説明

記録装置及び記録方法

【目的】 デジタルデータを複数枚の記録媒体に分割記録するための操作を簡便、かつ短時間に行うことが可能なデジタル記録再生装置を提供する。
【解決手段】 蓄積部に蓄積された蓄積済みデータの複数の記録媒体への分割記録要求を受け付ける記録要求受信部と、記録要求に応答し、記録媒体の記録容量に対応する蓄積済みデータにおける分割部の映像を蓄積部から再生するとともに、蓄積済みデータにおける所望の分割位置を指定する分割位置指定指令を受信する分割位置指定受信部と、分割位置指定指令に基づいて、蓄積済みデータの記録残量を算出する算出部と、記録残量が記録媒体の記録容量以下となるまで分割位置指定指令の受信及び記録残量の算出を繰り返す制御をなす制御部と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像及び音声に関するデータを分割して複数の記録媒体に記録する記録装置及び記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスク技術の進展に伴い、映像等をDVDにデジタルデータとして録画することが可能なデジタル録画装置が広く普及している。さらに、近年、テレビ番組等の映像をリアルタイムで録画でき、大容量のデータを記録することが可能なHDD(Hard Disc Drive)をさらに搭載したデジタル録画装置が、近年、急速に用いられるようになってきた。
【0003】
このようなHDD及びDVD記録機能を有するデジタル録画装置においては、HDDに記録されたデータをDVDにダビング記録し、保存しておきたい場合がある。例えば、テレビ番組等のデータをHDDからDVDディスクに記録する際、記録したいデジタルデータの容量がDVDディスクの記録容量(例えば、数GB(ギガバイト))を超える場合には、複数のディスクに当該データを分割して記録する必要がある。
【0004】
複数のディスクに亘ってダビング記録をする場合、従来は、そのデータの分割位置はデジタル録画装置によって自動でなされていた。すなわち、1枚のディスクに記録できる最大の容量でデータを分割して記録するように構成されていた。あるいは、ユーザが全ての操作をマニュアルで行わなければならなかった(例えば、特許文献1参照)。例えば、データの編集作業や、各ディスクへの記録時間の調整等を全てマニュアルで行う必要があった。従って、マニュアル操作の作業量が非常に多く、ユーザにとっては煩わしいものであった。また、分割記録の作業のために多大な時間を費やす必要があった。
【0005】
従って、HDDに記録されたデータを複数枚のディスクに分割記録するための操作を簡便、かつ短時間に行うことが可能なデジタル録画装置の実現が強く望まれている。
【特許文献1】特開2004−127470号公報(第9頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題には、上記した問題が1例として挙げられる。本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、デジタルデータを複数枚の記録媒体に分割記録するための操作を簡便、かつ短時間に行うことが可能なデジタル記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による映像記録装置は、映像及び音声に関するデータを蓄積する蓄積部と、蓄積部に蓄積された蓄積済みデータを分割して複数の記録媒体に記録する記録部と、を有する映像記録装置であって、蓄積済みデータを記録媒体へ記録する旨の記録要求を受け付ける記録要求受信部と、記録要求に応答し、記録媒体の記録容量に対応する蓄積済みデータにおける分割部の映像を蓄積部から再生するとともに、蓄積済みデータにおける所望の分割位置を指定する分割位置指定指令を受信する分割位置指定受信部と、分割位置指定指令に基づいて、蓄積済みデータの記録残量を算出する算出部と、記録残量が記録媒体の記録容量以下となるまで分割位置指定指令の受信及び記録残量の算出を繰り返す制御をなす制御部と、を有することを特徴としている。
【0008】
