説明

計測装置

【課題】 小型で設置スペースの効率がよく、持ち運びが容易な上、ケーブル接続作業などが不要で作業効率も良く、振動や傾き、揺れ等を容易に検出可能な計測装置を提供する。
【解決手段】 3軸方向の加速度を検出可能な加速度センサ12と、近距離無線伝送機能を有する無線インターフェース18から形成された端末部14と、近距離無線伝送機能を有するとともに携帯電話網に接続可能な携帯情報端末30から成る本体部16から成る。本体部16は、表示部34と、加速度センサ12の検出した計測情報を表示部34に表示させるアプリケーションプログラム38とを備え、加速度センサ12の検出した計測情報を近距離無線伝送により端末部14から本体部16に伝送し、携帯情報端末30の表示部34で表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、振動や傾き、揺れなどを検出した加速度センサの計測情報を近距離無線伝送により伝送し表示する計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁物や建築物、道路などの構造物における振動や傾き、揺れなどを検出するために、互いに直交する3軸方向の加速度を検出する加速度センサが使用されている。加速度センサにより検出された計測情報は、一般に、専用の表示装置に専用ケーブル等を用いて接続し、表示させている。また、計測情報をパソコンに取り込む場合では、シリアル通信やUSB(Universal Serial Bus)などにより通信ケーブルを接続し、専用に開発されたソフトウェアソフトを使用して情報を取得して表示させている。
【特許文献1】特開2002−296294号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の技術では、振動や傾き、揺れを検出した加速度センサの計測情報の取得は、専用ケーブルなど有線ケーブルを接続して、専用表示装置またはパソコンに取り込んでいた。また、加速度センサが検出した計測情報は、加速度センサからはアナログ信号として出力されるため、シリアル通信などで伝送するには、特許文献1にあるように、デジタル信号に変換するデジタル変換装置が必要であった。しかも計測作業を行う場合、例えば、高層建造物など高所で加速度の計測作業を行うには、専用表示装置や重いパソコンを持ち運ぶ必要があり、作業効率がよくないほか、高所でのケーブル接続など作業は、機器や作業員の落下などの危険性も残るものであった。
【0004】
また、狭い場所での計測作業では、加速度センサの他に、デジタル変換装置や通信制御装置などを加速度センサ近傍に据え置く必要があり、作業性やスペース効率もよくないものであった。
【0005】
その他、計測情報の取得から表示に使用するパソコンとの接続に、無線を使用するものもあるが、この場合も重いパソコンを持ち運ぶ手間やスペース効率の問題が残るものであった。
【0006】
この発明は、上記従来技術の問題に鑑みて成されたもので、小型で設置スペースの効率がよく、持ち運びが容易な上、ケーブル接続作業などが不要で作業効率も良く、振動や傾き、揺れ等を容易に検出可能な計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、3軸方向の加速度を検出可能な加速度センサと、近距離無線伝送機能を有する無線インターフェースから形成された端末部と、近距離無線伝送機能を有するとともに携帯電話網に接続可能な携帯情報端末から成る本体部と、この本体部に設けられた表示部と、前記加速度センサの検出した計測情報を前記表示部に表示させるアプリケーションプログラムとを備え、前記加速度センサの検出した計測情報を近距離無線伝送により前記端末部から前記本体部に伝送し、前記携帯情報端末の表示部で表示可能とした計測装置である。
【0008】
さらに、前記無線インターフェースは、前記加速度センサから入力したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部と、近距離無線伝送を制御する送受信ドライバと、前記A/D変換部と送受信ドライバを制御する制御部が一体的に設けられたものである。
【0009】
前記携帯情報端末は、携帯電話網を介して前記端末の計測情報を蓄積する加速度情報サーバに、計測情報の読み書き可能に接続できるものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の計測装置によれば、加速度センサが検出したアナログ信号をデジタル信号に変換し近距離無線伝送する装置が一体に形成されるため、小型であり設置スペースの効率が良いものである。また、計測情報は、近距離無線伝送された情報を受信する携帯情報端末に表示されるため、端末部と携帯情報端末のケーブル接続が不要であり、作業効率がよいものである。さらに、計測情報の表示は、携帯電話網からダウンロードして、インストールするアプリケーションプログラム等を利用して可能であるため、重いパソコンを持ち運ぶ必要もなく、持ち運びが容易なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の計測装置一実施形態について、図1〜図3を基にして説明する。この実施形態の計測装置10は、任意の場所に加速度センサ12を設置し、互いに直交する3軸の加速度を検出して、振動や揺れ、傾き等を測定する測定装置として使用される。
【0012】
この実施形態の計測装置10は、図1に示すように、端末部14と本体部16から成る。端末部14は、3軸の加速度を検出する加速度センサ12と、無線インターフェース18がセンサケーブル20で接続されて形成されている。無線インターフェース18は、加速度センサ12から出力されたアナログ信号を、センサケーブル20を介して入力するA/D変換部22と、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線伝送による送受信を制御する送受信ドライバ26、A/D変換部22、及び送受信ドライバ26を制御する制御部28から形成されている。そして、図示しない外装部材に格納されている。また、無線インターフェース18には、図示しない近距離無線伝送用のアンテナが取り付けられている。さらに、図示しない電源部やその他必要に応じて処理回路等が設けられている。
【0013】
この端末部14に対して近距離無線伝送可能に形成された本体部16は、図2に示すように、携帯情報端末30から成るものであり、携帯情報端末30には、計測データが表示可能な表示部34、及びボタンなどにより各種操作を行う操作部36が設けられている。また、携帯情報端末30には、近距離無線伝送用の送受信ドライバ32と、図示しない携帯電話網用の送受信回路、及びそれぞれのアンテナが設けられている。さらに、処理用のCPUや記憶装置が内蔵され、記憶装置には加速度センサ12の計測情報を表示させるアプリケーションプログラム38が実行可能にインストールされている。このアプリケーションプログラム38は、表示部34の表示形式を操作部36の操作により、図2に示すようなグラフ、または計測数値などに切り換える切換機能を有しているものである。
