説明

計器保守管理システム

【課題】発電所に設けられた計器の点検時に点検者が電子化された計器情報を利用して計器点検を行うことができるとともに、当該点検結果を発電所が独自に管理可能な計器保守管理システムを提供すること。
【解決手段】計器保守管理システム(1)のプラントサーバ(10)は、計器の点検に関するデータを管理する計器点検DB(11)と、計器に関するデータ全般を管理する計器仕様DB(12)と、を備える。計器点検DB(11)は、点検者により用いられる点検用端末(20)及び発電所の管理者により用いられる管理端末(30)からアクセス可能に構成され、点検者端末(20)からの指示により点検データが入力される。計器仕様DB(12)は、管理端末(30)のみからアクセス可能で、管理端末(30)からの指示により計器点検DB(11)に入力された点検データが入力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電所に設けられた計器を保守管理する計器保守管理システムに関し、特に、当該計器に関する情報を電子化して管理する計器保守管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電所には、圧力や温度や流量などを測定する計器が多数(約1.5万台)設けられ、これらの計器を点検管理会社の社員(点検者)が定期的に点検することで保守管理が行われている。従来では、これら計器の仕様は書面で管理され、また、点検者による点検も書面で提出された記録を発電所が確認した後に承認し、その後、当該書面を資料室に保管することが一般的であった。
【0003】
しかしながら、計器仕様が書面で管理されているため、計器仕様の検索性が悪く、また、計器の特殊な計算式などの点検者として把握すべき事項が散逸して、間違った計器校正を行うおそれがあった。また、点検結果を書面で管理した場合、過去の点検結果を調べる際に検索性が悪く、過去の点検データから劣化具合を評価する際に労力がかかっていた。
【0004】
そのため、近年では、点検者からの点検結果を電子化し、点検結果の検索が容易になる技術が提案されている。例えば、特許文献1では、設備の状態情報や検査作業情報を一元管理することで、複数の担当者が交代管理しても作業状況の引継ぎが円滑になる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−27078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、発電所は、安全管理の関係から発電所に設けられた計器の情報を独自に管理することを望むものであり、計器情報を電子化して管理した場合に、点検者が自由に当該計器情報を更新可能とすることは好ましくない。
【0007】
そこで、本発明では、点検者が電子化された計器情報を利用して計器点検を行うことができるとともに、当該点検結果を発電所が独自に管理することの可能な計器保守管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 発電所に設けられた計器の点検の際に点検者により用いられる点検用端末と、前記発電所の管理者により用いられる管理端末と、前記点検用端末及び前記管理端末と通信可能に接続されたプラントサーバと、を備える計器保守管理システムであって、前記プラントサーバは、前記管理端末からアクセス可能で、前記計器に関するデータを管理する計器仕様DBと、前記点検用端末及び前記管理端末からアクセス可能で、前記計器の点検に関するデータを管理する計器点検DBと、前記計器仕様DBから前記計器の点検に必要なデータを取得し、前記計器点検DBに入力する仕様データ取得手段と、前記点検用端末から受け付けた点検データを、前記計器の点検に必要なデータに対応付けて前記計器点検DBに入力する計器点検DB更新手段と、前記管理端末からの入力に基づいて、前記計器点検DBに入力された前記点検データを前記計器仕様DBに入力する計器仕様DB更新手段と、を備えることを特徴とする計器保守管理システム。
【0009】
