説明

記録装置

【課題】 記録装置の大型化及び大幅なコスト増を生じさせることなく、被記録材の変形に起因した紙ジャムを低減させるとともに被記録材の変形に起因したヘッド擦れも低減させる。
【解決手段】 案内斜面231は、支持部材13から離間する方向へ搬送経路Prから外れようとする当該記録紙Pの先端を排出駆動ローラー14と排出従動ローラー15とが当接する部分へ案内する。規制面232は、支持部材13から離間する方向へ搬送経路Prから外れようとする当該記録紙Pに接して、その記録紙Pが支持部材13から離間することを規制する。案内斜面231及び規制面232は、主走査方向Xにおける形状が異なるように形成されている。それによって排出従動ローラーホルダー23は、形状が異なる第1案内部23Aと第2案内部23Bが主走査方向Xへ並設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録材の記録面にドットを形成する記録ヘッドと、被記録材を所定の搬送方向へ所定の搬送経路で搬送する搬送装置と、記録ヘッドによりドットを形成可能な領域で記録面の裏面に接して被記録材を支持する支持部材とを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるインクジェットプリンターやドットインパクトプリンター等の記録装置においては、記録を実行する被記録材に変形が生じていると、その変形に起因して被記録材の一部が記録実行中に本来の搬送経路から外れてしまい、その被記録材の記録を正常に終了して排出することができない状態となる所謂紙ジャムが生ずる虞がある。また、その変形した被記録材の一部が記録実行中に本来接触すべきでない記録ヘッドに接触して所謂ヘッド擦れが生ずる虞がある。このような紙ジャムやヘッド擦れの要因となる被記録材の変形は、例えば記録実行中に、記録ヘッドから噴射されたインクで被記録材が湿潤することによって生ずる場合がある。また周囲の温度や湿度の変動等に起因して、記録前の被記録材に変形が生ずる場合もある。
【0003】
このような被記録材の変形に起因した紙ジャムやヘッド擦れを低減させることを目的とした従来技術としては、例えば支持部材に多数の吸引孔を設け、ファン等の吸引装置で吸引孔に負圧を発生させ、その負圧で被記録材を支持部材に吸着させる構造の記録装置が公知である。当該従来技術によれば、被記録材を支持部材に吸着させる力によって被記録材の変形が矯正されるので、被記録材の変形に起因した紙ジャムやヘッド擦れを低減させることができる(例えば特許文献1又は2を参照)。
【0004】
また他の従来技術としては、例えばキャリッジを被記録材の押さえ部材として利用する記録装置が公知である。当該従来技術によれば、キャリッジで被記録材が支持部材(プラテン等)に押し付けられることによって被記録材の変形が矯正されるので、被記録材の変形に起因した紙ジャムを低減させることができる(例えば特許文献2を参照)。
【0005】
また他の従来技術としては、例えば記録ヘッドによりドットを形成可能な領域を通過した被記録材の搬送方向の先端を被記録材の排出機構(例えば排紙ローラー等)へ案内するガイド部材を設けた記録装置が公知である。当該従来技術によれば、被記録材の搬送方向の先端が本来の搬送経路から外れる位置にある状態で搬送されても、その被記録材の先端をガイド部材によって本来の搬送経路へ案内して排出機構へ進入させることができる。それによって、被記録材の変形に起因した紙ジャムを低減させることができる(例えば特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−231557号公報
【特許文献2】特開2007−160551号公報
【特許文献3】特開2007−223044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら被記録材を支持部材に吸着させる構造の記録装置は、ファン等の吸引装置を設けることによって記録装置の大型化及び大幅なコスト増が生ずる虞がある。さらに当該従来技術は、特に記録面が凹面となる被記録材の反りに対して充分な効果が得られない場合が多い。
【0008】
またキャリッジを被記録材の押さえ部材として利用する上記従来技術は、被記録材の変形を矯正できる範囲は、キャリッジが被記録材に接している範囲に限られてしまう。そのため当該従来技術においては、キャリッジで被記録材に押し付け力を作用させている部分以外の部分の変形に起因して紙ジャムが生ずる虞がある。
【0009】
また被記録材の搬送方向の先端を被記録材の排出機構へ案内するガイド部材は、被記録材の搬送方向の先端側に生じた変形に起因する紙ジャムに対しては有効であるが、被記録材の搬送方向の後端側に生じた変形に起因するヘッド擦れを低減させることはできない。
【0010】
このような状況に鑑み本発明は成されたものであり、本発明の目的は、記録装置の大型化及び大幅なコスト増を生じさせることなく、被記録材の変形に起因した紙ジャムを低減させるとともに被記録材の変形に起因したヘッド擦れも低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
