説明

計測対象保持具、生体保持具及び光計測装置

【課題】生体の計測部位から放出される光の適正な計測を可能とする。
【解決手段】マウス18が収容される検体ホルダ54は、マウスの計測部位となる胴部102を、下型ブロック56の凹部112と上型ブロック58の凹部114との間で保定して収容する。下型ブロックの凹部の内面112Aは、腹部102Aの形状に合わせて形成された面に、スジ状の溝部132が形成されることにより波形形状とされており、弛んだ表皮が入り込むことにより皺に起因する隙間が低減される。また、上型ブロックの凹部の内面114Aには、シート体134が設けられ、シート体と内面114Aとの間に充填剤が注入されることにより、マウスの背部102Bと内面114Aとの間に生じる隙間が埋められる。これにより、検体ホルダ内のマウスから放出される光は、等方散乱を継続しながら伝搬して、検体ホルダから放出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を用いたトモグラフィー(Tomography)に係り、詳細には、小動物などの生体を計測対象とするときに計測対象を保持(保定)する計測対象保持具(保定具)、生体保持具及び光計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織は近赤外線などの所定波長の光に対して透過性を有しており、生体に照射された光が、等方的に散乱しながら生体内を進行し、照射された光に応じた光が、生体の周囲から射出される。この生体から射出される光の強度を計測することにより、計測対象の断層情報(断層画像)の再構成が可能となる(光トモグラフィー)。
【0003】
X線CTにおいては、生体の撮影を行う場合、筒などを用いた保持部に生体を収容してX線CTの計測が行われる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
光トモグラフィーを用いた小動物などの生体観察においては、小動物の胴部内の臓器や病変部位などの予め設定された部位に特異的に付着して蛍光を発する蛍光標識剤を投与し、励起光を照射することにより体内から発せられる蛍光を計測する。このとき、光(励起光)の照射位置を変えながら、1つの照射位置に対して、生体の周囲の複数箇所で光(蛍光)の強度を計測する。
【0005】
このような光トモグラフィーにおいても、X線CTなどと同じように、計測途中で生体が動くと、適正な断層画像の再構成が困難となるだけでなく場合によっては、再計測が必要となってしまう。
【0006】
ここで、例えば、小動物のX線CTの計測を行うときに、カプセルに収容した計測対象とする小動物を、スポンジ体を用いて位置ズレを防止する提案がなされている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
一方、光の吸収特性、散乱係数などの光学的特性が近似した部材の間では、光の等方的散乱が継続する。ここから、光学的特性が生体と近似した部材によって形成した保持部材に生体を収容することにより、生体から射出される光の計測及び計測結果を用いた断層情報の再構成が容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−105787号公報
【特許文献2】特開2004−121289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
蛍光などを用いた光トモグラフィーにおいては、保持部材内に小動物などの計測対象を収容し、保持部材に収容された小動物との間で、光の等方散乱が継続されるためには、保持部材の内面に小動物の表皮が隙間なく接している必要がある。
【0010】
しかしながら、計測対象を容器に収容してスポンジ体などで位置ずれを防止しただけでは、計測対象の表皮と容器の内面との間に隙間が生じ、適正な計測が困難となる。特にヌードマウスなどに対しては、緊密に接触させるために必要以上に締め付けたり、表皮を挟んだりすると寿命を縮めてしまうことがある。
【0011】
特に、計測時には、計測対象に麻酔剤が投与されるが、ヌードマウスなどでは、麻酔剤が投与されることにより筋肉が弛緩し、表皮が弛んでしまうために、容器内に収容するときに、表皮を挟んでしまうことがある。
【0012】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、光トモグラフィーによって小動物などの生体を、容易にかつ適正に観察可能とする計測対象保持具、生体保持具及び光計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明の計測対象保持具は、内部で光の等方散乱が生じる生体を計測対象とし、該計測対象の計測部位の表皮から射出される光を受光する光計測装置において、前記計測対象の保持に用いられる計測対象保持具であって、内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質により形成されると共に、長手方向が前記計測対象の体長方向に沿うように前記計測対象の一部が収容される凹部が形成された第1のブロック部材と、内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質により、前記第1のブロック部材と重ね合わせられることにより外形形状が柱状となるように形成される共に、前記第1のブロック部材が重ねられた状態で第1のブロック部材との間で前記計測対象が収容される凹部が形成された第2のブロック部材と、前記計測対象の前記計測部位と前記第1のブロック部材及び前記第2のブロック部材との間で、前記光の等方散乱が継続されるように前記計測部位の表皮と前記第1のブロック部材の凹部の内面及び前記第2のブロック部材の凹部の内面との間の間隙を抑制する間隙抑制手段と、を含む。
【0014】
この発明によれば、光学特性として光に等方散乱を生じさせる材質である異方性散乱媒質を用いて第1及び第2のブロック部材を形成し、第1のブロック部材と第2のブロック部材を重ね合わせた内部に、生体である計測対象を収容する。
【0015】
間隙抑制手段は、計測対象の計測部位の表皮と第1及び第2のブロック部材との間に隙間が生じるのを抑制することにより、表皮と第1及び第2のブロック部材の凹部の内面とを密接させ、計測対象と第1のブロック部材及び第2のブロック部材との間で光の等方散乱が継続されると見なされる状態とする。
【0016】
これにより、生体から発せられる光に応じた適正な光が第1及び第2のブロック部材の外周面から射出される。この適正な光とは、光トモグラフィーにおいて適正な断層の再構成を可能とする強度の光である。また、本発明に適用される第1及び第2のブロック部材は、少なくとも生体の計測部位に対応する領域が、光学特性として光に等方散乱を生じさせる材質により形成されたものであれば良い。
【0017】
また、本発明の計測対象保持具は、前記間隙抑制手段が、内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質でかつゲル状の充填剤を、前記第1のブロック部材の凹部の内面及び前記第2のブロック部材の凹部の内面の少なくとも一方と前記計測対象の計測部位の表皮との間に充填する充填手段を、含むものであっても良い。
【0018】
この発明によれば、凹部の内面にゲル状の充填剤が充填される。この充填剤は、光学特性として光に等方散乱を生じさせる材質としており、これにより、実質的に生体の計測部位の表皮を第1及び第2のブロック部材に密接させた状態が得られる。
【0019】
