説明

試料低温保存容器および生体輸送支援システム

【課題】液体窒素等の昇華または蒸発する冷媒を用いず、試料の受領者が試料の健全性を受領時に容易に確認することができる試料低温保存容器と、それを使用した輸送取引支援システムを提供する。
【解決手段】保存容器100は、格納容器11に格納された試料容器Sをスターリング冷凍機15によって冷却保持する構造を有する。保存容器100内の室温域に汚染物質の付着によって化学的特性または物理的特性が変化する検知素子18を配置し、保存容器100の外部から非接触的に検知素子18を検査することにより、保存容器100の内部への汚染物質の侵入の有無を検査することを可能とした。さらに、その検査結果を検査装置30から受信して記憶し、輸送元が操作可能な端末、輸送業者が操作可能な端末および、輸送先が操作可能な端末のうちの少なくとも2つの端末に電気通信回線を介して接続して検査結果を送信するサーバを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の低温輸送や低温貯蔵に用いられる試料低温保存容器、および、これを用いた生体輸送支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に細胞や微生物、蛋白質等の有機物質(以下「試料」という)を、所定の保管場所(以下「A地点」とする)から他の利用場所(以下「B地点」とする)に輸送する場合には、輸送中の試料の品質の劣化を防ぐために、試料は低温に維持された状態で輸送される。このような用途に用いられる試料低温保存容器としては、真空断熱容器内に冷媒としての液体窒素を充填し、この液体窒素によって試料を保冷する構造のものが知られている。
【0003】
このような試料低温保存容器を用いる場合、A地点において、発送者は、容器内部に液体窒素を注入した後、試料を収容する。こうして試料は−196℃近傍に保持された状態で車両等によりB地点へ輸送される。B地点において、試料は、受領者に引き取られた後、例えば、−140℃以下に保持された冷凍庫に貯蔵される。
【0004】
冷媒として液体窒素を用いる場合、容器内は絶えず発生する冷媒の蒸発ガスによって、外気圧よりも高い正圧となる。そのため、逆に容器の破裂を防止するために、試料低温保存容器は、その内圧が一定となるように、蒸発ガスが外部に漏れる構造となっている。こうして、試料低温保存容器の内部から外部に蒸発ガスが漏洩し続けることで、細菌等の汚染物質が試料低温保存容器の内部に侵入することが防止され、試料の品質の保持が可能となる。このように、試料の品質が輸送中に劣化したり、汚染されたりしていないことが保証されていること、つまり、A地点での出荷時の状態がB地点においても維持されていることが保証されていることは、受領者にとっては極めて重要である。
【0005】
しかし、ドライアイスや液体窒素等の昇華または蒸発する冷媒を使用する試料低温保存容器では、蒸発ガスによって酸欠状態が生じるおそれがあり、また、容器転倒や破損による冷媒流出や異常蒸発のおそれがある。そのため、このような試料低温保存容器を気密性の高い航空機の客室等や乗用車の車内に持ち込んで輸送することは一般的には行うことができず、特別な措置(例えば、転倒防止仕立ての輸送カーゴを用いて乗客と別室の輸送室に格納して輸送する等)が必要となる。このような方法には輸送コストが嵩むという問題がある。
【0006】
そこで、液体窒素等の昇華または蒸発する冷媒を用いずに試料を冷凍保存することができる試料低温保存容器として、冷凍機を用いて試料を−140℃以下に冷却保持することができ、試料容器(マイクロプレート)の保冷チャンバに対する搬入出を、保冷チャンバ内に外気が流入したり、保冷チャンバ内の冷気が外部に流出したりすることなく、容易に行うことができる構造を有する保管装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。より具体的には、外部から試料容器を保管装置へ収容する場合には、まず、試料容器を保管装置内に設けられた前室に収容する。このとき、前室と保冷チャンバとは隔離されている。前室と外部とを遮断した後に、前室と保冷チャンバとの間に設けられている内扉を開いて、前室から保冷チャンバへ試料容器を機械搬送し、その後、内扉を閉める。試料容器を保冷チャンバから外部に搬出する場合には、これと逆の操作が行われる。
【特許文献1】特開2005−247551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された保管装置では、マイクロプレートを前室に対して搬入出する際に、前室に大気中の汚染物質である細菌が入り込み、試料たる微生物や細胞等の生体に細菌が付着して、試料が汚染されたり変質したりするおそれがある。そのため、この保管装置を用いて試料を輸送する場合、受領者は試料の健全性を受領時に確認できないという問題がある。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、液体窒素等の昇華または蒸発する冷媒を用いず、試料の受領者が試料の健全性を受領時に容易に確認することができる試料低温保存容器を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明に係る試料低温保存容器を用いても、試料(生体)をA地点からB地点へ輸送する際、試料の品質が輸送中に劣化したり、汚染されたりしていないこと(健全性)が保証されていること、つまり、A地点での出荷時の状態がB地点においても維持されていることが保証されていることは、B地点の受領者にとっては極めて重要である。
【0010】
特に、A地点の病院の患者自身の例えば皮膚細胞を、B地点の培養センタに輸送し、培養センタで作った人工多機能性幹(iPS)細胞を、再びA地点の病院に輸送し、患者の治療に使用する場合、往路、復路、それぞれの輸送完了時において、皮膚細胞やiPS細胞等の細胞の、汚染、特に細菌の混入による汚染が無いこと(健全性)を保証することは極めて重要である。
【0011】
例えば、往路においては、培養前の輸送完了時に、万が一、汚染無しの保証がされず、汚染されていることがわかれば、培養を行うことなく、例えば、再度A地点の病院から試料を発送する処理を行うことができる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、試料(生体)に汚染が無いこと(健全性)を保証可能な生体輸送支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る試料低温保存容器は、格納容器に格納された試料を冷凍機によって冷却保持する構造を有し、試料低温保存容器内の室温域に汚染物質の付着によって化学的特性または物理的特性が変化する検知素子を配置し、試料低温保存容器の外部から非接触的に検知素子を検査することにより、試料低温保存容器の内部への汚染物質の侵入の有無を検査することができるものである。
【0013】
また、本発明に係る生体輸送支援システムは、前記試料低温保存容器の内部への汚染物質の侵入の有無の検査の検査結果を記憶する記憶手段と、前記試料の輸送元が操作可能な第1端末、前記試料の輸送業者が操作可能な第2端末および、前記試料の輸送先が操作可能な第3端末のうちの少なくとも2つの端末に、電気通信回線を介して接続して前記検査結果を送信する通信手段とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、試料の受領者は、試料の健全性を受領時に容易に確認することができる試料低温保存容器を提供できる。
また、本発明によれば、試料(生体)に汚染が無いこと(健全性)を保証可能な生体輸送支援システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
《第1実施形態》
<試料低温保存容器の全体構造>
図1に本発明の一実施形態に係る試料低温保存容器(以下「保存容器」という)100の概略構造を表した断面図を示す。この保存容器100は、概略、被冷却体(試料)が収納された試料容器Sを格納する格納容器11(格納手段)と、格納容器11に取り付けられ、試料容器Sを格納容器11に対して出し入れするための開口12を備えた導入容器13(試料導入手段)と、導入容器13の開口12を閉塞する蓋部材14(閉塞手段)と、格納容器11に格納された試料容器Sを冷却するスターリング冷凍機15(寒冷発生手段)と、格納容器11とスターリング冷凍機15とを収容すると共に、格納容器11とスターリング冷凍機15への外部からの熱の伝達を抑制する断熱容器16(断熱手段)と、を備えている。
【0016】
また、保存容器100では、格納容器11へ侵入した汚染物質を検知するための検知素子18を保持する検知素子保持部材17(検知手段)が、導入容器13の開口12近傍に設けられており、検知素子18の汚染物質との反応の有無を、蓋部材14が導入容器13の開口12を閉塞している状態において蓋部材14の外側から検査することができるように、蓋部材14に窓部19が設けられている。以下、各構成要素について説明するが、説明の順番は前記した符号の順番とは必ずしも一致しない。
【0017】
<格納手段>
格納容器11は熱伝導率の大きな材料からなり、例えば、アルミニウムや銅が好適に用いられる。格納容器11は、その上面で開口している複数の穴部61を備えており、各穴部61に試料容器Sを収容することができるようになっている。格納容器11は、その下面にネジ部62を備えている。
【0018】
格納容器11を断熱容器16内において固定するための支持台63が、略円筒形状の支持筒64の上部に取り付けられており、この支持筒64は、断熱容器16の下蓋65に立設されている。支持台63には、格納容器11が具備するネジ部62と螺合するネジ穴が設けられており、ネジ部62をこのネジ穴に螺合することにより、格納容器11が断熱容器16内において固定される。
【0019】
支持台63はアルミニウム等の熱伝導性に優れる材料で構成されており、これにより、格納容器11と支持台63とが構造的に一体化されると共に、熱的に一体化される。なお、「格納容器11と支持台63とが熱的に一体化される」とは、格納容器11と支持台63とが実質的に同じ温度となることをいう。スターリング冷凍機15は、格納容器11と熱的に一体化された支持台63を介して格納容器11を冷却し、これにより格納容器11に格納された試料容器Sが冷却される。後記するように、スターリング冷凍機15は−140℃以下の低温を発生させることができ、試料容器Sはこのような低温に保持される。
【0020】
支持筒64は、熱伝導率が小さく、格納容器11と支持台63とを機械的に安定して支持することができる機械的強度を有する材料からなり、例えば、各種の硬質プラスチック(FRPを含む)が好適に用いられる。これは、支持筒64が保持する支持台63はスターリング冷凍機15により低温とされるが、下蓋65は外気に接すると共に後記するようにスターリング冷凍機15の圧縮部73で発生する圧縮熱の放熱に用いられているために、下蓋65と支持台63との間での熱の移動が起こらないようにする必要があるためである。支持筒64の側面には、図示しない孔部が形成されており、支持筒64の内側と外側とは、同じ雰囲気(後記するように、真空雰囲気とされる)に維持される。