<本発明の第1の態様>
本発明の第1の態様は、被記録材の記録面にドットを形成する記録ヘッドと、被記録材を所定の搬送方向へ所定の搬送経路で搬送する搬送装置と、前記記録ヘッドによりドットを形成可能な領域で記録面の裏面に接して被記録材を支持する支持部材と、を備え、前記搬送装置は、前記支持部材より前記搬送方向の上流側で被記録材に搬送力を作用させる第1搬送機構と、前記支持部材より前記搬送方向の下流側で被記録材に搬送力を作用させる第2搬送機構と、前記記録ヘッドによりドットを形成可能な領域より前記搬送方向の下流側かつ前記第2搬送機構により搬送力が作用する領域より前記搬送方向の上流側で被記録材の記録面に接して当該被記録材を前記搬送経路へ案内可能に設けられる案内部材と、を備え、前記案内部材は、前記搬送方向の上流側から下流側へ向けて前記搬送経路との間隔が狭くなっていく案内斜面、及び前記案内斜面の前記搬送方向の下流側端から前記搬送経路に沿って前記搬送方向へ延設された規制面により形成される第1案内部及び第2案内部を有し、前記第1案内部と前記第2案内部は前記搬送方向と交差する方向へ並設されており、前記第1案内部は、前記案内斜面の前記搬送方向の上流側端と前記搬送経路との間隔が前記第2案内部よりも広く、前記第2案内部は、前記規制面の前記搬送方向の上流側端が前記第1案内部よりも前記搬送方向の上流側にある、ことを特徴とした記録装置である。
【0012】
案内部材の案内斜面は、搬送方向の上流側から下流側へ向けて搬送経路との間隔が狭くなっていく斜面である。それによって案内斜面は、第2搬送機構により搬送力が作用する領域に搬送方向の先端が到達する前の被記録材に対し、支持部材から離間する方向へ搬送経路から外れようとする当該被記録材の搬送方向の先端を第2搬送機構により搬送力が作用する領域へ案内することができる。また案内斜面は、搬送方向の上流側端と搬送経路との間隔が広ければ広いほど、第2搬送機構により搬送力が作用する領域に被記録材の搬送方向の先端が進入せずに紙ジャムが生ずる虞を低減させることができる。
【0013】
他方、案内部材の規制面は、案内斜面の搬送方向の下流側端から搬送経路に沿って搬送方向へ延設されている。それによって規制面は、第1搬送機構により搬送力が作用する領域を搬送方向の後端が通過した後の被記録材に対し、支持部材から離間する方向へ搬送経路から外れようとする当該被記録材の記録面に接して、その被記録材が支持部材から離間することを規制することができる。また規制面は、搬送方向の上流側端が搬送方向の上流側であればあるほど、記録ヘッドによりドットを形成可能な領域により近い位置で被記録材に接して、その被記録材が支持部材から離間することを規制することができる。すなわち、規制面の搬送方向の上流側端が搬送方向の上流側であればあるほど、被記録材が支持部材から離間すること(浮き上がること)に起因したヘッド擦れが生ずる虞を低減させることができる。
【0014】
ここで例えば、搬送経路に対する案内斜面の角度及び規制面と搬送経路との間隔を一定に維持したまま、案内斜面の搬送方向の上流側端と搬送経路との間隔を広くしていくと、それによって規制面の搬送方向の上流側端は、必然的に搬送方向の下流側へずれていくことになる。逆の見方をすれば、規制面の搬送方向の上流側端を搬送方向の上流側へずらしていくと、それによって案内斜面の搬送方向の上流側端と搬送経路との間隔は必然的に狭くなっていくことになる。また例えば、規制面の搬送方向の上流側端位置及び規制面と搬送経路との間隔を一定に維持したまま、案内斜面の搬送方向の上流側端と搬送経路との間隔を広くしていくと、今度は搬送経路に対する案内斜面の角度が必然的に直角に近づいていくことになる。そのため、被記録材の搬送方向の先端が案内斜面に引っ掛かりやすくなってしまい、それに起因した紙ジャムが生ずる虞が高まることになる。
【0015】
つまり案内部材の案内斜面と規制面とは、記録ヘッドによりドットを形成可能な領域より搬送方向の下流側かつ第2搬送機構により搬送力が作用する領域より搬送方向の上流側に配設されるという制約下において、各々が発揮する効果をより向上させる上で二律背反の関係にあると言える。
【0016】
このようなことから本発明に係る案内部材は、案内斜面及び規制面により形成される第1案内部と第2案内部が搬送方向と交差する方向へ並設されており、第1案内部は、案内斜面の搬送方向の上流側端と搬送経路との間隔が第2案内部よりも広くなっている。つまり第1案内部は、第2搬送機構により搬送力が作用する領域に搬送方向の先端が到達する前の被記録材に対し、第2搬送機構により搬送力が作用する領域に被記録材の搬送方向の先端が進入せずに紙ジャムが生ずる虞を低減させることを優先させた形状になっている。他方、第2案内部は、規制面の搬送方向の上流側端が第1案内部よりも搬送方向の上流側にある。つまり第2案内部は、第1搬送機構により搬送力が作用する領域を搬送方向の後端が通過した後の被記録材に対し、その被記録材が支持部材から離間することに起因したヘッド擦れが生ずる虞を低減させることを優先させた形状になっている。
【0017】
