説明

記録システム、サーバ、端末、及び記録配信方法

【課題】
テレビ電話機器による撮像内容が記録を行った側の機器に記録されると、記録されたユーザから記録を編集したり取り消したりすることができない。
【解決手段】
ネットワークに接続しており、撮像機能付き端末による撮像内容の管理を行うサーバと、該ネットワークに接続している複数の撮像機能付き端末で構成されるシステムにおける撮像記録管理方法であって、前記システム内の第1の撮像機能付き端末において、前記第1の撮像機能付き端末とは異なる1台あるいは複数台の通信先撮像機能付き端末と通信を終了した後に、前記通信中に撮像された撮像内容の配信に関する条件を設定し、前記サーバに対して該条件を送信するステップと、前記サーバにおいて、該条件に応じて撮像内容あるいは撮像内容の配信を拒否する旨の通知を含む情報を該条件の設定対象である機器に対して送信するステップと、を備えることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野は、ネットワークに接続された端末のデータの記録に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットや携帯電話などの通信網、電話回線などを利用したテレビ電話機器の普及により、デジタルカメラで撮影される動画又は静止画を見ながら通話することが可能になった。このようなテレビ電話機能の利便性を向上させる技術として、通話中に送受信される画像や音声を記録する方法についても数々の提案がなされてきた。
【0003】
特許文献1には、「通話先で動画又は静止画と音声による通話を記録する場合において、通話元から通話記録の許可/不許可を設定することができる携帯情報端末を提供すること」(特許文献1[0004]参照)や、「動画又は静止画と音声による通話において、留守録又は互いに位置情報を表示する場合に、より分かりやすく再生又は表示することができる携帯情報端末を提供すること」(特許文献1[0005]参照)を課題とし、その解決手段として「特定の交信先と情報の交信が可能な携帯情報端末装置において、交信情報の記録が可能な記録手段と、前記交信情報が交信先携帯情報端末装置において記録されることを拒否又は許可する交信記録制御信号を交信先の携帯情報端末装置に対して送信する交信記録制御信号送信手段と、交信先から受信した交信記録制御信号の内容を判断する判断手段と、前記判断手段による判断の結果に応じて交信情報の前記記録手段への記録動作を制御する記録制御手段と、を備えたこと」(特許文献1[0006]参照)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−295329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によれば、通話者の許可なく撮像内容が記録されることは防げるので、通話者の肖像権やプライバシーをある程度保護できる。しかし、記録されるユーザが撮像記録を許可するように設定すると、撮像内容は記録する側の機器にリアルタイムで記録される。そのため、保存された撮像記録を記録されたユーザが確認することができない。また、記録されては不都合な状況が不意に発生して記録を中止する処理が間に合わなかった場合でも、保存された撮像記録を削除することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一実施の態様は、例えばサーバと複数の端末とを有し、サーバは一つの端末から記録を開始する指示を受信すると、その端末とは異なる端末から送信されたデータを記録し、その記録したデータの配信条件の設定に関する情報をデータの送信元の端末に送信するように構成する。
【発明の効果】
【0007】
上記手段によれば、ユーザにとって使い勝手の良い装置を提供することができる。具体的に例えば、テレビ電話による撮像内容を記録されたユーザがその記録を確認した上で、撮像記録の配信可否や配信条件を通話終了後に決定することが可能となり、通話者のプライバシー等を保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】システム構成の一例を示す図