また、本発明の計測対象保持具は、前記間隙抑制手段が、前記第1のブロック部材の凹部の内面及び前記第2のブロック部材の凹部の内面の少なくとも一方に、スジ状に形成された溝部又は突部とすることができる。凹部の内面に複数の溝部又は突部をスジ状に形成することにより、内面に波形状の凹凸が形成されて内面の表面積が広がる。これにより、麻酔剤を投与することにより生体の表皮に弛みが生じても、凹部内に収容された生体の表皮に生じる皺に起因する隙間を抑え、生体の表皮を凹部の内面に密接させることができる。
【0020】
本発明の計測対象保持具は、前記間隙抑制手段が、前記第1のブロック部材の凹部の内面又は前記第2のブロック部材の凹部の内面の一方にスジ状に形成された溝部又は突部と、内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質でかつゲル状の充填剤を、前記第1のブロック部材の凹部の内面又は前記第2のブロック部材の凹部の内面の一方と前記計測対象の計測部位の表皮との間に充填する充填手段と、を含むものであっても良い。
【0021】
この発明によれば、第1又は第2のブロック部材に形成される凹部の一方の内面を波形形状として表面積が広くなるようにし、これにより、計測部材と他方の内面との間に生じる隙間が充填剤により埋められ、生体の計測部位の表皮と内面との間の隙間を確実に低減することができる。
【0022】
本発明の計測対象保持具は、前記間隙抑制手段が、前記計測対象の計測部位の外周に応じた内面を有し、内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質で筒体状と成るように形成されて計測対象を計測部位で保定する保定アダプタと、前記第1及び第2のブロックに形成され、前記計測対象の前記計測部位と前記第1のブロック部材及び前記第2のブロック部材との間で、前記光の等方散乱が継続されるように前記計測対象を保定した前記保定アダプタが格納される格納部と、を含んでも良い。
【0023】
この発明によれば、生体の計測部位に対応する筒体状の保定アダプタを用い、この保定アダプタが、第1及び第2のブロック部材に形成された格納部に格納される。このときに、保定アダプタを、内面が生体の表皮に緊密に接する形状で形成することにより、生体の表皮と第1及び第2のブロック部材との間で、光の等方散乱が実質的に継続される。
【0024】
これにより、内面形状のみが生体の体型に応じた保定アダプタを用いることで、生体と第1及び第2のブロック部材とを、1つの等方散乱物質と見なすことができる。
【0025】
一方、本発明は、内部で光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質により形成されると共に、長手方向が生体の体長方向に沿うように該生体の一部が収容される凹部が形成された第1のブロック部材と、内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質により、前記第1のブロック部材と重ね合わせられることにより外形形状が柱状となるように形成される共に、前記第1のブロック部材が重ねられた状態で第1のブロックとの間で前記生体が収容される凹部が形成された第2のブロック部材と、前記生体の体長方向に沿う予め設定された部位と前記第1のブロック部材及び前記第2のブロック部材との間で、前記光の等方散乱が継続されるように前記予め設定された部位の表皮と前記第1のブロック部材の凹部の内面及び前記第2のブロック部材の凹部の内面との間の間隙を抑制する間隙抑制手段と、を含む生体保持具としても良い。
【0026】
本発明の生体保持具は、前記間隙抑制手段が、内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質でかつゲル状の充填剤を、前記第1のブロック部材の凹部の内面及び前記第2のブロック部材の凹部の内面の少なくとも一方と前記生体の前記予め設定された部位の表皮との間に充填する充填手段を、含んでも良く、前記間隙抑制手段が、前記第1のブロック部材の凹部の内面及び前記第2のブロック部材の凹部の内面の少なくとも一方に、スジ状に形成された溝部又は突部としても良く、さらに、前記間隙抑制手段が、前記第1のブロック部材の凹部の内面又は前記第2のブロック部材の凹部の内面の一方にスジ状に形成された溝部又は突部と、内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質でかつゲル状の充填剤を、前記第1のブロック部材の凹部の内面又は前記第2のブロック部材の凹部の内面の一方と前記生体の前記予め設定された部位の表皮との間に充填する充填手段と、を含むものであっても良い。
【0027】
また、生体保持具は、前記間隙抑制手段が、前記生体の前記予め設定された部位の外周に応じた内面を有し、内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質で筒体状となるように形成されて生体を前記予め設定された部位で保定する保定アダプタと、前記第1及び第2のブロックに形成され、前記生体の前記予め設定された部位と前記第1のブロック部材及び前記第2のブロック部材との間で、前記光の等方散乱が継続されるように前記保定アダプタが格納される格納部と、を含むこともできる。
【0028】
このような生体保持具を用いる光計測装置は、励起光が照射されることにより蛍光を発する蛍光標識剤が投与された生体が前記第1及び第2のブロック部材に収容された前記請求項6から請求項10の何れか1項に記載の生体保持具と、前記生体が収容された前記生体保持具の前記第1及び第2のブロック部材を前記生体の体長方向の両端部で保持する保持手段と、前記保持手段に保持された前記生体保持具の前記第1及び第2のブロック部材の外周面の外方から、前記生体の前記予め設定された部位へ向けて前記励起光を照射する光源ヘッドと、前記光源ヘッドから照射された前記励起光により前記生体の前記予め設定された部位内の前記蛍光標識剤から発せられて、前記生体の体長方向と交差する方向に沿って前記第1及び第2のブロック部材の外周面から射出される蛍光を受光する受光ヘッドと、を含むものであれば良い。
【0029】
さらに、光計測装置は、リング状の内部に前記生体保持具が配置され、外周部に前記光源ヘッドと、複数の前記受光ヘッドとが配置された機枠を含むことができ、さらに、前記機枠を、前記保持部材が配置される軸心部を軸に相対的に回動する回動手段と、前記保持手段を前記機枠の軸方向に沿って相対移動する移動手段を含むことができる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように本発明の計測対象保持具及び生体保持具によれば、計測対象の計測部位と第1及び第2のブロック部材との間で、光の等方散乱が継続されるようにできるので、計測対象である生体から放出される光に応じた適正な光が得られる。
【0031】
このとき、本発明では、簡単な構成で第1及び第2のブロック部材の凹部の内面の面積を拡大して、計測対象の表皮の皺により生じる隙間を低減できる。
【0032】
また、本発明では、実質的に計測対象の表皮が第1及び第2のブロック部材の内面に緊密に接した状態を形成することができる。
【0033】
さらに、本発明では、計測対象の体型に応じて複数種類の保定アダプタを用意することにより、計測対象の体型にかかわらず、1組の第1及び第2のブロック部材によって計測対象の計測部位と第1及び第2のブロック部材の間で光の等方散乱が継続される状態が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施の形態に係る検体ホルダの概略構成を示す斜視図である。