【0021】
格納容器11には温度計測素子67が取り付けられている。この温度計測素子67はバッテリ電源(図示せず)により動作し、例えば、保存容器100の輸送中における格納容器11の温度履歴(試料容器Sの温度履歴)が、温度記録装置68に記録されるようになっている。温度記録装置68は、温度計測素子67により計測された温度をデータ化するデータ処理部(図示せず)と、データ処理部によって作成された温度データを記憶するデータ記憶部(図示せず)を備えている。
【0022】
データ処理部は、所謂、マイクロコンピュータである。データ記憶部としては、例えば、温度記録装置68に対して着脱可能であると共に、パーソナルコンピュータ(PC)に対して着脱可能なメモリデバイス(例えば、SDカード等)が好適に用いられる。このようなメモリデバイスをPCに装着してこれに記憶された温度データを読み出すことにより、試料容器Sの温度履歴を容易に確認することができる。
【0023】
なお、図1では温度記録装置68を断熱容器16外に示しているが、温度記録装置68は、断熱容器16に装着された構成とすることができる。温度計測素子67による格納容器11の温度計測と温度記録装置68による温度データの記憶は、手動で開始し、終了させる構成とすることができる。また、温度記録装置68に年月日及び時分秒を確認することができる時計を内蔵させ、かつ、温度データの測定と記憶がスターリング冷凍機15の駆動を開始した時に自動的に始まるようにしてもよい。不慮の事故によるスターリング冷凍機15の停止やスターリング冷凍機15を駆動する電源76(後記する)からの電力供給停止が生じても温度計測が実行されるように、温度記録装置68の動作停止は、手動で行うことができるようになっていることが好ましい。
【0024】
<寒冷発生手段>
スターリング冷凍機15は、作業媒体であるヘリウム(He)ガスを圧縮し、高圧となったHeガスを断熱膨張させることで寒冷を発生し、約−140℃以下の低温を発生させることができる。スターリング冷凍機15は支持筒64内に配置されている。スターリング冷凍機15は、Heガスを圧縮する圧縮部73と、圧縮部73で発生する圧縮熱を逃がすための伝熱板74と、圧縮部73で発生させた高圧Heガスを断熱膨張させて寒冷を発生させる冷却部72と、冷却部72の寒冷を支持台63(格納容器11)に伝導する円筒状のリング75と、を備えている。
【0025】
伝熱板74は断熱容器16の下蓋65に取り付けられており、伝熱板74から下蓋65に伝えられた熱は、下蓋65の表面から外部に放熱される構造となっている。そのため、伝熱板74と下蓋65には、安価で熱伝導性に優れるアルミニウムが好適に用いられる。
【0026】
リング75には、熱伝導性に特に優れる銅(Cu)が好適に用いられる。冷却部72は、圧縮部73と伝熱板74とを介して下蓋65に固定されており、一方、格納容器11は、支持台63及び支持筒64によって支持されている。しかし、保存容器100に外部から振動等が加えられた際には、格納容器11と冷却部72のそれぞれの振動に振幅差と位相差が生じることが予想される。そこで、リング75を、冷却部72と支持台63とによって一定の力でその径方向に圧縮された状態とすることにより、保存容器100に外部から振動等が加えられた際には、リング75が変形(撓み変形)してリング75と格納容器11との接触及びリング75と冷却部72との接触が確保され、冷却部72と支持台63との間の熱伝導が確保される。
【0027】
圧縮部73には電源76が取り付けられている。図1では電源76を断熱容器16外に示しているが、例えば、制御ユニットを、下蓋65からの放熱が妨げられないように下蓋65の下側に設け、この制御ユニット内に電源76を配置した構成とすることができる。電源76には電池が用いられ、これにより保存容器100を稼働状態で搬送することができる。電池には、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等の二次電池が好適に用いられる。電源76は、二次電池を容易に着脱交換できる構造となっていると共に、家庭用電源等からACアダプタを用いて充電可能な構造となっており、しかも、ACアダプタによりダイレクトに圧縮部73を駆動することも可能な構造となっている。
【0028】
<試料導入手段>
導入容器13の開口12及び内部空間を通して、試料容器Sが格納容器11に対して出し入れされる。例えば、無菌室内において、液体窒素により−196℃に冷却された状態の試料容器Sが、−140℃以下に保持された格納容器11に挿入される。
【0029】
断熱容器16の上面蓋部81の内周面と導入容器13の外周面との間の隙間を介して空気が断熱容器16内に侵入することがないように、導入容器13は、導入容器13の外周面がOリング82で締め付けられるようにして、フランジ83とボルト84を用いて固定されている。Oリング82は、後記するように、通常、常温近傍の温度環境で用いられる。そのため、Oリング82としては、例えば、フッ素ゴムやシリコーンゴム等の樹脂からなるものが好適に用いられる。
【0030】
導入容器13の開口12近傍(上部)は、外気温とほぼ同じ温度となるが、導入容器13の格納容器11側(下部)では、前記した通りに格納容器11が−140℃近傍の低温に保持されるため、格納容器11と同等の温度となる。そのため、導入容器13には熱伝導率の小さな材料が用いられ、例えば、プラスチックが好適に用いられる。また、導入容器13の内部空間における気体の対流を防止して、導入容器13の上部から下部への熱の伝達を防止するために、発泡スチロール等の断熱材からなる対流防止体85が格納容器11側に配置されており、対流防止体85上に、導入容器13内の上部から下部への輻射熱を遮断するための積層断熱材86が配置されている。例えば、積層断熱材86としては、アルミニウム箔を束ねた構造を有するもの等が好適に用いられる。なお、対流防止体85と積層断熱材86は、断熱手段の構成要素でもある。
【0031】
<閉塞手段>
導入容器13の開口12を蓋部材14により閉塞することにより、格納容器11の内部空間が大気と隔離される。蓋部材14には、金属またはプラスチックからなるものを用いることができる。蓋部材14を導入容器13に取り付けるために、蓋部材14の外周部にはOリング91の上部を収容する溝が形成されており(後記図2参照)、導入容器13の上面には、このOリング91を支持するリング部87が形成されている。そして、クランプ型の取り付け冶具92を用いて、蓋部材14の外周部と導入容器13のリング部87とを締め付けることにより、蓋部材14が導入容器13に固定される。なお、Oリング91は常温近傍の温度環境で用いられるため、Oリング91には、例えば、フッ素ゴムやシリコーンゴム等の樹脂からなるものが好適に用いられる。
【0032】
蓋部材14に設けられている窓部19は、ここでは、後記するように検知素子18の光学的特性の変化を測定することができるように、石英ガラス等の透光性材料からなる。蓋部材14には、導入容器13内の圧力が高くなった場合にガス抜きを行う安全弁93が設けられている。
【0033】
<断熱手段>
断熱容器16の内部は、支持筒64の内部をも含めて、真空雰囲気に保持される。断熱容器16内を真空雰囲気とするために、断熱容器16は、図示しない真空ポンプと接続するための配管部(図示せず)と開閉バルブ(図示せず)とを備えている。断熱容器16は、その内部を減圧雰囲気とした際に外圧との圧力差に耐えて形状を保持することができる機械的強度を有しており、金属またはプラスチックからなるものを用いることができる。
【0034】
断熱容器16の外周は外気温度と同等となるため、断熱容器16内に設けられた低温部(冷却部72、リング75、支持台63、格納容器11)への断熱容器16の外周からの輻射熱を遮断するために、断熱容器16の内側と支持筒64の内側にそれぞれ、円筒状の積層断熱材88が配置されている。積層断熱材88は、積層断熱材86と同様に、アルミニウム箔を束ねた構造を有するもの等が好適に用いられる。
【0035】
なお、断熱容器16内に残った水分や冷却部72よりも沸点の高いガスは、スターリング冷凍機15を駆動した際に、冷却部72に液体または固体として付着することで、断熱容器16内は高い真空度に保持される。
【0036】
<検知手段>
図2に保存容器100の上部の構造を拡大して示すと共に、検知素子18を検査するための検査装置30の概略構成を併記する。検知素子保持部材17は、円板状のガイドトレイ21(大気誘導ガイド部)に、検知素子18を配置するための凹部22(検知素子配置部)が形成された構造を有している。図3に検知素子18及び凹部22の床面を拡大して表した断面図を示す。図3に示すように、凹部22の床面には孔部23が形成されている。
【0037】
ガイドトレイ21は導入容器13の上面(リング部87)に載置されており、導入容器13内に落下することはない形状に設計されている。ガイドトレイ21を位置決めするために、ガイドトレイ21の厚さ以下の突起部を、リング部87表面に1または複数箇所設け、このような突起部と係合する切り欠きまたは穴部をガイドトレイ21の外周部に設けてもよい。
【0038】
導入容器13の内部には対流防止体85と積層断熱材86が配置されているが、導入容器13の内部の平均温度は、外部温度よりも低いために、導入容器13内は外部に対して負圧となっている。そのため、図2に示されるように、導入容器13の開口12と蓋部材14とのシール部(Oリング91によるシール部分)を介して導入容器13内へ流入する大気(空気)がある場合に、この大気は、ガイドトレイ21と蓋部材14との間に形成された空間から凹部22の方向へ誘導されて、孔部23を通過して導入容器13内へと流れ、さらに、導入容器13下部の低温部(格納容器11側)へと拡散する。
【0039】
そこで、凹部22の床面上に検知素子18を配置しておけば、検知素子18は大気と接触しやすくなり、大気に細菌等の汚染物質が含まれている場合に、検知素子18と汚染物質とが反応する確率を高めることができる。これにより、汚染物質が保存容器100内に侵入した場合の検出精度、検出確率を高めて、検知素子18による検査の信頼性を高めることができるようになる。
【0040】
なお、検知素子18が配置される部位の温度は、外気温とほぼ等しくなっている。このように、導入容器13内に侵入した細菌等の活動が抑制されない温度域に検知素子18を配置することで、細菌等を確実に検知素子18と反応させて、その侵入を検知することができるようになる。
【0041】
また、後記するように、検知素子18の検査を光学的方法により行う場合には、結果的に、窓部19を通して観察することができる範囲に検知素子18を固定すればよい。一方、検知素子18の検査を磁気的(電磁気的)方法により外部から非接触で行う場合には、磁気センサの検出可能な範囲内に検知素子18を固定すればよい。
【0042】
[検知素子]
検知素子18としては、例えば、従来の生体分子相互作用測定装置で免疫センサとして用いられており、光学系を利用した計測が可能な貴金属微粒子センサを用いることができる。すなわち、金(Au)や銀(Ag),銅(Cu),白金(Pt)等の金属微粒子センサが凹部22の床面上に固定される。なお、例えば、未反応な状態にある検知素子18が凹部22に固定された複数のガイドトレイ21を準備しておくことにより、ガイドトレイ21を交換することで、検知素子18を新しいものに容易に交換することができる。