【図2】テレビ電話機器の構成の一例を示すブロック図
【図3】記録管理サーバの構成の一例を示すブロック図
【図4】第1の実施例における処理の一例を示すフロー図
【図5】配信条件設定処理の一例を示すフロー図
【図6(a)】配信条件設定時に表示する画面の一例を示す図
【図6(b)】配信条件設定時に表示する画面の一例を示す図
【図6(c)】配信条件設定時に表示する画面の一例を示す図
【図6(d)】配信条件設定時に表示する画面の一例を示す図
【図6(e)】配信条件設定時に表示する画面の一例を示す図
【図6(f)】配信条件設定時に表示する画面の一例を示す図
【図7】配信内容設定処理の一例を示すフロー図
【図8】条件承諾確認時に表示する画面の一例を示す図
【図9】第2の実施例における処理の一例を示すフロー図
【図10】再生情報生成処理の一例を示すフロー図
【図11】第1の実施例における記録管理サーバが管理するデータ構成の一例を示す図
【図12】第2の実施例における記録管理サーバが管理するデータ構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を、図面により詳細に説明する。なお、一般的に通話とは電話による音声の通信を意味するが、以下の説明では、「通話」の意味に映像や文字情報の通信も含めるものとする。
【実施例1】
【0010】
(機器の基本構成)
図1は、本実施例におけるシステムの構成例を示す概要図である。図1に示すシステムは、テレビ電話機器20と、記録管理サーバ30とが、たとえばインターネット網や電話回線などのネットワークを通じて接続される構成になっている。テレビ電話機器20は様々な種類が考えられるが、例えば、固定電話式のテレビ電話機や、テレビ電話機能を有する携帯電話端末などが考えられる。図1にはテレビ電話機器20を2台示しているが、3台以上のテレビ電話機器がネットワークに接続していてもよい。
【0011】
図2は、テレビ電話機器20の構成例を示すブロック図である。102は機器の記録に関する制御を行う記録制御部、103は動画又は静止画などの各種情報を表示するディスプレイなどの表示部、104はユーザからの操作を受け付けるキーボードなどの操作部、105はマイクやスピーカーなどの音声入出力部、106は画像データの伸長、圧縮、符号化、復号化などの処理を行う画像処理部、107はネットワークに接続するための機能であるネットワーク部、108は各種情報を記憶する記憶部、109は時刻を取得する時刻取得部、110は動画又は静止画像を撮影する撮像部である。
【0012】
図3は、記録管理サーバ30の構成例を示すブロック図である。202は機器の記録に関する制御を行う記録制御部、203は画像データの伸長、圧縮、符号化、復号化、及びトランスコード(画質変換)などの処理を行う画像処理部、204は時刻を取得する時刻取得部、205はネットワークに接続するための機能であるネットワーク部、206は制御情報などを記憶する記憶部である。ここで記録管理サーバ30は単一機器である必要はない。複数の機器で構成されていてもよい。複数に分けることにより、障害リスクを分散できるという効果もある。
【0013】
次に、ユーザが通話を開始し、撮像内容を記録する際の手順を説明する。ここで、通話を行うユーザは記録管理サーバにユーザ識別情報を登録しており、撮像内容の記録や撮像記録配信などの処理に必要となる情報を記録管理サーバにアップロードすることを承認しているとする。ユーザ識別情報は、少なくともユーザを区別できる情報を含んでいることとし、例えば、ユーザ固有のIDや電話番号などが好ましい。また、ユーザそれぞれを区別するのではなく、装置を識別するものであってもよい。
【0014】
図4は、第1の実施例における通話を開始してから撮像記録などの配信を完了するまでの処理の一例を示す。ここで、二人のユーザ、ユーザA及びBがそれぞれのテレビ電話機器20aとテレビ電話機器20bを用いて通話を開始したとする(S301及びS361)。
【0015】
通話が開始されると、ユーザA及びBがそれぞれ使用しているテレビ電話機器20a、20bの撮像部110によって撮影される動画又は静止画及び、音声入出力部105によって入力される音声を含む撮像内容を記録管理サーバ30へ送信する。ただし、記録管理サーバ30へ撮像内容の送信を開始するタイミングは、後述する記録開始情報が送信されたとき(S302)でもよい。