【図2】(A)及び(B)は図1の2−2線に沿った検体ホルダの要部の断面図であり、(A)はマウスを収容していない状態を示し、(B)はマウスを収容した状態を示している。
【図3】光計測システムの要部の概略構成図である。
【図4】光計測装置の要部の概略構成図である。
【図5】光計測装置への検体ホルダの装着を示す概略図である。
【図6】光計測システムの制御部の概略構成図である。
【図7】チューブを接続した状態を示す検体ホルダの要部の概略斜視図である。
【図8】検体ホルダの他の一例を示す要部の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図3、図4及び図6には、本実施の形態に係る光断層計測システム10の概略構成が示されている。図3及び図6に示されるように、光断層計測システム10は、光計測装置12及び、データ処理装置14を含んでいる。データ処理装置14には、表示手段とされるモニタ16が設けられており、光断層計測システム10では、このモニタ16に処理設定の表示、処理状態の表示、処理結果(計測結果の表示)などの各種の表示がなされる。
【0036】
本実施の形態に係る光断層計測システム10では、計測対象(検体)とする生体として、例えば、ヌードマウスなどの小動物を適用しており、以下では、マウス18(図1参照)として説明する。また、本実施の形態では、マウス18内の臓器や病変部位などの予め設定された部位に特異的に付着する抗体などに蛍光物質が含ませた蛍光標識剤を投与する。
【0037】
光計測装置12では、蛍光標識剤(蛍光物質)に対して励起光となる所定波長の光(例えば近赤外線など)をマウス18に照射し、この励起光によってマウス18内の蛍光物質から発せられて、マウス18の周囲から放出される蛍光を計測する。
【0038】
また、光計測装置12では、マウス18への励起光の照射位置を変えながら、それぞれの照射位置でマウス18から放出される蛍光を複数箇所で計測し、励起光の照射位置ごとの光(蛍光)の強度を示すデータ(以下、計測データとする)を取得する。さらに、光計測装置12では、計測データを所定のタイミングでデータ処理装置14へ出力する。
【0039】
データ処理装置14では、光計測装置12から入力された計測データに対して所定の演算処理を施すことにより、光断層情報として、マウス18中の蛍光物質(蛍光標識剤)の濃度分布情報を取得する。また、データ処理装置14では、取得した蛍光の濃度分布情報に基づいて光断層画像(断層における蛍光標識材の分布)の再構成を行い、再構成した光断層画像をモニタ16等に表示する。なお、本発明は、これに限らず、計測対象とされる生体から射出ないし放出される光を計測する任意の構成に適用することができる。
【0040】
図4に示されるように、光計測装置12には、ケーシング(図示省略)内に設けられた基台20上に計測ユニット22が取り付けられている。計測ユニット22は、ベース板24を備え、このベース板24が基台20上に立設されている。
【0041】
また、ベース板24には、一方の面に枠体26が設けられている。図3に示されるように、この枠体26は、リング状に形成され、ベース板24(図3では図示省略)に形成されている図示しない円孔と同軸となるように配置されている。
【0042】
図4に示されるように、計測ユニット22には、ベース板24と枠体26との間にロータリーアクチュエータ28が配置されている。ロータリーアクチュエータ28には、ベース板24の円孔に対応した図示しない空洞部が形成され、この空洞部が枠体26と同軸となるように配置されている。また、ロータリーアクチュエータ28は、ベース板24に固定され、このロータリーアクチュエータ28に枠体26が取り付けられて支持されている。
【0043】
ロータリーアクチュエータ28は、例えば、図示しないモータの駆動力によって枠体26を回動する。なお、ロータリーアクチュエータ28は、ステッピングモータ、パルスモータなどの任意の構成のモータを適用でき、また、モータに限らずエアにより駆動されるなど任意の構成を適用することができる。
【0044】
図3に示されるように、この枠体26には、励起光とする光を発する光源ヘッド30及び、マウス18から発せられる蛍光を受光する複数の受光ヘッド32が設けられている。光源ヘッド30及び受光ヘッド32のそれぞれは、光軸が枠体26の軸方向と交差する平面上となりかつ枠体26の軸心へ向けられて配置されている。また、光源ヘッド30及び受光ヘッド32は、それぞれの光軸が隣接する光源ヘッド30又は受光ヘッド32の光軸と所定の角度θとなるように枠体26に取り付けられている。なお、本実施の形態では、一例として1基の光源ヘッド30と、11基の受光ヘッド32とを設け、角度θが30°となるように配置されている。
【0045】
光計測装置12では、枠体26内が計測位置とされており、枠体26の軸心部に、体長方向が軸方向に沿うようにマウス18が配置される(図3及び図5参照)。また、光計測装置12では、ロータリーアクチュエータ28の作動により枠体26を回動することにより、マウス18の周囲を回るように励起光の照射位置が変えられると共に、それぞれの照射位置でマウス18から発せられる蛍光の計測が可能となっている。
【0046】
これにより、光断層計測システム10では、マウス18の体長方向と交差する方向に沿った光断層画像の再構成を可能とする計測データが得られる。なお、光計測装置12としては、これに限らず、マウス18と光源ヘッド30及び受光ヘッド32との相対位置を移動させながら、励起光に対する蛍光の強度を計測する任意の構成を適用することができる。
【0047】
一方、図4に示されるように、光計測装置12には、ベース板24を挟んでアーム34、36が対で配置されている。アーム34は、支柱38の先端にアーム36へ向けて取り付けられたブラケット40が設けられ、アーム36は、支柱42の先端にアーム34へ向けて突設されたブラケット44が設けられている。
【0048】
基台20上には、長尺のスライダ46及びスライドベース48が配置されている。スライダ46及びスライドベース48のそれぞれは、長手方向が枠体26の軸方向(図4の紙面左右方向)に沿って配置され、ベース板24の下端部に形成された図示しない開口部に挿通されている。
【0049】
スライドベース48の長手方向の一端側には、アーム34の支柱38が立設され、他端側には、アーム36の支柱42が立設されている。また、アーム34、36は、それぞれのブラケット40、44が、枠体26の開口部に対向されている。
【0050】
スライダ46は、ブラケット50A、50Bを介して基台20に固定されている。このスライダ46の内部には、例えば、ステッピングモータなどを駆動源とする送りねじ機構(図示省略)が設けられ、スライダ46は、ステッピングモータが駆動されることによりブロック46Aが長手方向(図4の紙面左右方向)に沿って移動する。このブロック46Aには、スライドベース48が取り付けられている。これにより、光計測装置12では、スライダ46が作動されることにより、一対のアーム34、36が一体で図4の紙面左右方向(矢印A方向及び矢印A方向と反対方向)へ移動される。
【0051】
光計測装置12では、一対のアーム34、36の間にマウス18が保持される。光計測装置12では、ベース板24の枠体26と反対側(図4の紙面右側)が、マウス18の装填部52とされ、この装填部52で体長方向が枠体26に軸線方向に沿うようにマウス18が装填され、また、装填されたマウス18の取り出しがなされる。
【0052】
