説明

証書読取り機能付LCD

【課題】
銀行営業店の窓口などにおいて、証書読取りのためのスキャナが設置されている。しかし窓口の机上は狭く設置スペースに問題がある為、小型化の対策が必要である。また、従来のスキャナでは証書に表記されている図柄をそのまま読み取ることしかできず、不要図柄の消去手段がなかった。
【解決手段】
机上のスペースを確保するために、銀行業務で必ず使用するLCDに光センサー付液晶パネルを搭載することで、LCDにスキャナ機能を持たせる。これにより、机上に設置してあったスキャナのスペースを確保することができる。また、証書の不要図柄と同じ色をLCDから発光しながらスキャンすることでドロップアウトさせることができ、不要図柄を消去した状態で証書のデータを取得することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行営業店などの窓口端末において、LCDに光センサー付液晶パネルを搭載することにより、スキャナを設置することなく証書等の読取りを行なう業務を可能とする、証書読取り機能付LCDに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行営業店などの窓口端末において、証書などの読取り業務を行なうために、狭い机上にスキャナを設置し運用している。
【0003】
また、特開2009−135188号公報では、光センサーを用いた液晶パネルを表示装置に搭載し、撮像機能やタッチパネル機能を併せ持つ表示装置として、その使用例について記されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−135188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の方法において、一般的に銀行営業店などの窓口には証書などの読取りのために、スキャナが設置されている。しかし、窓口の机上は狭く書類なども置かれているため、設置スペースに問題があり常に小型化を要求されている。そこで、近年開発された光センサー付液晶パネルを、銀行業務の操作画面として必ず設置されるLCDに搭載することで、LCDに撮像機能を持たせることができスキャナの設置を不要とすることができる。
【0006】
光センサー付液晶パネルは、LCDの表示光が原稿に反射した光を読み取るため、その反射光のデータをそのまま使用すればスキャナ機能として使用可能であり、液晶パネル上の特定のエリアに、特定の大きさ(例えば、指の大きさ)の反射光を読み取った場合は、ボタンが押された時と同じ処理をさせることでタッチパネル機能として使用することができる。
【0007】
また、光センサー付液晶パネルについて、例えば特開2009−135188号公報では、搭載例としてテレビ、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、ビデオカメラ、携帯端末装置を挙げている。
【0008】
しかし光センサー付液晶パネルは、使い方によってはスキャナ機能やタッチパネル機能としての使用が可能になるが、縦置きするLCDにこれを採用した場合、正確な画像を取得する為にはスキャンする際に対象物を手で押さえ続けなければならない。また原稿が滑り落ちることから位置合わせが困難になるなどの問題がある。
【0009】
特に銀行業務で読み取り対象となる証書は、それぞれサイズや材質も異なるうえ、銀行業務の確実性への要求から正確なスキャナ読取り画像が必要となる為、オペレータはスキャナ操作に不便を感じるようになる。
【0010】
更に証書読み取り操作を、オペレータではなくエンドユーザが自ら実施する端末への応用も考えられるが、この場合は確実に文書スキャンが行える様、判りやすい操作ガイダンスを表示する必要がある。
【0011】
また、従来の光センサー付液晶パネルでは原稿に表記されたものをそのまま読み取ることしかできず、業務で使用する証書の読取り不要な図柄(伝票枠など)について消去する手段がなかった。
【0012】
本発明の目的は、銀行営業店などの窓口端末において、机上の設置面積を削減することと、光センサー付液晶パネルを搭載したLCDを、オペレータが業務に支障を感じることなくスキャナの代替として使用できる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、まず既開発品である光センサー付液晶パネルをLCDに搭載することでスキャナの設置を不要とし、机上のスペースを確保できる。次に縦置きしてあるLCDに証書を固定するツメやカバーを設けることで、証書を液晶パネルに密着させることができ、またガイダンスなどを表示することで位置合わせを容易にすることができ、オペレータは支障を感じることなくスキャナとして使用することができる。
【0014】
更にスキャン操作のガイダンスとして原稿のセット方法やスキャン手順などを判りやすく表示することで、本LCDをエンドユーザ向け操作パネルとしても使用することが可能となる。
【0015】
また、スキャン時には液晶パネルの表示光をスキャナの光源ランプと同等に考えることができるため、スキャン時に液晶パネルの表示色を証書のプレ印刷の色に合わせることで、図枠などの図柄をドロップアウトさせることが可能となり、従来不可能であった不要図柄を消去した画像を取得することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、従来スキャナを設置していた机上スペースを確保でき有効に活用できる。またガイダンス表示を充実させることで、エンドユーザ向け操作パネルとしての使用も可能となる。更に、不要図柄をドロップアウトさせた撮像を行なうことにより、読取り業務の運用に幅ができ、効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例におけるLCDの外観図である。
【図2】本発明の一実施例におけるLCDの斜視図である。
【図3】本発明の一実施例における不要図柄をドロップアウトさせた撮像の実施図である。
【図4】本発明の不要図柄をドロップアウトさせた撮像を行なった場合の例を示す実施図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1及び図2は、本発明における証書読取り機能付LCDの外観図である。図3はLCD画面上に表示するガイダンスの例を示す実施図である。また図4は、本発明の不要図柄をドロップアウトさせた撮像を行なった場合の例を示す実施図である。