【0014】
次に、この計測装置10の使用方法及び動作について説明する。まず、振動や揺れ、傾きを検出したい場所に端末部14を設置する。この際、加速度センサ12を測定対象物に固定する。また、本体部16の携帯情報端末30には、アプリケーションプログラム38を専用サーバからダウンロードしてインストールし、実行可能にしておく。そして、端末部14の図示しない電源を入力し稼働させる。すると、加速度センサ12が検出した計測情報は、アナログ信号として無線インターフェース18のA/D変換部22に入力され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された計測情報は、制御部28にて演算加工処理されて送受信ドライバ26を介し近距離無線伝送される。送信された計測情報は、携帯情報端末30が受信し、携帯情報端末30側の送受信ドライバ32を介して、携帯情報端末30のアプリケーションプログラム38により処理される。処理された計測情報は、操作部36により所定の操作を行うと、表示部34に計測情報としてグラフ等で表示される。さらに、必要に応じて図3に示すように、携帯電話網を介して加速度情報サーバ40などに送信・蓄積される。
【0015】
この実施形態の計測装置10によれば、検出場所に設置する端末部14と、有線接続することなく、近距離無線伝送により携帯情報端末30が計測情報を受信し、表示することができる。そのため、有線接続では設置が難しい鉄橋や陸橋など橋梁物や、高層建築物などの建造物の振動や傾き、揺れなどの計測に際しても、容易に設置可能なものである。また、携帯情報端末30にインストールするアプリケーションプログラム38は、専用サーバからダウンロードしてインストールし実行できるため、専用機器やパソコンが不要であり、例えば、携帯電話などが使用可能なため、持ち運びが容易なものである。このため、火山の火口周辺や地震直後の災害地、崖崩れなど、大きな機材が設置困難な場所でも、設置及び計測可能なものである。さらに、図3に示すように、遠隔地の複数箇所の計測情報を、携帯電話網に接続可能な携帯情報端末30により、例えば加速度情報サーバ40などに常時または定期的に送信し蓄積させることも可能であり、管理端末42などで一括管理することが可能なものである。
【0016】
なお、近距離無線伝送には、Bluetooth(登録商標)以外の無線伝送方式も適宜使用できるものである。また、端末部14の電源は、乾電池や商用電源などのほか、太陽電池や風力発電などの自然エネルギーを利用した発電装置を用いても良く、簡単に人が近付けない検出場所や遠隔地でも、太陽電池等を用いることにより長時間の計測を可能とするものである。
【0017】
この発明の計測装置は上記実施形態に限定されるものではなく、加速度センサを無線インターフェースと一体に形成しても良く、これによりセンサケーブルが端末部に露出しないため、取り扱い性がよい。また、無線インターフェースに記憶装置を取り付けることにより、無線断などの無通信時に、計測情報の記録を行うことが可能であり、遠隔地や容易に手の届かない場所では、より確実に計測情報を収集することが可能となるものである。
【0018】
また、携帯電話網は、公衆または構内携帯電話網を含んでも良く、通信手段として、無線LAN(Local Area Network)の規格を用いても良く、通信手段は適宜選択可能なものである。さらに、携帯情報端末には、アプリケーションプログラムをダウンロードしてインストール及び実行可能であれば、携帯電話のほかに、PDA(Personal Digital Assistant)やPHS(Personal Handyphone System)など、適宜選択可能なものである。そのほか、携帯情報端末の表示部への表示形式は、アプリケーションプログラムを変更することで、適宜対応可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態の計測装置を示す概略構成図である。
【図2】この実施形態の計測装置の携帯情報端末を示す概略図である。
【図3】この実施形態の計測装置の使用例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0020】
10 計測装置
12 加速度センサ
14 端末部
16 本体部
18 無線インターフェース
22 A/D変換部
26,32 送受信ドライバ
28 制御部
30 携帯情報端末
34 表示部
38 アプリケーションプログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3軸方向の加速度を検出可能な加速度センサと、近距離無線伝送機能を有する無線インターフェースから形成された端末部と、近距離無線伝送機能を有するとともに携帯電話網に接続可能な携帯情報端末から成る本体部と、この本体部に設けられた表示部と、前記加速度センサが検出した計測情報を前記表示部に表示させるアプリケーションプログラムとを備え、前記加速度センサが検出した計測情報を近距離無線伝送により前記端末部から前記本体部に伝送し、前記携帯情報端末の表示部で表示可能としたことを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記無線インターフェースは、前記加速度センサから入力したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部と、近距離無線伝送を制御する送受信ドライバと、前記A/D変換部と送受信ドライバを制御する制御部が一体的に設けられたことを特徴とする請求項1記載の計測装置。
【請求項3】
前記携帯情報端末は、携帯電話網を介して前記端末の計測情報を蓄積する加速度情報サーバに、計測情報の読み書き可能に接続できることを特徴とする請求項1または2記載の計測装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−309373(P2006−309373A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−128930(P2005−128930)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(591020445)立山科学工業株式会社 (71)
【Fターム(参考)】