説明

評価指標算出装置、評価装置、評価指標算出方法、評価指標算出装置制御プログラム、および該プログラムを記録した記録媒体

【課題】半田材の状態を精度良く評価する。
【解決手段】半田材評価装置100は、半田材13を利用することによる半田材の劣化度を評価するものである。半田材評価装置100は、光源10からの光を半田材13に照射し、半田材13から反射する赤外線強度の波数であって半田材13の状態変化に関係する波数である対象波数の強度と、状態変化に無関係な波数である参照波数の強度とを光電変換器14にて検出する。制御部15は、光電変換器14が検出した参照波数の強度より求まる参照波数の吸光度を用いて、光電変換器14が検出した対象波数の強度より求まる対象波数の吸光度を補正し、補正した対象波数の吸光度を表示部にて表示させる。これにより、半田材評価装置100のオペレータが、補正した対象波数の吸光度を参照することにより、半田材13の劣化度を評価できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半田材などの評価対象からの波動の強度を検出し、検出結果に基づいて上記評価対象の状態を評価するための指標である評価指標を算出する評価指標算出装置、評価装置、評価指標算出方法、評価指標算出装置制御プログラム、および該プログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板の生産ラインにおいては、基板上に半田材を印刷する印刷工程、この印刷された半田材上に電子部品を搭載するマウント工程、基板に電子部品を半田付けするリフロー工程を行うことによって、基板上に電子部品を実装している。
【0003】
また、上述した印刷工程において、上記半田材は、基板上に配置されたメタルマスク表面に載せられている。このメタルマスクは、配線パターンに対応した開口穴が形成されているものである。そして、上記半田材は、上記メタルマスク表面において、移動スキージによって押圧されることにより、回転移動する。さらに、この回転移動している半田材が、上記移動スキージの押圧力によって、上記開口穴から基板上に押し出される。これにより、半田材が基板に印刷される(以下に示す特許文献1の段落〔0011〕参照)。
【0004】
このメタルマスクは、同一の半田材を載せたまま、大量の基板に対して連続して使用される。したがって、上記半田材は、上記印刷を繰り返す度に、上記移動スキージによって繰り返し回転移動することとなる。ここで、この回転移動によって、上記半田材は、徐々に劣化していくことになるが、劣化した半田材は、プリント基板において不良をもたらす要因となる。
【0005】
よって、メタルマスク上の半田材の劣化度を分析し、半田材の劣化度が高くなった場合、メタルマスク上の半田材を交換する作業が非常に重要となる。また、メタルマスク上に半田材を供給する前に、供給対象となる半田材の劣化度を分析し、供給前の半田材が劣化していないかをチェックする作業も重要である。
【0006】
ここで、半田材の劣化度を評価する指標として、半田材の粘度、半田材の酸化度、半田材の還元力がある。この粘度、酸化度、還元力が上記指標となる理由について、以下、説明する。
【0007】
半田材は、劣化するに伴い、その粘度が高くなり、かつ、酸化が進行し、還元力が低下することが知られている。ここで、粘度の高い半田材を基板上に印刷すると、印刷工程後の基板において「カケ」「カスレ」等の不良が生じやすくなることが知られている。また、酸化の進行した半田材を基板上に印刷すると、リフロー工程後の基板において「ゾルダーボール」「半田未溶」等の不良が生じやすくなることが知られている。さらに、還元力の低下した半田材を基板上に印刷すると、リフロー工程後の基板において「ぬれ性劣化」等の不良が生じやすくなることが知られている。
【0008】
つまり、半田材の粘度、半田材の酸化度、半田材の還元力は、プリント基板の不良発生度と相関することとなる。したがって、上記の半田材の粘度、半田材の酸化度、半田材の還元力は、半田材の劣化度を評価する重要指標になるのである。
【特許文献1】特開平5−99831号公報(公開日:1993年04月23日)
【特許文献2】特公平8−20434号公報(公告日:1996年03月04日)
【特許文献3】特開平10−82737号公報(公開日:1998年03月31日)
【特許文献4】特許第3775426号公報(発行日:2006年5月17日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、半田材の劣化度を分析できる方法としては、従来から様々なものがあり、特許文献1〜3において例示されている。
【0010】
特許文献1には、スキージ表面を流動する半田材の流動速度に基づいて、該半田材の粘度を測定する方法が開示されている。しかし、この方法では、スキージ駆動時のみしか半田材の粘度を計測することができず、検査対象が印刷工程で使用中の半田材のみに限られるという問題が生じる。
【0011】
そこで、特許文献2には、サンプリングした半田材を用いて滴定を行うことにより、半田材(フラックス)の酸度を計測する方法が開示されている。しかし、この方法では、試薬の調整等の作業に手間がかかるという問題が生じる。
【0012】
また、特許文献3によれば、紫外線光電子分光法によって、半田材の表面酸化率を計測する手法が開示されている。しかし、この方法は、人体に有害な紫外線を用いているため、作業衛生上好ましくない。
【0013】
これに対し、本出願人が出願した特許文献4には、検査対象の半田材に光を照射することによって該検査対象の半田材から反射する特定波数の赤外線の第一強度を検出し、比較対象の半田材に上記光を照射することによって該比較対象の半田材を反射する上記特定波数の赤外線の第二強度を検出し、上記検出された第一および第二強度に基づき、上記比較対象に対する上記検査対象の半田材の劣化度を相対的に検査する半田材評価方法が開示されている。この半田材評価方法によれば、特許文献2に開示されているような滴定作業が不要であるため、特許文献2の方法よりも作業上の手間を抑制できる。また、紫外線を使わないため、特許文献3の方法よりも作業衛生上好ましい。
【0014】
ところで、半田材の劣化度を評価する場合、半田材に対する何らかの計測を、時間を隔てて行うことになるが、時間の経過とともに計測システムや計測環境が変化する可能性がある。このとき、上記変化により計測値がばらついて、計測値の精度が低下することになり、その結果、計測値から求まる半田材の劣化度の精度も低下することになる。
【0015】
本発明は、従来技術よりも、評価対象の状態を精度良く評価できる評価指標算出装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以上の目的を達成するために、本発明の評価指標算出装置は、評価対象からの波動の強度を検出し、検出結果に基づいて、上記評価対象の状態を評価するための指標である評価指標を算出する評価指標算出装置であって、上記評価対象からの波動の波数であって評価対象の状態変化に関係する波数である対象波数の強度と、上記波動の波数であって上記状態変化に無関係な波数である参照波数の強度とを検出する検出手段と、上記検出された参照波数の強度より求まる参照波数の評価指標を用いて、上記検出された対象波数の強度より求まる対象波数の評価指標を補正する補正手段とを備えることを特徴としている。
【0017】
また、以上の目的を達成するために、本発明の評価指標算出方法は、評価対象の状態を評価するための指標である評価指標を算出する評価指標算出方法であって、上記評価対象からの波動の波数であって評価対象の状態変化に関係する波数である対象波数の強度と、上記波動の波数であって上記状態変化に無関係な波数である参照波数の強度とを検出する検出工程と、上記検出された参照波数の強度より求まる参照波数の評価指標を用いて、上記検出された対象波数の強度より求まる対象波数の評価指標を補正する補正工程とを含むことを特徴としている。
【0018】
ここで、波動としては、電磁波、音波などが挙げられる。また、上記電磁波には、電波、光、X線、およびγ線が含まれ、上記光には、赤外線、可視光線、および紫外線が含まれる。
【0019】
上記の構成および方法によると、参照波数の強度より求まる参照波数の評価指標を用いて、対象波数の強度より求まる対象波数の評価指標を補正している。対象波数の強度は、評価対象の状態変化に依存すると共に、例えば計測システムの変化や計測環境の変化のようなその他の変化にも依存する。一方、参照波数の強度は、評価対象の状態変化に依存しないので、上記その他の変化のみに依存する。
【0020】
すなわち、補正された対象波数の評価指標は、評価対象の状態変化のみに依存し、その他の変化には依存しない。したがって、補正された対象波数の評価指標により評価対象の状態を精度良く評価することができる。
【0021】
なお、評価指標としては、評価対象を評価できる指標であって、波動の強度から求まる任意の指標を利用でき、例えば、波動が光の場合には、吸光度、反射率(透過率)などが挙げられる。また、波動の強度自身も評価指標となり得る。
【0022】
また、評価対象としては、波動の強度を用いて状態を評価可能な任意の物質を利用でき、例えば、波動の強度が赤外線強度の場合には、半田材、樹脂、繊維、フィルム、紙などが挙げられる。また、評価可能な状態としては、評価対象の成分、該成分の変化、これらによって判断できる状態などが挙げられる。例えば、評価対象が熱硬化樹脂である場合、測定対象物を加熱してその成分の変化を調べることにより、硬化の度合を評価することができる。
【0023】
なお、上記参照波数の例としては、ベース波数およびピーク波数が挙げられる。ここで、ベース波数とは、上記評価対象が全く或いは殆ど吸収しない波数をいう。
【0024】
また、上記補正された対象波数の評価指標の例としては、上記参照波数の評価指標に対する上記対象波数の評価指標の比、および、上記参照波数の評価指標に対する上記対象波数の評価指標の差が挙げられる。
【0025】
