説明

触感呈示装置

【課題】意図しない処理の実行を有効に回避できる触感呈示装置を提供する。
【解決手段】タッチセンサ11、そのタッチ入力を検出する検出部12、タッチセンサ11を振動させる触感呈示部13、データを処理するメイン制御部16、触感呈示部13の駆動を制御する触感呈示制御部14を有する。そして、触感呈示制御部14は、検出部からの検出情報に関する信号を記憶して、その記憶内容とメイン制御部16から供給される触感呈示指示信号とに基づいて、メイン制御部16の状態を判定し、触感呈示指示信号がビジー状態に対応するものでない場合は、触感呈示部13によりタッチセンサ11のタッチ面11aを第1振動モードで振動させ、ビジー状態に対応するものである場合は、メイン制御部16に対して対応する検出情報に基づく処理の実行を中止させるとともに、触感呈示部13によりタッチ面11aを第1振動モードと異なる第2振動モードで振動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサを備える触感呈示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯端末、電卓、券売機等の情報機器、電子レンジ、テレビ、照明器具等の家電製品、産業用機器(FA機器)等には、操作者による入力操作を受け付ける操作部やスイッチ等の入力装置として、タッチパネルやタッチスイッチ等のタッチセンサを備える入力装置が広く使用されている。
【0003】
タッチセンサには、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の種々の方式が知られている。しかし、いずれの方式のタッチセンサにおいても、指やスタイラスペン等の押圧対象(押圧物)によるタッチ入力(入力操作)を受け付けるものであって、タッチセンサ自体は、タッチされても、押しボタンスイッチのようには物理的に変位しない。
【0004】
そこで、例えば、タッチセンサへの操作を制御部により監視し、入力が検出されるとスピーカを駆動して確認音を発することにより、入力操作をフィードバックする入力装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、タッチセンサへの入力を制御部により監視し、入力が検出されると圧電素子制御部を介して圧電素子を駆動してタッチセンサを振動させ、これにより操作者の指先に触覚をフィードバックする入力装置が提案されている(例えば、特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−032028号公報
【特許文献2】特開2003−288158号公報
【特許文献3】特開2008−130055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、入力装置によるデータの処理には、時間がかかる場合がある。例えば、表示装置と組み合わされたタッチセンサを有する入力装置においては、データの処理として表示画面を切り替える際、切り替える表示画面によっては処理に時間がかかる場合がある。
【0007】
このような場合、上述したように、操作を検出した後、当該操作に対してフィードバックを返しても、そのデータ処理に時間がかかり、表示画面が切り替わらないと、操作が受け付けられていないと操作者が勘違いして、再操作を行う場合がある。しかし、この場合、制御部はビジー状態にあるために、当該再操作に対してはフィードバックを返す制御ができない。このため、操作者は、当該再操作も受け付けられていないと勘違いして、さらに再操作を繰り返すことがある。なお、このような再操作は、タッチセンサが表示装置と組み合わされていない場合であっても、制御部が例えばマルチタスク処理で他の要因によりデータ処理を行っている場合等、処理速度が遅くなると同様に生じるものである。
【0008】
一方、入力装置として、制御部がデータ処理実行中のビジー状態にあるとき、その期間中に操作された操作情報を記憶部に記憶し、制御部が操作を受付可能な状態となった時点で、記憶部に記憶されている操作情報を読み出して、順次記憶していた操作情報に基づく処理を実行するものがある。しかし、このような入力装置においては、ビジー期間中に行われた操作が切り替わった表示画面に対して操作されたものとして扱い、切り替え前後の入力画面によっては、意図しない処理が実行されることがある。
【0009】
この場合、例えば、特許文献1のように、確認音をフィードバックする場合は、ビジー期間中の操作に対する処理を実行する際に、スピーカからビープ音等を発生させて、操作者に意図しない処理が実行されることを通知することが可能である。これにより、操作者は、実行中の意図しない処理を中止することができる。
【0010】
しかしながら、特許文献2,3のように、触感をフィードバックする場合は、ビジー期間中の操作に対する処理を実行する際に、タッチセンサを振動させても、その時点では、操作者は指等の押圧物をタッチセンサから離している場合がある。このため、タッチセンサを振動させても、操作者は気付き難いことから、意図しない処理が継続して実行されてしまうことが想定される。