【0043】
図3に示されるように、検知素子18としての貴金属微粒子センサは、金属粒子25の上部表面に、抗体やDNA等に対して特異的な吸着能を有し、測定対象である細菌等と相互作用する化学物質または生体分子(リガンド)26(以下「生体分子等26」と記す)が固定された構造を有している。検知素子18としては、こうして生体分子等26で修飾された表面がさらに水分を有した保水性のポリマ(高分子)27で覆われた構造を有するものを用いることが好ましい。これにより、生体分子等26への細菌等の付着性能が高められる。すなわち、細菌等が水分を介して生体分子等26に容易に到達し、生体分子等26と化学結合する効率が高められて、細菌等の検出確率が向上する。こうして、試料の汚染の有無の判断に対する信頼性が向上する。
【0044】
なお、導入容器13の下部にはスターリング冷凍機15により低温に保持される格納容器11が配置されているため、導入容器13内の湿度は大気に比べ低い。そのため、生体分子等26に直接に水分を含ませても、短時間で蒸発してしまうおそれがある。そこで、保水性のポリマ27によって水分の蒸発を抑制することにより、長時間にわたって生体分子等26に水分を保有させて、細菌の付着性能を維持することが可能となる。
【0045】
[検査装置]
検知素子18が細菌等と反応したか否かを、保存容器100の外部から非接触で検査するための検査装置30として、ここでは、光学式の検査装置を取り上げる。図2に示されるように、検査装置30は、窓部19と対向するように配置される光ファイバヘッド33を備えている。この光ファイバヘッド33は、測定光の照射と反射光の受光とを行うことができる構造となっている。検査装置30は、光ファイバを通して光ファイバヘッド33へ測定光を送る光源31と、光ファイバヘッド33が受光した検知素子18からの反射光を、光ファイバを通して受光して分析するデータ処理装置32と、を備えている。
【0046】
データ処理装置32の構造の詳細な図示は省略するが、データ処理装置32は、検知素子18からの反射スペクトルに基づいて検知素子18の吸収スペクトルを求める分光光度計と、分光光度計で得られた吸収スペクトルをA/D変換するA/D変換器と、A/D変換器により変換されたデジタルデータを記憶する記憶デバイスと、吸収スペクトルを表示する表示装置とを備えている。なお、A/D変換器はパーソナルコンピュータ(PC)に設けられたインターフェイスであってもよく、作成されたデジタルデータはPCに付随するハードディスク等の記憶デバイスに記憶され、得られた吸収スペクトルはパーソナルコンピュータのモニタに表示させる構成とすることができる。
【0047】
このような構成により、検査装置30による検査では、まず、光源31で発生させた光が、光ファイバを通って光ファイバヘッド33に到達した後、窓部19を通して検知素子18に照射される。そして、検知素子18からの反射光は、窓部19を通して光ファイバヘッド33に受光され、光ファイバを通してデータ処理装置32内の分光光度計に到達し、そこで吸収スペクトルの計測が行われた後、得られたアナログデータがA/D変換器に送られてデジタルデータに変換され、このデジタルデータが記憶デバイスに記憶され、また、スペクトルが表示装置に表示される。
【0048】
図4に検査装置により測定される吸収スペクトルを模式的に示す。検知素子18の吸収スペクトルは、検知素子18が具備する生体分子等26への細菌等の結合の度合いによって変化する。そのため、細菌等と結合しておらず、汚染されていない健全な状態にある検知素子18の吸収スペクトルは、図4中に破線で示される分光スペクトルになるが、細菌等と結合して汚染された状態にある検知素子18の吸収スペクトルは、図4中に実線で示される分光スペクトルとなり、分光スペクトルのピークシフトが生じる。こうしてデータ処理装置32で得られる吸収スペクトルのピークのずれ幅を計測することにより、細菌が生体分子等26に結合した割合を求めることができ、保存容器100(導入容器13)内の細菌等による汚染の有無を判断することができる。
【0049】
《保存容器の使用形態》
試料の発送者は、発送元の無菌室で保存容器100に試料(試料容器S)を収容する。例えば、液体窒素で冷却された試料の場合には、スターリング冷凍機15を駆動して格納容器11を一定温度に下げた状態で、その試料を格納容器11に格納する。一方、常温の試料の場合には、格納容器11に格納した後にスターリング冷凍機15を駆動する。試料を格納容器11に格納した後には、対流防止体85と積層断熱材86とがセットされ、さらに汚染されていない検知素子18が固定されたガイドトレイ21が導入容器13の開口12にセットされて、蓋部材14により導入容器13の開口12が閉塞される。なお、試料が格納容器11に格納された時点から、温度計測素子67による格納容器11の温度計測を開始し、温度データを温度記録装置68に記録させる。
【0050】
続いて、発送者は、検査装置30を用いて検知素子18の吸収スペクトルを測定する。測定者は、得られた吸収スペクトルのデジタルデータを、例えば、インターネット等の通信手段を利用して、試料の受領者に送信する。これにより、発送者が細菌等の汚染物質に汚染されていない試料を発送したことが証明され、発送者の信頼が確保される。
【0051】
保存容器100では、スターリング冷凍機15によって格納容器11が冷却されることによって、導入容器13の内部空間も冷却されて外気圧に対して負圧となる。そのため、受領者によって蓋部材14が開けられるまでの間は、導入容器13の開口12と蓋部材14との間のシール部を介して大気が導入容器13内に侵入するおそれがある。また、窓部19や安全弁93のシール部からも、大気が導入容器13内に侵入するおそれがある。
【0052】
こうして、導入容器13内に大気が侵入した場合、大気はガイドトレイ21によって検知素子18が固定された凹部22へ導かれて、孔部23から導入容器13内に流れ込む。このとき、この大気内に細菌等の汚染物質が混入していれば、細菌等が検知素子18と反応して、検知素子18の光学的特性(光吸収特性)が変化する。一方、導入容器13内への細菌等の侵入がない場合には、検知素子18の光学的特性は変化しない。
【0053】
ここで、試料を発送する発送元の発送者が、品質を満足し細菌等に汚染されていない試料を格納した保存容器100を、品質を満足している旨の証明書を発行し、更に輸送業者の要請により、輸送を依頼する輸送業者に渡す際に、輸送業者に検知素子18で品質を満足している旨を確認させることも可能である。また、輸送された保存容器100を受け取る受領者は、受け取りの際に、検査装置30を用いて、検知素子18の吸収スペクトルを測定し、その結果を、先に発送者から送られてきた吸収スペクトルと対比して、そのピークシフト量を調べる。その結果、ピークシフト量が、予め定められた所定値以下であれば、保存容器100に収容された試料は汚染されていないものと判断する。また、受領者は、温度記録装置68から温度データを取り出して、輸送期間中に試料が一定の低温に保持されていたか否かを確認することができる。これにより、受領者は、試料に、輸送中に保持温度が上昇することによるダメージの有無を確認することができる。このような検査結果は、パーソナルコンピュータ等を用いて迅速に行うことができ、受領者は、これらの検査結果に基づいて、保存容器100を受領するか拒否するかを決定することができる。
【0054】
このように、保存容器100を用いると、試料の受領者は受領時に試料を取り出すことなく、検知素子18を迅速に検査することができる。その検査結果に異常がなければ、導入容器13の下部の細菌等が繁殖できない低温域に格納されている試料は細菌等に汚染されてないことが保証されるため、受領者は安心して保存容器100を受領し、その内部に保存された試料を使用したり、無菌室内において液体窒素等を用いた別の試料低温保存容器に移して長期保存したりすることができる。一方、検査結果に異常があれば、保存容器100の受領を拒否すると共に、検査結果を発送者へ連絡することにより、受領拒否の正当性を発送者に示すことができる。
【0055】
また、受領者は、試料温度が輸送中に正規の温度に維持されていたか否かを温度記録装置68に記憶された温度データをチェックすることにより、試料が温度上昇により変質等のダメージを受けているか否かを受領前に確認することができる。この結果を試料を受領するか否かの判断基準として、検知素子18の検査結果と合わせて用いることにより、受領者は、さらに安心して試料を受領することができる。
【0056】
さらに、保存容器100を用いれば、検知素子18の検査を、試料を保存容器100から取り出すことなく、非接触手段の1つである光学的方法を用いて行うことができるために、保存容器100の内部が大気に暴露されることがない。こうして、保存容器100を受領する際に保存容器100の内部に細菌等が侵入して試料が汚染される危険を回避することができるため、従来のように、後になって試料が汚染されていたことが判明した場合に、試料汚染の責任の所在がどこにあるのかを、発送者、輸送者及び受領者の間で争うことがなくなる。
【0057】
《第2実施形態》
図5に本発明の第2実施形態に係る保存容器の概略構造を表した断面図を示す。図5は図2と同じ態様で示されており、図示していない部分は、図1に示した部分と同じである。この保存容器100aが保存容器100と異なる点は、検知素子保持部材17として、ガイドトレイ21の表面(上面)に、殺菌手段として、酸化チタン(TiO)等を含む触媒膜35が成膜されたものを用い、この触媒膜35に多くの紫外線(自然光または照明光のいずれであってもよい)が照射されるように、石英ガラス等からなる窓部19をその開口面積を広くして蓋部材14に設けた点にある。
【0058】
この保存容器100aによれば、触媒膜35に紫外線が照射されることによって、蓋部材14とガイドトレイ21との間の空間に活性酸素が発生するため、導入容器13の開口と蓋部材14とのシール部を介して細菌等を含む大気が漏洩してきても、その細菌等を活性酸素により死滅させて、試料の汚染を未然に防ぐことができる。その結果、検知素子18と反応する細菌等が減少するため、細菌等に汚染されない試料を受領者に提供できるという新たな効果が得られる。なお、触媒膜35として、銀(Ag)等の殺菌作用のある物質を含有させて、触媒膜35に付着した細菌等を死滅させる構成としてもよい。
【0059】
《第3実施形態》
図6に本発明の第3実施形態に係る保存容器の概略構造を表した断面図を示す。図6は図2と同じ態様で示されており、図示していない部分は、図1に示した部分と同じである。この保存容器100bが保存容器100と異なる点は、検知素子保持部材17として、ガイドトレイ21の表面(上面)に、殺菌手段として、酸化チタン(TiO)等を含む触媒膜35が成膜されたものを用い、この触媒膜35に紫外線を照射するための紫外線ランプ37を蓋部材14の下面に設けた点である。なお、紫外線ランプ37を動作させるための電源38は、蓋部材14の上面等に固定することができる。
