説明

触媒還元相からの流出物の少なくとも一部を再循環させることを含む、ガソリンの再生改質方法

【課題】触媒還元工程からの流出物を、反応帯域の最後のおよび/または最後から2番目の反応器の頭部に再導入する、ガソリンの接触改質方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ガソリンの再生改質方法であって、触媒還元帯域からの流出物の少なくとも一部を、反応帯域の最後のまたは最後から2番目の反応器の頭部に再循環させることによって特徴付けられる、方法を記載する。この配列は、装置の水素平衡およびリフォーメイトの製造を大きく改善することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンの接触改質方法の分野に関する。
【0002】
本方法は、移動床態様で機能する直列の3又は4つの反応器を含む反応帯域を使用し、かつオキシ塩素化工程及び水素により触媒を還元する最終工程を含む、一定数の工程をそれ自体が含む触媒再生帯域を有する。
【0003】
再生帯域の後、触媒は、反応帯域の第1反応器の頭部に再導入される。
【0004】
より正確には、本発明は、触媒還元工程からの流出物を、反応帯域の第3反応器及び/又は第4反応器の頭部に再循環させることを含む、ガソリンの新規接触改質方法に関連する。
【0005】
この新規な配置は、幾つもの利点を有する:
・反応器(3)及び(4)への水の再導入を減少させるか、更には省くこともある;
・正確にはコークスが優先的に形成される傾向を有する反応器である、反応器(3)及び(4)に関するH/HC比を増加させることにより、種々の反応器間の水素の分布を有利に改変する。
【0006】
最後に、本発明は水素精製セクションを管理する可能性を広げることができる。再循環圧縮機によって再接触圧縮機の作業の一部を実行すること、すなわち実際には前記再接触圧縮機内のステージ数を減少させることが可能になるからである。
【背景技術】
【0007】
従来技術において、接触改質装置からの還元流出物は、一般的に水素精製セクションの再接触圧縮機の取り入れ口、又は燃料ガスシステム、すなわち、精製所の種々の装置又は炉内で燃料として使用されるガス用のシステム(以下に燃料ガスシステムと称することとする)のいずれかに送られる。
【0008】
還元流出物はまた、再循環ガス中の水量を調整するためにその全体又は一部がセパレータドラムへの入口に送られてもよい。
【0009】
従来技術の精製帯域のフローシートは、本質的に反応帯域に関係する本発明によって改変されない。しかしながら、再循環圧縮機の装填材料を改変することは、それが部分的に再接触圧縮機として操作され得、かつそれ故に前記再接触圧縮機のステージ数を低減させることができることを意味する。
【0010】
特許文献1には、少なくとも2つの工程を含む移動床態様で機能する触媒を使用する芳香族化合物の製造方法であって、所定の(H)/(HC)比(Hは、前記工程において導入される水素量を表し、HCは、前記工程に入る供給材料量を表す)によって特徴付けられる方法が開示されている。
【0011】
前掲の特許において、触媒還元工程はまた、H/HC比の所定の値を同様に特徴とし;3つのH/HC比の値、すなわち2つの反応工程及び触媒還元工程が不均等に結びつけられる。
【0012】
特許文献2には、移動床態様で働く触媒からの芳香族化合物の製造方法であって、再循環ガスの存在下に前記触媒を還元する工程を含み、該再循環ガスは、供給される高純度の水素の量が1〜10kg/kg(触媒)の範囲であるような量で導入される、方法が教示されている。再循環ガスは、ガス状水素含有流出物の少なくとも一部の脱水素化に由来すると定義される。
【0013】
これら2件の特許のいずれも、最も近い従来技術を示すと考えることができるが、触媒還元工程からの流出物の最終改質反応器の頭部への再導入を正確には開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】仏国特許発明第2801604号明細書
