説明

記録装置

【課題】記録部及び搬送部の一方の位置の誤検出を生じ難くし、且つ、当該一方と周辺部材との衝突による衝撃を低減する。
【解決手段】プリンタのヘッドは、キャリッジ3に保持されつつ、ラック52r及びピニオン52pを含むヘッド昇降機構の駆動により、昇降する。キャリッジ3の下端面には、突起3p、バネ3s、及び第1接点3xが設けられている。プラテン9には第2接点9xが設けられている。ヘッド(キャリッジ3)がワイピング位置から下降する際、接点3x,9xが接触する。当該接触は導通センサからの信号によって検出され、これによりヘッドの位置が判断される。接点接触後さらにヘッドが下降する際、バネ3sは縮み、キャリッジ3に対して上向きの付勢力を付与する。ヘッドは、突起3pがプラテン9の上面に当接する位置で、移動停止される。その後ヘッドはこの位置を基準として位置制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に対して記録を行う記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置において、例えば特許文献1のように、記録部及び搬送部の一方(キャリッジ51)を所定の位置に移動させ、その位置を基準として当該一方の位置制御を行う技術が知られている。特許文献1では、キャリッジ51に、基準位置の手前に設けられたマーク1を検出する光学式センサ57を設け、センサ57がマーク1を検出したとき、キャリッジ51の速度が低速に切り換えられる。
【0003】
【特許文献1】特開2001−225456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、記録部及び搬送部の一方(キャリッジ51)の位置検出に光学式センサを用いた場合、感度劣化等により誤検出が生じ易い。誤検出が生じると、当該一方が周辺部材に衝突し、衝突による衝撃で当該一方や周辺部材が損傷し得る。
【0005】
本発明の目的は、記録部及び搬送部の一方の位置の誤検出が生じ難く且つ当該一方と周辺部材との衝突による衝撃を低減することができる記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の観点によると、記録媒体に対して記録を行う記録部と、記録媒体を搬送する搬送部と、前記記録部及び前記搬送部の一方を移動させる移動機構と、前記一方と当接する部材であって、前記一方と当接することによって前記一方を所定の位置に位置決めする位置決め部材と、前記一方に設けられた第1接点と、前記位置決め部材に設けられた第2接点と、前記第1接点と前記第2接点との接触を検出する検出手段と、前記一方と前記第1接点との間、及び、前記位置決め部材と前記第2接点との間の少なくとも一方に介装された弾性部材と、を備え、前記移動機構は、前記第1接点が前記第2接点と接離する所定の方向に、前記一方を移動させ、前記弾性部材は、前記第1接点と前記第2接点とが離隔した状態において、前記第1接点及び前記第2接点のうちの当該弾性部材が介装された側の接点に対し、前記所定の方向における、当該弾性部材が介装された側の接点が当該弾性部材が介装されていない側の接点から離隔する方向、の付勢力を付与することを特徴とする記録装置が提供される。
【0007】
上記観点によれば、第1接点と第2接点との接触の有無によって記録部及び搬送部の一方の位置を検出する構成であるため、誤検出が生じ難い。しかも、弾性部材が緩衝材として機能し、当該一方と周辺部材(位置決め部材)との衝突による衝撃を低減することができる。
【0008】
本発明の記録装置は、前記移動機構を制御する移動制御手段であって、前記所定の位置を基準として前記所定の位置とは異なる位置を割り出す移動制御手段を備えてよい。
このように、記録部及び搬送部の一方が位置決め部材と当接する位置(所定の位置)を基準として、当該一方の位置制御を行うことで、当該一方を所定の位置とは異なる位置に精度よく移動させることができる。即ち、当該一方の位置精度が向上する。
【0009】
前記所定の位置は、前記記録部が前記記録を行うときに配置される記録位置であってよい。
このように、記録位置を、記録部及び搬送部の一方が位置決め部材と当接する位置(所定の位置)とすることで、記録時における当該一方の位置精度が向上する。
【0010】
前記移動機構は、前記記録部を鉛直方向に移動させ、前記所定の位置は、前記移動機構による前記記録部の移動範囲の鉛直方向最も下方の位置であってよい。
所定の位置が、移動機構による記録部の移動範囲の鉛直方向最も下方の位置でない場合(例えば最も上方の位置である場合)、所定の位置よりも下方に記録部を移動させる際に、記録部の自重の影響で、所望の位置よりも下方に記録部が移動してしまい、記録部の位置精度が悪化し得る。これに対し、上記構成によれば、記録部の自重の影響による位置精度の悪化を抑制し、記録部の位置精度を高く保つことができる。
【0011】
前記記録部が前記位置決め部材と当接するときの前記弾性部材の前記付勢力は、前記記録部の自重よりも大きくてよい。
この場合、弾性部材が緩衝材として十分に機能し、記録部と周辺部材との衝突による衝撃をより確実に低減することができる。
【0012】
本発明の記録装置は、前記弾性部材の前記付勢力を低減させる付勢力低減手段をさらに備えてよい。
記録部及び搬送部の一方が位置決め部材に当接した状態において付勢力が付与されたままであると、付勢力の影響により、例えば所定の位置が記録位置の場合、記録動作に支障が生じ得る。上記構成によれば、このような問題を抑制することができる。
また、記録部及び搬送部の一方が位置決め部材に当接した状態において付勢力が付与されたままであると、付勢力に抗して当該一方の位置を保持するために、移動機構のモータをロックする必要等が生じ得る。上記構成によれば、モータをロックする必要等が生じない。
