説明

触覚フィードバックを有する携帯コンピュータインタフェース

【課題】本発明の目的は、改善されたコンピュータインタフェースを提供することである。
【解決手段】携帯コンピュータインタフェースは、筐体と、筐体に結合される質量体と、筐体に対する質量体の位置を変更するために質量体に結合されるアクチュエータとを備える。アクチュエータは、該インタフェースの重心の変更を示す信号を受信すると、質量体の位置を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一実施形態は、包括的にはコンピュータインタフェースに関し、詳細には、触覚フィードバックを有する携帯コンピュータインタフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
触覚フィードバックは、デバイスによって生成されると共に運動感覚受容器によって感知されて、そのデバイスのユーザが慣性及び加速のような力を知覚するのを可能にすることができる。典型的には、この種の触覚フィードバックは、壁又は机に配置されている物理インタフェースを通じて本体に力を加えることによってもたらされる。「係留(tethered)」インタフェースとしても知られているこのようなデバイスは、外部構造体への結合に依存しているため、それらの有効範囲、可動性、及び究極的には有用性において制限される。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態は、筐体と、筐体に結合される質量体と、筐体に対する質量体の位置を変更するために質量体に結合されるアクチュエータとを備える携帯コンピュータインタフェースである。アクチュエータは、インタフェースの重心の変更を示す信号を受信すると、質量体の位置を変える。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】一実施形態によるコンピュータインタフェースシステムの斜視図である。
【図2】ユーザが一実施形態による携帯インタフェースをスイングしている2つの例を示す。
【図3】携帯インタフェースに無線結合されるコンピュータシステムのブロック図である。
【図4】一実施形態による携帯インタフェース上で触覚フィードバック変更を開始するときの触覚フィードバックモジュールの機能のフロー図である。
【図5】一実施形態による携帯コンピュータインタフェースの斜視図である。
【図6a】重心アクチュエータが手から最も離れた点にある構成を示す図である。
【図6b】重心アクチュエータが手に対する中間点にある構成を示す図である。
【図6c】重心アクチュエータが手の最も近くにある構成を示す図である。
【図7】テニスゲームのための携帯インタフェースの3つの異なる構成を示す図である。
【図8】ラクロスゲームのための携帯インタフェースの複数の異なる構成を示す図である。
【図9】ロールプレイングゲームのための携帯インタフェースの複数の異なる構成を示す図である。
【図10】シューティングゲームのための携帯インタフェースの複数の異なる構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
一実施形態は、重心を変動させること、したがってコンピュータインタフェースの知覚重量を変動させることによって触覚フィードバック効果を生成する携帯コンピュータインタフェースである。このコンピュータインタフェースは、たとえば、変動する重量の知覚が必要であるか又は変動する重量の知覚によってユーザ経験を高めるコンピュータゲーム及びデバイスシミュレータと共に用いることができる。
【0006】
図1は、一実施形態によるコンピュータインタフェースシステム10の斜視図である。コンピュータインタフェースシステム10は、ロッド又は管状の筐体若しくはハウジングの形態であり、ねじ切りロッド16に結合されたモータ/アクチュエータ18を収容する携帯コンピュータインタフェース15を含む。モータ18がロッド16を回転させると質量体14がインタフェース15の長軸を上下に移動するように、質量体14がねじ切りロッド16に可動に取り付けられる。インタフェース15は、無線送受信機20及び1つ又は複数のセンサ12をさらに収容する。無線送受信機20は、インタフェース15を無線リンク22を介してコンピュータシステム28に無線結合する。他の実施形態では、インタフェース15は、有線による方法を含む他の任意の既知の方法によって、コンピュータシステム28に結合され得る。一実施形態では、携帯コンピュータインタフェース15の全長はおよそ61cm乃至68cmであり、質量体14はおよそ160gの質量を有する。
【0007】
センサ12は、インタフェース15の長軸に対する質量体14の位置を検出する位置センサを含む。センサ12は、以下のタイプのセンサ:
