説明

記録方法

【課題】間欠動作によるショックプルーフ機能或いは消費電力低減等の効果を損なうことなく、AVデータの信頼性を向上させることが可能な記録方法を提供する。
【解決手段】連続的な撮像信号をメモリ4にバッファリングし、間欠的にディスク状媒体9に記録を行なう際に、間欠記録における記録再開時に、前回の記録終了位置より遡った位置から記録再開位置を決めるためのアドレス検出を開始する。そして、アドレス検出と共に既記録データのベリファイを行なう。また、ベリファイの結果に応じて記録を自動的に停止し、或いはベリファイの結果に応じて間欠的な記録の休止期間中に記録パラメータを変更するための学習処理を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に情報を記録する方法、特に、カメラにより撮像した信号を光ディスク等の媒体に記録するのに好適な記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、DVD等の書換え可能な光ディスクを記録媒体としたビデオカメラが製品化されている。従来のテープ媒体に比べ、ランダムアクセス性を利用して、瞬時に見たい場面を再生できる点が大きな特徴となっている。
【0003】
光ディスクに記録する情報は大別して2種類に分類され、1つは画像信号や音声信号等のリアルタイム信号である。もう1つはファイル管理情報(ファイル名、記録位置、サイズ等を示す)や静止画、文字、プログラム等である。以後これらを区別するため前者をAVデータ、後者をPCデータと呼ぶ。
【0004】
PCデータは1ビットでもエラーがあると致命的になるため、一旦記録したあと再生を行なって正しく記録できたかどうかのチェックを行なう(ベリファイと呼ぶ)。ベリファイ時にエラーが発見された場合には、ベリファイがOKとなるまで(別の領域に)再記録を行なう必要がある。
【0005】
これに対し、AVデータはリアルタイム性が重視されるので、記録時においてベリファイ処理を行なわないのが一般的である。またカムコーダのような電池で動作する携帯機器の場合には、消費電力の点からみても余分なディスクアクセスを要するベリファイ処理を行なわない利点は大きい。このため、記録したデータは完全には保証されず、再生時にエラーがあった場合には画像が乱れることになる。こういう場合は、周辺の画素から補間等を行ないエラーが目立たないように工夫してエラーを許容している。
【0006】
以上のように、光ディスクを用いたカムコーダ等の場合には、記録データに一部エラーが残るリスクはあるが、リアルタイム性や消費電力を優先して、ベリファイ等記録データの信頼性を向上させる処理は省略せざるを得ないのが実情である。但し、大きなエラーの場合には一時的に画像が静止画となることがある。更に困るのは長時間の連続撮影(いわゆる長回し)において、記録が不調になっているにも拘わらず、撮り終わってからでないと記録状態の判断ができないといった問題がある。
【0007】
なお、記録がうまくいかない原因としては、外部からの振動によるもの(後述)、ディスク上のキズやほこり(指紋)、或いは機器自体の不具合等が考えられる。
【0008】
一方において、光ディスクを用いたカムコーダでは、カメラ画像の記録にあたって特有の記録方式が用いられる。これを間欠記録或いはショックプルーフ機能と呼んでいるが、大きく分けて目的は2つある。1つは外部から機器に対して予期しない振動が加わり、ディスクをトレースするピックアップが飛ばされて記録が中断してしまう現象の回復措置である。もう1つは消費電力の低減である。
【0009】
図7を用いてこの間欠記録動作を説明する。図7(a)は外部振動のない通常時の動作を示すもので、図面上部には記録すべきデータを一時的に保持するメモリの占有量の時間変化を示す。図面下部にはメモリから読み出したデータをディスクに記録するタイミングを示している。
【0010】
カメラ画像を符号化したデータは、図中のTHで示す閾値に達するまではメモリに蓄積され、ディスクは停止したままである。データ量がTHに達すると、ディスクを起動して、メモリへの書き込み速度よりずっと早い速度で読み出しディスクに記録する。ディスクへの記録はメモリが空になるまで続けるが、この間もメモリへの書き込みは継続している。メモリが空になった時点で再びディスクを停止して休止する。以上を繰り返して通常の記録が進行する。
