説明

記録再生装置、記録再生プログラム、及び記録再生方法

【課題】CD等からトラック単位でファイルが構成されるようにリッピングを行う際に、各ファイルのデータにおいて頭切れが生じるのを防止することができる技術を提供する。
【解決手段】所定の記録媒体において所定の記録単位で記録されている各コンテンツデータを順次再生して得られる再生信号を、順次所定形式のデータに変換しながら、所定の記憶装置に対し、記録単位毎に異なるファイルとして書き込むことにより記録を行う記録再生装置において、記録単位毎に再生終了を検出する検出手段(ステップ41)と、検出手段により再生終了が検出されたとき、記録媒体についての再生動作を一時停止する一時停止手段(ステップ45)とを設け、次の異なるファイルのオープンが完了するまで、一時停止手段による一時停止を継続する(ステップ50)ようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽CDやDVDビデオ等に記録されているデジタルデータをパソコンや再生装置等で処理できるようなファイル形式に変換して記憶装置に取り込む記録再生装置、記録再生装置を所定の手段として機能させる記録再生プログラム、及び記録再生装置における記録再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音楽CD等に記録されているデジタル形式の音声データを抽出し、パソコンやオーディオ装置等で処理できるようなファイル形式に変換して保存するリッピングという技術が知られている。変換後のファイル形式としては、たとえば、MP3やWMAが該当する。リッピングにより得られるファイルの保存場所としては、たとえばメモリカードや、USBメモリ、内部フラッシュメモリ、ハードディスクが用いられる。また、CDやMD等のトラック情報を有する音源に基づき、トラック毎に異なるファイルが形成されるように、バッファメモリを介することなくリッピングを行うダイレクトリッピングも行われている。
【0003】
図1は、このようなリッピング機能を有する記録再生装置の構成を示すブロック図である。この装置は、CDを再生して再生信号を出力するCDメカ部12、CDメカ部12からの再生信号を、MP3やWMA等のファイル形式に変換して、メモリカード17やUSBメモリ18に保存するデジタル・シグナル・プロセッサ(以下、「DSP」という。)16、メモリカード17及びUSBメモリ18とDSP16との間にそれぞれ介在し、インタフェース機能を果たすメモリカードスロット19及びUSBコントローラ20、装置各部を制御するシステムマイコン24、並びに、システムマイコン24との間でのユーザインタフェースとしての機能を果たす表示部25及び操作部26を備える。
【0004】
図3は、この装置における従来のダイレクトリッピング処理を示すフローチャートである。同図に示すように、処理を開始すると、まず、システムマイコン24が、ステップ51において、CDメカ部12においてCDが挿入されるのを待機する。CDが挿入されると、ステップ52においてCDからのTOCデータの読込みが完了したかどうかの判定を行いながら、ステップ53において該TOCデータの読込みを行う。TOCデータの読込みが完了したと判定した場合には、ステップ54へ進み、操作部26における自動録音キーの押下がなされるのを待機する。自動録音キーが押下されると、ステップ55へ進み、CDメカ部12に対し、CDの生成を一時的に停止した状態である再生一時停止(CDプレイ・ポーズ)状態へ移行するように指令する。
【0005】
次に、ステップ56において、DSP16に対し、録音一時停止状態に移行するように通知する。録音一時停止状態とは、メモリカード17又はUSBメモリ18において新たなファイルを作成し、オープン状態とすることを意味する。次にステップ57において、この録音一時停止状態への移行が完了するのを待機する。録音一時停止状態への移行が完了すると、ステップ58へ進み、DSP16に対し、録音状態への移行を指令する録音開始通知を行う。そして、ステップ59において、DSP16からの録音状態へ移行した旨の通知を待機する。この通知を受け取ると、ステップ60において、CDメカ部12に対し、CDの再生を開始するように指令する。これにより、CDから上記メモリカード17又はUSBメモリ18において新たに作成したファイルへのデータ取込みが開始される。
【0006】