(1)の計器保守管理システムによれば、発電所に設けられた計器の点検に関するデータを管理する計器点検DBを設ける。これにより、計器の点検データを電子化して計器点検DBに管理することができ、過去の点検データの検索を容易に行うことができるため、過去の点検データから計器の劣化具合を評価することもできる。また、この計器点検DBを点検用端末から受け付けた点検データに基づいて更新することとしたため、点検結果を記録する際の誤記や改ざんを抑制することができる。また、計器点検DBとは別に、計器仕様DBを設け、点検の際にはこの計器仕様DBから計器の点検に必要なデータを取得することとした。これにより、点検者が点検用端末から計器点検DBにアクセスすることで、点検者として把握すべき事項を適切に把握することができ、適切な計器校正を行うことができる。また、計器点検DBは、点検用端末からの入力により更新する一方で、計器仕様DBは、点検用端末からはアクセスできず、管理端末からの入力により更新することとしたため、計器仕様DBを発電所の管理者が独自に管理することができる。
【0010】
(2) 前記プラントサーバと通信可能であって、前記発電所のメーカが有するメーカ側サーバを備え、前記プラントサーバは、前記計器仕様DBに入力された前記点検データを前記メーカ側サーバに送信する通信手段を備えることを特徴とする(1)に記載の計器保守管理システム。
【0011】
(2)の計器保守管理システムによれば、計器仕様DBに入力された点検データを発電所のメーカに送信することとしたため、計器の点検データを発電所及び発電所のメーカで共有することができ、発電所の適切な管理運営を実現することができる。
【0012】
(3) 前記通信手段は、前記メーカが管理する前記計器のデータを、前記メーカ側サーバから受信し、前記プラントサーバは、受信した前記計器のデータに基づいて、前記計器仕様DBを更新するメーカデータ反映手段を備えることを特徴とする(2)に記載の計器保守管理システム。
【0013】
(3)の計器保守管理システムによれば、発電所のメーカが管理する計器のデータを受信し、計器仕様DBに反映することとしているため、計器仕様を発電所及び発電所のメーカで共有することができ、発電所の適切な管理運営を実現することができる。
【0014】
(4) 前記プラントサーバは、前記計器仕様DBに格納されるデータ形式と、前記メーカ側サーバから送信された前記計器のデータに関するデータ形式と、を整合させる計器仕様管理DBを備え、前記メーカデータ反映手段は、前記計器仕様管理DBにより整合されたデータ形式で前記計器仕様DBを更新することを特徴とする(3)に記載の計器保守管理システム。
【0015】
(4)の計器保守管理システムによれば、発電所と発電所のメーカとで異なるデータ形式で計器仕様を管理していたとしても、発電所及び発電所のメーカで適切に計器仕様を共有することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、点検者が電子化された計器情報を利用して計器点検を行うことができるとともに、当該点検結果を発電所が独自に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の計器保守管理システムの概要を示すブロック図である。
【図2】計器保守管理システムの計器点検DBを示す図である。
【図3】計器保守管理システムの計器仕様DBを示す図である。
【図4】計器保守管理システムのリンク用DBを示す図である。
【図5】計器保守管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【図6】計器保守管理システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】計器保守管理システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
[計器保守管理システムの概要]
図1は、本発明の計器保守管理システム1の概要を示すブロック図である。
計器保守管理システム1は、原子力発電所に設けられた様々な計器の情報を適切に管理するために用いられる。計器保守管理システム1は、プラント側サーバ10と、計器の点検を請け負う点検会社の社員(点検者)が点検現場で使用する携帯型の点検用端末20と、発電所の社員(管理者)が使用する管理端末30と、発電所のメーカ(プラントメーカ)に設けられ、プラントメーカが管理する計器仕様データを格納する計器仕様DB(DB:データベース)を備えるメーカ側サーバ40と、から構成される。
【0020】
プラント側サーバ10と点検用端末20及び管理端末30とは、無線LANなどの社内イントラネットを介して通信可能に構成され、プラント側サーバ10とメーカ側サーバ40とは、改ざんや盗聴を防止するためのセキュリティーが確保された専用回線を介して通信可能に構成されている。なお、点検用端末20としては、点検者が携帯可能な任意の情報端末を用いることができ、例えば、ノートパソコン、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、及び携帯電話など様々な情報端末を用いることができる。
