試料処理装置
【課題】搬送装置の接続に伴う面倒な作業(プログラムの組み込み、各種設定等)を少なくすることができる試料処理装置を提供する。
【解決手段】試料容器32を搬送する複数種類の搬送装置11の中の所定の搬送装置を接続するための接続部15と、接続された搬送装置15によって所定の位置に搬送された試料容器32中の試料を吸引するための吸引部10aと、吸引部10aにより吸引された試料に所定の処理を行う処理部と、接続部15に接続された搬送装置11の種類を特定する特定情報の入力を受け付ける入力手段29と、入力手段29によって入力を受け付けた特定情報に基づいて、接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行する制御部16とを備える。
【解決手段】試料容器32を搬送する複数種類の搬送装置11の中の所定の搬送装置を接続するための接続部15と、接続された搬送装置15によって所定の位置に搬送された試料容器32中の試料を吸引するための吸引部10aと、吸引部10aにより吸引された試料に所定の処理を行う処理部と、接続部15に接続された搬送装置11の種類を特定する特定情報の入力を受け付ける入力手段29と、入力手段29によって入力を受け付けた特定情報に基づいて、接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行する制御部16とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿等の試料に対し、検査、測定、分析等の処理を行う試料処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、血液や尿等の検査装置に接続され、この検査装置に試料を自動供給するラック移送装置が開示されている。このラック移送装置は、複数の検体容器が保持されたラックを前後方向及び左右方向に移送し、各検体容器を順次検査装置の試料吸引部に対向する吸引位置に配置する。検査装置は、通常ラック移送装置と連動して動作し、試料吸引部に対向する吸引位置に配置された検体容器から試料を吸引し、所定の手順で検査を行うようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−15271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査装置に対してどのような種類のラック移送装置(搬送装置)を接続するかは、検査装置を設置する施設等に応じて異なる。そのため、1種類の検査装置に対して、施設により異なったラック移送装置が接続される場合がある。また、検査装置に接続されるラック移送装置が異なると、その搬送駆動部の構成、動作及び動作制御が異なる。そのため、ラック移送装置を動作制御するためのプログラムが異なることになる。この場合、通常、サービスマンが、設置する施設ごとにその都度ラック移送装置の種類に対応したプログラムを検査装置に組み込み、各種の設定作業や確認作業を行わなければならないので、多くの手間と時間が必要である。また、既に設置されたラック移送装置を異なる種類に交換する場合にも、サービスマンが、同様の作業を行わなければならないので、非常に効率が悪い。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、サービスマンが搬送装置の接続に伴う作業(プログラムの組み込み、各種設定等)を少なくすることができる試料処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、試料容器中の試料を処理する試料処理装置であって、試料容器を搬送する複数種類の搬送装置の中の所定の搬送装置を接続するための接続部と、接続された搬送装置によって所定の位置に搬送された前記試料容器中の試料を吸引するための吸引部と、前記吸引部により吸引された試料に所定の処理を行う処理部と、前記接続部に接続された搬送装置の種類を特定する特定情報の入力を受け付ける入力手段と、前記入力手段によって入力を受け付けた特定情報に基づいて、接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行する制御部と、を備える。
【0007】
これによれば、入力手段が接続部に接続された搬送装置の種類を特定する特定情報の入力を受け付け、制御部がその特定情報に基づいて接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行するので、制御部は、例えば、試料容器の搬送距離や送りピッチ等に応じた動作を搬送装置に行わせたり(搬送装置を動作制御したり)、搬送装置との動作連携のため、搬送装置と通信を行ったりすることができる。そのため、従来のように、試料処理装置に搬送装置を接続したときに、その搬送装置ごとの制御用プログラムや通信用プログラムを試料処理装置に組み込む必要が無くなり、搬送装置の接続に伴う作業を少なくすることができる。
【0008】
前記処理部は、試料の測定を行う測定部、又は、試料から標本を作製する標本作製部であることが好ましい。
【0009】
上記試料処理装置は、前記搬送装置の種類に応じた複数の搬送装置用プログラムを記憶する記憶部をさらに備え、前記制御部は、入力された特定情報に対応する搬送装置用プログラムを前記記憶部から選択し、選択された前記搬送装置用プログラムを実行することにより、接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行することが好ましい。
【0010】
前記接続部は、試料容器の搬送動作が互いに異なる前記複数種類の搬送装置のうちいずれかの搬送装置を接続可能であり、前記制御部は、入力を受け付けた特定情報に基づいて、接続された搬送装置に対応する前記試料容器搬送動作の制御処理を実行することが好ましい。
【0011】
前記試料容器を搬送するための搬送機構と前記搬送機構の動作を制御するための第2制御部とを備えた搬送装置が前記接続部に接続され、その搬送装置を特定する特定情報が前記入力手段によって入力された場合、前記制御部は、前記搬送装置の第2制御部と通信を行い、前記第2制御部から受信した前記試料容器の搬送情報に基づいて、前記吸引部による吸引動作の制御処理を実行することが好ましい。
【0012】
前記第2制御部は、試料容器が所定位置に搬送されるよう搬送機構の動作を制御し、前記試料容器が所定位置に搬送されたとき、前記制御部に搬送情報として搬送終了信号を送信し、前記制御部は、受信した前記搬送終了信号に基づいて、前記吸引部による吸引動作の制御処理を実行することが好ましい。
【0013】
前記制御部は、試料吸引動作が終了した後、吸引動作終了信号を前記第2制御部に送信し、受信した前記吸引動作終了信号に基づいて、前記第2制御部は、前記搬送機構による第2試料容器の所定位置への搬送動作の制御処理を実行することが好ましい。
【0014】
前記試料容器を搬送するための搬送機構を備え、前記搬送機構の動作を制御するための第2制御部を備えていない搬送装置が前記接続部に接続され、その搬送装置を特定する特定情報が、前記入力手段によって入力された場合、前記制御部は、接続された搬送装置に対応する前記搬送機構動作の制御処理を実行することが好ましい。
【0015】
本発明は、試料容器中の試料を処理する試料処理装置であって、試料容器を搬送する複数種類の搬送装置の中の所定の搬送装置を接続するための接続部と、接続された搬送装置によって所定の位置に搬送された前記試料容器中の試料を吸引するための吸引部と、前記吸引部により吸引された試料に所定の処理を行う処理部と、前記接続部に接続された搬送装置を特定するための特定情報を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された特定情報に基づいて、接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行する制御部と、を備える。
【0016】
これによれば、制御部は、検出手段によって検出された特定情報に基づいて、接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行するので、自動的に特定情報を検出することにより、当該特定情報の手動入力等の作業の必要性が無くなる。
【0017】
前記検出手段は、前記接続部に設けられていることが好ましい。これによって、試料処理装置に搬送装置を接続することによって、自動的に検出手段により特定情報を検出することが可能となる。
【0018】
本発明は、試料容器中の試料を処理する試料処理装置であって、試料容器を搬送する複数種類の搬送装置の中の所定の搬送装置を接続するための接続部と、接続された搬送装置によって所定の位置に搬送された前記試料容器中の試料を吸引するための吸引部と、前記吸引部により吸引された試料に所定の処理を行う処理部と、前記接続部に接続された搬送装置の種類を特定する特定情報の入力を受け付ける入力手段と、前記入力手段によって入力された特定情報に基づいて、接続された搬送装置と通信を行う通信手段と、を備える。
【0019】
これによれば、入力手段が接続部に接続された搬送装置の種類を特定する特定情報の入力を受け付け、通信手段がその特定情報に基づいて接続された搬送装置と通信を行うので、試料処理装置は、例えば、試料容器の搬送距離や送りピッチ等に応じた動作を搬送装置に行わせるために、搬送装置との間で通信したり、搬送装置との動作連携を図るための通信を行ったりすることができる。そのため、従来のように、試料処理装置に搬送装置を接続したとき、その搬送装置に応じた制御用プログラムや通信用プログラムをその都度試料処理装置に組み込む必要が無くなり、搬送装置の接続に伴う作業を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の試料処理装置によれば、搬送装置の接続に伴う面倒な作業を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る試料処理装置10に試料搬送装置(搬送装置)11を接続した状態を示す斜視図である。また、図2は、試料処理装置10から搬送装置11を離脱した状態を示す斜視図である。本実施形態の試料処理装置10は、尿中有形成分分析装置とされている。
【0022】
〔尿中有形成分分析装置10の構成〕
尿中有形成分分析装置(以下、単に分析装置という)10は、搬送装置11によって移送された試料を吸引し、この試料から尿中有形成分や細菌の情報を検出するものである。分析装置10は、試料の測定等を行う装置本体12と、この装置本体12に接続され、測定結果の分析等を行うシステム制御部13とを備えている。
【0023】
装置本体12の前面下部には搬送装置11が着脱可能に接続される搬送装置接続部15が設けられている。図2において、装置本体12の底面には、2本の支持脚14が設けられ、各支持脚14は、装置本体12の前面から前方に突出している。装置本体12に接続された搬送装置11は、この支持脚14上に搭載され、支持脚14によって支持される。搬送装置接続部15には、後述するように複数種類の搬送装置が接続可能である。
【0024】
図3は、分析装置10及び搬送装置11のブロック図である。分析装置10の装置本体12は、図示しない試験管に入った尿(検体)を分注するための検体分配部1と、検体分配部1から分注された検体から試料を調製するための試料調製部2と、試料から尿中有形成分や細菌の情報を検出するための光学検出部3と、信号処理回路4と、測定制御部16(本発明の制御部、通信手段)と、モータ、アクチュエータ、バルブ等の駆動部17と、各種センサ18とを備えている。測定制御部16は、センサ18の信号を処理しつつ駆動部17の動作を制御することにより、尿試料を吸引し、測定を行う。なお、図3には、2つのタイプの搬送装置11X(11W)及び11Y(11Z)が示されているが、実際に分析装置10に接続されるのはいずれか一方のタイプである。
【0025】
〔測定制御部16の構成〕
測定制御部16は、マイクロプロセッサ20、記憶部21、I/Oコントローラ22、センサ信号処理部23、駆動部制御ドライバ24、及び外部通信コントローラ25等を備えている。記憶部21は、ROM、RAM等からなり、ROMには、駆動部17を制御するための制御プログラム、及び、制御プログラムの実行に必要なデータが格納されている。マイクロプロセッサ20は、制御プログラムをRAMにロードし、又はROMから直接実行することが可能である。
【0026】
マイクロプロセッサ20には、センサ18の信号がセンサ信号処理部23及びI/Oコントローラ22を通じて伝達される。マイクロプロセッサ20は、制御プログラムを実行することにより、その信号に応じて、I/Oコントローラ22及び駆動部制御ドライバ24を介して駆動部17を制御することができる。
【0027】
マイクロプロセッサ20が処理したデータや、マイクロプロセッサ20の処理に必要なデータは、外部通信コントローラ25を介してシステム制御部13等の外部の装置との間で送受信される。また、後述するように、測定制御部16の記憶部21には、各種搬送装置11用のプログラムが組み込まれている。
