説明

記録媒体の重量測定装置、重量測定方法および前記重量測定装置を含む印刷システム

【課題】記録装置と、記録媒体を記録装置に給送する給送装置との間に、記録媒体の重量を測定し、これに基づく情報を記録装置に伝えて記録内容に反映させるための重量測定装置にあって、重量測定装置に用いられるロードセルの特性上、重量測定後に重量に応じた振動の収束時間に変化がある場合にも、種々重量の記録媒体に対し正確な重量測定を可能にする。
【解決手段】ロードセルにより測定された記録媒体の重量に応じて、給送装置から給送される重量測定装置への次の記録媒体の搬送のタイミングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体の重量測定装置、重量測定方法および前記重量測定装置を含む印刷システムに関する。特に本発明は、記録装置に記録媒体を搬送するに先立ってその重量を測定し、その測定結果に基づく情報を記録装置による記録内容に反映させるための重量測定技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録装置に記録媒体を搬送するに先立って、その重量の測定結果に基づく情報を記録装置による記録内容に反映させる場合としては、例えば、封筒などの郵便物の重量に基づいて定められた料金をその郵便物に記録するような場合がある。このような場合に対応するべく、記録装置と、記録媒体を記録装置に給送する給送装置との間に、記録媒体の重量を測定し、これに基づく情報を記録装置に伝える重量測定装置が設けられることがある。そして、重量測定装置を構成する重量測定ユニットとしては、一般にロードセルを有するものが使用される。
【0003】
ここで、重量測定ユニットへ給送されてきた記録媒体によってロードセルに荷重がかけられた瞬間から、このロードセルに固有振動が発生する。このとき、ロードセルが発生する電気信号は減衰振動していくため、記録媒体の重量を測定する場合、重量測定ユニット上で記録媒体の搬送を停止させ、その後例えば1秒程度が経過してから、安定して正確な重量の測定信号(電気信号)を得ることができる。
【0004】
一般に物体が動いて停止すると慣性の要素から減衰振動が生じ、その減衰振動の関数の定数を決定することができる。従って、減衰振動の波形上、最初に現われる一点の最大値(ファーストピーク値)を測定すれば、この減衰振動の関数により減衰が収束する規定時間経過後の値を計算によって求めることができる(例えば特許文献1)。よって、重量測定ユニットのロードセルから出力された測定信号のファーストピーク値を知ることで、規定時間経過後の重量をほぼ正確に予測することができる。また、給送装置から給送され、重量測定ユニットに搬送された記録媒体が停止した後のファーストピーク値がある基準値を超えたか否かを判断することで、記録媒体の重量を簡易的に予測することができる。このファーストピーク値が基準値を超えたか否かを判断するモードを、ファーストピークモードと称する。
【0005】
しかしながら、郵便物などの記録媒体の重量は一定ではなく、種々重量のものが存在し、これらに対して連続的に測定が行われる。特にその際、重い記録媒体の後に軽い記録媒体が搬送されると、ファーストピーク値を正しく検出することができないことがある。その理由は、重い記録媒体の重量を測定する場合、ロードセルの特性上、振動が収束するまでに時間がかかるため、振動が収束する前に次の記録媒体を重量測定ユニットに搬送してしまうとその記録媒体のファーストピークを正確に検知できなくなるからである。
【0006】
図6〜図9を用いてこの問題をより詳しく説明する。
図6は、軽い記録媒体の後に重い記録媒体の重量を測定する場合の測定信号の変化を示したグラフであり、縦軸は測定信号に基づく重量(g)を、横軸は時間(ms)を表している。また、図7は、重量測定ユニットへの記録媒体の給送、重量測定ユニット上での記録媒体の停止、および重量測定後の記録装置への記録媒体の搬送の態様を説明するための図である。なお、図6では1番目の記録媒体は30g、2番目の記録媒体は130gとして表示している。
【0007】