【0060】
紫外線ランプ37を点灯させて触媒膜35に紫外線を照射すると、蓋部材14とガイドトレイ21との間の空間に活性酸素が発生する。これにより、導入容器13の開口と蓋部材14とのシール部を介して細菌等を含む大気が漏洩してきても、その細菌等を活性酸素により死滅させて、試料の汚染を未然に防ぐことができる。保存容器100bでは、強制的に紫外線を触媒膜35に照射するため、前記した保存容器100aよりも高い殺菌能力を得ることができ、細菌等に汚染されない試料を受領者に提供できるという新たな効果が得られる。
【0061】
なお、紫外線ランプ37は、常時点灯してもよいし、間欠的に点灯させてもよい。また、紫外線を外部環境から取り込めない夜間等にのみ紫外線ランプ37を点灯させてもよく、その場合には、前記した保存容器100aと同様に、窓部19の開口面積を広くすることが好ましい。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、保存容器100では、格納容器11に試料容器Sを収容する構造としたが、試料を直接に格納容器11の穴部61に収容して用いてもよい。この場合、穴部61の内周面をフッ素樹脂等でコーティングしておくことで、試料を取り出した後の洗浄等を容易に行うことができる。
【0063】
検知素子18として細菌等を検知する生体分子等26を用い、検知素子18の検査方法として、検知素子18の吸収スペクトルの変化を計測する方法を用いた場合について説明したが、検知素子及び検知素子の検査方法はこれに限定されるものではない。
【0064】
例えば、生体分子等26との反応により蛍光発光する検知素子を使用し、その発光強度を非接触に計測する方法を用いることができる。この場合、保水性のポリマ27(図3参照)の水分中に表面活性剤を溶解させて含有させておくことにより、ポリマ27に付着した細菌等の細胞膜を分解し、その細胞内部の物質と生体分子等26とをより効率よく化学反応、結合させることができる。こうして、発光効率を高めることができる。
【0065】
また、検知素子としては、生体分子等26に磁性粒子を保持させた磁気マーカを用いることができ、その磁性粒子の残留磁束の変化を非接触に計測する方法を用いることもできる。このように磁気的方法を用いる場合には、例えば、窓部19は磁束透過性の材料で構成すればよい。
【0066】
さらに、前記実施の形態では、Heガスを作動流体とする機械式冷凍機を使用したが、これに限られず、ペルチェ素子等の電子式冷凍手段を用いることができる。
【0067】
《第4実施形態》
《生体輸送取引支援システムの使用形態》
図7に、本発明の第4実施形態に係る生体輸送支援システムの用いられる生体輸送の例を示す。
【0068】
まず、病院1が、生体発送元となり、患者自身の例えば皮膚細胞(生体)を、輸送業者2に依頼して、生体発送先となる培養センタ3へ輸送する。生体は、試料低温保存容器100に収納され、試料低温保存容器100ごと輸送業者2の輸送車で輸送される。輸送業者2による輸送の前には、試料低温保存容器100に生体を収納した状態で、試料低温保存容器100に収められた検知素子18の汚染物質との反応の有無を検査する。検査において汚染物質との反応があれば、輸送業者2による輸送の前に、既に、検知素子18が汚染され、さらに、生体も汚染されているとみなされ、輸送は中止される。検査において汚染物質との反応が無ければ、試料低温保存容器100への生体の収納に伴う生体への汚染は無かったとみなされ、良好に生体の収納が行われたことを、病院1と輸送業者2は確認することができる。この確認後に、輸送業者2は、生体の収納された試料低温保存容器100を生体発送先となる培養センタ3へ輸送する。
【0069】
輸送業者2による輸送の後には、試料低温保存容器100に生体を収納した状態で、試料低温保存容器100に収められた検知素子18の汚染物質との反応の有無を検査装置30(図8参照)で検査する。検査において汚染物質との反応があれば、輸送中に、検知素子18が汚染され、さらに、生体も汚染されているとみなされ、培養センタ3による例えば皮膚細胞の人工多機能性幹(iPS)細胞への培養は中止される。検査において汚染物質との反応が無ければ、輸送中の生体への汚染は無かったとみなされ、良好に輸送が行われたことを、輸送業者2と培養センタ3は確認することができる。この確認後に、培養センタ3は、試料低温保存容器100から生体、例えば、皮膚細胞を取り出し、この皮膚細胞を人工多機能性幹(iPS)細胞へ培養する。
【0070】
なお、検査は、輸送の前と後の2回行っているが、場合によっては、輸送前の検査を省いてもよい。この場合、輸送後の検査において、輸送中の汚染の有無だけでなく、輸送前の保存容器100への生体の収納に伴う汚染の有無も含めて検査されることになる。そして、輸送後の検査の検査結果が、汚染物質との反応が無いというものであれば、培養センタ3による培養は実施してもよいと判断できる。
【0071】
次に、培養センタ3が、生体発送元となり、患者自身の例えば皮膚細胞を培養した人工多機能性幹(iPS)細胞(生体)を、輸送業者2に依頼して、生体発送先となる病院1へ輸送する。そして、病院1において、人工多機能性幹(iPS)細胞(生体)を患者の治療に使用する。先の輸送では、病院1が生体発送元となり、培養センタ3が生体発送先となっていたが、今回の輸送では、培養センタ3が生体発送元となり、病院1が生体発送先となっている。このように、病院1及び培養センタ3は、生体発送元と生体発送先のどちらにもなりうる。そして、輸送や検査等の行われ方は、病院1と培養センタ3とが入れ替わった点を除いて、生体発送元から生体発送先先への先の輸送と同様に行われる。
【0072】
図8に、本発明の第4実施形態に係る生体輸送支援システム9の構成図を示す。生体輸送支援システム9は、生体(試料)の輸送において、発送元4、輸送業者2、発送先5の取引のマッチングを行い、良好に生体の授受を行うサーバ7と、生体の輸送を依頼する病院等の複数の発送元4で使用される複数の発送元端末4aと、生体を輸送する複数の輸送業者2が使用する複数の輸送業者端末2aと、生体を例えば加工する培養センタ3等の複数の発送先5で使用される複数の発送先端末5aとを有し、それらのサーバ7と端末2a、4a、5aが、インターネットや電話回線(固定電話と携帯電話の両方の電話回線を含む)等の公衆の用に供されている電気通信回線6を介して、相互に通信可能に接続されて構成されている。また、生体輸送支援システム9は、複数の試料低温保存容器100と、試料低温保存容器100毎に設けられる専用端末8と、試料低温保存容器100に対して前記検査を行う検査装置30を有している。なお、保存容器100には、運送中の衝撃や落下を検出可能な加速度センサが取り付けられ、加速度センサで計測された加速度データが前記温度記録装置68に前記温度データと共に記録されるようになっている。また、保存容器100と専用端末8の少なくともどちらか一方には、GPSが取り付けられ、GPSで計測される位置データが前記温度記録装置68に前記温度データと共に記録されるようになっている。
【0073】
専用端末8は、保存容器100(温度記録装置68)から、保存容器100の識別情報と温度データと加速度データと位置データを短距離間の無線方式により受信する受信手段8aを有している。さらに、専用端末8は、送信手段8bと記憶手段8cとを有し、記憶手段8cは、受信した保存容器100の識別情報と温度データと加速度データと位置データを記憶し、送信手段8bは、電気通信回線6を介してサーバ7に接続し、記憶されている保存容器100の識別情報と温度データと加速度データと位置データを、電気通信回線6を介してサーバ7に送信する。
【0074】
検査装置30は、保存容器100に対して前記検査を行うので、複数の保存容器100の近くに複数置かれることになるが、保存容器100は、輸送に伴って移動するので、検査装置30aのように発送元4に置かれてもよいし、検査装置30bのように輸送業者2に携帯させてもよいし、検査装置30cのように発送先5に置かれてもよい。検査装置30、30a、30b、30cは、電気通信回線6を介してサーバ7に接続し、前記検査によって取得した検査結果を、電気通信回線6を介してサーバ7に送信する。
【0075】
サーバ7は、詳細は後記するが、受信手段113と送信手段114とを有する通信手段106と、記憶手段115とを有している。受信手段113は、前記検査結果と、保存容器100の識別情報と、温度データと、加速度データと、位置データとを受信し、記憶手段115はこれらを記憶する。送信手段114は、電気通信回線6を介して、発送元端末4a、輸送業者端末2a、発送先端末5aの内の少なくとも2つの端末に接続し、前記検査結果と、保存容器100の識別情報と、温度データと、加速度データと、位置データとを、接続している端末4a、2a、5aに送信する。前記検査結果と、保存容器100の識別情報と、温度データと、加速度データと、位置データとは、発送元端末4a、輸送業者端末2a、発送先端末5aを経由することなく、サーバ7(記憶手段115)に記憶されるので、輸送業者2等によって、検査結果等が改ざんされ難い。また、検査結果等が、少なくとも2つの端末4a、2a、5aへ送信されて、発送元4、輸送業者2、発送先5の少なくとも2者が取得できるので、検査結果等に基づいた汚染が無いこと(健全性)に対する意見の合意形成を2者間以上で容易に行うことができる。そして、汚染が無いという健全性の2者間、さらには、3者間の合意により、健全性を相互に保証し合うことになる。
【0076】
また、サーバ7は、詳細は後記するが、発送元端末4aから送られる生体の輸送、生体の培養等の生体加工条件に関する輸送・培養情報と、輸送業者端末2aと発送先端末5aから送られる輸送・加工請負に関する請負情報とを、電気通信回線6を介し受信手段113を用いて受信し、この輸送・培養情報と請負情報とのマッチングを行って、発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aとに、そのマッチングの結果を、送信手段114を用いて送信する。
【0077】
図9に、サーバ7のブロック図を示す。サーバ7は、サーバ7を統括して制御する制御手段101と、輸送・培養情報と請負情報とのマッチング処理を実行するマッチング手段102と、各端末4a、2a、5aから送られてくる情報をそれぞれのDB(データベース)108〜112に登録する登録手段103と、各端末4a、2a、5aに送信する各種の情報入力画面等を作成し、例えばHTML形式のファイルとして出力する表示作成手段104と、マッチングが成立した輸送・培養情報と請負情報とを補正し詳細な条件例えば受け渡し日時等の条件を調整する補正手段105と、各端末4a、2a、5a、専用端末8、検査装置30、30a、30b、30cと電気通信回線6を介して通信するインターフェイスである通信手段106とを有している。
【0078】