【0011】
したがって、かかる観点に鑑みてなされた本発明の目的は、意図しない処理の実行を有効に回避できる使い勝手に優れた触感呈示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する第1の観点に係る触感呈示装置の発明は、
タッチセンサと、
該タッチセンサへの操作を検出する検出部と、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
データを処理するメイン制御部と、
前記触感呈示部の駆動を制御する触感呈示制御部と、を有し、
前記メイン制御部は、前記検出部の検出情報に基づいて、前記触感呈示制御部に触感呈示指示信号を供給し、
前記触感呈示制御部は、前記検出部からの前記検出情報に関する信号を記憶する記憶部を有し、該記憶部の記憶内容と前記メイン制御部から供給される前記触感呈示指示信号とに基づいて、前記メイン制御部の状態を判定し、前記触感呈示指示信号が前記メイン制御部のビジー状態に対応するものでない場合は、前記触感呈示部により前記タッチセンサのタッチ面を第1振動モードで振動させ、前記触感呈示指示信号が前記メイン制御部のビジー状態に対応するものである場合は、前記メイン制御部に対してビジー状態に対応する検出情報に基づく処理の実行を中止させるとともに、前記触感呈示部により前記タッチセンサのタッチ面を前記第1振動モードと異なる第2振動モードで振動させる、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る触感呈示装置によると、ビジー状態のときの操作による意図しない処理の実行が有効に回避される。また、操作者は、第1振動モードとは異なる第2振動モードによる触感のフィードバックによって、第1振動モードによる触感のフィードバックがなかったそれまでの操作がキャンセルされたことを認識することができる。したがって、その後に改めて操作を行うことにより、所望の処理をスムーズに実行させることが可能となり、使い勝手を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る触感呈示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したタッチセンサ、触感呈示部および表示部の実装構造の概略構成例を示す要部断面図および要部平面図である。
【図3】図1に示したメイン制御部の一例の概略動作を示すフローチャートである。
【図4】図1に示した触感呈示制御部の一例の概略動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態に係る触感呈示装置の概略構成を示すブロック図である。この触感呈示装置は、タッチセンサ11、入力検出部12、触感呈示部13、触感呈示制御部14、表示部15、および、メイン制御部16を有する。タッチパネルやタッチセンサ等のタッチセンサ11は、表示部15に対する指などの押圧物(操作対象)によるタッチ入力(操作)を受け付けるもので、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の公知の方式のもので構成される。このタッチセンサ11のタッチ面11a(図2参照)に対する押圧物の操作に対応する入力位置情報は、タッチセンサ11の出力に基づいて入力検出部12で検出されて、その検出情報(例えば、タスク)がメイン制御部16に供給される。
【0017】
触感呈示部13は、タッチセンサ11を振動させるもので、例えば、圧電素子により構成される。この触感呈示部13は、メイン制御部16からの触感呈示指示信号に基づいて触感呈示制御部14により駆動される。これにより、触感呈示部13は、タッチセンサ11を振動させる。表示部15は、アプリケーションやOS(Operating System)に基づく画面を表示する。そして、その画面において、例えば、押しボタンスイッチ(プッシュ式ボタンスイッチ)のような入力ボタン等の入力用オブジェクト(タッチ入力画面)を表示する。表示部15は、例えば、液晶表示パネルや有機EL表示パネル等を用いて構成される。
【0018】
メイン制御部16は、各種データを処理する。また、入力検出部12からの検出情報に基づいて対応するデータを処理する。また、その処理に応じて表示部15による表示動作を制御する。
【0019】
本実施の形態に係る触感呈示装置においては、メイン制御部16に、入力検出部12からの検出情報を記憶する第1記憶部17を設ける。そして、メイン制御部16により、データの処理中に入力される検出情報を第1記憶部17に記憶しながら、順次の検出情報に対応するデータの処理をする。
【0020】
