説明

診断用および治療用シクロオキシゲナーゼ−2結合リガンド

本発明は、COX−2の過剰発現に関連した疾患の診断および治療に有用な結合体を提供する。その結合体は、選択的COX−2標的担体と、金属配位部分と、金属配位部分を担体に化学的に連結するリンカーとを含む。金属配位部分に配位している金属は、常磁性金属または放射性同位元素から選択される。本発明は、結合体と放射性同位元素溶液とを含むキットも包含する。本発明は、COX−2の過剰発現に関連した癌または他の疾患の診断または治療のための方法をさらに対象とする。この方法は、結合体をCOX−2を発現する生物組織または臓器に標的化するための選択的COX−2標的担体と、金属配位部分と、金属配位部分によって錯体形成されている放射性または常磁性金属と、上記金属配位部分を上記担体に化学的に連結するリンカーとを含む結合体を対象に投与するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は一般に、金属医薬(metallopharmaceutical)診断薬または治療薬として使用するための金属キレート化結合体を対象とする。
【背景技術】
【0002】
金属医薬診断薬および治療薬は、生物学的および医学的研究、ならびに診断および治療手順において、かつてないほど多数の適用を見出している。通常、これらの薬剤は、対象に導入された際に、選択された特定の臓器、組織または骨格構造に局在するようになる放射性同位元素または常磁性金属を含有している。これらの手順の目的が診断である場合、放射性同位元素または常磁性金属のin vivo分布を示す画像を様々な手段によって作成することができる。検出された放射性同位元素または常磁性金属の分布、および対応する相対強度は、標的組織が占めている空間を示すのみでなく、受容体、抗原、異常および疾患状態などの存在も示しうる。これらの手順の目的が治療である場合、薬剤は通常、放射性同位元素を含有し、この放射性薬剤が一用量の放射線を局所に送達する。
【0003】
対象とする標的臓器または組織、および所望の診断手段または治療手段に応じて、様々な金属医薬薬剤が使用されうる。1つの一般的な形態は、放射性または常磁性金属を含む結合体、上記結合体を特定の臓器または組織部位に標的化する担体薬剤、および上記担体を上記金属に化学的に連結する連結部である。そのような結合体では、典型的には配位錯体の形態で、より典型的には大環状分子のキレートとして、金属が結合体に結合している。例えば、Liu、特許文献1を参照のこと。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,916,460号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
本発明のいくつかの態様には、診断手順および治療手順で使用するための結合体の提供が包含される。有利には、そのような結合体は、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)を発現する特定の臓器、組織または骨格構造に蓄積する傾向があり、非標的組織に非特異的に結合する危険性が低減している。正常レベルの発現に比べ、COX−2の過剰発現をもたらす疾患では、正常レベルのCOX−2を発現する組織および臓器に結合するより多くの数の結合体が、COX−2を過剰発現する組織および臓器に結合する。したがって、正常組織と比較して、より高濃度な結合を有する位置を特定することによって、疾患の存在の診断を行うことができる。さらに、放射線治療に応答する、COX−2の過剰発現に関連した疾患では、選択的に疾患組織または臓器に結合し、放射線の局所的投与を与える、治療用放射性同位元素を有する結合体を患者に投与することができる。
【0006】
したがって簡潔には、本発明は、結合体をCOX−2を発現する生物組織または臓器に標的化するための担体と、金属配位部分と、上記金属配位部分を上記担体に化学的に連結するリンカーとを含む結合体を対象とする。
【0007】
本発明は、COX−2の過剰発現に関連した癌または他の疾患の診断または治療のための方法をさらに対象とする。この方法は、結合体をCOX−2を発現する生物組織または臓器に標的化するための選択的COX−2標的担体と、金属配位部分と、金属配位部分によって錯体形成されている放射性または常磁性金属と、上記金属配位部分を上記担体に化学的に連結するリンカーとを含む結合体を対象に投与するステップを含む。上記結合体がCOX−2過剰発現の部位に結合して、癌が診断されるか、または治療量の放射線を受ける。
【0008】
本発明は、金属医薬品(metallopharmaceutical)を調製するためのキットをさらに対象とする。上記キットは、癌を検出または治療する診断方法または治療方法で使用するための結合体を含み、上記結合体は、結合体をCOX−2を過剰発現する生物組織または臓器に標的化するための担体と、金属配位部分と、金属配位部分によって錯体形成されている金属と、上記金属配位部分を上記担体に化学的に連結するリンカーとを含む。
【0009】
本発明の別の態様には、プロスタグランジンの発現に関連した腫瘍を治療する方法が含まれる。上記方法は、放射性同位元素をキレート化する金属配位部分に連結された選択的COX−2標的担体を含む結合体を一定量患者に投与するステップを含む。選択的COX−2標的担体は、腫瘍部位に結合して、COX−2由来プロスタグランジンの発現を低減し、上記結合体の投与によるCOX−2由来プロスタグランジン発現の低減は、非結合COX−2阻害剤および外部放射線治療の併用療法の投与から生じるCOX−2由来プロスタグランジン発現の低減より大きい。
【0010】
本発明の他の態様を、以下で一部明らかにし、一部指摘する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、診断用または治療用の金属放射性医薬品または磁気共鳴画像法造影剤で使用するための金属と迅速に配位錯体を形成できる結合体を提供する。上記結合体は、場合によっては生体分子と呼ばれる、COX−2を発現する組織型または臓器にin vivoで結合する選択的COX−2標的担体に金属イオンを結合させるための二官能性キレート剤(BFC)として働きうる。本発明の標的特異的な金属医薬品は、例えば、磁気共鳴画像法またはシンチグラフィーによって、正常組織と比較して、COX−2の過剰発現が特徴とされている癌または他の疾患の診断で有用である。
【0012】
通常、本発明の結合体は、共有結合で直接的または間接的に連結基に連結されている選択的COX−2標的担体および金属配位部分を含む。同様に、かつ独立的に、上記連結基は、金属配位部分にも直接的に結合していてもよく、または一連の原子を介して間接的に金属配位部分に結合していてもよい。
【0013】
模式的には、生体指向性(biodirecting)担体、リンカー、および本発明の金属配位部分を含む結合体は、化学式A
(COX−2)――L――金属配位部分 (A)
に対応しており、
式中、
COX−2は選択的COX−2標的担体であり、
Lはリンカーであり、
金属配位部分は、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分である。
【0014】
併せて、リンカーは、選択的COX−2標的担体を金属配位部分に共有結合で連結する。
【0015】
診断手順および治療手順で使用する前に、化学式Aに対応する結合体は、金属と錯体形成して、本発明の金属医薬診断薬または治療薬を生成する。
【0016】
上記結合体を診断手順または治療手順で患者に投与することができる。COX−2標的担体は、COX−2を発現する組織または臓器に結合する。ひとたび結合すれば、患者の画像を取得して、患者における常磁性金属または放射性同位元素金属のいずれかの局在濃度を決定することができる。正常または健康な組織と比較して増大している濃度は、COX−2過剰発現を示し、さらに疾患状態、例えば癌性腫瘍の存在および位置を示しうる。さらに、相対的に、より多量の結合体が結合している領域の相対的なサイズを観測することによって、医師は、癌性腫瘍または疾患組織もしくは臓器の相対的なサイズおよび形態を決定できる。本発明の結合体を用いて診断または治療できる疾患の例には、癌、例えば、骨癌、脳腫瘍、乳癌、大腸癌、肝臓癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、胃癌および甲状腺癌、ならびにCOX−2の過剰発現に関連した他の疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
患者が、癌またはCOX−2の過剰発現に関連した他の疾患を有するとひとたび診断されたならば、本発明の結合体を投与することによって、その患者を治療することができ、その際、治療用の放射性同位元素が金属配位部分に配位される。診断用結合体と同様に、COX−2標的担体は、COX−2を発現する組織または臓器に結合する。上記結合体は、正常組織より多量なCOX−2を過剰発現している組織または臓器に結合するので、局所的な治療量の放射線が癌または疾患部位に投与される。
【0018】
選択的COX−2標的担体
前述の通り、本発明の結合体は、COX−2を発現する標的組織または臓器に結合体を標的化する、生体分子としても知られている選択的COX−2標的担体を含有する。現在好ましい選択的COX−2標的担体には、所与の国において、医薬品の使用を再調査および認可する責任がある監督官庁によって、ヒトでの医薬品使用に認可されているCOX−2阻害剤が含まれる。例えば、米国において、本発明の結合体で選択的COX−2標的担体として使用するのに好ましいCOX−2阻害剤は、米国食品医薬品局(FDA)によって認可されたCOX−2阻害剤であろう。欧州で使用する結合体で選択的COX−2標的担体として使用するのに好ましいCOX−2阻害剤は、欧州医薬品審査庁(EMEA)によって、ヒトでの医薬品使用用に認可されているCOX−2阻害剤であろう。
【0019】
一実施形態では、選択的COX−2標的担体が、化学式(B)
【0020】
【化1】

を有する三環系COX−2阻害剤であり、
式中、Aが五員環または六員環であり、
Zがそれぞれ独立に、H、低級アルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキルおよびハロであり、
Yがそれぞれ独立に、H、低級アルキル、ヒドロキシル、アルキルオキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキルおよびフェニルであり、
nが0〜3である。
【0021】
選択的COX−2標的担体の特定の例では、Aがピラゾリル環またはフラノン環であり、その結果、置換ピラゾリルまたは置換フラノンベンゼンスルホンアミド化合物を産する。
【0022】
他の例では、選択的COX−2標的担体が化学式(B)を有する三環系化合物COX−2阻害剤であり、式中、Aが、アルキル、ハロ、オキソおよびアルコキシからなる群から選択された1つまたは複数の基で任意選択に置換された、部分不飽和または不飽和の複素環および炭素環から選択された五員環または六員環である。
【0023】
本発明の一実施形態には、化学式(C)
【0024】
【化2】

に対応する結合体が含まれ、
式中、
A、Y、Z、およびnは、化学式(B)を有する三環系COX−2阻害剤に関して上記に定義されており、
金属配位部分は、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分であり、
Lは、部分Aを金属配位部分に共有結合で連結するリンカーである。
【0025】
本発明の一結合体は、選択的COX−2阻害剤としてセレコキシブを含有し、上記結合体は、セレコキシブ部分と、リンカーと、化学式(D)
【0026】
【化3】

に対応する金属配位部分とを含み、
式中、
金属配位部分が、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分であり、
Lが、選択的COX−2標的担体を金属配位部分に共有結合で連結するリンカーである。
【0027】
別の実施形態では、選択的COX−2標的担体が化学式(E)
【0028】
【化4】

を有する縮合多環COX−2阻害剤を含み、
式中、Rが低級アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルコキシまたはハロアルキルであり、
nが0〜3であり、
が炭素または窒素であり、選択的COX−2標的担体は、Xが炭素である場合にはインドールであり、かつZが窒素である場合にはベンゾイミダゾールである。
【0029】
化学式(D)の縮合多環COX−2阻害剤を組み込んだ、本発明の結合体の一例が、化学式(F)
【0030】
【化5】

に対応し、
式中、
、Z、およびnは、化学式(D)を有する縮合多環COX−2阻害剤に関して上記に定義されており、
金属配位部分は、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分であり、
Lは、選択的COX−2標的担体を金属配位部分に共有結合で連結するリンカーである。
【0031】
別の実施形態では、選択的COX−2標的担体が、化学式(G)または(H)
【0032】
【化6】