【0016】
まず、ユーザAが操作部104を用いて撮像内容の記録を開始する操作を行うと、テレビ電話機器20aは記録管理サーバ30に対して、ユーザ識別情報などを含む記録開始情報をネットワーク部107から送信する(S302)。
【0017】
記録開始情報を受信した記録管理サーバ30は、撮像内容を記憶部206へ記録開始する(S332)。ここで記録管理サーバ30は、再生するときに両者の会話を再現する利便性を考慮するとユーザAとユーザBの双方の撮像内容を記録することが好ましいが、ユーザBの撮像内容だけを記録してもよい。また、撮像内容は、少なくとも記録を区別できる情報を含む記録IDや、通話を行っているユーザのユーザ識別情報、記録の開始/終了時刻などと関連付けて記憶部206へ記録する。
【0018】
次に、ユーザAが操作部104を用いて撮像内容の記録を終了する操作を行うと、テレビ電話機器20aは記録管理サーバ30に対して、ユーザ識別情報などを含む記録終了情報をネットワーク部107から送信する(S303)。記録終了情報を受信した記録管理サーバ30は例えばユーザ識別情報をもとに記録を終了させる撮像内容を特定し、記憶部206への記録を終了する(S333)。
【0019】
なお、ユーザAによって記録を終了する操作が行われることなく通話が終了した場合は、テレビ電話機器20aは通話終了時(S304及びS364)に記録終了情報を記録管理サーバ30に対して送信することが望ましい。また、端末の電源断などのアクシデントも考慮し、記録管理サーバ30は、一定期間テレビ電話機器20aあるいは20bからアクセスがなかった場合は、自動的に記録を終了させてもよい。
【0020】
通話が終了すると、記録管理サーバ30はテレビ電話機器20bに対して、配信条件の設定を求める通知及び記録IDを送信する(S335)。ここで配信条件とは、ユーザB側の撮像記録(すなわち、テレビ電話機器20bで撮像された記録)をユーザA側に配信する際の条件のことで、例えば配信の許可あるいは拒否、配信する撮像記録の画質、配信する撮像記録に対する課金額などを指す。配信条件の設定を求める通知を受信すると、ユーザBは表示部103に表示される各種設定画面に従い、操作部104を用いて配信条件を設定する(S365)。配信条件の設定について以下説明する。
【0021】
図5は、配信条件を設定する際の処理の例を示す。また、図6は、配信条件を設定する際の画面表示の例を示す。
【0022】
まず、S401では、例えば図6(a)に示す配信可否設定画面に従い、撮像記録の配信を許可するか、拒否するか、あるいは撮像記録を確認してから許可/拒否を決めるかをユーザBが選択する。「許可」が選択された場合はS402へ進み、「拒否」が選択された場合はS404へ進む。
【0023】
「許可」または「拒否」が選択された場合には、その内容を配信可否情報として記憶部108に記憶する。「確認後に許可/拒否を決定」が選択された場合は、S411において記憶部108に撮像記録が保存されているかどうかを判断し、既に保存されている場合はS413に、保存されていない場合はS412に進む。
【0024】
S412では、撮像記録を記録管理サーバ30からダウンロードする。テレビ電話機器20bがダウンロードする対象となる撮像記録は、例えば記録IDをもとに特定する。テレビ電話機器20bは、ダウンロードした撮像記録を記憶部108に保存する。
【0025】
なお、ここでダウンロードできるのはユーザBの撮像記録のみであり、ユーザAの撮像記録はダウンロードできない。また、ここではユーザBは自装置の撮像内容をテレビ電話機器20bに記録していないことを前提として記録管理サーバ30からダウンロードするとしたが、テレビ電話機器20bに自装置側の撮像内容を記録する手段があり、それが記憶部108に記録されている場合は、撮像記録のダウンロードを省略してもよい。
【0026】
あるいは、ユーザBがテレビ電話機器20bの記憶部108を消費したくない場合は、記録管理サーバ30からストリーミングで視聴してもかまわない。
【0027】