【特許文献2】仏国特許発明第2801605号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、触媒還元工程からの流出物を、反応帯域の最後のおよび/または最後から2番目の反応器の頭部に再導入する、ガソリンの接触改質方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、60〜250℃の範囲の蒸留範囲を有するガソリンの接触改質方法であって、移動床接触改質装置を用い、該移動床接触改質装置は、直列の3又は4つの反応器と、前記触媒の再生帯域とを含み、該再生帯域は、水素を用いて触媒を還元する工程を含み、
前記触媒還元工程からの流出物は、
・3つの反応器を有する接触改質装置の場合、第3反応器の頭部に;
・4つの反応器を有する接触改質装置の場合、第3反応器の頭部及び/又は第4反応器の頭部に
再循環させられる、方法である。
【0017】
好ましくは、前記接触改質装置が4つの反応器を含むとき、還元流出物は、第3反応器の頭部にのみ再循環させられる。
【0018】
好ましくは、前記接触改質装置が4つの反応器を含むとき、還元流出物は、第4反応器の頭部にのみ再循環させられる。
【0019】
好ましくは、セパレータドラム(BS)からのオーバーヘッド流は、その全体が再循環圧縮機(RCY)に向けられる。
【0020】
好ましくは、還元流出物の一部は、触媒が、反応器R3の底部から反応器R4の頭部に持ち上げられることを可能にする輸送ラインに再導入される。
【0021】
好ましくは、前記セパレータドラム(BS)からのオーバーヘッド流の一部は、再循環圧縮機(RCY)に向けられ、他の部分は、再接触圧縮機(RCC)に向けられる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、ガソリンの再生改質方法であって、触媒還元帯域からの流出物の少なくとも一部を、反応帯域の最後のまたは最後から2番目の反応器の頭部に再循環させることによって特徴付けられる、方法を記載する。この配列は、装置の水素平衡およびリフォーメイトの製造を大きく改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】直列の4つの反応器と、触媒再生帯域とを含む接触改質装置の全体図を表す。触媒回路は、太線で印されている。R1、R2及びR4のみを図1に示す。
【図2A】セパレータドラムの頭部からの流出物全部を再循環圧縮機に送ることからなる反応流出物精製フローシートの第1のバリエーションを示す。
【図2B】セパレータドラムの頭部からの流出物の一部を再循環圧縮機に、前記反応流出物の他の部分を再接触圧縮機に送ることからなる反応流出物精製フローシートの別のバリエーションを示す。
【図3】還元流出物の再循環のより詳細な図であり、これは、反応器R3の頭部に導入され、前記反応器R3からの供給材料と混合させられる第1部分と、反応器R4の頭部に送られ、前記反応器からの供給材料4と混合させられる第2部分と、場合による、輸送ポットLP3において輸送ガスを構成するために水素の補給(makeup)と混合させられ得る第3部分とを一般的に含む、還元流出物の再循環のより詳細な図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(発明の簡単な説明)
本発明は、60〜250℃の範囲に蒸留範囲を有するガソリンの接触改質方法であって、移動床接触改質装置を用い、該移動床接触改質装置は、直列の3または4つの反応器と、前記触媒の再生のための1つの帯域とを含み、触媒再生帯域の一部を形成する、触媒還元工程からの流出物が;
・3つの反応器の場合、第3反応器の頭部に;
・4つの反応器の場合、第3反応器の頭部及び/又は第4反応器の頭部に、
再循環させられる、方法として定義され得る。
【0025】
短縮表現「及び/又は」は、次の2つの場合を包含すると解釈されるべきである:
a)第3反応器の頭部に還元流出物を再循環させること;
b)第4反応器の頭部に還元流出物を再循環させること。
【0026】
場合a)及びb)は、別個であっても良いし、又は共存しても良い。
【0027】
本発明の接触改質方法の特定の場合において、装置が3つの反応器を含むとき、還元流出物は、第3反応器の頭部にのみ再循環させられる。
【0028】
本発明の方法の別の特定の場合において、装置が4つの反応器を含むとき、還元流出物は、第4反応器の頭部にのみ再循環させられる。
