触媒担体は、約0.1μm、約0.3μm、約0.5μm、約1μm、約5μm、約10μm、又は約20μmの低から約50μm、約100μm、約200μm、又は約500μmの高までを範囲とする平均粒度を有することができる。活性化触媒担体の平均孔径は、約10Å〜約1,000Å、好ましくは約50Å〜約500Å、より好ましくは約75Å〜約350Åである。
【0034】
好適な触媒担体は、Hlatky,Chem.Rev.(2000),100,1347 1376及びFink外,Chem.Rev.(2000),100,1377 1390、米国特許第4,701,432号、同4,808,561号、同4,912,075号、同4,925,821号、同4,937,217号、同5,008,228号、同5,238,892号、同5,240,894号、同5,332,706号、同5,346,925号、同5,422,325号、同5,466,649号、同5,466,766号、同5,468,702号、同5,529,965号、同5,554,704号、同5,629,253号、同5,639,835号、同5,625,015号、同5,643,847号、同5,665,665号、同5,698,487号、同5,714,424号、同5,723,400号、同5,723,402号、同5,731,261号、同5,759,940号、同5,767,032号及び同5,770,664号、並びにWO95/32995、WO95/14044、WO96/06187及びWO97/02297で議論され、説明されている。
【0035】
活性剤
ここで使用するときに、用語「活性剤」及び「共触媒」とは、交換可能に使用されるものであり、かつ、担持された又は担持されていない任意の化合物又は該化合物の組合せであって、単一部位触媒化合物又は成分を該触媒成分から陽イオン種を作り出すことなどによって活性化させることができるものをいう。例えば、これは、少なくとも1個の脱離基(ここで説明する単一部位触媒化合物におけるX基)を該単一部位触媒化合物/成分の金属中心から引き抜くことを伴う。
【0036】
例えば、活性剤としては、ルイス酸又は非配位性イオン活性剤又はイオン化性活性剤或いはルイス塩基、アルミニウムアルキル、及び/又は従来型の共触媒を含めた他の任意の化合物を挙げることができる。上記メチルアルミノキサン(「MAO」)及び変性メチルアルミノキサン(「MMAO」)の他に、例示の活性剤としては、アルミノキサン又は変性アルミノキサン、及び/又はトリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオルフェニル)硼素、トリスペルフルオルフェニル硼素メタロイド先駆物質、トリスペルフルオルナフチル硼素メタロイド先駆物質又は任意のそれらの組合せなどの中性又はイオン性のイオン化性化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
アルミノキサンは、−Al(R)−O−サブユニット(ここで、Rはアルキル基である)を有するオリゴマーアルミニウム化合物であると説明できる。アルミノキサンの例としては、メチルアルミノキサン(「MAO」)、変性メチルアルミノキサン(「MMAO」)、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、又はそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。アルミノキサンは、それぞれのトリアルキルアルミニウム化合物の加水分解により製造できる。MMAOは、トリメチルアルミニウム及びトリイソブチルアルミニウムなどの高級トリアルキルアルミニウムの加水分解により製造できる。MMAOは、一般に、脂肪族溶媒により可溶であり、しかも貯蔵中により安定である。アルミノキサン及び変性アルミノキサンを製造する様々な方法が存在しており、その例は、米国特許第4,665,208号;同4,952,540号;同5,091,352号;同5,206,199号;同5,204,419号;同4,874,734号;同4,924,018号;同4,908,463号;同4,968,827号;同5,308,815号;同5,329,032号;同5,248,801号;同5,235,081号;同5,157,137号;同5,103,031号;同5,391,793号;同5,391,529号;同5,693,838号;同5,731,253号;同5,731,451号;同5,744,656号;同5,847,177号;同5,854,166号;同5,856,256号;及び同5,939,346号;並びにEP0561476; EP0279586; EP0594218;及びEP0586665;並びにWOパンフレット:WO94/10180及びWO99/15534で議論され、説明されているが、これらに限定されない。
【0038】
一以上の実施形態では、外観上透き通ったMAOを使用することができる。例えば、曇った及び/又はゲル状のアルミノキサンをろ過して透き通ったアルミノキサンを製造することや、透き通ったアルミノキサンを曇ったアルミノキサン溶液からデカントすることができる。別の実施形態では、曇った及び/又はゲル状のアルミノキサンを使用することができる。別のアルミノキサンとしては、変性メチルアルミノキサン(「MMAO」)3A型(Akzo ChemicalsからModified Methylaluminoxane Type 3Aという商品名で入手可能であり、米国特許第5,041,584号において議論され、説明されている)が挙げられる。好適なMAO源は、例えば約1重量%〜約50重量%のMAOを有する溶液とすることができる。市販のMAO溶液としては、米国ルイジアナ州バトン・ルージュのAlbemarle Corporationから入手できる10重量%及び30重量%のMAO溶液が挙げられる。
【0039】
上記のように、1種以上のアルキルアルミニウム化合物などの1種以上の有機アルミニウム化合物をアルミノキサンと併用できる。例えば、使用できるアルキルアルミニウム種は、ジエチルアルミニウムエトキシド、塩化ジエチルアルミニウム、及び/又は水素化ジイソブチルアルミニウムである。好ましくは、アルキルアルミニウム化合物はトリアルキルアルミニウム化合物である。トリアルキルアルミニウム化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム(「TEAL」)、トリイソブチルアルミニウム(「TiBAl」)、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
少なくとも一つの特定の実施形態では、触媒系には、故意に添加された有機アルミニウム化合物がなくてもよい又は実質的になくてもよい。言い換えれば、少なくとも一つの実施形態では、有機アルミニウム化合物の使用を回避することができ、さもなくば、該有機アルミニウム化合物は、触媒系には故意には添加されない。
【0041】
一以上の実施形態では、中性又はイオン性の1種以上のイオン化又は化学量論活性剤をアルミノキサン又は変性アルミノキサンと併用できる。例えば、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオルフェニル)硼素、トリスペルフルオルフェニル硼素メタロイド先駆物質又はトリスペルフルオルナフチル硼素メタロイド先駆物質、ポリハロゲン化ヘテロボラン陰イオン(WO98/43983)、ホウ酸(米国特許第5,942,459号)、又はそれらの組合せを使用することができる。中性の化学量論活性剤の例としては、3置換硼素、テルル、アルミニウム、ガリウム、インジウム、又はそれらの任意の組合せを挙げることができる。3つの置換基は、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、ハロゲン、置換アルキル、アリール、ハロゲン化アリール、アルコキシ及びハロゲン化物から選択できる。好ましい中性の化学量論活性剤としては、トリスペルフルオルフェニル硼素又はトリスペルフルオルナフチル硼素が挙げられる。
【0042】
触媒化合物
単一部位触媒化合物は、1種以上のメタロセン触媒及び他の単一部位触媒である又はこれらを含むことができる。使用できる他の触媒化合物としては、クロム系触媒、チーグラー・ナッタ触媒、遷移金属触媒及び2種金属触媒が挙げられる。例えば、触媒化合物は、AlCl3、コバルト、鉄、パラジウム、クロム/酸化クロム又は「フィリップス」触媒を含むことができる。任意の触媒を単独で使用してもよいし、他のものと併用してもよい(すなわち、「混合」触媒)。
【0043】
メタロセン触媒化合物
一般に、メタロセン触媒化合物は、例えば、1&2 Metallocene−Based Polyolefins(John Scheirs及びW.Kaminsky著,John Wiley & Sons社.2000);G.G.Hlatky,181 COORDINATION CHEM.REV.243−296(1999)並びに、特に、ポリエチレンの合成における使用については、1 Metallocene−Based Polyolefins 261−377(2000)に全体的に記載されている。メタロセン触媒化合物としては、1個以上のCp配位子(シクロペンタジエニル及びシクロペンタジエニルにアイソローバルな配位子)が少なくとも1個の第3〜第12族金属原子に結合し、かつ、1個以上の脱離基が少なくとも1個の金属原子に結合してなる「半サンドイッチ」及び「全サンドイッチ」化合物が挙げられる。ここで使用するときに、特に以前のローマ数字で表されたIUPAC形式を参照しないかぎり又は特に示さない限り、元素の周期律表及びその族に関しては、全て、HAWLEY’S CONDENSED CHEMICAL DICTIONARY、第13版,John Wiley & Sons,Inc.,(1997)(IUPACから許諾を得て複製)において公開された新表記法を参照する。
【0044】
Cp配位子は、シクロアルカジエニル配位子及び複素環式アナログなどの、少なくとも1部分がπ結合系を含む1個以上の環又は環系である。環(若しくは複数の環)又は環系(若しくは複数の環系)は、典型的には、第13〜16族原子よりなる群から選択される原子を含み、特定の代表例では、Cp配位子を構成する原子は、炭素、窒素、酸素、珪素、硫黄、燐、ゲルマニウム、硼素及びアルミニウム並びにそれらの組合せよりなる群から選択されるが、この場合、炭素は、環員の少なくとも50%を占める。さらに特定の代表例では、Cp配位子は、置換及び非置換のシクロペンタジエニル配位子及びシクロペンタジエニルにアイソローバルな配位子よりなる群から選択され、その例としては、シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル及び他の構造が挙げられるが、これらに限定されない。このような配位子のさらなる例としては、シクロペンタジエニル、シクロペンタフェナントレニル、インデニル、ベンズインデニル、フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、シクロオクタテトラエニル、シクロペンタシクロドデセン、フェナントリンデニル、3,4−ベンゾフルオレニル、9−フェニルフルオレニル、8−H−シクロペンタアセナフチレニル、7H−ジベンゾフルオレニル、インデノ[1,2−9]アントレン、チオフェノインデニル、チオフェノフルオレニル、それらの水素化種(例えば、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル、又は「H4Ind」)、それらの置換種(以下においてさらに詳細に議論及び説明する)及びそれらの複素環式種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
