説明

記録媒体のニアーエンド検出装置、およびニアーエンド検出方法

【課題】信頼性の高いニアーエンド検出装置を提供する。
【解決手段】リアルエンドセンサー118と、カバーオープンセンサー120と、ニアーエンドとなる搬送距離を保持する第1記憶部105と、実搬送距離を保持する第2記憶部107と、ニアーエンドの設定値を変更するガイダンスGを表示する表示部と、入力部112と、制御部102とを備え、前記第2記憶部107の値が、前記第1記憶部105の前記搬送距離以上になった場合にニアーエンド状態と判定し、前記カバーオープンセンサー120を監視し、前記カバーオープンセンサー120が開を検出した場合に前記リアルエンドセンサー118を監視し、前記リアルエンドセンサー118が紙無し状態から紙有り状態を検出した場合にロール紙交換と判定し前記ガイダンスGを表示し、前記入力部112で前記設定値を前記第1記憶部105に記憶するニアーエンド検出装置50。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報が記録される記録媒体のニアーエンド検出装置、およびニアーエンド検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報が記録される記録媒体として、長尺状の記録紙が巻き芯に巻き取られた構成のロール紙を用いるプリンターやFAXなどの印刷装置が知られている。この種の印刷装置では、ロール紙を全て使い切ってしまい印刷不能状態になる以前に、ロール紙の交換がもうすぐ必要になることをエンドユーザーに報知するためのニアーエンド検出を備えているものがある。ニアーエンド検出は、ロール紙収納部に装填されたロール紙の残りが所定量よりも少なくなったこと(ニアーエンド状態)を、ロール紙の巻き芯や外周面の位置をリミットスイッチなどの機械式センサーや光学式センサーを用いて検出する。そして、さらに一定量の紙送りを行った場合に印刷を停止して、ロール紙交換をエンドユーザーに通知する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−112529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ロール紙の巻き芯や外周面の位置から算出されるロール紙の残量は、使用する巻き芯の径や紙厚によって変動する。また、ロール紙の全長は、製造ロット毎にばらつきを有している場合がある、上述のニアーエンド検出では信頼性の高いニアーエンドが困難であった。また、エンドユーザーが、ロール紙の直近の使用状況に応じてその設定値を簡単に変更することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]ロール紙を収容し前記ロール紙に情報を記録する印刷装置のニアーエンド検出装置であって、前記ロール紙の有無を検出するリアルエンドセンサーと、前記ロール紙が収容される部位を覆うロール紙カバーの開閉を検出するカバーオープンセンサーと、ニアーエンド状態と設定されるロール紙搬送距離を保持する第1記憶部と、未使用状態からの実ロール紙搬送距離の累積値を保持する第2記憶部と、エンドユーザーがニアーエンドに関する設定値を変更するためのガイダンスを表示する表示部と、前記エンドユーザーの入力を検出する入力部と、各部を制御する制御部と、を備え、前記第2記憶部で保持している前記累積値が、前記第1記憶部で保持している前記ロール紙搬送距離以上になった場合にニアーエンド状態になったと判定し、ロール紙交換のための前記カバーオープンセンサーを監視し、前記カバーオープンセンサーが開を検出した場合に前記リアルエンドセンサーを監視し、前記リアルエンドセンサーがロール紙無し状態からロール紙有り状態を検出した場合にロール紙交換がされたと判定し、前記表示部によって前記ガイダンスを表示し、前記エンドユーザーが前記ガイダンスに基づいて、前記入力部にて選択した前記設定値を前記第1記憶部に記憶しなおすことを特徴とするニアーエンド検出装置。
【0007】