すなわち本発明に係る案内部材は、被記録材の搬送方向の先端側近傍で紙ジャムが生ずる虞を低減させることを主目的とした形状の第1案内部と、被記録材の搬送方向の後端側近傍でヘッド擦れが生ずる虞を低減させることを主目的とした形状の第2案内部とが、被記録材の搬送方向と交差する方向へ並設されている。それによって本発明に係る記録装置は、被記録材の変形に起因した紙ジャムを低減させることができ、かつ被記録材の変形に起因したヘッド擦れも低減させることができる。
【0018】
これにより本発明の第1の態様によれば、記録装置の大型化及び大幅なコスト増を生じさせることなく、被記録材の変形に起因した紙ジャムを低減させるとともに被記録材の変形に起因したヘッド擦れも低減させることができるという作用効果が得られる。
【0019】
<本発明の第2の態様>
本発明の第2の態様は、前述した第1の態様に記載の記録装置において、前記第1案内部は、前記搬送経路を搬送される被記録材の前記搬送方向と交差する方向の端部に対応する部分に設けられている、ことを特徴とした記録装置である。
【0020】
記録実行前あるいは記録実行中に被記録材に生ずる変形の態様としては、一般的に記録面が凹面状となるように被記録材が反った状態となる場合が多い。そして、このような変形が生じている被記録材が支持部材に支持されている状態において、その被記録材が支持部材から最も離間した状態となるのは端部近傍である。つまり、被記録材の変形に起因した紙ジャムやヘッド擦れは、その変形した被記録材の端部近傍において生ずる場合が多い。したがって、搬送経路を搬送される被記録材の搬送方向と交差する方向の端部に対応する部分に案内部材の第1案内部を設けることによって、被記録材の変形に起因した紙ジャムが生ずる虞をより効果的に低減させることができる。
【0021】
<本発明の第3の態様>
本発明の第3の態様は、前述した第1の態様又は第2の態様に記載の記録装置において、前記搬送方向と交差する往復動方向へ往復動可能に支持され、前記記録ヘッドを搭載したキャリッジと、前記キャリッジの移動及び前記搬送装置による被記録材の搬送を制御する制御装置と、を備え、前記キャリッジは、前記支持部材に支持される被記録材と対面する部分に、前記支持部材から離間する方向へ前記搬送経路から外れようとする被記録材に接して当該被記録材を前記搬送経路へ案内可能な第3案内部が設けられており、前記制御装置は、前記案内部材の前記第2案内部が設けられている範囲と前記第3案内部とが前記搬送方向において対応する位置にキャリッジがある状態で、被記録材の前記搬送方向の先端を前記案内部材により搬送経路へ案内可能な領域へ進入させる手段を有する、ことを特徴とした記録装置である。
【0022】
前記の通り、案内部材の第2案内部は、第1搬送機構により搬送力が作用する領域を搬送方向の後端が通過した後の被記録材に対し、その被記録材が支持部材から離間することに起因したヘッド擦れが生ずる虞を低減させることを優先させた形状になっている。そのため第2案内部は、第2搬送機構により搬送力が作用する領域に搬送方向の先端が到達する前の被記録材に対し、第2搬送機構により搬送力が作用する領域に被記録材の搬送方向の先端を案内するという点では、第1案内部よりも劣ることになる。つまり、案内部材の第1案内部と第2案内部とを対比した場合、第2案内部は、被記録材の先端近傍において紙ジャムが生ずる可能性が第1案内部より相対的に高くなるという弱点がある。
【0023】
そこで、被記録材の搬送方向の先端を案内部材により搬送経路へ案内可能な領域へ進入させる際には、案内部材の第2案内部が設けられている範囲とキャリッジの第3案内部とが搬送方向において対応する位置関係となる状態とする。この状態では、支持部材から離間する方向へ搬送経路から外れようとする被記録材の搬送方向の先端は、キャリッジの第3案内部によって搬送経路へ案内されながら案内部材の第2案内部へ進入していくことになる。つまり、被記録材の先端近傍において紙ジャムが生ずる虞を低減させるという点で第1案内部より劣る第2案内部の弱点をキャリッジの第3案内部によって補完する。それによって、被記録材の搬送方向の先端が案内部材により搬送経路へ案内される際に案内部材の第2案内部において紙ジャムが生ずる虞をより低減させることができるので、被記録材の変形に起因した紙ジャムが生ずる虞をさらに低減させることができる。
【0024】
<本発明の第4の態様>
本発明の第4の態様は、前述した第1〜第3の態様のいずれかに記載の記録装置において、前記案内部材は、前記第1案内部と前記第2案内部との間において前記案内斜面及び前記規制面の形状を連続的に変化させた形状である、ことを特徴とした記録装置である。
このような特徴によれば、第1案内部と第2案内部との境界部分に被記録材の搬送方向の先端が引っ掛かって紙ジャムが生ずる虞を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】インクジェットプリンターの要部側面図。
【図2】インクジェットプリンターの要部平面図。
【図3】インクジェットプリンターの概略のブロック図。
【図4】インクジェットプリンターの要部側面図。
【図5】排出従動ローラーホルダーの近傍を図示した要部側断面図(第1実施例)。
【図6】排出従動ローラーホルダーの正面図(第1実施例)。