【0029】
本発明の方法の別の特定の場合において、装置が4つの反応器を含むとき、還元流出物は、第3反応器の頭部にのみ再循環させられる。
【0030】
4つの反応器を含む装置の場合において、還元流出物は一般的に、一部が第3反応器の頭部に、かつ一部が第4反応器の頭部に再循環させられる。
【0031】
4つの反応器を有する装置の場合において、還元流出物の一部はまた、第3反応器の底部から第4反応器の頭部に触媒を輸送するために、輸送ポットにおいて輸送ガスに再循環させられ得る。
【0032】
リフォーメイト(reformate)となる反応流出物を分離する帯域の1つのフローシートによれば、セパレータドラム(BS)からのオーバーヘッド流は、全体が再循環圧縮機(RCY)に向けられる。
【0033】
反応流出物を分離する帯域の別のフローシートによれば、セパレータドラム(BS)からのオーバーヘッド流の一部は、再循環圧縮機(RCY)に向けられ、かつ他の部分は、再接触圧縮機(RCC)に向けられる。
【0034】
本発明は、反応流出物分離帯域に関して可能な種々のフローシートに完全に適合する。
【0035】
第3及び/又は第4反応器の頭部に還元流出物を再循環させることに関係する多数の技術が観察される:
・第1の技術的利点は、反応器R3及び/又はR4内の触媒による還元流出物に含有される塩素の再捕捉に相当する。これにより、オキシ塩素化工程において再生器に注入されることが要求される塩素量の大幅な低下がもたらされる。実際に、反応域内での滞在中、触媒は、塩素を喪失する。しかしながら、反応器R3及びR4内の塩素の存在は、必須である。反応器R3及びR4に還元流出物を再循環させることによって前記反応器内で触媒の活性を大幅に増加させることができる;
・第2の利点は、反応器R3又はR4内に存在する触媒上での塩素化合物の再吸着に関係する。この塩素化合物の再吸着効果はまた、水素再接触圧縮機の下流での塩素の消費が減少させられ得ることを意味する。
【0036】
更に、改質装置のいわゆる「乾燥」操作は、燃料ガスシステムのためのガスの生成を増加させることによって選択性の喪失が附随して起こることが当業者に知られている。用語「乾燥」操作は、装置の操作が、再循環ガス内、従って反応帯域内で含水量が低いことによって特徴付けられる場合に使用される。
【0037】
還元流出物を再循環させることは、還元流出物内に含有される水を介して反応器R3及びR4内の水量を増加させることができ、かつそれ故に前記反応器内の触媒の選択性を改善することができることを意味する。還元流出物が再循環させられるので、従って供給材料への水の注入は、低減、更には停止させられ得、かつ反応器R3及びR4に再循環させられる還元流出物の流量を適応させることによって導入される水量を調節することが可能である。
【0038】
本発明に関係する他の技術的利点が、一般的に観察される:
・反応器R1及びR2の水素ブランケット(hydrogen blanketing)を減少させる(反応器R3およびR4内の水素の量を増加させることによって可能にさせる)ことによって、水素とナフテンとの間の競合反応を減少させ、そのことが反応器R1及びR2の触媒性能を改善する結果となる;
・反応器R3及びR4上の水素ブランケテトの大幅な増加により、最終反応器(場合によりR3又はR4)からの出口でのコークス量が大幅に減少することとなる;
・反応器R1及びR2でのH/HC比の減少により、再循環圧縮機(RCY)の効用に対する必要性が低下する結果となる。還元流出物は、一般的に99.9容積%の水素を含有する。それ故に、反応器R3及び/又はR4の上流に注入することにより、反応器R3及び/又はR4に対応するH/HC比は、約0.1増加する。コークスの大部分が生成する反応器内のH/HC比がこのように大幅に増加することは、再生させられることとなるコークスが減少すること、又はイソコークスの時点で(at iso-coke)、上流に位置する反応器(すなわち反応器R1及びR2)への再循環ガスの流量が低減させられ得ることのいずれかを意味する。それ故に、再循環圧縮機に関して大きな実用性利益が得られる。更に、反応器R1及びR2に関してH/HC比を減少させることで、前記反応器内でナフテン脱水素化反応を増加させ、かつ長鎖パラフィンのクラッキングを減少させることができる。