【0021】
プラント側サーバ10は、発電所に設けられたサーバであり、計器点検DB11と、計器仕様DB12と、リンク用DB13と、計器仕様管理DB14と、を備える。
【0022】
計器点検DB11は、点検用端末20及び管理端末30からアクセス可能なデータベースであり、発電所に設けられた多数の計器の点検データを管理する。
計器仕様DB12は、管理端末30からアクセス可能で点検用端末20からはアクセス不可能なデータベースであり、発電所に設けられた多数の計器に関するデータを管理する。
【0023】
ここで、「計器に関するデータ」とは、当該計器に関するデータ全般を示し、仕様データ及び点検データを含む。また、「仕様データ」とは、計器の仕様に関するデータであり、例えば、計器番号、計器の型式、製造者、製造年月日などの一般的なデータに加え、入力レンジ、出力レンジ、ヘッド補正などの当該計器の点検に用いられるデータを含む。また、「点検データ」とは、点検者が当該計器を点検した際に入力される点検結果を示すデータをいう。
【0024】
図2を参照して、計器点検DB11は、仕様データ格納部及び点検データ格納部から構成される。
計器点検DB11の仕様データ格納部には、計器仕様DB12から取得された計器の点検に関するデータ、例えば、計器番号などの一般的なデータ、入力レンジなどの計器の点検に用いられるデータに加え、特殊な計算式が必要な計器については当該計算式が格納される。本実施の形態では、点検用端末20がアクセス不可能な計器仕様DB12において、計器に関するデータ全般を管理することとしているため、計器の点検時に計器仕様DB12から最新のデータを取得することとしている。
計器点検DB11の点検データ格納部には、計器点検の結果として点検用端末20から入力された点検データが格納される。図2においては、一例として、実入力、調整前出力、調整前誤差、調整後出力、調整後誤差といったデータが点検用端末20から入力され、格納されている。また、点検データ格納部には、当該計器に関する過去の点検結果のデータも格納され、過去の点検結果を容易に検索できるように構成している。
【0025】
図3を参照して、計器仕様DB12は、仕様データ格納部及び点検データ格納部から構成される。
計器仕様DB12の仕様データ格納部は、様々な計器に関するデータ全般が格納されている。例えば、計器仕様DB12の仕様データ格納部には、計器の点検には必要とされない様々なデータ12Aも格納されている。
計器仕様DB12の点検データ格納部は、計器点検DB11に格納された点検データが格納されている。本実施の形態では、管理端末30からの指示を受けると、プラント側サーバ10において、計器点検DB11の点検データ格納部に格納された点検データを計器仕様DB12の点検データ格納部に格納することとしている。すなわち、管理端末30の管理者が、計器点検DB11にアクセスし、点検者(点検用端末20)による点検結果の入力が正しいと確認し承認した後に、更新指示を行うことで、計器点検DB11の点検データ格納部に格納された点検データが、計器仕様DB12の点検データ格納部に格納される。
【0026】
リンク用DB13は、図4に示すように、プラントデータ格納部及びメーカデータ格納部から構成される。
プラントデータ格納部は、発電所からプラントメーカに送信すべきデータが格納される。発電所からプラントメーカに送信すべきデータは、発電所の管理者が任意に設定可能であり、少なくとも計器の点検データを含む。プラントデータ格納部に格納されたデータは、専用の通信回線を介して任意のタイミングでプラントメーカに送信される。これにより、計器の点検データを発電所及びプラントメーカで共有することができ、発電所の適切な管理運営を実現することができる。
メーカデータ格納部は、プラントメーカから受信したデータが格納される。プラントメーカから発電所には、例えば、設計条件や計器の使用条件などの計器仕様に関する様々なデータが送信される。これにより、計器仕様を発電所及びプラントメーカで共有することができ、発電所の適切な管理運営を実現することができる。
【0027】
計器仕様管理DB14は、プラントメーカから受信したデータに基づいて、計器仕様DB12を更新する際に、プラントメーカから受信したデータのデータ形式と、プラント側サーバ10の計器仕様DB12のデータ形式との整合を図るために用いられる。プラントメーカが管理する計器仕様のデータと、発電所が管理する計器仕様のデータとで、データ形式が異なる場合があり、計器仕様管理DB14は、プラントメーカから受信したデータのデータ形式を、発電所の管理するデータ形式に変換する。