【0013】
前記付勢力低減手段は、前記一方が前記所定の位置に到達した後に、前記弾性部材の前記付勢力を低減させてよい。
上記構成によれば、記録部及び搬送部の一方が位置決め部材に当接するまでの間、確実に、弾性部材が緩衝材として機能し、当該一方と周辺部材(位置決め部材)との衝突による衝撃を低減することができる。
【0014】
本発明の記録装置は、前記付勢力低減手段によって前記付勢力が低減された後に前記記録を開始するよう前記記録部を制御する記録制御手段をさらに備えてよい。
記録動作中に付勢力が低減されると、記録動作に、付勢力低減による影響が生じ得る。上記構成によれば、このような問題を抑制することができる。
【0015】
前記付勢力低減手段は、前記第2接点を前記第1接点から離隔する方向に移動させる接点移動機構を含んでよい。
この場合、比較的簡単な構成で付勢力を低減させることができる。
また、第1接点を移動させる構成の場合、記録部及び搬送部の一方(移動する部材)に接点移動機構を設けることとなり、当該一方の構成が複雑化すると共に、当該一方の自重が大きくなってしまう。これに対し、上記構成によれば、当該一方ではなく位置決め部材に接点移動機構を設ければよいため、上記のような問題を抑制することができる。
【0016】
前記第1及び第2接点のうちの一方の接点における他方の接点と接触する部分は、前記一方の接点が設けられた部材における前記他方の接点が設けられた部材と当接する部分よりも、前記所定の方向に関して前記他方の接点から離隔した位置にあってよい。
第1及び第2接点のうちの一方の接点における他方の接点と接触する部分が、当該一方の接点が設けられた部材における当該他方の接点が設けられた部材と当接する部分と同一面上又はこれよりも上記所定の方向に関して他方の接点に近接した位置にある場合、記録部及び搬送部の一方が位置決め部材と当接するときの弾性部材の付勢力が過大になったり、上記一方の接点が記録部及び搬送部の一方の移動の障害となったり、という問題が生じ得る。上記構成によれば、このような問題を抑制することができる。
【0017】
本発明の記録装置は、前記検出手段が前記第1接点と前記第2接点との接触を検出した場合に、前記一方の移動速度が小さくなるよう前記移動機構を制御する減速手段をさらに備えてよい。
この場合、記録部及び搬送部の一方と周辺部材(位置決め部材)との衝突による衝撃を制御面から低減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、第1接点と第2接点との接触の有無によって記録部及び搬送部の一方の位置を検出する構成であるため、誤検出が生じ難い。しかも、弾性部材が緩衝材として機能し、当該一方と周辺部材(位置決め部材)との衝突による衝撃を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット式プリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【図2】プリンタに含まれるインクジェットヘッドの流路ユニット及びアクチュエータユニットを示す平面図である。
【図3】図2の一点鎖線で囲まれた領域IIIを示す拡大図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った部分断面図である。
【図5】インクジェットヘッドの昇降機構を示す概略斜視図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿った部分断面図であり、(a)はワイピング位置、(b)は第1記録位置、(c)は第2記録位置にそれぞれヘッドが配置された状態を示す図である。
【図7】(a)は、図6(b)の一点鎖線で囲まれた領域VIIAを示す拡大図である。(b)は、第2接点が下降した状態を示す図である。
【図8】プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図9】プリンタの制御装置が実行するヘッドの位置制御に係るプログラムを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
先ず、図1を参照し、本発明の一実施形態に係るインクジェット式プリンタ1の全体構成について説明する。
【0022】
プリンタ1は、直方体形状の筐体1aを有する。筐体1aの天板上部には、排紙部31が設けられている。筐体1aの内部空間は、上から順に空間A,B,Cに区分できる。空間Bには、給紙ユニット1bが配置されている。空間A及びBには、給紙ユニット1bから排紙部31に至る用紙搬送経路が形成されている。
【0023】
空間Aには、4つのヘッド10、搬送機構21、ガイドユニット、制御装置1p、ヘッド昇降機構50(図5参照)等が配置されている。
【0024】
ヘッド10はそれぞれ、主走査方向に長尺な略直方体形状を有するライン式のインクジェットヘッドである。記録(画像形成)に際して、4つのヘッド10の下面(吐出面10a)からそれぞれマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクが吐出される。4つのヘッド10は、副走査方向に所定ピッチで並び、枠状のキャリッジ3に固定されている。
キャリッジ3及びこれに固定された4つのヘッド10は、ヘッド昇降機構50(図5参照)の駆動により、昇降する。
【0025】
搬送機構21は、ベルトローラ6,7、両ローラ6,7間に巻回された環状の搬送ベルト8、搬送ベルト8の外側に配置されたニップローラ4及び剥離プレート5、搬送ベルト8の内側に配置されたプラテン9等を有する。