また、上記の構成に加えて、上記対象波数は、上記評価対象に光を照射することによって、該評価対象から反射する赤外線の波数であってもよい。この場合、評価対象に照射される光は、上記対象波数の赤外線そのものであってもよいし、上記対象波数を含む光であってもよい。また、上記参照波数が、上記対象波数と同様に、上記評価対象から反射する赤外線の波数であるとき、対象波数の赤外線強度と参照波数の赤外線強度とは、同時に検出されてもよい。
【0026】
さらに、上記の構成に加えて、上記評価対象は半田材であってもよい。
【0027】
ここで、良質な半田材は、低粘度、低酸化度、高還元力であり、半田材が劣化すると、粘度/酸化度が高くなり、還元力が低くなることが知られている。したがって、半田材の劣化度は、該半田材の粘度、酸化度、還元力の少なくとも1項目から判断することができる。
【0028】
ここで、本願の発明者らは、特許文献4に記載のように、従来技術とは異なる手法であって、半田材の粘度、酸化度、還元力の少なくとも1項目を分析できる手法を検討した。そして、本願の発明者らは、鋭意工夫の結果、赤外線分光法を用いると、半田材の粘度、酸化度、還元力の少なくとも1項目を分析することができる事を知見した。
【0029】
以下、赤外線分光法によって、半田材の粘度、酸化度、還元力を分析できる理由について詳細に説明する。
【0030】
半田材を使用し続け、また、半田材を外気にさらし続けると、半田材においては、含有金属が酸化し、含有する酸(例えば、カルボン酸)が塩に変化する。つまり、半田材を使用し、または、外気にさらし続けると、該半田材においては、含有金属酸化物が増加し、酸の含有量が減少し、塩の含有量が増加することとなる。
【0031】
そして、この金属酸化物の増加によって、半田材の酸化度が高くなり、塩の増加によって半田材の粘度が高くなり、酸の含有量の減少によって半田材の還元力が低下する。
【0032】
したがって、評価対象の半田材において、金属酸化物の含有度、酸および塩の含有度を分析できれば、該半田材の粘度、酸化度、還元力を評価することができ、ひいては半田材の劣化度を評価できる。つまり、半田材における金属酸化物の含有度、酸の含有度、塩の含有度は、半田材の劣化度(粘度、酸化度、還元力)を示すものである。
【0033】
ここで、本発明者らは、赤外線分光法によれば、金属酸化物、酸、塩の含有度の少なくとも1項目を分析することが可能であることに着目した。
【0034】
具体的には、半田材における金属酸化物、酸、塩の含有度に応じて、該半田材における対象波数の赤外線の吸収量は変化し、該半田材を反射する赤外線の対象波数の強度は変化する。これは、半田材に含まれる金属酸化物、酸、塩は、各々において特定されている波数帯域の赤外線を吸収する性質を有しているからである。
【0035】
したがって、半田材へ光を照射し、半田材にて反射された対象波数の赤外線の強度を検出装置により検出すれば、当該半田材に含有している金属酸化物、酸、塩の含有度を分析できる。これにより、半田材の粘度、酸化度、還元力を評価することができ、半田材の劣化度(粘度、酸化度、還元力)を評価できる。
【0036】
また、評価対象が半田材である場合、金属酸化物、酸、塩の含有度の少なくとも1項目を分析できればよい。このため、上記対象波数は、半田材に含まれる金属酸化物が吸収する赤外線の波数帯域と、半田材に含まれる酸が吸収する赤外線の波数帯域と、半田材に含まれる塩が吸収する赤外線の波数帯域とのうちの少なくとも1つを含む範囲内に含まれる波数であってもよい。
【0037】
上記金属酸化物の例としては、酸化錫、酸化鉛が挙げられる。なお、上記の酸化錫、酸化鉛は、520cm−1〜700cm−1の赤外線を吸収する性質を有している。
【0038】
また、上記酸としては、カルボン酸であることが好ましい。これは、半田材に含まれる酸のうち、含有量の多い酸としてカルボン酸が挙げられるからである。なお、カルボン酸は、1665cm−1〜1730cm−1の赤外線を吸収する性質を有している。
【0039】
さらに、上記塩としては、カルボン酸塩であることが好ましい。これは、劣化した半田材に含まれる塩のうち、含有量の多い塩としてはカルボン酸塩が挙げられるからである。なお、カルボン酸塩は、1270cm−1〜1430cm−1の赤外線と、1500cm−1〜1650cm−1の赤外線とを吸収する性質を有している。
【0040】
したがって、評価対象が半田材である場合、上記対象波数は、520cm−1〜700cm−1、1270cm−1〜1430cm−1、1500cm−1〜1650cm−1、および1665cm−1〜1730cm−1の波数帯域に含まれる波数であることが好ましい。
【0041】
一方、評価対象の半田材から反射する赤外線の波数を検出する場合、ベース波数は、1750cm−1〜2800cm−1の波数帯域に含まれる波数となる。そこで、評価対象が半田材である場合、上記参照波数は、ベース波数であり、該ベース波数は、1750cm−1〜2800cm−1の波数帯域に含まれる波数であることが好ましい。
【0042】
なお、2340cm−1〜2380cm−1の波数帯域には、二酸化炭素のノイズが発生する場合がある。そこで、評価対象が半田材である場合、上記参照波数は、ベース波数であり、該ベース波数は、1750cm−1〜2340cm−1、および2380cm−1〜2800cm−1の波数帯域に含まれる波数であることが特に好ましい。
【0043】
また、評価対象の半田材から反射する赤外線の波数を検出する場合、半田材に含まれる成分が吸収する赤外線の波数帯域のうち、1200cm−1〜1280cm−1、および1420cm−1〜1500cm−1の波数帯域は、半田材が劣化しても変化しない。そこで、評価対象が半田材である場合、上記参照波数は、ピーク波数であり、該ピーク波数は、1200cm−1〜1280cm−1、および1420cm−1〜1500cm−1の波数帯域に含まれる波数であることが好ましい。
【0044】
以上の目的を達成するために、本発明の評価装置は、評価対象からの波動の強度を検出し、検出結果に基づいて上記評価対象の状態を評価する評価装置であって、上記構成の評価指標算出装置と、上記補正手段によって補正された対象波数の評価指標により上記評価対象の状態を評価するための評価手段とを備えることを特徴としている。
【0045】
ここで、評価手段は、評価指標を所定値と比較することにより評価対象の状態を評価しても良いし、例えば評価指標を表示することにより、利用者が評価対象の状態を評価しても良い。
【0046】
上記の構成によると、評価指標算出装置の補正手段によって補正された対象波数の評価指標により評価対象の状態を評価するので、該評価の精度を向上させることができる。
【0047】
なお、上記評価指標算出装置における各手段を、評価指標算出装置制御プログラムによりコンピュータ上で機能させることができる。さらに、上記評価指標算出装置制御プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記評価指標算出装置制御プログラムを実行させることができる。
【発明の効果】
【0048】
以上のように、本発明の評価指標算出装置は、評価対象からの波動の波数であって評価対象の状態変化に関係する波数である対象波数の強度と、上記波動の波数であって上記状態変化に無関係な波数である参照波数の強度とを検出する検出手段と、上記検出された参照波数の強度より求まる参照波数の評価指標を用いて、上記検出された対象波数の強度より求まる対象波数の評価指標を補正する補正手段とを含む。
【0049】
それゆえ、補正された対象波数の評価指標は、評価対象の状態変化のみに依存し、その他の変化には依存しないので、補正された対象波数の評価指標により評価対象の状態を精度良く評価できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
〔半田材評価方法〕
本実施形態における半田材評価方法は、赤外線を利用して、半田材の劣化度を評価する方法である。なお、本実施形態における「半田材」とは、プリント基板の生産ラインにおいて用いられるクリーム状の半田ペーストを意義するものとするが、本発明においては、この半田ペーストに限定されるものではなく、周知の半田材全般に対して適用可能である。
【0051】
以下、本実施形態の半田材評価方法の詳細を説明する。
【0052】
半田材を使用し続け、また、半田材を外気にさらし続けると、半田材においては、含有金属が酸化し、含有カルボン酸がカルボン酸塩に変化する。つまり、半田材を使用し、または、外気にさらし続けると、該半田材においては、含有金属酸化物が増加し、含有カルボン酸が減少し、含有カルボン酸塩が増加することとなる。
【0053】
この金属酸化物の増加によって、半田材の酸化度が高くなり、このカルボン酸塩の増加によって半田材の粘度が高くなり、カルボン酸の含有量の減少によって半田材の還元力が低下するという現象が生じる。このような現象を半田材の劣化という。
【0054】
したがって、評価対象の半田材において、金属酸化物の含有度、カルボン酸の含有度、カルボン酸塩の含有度の少なくとも一つを分析できれば、該半田材の粘度、酸化度、還元力の少なくとも一つを評価することができ、ひいては半田材の劣化度を評価できる。
【0055】
一方、酸化金属、カルボン酸、カルボン酸塩の各々は、各々において特定されている特定波数帯域の赤外線を吸収することが知られている。
【0056】
そこで、以下の工程の組み合わせを実施することにより、本実施形態の半田材評価方法を実現することとする。まず、評価対象の半田材に光を照射することによって該評価対象の半田材から反射する赤外線の波数であって、上記半田材の劣化に関係する波数、すなわち上記特定波数帯域に含まれる波数である対象波数の赤外線強度と、上記赤外線の波数であって上記半田材の劣化に無関係な波数である参照波数の赤外線強度とを検出する検出工程を実施する。そして、上記検出された参照波数の強度より求まる参照波数の評価指標を用いて、上記検出された対象波数の強度より求まる対象波数の評価指標を補正する補正工程と、上記補正された対象波数の評価指標により上記評価対象の半田材の劣化度を評価するための評価工程とを実施する。なお、対象波数の赤外線強度の検出と、参照波数の赤外線強度の検出とは、同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。