データ取込みが行われている間、ステップ61〜63において、それぞれ、再生中のCDにおける再生トラックの変化、CDの全トラックについての再生終了、又は操作部26における停止キーの押下の有無を監視する。再生トラックの変化とは、次に再生するトラックが存在する場合において、再生中のトラックについての再生が終了したことを意味する。トラックの変化を検出すると、ステップ64へ進み、DSP16に対して再生トラックが変化した旨を知らせるトラックチェンジ通知を行う。トラックチェンジ通知を受けたDSP16は、ステップ65において、次のトラックの設定を行う。すなわち録音中のファイルをクローズするとともに、次のファイルを作成してオープン状態とする。この後、ステップ60に戻り、上述と同様の手順で、次のトラックについてのリッピング動作を、次のファイルを格納先として開始する。
【0007】
ステップ62又は63において、CDの全トラックについての再生の終了又は停止キーの押下を検出した場合には、ステップ66において録音停止処理が行われる。すなわちシステムマイコン24は、DSP16に対し、録音の停止を指令する停止通知を送る。この通知を受けると、DSP16は、録音中のファイルをクローズして録音状態を解除する。これが完了すると、その旨を知らせる停止完了通知をシステムマイコン24に送る。この停止完了通知を受信すると、システムマイコン24は、録音状態を解除する。これによりリッピング処理が終了する。
【0008】
一方、同様にファイル単位で録音を行う技術として、ファイルがオープンした状態を維持しながら、そのファイルへの録音を一時停止する手段を設け、一時停止を挟みながらもその前後の音声部分を1つのファイルとして録音を行うことができるようにした音声記録再生装置が知られている(たとえば特許文献1参照)。この装置によれば、たとえば口述記録等の短時間の間に録音、停止が頻繁に繰り返されるような場合において、録音が一時的に停止状態になったとしても、音声データを記録しているファイルを開いた状態に維持し、同時にCPUの内部RAMに当該ファイルの属性情報を記憶した状態で保持するようにしているので、録音、停止操作が短時間に頻繁に繰り返されるような場合にも、使用者の操作速度に音声記録再生装置が追従できずに頭切れ等の現象が発生するのを確実に防止することができるとされている(同文献の段落0049〜0050)。
【0009】
【特許文献1】特開平9−311699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述図3の従来技術によれば、トラック単位でファイルが形成されるように、トラックの変更時にファイルのクローズ及びオープンを行うようにしているため、クローズ及びオープンの処理に一定の時間を要し、その間は録音が行われないので、オープンされたファイルへ録音しようとする音声データの先頭部分が、ファイルのオープンが間に合わずに録音されないおそれがある。この頭切れを防止するために、上述の音声記録再生装置の場合のように、ファイルのクローズを行うことなくオープン状態を維持するようにすることも考えられるが、そうすると、CD1枚分の全楽曲によって1つのファイルが構成されることになるので、再生時に、聴きたい楽曲を容易にサーチして再生させることができなくなるという問題が生じる。
【0011】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点に鑑み、CD等からトラック単位でファイルが構成されるようにダイレクトリッピングを行う際に、各ファイルのデータにおいて頭切れが生じるのを確実に防止することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、所定の記録媒体において所定の記録単位で記録されている各コンテンツデータを順次再生して得られる再生信号を、順次所定形式のデータに変換しながら、所定の記憶装置に対し、前記記録単位毎に異なるファイルとして書き込むことにより記録を行う記録再生装置に関する。この記録再生装置は、上述の目的を達成するため、前記記録単位毎に再生終了を検出する検出手段と、前記検出手段により再生終了が検出されたとき、前記記録媒体についての再生動作を一時停止する一時停止手段と、次の異なるファイルのオープンが完了するまで、前記一時停止手段による一時停止を継続することを特徴とする。
【0013】
ここで、記録媒体としては、たとえばCD−DA(音楽CD)や、MD(ミニディスク)、DVDが該当する。コンテンツデータとしては、たとえば、楽曲コンテンツやビデオコンテンツのデータが該当する。所定形式のデータとしては、たとえば、WAV形式や、WMA形式、MP3形式のデータが該当する。記録単位としては、たとえばトラック単位や、楽曲単位、プログラム単位が該当する。