光計測装置12は、アーム34、36に保持されたマウス18を、スライダ46によって計測ユニット22の計測位置へ移動する。これにより、光断層計測システム10では、マウス18が体長方向に沿って順に計測位置を通過し、マウス18の体長方向に沿った任意の位置での光断層画像の再構成が可能となっている。
【0053】
一方、光断層計測システム10では、計測対象保持具とされる検体ホルダ54に収容されて光計測装置12へ装填される。図1に示されるように、検体ホルダ54は、第1及び第2のブロック部材とされる下型ブロック56と、上型ブロック58とによって形成される。検体ホルダ54は、略円柱状(又は略円筒状)に形成され、軸心を通過する平面に沿って下型ホルダ56と上型ホルダ58とに分割された形状とされ、下型ブロック56及び上型ブロック58が、長手方向と交差する方向に沿った断面が略半円状とされている。なお、本実施の形態では、外形形状が円柱状とされる検体ホルダ54を例に説明するが、これに限らず、四角形、五角形などの多角形状に形成されるものであっても良い。
【0054】
図5に示されるように、アーム34に取り付けられているブラケット40には、例えば、上方に向けられた開口された凹部40Aが形成されている。また、アーム36に取り付けられているブラケット44には、上方に向けられて開口された凹部44Aが形成されている。
【0055】
検体ホルダ54は、下型ブロック56の軸方向の一端部がブラケット40の凹部40Aに収容され、他端側がブラケット44の凹部44Aに収容される。また、検体ホルダ54は、下型ブロック56の一方の端面が凹部40Aの壁面40Bに当接されることにより計測ユニット22に対して軸方向に沿った位置決めがなされ、下側ブロック56の他方の端面が凹部44Aの壁面44Bに当接された状態で、ブラケット44が図示しない付勢手段によりブラケット40へ向けて付勢される。これにより、検体ホルダ54は、ブラケット40、44の間に位置決めされた状態で掛け渡されて保持される。
【0056】
ブラケット40、44には、凹部40A、44A内に図示しない三角形状の突起部が形成されており、図1に示されるように、検体ホルダ54の下型ブロック56には、この突起部に対応して三角形状の切込み部60(図1では、一方のみを図示)が形成されている。図5に示されるように、検体ホルダ54は、下型ブロック56の切込み部60にブラケット40、44の凹部40A、44Aに形成された突起部が入り込むことにより、回転方向の位置決めがなされる。
【0057】
一方、図3及び図6に示されるように、光計測装置12には、制御部62が設けられ、この制御部62によって蛍光の計測が制御される。また、制御部62は、計測データを取得すると、取得した計測データをデータ処理装置14へ出力する。
【0058】
図6に示されるように、データ処理装置14には、CPU64、ROM66、RAM68、記憶手段とされるHDD70、キーボード72(図3参照)やマウスなどの入力デバイス74と共に、モニタ16等がバス76に接続された一般的構成のコンピュータが形成されている。
【0059】
また、データ処理装置14には、入出力インターフェイス(I/O IF)78が設けられており、この入出力インターフェイス78が、光計測装置12の制御部62に設けている入出力インターフェイス80に接続されている。なお、光計測装置12とデータ処理装置14との接続は、USB(Universal Serial Bus)などの通信インターフェイス規格を適用することができる。また、これに限らず、公知の任意の通信インターフェイス規格を適用することができる。
【0060】
データ処理装置14では、CPU64が、RAM68をワークメモリとして用い、ROM66又はHDD70に記憶されたプログラムを実行することにより、光計測装置12の作動を制御し、マウス18から発せられる蛍光の強度を計測する。また、データ処理装置14では、光計測装置12において計測により得られた計測データを読み込み、この計測データに基づいて蛍光の強度分布を示す光断層画像の再構成を行う。
【0061】
光計測装置12の制御部62には、図示しないマイクロコンピュータを備えたコントローラ82が設けられ、このコントローラ82が、入出力インターフェイス80を介してデータ処理装置14に接続されている。
【0062】
また、制御部62には、光源ヘッド30を駆動する発光駆動回路84、受光ヘッド32のそれぞれから出力される電気信号を増幅する増幅器(amp)86、増幅器86から出力される電気信号(アナログ信号)に対してA/D変換を行うことによりアナログ信号に応じたデジタル信号を生成するA/D変換器88を備えている。
【0063】
また、制御部62には、ロータリーアクチュエータ28を駆動する駆動回路90及びスライダ46を駆動する駆動回路92が設けられている。これにより、光計測装置12では、検体ホルダ54の移動、計測ユニット22の回動及び光源ヘッド30、受光ヘッド32の作動が制御されて、励起光に対する蛍光の計測が行われる。
【0064】
ところで、マウス18等の生体は、光に対して異方性散乱媒質とみなすことができる。異方性散乱媒質中での光の散乱の素過程では、異方的で前方散乱が支配的であるが、伝搬長がある距離を越えると多重散乱が支配的となり、その結果として、散乱方向がランダムになるために等方的散乱となる。すなわち、異方性散乱媒質は、入射された光が光浸達長(等価散乱長)に達するまでは、前方散乱が支配的な領域となっているが、光浸達長を超えた領域では、光の散乱が等方的となる(等方散乱領域)。
【0065】
また、異方性散乱媒質同士が接している場合、一方の異方性散乱媒質で等方散乱を繰り返しながら伝播した光が、他方の異方性散乱媒質に入射されると、他方の異方性散乱媒質では、素過程で前方散乱が生じるが、その距離(光浸達長)が短いために等方散乱が継続されているように見なされる。
【0066】
光断層計測システム10では、検体ホルダ54の下型ホルダ56及び上型ブロック58に異方性散乱媒質が用いられている。また、検体ホルダ54では、下型ブロック56及び上型ブロック58に、マウス18が収容される凹部を形成し、この凹部内にマウス18の表皮が密着されるようにして、マウス18が収容された検体ホルダ54内が実質的に一体の異方性散乱媒質(等方散乱領域)と見なされるようにし、マウス18を含めた検体ホルダ54での光の散乱を等方散乱に近似することができるようにしている。
【0067】
また、光断層計測システム10では、マウス18に対して、予め計測部位を設定し、設定した計測部位に合わせた検体ホルダ54を用いる。図1に示されるように、マウス18の体を、頭部100、胴部102及び尾を含む足部104に大別したときに、主要な臓器(内臓諸器官)は胴部102に集中している。ここから、光断層計測システム10では、マウス18の胴部102を計測部位としており、以下では、マウス18の胴部102を計測するものとして説明する。
【0068】
検体ホルダ54は、マウス18の胴部102に対応する中間部が保定部106とされ、この保定部106を挟んで頭部100側となる先端部108と、足部104側となる後端部110とに区分される。なお、下型ブロック56及び上型ブロック58では、保定部106、先端部108、後端部110を、保定部106A及び保定部106B、先端部108A及び先端部108B、後端部110A及び後端部110Bとしている。
【0069】
下型ブロック56の保定部106Aには、マウス18の腹部102Aに対応して凹部112が形成され、上型ブロック58の保定部106Bには、マウス18の背部102Bに対応して凹部114が形成されている。下型ブロック56の凹部112は、マウス18の胴部100の外形のうち、腹部102Aに合わせて湾曲された内面112Aが形成され、上型ブロック58の凹部114は、マウス18の背部102Bに合わせて湾曲された内面114Aが形成されている。このとき、凹部112、114は、マウス18の通常状態(例えば、麻酔剤を投与していない状態)での体型に合わせているが、凹部114は、マウス18の体型よりも僅かに広くても良い。