を有する縮合多環COX−2阻害剤であり、
式中、
は、H、低級アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルキルチオ、アルコキシ、アリールアルキル、シクロアルキル、フェニルまたはアルキルスルホニルであり、
は、H、低級アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アリールアミノ、ニトロ、スルホンアミドまたはカルボキサミドであり、
nは、0〜3であり
は、O、S、NRまたはCRであり、Rは、H、低級アルキル、アリール、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニルまたはスルホンアミドであり、RおよびRは、それぞれ独立に、H、低級アルキル、低級アルキルフェニル、ハロアルキル、ハロまたはアルケニルである。
【0033】
化学式(G)および(H)の縮合多環COX−2阻害剤を組み込んだ本発明の結合体の例は、化学式(I)および(J)
【0034】
【化7】

に対応し、
式中、
、R、R、R、R、Zおよびnは、化学式(F)を有する縮合多環COX−2阻害剤に関して、上記に定義されており、
金属配位部分は、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分であり、
Lは、選択的COX−2標的担体を金属配位部分に共有結合で連結するリンカーである。
【0035】
がOである場合、上記選択的COX−2標的担体はベンゾピランであり、ZがSである場合、上記選択的COX−2標的担体はベンゾチオピランであり、ZがNである場合、上記選択的COX−2標的担体はキノリンであり、ZがCである場合、上記選択的COX−2標的担体はナフチルである。
【0036】
COX−2標的担体の他の例には、セレコキシブ(すなわち、4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾル−1−イル]ベンゼンスルホンアミド)、シミコキシブ(すなわち、4−(4−シクロヘキシル−2−メチルオキサゾル−5−イル)−2−フルオロベンゼンスルホンアミド)、デラコキシブ(すなわち、4−[3−(ジフルオロメチル)−5−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−1H−ピラゾル−1−イル]ベンゼンスルホンアミド)、バルデコキシブ(すなわち、4−(5−メチル−3−フェニル−4−イソキサゾリル)ベンゼンスルホンアミド)、ロフェコキシブ(すなわち、4−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−3−フェニル−2(5H)−フラノン)、エトリコキシブ(すなわち、2,3’−ビピリジン、5−クロロ−6’−メチル−3−[4−[メチルスルホニル]フェニル]、または[2]5−クロロ−6’−メチル−3−[p−[メチルスルホニル]フェニル]−2,3’−ビピリジン)、メロキシカム(すなわち、4−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5−メチル−2−チアゾリル)−2H−1,2−ベンゾチアジン−3−カルボキサミド−1,1−ジオキシド)、パレコキシブ(すなわち、N−[[p−(5−メチル−3−フェニル−4−イソオキサゾリル)フェニル]スルホニル]プロピオンアミド)、4−(4−シクロヘキシル−2−メチルオキサゾル−5−イル)−2−フルオロベンゼンスルホンアミド、2−(3,5−ジフルオロフェニル)−3−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−2−シクロペンテン−1−オン、N−[2−(シクロヘキシルオキシ)−4−ニトロフェニル]メタンスルホンアミド、2−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシ−3−メチルブトキシ)−5−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−3(2H)−ピリダジノン、2−[(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニル)アミノ]−5−エチル−ベンゼン酢酸、(3Z)−3−[(4−クロロフェニル)[4−(メチルスルホニル)フェニル]メチレン]−ジヒドロ−2(3H)−フラノン、(S)−6,8−ジクロロ−2−(トリフルオロメチル)−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸、ルミラコキシブ(すなわち、[2−[(2−クロロ−6−フルオロフェニル)アミノ]−5−メチルフェニル]酢酸)、または薬学的に許容されるこれらの任意の塩、エステルもしくはプロドラッグなどの選択的COX−2阻害剤から誘導された結合体が含まれる。
【0037】
本発明の結合体には、当技術分野で知られている選択的COX−2阻害剤を組み込んだ結合体も含まれる。選択的COX−2阻害剤は、例えば、Abbott Laboratories社に譲渡された、米国特許第5681842号、第5750558号、第5756531号および第5776984号、ならびに国際公開第97/41100号、第98/39330号、第99/10331号、第99/10332および第00/24719号;ならびにAlgos Pharmaceutical Corporation社に譲渡された、国際公開第98/50075号、第00/29022号および第00/29023号;ならびにAlmirall Prodesfarma S.A.社に譲渡された国際公開第99/15205号;ならびにAMBI Inc.社に譲渡された米国特許第5980905号;ならびにAmerican Cyanamid Company社に譲渡された米国特許第5945538号;ならびにAmerican Home Products Corporation社に譲渡された、米国特許第5776967号、第5824699号および第5830911号、ならびに国際公開第98/04527号および第98/21195号;ならびにAngelini Richerche S.P.A.Societa Consortile社に譲渡された国際公開第98/22442号;ならびにAstra Pharmaceuticals Ltd.社に譲渡された米国特許第6046191号、ならびに国際公開第99/18960号および第00/00200号;ならびにルイジアナ州立大学の管理委員会(Board of Supervisors of Louisiana State University)に譲渡された米国特許第5905089号;ならびにChemisch Pharmazeutische Forschungsgesellschaft MBH社に譲渡された国際公開第97/13767号;ならびに中外製薬株式会社に譲渡された、国際公開第98/57924号および国際公開第99/61436号;ならびにCornell Research Foundation Inc.社に譲渡された国際公開第00/13685号;ならびにThe Du Pont Merck Pharmaceutical Company社に譲渡された国際公開第96/10021号;ならびにE.I. Du Pont de Nemours and Company社に譲渡された欧州特許第0087629B1号;ならびにEuro−Celtique社に譲渡された国際公開第99/13799号;ならびに藤沢薬品工業株式会社に譲渡された、米国特許第5134142号、ならびに国際公開第91/19708号、第97/13755号、第99/15505号および第99/25695号、ならびに欧州特許第0418845B1号および欧州特許出願公開第0554829A2号;G.D. Searle & Co.社に譲渡された米国特許第5344991号、第5393790号、第5434178号、第5466823号、第5486534号、第5504215号、第5508426号、第5510496号、第5516907号、第5521207号、第5563165号、第5580985号、第5596008号、第5616601号、第5620999号、第5633272号、第5643933号、第5668161号、第5686470号、第5696143号、第5700816号、第5719163号、第5753688号、第5756530号、第5760068号、第5859257号、第5908852号、第5935990号、第5972986号、第5985902号、第5990148号、第6025353号、第6028072号および第6136839号、ならびに国際公開第94/15932号、第94/27980号、第95/11883号、第95/15315号、第95/15316号、第95/15317号、第95/15318号、第95/21817号、第95/30652号、第95/30656号、第96/03392号、第96/03385号、第96/03387号、第96/03388号、第96/09293号、第96/09304号、第96/16934号、第96/25405号、第96/24584号、第96/24585号、第96/36617号、第96/38418号、第96/38442号、第96/41626号、第96/41645号、第97/11704号、第97/27181号、第97/29776号、第97/38986号、第98/06708号、第98/43649号、第98/47509号、第98/47890号、第98/52937、第99/22720号、第00/23433号、第00/37107号、第00/38730号、第00/38786号および第00/53149号;ならびにGlaxo Group Limited社に譲渡された、国際公開第96/31509号、第99/12930号、第00/26216号および第00/52008;ならびにGrelan Pharmaceutical Co. Ltd.社に譲渡された、欧州特許出願公開第1006114A1号および国際公開第98/46594号;ならびにGrupo Farmaceufico Almirall社に譲渡された国際公開第97/34882号;ならびにHafslund Nycomed Pharma AG社に譲渡された国際公開第97/03953号;ならびにHoffman−La Roche AG社に譲渡された国際公開第98/32732号;ならびに日本たばこ産業株式会社に譲渡された米国特許第5945539号、第5994381号および第6002014号、ならびに国際公開第96/19462号および第96/19463号、ならびに欧州特許出願公開第0745596A1号;ならびにLaboratories USPA社に譲渡された、米国特許第5686460号および第5807873号、ならびに国際公開第97/37984号、第98/05639号、第98/11080および第99/21585;Laboratories Del Dr. Esteve, S. A.社に譲渡された国際公開第99/62884号;ならびにLaboratorios S.A,L.V.A.T., S.A.社に譲渡された国際公開第00/08024号;ならびにMerck & Co. Inc.社に譲渡された、米国特許第5585504号、第5840924号、第5883267号、第5925631号、第6001843号および第6080876号、ならびに国際公開第97/44027号、第97/44028号、第97/45420号、第98/00416号、第98/47871号、第99/15503号、第99/15513号、第99/20110号、第99/45913号、第99/55830号、第00/25779号および第00/27382号;ならびにMerck Frosst Canada & Co.社に譲渡された米国特許第5409944号、第5436265号、第5474995号、第5536752号、第5550142号、第5510368号、第5521213号、第5552422号、第5604253号、第5604260号、第5639780号、第5677318号、第5691374号、第5698584号、第5710140号、第5733909号、第5789413号、第5817700号、第5840746号、第5849943号、第5861419号、第5981576号、第5994379号、第6020343号、第6071936号および第6071954号、ならびに欧州特許第0788476B1号、欧州特許出願公開第0863134A1号および欧州特許第0882016B1号、ならびに国際公開第94/20480号、第94/13635号、第94/26731号、第95/00501号、第95/18799号、第96/06840号、第96/13483号、第96/19469号、第96/21667号、第96/23786号、第96/36623号、第96/37467号、第96/37468号、第96/37469号、第97/14691号、第97/16435号、第97/28120号、第97/28121号、第97/36863号、第98/03484号、第98/41511号、第98/41516号、第98/43966号、第99/14194号、第99/14195号、第99/23087号、第99/41224号および第00/68215号;ならびにMerck Sharp & Dohme Limited社に譲渡された国際公開第99/59635号;ならびにMonsanto Company社に譲渡された米国特許第5380738号;ならびにA. Nattermann & Co.社に譲渡された国際公開第00/01380号;ならびに日本新薬株式会社に譲渡された国際公開第99/61016号;ならびに日清食品株式会社に譲渡された国際公開第99/33796号;ならびにNovartis A G社に譲渡された国際公開第99/11605号;ならびにNycomed Austria GMBH社に譲渡された国際公開第98/33769号;ならびにOrtho−McNeil Pharmaceutical, Inc.社に譲渡された米国特許第6077869号および第6083969号、ならびに国際公開第00/51685号;ならびにOrtho Pharmaceutical Corporation社に譲渡された米国特許第5783597号;ならびにOxis International Inc.社に譲渡された国際公開第98/07714号;ならびにPacific Corporation社に譲渡された国際公開第00/10993号;ならびにPfizer Inc.社に譲渡された、欧州特許出願公開第0937722A1号、ならびに国際公開第98/50033号、第99/05104号、第99/35130号および第99/64415号;ならびにPozen Inc.社に譲渡された国際公開第00/48583号;ならびには三共株式会社に譲渡された米国特許第5908858号;ならびにSmithKline Beecham Corporation社に譲渡された国際公開第97/25045号;ならびに武田薬品工業株式会社に譲渡された米国特許第5399357号;ならびにシドニー大学(The University of Sydney)に譲渡された国際公開第99/20589号;ならびにバンダービルト大学(Vanderbilt University)に譲渡された、米国特許第5475021号および国際公開第00/40087号;ならびにわかもと製薬株式会社に譲渡された国際公開第99/59634号に開示されており、これらそれぞれの開示を参照により全体として本明細書に組み込む。
【0038】
リンカー
前述の通り、選択的COX−2標的担体は、リンカーを介して金属配位部分に共有結合している。このリンカーは、選択的COX−2標的担体を金属配位部分に連結できる、単一原子、原子鎖、化合物、重合体、尿素またはいかなる他の群も含みうる。
【0039】
適したリンカーの例には、ヒドロカルビル基または置換ヒドロカルビル基を含むリンカーが含まれる。
【0040】
重合体の例には、ポリエチレングリコール(PEG)などのポリアルキレングリコール、ペプチドまたは他のポリアミノ酸が含まれる。
【0041】
他の適したリンカーの例には、糖質およびシクロデキシトリンを含むリンカーが含まれる。
【0042】
本発明の適したリンカーの一例を下に示すが、式中、いずれの末端の炭素鎖も、長さを短縮または延長することができる。
【0043】
【化8】