・加速度を感知し、重力に対する向きを推定する加速度計、
・スイング及び回転速度を感知してジェスチャの捕捉を改善するジャイロスコープ、
・マルチタッチ及び/又は近接感知のための、インタフェース15の本体上の電界センサ、
・曲がり、捻れ、及び/又は物理的衝撃を感知する、歪みゲージ及び/又はピエゾゲージ、
・近接感知のための赤外反射センサ、
・オンスクリーンキュー(onscreen cue)及び/又は他の視覚認識タスクをピックアップするためのカメラ、
・周囲の音、音声入力、振動、及び/又は呼吸圧感知のためのマイクロフォン、
並びに、
・標準的なゲーム操作のためのボタン/ジョイスティック/Xパッド/トリガのうちの1つ又は複数
を含むこともできる。
【0008】
アクチュエータ18、質量体14及びねじ切りロッド16は、集合的に「重心」(Center Of Mass:COM)アクチュエータと呼ばれ得る。他の実施形態では、携帯インタフェース15は、COMアクチュエータに加えて他のアクチュエータを含む。これらの付加的なアクチュエータを用いて、COMアクチュエータによって生成される触覚フィードバックに加えて他の触覚フィードバックを作成することができる。付加的なアクチュエータには、
・野球ボール又は剣のような外部オブジェクトとの衝突、又は弾丸射撃からの反動を擬態するのに使用される、高強度で高周波数の短持続時間効果をもたらすことができる「衝撃アクチュエータ」、
・確認、包囲(envelopes)、運動学的物理学シミュレーション等のような多種多様な振動触知効果を生成することができる振動触知/振動アクチュエータ、
・COMアクチュエータと同様であるがリアルタイムに高速で自身の位置を変えることによってユーザ入力に応答することができる「飛行質量体アクチュエータ」を挙げることができる。
【0009】
一般に、コンピュータインタフェースシステム10は、携帯インタフェース15に制御可能な重心を提供する質量体14を固定の直線位置に移動させることによって、触覚フィードバックを提供する。ユーザが、1つのシナリオでは、携帯インタフェース15の一端を握ってスイングすることによってそれをバット/スティック/バトン等として用いることができる。図2は、ユーザが一実施形態によるインタフェース15をスイングしている2つの例を示す。図2の上側の例では、質量体14は、重心を手に近づける構成に移動している。この構成では、インタフェース15をスイングすることによって相対的に低い慣性力が手に伝達して、このインタフェースは相対的に軽量であるという知覚がもたらされる。図2の下側の例では、質量体14は、手から最も離れた、インタフェース15の端に移動している。この構成では、インタフェース15をスイングすることによって相対的により高い慣性力が手に伝達して、インタフェース15を相対的により重く感じさせる。重心の変化によって、スイングしているデバイス全体の慣性モーメントが変化する。
【0010】
図3は、携帯インタフェース15に無線結合されるコンピュータシステム28のブロック図である。システム28は、情報通信のためのバス37又は他の通信機構、及び情報処理のためにバス37に結合されるプロセッサ32を備える。プロセッサ32は、あらゆる種類の汎用プロセッサ又は専用プロセッサであり得る。システム28は、プロセッサ32によって実行される情報及び命令を格納するためのメモリ34をさらに備える。メモリ34は、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、読み取り専用メモリ(Read Only Memory:ROM)、磁気ディスク若しくは光ディスクのような静的記憶装置、又は他の任意の種類のコンピュータ可読媒体の任意の組合せから構成され得る。システム28は、携帯インタフェース15の送受信機20との通信を提供する送受信機30をさらに備える。コンピュータシステム28は、汎用コンピュータであってもよいし、テレビゲーム機のような特定コンピュータシステムであってもよい。
【0011】
コンピュータ可読媒体は、プロセッサ32がアクセスすることができ、揮発性媒体及び不揮発性媒体の双方、取り外し可能媒体及び取り外し不可能媒体の双方、及び通信媒体を含む任意の利用可能な媒体であり得る。通信媒体は、搬送波又は他の輸送機構のような変調されたデータ信号内にコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータを含むことができ、任意の情報配信媒体を含む。
【0012】