【図7】排出従動ローラーホルダーの底面図(第1実施例)。
【図8】排出従動ローラーホルダーの近傍を図示した要部側断面図(第2実施例)。
【図9】排出従動ローラーホルダーの正面図(第2実施例)。
【図10】排出従動ローラーホルダーの底面図(第2実施例)。
【図11】キャリッジの底部側から観た斜視図(第3実施例)。
【図12】キャリッジの正面図(第3実施例)。
【図13】キャリッジ制御及び記録紙の搬送制御のフローチャート(第3実施例)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
尚、本発明は、以下説明する実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【0027】
<インクジェットプリンター1の概略構成>
インクジェットプリンター1の概略構成について、図1〜図3を参照しながら説明する。
【0028】
図1は、インクジェットプリンター1の要部側面図である。図2は、インクジェットプリンター1の要部平面図である。
「記録装置」としてのインクジェットプリンター1は、「被記録材」としての記録紙Pに記録を実行する手段として、搬送駆動ローラー11、搬送従動ローラー12、支持部材13、排出駆動ローラー14、排出従動ローラー15、キャリッジ16、記録ヘッド17及び排出従動ローラーホルダー23を備えている。このうち搬送駆動ローラー11、搬送従動ローラー12、排出駆動ローラー14、排出従動ローラー15及び排出従動ローラーホルダー23は、支持部材13に支持される記録紙Pを所定の搬送経路で副走査方向Yへ搬送する「搬送装置」を構成する。
【0029】
搬送駆動ローラー11は、金属軸体の外周面に高摩擦被膜が施されて形成されており、PFモーター31(図3)の回転駆動力が伝達されて回転する。搬送従動ローラー12は、搬送駆動ローラー11に当接する方向へ付勢された状態で従動回転可能に軸支されている。この搬送駆動ローラー11及び搬送従動ローラー12は、支持部材13より副走査方向Yの上流側(以下、単に「上流側」という。)で記録紙Pに搬送力を作用させる「第1搬送機構」を構成する。
【0030】
支持部材13は、記録ヘッド17によって記録紙Pの記録面(記録が実行される面。以下同じ。)にドットを形成可能な領域(以下「ドット形成可能領域」という。)で記録紙Pの裏面に接して記録紙Pを支持する部材である。
【0031】
排出駆動ローラー14は、記録紙Pの主走査方向Xの幅を超える長さのローラー軸に複数設けられており、PFモーター31(図3)の回転駆動力が伝達されて回転する。この主走査方向Xは、支持部材13に支持された状態の記録紙Pの記録面に沿って副走査方向Yと交差する方向である。排出従動ローラー15は、排出駆動ローラー14に対応する位置に複数配設され、排出駆動ローラー14に当接する方向へ付勢されている。この排出駆動ローラー14及び排出従動ローラー15は、支持部材13より副走査方向Yの下流側(以下、単に「下流側」という。)で記録紙Pに搬送力を作用させる「第2搬送機構」を構成する。「案内部材」としての排出従動ローラーホルダー23は、複数の排出従動ローラー15を軸支する部材であり、記録紙Pの主走査方向Xの幅を超える横幅(主走査方向Xの長さ)を有する。
【0032】
キャリッジ16は、軸受部161に挿通されたキャリッジガイド軸18及び被支持部162が当接するキャリッジ支持フレーム19によって、主走査方向Xへ往復動可能に支持されている。キャリッジガイド軸18及びキャリッジ支持フレーム19は、主走査方向Xに沿って配設されている。キャリッジ16は、CRモーター32(図3)の回転駆動力で双方向回転する無端ベルト(図示せず)が連結されている。当該無端ベルトは、CRモーター32の駆動プーリーと従動プーリー(図示せず)に掛架され、キャリッジガイド軸18及びキャリッジ支持フレーム19に対して略平行に配設されている。キャリッジ16は、CRモーター32の駆動力で当該無端ベルトを双方向回転させることによって主走査方向Xへ往復動させることができる。
【0033】
記録ヘッド17は、支持部材13に支持された状態の記録紙Pの記録面に対面するようにキャリッジ16の底部に搭載されている。記録ヘッド17のヘッド面には、記録紙Pの記録面にインクを噴射してドットを形成するための複数の噴射ノズルが設けられている(図示せず)。記録ヘッド17へのインクの供給は、インクジェットプリンター1の本体に設けられたインクタンク(図示せず)からインクチューブ(図示せず)を介して行われる。
【0034】
またインクジェットプリンター1は、搬送駆動ローラー11及び搬送従動ローラー12より上流側にPEセンサー35が配設されている。このPEセンサー35は、いわゆる反射型のセンサーであり、搬送駆動ローラー11及び搬送従動ローラー12より上流側で、記録紙Pの副走査方向Yの先端(以下、単に「記録紙Pの先端」という。)又は後端を非接触で検出することができるセンサーである。
【0035】
以上説明した構成のインクジェットプリンター1において、記録紙Pは、支持部材13に支持され、主走査方向Xへ往復動する記録ヘッド17のヘッド面からインクが噴射されて記録面にドットが形成される動作と、所定の搬送量で副走査方向Yへ搬送される動作とが繰り返されることによって記録面に記録が実行される。これらの一連の記録制御は、公知のマイコン制御回路を有する制御装置100により実行される。