別の例では、リンカーが尿素基を含む。
【0044】
尿素基を含むリンカーの一例は、化学式K
【0045】
【化9】

に対応し、
式中、
およびSは独立に、それぞれ金属配位部分または生体指向性担体に尿素部分を共有結合で連結する共有結合または原子鎖であり、
およびZは独立に、水素、アリール、C1−7アルキル、C1−7ヒドロキシアルキルおよびC1−7アルコキシアルキルからなる群から選択される。ZおよびZ置換基の例には、水素、C1−7アルキル、アルコキシアルキルまたはフェニルが含まれ、水素、C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシアルキルが好ましく、水素がさらに好ましい。
【0046】
一実施形態では、リンカーはいかなるアミノ酸残基も含有しない。
【0047】
リンカーは、金属配位部分と選択的なCOX−2標的担体との間の分離を提供するのと同様に、生体分布および効力に好ましい影響を与えるように設計することが好ましい。例えば、リンカーは、結合体の生体分布に影響を与えるように、血液クリアランスの速度を増強または低減するように、または結合体の排出経路を指示するように、選択することができる。一般に、好ましいリンカーは、中程度から迅速な血液クリアランスと、増強された腎排泄とをもたらすものである。
【0048】
リンカーが原子鎖を含む場合、この鎖は、直鎖状でも、分岐していても、環状のものでも、これらを組合せたものでもよい。一実施形態では、上記鎖が約25未満の原子を含む。別の実施形態では、上記鎖が約15未満の原子を含む。一部の実施形態では、上記鎖が約6から約10の原子を含む。この鎖を構成する原子は、通常、炭素、酸素、窒素、硫黄、セレン、ケイ素およびリンからなる群から選択される。一実施形態では、上記群が、炭素、酸素、窒素および硫黄からなる。別の実施形態では、上記群が、炭素、窒素および酸素からなる。
【0049】
一例では、リンカーが、1つまたは複数のカルバルデヒド、ケト、カルボキシル(−COH)、シアノ(−CN)、ハロ、ニトロ(−NO)、アミド、スルファト(−OSOH)、スルフィト(−SOH)、ホスファト(−OPO)、ホスフィト(−PO)、ヒドロキシル(−OH)、オキシ、メルカプト(−SH)およびチオ(−SO)基で任意選択に置換されたアリールまたはC1〜20アルキレンである。
【0050】
別の実施例では、リンカーが、1つまたは複数のオキシ、ケト、ハロおよびアミドで任意選択に置換されたアリールである。または1つまたは複数のオキシおよびケトで任意選択に置換されたC1−8アルキレン、またはオキシで任意選択に置換されたC1−4アルキレンである。
【0051】
リンカーは、(i)任意選択で、エーテル結合として1もしくは複数の酸素原子で置換されているか、アルコールとして1つまたは複数のヒドロキシル基をペンダント基としているC2−20アルキル鎖または環;(ii)天然または非天然な様態で結合されたアラニン、イソロイシン、ロイシン、バリン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、アスパラギン、メチオニン、システイン、セリン、グルタミン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジン、グリシンまたはプロリンなどの1つまたは複数のアミノ酸残基からなるペプチド鎖または環;および、(iii)1つまたは複数のカルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、リン酸、C1〜20アルキル鎖、または1もしくは複数のカルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファトおよびリン酸で任意選択に置換されている環で任意選択に置換されている、鎖状に連なった、すなわち多環に縮合された1つまたは複数の芳香族環も含みうる。
【0052】
金属
in vivoまたはin vitroの診断手順で検出できるか、または疾患の治療処置で有用ないかなる金属も、本発明の結合体中の金属として利用できる。詳細には、ヒトもしくは動物の体内で、またはin vitroの診断アッセイで、診断結果または治療反応を産生できるいかなる放射性金属イオンまたは常磁性金属イオンも使用できる。意図された目的に基づいた適切な金属の選択は、当業者に知られている。通常、常磁性または放射性同位元素金属は、Cr(III)、Mn(II)、Fe(III)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Cu(II)、Nd(III)、Sm(III)、Y(III)、Gd(III)、V(II)、Tb(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Ga、Ga−67、Ga−68、As、As−77、Y、Y−86、Zr−89、Y−90、Tc、Tc=O、Tc−94、Tc−94m、Tc−99m、Tc−99m=O、Pd、Pd−103、In、In−111、Ag−111、I−123、I−124、I−125、I−131、Pr−142、Pm、Pm−149、Gd、Gd−153、Sm、Sm−153、Tb−161、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Tm、Tm−170、Lu、Lu−177、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、At、At−211、Bi、Bi−212、Bi−212、Bi−213、Pb−212、Ra−223およびAc−225からなる群から選択される。
【0053】
特定の一実施形態では、上記金属が、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Ga−67、Ga−68、As−77、Y−86、Zr−89、Y−90、Tc−94、Tc−94m、Tc−99m、Tc−99m=O、Pd−103、In−111、Ag−111、I−123、I−124、I−125、I−131、Pr−142、Pm−149、Gd−153、Sm−153、Tb−161、Dy−165、Dy−166、Ho−166、Eu−169、Tm−170、Lu−177、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、At−211、Bi−212、Bi−212、Bi−213、Pb−212、Ra−223およびAc−225からなる群から選択された放射性同位元素である。
【0054】
特定の一例では、上記金属が、Y−90、In−111、Tc−99m、Re−186、Re−188、Cu−64、Ga−67またはLu−177から選択される。
【0055】
別の例では、上記金属が、Y−90、In−111、Tc−99m、Re−188またはLu−177から選択される。
【0056】
別の実施形態では、上記金属が、Cu−64、Cu−67、Ga−67、Y−90、Ag−111、In−111、I−123、I−131、Pr−142、Sm−153、Tb−161、Dy−166、Ho−166、Lu−177、Re−186、Re−188、Re−189、At−211、Pb−212、Bi−212、Bi−213、Ra−223およびAc−225からなる群から選択された治療用放射性同位元素である。
【0057】
治療用放射性同位元素の特定の例には、Re−188、Lu−177およびY−90からなる群から選択された放射性同位元素が含まれる。
【0058】
別の実施形態では、上記金属が、Cr(III)、Mn(II)、Fe(III)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Cu(II)、Nd(III)、Sm(III)、Y(III)、Gd(III)、V(II)、Tb(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Cu−64、Cu−67、Ga−67、Ga−68、Y−86、Zr−89、Tc−94、Tc−94m、Tc−99m、In−111、I−123、I−124、I−125およびI−131からなる群から選択された診断用金属である。
【0059】
診断用放射性同位元素の特定の例には、Tc−99mおよびIn−111からなる群から選択された放射性同位元素が含まれる。
【0060】
金属配位部分
金属配位部分は、生理的条件下で1つまたは複数の金属と錯体形成(「配位」とも呼ばれる)させるのに使用できるいかなる部分でもよい。金属配位部分は、上記金属と熱力学的および動態学的に安定な錯体を形成して、上記錯体を生理的条件下で完全に保つことが好ましい。さもなくば、全身への配位金属の放出が起こりうる。
【0061】
一般的に、金属配位部分は、非環式でも環式でもよい。例えば、金属配位部分には、二酢酸アミン(diacetic amine)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのポリカルボン酸、DCTA、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)、1,4,7−トリアザシクロナン−1,4,7−三酢酸(NOTA)、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン−N,N’,N’’,N’’’−四酢酸(TETA)、またはこれらの類似体もしくは相同体が含まれる。しかし、より高い安定性を生理的条件下で提供するには、通常、大環状部分(例えばトリアザおよびテトラアザ大環状分子)が好ましい。一部の実施形態では、大環状金属配位部分が、シクレンまたはtacnである。
【0062】
本発明の別の実施形態では、本発明の結合体は、選択的COX−2阻害剤としてセレコキシブを、かつ金属配位部分としてDTPAを含む。一実施形態では、本発明の結合体が、化学式(L)
【0063】
【化10】

に対応している。
【0064】
本発明の一実施形態では、本発明の治療用結合体は、選択的COX−2標的担体としてセレコキシブを、金属配位部分として二酢酸アミンを、かつ診断放射性同位元素としてRe−188を含む。一実施形態では、本発明の治療用結合体は、化学式(M)
【0065】
【化11】

に対応している。
【0066】
本発明の別の実施形態では、本発明の診断用結合体は、セレコキシブを選択的COX−2標的担体として、二酢酸アミンを金属配位部分として、かつTc−99mを診断放射性同位元素として含む。一実施形態では、本発明の診断結合体は、化学式(N)
【0067】
【化12】

に対応している。
【0068】
本発明の別の実施形態では、本発明の結合体は、選択的COX−2阻害剤としてセレコキシブを、かつ金属配位部分としてDOTAを含む。一例では、本発明の結合体は、化学式(O)
【0069】
【化13】

に対応している。
【0070】
別の実施形態では、金属配位部分は、置換複素環を含み、その際、ヘテロ原子が窒素である。通常、上記複素環は、約9から約15までの原子を含み、これらの環原子のうち少なくとも3つが窒素である。上記複素環は、3〜5の環窒素原子を含み、環窒素原子のうち少なくとも1つが置換されていることが好ましい。環炭素原子は、任意選択で置換されている。そのような好ましい大環状分子の1つは、化学式1
【0071】
【化14】

に対応しており、
式中、
nが0、1または2であり、
mが0〜16であり、mが0より大きい場合には、Aがそれぞれ独立に、任意選択で置換されているC1〜20アルキルおよびアリールからなる群から選択される。
【0072】
金属配位部分が化学式1に対応し、かつmが0より大きい場合、通常、Aのそれぞれが、安定性および生体分布に好ましい影響を与える置換基であることが好ましい。存在する場合には、Aはそれぞれ独立に、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトまたはチオ置換基で置換されていてもよい。Aがアリールまたはアルキルである場合、今度はこれらのそれぞれが、1つまたは複数のアリール、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオで任意選択に置換されているアリールまたはC1〜20アルキル部分で任意選択に置換されていてよい。
【0073】
化学式(1)の金属配位部分では、存在する場合にはA置換基が任意の環炭素原子に結合している。さらに、環炭素原子のそれぞれが置換されてもよく、それゆえ、環炭素原子の数に従って、可能なA置換基の数が異なる。好ましい実施形態では、Aは、それぞれ独立に、1つまたは複数のアリール、ケト、カルボキシル、シアノ、ニトロ、C1〜20アルキル、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、オキシおよびチオで任意選択に置換されているアリールまたはC1−8アルキルであり、より好ましくは1つまたは複数のアリール、ケト、アミドおよびオキシで任意選択に置換されているアリールまたはC1−6アルキルであり、さらに好ましくはメチルである。
【0074】
一般に、nの値が増大するのに従って、大環状分子のサイズが増大する。この様にして、配位される金属のサイズおよび配位能に適合するように、大環状分子のサイズを制御できる。
【0075】
一実施形態では、金属配位部分が置換複素環を含み、金属配位部分が化学式(1a)
【0076】
【化15】

に対応しており、
式中、
nが0、1または2であり、
mが0〜16であり、mが0より大きい場合には、Aがそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトまたはチオで任意選択に置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり、
qが0〜3であり、qが0より大きい場合には、Dがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、アリール、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
、X、X、Xが独立に、任意選択で置換されているメチレンであり、置換基が、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
〜Qが独立に、
【0077】
【化16】