プロセッサ32は、ユーザに情報を表示するために、バス37を介して液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)のようなディスプレイ44にさらに結合される。キーボード46及びコンピュータマウスのようなカーソル制御装置48が、携帯インタフェース15の使用の代替として又はその使用に加えて、ユーザがシステム28とインタフェースするのを可能にするようにバス37にさらに結合される。
【0013】
一実施形態では、メモリ34は、プロセッサ32によって実行されると機能を提供するソフトウェアモジュールを格納する。このモジュールは、システム28にオペレーティングシステム機能を提供するオペレーティングシステム35を含む。このモジュールは、質量体14の位置を変えることによって、携帯インタフェース15上で触覚フィードバックを生成する触覚フィードバックモジュール36をさらに含む。システム28は、多重モード触覚フィードバック及びアプリケーションモジュール38をさらに備え、多重モード触覚フィードバック及びアプリケーションモジュール38は、携帯インタフェース15上でさらなる触覚フィードバックを生成し、ゲームのようなアプリケーション(これは、該アプリケーションと連動して携帯インタフェース15上で生成される触覚フィードバックを必要とする)を含む。
【0014】
別の実施形態では、モジュール36及び38の機能は、質量体バイアス(運動感覚)、質量体運動(運動感覚)、振動(振動触知)、衝撃(振動触知)等を含む多重モード触覚効果を合成及び表すことを担当する、単一の触覚フィードバック管理モジュールに包含される。触覚フィードバック管理モジュールは、一般化された、物理学ベースのフィードバックプロファイル(たとえば、スティックの大きさ、スティックの位置、ボールによる衝撃位置、及び仮想環境内での他の文脈的(contextual)要因)の形態をとり、触覚フィードバック信号を個々のアクチュエータ(たとえば、COM、振動、衝撃等)へ適宜送る。
【0015】
一実施形態では、触覚フィードバックモジュール36は、携帯インタフェース15上で触覚フィードバック変更を開始する。図4は、一実施形態による携帯インタフェース15上での触覚フィードバック変更を開始するときの、触覚フィードバックモジュール36の機能のフロー図である。一実施形態では、図4のフロー図における機能は、メモリ又は他のコンピュータ可読媒体若しくは有形媒体に格納されているソフトウェアによって実施され、プロセッサによって実行される。他の実施形態では、この機能は、ハードウェアによって(たとえば、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の使用を通じて)、又はハードウェア及びソフトウェアの任意の組合せによって実施され得る。
【0016】
402において、触覚フィードバックモジュール36は、携帯インタフェース15の知覚「重量」を変更する要求をアプリケーション38から受信する。この要求は、知覚重量を現在の位置から増減させることであり得る。アプリケーション38は、ゴルフゲーム若しくは野球ゲームのような対話型テレビゲーム、又はユーザに携帯インタフェース15をスイングするか若しくは他の方法で携帯インタフェース15と相互作用することを要求する任意の種類のアプリケーションであり得る。
【0017】
404において、触覚フィードバックモジュール36は、インタフェース15の所望の知覚重量を得るためにユーザの手に対する質量体14の位置を計算する。
【0018】
406において、触覚フィードバックモジュール36は、アクチュエータ18に質量体14を計算された位置に移動させるための信号を生成する。センサ12は、質量体14を適切に位置決めすることができるように、質量体14の位置のフィードバックを提供することができる。
【0019】
402における触覚フィードバック要求と同時に、多重モード触覚フィードバック及びアプリケーションモジュール38は、振動、高強度の衝撃のような他の触覚フィードバックを生成するために携帯インタフェース15の他のセンサへ送信される他の触覚フィードバック要求をも生成する。
【0020】
図5は、一実施形態による携帯コンピュータインタフェース50の斜視図である。携帯インタフェース50は、COMアクチュエータ52に加えて、衝撃アクチュエータ54及び振動アクチュエータ56を備えることを除いて図1の携帯インタフェース15と同様である。携帯インタフェース50は、図1の携帯インタフェース15の他の構成要素(たとえば、送受信機、センサ等)を備え、図2のコンピュータシステム28に無線結合される。携帯インタフェース50は、図5に示されるような3つの異なる種類の触覚フィードバック様式、すなわち、衝撃、振動及び運動感覚を生成することができる。図5は、これらの様式のそれぞれに対するシンボルをさらに示しており、これらのシンボルの大きさはフィードバックの相対強度を反映するものである。これらのシンボルは、携帯インタフェース50の以下の例示的な使用を示すのに用いられる。