【0039】
・最後に、水素精製帯域に関してフローシートに提供される柔軟性は、水素再接触圧縮機(RCC)の設備費を低減させることができることを意味する。還元流出物は、一般的に水素再接触圧縮機取入口に戻される。圧力平衡を満たすために、水素再接触圧縮機取入口(RCC)は、再循環圧縮機(RCY)の場合と同様に、セパレータドラム(BS)からのオーバーヘッド流に取り付けられる。本発明により、還元流出物が反応器R3及び/又はR4に再循環させられるとき、この制約は、もはや存在せず、水素再接触圧縮機(RCC)の取入口は、再循環圧縮機(RCY)からの排出に設置され得る。このことによって、再循環圧縮機(RCY)としての再接触圧縮機内での1回の圧縮段階が省かれ、部分的に再接触圧縮機として役立つ。
【0040】
(発明の詳細な説明)
ガソリンの接触改質装置は、反応セクションと、触媒再生帯域とを含んでいる。反応セクションは、直列で機能する、R1、R2、R3及びR4と表示される3又は4つの反応器によって構成され、触媒再生帯域は、触媒上に堆積したコークスの燃焼工程(I)と、結晶子が再分散させられることを可能にするオキシ塩素化工程(II)と、反応帯域に再導入する前に触媒の酸化物を還元し得る水素還元工程(III)とを含む。
【0041】
反応帯域は、R1、R2、R3、R4と示される3又は4つの反応器によって構成される。
【0042】
この触媒還元工程は、還元ガスを発生させる。この還元ガスは、本明細書の以降において還元流出物と称され、従来技術において、再循環圧縮機(RCYと表示される)の上流または分離ドラム(BSと表示される)の上流に再導入される。
【0043】
本発明において、この還元流出物は、少なくとも一部、第3反応器R3の頭部に再循環させられ、場合によっては、第4反応器R4の頭部に再循環させられる。
【0044】
ライン(5)中の改質装置からの流出物の処理のフローシートは、本発明により影響を受けず、従って従来技術のフローシートに適合する状態を保つ。
【0045】
より正確には、3つの反応器を含む接触改質装置において、還元流出物の少なくとも一部は、この第3反応器R3の頭部に再循環させられる。
【0046】
4つの反応器を含む装置において、一般的な場合、還元流出物の少なくとも一部は、第3反応器R3及び第4反応器R4の頭部に再循環させられる。
【0047】
好ましくは、本発明の状況において、ライン(18)中の還元流出物は、その全体が反応器R3の頭部に再循環させられる(ライン(14)中の流れ)。
【0048】
本発明の別の変形例において、ライン(18)中の還元流出物は、その全体が反応器R4の頭部に再循環させられ得る(ライン(17A)中の流れ)。
【0049】
最後に、還元流出物の一部(ライン(17B)中の流れ)は、触媒を反応器R4の頭部に上昇させ得る輸送ポットLP3における輸送ガスとして使用され得る。図1に太線で示されるような触媒回路は、以下のように記載され得る:
再生触媒と称される再生帯域からの触媒は、反応器R1の頭部に導入される。
【0050】
それは、重力下に反応器R1内に流れ、そこでガス状の供給材料に遭遇し、ガス状の供給材料は一般的に、触媒の流れの実質的に垂直方向に対して横断方向に流れる。
【0051】
触媒は、反応器R1からの出口における輸送ポットLP1内に回収され、反応器R2の頭部に上昇させられる。
【0052】
触媒は、反応器R2からの出口における輸送ポットLP2内に回収され、反応器R3の頭部に上昇させられる。それは、反応器R3からの出口における輸送ポットLP3内に回収され、反応器R4の頭部に上昇させられる。
【0053】
触媒は、反応器R4からの出口における輸送ポットLP4内に回収され、再生帯域(再生器とも称される)に上昇させられる。
【0054】
触媒は次に、触媒上に堆積したコークスの燃焼工程(I)と、オキシ塩素化工程(II)と、水素還元工程(III)とを含む再生帯域で再生される。
【0055】
還元工程(III)からの出口において、再生触媒は、空気輸送システムによって第1反応器R1の頭部に再導入される。
【0056】
還元工程(III)からの出口における水素は、還元流出物(ライン(18)中)と称される。
【0057】