また、入力検出部12は、タッチセンサ11から検出した押圧物の検出情報あるいはそれに対応する信号、すなわち検出情報に関する信号を触感呈示制御部14に供給する。さらに、触感呈示制御部14には、この入力検出部12から供給される検出情報に関する信号を記憶する第2記憶部18を設ける。
【0021】
そして、触感呈示制御部14は、メイン制御部16から触感呈示指示信号が入力される毎に、当該触感呈示指示信号と第2記憶部18の記憶内容とに基づいて、メイン制御部16の状態を判定する。
【0022】
その結果、メイン制御部16からの触感呈示指示信号が、メイン制御部16のビジー状態に入力された検出情報に対応するものでない場合、つまり触感呈示指示の内容と第2記憶部18の記憶内容にタイムラグがない場合、触感呈示制御部14は、触感呈示部13によりタッチセンサ11のタッチ面11aを第1振動モードで振動させる。これにより、タッチセンサ11のタッチ面11aに対する操作(タッチ入力)に対して、操作者の指先に触感がフィードバックされる。なお、上記タイムラグは、許容マージンを持っていても良い。
【0023】
これに対し、メイン制御部16からの触感呈示指示信号が、メイン制御部16のビジー状態に入力された検出情報に対応するものである場合、つまり、触感呈示指示の内容と第2記憶部18の記憶内容とにタイムラグがある場合や、第2記憶部18の記憶内容の順番に合わない場合、触感呈示制御部14は、メイン制御部16に対して、必要があれば、ビジー状態に入力されたデータの処理の実行を中止させる実行中止指示信号を出力する。これにより、メイン制御部16において、当該データ処理を中止させるとともに、第1記憶部17の記憶内容をクリアさせる。なお、触感呈示指示信号と第2記憶部18の記憶内容とに基づいて、既にメイン制御部16にて中止(キャンセル)されていると判定した場合は、その必要はない。
【0024】
触感呈示制御部14は、ビジー状態により第1記憶部17の記憶内容がクリア(キャンセル)されたことを判定した後、メイン制御部16から触感呈示指示信号を入力すると、触感呈示部13によりタッチセンサ11のタッチ面11aを第1振動モードと異なる第2振動モードで振動させるとともに、メイン制御部16に対してそのデータの処理の実行中止指示信号を出力する。これにより、メイン制御部16において、当該データの処理の実行を中止させる。
【0025】
なお、入力検出部12、触感呈示指示部14およびメイン制御部16は、CPU(中央処理装置)等の任意の好適なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして構成したり、各処理に特化した専用のプロセッサ(例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサ))によって構成したりすることができる。
【0026】
図2は、図1に示したタッチセンサ11、触感呈示部13および表示部15の実装構造の概略構成例を示すもので、図2(a)は要部断面図、図2(b)は要部平面図である。表示部15は、筐体21内に収納保持される。表示部15上には、弾性部材からなるインシュレータ22を介して、タッチセンサ11が保持される。なお、本実施の形態では、タッチセンサ11を、図2(b)に仮想線で示す表示部15の表示領域Aから外れた4隅に配設したインシュレータ22を介して表示部15上に保持される。
【0027】
また、筐体21には、表示部15の表示領域から外れたタッチセンサ11の表面領域を覆うようにアッパカバー23が設けられ、このアッパカバー23とタッチセンサ11との間に、弾性部材からなる防塵用のインシュレータ24が配設される。
【0028】
なお、図2に示すタッチセンサ11は、タッチ面11aを有する表面部材が、例えば透明フィルムやガラスで構成され、裏面部材がガラスやアクリルで構成されて、インシュレータ24を介してタッチ面11aが押圧されると、押圧部分が押圧力に応じて微少量撓む(歪む)とともに、裏面部材を含むタッチセンサ11の全体が微少量撓むように構成されている。
【0029】
タッチセンサ11には、その裏面上で、アッパカバー23で覆われる一辺または複数辺の近傍、ここでは3辺の近傍に、タッチセンサ11を振動させて、タッチ面11aを押圧している押圧物に触感を呈示する触感呈示部13を構成する圧電素子25がそれぞれ装着されている。これら3個の圧電素子25は、触感呈示制御部14(図1参照)に並列に接続される。なお、図2(b)においては、図2(a)に示した筐体21、アッパカバー23およびインシュレータ24の図示を省略している。
【0030】
次に、本実施の形態に係る触感呈示装置の動作を説明する。
【0031】
図3は、メイン制御部16の一例の概略動作を示すフローチャートである。メイン制御部16は、入力検出部12からの検出情報を入力すると(ステップS301)、ビジー状態か否かを判定する(ステップS302)。その結果、ビジー状態であれば(Yesの場合)、メイン制御部16は、当該検出情報を第1記憶部17に記憶する(ステップS303)。