からなる群から選択され、
が0〜4であり、qが0より大きい場合には、Eがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスフィト、スルファトおよびホスファトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
がヒドロキシルまたはメルカプトである。
【0078】
化学式(1a)の金属配位部分では、存在する場合にはD置換基が独立に、任意な置換可能フェニル環炭素原子に結合している。一部の実施形態では、Dがそれぞれ、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、ホスファト、アリール、または1もしくは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファトおよびリン酸で任意選択に置換されているC1−8アルキルでありうる。例えば、一部の実施形態では、Dがそれぞれ、ブロモ、ヨード、カルボキシルまたはヒドロキシルでありうる。一部の実施形態では、Tがヒドロキシルである場合、Dは、Xの結合点に対してはαであり、かつTの結合点に対してはβである位置における、ヒドロキシル以外の構成要素でありうる。
【0079】
化学式(1a)の金属配位部分では、存在する場合E置換基が独立に、任意な置換可能フェニル環炭素原子に結合している。一部の実施形態では、Eがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、ホスファト、アリール、または1もしくは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファトおよびホスファトで任意選択に置換されているC1−8アルキルでありうる。例えば、一部の実施形態では、Eがそれぞれ独立に、ブロモ、ヨード、カルボキシルまたはヒドロキシルでありうる。
【0080】
通常、化学式(1a)の金属配位部分では、X〜Xが独立に、C1−6アルキル、ハロまたはヒドロキシルで任意選択に置換されたメチレンである。
【0081】
化学式(1a)の金属配位部分の一部の実施形態では、qが0である。したがって、Q、QおよびQは独立に、
【0082】
【化17】

からなる群から選択できる。
【0083】
複素環を含有する金属配位部分に加えて、別法として、金属配位部分がヘテロ置換アルキル鎖を含有していてもよい。通常、ヘテロ置換アルキル鎖は、そのヘテロ置換アルキル鎖内に約4から約10原子を含有し、それらの原子のうち少なくとも2つが窒素である。ヘテロ置換アルキル鎖を含有する金属配位部分の一例では、上記鎖が2〜4窒素原子を含有し、それらの鎖窒素原子のうち少なくとも1つが置換されている。これらの実施形態では、任意選択で、鎖炭素原子が置換されていてもよい。通常、ヘテロ置換アルキル鎖を含有する窒素原子は、2つの炭素原子によって相互に分離されており、したがって、上記金属配位部分は、下記の化学式(2)
【0084】
【化18】

によって図示でき、
式中、
nが0、1または2であり、
mが0〜8であり、mが0より大きい場合には、Aがそれぞれ独立に、任意選択で置換されているC1〜20アルキルおよびアリールからなる群から選択される。
【0085】
金属配位部分が化学式(2)に対応し、mが0より大きい場合、通常、Aのそれぞれが、安定性および生体分布に好ましい影響を与える置換基であることが好ましい。存在する場合には、Aはそれぞれ独立に、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトまたはチオ置換基で置換されていてもよい。加えて、Aがアリールまたはアルキルである場合、今度はこれらのそれぞれが、1つまたは複数のアリール、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオで任意選択に置換されているアリールまたはC1〜20アルキル部分で任意選択に置換されていてよい。
【0086】
化学式(2)の金属配位部分では、存在する場合にはA置換基が、任意の環炭素原子に結合していてもよい。環炭素原子のそれぞれが置換されてもよく、それゆえ、環炭素原子の数に従って、可能なA置換基の数が異なる。少なくとも1つのA置換基を有する化学式(2)の金属配位部分の一実施形態では、Aがそれぞれ独立に、1つまたは複数のアリール、ケト、カルボキシル、シアノ、ニトロ、C1〜20アルキル、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、オキシ、およびチオで任意選択に置換されているアリールまたはC1−8アルキルである。例えば、Aはそれぞれ、1つまたは複数のアリール、ケト、アミドおよびオキシで任意選択に置換されているアリールまたはC1−6アルキルでありうる。さらなる一例として、Aはそれぞれメチルでありうる。
【0087】
一般に、nの値が増大するのに従って、ヘテロ置換アルキル鎖の長さが長くなる。この様にして、配位される金属のサイズおよび配位能に適合するように、ヘテロ置換アルキル鎖の長さを制御できる。
【0088】
金属配位部分がヘテロ置換アルキル鎖を含有する一部の実施形態では、金属配位部分が下記の化学式(2a)
【0089】
【化19】

に従い、
式中、
nが0、1または2であり、
mが0〜8であり、mが0より大きい場合には、Aがそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトまたはチオで任意選択に置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり、
qが0〜3であり、qが0より大きい場合には、Dがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、アリール、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
、X、X、XおよびXが独立に、任意選択で置換されているメチレンであり、置換基が、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
〜Qが独立に、
【0090】
【化20】

からなる群から選択され、
が0〜4であり、qが0より大きい場合には、Eがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスフィト、スルファトおよびホスファトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
がヒドロキシルまたはメルカプトである。
【0091】
化学式(2a)の金属配位部分では、存在する場合にはD置換基が独立に、任意な置換可能フェニル環炭素原子に結合していてもよい。一部の実施形態では、Dがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、ホスファト、アリール、または1もしくは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファトおよびリン酸で任意選択に置換されているC1−8アルキルでありうる。例えば、一部の実施形態のDはそれぞれ独立に、ブロモ、ヨード、カルボキシルまたはヒドロキシルでありうる。一部の実施形態では、Tがヒドロキシルである場合、Dは、Xの結合点に関してはαであり、かつTの結合点に関してはβである位置における、ヒドロキシル以外の構成要素でありうる。
【0092】
化学式(2a)の金属配位部分では、存在する場合にはE置換基が独立に、任意な置換可能フェニル環炭素原子に結合していてもよい。一部の実施形態では、Eがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファト、ホスファト、アリール、または1もしくは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、スルファトおよびホスファトで任意選択に置換されているC1−8アルキルでありうる。例えば、一部の実施形態では、Eはそれぞれ独立に、ブロモ、ヨード、カルボキシルまたはヒドロキシルでありうる。
【0093】
通常、化学式(2a)の金属配位部分では、X〜Xが独立に、C1−6アルキル、ハロまたはヒドロキシルで任意選択に置換されたメチレンである。
【0094】
化学式(2a)の金属配位部分の一部の実施形態では、qが0である。したがって、Q、Q、QおよびQは独立に、
【0095】
【化21】

からなる群から選択される。
【0096】
上記実施形態のいずれに関しても、金属配位部分は金属Mと錯体形成して、それによって、金属錯体を形成できる。
【0097】
金属配位部分が複素環であり、かつ金属Mと錯体形成している一部の実施形態では、錯体が、下記化学式(3)
【0098】
【化22】

を有し、
式中、
nが0、1または2であり、
mが0〜16であり、mが0より大きい場合には、Aがそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトまたはチオで任意選択に置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり、
qが0〜3であり、qが0より大きい場合には、Dがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、アリール、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
、X、X、Xが独立に、任意選択で置換されているメチレンであり、置換基が、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
〜Qが独立に、
【0099】
【化23】

からなる群から選択され、
が0〜4であり、qが0より大きい場合には、Eがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスフィト、スルファトおよびホスファトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
がヒドロキシルまたはメルカプトであり、
MがLu、Lu−177、Y、Y−90、In、In−111、Tc、Tc=O、Tc−99m、Tc−99m=O、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、Ga、Ga−67、Ga−68、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Gd、Gd−153、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Sm、Sm−153、Pd、Pd−103、Pm、Pm−149、Tm、Tm−170、Bi、Bi−212、AsおよびAs−211からなる群から選択される。
【0100】
金属配位部分がヘテロ置換アルキル鎖であり、かつ金属Mと錯体形成している一部の実施形態では、錯体が、下記化学式(4)
【0101】
【化24】

を有し、
式中、
nが0、1または2であり、
mが0〜8であり、mが0より大きい場合には、Aがそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトまたはチオで任意選択に置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり、
qが0〜3であり、qが0より大きい場合には、Dがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、アリール、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
、X、X、XおよびXが独立に、任意選択で置換されているメチレンであり、置換基が、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
〜Qが独立に、
【0102】
【化25】

からなる群から選択され、
が0〜4であり、qが0より大きい場合には、Eがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスフィト、スルファトおよびホスファトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
がヒドロキシルまたはメルカプトであり、
MがLu、Lu−177、Y、Y−90、In、In−111、Tc、Tc=O、Tc−99m、Tc−99m=O、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、Ga、Ga−67、Ga−68、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Gd、Gd−153、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Sm、Sm−153、Pd、Pd−103、Pm、Pm−149、Tm、Tm−170、Bi、Bi−212、AsおよびAs−211からなる群から選択される。
【0103】
錯体が化学式(3)に対応するか、または化学式(4)に対応するかは、通常、配位させるために選択された特定の金属による。例えば、イットリウムおよびランタニドには、化学式(3)に対応する錯体が好ましい。化学式(3)は、鉄、銅およびマンガンにも好ましく、一方、化学式(4)は、残りの遷移金属に好ましい錯体である。任意の特定の金属に好ましい錯体は、内在性イオンとの金属交換反応の可能性に関係している。すなわち、化学式(3)は、限定されるものではないがイットリウム、ランタニドおよびガリウムを含めた高交換性の金属を、より大きな安定性で提供する。内在性イオンとの金属交換反応に関しては、通常の遷移金属ほど大きな懸念とはならない。化学式(3)の錯体は一部の金属と共に使用するのが好ましいと上述し、一方、化学式(4)の錯体は他の金属と共に使用するのが好ましいと上述したが、化学式(3)および(4)の錯体を、それぞれの錯体用に列挙したものとは異なる金属と共に使用できることが企図されている。
【0104】
三次元の空洞を有する大環状金属配位部分は、しばしば、安定性が高い金属錯体を形成する。これらの錯体は、しばしば、金属のサイズおよび配位化学、ならびに非錯体形態で予め組織化された立体配座をとる能力に基づいて、特定の金属イオンへの選択性を示し、これは金属錯体生成を促進する。適切な大環状金属配位部分および金属の選択は、当業者には知られている。
【0105】
nの値と、それによる金属配位部分のサイズまたは長さとは、配位される特定の金属に依存している。例えば、イットリウムおよびランタニドには、通常、nが1である。遷移金属では、通常、nが0または1である。マンガンおよびテクネチウムには、X〜Xの値に応じて、nが0、1、または2である。しかし、上で論じた金属のうちの1つまたは複数に、nの他の値が適切でありうることが企図されている。
【0106】
一般合成
以下の反応、すなわち、
【0107】
【化26】