流出物は、本質的にはライン(18)中の前記還元流出物の再循環に関する。
【0058】
還元流出物の一般的な特徴は、次の通りである:
圧力:4.7実効(effective)バール(1バール=10パスカル)±0.5バール;
温度:70℃±10℃;
水素含量:99.9容積%;
塩素含量:20〜50容積ppm;
含水量:50〜100容積ppm;
最終反応器への入口における圧力:3.5実効バール;
最終反応器の上流の入口圧力:4実効バール。
【0059】
詳細な説明の残りの部分は、図1、2及び3を参照する。
【0060】
(図1)
図1は、4つの反応器を有する接触改質装置の構成を示し、この接触改質装置において、ライン(18)中の還元流出物は、ライン(14)を介して第3反応器R3の頭部に、ライン(17A)を介して反応器R4の頭部におよび反応器R3からの出口を反応器R4の頭部に結合する輸送ラインの基部にライン(17B)を介して再循環させられる。
【0061】
この図は、ライン(18)中の還元流出物の3つの可能な使用を例証するが、前記還元流出物は、全体が反応器R3の頭部か、又は反応器R4の頭部に送られ得る。
【0062】
ライン(18)中の還元流出物は、ライン(3)の供給との混合物として反応器R3のために、又はライン(4)の供給との混合物として反応器R4のために再循環させられる。
【0063】
ライン(1)中の供給材料は、予備加熱炉F1に導入された後に、反応器R1にガス状で導入されるが、反応器R1では、重力下に反応器R1の頂部から底部に流れる再生帯域から来る触媒と接触させられる。
【0064】
反応器R1からの流出物は、再加熱反応器F2(図1には示さず)に導入された後に、反応器R2(図1には示さず)の頭部に導入される。
【0065】
反応器R2からの流出物は、ライン(2)を介してそれを所望の温度まで戻すことができる炉F3に導入される(改質反応は、全体的に吸熱性である)。R2からの再加熱流出物は、ライン(3)を介して反応器R3の頭部に供給される。
【0066】
反応器R3からの流出物は、炉F4中で再加熱した後、ライン(4)を介して反応器R4の頭部に導入される。
【0067】
反応器R4からの流出物は、ライン(5)を介して、図2を参照して以下に記載される分離セクションに向かって移動する。
【0068】
再生帯域からの触媒は、それが重力下に流れる反応器R1の頭部に導入される。それは、空気輸送システム(LP1)によってR1から離れ、かつ反応器R2の頭部にまで運ばれる。
【0069】
触媒は、R2、R3及びR4で同じ経路を辿る。
【0070】
R4からの出口において、触媒は、図1に示される、コークス燃焼セクション(I)、オキシ塩素化を実行するセクション(II)及び触媒還元セクション(III)の3セクション再生器としての再生帯域(Rg)の頭部に導入される。
【0071】
還元セクション(III)からの出口において、触媒は、空気輸送システムを介して反応器R1の頭部に送られ、そこで循環を再開する。
【0072】
還元セクション(III)に導入されたライン(40)中の還元ガスは一般的に、80〜100モル%の範囲の純度を有する水素によって構成される。この水素は、精製所に存在する水素システムに由来する。それは、部分的に、好ましくは精製処理後に再接触圧縮機(RCC)を離れるライン(37)中の流れから構成されても良い。
【0073】
還元流出物と称される還元セクションからの流出物(ライン(18)中)の一部は、ライン(14)中の流れを介して反応器R3の頭部に再循環させられ、別の部分は、ライン(17)中の流れを経て、ライン(17A)中の流れを介して反応器R4の頭部にまたはライン(17B)中の流れを介して輸送ポット(LP3)の方のいずれかに再循環させられる。
【0074】
ライン(14)または(17)中の流れは、いかなる方法で分割されても良いが、好ましくはライン(18)中の還元流出物の全部が、反応器R3の頭部に再循環させられる。
【0075】
(図2A及び2B)
図2Aは、基本のバリエーションにおける反応流出物の精製のフローシートを示す。
【0076】