【0057】
以上の本実施形態の半田材評価方法によれば、検出工程によって、評価対象の半田材から反射する赤外線における対象波数および参照波数の強度を検出できる。
【0058】
ここで、上述したように、酸化金属、カルボン酸、カルボン酸塩の各々は、各々において特定されている特定波数帯域の赤外線を吸収する。したがって、半田材における酸化金属、カルボン酸、カルボン酸塩の含有度に応じて、半田材における対象波数の赤外線の吸収量は変化し、半田材を反射する対象波数の赤外線の強度は変化する。
【0059】
ところで、評価対象の半田材から反射する赤外線の強度は、例えば計測システムの変化や計測環境の変化のような、その他の変化によっても変化する。したがって、対象波数の赤外線の強度は、半田材における酸化金属、カルボン酸、カルボン酸塩の含有度に依存すると共に、上記その他の変化にも依存する。
【0060】
一方、参照波数は、半田材の劣化に無関係な波数であるので、参照波数の赤外線強度は、半田材の劣化に依存せず、上記その他の変化のみに依存する。
【0061】
したがって、補正工程において、上記検出された参照波数の強度を用いて、上記検出された対象波数の強度を補正することにより、補正された対象波数の強度は、半田材の劣化のみに依存し、その他の変化には依存しない。その結果、評価工程において、例えば上記補正された対象波数の強度を所定値と比較することにより、半田材の劣化度を精度良く評価することができる。
【0062】
なお、評価指標としては、上述の赤外線強度の他に、吸光度、反射率などを利用することができる。また、上記評価工程においては、上記補正された対象波数の強度を所定値と比較することなく、例えば上記補正された対象波数の強度を表示することにより、本実施形態の半田材評価方法の実施者が半田材の劣化度を評価することが可能である。
【0063】
〔半田材評価方法の実施例〕
次に、以上示した本実施形態の半田材評価方法の一実施例を説明する。
【0064】
まず、本実施例において評価対象となる半田材について説明する。本実施例では、図1に示す各物質を含有成分とする半田材を評価に用いた。同図に示すように、本実施例の半田材は、80〜90%の錫と、1〜3%の銀と、1%未満の銅と、2〜4%のジエチレングリコールモノへキシルエーテルと、1%未満の2-エチル-1,3-ヘキサンジオールと、4〜6%のロジンと、を含んでいる。
【0065】
なお、半田材の主成分は錫(Sn)または鉛(Pb)等の金属であるが、本実施例の半田材では、図1に示すように、この金属として錫が用いられている。また、半田材において還元力をもたらす主成分であるカルボン酸として、本実施例の半田材では、同図に示すように、ロジン(C19H29COOH)が用いられている。
【0066】
本実施例では、図1に示す半田材であって、新品の状態の当該半田材を未使用対象とし、プリント基板の印刷工程において使用された後の当該半田材を使用後対象とした。なお、以下では、上記未使用対象を単に「未使用」と称し、使用後対象を単に「使用後」と称することがある。
【0067】
ここで、この未使用対象および使用後対象に対して、各々同一強度の赤外線を照射し、未使用対象を反射する赤外線における500cm−1〜3000cm−1の帯域の強度を検出し、使用後対象を反射する赤外線における500cm−1〜3000cm−1の帯域の強度を検出した。
【0068】
さらに、本実施例では、各波数について、未使用対象の赤外線の吸光度と、使用後対象の赤外線の吸光度とを算出した。なお、上記吸光度は、波数hに対応するブランク値(評価対象の半田材が無い状態で光を照射したときに検出される赤外線の波数hにおける強度)をBLとし、未使用対象から反射する赤外線の波数hにおける強度をAとし、使用後対象から反射する赤外線の波数hにおける強度をBとして、
未使用対象の赤外線の吸光度(波数hに対応する吸光度)A´=−log(A/BL)・・・(1)
使用後対象の赤外線の吸光度(波数hに対応する吸光度)B´=−log(B/BL)・・・(2)
を、波数毎に演算することによって求めることができる。
【0069】
図2は、半田材が無い状態で光を照射したときに検出される赤外線の強度BLと、半田材を設けた状態で光を照射したときに検出される赤外線の強度SPとを示すスペクトルチャートである。なお、同図における横軸は赤外線の波数(Wave Number)を示し、縦軸は赤外線の強度を示す。また、赤外線の強度の数値は、赤外線の強度を検出する検出装置の出力電圧のA/D変換値である。したがって、同図における赤外線の強度の数値は、検出装置および検出方法に依存する。
【0070】
図3は、図2に示すスペクトルチャートから算出した吸光度=−log(SP/BL)を示すスペクトルチャートである。なお、同図における横軸は赤外線の波数を示し、縦軸は吸光度を示す。また、
図4は、図2に示すスペクトルチャートから算出した反射率=SP/BL×100(%)を示すスペクトルチャートである。なお、同図における横軸は赤外線の波数を示し、縦軸は反射率を示す。
【0071】
本発明では、図2〜図4に示すような、赤外線強度、吸光度、反射率などを評価指標として利用することができるが、以下の実施例では、吸光度を評価指標として利用する。
【0072】
図5は、未使用対象および使用後対象に関して、上記(1)(2)式を用いて算出した吸光度を示すスペクトルチャートである。なお、同図における横軸は赤外線の波数を示し、縦軸は赤外線の吸光度を示す。同図に示すように、未使用対象の赤外線の吸光度と、使用後対象の赤外線の吸光度とでは相違があることが観測される。
【0073】
つぎに、この相違について検討した。具体的には、上記(1)(2)式で求めた、各波数に対応する吸光度A´・B´について、(11)式のようにして差分を演算した。なお、この差分を、以下では「吸光度差」とする。
吸光度差=B´−A´・・・(11)
つまり、ここでの吸光度差とは、使用後対象の赤外線吸光度から未使用対象の赤外線吸光度を差し引いて得られるものであり、使用後対象の赤外線吸光度と未使用対象の赤外線吸光度との差分を示したものである。
【0074】
図6は、赤外線の波数と、該波数に対応する吸光度差との関係を示したチャートである。つまり、図6のチャートは、図5のチャートに示される使用後対象の吸光度から未使用対象の吸光度を差し引いた吸光度差を示したものである。
【0075】
図6から、未使用対象と使用後対象とでは、600cm−1付近、1300cm−1付近、1600cm−1付近、1700−1cm−1付近の吸光度において、大きな差があることがわかる。
【0076】
具体的には、600cm−1、1300cm−1、1600cm−1付近において、使用後対象の赤外線吸光度は、未使用対象の赤外線吸光度よりも高くなっていることがわかる。また、1700cm−1付近において、使用後対象の赤外線吸光度は、未使用対象の赤外線吸光度よりも低くなっていることがわかる。
【0077】
ここで、赤外線スペクトルチャートにおいて、600cm−1付近で観測される吸収は、金属酸化物における酸素-金属結合の振動によるものであることが知られている。また、1300cm−1付近で観測される吸収は、カルボン酸塩の対称伸縮振動によるものであり、1600cm−1付近で観測される吸収は、カルボン酸塩における逆対称伸縮振動によるものであることが知られている。さらに、1700cm−1付近で観測される吸収は、カルボン酸における二重結合の伸縮振動による吸収を示すものであることが知られている。
【0078】
したがって、600cm−1付近において、使用後対象の方が、未使用対象よりも、赤外線吸光度が高くなっていることから、使用後対象においては、未使用対象よりも金属酸化物が多量に含まれており、未使用対象よりも酸化度が高いことがわかる。
【0079】
また、1300cm−1付近および1600cm−1付近において、使用後対象の方が、未使用対象よりも、赤外線吸光度が高くなっていることから、使用後対象においては、未使用対象よりもカルボン酸塩が多量に含まれており、未使用対象よりも粘度が高いことがわかる。
【0080】
さらに、1700cm−1付近において、使用後対象の方が、未使用対象よりも、赤外線吸光度が低くなっていることから、使用後対象においては、未使用対象よりもカルボン酸が少なく、未使用対象よりも還元力が低いことがわかる。
【0081】
このように、本実施例では、赤外線スペクトルの各波数について、使用後対象の半田材を反射する赤外線の強度と、未使用対象の半田材を反射する赤外線の強度とから、使用後対象の半田材における赤外線の吸光度と、未使用対象の半田材における赤外線の吸光度とを求めている。
【0082】
そして、赤外線スペクトルの各波数について、使用後対象の半田材の吸光度から未使用対象の半田材の吸光度を差し引いた吸光度差を求めている。ここで、600cm−1、1300cm−1、1600cm−1、1700cm−1付近における上記吸光度差を参照すれば、未使用対象に対する、使用後対象の半田材に含まれる金属酸化物の含有度、カルボン酸の含有度、カルボン酸塩の含有度を相対的に把握することができる。
【0083】
そして、この金属酸化物の含有度から、使用後対象の半田材の酸化度を相対的に把握でき、カルボン酸の含有度から、使用後対象の半田材の還元力を相対的に把握でき、カルボン酸塩の含有度から、使用後対象の半田材の粘度を相対的に把握できる。
【0084】
つぎに、新品の状態の半田材を未使用対象とし、プリント基板の印刷工程における印刷回数が200回、400回、600回、800回、1000回、1200回の各半田材を使用後対象として、本実施例で示した方法によって分析した結果を図7(a)に示す。
【0085】