【0070】
図1及び図2(A)、図2(B)に示されるように、下型ブロック56には、凹部112を挟むように立壁部124が対で形成されている。この立壁部124は、凹部112の周縁部から上型ブロック58へ向けて突出されている。下型ブロック56は、この一対の立壁部124により凹部112が上型ブロック58へ向けて延設された形状となっている。
【0071】
上型ブロック58には、下型ブロック56の立壁部124に対応して嵌め込み溝128が形成されている。嵌め込み溝128は、立壁部124の外形形状に合わせて、凹部114の内面114Aを掘り込んだ形状で形成されている。検体ホルダ54は、下型ブロック56の立壁部124が上型ブロック58の嵌め込み溝128に嵌めこまれた状態で重ね合わせられる。
【0072】
一方、下型ブロック56の凹部112Aの内面には、皺に起因する間隙を抑制する間隙抑制手段としてスジ条に多数の溝部132が形成されている。本実施の形態では、この溝部132が、検体ホルダ54の軸方向であるマウス18の体長方向に沿うように形成されている。
【0073】
これにより、図2(A)、図2(B)に示されように、保定部106Aの内面112Aは、その断面形状が、多数の溝部132により凹凸が形成された波形状とされ、表面積が広げられている。
【0074】
この溝部132は、例えば、深さが約1mm、互い隣接する溝部132の中心間隔である溝ピッチが約2mm程度として形成されている。なお、溝部132の深さ及び溝ピッチは、マウス12が弛緩して表皮が弛んだときに、弛んだ表皮が溝部132内に入り込む大きさであれば良く、また、滑らかな凹凸の波形状としている。
【0075】
このような溝部132の深さ及び溝ピッチは、マウス18が弛緩したときの表皮の延びに基づいて形成するものであれば良い。また、本実施の形態では、溝部132を検体ホルダ54の軸方向に沿うスジ状に形成しているが、これに限らず、それぞれが内面112Aの周方向に沿うようスジ状に形成されたものであっても良い。さらに、溝部132により内面112Aが凹凸状となるように形成しているが、これに限らず、スジ状に突部を形成しても良く、また、溝部と突部とを交互に形成した構成であっても良い。
【0076】
図1及び図2(A)、図2(B)に示されるように、上型ブロック58の保定部106Bには、内面114Aに、充填手段を形成するシート体134が設けられている。このシート体134は、周縁部が内面114Aに接着されている。これにより、図2(A)及び図2(B)に示されるように、検体ホルダ54では、内面114Aとシート体134との間に空間による充填部136が形成される。この充填部136には、ゲル状の充填剤138(図2(B)参照)が充填される。
【0077】
図1及び図2(A)、図2(B)に示されるように、上型ブロック58には、注入口140が形成されている。図1に示されるように、この注入口140は、計測部位(マウス18の胴部102)を外れた検体ホルダ54の後端部(上型ブロック58の後端部110B)に形成されている。
【0078】
図1及び図2(A)、図2(B)に示されるように、上型ブロック58では、充填部136と注入口140とが注入管142により連通されている。また、図2(B)に示されるように、この注入口140には、例えば、ピストン144とシリンダ146により形成された注入器148などの充填剤138の注入手段が連結される。
【0079】
検体ホルダ54では、注入口140に注入器148が連結され、注入器148のピストン144が押込まれることにより、シリンダ146内の充填剤138が、充填部136に注入される。これにより、充填部136が膨らむことにより、上型ブロック58に形成される凹部114は、その容積が減少される。
【0080】
検体ホルダ54では、上型ブロック58の凹部114にマウス18の背部102Bが収容された状態で、充填部136に充填剤138が充填されることにより、マウス18の背部102Bと上型ブロック58の内面114Aとの間に隙間が生じていても、この隙間が充填部136に注入された充填剤138により埋められて、実質的に、マウス118の表皮が上型ブロック58の内面114Aに密着した状態が得られる。
【0081】
ここで、本実施の形態では、異方性散乱媒質として、例えば、シリコンに二酸化チタンを配合して生成した物質を用い、この物質により、少なくとも、下型ブロック56の保定部106A、上型ブロック58の保定部106B及びシート体134が形成されている。また、充填剤138としては、シリコングリースに二酸化チタンを配合して形成した異方性散乱媒質を用いている。
【0082】
これにより、検体ホルダ54では、マウス18が収容されたときに、マウス18の胴部102が下型ブロック56の保定部106A及び上型ブロック58の保定部106Bに密接され、少なくともマウス18の計測部位としている胴部102が収容される保定部106(保定部106A、106B)において、収容しているマウス18との間で実質的に等方散乱領域と見なされる。
【0083】
一方、図1に示されるように、検体ホルダ54には、マウス18の頭部100に対応して、下型ブロック56の先端部108Aに凹部116が形成され、上型ブロック58の先端部108Bに凹部118が形成されている。また、検体ホルダ54には、マウス18の足部104に対応して、下型ブロック56の後端部110Aに凹部120が形成され、上型ブロック58の後端部110Bに凹部122が形成されている。凹部116〜122のそれぞれは、例えば、マウス18の対応部位の大きさよりも広く形成することができる。
【0084】
これにより、検体ホルダ54には、下型ブロック56と上型ブロック58とを重ね合わせたときに、下型ブロック56と上型ブロック58との間に、マウス18が収容される空洞が形成される。このときに、マウス18は、頭部100及び足部104が締め付けられることがない。
【0085】
また、図1及び図7に示されるように、検体ホルダ54には、先端部108の端面に貫通孔150、152が対で形成されている。貫通孔150、152は、下型ブロック56に、軸線方向と交差する方向に沿った断面が略円弧状に形成された溝150A、152Aと、上型ブロック58に、軸線方向と交差する方向に沿った断面が略円弧状の溝150B、152Bにより形成されている。
【0086】
検体ブロック54は、下型ブロック56と上型ブロック58とを重ねたときに、溝150A、150Bにより貫通孔150が形成され、溝152A、152Bにより貫通孔152が形成される。また、検体ブロック54では、この貫通孔150、152により、マウス18の頭部100が収容される凹部116、118内が外部と連通され、マウス18の呼吸用の空気の導入が可能となっている。
【0087】
図7に示されるように、検体ホルダ54では、貫通孔150にチューブ154の一端が連結され、貫通孔152にチューブ156が連結される。これにより、本実施の形態では、マウス18が収容された検体ホルダ54を光計測装置12に装填するのに先立って、検体ホルダ54の密接試験が行われる。
【0088】
図6に示されるように、光計測装置12には、送風機158及び流量計160、162が設けられている。送風機158は、図示しない駆動回路を介してコントローラ82に接続され、流量計160、162のそれぞれは、図示しないA/D変換器を介してコントローラ82に接続されている。
【0089】