は、例示を目的として、カルボニルジトリアジン(CDT)を用いた金属キレート剤の活性化を示している。
【0108】
結合体の調製前に、遊離ヒドロキシル基の反応を防止するために、金属配位部分のヒドロキシル基を保護する。ヒドロキシル基を保護するいかなる従来の手段も許容できる。ヒドロキシル基のための様々な保護基、およびそれらの合成については、T.W. GreeneおよびP.G.M. Wutsによる「Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition」、John Wiley and Sons社、1999年で見出すことができる。保護基の例には、t−ブチル、メトキシメチル、1−エトキシメチル、ベンジルオキシメチル、(β−トリメチルシリルエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、2,2,2−トリクロロエチオキシカルボニル、t−ブチル(ジフェニル)シリル、トリアルキルシリル、トリクロロメトキシカルボニルおよび2,2,2−トリクロロエトキシメチルが含まれる。
【0109】
アミンから反応性尿素基を生成するには、穏やかな活性化剤が好ましい。活性化剤の例には、カルボニルジトリアジン、カルボニルジイミダゾール(CDI)、またはこれらの混合物が含まれる。他の活性化剤には、ホスゲン、炭酸ビス(トリクロロメチル)およびクロロギ酸トリクロロメチルが含まれる。反応性中間体を固体として単離することができ、それらは無水条件下にある間は安定である。したがって、そのような活性尿素を合成もしくは天然の生成物(例えば生体分子)と反応させておいて、保護された中間体を得ることができよう。生成物は、例えばジクロロメタンおよびエーテルを用いて、反応混合物から沈殿によって単離できる。生成物の精製は、例えば順相またはC18逆相クロマトグラフィーを必要に応じて用いることによって行うことができる。続いて、トリフルオロエタノール中のトリフル酸(triflic acid)などの酸を適用することによって、この中間体を脱保護し、それによって、フェノールヒドロキシルおよびカルボン酸を露出させることができる。
【0110】
この実施形態では、生体指向性担体および金属は、上記に列挙したもののうちのいずれでもよい。放射性同位元素および常磁性金属イオンは、通常、溶液中に溶解されている。上記溶液は、放射性同位元素または常磁性金属イオンを溶解するための、当技術分野で知られている酸水溶液またはいかなる他の溶液でもよい。上記溶液は、キット内での金属の安定した保存を可能にし、かつ金属の特性に干渉しないものであるべきである。放射性医薬品の調製および診断用キットで有用な可溶化補助剤には、エタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノオレエート、ポリソルベート、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−ポリ(オキシエチレン)ブロックコポリマー(Pluronics(登録商標))およびレシチンが含まれるが、これらに限定されない。好ましい可溶化補助剤は、ポリエチレングリコールおよびPluronics(登録商標)である。
【0111】
金属医薬組成物
本発明の金属医薬組成物には、金属と錯体形成し、薬学的に許容される担体中に分散された結合体が含まれる。薬学的に許容される担体は、当技術分野で賦形剤、溶媒、助剤、佐剤または希釈剤としても知られており、通常は薬学的に不活性な物質であり、適した粘度または形態を組成物に与え、かつ上記結合体の治療効力または診断効力を低減させない。担体は、通常、哺乳動物、とりわけヒトに投与された際に、容認できないほど有害であるか、アレルギー原性であるか、または、他の有害な反応を引き起こさない場合には、「薬学的または薬理学的に許容される」と考えられる。
【0112】
薬学的に許容される担体の選択は、少なくとも部分的には、投与の望ましい経路と相関している傾向がある。概して、本発明の金属医薬組成物は、その経路を介して、標的組織が利用可能である限り、いかなる投与経路用に処方することもできる。例えば、適した投与経路には、経口、非経口(例えば、静脈内、動脈内、皮下、直腸、皮下、筋肉内、眼窩内、嚢内、脊髄内、腹腔内または胸骨内)、局所(鼻腔、経皮、眼内)、嚢内、鞘内、経腸、経肺、リンパ内、腔内、膣内、経尿道、皮内、耳、乳房内、頬側、同所性、気管内、病巣内、経皮、内視鏡下、経粘膜、舌下および腸投与が含まれるが、これらに限定されない。
【0113】
本発明の組成物で使用するための薬学的に許容される担体の例は、当業者によく知られており、多くの因子、すなわち、使用される特定の結合体ならびにその濃度、安定性および意図されている生体利用性;上記組成物を用いて治療または診断される疾患、障害または状態;対象、その年齢、サイズおよび全身健康状態;ならびに投与経路に基づいて選択されうる。適した非水性の、薬学的に許容される極性溶媒には、アルコール(例えば、α−グリセロールホルマール、β−グリセロールホルマール、1,3−ブチレングリコール、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、抱水アミレン水和物、ベンジルアルコール、グリセリン(グリセロール)、グリコール、ヘキシレングリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、またはステアリルアルコールなどの、2〜30の炭素原子を有する脂肪族または芳香族アルコール、ポリアルキレングリコール(例えばポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、ソルビタン、ショ糖およびコレステロールなどの脂肪アルコールの脂肪酸エステル;アミド(例えば、ジメチルアセトアミド(DMA)、安息香酸ベンジルDMA、ジメチルホルムアミド、N−(β−ヒドロキシルエチル)−ラクトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドアミド、2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピロリジノンまたはポリビニルピロリドン);エステル(例えば、1−メチル−2−ピロリジノン、2−ピロリジノン、酢酸エステル、すなわち、モノアセチン、ジアセチンおよびトリアセチンなど、脂肪族または芳香族エステル、すなわち、カプリル酸もしくはオクタン酸エチル、オレイン酸アルキル、安息香酸ベンジル、酢酸ベンジルなど、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセリンのエステル、すなわち、クエン酸もしくは酒石酸モノ、ジまたはトリグリセリルなど、安息香酸エチル、酢酸エチル、炭酸エチル、乳酸エチル、オレイン酸エチル、ソルビタンの脂肪酸エステル、脂肪酸から誘導されたPEGエステル、モノステアリン酸グリセリン、グリセリドエステル、すなわち、モノ、ジまたはトリグリセリドなど、脂肪酸エステル、すなわち、ミリスチン酸イソプロピルなど、脂肪酸から誘導されたPEGエステル、すなわち、オレイン酸PEGおよびヒドロキシステアリン酸PEGなど、N−メチルピロリジノン、Pluronic(登録商標)60、ポリオキシエチレンソルビトールオレイン酸ポリエステル、すなわち、ポリ(エトキシ化)30−60ソルビトールポリ(オレエート)2−4、ポリ(オキシエチレン)15−20モノオレエート、ポリ(オキシエチレン)15−20モノ12−ヒドロキシステアレート、およびポリ(オキシエチレン)15−20モノリシノレエートなど、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、すなわち、ポリオキシエチレン−ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン−ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン−ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン−ソルビタンモノステアレートなど、米国デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)所在のICI Americas社製のPolysorbate(登録商標)20、40、60または80、ポリビニルピロリドン、アルキレンオキシ修飾された脂肪酸エステル、すなわち、ポリオキシル40硬化ヒマシ油およびポリオキシエチル化ヒマシ油など(例えば、Cremophor(登録商標)EL溶液またはCremophor(登録商標)RH 40溶液)、糖脂肪酸エステル(すなわち、単糖(例えば、ペントース、すなわち、リボース、リブロース、アラビノース、キシロース、リキソースおよびキシルロースなど、ヘキソース、すなわち、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースおよびソルボースなど、トリオース、テトロース、ヘプトースならびにオクトース)二糖(例えば、ショ糖、マルトース、ラクトースおよびトレハロース)、もしくはオリゴ糖の縮合生成物、またはC−C22脂肪酸(例えば、飽和脂肪酸、すなわち、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸など、ならびに不飽和脂肪酸、すなわち、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸およびリノール酸など)とこれらの混合物)、またはステロイドエステル);2〜30の炭素原子を有するアルキル、アリールもしくは環状エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルイソソルビド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル);グリコフロール(テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル);3〜30の炭素原子を有するケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン);4〜30の炭素原子を有する脂肪族、脂環式もしくは芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ジオキソラン、ヘキサン、n−デカン、n−ドデカン、n−ヘキサン、スルホラン、テトラメチレンスルホン、テトラメチレンスルホキシド、トルエン、ジメチルスルホキシド(DMSO)またはテトラメチレンスルホキシド);鉱物、植物、動物、精油もしくは合成起源の油(例えば、鉱油、すなわち、脂肪族またはワックスベースの炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族および芳香族ベースの炭化水素の混合物および精製パラフィン油、植物油、すなわち、アマニ、キリ、サフラワー、ダイズ、ヒマシ、綿実、ラッカセイ、ナタネ、ココナッツ、パーム、オリーブ、トウモロコシ、トウモロコシ胚芽、ゴマ、キョウニンおよびラッカセイ油など、ならびにグリセリド、すなわち、モノ、ジまたはトリグリセリドなど、動物油、すなわち、魚、海産、マッコウ鯨、タラ肝、ハリバ肝、スクアレン、スクアランおよびサメ肝油など、オレイン油、ならびにポリオキシエチル化ヒマシ油);1〜30の炭素原子を有し、かつ任意選択で複数のハロゲン置換基を有するハロゲン化アルキルまたはアリール;塩化メチレン;モノエタノールアミン;石油ベンジン;トロラミン;オメガ−3多価不飽和脂肪酸(例えば、α−リノレン酸、エイコサペンタエノン酸、ドコサぺンタエン酸またはドコサヘキサエン酸);12−ヒドロキシステアリン酸とポリエチレングリコールとのポリグリコールエステル(独国ルートビヒスハーフェン(Ludwigshafen)所在のBASF社製Solutol(登録商標)HS−15);ポリオキシエチレングリセロール;ラウリン酸ナトリウム;オレイン酸ナトリウム;またはソルビタンモノオレエートが含まれるが、これらに限定されない。
【0114】
本発明で使用するための他の薬学的に許容される溶媒は、当業者によく知られており、「The Chemotherapy Source Book」(Williams & Wilkens Publishing社)、「The Handbook of Pharmaceutical Excipients」(米国ワシントン(Washington, D.C.)所在の米国薬剤師会(American Pharmaceutical Association)および英国ロンドン(London)所在の英国薬学会(The Pharmaceutical Society of Great Britain)、1968年)、「Modern Pharmaceutics」(G. Bankerら編集、第3版)(Marcel Dekker, Inc.社、米国ニューヨーク州ニューヨーク(New York)所在、1995年)、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」(GoodmanおよびGilman、McGraw Hill Publishing社)、「Pharmaceutical Dosage Forms」(H. Liebermanら編集)(Marcel Dekker, Inc.社、米国ニューヨーク州ニューヨーク(New York)所在、1980年)、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(A. Gennaro, ed., 19th ed,)(Mack Publishing, Easton, PA, 1995)、 「The United States Pharmacopeia 24, The National Formulary 19」(National Publishing社、米国ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia)所在、2000年)、A.J. Spiegelら、および「Use of Nonaqueous Solvents in Parenteral Products」、Journal of Pharmaceutical Sciences、52巻、10号、917〜927頁(1963年)で特定されている。
【0115】
プロスタグランジン合成に関連した腫瘍の治療
本発明のCOX−2標的担体、リンカーおよび金属配位部分を含む結合体は、プロスタグランジン合成の増強と関連した腫瘍の治療に用いることができる。いくつかのタイプの腫瘍は、正常な組織と比較して高いレベルのCOX−2を発現することが知られている。高レベルのCOX−2は、次に、プロスタグランジン発現の増強を伴う。プロスタグランジンレベルの増大は、血管新生の促進を介して、そして腫瘍内の新生血管形成において、腫瘍増殖を支持および保護しうることが見出されている。プロスタグランジンE(PGE)、プロスタグランジンF2α(PGF2α)、6−ケト−プロスタグランジンF1α(PGF1α)およびトロンボキサンB(TxB)を含めた、いくつかの種類のプロスタグランジンが、正常な周囲の組織と比較して腫瘍組織内で上昇しているものとして同定されている。