【0021】
携帯インタフェース50の1つの例示的な使用では、ゴルフゲームアプリケーションにおいて、ユーザがパッティンググリーンまで距離のあるドライバーショットにウッドを選択する。クラブが選択されると、COMアクチュエータ52は手から最も離れた点まで移動するため、インタフェースはスイングされると高い慣性を有するようになる。図6aは、COMアクチュエータ52が手から最も離れた点にある構成を示す。ユーザは、慣性に慣れるために素振りを数回行い、仮想のティーへ近付いてプレイする。クラブとボールとの衝撃が感じられる(この衝撃は弱く、シャフトが振動アクチュエータ56を用いた低周波数振動によって共振する)。ユーザのボールは芯を食わずに、実際にはボールが右にスライスしたことがタッチフィードバックから明らかである。次のプレイでは、ユーザはアイアンを選択する。このクラブはウッドよりも大幅に軽く、COMアクチュエータ52は慣性を低減するためにシャフトを上に移動する。図6bは、COMアクチュエータ52が手に対する中間点にある構成を示す。ユーザは、素振りをしてからプレイをする。今回は、ボールが芯を食い、シャープで、鮮明な衝撃が衝撃アクチュエータ54から感じられ、あとをひく振動はほとんどない。ユーザは、ボールがグリーンに乗るのを見る前に今回は良い当たりだったと分かる。次のプレイでは、ユーザはパターを選択する。このクラブは非常に軽いため、COMアクチュエータ52はユーザのグリップのほぼ内側に移動する。図6cは、COMアクチュエータ52が手の最も近くにある構成を示す。ここでクラブのスイングは難なく行える。ユーザは、素振りをしてからパットをする。その衝撃は、軽くて鮮明なはじきとして感じられ、ボールはカップに落ちてパーになる。
【0022】
この例では、(ボールをより長距離に飛ばすために)重いクラブを用いてホールを開始してより軽いクラブ(これは飛距離が短くなるがコントロールしやすい)へと代えていく、典型的なゴルフ経験を、インタフェース50がCOMアクチュエータ52を位置決めすることによって再現する。衝撃アクチュエータ54及び振動アクチュエータ56の組合せは、確認に用いられるだけではなく、ボールがどのように打たれたのかに関する即時フィードバックにも用いられる。芯を食う感覚は芯を食わない感覚とは異なり、ユーザは、ボールの着地点を見る前にそのスイングが良かったか否か分かる。
【0023】
携帯インタフェース50の別の例示的な使用では、テニスゲームにおいて、ユーザがサーブを受けている。図7は、テニスゲームのための携帯インタフェース50の3つの異なる構成を示す。ユーザは、ボールにスピンをかけながらスライスモーションでボールを打ち返す。仮想のボールが一瞬ガット上で回転するため、非垂直衝撃が振動アクチュエータ56からの軽い振動によって長い持続時間もたらされる。ユーザは次いで、ボレーをするためにネットへと急ぐ。ここでユーザは、高速で向かってくる打たれたボールを打ち返し始める。振動アクチュエータ56は、これを高強度パルスで擬態する。最後に、ユーザはボールの位置を見誤り、ボールはガットではなくラケットの縁に当たる。ラケットは、不快で、長い持続時間の、低周波数且つ高強度の振動によって共振し、ボールはネットへと落ちる。この例では、振動アクチュエータ56のみを用いて、テニスでの異なる動きを伴う感覚を擬態することができる。このテニスの例では、COMアクチュエータ52は、使用中は構成を変えないが、COMアクチュエータ52の位置は、プレイのために選択されたラケットの重心を反映するように試合の開始時に設定される。
【0024】
携帯インタフェース50の別の例示的な使用では、野球ゲームにおいて、ユーザは、9回裏、走者三塁で、試合を同点にするにはあと1点足りないという状況でバッティングをしている。ユーザはバットを選択し、COMアクチュエータ52は選択されたバットの重量を擬態するように移動する。ユーザは素振りを何度かした後、打席に入る。初球で、ユーザは大きくスイングしてボールをチップする。これは、衝撃アクチュエータ54からの軽いはじき及び振動アクチュエータ56からの軽い残存振動によって擬態される。そのゲームの野手(ネットワーク上の他のプレーヤ)は、そのユーザがどの程度大きくスイングしているかを見て、ゴロが外野に行かないように野手を動かすことによって戦略を調整する。一方、第2球では、打者はバントの構えをする。ボールがバットに当たった瞬間(これは衝撃アクチュエータ54によって表される)に、ユーザは、バットでボールを「捉える」ジェスチャをとって、キャッチャーと一塁手との間にボールを送る。三塁の走者が点を入れ、追加イニングが必要となる。この例では、ユーザがバットを大きくスイングする場合、バットの重量及びスイングの強さは、COMアクチュエータ52の結果として感じられ得る。野球のバッティングに関連付けられる典型的な振動及び衝撃は、連携して動作する衝撃アクチュエータ54及び振動アクチュエータ56によって感じられ得る。