【0036】
図3は、インクジェットプリンター1の概略のブロック図である。
制御装置100は、ROM101、RAM102、ASIC(特定用途向け集積回路)103、CPU(中央処理装置)104、不揮発性メモリー105、PFモータードライバー106、CRモータードライバー107及びヘッドドライバー108を備えている。
【0037】
ROM101は、CPU104によるインクジェットプリンター1の制御に必要な記録制御プログラム(ファームウェア)等が格納される。RAM102は、CPU104の作業領域やデーターの格納領域として用いられる。ASIC103は、DCモーターであるPFモーター31及びCRモーター32の速度制御並びに記録ヘッド17のノズル駆動制御を行うための制御回路を有している。ASIC103は、PFモーター31の制御信号をPFモータードライバー106へ、CRモーター32の制御信号をCRモータードライバー107へ、記録ヘッド17の制御信号をヘッドドライバー108へ、それぞれ送出する。さらにASIC103は、パーソナルコンピューター200とのインターフェース機能も有している。CPU104は、インクジェットプリンター1の制御プログラムを実行する。不揮発性メモリー105は、記録制御プログラムの処理に必要な各種データーが記憶されている。
【0038】
さらに、インクジェットプリンター1は、キャリッジ16の位置や移動速度等を検出するための公知のリニアエンコーダー33と、搬送駆動ローラー11の回転量等を検出するための公知のロータリーエンコーダー34とを備えている。このリニアエンコーダー33、ロータリーエンコーダー34及び前記のPEセンサー35の出力信号は、ASIC103を介してCPU104へ入力される。
【0039】
<第1実施例>
本発明の第1実施例について、図4〜図7を参照しながら説明する。
図4は、インクジェットプリンター1の要部側面図である。図5は、第1実施例の排出従動ローラーホルダー23の側断面図である。図6は、第1実施例の排出従動ローラーホルダー23の正面図である。図7は、第1実施例の排出従動ローラーホルダー23の底面図である。
尚、図6及び図7においては、より図面を観やすくするため、排出従動ローラー15の図示を省略している。
【0040】
排出従動ローラーホルダー23は、ドット形成可能領域より下流側かつ排出駆動ローラー14と排出従動ローラー15とが当接する部分(記録紙Pに搬送力が作用する領域)より上流側で記録紙Pに接して当該記録紙Pを搬送経路Prへ案内可能に設けられている。より具体的には、排出従動ローラーホルダー23の副走査方向Yの搬送経路Prに対面する部分(符号Dで示した部分)には、案内斜面231と規制面232が形成されている。この案内斜面231と規制面232が形成されている領域は、記録紙Pの先端を排出従動ローラーホルダー23により搬送経路Prへ案内可能な領域となる(以下、「案内領域D」という。)。
【0041】
案内斜面231は、図示の如く、上流側から下流側へ向けて搬送経路Prとの間隔が狭くなっていく形状の斜面である。この案内斜面231は、排出駆動ローラー14と排出従動ローラー15とが当接する部分に副走査方向Yの先端が到達する前の記録紙Pを搬送経路Prへ案内するために設けられている。より具体的には案内斜面231は、支持部材13から離間する方向へ搬送経路Prから外れようとする当該記録紙Pの先端を排出駆動ローラー14と排出従動ローラー15とが当接する部分へ案内する。
【0042】
規制面232は、案内斜面231の下流側端から搬送経路Prに沿って副走査方向Yへ延設されている。この規制面232は、搬送駆動ローラー11と搬送従動ローラー12とが当接する部分を副走査方向Yの後端が通過した後の記録紙Pを搬送経路Prへ案内するために設けられている。より具体的には規制面232は、支持部材13から離間する方向へ搬送経路Prから外れようとする当該記録紙Pに接して、その記録紙Pが支持部材13から離間することを規制する。
【0043】
案内斜面231及び規制面232は、主走査方向Xにおける形状が異なるように形成されている。それによって排出従動ローラーホルダー23は、形状が異なる第1案内部23Aと第2案内部23Bが主走査方向Xへ並設される。この第1案内部23A及び第2案内部23Bは、主走査方向Xにおける配置はどのような配置でも良い。また第1案内部23Aの数、第2案内部23Bの数は、特に特定の数に限定されず、一ずつ設けても良いし、複数互い違いに設けても良い。
【0044】
より具体的には、第1実施例の排出従動ローラーホルダー23は、主走査方向Xの一端側から他端側へ案内斜面231の幅(副走査方向Yの長さ)が連続的に広がっていく形状となっているとともに、主走査方向Xの一端側から他端側へ規制面232の幅(副走査方向Yの長さ)が連続的に狭くなっていく形状となっている(図6及び図7)。つまり排出従動ローラーホルダー23の第1案内部23Aと第2案内部23Bは、案内斜面231及び規制面232の形状を主走査方向Xへ連続的に変化させた形状とすることによって形成されている。これは本発明に必須の要素ではないが、それによって第1案内部23Aと第2案内部23Bとの境界部分に記録紙Pの先端が引っ掛かって紙ジャムが生ずる虞を低減させることができる。