メタロセン触媒化合物の金属原子「M」は、一実施形態では第3〜12族原子及びランタニド族原子よりなる群から選択でき;さらに特定の実施形態では第3〜10族原子よりなる群から選択でき、さらに特定の実施形態ではSc、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir及びNiよりなる群から選択でき;さらに特定の実施形態では第4、5及び6族原子よりなる群から選択でき、さらに特定の実施形態ではTi、Zr、Hf原子から選択でき、さらに特定の実施形態ではHfであることができる。金属原子「M」の酸化状態は、一実施形態では0〜+7の範囲にあり;さらに特定の実施形態では、+1、+2、+3、+4又は+5であり;さらに特定の実施形態では+2、+3又は+4であることができる。金属原子「M」に結合する基は、特に示さない限り、以下において式及び構造で説明する化合物が電気的に中性となるようなものである。Cp配位子は、金属原子Mと共に少なくとも1個の化学結合を形成して「メタロセン触媒化合物」となる。これらのCp配位子は、置換/引き抜き反応に対してさほど影響を受けやすくないという点で、触媒化合物に結合する脱離基とは区別される。
【0046】
1種以上のメタロセン触媒成分は次式(I)によって表される:
CpACpBMXn (I)
(式中、Mは上記の通りであり;それぞれのXはMに化学的に結合し;それぞれのCp基はMに化学的に結合し;nは0〜4の整数であり、特定の実施形態では1又は2のいずれかである。)。
【0047】
式(I)においてCpA及びCpBで表される配位子は、同一の又は異なるシクロペンタジエニル配位子又はシクロペンタジエニルにアイソローバルな配位子であってよく、そのいずれか又は両方はヘテロ原子を含有することができ、また、そのいずれか又は両方は基Rで置換されていてよい。少なくとも一つの特定の実施形態では、CpA及びCpBは、シクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、フルオレニル及びそれぞれの置換種よりなる群から独立して選択される。
【0048】
独立に、式(I)の各CpA及びCpBは、非置換であっても置換基Rのいずれか一つ又はその組合せで置換されていてもよい。構造式(I)で使用されるような置換基R並びに構造式(Va−d)で表される環置換基の例としては、水素基、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アシル、アロイル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオール、ジアルキルアミン、アルキルアミド、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルボモイル、アルキルカルバモイル及びジアルキルカルバモイル、アシルオキシ、アシルアミノ、アロイルアミノ及びそれらの組合せよりなる群から選択される基が挙げられるが、これらに限定されない。式(I)〜(Va−d)に関連するアルキル置換基Rの具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジル、フェニル、メチルフェニル及びt−ブチルフェニル基など(それらの全ての異性体、例えば第三ブチル、イソプロピルなどを含む。)が挙げられるが、これらに限定されない。見込まれる他の基としては、置換アルキル及び置換アリール、例えば、フルオルメチル、フルオルエチル、ジフルオルエチル、ヨードプロピル、ブロムヘキシル、クロルベンジル、及びトリメチルシリル、トリメチルゲルミル、メチルジエチルシリルなどを含めてヒドロカルビル置換有機金属基;及びトリス(トリフルオルメチル)シリル、メチルビス(ジフルオルメチル)シリル、ブロムメチルジメチルゲルミルなどを含めてハロカルビル置換有機金属基;及び例えばジメチル硼素を含めて二置換硼素基;及びジメチルアミン、ジメチルホスフィン、ジフェニルアミン、メチルフェニルホスフィンを含めて二置換第15族元素基、並びにメトキシ、エトキシ、プロポキシ、フェノキシ、硫化メチル及び硫化エチルを含めて第16族元素基が挙げられる。他の置換基Rとしては、オレフィン、例えば、限定されないが、ビニル末端配位子、例えば3−ブテニル、2−プロペニル、5−ヘキセニルなどを含むオレフィン系不飽和置換基が挙げられる。一実施形態では、少なくとも2個のR基(一実施形態では隣接する2個のR基)が結合して炭素、窒素、酸素、燐、珪素、ゲルマニウム、アルミニウム、硼素及びそれらの組合せよりなる群から選択される3〜30個の原子を有する環構造を形成する。また、1−ブタニルのような置換基Rは、元素Mに対する結合を形成することもできる。
【0049】
上記式(I)における及び以下の式/構造(II)〜(Va−d)についての各Xは、独立して、一実施形態では任意の脱離基;さらに特定の実施形態ではハロゲンイオン、水素化物、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C12アリール、C7〜C20アルキルアリール、C1〜C12アルコキシ、C6〜C16アリールオキシ、C7〜C8アルキルアリールオキシ、C1〜C12フルオルアルキル、C6〜C12フルオルアリール及びC1〜C12ヘテロ原子含有炭化水素並びにそれらの置換誘導体;さらに特定の実施形態では水素化物、ハロゲンイオン、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C7〜C18アルキルアリール、C1〜C6アルコキシ、C6〜C14アリールオキシ、C7〜C16アルキルアリールオキシ、C1〜C6アルキルカルボキシレート、C1〜C6弗素化アルキルカルボキシレート、C6〜C12アリールカルボキシレート、C7〜C18アルキルアリールカルボキシレート、C1〜C6フルオルアルキル、C2〜C6フルオルアルケニル及びC7〜C18フルオルアルキルアリール;さらに特定の実施形態では水素化物、塩化物、弗化物、メチル、フェニル、フェノキシ、ベンゾキシ、トシル、フルオルメチル及びフルオルフェニル;さらに特定の実施形態ではC1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C6〜C12アリール、C7〜C20アルキルアリール、置換C1〜C12アルキル、置換C6〜C12アリール、置換C7〜C20アルキルアリール及びC1〜C12ヘテロ原子含有アルキル、C1〜C12ヘテロ原子含有アリール及びC1〜C12ヘテロ原子含有アルキルアリール;さらに特定の実施形態では塩化物、弗化物、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C7〜C18アルキルアリール、ハロゲン化C1〜C6アルキル、ハロゲン化C2〜C6アルケニル及びハロゲン化C7〜C18アルキルアリール;さらに特定の実施形態では弗化物、メチル、エチル、プロピル、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、フルオルメチル(モノ−、ジ−及びトリ−フルオルメチル)及びフルオルフェニル(モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−及びペンタフルオルフェニル);並びにさらに特定の実施形態では弗化物よりなる群から選択される。
【0050】
X基の例としては、アミン、ホスフィン、エーテル、カルボキシレート、ジエン、1〜20個の炭素原子を有する炭化水素基、弗素化炭化水素基(例えば、−C65(ペンタフルオルフェニル))、弗素化アルキルカルボン酸イオン(例えば、CF3C(O)O-)、水素化物イオン、ハロゲンイオン及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。X配位子の他の例としては、アルキル基、例えば、シクロブチル、シクロヘキシル、メチル、ヘプチル、トリル、トリフルオルメチル、テトラメチレン、ペンタメチレン、メチリデン、メチオキシ、エチオキシ、プロポキシ、フェノキシ、ビス(N−メチルアニリド)、ジメチルアミド、ジメチルホスフィド基などが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、2個以上のXは縮合環又は環系の一部分をなす。少なくとも一つの特定の実施形態では、Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、C1〜C10アルキル及びC2〜C12アルケニル、カルボキシレート、アセチルアセトネート及びアルコキシドよりなる群から選択される脱離基であることができる。
【0051】
メタロセン触媒化合物は、その構造が式(II)で表されるように、CpA及びCpBが少なくとも1個の架橋基(A)によって互いに架橋した式(I)のものを含む:
CpA(A)CpBMXn (II)
【0052】
式(II)で表されるこれらの架橋化合物は、「架橋メタロセン」として知られている。式(II)におけるCpA、CpB、M、X及びnは、式(I)について上で定義したとおりである;また、ここで、それぞれのCp配位子はMに化学的に結合し、そして(A)はそれぞれのCpに化学的に結合する。架橋基(A)としては、少なくとも1個の第13〜16族原子、例えば、限定されないが、炭素、酸素、窒素、珪素、アルミニウム、硼素、ゲルマニウム及び錫原子並びにそれらの組合せのうち少なくとも1個を含有する2価の炭化水素基が挙げられるが、これらに限定されない;また、ヘテロ原子は、中立の原子価を満足するようにC1〜C12アルキル又はアリールで置換されていてもよい。少なくとも一つの特定の実施形態では、架橋基(A)は、ハロゲン基及び鉄を含めて、上で定義した(式(I)について)置換基Rを含むこともできる。少なくとも一つの特定の実施形態では、架橋基(A)は、C1〜C6アルキレン、置換C1〜C6アルキレン、酸素、硫黄、R'2C=、R'2Si=、=Si(R')2Si(R'2)=、R'2Ge=及びR'P=(ここで、「=」は2つの化学結合を表し、R'は、独立して、水素化物、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、ヒドロカルビル置換有機金属、ハロカルビル置換有機金属、二置換硼素、二置換第15族原子、置換第16族原子及びハロゲン基よりなる群から選択される;また、2個以上のR'は一緒になって環又は環系を形成することができる。)で表すことができる。少なくとも一つの特定の実施形態では、式(II)の架橋メタロセン触媒化合物は2個以上の架橋基(A)を有する。一以上の実施形態では、(A)は、2価のC1〜C20ヒドロカルビル及びC1〜C20ヘテロ原子含有ヒドロカルボニル(ここで、このヘテロ原子含有ヒドロカルボニルは、1〜3個のヘテロ原子を有する)よりなる群から選択される、CpA及びCpBの両方に結合する2価の架橋基であることができる。
【0053】
架橋基(A)としては、メチレン、エチレン、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン、ジフェニルメチレン、1,2−ジメチルエチレン、1,2−ジフェニルエチレン、1,1,2,2−テトラメチルエチレン、ジメチルシリル、ジエチルシリル、メチルエチルシリル、トリフルオルメチルブチルシリル、ビス(トリフルオルメチル)シリル、ジ(n−ブチル)シリル、ジ(n−プロピル)シリル、ジ(i−プロピル)シリル、ジ(n−ヘキシル)シリル、ジシクロヘキシルシリル、ジフェニルシリル、シクロヘキシルフェニルシリル、t−ブチルシクロヘキシルシリル、ジ(t−ブチルフェニル)シリル、ジ(p−トリル)シリル及びSi原子がGe又はC原子で置換された対応部分;並びにジメチルシリル、ジエチルシリル、ジメチルゲルミル及びジエチルゲルミルが挙げられる。
【0054】
また、架橋基(A)は、例えば4〜10員環を有する環状であることができる;さらに特定の実施形態では、該架橋基(A)は、5〜7員環であることができる。この環員は、上で列挙した元素から選択でき、また、特定の実施形態ではB、C、Si、Ge、N及びOの一つ以上から選択できる。架橋部分として又はその一部分として存在できる環構造の例は、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、シクロオクチリデン及び1個又は2個の炭素原子がSi、Ge、N及びOの少なくとも1個で置換された対応する環であるが、これらに限定されない。一以上の実施形態では、1個又は2個の炭素原子がSi及びGeの少なくとも1個で置換されていてよい。環とCp基との間の結合配置は、シス、トランス又はその組合せであることができる。