【0025】
携帯インタフェース50の別の例示的な使用では、ラクロスゲームにおいて、ユーザが、アタック位置でプレイしており、ポイントプレーヤ(ネットワーク上の別のプレーヤ)がボールをフィールドに送り込むと、パスを待つ。図8は、ラクロスゲームのための携帯インタフェース50の複数の異なる構成を示す。ユーザは自身のスタンスがオープンであるとして見分けられると、ポイントプレーヤがボールをユーザにパスする。ラクロスボールをキャッチするのに必要な「緩衝(cushioning)ジェスチャ」をとらなければ、ボールはたやすくネットから飛び出てしまう。しかしながら、このユーザは経験がありボールを緩衝させる方法を知っている。ボールがユーザのスティックに近付くと、ユーザはボールをキャッチし、(ボールがスティックのヘッドの先端からポケット内へ転がり落ちるように)ボールが管を半分まで転がり落ちる、振動アクチュエータ56の擬態を起動する。ボールがポケットに近付くと、衝撃アクチュエータ54は柔らかい衝撃をもたらす。COMアクチュエータ52は、スティックの先端まで上へ移動して、スティックにおけるボールの重量を擬態する。ユーザがスティックを操作すると、ボールのかすかな動き及び跳ねを感じることができる。ユーザは、ゴールに近付くと、オーバーハンドシュートを放つ。振動アクチュエータ56は、ボールがスティックの頂点から高速で移動するのを擬態し、COMアクチュエータ52は、ボールがもはやスティックの端に存在していないことを示すようにより低い位置に下がる。
【0026】
ラクロスゲームのためにローリングボールシミュレーションを作成するために、傾斜感知及び振動触知フィードバックを用いて、ボールが管内で前後に転がる、説得力のあるシミュレーションを提供することができる。この錯覚は、ボールをラクロススティックでキャッチして投げる感覚をモデル化するのに用いることができる。COMアクチュエータ52は、ボールがスティックに存在している(これは、スティックの「頂部が重い」と感じさせる傾向がある)か否かを伝達するのに用いられる。
【0027】
携帯インタフェース50の別の例示的な使用では、中世ロールプレイングゲームにおいて、ユーザが、戦闘用斧又は杖を擬態するユーザインタフェース50を保持している。図9は、ロールプレイングゲーム用の携帯インタフェース50の複数の異なる構成を示す。COMアクチュエータ52は、手から最も離れた点に構成され、非常に扱いにくい武器を擬態する。ユーザは、別のプレーヤに対戦を挑まれると、武器を木の杖に変え、COMアクチュエータ52はよりバランスの良い位置まで下へ移動する。ユーザは、敵をかわすために対戦ジェスチャを用いる代わりに、杖で一連の屋外用ムーブ(open-air moves)を実行して魔法をかける。ユーザがジェスチャを行うと、振動アクチュエータ56は強度を高めて応答し、魔法が正確にかけられたというフィードバックを提供する。同時に、杖の端にある視覚ディスプレイは深い藍色に輝き始める。しかしながら、ユーザは、他のプレーヤが杖を地面近くでスイングする最後の動きを行うことによってこの魔法をかけるのを見たことがあったとしても、杖を特定の圧力で実際に地面にこすり、特定の強度の加速度計に振動信号を記録しなければならないことに気が付かなかった。この魔法は失敗であるため、振動アクチュエータの応答はパチパチ音を立ててから突然停止し、杖の視覚ディスプレイには何も表示されなくなる。ユーザの対戦相手は、このユーザが失敗したことがわかり、ユーザの首を切り落とす。
【0028】
このロールプレイングゲームの例では、インタフェース50は、様々な形で有用であるツールとして機能することができる。戦闘用斧は実世界ではスイングしにくいものであり、したがってゲーム内でこれを振り回すことは体力及び持久力を必要とする。COMアクチュエータ52は、現在のツール又は武器の重量配分を反映する。杖ツールが用いられると、振動フィードバックは、かけられた魔法が正確に実行されているか否かを示すと共にユーザに感覚的報酬を与える。光る視覚ディスプレイも同様に機能する。この例では、衝撃アクチュエータ54は用いられていないが、中世の武器同士のぶつかり合いで用いられる可能性がある。
【0029】