【0032】
これに対し、ビジー状態でなければ(Noの場合)、メイン制御部16は、触感呈示制御部14に触感呈示指示信号を出力する(ステップS304)。そして、この触感呈示指示信号に対して、触感呈示制御部14から実行中止指示信号があるか否かを監視する(ステップS305)。その結果、実行中止指示信号がなければ(Noの場合)、メイン制御部16は、当該検出情報に対するデータ処理を開始する(ステップS306)。
【0033】
その後、メイン制御部16は、データ処理が終了すると(ステップS307)、第1記憶部17における検出情報の記憶状態を確認し(ステップS308)、次の検出情報が記憶されていなければ(Noの場合)、待機状態とし、次の検出情報が記憶されていれば(Yesの場合)、ステップS304に移行して、当該次の検出情報に対するデータ処理の実行を開始するために、触感呈示制御部14に対して触感呈示指示信号を出力する。
【0034】
一方、メイン制御部16は、ステップS305において、触感呈示制御部14から実行中止指示信号があるのを検知すると(Yesの場合)、当該処理の実行を中止するとともに(ステップS309)、第1記憶部17の記憶内容をクリアする(ステップS310)。
【0035】
図4は、触感呈示制御部14の一例の概略動作を示すフローチャートである。触感呈示制御部14は、入力検出部12からの検出情報に関する信号が入力されると(ステップS401)、該信号を第2記憶部18に記憶する(ステップS402)。そして、触感呈示制御部14は、メイン制御部16から触感呈示指示信号を入力すると(ステップS403)、当該触感呈示指示信号がメイン制御部16に対する実行中止指示信号送出後の触感呈示指示信号であるか否かを、例えば第2記憶部18に記憶されている後述する送出履歴から判定する(ステップS404)。
【0036】
その結果、実行中止指示信号送出後の触感呈示指示信号でなければ(Noの場合)、触感呈示制御部14は、第2記憶部18の記憶内容と当該触感呈示指示信号との比較に基づいて、当該触感呈示指示信号が、メイン制御部16のビジー状態に入力された検出情報に対応するものであるか否かを判定する(ステップS405)。その結果、ビジー状態に入力された検出情報に対応する触感呈示指示信号でなければ(Noの場合)、触感呈示制御部14は、第2記憶部18の記憶内容をクリアして(ステップS406)、触感呈示部13によりタッチセンサ11のタッチ面11aを第1振動モードで振動させて(ステップS407)、操作者の指先に触感をフィードバックする。これにより、操作者は、当該操作が正常に受け付けられたことを認識することができる。
【0037】
ここで、触感呈示部13による第1振動モードの振動パターンは、圧電素子25に印加する駆動信号により適宜設定することができる。例えば、押しボタンスイッチを押下した際に得られる「カッ」と感じられるクリック触感を呈示する場合は、例えば、100Hz〜200Hz、好ましくは170Hzの一定周波数のSin波1周期分を、駆動信号として圧電素子25に印加して、タッチ面11aを約15μm振動させる。これにより、タッチセンサ11のタッチ面11aを押圧している押圧対象(押圧物)を介して、操作者にリアルなクリック触感を呈示して、操作が完了したことを認識させることができる。また、リリース時においても、押圧時と同様の駆動信号により圧電素子25を駆動して同様のクリック触感(この場合はリリース触感)を呈示する。このようにすれば、押下時に「カッ」、リリース時に「チッ」と感じられるよりリアルなクリック触感を呈示することができる。もちろん、リリース触感は、必ずしもクリック触感と同一の駆動信号でなくてもよい。なお、「カッ」よりも硬質な「カチ」と感じられるクリック触感を呈示する場合は、駆動信号として、200Hz〜500Hz程度の正弦波信号または矩形波信号を1周期分印加する。
【0038】
これに対し、ステップS405において、入力された触感呈示指示信号が、ビジー状態に入力された検出情報に対応する触感呈示指示信号である場合(Yesの場合)、触感呈示制御部14は、メイン制御部16に対して実行中止指示信号を送出するとともに(ステップS408)、第2記憶部18の記憶内容をクリアする(ステップS409)。メイン制御部16は、この実行中止指示信号を受けて、上述したように、当該触感呈示指示信号に対応するデータ処理の実行を中止するとともに、第1記憶部17の記憶内容をクリアする。なお、触感呈示制御部14は、メイン制御部16に対して実行中止指示信号を送出した履歴を、例えば第2記憶部18に記憶しておく。
【0039】