さらに、サーバ7内の記憶手段115は、生体輸送支援システム9に参加する病院1、輸送業者2および培養センタ3に関する情報であるユーザ情報を登録したユーザ情報DB108と、発送元端末4aから送られる生体の輸送、生体の培養等の生体加工条件に関する輸送・培養情報を登録した発送元情報DB109と、輸送業者端末2aと発送先端末5aから送られる輸送・加工請負に関する請負情報を登録した請負情報DB110と、マッチング手段102のマッチング処理の結果であるマッチング情報を登録したマッチング情報DB111と、検査装置30、30a、30b、30cから送られる検査結果(品質情報)や、専用端末8から送られてくる輸送中の温度(データ)、加速度(データ)、位置(データ)等の輸送環境情報や、発送元端末4a(発送先端末5a)から送られる生体の発送直前の状況や加工終了体の品質情報等を登録し品質情報DB112を含んで構成される。これらの各種手段101〜106と各DB108〜112とは内部バス107により相互に接続されている。
【0079】
また、サーバ7は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、ネットワークカードなどから構成されるサーバ用コンピュータにより実現される。制御手段101、マッチング手段102、登録手段103、表示作成手段104および補正手段105は、ハードディスクドライブに登録されたプログラムをRAM上に展開してCPUが実行することで実現される。また、通信手段106は、ネットワークカードに相当する。さらに、ユーザ情報DB108、発送元情報DB109、請負情報DB110、マッチング情報DB111および品質情報DB112は、ハードディスクドライブ上に、それぞれ対応し区画された記憶領域を割当てられている。
【0080】
なお、発送元端末4a、輸送業者端末2aおよび発送先端末5aは、電気通信回線6を介してサーバ7と相互に通信可能な端末装置であり、HTML形式のファイルを閲覧できるWebプラウザと、ネットワークカードとを介した、例えば、パーソナルコンピュータにより実現される。また、輸送業者端末2aは、搬送車に搭載可能であり、搭載したまま送受信でき、さらに、輸送業者2が携帯可能であり、携帯したまま送受信可能である。輸送業者端末2aは、専用端末8(図8参照)を兼ねてもよい。
【0081】
さらに、電気通信回線6は、例えばインターネットを用いることや、セキュリティーを考えてVPN(Virtual Private Network)や専用回線等によるネットワークを用いることができる。なお、電気通信回線6にインターネットを持ちいる場合には、公知の暗号化技術を用いてセキュアに通信が行われることが望ましい。
【0082】
(生体輸送の手順)
図10と図11に、前記生体輸送支援システム9を用いた生体輸送の手順を表したシーケンス図を示す。なお、図10と図11における、矢印の根元側が実施内容の主体を表し、矢印の矢先側が実施内容の客体を表している。
【0083】
(情報登録)
前記生体輸送支援システム9を用いた生体輸送のはじめに、発送元4の病院1、輸送業者2および発送先5の培養センタ3は、発送元端末4a、輸送業者端末2a、発送先端末5aを用いて、サーバ7の管理者に、ユーザ名、住所、電話番号等の所定の項目を有するユーザ情報を送信し(S101〜S103)、生体輸送支援システム9の利用申請を行う。各端末4a、2a、5aか電気通信回線6を介してユーザ情報を送信することで、電子的にユーザ登録の申請を行なう。なお、ユーザ情報の送信は、ユーザ情報を記入した申請用紙を前記管理者へ送付することに替えてもよい。サーバ7の管理者は、これらの利用希望者の審査を行い、問題がない場合には、それぞれのユーザ情報を、サーバ7のユーザ情報DB108に登録する(S104)。ユーザ情報としては、ユーザ名、所在地、電話番号、FAX番号、担当者名等があげられ、各ユーザに一意的に制御手段101によって付されたユーザID(ログインユーザ名)に対応させて登録される。さらに、各ユーザ情報には、それぞれ任意のユーザパスワードが設定されており、各ユーザが生体輸送支援システム9にアクセスする場合に、前記ユーザIDとユーザパスワードとを用いた認証を行なってから、生体輸送支援システム9にログインして利用することになる。
【0084】
ユーザ登録が終了すると、病院1等の発送元4は、発送元端末4aから、表示作成手段104によって作成された図12に示すような輸送・培養指示情報入力画面を表示するように制御手段101へ、電気通信回線6および通信手段106を介して要求する。発送元端末4aには、図12に示すような、輸送・培養指示情報入力画面が表示され、発送元4は、「輸送・培養指示情報を入力してください」の表示に促されて、輸送培養指示情報入力領域内に表示された、「試料低温保存容器輸送荷渡し場所」に対応するテキストボックスには、その荷渡し場所として「A病院 内科」等を的確に入力することができる。以下同様に、発送元4の準備可能な「荷渡し可能日」、生体の入った容器の「容器個数」、生体の入った容器のIDとなる「試料詳細」、発送先を表す「輸送先・返送元」、輸送先へ生体の入った容器が到着する「着荷希望日」、病院が培養センタに依頼する「試料培養条件」、「培養完了体受取希望日」、それぞれに対応するテキストボックス、リストボックスが記載されている。さらに、希望する輸送委託価格、培養委託価格等を記載し、輸送・培養指示情報として入力させてもよい。発送元端末4aは、発送元4に、テキストボックス、リストボックスに指示内容を記入させることで、輸送・培養指示情報を容易に作成(S105)することができるという支援を、提供する。
【0085】
次に、発送元端末4aは、輸送・培養指示情報をサーバ7の受信手段113へ、電気通信回線6を介して送信する(S106)。サーバ7の登録手段103は、受信した輸送・培養指示情報を発送元情報DB109に登録する(S107)。入力した輸送・培養指示情報を確定し、送信をスタートさせるために、発送元4は「登録」ボタンとクリックする。なお、発送・培養指示情報の作成の作業を中止する場合は、「戻る」ボタンをクリックする。
【0086】
サーバ7の制御手段101は、発送元情報DB109から、輸送・培養指示情報を読み出して、送信手段114を用い、電気通信回線6を介して、輸送・培養指示情報を、登録されている複数の輸送業者端末2aと、輸送・培養指示情報内で輸送先として指定されているA培養センタ(発送先)の発送先端末5aとへ、送信する(S108)。
【0087】
輸送業者端末2aは、輸送・培養指示情報を受信すると、表示作成手段104によって作成された図13に示すような輸送受託情報入力画面を表示するように制御手段101へ、電気通信回線6および通信手段106を介して要求する。輸送業者端末2aには、図13に示すような、輸送受託情報入力画面が表示され、輸送業者2は、「輸送受託情報を入力してください」の表示に促されて、輸送受託情報入力領域内に表示された、「試料低温保存容器輸送荷受け業者名」に対応するテキストボックスに、その業者名として「A運輸物流」等を的確に入力することができる。以下同様に、輸送・培養指示情報に基づいて発送元4の指定した日に対して変更可能な「荷受け可能日」、輸送・培養指示情報に基づいた「容器個数」、輸送・培養指示情報に基づいた「試料詳細」、輸送・培養指示情報の輸送先・返送元に基づいた「配達先」、輸送・培養指示情報の着荷希望日に基づいた日に対して変更可能な「配達日」、輸送業者2の見積もり金額である「輸送費価格」、それぞれに対応するテキストボックス、リストボックスが記載されている。輸送業者端末2aは、輸送業者2に、テキストボックス、リストボックスに受託内容を記入させることで、輸送受託情報を容易に作成することができるという支援(S109)を、提供する。
【0088】
次に、輸送業者端末2aは、輸送受託情報をサーバ7の受信手段113へ、電気通信回線6を介して送信する(S111)。サーバ7の登録手段103は、受信した輸送受託情報を請負情報DB110に登録する。入力した輸送受託情報を確定し、送信をスタートさせるために、輸送業者2は「登録」ボタンとクリックする。なお、輸送受託情報の作成の作業を中止する場合は、「戻る」ボタンをクリックする。
【0089】
発送先端末5aは、前記輸送・培養指示情報を受信すると、表示作成手段104によって作成された図14に示すような培養受託情報入力画面を表示するように制御手段101へ、電気通信回線6および通信手段106を介して要求する。発送先端末5aには、図14に示すような、培養受託情報入力画面が表示され、発送先5は、「培養受託情報を入力してください」の表示に促されて、培養受託情報入力領域内に表示された、「培養センタ名」に対応するテキストボックスには、その培養センタ名として「A培養センタ」等を的確に入力することができる。以下同様に、輸送・培養指示情報に基づいて発送元4の指定した日に対して変更可能な「荷受け可能日」、輸送・培養指示情報に基づいた「試料詳細」、輸送・培養指示情報の培養完了体受取希望日に基づいた日に対して変更可能な「培養完了体渡可能日」、培養センタ3の見積もり金額である「培養業務価格」、それぞれに対応するテキストボックス、リストボックスが記載されている。発送先端末5aは、発送先5に、テキストボックス、リストボックスに培養内容を記入させることで、培養受託情報を容易に作成することができるという支援(S110)を、提供する。
【0090】
次に、発送先端末5aは、培養受託情報をサーバ7の受信手段113へ、電気通信回線6を介して送信する(S112)。サーバ7の登録手段103は、受信した培養受託情報を請負情報DB110に登録する。入力した培養受託情報を確定し、送信をスターとさせる際には、発送先5は「登録」ボタンとクリックする。なお、培養受託情報の作成の作業を中止する場合は、「戻る」ボタンをクリックする。
【0091】
(マッチング処理)
次に、サーバ7のマッチング手段102は、登録された発送・培養指示情報と、輸送受託情報と、培養受託情報との、例えば各種日程がマッチングする、発送・培養指示情報と、輸送受託情報と、培養受託情報とを抽出し、マッチングした各種日程等を用いてマッチング情報(輸送マッチング情報と培養マッチング情報とを含む)を作成し、マッチング情報DB111に登録する。
【0092】
表示作成手段104は、輸送マッチング情報に基づいて、図15に示すような輸送マッチング情報一覧画面を構成・作成し、制御手段101は、送信手段114を用いて、発送元端末4aへ送信する(S113)。発送元端末4aには、図15に示すような、輸送マッチング情報一覧画面が表示され、発送元4は、「輸送マッチング情報を入力してください」の表示に促されて、変更が必要であると考えた場合は、「提示」ボタンをクリックすることにより、「試料低温保存容器輸送荷受け業者名」と「輸送発注価格」を、対応するテキストボックス内の記載を変更して入力することができる。変更の有無にかかわらず、発送先5が「登録」ボタンをクリックすることにより、輸送マッチング情報は確定し、発送元端末4aにおいて、契約指示情報が作成(S114)され、サーバ7へ送信される(S115)。変更が無い場合は輸送マッチング情報の内容が、発送元4と輸送業者2との輸送契約の内容になる。
【0093】