【0019】
図1において、1はLCD本体で、2は既開発品である光センサー付液晶パネルであり、この液晶パネルの光センサーにて、スキャナ動作やタッチパネル動作を可能とする。3は証書を固定する固定ツメであり、4は証書である。この固定ツメで位置合わせを行い、小さいサイズの証書であれば固定ツメのみで固定が可能であり液晶パネルに密着させることができる。5は操作エリアであり、証書の読取りを行なわない特定の部分の光センサーをタッチパネル的に動作させ、プレスキャン中に指を検知したら証書読取りを開始するなどの仕組みを設けておくことで、キーボード等の離れた位置にある機器を操作することなく読取り操作が可能となる。
【0020】
図2は、図1の固定ツメだけでは固定することができない大きい証書や薄い証書を液晶パネルに密着させる手段を記載したものであり、(a)の図は証書を固定ツメに挟めたが証書が液晶パネルに密着していない状態を表し、(b)の図がカバー12を被せることによって証書を密着させた状態を表している。(a)の図において、LCD本体にカバー12を設けておき、このカバーには熱放出穴11を設けておく。証書を固定ツメに挟めたが液晶パネルに密着しなかった場合は、カバー12を液晶パネルに被せることにより証書を液晶パネルに密着させることができる。また、カバーには熱放出穴を設けている為、液晶パネルの熱を放出することができ誤動作を防止する。
【0021】
図3は証書読み取りの際に、LCD画面に表示するガイダンスの例を示したもので、(a)が読み取り操作前のメニューを表示した画面の例であり、(b)が処理選択後の読み取り操作手順を表示した画面の例であり、(c)が読み取り処理後の確認画面の例である。(a)の図において、101はLCDの画面全体または1部分でのメニューを表示した例であり、ここに画像読み取り処理のためのメニューがいくつか表示される。102,103,104はそれぞれメニューの内容を示した処理選択ボタンであり、オペレータまたはエンドユーザがそれぞれ実施したい処理を選択する。以降はここで102の処理Aが選択されたと仮定し、その処理例について記述する。
【0022】
(b)の図は、(a)の図において102の処理Aが選択された後に遷移した証書読み取り操作手順を表示した画面の例である。105はLCDの画面全体または1部分での処理手順を表示した例であり、操作手順をガイダンスとして表示させることで、オペレータまたはエンドユーザの操作性を向上させることができる。106は読み取るための証書の画像を表示したものであり、オペレータまたはエンドユーザに対し、証書の種類と位置あわせのための置く場所を詳細に指示するものである。画像106を、実際の証書と同じサイズおよび同じ絵柄にしておくことで、オペレータまたはエンドユーザは迷うことなく読み取る証書を確実にスキャンする場所へ置くことができる。また、この証書の画像を実際に証書を置く向き、つまりオペレータまたはエンドユーザから見た裏向きに表示しておくことで、迷うことなく正しい向きで証書を置くことができ、読み取り失敗による再読み込み作業を防ぐことができる。証書を置いた後は、スキャンボタン107を押下することで、読み取りが開始される。
【0023】
(c)の図は、読み取り処理後の結果を表示した画面の例であり、108はLCDの画面全体または1部分での処理結果を表示した画面の例であり、109は(b)の図で読み取った証書のデータを表示したものである。ここでオペレータまたはエンドユーザはこのデータを確認し、問題なければOKボタン110を押下する。もしデータに問題があった場合は、リトライボタン111を押下することで、(b)の図の画面に戻ることができ、最読み込みを実施する。また、OKボタン110を押下したあとは、(a)の図が示すメニュー画面に戻り、次の処理待ち状態となる。
【0024】
図4は証書の不要図柄をドロップアウトした撮像の実施例を示したもので、(a)が読み取る証書の例を示し、(b)が不要図柄をドロップアウトさせた状態で撮像したデータを示す。(a)の図において、伝票201に不要線202のような消去したい図柄がある場合、あらかじめドロップアウトする色を決めておき、消去したい図柄と同じ色を液晶パネルから発光しながらスキャンすることで不要図柄202を消去した状態で画像を読み取ることが可能となり、符号203で示すような不要図柄をドロップアウトしたデータを得ることができる。さらに、スキャン時に証書種別を判別する手段を作り込んでおけば、認識した証書に合わせて自動で液晶パネルからの表示色を変えることができ、異なるドロップアウトカラーで印刷された証書も、手間がかからず処理することが可能となる。
【符号の説明】
【0025】
1:LCD本体、2:光センサー付液晶パネル、3:固定ツメ、4:証書、5:操作エリア、11:熱放出穴、12:カバー、201:伝票、202:不要図柄、203:撮像データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光センサー付液晶パネルを搭載したLCDにおいて、読み取る証書の不要な図柄と同じ色を液晶パネルから発光しながらスキャンすることにより、不要な図柄を消去した状態でデータ取得できることを特徴としたドロップアウト機能付LCD。
【請求項2】
請求項1記載のLCDにおいて、証書の種類を自動認識し、発光するドロップアウトカラーを証書に合わせて変更できることを特徴としたドロップアウト機能付LCD。
【請求項3】
光センサー付液晶パネルを縦置きしたLCDに搭載した場合おいて、固定ツメやカバーを設けることにより、一般のスキャナと同様に支障を感じることなく操作可能とすることを特徴とした証書読取り機能付LCD。
【請求項4】
請求項3記載のLCDにおいて、詳細なガイダンスや画像を画面に表示することで、オペレータに限らずエンドユーザにも操作が可能となることを特徴とした証書読取り機能付LCD。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−145781(P2011−145781A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4517(P2010−4517)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】