【0055】
環状架橋基(A)は、飽和でも不飽和でもよく及び/又は1個以上の置換基を有していてよく及び/又は1個以上の他の環構造に縮合していてよい。存在するならば、この1個以上の置換基は、少なくとも一つの特定の実施形態では、ヒドロカルビル(例えば、メチルなどのアルキル)及びハロゲン(例えば、F、Cl)よりなる群から選択できる。上記環状架橋部分が縮合していてよい1個以上のCp基は、飽和でも不飽和でもよく、かつ、4〜10(特に5、6又は7)員環(特定の実施形態ではC、N、O及びSよりなる群から選択される)を有するもの、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル及びフェニルよりなる群から選択できる。さらに、これらの環構造は、例えばナフチル基の場合のように、それら自体が縮合していてもよい。さらに、これらの(縮合していてよい)環構造は1個以上の置換基を有することができる。例えば、これらの置換基の例は、ヒドロカルビル(特にアルキル)基及びハロゲン原子であるが、これらに限定されない。
【0056】
式(I)及び(II)の配位子CpA及びCpBは、互いに異なっていてよい。式(I)及び(II)の配位子CpA及びCpBは、同一であってよい。
【0057】
メタロセン触媒化合物は、架橋された一配位子メタロセン化合物(例えば、モノシクロペンタジエニル触媒成分)を含むことができる。代表的なメタロセン触媒化合物は米国特許第6,943,134号に記載されている。
【0058】
上で議論し説明したメタロセン触媒成分は、それらの構造異性体又は光学異性体又は鏡像異性体(ラセミ混合物)を包含するものとし、また、一実施形態では純粋な鏡像異性体であることができる。ここで使用するときに、ラセミ異性体及び/又はメソ異性体を有する、非対称的に置換された、単一の架橋メタロセン触媒化合物それ自体は、少なくとも2種の異なる架橋メタロセン成分を構成しない。
【0059】
上記のように、触媒系における1種以上のメタロセン触媒化合物の遷移金属成分の量は、触媒系の総重量に基づいて、約0.2重量%、約3重量%、約0.5重量%、又は約0.7重量%の低から約1重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、又は約4重量%の高までを範囲とすることができる。
【0060】
「メタロセン触媒化合物」は、ここで議論し説明した任意の「実施形態」の任意の組合せを含むことができる。例えば、メタロセン触媒化合物としては、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウム(CH32、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムF2、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムCl2、ビス(n−ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムCl2、[(2,3,4,5,6−Me56N)CH2CH2]2NHZrBz2(ここで、Bzはベンジル基、又はそれらの任意の組合せである。)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
上で議論し説明したメタロセン触媒化合物の他に、他の好適なメタロセン触媒化合物としては、米国特許第7,741,417号;同7,179,876号;同7,169,864号;同7,157,531号;同7,129,302号;同6,995,109号;同6,958,306号;同6,884,748号;同6,689,847号;並びにWOパンフレット:WO97/22635;WO00/69922;WO01/30860;WO01/30861;WO02/46246;WO02/50088;WO04/026921;並びにWO06/019494において議論され説明されたメタロセンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
使用できる他のメタロセン触媒化合物は、(a)イオン結合型錯体と、(b)遷移金属化合物と、(c)有機金属化合物と、(d)担体材料とを含む担体拘束幾何型触媒(sCGC)である。このようなsCGC触媒は、PCTパンフレットWO2011/017092号に記載されている。いくつかの実施形態では、sCGC触媒は、硼酸イオンを含むことができる。硼酸陰イオンは、式[BQ4-z'(Gq(T−−H)rz'd-(式中、Bは、3の原子価状態の硼素であり;Qは、水素化物、ジヒドロカルビルアミド、ハロゲン化物、ヒドロカルビルオキシド、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビル基よりなる群から選択され;z’は1〜4の範囲の整数であり;Gは、M’及びr基に結合したr+1原子価を有する多価炭化水素基(T−−H)であり;qは0又は1の整数であり;基(T−−H)は、TがO、S、NR又はPRを有する基であって、そのO、S、N又はP原子が水素原子Hに結合したもの(ここで、Rは、ヒドロカルビル基、トリヒドロカルビリル基、トリヒドロカルビルゲルミル基又は水素である)であり;rは1〜3の整数であり;dは1である。)によって表される。或いは、硼酸イオンは、式[BQ4-z'(Gq(T−−MoCx-1ayrz']d-(式中、Bは3の原子価状態の硼素であり;Qは、水素化物、ジヒドロカルビルアミド、ハロゲン化物、ヒドロカルビルオキシド、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビル基よりなる群から選択され;z’は1〜4の範囲の整数であり;Gは、B及びr基に結合したr+1原子価を有する多価炭化水素基(T−−MoCx-1ay)であり;qは0又は1の整数であり;基(T−−MoCx-1ay)はTがO、S、NR又はPRを有する基であって、そのO、S、N又はP原子がMoに結合したもの(ここで、Rはヒドロカルビル基、トリヒドロカルビリル基、トリヒドロカルビルゲルミル基又は水素であり;Moは元素の周期律表の第1〜14族から選択される金属又はメタロイドであり、RCは独立して水素又はヒドロカルビル、ヒドロカルビリル又はヒドロカルビリルヒドロカルビルである、1〜80個の非水素原子を有する基であり;Xaはハロ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルアミノ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルアミノ、ジ(ヒドロカルビル)アミノ、ヒドロカルビルオキシ又はハロゲン化物である、1〜100個の非水素原子を有する非干渉基であり;xは、1からMoの原子価に等しい整数までを範囲とすることができるゼロ以外の整数であり;yは、ゼロ又は1からMoの原子価未満までを範囲とすることができるゼロ以外の整数であり;x+yはMoの原子価に等しく;rは1〜3の整数であり;dは1である。)で表すことができる。いくつかの実施形態では、硼酸イオンは、z'が1又は2であり、qが1であり、rが1である上記式のものであることができる。
【0063】
触媒系は第15族元素含有触媒などの他の単一部位触媒を含むことができる。触媒系は、単一部位触媒化合物の他に、クロム系触媒、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセンや第15族元素含有触媒などの1種以上の追加の単一部位触媒、2種金属触媒及び混合触媒触媒といった1種以上の第2触媒を含むことができる。また、触媒系は、AlCl3、コバルト、鉄、パラジウム、又はそれらの任意の組合せを含むこともできる。
【0064】
第15族金属含有触媒
触媒系は、1種以上の第15族金属含有触媒化合物を含むことができる。「第15族金属含有触媒」は、一般に、第3族〜第14族、好ましくは第3〜7族、より好ましくは第4〜6族、さらに好ましくは第4族金属が、少なくとも1個の脱離基のみならず、少なくとも2個の第15族原子にも結合したもの(その少なくとも1個は別の基を介して第15族又は第16族原子にも結合している)を含む。
【0065】
一以上の実施形態では、第15族原子の少なくとも1個は、C1〜C20炭化水素基、ヘテロ原子含有基、ケイ素、ゲルマニウム、錫、鉛又は燐であることができる別の基を介して第15族又は第16族原子にも結合し、ここで、第15族又は第16族原子は、何にも結合していなくてもよいし、又は第14族原子含有基、ハロゲン又はヘテロ原子含有基に結合していてもよく、また、2個の第15族原子のそれぞれは、環状基にも結合しており、かつ、水素、ハロゲン、ヘテロ原子又はヒドロカルビル基又はヘテロ原子含有基に結合していてもよい。
【0066】
第15族原子含有金属化合物は、特に次式(VI)又は(VII)で説明することができる:
【化1】

式中、Mは第3〜12族遷移金属又は第13又は14主族金属、好ましくは第4、5又は6族金属、より好ましくは第4族金属、最も好ましくはジルコニウム、チタン又はハフニウムであり;それぞれのXは、独立に、脱離基、好ましくは、陰イオン性脱離基、より好ましくは水素、ヒドロカルビル基、ヘテロ原子又はハロゲン、最も好ましくはアルキルであり;yは0又は1であり(yが0の場合には、L’基は存在しない);nはMの酸化状態、好ましくは+3、+4、又は+5、より好ましくは+4であり;mは、YZL又はYZL’配位子の形式電荷、好ましくは0、−1、−2又は−3、より好ましくは−2であり;Lは第15又は16族元素、好ましくは窒素であり;L’は第15若しくは16族元素又は第14族元素含有基、好ましくは炭素、ケイ素又はゲルマニウムであり;Yは、第15族元素、好ましくは窒素又は燐、より好ましくは窒素であり;Zは第15族元素、好ましくは窒素又は燐、より好ましくは窒素であり;R1及びR2は、独立に、C1〜C20炭化水素基、20個までの炭素原子を有するヘテロ原子含有基、ケイ素、ゲルマニウム、錫、鉛又は燐、好ましくはC2〜C20アルキル、アリール又はアラルキル基、より好ましくは直鎖、分岐又は環状C2〜C20アルキル基、最も好ましくはC2〜C6炭化水素基である。また、R1及びR2は互いに結合していてもよく;R3は存在せず、又は炭化水素基、水素、ハロゲン、ヘテロ原子含有基であり;好ましくは1〜20個の炭素原子を有する直鎖、環状又は分岐アルキル基であり、より好ましくはR3は存在せず、或いは水素又はアルキル基であり、最も好ましくは水素であり;R4及びR5は、独立に、アルキル基、アリール基、置換アリール基、環状アルキル基、置換環状アルキル基、環状アラルキル基、置換環状アラルキル基又は多重環系であって、好ましくは20個までの炭素原子、より好ましくは3〜10個の炭素原子を有するもの、さらに好ましくはC1〜C20炭化水素基、C1〜C20アリール基又はC1〜C20アラルキル基又はヘテロ原子含有基であり、及び/又はR4及びR5は互いに結合していてよく;R6及びR7は、独立に、存在せず、或いは水素、アルキル基、ハロゲン、ヘテロ原子又はヒドロカルビル基であり、好ましくは1〜20個の炭素原子を有する直鎖、環状又は分岐アルキル基であり、より好ましくは存在せず、R*は存在せず、或いは水素、第14族原子含有基、ハロゲン又はヘテロ原子含有基である。
【0067】