一方、ステップS404において、メイン制御部16から入力された触感呈示指示信号が、第2記憶部18の記憶内容に照らして、メイン制御部16に対する実行中止指示信号送出後の触感呈示指示信号である場合(Yesの場合)、触感呈示制御部14は、メイン制御部16に対して実行中止指示信号を送出するとともに(ステップS410)、触感呈示部13によりタッチセンサ11のタッチ面11aを第1振動モードとは異なる第2振動モードで振動させて(ステップS411)、操作者の指先に第1振動モードによる触感とは異なる触感をフィードバックする。この実行中止指示信号により、メイン制御部16は、上述したように、当該触感呈示指示信号に対応するデータ処理の実行を中止する。また、操作者は、第1振動モードによる触感とは異なる第2振動モードによる触感がフィードバックされることにより、第1振動モードによる触感のフィードバックのなかったそれまでの操作がキャンセルされたことを認識することができる。なお、触感呈示部13を第2振動モードで振動させた場合、触感呈示制御部14は、第2記憶部18の実行中止指示信号の送出履歴をクリアする(ステップS412)。
【0040】
ここで、第2振動モードの振動パターンは、第1振動モードの場合と同様に、圧電素子25に印加する駆動信号により適宜設定することができる。例えば、「ブル」や「ブニ」と感じられる軟質的な触感を呈示する場合は、駆動信号として、200Hz〜500Hz程度の正弦波信号を2〜3周期分印加する。あるいは、「ブルル」と感じられる振動として認知できる触感を呈示する場合は、駆動信号として、200Hz〜500Hz程度の正弦波信号を4周期分以上印加する。これらの種々の触感を呈示する駆動信号情報は、図示しない記憶部に記憶して、ユーザにより所望の触感を呈示する駆動信号を適宜設定できるようにするのが好ましい。
【0041】
以上のように、本実施の形態に係る触感呈示装置によると、メイン制御部16が、データ処理の実行中すなわちビジー状態にあるときに第1記憶部17に記憶された検出情報に基づくデータ処理を実行しようとすると、触感呈示制御部14からの実行中止指示信号によって、その実行が中止されるとともに、第1記憶部17の記憶内容がクリアされる。そして、ビジー状態により第1記憶部17の記憶内容がクリア(キャンセル)されたことを判定した後、メイン制御部16が、検出情報に基づく処理を実行しようとすると、触感呈示部13によりタッチセンサ11のタッチ面11aが、正常状態の第1振動モードと異なる第2振動モードで振動するとともに、メイン制御部16による当該処理の実行が中止される。
【0042】
これにより、ビジー状態のときの操作による意図しない処理の実行が有効に回避される。また、操作者は、第1振動モードとは異なる第2振動モードによる触感のフィードバックによって、第1振動モードによる触感のフィードバックがなかったそれまでの操作がキャンセルされた認識することができる。したがって、その後に改めて操作を行うことにより、所望の処理をスムーズに実行させることが可能となり、使い勝手が向上する。
【0043】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、表示部15上に一体的にタッチセンサ11を設けたが、これらを空間的に分離した構成や、表示部15を省略した構成においても、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
11 タッチセンサ
11a タッチ面
12 入力検出部
13 触感呈示部
14 触感呈示制御部
16 メイン制御部
17 第1記憶部
18 第2記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチセンサと、
該タッチセンサへの操作を検出する検出部と、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
データを処理するメイン制御部と、
前記触感呈示部の駆動を制御する触感呈示制御部と、を有し、
前記メイン制御部は、前記検出部の検出情報に基づいて、前記触感呈示制御部に触感呈示指示信号を供給し、
前記触感呈示制御部は、前記検出部からの前記検出情報に関する信号を記憶する記憶部を有し、該記憶部の記憶内容と前記メイン制御部から供給される前記触感呈示指示信号とに基づいて、前記メイン制御部の状態を判定し、前記触感呈示指示信号が前記メイン制御部のビジー状態に対応するものでない場合は、前記触感呈示部により前記タッチセンサのタッチ面を第1振動モードで振動させ、前記触感呈示指示信号が前記メイン制御部のビジー状態に対応するものである場合は、前記メイン制御部に対してビジー状態に対応する検出情報に基づく処理の実行を中止させるとともに、前記触感呈示部により前記タッチセンサのタッチ面を前記第1振動モードと異なる第2振動モードで振動させる、
ことを特徴とする触感呈示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−129019(P2011−129019A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288868(P2009−288868)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】