撮像記録のダウンロードが終わるとS413へ進み、撮像記録を再生する。撮像記録の再生は、ダウンロードした記録を画像処理部106によって処理し、表示部103に表示させることで実現する。
【0028】
撮像記録の再生が終わるか、あるいはユーザBが撮像記録の再生を中断する操作を操作部104によって行うと再びS401へ戻る。S413では、再生の他に、撮像記録の一部削除や、背景の加工などの編集を行えるようにしてもよい。また、S413で撮像記録の編集を行った場合は、例えば編集済みの撮像記録を直接テレビ電話機器20aに送信して配信条件設定処理を終了し、以後の処理(図4のS306〜S307、S335〜S337、及びS366)を省略してもよい。
【0029】
次に、S402では、例えば図6(b)に示す画質設定画面に従い、配信する撮像記録の画質をユーザBが選択する。図6(b)では画質の選択肢は「高画質」、「低画質」、「画像なし(音声のみ)」の三つとしているが、選択肢の数は三つでなくてもよい。
【0030】
また、「高画質」や「低画質」などの抽象的な表現の代わりに画面解像度やビットレートを数値で示してもよいし、ユーザが画面解像度やビットレートを数値で指定できるようにしてもよい。画質が設定された後、「次へ」が選択された場合は設定内容を記憶部108に画質情報として記憶した上でS403へ進み、「戻る」が選択された場合はS401へ戻る。
【0031】
さらに、S403では、例えば図6(c)に示す課金額設定画面に従い、配信する撮像記録に対する課金額をユーザBが設定する。課金額が設定された後、「次へ」が選択された場合は設定内容を記憶部108に課金情報として記憶した上でS404へ進み、「戻る」が選択された場合はS402へ戻る。
【0032】
最後に、S404では、例えば図6(d)に示す確認画面に従い、配信設定の確認をユーザBが行う。確認画面は、配信可否情報、画質情報、及び課金情報を記憶部108から呼び出して生成する。確認画面において「決定」が選択された場合は配信条件設定の処理を終了し、「戻って修正する」が選択された場合はS401へ戻る。
【0033】
図5に示す配信条件設定を完了させるためには最低でも4つのステップを実行する必要があり、通話を終了する度にこの操作を行うことが煩雑に感じられる場合もある。この煩雑さを軽減するために、例えばユーザBはあらかじめ「記録許可ユーザリスト」「記録拒否ユーザリスト」にそれぞれ記録を許可/拒否するユーザや、許可するユーザに対する配信条件を登録し、リストに登録されているユーザと通話を行った場合は上記のS401〜403、S411〜413を省略して、配信条件設定の最初のステップがS404となるようにしてもよい。
【0034】
S404における確認画面は、例えば記録許可ユーザリストに登録されているユーザと通話を行った場合には図6(e)、記録拒否ユーザリストに登録されているユーザと通話を行った場合には図6(f)に示す画面とする。また、リストに登録されていないユーザとの通話を行った場合でも、過去にそのユーザに対する配信条件の設定を行ったことがある場合は、前回の設定を反映させることで上記のS401〜403、S411〜413を省略し、例えば図6(e)あるいは図6(f)に示すような確認画面を表示してもよい。
【0035】
図4の説明に戻り、S365以降の処理について説明する。配信条件の設定が終わると、テレビ電話機器20bは記録管理サーバ30に対して配信可否情報、画質情報、及び課金情報を含む配信条件情報を送信する(S366)。配信条件情報に基づき、記録管理サーバ30はテレビ電話機器20aに対して配信する内容を設定する(S336)。
【0036】
図7は、配信内容を設定する際の処理の例を示す。まず、記録管理サーバ30はユーザBによる配信可否情報が「許可」「拒否」のいずれに設定されているか判断する(S601)。「許可」に設定されている場合はS602に進み、「拒否」に設定されている場合はS604に進む。
【0037】
次に、記録管理サーバ30はテレビ電話機器20aに対して配信条件情報を通知し、ユーザAが配信条件を承諾するかどうか確認する(S602及び図4のS306)。配信条件を承諾するかどうかを確認する方法としては、例えば、配信条件情報に基づいて生成された図8に示すようなメッセージをテレビ電話機器20aに対して送信し、メッセージを表示部103に表示する。