【0014】
この構成において、記録が開始されると、記録媒体の再生により得られる再生信号は、所定のデータ変換を受けながら、記録単位毎に異なるファイルとして、記憶装置へ書き込まれてゆく。その際、各記録単位について、再生の終了が検出されると、記録媒体についての再生動作が一時停止される。その後、書込みがなされていたファイルがクローズされるとともに、次の異なるファイルが作成され、オープン状態とされるまで、再生動作は一時停止される。該ファイルがオープン状態となると、再生動作が再開され、該ファイルに対して次の記録単位の書込みが開始される。
【0015】
第2の発明に係る記録再生装置は、第1発明において、前記次の異なるファイルのオープンが完了した後、該ファイルへの書込み状態へ移行してから前記一時停止手段による再生動作の一時停止を解除することを特徴とする。
【0016】
第3の発明に係る記録再生装置は、第1又は第2発明において、前記検出手段により記録単位毎の再生終了を検出したとき、再生信号についての書込みを一時停止し、該書込みを行っていたファイルをクローズすることを特徴とする。
【0017】
第4の発明に係る記録再生装置は、第1〜第3のいずれかの発明において、前記再生動作の再開に際しては、次の記録単位の再生開始位置から再生を開始することを特徴とする。
【0018】
第5の発明に係る記録再生プログラムは、所定の記録媒体において所定の記録単位で記録されている各コンテンツデータを順次再生して得られる再生信号を、順次所定形式のデータに変換しながら、所定の記憶装置に対し、前記記録単位毎に異なるファイルとして書き込むことにより記録を行う記録再生装置を、前記記録単位毎に再生終了を検出する検出手段、前記検出手段により再生終了が検出されたとき、前記記録媒体についての再生動作を一時停止する一時停止手段として機能させるとともに、次の異なるファイルのオープンが完了するまで、前記一時停止手段による一時停止を継続するように機能させることを特徴とする
【0019】
第6の発明に係る記録再生方法は、所定の記録媒体において所定の記録単位で記録されている各コンテンツデータを順次再生して得られる再生信号を、順次所定形式のデータに変換しながら、所定の記憶装置に対し、前記記録単位毎に異なるファイルとして書き込むことにより記録再生装置が記録を行うに際し、記録再生装置が、前記記録単位毎に再生終了を検出する検出工程と、記録再生装置が、前記検出工程により再生終了が検出されたとき、前記記録媒体についての再生動作を一時停止する一時停止工程とを備え、記録再生装置が、次の異なるファイルのオープンが完了するまで、前記一時停止工程による一時停止を継続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、記録単位毎に、再生終了が検出されたことに応答して、記録媒体についての再生動作を一時停止するとともに、該一時停止を、次の異なるファイルのオープンが完了するまで継続するようにしたため、各ファイルに書き込まれるコンテンツデータにおいて頭切れが生じるのを防止することができる。
【0021】
また、次の異なるファイルのオープンが完了した後、該ファイルへの書込み状態へ移行してから再生動作の一時停止を解除するようにしたため、各ファイルに書き込まれるコンテンツデータにおいて頭切れが生じるのを確実に防止することができる。
【0022】
また、記録単位毎の再生終了を検出したとき、再生信号についての書込みを一時停止し、該書込みを行っていたファイルをクローズするようにしたため、該書込みを行っていたファイルの最後に無駄な無音部分が記録されるのを防止することができる。
【0023】
また、前記再生動作の再開に際しては、次の記録単位の再生開始位置から再生を開始するようにしたため、該記録単位についての書込みを行うための次のファイルにおいて、余分な無音信号が先頭に記録されるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る記録再生装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、この装置は、MDを再生して再生信号を出力するMDメカ部11、CDを再生して再生信号を出力するCDメカ部12、及び外部からのアナログ音声信号の入力を受け入れるためのアナログ入力端子13を備える。MDメカ部11及びCDメカ部12のアナログ出力側、並びにアナログ入力端子13にはセレクタ14の入力側が接続され、さらにセレクタ14の出力側にはADコンバータ15が設けられている。セレクタ14により選択されるいずれかのアナログ信号は、ADコンバータ15によってデジタル信号に変換される。