この構成によれば、本発明に係るニアーエンド検出装置を適用した印刷装置は、エンドユーザーがニアーエンドとなったロール紙の交換作業をするとき、カバーオープンセンサーおよびリアルエンドセンサーによって、ロール紙交換作業の進捗を知ることができる。そして、適正なタイミングで、第1記憶部に記憶されたニアーエンド状態にするまでのロール紙搬送距離(設定値)を補正するためのガイダンスを表示することができ、第1記憶部の設定値の更新を促すことができる。また、前回使用したロール紙の残量が所望の残量と異なっている場合等、必要があれば、エンドユーザーは、入力部を使用して第1記憶部の設定値を容易に変更することができる。そのため、製造ロット毎の巻き芯の径、紙厚、ロール紙長のばらつきに即座に対応でき、ニアーエンド状態となったときのロール紙残量の無駄を低減することができる。従って、信頼性の高いニアーエンド検出装置を提供することができる。
【0008】
[適用例2]前記印刷装置は、前記エンドユーザーがニアーエンドに関する前記設定値を変更するための前記ガイダンスを前記ロール紙に印刷することを特徴とする上記のニアーエンド検出装置。
【0009】
この構成によれば、ニアーエンドの設定値を変更するガイダンスをロール紙に印刷することができる。そのため、設定値の変更作業をより視覚的に表示することができる。その結果、第1記憶部の設定値を容易に補正することができる。
【0010】
[適用例3]前記入力部の入力方法として、特殊操作にて起動する特殊モードを有することを特徴とする上記のニアーエンド検出装置。
【0011】
この構成によれば、入力部の入力方法として、紙送りスイッチ等の電気式スイッチを用い、例えば所定回数のオン動作等の特殊操作を行ない、設定値の変更作業を実施することができる。そのため、特定の入力機構を必要とせずに第1記憶部の設定値を容易に補正することができる。
【0012】
[適用例4]ロール紙を収容し前記ロール紙に情報を記録する印刷装置のニアーエンド検出方法であって、前記ロール紙の有無を検出するリアルエンドセンサーと、前記ロール紙が収容される部位を覆うロール紙カバーの開閉を検出するカバーオープンセンサーと、エンドユーザーの入力を検出する入力部と、ニアーエンド状態と設定されるロール紙搬送距離を保持する第1記憶部と、未使用状態からの実ロール紙搬送距離の累積値を保持する第2記憶部と、各部を制御する制御部と、を備え、前記第2記憶部で保持している前記累積値が、前記第1記憶部で保持している前記ロール紙搬送距離以上になった場合にニアーエンド状態になったと判定し、ロール紙交換のための前記カバーオープンセンサーの開閉を監視し、前記カバーオープンセンサーが開を検出した場合に前記リアルエンドセンサーを監視し、前記リアルエンドセンサーがロール紙無し状態からロール紙有り状態を検出した場合にロール紙交換がされたと判定し、前記エンドユーザーがニアーエンドに関する設定値を変更するためのガイダンスを表示し、前記エンドユーザーが表示された前記ガイダンスに基づいて、前記入力部にて選択した前記設定値を前記第1記憶部に記憶しなおすことを特徴とするニアーエンド検出方法。
【0013】
この方法によれば、本発明に係るニアーエンド検出方法を適用した印刷装置は、エンドユーザーがニアーエンドとなったロール紙の交換作業をするとき、カバーオープンセンサーおよびリアルエンドセンサーによって、ロール紙交換作業の進捗を知ることができる。そして、適正なタイミングで、第1記憶部に記憶されたニアーエンド状態にするまでのロール紙搬送距離(設定値)を補正するためのガイダンスを表示することができ、第1記憶部の設定値の更新を促すことができる。また、前回使用したロール紙の残量が所望の残量と異なっている場合等、必要があれば、エンドユーザーは、入力部を使用して第1記憶部の設定値を容易に変更することができる。そのため、製造ロット毎の巻き芯の径、紙厚、ロール紙長のばらつきに即座に対応でき、ニアーエンド状態となったときのロール紙残量の無駄を低減することができる。従って、信頼性の高いニアーエンド検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ニアーエンド検出装置および検出方法を適用する印刷装置を含む出力システムの概要構成を示す模式図。
【図2】印刷装置の基本的な印刷ルーチンを示すフローチャート。
【図3】印刷装置の印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図4】ニアーエンド検出処理の流れを示すフローチャート。