ライン(18)中の還元流出物の一部は、ライン(16)を介して移動し、弁(19)を介して通過し、次いで、反応帯域の最後の反応器R4からの出口におけるライン(5)中の反応流出物と混合される。ライン(5)中の反応流出物は、交換機(32)および空冷式交換機(34)中での冷却後に、ライン(35)を介して移動する。
【0077】
結果として生じた、ライン(35)および(18)の流れの混合物は、ライン(20)を介して移動する流出物を生じさせ、これは、水冷却器(21)を介して通過し、ライン(22)を介してセパレータドラム(BS)に供給する。
【0078】
セパレータドラム(BS)は、ライン(23)を介して移動する液体流を生じさせ、この液体流は安定化セクション(図2に示されない)に送られ、改質装置によって生じるリフォーメイトが構成される。
【0079】
ライン(24)を介して移動するガス流は、再循環圧縮機(RCY)を介して圧縮される。ライン(26)を介して移動する再循環圧縮機(RCY)からの流出物は、ライン(28)を介して移動する流出物と、ライン(36)を介して移動する流出物とに分割される。
【0080】
ライン(36)からの流出物は、水素再接触圧縮機(RCC)に供給され、生じさせられた流出物は、ライン(37)を介して、直接的に水素システムに導入されるか、または、精製装置に送られる(図2に示されていない)。
【0081】
ライン(28)を介して移動する流出物は、熱交換器(32)に送られる。前記熱交換器(32)は、ライン(1)を介して移動する改質供給材料を供給される。ライン(1)を介して移動する改質供給材料と、ライン(28)を介して移動する流出物との混合物は、ライン(31)を介して移動する流出物をもたらし、これは、図1に示される炉F1に供給され、反応器R1に入る供給材料を構成する。
【0082】
反応器R4からのライン(5)中の流出物は、ライン(30)を介して移動し、熱交換器(32)中を通過して、流出物が生じ、これは、ライン(33)を介して移動し、空冷式交換器(34)に供給される。空冷式交換器(34)からの出口において、ライン(35)を介して移動する流出物が得られ、この流出物は、弁(19)中を通過した後のライン(16)中の流出物と混合され、ライン(20)を介して移動する流れが生じる。
【0083】
図2Bに示される方法のフローシートの変形例において、セパレータドラムからのライン(24)中のオーバーヘッド流出物の一部は、再接触圧縮機(RCC)に直接送られ、他の部分は、再循環圧縮機(RCY)に送られる。再接触圧縮機からのライン(37)中の流出物は、水素システム又は精製装置(不図示)に送られる。
【0084】
再循環圧縮機(RCY)からのライン(28)中の流出物は、図2Aに関して記載されるように熱交換器(32)に送られる。
【0085】
(図3)
図3は、本発明の触媒の還元帯域からのライン(18)中の流出物を再循環させる装置を有する反応器R3及びR4の詳細図を示す。
【0086】
ライン(18)は、触媒再生の一部を形成する還元帯域(III)を離れる還元流出物に相当する。
【0087】
・ライン(18)中の流出物の第1部分は、反応器R3の頭部にライン(14)を介して導入され、前記反応器R3からのライン(3)中の供給材料と混合される;
・ライン(18)中の還元流出物の第2部分は、ライン(17A)を介して移動し、ライン(4)中の供給材料との混合物として反応器R4の頭部に送られる。ライン(4)中の供給材料は、反応器R3、ライン(3’)からの、炉F4における再加熱後の反応流出物である;
・ライン(18)中の還元流出物の第3部分は、ライン(17B)を介してライン(11)からの補給水素と混合されて、輸送ポットLP3において輸送ガスを構成し得る。これは、R3を出る触媒を、輸送ライン(8)を介してR4の頭部の方に運ぶことができる。
【0088】
図3はまた、R3からの出口における(7)で表示される触媒用の出口ラインおよびR4からの出口における(9)で表示される触媒用の出口ライン、輸送ポットLP3およびLP4、R3からの出口からR4の頭部への触媒のための輸送ライン(8)、およびR4からの出口から再生帯域(Rg)への触媒のための輸送ライン(10)を示す。
【0089】
ライン(12)は、輸送ポット(LP4)の輸送ガスへの水素補給に相当する。
【0090】
(比較のための例)