ベルトローラ7は、駆動ローラであって、ギア7gと噛合した軸を有する。図1に示すように、ギア7gが反時計回りに回転すると、ベルトローラ7は時計回りに回転する。ベルトローラ7の回転に伴い、搬送ベルト8は、図1の太矢印方向に走行する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、搬送ベルト8が走行するのに伴って、図1で時計回りに回転する。
ニップローラ4は、ベルトローラ6に対向配置され、上流側ガイド部(後述)から供給された用紙Pを搬送ベルト8の表面8aに押さえ付ける。剥離プレート5は、ベルトローラ7に対向配置され、用紙Pを表面8aから剥離して下流側ガイド部(後述)へと導く。
プラテン9は、4つのヘッド10の吐出面10aと対向配置され、搬送ベルト8の上側ループを内側から支える。
【0026】
ガイドユニットは、搬送機構21を挟んで配置された、上流側ガイド部及び下流側ガイド部を含む。
上流側ガイド部は、2つのガイド27a,27b及び一対の送りローラ26を有する。上流側ガイド部は、給紙ユニット1bと搬送機構21とを繋ぐ。
下流側ガイド部は、2つのガイド29a,29b及び二対の送りローラ28を有する。下流側ガイド部は、搬送機構21と排紙部31とを繋ぐ。
【0027】
給紙ユニット1bは、給紙トレイ23及び給紙ローラ25を有する。このうち、給紙トレイ23が、筐体1aに対して着脱可能となっている。給紙トレイ23は、上方に開口する箱であり、複数種類のサイズの用紙Pを収納可能である。給紙ローラ25は、給紙トレイ23内で最も上方にある用紙Pを送り出し、上流側ガイド部に供給する。
【0028】
制御装置1pは、プリンタ1各部の動作を制御してプリンタ1全体の動作を司る。
【0029】
制御装置1pは、外部装置(プリンタ1と接続されたPC等)から供給された画像データに基づいて、用紙P上に画像が形成されるよう、記録に係わる準備動作、用紙Pの供給・搬送・排出動作、用紙Pの搬送に同期したインク吐出動作等を制御する。
具体的には、制御装置1pは、外部装置から受信した記録指令に基づいて、給紙ローラ25用の給紙モータ125(図8参照)、各ガイド部の送りローラ用の送りモータ127(図8参照)、搬送モータ121(図8参照)、ヘッド10等を駆動する。
給紙トレイ23から送り出された用紙Pは、送りローラ26によって、搬送機構21に供給される。用紙Pが各ヘッド10の真下を副走査方向に通過する際、ヘッド10から各色のインクが吐出され、用紙P上にカラー画像が形成される。記録に係るインクの吐出動作は、用紙Pの先端を検知する用紙センサ32からの検出信号に基づいて行われる。用紙Pは、その後剥離プレート5により剥離され、2つの送りローラ28によって上方に搬送される。さらに用紙Pは、上方の開口30から排紙部31に排出される。
【0030】
ここで、副走査方向とは、搬送機構21による用紙Pの搬送方向に平行な方向であり、主走査方向とは、水平面に平行且つ副走査方向に直交する方向である。
【0031】
空間Cには、カートリッジユニット1cが筐体1aに対して着脱可能に配置されている。カートリッジユニット1cは、トレイ35、及び、トレイ35内に並んで収納された4つのカートリッジ39を有する。カートリッジ39は各色のインクを収容し、チューブ(図示せず)を介して対応するヘッド10と連通している。カートリッジ39内のインクは適宜ヘッド10に供給される。
【0032】
次に、図2〜図4を参照し、ヘッド10の構成についてより詳細に説明する。なお、図3では、アクチュエータユニット17の下側にあって点線で示すべき圧力室16及びアパーチャ15を実線で示している。
【0033】
ヘッド10は、上下に積層されたリザーバユニット(図示せず)及び流路ユニット12、流路ユニット12の上面12xに固定された8つのアクチュエータユニット17(図2参照)、各アクチュエータユニット17に接合されたFPC(平型柔軟基板)19(図4参照)等を有する。リザーバユニットには、カートリッジ39(図1参照)から供給されたインクを一時的に貯留するリザーバを含む流路が形成されている。流路ユニット12には、上面12xの開口12y(図2参照)から下面(吐出面10a)の各吐出口14aに至る流路が形成されている。アクチュエータユニット17は、吐出口14a毎の圧電型アクチュエータを有する。
【0034】
リザーバユニットの下面には凹凸が形成されている。凸部は、流路ユニット12の上面12xにおけるアクチュエータユニット17が配置されていない領域(図2に示す開口12yを含む二点鎖線で囲まれた領域)に接着されている。凸部の先端面は、リザーバに接続し且つ流路ユニット12の各開口12yに対向する開口を有する。これにより、上記各開口を介して、リザーバ及び個別流路14が連通している。凹部は、流路ユニット12の上面12x、アクチュエータユニット17の表面、及びFPC19の表面と、若干の隙間を介して対向している。
【0035】
流路ユニット12は、略同一サイズの矩形状の9枚の金属プレート12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h,12i(図4参照)を互いに積層し接着することにより形成された積層体である。流路ユニット12の流路は、図2、図3、及び図4に示すように、開口12yを一端に有するマニホールド流路13、マニホールド流路13から分岐した副マニホールド流路13a、及び、副マニホールド流路13aの出口から圧力室16を介して吐出口14aに至る個別流路14を含む。個別流路14は、図4に示すように、吐出口14a毎に形成されており、流路抵抗調整用の絞りであるアパーチャ15を含む。上面12xにおける各アクチュエータユニット17の接着領域には、圧力室16を露出させる略菱形形状の開口がマトリクス状に配置されている。下面(吐出面10a)における各アクチュエータユニット17の接着領域に対向する領域には、圧力室16と同様の配置パターンで、吐出口14aがマトリクス状に配置されている。
【0036】