【0028】
〔システム制御部13の構成〕
図4は、システム制御部13のブロック図である。システム制御部13は、パーソナルコンピュータ等よりなり、本体27と、表示部28と、入力部29とから主構成されている。本体27は、CPU27aと、ROM27bと、RAM27cと、ハードディスク27dと、読出装置27eと、入出力インターフェース27fと、画像出力インターフェース27gと、から主構成されている。これらの間は、バス27hによって通信可能に接続されている。
【0029】
CPU27aは、ROM27bに記憶されているコンピュータプログラム及びRAM27cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。ROM27bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU27aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が格納されている。RAM27cは、SRAM又はDRAMなどによって構成されている。RAM27cは、ROM27b及びハードディスク27dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU27aの作業領域として利用される。
【0030】
ハードディスク27dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU27aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。例えば、ハードディスク27dには、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のグラフィカルユーザーインターフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。
【0031】
また、ハードディスク27dには、分析装置10の測定制御部16への測定オーダ(動作命令)の送信、装置本体12で測定した測定結果の受信及び処理、処理した分析結果の表示等を行う操作プログラムがインストールされている。この操作プログラムは、当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0032】
読出装置27eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。入出力インタフェース27fは、例えば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース27fには、キーボード及びマウスからなる入力部29が接続されており、ユーザーが入力部29を使用することにより、パーソナルコンピュータにデータを入力することが可能である。また、入出力インターフェース27fは、装置本体12と接続されており、装置本体12との間でデータ等の送受信を行うことが可能である。
【0033】
画像出力インタフェース27gは、LCD又はCRTなどで構成された表示部28に接続されており、CPU27aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部28に出力するようになっている。表示部28は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0034】
〔検体分配部1、試料調製部2及び光学検出部3の構成〕
図5は検体分配部1、試料調製部2及び光学検出部3の概略機能構成を示す図である。この検体分配部1、試料調製部2及び光学検出部3等は、試料に所定の処理を行う処理部を構成している。試験管32に入った尿(検体)は、吸引管17を用いて図示しないシリンジポンプにより吸引され、検体分配部1によって試料調製部2へ分注される。本実施の形態における試料調製部は試料調製部(第1試料調製部)2uと試料調製部(第2試料調製部)2bとで構成されており、検体分配部1は、試料調製部2uと試料調製部2bのそれぞれに尿(検体)の定量されたアリコートが分配される。
【0035】
試料調製部2uの尿アリコートは、希釈液69uと染色液(染色試薬)68uが混合されて当該染色液(染色試薬)68uに含まれる色素により染色が施される。この染色試料は赤血球、白血球、上皮細胞、円柱等の比較的大きい尿中有形成分を分析するための懸濁液となる。一方、試料調製部2bの尿アリコートは、希釈液69bと染色液(染色試薬)68bが混合されて当該染色液(染色試薬)68bに含まれる色素により染色が施される。この染色試料は細菌を分析するための懸濁液となる。
【0036】
以上のようにして調製された2種類の懸濁液(試料)は、先に試料調製部2uの懸濁液(第1の試料)が光学検出部3に導かれ、シースフローセル51においてシース液に包まれた細い流れを形成し、そこに、レーザ光が照射される。その後同様に、試料調製部2bの懸濁液(第2の試料)が光学検出部3に導かれ、シースフローセル51において細い流れを形成し、レーザ光が照射される。このような動作は、後述する測定制御部16の制御により、駆動部17等を動作させることにより、自動的に行われる。
【0037】
図6は、光学検出部3の構成を示す図である。図において、コンデンサレンズ52は、光源である半導体レーザ53から放射されたレーザ光をシースフローセル51に集光し、集光レンズ54は尿中の有形成分の前方散乱光を散乱光受光部であるフォトダイオード55に集光する。また、他の集光レンズ56は前記有形成分の側方散乱光と側方蛍光とをダイクロイックミラー57に集光する。ダイクロイックミラー57は、側方散乱光を散乱光受光部であるフォトマルチプライヤ58へ反射し、側方蛍光を蛍光受光部であるフォトマルチプライヤ59の方へ透過させる。これらの光信号は、尿中の有形成分の特徴を反映したものとなっている。そして、フォトダイオード55、フォトマルチプライヤ58及びフォトマルチプライヤ59は光信号を電気信号に変換し、それぞれ、前方散乱光信号(FSC)、側方散乱光信号(SSC)及び側方蛍光信号(SFL)を出力する。これらの出力は、図示しないプリアンプにより増幅された後、前述した信号処理回路4(図3)に供される。
【0038】
信号処理回路4で処理された前方散乱光信号(FSC)、側方散乱光信号(SSC)及び側方蛍光信号(SFL)は、マイクロプロセッサ20によって、外部通信コントローラ25を介して、前述したシステム制御部13へ送られる。システム制御部13では、前方散乱光信号(FSC)、側方散乱光信号(SSC)及び側方蛍光信号(SFL)に基づいて、尿中有形成分を分析するためのスキャッタグラムが作成され、このスキャッタグラムによって、試料中の尿中有形成分は赤血球、白血球、上皮細胞、円柱、細菌等に分類される。
【0039】
なお、光源として、前記半導体レーザに代えてガスレーザを用いることもできるが、低コスト、小型、且つ低消費電力である点より半導体レーザを採用するのが好ましく、半導体レーザの採用により製品コストを低減させるとともに、装置の小型化及び省電力化を図ることができる。また、半導体レーザのうち、低コスト且つ長寿命であり、メーカーからの供給が安定していることから、赤色半導体レーザを用いるのが好ましい。
【0040】
〔搬送装置11の構成〕
図1に示すように、搬送装置11は、分析装置10の装置本体12の前部に接続されている。この搬送装置11は、分析装置10に試料を供給するために、ラック31に保持された複数の試験管(試料容器)32を分析装置10の試料吸引部10aに対向する吸引位置に搬送する機能を有している。ラック31は、複数の試験管32を1列に並べた状態で保持している。
【0041】
図7は、分析装置10及び搬送装置11の概略平面図である。図7に示すように、搬送装置11の右側には、未処理の試料を収容した試験管32が保持されたラック31をセットするためのラックセット領域34が設けられており、搬送装置11の左側には処理済みの試料を収容した試験管32が保持されたラック31を収容するためのラック収容領域35が設けられている。ラックセット領域34の終点位置34bとラック収容領域の始点位置35aの間には、搬送路34cが設けられている。
【0042】
ラックセット領域34及びラック収容領域35には、長手方向を左右方向に向けた複数のラック31を前後方向に並べて配置可能である。ラックセット領域34では、各ラック31が、手前側の始点位置34aから後側の終点位置34bへ向けて矢印(1)で示すように搬送され、その後、ラック収容領域35の始点位置35aへ向けて搬送路34C上を左方向(矢印(2)方向)に搬送される。搬送路34Cの中央部は、試料吸引部10aの吸引位置とされている。この吸引位置は試料吸引部10aに対向する位置である。搬送路34C上でラック31を左方向に搬送する間に、各試験管32が順次分析装置10の試料吸引部10aに対向して配置される。試料吸引部10aによって、吸引位置に配置されたラック31の試験管32から試料が吸引される。吸引終了後、試料が吸引された試験管32の隣の試験管32が吸引位置に配置され、吸引位置に配置された試験管32の試料が吸引される。このような動作が繰り返されることにより、ラック31に収容された全ての試験管32からの試料吸引が終了すると、ラック31は、ラック収容領域35の後側の始点位置35aに搬送される。また、終点位置35aに搬送されたラック31は、矢印(3)で示すように、手前側の終点位置35bに向けて搬送される。このようにして、ラックセット領域34にセットされた全てのラック31は、ラック31に収容された全ての試験管32からの試料吸引が終了すると、ラック収容領域35に収容される。
【0043】
〔搬送装置11の種類〕
搬送装置11には、搬送するラック31の大きさ等によって複数の種類がある。図8(a)(b)には、保持可能な試験管32の数が異なる2種のラック31を搬送する搬送装置11X及び11Wが示されている。図8(a)の搬送装置11X(以下、搬送装置Xとする)は、10本の試験管32を保持するラック31用(10検体ラック用)であり、図8(b)の搬送装置11W(以下、搬送装置Wとする)は、5本の試験管32を保持するラック31用(5検体ラック用)である。
【0044】
ここで、搬送装置Xに用いられる10検体用ラックと搬送装置Wに用いられる5検体用ラックについて説明する。図9は10検体用ラック226の構成を示す斜視図と正面図である。図9(a)に示すように、10検体用ラック226は、試験管32を収容する収容部211を10個備えている。また、図9(b)に示すように、10検体用ラック226は、その底面に凹部212を10個備えている。これらの各凹部212は、各収容部211に対応した位置に設けられている。図10は5検体用ラック92の構成を示す斜視図である。5検体用ラック92は、試験管32を収容する5個の収容部93と底面の長手方向の中央部に1つの凹部96が設けられている。このように、試験管32を収容する収容位置が設けられた間隔は、10検体用ラック226と5検体用ラック92では異なっている。即ち、10検体用ラック226の収容部211に収容された試験管32間の距離T1と5検体用ラック92の収容部93に収容された試験管32間の距離T2とは異なっている。
【0045】
搬送装置Xの10検体用ラック226に収容された試験管32を試料吸引部10aに対向する吸引位置に送るための10検体用ラック226の横送り動作ついて説明する。搬送装置Xは、10検体用ラック226の凹部212に係合する突起部、突起部を移動させるためのスライド機構及びスライド機構を駆動させるためのステッピングモータを備えている(図示せず)。また、搬送装置Xは、10検体用ラック226を搬送するための搬送面が設けられており、10検体用ラック226は、この搬送面上を移動する。この搬送面には、突起部が、突出するための切り欠きが設けられている。突起部は、切り欠きに隣接する搬送面下部の初期位置にある。突起部は、ステッピングモータが動作することにより、初期位置から移動して切り欠きから突出する。突出した突起部は、10検体用ラック226の底面に設けられた10個の凹部212のうちの1つに係合し、ステッピングモータが動作することにより、突起部が、水平移動して10検体用ラック226を1ピッチ横送りする。また、搬送装置Xは、ラック226の試験管32間の距離T1に合わせて、1ピッチ送るためのパルス数のパルス信号をステッピングモータに送り、これによりラック226が1ピッチ送られる。また、試験管32が、試料吸引部10aに対向する吸引位置に搬送されるとセンサ37aが検知し、検知信号を測定制御部16に送信する(図3参照)。これにより、試験管32が吸引位置に配置される。次に、突起部は、凹部212との係合が解除され、ステッピングモータが動作することにより、初期位置に戻る。再度、突起部が、前回係合した凹部212の隣の凹部212に係合し、ステッピングモータが動作することにより、突起部が、水平移動して10検体用ラック226を1ピッチ横送りする。
【0046】