【0011】
図7(b)はディスクへの記録中に外部振動があって記録が中断した場合の動作を示している。図中の×印が中断点を示しており、ピックアップを元の位置に戻して再び記録できる状態になるまで、メモリ占有量はTHを超えて上昇する。記録再開後は、やはりメモリが空になるまで記録を継続し、以後は通常状態に復帰する。
【0012】
このようにして、途中で外部振動があっても、すべてのカメラ画像が失われることなくディスクに記録することができる。十分なメモリ容量(図中のマージンで示す)を持つ点と、ディスクへの記録速度がカメラ画像の符号化速度より十分速い(n倍速)点が性能を決める大きなキーポイントとなる。
【0013】
消費電力の低減に関しては、2倍の速度で記録するためのレーザパワーが2倍よりずっと小さくて済む点が大きく貢献している。つまり、回転系やサーボ系を含めて2倍の速度で記録しても、半分の時間で記録が終了するため、結果的に省電力が可能となる。但し、間欠記録の間隔が小さいと、スピンドルやサーボの立ち上げによるオーバーヘッドがあるので、却って電力を消費することになる。従って、最大パワーの大きいレーザを用いて記録速度をより速く、メモリ容量を多くして休止期間をより長くするほど消費電力の低減効果が大きい。
【0014】
以上述べた間欠記録の休止区間に着目すると、ドライブはまったく停止しており、この期間中に他のデータを記録したり再生したりすることが可能である。これを利用して、すでに記録済みのAVデータ(の一部)を読み出しベリファイを行なう方式が、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0015】
ベリファイNGの場合は、やはり休止区間を利用して、メモリに保持していた(以前の)AVデータの再記録を行なう。これによりAVデータの信頼性を上げることができ、再生時の不具合を極力回避することが可能になる。
【特許文献1】特開平11−53845号公報
【特許文献2】特開2004−319080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述の間欠記録の休止期間を利用する方法では、間欠記録の本来の目的であるショックプルーフ機能及び消費電力の低減効果を明らかに低下させてしまう。また、再記録の時間まで十分に余裕を取ろうとすると、更に記録速度を高速化したり、メモリ量を増やす必要があり、電力消費を大きくしてしまう問題があった。
【0017】
本発明の目的は、間欠動作によるショックプルーフ機能或いは消費電力低減等の効果を損なうことなく、AVデータの信頼性を向上させることが可能な記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、連続的な撮像信号をバッファリングし、間欠的にディスク状媒体に記録を行なう記録方法において、間欠記録における記録再開時に、前回の記録終了位置より遡った位置から記録再開位置を決めるためのアドレス検出を開始し、前記アドレス検出と共に既記録データのベリファイを行なう。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、余分なディスクアクセスを行なう必要がないため、記録動作の機敏性を落としたり或いは消費電力を増やすことなく、記録データの信頼性をチェックすることができる。また、その結果に応じた適切な処理を行なうことで、撮影の失敗を回避することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る記録装置の一実施形態を示すブロック図であり、光ディスクを記録媒体とするカムコーダの例を示している。
【0021】
図中1はCCDカメラ等の画像入力装置及び液晶パネル等の表示装置を含むブロックである。以下、このブロックを代表してカメラ1という。2は画像、音声信号のAD/DA変換等を行なう画像音声入出力回路、3は各ブロック間、特に、メモリと各ブロックとの入出力を仲介するバスである。