携帯インタフェース50の別の例示的な使用では、未来的なミリタリーゲームにおいて、標準仕様の銃はアンダーバレル・グレネードランチャーを有するライフルである。図10は、シューティングゲーム用の携帯インタフェース50の複数の異なる構成を示す。この均衡のとれた武器を選択すると、COMアクチュエータ52は、インタフェース50の中間へ移動する。ユーザは、建物の頂上にある狙撃位置から開始し、ライフルで人員を射撃する。引き金が引かれると、衝撃アクチュエータ54は、高周波で、高強度の鋭い振動を直接手のひら及び銃床に対してもたらす。同時に、振動アクチュエータ56を用いて射撃後に銃に残存振動を発生させる。ユーザは最後に、破壊対象の車両を見て、狙いを定めてグレネードを発射し、その結果激しい長期的振動が生じる。ユーザは的を射たことになり、すなわち車両は無力化されている。ユーザは、建物から出るには長い階段吹抜けを降りなければならない。ユーザは近接戦闘に遭遇する場合があるため、武器は軽い準小型機関銃に切り替わる。新しい銃が選択されると、COMアクチュエータ52は、より軽い武器を擬態するように手の方へ移動する。ここで、ユーザが引き金を押し下げると、衝撃アクチュエータ54は、複数発射を擬態しながら連射する。同時に振動アクチュエータ56が、この特定の武器の感覚を反映する振動プロファイルを伴って起動する。
【0030】
運動武器を含むゲームに関して、衝撃アクチュエータと振動アクチュエータとの組合せを用いて、異なる銃からの異なる大きさの弾の発砲を擬態する。特定の武器の重量配分が同様にCOMアクチュエータによって擬態される。
【0031】
携帯インタフェース50の別の例示的な使用では、一連の楽器がインタフェース50の使用を通じて利用可能となる。「レインスティック」を選択すると、インタフェース50を垂直位置に傾けることによって、小さな仮想のビーズが有孔空間を通じて落ちて、心地よい音を奏でると共に振動アクチュエータから軽くて継続的な振動がもたらされる。フルートが選択されると、COMアクチュエータ52はより軽いオブジェクトを擬態するように端の近くへ移動する。ここで、インタフェース50の一端にあるマイクロフォンに息を吹き込み、マルチタッチ面の外面の様々な点をタッチすることによって、異なる音が生じると共に振動触知フィードバックを伴う。インタフェース50はまた、非従来的な楽器も擬態することができる。一例では、ユーザはインタフェース50の外面を軽くなでる。表面の畝は、短いクリック音のする音声フィードバックと共に衝撃アクチュエータ54からの繰り返される軽い衝撃で擬態される。別の例では、インタフェース50を外面にこすることによって、シンセサイザーに起動信号を送り、変調するのに用いられる振動信号をマイクロフォン及び/又は加速度計において生成する。
【0032】
開示されるように、携帯コンピュータインタフェースは、インタフェースの知覚重量を変更することを可能にするCOMアクチュエータを備える。コンピュータインタフェースは、単独で又は他の触覚フィードバックと組合せて、多くの異なるゲームアプリケーション又は他のアプリケーションにおいて用いることができる。
【0033】
上記で開示される実施形態では、携帯コンピュータインタフェースはロッド又は管の形状である。しかしながら、他の実施形態では、携帯インタフェースは、円盤、球体、トーラス、ゲームパッド、銃形状、可撓管等のような、ユーザが保持することができる他の任意の形状であってもよい。さらに、上記の実施形態では内部にあるインタフェースの構成要素は、他の実施形態では外部に配置されてもよい。
【0034】
幾つかの実施形態が、本明細書において具体的に説明及び/又は記載されている。しかしながら、開示される実施形態の変更及び変形が、本発明の精神及び意図する範囲から逸脱することなく、上記の教示により包含され、添付の特許請求の範囲内にあることは理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯コンピュータインタフェースであって、
筐体と、
前記筐体に結合される質量体と、
前記筐体に対する前記質量体の位置を変更するために該質量体に結合されるアクチュエータと、
を備え、
前記アクチュエータは、該インタフェースの重心に対する変更を示す信号を受信するようになっており、且つ該信号に応答して前記質量体の前記位置を変更する、携帯コンピュータインタフェース。
【請求項2】
前記信号を受信する前記アクチュエータに結合される無線送受信機をさらに備える、請求項1に記載の携帯コンピュータインタフェース。
【請求項3】
前記質量体の前記位置を検出する第1のセンサをさらに備える、請求項1に記載の携帯コンピュータインタフェース。
【請求項4】
前記信号は、コンピュータシステム上で実行されるアプリケーションによって生成される、請求項1に記載の携帯コンピュータインタフェース。
【請求項5】
前記アプリケーションはテレビゲームである、請求項1に記載の携帯コンピュータインタフェース。
【請求項6】