図7(a)は、赤外線の波数と、各波数に対応する使用後対象の半田材の吸光度から未使用対象の半田材の吸光度を差し引いて得られる吸光度差との関係を、使用後対象毎に示したチャートである。なお、横軸は赤外線の波数を示し、縦軸は、未使用対象の半田材の吸光度と使用後対象の半田材の吸光度との差である吸光度差を示す。
【0086】
図7(a)から、半田材の印刷回数が増加する程、1300cm−1付近および1600cm−1付近の吸光度は高くなり、1700cm−1付近の吸光度は減少していることがわかる。これにより、印刷回数が増加する程、半田材においてカルボン酸が減少し、カルボン酸塩が増加していることがわかる。そして、このカルボン酸塩の増加という結果から、印刷回数が増加する程、半田材の粘度が上昇することを分析できる。
【0087】
実際、各使用後対象について粘度を測定したところ、図7(b)に示すように、半田材の印刷回数と半田材の粘度とは正の相関関係があることが確認された。また、半田材の1600cm−1付近の赤外線の吸光度と半田材の粘度とは正の相関関係があり、半田材の1700cm−1付近の赤外線の吸光度と半田材の粘度とは負の相関関係があることも確認された。このような関係が成立するのは、半田材の印刷回数が増加するほど、半田材に含有されるカルボン酸が減少して1700cm−1付近の赤外線の吸収が少なくなり、半田材に含有されるカルボン酸塩が増加して1600cm−1付近の赤外線の吸収が大きくなり、さらにカルボン酸塩の増加に応じて粘度が高くなるからである。
【0088】
なお、以上示した実施例によれば、使用後対象の半田材の赤外線吸光度と未使用対象の半田材の赤外線吸光度とを算出しているが、吸光度を算出しなくても、使用後対象の半田材に含まれる金属酸化物の含有度、カルボン酸の含有度、カルボン酸塩の含有度を相対的に把握できる。具体的には、500〜3000cm−1の各波数について、使用後対象の半田材を反射する赤外線の強度と、未使用対象の半田材を反射する赤外線の強度とを検出する。そして、各波数において、検出した各強度に対して(21)式の演算を行う。
強度差=B−A・・・(21)
A:未使用対象から反射する赤外線の強度
B:使用後対象から反射する赤外線の強度
ここで、「強度差」とは、使用後対象において検出された赤外線の強度から未使用対象において検出された赤外線の強度を差し引いたものであり、使用後対象において検出された赤外線の強度と未使用対象において検出された赤外線の強度との差分である。
【0089】
ここで、600cm−1、1300cm−1、1600cm−1、1700cm−1についての上記強度差を参照すれば、未使用対象に対する使用後対象の金属酸化物、カルボン酸、カルボン酸塩の赤外線吸収度の差異を把握できる。それゆえ、未使用対象に対して、使用後対象の半田材に含まれる金属酸化物の含有度、カルボン酸の含有度、カルボン酸塩の含有度を相対的に把握することができる。
【0090】
また、上記の吸光度差や強度差ではなく、各吸光度の比や各強度の比によっても、未使用対象と使用後対象とにおける赤外線吸収度の相違を把握でき、使用後対象の半田材に含まれる金属酸化物の含有度、カルボン酸の含有度、カルボン酸塩の相対的含有度を把握できる。
【0091】
例えば、各波数毎に、使用後対象において検出された赤外線の強度と未使用対象において検出された赤外線の強度との比である強度比を、以下の演算により求めてもよい。
強度比=B/A・・・(31)
また、例えば、各波数毎に、使用後対象における赤外線の吸光度と未使用対象における赤外線の吸光度との比である吸光度比を、以下の演算により求めてもよい。なお、吸光度の算出方法については、(1)(2)式と同様である。
吸光度比=B´/A´・・・(41)
A´:未使用対象の赤外線の吸光度
B´:使用後対象の赤外線の吸光度
なお、以上示した実施例によれば、未使用対象および使用後対象の半田材について、500〜3000cm−1に渡って、各波数毎に、赤外線の強度を検出し、赤外線の吸光度および上記吸光度差、上記吸光度比、上記強度差、または上記強度比を算出することとなるが、対象波数の赤外線のみについて上記強度を検出し、該対象波数の吸光度、吸光度差または上記強度差を算出する手順であってもよい。ここで、対象波数とは、金属酸化物、カルボン酸、カルボン酸塩のうちの少なくとも一つの赤外線吸収が認められる波数であり、本実施例では600cm−1、1300cm−1、1600cm−1、1700cm−1のうちの少なくとも一つである。
【0092】
また、上記した各々の対象波数(600cm−1、1300cm−1、1600cm−1、1700cm−1)は、数値変更が可能である。つまり、対象波数は、600cm−1、1300cm−1、1600cm−1、1700cm−1に限定されるものではなく、対象波数としての有効範囲を設定することが可能である。この点について、具体的に説明する。
【0093】
まず、図7における分析と同様、新品の状態の半田材を未使用対象とし、プリント基板の印刷工程における印刷回数が200回、400回、600回、800回、1000回、1200回の各半田材を使用後対象として、本実施例で示した方法によって各使用後対象に対して上記吸光度差を求めた。この結果を図8〜図11に示す。なお、図8では、520cm−1〜700cm−1の波数帯域についての上記吸光度差を示し、図9では、1270cm−1〜1430cm−1の波数帯域についての上記吸光度差を示し、図10では、1500cm−1〜1650cm−1の波数帯域についての上記吸光度差を示し、図11では、1665cm−1〜1730cm−1の波数帯域についての上記吸光度差を示す。
【0094】
半田材に含まれる金属酸化物(二酸化錫)の吸収ピークは600cm−1付近で検出されるが、図8に示すように、520cm−1〜700cm−1に注目すれば、使用後対象毎の吸光度差の相違を区別でき、557cm−1〜613cm−1に注目すれば、使用後対象毎の吸光度差の相違をさらに顕著に観測ができる。したがって、520cm−1〜700cm−1の間の少なくともいずれかの波数を上記対象波数とすれば、各使用後対象の金属酸化物の含有度を分析することが可能となる。
【0095】
また、カルボン酸塩の対称伸縮振動の吸収ピークは1300cm−1付近(厳密には、1323cm−1)で検出されるが、図9に示すように、1270cm−1〜1430cm−1に注目すれば、使用後対象毎の吸光度差の相違を区別でき、1282cm−1〜1382cm−1に注目すれば、使用後対象毎の吸光度差の相違をさらに顕著に観測することができる。したがって、1270cm−1〜1430cm−1の間の少なくともいずれかの波数を上記対象波数とすれば、各使用後対象のカルボン酸塩の含有度を分析することが可能となる。
【0096】
また、カルボン酸塩の逆対称伸縮振動の吸収ピークは1600cm−1付近(厳密には、1590cm−1)で検出されるが、図10に示すように、1500cm−1〜1650cm−1に注目すれば、使用後対象毎の吸光度差の相違を区別でき、1562cm−1〜1624cm−1に注目すれば、使用後対象毎の吸光度差の相違をさらに顕著に観測することができる。したがって、1500cm−1〜1650cm−1の間の少なくともいずれかの波数を上記対象波数とすれば、各使用後対象のカルボン酸塩の含有度を分析することが可能となる。
【0097】
さらに、カルボン酸の炭素-酸素二重結合の吸収ピークは、1700cm−1付近で検出されるが、図11に示すように、1665cm−1〜1730cm−1に注目すれば、使用後対象毎の吸光度差の相違を区別でき、1683cm−1〜1710cm−1に注目すれば、使用後対象毎の吸光度差の相違をさらに顕著に観測することができる。したがって、1665cm−1〜1730cm−1の間の少なくともいずれかの波数を上記対象波数とすれば、各使用後対象のカルボン酸の含有度を分析することが可能となる。
【0098】
また、光源から照射される光の強度にはムラがあり、未使用対象と使用後対象とについて、各々同一光源を用いて赤外線を照射したとしても、各々異なるタイミングで赤外線を照射すれば、未使用対象に照射される赤外線の強度と使用後対象に照射される赤外線の強度とで若干の相違が生じる。そして、この相違が、検出される、半田材を反射する赤外線の強度に悪影響を及ぼすことがあり、この場合、半田材の劣化の評価に悪影響を及ぼすことになる。
【0099】
図12は、評価対象の半田材を反射した赤外線強度を計測して吸光度を算出し、これを、同じ状態の半田材に関して繰り返した場合の吸光度を示すスペクトルチャートである。なお、同図における横軸は赤外線の波数を示し、縦軸は吸光度を示す。同図に示すように、評価対象の半田材が同じ状態であっても、赤外線強度を計測するタイミングが僅かに異なるだけで、同じ波数における吸光度に若干の相違が観測される。
【0100】
そこで、本実施例では、対象波数における上記の強度、吸光度を求めるにあたって、補正を行っている。以下、上記強度を補正した補正強度、上記吸光度を補正した補正吸光度を求める手順について説明する。
【0101】
まず、金属酸化物、カルボン酸、カルボン酸塩の赤外線吸収が観測される波数帯域以外であって、半田材の状態変化に関係しない波数を参照波数とする。この参照波数は、以下のようにして特定することができる。
【0102】
すなわち、プリント基板の印刷工程における印刷回数が0回、300回、600回、900回、1200回の各半田材を評価対象として分析した結果を図13に示す。図13は、赤外線の波数と、各波数に対応する評価対象の半田材の吸光度との関係を、評価対象毎に示したチャートである。なお、横軸は赤外線の波数を示し、縦軸は吸光度を示す。
【0103】
図13から、半田材の印刷回数が増加する程、吸光度が大きく変化する波数帯域と、さほど変化しない波数帯域とが存在することがわかる。吸光度が大きく変化する波数帯域は、上述のように、1300cm−1付近、1600cm−1、および1700cm−1付近であり、カルボン酸およびカルボン酸塩の赤外線吸収が観測される波数帯域である。
【0104】