図6の時間軸上、ゼロの時点では給送装置から搬送されてきた1番目の記録媒体が重量測定ユニット上に載せられており(図7(a)の状態)、重量測定を開始してから500ms後に重量測定が終了する(時点T401)。そこで、1番目の記録媒体が重量測定ユニットから排出され、記録装置へと搬送される。搬送方向下流側に設けられたセンサ302により1番目の記録媒体の後端が検知されると(時点T402)、2番目の記録媒体の給送が行われ、搬送方向上流側に設けられたセンサ303によってその先端が検出される(時点T403、図7(b)の状態)。そして、重量測定ユニット上での記録媒体の搬送が行われ、センサ303により2番目の記録媒体の後端が検知されると(時点T404)、搬送を停止して2番目の記録媒体の重量測定が開始される(時点T405、図7(c)の状態)。
【0008】
図8は、重い記録媒体の後に軽い記録媒体の重量を測定する場合の測定信号の変化を示したグラフであり、縦軸は測定信号に基づく重量(g)を、横軸は時間(ms)を表している。また、図9は、重量測定ユニットへの記録媒体の給送、重量測定ユニット上での記録媒体の停止、および重量測定後の記録装置への記録媒体の搬送の態様を説明するための図である。なお、図8では1番目の記録媒体は30g、2番目の記録媒体は130gとして表示している。
【0009】
図8の時間軸上、ゼロの時点では給送装置から搬送されてきた1番目の記録媒体が重量測定ユニット上に載せられており(図9(a)の状態)、重量測定を開始してから500ms後に重量測定が終了する(時点T601)。そこで、1番目の記録媒体が重量測定ユニットから排出され、記録装置へと搬送される。搬送方向下流側に設けられたセンサ302により1番目の記録媒体の後端が検知されると(時点T602)、2番目の記録媒体の給送が行われ、搬送方向上流側に設けられたセンサ303によってその先端が検出される(時点T603、図9(b)の状態)。そして、重量測定ユニット上での記録媒体の搬送が行われ、センサ303により2番目の記録媒体の後端が検知されると(時点T604)、搬送を停止して2番目の記録媒体の重量測定が開始される(時点T605、図9(c)の状態)。
【0010】
図8において符号Aで示す部分が、まさに前述した問題点を示している。すなわち、1番目の重い記録媒体(ここでは例として130g)の重量を測定した後、ロードセルの振動がゼロに収束するまでに2番目の軽い記録媒体の測定を開始してしまうため、この軽い記録媒体のファーストピークが正確に検知されなくなるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−201158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
よって本発明は、種々重量の記録媒体に対して連続的に測定が行われる場合においても、正確にそれらの重量を測定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのために、本発明は、記録媒体に対して記録を行う記録装置と、該記録装置に対して前記記録媒体を給送する給送装置との間に設けられ、前記給送装置から給送される前記記録媒体の重量を測定する重量測定ユニットを有し、当該重量の測定結果に基づく情報を前記記録装置の記録内容に反映させるべく前記記録装置に送信する重量測定装置であって、
前記重量測定ユニットにより測定された前記記録媒体の重量に応じて、前記重量測定装置への次の記録媒体の搬送のタイミングを制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、記録媒体に対して記録を行う記録装置と、該記録装置に対して前記記録媒体を給送する給送装置との間に設けられ、前記給送装置から給送される前記記録媒体の重量を測定する重量測定ユニットを有し、当該重量の測定結果に基づく情報を前記記録装置の記録内容に反映させるべく前記記録装置に送信する重量測定方法であって、
前記重量測定ユニットにより測定された前記記録媒体の重量に応じて、前記重量測定ユニットへの次の記録媒体の搬送のタイミングを制御することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明印刷システムは、記録媒体に対して記録を行う記録装置と、
該記録装置に対して前記記録媒体を給送する給送装置と、
該給送装置と前記記録装置との間に設けられ、前記給送装置から給送される前記記録媒体の重量を測定する重量測定ユニットを有し、当該重量の測定結果に基づく情報を前記記録装置の記録内容に反映させるべく前記記録装置に送信する重量測定装置と、