前記筐体は管状形状であり、且つ長軸を有しており、前記質量体の前記位置は該長軸に沿って変動する、請求項1に記載の携帯コンピュータインタフェース。
【請求項7】
前記質量体の前記位置の前記変更によって、前記インタフェースが、該インタフェースを前記筐体の第1の位置で把持するユーザに対する該インタフェースの慣性特性を変更する、請求項1に記載の携帯コンピュータインタフェース。
【請求項8】
加速度計、ジャイロスコープ、電界センサ、歪みゲージ、赤外反射センサ、カメラ、及びマイクロフォンを含むセンサ群からの少なくとも1つのセンサをさらに備える、請求項1に記載の携帯コンピュータインタフェース。
【請求項9】
衝撃アクチュエータをさらに備える、請求項1に記載の携帯コンピュータインタフェース。
【請求項10】
振動触知アクチュエータをさらに備える、請求項1に記載の携帯コンピュータインタフェース。
【請求項11】
ユーザによって第1の点で把持される携帯コンピュータインタフェースを操作する方法であって、
前記携帯コンピュータインタフェースの重心を変更すべきとする信号をコンピュータシステムから受信すること、及び
前記信号に応答して、前記第1の点に対して質量体を移動させること、
を含み、
該質量体は前記コンピュータインタフェースに結合される、方法。
【請求項12】
前記携帯コンピュータインタフェースは長軸を有するシリンダであり、前記質量体は前記長軸に沿って移動する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記質量体はロッドの内部にある、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の点に対する前記質量体の位置を感知することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記コンピュータシステムはテレビゲームを実行するものであり、前記信号は該テレビゲーム上の動作に基づいて生成される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記テレビゲームはゴルフゲームであり、前記携帯コンピュータインタフェースはゴルフクラブを擬態する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記テレビゲームは野球ゲームであり、前記携帯コンピュータインタフェースは野球バットを擬態する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記テレビゲームはラクロスゲームであり、前記携帯コンピュータインタフェースはラクロススティッククラブを擬態する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
命令を格納しているコンピュータ可読媒体であって、プロセッサによって実行されると
、筐体と、アクチュエータと、該アクチュエータに結合される質量体とを備える携帯コンピュータインタフェースを該プロセッサに操作させ、前記命令は、
前記携帯コンピュータインタフェースの知覚重量を変更する要求をアプリケーションから受信すること、
を含み、
前記インタフェースはユーザの手で把持されており、
前記命令は、
前記知覚重量を得るために前記手に対する前記質量体の位置を計算すること、及び、
前記アクチュエータに前記質量体を前記計算された位置に移動させるための信号を生成すること、
を含む、コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記アプリケーションはテレビゲームである、請求項19に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項21】
前記テレビゲームはゴルフゲームであり、前記携帯コンピュータインタフェースはゴルフクラブとして機能する、請求項20に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項22】
前記筺体は長軸を有するロッドであり、前記質量体は該長軸に沿って移動する、請求項19に記載のコンピュータ可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−225155(P2010−225155A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−68442(P2010−68442)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(500390995)イマージョン コーポレーション (65)
【氏名又は名称原語表記】IMMERSION CORPORATION
【Fターム(参考)】