「YZL又はYZL’配位子の形式電荷」とは、配位子全体の電荷が金属及び脱離基Xには存在しないことを意味する。「R1及びR2は相互に結合していてもよい」とは、R1及びR2が互いに直接結合していてよいこと、或いは他の基を介して互いに結合していてよいことを意味する。「R4及びR5は相互に結合していてもよい」とは、R4及びR5が互いに直接結合していてよいこと、或いは他の基を介して互いに結合していてよいことを意味する。アルキル基は、直鎖、分岐アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、アシル基、アロイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボモイル基、アルキル−又はジアルキル−カルバモイル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アロイルアミノ基、直鎖、分岐又は環状のアルキレン基、或いはそれらの組合せであることができる。アラルキル基とは、置換アリール基であると定義される。
【0068】
一以上の実施形態では、R4及びR5は、独立に、次式(VII)によって表される基である:
【化2】

式中、R8〜R12は、それぞれ独立に、水素、C1〜C40アルキル基、ハロゲン化物、ヘテロ原子、40個までの炭素原子を有するヘテロ原子含有基、好ましくはC1〜C20直鎖又は分岐アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル又はブチル基であり、任意の2個のR基は環状基及び/又は複素環式基を形成することができる。環状基は芳香族であることができる。好ましい実施形態では、R9、R10及びR12は、独立に、メチル、エチル、プロピル又はブチル基であり(全ての異性体を含む)、好ましい実施形態では、R9、R10及びR12はメチル基であり、R8及びR11は水素である。
【0069】
一以上の実施形態では、R4及びR5は、両方とも、次式(VIII)で表される基である:
【化3】

式中、Mは第4族金属、好ましくはジルコニウム、チタン又はハフニウム、さらに好ましくはジルコニウムであり;L、Y及びZのそれぞれは窒素であり;R1及びR2のぞれぞれは−CH2−CH2−であり;R3は水素であり;R6及びR7は存在しない。
【0070】
第15族金属含有触媒化合物は次式(IX)で表すことができる:
【化4】

式中、Phはフェニルである。代表的な第15族元素含有金属化合物及びその製法は、米国特許第5,318,935;同5,889,128号;同6,333,389号;同6,271,325号;及び同6,689,847号:WOパンフレット:WO99/01460;WO98/46651;WO2009/064404;WO2009/064452;及びWO2009/064482;並びにEP 0 893 454;及びEP 0 894 005号において議論され説明されたとおりのものであることができる。
【0071】
クロム触媒
好適なクロム触媒としては、2置換クロメート、例えば、CrO2(OR)2(式中、Rは、トリフェニルシラン又は第三多脂環式アルキルである。)が挙げられる。さらに、クロム触媒系として、CrO3、クロモセン、シリルクロメート、塩化クロミル(CrO2Cl2)、クロム−2−エチルヘキサノエート、アセチルアセトン酸クロム(Cr(AcAc)3)などを挙げることもできる。
【0072】
チーグラー・ナッタ触媒
チーグラー・ナッタ触媒化合物の例は、ZIEGLER CATALYST 363−386(G.Fink,R.Mulhaupt及びH.H.Brintzinger著,Springer−Verlag 1995);又は欧州特許第103120号;欧州特許第102503号;欧州特許第0231102号;欧州特許第0703246;RE33,683号;米国特許第4,302,565号;米国特許第5,518,973号;米国特許第5,525,678号;米国特許第5,288,933号;米国特許第5,290,745号;米国特許第5,093,415号及び米国特許第6,562,905号に開示されている。当該触媒の例としては、第4、5又は6族遷移金属の酸化物、アルコキシド及びハロゲン化物、又はチタン、ジルコニウム又はバナジウムの酸化物、アルコキシド及びハロゲン化化合物を、随意に、マグネシウム化合物、内部及び/又は外部電子供与体(アルコール、エーテル、シロキサンなど)、アルミニウム又はアルキル硼素及びハロゲン化アルキル並びに無機酸化物担体と共に有するものが挙げられる。
【0073】
遷移金属触媒
慣用型の遷移金属触媒は、当該技術分野において周知の伝統的なチーグラー・ナッタ触媒である。これら慣用型の遷移金属触媒は、式:MRx(ここで、Mは、第3〜17族金属又は第4〜6族金属又は4族金属又はチタンであり;Rはハロゲン又はヒドロカルビルオキシ基であり;xは、金属Mの原子価である。)によって表すことができる。Rの例としては、アルコキシ、フェノキシ、臭化物、塩化物及び弗化物が挙げられる。Mがチタンである慣用型の遷移金属触媒としては、TiCl4、TiBr4、Ti(OC253Cl、Ti(OC25)Cl3、Ti(OC493Cl、Ti(OC372Cl2、Ti(OC252Br2、TiCl3/AlCl3及びTi(OC1225)Cl3が挙げられる。
【0074】
Mg/Ti/Cl/THFから誘導される触媒を使用することができる。このような触媒を製造する一般的な方法の一例としては、次の方法が挙げられる:TiCl4をTHFに溶解させ、Mgを使用して該化合物をTiCl3に還元させ、MgCl2を添加し、そして該溶媒を除去する。他の慣用型の遷移金属触媒の具体例は、米国特許第4,115,639;同4,077,904号;同4,482,687号;同4,564,605号;同4,721,763号;同4,879,359号;及び同4,960,741号において詳細に議論されている。マグネシウム/チタン電子供与体錯体を主成分とする慣用型の遷移金属触媒化合物は、例えば、米国特許第4,302,565号及び同4,302,566号に記載されている。
【0075】
混合触媒系
触媒系は、2種金属触媒組成物又はマルチ触媒組成物であることができる混合触媒系を含むことができる。ここで使用するときに、用語「2種金属触媒組成物」及び「2種金属触媒」には、2種以上の異なる触媒成分を含む任意の組成物、混合物又は系であって、それぞれが異なる金属基を有するものが含まれる。用語「マルチ触媒組成物」及び「マルチ触媒」には、金属にかかわらず2種以上の異なる触媒成分を含む任意の組成物、混合物又は系が含まれる。したがって、本明細書において、用語「2種金属触媒組成物」、「2種金属触媒」、「マルチ触媒組成物」及び「マルチ触媒」は、特に示さない限り、「混合触媒系」と総称する。好ましい一実施形態では、混合触媒は、少なくとも1種のメタロセン触媒化合物と少なくとも1種の非メタロセン化合物とを含む。
【0076】
連続添加剤/静電気制御剤
ここで開示する方法においては、反応器内の静電気レベルを調節するのに役立つように、1種以上の静電気制御剤をさらに使用することが望ましい場合もある。ここで使用するときに、静電気制御剤とは、流動床反応器に導入されると、流動床内において静電荷に影響を及ぼす又は正電荷を(負、正、又はゼロ)にすることができる化学組成物のことである。使用される具体的な静電気制御剤は、静電荷の性質に依存してよく、また、静電気制御剤の選択は、製造される重合体及び使用される単一部位触媒化合物によって変わる場合がある。例えば、静電気制御剤の使用は、欧州特許第0229368号並びに米国特許第4,803,251;同4,555,370号;及び同5,283,278号、並びにそれらにおいて引用された文献に開示されている。
【0077】
また、ステアリン酸アルミニウムなどの制御剤も使用できる。使用する静電気制御剤は、生産性に悪影響を及ぼすことなく流動床内の静電荷を受け入れることのできるその能力に対して選択できる。また、他の好適な静電気制御剤としては、ジステアリン酸アルミニウム、エトキシル化アミン及びInnospec社によりOCTASTATという商品名で提供されるような帯電防止組成物を挙げることもできる。例えば、OCTASTAT 2000は、ポリスルホン共重合体と、重合ポリアミンと、油溶性スルホン酸との混合物である。
【0078】
上記制御剤並びに例えば、WO01/44322においてカルボン酸金属塩の節で列挙されたもの(帯電防止剤として列挙された化学物質及び組成物を含む)のいずれかを単独で使用してもよいし、制御剤として併用してもよい。例えば、カルボン酸金属塩は、アミン含有制御剤と併用できる(例えば、カルボン酸金属塩とKEMAMINE(商標)(Crompton社から入手可能)又はATMER(商標)(ICI Americas社から入手可能)類の製品に属する任意の製品群と併用できる)。
【0079】
他の有用な連続添加剤としては、有用なエチレンイミン添加剤が挙げられ、ここで開示する実施形態では、次の一般式を有するポリエチレンイミンが挙げられる:
−(CH2−CH2−NH)n
式中、nは約10〜約10,000であることができる。ポリエチレンイミンは直鎖、分岐又は超分岐であることができる(すなわち、樹木状又は樹枝状重合体構造を形成する)。これらは、エチレンイミンの単独重合体若しくは共重合体又はその混合物であることができる(以下、ポリエチレンイミンという)。化学式−−[CH2CH2NH]−−で表される直鎖重合体をポリエチレンイミンとして使用することができるが、第一級、第二級及び第三級分岐を有する材料を使用することもできる。市販のポリエチレンイミンは、エチレンイミン重合体の分岐を有する化合物の場合がある。好適なポリエチレンイミンは、BASF社からLupasolという商品名で市販されている。これらの化合物は、広範囲の分子量及び生成物活性として製造できる。本発明で使用するのに好適なBASFが販売する市販のポリエチレンイミンの例としては、Lupasol FG及びLupasol WFが挙げられるが、これらに限定されない。別の有用な連続添加剤としては、ジステアリン酸アルミニウムとエトキシル化アミン型化合物との混合物、例えば、Huntsman(以前はCiba Specialty Chemicals)社から入手できるIRGASTAT AS−990を挙げることができる。ジステアリン酸アルミニウムとエトキシル化アミン型化合物との混合物は、鉱油、例えば、Hydrobrite 380に懸濁できる。例えば、ジステアリン酸アルミニウムとエトキシル化アミン型化合物との混合物を鉱油に懸濁させて約5重量%〜約50重量%又は約10重量%〜約40重量%、又は約15重量%〜約30重量%の範囲の全スラリー濃度とすることができる。他の有用な静電気制御剤及び添加剤は、米国特許出願公開第2008/0045663号に開示されている。
【0080】
連続添加剤又は静電気制御剤は、反応器への全ての供給物の重量に基づいて(リサイクルを除く)、0.05〜200ppmの範囲の量、より好ましくは2〜100ppmの範囲の量、さらに他の実施形態では、より好ましくは4〜50ppmの範囲の量で反応器に添加できる。
【0081】
重合方法
触媒系を使用して1種以上のオレフィンを重合させて、それから1種以上の重合体生成物を得ることができる。高圧、溶液、スラリー及び/又は気相方法を含めた(ただし、これらに限定されない)任意の方法を使用することができる。好ましくは、流動床反応器を使用する連続気相方法を使用してエチレン及び1種以上の任意の共単量体を重合してポリエチレンを得る。
【0082】
用語「ポリエチレン」とは、少なくとも50重量%のエチレン誘導単位、好ましくは少なくとも70重量%のエチレン誘導単位、より好ましくは少なくとも80重量%のエチレン誘導単位、又は90重量%のエチレン誘導単位、又は95重量%のエチレン誘導単位、又は100重量%のエチレン誘導単位を有する重合体をいう。つまり、ポリエチレンは、単独重合体又は1以上の他の単量体単位を有する共重合体(三元共重合体を含む)であることができる。ここで記載するポリエチレンは、例えば、少なくとも1種以上の他のオレフィン及び/又は共単量体を含むことができる。好適な共単量体は、一実施形態では3〜16個の炭素原子;別の実施形態では3〜12個の炭素原子;別の実施形態では4〜10個の炭素原子;さらに別の実施形態では4〜8個の炭素原子を含むことができる。例示の共単量体としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