搬送装置W(図8(b))の5検体用ラック92に収容された試験管32を試料吸引部10aに対向する吸引位置に送るための5検体用ラック92の横送り動作ついて説明する。搬送装置Wは、5検体用ラック92の凹部96に係合する突起部、突起部を移動させるための移動ベルト及び移動ベルトを駆動させるためのステッピングモータを備えている(図示せず)。また、搬送装置Wは、5検体用ラック92を搬送するための搬送面が設けられており、5検体用ラック92は、この搬送面上を移動する。この搬送面には、突起部が、突出するための切り欠きが設けられている。突起部は、切り欠きに隣接する搬送面下部の初期位置にある。突起部は、ステッピングモータが動作することにより、初期位置から移動して切り欠きから突出する。突起部が、5検体用ラック92の底面に設けられた1つの凹部96に係合し、ステッピングモータが動作することにより、突起部が、水平移動して5検体用ラック92を1ピッチ横送りする。また、搬送装置Wは、ラック92の試験管32間の距離T2に合わせて、1ピッチ送るためのパルス数をパルスモータに送り、これによりラック92が1ピッチ送られる。また、試験管32が、試料吸引部10aに対向する吸引位置に搬送されるとセンサ37aが検知し、検知信号を測定制御部16に送信する(図3参照)。これにより、試験管32が、吸引位置に配置される。次に、5検体用ラック92の底面に設けられた1つの凹部96に係合した状態で、ステッピングモータが動作することにより、水平移動して5検体用ラック92を1ピッチ横送りする。このようにして、5検体用ラック92が5ピッチ横送りされると、突起部は、凹部96との係合が解除され、ステッピングモータが動作することにより、初期位置に戻る。再度、突起部が、5ピッチ横送りされた5検体用ラック92の隣の5検体用ラック92の凹部96に係合し、ステッピングモータが動作することにより、水平移動して5検体用ラック92を1ピッチ横送りする。
【0047】
図8に示すように、10検体ラック用の搬送装置Xと、5検体ラック用の搬送装置Wとは、分析装置10の装置本体12の左右幅に対応するように、略同じ左右幅となっているが、前後方向の長さが異なっている。また、10検体ラック用搬送装置Xと5検体ラック用搬送装置Wとは、ラックセット領域34及びラック収容領域35におけるラック31の搬送距離L11とL12とが異なり、また、ラックセット領域34とラック収容領域35との間のラック搬送距離L21とL22や、各試験管32を試料吸引部10aに対向する吸引位置に送るための送りピッチP1とP2とが異なっている。また、前述したように、搬送装置X、Wによって、各試験管32を吸引位置に横送りする機構及び動作が異なっている。したがって、これらの搬送装置X、Wを動作制御するためのプログラムは互いに異なるものとなる。
【0048】
また、搬送装置11は、その動作を制御する制御部を備えているか否かによっても複数の種類がある。図3に示すように、前述の搬送装置X、Wは、ラック31の搬送を行うステッピングモータ等の搬送機構部36aと、ラック31の位置等を検出するフォトセンサやマイクロスイッチ等のセンサ37aを備えている。また、搬送装置X、Wは、その制御部を備えていない。このため、この搬送装置X、Wを分析装置10の測定制御部16によって制御できるように、記憶部21には、搬送装置制御用のX用及びW用プログラムが組み込まれる。
【0049】
搬送装置制御用プログラムが実行されることにより、測定制御部16のマイクロプロセッサ20には、センサ信号処理部23及びI/Oコントローラ22を介して搬送用センサ37aからの信号が伝達される。信号が伝達されると、マイクロプロセッサ20は、I/Oコントローラ22を介して制御用の情報を駆動部制御ドライバ24に送信する。駆動部制御ドライバ24は、送信された情報に応じた制御信号を生成し、その制御信号を搬送駆動部36aに送信することにより制御を行う。したがって、測定制御部16と搬送装置X、Wとの間では、センサ信号及び制御信号の通信が行われる。
【0050】
図11は、分析装置10(装置本体12)と搬送装置X(10検体用ラック搬送装置)との通信の手順を示したタイミングチャートである。測定制御部16と搬送装置X(10検体用ラック搬送装置)との通信の手順について、具体的に説明する。測定制御部16のマイクロプロセッサ20(図3)は、記憶部21に記憶されている搬送装置X用プログラムを実行する。マイクロプロセッサ20は、10検体用ラック226を搬送するための突起部を水平移動(横送り)させるためのパルスモータの回転量、回転方向、速度等の情報を駆動部制御ドライバ24に送る。駆動部制御ドライバ24は、受信した情報に基づいて、制御信号を搬送駆動部36aに送信する。搬送装置Xは、制御信号を受信して、搬送駆動部36aが制御信号に応じて動作し、10検体用ラック226の先頭の試験管32が試料吸引部10aに対向する吸引位置に来るように10検体用ラック226が搬送(横送り)される。搬送装置Xのセンサ37aは、先頭の試験管32が試料吸引部10aに対向する吸引位置に搬送されたことを検出し、その検出信号がセンサ信号処理部23を介してマイクロプロセッサ20に送られる。そして、マイクロプロセッサ20は、試験管32から試料を吸引するように試料吸引部10aを制御する。これにより、試料吸引部10aが、試験管32から試料を吸引する。吸引が終了すると、マイクロプロセッサ20は、10検体用ラック226を搬送するための突起部を初期位置に戻す復帰動作を行うためのパルスモータの回転量、回転方向、速度等の情報を駆動部制御ドライバ24に送る。駆動部制御ドライバ24は、受信した情報に基づいて、制御信号を搬送駆動部36aに送信する。搬送装置Xは、制御信号を受信して、搬送駆動部36aが制御信号に応じて動作し、突起部が初期位置に戻される。10検体用ラック226に収容された試験管32に全てについて、このような手順が繰り返し行われる。
【0051】
次に、搬送装置Y、Zの構成について説明する。図3に示すように、搬送装置Y、Zは、搬送駆動部36b及び搬送用センサ37bを備える。また、搬送装置Y、Zは、制御部38を備えている。制御部38には、外部通信コントローラ39、マクロプロセッサ40及び記憶部41が設けられている。外部通信コントローラ39は、分析装置10の外部通信コントローラ25に接続されている。そして、このような搬送装置Y、Zを接続した場合、搬送装置Y、Zとの動作の連携を図るため、分析装置10の測定制御部16では搬送装置Y、Zの制御部38との通信を行うための通信用プログラムが実行される。このような搬送装置Y、Zは、一般に、大型施設等において複数の分析装置に渡って用いられる搬送システムの一部として利用される。搬送駆動部36bは、制御部38の記憶部41に組み込まれた制御プログラムにより動作制御される。
【0052】
搬送装置Y、Zが分析装置10に接続された場合、通信は次のように行われる。例えば、搬送装置Y、Z側が試料吸引部10aに対向する吸引位置に試験管32を搬送すると、そのことを示す情報を分析装置10側に送信し、分析装置10側は、その情報を受信して、試験管32から試料を吸引する動作を行う。続いて、分析装置10は、試料を吸引したことを示す情報を搬送装置Y、Z側に送信し、搬送装置Y、Z側はその情報を受信して次の試験管32を試料吸引部10aに対向する吸引位置に搬送する動作を行う。
【0053】
図12は、搬送装置Y(10検体用ラック搬送装置)と分析装置10(装置本体12)との通信の手順を示したタイミングチャートである。搬送装置Y(10検体用ラック搬送装置)と分析装置10との通信の手順について、具体的に説明する。搬送装置Yのマイクロプロセッサ40は、搬送装置Yの動作を制御する制御プログラムを実行し、装置本体12のマイクロプロセッサ20は、分析装置10と搬送装置Yとの通信を行うための通信プログラムと分析装置10の動作を制御する制御プログラムを実行する。搬送装置Yのマイクロプロセッサ40は、検体用ラック226の先頭の試験管32が試料吸引部10aに対向する吸引位置に来るように10検体用ラック226を搬送(横送り)する。また、マイクロプロセッサ40は、分析装置10の測定制御部16に装置本体12の測定開始を指示する測定指示信号(または搬送が終了した搬送終了信号)を送る。装置本体12のマイクロプロセッサ20は、測定指示信号を受信すると、搬送装置Yの制御部38に10検体用ラック226の横送り動作の禁止を示す禁止信号を送る。装置本体12のマイクロプロセッサ20は、禁止情報を送信すると、試料吸引部10aに対向する吸引位置に横送りされた10検体用ラック226の試験管32(位置1)から試料を吸引する動作を行う。マイクロプロセッサ20は、吸引動作が終了すると、搬送装置Yの制御部38に10検体用ラック226を横送り動作の許可を示す許可信号(または吸引動作が終了した吸引終了信号)を送る。搬送装置Yのマイクロプロセッサ40は、10検体ラック226の次の試験管32(位置2)が試料吸引部10aに対向する吸引位置に来るように10検体ラック226を横送りする。その後、マイクロプロセッサ40は、測定制御部16に測定指示の情報を送る。そして、10検体用ラック226に収容された試験管32に全てについて、このような手順が繰り返し行われる。
【0054】
本発明の分析装置10には、上記のような搬送装置11の種類(X、Y、Z、W)に対応した制御用プログラム及び通信用プログラム(以下、これらを併せて搬送装置用プログラムという)の全てが測定制御部16の記憶部21に予め組み込まれている。そして、接続された搬送装置11の種類(X、Y、Z、W)を示す特定情報を取得し、特定情報に基づいた搬送装置用プログラムを選択して実行する。これにより、複数種の搬送装置11のいずれにも対応した動作を行うことができるようになっている。
【0055】
すなわち、本発明の分析装置10は、搬送装置11の種類を特定するための特定情報を入力する入力手段と、入力手段によって入力された特定情報に応じて、搬送装置11に対する動作(制御や通信)を行う制御部16と、を備えている。
【0056】
本実施形態においては、分析装置10に接続された搬送装置11の種類(X、Y、Z、W)に応じた特定情報を、システム制御部(パソコン)13の入力部29を介してユーザーが手動で入力し、入力された特定情報に応じて、測定制御部16において実行する搬送装置用プログラムを選択する構成となっている。
【0057】
図13は、分析装置10に搬送装置11を接続した場合に、各搬送装置X、Y、Z、Wの設定値を設定する手順を示すフローチャートである。まず、装置本体12の電源(図示しない)が投入されると、ステップS6において、測定制御部16の初期化(プログラムの初期化)が行われるとともに、装置本体12の各部の動作チェックが行われ、スタンバイ状態になる。そして、システム制御部13(パソコン)の電源(図示しない)が投入されると、ステップS1において、システム制御部13の初期化(プログラムの初期化)が行われ、表示部28にログイン画面が表示される。ログイン画面において、搬送装置の設定の権限を有するユーザー(例えば、サービスマン)が、ログインする(ステップS2)と、後述する搬送装置を設定するためのサービスアイコンが表示されるようになっている。次に、ステップS3において、システム制御部13は、スタンバイ画面(後述する操作画面W1)を表示する。
【0058】
図14〜図17は、システム制御部13で操作プログラムを実行した際に、表示部28(図4)に表示される操作画面W1〜W4を示している。操作画面W1〜W4は、タイトルバーB1、メニューバーB2、ツールバーB3、機能表示領域R、ステータスバーB4からなっている。タイトルバーB1には、当該操作画面W1〜W4の名称等が表示され、メニューバーB2には、操作画面W1〜W4における操作メニューが表示される。ツールバーB3には、各種機能を実行するための複数のツールボタン(アイコン)TICが表示されている。
【0059】
図14は、操作プログラムのメニュー画面W1を示すものであり、このメニュー画面W1の機能表示領域Rには、複数の機能アイコンICが表示されている。いずれかの機能アイコンICを選択することによって、各種の測定や設定等を実行することができる。
【0060】
分析装置10に接続した搬送装置11の種類を特定するためには、メニュー画面W1のコントローラアイコンIC1を選択する。
図15は、コントローラアイコンIC1(図14)を選択した際に表示されるコントローラ画面W2を示すものである。このコントローラ画面W2の機能表示領域Rには、サービスアイコンIC2が表示されている。このサービスアイコンIC2は、分析装置10の設置や設置後のメンテナンス等において、サービスマンが使用する機能(サービス機能)を呼び出すためのアイコンである。
【0061】
このサービスアイコンIC2は、操作プログラムやオペレーティングシステムを実行する際に要求されるユーザーID及びパスワードが、サービスマンのものであると認識した場合にのみ表示される。言い換えると、サービス機能の使用権限を有する者のみが当該機能を使用することができる。したがって、サービスマン以外のユーザーがシステム制御部13にログインし、コントローラ画面W2を表示したとしてもサービスアイコンIC2は表示されない。そのため、ユーザーが誤ってサービス機能の設定を変更等してしまうことはない。