【0038】
このメッセージに対する回答をユーザAが操作部104を用いて入力し、テレビ電話機器20aは入力内容を記録管理サーバ30に対して送信する。ユーザAの承諾が得られた場合にはS603に進み、承諾が得られなかった場合はS604に進む。S603では撮像記録を配信内容として設定し、S604では配信不可通知を配信内容として設定する。ここで配信内容の配信元と配信先は、それぞれ記録管理サーバ30とテレビ電話機器20aである。
【0039】
配信不可通知は、ユーザBが配信を拒否したことに因る場合には例えば、「相手ユーザの許可が得られないため、撮像記録を配信することができません」、ユーザAが配信条件を承諾しなかったことに因る場合は例えば、「相手ユーザの条件に対する承諾が得られないため、撮像記録を配信することができません」などのメッセージとする。
【0040】
配信条件設定と同様に、通話を終了する度に配信条件を承諾するかを回答する操作が煩雑に感じられる場合がある。この煩雑さを軽減するために、例えばユーザAはあらかじめ条件を承諾する画質の下限値や課金額の上限値などを登録しておき、配信条件がこれを満たしているときは承諾する、満たしていない場合は承諾しないと見なしてS601を省略してもよい。
【0041】
図4の説明に戻り、配信内容の設定が終わると、記録管理サーバ30はテレビ電話機器20aに対して配信内容を送信する(S337)。配信内容に撮像記録が含まれており、配信条件で設定された画質が記憶部206に記録されているものと異なる場合には、画像処理部203を用いて、設定された画質へ変換してから撮像記録を送信する。
【0042】
また、配信内容に撮像記録が含まれており、配信条件で課金を行う設定がされている場合には、例えばユーザA及びBのユーザ識別情報と関連付けて、それぞれ課金額の受け取りと支払いに関する情報を記憶部206に保存する。課金額の受け取り、支払いには様々な方法が考えられるが、説明を省略する。
【0043】
最後に、テレビ電話機器20aが配信内容を受信すると、一連の処理が完了する(S307)。
図11は、記録管理サーバ30が管理するデータ構成の一例を示す。記録管理サーバ30は、記録ID、記録開始日時、記録終了日時、記録したユーザ、記録されたユーザ、配信条件、条件承諾の有無などの情報を管理する。
【0044】
本実施例では、説明をわかりやすくするために、二人のユーザが通話を行い、そのうちの一方が記録の開始/終了を指示するという前提で流れを説明した。
【0045】
しかし、実際には通話を行っているユーザの両方が撮像内容を記録したい場合も考えられる。このような場合は例えば、記録管理サーバ30は両ユーザのうちどちらか一方が記録を開始した時点で両ユーザの撮像内容の記録を開始し、両ユーザとも記録を終了した時点で、もしくは通話を終了した時点で記録を終了する。
【0046】
この撮像記録と共に、それぞれのユーザが記録の開始/終了を指示した時刻の情報を記憶部206に記録し、各ユーザが記録を開始/終了したタイミングを特定できるようにする。そして、それぞれのユーザが相手ユーザによって記録された内容について配信可否・配信条件の設定を行い、設定と条件承諾が完了し次第、記録を行ったユーザに配信内容を配信する、という形態をとってもよい。
【0047】
また、三人以上のユーザで通話を行い、その撮像内容を記録する場合も考えられる。このような場合は例えば、記録管理サーバ30は全ユーザのうち誰かが記録を開始した時点で全ユーザの撮像内容の記録を開始し、記録開始を指示したユーザが全て記録を終了した時点で、もしくは通話を終了した時点で記録を終了する。この撮像記録と共に、それぞれのユーザが記録の開始/終了を指示した時刻の情報を記憶部206に記録し、各ユーザが記録を開始/終了したタイミングを特定できるようにする。
【0048】
そして、それぞれのユーザが他のユーザによって記録された内容について配信可否・配信条件の設定を行い、設定と条件承諾が完了し次第、記録を行ったユーザに配信内容を配信する、という形態をとってもよい。
【0049】