一方、吸光度がさほど変化しない波数帯域は、1240cm−1のピーク波数付近および1460cm−1のピーク波数付近と、1800cm−1以上のベース波数付近とである。したがって、参照波数は、1240cm−1付近と、1460cm−1付近と、1800cm−1付近以上とを含む波数帯域の中から選択することができる。
【0105】
そして、評価対象を反射した赤外線における上記対象波数の強度と上記参照波数の強度とを検出する。ここで、評価対象から反射する赤外線に関して、上記参照波数の強度をAref、上記対象波数の強度をAtarとし、上記参照波数の赤外線吸光度をA´ref、上記対象波数の赤外線吸光度をA´tarとする。
【0106】
なお、各吸光度は、(1)(2)式と同様の手法によって算出する。つまり、評価対象の半田材が無い状態で光を照射したときに検出される赤外線に関して、上記参照波数に対応する強度をBLrefとし、上記対象波数に対応する強度をBLtarとすると、
A´ref=−log(Aref/BLref)・・・(61)
A´tar=−log(Atar/BLtar)・・・(63)
で求めることができる。
【0107】
以下、補正強度Acor、補正吸光度A´corは、
cor=Atar−Aref・・・(71)
A´cor=A´tar−A´ref・・・(73)
で求めることができる。
【0108】
これにより、評価対象に照射される赤外線の強度が、計測ごとに若干の相違が生じていたとしても、各強度、各吸光度について、上記相違分に対応する参照波数の強度が差し引かれているため、この相違をほぼ解消した補正強度、補正吸光度を求めることができる。その結果、対象波数の補正強度、補正吸光度により評価対象の状態を精度良く評価することができる。
【0109】
また、補正強度Acor、補正吸光度A´corは、
cor=Atar/Aref・・・(75)
A´cor=A´tar/A´ref・・・(77)
で求めることができる。以下では、(71)(73)式で求めた補正強度、補正吸光度を「差補正強度」、「差補正吸光度」と称し、(75)(77)式で求めた補正強度、補正吸光度を「比補正強度」、「比補正吸光度」と称す。
【0110】
図14は、図12に示す吸光度に対し、参照波数をピーク波数の1240cm−1として、(77)式を用いて補正した比補正吸光度を示すスペクトルチャートである。なお、同図における横軸は赤外線の波数を示し、縦軸は比補正吸光度を示す。図14と図12とを比較すると、補正後の吸光度は、補正前の吸光度に比べて、計測ごとの相違がほぼ解消されていることがわかる。
【0111】
図15は、図12に示す吸光度に対し、参照波数をベース波数の1915cm−1として、(73)式を用いて補正した差補正吸光度を示すスペクトルチャートである。なお、同図における横軸は赤外線の波数を示し、縦軸は差補正吸光度を示す。図15と図12とを比較すると、補正後の吸光度は、補正前の吸光度に比べて、計測ごとの相違がほぼ解消されていることがわかる。
【0112】
また、上記したピーク波数である各々の参照波数(1240cm−1、1460cm−1)は、数値変更が可能である。つまり、ピーク波数の参照波数は、1240cm−1、1460cm−1に限定されるものではなく、参照波数としての有効範囲を設定することが可能である。また、ベース波数の参照波数も有効範囲を設定することが可能である。この点について、具体的に説明する。
【0113】
図16は、図13に示すスペクトルチャートに関して、ピーク波数の1240cm−1付近を拡大したものである。図16に示すように、1200cm−1〜1280cm−1に注目すれば、半田材の印刷回数が増加しても、吸光度がさほど変化していないことが観測できる。したがって、1200cm−1〜1280cm−1間の少なくともいずれかの波数を上記参照波数とすれば、各評価対象の金属酸化物、カルボン酸、およびカルボン酸塩の含有度を精度良く分析することが可能となる。
【0114】
図17は、図13に示す吸光度に対し、参照波数をピーク波数の1240cm−1として、(77)式を用いて補正した比補正吸光度を示すスペクトルチャートである。なお、同図における横軸は赤外線の波数を示し、縦軸は比補正吸光度を示す。図17と図13とを比較すると、半田材の印刷回数が増加しても、吸光度がさほど変化しない波数帯域(
1240cm−1付近、1460cm−1付近、および1800cm−1付近以上)における比補正吸光度のバラツキが少なくなっていることがわかる。
【0115】
したがって、カルボン酸塩およびカルボン酸の赤外線吸収が観測される波数帯域(1300cm−1付近、1600cm−1、および1700cm−1付近)において、半田材の印刷回数の増加に対する比補正吸光度の変化量は、各評価対象のカルボン酸塩およびカルボン酸の含有度に精度良く対応することになる。これにより、対象波数における比補正吸光度の変化量から半田材の劣化度を精度良く評価することができる。
【0116】
図18は、図13に示すスペクトルチャートに関して、ピーク波数の1460cm−1付近を拡大したものである。図18に示すように、1420cm−1〜1500cm−1に注目すれば、半田材の印刷回数が増加しても、吸光度がさほど変化していないことが観測できる。したがって、1420cm−1〜1500cm−1間の少なくともいずれかの波数を上記参照波数とすれば、各評価対象の金属酸化物、カルボン酸、およびカルボン酸塩の含有度を精度良く分析することが可能となる。
【0117】
図19は、図13に示す吸光度に対し、参照波数をピーク波数の1460cm−1として、(77)式を用いて補正した比補正吸光度を示すスペクトルチャートである。なお、同図における横軸は赤外線の波数を示し、縦軸は比補正吸光度を示す。図19と図13とを比較すると、半田材の印刷回数が増加しても、吸光度がさほど変化しない波数帯域(
1240cm−1付近、1460cm−1付近、および1800cm−1付近以上)における比補正吸光度のバラツキが少なくなっていることがわかる。
【0118】
したがって、カルボン酸塩およびカルボン酸の赤外線吸収が観測される波数帯域(1300cm−1付近、1600cm−1、および1700cm−1付近)において、半田材の印刷回数の増加に対する比補正吸光度の変化量は、各評価対象のカルボン酸塩およびカルボン酸の含有度に精度良く対応することになる。これにより、対象波数における比補正吸光度の変化量から半田材の劣化度を精度良く評価することができる。
【0119】
図20は、図13に示すスペクトルチャートに関して、ベース波数の1800cm−1付近以上を拡大したものである。図20に示すように、1750cm−1〜2800cm−1に注目すれば、半田材の印刷回数が増加しても、吸光度がさほど変化していないことが観測できる。なお、2340cm−1〜2380cm−1には、二酸化炭素のノイズが発生しているため、この波数帯域は利用しない方が望ましい。したがって、1750cm−1〜2340m−1、2380cm−1〜2800cm−1間の少なくともいずれかの波数を上記参照波数とすれば、各評価対象の金属酸化物、カルボン酸、およびカルボン酸塩の含有度を精度良く分析することが可能となる。
【0120】
図21は、図13に示す吸光度に対し、参照波数をベース波数の1915cm−1として、(73)式を用いて補正した差補正吸光度を示すスペクトルチャートである。なお、同図における横軸は赤外線の波数を示し、縦軸は差補正吸光度を示す。図21と図13とを比較すると、半田材の印刷回数が増加しても、吸光度がさほど変化しない波数帯域(
1240cm−1付近、1460cm−1付近、および1800cm−1付近以上)における差補正吸光度のバラツキが少なくなっていることがわかる。
【0121】
したがって、カルボン酸塩およびカルボン酸の赤外線吸収が観測される波数帯域(1300cm−1付近、1600cm−1、および1700cm−1付近)において、半田材の印刷回数の増加に対する差補正吸光度の変化量は、各評価対象のカルボン酸塩およびカルボン酸の含有度に精度良く対応することになる。これにより、対象波数における差補正吸光度の変化量から半田材の劣化度を精度良く評価することができる。
【0122】
〔半田材評価装置〕
次に、本実施形態の半田材評価方法を実現する半田材評価装置について説明する。なお、以下で説明する半田材評価装置は、あくまで、本実施形態の半田材評価方法を実現する装置の例示であり、本実施形態の半田材評価方法を実現するにあたって、以下の半田材評価装置が必須となるわけではない。
【0123】
本実施形態の半田材評価装置は、評価対象の半田材に光を照射する光源と、上記光が照射されることによって評価対象の半田材から反射する対象波数および参照波数の赤外線の強度を検出する検出手段と、上記検出された参照波数の強度より求まる参照波数の評価指標を用いて、上記検出された対象波数の強度より求まる対象波数の評価指標を補正し、上記補正された対象波数の評価指標を出力する制御手段とを備える構成である。
【0124】
ここで、評価指標としては、赤外線強度、吸光度などが挙げられる。また、上記補正としては、対象波数の評価指標から参照波数の評価指標を、減算したり除算したりすることが挙げられる。
【0125】
これにより、補正された対象波数の評価指標は、上記評価対象の半田材における金属酸化物、カルボン酸、カルボン酸塩の含有度の変化のみに依存し、その他の変化には依存しない。したがって、半田材評価装置のオペレータは、これら補正された評価指標を参照することによって、評価対象の半田材に含有している金属酸化物、カルボン酸、カルボン酸塩の含有度を精度良く評価でき、評価対象の半田材の劣化度を精度良く評価できる。
【0126】
また、上記構成において、光源と半田材との間、または、半田材と検出手段との間に、赤外線のみを透過させる光学フィルタを設ければ、検出手段は、半田材から反射する赤外線を検出することが可能となる。
【0127】
以下、本実施形態の半田材評価装置の実施例を説明する。
【0128】
〔半田材評価装置の実施例〕