送風機158には、チューブ154が接続され、流量計160は、チューブ154に設けられると共に、流量計162は、チューブ156に設けられる(何れも図7参照)。光計測装置12では、送風機158が作動することにより検体ホルダ54の先端部106内に空気を送風し、送風した空気をチューブ156から排出する。このとき、光計測装置12では、流量計160、162により、チューブ154を介して検体ホルダ54内に流入される空気の流量Vinと、チューブ156を介して検体ホルダ54から排出される流量Voutを計測する。
【0090】
ここで、検体ホルダ54では、マウス18の表皮と凹部112の内面112Aとの間、及び凹部114の内面114Aとの間に隙間があると、送風機158により頭部100側に供給した空気の一部が足部104側に漏れる。これにより、流量計160により計測される流量Vinと、流量計162により計測された流量Voutとの間に差(流量差ΔV)が生じる。
【0091】
光計測装置12では、このときの流量Vinと流量Voutとの間の流量差ΔVが小さく、予め設定した範囲内であれば、マウス18の計測部位である胴部102が、検体ホルダ54の下型ブロック56及び上型ブロック58に緊密に接していると判定する。
【0092】
なお、送風機158の風量は、マウス18の頭部100に必要以上の圧力を与えない範囲に設定され、また、流量Vinと流量Voutとの流量差ΔVは、マウス18の表皮が、計測データを用いた断層(光断層画像)の再構成に影響を与えないと判断しうるように設定した範囲であれば良い。
【0093】
また、本実施の形態では空気の流量差ΔVを計測するようにしているが、これに限らず、チューブ15内の空気、及びチューブ内の空気の圧力を検出し、検出した圧力から得られる圧力差から、気密性を判定しても良い。このときには、送風機158又は送風機158に換えて用いるコンプレッサにより所定の圧力を与え、そのときの検体ホルダ54の先頭部108内の圧力又は圧力変化を検出し、マウス18の胴部102の表皮が下型ホルダ56及び上型ホルダ58に密接しているか否かを判断すれば良い。
【0094】
一方、図1に示されるように、上型ブロック58では、マウス18の計測部位から外れる先端部108Bを、光の透過性が高い樹脂部材などを用いて形成している。これにより、検体ホルダ54では、下型ブロック56と上型ブロック58とを重ねたときに、検体ホルダ54の内部を視認可能とする点検部130を形成している。検体ホルダ54では、この点検部130により、マウス18の状態(体調など)や、保定部106内でマウス18の表皮と内面112A、114Aと間の密接状態(隙間)の視認が可能となっている。
【0095】
なお、ここでは、検体ホルダ54の先端部108Bを透明部材により形成しているが、透明部材は、検体ホルダ54の内部が視認可能であれば任意の部材を用いることができ、また、上型ブロック58の先端部108Bに限らず、下型ブロック56の先端部108Aや、後端部110(後端部110A、110B)などの、計測部位(マウス18の胴部102に対応する保定部106)を除く部分に用いることができる。
【0096】
このように構成されている光断層計測システム10では、マウス18を検体ホルダ54に収容し、この検体ホルダ54を光計測装置12に装填して、マウス18に投与した蛍光標識剤の濃度分布の計測を開始する。
【0097】
光計測装置12では、マウス18を収容した検体ホルダ54が装填されると、スライダ46を作動させて検体ホルダ54を移動し、この検体ホルダ54内のマウス18の胴部102(検体ホルダ54の保定部106)が計測位置に達すると、励起光を照射しながら蛍光の強度の計測データを取得する。このとき、光計測装置12では、マウス18の所定部位を計測位置に対向させた状態で、ロータリーアクチュエータ28を駆動することにより、光源ヘッド30を所定の角度θずつ回動させながら、それぞれの回動位置で励起光に対する蛍光の計測を行う。
【0098】
このようにして計測された計測データは、光計測装置12からデータ処理装置14へ送られ、データ処理装置14は、この計測データを用いて所定のデータ処理(再構成処理)が行われる。これにより、データ処理装置14は、例えば、光の拡散方程式に基づいてマウス18の計測部位に対応して再構成した断層(光断層画像)をモニタ16に表示する。
【0099】
ところで、検体ホルダ54に収容されるマウス18は、麻酔剤が投与されることにより静止状態とされる。マウス18は、麻酔剤が投与されることにより筋肉が弛緩して表皮に弛みが生じ、この弛みにより表皮に延びが生じる。
【0100】
ここで、検体ホルダ54は、下型ブロック56の凹部112の内面112Aにスジ状の複数の溝部132が設けられることにより凹凸が形成されている。これにより、下型ブロック56の凹部112にマウス18の胴部102が収容されると、弛んだ表皮が内面112Aの溝部132に入り込み表皮が内面112Aに密接される。このとき、下型ブロック56は、凹凸により内面112Aの表面積が広げられているので、マウス18の弛んだ表皮に延びが生じていても、凹部112内に収容されたときに、表皮に生じる皺が起因する隙間が低減される。
【0101】
したがって、マウス18は、腹部102Aの表皮が内面112Aに隙間なく接して下型ブロック56に収容され、マウス18と下型ブロック56の保定部106Aの間で、実質的に光の等方散乱が継続される状態となる。このような凹凸は、例えば、マウス18の腹部102Aの大きさ及び形状に沿った内面112Aとなる凹部112を形成し、この内面112Aに溝状に所定深さの窪みを形成することが好ましい。これにより、マウス18の本来の形状を崩すことなく、表皮の弛みによる皺に起因する隙間が抑えられ、マウス18の表皮が内面112Aに接するようにできる。
【0102】
この下型ブロック56には、上型ブロック58が重ねられる。このとき、マウス18が弛緩していることにより、マウス18の背部102Bと凹部114の内面114Aとの間に隙間が生じ易い。
【0103】
ここで、上型ブロック58の凹部114内には、充填部136が形成されており、注入器148により充填剤138が注入されることにより、凹部114内で充填部136が膨らむ。これにより、マウス18の背部102Bの表皮と凹部114の内面114Aとの間に隙間が生じていると、この隙間にゲル状の充填剤138が入り込み、マウス18の背部102Bと内面114Aとの隙間が埋められる。
【0104】
充填剤138は、例えば、ゲル状のシリコングリースに二酸化チタンを配合した異方性散乱媒質が用いられている。したがって、マウス18と上型ブロック58の保定部106Bとの間で、充填剤138を介して光の等方散乱が継続すると見なされる状態となる。なお、充填剤138を充填部136へ注入する場合、マウス18を必要以上に圧迫してしまうことがないように、例えば、注入圧を予め設定し、設定した注入圧を超えないように充填剤138を注入するなどの方法を適用することが好ましい。
【0105】
一方、光計測装置12は、マウス18が検体ホルダ54に密着しているか否かを確認する密接試験が可能となっている。このときには、検体ホルダ54の貫通孔150にチューブ154を連結すると共に、貫通孔152にチューブ156を連結する。この状態で送風機158を作動させて、検体ホルダ54の先端部108へ空気を供給し、流量計160、162により検体ホルダ54へ送り込まれる空気の流量Vinと、検体ホルダ54から流出する空気の流量Voutを計測する。
【0106】