アクチュエータユニット17は、図2に示すように、それぞれ台形の平面形状を有し、流路ユニット12の上面12xにおいて2列の千鳥状に配置されている。各アクチュエータユニット17は、図3に示すように、当該アクチュエータユニット17の接着領域内に形成された多数の圧力室16の開口を覆っている。図示は省略するが、アクチュエータユニット17は、多数の圧力室16に跨るように延在した複数の圧電層、及び、厚み方向に関して圧電層を挟む電極を含む。電極には、圧力室16毎に設けられた個別電極、及び、圧力室16に共通の共通電極が含まれる。個別電極は、最も上方の圧電層の表面に形成されている。
【0037】
FPC19は、アクチュエータユニット17の各電極に対応する配線を有し、その途中部にドライバIC(図示せず)が実装されている。FPC19は、一端がアクチュエータユニット17、他端がヘッド10の制御基板(リザーバユニットの上方に配置。図示せず)にそれぞれ固定されている。FPC19は、制御装置1p(図1参照)による制御の下、制御基板から出力された各種駆動信号をドライバICに伝達し、ドライバICが生成した信号をアクチュエータユニット17に伝達する。
【0038】
次に、図5を参照し、ヘッド昇降機構50の構成について説明する。
【0039】
ヘッド昇降機構50は、キャリッジ3を副走査方向に関して挟む位置に配置されたギアユニット50x,50y、及び、ヘッド昇降モータ50Mを有する。
ギアユニット50x,50yはそれぞれ、主走査方向に延在する軸53と、軸53に支持された1のプーリ51p及び2のピニオン52pと、各ピニオン52pと噛合するラック52rとを有する。ラック52rは、キャリッジ3における副走査方向の一対の側面にそれぞれ固定されており、当該側面に対向する内面とは反対側の外面に、ピニオン52pと噛合する歯が形成されている。軸53は、回転可能に筐体1aに支持されている。2本の軸53は、互いに平行であり、且つ、その鉛直方向に関する位置は常に一定で且つ互いに同じである。プーリ51p及びピニオン52pは、軸53に固定されており、軸53と共に回転する。
ヘッド昇降モータ50Mは、一方のギアユニット50xのプーリ51pにベルト51bを介して接続されている。モータ50Mの回転に伴い、当該プーリ51pが回転すると、ギアユニット50xのピニオン52pが回転し、さらに他方のギアユニット50yにおいても、ピニオン52p及びプーリ51pが回転する。即ち、両方のギアユニット50x,50yにおいて、プーリ51p及びピニオン52pが略同時に回転する。これにより、4つのヘッド10がキャリッジ3に保持されつつ昇降する。
【0040】
次に、図5〜図7を参照し、ヘッド10の位置制御に係る構成ついて説明する。なお、図6では、搬送ベルト8及びヘッド10の図示を省略している。
【0041】
キャリッジ3の下端面の四隅には、下方に突出した突起3pが設けられている(図5には1の突起3p、図6には2の突起3pのみが示されているが、キャリッジ3には計4つの突起3pが設けられている)。
キャリッジ3の下端面において、1の突起3pの近傍には、図5及び図6に示すように、バネ3s及び第1接点3xが設けられている。バネ3sの一端はキャリッジ3の下端面、バネ3sの他端は第1接点3xと接続している。即ち、バネ3sは、キャリッジ3と第1接点3xとの間に介装されている。
【0042】
プラテン9は、主走査方向に関して搬送ベルト8よりも長く、その主走査方向両端近傍の上面は、搬送ベルト8に覆われずに露出されている。キャリッジ3の4つの突起3pは、ヘッド10が図6(b)の位置に配置されたときに、プラテン9の当該露出部分に当接する。
プラテン9における、第1接点3xと対向する部分には、貫通孔9a及び第2接点9xが設けられている。貫通孔9aは、第1接点3xを収容可能な大きさを有する。第2接点9xは、貫通孔9a内に配置されている。第2接点9xの一側面には、ギア9gと噛合する歯が形成されている(図7参照)。第2接点9xは、ギア9gの回転により、貫通孔9a内で昇降可能である。第2接点9xの上面は、プラテン9の上面よりも下方にある。
【0043】
バネ3s及び接点3x,9xは、導電材料からなる。
第2接点9xは、常にグランド電位に保持されている。バネ3s及び第1接点3xは、接点3x,9xが離隔した状態ではグランド電位と異なる電位に保持されており、接点3x,9xが接触したときにグランド電位に切り換わる。バネ3sは導通センサ60(図8参照)と接続している。導通センサ60は、バネ3s及び第1接点3xの電位を示す信号を出力する。制御装置1pは、導通センサ60からの信号に基づいて、接点3x,9xの接触(導通)を検出する。
【0044】
次に、図8を参照し、プリンタ1の電気的構成について説明する。
【0045】
制御装置1pは、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)101に加えて、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory:不揮発性RAMを含む)103、ASIC(Application Specific Integrated Circuit )104、I/F(Interface)105、I/O(Input/Output Port)106等を有する。ROM102には、CPU101が実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。RAM103には、プログラム実行時に必要なデータ(例えば、用紙Pに記録される画像に係る画像データ)が一時的に記憶される。ASIC104では、画像データの書き換え、並び替え等(例えば、信号処理や画像処理)が行われる。I/F105は、外部装置とのデータ送受信を行う。I/O106は、各種センサの検出信号の入力/出力を行う。
【0046】