本実施例の半田材評価装置(評価指標算出装置、評価装置)100は、図22に示すように、光源10、バンドパスフィルタ11、プレート12、半田材13、光電変換器(検出手段)14、制御部(補正手段)15、表示部(評価手段)16、記憶部20、および操作部21を備えている。
【0129】
光源10は、プレート12の方向に向けて光を照射するランプであり、例えば、セラミック光源が使用される。
【0130】
バンドパスフィルタ11は、光源10とプレート12との間であって光源10の光軸上に配置されている光学フィルタである。このバンドパスフィルタ11は、対象波数および参照波数の赤外線のみを透過するものである。なお、対象波数は、上述の実施例で説明したものと同様であり、金属酸化物、カルボン酸、カルボン酸塩のうちの少なくとも一つの赤外線吸収が認められる波数である。また、参照波数は、上述の実施例で説明したものと同様であり、半田材の印刷回数が増加しても赤外線強度がさほど変化しないピーク波数およびベース波数のうちの少なくとも一つの波数である。
【0131】
プレート12は、半田材13を載せるためのステージである。このプレート12上に配される半田材13には、光源10からの光がバンドパスフィルタ11を介して照射される。よって、半田材13に照射される光は特定波数の赤外線となる。
【0132】
半田材13は、前記評価対象の半田材に該当するものであり、照射された赤外線を反射する。
【0133】
光電変換器14は、入射する赤外線の強度を検出する。さらに、光電変換器14は、検出した赤外線の強度を示すアナログ信号を生成し、該アナログ信号を制御部15へ送信する。この光電変換器14の例としては、例えば、MCT(光導電素子,HgCdTe)を用いたデバイスが挙げられる。なお、光電変換器14は、プレート12上の半田材13から反射する赤外線の光軸上に位置するように設けられている。
【0134】
制御部15は、光電変換器14から送られてくるアナログ信号を処理するブロックであり、該アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D(Analog to Digital)コンバータと、該デジタル信号に基づいてデータ処理を行うコンピュータとによって構成される。
【0135】
表示部16は、制御部15から送られてくるデータを表示する表示パネルである。記憶部20は、各種データを記憶する。操作部21は、半田材評価装置100のオペレータからの各種操作を受け付ける。
【0136】
本実施例の半田材評価装置100の制御部15は、図23に示すように、計測処理部23、評価指標算出部24、および評価指標補正部25を備えている。
【0137】
計測処理部23は、操作部21からの指示に基づき、光源10および光電変換器14を含む計測システムを制御して、上記対象波数および参照波数の赤外線の強度Atar、Arefを計測させると共に、光電変換器14による計測結果を取得する。また、計測処理部23は、操作部21からの指示に基づき、バックグランドの計測結果である上記対象波数および参照波数の赤外線の強度BLtar、BLrefを上記記憶部20に格納する。
【0138】
評価指標算出部24は、上記記憶部61に記憶されたバックグランドの赤外線における上記対象波数および参照波数の強度BLtar、BLrefを用いて、当該計測処理部23による半田材13の計測結果Atar、Arefから、当該評価対象の半田材13の赤外線における対象波数および参照波数の吸光度A´tar、A´refを評価指標として算出する。
【0139】
評価指標補正部25は、当該評価指標算出部24により算出された、上記評価対象の対象波数および参照波数の吸光度A´tar、A´refを用いて、上述したように補正された対象波数の吸光度A´corを算出する。算出された吸光度A´corは、表示部16を介して表示出力される。
【0140】
図24は、本実施例の半田材評価装置100の制御部15における処理動作を示している。同図に示すように、まず、プレート12に半田材13を載せない状態で、操作部21がバックグランド(BL)の計測を指示することにより、計測処理部23は、上記計測システムを制御して、バックグランドの計測を行わせる(ステップS10。以下、単に「S10」と記載することがある。他のステップについても同様である。)。計測処理部23は、バックグランドの計測結果である上記対象波数および参照波数の赤外線の強度BLtar、BLrefを上記記憶部20に格納する。
【0141】
次に、プレート12に半田材13を載せる。そして、計測処理部23は、例えば操作部21からの計測指示などの適当なタイミングで、上記計測システムを制御して、半田材13(サンプル(SP))の計測を行わせる(S11)。この計測の結果、計測処理部23は、半田材13における上記対象波数および参照波数の赤外線の強度Atar、Arefを取得する。
【0142】
次に、評価指標算出部24は、計測処理部23が取得した半田材13における上記対象波数および参照波数の赤外線の強度Atar、Arefと、記憶部20に格納されたバックグランドにおける上記対象波数および参照波数の赤外線の強度BLtar、BLrefとを用いて、上記対象波数および参照波数の吸光度A´tar、A´refを評価指標として算出する(S12)。
【0143】
次に、評価指標補正部25は、算出された上記対象波数および参照波数の吸光度A´tar、A´refを用いて、上述したように、上記対象波数の吸光度A´tarを上記参照波数の吸光度A´refにより補正する(S13)。次に、評価指標補正部25は、補正された対象波数の吸光度A´corを、表示部16を介して表示出力する(S14)。これにより、半田材評価装置100のオペレータは、補正された対象波数の吸光度A´corを参照することにより、評価対象の半田材13に含有している金属酸化物、カルボン酸、カルボン酸塩の含有度を精度良く評価でき、評価対象の半田材の劣化度を精度良く評価できる。そして、ステップS14の後、上記処理動作を終了する。
【0144】
さらに、制御部15は、補正された対象波数の吸光度A´cor、および補正された対象波数の赤外線強度Acorのうち、少なくとも一つを出力する構成であってもよい。つまり、上述した半田材評価方法の実施例における式(71)(73)(75)(77)の少なくとも一つを演算出力する構成であってもよい。
【0145】
また、光源10とプレート12との間にバンドパスフィルタ11を配置するのではなく、図25に示すように、プレート12上の半田材13と光電変換器14との間であって、半田材13から反射する光の光軸上にバンドパスフィルタ11を設ける構成であってもよい。なお、図25では、記憶部20および操作部21の記載を省略している。
【0146】
また、図25に示すように、光電変換器14とバンドパスフィルタ11とは、各々複数備えてもよい。この構成において、例えば、バンドパスフィルタ11aの特定波数を、対象波数とし、バンドパスフィルタ11bの特定波数を参照波数とすれば、対象波数の赤外線強度、および参照波数の赤外線強度のみを計測することが可能となる。また、例えば、バンドパスフィルタ11aの特定波数を、金属酸化物の赤外線吸収が認められる波数とし、バンドパスフィルタ11bの特定波数をカルボン酸の赤外線吸収が認められる波数とすれば、評価対象の金属酸化物の含有度と、カルボン酸の含有度とを分析することが可能となる。
【0147】
さらに、図26に示すように、光源10とプレート12との間であって光源10の光軸上に、複数のバンドパスフィルタ11・・・を含む回転部材30を備える構成であってもよい。この回転部材30は、いずれか一つのバンドパスフィルタ11のみを光源10の光軸上に配する構成であると共に、制御部15からのコマンドに基づいて回転することによって光軸上に配するバンドパスフィルタ11を切り換えるものである。
【0148】
回転部材30に含まれるバンドパスフィルタ11・・・の少なくとも一つは、特定波数が参照波数である。また、上記バンドパスフィルタ11・・・の複数は、特定波数のそれぞれが異なる対象波数であることが好ましい。なお、図26では、記憶部20および操作部21の記載を省略している。
【0149】
この構成によれば、回転部材30に含まれる各バンドパスフィルタ11・・・の特定波数を各々異なるものとすれば、半田材13を反射する各々異なる波数の赤外線を検出することが可能となる。これにより、評価対象の半田材13の金属酸化物の含有度、カルボン酸の含有度、カルボン酸塩の含有度を一回の評価作業で精度良く分析することが可能となる。
【0150】
また、図27に示すような構成とすることも可能である。
【0151】
図27の半田材評価装置100では、プレート12には、一方の面側と他方の面側との間で相互に光を透過させる透光領域(ZnSe等)12aが含まれている。そして、半田材13は、プレート12における一方の面側の透光領域12a上に配置される。
【0152】
さらに、プレート12における他方の面側に対向する位置に、光源10、回転部材30、光電変換器14が配され、さらに、ミラー40・45が配される。具体的には、光源10の光軸上に、光源10からの光の進行方向に沿って回転部材30、ミラー40をこの順序で配置する。そして、ミラー40は、回転部材30を介して光源10から照射される光を透光領域12aの方向へ反射するように設置される。さらに、ミラー45は、透光領域12aからの光を光電変換器14の方向へ反射するように配置される。なお、図27では、表示部16、記憶部20、および操作部21の記載を省略している。
【0153】
この構成によれば、回転部材30に含まれるバンドパスフィルタ11が、光源10から出射した光のうちの特定波数の赤外線のみを透過し、透過した赤外線がミラー40へ導かれる。そして、この赤外線は、ミラー40を反射してプレート12の透光領域12aの方向へ導かれ、透光領域12aを介して、半田材13へ到達することとなる。さらに、半田材13に到達した赤外線は反射し、透光領域12aを介してミラー45へ導かれる。そして、ミラー45へ導かれた赤外線は、このミラー45を反射し、光電変換器14へ入射することとなる。これにより、光電変換器14においては、半田材13を反射する赤外線の強度を検出することが可能となる。