ここで、検体ホルダ54では、マウス18の胴部102が保定部106(保定部106A、106B)の内面(内面112A、114A)に密接している(隙間が狭い)と、先端部108から保定部106を経て後端部110へ抜ける空気量が少なく、流量Vinと流量Voutの流量差ΔVが小さくなる。しかし、マウス18の胴部102と保定部106との間の隙間が広いと、この流量差ΔVが大きくなる。
【0107】
ここから、光計測装置12では、例えば、流量差ΔVが少なく予め設定された範囲内であれば、光計測装置12への検体ホルダ54の装着を促し、流量差ΔVが大きい場合には、検体ホルダ54へのマウス18の収容をやり直すように促すようにしても良い。
【0108】
これにより、光計測装置12では、マウス18の胴部102の適正な計測データの取得が可能となり、この計測データを用いることにより、マウス18の胴部102の正確な光断層の再構成が可能となる。また、検体ホルダ54では、マウス18を必要以上に強く挟んでしまうことがなく、点検部130を設けて、収容されているマウス18の状態が視認できる(図5及び図7参照)。したがって、マウス18の表皮を下型ブロック56と上型ブロック58との間に挟んで傷等をつけてしまうことがなく、光断層計測システム10では、マウス18の適正な観測を長期にわたって行うことができる。
【0109】
なお、以上説明した本実施の形態では、下型ブロック56の内面112Aに凹凸を形成し、上型ブロック58の内面114Aに充填部136を形成したが、これに限らず、下型ブロック56の内面112Aに充填部136を形成し、上型ブロック58の内面114Aに凹凸を形成するようにしてもよい。
【0110】
また、充填部136を設けずに、下型ブロック56の内面112A及び上型ブロック58の内面114Aのそれぞれに凹凸を形成するようにしても良い。この場合、例えば、マウス18の胴部102の大きさに合わせて凹部112、114を形成し、マウス18が弛緩したときの表皮の延びに応じた表面積が得られるように溝部132を形成するようにすれば良い。
【0111】
さらに、溝部132を形成せずに、下型ブロック56の内面112A及び上型ブロック58の内面114Aのそれぞれに充填部を設けるなどして充填剤138が注入可能となれるようにしても良い。この場合、例えば、マウス18の胴部102の大きさよりもわずかに大きく(広く)なるように凹部112、114を形成し、これにより、生じる隙間を含めて充填剤138を注入するようにすれば良い。
【0112】
一方、本実施の形態では、マウス18の体型に合わせた保定部106が一体に形成された検体ホルダ54を例に説明したが、マウス18などの生体を計測対象として、この計測対象を収容して保持する計測対象保持具の構成はこれに限るものではない。
【0113】
図8には、計測対象保持具の他の一例とする検体ホルダ170の概略構成が示されている。この検体ホルダ170は、それぞれの断面が略半円状に形成された下型ブロック172と上型ブロック174とに分割され、これらが重ね合わせられて用いられる。
【0114】
検体ホルダ170は、マウス18の頭部100が収容される先端部108及び、マウス18の足部104が収容される後端部110が形成されている。また、検体ホルダ170には、先端部108と後端部110との間で、マウス18の計測部位である胴部102に対応する保定部176が形成されている。
【0115】
下型ブロック172には、保定部176に対応する保定部176Aに、断面が円弧状の格納部178が形成されている。また、上型ブロック174には、下型ブロック172の格納部178に対応し、保定部176Bに、断面が円弧状の格納部180が形成されている。
【0116】
これにより、検体ホルダ170は、下型ブロック172と上型ブロック174とを重ね合わせることにより、保定部176内に断面が略円状の空洞が形成される。検体ホルダ170には、保定アダプタ182が用いられ、この保定アダプタ182が、保定部176内の空洞に嵌めこまれて収容される。
【0117】
保定アダプタ182は、外周面が下型ブロック172の格納部178の内面に対応した略円弧状に形成されたアダプタ184と、外周面が上型ブロック174の格納部180の内面に対応した略円弧状に形成されたアダプタ186とにより形成され、アダプタ184とアダプタ186とが重ね合わせられて用いられる。
【0118】
アダプタ184には、マウス18の腹部102Aの形状に合わせた内面の凹部184Aが形成され、アダプタ186には、マウス18の背部102Bの形状に合わせた内面の凹部186Aが形成されている。また、アダプタ184には、一対の立壁部124が形成され、アダプタ186には、立壁部124が嵌め込まれる嵌め込み溝128が形成されている。
【0119】
このように構成されている検体ホルダ170は、保定アダプタ182のアダプタ184とアダプタ186との間に、計測部位としているマウス18の胴部102を収容し、この保定アダプタ182を、格納部178、180に収容する。なお、アダプタ184を格納部178に嵌め込み、アダプタ186を格納部180に嵌めこんだ状態で、下型ブロック172にマウス18を収容した後、上型ブロック174を重ねるようにしても良い。また、保定アダプタ182が検体ホルダ170内で回らないように、回り止めを施すことが好ましい。
【0120】
これにより、検体ホルダ170では、マウス18が収容される。このとき、検体ホルダ170では、下型ブロック172にアダプタ184が接し、このアダプタ184にマウス18の腹部102Aが接する。また、検体ホルダ170では、上型ブロック174にアダプタ186が接し、このアダプタ186にマウス18の腹部102Bが接する。
【0121】
したがって、検体ホルダ170内では、保定アダプタ182を介してマウス18の計測部位である胴部102と、下型ブロック172及び上型ブロック174との間で光の等方散乱が継続されると見なせる状態が得られ、適正な計測データの取得が可能となる。
【0122】
このような保定アダプタ182は、計測対象とするマウス18ごと又はマウス18の体型ごとに作成されていれば、マウス18の体型にあった保定アダプタ182を選択することができる。これにより、検体ホルダ170では、下型ブロック172及び上型ブロック174を交換することなく、各種の体型のマウス18に適用することができる。
【0123】
特にヌードマウスなどは、成長が早く、また、体格(体型)に個体差があれば、マウス18ごとに体型に合った検体ホルダを短時間で作成することは極めて難しい。このとき、検体ホルダ170では、保定アダプタ182のみをマウス18の体型に合うようにしておくことで、コストアップのみでなく、計測のための準備時間も省くことができるので、円滑な計測が可能となる。すなわち、検体ホルダ170では、計測対象とするマウス18の体型に合わせて保定アダプタ182を交換するのみで良い。
【0124】
なお、アダプタ184の内面184A及びアダプタ186の内面186Aには、溝部132を設けるなどして凹凸を形成しても良く、また、充填剤138を注入する充填部136を形成するようにしても良い。すなわち、アダプタ184、186は、検体ホルダ54の凹部112、114の構成を適用することができ、これにより、マウス18の胴部102の表皮との間の隙間を低減するようにできる。
【0125】
なお、以上説明した本実施の形態は、本発明の構成を限定するものではない。例えば、光断層計測システム、光計測装置は、蛍光トモグラフィーや光トモグラフィーなどのように、励起光に応じて生体から発せられる光に限らず、生体から射出される各種の光の強度等を計測する任意の構成に適用することができる。
【符号の説明】
【0126】
10 光断層計測システム
12 光計測装置
14 データ処理装置
16 モニタ
18 マウス(計測対象)
22 計測ユニット
30 光源ヘッド