【0022】
4は画像や音声、各種管理/制御情報を保持するメモリ、5は画像、音声の圧縮伸長を行なうMPEG CODEC、6は記録時のエラー訂正符号付加と再生時のエラー訂正を行なうエラー訂正処理回路、7は信号の変復調等を行なう記録再生処理回路である。このブロックにはディスク媒体に情報を記録或いは再生するためのピックアップ(光源である半導体レーザ等を含む)等が含まれている。
【0023】
更に8はディスク媒体の回転やフォーカス、トラッキング等を制御するサーボ処理回路、9は光ディスク等のディスク媒体(記録メディア)、10は装置全体を制御するCPUである。
【0024】
カメラ撮影時における記録処理の概要を述べると、まず、カメラ1で撮影された画像(及び音声)信号は画像音声入出力回路2でデジタル化され、バス3を介してメモリ4に書き込まれる。メモリ4上の画像、音声信号はMPEG CODEC6に読み出され、圧縮符号化して再びメモリ4に書き戻される。
【0025】
符号化された音声画像データ(AVデータ)は、エラー訂正処理回路6によりエラー訂正符号を付加され、記録再生処理回路7により変調されてディスク媒体9に記録される。ディスク媒体9上の所定の位置に正しく記録するため、図示しないモータやアクチュエータ、ピックアップ等はサーボ処理回路8によって制御される。
【0026】
記録するAVデータに係るファイル名やディスク媒体上での位置/サイズ情報等のファイル管理情報(PCデータ)はCPU10によりメモリ4上に作成され、後にAVデータとは別にディスク媒体9に記録される。但し、不揮発メモリ上に保持しておき、ディスク排出直前にまとめて記録する場合もある。なお管理情報はPCデータなので、従来技術の項で述べたようにベリファイを行なうので記録時には再生処理も伴う。
【0027】
図2はエラー訂正符号を含む記録データの構成を示しており、ECCブロックと呼んでいる。横172バイト、縦192行の有効データに対し横方向に10バイト(P1)、縦方向に16バイト(P2)のパリティを付加した構成であり、リードソロモン積符号と呼ばれ強力な訂正能力がある。
【0028】
有効データの部分にAVデータ或いはPCデータが配置される。ディスク媒体に記録を行なう場合、このECCブロックが訂正及び記録の単位として用いられ、図中矢印で示すように行方向に順次記録される。より正確には、12行記録したら次はP2パリティの1行という具合にP2部分の各行は分散して記録される。
【0029】
次に、ディスク媒体上の記録領域について説明する。図3は撮影開始から停止(またはポーズ)までのAVデータがディスク媒体上に記録された状態を示している。通常の場合、記録は内周側から順に外周へ向けて記録されるので、内周側が記録済みで外周側が空きとなっている。
【0030】
AVデータは、従来技術の項で述べたように間欠記録を行なうので、連続した撮影画像であっても図3(a)に示すようにn個のエリアに分割して記録される。1つのエリアが連続記録する領域を示しており、記録速度やメモリ容量等により異なるが、およそ1エリアあたり数百ECCブロック(図2参照)程度である。
【0031】
図3に示すエリアとエリアの境界は、間欠記録での休止した位置を仮想的に示しており、実際のディスク媒体上でも隣接しているが、その位置はファイルシステム等で明示的に記録されたり、管理されている境界ではない。また、予め決まった位置でもなく、従来技術の項で述べたショックプルーフ機能が働いた場合は、自動的にその位置が変更される。再生時においても記録時と同様に間欠再生を行なうが、記録時のエリア境界に一致した位置で休止を行なう必要はなく、通常は境界をまたがって再生される。
【0032】
これに対し、図3(b)は一つのAVデータが物理的に分割して記録された例を示す。エリア1の直後はすでに記録データが存在するため、物理的に離れた位置からエリア2が記録されている。一旦記録したファイルに対して、分割や消去等の編集を行なった場合にこのような状態となる。エリア1の後端やエリア2の先頭の位置はファイルシステムで管理され、別途管理情報としてディスク媒体上に記録される。
【0033】