撮像記録の配信先となる機器については、撮像内容を記録されたユーザと通話を行ったユーザの撮像機能付き端末に限定せず、撮像内容を記録されたユーザが配信を許可した上で配信条件を設定した機器に対象を拡張してもよい。
【0050】
本実施例によれば、テレビ電話による撮像内容を記録されたユーザがその記録を確認した上で、撮像記録の配信可否や配信条件を通話終了後に決定することが可能となり、ユーザのプライバシー等を適切に保護できる。
【実施例2】
【0051】
図9は、第2の実施例における通話を開始してから再生情報などの配信を完了するまでの処理の一例を示す。第1の実施例では撮像記録を記録管理サーバ30に記録していたが、第2の実施例では撮像記録を記録する側の機器に再生不可能な状態で保存し、記録されるユーザの配信条件の設定に応じて撮像記録を再生可能な状態へ変更する。
【0052】
ここで、再生不可能な状態とは例えば所定の方法で暗号化された状態を指す。また、以下の説明で使用する再生不能化情報とは撮像記録を再生不可能な状態にするための例えば暗号鍵のような情報、再生情報とは撮像記録を再生可能な状態に戻すための例えば復号鍵のような情報である。第2の実施例でも第1の実施例と同様に、二人のユーザ、ユーザA及びBがそれぞれのテレビ電話機器20aとテレビ電話機器20bを用いた通話を例に説明を行う。
【0053】
通話を開始(S801及びS861)した後、ユーザAが操作部104を用いて撮像内容の記録を開始する操作を行うと、テレビ電話機器20aは記録管理サーバ30に対して、ユーザ識別情報などを含む記録開始情報をネットワーク部107から送信する。
【0054】
記録管理サーバ30は記録開始情報を受信すると(S832)、少なくとも記録を区別できる情報を含む記録IDなどと関連付けて記憶部206へ記録する。一方、記録管理サーバはテレビ電話機器20aに対して、再生不能化情報などをネットワーク部205から送信する。
【0055】
次に、テレビ電話機器20aは、テレビ電話機器20bによって撮影及び送信される撮像内容を再生不能化情報により、記憶部108に再生不可能な状態での記録を開始する(S802)。記録した撮像内容は、再生情報によって再生可能な状態に変更しない限り再生できないものとする。テレビ電話機器20aがユーザA及びBの双方の撮像内容を記録する場合には、ユーザAの記録に関しては再生可能な状態で記録してもよい。
【0056】
さらに、ユーザAが操作部104を用いて撮像内容の記録を終了する操作を行うと、テレビ電話機器20aはユーザ識別情報などを含む記録終了情報をネットワーク部107から送信すし、記憶部108への撮像内容の記録を終了する(S803)。なお、ユーザAによって記録を終了する操作が行われることなく通話が終了した場合は、テレビ電話機器20aは通話終了時(S804及びS864)に記録終了時と同様の処理を行うことが望ましい。
【0057】
記録管理サーバ30は記録終了情報を受信すると(S833)、テレビ電話機器20bに対して、配信条件の設定を求める通知を送信する(S835)。配信条件の設定(S865)の処理の一例は図5に示す通りであり、処理の流れは第1の実施例と同様であるが、撮像内容をテレビ電話機器20aに記録する都合上、図5のS412及びS413では第1の実施例とは異なる処理を行う。
【0058】
S412では、テレビ電話機器20bはテレビ電話機器20aに記録されている再生不可能な状態の撮像記録をダウンロードする。その後、S413では記録管理サーバ30から再生情報を受信して、撮像記録を再生する。ここではユーザBは自装置の撮像内容をテレビ電話機器20bに記録していないことを前提としてテレビ電話機器20aからダウンロードするとしたが、テレビ電話機器20bに自装置側の撮像内容を記録する手段があり、それが記憶部108に記録されている場合は、撮像記録のダウンロードを省略してもよい。
【0059】
また、S413で撮像記録の編集を行った場合は、例えば編集済みの撮像記録を直接テレビ電話機器20aに送信して配信条件設定処理を終了し、以後の処理(図9のS806〜S807、S835〜S837、及びS866)を省略してもよい。
【0060】
配信条件の設定が終わると、テレビ電話機器20bは記録管理サーバ30に対して配信可否情報、画質情報、及び課金情報を含む配信条件情報を送信する(S866)。配信条件情報を受信すると、記録管理サーバ30は、配信条件情報に応じた再生情報を生成する(S836)。