【図5】ニアーエンド検出の設定値を変更する処理の流れを示すフローチャート。
【図6】設定値の変更を促すガイダンスの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態に係るニアーエンド検出方法について、図面を参照して説明する。
【0016】
(印刷装置を含む出力システムの全体構成について)
まず、本発明のニアーエンド検出方法を適用する印刷装置を含む出力システムについて、図1を参照して説明する。図1は、ニアーエンド検出方法を適用する印刷装置を含む出力システムの概要構成を示す模式図である。なお、ここでは、印刷装置の印刷作業において、ロール状の記録媒体であるロール紙が全て使い切った状態をリアルエンドといい、ロール紙を全て使い切らずに所定の残量を確保している状態をニアーエンドという。
【0017】
図1に示すように、印刷装置100は、制御装置110と、プリンター機構部130と、インターフェイス部114とを有する。制御装置110は、制御部としてのCPU102と、記憶部としてのRAM部104と、ROM部124とを備えている。CPU(制御部)102は、印刷装置100の各部の動作を統括的に制御する。ROM部124は、CPU102が各部を制御するためのプログラム等を記憶しており、CPU102は、このプログラムを順次実行する。インターフェイス部114は、外部に接続されたコンピューター等のホスト装置126と印刷装置100との間で通信を行う。
【0018】
プリンター機構部130は、印刷部116と、入力部としての紙送りスイッチ112とを有している。印刷部116は、少なくとも、図示しない紙送り機構と、インターフェイス部114を介してホスト装置126から送信されてくる印字データをロール状の記録媒体(以下、ロール紙Rという)に印字するための印刷ヘッド122と、ロール紙Rの有無を検知するためのリアルエンドセンサー118と、ロール紙Rが収容される部位を覆う図示しないロール紙カバーの開閉を検知するためのカバーオープンセンサー120とを有する。なお、印刷ヘッド122は、サーマルヘッドであってもよいし、インクジェットヘッドであってもよいし、インパクトドットヘッドであってもよい。形式は問わない。
【0019】
紙送りスイッチ112は、印刷ヘッド122によって印刷されるロール紙Rの紙送り動作を実施するための電気式スイッチであり、印刷部116の紙送り機構によってロール紙Rを搬送するために使用する場合と、入力部としてニアーエンド検出の設定値を補正する場合に使用される。
【0020】
RAM部104は、様々なデータや情報を格納する。本実施形態では、RAM部104は、少なくとも、第1記憶部105と、第2記憶部107とを有し、第1記憶部105には、少なくとも、ニアーエンド長さ106のデータが保持され、第2記憶部107には、少なくとも、積算長さ108および履歴長さ110のデータが保持される。
【0021】
ここで、ニアーエンド長さ106とは、ロール紙Rを交換してからニアーエンドとして検出するまでのロール紙搬送距離の設定値をいう。積算長さ108とは、ロール紙Rを交換してから実施された実際のロール紙搬送距離の値をいう。履歴長さ110とは、ロール紙Rの交換時に取得できる積算長さ108を確認してニアーエンド長さ106を補正した値をいう。
【0022】
本実施形態では、補正する値として、エンドユーザーが積算長さ108(ロール紙の実搬送距離の値)を補正したいと思ったとき、エンドユーザーが加算すべき値、例えば、+4m〜−4mのいずれかの値を採用している。なお、履歴長さ110のデータは、例えば、少なくとも過去5回分のデータが保持される。
【0023】
(印刷装置の通常処理について)
次いで、印刷装置の通常処理について、図2を参照して説明する。図2は、印刷装置の基本的な印刷ルーチンを示すフローチャートである。
【0024】
図2に示すように、印刷装置100の通常処理(S200)において、ステップS210では、図1に示すCPU102(制御部)が、インターフェイス部114を介してホスト装置126からの印刷指令データおよび印刷データを受信したか否かを調べる。印刷指令データを受信しない(NO)場合は、印刷指令データを受信するまで待機する。印刷指令データを受信した(YES)場合は、ステップS220に進む。
【0025】