また、本発明による記録方法は、映像及び音声に関するデータを蓄積する蓄積部に蓄積された蓄積済みデータを分割して複数の記録媒体に記録する記録方法であって、蓄積済みデータの記録媒体へ記録する旨の記録要求を受け付けるステップと、記録媒体の記録容量に対応する蓄積済みデータの分割部における映像を蓄積部から再生する再生ステップと、蓄積済みデータにおける所望の分割位置を指定する分割位置指定指令を受信する分割位置指定受信ステップと、分割位置指定指令に基づいて、蓄積済みデータの記録残量を算出する算出ステップと、記録残量が記録媒体の記録容量以下となるまで再生ステップ、分割位置指定受信ステップ及び算出ステップを繰り返す制御をなす制御ステップと、を有することを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に示す実施例において、等価な構成要素には同一の参照符を付している。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の実施例1であるデジタル記録再生装置(以下、デジタルレコーダ装置、又は単にデジタルレコーダという。)10の構成を模式的に示すブロック図である。 デジタルレコーダ10は、アナログ映像/音声信号等のアナログ信号をデジタルデータとして記録する記録装置として機能するとともに、記録されたデジタルデータを再生し、アナログ信号に変換して出力する再生装置としても機能する。
【0011】
デジタルレコーダ10に入力されたアナログ映像信号(ビデオ信号)は、アナログ−デジタル変換器(A/D変換器)11によってデジタルビデオ信号に変換される。当該デジタルビデオ信号は、ビデオエンコーダ13においてMPEG等の圧縮データに符号化(エンコード)される。
【0012】
また、デジタルレコーダ10に入力されたアナログ音声信号(オーディオ信号)は、アナログ−デジタル変換器(A/D変換器)12によってデジタルオーディオ信号に変換される。当該デジタルオーディオ信号は、オーディオエンコーダ14において所定の圧縮データに符号化(エンコード)される。
【0013】
ビデオエンコーダ13からの符号化ビデオデータ、及びオーディオエンコーダ14からの符号化オーディオデータは多重化回路(以下、マルチプレクサMUXという。)15に供給され、多重化される。当該符号化ビデオデータ及び符号化オーディオデータの多重化はシステムコントローラ20の制御の下で実行される。なお、システムコントローラ20は、信号バス(図示しない)を介してデジタルレコーダ10の各部に接続され、デジタルレコーダ10全体の制御をなすよう構成されている。なお、システムコントローラ20には、システムコントローラ20がデジタルレコーダ10の制御を実行するために必要なデータ、コマンド、設定値等を格納するためのメモリ(RAM,ROM)20Aが双方向的に接続されている。
【0014】
マルチプレクサMUX15において多重化されたデータ(以下、多重化データともいう。)は、インターフェース(I/F)回路16を介してHD(ハードディスク)、あるいはDVDディスク等の光ディスクに転送され、システムコントローラ20からの制御信号に基づいて記録される。より詳細には、インターフェース回路16にはデータバスを介して光ディスク駆動部17及びHD(ハードディスク)駆動部18が接続されている。光ディスク駆動部17は、光ディスク17Aを駆動し、インターフェース回路16を介して供給されたデータを光ディスク17Aに記録する。例えば、光ディスク17AがDVDの場合では数GB(ギガバイト)、Blu-rayディスクの場合では数10GB程度の記録容量を有している。また、HD駆動部18は、ハードディスク18Aを駆動し、インターフェース回路16を介して供給されたデータをハードディスク18Aに蓄積(格納)する。例えば、ハードディスク18Aは、一般的には数10GB〜数TB(テラバイト)程度の格納容量を有する。
【0015】
さらに、ハードディスク18Aに格納されたデータを、インターフェース回路16を介して光ディスク17Aに転送して記録(ダビング)することができ、また、光ディスク17Aに記録されたデータをインターフェース回路16を介してハードディスク18Aに転送して格納することができる。かかるハードディスク18A又は光ディスク17Aからのデータの読み出し、ハードディスク18A及び光ディスク17A間のデータの転送、及びハードディスク18A又は光ディスク17Aへの格納又は記録はシステムコントローラ20の制御信号に基づいて行われる。
【0016】
なお、本実施例における光ディスクは、片面単層に記録層が形成されるディスクに限られず、二層ディスクや両面ディスクを含むものである。
【0017】
次に、データ再生時においては、システムコントローラ20は、光ディスク駆動部17又はHD駆動部18を制御して光ディスク17A又はハードディスク18Aに格納されたデータを読み出す。読み出されたデータは、インターフェース回路16を介して多重分離回路(以下、デマルチプレクサDMUXという。)21に供給され、符号化ビデオデータ及び符号化オーディオデータに分離される。