【0025】
記録再生装置はまた、MDメカ部11や、CDメカ部12、ADコンバータ15、メモリカード17、USBメモリ18から入力される信号に対し、符号化や復号化等の信号処理を施すデジタル・シグナル・プロセッサ(以下、「DSP」という。)16を備える。DSP16が処理した信号は、メモリカード17や、USBメモリ18、MDメカ部11に出力され得る。DSP16と、メモリカード17及びUSBメモリ18との間には、それぞれの間のインタフェースとして機能するメモリカードスロット19及びUSBコントローラ20が設けられている。
【0026】
記録再生装置にはまた、DSP16が処理した信号に基づいて音声を出力するために、DSP16が出力するデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換するDAコンバータ21、DAコンバータ21からのアナログ信号を増幅するアンプ部22、及びアンプ部22で増幅された信号を音声に変換するスピーカ23が設けられている。また、装置全体を制御するために、システムマイコン24が設けられている。システムマイコン24には、システムマイコン24からの画像信号に基づく表示を行う表示部25、及びシステムマイコン24に対してユーザが指示を与えるための操作部26が接続されている。表示部25及び操作部26は、ユーザインタフェースとして機能する。
【0027】
システムマイコン24は、ユーザからの指示に基づき、MDメカ部11、CDメカ部12、セレクタ14、DSP16、DAコンバータ21等を制御し、CDやアナログ入力端子13からの入力信号の再生、並びにMD、メモリカード17、及びUSBメモリ18への記録や記録内容の再生等を行う。DSP16はその際、システムマイコン24からの指令に基づき、MDメカ部11、CDメカ部12、メモリカードスロット19、USBコントローラ20、ADコンバータ15、DAコンバータ21等の間に介在し、これらの間で送受される信号について、圧縮、伸張等の必要な信号の変換処理を行う。
【0028】
図2は図1の装置におけるダイレクトリッピング処理を示すフローチャートである。同図に示すように、処理を開始すると、システムマイコン24はまず、ステップ31において、CDメカ部12においてCDが挿入されるのを待機する。CDの挿入を検出すると、挿入されたCDからのTOCデータの読込みが完了したかどうかの判定をステップ32において行いながら、ステップ33において該TOCデータの読込みを行う。TOCデータの読込みが完了したと判定すると、ステップ34へ進み、操作部26における自動録音キーの押下がなされるのを待機する。自動録音キーの押下を検出すると、ステップ35へ進み、CDメカ部12に対し、CDの再生を一時的に停止した状態である再生一時停止(CDプレイ・ポーズ)状態へ移行するように指令する。
【0029】
次に、ステップ36において、DSP16に対し、録音一時停止(録音ポーズ)状態に移行するように通知する。録音一時停止状態とは、メモリカード17又はUSBメモリ18において新たなファイルを作成し、オープン状態とすることにより、録音を直ちに開始することができる状態を意味する。なお、作成するファイルに付与するファイル名としては、CDから読み出したTOCデータ中のトラック情報等に基づき、これからそのファイルに対して録音を行うトラックに対応するものとして、そのファイルを特定するのに適した、トラック番号等を付した適切な名称が付与される。次に、ステップ37において、録音一時停止状態への移行が完了するのを待機する。
【0030】
録音一時停止状態への移行完了を検出すると、ステップ38へ進み、DSP16に対して録音状態への移行を指令する録音開始通知を行う。そして、ステップ39において、DSP16からの録音状態へ移行した旨の通知を待機する。この通知を受け取ると、ステップ40において、CDメカ部12に対し、CDの再生を開始するように指令する。これにより、CDからメモリカード17又はUSBメモリ18中の前記作成したファイルへデータを取り込むリッピング動作が開始される。リッピング動作に際しては、DSP16において、CDメカ部12からの再生信号に対し、MP3やWMAのファイル形式への変換が行われる。
【0031】