ステップS220では、印刷指令データおよび印刷データに基づいて、図1に示す印刷部116を用いて印刷処理を実施する。具体的には、印刷装置100の図示しない紙送り機構でロール紙Rを紙送りしながら、印刷ヘッド122を用いロール紙Rの表面にドットを形成し文字や画像を記録する。
【0026】
(印刷装置の印刷処理について)
次いで、ニアーエンド検出方法を適用した印刷装置の印刷処理について、図3を参照して説明する。図3は、ニアーエンド検出方法を適用した印刷装置の印刷処理の流れを示すフローチャートである。
【0027】
図3に示すように、印刷装置100の印刷処理(S300)において、ステップS310では、全印字領域(印刷データ)を紙送り方向において行単位(例えば、30ドット/1行)に分割して、印刷データに基づいて1行分を印字する。そして、ステップS320では、1行分を印字する毎に、図1に示す第2記憶部107に保持される積算長さ108のデータに1行分として30ドットを加算する。なお、印字されない紙送り動作時においても紙送り長さをドット数に換算して積算長さ108のデータに加算する。この作業は、印刷動作や紙送り動作毎に実行され第2記憶部107に保持される積算長さ108のデータに累積される。
【0028】
ステップS330では、累積された積算長さ108の値と、第1記憶部105に保持されるニアーエンドとして設定されたロール紙搬送距離であるニアーエンド長さ106の値とを比較し、ニアーエンドを通知するかどうかを判断する。
【0029】
ニアーエンドでない(NO)場合、すなわち、積算長さ108の値がニアーエンド長さ106の値未満である場合は、ステップS340に進む。ステップS340では、残りの印刷行があるか無いかを調べる。残りの印刷行が無い(NO)場合は、印刷処理(S300)の作業を終了する。残りの印刷行がある(YES)場合は、ステップS310に戻り再度印刷処理を実施する。
【0030】
ニアーエンドである(YES)の場合、すなわち、積算長さ108の値がニアーエンド長さ106の値以上である場合は、ステップS350に進む。ステップS350では、印字作業を一旦停止する。そして、ステップS360のニアーエンド処理に進む。ニアーエンド処理の詳細については後述する。
【0031】
ステップS360のニアーエンド処理が実施された後は、ステップS370に進み、残りの印刷行があるか無いかを調べる。残りの印刷行が無い(NO)場合は、印刷処理(S300)の作業を終了する。残りの印刷行がある(YES)場合は、ステップS310に戻り再度印刷処理を実施する。
【0032】
(ニアーエンド処理について)
次いで、本発明の実施形態に係るニアーエンド検出方法のニアーエンド処理について、図4を参照して説明する。図4は、ニアーエンド検出処理の流れを示すフローチャートである。図3に示す印刷処理(S300)のステップS330において、ニアーエンドを検知した(YES)場合は、ステップS350で印字作業を一旦停止し、ステップS360のニアーエンド処理(S400)を実行する。
【0033】
図4に示すように、印刷装置100のニアーエンド処理(S400)において、ステップS410では、エンドユーザーに現在使用されているロール紙Rがニアーエンド状態になったことを通知する。具体的には、印刷装置100の外面に設けられた表示部として、例えばLEDを用いて所定のLEDを所定の周期で点滅させて通知してもよいし、液晶等の表示パネルを用いて文字情報で通知してもよい。
【0034】
次いで、ステップS420では、図1に示す印刷装置100のプリンター機構部130の図示しないロール紙カバーが開けられたか否かを判定する。ここでは、ニアーエンド状態となった使用済みのロール紙R1を新たなロール紙R2と交換するために、ロール紙R1が収容される部位を覆う図示しないロール紙カバーが開けられたか否かを検知するカバーオープンセンサー120の出力を監視する。ロール紙カバーが開けられない(NO)場合、すなわちカバーオープンセンサー120の出力が変化しない場合は、そのまま待機する。ロール紙カバーが開けられたことをカバーオープンセンサー120で検出した(YES)場合は、ステップS430に進む。
【0035】