【0018】
デマルチプレクサDMUX21からの符号化ビデオデータは、ビデオデコーダ23において復号化(デコード)される。例えば、符号化ビデオデータがMPEG圧縮データの場合にはMPEG復号化がなされる。復号化されたビデオ信号は、デジタル−アナログ変換器(D/A変換器)25によってアナログビデオ信号に変換され、出力される。アナログビデオ信号は、デジタルレコーダ10に接続されたTV装置等のディスプレイ装置(図示しない)に供給され、当該ディスプレイ装置に表示される。
【0019】
同様に、デマルチプレクサDMUX21からの符号化オーディオデータは、オーディオデコーダ24において復号化(デコード)される。復号化されたオーディオ信号は、デジタル−アナログ変換器(D/A変換器)26によってアナログオーディオ信号に変換され、出力される。アナログオーディオ信号は、デジタルレコーダ10に接続されたTV装置等のディスプレイ装置やAVアンプ装置等(図示しない)に供給され、音声出力される。
【0020】
上記したビデオデータ及びオーディオデータの、光ディスク17A又はハードディスク18Aへの記録、格納、ハードディスク18A又は光ディスク17Aからのデータの読み出し、ハードディスク18A及び光ディスク17A間のデータの転送・記録は、ユーザからの操作、設定等を受け付ける操作入力部27からの操作信号に応じて行われる。また、ユーザの操作・設定、光ディスク17A及びハードディスク18Aの記録内容、各種動作の実行状況等の情報は表示部28に表示される。あるいは、それらの情報の全て、あるいは一部がデジタルレコーダ10に接続されたTV装置等のディスプレイ装置(図示しない)に供給され、当該ディスプレイ装置に表示するようにしてもよい。
【0021】
次に、ハードディスク18Aに蓄積されたデータを光ディスク17Aにダビング記録する場合の動作について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、上記したようにハードディスク18Aに蓄積されたデータは符号化ビデオデータに符号化オーディオデータを多重化したデータであるが、説明の簡便さのため、以下ではかかる多重化データを単に映像データ(片)ともいう。また、以下のダビング記録動作はシステムコントローラ20の制御によってなされる。なお、上記映像データ片は、符号化されたものでなくてもよく、また、オーディオデータが多重化(又は重畳)されていなくてもよい。
【0022】
図2及び図3は、ハードディスク18Aに蓄積された1つ以上の蓄積済みデータ(映像/音声データ)を光ディスク17Aにダビング記録する場合の手順を示すフローチャートである。まず、システムコントローラ20は、ダビング要求を受け付ける。すなわち、ユーザの操作によって操作入力部27から入力されたダビング要求を受け付ける(ステップS11)。このダビング要求には、当該蓄積済みデータの分割をユーザ設定により行うか、自動で行うかについての指定が含まれる。また、連続して、あるいは離散的にハードディスク18Aに蓄積された複数の蓄積済みデータ片(例えば、蓄積された複数のTV番組、映画等)をダビングする場合には、当該ダビング要求には、かかる蓄積済みデータ片の各々を指定する情報が含まれる。そして、当該複数の蓄積済みデータ片に関し、後述する蓄積済みデータ容量の算出、分割がなされる。
【0023】
さらに、このダビング要求には、ユーザの指定による光ディスク17Aの種類(又は記録容量)に関する情報が含まれるようにしてもよい。あるいは、かかる情報を含まない場合には、光ディスク17Aの記録容量として既定値(デフォルト値)を用いるようにしてもよい。
【0024】
次に、システムコントローラ20は、光ディスク17Aが光ディスク駆動部17にロードされ、記録可能な状態か否かを判別するとともに、ロードされたディスクの残量を確認する(ステップS12)。
【0025】
光ディスク17Aがロードされていると判別された場合には、当該ダビング要求において指定されたハードディスク18Aに蓄積された蓄積済みデータ(転送元データ)のサイズ(容量)及び光ディスク駆動部17によって駆動される光ディスク17A(転送先)の記録容量に基づいて、複数枚のディスクに亘って分割記録(ダビング)を行う必要があるか否かを判別する(ステップS13)。
【0026】