【0062】
図16は、サービスアイコンIC2(図15)を選択した際に表示されるサービス画面W3である。このサービス画面W3の機能表示領域Rには、サービスマンが行う各種設定、テスト、メンテナンスに係る機能アイコンICが表示されている。分析装置10に接続した搬送装置11を特定するためには、サービス画面W3のサービス設定アイコンIC3を選択する。
【0063】
図17は、サービス設定アイコンIC3(図16)を選択した際に表示されるサービス設定画面W4である。このサービス設定画面W4には、サービス設定の対象を選択するプルダウンメニューH1、選択された対象の設定項目を表示する項目表示ウインドウH2、この項目表示ウインドウH2にて選択された項目を表示する選択項目表示部H3、搬送装置11の特定情報である設定値を入力するための入力枠H4、及び、入力枠H4に入力可能な設定値の例を示す設定値表示部H5が表示されている。
【0064】
項目表示ウインドウH2には、各種設定項目が上下方向に羅列されており、その項目の一つに搬送装置11の接続設定項目(Connection 、Sampler/Transportation)H2aがある。この項目H2aを選択すると、選択項目表示部H3に当該項目名が表示される。入力枠H4には、設定値表示部H5に表示された設定値のうちいずれかを入力することができる。本実施例では、「0」〜「4」のいずれかの設定値を入力可能である。なお、設定表示部H5において、各設定値「0」〜「4」の横には、接続される搬送装置11の具体的名称等が表示されている。
【0065】
分析装置10に接続された搬送装置11の種類(X、Y、Z、W)と、設定値「0」〜「4」との関係は、図18に示す通りである。設定値「0」は、分析装置10に搬送装置11を接続していないときに選択する「標準モード」の設定値である。この場合、分析装置10に対して手動で検体を供給して行う、マニュアル測定のみを行うことができる。
【0066】
設定値「1」は、分析装置10に10検体ラック用の搬送装置11(図8(a)に示した搬送装置X)を接続したときに選択する「搬送装置Xモード」の設定値である。この搬送装置Xはその制御部を備えておらず、分析装置10の測定制御部16(図3)によって制御される。
【0067】
設定値「2」は、分析装置10に、制御部38(図3)を備えた搬送装置11(Y)を接続するときに選択する「搬送装置Yモード」の設定値である。設定値「3」は、分析装置10に、搬送装置Yとは別の、制御部38(図3)を備えた搬送装置11(Z)を接続するときに選択する「搬送装置Zモード」の設定値である。
【0068】
設定値「4」は、分析装置10に5検体ラック用の搬送装置11(図8(b)に示した搬送装置W)を接続したときに選択する「搬送装置Wモード」の設定値である。この搬送装置Wはその制御部を備えておらず、分析装置10の測定制御部16(図3)によって制御される。したがって、本実施形態では、システム制御部13において実行される操作プログラムや入力部29等が、搬送装置11の特定情報を入力する入力手段を構成している。
【0069】
ここで、図13に示すフローチャートに戻り、搬送装置の設定値を設定する手順の続きについて説明する。ステップS4において、システム制御部13は、搬送装置の選択を受け付けたかどうか、すなわち、上述のようにシステム制御部13の操作プログラムから設定値「0」〜「4」の入力が行われたか否かを判断する。設定値が入力されると、システム制御部13は、その搬送装置に対応する信号を装置本体12の測定制御部16に送信する(ステップS5)。測定制御部16は、搬送装置に対応する信号を受け付けたか否かを判断し(ステップS7)、当該信号を受け付けると、当該信号に対応する搬送装置の設定値を記憶部21に記憶し、処理を終了する(ステップS8)。
【0070】
分析装置10に搬送装置11を接続した場合、その搬送装置11を用いた測定(サンプラ測定モード:搬送装置測定モード)だけでなく、搬送装置11を用いずに手動で検体を供給して行う測定(マニュアル測定)をも選択的に行えるようになっている。具体的には、図14に示すように、システム制御部(パソコン)13の表示部28に表示されたメニュー画面W1から、サンプラ測定(搬送装置測定)アイコンICa又はマニュアル測定アイコンICbを選択することによって、これらの測定を行うことができる。
【0071】
図19は、搬送装置11が接続された分析装置10がサンプラ測定モードを行う場合の手順を示すフローチャートである。まず、装置本体12の電源(図示しない)が投入されると、ステップS41において、測定制御部16の初期化(プログラムの初期化)が行われるとともに、装置本体12の各部の動作チェックが行われる。図1に示したインジケータ6が緑色に点灯されることより、スタンバイ表示される(ステップS42)。そして、システム制御部13(パソコン)の電源(図示しない)が投入されると、ステップS61において、システム制御部13の初期化(プログラムの初期化)が行われ、その後、表示部28にスタンバイ画面(メニュー画面W1:図14参照)が表示される(ステップS62)。
【0072】
ステップS63において、表示部28に表示されたスタンバイ画面(メニュー画面W1)のサンプラ測定ICaをユーザーが選択すると、システム制御部13は、測定スタート信号を装置本体12の測定制御部16に送信する(ステップS64)。
【0073】
装置本体12の測定制御部16は、ステップS43において、スタート信号が受信されたか否かを判断し、測定スタート信号が受信された場合、ステップS44において、搬送装置測定プログラムを記憶部21から読み出し、さらに搬送装置設定値を記憶部21から読み出す(ステップS45)。そして、ステップS46において、測定制御部16は、搬送装置設定値が何であるかを判断する(ステップS46)。測定制御部16は、設定値が「1」の場合、搬送装置X用プログラムを実行し(ステップS47a)、設定値が「2」の場合、搬送装置Y用プログラムを実行し(ステップS47b)、設定値が「3」の場合、搬送装置Z用プログラムを実行し(ステップS47c)、設定値が「4」の場合、搬送装置W用プログラムを実行する(ステップS47d)。
【0074】
測定制御部16は、ステップS48において、装置本体12が動作状態である動作状態信号をシステム制御部13に送信し、図1に示したインジケータ6を橙色に点灯させることにより、装置本体12が動作中であることを表示する(ステップS49)。そして、測定制御部16は、ステップS50において、測定が完了したか否かを判断し、測定が完了しなかった場合には、ステップS49に処理を戻す。測定制御部16は、測定が完了した場合には、ステップS51において、測定完了信号をシステム制御部13へ送信し、処理をステップS42に戻す。
【0075】
一方、システム制御部13は、ステップS65において、動作状態信号を受信したか否かを判断し、動作状態信号を受信した場合、測定動作中の表示を表示部28に行う(ステップS66)。また、システム制御部13は、ステップS65において、動作状態信号を受信しなかったと判断した場合、処理をステップS62に戻す。そして、システム制御部13は、ステップS67において、測定完了信号を受信したか否かを判断し、測定完了信号を受信した場合には、ステップS62に処理を戻し、測定完了信号を受信しなかった場合には、処理をステップS66に戻す。
【0076】
また、ステップS63において、測定スタートがされなかった場合、システム制御部13は、ステップS68において、シャットダウンの指示を受け付けた否かを判断する。ステップS68において、シャットダウンの指示を受け付けた場合、システム制御部13は、ステップS62に処理を戻す。一方、ステップS68において、シャットダウンの指示を受け付けた場合、システム制御部13は、シャットダウン信号を測定制御部16に送信する(ステップS69)。
【0077】
測定制御部16は、ステップS43において、測定スタート信号が受信されなかった場合、ステップS52において、シャットダウン信号を受信したか否かを判断する。ステップS52において、シャットダウン信号を受信しなかった場合は、測定制御部16は、ステップS42に処理を戻す。一方、ステップS52において、シャットダウン信号を受信した場合には、ステップS53において、制御部16はシャットダウンを実行し、シャットダウン完了信号をシステム制御部13へ送信し(ステップS54)、処理を終了する。
【0078】
システム制御部13は、ステップS70において、シャットダウン完了信号を受信したか否かを判断し、シャットダウン完了信号を受信するまで、その処理を繰り返す。
【0079】
搬送装置用プログラムは、例えば、複数のモジュール(プログラムの部品)、すなわち、いずれの搬送装置11にも共通する共通モジュールと、各搬送装置に応じて用いられる専用モジュールとからなり、共通モジュールを起動するとともに、接続した搬送装置に応じた専用モジュールを選択的に起動することによって、測定制御部16は、各搬送装置に応じた動作を行なわせる。
【0080】
以上の通り、本実施形態では、分析装置10の測定制御部16に複数種(X、Y、Z、W)の搬送装置11に対応する搬送装置用プログラムが予め記憶され、入力された搬送装置11の特定情報に対応した搬送装置用プログラムが測定制御部16によって実行されるので、サービスマンが分析装置10に搬送装置11X、11Y、11、11Wを接続したとき、その種類に応じた搬送装置用プログラムを組み込む必要はない。したがって、搬送装置11の接続に伴う設定作業等を簡略化することができる。
【0081】
また、搬送装置11が制御部を備えている場合には、搬送装置11との通信用プログラムが実行され、搬送装置11が制御部を備えていない場合には、搬送装置11の制御用プログラムが実行されるので、各種搬送装置11に対して適切な動作を行なわせることができる。
【0082】
搬送装置11の特定情報は、システム制御部13の入力部29から容易に入力することができる。また、入力部29による特定情報の入力は、サービスマン等の所定の入力権限を有する者のみ行うことができ、その他のユーザー等による入力は規制されているので、誤った特定情報が入力されることに伴う誤動作を防止することができる。
【0083】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、説明する。図20は、本発明の第2実施形態に係る試料処理装置(分析装置)10に試料搬送装置(搬送装置)11を接続した状態の概略側面図である。第2実施形態では、各搬送装置11に、その種類を特定するための特定情報を有する識別部42が設けられ、分析装置10に、識別部42を検出する検出手段43が設けられている。本実施形態の検出手段43は、光学センサからなる検知センサ43A、43Bを備え、識別部42は、検知センサ43を遮光することができる遮光板により構成されている。
【0084】
遮光板42は、搬送装置11の後下部、すなわち、分析装置10の装置本体12と接続される接続部に後方へ突出して設けられている。分析装置10の装置本体12に搬送装置11が接続されると、遮光板42が、装置本体12の下側(支持脚14によって形成された空間S)に挿入されるようになっている。一方、検知センサ43A、43Bは、装置本体12の前下部、すなわち、搬送装置11に対する接続部15に設けられ、挿入された遮光板42を検出することが可能となっている。
【0085】
図21は、検知センサ43A、43Bと、遮光板42との関係を示す説明図である。本実施形態では、3種類の搬送装置11を接続した場合と、搬送装置11を接続しない場合との4つのパターンを識別可能である。具体的に、分析装置10には、2つの検知センサ(第1、第2検知センサ)43A、43Bが設けられ、各搬送装置11には、それぞれ図21(a)〜(c)に示すような遮光板42が設けられている。なお、第2実施形態では、第1実施形態で説明した4種類X、Y、Z、W(図3及び図18参照)の搬送装置11のうち、3種類X、Y、Zを識別するものとした。
【0086】
図21(a)の搬送装置Xの遮光板42には、両方の検知センサ43A、43Bを遮光する2つの遮光部42a、42bが設けられている。図21(b)の搬送装置Yの遮光板42には、第1検知センサ43Aのみを遮光する1つの遮光部42aが設けられ、図21(c)の搬送装置Zの遮光板42には、第2検知センサ42Bのみを遮光する1つの遮光部42bが設けられている。
【0087】
分析装置10に接続された搬送装置11の種類(X、Y、Z)と、第1、第2検知センサ43A、43Bの状態及び出力との関係は図22に示す通りである。この図22によれば、分析装置10に搬送装置Xを接続したときは、第1、第2検知センサ43A、43Bとも遮光され(図21(a)の状態)、双方とも出力がLowレベルとなる。搬送装置Yを接続したときは、第1検知センサ43Aは遮光されてLowレベルの出力となるが、第2検知センサ43Bは遮光されずに入光状態となり、Highレベルの出力となる(図21(b)の状態)。搬送装置Zを接続したときは、第2検知センサ43Bは遮光されてLowレベルの出力となるが、第1検知センサ43Aは遮光されずに入光状態となり、Highレベルの出力となる(図21(c)の状態)。搬送装置を接続しない場合は、第1、第2検知センサ43A、43Bともに遮光されず入光状態となり、いずれの出力もHighレベルとなる。