ステップS430では、図1に示す印刷装置100のリアルエンドセンサー118の出力を監視する。リアルエンドセンサー118は、前述のようにロール状の記録媒体であるロール紙Rを全て使い切ったか否か、換言すると、印刷装置100の印刷ヘッド122の直近で記録媒体が検出されるか否かを検知するものである。そのため、使用済みのロール紙R1が新たなロール紙R2に交換され印刷装置100にセットされる場合、リアルエンドセンサー118は、使用済みのロール紙R1の除去により、紙有り状態から紙無し状態を検知する。
【0036】
その後、新たなロール紙R2に交換されセットされることにより、リアルエンドセンサー118は、紙無し状態から紙有り状態を検知する。すなわち、リアルエンドセンサー118の出力を監視することで、新たなロール紙R2がセットされたか否かを知ることができる。
【0037】
ステップS430において、リアルエンドセンサー118の出力が紙無しから紙有りに変化しない(NO)場合は、ステップS450に進む。ステップS450では、プリンター機構部130のロール紙カバーが閉じられたか否かを判定する。ここでは、ステップS420と同様にカバーオープンセンサー120の出力を監視する。ロール紙カバーが閉じられない(NO)場合は、例えば、ロール紙Rの交換作業の途中と判断して、ステップS430に進み、再度リアルエンドセンサー118が紙無しから紙有りに変化するのを待つ。ロール紙カバーが閉じられた(YES)場合は、例えば、ロール紙Rの交換作業が中断されたと判断して、ステップS420に進み、新たなロール紙R2がセットされるためにロール紙カバーが開けられるのを待って待機する。
【0038】
ステップS430において、リアルエンドセンサー118の出力が紙無しから紙有りに変化した(YES)場合、すなわち、新たなロール紙R2が交換され印刷装置100の印刷部116にセットされた場合は、ステップS440の設定変更処理に進む。設定変更処理の詳細については以下に述べる。
【0039】
(設定変更処理について)
次いで、本発明の実施形態に係るニアーエンド検出方法の設定変更処理について、図5及び図6を参照して説明する。図5は、ニアーエンド検出の設定値を変更する処理の流れを示すフローチャートであり、図6は、設定値の変更を促すガイダンスの例を示す図である。図4に示すニアーエンド処理(S400)のステップS430において、リアルエンドセンサー118の出力が紙無しから紙有りに変化した場合は設定変更処理(S500)を実行する。
【0040】
図5に示すように、ステップS510では、エンドユーザーにロール紙Rの交換に伴い、次回のニアーエンド長さ106の設定を変更するか否かを促すガイダンスを通知する。なお、前述のように、ニアーエンド長さ106とは、ニアーエンドとして検出するまでのロール紙搬送距離の設定値をいう。通知の例としては、図1に示す印刷装置の印刷部116を用いロール紙R2の印刷面に、図6に示すガイダンスGを印字する。
【0041】
図6に示すように、ガイダンスGは、前回使用していたロール紙R1の実残量を目安にエンドユーザーが次回に使用する新たなロール紙R2のニアーエンド時の残量を調整可能とするものである。すなわち、エンドユーザーが使用済みのロール紙R1はもっと使用できると判断した場合は、次回のロール紙R2に対してニアーエンド長さ106を長く設定することができるものである。エンドユーザーが使用済みのロール紙R1をもっと早めに使用を終わらせたいと判断した場合、次回のロール紙R2に対してニアーエンド長さ106を短く設定することができるものである。なお、本実施形態では、希望の補正値Mを入力する方法のひとつの例として、紙送りスイッチ112の押し下げ回数Nによって補正値Mを決定している。
【0042】
具体的には、紙送りスイッチ112を1回押すことによってニアーエンド長さ106、すなわちニアーエンドとするためのロール紙搬送距離に、例えば4mを加算する。また、以降、2回押すことによってニアーエンド長さ106に3mが加算され、3回押すことによってニアーエンド長さ106に2mが加算される。このようにして、紙送りスイッチ112の押し下げ回数Nが1回増える毎に、4mを最大に1mずつ減算され、マイナス4mまで調整できるように設定されている。図6に示すように、ニアーエンド長さ106を変更しない場合は、紙送りスイッチ112を5回押せばよい。なお、この数値は、例示であってこれに限定されるものではない。ロール紙Rの全長その他によって任意に変更可能である。