分割記録が必要ではないと判別された場合、すなわち、当該指定されたデータを分割せずに1枚のディスクに記録できると判別された場合には、本ルーチンを終了し、通常のデータ転送記録(非分割記録)の動作(図示しない)を実行する。
【0027】
分割記録が必要であると判別された場合には、当該蓄積済みデータの分割をユーザ設定により行うか否かを上記ダビング要求に基づいて判別する(ステップS14)。蓄積済みデータの分割を自動で行うと判別された場合には、従来と同様に、自動で分割位置を定める自動分割ダビング記録が実行される(ステップS15)。
【0028】
ユーザ設定による分割ダビングを行うと判別された場合には、ユーザ設定分割ダビングのサブルーチンに移行する(ステップS16)。図3はユーザ設定による分割ダビングを行う場合のサブルーチンを示している。図3を参照すると、まず、HD駆動部18は、システムコントローラ20の制御の下、ハードディスク18Aにアクセスし、指定された蓄積済みデータ(容量Dv(ギガバイト)とする)の第j分割位置(j=1)へサーチする。例えば、当該指定された蓄積済みデータが1片の蓄積済みデータである場合には、当該分割位置は、ハードディスク18Aに蓄積された当該指定データの先頭から光ディスク17Aの記録容量に等しいデータ量に対応する位置である。例えば、光ディスク17Aの記録容量がCdisc(ギガバイト)である場合、当該指定データの先頭からCdisc(ギガバイト)目のデータ位置である。また、複数の蓄積済みデータ片が指定された場合には、当該複数の蓄積済みデータ片を結合したデータの先頭からCdisc(ギガバイト)目のデータ位置が分割位置である。尚、以下では、該指定された蓄積済みデータが1片の蓄積済みデータである場合について説明するが、複数の蓄積済みデータ片が指定された場合においても同様に適用することができる。
【0029】
システムコントローラ20は、当該サーチ位置部分のデータを再生し、一時停止(PAUSE)を行って、当該分割位置の映像再生信号(静止映像再生信号)を出力し、TV装置等のディスプレイ装置(図示しない)に表示させる(ステップS21)。また、蓄積済みデータの所望の分割位置を指定するよう要求する分割位置指定要求を発する(ステップS21)。例えば、分割位置指定の操作を要求する旨のプロンプト表示をディスプレイ装置等になす。
【0030】
次に、システムコントローラ20は、ユーザの操作によって操作入力部27から入力された第1分割位置を指定する指定指令信号を受信する。より具体的には、ユーザは、例えば操作入力部27のジョグダイアル等によって上記サーチ位置の近傍部分を適宜再生し、上記サーチ位置よりも前であって所望の分割位置を指定する操作を行う。当該操作に応じて、操作入力部27から第1分割位置C1(≦Cdisc)の指定信号がシステムコントローラ20に送出され、受信される(ステップS22)。
【0031】
システムコントローラ20は、第1分割位置C1の設定をメモリ20Aに格納する(ステップS23)。次に、指定されたデータの残りの容量(記録残量)(Dv−C1)を算出し、当該記録残量と光ディスク17Aの記録容量(Cdisc)とに基づいて、さらにデータ分割を行う必要があるか否かを判別する(ステップS24)。さらにデータ分割を行う必要があると判別された場合には、分割回数に対応するインデックスjをアップカウントし、上記した手順(ステップS21〜S24)と同様な手順を、データ分割を行う必要が無くなるまで繰り返す。かかる手順によって第j分割位置Cj(j=1,2,...)の設定等のデータがメモリ20Aに格納される。なお、光ディスク17Aの1枚目、2枚目、・・・に記録されるデータ(第1分割データ、第2分割データ、・・・、という。)の容量は分割位置Cj(ギガバイト)の差、すなわちC1、C2−C1、C3−C2、・・・として算出することができる。
【0032】
ステップS24においてさらにデータ分割を行う必要が無いと判別された場合には、必要ディスク枚数を算出し、表示部28に表示される(ステップS25)。なお当該情報はデジタルレコーダ10に接続されたTV装置等のディスプレイ装置(図示しない)に供給され、当該ディスプレイ装置に表示するようにしてもよい。
【0033】
次に、システムコントローラ20は、ユーザの操作によって操作入力部27から入力されたダビング実行の指令が有るか否かを判別する(ステップS26)。ダビング実行の指令がなされた場合には、分割ダビングを実行する(ステップS27)。
【0034】