好適な流動床反応器は、反応帯域及びいわゆる速度減少帯域を備えることができる。反応帯域は、重合の熱を反応帯域を介して除去するためにガス状単量体及び希釈剤の連続流れで流動化された、成長しつつある重合体粒子と、形成された重合体粒子と、小量の触媒粒子との床を含むことができる。随意に、再循環ガスのいくらかを冷却し、そして圧縮して、循環ガス流の熱除去能力を反応帯域に再び入ったときに増加させる液体を形成させることができる。好適なガス流の速度は、簡単な実験により容易に決定できる。ガス状単量体から再循環ガス流への補給は、粒状重合体生成物及びそれに関連する単量体を反応器から取り出し、そして反応器を通過するガスの組成を調節して反応帯域内において実質的に定常状態のガス組成を維持することができる速度に等しい速度とすることができる。反応帯域を離れるガスを速度減少帯域に通すことができ、そこで、同伴した粒子が除去される。より細かい同伴粒子及びダストをサイクロン及び/又は精密ろ過用フィルターで除去することができる。ガスを、重合熱の少なくとも一部分を除去することのできる熱交換器に通し、コンプレッサーで圧縮し、その後反応帯域に戻すことができる。さらなる反応器の詳細及び反応器の操作手段については、例えば、米国特許第3,709,853号;同4,003,712号;同4,011,382号;同4,302,566号;同4,543,399号;同4,882,400号;同5,352,749号;及び同5,541,270号、欧州特許第0802202号;並びにベルギー国特許第839,380号に記載されている。
【0084】
流動床方法の反応器の温度は、30℃又は40℃又は50℃から90℃又は100℃又は110℃又は120℃又は150℃までを範囲とすることができる。一般に、反応器の温度は、反応器内における重合体の焼結温度を考慮して実現可能な最も高い温度で操作できる。ポリオレフィンを製造するために使用される方法にかかわらず、重合温度又は反応温度は、形成されるポリオレフィンの溶融温度又は「焼結温度」よりも低くなければならない。したがって、温度の上限は、一実施形態では、反応器内で生成されるポリオレフィンの溶融温度である。
【0085】
「Polypropylene Handbook」の第76−78頁(Hanser Publishers、1996)に記載されるように、水素ガスをオレフィン重合に使用してポリオレフィンの最終特性を制御することができる。所定の触媒系を使用して水素濃度(分圧)を増加させることで、生成されたポリオレフィンのフローインデックス(FI)を増大させることができる。つまり、フローインデックスは、水素濃度に影響を受け得る。重合の際の水素の量は、全重合性単量体、例えば、エチレン又はエチレンとヘキサン若しくはプロピレンとのブレンドに対するモル比として表すことができる。重合方法で使用される水素の量は、最終ポリオレフィン樹脂の所望のフローインデックスを達成するのに必要な量であることができる。一実施形態では、全単量体に対する水素のモル比(H2:単量体)は、一実施形態では0.0001超から、別の実施形態では0.0005超から、さらに別の実施形態では0.001超から、さらに別の実施形態では10未満、さらに別の実施形態では5未満、さらに別の実施形態では3未満、さらに別の実施形態では0.10未満の範囲にあることができる。ここで、所望の範囲は、ここで記載した任意のモル比の上限値と任意のモル比の下限値との任意の組合せを含むことができる。別の方法で表現すると、任意の時点での反応器内における水素量は、5,000ppmまで、別の実施形態では4,000ppmまで、さらに別の実施形態では3,000ppmまで、さらに別の実施形態では50ppm〜5,000ppm、別の実施形態では50ppm〜2,000ppmを範囲とすることができる。反応器内における水素量は、約1ppm、約50ppmw、又は約100ppmの低から約400ppm、約800ppm、約1,000ppm、約1,500ppm、又は約2,000ppmの高までを範囲とすることができる。さらに別の実施形態では、全単量体に対する水素の比(H2:単量体)は約0.00001:1〜約2:1、約0.005:1〜約1.5:1、又は約.0001:1〜約1:1であることができる。
【0086】
気相方法における1以上の反応器圧力(単一の段階又は2以上の段階)は、690kPa(100psig)〜3,448 kPa(500psig)、別の実施形態では1,379 kPa(200psig)〜2,759 kPa(400psig)、さらに別の実施形態では1,724 kPa(250psig)〜2,414 kPa(350psig)の範囲で変更可能である。
【0087】
気相反応器は1時間当たり約10kgの重合体(25lbs/hr)〜90,900kg/hr(200,000lbs/hr)、別の実施形態では455kg/hr超(1,000lbs/hr)、さらに別の実施形態では4,540kg/hr超(10,000lbs/hr)、さらに別の実施形態では11,300超kg/hr(25,000lbs/hr)、さらに別の実施形態では15,900超kg/hr(35,000lbs/hr)、さらに別の実施形態では22,700超kg/hr(50,000lbs/hr)、さらに別の実施形態では29,000kg/hr(65,000lbs/hr)〜45,500kg/hr(100,000lbs/hr)を製造することができる。
【0088】
また、スラリー重合方法も使用できる。スラリー重合方法は、一般に、約101kPA(1気圧)〜約5,070kPa(50気圧)、さらにはそれ以上の範囲の圧力と、約0℃〜約120℃の範囲の温度、特に約30℃〜約100℃の温度を使用する。スラリー重合では、固体粒状重合体の懸濁液を液体重合希釈剤媒体中で形成させることができ、これにエチレン及び共単量体、そして多くの場合水素を触媒と共に添加する。希釈剤を含む懸濁液を反応器から断続的又は連続的に除去することができ、その際、揮発性成分を重合体から分離し、そして、随意に蒸留した後に反応器に再循環する。重合媒体で使用される液体希釈剤は、例えば分岐アルカンなどの3〜7個の炭素原子を有するアルカンであることができる。使用される媒体は、重合条件下では液体で、しかも比較的不活性でなければならない。プロパン媒体を使用する場合には、当該方法は、反応希釈剤臨界温度及び圧力よりも上で操作すべきである。一実施形態では、ヘキサン、イソペンタン又はイソブタン媒体を使用することができる。
【0089】
ポリエチレンは、約5〜約300、より好ましくは約10〜約250未満、約15〜約200の範囲のメルトインデックス比(I21/I2)を有することができる。FI(I21)は、ASTM D1238に従って測定できる(190℃、21.6kg)。MI(I2)は、ASTM D1238に従って測定できる(190℃、2.16kg重量で)。FI(I5)は、ASTM D1238に従って測定できる(190℃、5.0kg重量で)。
【0090】
密度は、ASTM D−792に従って決定できる。密度は、特に示さない限り、1立方センチメートル当たりのグラムとして表される(g/cm3)。ポリエチレンは、約0.89g/cm3、約0.90g/cm3、又は約0.91g/cm3の低から約0.95g/cm3、約0.96g/cm3、又は約0.97g/cm3の高までを範囲とする密度を有することができる。ポリエチレンは、ASTM D1895の方法Bに従って測定される、約0.25g/cm3〜約0.5g/cm3の嵩密度を有することができる。例えば、ポリエチレンの嵩密度は、約0.30g/cm3、約0.32g/cm3、又は約0.33g/cm3の低から約0.40g/cm3、約0.44g/cm3、又は約0.48g/cm3の高までを範囲とすることができる。
【0091】
ポリエチレンは、フィルム、繊維、不織布及び/又は織物、押出物品及び/又は成形物品のような物品に好適である。フィルムの例としては、収縮フィルム、ラップ、ストレッチフィルム、シール用フィルム、延伸フィルム、スナック用包装、重質袋、買い物袋、加熱及び冷凍食品用包装、医療用包装、工業用ライナー、膜などとして食品接触及び非食品接触用途、農業用のフィルム及びシートに有用な同時押出又は積層によって形成されたインフレートフィルム又はキャストフィルムが挙げられる。繊維の例としては、フィルター、おむつ用繊維、衛生用品、医療用衣類、地盤用シートなどを作るために織物又は不織布の形態で使用するための溶融紡糸、溶液紡糸及び溶融吹込繊維操作が挙げられる。押出物品の例としては、チューブ、医療用チューブ、ワイヤー及びケーブル被覆、パイプ、ジオメンブレン並びにポンドライナーが挙げられる。成形物品の例としては、ボトル、タンク、大型中空物品、硬質食品容器及び玩具などの形の単層及び多層構成物が挙げられる。
【実施例】
【0092】

上記議論をさらによく理解するために、次の非限定的な例を提供する。全ての部、割合及びパーセンテージは、特に示さない限り、重量を基準とする。
【0093】
活性化担体の製造
例1、3、8、9、26及び27並びに比較例C10において、アルミニウム化合物が含浸されたシリカ担体(PQコーポレーションが供給)をヘキサフルオロ珪酸アンモニウムと混合して担体混合物を得た。例2、4−7、11−19、24、28及び29並びに比較例C8では、シリカ−アルミナ担体をヘキサフルオロ珪酸アンモニウムと混合して担体混合物を得た。例10、20−23及び25並びに比較例C1−C7、C9及びC11では、アルミニウム化合物が含浸された別のシリカ担体(PQコーポレーションが供給)をヘキサフルオロ珪酸アンモニウムと混合して担体混合物を得た。全ての例において、得られた担体混合物を単一帯域の垂直ヒンジ付き管型炉に装填し、そして加熱して担体混合物を弗素化又は活性化担体に転化させた。
【0094】
担体を活性化させるために、0.10ft/秒〜0.2ft/秒の速度での窒素ガス流れを開始させた。この炉を室温から200℃まで1時間当たり50℃で加熱し、200℃で2時間にわたり保持した。2時間後、窒素流れを停止させ、そして空気を約同じ速度で、すなわち、0.1ft/秒〜0.2ft/秒で導入した。続いて、この炉を1時間当たり50℃の速度で600℃に加熱し、そして600℃3時間にわたり保持した。3時間後に、この炉を室温にまで冷却させた。約195℃で、空気の流れを停止させ、そして窒素ガスを再度開始させた。炉を窒素ガスで少なくとも30分にわたってパージしてから、活性化触媒を取り出した。活性化触媒担体をオーブン乾燥させたボトルに移した。
【0095】
触媒系の製造
各触媒系は、メタロセン触媒化合物と、MAOと、上記3種の弗素化シリカ−アルミナ担体のうちの1種とを含有するものであった。例1−22及び26−29並びに比較例C1−C9及びC11について、メタロセン触媒化合物はビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウム(CH32であった。例23、24及びC10について、触媒はビス(n−ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムCl2であった。例25について、触媒は[(2,3,4,5,6−Me56N)CH2CH22NHZrBz2(ここでBzはベンジル基である)であった。2つの方法のうち一つを使用して上記触媒系を製造した。
【0096】
方法1:担持触媒系を製造するために、MAOの10重量%〜30重量%トルエン溶液及び追加のトルエン(乾燥及び脱ガス)を室温でミキサーに導入し、そしてゆっくりと撹拌した。メタロセン触媒化合物を100gのトルエンに溶解させ、そしてMAOとトルエンとの混合物を含むミキサーに導入した。撹拌速度を130rpmに上げ、1時間にわたり室温で続行した。続いて、活性化担体(弗素化アルミナ−シリカ)をミキサーに導入し、そして1時間にわたり室温で撹拌した。真空を加えて自由液体を除去した。材料が「泥工程」を経たら、すなわち、自由液体が見えなくなったら、窒素ガスパージをミキサーに導入した。活性化担体とメタロセン触媒とMAOとを混合している間に、混合物の温度を約78℃〜80℃の最終温度に上昇させ、そして約2時間にわたり混合させた。続いて、この混合物を室温にまで冷却し、そしてオーブン乾燥容器内において窒素雰囲気下で保存した。