なお、計器仕様管理DB14は、プラントメーカが管理する計器仕様のデータと、発電所が管理する計器仕様のデータとで、データ形式が同じ場合には、必ずしも必要な構成ではない。
【0028】
プラントメーカから計器仕様のデータを受信すると、計器仕様DB12は、受信した当該データに基づいて更新される。
【0029】
[計器保守管理システムの機能構成]
続いて、図5は、計器保守管理システム1(特に、プラント側サーバ10)の詳細な機能構成を示すブロック図である。
図5を参照して、プラント側サーバ10は、計器点検DB11乃至計器仕様管理DB14に加え、仕様データ取得手段15と、計器点検DB更新手段16と、計器仕様DB更新手段17と、通信手段18と、メーカデータ反映手段19と、を備える。
【0030】
仕様データ取得手段15は、計器仕様DB12から計器の点検に必要なデータを取得し、計器点検DB11に入力する。仕様データ取得手段15は、例えば、計器番号などの一般的なデータ、入力レンジなどの計器の点検に用いられるデータ、に加え特定の計器の点検時に要求される特殊な計算式などを計器仕様DB12から取得し、計器点検DB11に入力する。仕様データ取得手段15により計器の点検に必要なデータが入力されると、計器点検DB11には、点検データ格納部のうち、実入力、調整前出力、調整前誤差、調整後出力、調整後誤差などの欄を除き、所定の情報が入力される。
なお、仕様データ取得手段15は、例えば、点検用端末20が計器点検DB11の特定の計器に関するデータにアクセスすることを条件に、計器仕様DB12から最新のデータを取得することとしてもよく、或いは、計器仕様DB12が更新されるたびに当該更新後の最新のデータを取得することとしてもよい。
【0031】
計器点検DB更新手段16は、点検用端末20から点検データを受け付けると、当該点検データを、計器仕様DB12に入力された計器の点検に必要なデータに対応付けて入力する。計器点検DB更新手段16は、例えば、仕様データ取得手段15が入力したデータのうち空欄部分に点検データを入力する。
【0032】
計器仕様DB更新手段17は、管理端末30から入力を受けると、計器点検DB11に入力された点検データ、例えば、計器点検DB11の点検データ格納部のデータを計器仕様DB12に入力する。このように、本実施の形態では、点検用端末20から入力された点検データは、管理端末30からの指示を受けることを条件に、計器仕様DB12に反映される。
【0033】
通信手段18は、セキュリティーの確保された通信回線を介して、メーカ側サーバ40と通信する。通信手段18は、例えば、計器の点検データをメーカ側サーバ40に送信し、計器の設計条件や使用条件などの仕様データをメーカ側サーバ40から受信する。
【0034】
メーカデータ反映手段19は、メーカ側サーバ40から受信した仕様データに基づいて、計器仕様DB12を更新する。本実施の形態では、メーカ側サーバ40から受信した仕様データは、計器仕様管理DB14により計器仕様DB12のデータ形式と整合させた上で、メーカデータ反映手段19により計器仕様DB12に入力される。
【0035】
[計器保守管理システムのハードウェア構成]
計器保守管理システム1を構成する、プラント側サーバ10、点検用端末20、管理端末30、及びメーカ側サーバ40のハードウェア構成は、一般的なコンピュータによって構成することができる。一般的なコンピュータは、例えば、制御部として、中央処理装置(CPU)を備える他、記憶部として、メモリ(RAMやROM)、ハードディスク(HDD)及び光ディスク(CDやDVDなど)を、ネットワーク通信装置として各種有線や無線LAN装置を適宜備え、バスラインにより接続されている。このような一般的なコンピュータにおいて、CPUは、各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。なお、プラント側サーバ10及びメーカ側サーバ40は、複数のコンピュータにより構成することとしてもよい。
【0036】
[計器保守管理システムの処理]
次に、図6及び図7を参照して、計器保守管理システム1の処理の流れについて説明する。図6を参照して、計器保守管理システム1における点検データの入力から当該点検データをメーカ側サーバ40に送信するまでの処理について説明する。
【0037】