【0043】
図5に示すように、ステップS520では、図6に示すガイダンスGに従ってエンドユーザーが押し下げした紙送りスイッチ112の押し下げ回数Nをカウントする。そして、カウントされた押し下げ回数Nが0回もしくは10回以上の場合は待機する。カウントされた押し下げ回数Nが1回から9回の場合は、ステップS530に進む。この処理は図1に示すCPU102で処理される。なお、紙送りスイッチ112が押し下げられた回数に従って、上述の補正値Mが決定される。
【0044】
また、このとき、紙送りスイッチ112の押し下げ回数Nのカウントは、ロール紙カバーが開いている状態、すなわちカバーオープンセンサー120がロール紙カバーの閉を検出するまでに実施されることが好ましい。紙送りスイッチ112は、ロール紙カバーが閉じられている状態では、通常のロール紙Rの紙送り動作を実施するための電気式スイッチとして機能する。
【0045】
次いで、ステップS530では、決定した補正値Mを、使用済みのロール紙R1に対して実施された実際のロール紙搬送距離、すなわち積算長さ108に加算もしくは減算する。そして、求められた積算長さ108は、図1に示す印刷装置100の第2記憶部107に記憶される。そして、ステップS540では、補正された積算長さ108を、履歴長さ110として第2記憶部107に登録する。本実施形態では、履歴長さ110として、例えば過去の5回分のデータが保存される。
【0046】
次いで、ステップS550では、図1に示す第2記憶部107に記憶された過去5回分(今回ステップS540で登録された履歴長さ110を含む)の平均値を求める。そして、この平均値を新たなニアーエンド長さ106として決定し、印刷装置100の制御装置110の第1記憶部105に登録する。
【0047】
以下、本実施形態の効果を記載する。
(1)上述のニアーエンド検出方法では、印刷装置100は、リアルエンドセンサー118およびカバーオープンセンサー120によってエンドユーザーがロール紙Rの交換操作をしたことを自動で検出することができる。そして、そのタイミングで、第1記憶部105に記憶されたニアーエンド長さ106を補正するためのガイダンスGを表示することができる。そして、エンドユーザーが、今回使用したロール紙Rの残量を見て、次回使用するロール紙R2の残量を調整することができる。ロール紙R2の残量を調整したいと思った場合、エンドユーザーは、入力部として紙送りスイッチ112を使用して第1記憶部105のニアーエンド長さ106を容易に補正、変更することができる。その結果、製造ロット毎のロール紙Rの長さの誤差や、メカ体毎の紙送り量の誤差に即座に対応でき、ロール紙Rの無駄を低減することができる。従って、信頼性の高いニアーエンド検出方法を提供することができる。
【0048】
(2)上述のニアーエンド検出方法では、ニアーエンドの設定値を変更するためのガイダンスGを記録媒体に印字してエンドユーザーに知らせることができる。そのため、設定値の変更作業をより容易にすることができる。
【0049】
(3)上述のニアーエンド検出方法では、既に設けられている紙送りスイッチ112の押し下げ動作の回数でニアーエンドの設定値を変更することができる。そのため、専用の入力部を設ける必要が無く、コスト削減を実現できる。
【0050】
(4)上述のニアーエンド検出方法では、過去の積算長さ118とその補正値を履歴長さ110として保存することができる。そしてニアーエンド長さ106として過去分の任意の回数の平均値を設定することができる。そのため、製造ロット毎のロール紙Rの長さのばらつき等に対応することができ、ニアーエンド長さ106の信頼性を向上させることができる。
【0051】
以上、本発明の実施例について説明したが、上記実施例に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。例えば上記実施例以外の変形例は、以下の通りである。
【0052】
(第1変形例)上述のニアーエンド検出方法では、ガイダンスGとして記録媒体に所定事項を印字する場合を例にとり説明したが、これに限定されない。表示部として液晶パネル等を用いてもよい。これは、例えば、ニアーエンドの通知と兼用してもよい。また、上述のニアーエンド検出方法では、入力部として紙送りスイッチ112を用いた場合について説明したがこれに限定されない。ディップスイッチを用いてもよいし、表示部をタッチパネルとして用いてもよい。