【0045】
図5(a)は、第1実施例の排出従動ローラーホルダー23のA−A断面(図2)、図5(b)は、第1実施例の排出従動ローラーホルダー23のB−B断面(図2)、図5(c)は、第1実施例の排出従動ローラーホルダー23のC−C断面(図2)をそれぞれ図示したものである。
以下、第1案内部23Aの形状と第2案内部23Bの形状とを対比しながら詳細に説明する。
【0046】
案内斜面231の上流側端と搬送経路Prとの間隔は、第2案内部23Bの間隔H1(図5(a))よりも第1案内部23Aの間隔H3(図5(c))の方が広くなっている。そして、この案内斜面231の上流側端と搬送経路Prとの間隔は、広ければ広いほど、排出駆動ローラー14と排出従動ローラー15とが当接する部分に記録紙Pの先端を案内可能な範囲が広がることになる。すなわち第1案内部23Aは、排出駆動ローラー14と排出従動ローラー15とが当接する部分に記録紙Pの先端が進入せずに紙ジャムが生ずる虞を低減させることを優先させた形状になっている。
また案内斜面231の搬送経路Prに対する傾斜角度は、当該実施例においては、主走査方向Xの全幅にわたって一定の角度となっているが、そのような態様に特に限定されない。例えば案内斜面231の搬送経路Prに対する傾斜角度は、主走査方向Xにわたって不均一であっても良く、第1案内部23Aと第2案内部23Bとで異なるようにして差し支えない。また案内斜面231の搬送経路Prに対する傾斜角度は、可能な限り小さな傾斜角とするのが好ましい。それによって、記録紙Pの先端が搬送経路Prの外側へ逸脱する虞や記録紙Pの先端が案内斜面231に引っ掛かることで紙ジャムが生ずる虞を低減させることができる。
【0047】
他方、記録ヘッド17の下流側端Y1と規制面232の上流側端Y2との間隔は、第1案内部23Aの間隔L3(図5(c))よりも第2案内部23Bの間隔L1の方(図5(a))が狭い。つまり、規制面232の上流側端Y2は、第1案内部23Aよりも第2案内部23Bの方が上流側にある。そして、この規制面232の上流側端は、上流側であればあるほど、ドット形成可能領域により近い位置で記録紙Pに接して、その記録紙Pが支持部材13から離間することを規制することができる。すなわち第2案内部23Bは、搬送駆動ローラー11と搬送従動ローラー12とが当接する部分を副走査方向Yの後端が通過した後の記録紙Pに対し、その記録紙Pが支持部材13から離間することに起因したヘッド擦れが生ずる虞を低減させることを優先させた形状になっている。
【0048】
そして第1案内部23Aと第2案内部23Bとの間の略中間部分において、案内斜面231の上流側端と搬送経路Prとの間隔H2(図5(b))は、第1案内部23Aの間隔H3より狭く、第2案内部23Bの間隔H1より広い。また記録ヘッド17の下流側端Y1と規制面232の上流側端Y2との間隔L2(図5(b))は、第1案内部23Aの間隔L3より狭く、第2案内部23Bの間隔L1より広い。
【0049】
以上説明したように、本発明に係る排出従動ローラーホルダー23は、記録紙Pの先端側近傍で紙ジャムが生ずる虞を低減させることを主目的とした形状の第1案内部23Aと、記録紙Pの副走査方向Yの後端側近傍でヘッド擦れが生ずる虞を低減させることを主目的とした形状の第2案内部23Bとが、主走査方向Xへ並設されている。それによって本発明に係るインクジェットプリンター1は、大型化及び大幅なコスト増を生じさせることなく、記録紙Pの変形に起因した紙ジャムを低減させることができ、かつ記録紙Pの変形に起因したヘッド擦れも低減させることができる。
【0050】
また第1実施例の排出従動ローラーホルダー23は、搬送経路Prを搬送される記録紙Pの主走査方向Xの端部に対応する部分に第1案内部23Aが設けられている。これは本発明に必須の要素ではないが、このような態様とすることによって、記録紙Pの変形に起因した紙ジャムが生ずる虞をより効果的に低減させることができる。
【0051】
<第2実施例>
本発明の第2実施例について、図8〜図10を参照しながら説明する。
図8は、第2実施例の排出従動ローラーホルダー23の要部側断面図である。図8(a)は、第2実施例の排出従動ローラーホルダー23のA−A断面(図2)、図8(b)は、第2実施例の排出従動ローラーホルダー23のB−B断面(図2)、図8(c)は、第2実施例の排出従動ローラーホルダー23のC−C断面(図2)をそれぞれ図示したものである。図9は、第2実施例の排出従動ローラーホルダー23の正面図である。図10は、第2実施例の排出従動ローラーホルダー23の底面図である。
尚、図9及び図10においては、より図面を観やすくするため、排出従動ローラー15の図示を省略している。
【0052】