【0061】
図10は、再生情報を生成する際の処理の一例を示す。まず、記録管理サーバ30はユーザBによる配信可否情報が「許可」「拒否」のいずれに設定されているか判断する(S901)。「許可」に設定されている場合はS902に進み、「拒否」に設定されている場合は処理を終了する。
【0062】
次に、記録管理サーバ30はテレビ電話機器20aに対して配信条件情報を通知し、ユーザAが配信条件を承諾するかどうか確認する(S902及び図9のS806)。ユーザAの承諾が得られた場合はS903に進み、承諾が得られなかった場合は処理を終了する。S903では再生情報を生成する。
【0063】
図9の説明に戻り、S836以降の処理について説明する。再生情報の生成が終わると、記録管理サーバ30はテレビ電話機器20aに対して再生情報を配信する(S837)。ただし、ユーザBによる配信可否情報が「拒否」に設定されている場合や、ユーザAが配信条件を許諾しなかった場合には再生情報を配信せず、代わりに配信不可通知を配信する。
【0064】
なお、再生情報が配信される場合で、配信条件で設定された画質が記憶部108に記録されているものと同等でない場合には、テレビ電話機器20aが撮像記録を設定された画質に変換するための画質変換情報を併せて配信する。
【0065】
また、再生情報が配信される場合で、配信条件で課金を行う設定がされている場合には、例えばユーザA及びBのユーザ識別情報にそれぞれ課金額の支払いと受け取りに関する情報を追加する。
【0066】
テレビ電話機器20aが再生情報もしくは配信不可通知を受信すると、一連の処理が完了する(S807)。画質変換情報を受信した場合は、テレビ電話機器20aは撮像記録を再生可能な状態に変更すると同時に、撮像記録の画質を設定された画質に変換する。なお、画質変換機能を有しないなどの理由でテレビ電話機器20aの内部で画質の変換が行えない場合は、再生不可能な状態の撮像記録を一旦記録管理サーバ30に対して送信し、記録管理サーバ30で画質の変換を行ってから、再びテレビ電話機器20aに送信してもよい。
【0067】
図12は、記録管理サーバ30が管理するデータ構成の一例を示す。記録管理サーバ30は、記録ID、記録開始日時、記録終了日時、記録したユーザ、記録されたユーザ、配信条件、条件承諾の有無、再生不能化情報、再生情報などの情報を管理する。
【0068】
本実施例によれば、通話に用いるテレビ電話以外の機器に撮像内容を記録できない場合においても、撮像内容を記録されたユーザがその記録を確認した上で、撮像記録の配信可否や配信条件を通話終了後に決定することが可能となり、ユーザのプライバシー等を保護できる。
【0069】
以上、本発明の好適な実施例を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこれらの実施例にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。
【0070】
また、上記では2つのテレビ電話と記録管理サーバとを用いた実施例を説明したが、これに限定されず、記録管理サーバの機能を2つのテレビ電話のうちの少なくとも1つが有していることにより、記録管理サーバを用いず、2つのテレビ電話のみで上記実施例と同様の効果が得られる。
【0071】
また、上記ではテレビ電話を例に説明したが、これに限定されず、例えば音声のみの電話やデータ通信に関して、音声データの記録や送受信するデータの記録への適用も可能である。
【符号の説明】
【0072】
10:ネットワーク
20:テレビ電話機器
30:記録管理サーバ
S301-366:第1の実施例における全体処理のステップ
S401-413:第1の実施例における配信条件設定処理のステップ
S601-604:第2の実施例における配信内容設定処理のステップ
S801-866:第2の実施例における全体処理のステップ
S901-903:再生情報生成処理のステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続するネットワーク接続部と、前記ネットワーク接続部を介して入力されたデータを記録する記録部とを備えるサーバと、