かかる分割ダビングの実行(ステップS27)は、例えば図4のフローチャートに示す手順によって行うことができる。まず、光ディスク17Aが光ディスク駆動部17にロードされ、記録可能な状態か否かが判別されるとともに、ロードされたディスクの残量を確認する(ステップS31)。光ディスク17Aがロードされていると判別された場合には、メモリ20Aに格納された設定値に基づいて第1分割データの光ディスク17Aへの記録が実行される(ステップS32)。なお、第1枚目のディスクについてはローディング及び残量の確認は、上記したステップS12(図2)における判別・確認結果を利用してもよく、省略することも可能である。
【0035】
次に、分割記録が終了か否かが判別される(ステップS33)。分割記録がまだ終了していない場合には、新たなディスクをロードする要求を表示部28又はディスプレイ装置(図示しない)等に表示し、あるいはトレイを開くなどしてユーザに新たなディスクの装填を促す。分割記録が終了するまで上記した手順(ステップS31〜S34)を繰り返すことによって第j分割データ(j=1,2,...)を複数枚に亘るディスクへの分割記録を実行する。なお、ユーザ設定による分割ダビングにおいては、各光ディスクへの記録開始部及び/又は終了部が重複記録されないようにディスクに分割記録がなされるのが好ましい。
【0036】
また、記録前後に必要な処理動作(イニシャライズ、ファイナライズ等)がある場合は、それを自動またはユーザによる設定で行うようにしても良い。
【0037】
上記したように、本発明によれば、記録媒体(光ディスク)よりも容量の大きなデジタルデータを複数枚の記録媒体に亘ってダビング記録する際の設定操作を簡便、かつ短時間に行うことができる。
【実施例2】
【0038】
図5は、本発明の実施例2であるデジタルレコーダ10の分割ダビング記録の手順を示すフローチャートである。
【0039】
まず、システムコントローラ20は、ハードディスク18Aに蓄積された蓄積済みデータ(映像/音声データ)を複数の光ディスク17Aに分割してダビング記録する旨の分割ダビング要求を受け付ける。すなわち、ユーザの操作によって入力された分割ダビング要求を受け付ける(ステップS41)
次に、システムコントローラ20はHD駆動部18を制御し、ハードディスク18Aにアクセスして指定された映像データ(容量Dv(ギガバイト)とする)の第j分割位置(j=1)へサーチする。システムコントローラ20は、当該サーチ位置を再生し、一時停止(PAUSE)を行って、当該分割位置の映像再生信号(静止映像再生信号)を出力し、TV装置等のディスプレイ装置(図示しない)に表示させる(ステップS42)。また、蓄積済みデータの所望の分割位置を指定するよう要求する分割位置指定要求を発する。さらに、後述する所望の映像処理を指定するよう要求する(ステップS42)。
【0040】
次に、システムコントローラ20は、ユーザの操作によって操作入力部27から入力された第1分割位置を指定する指定指令信号を受信する(ステップS43)。より具体的には、ユーザは、例えば操作入力部27によって上記サーチ位置の近傍部分を適宜再生し、上記サーチ位置よりも前であって所望の分割位置を指定する操作を行う。当該操作に応じて、操作入力部27から第1分割位置C1(≦Cdisc)の指定信号がシステムコントローラ20に送出され、受信される。また、システムコントローラ20は、第1分割位置C1の設定をメモリ20Aに格納する(ステップS43)。
【0041】
次に、システムコントローラ20は、指定されたデータの残りの容量(記録残量という)(Dv−C1)を算出し、当該記録残量と光ディスク17Aの記録容量(Cdisc)とに基づいて、第1分割位置をC1としたときの、指定データを記録するのに要する光ディスクの枚数を算出し、表示器28に表示させる(ステップS44)。あるいは、外部ディスプレイに供給して表示させる。
【0042】
システムコントローラ20は、分割データを光ディスク17Aに記録する際の映像処理を指定する信号を受信し、メモリ20Aに格納する(ステップS45)。
【0043】
図6に示すように、デジタル記録再生装置10には、映像データのフェードアウト、フェードイン、黒画面化処理、静止画等の所定の映像処理をデジタルデータ処理によって行うことが可能な映像処理部30が設けられている。かかる映像処理部30によるデジタルデータ処理についてより詳細に説明する。かかるデジタルデータ処理において、ハードディスク18Aから読み出された分割データ片はデマルチプレクサDMUX21において分離処理がなされ、得られた符号化ビデオ/オーディオデータは、ビデオデコーダ23,オーディオデコーダ24においてデコードされる。デコードされたデータは、映像処理部30において、当該映像処理指定信号に基づいて映像処理が行われる。映像処理されたデータは、ビデオエンコーダ13及びオーディオエンコーダ14においてエンコードされ、マルチプレクサMUX15により多重化され、光ディスク17A又はハードディスク18Aに格納することができるように構成されている。かかる一連の処理は、システムコントローラ20の制御によってなされる。