以上述べたようなディスク領域に対して、実際に記録を行なう場合の具体的な手順を図4を用いて説明する。図4(a)は図7の間欠記録の説明図を再掲したもので、ここでは一例として、図3で説明したエリア1とエリア2を記録する際のメモリ占有量の変化と記録タイミングを示している。
【0034】
図4(b)及び(c)はエリア1への記録が終了してからエリア2への記録を開始するまでの期間のドライブ動作手順を示す。従来との差異を明確にするため、従来の一般的な手順を図4(b)に、本実施形態による手順を図4(c)に示す。
【0035】
まず、図4(b)を参照して従来のドライブ動作手順を説明する。エリア1への記録終了後、休止していたドライブをまず立ち上げる。その際、ピックアップ内のレーザを点灯すると共に、ディスク媒体の回転、フォーカス制御、トラッキング制御等一連のサーボ処理を実行する。
【0036】
もし、図3(b)のような記録エリアであった場合は、目的のトラック(エリア2の先頭位置)と大きく離れているのでシーク動作も行なう。続いて、現在のトラックからアドレス情報を読出し、ピックアップ(図示せず)の正確な現在位置を確認する(図中のアドレス再生)。
【0037】
次に、記録すべき目的位置と現在位置の距離(トラック数)をアドレス計算により求め、ショートジャンプを行なう。ショートジャンプとは、数本〜数十本のトラック移動が必要な場合、ピックアップの送りを行なわないでレンズのみをアクチュエータにより移動させる方法である。ショートジャンプはピックアップそのものを移動させるシーク動作に比べて高速である。
【0038】
ショートジャンプ後の位置は、上記アドレス計算により予め目標アドレスより少し手前になるように計算されており、以後はディスク媒体から順次アドレスを読出しながら目的アドレスが来るまで待機する(図中の位置決め)。目的のアドレスに到達したらレーザ出力を記録パワーに上げて、エリア2に記録を開始する。
【0039】
より正確には、目的アドレスの1つ前のアドレスが読めた時点で、エリア2に記録すべきデータをメモリから読出し、エラー訂正符号の付加や変調等記録の前準備を整えておいてから、目的アドレスが始まるタイミングに合わせて記録を開始する。
【0040】
次に、図4(c)を用いて本実施形態によるドライブ動作手順を説明する。図4(b)の従来例との違いは、図中において太枠で示す記録開始前のアドレス再生の部分である。アドレス再生により記録開始のための位置決めを行なう従来処理に加えて、以前記録したデータを再生してエラー訂正処理(ECC)を行なう。
【0041】
アドレス情報はウォブルと呼ばれる記録溝のうねりに変調して重畳されており、再生のためのレーザ光により溝に記録されたデータと同時に読み出すことができる。従来の記録シーケンスにおいて、再生データは必要ないため、アドレス情報のみを使用しているが、本実施形態では記録シーケンス中であっても、この位置決め期間において同時に読み出されるデータに対して再生処理を行なう。
【0042】
即ち、本発明は、連続的な撮像信号をバッファリングし、間欠的にディスク状媒体に記録を行なう記録方法において、間欠記録における記録再開時に、前回の記録終了位置より遡った位置から記録再開位置を決めるためのアドレス検出を開始する。そして、アドレス検出と共に既記録データのベリファイを行なう。
【0043】
図5は改めて本実施形態における記録の詳細手順を示す。位置決めを行なう直前までのS1〜S7の処理についてはすでに図4(c)を用いて説明したのでS8以降の処理について説明する。
【0044】
S6の後、S8においてディスク媒体9上のアドレス及びデータを再生する。この時、図3(b)に示すエリア2の記録のように再生するデータが直前に記録したデータ(エリア1の後端のデータ)でない場合には、AVデータの再生は行なわずにアドレス情報のみを再生する。
【0045】
S9でアドレスが記録開始位置(の1つ前)に一致したら、S13の記録処理へ移行する。アドレスがまだ記録位置に達していない場合には、S10へ遷移し、AVデータの再生があったかどうかで次の遷移先を変更する。
【0046】