第2実施例の排出従動ローラーホルダー23は、主走査方向Xの略中心となる位置において案内斜面231の幅(副走査方向Yの長さ)が最も狭く、そこから主走査方向Xの一端側及び他端側へ向けて案内斜面231の幅(副走査方向Yの長さ)が連続的に広がっていく形状となっている。また第2実施例の排出従動ローラーホルダー23は、主走査方向Xの略中心となる位置において規制面232の幅(副走査方向Yの長さ)が最も広く、そこから主走査方向Xの一端側及び他端側へ向けて規制面232の幅(副走査方向Yの長さ)が連続的に狭くなっていく形状となっている。
【0053】
つまり第2実施例の排出従動ローラーホルダー23は、主走査方向Xの略中心となる位置に第2案内部23Bが設けられており、主走査方向Xの両端近傍に第1案内部23Aが設けられている。このような態様でも本発明は実施可能であり、インクジェットプリンター1の大型化及び大幅なコスト増を生じさせることなく、記録紙Pの変形に起因した紙ジャムを低減させることができ、かつ記録紙Pの変形に起因したヘッド擦れも低減させることができる。
【0054】
<第3実施例>
本発明の第3実施例について、図11〜図13を参照しながら説明する。
まず第3実施例におけるインクジェットプリンター1のキャリッジ16の構成について、図11及び図12を参照しながら説明する。
尚、インクジェットプリンター1の構成は、キャリッジ16以外は第1実施例と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
図11は、第3実施例のキャリッジ16の底部側から観た斜視図である。図12は、第3実施例のキャリッジ16の正面図である。
【0056】
第3実施例のキャリッジ16は、記録ヘッド17の主走査方向Xの両外側に「第3案内部」としての第1紙押さえ部21及び第2紙押さえ部22が設けられている。この第1紙押さえ部21及び第2紙押さえ部22は、支持部材13から離間する方向へ記録紙Pが本来搬送されるべき経路(搬送経路)から外れようとする記録紙Pに接して当該記録紙Pを搬送経路へ案内可能に設けられている。
【0057】
より具体的には第1紙押さえ部21は、記録ヘッド17の正面向かって左側に隣接する位置に設けられている。第2紙押さえ部22は、記録ヘッド17の正面向かって右側に隣接する位置に設けられている。また第1紙押さえ部21及び第2紙押さえ部22の下端面(支持部材13に支持される記録紙Pに対面する端面)と記録ヘッド17のヘッド面171との位置関係は、当該実施例では、記録ヘッド17のヘッド面171の方が僅かに突出しているが、例えば略面一となるようにしても良いし、第1紙押さえ部21及び第2紙押さえ部22の下端面の方が僅かに突出するようにしても良い。
【0058】
また第1紙押さえ部21は、下流側部分に、キャリッジ16の主走査方向Xの端部側から中心側へ向けて下り傾斜かつ下流側へ向けて上り傾斜となる傾斜面211が形成されている。これは本発明に必須の要素ではないが、このような傾斜面211を設けることによって、搬送経路からキャリッジ16の底部に近接する方向へ外れようとする記録紙Pの側端(主走査方向Xの端部)が第1紙押さえ部21に引っ掛かってしまう虞を低減させることができる。
【0059】
図13は、制御装置100が実行するキャリッジ16の移動制御及び記録紙Pの搬送制御の手順を図示したフローチャートである。
【0060】
本発明の第3実施例は、排出従動ローラーホルダー23の第1案内部23A及び第2案内部23Bに加えて、さらにキャリッジ16の第1紙押さえ部21及び第2紙押さえ部22も利用するものである。以下、図13のフローチャートを参照しながらより具体的に説明する。図13のフローチャートに図示した手順は、記録紙Pを副走査方向Yへ搬送する動作(以下、「副走査動作」という。)を行う前に毎回実行する手順である。
【0061】
まず、今回の副走査動作で記録紙Pの先端が案内領域D(図4)に進入するか否かを判定する(ステップS1)。これは、例えばPEセンサー35で記録紙Pの先端を検出した時点から累積した記録紙Pの搬送量の総和と、PEセンサー35から排出従動ローラーホルダー23の上流側端までの距離とを対比することで特定することができる。今回の副走査動作で記録紙Pの先端が案内領域Dに進入しない場合には(ステップS1でNo)、そのまま今回の副走査動作を実行する(ステップS3)。
【0062】
他方、今回の副走査動作で記録紙Pの先端が案内領域Dに進入する場合には(ステップS1でYes)、キャリッジ16を所定位置へ移動させる(ステップS2)。この所定位置は、排出従動ローラーホルダー23の第2案内部23Bが設けられている範囲とキャリッジ16の底部に設けられた第1紙押さえ部21及び第2紙押さえ部22(図11、図12)とが副走査方向Yにおいて対応する位置関係となる位置である。これは第1実施例の排出従動ローラーホルダー23に対しては、キャリッジ16の底部に設けられた第1紙押さえ部21及び第2紙押さえ部22が主走査方向Xの一端側近傍(図2のA−A断面部分の近傍)に位置している状態ということになる。また第2実施例の排出従動ローラーホルダー23に対しては、キャリッジ16の底部に設けられた第1紙押さえ部21及び第2紙押さえ部22が主走査方向Xの略中心となる位置の近傍(図2のB−B断面部分の近傍)に位置している状態ということになる。そして、その状態で今回の副走査動作を実行する(ステップS3)。