また、表示作成手段104は、前記培養マッチング情報に基づいて、図16に示すような培養マッチング情報一覧画面を構成・作成し、制御手段101は、送信手段114を用いて、発送元端末4aへ送信する。発送元端末4aには、図16に示すような、培養マッチング情報一覧画面が表示され、発送元4は、「培養マッチング情報を入力してください」の表示に促されて、変更が必要であると考えた場合は、「提示」ボタンをクリックすることにより、「培養完了日」と「培養発注価格」を、対応するテキストボックス内の記載を変更して入力することができる。変更の有無にかかわらず、発送先5が「登録」ボタンをクリックすることにより、培養マッチング情報は確定し(S116)、発送元端末4aにおいて、契約指示情報が作成され、サーバ7へ送信される。変更が無い場合は培養マッチング情報の内容が、発送元4と発送先5とは培養契約の内容になる。
【0094】
(発注・受注処理)
前記変更があった場合は、サーバ7の補正手段105で、変更内容の適正を判断し、適正であれば変更内容をマッチング情報とし、適正でなければ変更内容を削除・変更し、変更内容が適正の範囲になるようにマッチング情報を修正し、修正したマッチング情報をマッチング情報DB111に登録し、これにより、契約内容(マッチング情報)が確定する。
【0095】
表示作成手段104は、確定したマッチング情報の搬送マッチング情報に基づいて、図17に示すような搬送依頼情報確認一覧画面を構成・作成し、制御手段101は、送信手段114を用いて、発送元端末4aと輸送業者端末2aへ送信し、いわゆる、輸送培養契約を締結するための支援を行う(S117)。送信の結果、発送元端末4aには、図17に示すような、輸送依頼情報確認一覧画面が表示され、発送元4は、「発注・受注を入力してください」の表示に促されて、「発注」ボタンをクリックすることにより、発注信号が発送元端末4aからサーバ7へ送信され、契約としての発注を行うことができる。また、輸送業者端末2aにも、図17に示すような、輸送依頼情報確認一覧画面が表示され、輸送業者2は、「発注・受注を入力してください」の表示に促されて、「受注」ボタンをクリックすることにより、受注信号が輸送業者端末2aからサーバ7へ送信され(S118)、契約としての受注を行うことができる。サーバ7が、発注信号と受注信号とを受信することにより輸送契約が成立したとみなすことができる。
【0096】
また、表示作成手段104は、確定したマッチング情報の培養マッチング情報に基づいて、図18に示すような培養依頼情報確認一覧画面を構成・作成し、制御手段101は、送信手段114を用いて、発送元端末4aと発送先端末5aへ送信する。送信の結果、発送元端末4aには、図18に示すような、培養依頼情報確認一覧画面が表示され、発送元4は、「発注・受注を入力してください」の表示に促されて、「発注」ボタンをクリックすることにより、発注信号が発送元端末4aからサーバ7へ送信され(S119)、契約としての発注を行うことができる。また、発送先端末5aにも、図18に示すような、培養依頼情報確認一覧画面が表示され、発送先5は、「発注・受注を入力してください」の表示に促されて、「受注」ボタンをクリックすることにより、受注信号が発送先端末5aからサーバ7へ送信され(S120)、契約としての受注を行うことができる。サーバ7が、発注信号と受注信号とを受信することにより培養契約が成立したとみなすことができる。前記で、発注・受注処理が終了する。
【0097】
(検査・輸送処理)
表示作成手段104は、搬送の当日に、契約の成立したマッチング情報の搬送マッチング情報に基づいて、図19に示すような荷受時品質情報及び輸送受託情報一覧画面を構成・作成し、制御手段101は、送信手段114を用いて、発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aへ送信する。発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aは、荷受時品質情報及び輸送受託情報一覧画面を表示する。発送元4と輸送業者2は、「荷受時品質情報を入力してください(検査を実施してください)」の表示に促されて、侵入した細菌等の汚染物質を検知するための検知素子18により現場にて細菌で汚染されているか否かの検査を行う(S121)。検査は、輸送業者2か発送元4が、検査装置30、30a、30bを用いて行う。検査結果は、検査装置30、30a、30bから、電気通信回線6を介して、サーバ7へ送信される。検査結果は、記憶手段115の品質情報DB112に記憶される。
【0098】
そして、検査結果は、制御手段101によって、送信手段114を用いて、発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aへ送信する。発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aは、検査結果を、荷受時品質情報及び輸送受託情報一覧画面上の「試料品質」において、品質グレードと細菌の質量として表示する。品質グレードと細菌の質量のそれぞれに対応する「確認」ボタンを、発送元4、輸送業者2、発送先5が、発送元端末4a、輸送業者端末2a、発送先端末5aのそれぞれにおいてクリックすることによって、品質保証信号がサーバ7に送信される。サーバ7における品質保証信号の受信記録によって、発送元4、輸送業者2、発送先5は相互に、生体の品質を保証しあうことができる。サーバ7の制御手段101は、前記品質保証信号の受信記録に基づいて、荷受時品質情報及び輸送受託情報一覧画面に、「保証済」の表示をする。「保証済」の表示がされると、輸送業者2は、保存容器100を輸送することが可能になり、「受託」ボタンをクリックし、保存容器100を、発送元4から受け取り、輸送をスタート(S121)させる。なお、「受託」ボタンのクリックの前後で、試料低温保存輸送容器IDの入力が可能になる。入力は、テキストボックスへの入力や、バーコードリーダによる入力を行うことができる。試料低温保存輸送容器IDは、発送元端末4a又は輸送業者端末2aから入力され、サーバ7に送信され、マッチング情報DB111に、生体のIDである試料詳細と対応付けて登録される。
【0099】
(輸送環境情報処理)
輸送がスタート(S121)すると、保存容器100の専用端末8は、内蔵するタイマで日時(月・日・時・分)を計測し、内蔵するGPSで移動地点(位置)を計測し、内蔵する温度計で輸送時の気温を計測し、保存容器100の温度計測素子67で計測された容器温度を受信手段8aを用いて受信し、保存容器100の加速度計で計測された加速度を受信手段8aを用いて受信し、保存容器100のIDを保存容器100から受信する。そして、日時(月・日・時・分)、移動地点(位置)、気温、容器温度、加速度、保存容器100のIDを、輸送環境情報として、専用端末8は、記憶手段8cに記憶し、送信手段8bを用いてサーバ7へ送信する(S122)。計測、受信、送信は、所定の時間間隔で繰り返し実施される。また、容器温度等の計測値が所定の閾値を超えた場合に、同時に計測した日時と共にその計測値を受信、送信してもよい。
【0100】
サーバ7は、輸送環境情報を、受信手段113を用いて受信する。サーバ7の登録手段103は、輸送環境情報を、品質情報DB112に登録する(S123)。
サーバ7の表示作成手段104は、輸送環境情報に基づいて、図20に示すような輸送環境情報一覧画面を構成・作成する。発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aからの求めに応じて、制御手段101は、送信手段114を用いて、輸送環境情報一覧画面を、発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aへ送信する。送信の結果、発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aには、図20に示すような、輸送環境情報一覧画面が表示され、発送元4、輸送業者2、発送先5は、「輸送環境情報を表示します。試料詳細(ID)を入力してください」の表示に促されて、試料詳細のテキストボックスに、見たい生体の試料詳細(ID)を入力することにより、試料詳細は、発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aから、サーバ7へ送信される。サーバ7の制御手段101は、受信した試料詳細に対応付けられ、実際に生体の収められた保存容器100のIDを、マッチング情報DB111を用いて抽出し、抽出した保存容器100のIDに対応付けられた輸送環境情報(日時(月・日・時・分)、移動地点(位置)、気温、容器温度、加速度)を抽出し、試料詳細(ID)の入力のあった発送元端末4a、輸送業者端末2a、発送先端末5aへ送信する(S124)。発送元端末4a、輸送業者端末2a、発送先端末5aは、輸送環境情報を受信し、図20に示すような輸送環境情報一覧画面上に表示する。発送元4、輸送業者2、発送先5は、それぞれの端末4a、2a、5aで輸送環境情報を閲覧でき、いわゆる情報の共有化ができ、後記する輸送業者2から発送先5への生体の引渡しに際の、生体の品質の保証の合意形成をスムーズに行うことができる。
【0101】
(輸送先での受領・検収処理)
表示作成手段104は、発送先5への荷渡し日の当日に、契約の成立したマッチング情報の搬送マッチング情報に基づいて、図21に示すような荷渡時品質情報及び受領検収画面を構成・作成し、制御手段101は、送信手段114を用いて、発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aへ送信する。発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aは、荷渡時品質情報及び受領検収画面を表示する。輸送業者2と発送先5は、保存容器100の受け渡しの際に、「荷渡時品質情報を入力してください(検査を実施してください)」の表示に促されて、侵入した細菌等の汚染物質を検知するための検知素子18により現場にて細菌で汚染されているか否かの検査(S125)を行う。検査は、輸送業者2か発送先5が、検査装置30、30b、30cを用いて行う。検査結果は、検査装置30、30b、30cから、電気通信回線6を介して、サーバ7へ送信される。検査結果は、記憶手段115の品質情報DB112に記憶される。
【0102】
そして、検査結果は、制御手段101によって、送信手段114を用いて、発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aへ送信する。発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aは、検査結果を、荷渡時品質情報及び受領検収画面上の「試料品質」において、品質グレードと細菌の質量として表示する。品質グレードと細菌の質量のそれぞれに対応する「確認」ボタンを、発送元4、輸送業者2、発送先5が、発送元端末4a、輸送業者端末2a、発送先端末5aのそれぞれにおいてクリックすることによって、品質保証信号がサーバ7に送信される。サーバ7における品質保証信号の受信記録によって、発送元4、輸送業者2、発送先5は相互に、生体の品質を保証しあうことができる。生体の品質を保証しあうことは、劣化しやすい生体の試料の受領・検収業務を行う際に非常に重要である。特に、発送先5に属する試料低温保存容器受領検収者は、対応するテキストボックスに氏名を入力し、検収済みの意を示すために、「確認」ボタンをクリックする。入力された氏名は、発送先端末5aからサーバ7へ送信され(S126)、サーバ7の品質情報DB112に登録される(S127)。さらに、氏名は、サーバ7から発送元端末4aと輸送業者端末2aへ送信され(S130)、荷渡時品質情報及び受領検収画面上に試料低温保存容器受領検収者として表示される。