S1:プラント側サーバ10の仕様データ取得手段15は、計器仕様DB12から計器の点検に必要なデータを取得し、計器点検DB11に入力する。例えば、仕様データ取得手段15は、点検用端末20が計器点検DB11にアクセスすると、アクセスされた計器の点検に必要なデータを取得し、計器点検DB11に入力する。計器点検DB11に入力されたデータは、点検用端末20からアクセス可能であり、点検用端末20の表示部を介して点検者に提供される。
【0038】
S2:続いて、点検用端末20は、点検現場にて行った点検の結果を入力し、プラント側サーバ10へ送信する。
S3:続いて、プラント側サーバ10の計器点検DB更新手段16は、受信した点検データを計器点検DB11に入力する。
【0039】
S4:続いて、管理端末30は、管理者の指示に基づいて、点検データを計器仕様DB12に反映させる指示をプラント側サーバ10に対して行う。例えば、管理者は、管理端末30を介して計器点検DB11にアクセスし、入力された点検データを確認後に承認すると、当該点検データを計器仕様DB12に反映させる指示をプラント側サーバ10に対して行う。
【0040】
S5:プラント側サーバ10の計器仕様DB更新手段17は、管理端末30からの指示に従い、計器点検DB11に入力された点検データを計器仕様DB12に入力する。
【0041】
S6、S7:続いて、プラント側サーバ10の制御部は、計器仕様DB12に格納されたデータのうち、プラントメーカに送信すべきデータをリンク用DB13のプラントデータ格納部に入力する。なお、リンク用DB13への入力は、任意のタイミング、例えば、管理者による指示や予め決められたスケジュールに従って行われる。
S8:続いて、プラント側サーバ10の通信手段18は、リンク用DB13のプランとデータ格納部に入力されたデータをメーカ側サーバ40へ送信する。なお、メーカ側サーバ40への送信も、任意のタイミング、例えば、管理者による指示や予め決められたスケジュールに従って行われる。
【0042】
次に、図7を参照して、メーカ側サーバ40から受信した仕様データを計器仕様DB12に反映させるまでの処理について説明する。
【0043】
S11:プラント側サーバ10の通信手段18がメーカ側サーバ40からデータを受信すると、プラント側サーバ10の制御部は、当該データをリンク用DB13のメーカデータ格納部に格納する。
【0044】
S12:プラント側サーバ10の制御部は、リンク用DB13のメーカデータ格納部に格納されたデータを計器仕様管理DB14に格納し、当該計器仕様管理DB14において、受信したデータのデータ形式を計器仕様DB12のデータ形式に変更する。例えば、同一の項目について単位が異なる場合には、計器仕様管理DB14において当該単位を計器仕様DB12の単位に変更する。また、同一のデータについて異なる項目として管理していた場合には、計器仕様管理DB14において当該項目を計器仕様DB12が管理している項目に変更する。
【0045】
S13:続いて、プラント側サーバ10のメーカデータ反映手段19は、メーカ側サーバ40から受信したデータを、S12で変更されたデータ形式で計器仕様DB12に入力する。
【0046】
[計器保守管理システムによる効果]
次に、本実施の形態にかかる計器保守管理システム1の効果について説明する。
【0047】
本実施の形態では、点検データを計器点検DB11に電子化して格納するとともに、点検者が点検用端末20を介して当該計器点検DB11にアクセス可能とした。このとき、計器点検DB11には、過去の点検データも格納されているため、点検者は過去の点検データを検索することができ、過去の点検データから計器の劣化具合を評価することもできる。
【0048】
また、点検者(点検用端末20)がアクセス可能な計器点検DB11には、計器仕様DB12から取得した計器の点検に必要なデータが格納されている。これにより、点検者として把握すべき事項を適切に把握することができ、適切な計器校正を行うことができる。
【0049】
また、点検者が点検用端末20に点検結果を入力することで、計器点検DB11は更新される。これにより、点検結果を転記する必要がなく、転記時に生じる誤記や改ざんを防止することができる。
【0050】
また、プラント側サーバ10では、点検用端末20からはアクセスできない計器仕様DB12を備え、この計器仕様DB12を管理端末30からの入力により更新することとした。これにより、計器仕様DB12を発電所の管理者が独自に管理することができる。
【0051】
また、プラント側サーバ10では、点検データをメーカ側サーバ40に送信するため、計器の点検データを発電所及びプラントメーカで共有することができ、発電所の適切な管理運営を実現することができる。
【0052】