【符号の説明】
【0053】
50…ニアーエンド検出装置、100…印刷装置、102…CPU(制御部)、104…RAM部、105…第1記憶部、106…ニアーエンド長さ、107…第2記憶部、108…積算長さ、110…履歴長さ、112…入力部としての紙送りスイッチ、114…インターフェイス部、116…印刷部、118…リアルエンドセンサー、120…カバーオープンセンサー、122…印刷ヘッド、124…ROM部、126…ホスト装置、130…プリンター機構部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙を収容し前記ロール紙に情報を記録する印刷装置のニアーエンド検出装置であって、
前記ロール紙の有無を検出するリアルエンドセンサーと、
前記ロール紙が収容される部位を覆うロール紙カバーの開閉を検出するカバーオープンセンサーと、
ニアーエンド状態と設定されるロール紙搬送距離を保持する第1記憶部と、
未使用状態からの実ロール紙搬送距離の累積値を保持する第2記憶部と、
エンドユーザーがニアーエンドに関する設定値を変更するためのガイダンスを表示する表示部と、
前記エンドユーザーの入力を検出する入力部と、
各部を制御する制御部と、を備え、
前記第2記憶部で保持している前記累積値が、前記第1記憶部で保持している前記ロール紙搬送距離以上になった場合にニアーエンド状態になったと判定し、
ロール紙交換のための前記カバーオープンセンサーを監視し、
前記カバーオープンセンサーが開を検出した場合に前記リアルエンドセンサーを監視し、
前記リアルエンドセンサーがロール紙無し状態からロール紙有り状態を検出した場合にロール紙交換がされたと判定し、
前記表示部によって前記ガイダンスを表示し、
前記エンドユーザーが前記ガイダンスに基づいて、前記入力部にて選択した前記設定値を前記第1記憶部に記憶しなおすことを特徴とするニアーエンド検出装置。
【請求項2】
前記印刷装置は、前記エンドユーザーがニアーエンドに関する前記設定値を変更するための前記ガイダンスを前記ロール紙に印刷することを特徴とする請求項1に記載のニアーエンド検出装置。
【請求項3】
前記入力部の入力方法として、特殊操作にて起動する特殊モードを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のニアーエンド検出装置。
【請求項4】
ロール紙を収容し前記ロール紙に情報を記録する印刷装置のニアーエンド検出方法であって、
前記ロール紙の有無を検出するリアルエンドセンサーと、
前記ロール紙が収容される部位を覆うロール紙カバーの開閉を検出するカバーオープンセンサーと、
エンドユーザーの入力を検出する入力部と、
ニアーエンド状態と設定されるロール紙搬送距離を保持する第1記憶部と、
未使用状態からの実ロール紙搬送距離の累積値を保持する第2記憶部と、
各部を制御する制御部と、を備え、
前記第2記憶部で保持している前記累積値が、前記第1記憶部で保持している前記ロール紙搬送距離以上になった場合にニアーエンド状態になったと判定し、
ロール紙交換のための前記カバーオープンセンサーの開閉を監視し、
前記カバーオープンセンサーが開を検出した場合に前記リアルエンドセンサーを監視し、
前記リアルエンドセンサーがロール紙無し状態からロール紙有り状態を検出した場合にロール紙交換がされたと判定し、
前記エンドユーザーがニアーエンドに関する設定値を変更するためのガイダンスを表示し、
前記エンドユーザーが表示された前記ガイダンスに基づいて、前記入力部にて選択した前記設定値を前記第1記憶部に記憶しなおすことを特徴とするニアーエンド検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−187794(P2012−187794A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52627(P2011−52627)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】