【0103】
サーバ7の制御手段101は、前記品質保証信号の受信記録に基づいて、荷渡時品質情報及び受領検収画面に、「保証済」の表示をする。「保証済」の表示がされると、発送先5は、保存容器100を受託することが可能になり、「受託」ボタンをクリックし、保存容器100を、輸送業者2から受け取り、培養業務をスタートさせる(S125)。一方、輸送業者2の輸送業務は終了する。
【0104】
(培養環境情報処理)
培養がスタート(S125)すると、サーバ7の表示作成手段104は、図22に示すような培養環境情報一覧画面を構成・作成する。制御手段101は、送信手段114を用いて、培養環境情報一覧画面を、発送先端末5aへ送信する。発送先端末5aには、図22に示すような、培養環境情報一覧画面が表示され、発送先5(培養センタ3)は、「培養環境情報を入力してください/試料詳細(ID)を入力してください」の表示に促されて、試料詳細のテキストボックスに、生体の試料詳細(ID)を入力し、培養環境情報の表形式のテキストボックスに、日時(月・日・時・分)、試料No.、培養条件No.、培養段階レベル、予定する完成日(月・日・時・分)等を入力する。発送先端末5aは、発送先5(培養センタ3)に、テキストボックスに培養の様子を記入させることで、培養環境情報を容易に作成することができるという支援を、提供する。発送先5(培養センタ3)が、「登録」ボタンをクリックすることで、培養環境情報は確定し、試料詳細とともに発送先端末5aからサーバ7へ送信される(S201)。サーバ7の登録手段103は、培養環境情報と試料詳細を、品質情報DB112に登録する(S202)。
【0105】
サーバ7の制御手段101は、送信手段114を用いて、図22に示すような培養環境情報一覧画面と、培養環境情報と、試料詳細とを、発送元端末4aと輸送業者端末2aへ送信する(S203)。発送元端末4aと輸送業者端末2aには、図22に示すような、培養環境情報一覧画面が表示される。また、発送元端末4aと輸送業者端末2aは、受信した培養環境情報と試料詳細を、培養環境情報一覧画面上に表示する。発送元4と輸送業者2は、発送元端末4aと輸送業者端末2aで培養環境情報を閲覧でき、発送先5といわゆる情報の共有化ができる。後記する返送のための発送先5から輸送業者2への生体の引渡しに際の、生体の品質の保証の合意形成をスムーズに行うことができる。なお、輸送業者2には、培養環境情報の全てを閲覧させる必要はなく、培養の完成日(完了の予定日)等を閲覧できるように閲覧の制限を行ってもよい。
【0106】
表示作成手段104は、培養の完了の予定日(培養完了日)の当日に、マッチング情報DB111に登録されているマッチング情報に基づいて、図23に示すような培養完了情報画面を構成・作成し、制御手段101は、送信手段114を用いて、発送先端末5aへ送信する。発送先端末5aは、培養完了情報画面を表示する。発送先5(培養センタ3)は、培養完了の際に、「培養完了情報を入力してください」の表示に促されて、培養された生体が、細菌で汚染されているか否かの検査を行う。この検査は、保存容器100に収納する前に行われる。検査の結果は、発送先5(培養センタ3)によって、培養完了情報画面上の「試料培養体品質」において、品質グレードと細菌の質量のテキストボックスに入力される。そして、検査の結果は、発送先端末5aから、電気通信回線6を介して、サーバ7へ送信される。検査の結果は、記憶手段115の品質情報DB112に記憶される。そして、検査の結果は、図23に示すような培養完了情報画面とともに、制御手段101によって、送信手段114を用いて、発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aへ送信される。発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aは、検査の結果を、培養完了情報画面上の「試料培養体品質」において、品質グレードと細菌の質量として表示する。品質グレードと細菌の質量のそれぞれに対応する「確認」ボタンを、発送元4、輸送業者2、発送先5が、発送元端末4a、輸送業者端末2a、発送先端末5aのそれぞれにおいてクリックすることによって、品質保証信号がサーバ7に送信される。サーバ7における品質保証信号の受信記録によって、発送元4、輸送業者2、発送先5は相互に、生体の品質を保証しあうことができる。生体の品質を保証しあうことは、劣化しやすい生体の試料の受領・検収業務を行う際に非常に重要である。特に、発送先5に属する試料培養体品質検査確認者は、対応するテキストボックスに氏名を入力し、検査合格の意を示すために、「確認」ボタンをクリックする。入力された氏名は、発送先端末5aからサーバ7へ送信され(S204)、サーバ7の品質情報DB112に登録される(S205)。さらに、氏名は、サーバ7から発送元端末4aと輸送業者端末2aへ送信され(S206)、培養完了情報画面上に試料培養体品質検査確認者として表示される。
【0107】
(完成体試料輸送情報処理)
サーバ7において品質保証信号が受信されると、表示作成手段104は、マッチング情報DB111に登録されているマッチング情報を用いて、図24に示すような返送(輸送)依頼情報確認一覧画面を構成・作成する。今回の輸送は、先の発送先へ送り返すことなので、試料低温保存輸送容器荷渡し場所は、先の輸送の発送先5であるA培養センタに特定できる。また、輸送先は先の輸送の発送元4であるA病院内科に特定できる。試料低温保存容器輸送荷受け業者名は、先の輸送で実績のある輸送業者2のA運輸物流に特定することができる。荷受け日は、品質情報DBに記憶されている培養の完了の予定日(培養完了日)にとくていすることができる。荷渡し日は、先の輸送に要した日数を、荷受け日に加えた日とすることができる。輸送発注価格は、先の輸送の輸送費価格と同じに設定することができる。試料詳細は、先の輸送の試料詳細と同じに設定することができる。
【0108】
こうして表示作成手段104によって作成された返送(輸送)依頼情報確認一覧画面における返送(輸送)依頼情報(いわゆるマッチング情報)は、マッチング情報DB111に登録される(S207)。また、返送(輸送)依頼情報確認一覧画面は、サーバ7から、発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aとに送信される(S208)。発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aとは、返送(輸送)依頼情報確認一覧画面を表示する。発送元4と輸送業者2と発送先5(培養センタ3)は、「返送(輸送)依頼情報の変更を入力してください」の表示に促されて、返送(輸送)依頼情報に不具合がある場合は、テキストボックスから荷渡し日や輸送発注価格等を変更することができる。変更が無い場合もある場合も、「登録」ボタンをクリックすることで、返送(輸送)依頼情報(マッチング情報)が、サーバ7へ送信される(S209)。
【0109】
前記変更があった場合は、サーバ7の補正手段105で、変更内容の適正を判断し、適正であれば変更内容をマッチング情報とし、適正でなければ変更内容を削除・変更し、変更内容が適正の範囲になるようにマッチング情報を修正し、修正したマッチング情報をマッチング情報DB111に登録し、これにより、契約内容(マッチング情報)が確定する。輸送業者2の受注が確定したことになる。
【0110】
(検査・返送処理)
表示作成手段104は、荷受け日の当日に、確定したマッチング情報に基づいて、図25に示すような荷受時品質情報及び輸送受託情報一覧画面を構成・作成し、制御手段101は、送信手段114を用いて、返送先の病院1にある発送元端末4aと輸送業者端末2aと返送元の培養センタ3にある発送先端末5aへ送信する。発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aは、荷受時品質情報及び輸送受託情報一覧画面を表示する。発送元4と輸送業者2は、「荷受時品質情報を入力してください(検査を実施してください)」の表示に促されて、侵入した細菌等の汚染物質を検知するための検知素子18により現場にて細菌で汚染されているか否かの検査を行う(S121)。検査は、先の輸送の(検査・輸送処理)の図19を用いて説明した検査(S121)と同様に行うことができる。
【0111】
(輸送環境情報処理)
今回の輸送環境情報処理も、先の輸送の際に(輸送環境情報処理)において説明した処理と同様に実施することができる。輸送がスタート(S121)すると、輸送環境情報が、専用端末8から、サーバ7へ送信され(S122)、サーバ7の登録手段103は、輸送環境情報を、品質情報DB112に登録する(S123)。サーバ7の表示作成手段104は、輸送環境情報に基づいて、図26に示すような輸送環境情報一覧画面を構成・作成する。発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aからの求めに応じて、制御手段101は、送信手段114を用いて、輸送環境情報一覧画面を、発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aへ送信する。送信の結果、発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aには、図26に示すような、輸送環境情報一覧画面が表示される。以下の輸送環境情報処理(S124等)も、先の輸送の(輸送環境情報処理)の図20を用いて説明した処理と同様に行うことができる。
【0112】
(返送輸送先での受領・検収処理)
表示作成手段104は、返送先である発送元4への荷渡し日の当日に、マッチング情報に基づいて、図27に示すような荷渡時品質情報及び受領検収画面を構成・作成し、制御手段101は、送信手段114を用いて、発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aへ送信する。発送元端末4aと輸送業者端末2aと発送先端末5aは、荷渡時品質情報及び受領検収画面を表示する。返送輸送先での受領・検収処理(S125〜S127、S130)は、先の輸送の((輸送先での受領・検収処理))の図21を用いて説明した処理と同様に行うことができる。そして、輸送業者2の輸送業務は終了する。
【0113】