【0116】
理論に拘泥するものではないが、プロスタグランジン化合物、およびなかでもPGEは、腫瘍組織内の血管修復および/または血管新生を促進するそれらの特性により、電離放射線治療の後の腫瘍細胞の生き残りを亢進すると考えられている。電離放射線は、組織内でフリーラジカルを形成するのに加えて、迅速に分裂している腫瘍細胞内のDNAに損傷を与えることによって、癌の治療で用いられる。放射線の損傷効果は、腫瘍組織新生血管系の透過性の増大によって観察されうる。腫瘍組織内のプロスタグランジンの存在は、損傷組織の修復および新生血管系の促進を誘導し、かつ血管透過性を低減し、それによって放射線治療の効果を緩和するように思われる。COX−2阻害剤を投与することによって、腫瘍組織内のプロスタグランジンの発現が低減する。プロスタグランジンの低減は、次に、腫瘍組織内における血管修復および血管新生を阻害または低減し、血管透過性を増大し、かつ腫瘍組織への放射線治療の効果を改善する結果となる。
【0117】
一実施形態では、放射線治療用同位元素に配位された、COX−2標的担体、リンカーおよび金属配位部分を含む結合体を、プロスタグランジンを発現する腫瘍を患っている患者に、その腫瘍の治療および低減のために投与する。本発明の結合体を患者に投与して腫瘍内のCOX−2発現を阻害し、それによって、その腫瘍内のプロスタグランジンの発現レベルを低減させ、かつ同時に腫瘍部位に局在した放射線治療をもたらすという二重の目的を提供することができる。したがって、上記結合体は、COX−2標的担体のCOX−2阻害特性により腫瘍組織におけるプロスタグランジンの発現を低減または阻害するCOX−2標的担体の使用によって、放射線治療用同位元素を腫瘍組織に標的化するのに有益に働く。上記結合体はさらに、腫瘍組織に局在した電離放射線を有益に提供し、それによって、外部放射線治療から生じうる健全な組織への過剰な放射線損傷を回避する。上記結合体に配位しうる放射線治療用同位元素の例には、Cu−64、Cu−67、Ga−67、Y−90、Ag−111、In−111、I−123、I−131、Pr−142、Sm−153、Tb−161、Dy−166、Ho−166、Lu−177、Re−186、Re−188、Re−189、At−211、Pb−212、Bi−212、Bi−213、Ra−223およびAc−225が含まれる。放射線治療用同位元素が配位している結合体を、プロスタグランジンを発現する腫瘍を患っている患者に投与することによって、その結果として、COX−2標的担体に対応する同様な用量のCOX−2阻害剤単量体と、外部に適用された同様な用量の放射線治療とを投与する併用療法より大きな、腫瘍サイズの低減を得ることができる。
【0118】
別の実施形態では、上記結合体の投与は、腫瘍組織内におけるCOX−2由来プロスタグランジンの発現を処置前のレベルの少なくとも約70%低減する。別の実施形態では、上記結合体の投与は、腫瘍組織内におけるCOX−2由来プロスタグランジンの発現を処置前のレベルの少なくとも約80%低減する。さらに別の実施形態では、上記結合体の投与は、腫瘍組織内におけるCOX−2由来プロスタグランジンの発現を処置前のレベルの少なくとも約90%低減する。
【0119】
別の実施形態では、放射線治療用同位元素が配位したCOX−2標的担体、リンカーおよび金属配位部分を含む結合体を、プロスタグランジンを発現する腫瘍を患っている患者に投与することによって、その結果として、結合体を投与してから約1日以内に腫瘍内の血管透過性が増大する。
【0120】
用量
本発明の医薬組成物を投与する用量および処方計画は、疾患の診断または治療の当業者ならば、容易に決定できる。上記結合体の用量は、受容者の年齢、性別、健康、および体重と、併用治療している場合には、その種類、治療の頻度、および望まれている作用の性質とに依存するであろうと理解されている。いかなる投与方法でも、送達される結合体の実際の量および本明細書に記載した有利な効果を実現するのに必要な服薬スケジュールも、結合体の生体利用性、治療または診断される障害、望ましい治療または診断用量、および当業者には明らかであろう他の因子などの因子に部分的に依存するだろう。本発明と関連して、動物、とりわけヒトに投与する用量は、妥当な期間の間、その動物で望ましい治療または診断反応に効果を与えるのに十分であるべきである。
【0121】
本発明によって提供される放射標識シンチグラフィー画像化剤は、適した量の放射能を有するように提供される。診断用放射性錯体を生成させるには、通常、1mLあたり約0.01ミリキューリー(mCi)から約100mCiまでの濃度の放射能を含有する放射性錯体を溶液中で生成させることが好ましい。通常、投与するべき単位用量は、約0.01mCiから約100mCiまで、好ましくは約1mCiから約30mCiまでの放射能を有する。単位用量で注射するべき溶液は、約0.01mLから約10mLまでである。迅速に除去される結合体は、それほど迅速には除去されないものより高い用量で投与する必要がありうるという意味で、投与に適した放射標識結合体の量は、選択された結合体の分布プロファイルに依存している。in vivoの分布および局在性は、投与後の適当なとき、すなわち、非標的組織での除去速度に対する標的部位での蓄積速度に依存して、通常は30分と180分との間に、標準的なシンチグラフィー技法で追跡できる。
【0122】
典型的には、In−111の診断用量は3〜6mCiであり、一方、典型的なTc−99m用量は10〜30mCiである。概して、放射性医薬品の放射線治療用量は、腫瘍および注射サイクルの数に応じて、より大きな度合いで変動する。例えば、Y−90の累積用量は、約100〜600mCi(20〜150mCi/用量)の範囲で変動し、一方、Lu−177の累積用量は、約200〜800mCi(50〜200mCi/用量)の範囲で変動する。
【0123】
本発明によって提供される常磁性金属画像化剤は、標的の位置および所望の画像のタイプに適した用量で患者に投与する。一実施形態では、常磁性金属造影剤を、約0.05から約0.3ミリモル/キログラム体重までの間の用量で患者に投与する。一例では、本発明の、ガドリニウムベースの造影剤を、約0.1から約0.3ミリモル/キログラム体重までの間の用量で患者に投与する。
【0124】
適した量の放射能を有するように提供する。診断用放射性錯体を生成させるには、通常、1mLあたり約0.01ミリキューリー(mCi)から約100mCiまでの濃度の放射能を含有する放射性錯体を溶液中で生成させることが好ましい。概して、投与するべき単位用量は、約0.01mCiから約100mCiまで、好ましくは約1mCiから約30mCiまでの放射能を有する。
【0125】
キット
好都合なように、必要な構成要素の一部またはすべてを含有するキットの形態で、本発明の金属医薬組成物を使用者に提供してもよい。キットの使用は、構成要素の一部、例えば放射性同位元素は、とりわけ結合している場合、限定的な貯蔵期限を有するので、特に好都合である。したがって上記キットは、以下の構成要素、すなわち、(i)結合体、(ii)上記結合体に配位しているか、または配位させるための金属、(iii)担体溶液、ならびに(iv)これらの組合せおよび使用に関する説明書のうちの1つまたは複数を含みうる。金属によっては、結合体と反応させる金属を調製するために、還元剤が必要でありうる。還元剤の例には、Ce(III)、Fe(II)、Cu(I)、Ti(III)、Sb(III)およびSn(II)が含まれる。これらのなかでは、Sn(II)がとりわけ好ましい。キットの構成要素は、しばしば、単位剤形である(例えば、各成分が別々のバイアルに入っている)。
【0126】
安定性の理由で、乾燥した凍結乾燥状態で結合体を提供することが好ましい場合がある。その場合、使用者は、担体または他の溶液を添加することによって、結合体を再構成できる。
【0127】
適した放射性核種の半減期が短いので、放射性核種なしでキットをユーザに提供するのが、しばしば最も好都合であろう。放射性核種は、その後、ある手順に必要になったときに、別に注文する。別法として、放射性核種がキットに含まれている場合、そのキットは、それが必要となる直前に使用者に出荷される可能性が最も高いであろう。
【0128】
金属配位部分、生体分子、活性尿素、金属および脱保護用の酸に加えて、本発明のキットは通常、緩衝剤を含有する。緩衝剤の例には、クエン酸塩、リン酸塩およびホウ酸塩が含まれる。
【0129】
キットは、任意選択で、それを行う最終使用者による、放射性医薬品合成の容易さ、キット製造の容易さ、キットの貯蔵寿命または放射性医薬品の安定性および貯蔵寿命が改善されるようにしばしば意図された他の構成要素を含有する。本発明のそのような構成要素には、凍結乾燥補助剤、例えばマンニトール、ラクトース、ソルビトール、デキストラン、フィコール、およびポリビニルピロリジン(PVP);安定化補助剤、例えば、アスコルビン酸、システイン、モノチオグリセロール、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、ゲンチシン酸およびイノシトール;ならびに静菌薬、例えば、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、およびメチル、プロピルもしくはブチルパラベンが含まれる。
【0130】
通常、上記結合体をキットとして処方する場合、キットは、活性尿素基を有する保護された金属配位部分、脱保護用の酸、緩衝剤、および限定されるものではないが、In−111、Y−90またはLu−177などの放射性金属の溶液からなる複数のバイアルを含有する。実際には、使用者は、金属配位部分を含有するバイアルを取り、反応性アミノ(NH)基を有する所望の生体指向性担体の溶液を添加するであろう。ひとたび結合が完了したならば、脱保護用の酸を添加して脱保護を行い、それに続いて放射性金属を添加する。この混合物を緩衝化して、金属キレート剤による放射性金属の錯体形成を完了させる。
【0131】
定義
本明細書に記載の化合物は、不斉中心を有しうる。非対称的に置換された原子を含有する本発明の化合物は、光学的に活性な形態またはラセミ形態で単離できる。本発明の化合物のシスおよびトランス幾何異性体が記載されており、異性体の混合物として、または分離された異性体型として単離できる。特定の立体化学または異性体型が別段に指示されていない限り、ある構造のキラル形態、ジアステレオマー形態およびラセミ形態のすべて、ならびに幾何異性体型のすべてが意図されている。本発明の化合物を調製するのに用いたすべての方法およびそれらで生成された中間体を本発明の一部とする。
【0132】
本発明は、本発明の化合物中に存在する原子のすべての同位元素を包含する。同位元素には、同一な原子番号を有するが、異なった質量数を有する原子が含まれる。
【0133】
別段の指示がない限り、本明細書に記載のアルキル基は、主鎖に1〜8の炭素原子を含有し、最大で20までの炭素原子を含有する低級アルキルが好ましい。それらは直鎖でも、分岐鎖でも、環状でもよく、それらには、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシルなどが含まれる。
【0134】
本明細書で使用される場合、「アミド」という用語には、置換アミド部分が含まれ、その際、置換基には、それぞれが1つまたは複数のアリール、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、C1〜20アルキル、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオ置換基で任意選択に置換されていてもよい1つまたは複数のアリールおよびC1〜20アルキルが含まれるが、これらに限定されない。
【0135】
本明細書で使用される場合、「アミノ」という用語には、置換アミノ部分が含まれ、その際、置換基には、それぞれが1つまたは複数のアリール、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、C1〜20アルキル、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオ置換基で任意選択に置換されていてもよい1つまたは複数のアリールおよびC1〜20アルキルが含まれるが、これらに限定されない。
【0136】
「アリール」または「ar」という用語は、本明細書で単独で、または別の基の一部として使用される場合、任意選択で置換されている単素環式芳香族基、好ましくは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニルまたは置換ナフチルなど、環部分が6〜12の炭素を含有する単環式または二環式の基を指す。フェニルおよび置換フェニルが、より好ましいアリールである。
【0137】
「錯体」という用語は、金属と錯体形成しているか、金属が配位している本発明の金属配位部分、例えば化学式(1)を指す。上記金属は、通常、放射性同位元素または常磁性金属イオンである。
【0138】
「結合体」という用語は、金属配位部分が金属と錯体形成しているか否かに関わらず、生体指向性担体(生体分子)に結合した本発明の金属配位部分、例えば化学式(1)を指す。本発明では、金属配位部分が生体指向性担体に直接的に、または尿素部分によって間接的に結合している。
【0139】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、本明細書で単独で、または別の基の一部として使用される場合、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素を指す。
【0140】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素および水素以外の原子を意味するものとする。
【0141】
「複素環」または「複素環式」という用語は、本明細書で単独で、または別の基の一部として使用される場合、少なくとも1つの環に少なくとも1個のヘテロ原子を有する、任意選択で置換された、完全飽和または不飽和、一環式または二環式の芳香族または非芳香族基を指す。複素環基は、環に1〜5つの窒素原子を有することが好ましく、炭素原子を介してその分子の残りに結合したものでありうる。複素環の例には、大環状、シクレン、tacn、DOTA、DOTMA、DOTPおよびTETAが含まれる。
【0142】
本明細書に記載の「ヘテロ置換アルキル」部分は、任意選択で水素を有する少なくとも1つのヘテロ原子に炭素原子が共有結合しているアルキル基であり、上記ヘテロ原子は、例えば窒素原子である。
【0143】
本明細書で使用される場合、「金属医薬」という用語は、金属を含有する薬学的に許容される化合物を指し、その際、上記化合物は画像化または治療に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的COX−2標的担体と、金属配位部分と、前記金属配位部分を前記担体に化学的に連結するリンカーとを含む結合体。
【請求項2】
化学式
【化27】