【0097】
方法2:メタロセン触媒を10重量%〜30重量%のMAOのトルエン溶液に添加した。この混合物を担体及びトルエンのスラリーを含むミキサーに添加した。この混合物を真空及び加熱により乾燥させた。
【0098】
例1及び3の担体を、アルミニウム化合物で処理されたPQ ES70Wシリカ800g及びヘキサフルオロ珪酸アンモニウム44gを使用して600℃で製造した。例1及び3の触媒系を、上記方法1により、14.22gのHf化合物、361gの30重量%MAO、1,812gのトルエン及び625gの担体を使用して製造した。例2の担体を600℃で1,000gのSasol Siral 40アルミナ/シリカ(約500m2/gの表面積、約0.9cm3/gの細孔容積及び約38μmの粒度)及び55gのヘキサフルオロ珪酸アンモニウムを使用して製造した。例2の触媒系を上記方法1により13.54gのHf化合物、344gの30%MAO、1,725gトルエン及び595gの担体を使用して製造した。比較例C1及びC2の触媒系を方法1で製造したが、ただし、さらに多い量のMAOを使用し、担体は、875℃で脱水されたPQ ES−757シリカ(約300m2/gの表面積、約1.5cm3/gの細孔容積及び約25μmの粒度)。
【0099】
気相流動床重合方法−実施例セットI
14インチの公称直径を有するUNIPOL(商標)プロセス設計の気相流動床重合反応器を、線状低密度ポリエチレン(「LLDPE」)及び高密度ポリエチレン(「HDPE」)の両方の連続的製造のために使用した。これらの場合において、サイクルガスブロワーをガス再循環ループにおけるサイクルガス熱交換器の上流に設置したが、ただし、熱交換器に入ったガスの温度を低下させるために、これら2つのものを逆にした。サイクル管は、約2インチの直径であり、その流量をサイクルラインにおいてボール弁により操作して流動床中における見掛けガス速度を所望の速度に制御した。単量体及びガス状成分をブロワーの前、ブロワーの圧縮機又はブロワーの後にあるクーラーの上流に添加した。触媒系を、0.125インチ管を介して少量の別々のアリコートで定着プレートの上約0.1〜2mの高さ、最も好ましくは約0.2〜1.2mの範囲の高さの流動床に直接、窒素キャリヤーガス流を使用して反応器の約15%〜約50%の位置に連続的に添加した。また、連続助剤のエチレンイミン共重合体も添加した(BASF社製LUPASOL)。重合体生成物を反応器から解放隔離タンクを介して約0.2kg〜5kgのアリコートで定期的に取り出して所望のおおよその平均流動床レベル又は平均流動床重量を維持した。
【0100】
例1及び2並びにC1では、LLDPEを製造した。例3及びC2では、HDPEを製造した。比較例C1及びC2の触媒系はシリカ担体を使用した。
【0101】
以下の表1は、重合の結果をまとめたものである。
【表1】

【0102】
例1及び3は、比較例C1及びC2と比較して、それぞれ有意に少ないMAOを使用してより大きな触媒生産性を示した。特に、MAOの量は、例C1及びC2で使用した6.25mmolのMAO/g担体から、例1〜3について僅か3.0mmolのMAO/g担体にまで減少したところ、これは50%を超える減少である。例1の触媒生産性は、触媒系(lb PE/lb触媒系)1ポンド当たり17,674ポンドのポリエチレンであったのに対し、比較例C1は、13,534lb PE/lb触媒系の触媒生産性を示したに過ぎなかった。このように、3.0mmolのMAO/gの担体しか有しない例1は、6.25mmolのMAO/g担体を使用した比較例C1に対して約30.6%の触媒生産性の増加を示した。例3の触媒生産性は9,915lb PE/lb触媒系であったのに対し、比較例C1は、9,345lb PE/lb触媒系の触媒生産性を示したに過ぎなかった。このように、3.0mmolのMAO/g担体しか有しない例3は、6.25mmolのMAO/g担体を使用した比較例C2に対して、約6%の触媒生産性の増加を示した。
【0103】
気相流動床重合方法−実施例セットII
別の例のセットを実施例セットIと同じ気相流動床反応器及び条件を使用して製造したが、ただし、比較例C3及び例4において、連続添加剤を、約20重量%のスラリー濃度となるように鉱油(Hydrobrite 380)に懸濁されたジステアリン酸アルミニウムとエトキシル化アミン型化合物との混合物(ハンツマン社(以前はチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社)製のIRGASTAT AS−990)に添加した。比較例C4及び例5の連続添加剤はエチレンイミン共重合体であった。各例について表2で示す連続添加剤の濃度は、重合体の製造速度に基づく。
【0104】
比較例C3及びC4の触媒系を、比較例C1及びC2と同じ方法、すなわち、6.25mmolのMAO及び875℃で脱水されたPQ ES−757シリカの担体で製造した。例4で使用した触媒系は、方法2を使用して、少ないHf及びMAOで製造した。この例のために使用した担体は、担体の重量に基づいて約26.59重量%のAl及び約5.68重量%のFの最終組成となるように十分なヘキサフルオロ珪酸アンモニウムを使用して600℃で活性化されたSiral 40であった。例5で使用した触媒系は、方法1を使用して製造した。この例のために使用した担体は、担体の重量に基づいて約23.27重量%のAl及び約4.96重量%のFの最終組成となるように十分なヘキサフルオロ珪酸アンモニウムを使用して600℃で活性化されたSiral 40であった。以下の表2は重合の結果をまとめたものである。
【0105】
【表2】

【0106】
例4及び5は、それぞれ有意に少ないMAOを使用して、比較例C3及びC4よりも大きい触媒生産性を示した。特に、MAOの量は、比較例C3及びC4で使用した6.25mmolのMAO/g担体から、例4についてわずか2mmolのMAO/g担体及び例5について2.5mmolのMAO/g担体に減少したところ、これは、それぞれ、MAOの量の68%及び60%の減少である。例4の触媒生産性は、触媒系(lb PE/lb触媒系)1ポンド当たり8,507ポンドであったのに対し、比較例C3は、7,207lb PE/lb触媒系の触媒生産性を示したに過ぎず、また、68%のさらに多いMAOを必要とした。このように、2mmolのMAO/g担体しか有しない例4は、6.25mmolのMAO/g担体又は68%のさらに多いMAOを使用した比較例C1に対して約18%の触媒生産性の増加を示した。例5の触媒生産性は、15,636lb PE/lb触媒系であったのに対し、比較例C4は、8,947lb PE/lb触媒系の触媒生産性を示したに過ぎなかった。このように、2.5mmolのMAO/g担体を有するに過ぎない例4は、6.25mmolのMAO/g担体又は60%多いMAOを使用した比較例4に対して約75%の触媒生産性の増加を示した。
【0107】
気相流動床重合方法−実施例セットIII
別の例のセットを実施例セットIと同じ気相流動床重合反応器及び条件を使用して製造した。重合条件の唯一の相違点は、連続添加剤を、約20重量%のスラリー濃度となるように鉱油(Hydrobrite 380)に懸濁されたジステアリン酸アルミニウムとエトキシル化アミン型化合物との混合物(ハンツマン社(以前はチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社)製のIRGASTAT AS−990)に添加した点である。
【0108】
比較例C5の触媒系を、比較例C1及びC2と同じ方法、すなわち、6.25mmolのMAO及び875℃で脱水されたPQ ES−757シリカの担体で製造した。例6及び7で使用した触媒系を、方法1を使用してさらに高いMAOレベルで製造した。この製造のために使用した担体は、担体の重量に基づいて、例6については25.32%のAl及び4.88%のF、例7については26.19%のAl及び6.43%のFの最終組成となるように十分なヘキサフルオロ珪酸アンモニウムを使用して600℃で活性化されたSiral 40であった。
【0109】
例8及び9並びに比較例C6で使用した触媒系を、方法2を使用して製造した。比較例C6のために使用した担体は、比較例C1及びC2と同じであった。例8及び9のために使用した担体は、Alを有するPQ ES−70Wであった。以下の表3は重合の結果をまとめたものである。
【0110】
【表3】

【0111】
例6及び7は、同じ量のMAO、すなわち約6.25mmol/g担体を使用するが、ただし触媒中に存在する遷移金属成分(Hf)の量をそれぞれ約0.785重量%〜約1.043重量%及び約1.05重量%に増加させることによって、比較例C5よりも大きい触媒生産性を示した。例6の触媒生産性は、触媒系(lb PE/lb触媒系)1ポンド当たり約14,486ポンドのポリエチレンであったのに対し、比較例C5は、約7,336lb PE/lb触媒系の触媒生産性を示したに過ぎなかった。このように、比較例C5よりも約32.9%多いHfを含有する例6は、比較例C5に対して約97.5%の触媒生産性の増加を示した。例7の触媒生産性は、約15,672lb PE/lb触媒系であったのに対し、比較例C5は、約7,336lb PE/lb触媒系の触媒生産性を示したに過ぎなかった。このように、比較例C5よりも約33.7%多いHfを含有する例7は、比較例C5に対して約114%の触媒生産性の増加を示した。
【0112】
また、例8及び9は、驚くべきかつ予期せぬ触媒生産性の増加も示した。例9は、同量のMAO、すなわち約6.25mmol/g担体を使用したが、ただし触媒系におけるHfの量を約0.8重量%から約1.08重量%に増加させ、そして、約114%の触媒生産性の増加をもたらした。例9は、比較例C6よりも約24.8%少ないMAO(約4.7mmol/g担体対約6.25mmol/g担体)を使用したが、ただし、触媒におけるHfの量を約0.8重量%から約1.05重量%に増加させ、そして、約66.4%の触媒生産性の増加をもたらした。
【0113】
気相流動床重合方法−実施例セットIV
表4に示す比較例C7及び例10において、触媒はビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウム(CH32であり、シリカ担体(約300m2/gの表面積、約1.5cm3/gの細孔容積及び約25μmの粒度を有するPQ ES−757シリカ)をアルミニウム化合物及びヘキサフルオロケイ酸アンモニウムと混合し(18比)、続いて焼成した。比較例C7及び例10の担体は、約8.5重量%のアルミニウム含有量、約30重量%のケイ素含有量及び約4重量%の弗化物含有量を有していた。触媒を方法2で製造した。比較例C8及び例11では、触媒系を上記例4と同様に製造した。
【0114】
【表4】

【0115】
トリエチルアルミニウムの重合反応器への添加を含む例10及び11で製造された重合体は、それぞれ、比較例C7及びC8と比較して増加したMFRを有していた。例10に関して、約11.34ppmwの量のトリエチルアルミニウムを重合反応器に導入したところ、重合体のMFRは、約28.0(C7)から約33.6に増加させたが、これは、約20%のMFRの増加である。さらに、水素対エチレン(H2/C2)比及びヘキセン対エチレン比を調節して同様の密度及びメルトインデックス(I2)を維持した。例11に関して、約11.59ppmwの量のトリエチルアルミニウムを重合反応器に導入したところ、重合体のMFRは、約27.9(C8)から約32.9に増加したが、これは、約18%のMFRの増加であった。例10と同様に、水素及びヘキセンの量を調節して同様の密度及びメルトインデックス(I2)を維持した。さらに、例10及び11の触媒生産性は、トリエチルアルミニウムの添加によりそれぞれ約40%及び約56%増加した。