リッピング動作が行われている間、ステップ41〜43において、それぞれ、再生中のCDにおける再生トラックの変化、CDの全トラックについての再生終了、又は操作部26における停止キーの押下の有無を監視する。再生トラックの変化とは、次に再生するトラックが存在する場合において再生中のトラックについての再生が終了したことを意味する。トラックについての再生の終了は、たとえば再生信号中のサブQコードが有するトラック単位での連続性を監視し、サブQコードの連続性が途切れたことに基づいて検出することができる。また、再生信号において無音状態が所定期間継続したかどうかに基づいて検出することもできる。
【0032】
トラックの変化を検出すると、ステップ44へ進み、DSP16に対してトラックが変化した旨を通知するトラックチェンジ通知を行う。さらに、ステップ45において、CDメカ部12に対してCDの再生を一時停止するように通知するとともに、ステップ46において、DSP16に対して録音を一時停止するように通知する。トラックの変化は1曲の終了を意味するので、トラックチェンジ通知を受けたDSP16は、ステップ47において、次のトラックの設定を行う。すなわち、今までリッピングデータを記録していたファイルをクローズするとともに、CDの再生の一時停止及び録音の一時停止が完了していることを条件として、次のトラックについてのリッピングデータを記録するためのファイルを作成し、オープン状態とする。ファイルのクローズ及びオープンが完了すると、DSP16は、その旨をシステムマイコン24に通知する。
【0033】
次に、システムマイコン24は、ステップ48において、TOC情報から得られる次のトラックの再生開始位置においてポーズ状態に移行するように、CDメカ部12に対して指令を行う。そして、ステップ49において、このポーズ状態への移行が完了するのを待機する。このポーズ状態への移行が完了すると、ステップ50へ進み、ステップ47におけるファイルのクローズ及びオープンが完了した旨のDSP16からの通知を待機する。この通知を受信すると、ステップ38に戻り、上述と同様の手順で、次のトラックについてのリッピング動作を開始する。
【0034】
一方、ステップ42又は43においてCDの全トラックの再生終了又は停止キーの押下を検出した場合には、ステップ51においてCDの再生動作を停止する。さらにステップ52において、DSP16に対し、録音の停止を指令する停止通知を送信する。この通知を受信すると、DSP16は、今までリッピングデータを記録していたファイルをクローズして録音状態を解除し、その旨を示す停止完了通知を、システムマイコン24に送信する。この停止完了通知を、システムマイコン24はステップ53において待機する。停止完了通知を受信すると、システムマイコン24は、録音状態を解除する。これにより、ダイレクトリッピング処理が終了する。
【0035】
以上のリッピング処理により、CDの各トラックの楽曲データは、トラック毎に1つの楽曲ファイルを形成するように、MP3形式による圧縮ファイルやWAV形式よる非圧縮ファイルに変換され、メモリカード17又はUSBメモリ18において格納される。格納された各楽曲ファイルは、メモリカード17又はUSBメモリ18から、ファイル単位で読み出し、再生させることができる。また、メモリカード17又はUSBメモリ18を他の再生装置等に装着することによって、その装置において再生させることもできる。
【0036】
本実施形態によれば、トラック毎に、再生終了が検出されたこと(ステップ41)に応答して、CDについての再生動作を一時停止させるとともに(ステップ45)、一時停止された再生動作の再開(ステップ40)を、次のトラックについてのリッピングデータを記録するための別のファイルのオープンが完了し(ステップ50)、該ファイルへの録音状態へ移行してから(ステップ39)行うようにしたため、各ファイルに書き込まれる楽曲データにおいて頭切れが生じるのを確実に防止することができる。
【0037】
また、トラック毎に、再生終了が検出されたとき(ステップ41)、再生信号についての書込みを一時停止し(ステップ46)、該書込みを行っていたファイルをクローズするようにしたため(ステップ47)、該書込みを行っていたファイルの最後に無駄な無音部分が記録されるのを防止することができる。
【0038】
また、再生動作の再開(ステップ40)に際しては、次のトラックの再生開始位置から再生を開始するようにしたため(ステップ48、49)、該トラックについての書込みを行うための次のファイルにおいて、余分な無音信号が先頭に記録されるのを防止することができる。