前記重量測定ユニットにより測定された前記記録媒体の重量に応じて、前記重量測定装置への次の記録媒体の搬送のタイミングを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、重量測定ユニットにより測定された記録媒体の重量に応じて、給送装置による重量測定ユニットへの次の記録媒体の搬送のタイミングが制御される。これにより、重量測定装置に一般的に用いられるロードセルの特性上、重量測定後に重量に応じた振動の収束時間に変化がある場合にも、種々重量の記録媒体に対し正確な重量測定が可能となる。すなわち、効率よく重量測定ユニットへの搬送のタイミングを制御することで、例えば重い記録媒体の後に軽い記録媒体の重量を測定する場合にも、軽い記録媒体のファーストピークないしはその重量を正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る重量測定ユニットを含む印刷システムの構成例を示す模式図である。
【図2】図1に示した重量測定ユニットを含む重量測定装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係り、記録媒体の給送、重量測定および記録装置への搬送などを含む処理を実行するための処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態で用いられる、各種記録媒体の重量とこれに応じた次の記録媒体の給送までの待機時間とを関係付けたテーブルの説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る処理手順の主要部を示すフローチャートである。
【図6】軽い記録媒体の後に重い記録媒体の重量を測定する場合の測定信号の変化を示したグラフである。
【図7】(a)〜(c)は、重量測定ユニットへの記録媒体の給送、重量測定ユニット上での記録媒体の停止、および重量測定後の記録装置への記録媒体の搬送の態様を図6に対応して説明するための図である。
【図8】軽い記録媒体の後に重い記録媒体の重量を測定する場合の測定信号の変化を示したグラフである。
【図9】(a)〜(c)は、重量測定ユニットへの記録媒体の給送、重量測定ユニット上での記録媒体の停止、および重量測定後の記録装置への記録媒体の搬送の態様を図8に対応して説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の一実施形態に係る重量測定ユニットを含む印刷システムの構成例を示す模式図である。ここで、100は記録媒体の給送装置、400は記録装置、300はこれらの間に設けられた重量測定ユニットである。給送装置100は、記録媒体を1つずつ分離して重量測定ユニットに給送ないし搬送する。記録装置400は、記録に際し、重量測定ユニット300による記録媒体の重量の測定結果に基づく情報(例えば、封筒などの郵便物の重量に基づいて定められた料金)を記録内容に反映させる。この記録装置としては、インクジェット方式によるものをはじめとして種々方式によるものを採用することができる。
【0019】
重量測定ユニット300は、給送装置100からの記録媒体の搬送を受け、その重量を測定した後に記録装置400に搬送する。ここで、310は給送装置100から搬送されてきた記録媒体を載置するための搬送ベルトである。313は搬送方向上流側において給送装置100の直近に設けられたローラ。312は搬送方向下流側において記録装置400の直近に設けられたローラであり、これらに搬送ベルト310が巻回されている。304はローラの駆動源をなす搬送モータであり、その駆動に伴ってローラひいては搬送ベルト310が駆動され、記録媒体が矢印で示す方向に搬送される。305は搬送モータ304の回転軸に取り付けられたロータリーエンコーダであり、その出力に応じて搬送モータ304の回転位置や回転速度を制御するために用いられる。301は、これらの構成要素を支持する部位に設けられたロードセルであり、重量測定ユニットをなす。従って、記録媒体が搬送ベルト310に載置された状態での重量と載置されていない状態での重量との差分が記録媒体の重量として測定される。
【0020】