32 受光ヘッド
54、170 検体ホルダ
56、172 下型ブロック
58、174 上型ブロック
102 胴部(計測部位)
106(106A、106B)、176 保定部
112、114 凹部
112A、114A 内面
132 溝部(間隙抑制手段)
134 シート体(間隙抑制手段、充填手段)
136 充填部(間隙抑制手段、充填手段)
138 充填剤
178、180 格納部
182 保定アダプタ
184、186 アダプタ(保定アダプタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で光の等方散乱が生じる生体を計測対象とし、該計測対象の計測部位の表皮から射出される光を受光する光計測装置において、前記計測対象の保持に用いられる計測対象保持具であって、
内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質により形成されると共に、長手方向が前記計測対象の体長方向に沿うように前記計測対象の一部が収容される凹部が形成された第1のブロック部材と、
内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質により、前記第1のブロック部材と重ね合わせられることにより外形形状が柱状となるように形成される共に、前記第1のブロック部材が重ねられた状態で第1のブロック部材との間で前記計測対象が収容される凹部が形成された第2のブロック部材と、
前記計測対象の前記計測部位と前記第1のブロック部材及び前記第2のブロック部材との間で、前記光の等方散乱が継続されるように前記計測部位の表皮と前記第1のブロック部材の凹部の内面及び前記第2のブロック部材の凹部の内面との間の間隙を抑制する間隙抑制手段と、
を含む計測対象保持具。
【請求項2】
前記間隙抑制手段が、内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質でかつゲル状の充填剤を、前記第1のブロック部材の凹部の内面及び前記第2のブロック部材の凹部の内面の少なくとも一方と前記計測対象の計測部位の表皮との間に充填する充填手段を、
含む請求項1に記載の計測対象保持具。
【請求項3】
前記間隙抑制手段が、前記第1のブロック部材の凹部の内面及び前記第2のブロック部材の凹部の内面の少なくとも一方に、スジ状に形成された溝部又は突部である、
請求項1に記載の計測対象保持具。
【請求項4】
前記間隙抑制手段が、
前記第1のブロック部材の凹部の内面又は前記第2のブロック部材の凹部の内面の一方にスジ状に形成された溝部又は突部と、
内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質でかつゲル状の充填剤を、前記第1のブロック部材の凹部の内面又は前記第2のブロック部材の凹部の内面の一方と前記計測対象の計測部位の表皮との間に充填する充填手段と、
を含む請求項1に記載の計測対象保持具。
【請求項5】
前記間隙抑制手段が、
前記計測対象の計測部位の外周に応じた内面を有し、内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質で筒体状と成るように形成されて計測対象を計測部位で保定する保定アダプタと、
前記第1及び第2のブロック部材に形成され、前記計測対象の前記計測部位と前記第1のブロック部材及び前記第2のブロック部材との間で、前記光の等方散乱が継続されるように前記計測対象を保定した前記保定アダプタが格納される格納部と、
を含む請求項1に記載の計測対象保持具。
【請求項6】
内部で光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質により形成されると共に、長手方向が生体の体長方向に沿うように該生体の一部が収容される凹部が形成された第1のブロック部材と、
内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質により、前記第1のブロック部材と重ね合わせられることにより外形形状が柱状となるように形成される共に、前記第1のブロック部材が重ねられた状態で第1のブロック部材との間で前記生体が収容される凹部が形成された第2のブロック部材と、
前記生体の体長方向に沿う予め設定された部位と前記第1のブロック部材及び前記第2のブロック部材との間で、前記光の等方散乱が継続されるように前記予め設定された部位の表皮と前記第1のブロック部材の凹部の内面及び前記第2のブロック部材の凹部の内面との間の間隙を抑制する間隙抑制手段と、
を含む生体保持具。
【請求項7】
前記間隙抑制手段が、内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質でかつゲル状の充填剤を、前記第1のブロック部材の凹部の内面及び前記第2のブロック部材の凹部の内面の少なくとも一方と前記生体の前記予め設定された部位の表皮との間に充填する充填手段を、
含む請求項6に記載の生体保持具。
【請求項8】
前記間隙抑制手段が、前記第1のブロック部材の凹部の内面及び前記第2のブロック部材の凹部の内面の少なくとも一方に、スジ状に形成された溝部又は突部である、
請求項6に記載の生体保持具。
【請求項9】
前記間隙抑制手段が、
前記第1のブロック部材の凹部の内面又は前記第2のブロック部材の凹部の内面の一方にスジ状に形成された溝部又は突部と、
内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質でかつゲル状の充填剤を、前記第1のブロック部材の凹部の内面又は前記第2のブロック部材の凹部の内面の一方と前記生体の前記予め設定された部位の表皮との間に充填する充填手段と、
を含む請求項6に記載の生体保持具。
【請求項10】
前記間隙抑制手段が、
前記生体の前記予め設定された部位の外周に応じた内面を有し、内部で前記光の等方散乱が生じる光学特性を有する材質で筒体状となるように形成されて生体を前記予め設定された部位で保定する保定アダプタと、
前記第1及び第2のブロック部材に形成され、前記生体の前記予め設定された部位と前記第1のブロック部材及び前記第2のブロック部材との間で、前記光の等方散乱が継続されるように前記保定アダプタが格納される格納部と、
を含む請求項6に記載の生体保持具。
【請求項11】
励起光が照射されることにより蛍光を発する蛍光標識剤が投与された生体が前記第1及び第2のブロック部材に収容された前記請求項6から請求項10の何れか1項に記載の生体保持具と、
前記生体が収容された前記生体保持具の前記第1及び第2のブロック部材を前記生体の体長方向の両端部で保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された前記生体保持具の前記第1及び第2のブロック部材の外周面の外方から、前記生体の前記予め設定された部位へ向けて前記励起光を照射する光源ヘッドと、
前記光源ヘッドから照射された前記励起光により前記生体の前記予め設定された部位内の前記蛍光標識剤から発せられて、前記生体の体長方向と交差する方向に沿って前記第1及び第2のブロック部材の外周面から射出される蛍光を受光する受光ヘッドと、
を含む光計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−153914(P2011−153914A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15561(P2010−15561)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】