S10でAVデータの再生がなかった場合は、S8のアドレス再生に戻り、以上を記録アドレスに達するまで繰り返す。AVデータの再生があった場合には、S11のエラーチェックに遷移する。S11では再生したAVデータを図2のECCブロックに並べ替えて、エラー訂正を行なう。
【0047】
その結果から、データが正常に記録されていたかをチェックし、S12で正常かを判定する。エラーチェックの内容については後述する。記録が正常でないと判定した場合は、記録を中止し、ユーザーへの通知等を行なう。記録を正常と判定した場合には、S8へ戻り、次のブロックのアドレス及びAVデータを再生する(以下繰返し)。本発明はこのようにベリファイの結果に応じて、記録を自動的に停止する。
【0048】
図6はS11のエラーチェックの詳細を示す。まず、S14においてAVデータのエラー訂正処理を行なう。次いで、S15において訂正出来るかを判定し、訂正出来ない場合には、S19に進み、NG回数をカウントアップする。S20ではその結果に基づいて判定する。その際、ディスク媒体上の大きなキズ等よほどのことがないと訂正不能は起きないので、通常はNG回数が1回の場合でも記録中止と判定する。
【0049】
一方、S15でいくつかのエラー訂正でき、すべてのデータが正しい値に再現出来た場合には、S16に進み、訂正数と予め設定された所定数Eとの比較(訂正数<E)を行なう。S16の比較結果に応じてS17かS18に振り分け、訂正数の積算を行なう。具体的には、S16において訂正数<Eであった場合には、信頼性のある記録ができていると判断し、エラー訂正数を積算すると共にOK回数(OKブロックの回数)をカウントアップする(S17)。
【0050】
また、S16において訂正数がE個より多い場合(即ち、訂正は可能だが訂正数が多い場合)には、エラー訂正数を積算すると共に注意回数をカウントアップする(S18)。注意回数というのは訂正OK(ノーエラー)ではあるが記録状態が悪化しているブロックの場合に1カウントとし、やはりOKブロックである場合に1カウントするOK回数とは別にカウントアップする。つまり、注意回数とはS16でNと判定された場合の訂正OKとなったブロックのカウント数をいう。
【0051】
以上の結果に基づきS20で記録動作を続行するか中止するかを判定する。各積算動作は間欠動作を繰り返す間継続し、NGが1回も起きなかった場合でもエラー訂正数や注意回数の積算値が所定値を超えた場合には記録中止と判定する。
【0052】
以上が、現在撮影中のAVデータを記録しながら、その記録シーケンスの中で直前に記録したAVデータに対してベリファイ(エラーチェック)を行なう手順である。但し、ベリファイはすべてのAVデータに対してではなく、間欠記録によって記録された1つのエリアの後端部を対象にしている。
【0053】
図3にベリファイされるデータ部分を三角印(▲)で示す。これらの箇所のエラー状況を見て、記録済みデータの信頼性を総合的に判断する。本発明の特徴としては、従来のドライブアクセス手順のうち位置決めに相当する期間を利用するため、メカニカルに追加となるドライブアクセスが不要であり、電力的にもエラー訂正処理に要する軽微な電力増加で済む点である。
【0054】
さて、記録済みデータの信頼性に対する総合的な判断ができたので、次はその結果をいかに用いるかである。以下にその方法をいくつか示す。
【0055】
上記実施形態においては、エラー個数の集計等から、自動的に記録を中止するように説明した。しかし、ユーザーによっては多少のエラーがあっても撮影を続行したい、という要望もある。再生画像に一部乱れが生じたとしても、ユーザーによっては、なお価値がある場合があるからである。
【0056】
最も単純には、記録の中止を自動的に行なわず、エラーチェックの総合結果を、記録の信頼性として、液晶パネル等のモニタ上に重ねて表示する方法がある。ユーザーはその表示を見て判断し、必要なら記録を停止することができる。本発明はこのようにベリファイの結果をモニタ画面に重畳して表示する。
【0057】
次に、間欠記録の合間を使って記録の信頼性を向上させる方法について述べる。これまで説明したように(例えば図7)、メモリ容量にもよるが間欠記録の休止期間は比較的長いので、数ブロックのデータであれば記録して再生する時間が充分にある。
【0058】