【0088】
したがって、分析装置10にどの搬送装置X、Y、Zを接続するかによって第1、第2検知センサ43A、43Bの出力の組み合わせが異なり、この出力の組み合わせを判別することによって、接続した搬送装置11の種類を認識することができる。
【0089】
図23は、本実施形態の分析装置10及び搬送装置11のブロック図である。図23において、分析装置10の装置本体12には、第1、第2検知センサ43A、43Bが設けられている。第1、第2検知センサ43A、43B以外の構成については、図3に示す構成と同じであり、その説明については省略する。この第1、第2検知センサ43A、43Bの出力信号は、測定制御部16のセンサ信号処理部23及びI/Oコントローラ22を介してマイクロプロセッサ20に伝達されるようになっている。
【0090】
図24は、搬送装置11が接続された分析装置10が、搬送装置の種類を自動的に識別し、サンプラ測定モードを行う場合の手順を示すフローチャートである。図24のフローチャートは、図19のフローチャートのステップS45、S46が異なっており、さらにステップS47dがない以外は、図19のフローチャートのステップと同じである。図24に示すように、装置本体12の測定制御部16は、ステップS145において、検知センサ43A、43Bの出力信号を読み出し、検知センサ43A、43Bの出力信号の組み合わせが何であるかを判断する(ステップS146)。測定制御部16は、検知センサ43A、43Bの出力信号の組み合わせが(Low、Low)の場合、搬送装置X用プログラムを実行し(ステップS47a)、検知センサ43A、43Bの出力信号の組み合わせが(Low、High)の場合、搬送装置Y用プログラムを実行し(ステップS47b)、検知センサ43A、43Bの出力信号の組み合わせが(High、Low)の場合、搬送装置Z用プログラムを実行する(ステップS47c)。上記以外の処理については、図13のフローチャートと同様な処理が行われる。
【0091】
以上の通り、第2実施形態では、分析装置10の測定制御部16に複数種(X、Y、Z)の搬送装置11に対応する搬送装置用プログラムが予め記憶され、接続された搬送装置11を特定する特定情報を検出し、検出した特定情報に応じて搬送装置用プログラムを選択し、このプログラムを実行しているので、分析装置10に接続された搬送装置11ごとに、搬送装置用プログラムを組み込む必要はない。したがって、搬送装置11の接続に伴う設定作業等を簡略化することができる。
【0092】
また、搬送装置11の特定情報の検出は、分析装置10に搬送装置11を接続するだけで検出センサ43によって行うことができるので、搬送装置11の接続に伴う設定作業等をより一層簡略化することができる。
【0093】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく適宜設計変更可能である。例えば、例えば、試料処理装置10は、試験管32の搬送距離や送りピッチの違いに基づく種類のみを識別できるものであってもよいし、搬送装置11がその制御部を備えているか否かに基づく種類のみを識別できるものであってもよい。
【0094】
第1実施形態において、測定制御部16の記憶部21に搬送装置11を特定する設定値を記憶するようにしたが、システム制御部13の記憶装置(ハードディスク27d)に記憶し、次回以降、分析装置10を起動するときの初期化処理において、システム制御部13が、設定値を測定制御部16に送信するようにしても良い。
【0095】
第2実施形態において、検出センサ43の数や遮光板42の遮光部の数、構造等は、識別する搬送装置11の種類の数に応じて決定することができる。また、検出センサ43は、光学センサに限定されず、近接センサ等の他の非接触式センサとしてもよいし、マイクロスイッチ等の接触式センサとしてもよい。さらに、搬送装置11に設けられる識別部42は、遮光板に限らずバーコード等により構成することができ、検出手段43は、識別部42の形態に応じて適宜変更可能である。
【0096】
第1実施形態において、分析装置10に搬送装置11を接続しない場合の動作については、説明しなかったが、ユーザーによって、搬送装置11を特定する設定値「0」がシステム制御部13の入力部29に入力されると、設定値「0」が測定制御部16に送信され、制御部16によって、設定値「0」が記憶部21に記憶され、記憶した設定値「0」が読み出されることによって、マニュアル測定のプログラムが実行されるようにしても良い。
【0097】
第2実施形態において、分析装置10に搬送装置11を接続しない場合の動作については、説明しなかったが、分析装置10の第1検知センサ43A、第2検知センサ43Bの出力信号が(High、High)の場合、その出力信号が制御部16に送られ、制御部16によって、マニュアル測定のプログラムが実行されるようにしても良い。
【0098】
本発明の試料処理装置は、尿中有形成分分析装置に限らず、血液分析装置や、試料から標本を作製する標本作製装置等の他の装置にも採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1実施形態に係る分析装置(試料処理装置)に搬送装置を接続した状態を示す斜視図である。
【図2】分析装置から搬送装置を離脱した状態を示す斜視図である。
【図3】同分析装置及び搬送装置のブロック図である。
【図4】システム制御部を構成するパソコンのブロック図である。
【図5】検体分配部、試料調整部、及び光学検出部の概略機能構成を示す図である。
【図6】光学検出部の構成を示す図である。
【図7】分析装置及び搬送装置の概略平面図である。
【図8】搬送装置の種類を示す平面図である。
【図9】(a)は10検体用ラックの構成を示す斜視図、(b)は同正面図である。
【図10】5検体用ラックの構成を示す斜視図である。
【図11】装置本体(測定制御部)と搬送装置との通信の手順を示すタイムチャートである。
【図12】装置本体(測定制御部)と搬送装置との通信の手順を示すタイムチャートである。
【図13】分析装置に搬送装置を接続した場合に、搬送装置の設定値を設定する手順を示すフローチャートである。
【図14】第1実施形態の操作プログラムの表示画面(メニュー画面)の構成図である。
【図15】同操作プログラムの表示画面(コントローラ画面)の構成図である。
【図16】同操作プログラムの表示画面(サービス画面)の構成図である。
【図17】同操作プログラムの表示画面(サービス設定画面)の構成図である。
【図18】搬送装置の種類と設定値との関係を示す表である。
【図19】第1実施形態の分析装置が搬送装置測定モードを行う手順を示すフローチャートである。
【図20】本発明の第2実施形態に係る分析装置に搬送装置を接続した状態を示す概略側面図である。
【図21】検出手段及び識別部を示す説明図である。
【図22】検出手段の状態及び出力と、搬送装置との関係を示す表である。
【図23】分析装置及び搬送装置のブロック図である。
【図24】第2実施形態の分析装置が搬送装置測定モードを行う手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
10 分析装置(試料処理装置)
10a 試料吸引部
11 搬送装置(サンプラ)
12 装置本体(処理部)
15 接続部
16 測定制御部(制御部)
29 入力部
32 試験管(試料容器)
42 遮光板(識別部)
43 検出センサ(検出手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿等の試料に対し、検査、測定、分析等の処理を行う試料処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、血液や尿等の検査装置に接続され、この検査装置に試料を自動供給するラック移送装置が開示されている。このラック移送装置は、複数の検体容器が保持されたラックを前後方向及び左右方向に移送し、各検体容器を順次検査装置の試料吸引部に対向する吸引位置に配置する。検査装置は、通常ラック移送装置と連動して動作し、試料吸引部に対向する吸引位置に配置された検体容器から試料を吸引し、所定の手順で検査を行うようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−15271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査装置に対してどのような種類のラック移送装置(搬送装置)を接続するかは、検査装置を設置する施設等に応じて異なる。そのため、1種類の検査装置に対して、施設により異なったラック移送装置が接続される場合がある。また、検査装置に接続されるラック移送装置が異なると、その搬送駆動部の構成、動作及び動作制御が異なる。そのため、ラック移送装置を動作制御するためのプログラムが異なることになる。この場合、通常、サービスマンが、設置する施設ごとにその都度ラック移送装置の種類に対応したプログラムを検査装置に組み込み、各種の設定作業や確認作業を行わなければならないので、多くの手間と時間が必要である。また、既に設置されたラック移送装置を異なる種類に交換する場合にも、サービスマンが、同様の作業を行わなければならないので、非常に効率が悪い。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、サービスマンが搬送装置の接続に伴う作業(プログラムの組み込み、各種設定等)を少なくすることができる試料処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、試料容器中の試料を処理する試料処理装置であって、試料容器を搬送する複数種類の搬送装置の中の所定の搬送装置を接続するための接続部と、接続された搬送装置によって所定の位置に搬送された前記試料容器中の試料を吸引するための吸引部と、前記吸引部により吸引された試料に所定の処理を行う処理部と、前記接続部に接続された搬送装置の種類を特定する特定情報の入力を受け付ける入力手段と、前記入力手段によって入力を受け付けた特定情報に基づいて、接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行する制御部と、を備える。
【0007】
これによれば、入力手段が接続部に接続された搬送装置の種類を特定する特定情報の入力を受け付け、制御部がその特定情報に基づいて接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行するので、制御部は、例えば、試料容器の搬送距離や送りピッチ等に応じた動作を搬送装置に行わせたり(搬送装置を動作制御したり)、搬送装置との動作連携のため、搬送装置と通信を行ったりすることができる。そのため、従来のように、試料処理装置に搬送装置を接続したときに、その搬送装置ごとの制御用プログラムや通信用プログラムを試料処理装置に組み込む必要が無くなり、搬送装置の接続に伴う作業を少なくすることができる。
【0008】
前記処理部は、試料の測定を行う測定部、又は、試料から標本を作製する標本作製部であることが好ましい。
【0009】
上記試料処理装置は、前記搬送装置の種類に応じた複数の搬送装置用プログラムを記憶する記憶部をさらに備え、前記制御部は、入力された特定情報に対応する搬送装置用プログラムを前記記憶部から選択し、選択された前記搬送装置用プログラムを実行することにより、接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行することが好ましい。
【0010】
前記接続部は、試料容器の搬送動作が互いに異なる前記複数種類の搬送装置のうちいずれかの搬送装置を接続可能であり、前記制御部は、入力を受け付けた特定情報に基づいて、接続された搬送装置に対応する前記試料容器搬送動作の制御処理を実行することが好ましい。
【0011】
前記試料容器を搬送するための搬送機構と前記搬送機構の動作を制御するための第2制御部とを備えた搬送装置が前記接続部に接続され、その搬送装置を特定する特定情報が前記入力手段によって入力された場合、前記制御部は、前記搬送装置の第2制御部と通信を行い、前記第2制御部から受信した前記試料容器の搬送情報に基づいて、前記吸引部による吸引動作の制御処理を実行することが好ましい。
【0012】
前記第2制御部は、試料容器が所定位置に搬送されるよう搬送機構の動作を制御し、前記試料容器が所定位置に搬送されたとき、前記制御部に搬送情報として搬送終了信号を送信し、前記制御部は、受信した前記搬送終了信号に基づいて、前記吸引部による吸引動作の制御処理を実行することが好ましい。
【0013】