を有し、式中、
Aが五員環または六員環であり、
金属配位部分が、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分であり、
Lが、部分Aを金属配位部分に共有結合で連結するリンカーであり、
Zがそれぞれ独立に、H、低級アルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキルおよびハロであり、
Yがそれぞれ独立に、H、低級アルキル、ヒドロキシル、アルキルオキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキルおよびフェニルであり、
nが0〜3である、
請求項1に記載の結合体。
【請求項3】
化学式
【化28】

を有し、式中、
金属配位部分が、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分であり、
Lが、選択的COX−2標的担体を金属配位部分に共有結合で連結するリンカーである、
請求項1に記載の結合体。
【請求項4】
化学式
【化29】

を有し、式中、
が、低級アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルコキシおよびハロアルキルからなる群から選択され、
nが0〜3であり、
が炭素または窒素であり、
金属配位部分が、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分であり、
Lが、選択的COX−2標的担体を金属配位部分に共有結合で連結するリンカーである、
請求項1に記載の結合体。
【請求項5】
化学式
【化30】

を有し、式中、
が、H、低級アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルキルチオ、アルコキシ、アリールアルキル、シクロアルキル、フェニルおよびアルキルスルホニルからなる群から選択され、
が、H、低級アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アリールアミノ、ニトロ、スルホンアミドおよびカルボキサミドからなる群から選択され、
nが2〜3であり、
が、O、S、NRおよびCRからなる群から選択され、式中、
が、H、低級アルキル、アリール、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニルおよびスルホンアミドからなる群から選択され、
およびRがそれぞれ独立に、H、低級アルキル、低級アルキルフェニル、ハロアルキル、ハロまたはアルケニルであり、
金属配位部分が、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分であり、
Lが、部分Aを金属配位部分に共有結合で連結するリンカーである、
請求項1に記載の結合体。
【請求項6】
COX−2標的担体が、セレコキシブ、シミコキシブ、デラコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、メロキシカム、パレコキシブ、4−(4−シクロヘキシル−2−メチルオキサゾル−5−イル)−2−フルオロベンゼンスルホンアミド、2−(3,5−ジフルオロフェニル)−3−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−2−シクロペンテン−1−オン、N−[2−(シクロヘキシルオキシ)−4−ニトロフェニル]メタンスルホンアミド、2−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシ−3−メチルブトキシ)−5−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−3(2H)−ピリダジノン、2−[(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニル)アミノ]−5−エチル−ベンゼン酢酸、(3Z)−3−[(4−クロロフェニル)[4−(メチルスルホニル)フェニル]メチレン]−ジヒドロ−2(3H)−フラノン、(S)−6,8−ジクロロ−2−(トリフロロメチル)−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸、ルミラコキシブ、および薬学的に許容されるこれらの任意の塩、エステルまたはプロドラッグからなる群から選択されたCOX−2阻害剤の誘導体を含む、請求項1に記載の結合体。
【請求項7】
金属配位部分が、二酢酸アミン、DTPA、EDTA、DCTA、DOTA、NOTA、TETA、またはこれらの類似体もしくは相同体からなる群から選択される、請求項1に記載の結合体。
【請求項8】
金属配位部分が、以下の構造
【化31】

を有する置換複素環を含み、式中、
nが0、1または2であり、
mが0〜16であり、mが0より大きい場合には、Aがそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトまたはチオで任意選択に置換されているC1〜20アルキルまたはアリールである、
請求項1に記載の結合体。
【請求項9】
金属配位部分が、以下の構造
【化32】

を有する置換された複素環を含み、式中、
nが0、1または2であり、
mが0〜16であり、mが0より大きい場合には、Aがそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトまたはチオで任意選択に置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり、
qが0〜3であり、qが0より大きい場合には、Dがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、アリール、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
、X、X、Xが独立に、任意選択で置換されているメチレンであり、置換基が、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
〜Qが、
【化33】

からなる群から独立に選択され、
が0〜4であり、qが0より大きい場合には、Eがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスフィト、スルファトおよびホスファトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
がヒドロキシルまたはメルカプトである、
請求項1に記載の結合体。
【請求項10】
金属配位部分が、以下の構造
【化34】

を有するヘテロ置換アルキル鎖を含み、式中、
nが0、1または2であり、
mが0〜8であり、mが0より大きい場合には、Aがそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトまたはチオで任意選択に置換されているC1〜20アルキルまたはアリールである、
請求項1に記載の結合体。
【請求項11】
金属配位部分が、以下の構造
【化35】

を有するヘテロ置換アルキル鎖を含み、式中、
nが0、1または2であり、
mが0〜8であり、mが0より大きい場合には、Aがそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトまたはチオで任意選択に置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり、
qが0〜3であり、qが0より大きい場合には、Dがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、アリール、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
、X、X、XおよびXが独立に、任意選択で置換されているメチレンであり、置換基が、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
〜Qが、
【化36】

からなる群から独立に選択され、
が0〜4であり、qが0より大きい場合には、Eがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスフィト、スルファトおよびホスファトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
がヒドロキシルまたはメルカプトである、
請求項1に記載の結合体。
【請求項12】
〜Qが、
【化37】

からなる群から選択される、請求項9または11に記載の結合体。
【請求項13】
金属配位部分が金属と錯体形成しており、前記金属が放射性同位元素または常磁性金属からなる、請求項1から12のいずれか一項に記載の結合体。
【請求項14】
前記金属が、Cr(III)、Mn(II)、Fe(III)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Cu(II)、Nd(III)、Sm(III)、Y(III)、Gd(III)、V(II)、Tb(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Ga、Ga−67、Ga−68、As、As−77、Y、Y−86、Zr−89、Y−90、Tc、Tc=O、Tc−94、Tc−94m、Tc−99m、Tc−99m=O、Pd、Pd−103、In、In−111、Ag−111、I−123、I−124、I−125、I−131、Pr−142、Pm、Pm−149、Gd、Gd−153、Sm、Sm−153、Tb−161、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Tm、Tm−170、Lu、Lu−177、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、At、At−211、Bi、Bi−212、Bi−212、Bi−213、Pb−212、Ra−223およびAc−225からなる群から選択される、請求項13に記載の結合体。
【請求項15】
金属配位部分が金属Mと錯体形成して、化学式
【化38】

を有する金属錯体を形成し、式中、
nが0、1または2であり、
mが0〜16であり、mが0より大きい場合には、Aがそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトまたはチオで任意選択に置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり、
qが0〜3であり、qが0より大きい場合には、Dがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、アリール、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
、X、X、Xが独立に、任意選択で置換されているメチレンであり、置換基が、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
〜Qが、
【化39】

からなる群から独立に選択され、
が0〜4であり、qが0より大きい場合には、Eがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスフィト、スルファトおよびホスファトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
がヒドロキシルまたはメルカプトであり、
Mが、Cr(III)、Mn(II)、Fe(III)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Cu(II)、Nd(III)、Sm(III)、Y(III)、Gd(III)、V(II)、Tb(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Ga、Ga−67、Ga−68、As、As−77、Y、Y−86、Zr−89、Y−90、Tc、Tc=O、Tc−94、Tc−94m、Tc−99m、Tc−99m=O、Pd、Pd−103、In、In−111、Ag−111、I−123、I−124、I−125、I−131、Pr−142、Pm、Pm−149、Gd、Gd−153、Sm、Sm−153、Tb−161、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Tm、Tm−170、Lu、Lu−177、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、At、At−211、Bi、Bi−212、Bi−212、Bi−213、Pb−212、Ra−223およびAc−225からなる群から選択され、
nが0、1または2である、
請求項1に記載の結合体。
【請求項16】
金属配位部分が金属Mと錯体形成して、化学式
【化40】

を有する金属錯体を形成し、式中、
nが0、1または2であり、
mが0〜8であり、mが0より大きい場合には、Aがそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトまたはチオで任意選択に置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり、
qが0〜3であり、qが0より大きい場合には、Dがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、アリール、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
、X、X、XおよびXが独立に、任意選択で置換されているメチレンであり、置換基が、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
〜Qが、
【化41】

からなる群から独立に選択され、
が0〜4であり、qが0より大きい場合には、Eがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスフィト、スルファトおよびホスファトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
がヒドロキシルまたはメルカプトであり、
Mが、Cr(III)、Mn(II)、Fe(III)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Cu(II)、Nd(III)、Sm(III)、Y(III)、Gd(III)、V(II)、Tb(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Ga、Ga−67、Ga−68、As、As−77、Y、Y−86、Zr−89、Y−90、Tc、Tc=O、Tc−94、Tc−94m、Tc−99m、Tc−99m=O、Pd、Pd−103、In、In−111、Ag−111、I−123、I−124、I−125、I−131、Pr−142、Pm、Pm−149、Gd、Gd−153、Sm、Sm−153、Tb−161、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Tm、Tm−170、Lu、Lu−177、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、At、At−211、Bi、Bi−212、Bi−212、Bi−213、Pb−212、Ra−223およびAc−225からなる群から選択される、
請求項1に記載の結合体。
【請求項17】
前記結合体が、COX−2を発現する組織または臓器に選択的に結合する、請求項1から16のいずれか一項に記載の結合体。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の結合体と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項19】
COX−2の過剰発現に関連した疾患を診断または治療する方法であって、
生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属をキレート化する金属配位部分に連結された選択的COX−2標的担体を含む結合体を一定量患者に投与するステップであって、前記選択的なCOX−2標的担体がCOX−2過剰発現の部位に結合するステップ
を含む方法。
【請求項20】
COX−2過剰発現の部位に結合した結合体を検出するステップと、
COX−2過剰発現の検出部位から疾患の存在を診断するステップと
をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
患者に治療量の前記結合体を投与し、前記結合体が、COX−2過剰発現の部位に結合し、治療量の放射線を前記疾患に送達する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記結合体が、化学式
【化42】

を有し、式中、
Aが五員環または六員環であり、
金属配位部分が、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分であり、
Lが、部分Aを金属配位部分に共有結合で連結するリンカーであり、
Zがそれぞれ独立に、H、低級アルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキルおよびハロであり、
Yがそれぞれ独立に、H、低級アルキル、ヒドロキシル、アルキルオキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキルおよびフェニルであり、
nが0〜3である、
請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記結合体が、化学式
【化43】

を有し、式中、
金属配位部分が、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分であり、
Lが、選択的COX−2標的担体を金属配位部分に共有結合で連結するリンカーである、
請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記結合体が、
【化44】

からなる群から選択され、式中、
が、低級アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルコキシおよびハロアルキルからなる群から選択され、
nが0〜3であり、
が炭素または窒素であり、
金属配位部分が、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分であり、
Lが、選択的COX−2標的担体を金属配位部分に共有結合で連結するリンカーである、
請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記結合体が、
【化45】