制御装置1pは、各モータ121,125,127,50M,9M、導通センサ60、用紙センサ32、各ヘッド10の制御基板等に接続されている。
接点昇降モータ9Mは、ギア9gを回転させる駆動源である。
【0047】
次に、図9を参照し、制御装置1pが実行するヘッド10の位置制御に係るプログラムについて説明する。
以下の各処理は、ROM102に記憶されているプログラムにしたがって、CPU101が実行する。
【0048】
制御装置1pは、先ず、指令(ここでは、ワイピング指令又は記録指令)を受信したか否かを判断する(S1)。
ワイピングとは、ワイパ(図示せず)を用いて吐出面10a上の異物(インク、紙粉等)を払拭する動作をいい、例えばパージ(ポンプの駆動によりヘッド10内のインクに圧力を付与して全吐出口14aからインクを排出させる動作)の後に行われる。パージは、記録動作が所定期間以上行われなかったとき、ジャム(用紙搬送経路内での用紙Pの詰まり)が生じたとき等に行われる。
記録指令には、通常記録指令(所定範囲内の厚みの用紙Pに対する記録を行うための指令)及び特別記録指令(所定範囲よりも大きな厚みの用紙Pに対する記録を行うための指令)がある。
【0049】
制御装置1pは、指令(ワイピング指令又は記録指令)を受信したと判断した場合(S1:YES)、導通センサ60からの信号に基づいて、接点3x,9xが接触しているか否かを判断する(S2)。
【0050】
なお、ヘッド10は、ヘッド昇降機構50の駆動により、図6(b)に示す位置から図6(a)に示す位置までの範囲内で、鉛直方向に移動可能である。S1及びS2の時点において、ヘッド10は当該移動範囲内の任意の位置にある。
【0051】
接点3x,9xが接触している場合(S2:YES)、制御装置1pは処理をS5に進める。
接点3x,9xが接触していない場合(S2:NO)、制御装置1pは、ヘッド10が移動速度v1で下降するよう、ヘッド昇降機構50を制御する(S3)。
【0052】
S3の後に導通センサ60からの信号に基づいて接点3x,9xの接触を検出した場合(S4:YES)、又は、S2で接点3x,9xが接触していると判断した場合(S2:YES)、制御装置1pは、ヘッド10が移動速度v2(<v1)で下降するよう、ヘッド昇降機構50を制御する(S5)。
ヘッド10の移動速度v1,v2は、モータ50Mの回転速度によって調整される。即ち、S5では、S3のときよりもモータ50Mの回転速度を小さくする。
【0053】
S5の後、制御装置1pは、モータ50Mの回転速度を確認し、当該回転速度が所定の速度xより小さくなった場合(S6:YES)、モータ50Mの回転を停止し(モータ50Mをロックし)、ヘッド10の移動を停止させる(S7)。
モータ50Mの回転速度は、モータ50Mのロータリエンコーダ50Me(図5参照)から出力されるパルスの幅に基づいて判断される。即ち、当該パルスの幅が所定値より大きくなった場合、モータ50Mの回転速度が速度xより小さくなったと判断される。
【0054】
図6(b)は、S7でヘッド10が移動停止したときの状態を示す。
このとき、キャリッジ3の突起3pがプラテン9の上面に当接しており、ヘッド10はこれ以上下降できない状態にある。このとき、ヘッド10の吐出面10a(図6ではヘッド10の図示を省略しているが、吐出面10aはキャリッジ3の下端面と略同じ位置にある。)は、間隙D0(D0:0以上の自然数)(mm)を介して、プラテン9の上面と対向している。
【0055】
ここで、ヘッド10が図6(a)の位置から下降して図6(b)の位置に到達するまでの、バネ3sの変化について説明する。
図6(a)において、バネ3sは、第1接点3xの重量の作用によって伸びており、バネ3sの反力の方向はバネ3sが縮む方向である。したがって、このときバネ3sは、第1接点3xに対して上向き・キャリッジ3に対して下向きの付勢力を付与している。
ヘッド10は、図6(a)の位置から下降を開始した後、接点3x,9xがちょうど接触する接点接触位置に至り、その後さらに下降し続けることで、図6(b)の位置に到達する。この過程において、ヘッド10が接点接触位置に至った後さらに下降する際、バネ3sは縮んでいき、上記縮む方向の反力の大きさが小さくなる。そしてバネ3sが自然長に至った後にさらに縮むことで、バネ3sの反力の方向は、バネ3sが縮む方向から伸びる方向に切り換わる。
図6(b)において、バネ3sは、自然長よりも縮んでおり、バネ3sの反力の方向はバネ3sが伸びる方向である。したがって、このときバネ3sは、第1接点3xに対して下向き・キャリッジ3に対して上向きの付勢力を付与している。このとき、バネ3sがキャリッジ3に付与する付勢力は、記録部(キャリッジ3及びこれに固定された4つのヘッド10)の自重よりも大きいが、モータ50Mが回転しないように制御する(モータ50Mをロックする)ことで、ヘッド10は図6(b)の位置で静止している。
【0056】
なお、ヘッド10が接点接触位置からさらに下降する際、バネ3sの反力の影響によって、モータ50Mの回転速度が低下していく。そこで、予め、ヘッド10が図6(b)の位置に至ったときのモータ50Mの回転速度(ロータリエンコーダ50Meから出力されるパルスの幅)を測定し、この値をROM102又はRAM103に記憶させておく。S6の判断は、当該記憶された値に基づいて行われる。
【0057】
S7の後、制御装置1pは、S1で受信した指令がワイピング指令であるか否かを判断する(S8)。
ワイピング指令の場合(S8:YES)、制御装置1pは、ヘッド10が上昇するよう、ヘッド昇降機構50を制御する(S9)。そして制御装置1pは、ヘッド10が図6(a)のワイピング位置に到達したときにモータ50Mを停止し、ヘッド10を当該位置に維持しつつ、ワイパ(図示せず)を駆動してワイピングを行う(S10)。その後制御装置1pは、当該ルーチンを終了する。
【0058】