記録がうまくいかない一因として、温度等の環境やディスク媒体の特性に対して、記録のパラメータが最適化されていない点が考えられる。この最適化を行なう処理を学習処理と呼んでいる。
【0059】
最も簡単な例を示すと、レーザの記録パワーをブロック毎に何段階か変えて記録し、それらを再生して最もエラー率のよいブロックに用いたパワーを最適パワーとする方法である。AVデータの記録状態が悪化してきたら、間欠記録の休止期間中にこの学習処理を実行して記録パワーを最適化すれば、その後の記録状態の改善が期待できる。本発明はこのようにベリファイの結果に応じて、間欠的な記録の休止期間中に、記録パラメータを変更するための学習処理を行なう。
【0060】
また、やはり間欠記録の合間を利用して、エラー訂正が出来なかったブロックに対して再記録を行なう方法もある。これは、ディスク媒体上のキズ等による不良ブロックが原因であり、そのブロックを使用しないようにして以降のブロックに再記録すればよい。但し、一旦記録したAVデータをメモリ上に保持しておく必要がある。
【0061】
また、この再記録の方法が可能なのは、エリアの後端のブロックに限られるので、万全とは言えないが、少なくともエラーがあるブロックを救うことはできる。本発明は、このようにベリファイにより発見されたエラー訂正不可のブロックに対し、間欠的な記録の休止期間中に、再記録を行なう。
【0062】
以上述べた学習処理や再記録の方法を用いれば、記録状態が悪化した場合に記録中止となってしまう問題を回避できる可能性がある。なお、記録を中止した場合の回復策としては、機器の故障でない限りは、ディスク媒体の交換や記録パラメータ(ストラテジ)の学習処理を行なう等がある。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る記録装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】エラー訂正符号を含む記録データの構成を示す図である。
【図3】ディスク媒体上にAVデータが記録された状態を示す図である。
【図4】本発明に係る記録方法と従来方法を比較して説明する図である。
【図5】本発明に係る記録方法を説明するフローチャートである。
【図6】図5のエラーチェック処理を説明するフローチャートである。
【図7】従来例の間欠動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0064】
1 カメラ
2 画像音声入出力回路
4 メモリ
5 MPEG CODEC
6 エラー訂正処理回路
7 記録再生回路
8 サーボ処理回路
9 ディスク媒体(記録メディア)
10 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的な撮像信号をバッファリングし、間欠的にディスク状媒体に記録を行なう記録方法において、間欠記録における記録再開時に、前回の記録終了位置より遡った位置から記録再開位置を決めるためのアドレス検出を開始し、前記アドレス検出と共に既記録データのベリファイを行なうことを特徴とする記録方法。
【請求項2】
前記ベリファイの結果に応じて、記録を自動的に停止することを特徴とする請求項1に記載の記録方法。
【請求項3】
前記ベリファイの結果をモニタ画面に重畳して表示することを特徴とする請求項1に記載の記録方法。
【請求項4】
前記ベリファイの結果に応じて、前記間欠的な記録の休止期間中に、記録パラメータを変更するための学習処理を行なうことを特徴とする請求項1に記載の記録方法。
【請求項5】
前記ベリファイにより発見されたエラー訂正不可のブロックに対し、前記間欠的な記録の休止期間中に、再記録を行なうことを特徴とする請求項1に記載の記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−269674(P2008−269674A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108248(P2007−108248)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】