【0154】
図28では、半田材評価装置100は、プリント基板の印刷装置200の近傍に備えられている。
【0155】
この印刷装置200には、半田材が印刷される基板201と、基板201上に配置され、配線パターンが刻まれているメタルマスク202と、メタルマスク202上に配置される半田材13と、半田材13を押圧しながら移動させるスキージ203と、スキージ203を駆動制御するコントローラ204と、が含まれる。
【0156】
そして、半田材評価装置100においては、回転部材30のバンドパスフィルタ11を透過する赤外線を半田材13へ導く光ファイバー51と、半田材13を反射する赤外線を光電変換器14へ導く光ファイバー50と、が備えられる。なお、図28では、表示部16、記憶部20、および操作部21の記載を省略している。
【0157】
この構成によれば、光源10を出射し、回転部材30を透過した赤外線は、光ファイバー51を通して、印刷装置200における半田材13に照射される。そして、この赤外線は、半田材13を反射し、光ファイバー50を通して、光電変換器14へ導かれる。これにより、半田材評価装置100は、印刷装置200に配置されている半田材13をサンプルとして、半田材13の反射赤外線の強度や赤外線吸光度を計測でき、半田材13の劣化度をインライン分析できる。
【0158】
また、図28に示す半田材評価装置100および印刷装置200を図29のように変形することも可能である。
【0159】
図29に示す印刷装置200では、スキージ203において、該スキージ203の一方の面側と他方の面側との間で相互に光を透過させる透光領域(ZnSe等)203aが形成されている。そして、スキージ203の一方の面側に半田材13が配置される。
【0160】
そして、半田材評価装置100においては、光ファイバー150・151が備えられる。光ファイバー151は、回転部材30のバンドパスフィルタ11を透過する赤外線を入射し、この赤外線をスキージ203の他方の面側における透光領域203a上に出射するものである。光ファイバー150は、透光領域203aからの光を入射し、この光を光電変換器14へ導くものである。なお、図29では、表示部16、記憶部20、および操作部21の記載を省略している。
【0161】
この構成によれば、光源10を出射し、回転部材30を透過した赤外線は、光ファイバー151を通して、スキージ203の他方の面側の透光領域203aに照射される。そして、この照射された赤外線は、透光領域203aを透過して半田材13に到達することとなる。さらに、この赤外線は、半田材13を反射し、透光領域203aを透過して光ファイバー150に入射する。そして、光ファイバー150へ入射した赤外線は、光電変換器14へ導かれる。これにより、半田材評価装置100は、印刷装置200に配置されている半田材13をサンプルとして、半田材13の反射赤外線の強度や赤外線吸光度をインラインで計測でき、半田材13の劣化度をインライン分析できる。
【0162】
また、図29に示すように、メタルマスク202において、該メタルマスク202の一方の面側と他方の面側との間で相互に光を透過させる透光領域(ZnSe等)202aを設ける構成であり、メタルマスク202の一方の面上に半田材13を配する構成であってもよい。この構成の場合、光ファイバー151は、回転部材30のバンドパスフィルタ11から入射する赤外線を、メタルマスク202の他方の面側における透光領域202a上に出射するように配置され、光ファイバー150は、メタルマスク202の他方の面側における透光領域202aからの光を入射するように配置される。
【0163】
以上、図26〜図29において、インライン分析が可能な半田材評価装置100を示したが、図30に示すような半田材評価装置500を構成することによって、インライン分析を実現することも可能である。
【0164】
図30に示すように、半田材評価装置500は、印刷装置300に隣接配置され、発光素子501、筐体502、筐体503、連通路504、受光素子505、を含む構成である。
【0165】
また、半田材評価装置500のうちの筐体502が印刷装置300と隣接し、筐体502の内部と印刷装置300の内部とは連通する構成である。さらに、筐体502内部と筐体503内部とは連通路504によって連通されている。
【0166】
印刷装置300は、回路用基板に半田材を印刷するための装置である。印刷装置300の内部においては、印刷処理が行われている状態の基板300aが配されている。また、基板300a上にはメタルマスク300bが配され、メタルマスク300b上には半田材300cが配されている。
【0167】
発光素子501は、半田材に照射するための光を出射する光源であり、例えば、セラミック光源、ハロゲンランプ、LED(Light Emitting Diode)、半導体レーザ(Laser Diode)のうちのいずれか一つが用いられる。
【0168】
筐体502は、発光素子501の出射面と対向するように発光素子501と隣接配置し、発光素子501から出射する光を内部に入射するための入射口(不図示)が構成されている。また、筐体502の内部においては、ミラー502a・502b・502c・502dが配されている。
【0169】
ミラー502aは、上記入射口を介して発光素子501の出射面と対向配置され、発光素子501が出射する光を受光して、この光をミラー502bへ反射する光学手段である。ミラー502bは、ミラー502aが反射する光を受光し、受光した光を印刷装置300の内部の半田材300cへ反射する光学手段である。ミラー502cは、半田材300cから反射する光を受光し、受光した光をミラー502dへ反射する光学手段である。ミラー502dは、ミラー502cが反射する光を受光し、受光した光を、連通路504を介して筐体503内部へ反射する光学手段である。
【0170】
受光素子505は、例えば、MCTを用いた光電変換器であって、筐体503の外壁に接続配置されていると共に、その受光部を筐体503内部に突出させている。
【0171】
筐体503の内部においては、回折格子(グレーティング)503a、ミラー503bが配されている。
【0172】
回折格子503aは、筐体502のミラー502dから反射した光を回折する素子であるが、この光のうちの特定波数帯域の赤外線はミラー503bへ回折される。ミラー503bは、回折格子503aが回折した赤外線を受光し、この赤外線を、受光素子505の受光部へ反射する光学手段である。
【0173】
以上の構成によれば、発光素子501から出射した光は、ミラー502a・502bを介して半田材300cへ照射される。これにより、半田材300cから光が反射するが、この反射された光は、ミラー502c・502dを介して回折格子503aへ導かれる。
【0174】
さらに、回折格子503aは、ミラー502dからの光のうちの特定波数帯域の赤外線をミラー503bへ回折し、ミラー503bは、この赤外線を受光素子505の受光部へ導く。これにより、印刷装置300における半田材300cが反射する光のうちの赤外線を受光素子505の受光部へ導くことができ、インライン分析が可能になる。
【0175】
なお、ピーク波数を参照波数とした場合、半田材のロットが変わって半田材の成分が多少変わると、参照波数の赤外線強度が変わる可能性がある。一方、ベース波数を参照波数とした場合、半田材のロットが変わっても、参照波数の赤外線強度はほとんど変わらない。したがって、ベース波数を参照波数とした場合の評価指標は、半田材の成分が多少変わっても、共通に利用できる絶対指標とみなすことができる。
【0176】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0177】
例えば、上記実施形態では、赤外線強度から吸光度を求めて補正しているが、赤外線強度を補正し、補正された赤外線強度を用いて、補正された吸光度を求めることもできる。
【0178】
また、上記実施形態では、光源からの光を半田材に照射して、半田材から反射した赤外線の強度を計測している。しかしながら、黒体輻射を行う物体や発光ダイオードなど、評価対象が自ら発光する場合には光源は不要である。また、評価対象が液体や気体など、光を透過するものである場合、評価対象を透過した赤外線の強度を計測すればよい。
【0179】
さらに、上記実施形態では、半田材の状態に応じて強度が変化する赤外線の波数を利用しているが、評価対象の状態に応じて強度が変化する任意の波動の波数を利用することができる。ここで、波動としては、赤外線などの電磁波だけでなく、音波などの弾性波を利用することもできる。
【0180】
最後に、半田材評価装置100の各ブロック、特に制御部15は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0181】
すなわち、半田材評価装置100は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである半田材評価装置100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記半田材評価装置100に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0182】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0183】
また、半田材評価装置100を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0184】
本発明の評価装置および評価方法は、例えば、プリント基板の生産ラインにおける印刷工程で使用されるペースト状の半田材を検査する装置および方法として好適であるが、このペースト状の半田材に限定されず、周知の半田材全般に広く適用可能であり、さらに、一般の評価対象の状態の評価に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】本発明の一実施例の半田材評価方法における評価対象の半田材の含有成分および各成分の含有割合(重量%)を示す表である。