ワイピング指令でない場合(S8:NO)、制御装置1pは、S1で受信した指令が通常記録指令であるか否かを判断する(S11)。
通常記録指令の場合(S11:YES)、制御装置1pは、ギア9gの回転によって第2接点9xが下降し(図7(b)参照)、接点3x,9xが離隔するよう、接点昇降モータ9Mを制御する(S12)。これにより、バネ3sがキャリッジ3に付与している上向きの方向の付勢力が低減する。制御装置1pは、第2接点9xが図7(b)の位置に到達したときに接点昇降モータ9Mを停止し、その後、ヘッド10を図6(b)の第1記録位置に維持しつつ、記録動作を行う(S13)。このときキャリッジ3の突起3pはプラテン9の上面に当接しており、また、キャリッジ3に対するバネ3sによる付勢力が低減されているため、キャリッジ3の高い位置精度が確保される。その後制御装置1pは、当該ルーチンを終了する。
【0059】
通常記録指令でない(即ち、特別記録指令)の場合(S11:NO)、制御装置1pは、ヘッド10が上昇するよう、ヘッド昇降機構50を制御する(S14)。そして制御装置1pは、ヘッド10が図6(c)の第2記録位置に到達したときにモータ50Mを停止し、ヘッド10を当該位置に維持しつつ、記録動作を行う(S13)。その後制御装置1pは、当該ルーチンを終了する。
【0060】
なお、図6(a)〜(c)の各位置における吐出面10aとプラテン9の上面との間隙D0,D1,D2は、D0<D1<D2の関係にある。
制御装置1pは、図6(b)の第1記録位置(キャリッジ3の突起3pがプラテン9の上面に当接する位置)を基準として、他の位置(図6(a)のワイピング位置、及び、図6(c)の第2記録位置)を割り出し、上記のようなヘッド10の位置制御を行う。具体的には、指令を受信した場合、先ずヘッド10を図6(b)の位置に配置し、この位置を基準として、ヘッド10の移動が必要な場合は目標となる位置までのモータ50Mの回転量等を割り出してヘッド10を移動させる。
【0061】
以上に述べたように、本実施形態に係るプリンタ1によると、接点3x,9xの接触の有無によってヘッド10の位置を検出する構成であるため、誤検出が生じ難い。例えば、S2又はS4で接点3x,9xが接触していると判断された場合、ヘッド10は、図6(b)に示す位置から、接点接触位置(図6(b)の位置よりも上方の、接点3x,9xがちょうど接触する位置)までの範囲内にあると判断される。また、S2又はS4で接点3x,9xが接触していないと判断された場合、ヘッド10は接点接触位置よりも上方にあると判断される。
しかも、バネ3sが緩衝材として機能し、キャリッジ3とプラテン9との衝突(突起3pとプラテン9の上面との当接)による衝撃を低減することができる。
【0062】
制御装置1pは、図6(b)の位置(キャリッジ3の突起3pがプラテン9の上面に当接する位置)を基準として、当該位置とは異なる位置(図6(a),(c)の位置)を割り出す。
このように、キャリッジ3の突起3pがプラテン9の上面に当接する位置を基準として、ヘッド10の位置制御を行うことで、ヘッド10を当該位置とは異なる位置に精度よく移動させることができる。即ち、ヘッド10の位置精度が向上する。
【0063】
ヘッド10が記録を行うときに配置される記録位置を、キャリッジ3の突起3pがプラテン9の上面に当接する位置としている。これにより、記録時におけるヘッド10の位置精度が向上する。
【0064】
図6(b)の位置(キャリッジ3の突起3pがプラテン9の上面に当接する位置)は、ヘッド10の移動範囲の鉛直方向最も下方の位置である。
キャリッジ3の突起3pがプラテン9の上面に当接する位置が、ヘッド10の移動範囲の鉛直方向最も下方の位置でない場合(例えば最も上方の位置である場合)、当該位置よりも下方にヘッド10を移動させる際に、記録部の自重の影響で、所望の位置よりも下方にヘッド10が移動してしまい、ヘッド10の位置精度が悪化し得る。これに対し、本実施形態によれば、上記のような位置精度の悪化を抑制し、ヘッド10の位置精度を高く保つことができる。
【0065】
図6(b)のとき(キャリッジ3の突起3pがプラテン9の上面に当接するとき)、バネ3sは、記録部の自重mg(m:記録部の質量,g:重力加速度)よりも大きい、上向きの付勢力を、キャリッジ3に付与している。
これにより、バネ3sが緩衝材として十分に機能し、キャリッジ3とプラテン9との衝突(突起3pとプラテン9の上面との当接)による衝撃をより確実に低減することができる。
【0066】
プリンタ1は、ギア9gの回転によって第2接点9xを下降させることで、バネ3sの付勢力を低減させる(図7(b)参照)。
図6(b)に示すようにキャリッジ3の突起3pがプラテン9の上面に当接した状態において、キャリッジ3に対してバネ3sの付勢力が付与されたままであると、付勢力の影響により、記録動作に支障が生じ得る。本実施形態によれば、上記のようにバネ3sの付勢力を低減させることで、このような問題を抑制することができる。
また、図6(b)に示すようにキャリッジ3の突起3pがプラテン9の上面に当接した状態において、キャリッジ3に対してバネ3sの付勢力が付与されたままであると、付勢力に抗してキャリッジ3及びヘッド10の位置を保持するために、ヘッド昇降モータ50Mをロックする必要等が生じ得る。本実施形態によれば、上記のようにバネ3sの付勢力を低減させることで、モータ50Mをロックする必要等が生じない。
【0067】
制御装置1pは、ヘッド10が図6(b)の位置に到達した後に、バネ3sの付勢力を低減させる(図9のS1〜S12参照)。
これにより、キャリッジ3の突起3pがプラテン9の上面に当接するまでの間、確実に、バネ3sが緩衝材として機能し、キャリッジ3とプラテン9との衝突(突起3pとプラテン9の上面との当接)による衝撃を低減することができる。
【0068】