【0044】
なお、フェードアウト、フェードイン等の上記映像処理を施すことによってデータに重複部分が生じる場合には、データ量も増加するため、当該データの容量、光ディスク17Aの記録残量の算出(ステップS24,S25等)において当該データ増加分が考慮される。
【0045】
システムコントローラ20は、さらにデータ分割を行う必要があるか否かを判別する(ステップS46)。さらにデータ分割を行う必要があると判別された場合には、分割回数に対応するインデックスjをアップカウントし、上記した手順(ステップS42〜S46)と同様な手順を、データ分割を行う必要が無くなるまで繰り返す。かかる手順によって第j分割位置Cj(j=1,2,...)の設定、及び当該分割位置における映像処理等に関するデータがメモリ20Aに格納される。
【0046】
ステップS46においてさらなるデータ分割を行う必要が無いと判別された場合には、最終的に必要なディスク枚数を算出し、表示部28に表示する(ステップS47)。なお当該情報はデジタルレコーダ10に接続されたTV装置等のディスプレイ装置(図示しない)に外部出力され、当該ディスプレイ装置に表示するようにしてもよい。
【0047】
次に、システムコントローラ20は、ユーザの操作によって操作入力部27から入力されたダビング実行の指令に基づいて分割ダビングを実行する(ステップS48)。
【0048】
かかる分割ダビングの実行(ステップS48)は、図7のフローチャートに示す手順によって行うことができる。かかる分割ダビングの手順は図4に示す手順と同様であるが、システムコントローラ20は、メモリ20Aに格納された映像処理等に関する設定データに基づいて、各光ディスクへの記録開始部及び/又は終了部において映像処理を施して記録をなすよう制御する(ステップS32’)。より具体的には、システムコントローラ20は、ハードディスク18Aから読み出した分割データをインターフェース回路16を介してデマルチプレクサDMUX21に供給し、分離処理を行う。分離されたビデオ及びオーディオデータは、ビデオデコーダ23及びオーディオデコーダ24で符号化がなされる。映像処理部30は、設定データに基づいて、符号化がなされた分割データに指定された映像処理を施す。映像処理が施された分割データはインターフェース回路16、ビデオエンコーダ13及びオーディオエンコーダ14、マルチプレクサMUX15を経て光ディスク駆動部17に供給され、光ディスク17Aに記録される。
【0049】
また、記録前後に必要な処理動作(イニシャライズ、ファイナライズ等)がある場合は、それを自動またはユーザによる設定で行うようにしても良い。
【0050】
上記したように、本発明によれば、記録媒体(光ディスク)よりも容量の大きなデジタルデータを複数枚の記録媒体に亘ってダビング記録する際の設定操作を簡便、かつ短時間に行うことができるとともに、所望の映像処理を施して分割ダビング記録を行うことができる。また、ユーザが分割位置を設定するごとに必要なディスク数が算出され、表示されるので、所要ディスク数を確認しつつ分割位置の設定操作を行うことができる。
【0051】
なお、記録媒体として光ディスクを用いた場合を例に説明したが、磁気ディスク、MOディスク、あるいはRAM等の半導体メモリを用いた記録媒体であってもよい。また、映像データを蓄積する蓄積部としてハードディスクを用いた場合を例に説明したが、当該記録媒体よりも大きな容量を有する他の記憶装置であってもよい。
【0052】
さらに、本発明は、HDD等の記憶装置及びDVD等の記録装置を搭載したDVDレコーダ等の記録再生装置に限らず、例えば上記記憶装置及び記録媒体記録装置を搭載したPC(パーソナルコンピュータ)等、またはこれらに等価な記録装置にも適用することができる。
【0053】
上記した実施例は適宜組み合わせて適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施例1であるデジタル記録再生装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】ハードディスクに蓄積されたデータを光ディスクにダビング記録する場合の手順を示すフローチャートである。