前記制御部は、試料吸引動作が終了した後、吸引動作終了信号を前記第2制御部に送信し、受信した前記吸引動作終了信号に基づいて、前記第2制御部は、前記搬送機構による第2試料容器の所定位置への搬送動作の制御処理を実行することが好ましい。
【0014】
前記試料容器を搬送するための搬送機構を備え、前記搬送機構の動作を制御するための第2制御部を備えていない搬送装置が前記接続部に接続され、その搬送装置を特定する特定情報が、前記入力手段によって入力された場合、前記制御部は、接続された搬送装置に対応する前記搬送機構動作の制御処理を実行することが好ましい。
【0015】
本発明は、試料容器中の試料を処理する試料処理装置であって、試料容器を搬送する複数種類の搬送装置の中の所定の搬送装置を接続するための接続部と、接続された搬送装置によって所定の位置に搬送された前記試料容器中の試料を吸引するための吸引部と、前記吸引部により吸引された試料に所定の処理を行う処理部と、前記接続部に接続された搬送装置を特定するための特定情報を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された特定情報に基づいて、接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行する制御部と、を備える。
【0016】
これによれば、制御部は、検出手段によって検出された特定情報に基づいて、接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行するので、自動的に特定情報を検出することにより、当該特定情報の手動入力等の作業の必要性が無くなる。
【0017】
前記検出手段は、前記接続部に設けられていることが好ましい。これによって、試料処理装置に搬送装置を接続することによって、自動的に検出手段により特定情報を検出することが可能となる。
【0018】
本発明は、試料容器中の試料を処理する試料処理装置であって、試料容器を搬送する複数種類の搬送装置の中の所定の搬送装置を接続するための接続部と、接続された搬送装置によって所定の位置に搬送された前記試料容器中の試料を吸引するための吸引部と、前記吸引部により吸引された試料に所定の処理を行う処理部と、前記接続部に接続された搬送装置の種類を特定する特定情報の入力を受け付ける入力手段と、前記入力手段によって入力された特定情報に基づいて、接続された搬送装置と通信を行う通信手段と、を備える。
【0019】
これによれば、入力手段が接続部に接続された搬送装置の種類を特定する特定情報の入力を受け付け、通信手段がその特定情報に基づいて接続された搬送装置と通信を行うので、試料処理装置は、例えば、試料容器の搬送距離や送りピッチ等に応じた動作を搬送装置に行わせるために、搬送装置との間で通信したり、搬送装置との動作連携を図るための通信を行ったりすることができる。そのため、従来のように、試料処理装置に搬送装置を接続したとき、その搬送装置に応じた制御用プログラムや通信用プログラムをその都度試料処理装置に組み込む必要が無くなり、搬送装置の接続に伴う作業を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の試料処理装置によれば、搬送装置の接続に伴う面倒な作業を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る試料処理装置10に試料搬送装置(搬送装置)11を接続した状態を示す斜視図である。また、図2は、試料処理装置10から搬送装置11を離脱した状態を示す斜視図である。本実施形態の試料処理装置10は、尿中有形成分分析装置とされている。
【0022】
〔尿中有形成分分析装置10の構成〕
尿中有形成分分析装置(以下、単に分析装置という)10は、搬送装置11によって移送された試料を吸引し、この試料から尿中有形成分や細菌の情報を検出するものである。分析装置10は、試料の測定等を行う装置本体12と、この装置本体12に接続され、測定結果の分析等を行うシステム制御部13とを備えている。
【0023】
装置本体12の前面下部には搬送装置11が着脱可能に接続される搬送装置接続部15が設けられている。図2において、装置本体12の底面には、2本の支持脚14が設けられ、各支持脚14は、装置本体12の前面から前方に突出している。装置本体12に接続された搬送装置11は、この支持脚14上に搭載され、支持脚14によって支持される。搬送装置接続部15には、後述するように複数種類の搬送装置が接続可能である。
【0024】
図3は、分析装置10及び搬送装置11のブロック図である。分析装置10の装置本体12は、図示しない試験管に入った尿(検体)を分注するための検体分配部1と、検体分配部1から分注された検体から試料を調製するための試料調製部2と、試料から尿中有形成分や細菌の情報を検出するための光学検出部3と、信号処理回路4と、測定制御部16(本発明の制御部、通信手段)と、モータ、アクチュエータ、バルブ等の駆動部17と、各種センサ18とを備えている。測定制御部16は、センサ18の信号を処理しつつ駆動部17の動作を制御することにより、尿試料を吸引し、測定を行う。なお、図3には、2つのタイプの搬送装置11X(11W)及び11Y(11Z)が示されているが、実際に分析装置10に接続されるのはいずれか一方のタイプである。
【0025】
〔測定制御部16の構成〕
測定制御部16は、マイクロプロセッサ20、記憶部21、I/Oコントローラ22、センサ信号処理部23、駆動部制御ドライバ24、及び外部通信コントローラ25等を備えている。記憶部21は、ROM、RAM等からなり、ROMには、駆動部17を制御するための制御プログラム、及び、制御プログラムの実行に必要なデータが格納されている。マイクロプロセッサ20は、制御プログラムをRAMにロードし、又はROMから直接実行することが可能である。
【0026】
マイクロプロセッサ20には、センサ18の信号がセンサ信号処理部23及びI/Oコントローラ22を通じて伝達される。マイクロプロセッサ20は、制御プログラムを実行することにより、その信号に応じて、I/Oコントローラ22及び駆動部制御ドライバ24を介して駆動部17を制御することができる。
【0027】
マイクロプロセッサ20が処理したデータや、マイクロプロセッサ20の処理に必要なデータは、外部通信コントローラ25を介してシステム制御部13等の外部の装置との間で送受信される。また、後述するように、測定制御部16の記憶部21には、各種搬送装置11用のプログラムが組み込まれている。
【0028】
〔システム制御部13の構成〕
図4は、システム制御部13のブロック図である。システム制御部13は、パーソナルコンピュータ等よりなり、本体27と、表示部28と、入力部29とから主構成されている。本体27は、CPU27aと、ROM27bと、RAM27cと、ハードディスク27dと、読出装置27eと、入出力インターフェース27fと、画像出力インターフェース27gと、から主構成されている。これらの間は、バス27hによって通信可能に接続されている。
【0029】
CPU27aは、ROM27bに記憶されているコンピュータプログラム及びRAM27cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。ROM27bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM等によって構成されており、CPU27aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が格納されている。RAM27cは、SRAM又はDRAMなどによって構成されている。RAM27cは、ROM27b及びハードディスク27dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU27aの作業領域として利用される。
【0030】
ハードディスク27dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU27aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及びそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。例えば、ハードディスク27dには、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のグラフィカルユーザーインターフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。
【0031】
また、ハードディスク27dには、分析装置10の測定制御部16への測定オーダ(動作命令)の送信、装置本体12で測定した測定結果の受信及び処理、処理した分析結果の表示等を行う操作プログラムがインストールされている。この操作プログラムは、当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0032】
読出装置27eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、又はDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体に記録されたコンピュータプログラム又はデータを読み出すことができる。入出力インタフェース27fは、例えば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース27fには、キーボード及びマウスからなる入力部29が接続されており、ユーザーが入力部29を使用することにより、パーソナルコンピュータにデータを入力することが可能である。また、入出力インターフェース27fは、装置本体12と接続されており、装置本体12との間でデータ等の送受信を行うことが可能である。
【0033】
画像出力インタフェース27gは、LCD又はCRTなどで構成された表示部28に接続されており、CPU27aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部28に出力するようになっている。表示部28は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0034】
〔検体分配部1、試料調製部2及び光学検出部3の構成〕
図5は検体分配部1、試料調製部2及び光学検出部3の概略機能構成を示す図である。この検体分配部1、試料調製部2及び光学検出部3等は、試料に所定の処理を行う処理部を構成している。試験管32に入った尿(検体)は、吸引管17を用いて図示しないシリンジポンプにより吸引され、検体分配部1によって試料調製部2へ分注される。本実施の形態における試料調製部は試料調製部(第1試料調製部)2uと試料調製部(第2試料調製部)2bとで構成されており、検体分配部1は、試料調製部2uと試料調製部2bのそれぞれに尿(検体)の定量されたアリコートが分配される。
【0035】
試料調製部2uの尿アリコートは、希釈液69uと染色液(染色試薬)68uが混合されて当該染色液(染色試薬)68uに含まれる色素により染色が施される。この染色試料は赤血球、白血球、上皮細胞、円柱等の比較的大きい尿中有形成分を分析するための懸濁液となる。一方、試料調製部2bの尿アリコートは、希釈液69bと染色液(染色試薬)68bが混合されて当該染色液(染色試薬)68bに含まれる色素により染色が施される。この染色試料は細菌を分析するための懸濁液となる。
【0036】
以上のようにして調製された2種類の懸濁液(試料)は、先に試料調製部2uの懸濁液(第1の試料)が光学検出部3に導かれ、シースフローセル51においてシース液に包まれた細い流れを形成し、そこに、レーザ光が照射される。その後同様に、試料調製部2bの懸濁液(第2の試料)が光学検出部3に導かれ、シースフローセル51において細い流れを形成し、レーザ光が照射される。このような動作は、後述する測定制御部16の制御により、駆動部17等を動作させることにより、自動的に行われる。
【0037】
図6は、光学検出部3の構成を示す図である。図において、コンデンサレンズ52は、光源である半導体レーザ53から放射されたレーザ光をシースフローセル51に集光し、集光レンズ54は尿中の有形成分の前方散乱光を散乱光受光部であるフォトダイオード55に集光する。また、他の集光レンズ56は前記有形成分の側方散乱光と側方蛍光とをダイクロイックミラー57に集光する。ダイクロイックミラー57は、側方散乱光を散乱光受光部であるフォトマルチプライヤ58へ反射し、側方蛍光を蛍光受光部であるフォトマルチプライヤ59の方へ透過させる。これらの光信号は、尿中の有形成分の特徴を反映したものとなっている。そして、フォトダイオード55、フォトマルチプライヤ58及びフォトマルチプライヤ59は光信号を電気信号に変換し、それぞれ、前方散乱光信号(FSC)、側方散乱光信号(SSC)及び側方蛍光信号(SFL)を出力する。これらの出力は、図示しないプリアンプにより増幅された後、前述した信号処理回路4(図3)に供される。