303は搬送方向上流側において給送装置100の近傍に設けられたセンサ、302は搬送方向下流側において記録装置400の近傍に設けられたセンサであり、例えば透過型の光学センサとして構成することができる。この場合、透光性を有する材料で搬送ベルト310を形成し、その一方の面側に発光素子を、他方の面側に受光素子を配置し、遮光状態の有無に応じて記録媒体の存否を検出することができる。あるいは、これらのセンサを発光素子および受光素子を有する反射型の光学センサとして構成することもできる。この場合、発光素子から搬送ベルト310に向けて投光を行い、その反射光を受光素子で受光し、その受光量の変化を検出することで、搬送ベルト310上の記録媒体の存否を判定することができる。本実施形態においては、センサ302および303はいずれも、主として記録媒体の後端を検知するために設けられている。すなわち、センサ303によって記録媒体の後端が検知されることで、記録媒体が完全に搬送ベルト310上に載置されたことが確認される。また、センサ302によって記録媒体の後端が検知されることで、記録媒体が搬送ベルト310ないし重量測定ユニット300から離脱し、記録装置400に搬送されたことが確認される。
【0021】
図2は、図1に示した重量測定ユニットを含む重量測定装置の制御系の構成例を示すブロック図である。図2において、200は重量測定ユニット300の制御部であり、CPU201、ROM205,不揮発性メモリ202、RAM203、A/D変換器204およびI/Oユニット(入出力部)206等を有する。CPU201は、図3について後述する処理手順に対応したプログラムに従って各部を制御する。ROM205はそのプログラムや、所要の固定データを格納する。RAM203は、CPU201による制御および各部との通信の過程で使用されるデータやパラメータなどを一時的に記憶する作業用のメモリであり、例えばSRAMの形態とすることができる。不揮発性メモリ202は、電源がオフの状態においても所要のデータを保存しておくためのものであり、例えばEEPROMの形態とすることができる。
【0022】
重量測定ユニット、特にそのロードセル301の制御回路としてのA/D変換器204は、CPU201の制御の下、ロードセル301から出力されてくるアナログ値をデジタル値に変換し、CPU201に伝達する。ロードセル301は、荷重や力を電気信号に変換するセンサであって、歪ゲージ式の形態のものが一般的に使用されている。ロードセルに外力が加えられ起歪体(きわいたい)に歪が生じると、この歪に対して歪ゲージの抵抗値が直線的に変化する。A/D変換器204は、かかる形態のロードセル301に重量変化により歪が生じると、ロードセル301のからのアナログ出力値を計装アンプで増幅した後、これをデジタル値へ変換する機能を果たす。
【0023】
入出力部206は、CPU201と、給送装置100および記録装置400との間で、ステータスその他の所要の情報を授受するために用いられる。給送装置100との間で授受される情報としては、給送装置100に対する記録媒体の給送を開始するタイミングの指示や、これに応じた給送装置100からのアクノリッジ信号、あるいは次に記録すべき記録媒体があるか否かの情報などが含まれる。また、記録装置400との間で授受される情報としては、記録装置400に伝えるものとしての重量測定結果に基づく情報や、記録装置400からの記録媒体搬送を指示する信号などが含まれる。なお、重量測定結果に基づく情報としては、重量結果を示す情報そのものでもよいし、これに応じて算出される郵便料金などを示す情報であってもよい。すなわち、前者の場合には、郵便料金などを示す情報は記録装置側で算出されることになる。その他、CPU201は、センサ302,303およびエンコーダ305からの情報を入力するとともに、搬送モータ304の駆動を指示する。そのために、図示はしないが、これら各部との間に入出力ポートが備えられる。
【0024】
図3は、本発明の第1の実施形態に係り、記録媒体の給送、重量測定および記録装置への搬送などを含む処理を実行するための処理手順の一例を示す。本手順が起動されると、まず搬送モータ304が駆動されるとともに(ステップS1)、給送装置100に対して記録媒体の給送が指示される(ステップS3)。そして、記録媒体搬送方向上流側に設けたセンサ303が記録媒体の後端を検知するまで記録媒体の搬送を行い(ステップS5)、当該検知がなされた時点で搬送モータ304を停止し(ステップS7)、重量測定を実行する(ステップS9)。
【0025】