【図3】ハードディスクに蓄積されたデータを光ディスクにダビング記録する場合の手順を示すフローチャートである。
【図4】分割ダビングを実行する際の手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例2であるデジタル記録再生装置の分割ダビング記録の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例2であるデジタル記録再生装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【図7】本発明の実施例2における分割ダビングの手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
10 デジタル記録再生装置
13 ビデオエンコーダ
14 オーディオエンコーダ
15 マルチプレクサ
17 光ディスク駆動部
18 ハードディスク駆動部
20 システムコントローラ
21 デマルチプレクサ
23 ビデオデコーダ
24 オーディオデコーダ
27 操作入力部
28 表示部
30 映像処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像及び音声に関するデータを蓄積する蓄積部と、前記蓄積部に蓄積された蓄積済みデータを分割して複数の記録媒体に記録する記録部と、を有する映像記録装置であって、
前記蓄積済みデータを前記記録媒体へ記録する旨の記録要求を受け付ける記録要求受信部と、
前記記録要求に応答し、前記記録媒体の記録容量に対応する前記蓄積済みデータにおける分割部の映像を前記蓄積部から再生するとともに、前記蓄積済みデータにおける所望の分割位置を指定する分割位置指定指令を受信する分割位置指定受信部と、
前記分割位置指定指令に基づいて、前記蓄積済みデータの記録残量を算出する算出部と、
前記記録残量が前記記録媒体の記録容量以下となるまで前記分割位置指定指令の受信及び前記記録残量の算出を繰り返す制御をなす制御部と、を有することを特徴とする映像記録装置。
【請求項2】
当該受信した分割位置指定指令を記憶する記憶部を有し、
前記制御部は、当該記憶した分割位置指定指令に基づいて前記蓄積済み映像データを分割して前記複数の記録媒体に記録する制御をなすことを特徴とする請求項1に記載の映像記録装置。
【請求項3】
当該分割データに所定の映像処理をなす映像処理部を有し、
前記制御部は、当該分割データを記録媒体に記録する際の記録開始部及び記録終端部のいずれかにおいて前記所定の映像処理をなした後、前記複数の記録媒体に記録する制御をなすことを特徴とする請求項2に記載の映像記録装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記分割位置指定指令を受信するごとに前記蓄積済み映像データを記録するのに要する記録媒体の数を算出することを特徴とする請求項1に記載の映像記録装置。
【請求項5】
映像及び音声に関するデータを蓄積する蓄積部に蓄積された蓄積済みデータを分割して複数の記録媒体に記録する記録方法であって、
前記蓄積済みデータの前記記録媒体へ記録する旨の記録要求を受け付けるステップと、
前記記録媒体の記録容量に対応する前記蓄積済みデータの分割部における映像を前記蓄積部から再生する再生ステップと、
前記蓄積済みデータにおける所望の分割位置を指定する分割位置指定指令を受信する分割位置指定受信ステップと、
前記分割位置指定指令に基づいて、前記蓄積済みデータの記録残量を算出する算出ステップと、
前記記録残量が前記記録媒体の記録容量以下となるまで前記再生ステップ、前記分割位置指定受信ステップ及び前記算出ステップを繰り返す制御をなす制御ステップと、を有することを特徴とする記録方法。
【請求項6】
当該受信した分割位置指定指令を記憶するステップを有し、
前記制御ステップは、当該記憶した分割位置指定指令に基づいて前記蓄積済みデータを分割して前記複数の記録媒体に記録する制御をなすことを特徴とする請求項5に記載の記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−172656(P2006−172656A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366235(P2004−366235)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】