【0116】
例10及び11は、重合体のMFRについての追加的な制御を、ここで議論し説明した触媒系を1種以上の有機アルミニウム化合物、例えばトリエチルアルミニウムと共に使用して達成することができることを示している。MFRを増加させると、さらに容易に製品に処理加工できる重合体生成物を得ることができる。
【0117】
スラリー重合方法−実施例セットV
例12−19並びに比較例C9を実験室スラリー方法で製造した。トリイソブチルアルミニウム(TiBAl)又はトリエチルアルミニウム(TEAL)のいずれかを反応混合物に添加した。TiBAlを有する例について、触媒金属の総モル量に対するTiBAlの比は約150:1であった。TEALを有する例について、触媒金属の総モル量に対するTEALの比は約30:1であった。TiBAl又はTEALを添加して反応器内に含まれる又は触媒系内に含まれる、触媒の効果をなくす可能性のある不純物を除去することができる。
【0118】
例12〜19及びC9の全てについて、メタロセン触媒はビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムMe2であった。例12〜19の触媒系は、ヘキサフルオロ珪酸アンモニウムと混合し、そして焼成したアルミナ−シリカ担体(Siral 40)を含むものであった。ヘキサフルオロ珪酸アンモニウム/担体比は、例14、15及び18については約18であった。ヘキサフルオロ珪酸アンモニウム/担体比は、例12、13、16、17及び19について約12であった。例12〜19の担体は、約27重量%のアルミニウム含有量、約18重量%のケイ素含有量及び約3.7〜5.0重量%の弗素含有量を有していた。触媒を方法2に従って製造した。例12〜19の触媒系は約0.8重量%のHf充填量を有していた。
【0119】
比較例C9の触媒系はC1及びC2で使用した同じ触媒系である。触媒活性は、1時間での触媒系1グラム当たりのポリエチレン(「PE」)のグラムで測定した(gPE/g触媒系・hr)。また、触媒活性を1時間での触媒(メタロセン触媒)1グラム当たりのポリエチレンのグラムでも測定した(gPE/g触媒・hr)。
【0120】
1.5リットルのオートクレーブ反応器に、窒素パージ下で触媒を充填し、続いて10mLのヘキセン及び400cm3のイソブタン希釈剤を充填した。反応器を90℃に加熱し、その後各触媒系の特定の例に応じて約40mg〜約60mgをそれぞれ反応器に導入した。各例について、エチレン(200psig)を反応器に導入して434psigの全反応器圧力とした。反応器の温度を90℃に維持し、そして重合を、特定の例に応じて21〜70分にわたって進め、その後反応器を冷却した。エチレンを排出させ、そして重合体を乾燥させ、秤量して重合体収率を得た。重合の結果を以下の表5にまとめる。
【0121】
【表5】

【0122】
例12−19は、触媒系に存在するMAOの量に基づいて、比較例C9よりも大きな触媒活性を示した。例えば、比較例C9は、担体1グラム当たり約6.25mmolのMAOを使用し、約3,967グラム重合体/グラム触媒系/時間の触媒活性が観察された。例19は、C8の半分未満のMAO、すなわち、担体1グラム当たり6.25mmolに対して担体1グラム当たり約3mmolを使用し、触媒系1グラム当たり約10,066グラムの重合体の触媒活性が観察された。したがって、例19では、MAOの量が50%以上減少したと同時に、触媒活性が153%以上増加した。
【0123】
表6に示された例20〜22は、例12〜19と同様に製造した。例20〜22では、触媒はビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウム(CH32であり、また、アルミナ−シリカ担体を弗素化する代わりに、シリカ担体(約300m2/gの表面積、約1.5cm3/gの細孔容積及び約25μmの粒度を有するPQ ES−757シリカ)をアルミニウム化合物及びヘキサフルオロケイ酸アンモニウムと混合し(18比)、続いて焼成した。例20〜22の担体は、約5重量%のアルミニウム含有量、約30重量%のケイ素含有量及び約4重量%の弗化物含有量を有していた。触媒系は、方法2を使用して製造した。
【0124】
【表6】

【0125】
弗素化アルミナ−シリカ担体を有する触媒系は、弗素化アルミナ−シリカ担体を有しない触媒系と比較して大きな触媒活性を示した。担体1グラム当たりわずか約2.9mmolのMAOを有する例20は、約6,227gPE/g触媒系・hrの触媒活性を示した。MAOの量の2倍を超える、担体1グラム当たり約6.25mmolを有する比較例C9は、約3,967gPE/g触媒系・hrの触媒活性しか有しないが、これは約36%少ない。
【0126】
例23、24及びC10では、触媒はビス(n−ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムCl2であった。例25では、触媒は[(2,3,4,5,6−Me56N)CH2CH22NHZrBz2(ここで、Bzはベンジル基である)であった。例23及び25の担体は、例20〜22で使用したのと同じものであり、また、方法2で製造したものでもある。例24の担体は、600℃でヘキサフルオロ珪酸アンモニウムで活性化されたSiral 40であり、方法1で製造された。比較例C10の担体は、600℃で脱水され、方法2で製造されたPQ ES70シリカ(約300m2/gの表面積、約1.5cm3/gの細孔容積及び約48μmの粒度)であった。重合の結果を以下の表7にまとめる。
【0127】
【表7】

【0128】
3つの例23〜25の全てについての触媒活性は、驚くべきことに及び予期せぬことに、比較例C10と比較して、より少ないMAOを使用しながら大きな触媒活性を示した。例えば、触媒[(2,3,4,5,6−Me56N)CH2CH22NHZrBz2(ここで、Bzはベンジル基である)を使用した例25では、担体1グラム当たり約2.90mmolのMAOしか使用せず、約4,190gPE/g触媒系・hrの触媒活性を有していた。2倍を超える、担体1グラム当たり約6.25mmolのMAO量を有する比較例C10は、約1,524gのPE/g触媒系・hrの触媒活性しか示さなかった。また、例25も例14、15及び18に匹敵する触媒活性を示した。
【0129】
例23〜24の触媒活性は、比較例C10と比較して、より少ないMAOを使用しつつ大きい触媒活性を示した。例23及び24は、それぞれ4,190gのPE/g触媒系・hr及び2,410gのPE/g触媒系・hrを有していたのに対し、比較例C10(2倍を超える、担体1グラム当たり約6.25mmolのMAO量を有する)は、約1,524gのPE/g触媒系・hrの触媒活性しか示さなかった。[(2,3,4,5,6−Me56N)CH2CH22NHZrBz2(ここで、Bzはベンジル基である)触媒を使用した例25、担体1グラム当たりわずか約2.90mmolのMAOしか使用しなくても、約4,190gPE/g触媒系・hrの触媒活性を示した。例25で示された触媒活性は例14、15及び18に匹敵するものであった。
【0130】
Lab気相重合方法−実施例セットVI
さらに高いMAOレベルを用いた触媒を使用する追加の例を400gの塩床(NaCl)を有する1.5リットルの撹拌気相反応器で実施した。この反応器を、約220psiのエチレン、約400〜450ppmの水素及び約0.026のヘキサン/エチレン充填比を用いて約85℃で1時間にわたり操作した。触媒を反応器圧力下で装填し、そしてシリカに担持されたMAOの混合物約5グラム(シリカ1グラム当たり約6.5mmolのMAO)を除去剤として予め装填しておいた。
【0131】
例26及び27並びに比較例C11で使用した触媒系を方法2により、さらに高いMAOレベルで製造した。例26及び27のために使用した担体は例1で使用したのと同じものであり(Alを有するPQ ES−70W)、十分なヘキサフルオロ珪酸アンモニウムを添加して、担体の重量に基づいて例26については約3.23重量%のF及び約4.24重量%のAl、例27については2.96重量%のFの最終組成としたものである。比較例C11のために使用した担体は、875℃で脱水されたPQ ES−757シリカ(約300m2/gの表面積、約1.5cm3/gの細孔容積及び約25μmの粒度)であった。
【0132】
例28及び29で使用した触媒系は、方法2を使用してさらに高いMAOレベルで、すなわち、約6.25mmolのMAO/g担体で製造した。例29は、例28と比較して、さらに高い触媒の遷移金属成分濃度、すなわち、触媒系の総重量に基づいて約0.83重量%に対して約1.02重量%を有していた。例28及び29のために使用した担体は、担体の重量に基づいて26.03重量%のAl及び5.24重量%のFの最終組成となるように十分なヘキサフルオロ珪酸アンモニウムを使用して600℃で活性化されたSiral 40であった。例25〜29及びC11について、メタロセン触媒化合物はビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウム(CH32であった。重合の結果を以下の表8にまとめる。
【0133】
【表8】

【0134】
弗素化担体を使用する場合にHF充填量を増加させると、触媒生産性が大きく増加する。例26は、比較例C11よりも約24.8%少ないMAO(約4.7mmol/g担体対約6.25mmol/g担体)を使用したが、ただし、触媒におけるHfの量を約0.8重量%から約1.03重量%に増加させたところ、約106%の触媒生産性の増加が得られた。例27は、同量のMAO、すなわち約6.25mmol/g担体を使用したが、ただし触媒系におけるHfの量を約0.8重量%から約1.08重量%に増加させたところ、約113%の触媒生産性の増加が得られた。
【0135】
また、例29は、例28と比較して、驚くべきことに及び予期せぬことに、遷移金属成分、すなわち、基質の組成及びMAOの量をそのままにしてHfの量のみを増加させた場合に、触媒活性が増加したことも示す。特に、両方の例についてのMAO濃度及び特定の担体は同じである、すなわち、約6.25mmolのMAO及び弗素化Siral 40である。例28は、触媒系の総重量に基づいて約0.83重量%のHf濃度を有しており、約10,733gのPE/g触媒系/時間の触媒活性を示した。しかしながら、Hf濃度の増加した例29、すなわち、約0.83重量%しか含有しない例26と比較して約1.02重量%を有する例29は、約14,762gのPE/g触媒系/時間の触媒活性を示したが、これは、触媒活性の約37%の増加である。
【0136】
全ての数値は、当業者であれば予測されるであろう実験誤差及び変差を考慮して、「約」又は「およそ」の表示値である。
【0137】
様々な用語を上で定義した。請求項において使用した用語が上で定義されていない限りにおいて、少なくとも1つの刊行物又は発行された特許に反映されたときに、当業者がその用語に与えた最も広い定義とすべきである。さらに、本願において引用した全ての特許、試験手順及び他の文献は、かかる開示が本願と矛盾しない範囲内で、かつ、援用を認められた全ての管轄について、引用により援用するものとする。
【0138】
以上は、本発明の実施形態に関するものであるが、本発明の他の及び追加の実施形態は、その基本的な範囲から逸脱することなく創作することができ、また、その範囲は、請求の範囲によって決まる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分:
単一部位触媒化合物と
弗素化アルミナを含む担体と
アルミノキサンと
を含む触媒系であって、該アルミノキサンが担体1グラム当たり約10mmol以下の量で存在する触媒系。
【請求項2】
前記担体が該担体の重量に基づいて約1重量%〜約10重量%の範囲の弗化物濃度及び該担体の重量に基づいて約3重量%〜約40重量%の範囲のアルミニウム濃度を有する、請求項1に記載の触媒系。