【0039】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、適宜変形して実施することができる。たとえば、上述においてはリッピングを、CDについて行うようにしているが、この代わりに、MDメカ部11に装着されたMDについて行うようにしてもよい。
【0040】
また、上述においては、リッピングデータを、メモリカード17又はUSBメモリ18に格納するようにしているが、この代わりに、内部フラッシュメモリや、ハードディスクに格納するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は図1の装置におけるダイレクトリッピング処理を示すフローチャートである。
【図3】従来のダイレクトリッピング処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
11:MDメカ部、12:CDメカ部、13:アナログ入力端子、14:セレクタ、15:ADコンバータ、17:メモリカード、19:メモリカードスロット、20:USBコントローラ、21:DAコンバータ、22:アンプ部、23:スピーカ、24:システムマイコン、25:表示部、26:操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の記録媒体において所定の記録単位で記録されている各コンテンツデータを順次再生して得られる再生信号を、順次所定形式のデータに変換しながら、所定の記憶装置に対し、前記記録単位毎に異なるファイルとして書き込むことにより記録を行う記録再生装置であって、
前記記録単位毎に再生終了を検出する検出手段と、
前記検出手段により再生終了が検出されたとき、前記記録媒体についての再生動作を一時停止する一時停止手段と、
次の異なるファイルのオープンが完了するまで、前記一時停止手段による一時停止を継続することを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
前記次の異なるファイルのオープンが完了した後、該ファイルへの書込み状態へ移行してから前記一時停止手段による再生動作の一時停止を解除することを特徴とする請求項1に記載の記録再生装置。
【請求項3】
前記検出手段により記録単位毎の再生終了を検出したとき、再生信号についての書込みを一時停止し、該書込みを行っていたファイルをクローズすることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録再生装置。
【請求項4】
前記再生動作の再開に際しては、次の記録単位の再生開始位置から再生を開始することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の記録再生装置。
【請求項5】
所定の記録媒体において所定の記録単位で記録されている各コンテンツデータを順次再生して得られる再生信号を、順次所定形式のデータに変換しながら、所定の記憶装置に対し、前記記録単位毎に異なるファイルとして書き込むことにより記録を行う記録再生装置を、
前記記録単位毎に再生終了を検出する検出手段、
前記検出手段により再生終了が検出されたとき、前記記録媒体についての再生動作を一時停止する一時停止手段として機能させるとともに、
次の異なるファイルのオープンが完了するまで、前記一時停止手段による一時停止を継続するように機能させることを特徴とする記録再生プログラム。
【請求項6】
所定の記録媒体において所定の記録単位で記録されている各コンテンツデータを順次再生して得られる再生信号を、順次所定形式のデータに変換しながら、所定の記憶装置に対し、前記記録単位毎に異なるファイルとして書き込むことにより記録再生装置が記録を行うに際し、
記録再生装置が、前記記録単位毎に再生終了を検出する検出工程と、
記録再生装置が、前記検出工程により再生終了が検出されたとき、前記記録媒体についての再生動作を一時停止する一時停止工程とを備え、
記録再生装置が、次の異なるファイルのオープンが完了するまで、前記一時停止工程による一時停止を継続することを特徴とする記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−90967(P2008−90967A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272398(P2006−272398)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】