制御装置1pは、バネ3sの付勢力を低減した後に記録を開始する(図9のS12,S13参照)。
記録動作中にバネ3sの付勢力が低減されると、記録動作に、付勢力低減による影響が生じ得る。本実施形態によれば、このような問題を抑制することができる。
【0069】
プリンタ1は、バネ3sの付勢力を低減させる機構として、第2接点9xを下降(第1接点3xから離隔する方向に移動)させる接点移動機構(ギア9g及びモータ9M)を含む。
この場合、比較的簡単な構成でバネ3sの付勢力を低減させることができる。
また、第1接点3xを移動させる構成の場合、キャリッジ3(移動する部材)に接点移動機構を設けることとなり、キャリッジ3の構成が複雑化すると共に、記録部の自重が大きくなってしまう。これに対し、本実施形態によれば、キャリッジ3ではなくプラテン9側に接点移動機構を設ければよいため、上記のような問題を抑制することができる。
【0070】
第2接点9xの上面(第1接点3xと接触する部分)は、図5〜図7に示すように、プラテン9の上面(キャリッジ3の突出部3pと当接する部分)よりも下方(鉛直方向に関して第1接点3xから離隔した位置)にある。
第2接点9xの上面が、プラテン9の上面と同一面上又はこれよりも上方(鉛直方向に関して第1接点3xに近接した位置)にある場合、キャリッジ3の突起3pがプラテン9の上面と当接するときのバネ3sの付勢力が過大になったり、第2接点9xがヘッド10の移動の障害となったり、という問題が生じ得る。本実施形態によれば、このような問題を抑制することができる。
【0071】
制御装置1pは、接点3x,9xの接触を検出した場合に、ヘッド10の移動速度が小さくなるよう、ヘッド昇降機構50を制御する(図9のS3〜S5参照)。
このように減速することにより、キャリッジ3とプラテン9との衝突(突起3pとプラテン9の上面との当接)による衝撃を制御面から低減することができる。
【0072】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0073】
記録部について:
・記録部は、ライン式に限定されず、シリアル式であってもよい。
・記録装置に含まれる記録部の数は、1以上であればよく、任意である。
・記録部は、インク以外の液体を吐出してもよい。また、記録部は、液体を吐出するものに限定されず、レーザー式等であってもよい。
・上述の実施形態では、ヘッド10(記録部)が第1記録位置、第2記録位置、及びワイピング位置の3つの位置(図6参照)のいずれかに配置されるようにしているが、これに限定されない。例えば、記録位置が第1記録位置の1つのみである(即ち、所定範囲よりも大きな厚みの用紙Pに対する記録制御を行わない)場合、記録位置が3以上ある場合、ワイピング位置がない場合でもよい。
【0074】
記録媒体は、記録可能な媒体である限りは、用紙Pに限定されず、布等であってもよい。
【0075】
搬送部は、ベルト式に限定されず、回転ドラムを用いたものや、プラテンとローラを用いたものであってもよい。
【0076】
移動機構について:
・移動機構は、ラック&ピニオンに限定されず、任意の構成であってよい。
・移動機構は、複数の記録部を個別に移動させてもよい。
・移動機構は、記録部ではなく、搬送部を移動させてもよい。
・移動機構が記録部及び搬送部の一方を移動させる方向(所定の方向)は、第1接点が第2接点と接離する方向である限りは、鉛直方向に限定されず、任意である。
【0077】
位置決め部材について:
・位置決め部材における記録部及び搬送部の一方と当接する位置は、特に限定されない。
・位置決め部材は、プラテンに限定されず、搬送ベルト等であってもよい。移動機構が搬送部を移動させる構成の場合に、記録部(ヘッド又はキャリッジ)を位置決め部材としてもよい。
【0078】
記録部及び搬送部の一方が位置決め部材と当接する位置(所定の位置)について:
・所定の位置を基準として、記録部及び搬送部の一方の位置制御を行わなくてもよい。
・所定の位置は、記録部の移動範囲の鉛直方向最も下方の位置に限定されず、当該移動範囲内の任意の位置であってよい。
・記録位置以外の位置(例えば上述の実施形態のワイピング位置)を所定の位置としてもよい。
【0079】
接点について:
・第1及び第2接点の数は、任意である。例えば、複数の第1接点及び複数の第2接点を設け、複数個所において接点接触を検出してもよい。また、1の第1接点(又は第2接点)と複数の第2接点(又は第1接点)とが接触する構成であってもよい。
・接点の位置は、任意である。
・上述の実施形態では、第2接点9xの上面(第1接点3xと接触する部分)がプラテン9の上面(突出部3pと当接する部分)よりも下方(鉛直方向に関して第1接点3xから離隔した位置)にあるが、これに限定されない。例えば、第2接点9xの上面がプラテン9の上面よりも上方にあり、且つ、第1接点3xの下面(第2接点9xと接触する部分)が突起3pの下面(プラテン9の上面と当接する部分)よりも上方(第2接点9xから離隔した位置)にあってもよい。また、一方の接点における他方の接点と接触する部分の位置は、特に限定されない。
・上述の実施形態では、第2接点9xが貫通孔9a内に配置されているが、これに限定されない。例えば、第2接点9xは、プラテン9の上面に設けられた凹部内に配置されてもよいし、プラテン9の上面に配置されてもよい。
【0080】
弾性部材について:
・弾性部材は、バネに限定されず、ゴム等であってもよい。
・弾性部材は、導電性を有さなくてもよい。
・弾性部材は、記録部及び搬送部の一方と第1接点との間、及び、位置決め部材と第2接点との間の、一又は両方に介装されてよい。(例えば上述の実施形態において、第2接点9xに弾性部材を設けたり、第2接点9x及び第1接点3xの両方に弾性部材を設けたりしてよい。)