【0038】
信号処理回路4で処理された前方散乱光信号(FSC)、側方散乱光信号(SSC)及び側方蛍光信号(SFL)は、マイクロプロセッサ20によって、外部通信コントローラ25を介して、前述したシステム制御部13へ送られる。システム制御部13では、前方散乱光信号(FSC)、側方散乱光信号(SSC)及び側方蛍光信号(SFL)に基づいて、尿中有形成分を分析するためのスキャッタグラムが作成され、このスキャッタグラムによって、試料中の尿中有形成分は赤血球、白血球、上皮細胞、円柱、細菌等に分類される。
【0039】
なお、光源として、前記半導体レーザに代えてガスレーザを用いることもできるが、低コスト、小型、且つ低消費電力である点より半導体レーザを採用するのが好ましく、半導体レーザの採用により製品コストを低減させるとともに、装置の小型化及び省電力化を図ることができる。また、半導体レーザのうち、低コスト且つ長寿命であり、メーカーからの供給が安定していることから、赤色半導体レーザを用いるのが好ましい。
【0040】
〔搬送装置11の構成〕
図1に示すように、搬送装置11は、分析装置10の装置本体12の前部に接続されている。この搬送装置11は、分析装置10に試料を供給するために、ラック31に保持された複数の試験管(試料容器)32を分析装置10の試料吸引部10aに対向する吸引位置に搬送する機能を有している。ラック31は、複数の試験管32を1列に並べた状態で保持している。
【0041】
図7は、分析装置10及び搬送装置11の概略平面図である。図7に示すように、搬送装置11の右側には、未処理の試料を収容した試験管32が保持されたラック31をセットするためのラックセット領域34が設けられており、搬送装置11の左側には処理済みの試料を収容した試験管32が保持されたラック31を収容するためのラック収容領域35が設けられている。ラックセット領域34の終点位置34bとラック収容領域の始点位置35aの間には、搬送路34cが設けられている。
【0042】
ラックセット領域34及びラック収容領域35には、長手方向を左右方向に向けた複数のラック31を前後方向に並べて配置可能である。ラックセット領域34では、各ラック31が、手前側の始点位置34aから後側の終点位置34bへ向けて矢印(1)で示すように搬送され、その後、ラック収容領域35の始点位置35aへ向けて搬送路34C上を左方向(矢印(2)方向)に搬送される。搬送路34Cの中央部は、試料吸引部10aの吸引位置とされている。この吸引位置は試料吸引部10aに対向する位置である。搬送路34C上でラック31を左方向に搬送する間に、各試験管32が順次分析装置10の試料吸引部10aに対向して配置される。試料吸引部10aによって、吸引位置に配置されたラック31の試験管32から試料が吸引される。吸引終了後、試料が吸引された試験管32の隣の試験管32が吸引位置に配置され、吸引位置に配置された試験管32の試料が吸引される。このような動作が繰り返されることにより、ラック31に収容された全ての試験管32からの試料吸引が終了すると、ラック31は、ラック収容領域35の後側の始点位置35aに搬送される。また、終点位置35aに搬送されたラック31は、矢印(3)で示すように、手前側の終点位置35bに向けて搬送される。このようにして、ラックセット領域34にセットされた全てのラック31は、ラック31に収容された全ての試験管32からの試料吸引が終了すると、ラック収容領域35に収容される。
【0043】
〔搬送装置11の種類〕
搬送装置11には、搬送するラック31の大きさ等によって複数の種類がある。図8(a)(b)には、保持可能な試験管32の数が異なる2種のラック31を搬送する搬送装置11X及び11Wが示されている。図8(a)の搬送装置11X(以下、搬送装置Xとする)は、10本の試験管32を保持するラック31用(10検体ラック用)であり、図8(b)の搬送装置11W(以下、搬送装置Wとする)は、5本の試験管32を保持するラック31用(5検体ラック用)である。
【0044】
ここで、搬送装置Xに用いられる10検体用ラックと搬送装置Wに用いられる5検体用ラックについて説明する。図9は10検体用ラック226の構成を示す斜視図と正面図である。図9(a)に示すように、10検体用ラック226は、試験管32を収容する収容部211を10個備えている。また、図9(b)に示すように、10検体用ラック226は、その底面に凹部212を10個備えている。これらの各凹部212は、各収容部211に対応した位置に設けられている。図10は5検体用ラック92の構成を示す斜視図である。5検体用ラック92は、試験管32を収容する5個の収容部93と底面の長手方向の中央部に1つの凹部96が設けられている。このように、試験管32を収容する収容位置が設けられた間隔は、10検体用ラック226と5検体用ラック92では異なっている。即ち、10検体用ラック226の収容部211に収容された試験管32間の距離T1と5検体用ラック92の収容部93に収容された試験管32間の距離T2とは異なっている。
【0045】
搬送装置Xの10検体用ラック226に収容された試験管32を試料吸引部10aに対向する吸引位置に送るための10検体用ラック226の横送り動作ついて説明する。搬送装置Xは、10検体用ラック226の凹部212に係合する突起部、突起部を移動させるためのスライド機構及びスライド機構を駆動させるためのステッピングモータを備えている(図示せず)。また、搬送装置Xは、10検体用ラック226を搬送するための搬送面が設けられており、10検体用ラック226は、この搬送面上を移動する。この搬送面には、突起部が、突出するための切り欠きが設けられている。突起部は、切り欠きに隣接する搬送面下部の初期位置にある。突起部は、ステッピングモータが動作することにより、初期位置から移動して切り欠きから突出する。突出した突起部は、10検体用ラック226の底面に設けられた10個の凹部212のうちの1つに係合し、ステッピングモータが動作することにより、突起部が、水平移動して10検体用ラック226を1ピッチ横送りする。また、搬送装置Xは、ラック226の試験管32間の距離T1に合わせて、1ピッチ送るためのパルス数のパルス信号をステッピングモータに送り、これによりラック226が1ピッチ送られる。また、試験管32が、試料吸引部10aに対向する吸引位置に搬送されるとセンサ37aが検知し、検知信号を測定制御部16に送信する(図3参照)。これにより、試験管32が吸引位置に配置される。次に、突起部は、凹部212との係合が解除され、ステッピングモータが動作することにより、初期位置に戻る。再度、突起部が、前回係合した凹部212の隣の凹部212に係合し、ステッピングモータが動作することにより、突起部が、水平移動して10検体用ラック226を1ピッチ横送りする。
【0046】
搬送装置W(図8(b))の5検体用ラック92に収容された試験管32を試料吸引部10aに対向する吸引位置に送るための5検体用ラック92の横送り動作ついて説明する。搬送装置Wは、5検体用ラック92の凹部96に係合する突起部、突起部を移動させるための移動ベルト及び移動ベルトを駆動させるためのステッピングモータを備えている(図示せず)。また、搬送装置Wは、5検体用ラック92を搬送するための搬送面が設けられており、5検体用ラック92は、この搬送面上を移動する。この搬送面には、突起部が、突出するための切り欠きが設けられている。突起部は、切り欠きに隣接する搬送面下部の初期位置にある。突起部は、ステッピングモータが動作することにより、初期位置から移動して切り欠きから突出する。突起部が、5検体用ラック92の底面に設けられた1つの凹部96に係合し、ステッピングモータが動作することにより、突起部が、水平移動して5検体用ラック92を1ピッチ横送りする。また、搬送装置Wは、ラック92の試験管32間の距離T2に合わせて、1ピッチ送るためのパルス数をパルスモータに送り、これによりラック92が1ピッチ送られる。また、試験管32が、試料吸引部10aに対向する吸引位置に搬送されるとセンサ37aが検知し、検知信号を測定制御部16に送信する(図3参照)。これにより、試験管32が、吸引位置に配置される。次に、5検体用ラック92の底面に設けられた1つの凹部96に係合した状態で、ステッピングモータが動作することにより、水平移動して5検体用ラック92を1ピッチ横送りする。このようにして、5検体用ラック92が5ピッチ横送りされると、突起部は、凹部96との係合が解除され、ステッピングモータが動作することにより、初期位置に戻る。再度、突起部が、5ピッチ横送りされた5検体用ラック92の隣の5検体用ラック92の凹部96に係合し、ステッピングモータが動作することにより、水平移動して5検体用ラック92を1ピッチ横送りする。
【0047】
図8に示すように、10検体ラック用の搬送装置Xと、5検体ラック用の搬送装置Wとは、分析装置10の装置本体12の左右幅に対応するように、略同じ左右幅となっているが、前後方向の長さが異なっている。また、10検体ラック用搬送装置Xと5検体ラック用搬送装置Wとは、ラックセット領域34及びラック収容領域35におけるラック31の搬送距離L11とL12とが異なり、また、ラックセット領域34とラック収容領域35との間のラック搬送距離L21とL22や、各試験管32を試料吸引部10aに対向する吸引位置に送るための送りピッチP1とP2とが異なっている。また、前述したように、搬送装置X、Wによって、各試験管32を吸引位置に横送りする機構及び動作が異なっている。したがって、これらの搬送装置X、Wを動作制御するためのプログラムは互いに異なるものとなる。
【0048】
また、搬送装置11は、その動作を制御する制御部を備えているか否かによっても複数の種類がある。図3に示すように、前述の搬送装置X、Wは、ラック31の搬送を行うステッピングモータ等の搬送機構部36aと、ラック31の位置等を検出するフォトセンサやマイクロスイッチ等のセンサ37aを備えている。また、搬送装置X、Wは、その制御部を備えていない。このため、この搬送装置X、Wを分析装置10の測定制御部16によって制御できるように、記憶部21には、搬送装置制御用のX用及びW用プログラムが組み込まれる。
【0049】
搬送装置制御用プログラムが実行されることにより、測定制御部16のマイクロプロセッサ20には、センサ信号処理部23及びI/Oコントローラ22を介して搬送用センサ37aからの信号が伝達される。信号が伝達されると、マイクロプロセッサ20は、I/Oコントローラ22を介して制御用の情報を駆動部制御ドライバ24に送信する。駆動部制御ドライバ24は、送信された情報に応じた制御信号を生成し、その制御信号を搬送駆動部36aに送信することにより制御を行う。したがって、測定制御部16と搬送装置X、Wとの間では、センサ信号及び制御信号の通信が行われる。
【0050】
図11は、分析装置10(装置本体12)と搬送装置X(10検体用ラック搬送装置)との通信の手順を示したタイミングチャートである。測定制御部16と搬送装置X(10検体用ラック搬送装置)との通信の手順について、具体的に説明する。測定制御部16のマイクロプロセッサ20(図3)は、記憶部21に記憶されている搬送装置X用プログラムを実行する。マイクロプロセッサ20は、10検体用ラック226を搬送するための突起部を水平移動(横送り)させるためのパルスモータの回転量、回転方向、速度等の情報を駆動部制御ドライバ24に送る。駆動部制御ドライバ24は、受信した情報に基づいて、制御信号を搬送駆動部36aに送信する。搬送装置Xは、制御信号を受信して、搬送駆動部36aが制御信号に応じて動作し、10検体用ラック226の先頭の試験管32が試料吸引部10aに対向する吸引位置に来るように10検体用ラック226が搬送(横送り)される。搬送装置Xのセンサ37aは、先頭の試験管32が試料吸引部10aに対向する吸引位置に搬送されたことを検出し、その検出信号がセンサ信号処理部23を介してマイクロプロセッサ20に送られる。そして、マイクロプロセッサ20は、試験管32から試料を吸引するように試料吸引部10aを制御する。これにより、試料吸引部10aが、試験管32から試料を吸引する。吸引が終了すると、マイクロプロセッサ20は、10検体用ラック226を搬送するための突起部を初期位置に戻す復帰動作を行うためのパルスモータの回転量、回転方向、速度等の情報を駆動部制御ドライバ24に送る。駆動部制御ドライバ24は、受信した情報に基づいて、制御信号を搬送駆動部36aに送信する。搬送装置Xは、制御信号を受信して、搬送駆動部36aが制御信号に応じて動作し、突起部が初期位置に戻される。10検体用ラック226に収容された試験管32に全てについて、このような手順が繰り返し行われる。
【0051】