重量測定が終了すると、重量測定結果に基づく情報を記録装置400に送信するとともに(ステップS11)、搬送モータ304を駆動して重量測定が終了した記録媒体を記録装置400に向けて搬送する(ステップS13)。そして、記録媒体搬送方向下流側に設けたセンサ302が記録媒体の後端を検知するまで記録媒体の搬送を行い(ステップS15)、当該検知がなされた時点で搬送モータ304を停止する(ステップS17)。
【0026】
ステップS19では次に重量測定ないし記録を行うべき記録媒体があるか否かが判定される。ここで肯定判定された場合には本手順を終了する。一方、否定判定された場合にはロードセル301の出力値が基準値以下になるまで待機してから(ステップS21)、ステップS1に復帰し、2番目の記録媒体について以上の手順を繰り返す。ここで、1番目の記録媒体の重量を測定した後、ロードセルの振動がゼロに収束するまで待機を行うようにしてもよい。しかし、給送されてきた2番目の記録媒体が重量測定ユニット300に搬送されるまでにロードセルの振動がゼロに収束していればよいので、これを勘案して、本実施形態ではロードセル301の出力値が基準値以下になるまで待機するようにしている。なお、この基準値は、想定される最も重い記録媒体に対応した固定的な値とすることもできるが、待機時間を短縮し、スループットを向上する上では、測定が完了した記録媒体の重量に応じて適宜変更設定されるようにすることが好ましい。
【0027】
以上のように、本実施形態によれば、種々重量の記録媒体に対して連続的に測定を行う場合でも、各記録媒体のファーストピークを正確に、かつ効率的に検知できるようになる。
【0028】
なお、図3の処理を実行する制御部200は、重量測定ユニット300と一体に(例えばその内部に)設けられるものでもよいし、別体に設けられるものでもよい。また、本発明は、重量測定ユニット300と、その制御を専ら行う制御部とを備える重量測定装置および重量測定方法に限られず、給送装置100または記録装置400の制御部としての機能も果たすべく設けられるものであってもよい。あるいは、これら全体を含む印刷システムの制御部としての機能も果たすべく設けられるホストコンピュータとしての形態であってもよい。すなわち、本発明は、給送装置100または記録装置400の制御部としての機能をも果たす場合、あるいは印刷システム全体を制御する制御部としての機能を場合にも及ぶものである。さらに、記録装置400が反映させる記録内容としては、重量に対応する料金を数値化したしたものだけでなく、重量そのものの情報を数値化して記録するものであってもよい。また、それらのように数値を記録するだけでなく、これに変えて、あるいはこれとともに、例えばバーコード化した情報を記録するものであってもよい。これらのことは、次に述べる第2の実施形態についても同様である。
【0029】
(第2の実施形態)
力を電気信号に変換するために、ロードセル301には歪ゲージと言う金属箔形態のセンサが貼着されている。金属は、その物性として圧力および張力によって電気抵抗が変化する。歪ゲージはこの原理を応用し、抵抗変化から歪を検出しようとするものである。歪ゲージの抵抗変化とひずみの間には直線関係が成り立ち、次のような式が成立する。
ΔR/R=Κ×ε
ここでR:ひずみゲージの元の抵抗値(Ω)
ΔR:伸びまたは縮みによっておきた抵抗変化(Ω)
Κ:比例定数(ゲージ率)
ε:歪
である。ゲージ率Κは使われる金属箔の種類によって異なるが、歪ゲージによく使われる銅ニッケル合金(コンスタンタン)の場合は、「2」程度の値となる。
【0030】
本発明の第2の実施形態はこの特性を利用したもので、まず、各種重量と、これに応じた次の記録媒体の重量測定ユニット300への搬送までの待機時間とを対応付け、予めテーブル化してメモリ(ROM205あるいは不揮発性メモリ202)に保存しておく。そして、ロードセル301の出力値をA/D変換して得た重量の測定結果から、テーブルに記載されている対応待機時間を読み出し、これに基づいて次の記録媒体の重量測定ユニット300への搬送を待機するものである。
【0031】
図4はそのテーブルの一例を示す説明図、図5は本発明の第2の実施形態に適用される処理手順の主要部を示したフローチャートであり、例えば、図3のステップS9とステップS11との間に介挿されるものとすることができる。すなわち、ステップS9の重量測定が終了すると、図4のテーブルを参照し(ステップS93)、測定結果に対応した待機時間を読み出す(ステップS94)。例えば、測定結果が450gであった場合、2番目の記録媒体を重量測定ユニット300へ搬送するまでの400msの期間、待機時間を設定する制御が行われる(ステップS94)。具体的には、この設定を行うためにタイマ(ハードウェアによるものでも、ソフトウェアによるものでもよい)を用いることができる。この設定を行った上で図3について説明したステップS11〜S19の処理を実行し、ステップS21ではその待機時間が経過したか否かを判断するようにすればよい。