【0063】
このような状態で副走査動作を実行することによって、支持部材13から離間する方向へ搬送経路Prから外れようとする記録紙Pの先端は、キャリッジ16の第1紙押さえ部21及び第2紙押さえ部22によって搬送経路Prへ案内されながら排出従動ローラーホルダー23の第2案内部23Bへ進入していくことになる。したがって、案内斜面231の上流側端と搬送経路Prとの間隔が第1案内部23Aよりも狭い第2案内部23Bに対し、記録紙Pの先端をより確実に進入させることができる。つまり、記録紙Pの先端近傍において紙ジャムが生ずる虞を低減させるという点で第1案内部23Aより劣る第2案内部23Bの弱点をキャリッジ16の第1紙押さえ部21及び第2紙押さえ部22によって補完することができる。それによって、記録紙Pの先端が排出従動ローラーホルダー23により搬送経路Prへ案内される際に第2案内部23Bにおいて紙ジャムが生ずる虞をより低減させることができるので、記録紙Pの変形に起因した紙ジャムが生ずる虞をさらに低減させることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 インクジェットプリンター、11 搬送駆動ローラー、12 搬送従動ローラー、13 支持部材、14 排出駆動ローラー、15 排出従動ローラー、16 キャリッジ、17 記録ヘッド、21 第1紙押さえ部、22 第2紙押さえ部、23 排出従動ローラーホルダー、23A 第1案内部、23B 第2案内部、100 制御装置、231 排出従動ローラーホルダーの案内斜面、232 排出従動ローラーホルダーの規制面、D 案内領域、P 記録紙、Pr 記録紙の搬送経路、X 主走査方向、Y 副走査方向、Y1 記録ヘッドの下流側端、Y2 規制面の上流側端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録材の記録面にドットを形成する記録ヘッドと、被記録材を所定の搬送方向へ所定の搬送経路で搬送する搬送装置と、前記記録ヘッドによりドットを形成可能な領域で記録面の裏面に接して被記録材を支持する支持部材と、を備え、
前記搬送装置は、前記支持部材より前記搬送方向の上流側で被記録材に搬送力を作用させる第1搬送機構と、
前記支持部材より前記搬送方向の下流側で被記録材に搬送力を作用させる第2搬送機構と、
前記記録ヘッドによりドットを形成可能な領域より前記搬送方向の下流側かつ前記第2搬送機構により搬送力が作用する領域より前記搬送方向の上流側で被記録材の記録面に接して当該被記録材を前記搬送経路へ案内可能に設けられる案内部材と、を備え、
前記案内部材は、前記搬送方向の上流側から下流側へ向けて前記搬送経路との間隔が狭くなっていく案内斜面、及び前記案内斜面の前記搬送方向の下流側端から前記搬送経路に沿って前記搬送方向へ延設された規制面により形成される第1案内部及び第2案内部を有し、前記第1案内部と前記第2案内部は前記搬送方向と交差する方向へ並設されており、
前記第1案内部は、前記案内斜面の前記搬送方向の上流側端と前記搬送経路との間隔が前記第2案内部よりも広く、
前記第2案内部は、前記規制面の前記搬送方向の上流側端が前記第1案内部よりも前記搬送方向の上流側にある、ことを特徴とした記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記第1案内部は、前記搬送経路を搬送される被記録材の前記搬送方向と交差する方向の端部に対応する部分に設けられている、ことを特徴とした記録装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の記録装置において、前記搬送方向と交差する往復動方向へ往復動可能に支持され、前記記録ヘッドを搭載したキャリッジと、
前記キャリッジの移動及び前記搬送装置による被記録材の搬送を制御する制御装置と、を備え、
前記キャリッジは、前記支持部材に支持される被記録材と対面する部分に、前記支持部材から離間する方向へ前記搬送経路から外れようとする被記録材に接して当該被記録材を前記搬送経路へ案内可能な第3案内部が設けられており、
前記制御装置は、前記案内部材の前記第2案内部が設けられている範囲と前記第3案内部とが前記搬送方向において対応する位置にキャリッジがある状態で、被記録材の前記搬送方向の先端を前記案内部材により搬送経路へ案内可能な領域へ進入させる手段を有する、ことを特徴とした記録装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の記録装置において、前記案内部材は、前記第1案内部と前記第2案内部との間において前記案内斜面及び前記規制面の形状を連続的に変化させた形状である、ことを特徴とした記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−251458(P2011−251458A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126584(P2010−126584)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】