以下の例は、300m/hの流量で供給材料を処理する接触改質装置に相当するベースのケースを、触媒還元流出物が第3及び第4反応器の頭部に再循環させられる本発明の同じ装置と比較する。
【0091】
装置は、AR501タイプの触媒(商品名AXENS NA)、すなわちシリカアルミナ担体担持の白金ベース触媒を供給される直列の4つの反応器を含んでいた。
【0092】
処理されるべき供給材料は、ASTM標準D86に従って90〜170℃の蒸留範囲を有するガソリン留分であった。
【0093】
O供給ラインは、供給材料と共に導入された水に相当する。
【0094】
O再循環ラインは、再循環ガス内で測定された水に対応する。
【0095】
ΔC5+と表示されたラインは、生じたリフォーメイトの流量増加に対応する。
【0096】
触媒還元帯域からの流出物は、50/50の割合で反応器R3及びR4の頭部に再導入された。
【0097】
還元流出物の流量は、633kg/hであり、前記流出物の純度は、水素容積で99.9%であった。
【0098】
【表1】

【0099】
上記比較表1から本発明の方法が、(リフォーメイトと称される)C5+留分の収率を著しく増加させ、再循環圧縮機(RCY)の消費を大幅に減少させ、再接触圧縮機(RCC)のエネルギー消費を大幅に減少させ得ることが理解され得る。反応器R1及びR2の水素ブランケットの減少は、反応器R3及びR4への入口流内の水素量を増加させることにより(それは、1.8から1.9に上昇する)、可能にされる。
【0100】
反応器R3の頭部へ還元流出物を再循環させることの影響は、反応器R1及びR2に関するH/HC比の減少であり、それは反応器R1及びR2の触媒性能の改善をもたらす。
【0101】
塩素喪失は、反応器R3及びR4内の触媒に関して還元流出物に含有される塩素の再捕捉により同様に減少する。
【0102】
このことにより、オキシ塩素化工程において再生器に注入されなければならない塩素量が大幅に減少することとなる。
【符号の説明】
【0103】
1 ライン
2 ライン
3’ ライン
4 ライン
5 ライン
14 ライン
17 ライン
17A ライン
18 ライン
40 ライン
R1 反応器
R3 反応器
R4 反応器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
60〜250℃の範囲の蒸留範囲を有するガソリンの接触改質方法であって、移動床接触改質装置を用い、該移動床接触改質装置は、直列の3又は4つの反応器と、前記触媒の再生帯域とを含み、該再生帯域は、水素を用いて触媒を還元する工程を含み、
前記触媒還元工程からの流出物は、
・3つの反応器を有する接触改質装置の場合、第3反応器の頭部に;
・4つの反応器を有する接触改質装置の場合、第3反応器の頭部及び/又は第4反応器の頭部に
再循環させられる、方法。
【請求項2】
前記接触改質装置が4つの反応器を含むとき、還元流出物は、第3反応器の頭部にのみ再循環させられる、請求項1に記載のガソリンの接触改質方法。
【請求項3】
前記接触改質装置が4つの反応器を含むとき、還元流出物は、第4反応器の頭部にのみ再循環させられる、請求項1に記載のガソリンの接触改質方法。
【請求項4】
セパレータドラム(BS)からのオーバーヘッド流は、その全体が再循環圧縮機(RCY)に向けられる、請求項1〜3のいずれか1つに記載のガソリンの接触改質方法。
【請求項5】
還元流出物の一部は、触媒が、反応器R3の底部から反応器R4の頭部に持ち上げられることを可能にする輸送ラインに再導入される、請求項1〜3のいずれか1つに記載のガソリンの接触改質方法。
【請求項6】
前記セパレータドラム(BS)からのオーバーヘッド流の一部は、再循環圧縮機(RCY)に向けられ、他の部分は、再接触圧縮機(RCC)に向けられる、請求項1〜3のいずれか1つに記載のガソリンの接触改質方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−285618(P2010−285618A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132714(P2010−132714)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【Fターム(参考)】