・記録部及び搬送部の一方、又は、位置決め部材に、複数の弾性部材を設けてもよい。(例えば上述の実施形態において、キャリッジ3の四隅に第1接点3xを設けてよい。これにより、接点接触時における応力バランスが良好になる。)
【0081】
付勢力低減手段について:
・弾性部材の付勢力を低減させる際に、上述の実施形態では接点3x,9xを離隔させるが、接点3x,9xを離隔させなくてもよい(例えば上述の実施形態において、ヘッド10を第1記録位置から少し上昇させるだけでも、バネ3sの付勢力が低減する)。
・弾性部材の付勢力を低減させるタイミングは、記録部及び搬送部の一方が位置決め部材と当接した後に限定されない。例えば上述の実施形態において、接点3x,9xが接触した後で且つキャリッジ3の突起3pがプラテン9の上面に当接する前に、バネ3sの付勢力をある程度低減させてもよい。また、弾性部材の付勢力を低減させる前に、記録を開始してもよい。
・弾性部材の付勢力を低減させる機構は、ギア等に限定されず、任意である。また、当該機構は、第1接点を第2接点から離隔する方向に移動させてもよい。
・付勢力低減手段を省略してもよい。
【0082】
第1接点と第2接点との接触を検出した場合に、記録部及び搬送部の一方の移動速度が小さくなるように制御しなくてもよい。
【0083】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 インクジェット式プリンタ(記録装置)
1p 制御装置(検出手段,移動制御手段,付勢力低減手段,記録制御手段,減速手段)
3 キャリッジ
3s バネ(弾性部材)
3x 第1接点
9 プラテン(位置決め部材)
9g ギア(付勢力低減手段,接点移動機構)
9x 第2接点
10 インクジェットヘッド(記録部)
21 搬送機構(搬送部)
50 ヘッド昇降機構(移動機構)
60 導通センサ(検出手段)
P 用紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して記録を行う記録部と、
記録媒体を搬送する搬送部と、
前記記録部及び前記搬送部の一方を移動させる移動機構と、
前記一方と当接する部材であって、前記一方と当接することによって前記一方を所定の位置に位置決めする位置決め部材と、
前記一方に設けられた第1接点と、
前記位置決め部材に設けられた第2接点と、
前記第1接点と前記第2接点との接触を検出する検出手段と、
前記一方と前記第1接点との間、及び、前記位置決め部材と前記第2接点との間の少なくとも一方に介装された弾性部材と、を備え、
前記移動機構は、前記第1接点が前記第2接点と接離する所定の方向に、前記一方を移動させ、
前記弾性部材は、前記第1接点と前記第2接点とが離隔した状態において、前記第1接点及び前記第2接点のうちの当該弾性部材が介装された側の接点に対し、前記所定の方向における、当該弾性部材が介装された側の接点が当該弾性部材が介装されていない側の接点から離隔する方向、の付勢力を付与することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記移動機構を制御する移動制御手段であって、前記所定の位置を基準として前記所定の位置とは異なる位置を割り出す移動制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記所定の位置は、前記記録部が前記記録を行うときに配置される記録位置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記移動機構は、前記記録部を鉛直方向に移動させ、
前記所定の位置は、前記移動機構による前記記録部の移動範囲の鉛直方向最も下方の位置であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録部が前記位置決め部材と当接するときの前記弾性部材の前記付勢力は、前記記録部の自重よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記弾性部材の前記付勢力を低減させる付勢力低減手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記付勢力低減手段は、前記一方が前記所定の位置に到達した後に、前記弾性部材の前記付勢力を低減させることを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
【請求項8】
前記付勢力低減手段によって前記付勢力が低減された後に前記記録を開始するよう前記記録部を制御する記録制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記付勢力低減手段は、前記第2接点を前記第1接点から離隔する方向に移動させる接点移動機構を含むことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記第1及び第2接点のうちの一方の接点における他方の接点と接触する部分は、前記一方の接点が設けられた部材における前記他方の接点が設けられた部材と当接する部分よりも、前記所定の方向に関して前記他方の接点から離隔した位置にあることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項11】
前記検出手段が前記第1接点と前記第2接点との接触を検出した場合に、前記一方の移動速度が小さくなるよう前記移動機構を制御する減速手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−158036(P2012−158036A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18249(P2011−18249)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】