また、プラント側サーバ10では、プラントメーカが管理する計器の設計条件や使用条件などの仕様データを受信するため、計器仕様を発電所及びプラントメーカで共有することができ、発電所の適切な管理運営を実現することができる。
【0053】
このとき、プラントメーカから受信したデータのデータ形式を計器仕様DB12のデータ形式と整合させた上で、計器仕様DB12に反映させるため、発電所とプラントメーカとで異なるデータ形式で計器仕様を管理していたとしても、発電所及びプラントメーカで適切に計器仕様を共有することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。
【0055】
上述した実施形態では、点検データの入力を、点検用端末20が計器点検DB11にアクセスした状態で行うこととしているが、これに限られるものではない。例えば、点検用端末20に計器点検DB11に記憶された情報をダウンロードしておき、当該ダウンロードした情報に点検結果を入力した後、点検用端末20から計器点検DB11に点検結果を送信することで、計器点検DB11に点検データを入力するようにしてもよい。すなわち、上述した実施形態では、点検時に点検用端末20とプラント側サーバ10(計器点検DB11)とが常時接続された状態(オンライン状態)で、点検データの入力を行うこととしているが、これに限られるものではなく、点検用端末20がプラント側サーバ10と接続されていない状態(オフライン状態)で、点検データの入力を行うこととしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 計器保守管理システム
10 プラント側サーバ
11 計器点検DB
12 計器仕様DB
13 リンク用DB
14 計器仕様管理DB
15 仕様データ取得手段
16 計器点検DB更新手段
17 計器仕様DB更新手段
18 通信手段
19 メーカデータ反映手段
20 点検用端末
30 管理端末
40 メーカ側サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電所に設けられた計器の点検の際に点検者により用いられる点検用端末と、前記発電所の管理者により用いられる管理端末と、前記点検用端末及び前記管理端末と通信可能に接続されたプラントサーバと、を備える計器保守管理システムであって、
前記プラントサーバは、
前記管理端末からアクセス可能で、前記計器に関するデータを管理する計器仕様DBと、
前記点検用端末及び前記管理端末からアクセス可能で、前記計器の点検に関するデータを管理する計器点検DBと、
前記計器仕様DBから前記計器の点検に必要なデータを取得し、前記計器点検DBに入力する仕様データ取得手段と、
前記点検用端末から受け付けた点検データを、前記計器の点検に必要なデータに対応付けて前記計器点検DBに入力する計器点検DB更新手段と、
前記管理端末からの入力に基づいて、前記計器点検DBに入力された前記点検データを前記計器仕様DBに入力する計器仕様DB更新手段と、
を備えることを特徴とする計器保守管理システム。
【請求項2】
前記プラントサーバと通信可能であって、前記発電所のメーカが有するメーカ側サーバを備え、
前記プラントサーバは、前記計器仕様DBに入力された前記点検データを前記メーカ側サーバに送信する通信手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の計器保守管理システム。
【請求項3】
前記通信手段は、前記メーカが管理する前記計器のデータを、前記メーカ側サーバから受信し、
前記プラントサーバは、受信した前記計器のデータに基づいて、前記計器仕様DBを更新するメーカデータ反映手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の計器保守管理システム。
【請求項4】
前記プラントサーバは、前記計器仕様DBに格納されるデータ形式と、前記メーカ側サーバから送信された前記計器のデータに関するデータ形式と、を整合させる計器仕様管理DBを備え、
前記メーカデータ反映手段は、前記計器仕様管理DBにより整合されたデータ形式で前記計器仕様DBを更新することを特徴とする請求項3に記載の計器保守管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−198086(P2011−198086A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64599(P2010−64599)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】