以上、第4実施形態の生体輸送支援システム9では、保存容器100に格納された試料を冷凍機によって冷却保持する構造を有し、保存容器100内の室温域に例えば汚染物質の付着によって化学的特性または物理的特性が変化する検知素子18を配置し、保存容器100の外部から非接触的に検知素子18を検査することにより、保存容器100の内部への汚染物質の侵入の有無を試料の受け渡し時の短時間に検査し、そのデータを少なくとも試料の発送元4、輸送業者2および発送先5が共有できるので、これらの3者は、試料の受荷時、荷渡し時に、試料の健全性を検収できる。したがって、試料の健全性を基にした生体輸送をサービス(役務)とする商取引をすることができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、例えば、再生医療や生化学研究、医薬品開発、医療診断、食品検査等で使用される細胞、微生物や蛋白質等の試料を低温保存して輸送し、または貯蔵する試料低温保存容器として好適である。また、本発明は、その試料低温保存容器を使用した輸送取引支援システムとしても好適である。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の第1実施形態に係る試料低温保存容器(保存容器)の概略構造を示す断面図である。
【図2】保存容器の上部の構造を拡大して示すと共に、検知素子の検査手段を併記した図である。
【図3】検知素子及び凹部の床面を拡大して示した断面図である。
【図4】検査装置により測定されるスペクトルを模式的に示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る保存容器の一部を示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る保存容器の一部を示す断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る生体輸送支援システムの用いられる生体輸送の例を説明する図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る生体輸送支援システムの構成図である。
【図9】サーバのブロック図である。
【図10】生体輸送の手順を説明する図(その1)である。
【図11】生体輸送の手順を説明する図(その2)である。
【図12】発送・培養指示情報を入力する支援をするための表示画面の例である。
【図13】輸送受託情報を入力する支援をするための表示画面の例である。
【図14】培養受託情報を入力する表示する画面の例である。
【図15】輸送マッチング情報を一覧表示し(仮)発注承認登録する支援をするための表示画面の例である。
【図16】培養マッチング情報を一覧表示し(仮)発注承認登録する支援をするための表示画面の例である。
【図17】輸送依頼情報を一覧表示し(仮)受注承認登録する支援をするための表示画面の例である。
【図18】培養依頼情報を一覧表示し(仮)受注承認登録する支援をするための表示画面の例である。
【図19】荷渡時品質情報及び輸送受託情報を一覧表示し(本)受注承認登録する支援をするための表示画面の例である。
【図20】輸送環境情報の一覧を表示する表示画面の例である。
【図21】荷受時品質情報及び受領検収情報(条件)を一覧表示し(本)受領承認登録する支援をするための表示画面の例である。
【図22】培養環境情報を一覧表示し培養環境情報を入力する支援をするための表示画面の例である。
【図23】培養完了情報及び培養完了時品質情報を一覧表示し(本)培養完了承認登録する支援をするための表示画面の例である。
【図24】返送(輸送)依頼情報を一覧表示し(仮)受注承認登録する支援をするための表示画面の例である。
【図25】荷受時品質情報及び返送(輸送)受託情報を一覧表示し(本)受注承認登録する支援をするための表示画面の例である。
【図26】返送時の輸送環境情報の一覧を表示する表示画面の例である。
【図27】荷渡時品質情報及び受領検収情報(条件)を一覧表示し(本)受領承認登録する支援をするための表示画面の例である。
【符号の説明】
【0116】
1 病院
2 輸送業者
2a 輸送業者端末
3 培養センタ
4 発送元
4a 発送元端末
5 発送先
5a 発送先端末
6 電気通信回線
7 サーバ
8 専用端末
8a 受信手段
8b 送信手段
8c 記憶手段
9 生体輸送支援システム
11 格納容器(格納手段)
12 開口
13 導入容器(導入手段)
14 蓋部材(閉塞手段)
15 スターリング冷凍機(寒冷発生手段)
16 断熱容器(断熱手段)
17 検知素子保持部材(検知手段)
18 検知素子
19 窓部
21 ガイドトレイ(大気誘導ガイド部)
22 凹部(検知素子配置部)
25 金属粒子
26 生体分子等
27 ポリマ(保水性)
30、30a、30b、30c 検査装置
31 光源
32 データ処理装置
33 光ファイバヘッド
67 温度計測素子
S 試料容器
100、100a、100b 試料低温保存容器
101 制御手段
102 マッチング手段
103 登録手段
104 表示作成手段
105 補正手段
106 通信手段
107 内部バス
108 ユーザ情報DB
109 発送元情報DB
110 請負情報DB
111 マッチング情報DB
112 授受・試料品質情報DB
113 受信手段
114 送信手段
115 記憶手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被冷却体が収納された試料容器を格納する格納容器と、
前記格納容器に取り付けられ、前記試料容器を前記格納容器に対して出し入れするための開口を備えた導入容器と、
前記開口を閉塞する蓋部材と、
前記格納容器に格納された前記試料容器を、前記格納容器を介して冷却する冷凍機と、
前記格納容器と前記冷凍機とを収容すると共に、前記格納容器と前記冷凍機への外部からの熱の伝達を抑制する断熱容器と、を具備し、
前記格納容器へ侵入する汚染物質を検知するための検知素子を保持する検知素子保持部材が前記開口近傍に設けられると共に、前記蓋部材が前記開口を閉塞している状態において、前記検知素子の前記汚染物質との反応の有無を前記蓋部材の外側から検査するための窓部が前記蓋部材に設けられていることを特徴とする試料低温保存容器。
【請求項2】
前記検知素子保持部材は、前記開口と前記蓋部材とのシール部を介して前記導入容器の内部へ流入する大気を所定の方向へ誘導する大気誘導ガイド部と、
前記大気誘導ガイド部によって誘導される大気の流路に前記検知素子を配置するための検知素子配置部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の試料低温保存容器。
【請求項3】
前記窓部は、前記検知素子保持部材に保持された検知素子の汚染物質との反応の有無を光学的方法により検知することができるように、透光性材料からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の試料低温保存容器。
【請求項4】
前記窓部は、前記検知素子保持部材に保持された検知素子の汚染物質との反応の有無を磁気的方法により検知することができるように、磁束透過性材料からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の試料低温保存容器。
【請求項5】
前記格納容器に格納された前記試料容器の温度を測定する温度計測素子と、
前記温度計測素子により計測された温度をデータ化するデータ処理部と、
前記データ処理部によって作成された温度データを保存するデータ記憶部と、をさらに具備し、
前記データ記憶部に記憶された温度データが電子的に取り出し可能となっていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の試料低温保存容器。
【請求項6】
被冷却体が収納された試料容器を格納する格納手段と、
前記格納手段に取り付けられ、前記試料容器を前記格納手段に対して出し入れするための開口部を備えた試料導入手段と、
前記開口部を閉塞する閉塞手段と、
前記格納手段に格納された前記試料容器を、前記格納手段を介して冷却する寒冷発生手段と、
前記格納手段と前記寒冷発生手段とを収容し、前記格納手段と前記寒冷発生手段への外部からの熱の伝達を抑制する断熱手段と、を具備し、
前記格納手段へ侵入する汚染物質を検知するための検知手段が前記開口部の近傍に設けられていると共に、前記閉塞手段が前記開口部を閉塞している状態において、前記検知手段が前記汚染物質と反応したか否かを前記閉塞手段の外側から検査するための窓部が前記閉塞手段に設けられていることを特徴とする試料低温保存容器。
【請求項7】
被冷却体が収納された試料容器を格納する格納容器と、前記格納容器に取り付けられ、前記試料容器を前記格納容器に対して出し入れするための開口を備えた導入容器と、前記開口を閉塞する蓋部材と、前記格納容器に格納された前記試料容器を、前記格納容器を介して冷却する冷凍機と、前記格納容器と前記冷凍機とを収容すると共に、前記格納容器と前記冷凍機への外部からの熱の伝達を抑制する断熱容器と、を具備し、前記格納容器へ侵入する汚染物質を検知するための検知素子を保持する検知素子保持部材が前記開口近傍に設けられると共に、前記蓋部材が前記開口を閉塞している状態において、前記検知素子の前記汚染物質との反応の有無を前記蓋部材の外側から検査するための窓部が前記蓋部材に設けられている試料低温保存容器に、
生体を前記被冷却体として収納して輸送する生体輸送支援システムにおいて、
前記窓部を介して前記反応の有無の検査を行う検査装置と、
前記反応の有無の検査結果を前記検査装置から受信する受信手段と、
前記検査結果を記憶する記憶手段と、
輸送元が操作可能な第1端末、輸送業者が操作可能な第2端末および、輸送先が操作可能な第3端末のうちの少なくとも2つの端末に、電気通信回線を介して接続して前記検査結果を送信する送信手段とを有することを特徴とする生体輸送支援システム。
【請求項8】
前記検査は、前記輸送の後に行われることを特徴とする請求項7に記載の生体輸送支援システム。
【請求項9】
前記検査は、前記輸送の前にも行われることを特徴とする請求項8に記載の生体輸送支援システム。
【請求項10】
前記電気通信回線は、公衆の用に供されていることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載の生体輸送支援システム。
【請求項11】
前記受信手段による前記検査装置からの受信は、公衆の用に供されている電気通信回線を介して行われることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれか1項に記載の生体輸送支援システム。
【請求項12】
前記試料低温保存容器は、
前記格納容器に格納された前記試料容器の温度を測定する温度計測素子と、
前記温度計測素子により計測された温度をデータ化するデータ処理部と、
前記データ処理部によって作成された温度データを保存するデータ記憶部と、をさらに具備し、
前記受信手段は、前記温度データを受信し、
前記記憶手段は、前記温度データを記憶し、
前記送信手段は、前記端末に、前記電気通信回線を介して接続して前記温度データを送信することを特徴とする請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載の生体輸送支援システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2009−288234(P2009−288234A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295110(P2008−295110)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】