【0032】
なお、図4では重量をグラム(g)単位で表示し、100gを単位として区切って段階的に待機時間を規定している。しかし測定された重量に関する情報と待機時間とが好ましく対応しているのであれば、重量に関する情報はグラム(g)単位でなくてもよく、本発明が実施される国で定められている重量単位を用いることができる。また、区切りの単位や段階数についても適宜定め得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0033】
100 給送装置
200 重量測定ユニットの制御部
201 CPU
202 不揮発性メモリ(EEPROM)
204 重量測定ユニットの制御回路(A/D変換器)
300 重量測定ユニット
301 ロードセル
302、303 センサ
304 搬送モータ
400 記録装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して記録を行う記録装置と、該記録装置に対して前記記録媒体を給送する給送装置との間に設けられ、前記給送装置から給送される前記記録媒体の重量を測定する重量測定ユニットを有し、当該重量の測定結果に基づく情報を前記記録装置の記録内容に反映させるべく前記記録装置に送信する重量測定装置であって、
前記重量測定ユニットにより測定された前記記録媒体の重量に応じて、前記重量測定装置への次の記録媒体の搬送のタイミングを制御する制御手段を備えたことを特徴とする重量測定装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記重量測定ユニットによる測定が終了した後、前記重量測定ユニットが出力する値が基準値以下となるまで待機してから、前記次の記録媒体の前記重量測定装置への搬送を行わせることを特徴とする請求項1に記載の重量測定装置。
【請求項3】
前記制御手段は、記録媒体の種々の重量と、該重量に応じて前記重量測定ユニットが出力する値の振動が収束するまでの時間とを対応付けたテーブルを格納する格納手段を有し、前記重量測定ユニットによる測定が終了した後、当該重量の測定結果に対応した前記時間を前記テーブルから読み出し、当該読み出した時間の待機を行ってから前記次の記録媒体の前記重量測定装置への搬送を行わせることを特徴とする請求項1に記載の重量測定装置。
【請求項4】
前記重量測定ユニットはロードセルを有することを特徴とする請求項1または2に記載の重量測定装置。
【請求項5】
記録媒体に対して記録を行う記録装置と、該記録装置に対して前記記録媒体を給送する給送装置との間に設けられ、前記給送装置から給送される前記記録媒体の重量を測定する重量測定ユニットを有し、当該重量の測定結果に基づく情報を前記記録装置の記録内容に反映させるべく前記記録装置に送信する重量測定方法であって、
前記重量測定ユニットにより測定された前記記録媒体の重量に応じて、前記重量測定ユニットへの次の記録媒体の搬送のタイミングを制御することを特徴とする重量測定方法。
【請求項6】
記録媒体に対して記録を行う記録装置と、
該記録装置に対して前記記録媒体を給送する給送装置と、
該給送装置と前記記録装置との間に設けられ、前記給送装置から給送される前記記録媒体の重量を測定する重量測定ユニットを有し、当該重量の測定結果に基づく情報を前記記録装置の記録内容に反映させるべく前記記録装置に送信する重量測定装置と、
前記重量測定ユニットにより測定された前記記録媒体の重量に応じて、前記重量測定装置への次の記録媒体の搬送のタイミングを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−132780(P2012−132780A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284892(P2010−284892)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】