動画又は静止画を撮像する撮像部と、ネットワークを介して前記撮像部で撮像された動画又は静止画のデータを送信するネットワーク接続部と、を備える第1の端末と、
動画又は静止画を撮像する撮像部と、ネットワークを介して前記撮像部で撮像された動画又は静止画のデータを送信するネットワーク接続部と、を備える第2の端末と、を有する記録システムであって、
前記サーバは前記第1の端末から記録を開始する指示を受信すると、前記第2の端末から送信された動画又は静止画を前記記録部に記録し、当該記録した動画又は静止画の配信条件の設定に関する情報を前記第2の端末に送信する記録システム。
【請求項2】
請求項1の記録システムであって、
前記配信条件には、配信の可否、配信する画像の画質、配信する画像に対する課金の有無のうち少なくとも1つを含む記録システム。
【請求項3】
請求項1又は2の記録システムであって、
前記サーバは、前記第2の端末から送信された動画又は静止画と共に前記第1の端末から送信された動画又は静止画も前記記録部に記録する記録システム。
【請求項4】
ネットワークに接続するネットワーク接続部と、
前記ネットワーク接続部を介して入力されるデータを記録する記録部と、
前記ネットワーク接続部を介して第1の端末から送信されたデータを記録する指示を受信すると、前記第1の端末から送信されたデータを前記記録部に記録し、当該記録したデータの配信条件に関する情報を前記第1の端末に送信するよう制御する制御部とを有するサーバ。
【請求項5】
請求項4のサーバであって、
前記第1の端末から送信されたデータを記録する指示は、前記第1の端末とは異なる第2の端末から送信されるサーバ。
【請求項6】
請求項5のサーバであって、
前記制御部は、前記第1の端末から送信されたデータと共に前記第2の端末から送信されたデータも前記記録部に記録するよう制御するサーバ。
【請求項7】
ネットワークに接続するネットワーク接続部と、
前記ネットワーク接続部を介して入力されるデータを記録する記録部と、
前記ネットワーク接続部を介して入力されるデータを前記記録部に記録した場合に、当該記録したデータの送信元が設定した配信条件に関する情報を前記ネットワーク接続部から受信し、当該配信条件に従って前記記録したデータを再生するよう制御する制御部とを有する端末。
【請求項8】
複数の端末から送信されたデータをサーバで記録し、記録したデータを配信する記録配信方法であって、
前記サーバにおいて前記複数の端末のうちの第1の端末から当該第1の端末とは異なる第2の端末から送信されるデータを記録する指示を受信する記録指示受信ステップと、
前記サーバにおいて前記第2の端末から送信されるデータを記録する記録ステップと、
前記記録ステップで記録したデータの配信条件の設定に関する情報を前記第2の端末に送信する配信条件確認ステップと、
前記配信条件確認ステップで送信された情報に基づいて前記第2の端末で配信条件を設定する配信条件設定ステップと、
前記配信条件設定ステップで設定された配信条件に基づいて前記記録ステップで記録したデータを前記第1の端末に配信する配信ステップと、を有する記録配信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図6(c)】
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【図6(d)】
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【図6(e)】
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【図6(f)】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−61261(P2011−61261A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205439(P2009−205439)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】