【請求項3】
前記担体が該担体の重量に基づいて約4重量%〜約8重量%の範囲の弗化物濃度及び該担体の重量に基づいて約20重量%〜約40重量%の範囲のアルミニウム濃度を有する、請求項1又は2に記載の触媒系。
【請求項4】
前記担体が該担体の重量に基づいて約2重量%〜約4重量%の範囲の弗化物濃度及び該担体の重量に基づいて約3重量%〜約10重量%のアルミニウム濃度を有する、請求項1又は2に記載の触媒系。
【請求項5】
前記単一部位触媒化合物が前記触媒系の総重量に基づいて約0.2重量%〜約1.3重量%の範囲の金属濃度を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の触媒系。
【請求項6】
前記アルミノキサンが前記担体1グラム当たり約3mmol以下の量で存在する、請求項1〜5のいずれかに記載の触媒系。
【請求項7】
前記アルミノキサンが前記担体1グラム当たり約2.7mmol以下の量で存在する、請求項1〜6のいずれかに記載の触媒系。
【請求項8】
前記アルミノキサンがメチルアルミノキサン、変性メチルアルミノキサン、又はそれらの組合せを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の触媒系。
【請求項9】
前記担体がシリカをさらに含む、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒系。
【請求項10】
前記単一部位触媒化合物がメタロセン触媒を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の触媒系。
【請求項11】
前記メタロセン触媒が次式:
CpACpBMXn又はCpA(A)CpBMXn
(式中、Mは第4、5又は6族原子であり;CpA及びCpBはそれぞれMに結合し、かつ、独立に、シクロペンタジエニル配位子、置換シクロペンタジエニル配位子、シクロペンタジエニルにアイソローバルな配位子及びシクロペンタジエニルにアイソローバルな置換配位子よりなる群から選択され;(A)は、2価のC1〜C20ヒドロカルビル及びC1〜C20ヘテロ原子含有ヒドロカルボニルよりなる群から選択される、CpA及びCpBの両方に結合した2価の架橋基であり、ここで、該ヘテロ原子含有ヒドロカルボニルは1〜3個のヘテロ原子を含有するものとし;Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、C1〜C10アルキル及びC2〜C12アルケニル、カルボキシレート、アセチルアセトネート及びアルコキシドよりなる群から選択される脱離基であり;nは1〜3の整数である。)
を有する、請求項10に記載の触媒系。
【請求項12】
前記単一部位触媒化合物がビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウム(CH32、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムF2、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムCl2、ビス(n−ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムCl2、[(2,3,4,5,6−Me56N)CH2CH22NHZrBz2(ここで、Bzはベンジル基である)、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項1〜10のいずれかに記載の触媒系。
【請求項13】
前記単一部位触媒化合物が次式を有する化合物を含む、請求項1〜12のいずれかに記載の触媒系:
【化1】

式中、Mは第3〜12族遷移金属又は第13若しくは14主族金属であり;それぞれのXは、独立に、陰イオン性脱離基であり;yは0又は1であり;nはMの酸化状態であり;mは、YZL又はYZL'で表される配位子の形式電荷であり;Lは第15又は16族元素であり;L’は第15若しくは16族元素又は第14族元素含有基であり;Yは第15族元素であり;Zは第15族元素であり;R1及びR2は、独立に、C1〜C20炭化水素基、20個までの炭素原子を有するヘテロ原子含有基、ケイ素、ゲルマニウム、錫、鉛又は燐であり;R1及びR2は互いに結合していてよく;R3は存在せず、又は炭化水素基、水素、ハロゲン若しくはヘテロ原子含有基であり;R4及びR5は、独立に、アルキル基、アリール基、置換アリール基、環状アルキル基、置換環状アルキル基、環状アラルキル基、置換環状アラルキル基又は多重環系であり;R4及びR5は互いに結合していてよく;R6及びR7は、独立に、存在せず、又は、水素、アルキル基、ハロゲン、ヘテロ原子若しくはヒドロカルビル基であり;R*は存在せず、又は、水素、第14族原子含有基、ハロゲン若しくはヘテロ原子含有基である。
【請求項14】
前記触媒系がメタロセン、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、遷移金属触媒、第15族元素含有触媒又はそれらの任意の組合せから選択される1種以上の第2触媒をさらに含む、請求項1〜13のいずれかに記載の触媒系。
【請求項15】
1種以上の有機アルミニウム化合物をさらに含む、請求項1〜14のいずれかに記載の触媒系。
【請求項16】
前記単一部位触媒化合物と、弗素化アルミナを含む前記担体と、前記アルミノキサンとを混合させることを含み、前記アルミノキサンが担体1グラム当たり約10mmol以下の量で存在する、請求項1〜15のいずれかに記載の触媒系の製造方法。
【請求項17】
1種以上の有機アルミニウム化合物と前記単一部位触媒化合物及び前記担体とを混合させることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記弗素化アルミナを、シリカ−アルミナ担体を弗素源の存在下で焼成することにより製造する、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記弗素化アルミナを、シリカ担体をアルミニウム源及び弗素源の存在下で焼成することにより製造する、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項20】
前記弗素源がヘキサフルオロ珪酸アンモニウム、弗化水素アンモニウム、テトラフルオロホウ酸アンモニウム、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記焼成を約200℃〜約1,000℃の温度で実施して前記担体を製造する、請求項18〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記単一部位触媒化合物と前記アルミノキサンとを混合して第1混合物を製造する、請求項16〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記単一部位触媒化合物と前記アルミノキサンとを希釈剤中で混合する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記担体を前記第1混合物に添加して前記触媒系を製造する、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1混合物を前記担体に添加して前記触媒系を製造する、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項26】
前記第1混合物と前記担体とを独立に前記重合反応器に添加する、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項27】
前記担体と前記第1混合物とを混合して第2混合物を製造し、そして該第2混合物を前記重合反応器に導入する、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項28】
前記担体と前記アルミノキサンとを混合して第1混合物を製造する、請求項16〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記第1混合物を前記単一部位触媒化合物に添加して前記触媒系を製造する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記単一部位触媒化合物を前記第1混合物に添加して前記触媒系を製造する、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記単一部位触媒化合物を重合反応器の外側で前記第1混合物と混合する、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記単一部位触媒化合物を重合反応器内で前記第1混合物と混合する、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項33】
エチレンと請求項1〜15のいずれかに記載の触媒系とを重合反応器内においてポリエチレンを製造するのに十分な条件で混合することを含む、オレフィンの重合方法。
【請求項34】
1種以上のC4〜C8α−オレフィンを含む少なくとも1種の共単量体と前記触媒系とを前記重合反応器内で接触させることをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記重合反応器内における前記1種以上のC4〜C8α−オレフィンの濃度を前記ポリエチレンの密度及びメルトインデックス(I2)の少なくとも一つを制御するように調節することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
1種以上の有機アルミニウム化合物を前記重合反応器に導入することをさらに含む、請求項33〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記1種以上の有機アルミニウム化合物がトリエチルアルミニウムを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記有機アルミニウム化合物を前記反応器に前記ポリエチレンのメルトフロー比(MFR)を増加させるのに十分な量で添加する、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記反応器内の水素濃度を、前記ポリエチレンの密度及びメルトインデックス(I2)の少なくとも一つを制御するように調節することをさらに含む、請求項33〜38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記エチレンと前記触媒系とを気相条件下で接触させる、請求項33〜39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記触媒系が前記触媒系1グラム当たり少なくとも2000グラムのポリエチレンの生産性を有する、請求項33〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記触媒系が前記触媒系1グラム当たり少なくとも8000グラムのポリエチレンの生産性を有する、請求項33〜40のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2013−520556(P2013−520556A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555056(P2012−555056)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2011/025405
【国際公開番号】WO2011/103402
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(599168648)ユニベーション・テクノロジーズ・エルエルシー (70)
【Fターム(参考)】