からなる群から選択され、式中、
が、H、低級アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルキルチオ、アルコキシ、アリールアルキル、シクロアルキル、フェニルおよびアルキルスルホニルからなる群から選択され、
が、H、低級アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アリールアミノ、ニトロ、スルホンアミドおよびカルボキサミドからなる群から選択され、
nが2〜3であり、
が、O、S、NRおよびCRからなる群から選択され、式中、
が、H、低級アルキル、アリール、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニルおよびスルホンアミドからなる群から選択され、
およびRがそれぞれ独立に、H、低級アルキル、低級アルキルフェニル、ハロアルキル、ハロまたはアルケニルであり、
金属配位部分が、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分であり、
Lが、選択的COX−2標的担体を金属配位部分に共有結合で連結するリンカーである、
請求項19に記載の方法。
【請求項26】
金属配位部分が、二酢酸アミン、DTPA、EDTA、DCTA、DOTA、NOTA、TETA、およびこれらの類似体もしくは相同体からなる群から選択される、請求項19から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
診断用金属が、Cr(III)、Mn(II)、Fe(III)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Cu(II)、Nd(III)、Sm(III)、Y(III)、Gd(III)、V(II)、Tb(III)、Dy(III)、Ho(III)、Er(III)、Cu、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Ga、Ga−67、Ga−68、As、As−77、Y、Y−86、Zr−89、Y−90、Tc、Tc=O、Tc−94、Tc−94m、Tc−99m、Tc−99m=O、Pd、Pd−103、In、In−111、Ag−111、I−123、I−124、I−125、I−131、Pr−142、Pm、Pm−149、Gd、Gd−153、Sm、Sm−153、Tb−161、Dy、Dy−165、Dy−166、Ho、Ho−166、Eu、Eu−169、Tm、Tm−170、Lu、Lu−177、Re、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、At、At−211、Bi、Bi−212、Bi−212、Bi−213、Pb−212、Ra−223およびAc−225からなる群から選択される、請求項19から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
金属配位部分がTc−99mと錯体形成しており、前記結合体が化学式
【化46】

を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記結合体が、化学式
【化47】

を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
金属配位部分がRe−188と錯体形成しており、前記結合体が化学式
【化48】

を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項31】
前記金属が放射性同位元素であり、前記組成物は約0.01mCiから約100mCiまでの単位用量で患者に投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項32】
前記金属が常磁性金属であり、前記組成物は約0.05mmol/kgから約3.0mmol/kgまでの日用量で患者に投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項33】
選択的COX−2標的担体、金属配位部分、および前記金属配位部分を前記担体に化学的に連結するリンカーを含む結合体と、
放射性金属の溶液と
を含むキット。
【請求項34】
前記結合体が、化学式
【化49】

を有し、式中、
Aが五員環または六員環であり、
金属配位部分が、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分であり、
Lが、部分Aを金属配位部分に共有結合で連結するリンカーであり、
Zがそれぞれ独立に、H、低級アルキル、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキルおよびハロであり、
Yがそれぞれ独立に、H、低級アルキル、ヒドロキシル、アルキルオキシ、ハロ、ハロアルキル、アミノ、アミノアルキルおよびフェニルであり、
nが0〜3である、
請求項33に記載のキット。
【請求項35】
前記結合体が、化学式
【化50】

を有し、式中、
金属配位部分が、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分であり、
Lが、選択的COX−2標的担体を金属配位部分に共有結合で連結するリンカーである、
請求項34に記載のキット。
【請求項36】
前記結合体が、化学式
【化51】

を有し、式中、
が、低級アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルコキシおよびハロアルキルからなる群から選択され、
nが0〜3であり、
が炭素または窒素であり、
金属配位部分が、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分であり、
Lが、選択的COX−2標的担体を金属配位部分に共有結合で連結するリンカーである、
請求項34に記載のキット。
【請求項37】
前記結合体が、化学式
【化52】

を有し、式中、
が、H、低級アルキル、ハロ、ハロアルキル、アルキルチオ、アルコキシ、アリールアルキル、シクロアルキル、フェニルおよびアルキルスルホニルからなる群から選択され、
が、H、低級アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、アリールアミノ、ニトロ、スルホンアミドおよびカルボキサミドからなる群から選択され、
nが2〜3であり、
が、O、S、NRおよびCRからなる群から選択され、式中、
が、H、低級アルキル、アリール、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニルおよびスルホンアミドからなる群から選択され、
およびRがそれぞれ独立に、H、低級アルキル、低級アルキルフェニル、ハロアルキル、ハロまたはアルケニルであり、
金属配位部分が、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分であり、
Lが、選択的COX−2標的担体を金属配位部分に共有結合で連結するリンカーである、
請求項34に記載のキット。
【請求項38】
金属配位部分が、以下の構造
【化53】

を有する置換された複素環を含み、式中、
nが0、1または2であり、
mが0〜16であり、mが0より大きい場合には、Aがそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトまたはチオで任意選択に置換されているC1〜20アルキルまたはアリールである、
請求項34に記載のキット。
【請求項39】
金属配位部分が、以下の構造
【化54】

を有する置換された複素環を含み、式中、
nが0、1または2であり、
mが0〜16であり、mが0より大きい場合には、Aがそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトまたはチオで任意選択に置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり、
qが0〜3であり、qが0より大きい場合には、Dがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、アリール、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
、X、X、Xが独立に、任意選択で置換されているメチレンであり、置換基が、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
〜Qが、
【化55】

からなる群から独立に選択され、
が0〜4であり、qが0より大きい場合には、Eがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスフィト、スルファトおよびホスファトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
がヒドロキシルまたはメルカプトである、
請求項34に記載のキット。
【請求項40】
金属配位部分が、以下の構造
【化56】

を有するヘテロ置換アルキル鎖を含み、式中、
nが0、1または2であり、
mが0〜8であり、mが0より大きい場合には、Aがそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトまたはチオで任意選択に置換されているC1〜20アルキルまたはアリールである、
請求項34に記載のキット。
【請求項41】
金属配位部分が、以下の構造
【化57】

を有するヘテロ置換アルキル鎖を含み、式中、
nが0、1または2であり、
mが0〜8であり、mが0より大きい場合には、Aがそれぞれ、1つまたは複数のアリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトまたはチオで任意選択に置換されているC1〜20アルキルまたはアリールであり、
qが0〜3であり、qが0より大きい場合には、Dがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、アリール、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルファト、スルフィト、ホスファトおよびホスフィトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
、X、X、XおよびXが独立に、任意選択で置換されているメチレンであり、置換基が、アリール、C1〜20アルキル、カルバルデヒド、ケト、カルボキシル、シアノ、ハロ、ニトロ、アミド、スルファト、スルフィト、ホスファト、ホスフィト、ヒドロキシル、オキシ、メルカプトおよびチオからなる群から選択され、
〜Qが、
【化58】

からなる群から独立に選択され、
が0〜4であり、qが0より大きい場合には、Eがそれぞれ独立に、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、アミノ、スルフィト、ホスフィト、ならびに1つまたは複数のC1〜20アルキル、カルボキシル、シアノ、ニトロ、アミド、ヒドロキシル、スルフィト、ホスフィト、スルファトおよびホスファトで任意選択に置換されているC1〜20アルキルからなる群から選択され、
がヒドロキシルまたはメルカプトである、
請求項34に記載のキット。
【請求項42】
前記放射性金属が、Cu−62、Cu−64、Cu−67、Ga−67、Ga−68、As−77、Y−86、Zr−89、Y−90、Tc−94、Tc−94m、Tc−99m、Tc−99m=O、Pd−103、In−111、Ag−111、I−123、I−124、I−125、I−131、Pr−142、Pm−149、Gd−153、Sm−153、Tb−161、Dy−165、Dy−166、Ho−166、Eu−169、Tm−170、Lu−177、Re−186、Re−188、Re=O、Re−186=O、Re−188=O、At−211、Bi−212、Bi−212、Bi−213、Pb−212、Ra−223およびAc−225からなる群から選択される、請求項34から41のいずれか一項に記載のキット。
【請求項43】
前記金属配位部分および前記放射性金属の溶液が単位剤形である、請求項34から42のいずれか一項に記載のキット。
【請求項44】
プロスタグランジンの発現に関連した腫瘍を治療する方法であって、
放射性同位元素をキレート化する金属配位部分に連結された選択的COX−2標的担体を含む結合体を一定量患者に投与するステップであって、前記選択的なCOX−2標的担体が腫瘍部位に結合し、COX−2由来プロスタグランジンの発現を低減するステップを含み、
前記結合体を投与した後の腫瘍サイズの低減が、COX−2標的担体に対応する同様な用量のCOX−2阻害薬単量体と、同様な用量の外部放射線療法との併用療法を投与した後の腫瘍サイズの低減より大きい方法。
【請求項45】
前記COX−2由来プロスタグランジンが、プロスタグランジンE、プロスタグランジンF2α、6−ケト−プロスタグランジンF1αおよびトロンボキサンBからなる群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
腫瘍内の血管新生が低減している、請求項44または45の方法。
【請求項47】
腫瘍内の血管透過性が増大している、請求項44から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記結合体を投与してから約1日以内に血管透過性が増大している、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記COX−2由来プロスタグランジンの発現が、未処置のレベルに対して少なくとも約70%低減する、請求項44から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記結合体が、化学式
【化59】

を有し、式中、
金属配位部分が、生理的条件下で放射性同位元素または常磁性金属が配位する部分であり、
Lが、選択的COX−2標的担体を金属配位部分に共有結合で連結するリンカーである、
請求項44から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記結合体が、
【化60】

から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記放射性同位元素が、Cu−64、Cu−67、Ga−67、Y−90、Ag−111、In−111、I−123、I−131、Pr−142、Sm−153、Tb−161、Dy−166、Ho−166、Lu−177、Re−186、Re−188、Re−189、At−211、Pb−212、Bi−212、Bi−213、Ra−223およびAc−225からなる群から選択される、請求項44から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記COX−2標的担体が、セレコキシブ、シミコキシブ、デラコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、メロキシカム、パレコキシブ、4−(4−シクロヘキシル−2−メチルオキサゾル−5−イル)−2−フルオロベンゼンスルファンアミド、2−(3,5−ジフルオロフェニル)−3−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−2−シクロペンテン−1−オン、N−[2−(シクロヘキシルオキシ)−4−ニトロフェニル]メタンスルホンアミド、2−(3,4−ジフルオロフェニル)−4−(3−ヒドロキシ−3−メチルブトキシ)−5−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−3(2H)−ピリダジノン、2−[(2,4−ジクロロ−6−メチルフェニル)アミノ]−5−エチル−ベンゼン酢酸、(3Z)−3−[(4−クロロフェニル)[4−(メチルスルホニル)フェニル]メチレン]−ジヒドロ−2(3H)−フラノン、(S)−6,8−ジクロロ−2−(トリフロロメチル)−2H−1−ベンゾピラン−3−カルボン酸、ルミラコキシブ、および薬学的に許容されるこれらの任意の塩、エステルまたはプロドラッグからなる群から選択されたCOX−2阻害剤の誘導体を含む、請求項44から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記腫瘍が、骨癌、脳腫瘍、乳癌、大腸癌、肝臓癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、胃癌および甲状腺癌からなる群から選択された癌性腫瘍である、請求項44から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
約0.01mCiから約100mCiまでの日用量を与える量で、前記組成物は患者に投与される、請求項44から54のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−516679(P2010−516679A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546424(P2009−546424)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/000631
【国際公開番号】WO2008/091530
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(503102685)マリンクロット インコーポレイテッド (33)
【Fターム(参考)】