【図2】上記半田材評価方法によって得られたチャートであって、半田材が無い状態で光を照射したときに検出される赤外線の強度と、半田材を設けた状態で光を照射したときに検出される赤外線の強度とを示すスペクトルチャートである。
【図3】図2に示すスペクトルチャートから算出した吸光度を示すスペクトルチャートである。
【図4】図2に示すスペクトルチャートから算出した反射率を示すスペクトルチャートである。
【図5】上記半田材評価方法によって得られたチャートであって、使用後の半田材である使用後対象の赤外線吸光度と、未使用の半田材である未使用対象赤外線吸光度とを示すスペクトルチャートである。
【図6】図5に示す使用後対象の赤外線吸光度から未使用対象の赤外線吸光度を差し引いて得られた吸光度差を示すチャートである。
【図7】(a)は、複数の使用後対象について、各使用後対象の赤外線吸光度から未使用対象の赤外線吸光度を差し引いて得られた吸光度差を使用後対象毎に示したチャートであり、(b)は、複数の使用後対象について、印刷回数、粘度、所定波数の赤外線の吸光度を示した表である。
【図8】複数の使用後対象について、各使用後対象の半田材の赤外線吸光度から未使用対象の半田材の赤外線吸光度を差し引いて得られた吸光度差を使用後対象毎に示したチャートであり、520cm−1〜700cm−1の波数帯域についてのチャートである。
【図9】複数の使用後対象について、各使用後対象の半田材の赤外線吸光度から未使用対象の半田材の赤外線吸光度を差し引いて得られた吸光度差を使用後対象毎に示したチャートであり、1270cm−1〜1430cm−1の波数帯域についてのチャートである。
【図10】複数の使用後対象について、各使用後対象の半田材の赤外線吸光度から未使用対象の半田材の赤外線吸光度を差し引いて得られた吸光度差を使用後対象毎に示したチャートであり、1500cm−1〜1650cm−1の波数帯域についてのチャートである。
【図11】複数の使用後対象について、各使用後対象の半田材の赤外線吸光度から未使用対象の半田材の赤外線吸光度を差し引いて得られた吸光度差を評価対象毎に示したチャートであり、1665cm−1〜1730cm−1の波数帯域についてのチャートである。
【図12】評価対象の半田材を反射した赤外線強度を計測して吸光度を算出し、これを、同じ状態の半田材に関して繰り返した場合の吸光度を示すスペクトルチャートである。
【図13】赤外線の波数と、各波数に対応する評価対象の半田材の吸光度との関係を、評価対象毎に示したチャートである。
【図14】図12に示す吸光度に対し、参照波数をピーク波数の1240cm−1として補正した比補正吸光度を示すスペクトルチャートである。
【図15】図12に示す吸光度に対し、参照波数をベース波数の1915cm−1として補正した差補正吸光度を示すスペクトルチャートである。
【図16】図13に示すスペクトルチャートに関して、ピーク波数の1240cm−1付近を拡大したチャートである。
【図17】図13に示す吸光度に対し、参照波数をピーク波数の1240cm−1として補正した比補正吸光度を示すスペクトルチャートである。
【図18】図13に示すスペクトルチャートに関して、ピーク波数の1460cm−1付近を拡大したチャートである。
【図19】図13に示す吸光度に対し、参照波数をピーク波数の1460cm−1として補正した比補正吸光度を示すスペクトルチャートである。
【図20】図13に示すスペクトルチャートに関して、ベース波数の1800cm−1付近以上を拡大したチャートである。
【図21】図13に示す吸光度に対し、参照波数をベース波数の1915cm−1として補正した差補正吸光度を示すスペクトルチャートである。
【図22】本発明の一実施例の半田材評価方法を実現する半田材評価装置を示す模式図である。
【図23】上記半田材評価装置における制御部および記憶部の詳細を示すブロック図である。
【図24】上記制御部における処理動作を示すフローチャートである。
【図25】図22に示す半田材評価装置の変形例を示す模式図である。
【図26】図22に示す半田材評価装置の他の変形例を示す模式図である。
【図27】図26に示す半田材評価装置をさらに変形した構成を示す模式図である。
【図28】図26に示す半田材評価装置をインライン分析用に変形した構成を示す模式図である。
【図29】図28に示す半田材評価装置を変形した構成を示す模式図である。
【図30】さらに異なる形態の半田材評価装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0186】
10 光源
11 バンドパスフィルタ
12 プレート
12a 透光領域
13・300c 半田材
14 光電変換器(検出手段)
15 制御部(補正手段)
16 表示部(評価手段)
20 記憶部
30 回転体
40・45 ミラー
50・51・150・151 光ファイバー
100・500 半田材評価装置(評価指標算出装置、評価装置)
200・300 印刷装置
501 発光素子
502・503 筐体
504 連通路
505 受光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象からの波動の強度を検出し、検出結果に基づいて、上記評価対象の状態を評価するための指標である評価指標を算出する評価指標算出装置であって、
上記評価対象からの波動の波数であって評価対象の状態変化に関係する波数である対象波数の強度と、上記波動の波数であって上記状態変化に無関係な波数である参照波数の強度とを検出する検出手段と、
上記検出された参照波数の強度より求まる参照波数の評価指標を用いて、上記検出された対象波数の強度より求まる対象波数の評価指標を補正する補正手段とを備えることを特徴とする評価指標算出装置。
【請求項2】
上記参照波数は、ベース波数であることを特徴とする請求項1に記載の評価指標算出装置。
【請求項3】
上記参照波数は、ピーク波数であることを特徴とする請求項1に記載の評価指標算出装置。
【請求項4】
上記補正された対象波数の評価指標は、上記参照波数の評価指標に対する上記対象波数の評価指標の比または差であることを特徴とする請求項1に記載の評価指標算出装置。
【請求項5】
上記対象波数は、上記評価対象に光を照射することによって、該評価対象から反射する赤外線の波数であることを特徴とする請求項1に記載の評価指標算出装置。
【請求項6】
上記評価対象は半田材であることを特徴とする請求項5に記載の評価指標算出装置。
【請求項7】
上記対象波数は、上記半田材に含まれる金属酸化物が吸収する赤外線の波数帯域と、上記半田材に含まれる塩が吸収する赤外線の波数帯域と、上記半田材に含まれる酸が吸収する赤外線の波数帯域とのうちの少なくとも1つを含む範囲内に含まれる波数であることを特徴とする請求項6に記載の評価指標算出装置。
【請求項8】
上記金属酸化物が酸化錫であり、上記塩がカルボン酸塩であり、かつ上記酸がカルボン酸であることを特徴とする請求項7に記載の評価指標算出装置。
【請求項9】
上記対象波数は、520cm−1ないし700cm−1、1270cm−1ないし1430cm−1、1500cm−1ないし1650cm−1、および1665cm−1ないし1730cm−1の波数帯域に含まれる波数であることを特徴とする請求項8に記載の評価指標算出装置。
【請求項10】
上記参照波数は、ベース波数であり、該ベース波数は、1750cm−1ないし2800cm−1の波数帯域に含まれる波数であることを特徴とする請求項6に記載の評価指標算出装置。
【請求項11】
上記参照波数は、ベース波数であり、該ベース波数は、1750cm−1ないし2340cm−1、および2380cm−1ないし2800cm−1の波数帯域に含まれる波数であることを特徴とする請求項10に記載の評価指標算出装置。
【請求項12】
上記参照波数は、ピーク波数であり、該ピーク波数は、1200cm−1ないし1280cm−1、および1420cm−1ないし1500cm−1の波数帯域に含まれる波数であることを特徴とする請求項6に記載の評価指標算出装置。
【請求項13】
評価対象からの波動の強度を検出し、検出結果に基づいて上記評価対象の状態を評価する評価装置であって、
請求項1ないし12の何れか1項に記載の評価指標算出装置と、
上記補正手段によって補正された対象波数の評価指標により上記評価対象の状態を評価するための評価手段とを備えることを特徴とする評価装置。
【請求項14】
請求項1ないし12の何れか1項に記載の評価指標算出装置を動作させるための評価指標算出装置制御プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるための評価指標算出装置制御プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載の評価指標算出装置制御プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項16】
評価対象の状態を評価するための指標である評価指標を算出する評価指標算出方法であって、
上記評価対象からの波動の波数であって評価対象の状態変化に関係する波数である対象波数の強度と、上記波動の波数であって上記状態変化に無関係な波数である参照波数の強度とを検出する検出工程と、
上記検出された参照波数の強度より求まる参照波数の評価指標を用いて、上記検出された対象波数の強度より求まる対象波数の評価指標を補正する補正工程とを含むことを特徴とする評価指標算出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2008−116365(P2008−116365A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300811(P2006−300811)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】