次に、搬送装置Y、Zの構成について説明する。図3に示すように、搬送装置Y、Zは、搬送駆動部36b及び搬送用センサ37bを備える。また、搬送装置Y、Zは、制御部38を備えている。制御部38には、外部通信コントローラ39、マクロプロセッサ40及び記憶部41が設けられている。外部通信コントローラ39は、分析装置10の外部通信コントローラ25に接続されている。そして、このような搬送装置Y、Zを接続した場合、搬送装置Y、Zとの動作の連携を図るため、分析装置10の測定制御部16では搬送装置Y、Zの制御部38との通信を行うための通信用プログラムが実行される。このような搬送装置Y、Zは、一般に、大型施設等において複数の分析装置に渡って用いられる搬送システムの一部として利用される。搬送駆動部36bは、制御部38の記憶部41に組み込まれた制御プログラムにより動作制御される。
【0052】
搬送装置Y、Zが分析装置10に接続された場合、通信は次のように行われる。例えば、搬送装置Y、Z側が試料吸引部10aに対向する吸引位置に試験管32を搬送すると、そのことを示す情報を分析装置10側に送信し、分析装置10側は、その情報を受信して、試験管32から試料を吸引する動作を行う。続いて、分析装置10は、試料を吸引したことを示す情報を搬送装置Y、Z側に送信し、搬送装置Y、Z側はその情報を受信して次の試験管32を試料吸引部10aに対向する吸引位置に搬送する動作を行う。
【0053】
図12は、搬送装置Y(10検体用ラック搬送装置)と分析装置10(装置本体12)との通信の手順を示したタイミングチャートである。搬送装置Y(10検体用ラック搬送装置)と分析装置10との通信の手順について、具体的に説明する。搬送装置Yのマイクロプロセッサ40は、搬送装置Yの動作を制御する制御プログラムを実行し、装置本体12のマイクロプロセッサ20は、分析装置10と搬送装置Yとの通信を行うための通信プログラムと分析装置10の動作を制御する制御プログラムを実行する。搬送装置Yのマイクロプロセッサ40は、検体用ラック226の先頭の試験管32が試料吸引部10aに対向する吸引位置に来るように10検体用ラック226を搬送(横送り)する。また、マイクロプロセッサ40は、分析装置10の測定制御部16に装置本体12の測定開始を指示する測定指示信号(または搬送が終了した搬送終了信号)を送る。装置本体12のマイクロプロセッサ20は、測定指示信号を受信すると、搬送装置Yの制御部38に10検体用ラック226の横送り動作の禁止を示す禁止信号を送る。装置本体12のマイクロプロセッサ20は、禁止情報を送信すると、試料吸引部10aに対向する吸引位置に横送りされた10検体用ラック226の試験管32(位置1)から試料を吸引する動作を行う。マイクロプロセッサ20は、吸引動作が終了すると、搬送装置Yの制御部38に10検体用ラック226を横送り動作の許可を示す許可信号(または吸引動作が終了した吸引終了信号)を送る。搬送装置Yのマイクロプロセッサ40は、10検体ラック226の次の試験管32(位置2)が試料吸引部10aに対向する吸引位置に来るように10検体ラック226を横送りする。その後、マイクロプロセッサ40は、測定制御部16に測定指示の情報を送る。そして、10検体用ラック226に収容された試験管32に全てについて、このような手順が繰り返し行われる。
【0054】
本発明の分析装置10には、上記のような搬送装置11の種類(X、Y、Z、W)に対応した制御用プログラム及び通信用プログラム(以下、これらを併せて搬送装置用プログラムという)の全てが測定制御部16の記憶部21に予め組み込まれている。そして、接続された搬送装置11の種類(X、Y、Z、W)を示す特定情報を取得し、特定情報に基づいた搬送装置用プログラムを選択して実行する。これにより、複数種の搬送装置11のいずれにも対応した動作を行うことができるようになっている。
【0055】
すなわち、本発明の分析装置10は、搬送装置11の種類を特定するための特定情報を入力する入力手段と、入力手段によって入力された特定情報に応じて、搬送装置11に対する動作(制御や通信)を行う制御部16と、を備えている。
【0056】
本実施形態においては、分析装置10に接続された搬送装置11の種類(X、Y、Z、W)に応じた特定情報を、システム制御部(パソコン)13の入力部29を介してユーザーが手動で入力し、入力された特定情報に応じて、測定制御部16において実行する搬送装置用プログラムを選択する構成となっている。
【0057】
図13は、分析装置10に搬送装置11を接続した場合に、各搬送装置X、Y、Z、Wの設定値を設定する手順を示すフローチャートである。まず、装置本体12の電源(図示しない)が投入されると、ステップS6において、測定制御部16の初期化(プログラムの初期化)が行われるとともに、装置本体12の各部の動作チェックが行われ、スタンバイ状態になる。そして、システム制御部13(パソコン)の電源(図示しない)が投入されると、ステップS1において、システム制御部13の初期化(プログラムの初期化)が行われ、表示部28にログイン画面が表示される。ログイン画面において、搬送装置の設定の権限を有するユーザー(例えば、サービスマン)が、ログインする(ステップS2)と、後述する搬送装置を設定するためのサービスアイコンが表示されるようになっている。次に、ステップS3において、システム制御部13は、スタンバイ画面(後述する操作画面W1)を表示する。
【0058】
図14〜図17は、システム制御部13で操作プログラムを実行した際に、表示部28(図4)に表示される操作画面W1〜W4を示している。操作画面W1〜W4は、タイトルバーB1、メニューバーB2、ツールバーB3、機能表示領域R、ステータスバーB4からなっている。タイトルバーB1には、当該操作画面W1〜W4の名称等が表示され、メニューバーB2には、操作画面W1〜W4における操作メニューが表示される。ツールバーB3には、各種機能を実行するための複数のツールボタン(アイコン)TICが表示されている。
【0059】
図14は、操作プログラムのメニュー画面W1を示すものであり、このメニュー画面W1の機能表示領域Rには、複数の機能アイコンICが表示されている。いずれかの機能アイコンICを選択することによって、各種の測定や設定等を実行することができる。
【0060】
分析装置10に接続した搬送装置11の種類を特定するためには、メニュー画面W1のコントローラアイコンIC1を選択する。
図15は、コントローラアイコンIC1(図14)を選択した際に表示されるコントローラ画面W2を示すものである。このコントローラ画面W2の機能表示領域Rには、サービスアイコンIC2が表示されている。このサービスアイコンIC2は、分析装置10の設置や設置後のメンテナンス等において、サービスマンが使用する機能(サービス機能)を呼び出すためのアイコンである。
【0061】
このサービスアイコンIC2は、操作プログラムやオペレーティングシステムを実行する際に要求されるユーザーID及びパスワードが、サービスマンのものであると認識した場合にのみ表示される。言い換えると、サービス機能の使用権限を有する者のみが当該機能を使用することができる。したがって、サービスマン以外のユーザーがシステム制御部13にログインし、コントローラ画面W2を表示したとしてもサービスアイコンIC2は表示されない。そのため、ユーザーが誤ってサービス機能の設定を変更等してしまうことはない。
【0062】
図16は、サービスアイコンIC2(図15)を選択した際に表示されるサービス画面W3である。このサービス画面W3の機能表示領域Rには、サービスマンが行う各種設定、テスト、メンテナンスに係る機能アイコンICが表示されている。分析装置10に接続した搬送装置11を特定するためには、サービス画面W3のサービス設定アイコンIC3を選択する。
【0063】
図17は、サービス設定アイコンIC3(図16)を選択した際に表示されるサービス設定画面W4である。このサービス設定画面W4には、サービス設定の対象を選択するプルダウンメニューH1、選択された対象の設定項目を表示する項目表示ウインドウH2、この項目表示ウインドウH2にて選択された項目を表示する選択項目表示部H3、搬送装置11の特定情報である設定値を入力するための入力枠H4、及び、入力枠H4に入力可能な設定値の例を示す設定値表示部H5が表示されている。
【0064】
項目表示ウインドウH2には、各種設定項目が上下方向に羅列されており、その項目の一つに搬送装置11の接続設定項目(Connection 、Sampler/Transportation)H2aがある。この項目H2aを選択すると、選択項目表示部H3に当該項目名が表示される。入力枠H4には、設定値表示部H5に表示された設定値のうちいずれかを入力することができる。本実施例では、「0」〜「4」のいずれかの設定値を入力可能である。なお、設定表示部H5において、各設定値「0」〜「4」の横には、接続される搬送装置11の具体的名称等が表示されている。
【0065】
分析装置10に接続された搬送装置11の種類(X、Y、Z、W)と、設定値「0」〜「4」との関係は、図18に示す通りである。設定値「0」は、分析装置10に搬送装置11を接続していないときに選択する「標準モード」の設定値である。この場合、分析装置10に対して手動で検体を供給して行う、マニュアル測定のみを行うことができる。
【0066】
設定値「1」は、分析装置10に10検体ラック用の搬送装置11(図8(a)に示した搬送装置X)を接続したときに選択する「搬送装置Xモード」の設定値である。この搬送装置Xはその制御部を備えておらず、分析装置10の測定制御部16(図3)によって制御される。
【0067】
設定値「2」は、分析装置10に、制御部38(図3)を備えた搬送装置11(Y)を接続するときに選択する「搬送装置Yモード」の設定値である。設定値「3」は、分析装置10に、搬送装置Yとは別の、制御部38(図3)を備えた搬送装置11(Z)を接続するときに選択する「搬送装置Zモード」の設定値である。
【0068】
設定値「4」は、分析装置10に5検体ラック用の搬送装置11(図8(b)に示した搬送装置W)を接続したときに選択する「搬送装置Wモード」の設定値である。この搬送装置Wはその制御部を備えておらず、分析装置10の測定制御部16(図3)によって制御される。したがって、本実施形態では、システム制御部13において実行される操作プログラムや入力部29等が、搬送装置11の特定情報を入力する入力手段を構成している。
【0069】
ここで、図13に示すフローチャートに戻り、搬送装置の設定値を設定する手順の続きについて説明する。ステップS4において、システム制御部13は、搬送装置の選択を受け付けたかどうか、すなわち、上述のようにシステム制御部13の操作プログラムから設定値「0」〜「4」の入力が行われたか否かを判断する。設定値が入力されると、システム制御部13は、その搬送装置に対応する信号を装置本体12の測定制御部16に送信する(ステップS5)。測定制御部16は、搬送装置に対応する信号を受け付けたか否かを判断し(ステップS7)、当該信号を受け付けると、当該信号に対応する搬送装置の設定値を記憶部21に記憶し、処理を終了する(ステップS8)。
【0070】
分析装置10に搬送装置11を接続した場合、その搬送装置11を用いた測定(サンプラ測定モード:搬送装置測定モード)だけでなく、搬送装置11を用いずに手動で検体を供給して行う測定(マニュアル測定)をも選択的に行えるようになっている。具体的には、図14に示すように、システム制御部(パソコン)13の表示部28に表示されたメニュー画面W1から、サンプラ測定(搬送装置測定)アイコンICa又はマニュアル測定アイコンICbを選択することによって、これらの測定を行うことができる。
【0071】
図19は、搬送装置11が接続された分析装置10がサンプラ測定モードを行う場合の手順を示すフローチャートである。まず、装置本体12の電源(図示しない)が投入されると、ステップS41において、測定制御部16の初期化(プログラムの初期化)が行われるとともに、装置本体12の各部の動作チェックが行われる。図1に示したインジケータ6が緑色に点灯されることより、スタンバイ表示される(ステップS42)。そして、システム制御部13(パソコン)の電源(図示しない)が投入されると、ステップS61において、システム制御部13の初期化(プログラムの初期化)が行われ、その後、表示部28にスタンバイ画面(メニュー画面W1:図14参照)が表示される(ステップS62)。
【0072】
ステップS63において、表示部28に表示されたスタンバイ画面(メニュー画面W1)のサンプラ測定ICaをユーザーが選択すると、システム制御部13は、測定スタート信号を装置本体12の測定制御部16に送信する(ステップS64)。
【0073】
装置本体12の測定制御部16は、ステップS43において、スタート信号が受信されたか否かを判断し、測定スタート信号が受信された場合、ステップS44において、搬送装置測定プログラムを記憶部21から読み出し、さらに搬送装置設定値を記憶部21から読み出す(ステップS45)。そして、ステップS46において、測定制御部16は、搬送装置設定値が何であるかを判断する(ステップS46)。測定制御部16は、設定値が「1」の場合、搬送装置X用プログラムを実行し(ステップS47a)、設定値が「2」の場合、搬送装置Y用プログラムを実行し(ステップS47b)、設定値が「3」の場合、搬送装置Z用プログラムを実行し(ステップS47c)、設定値が「4」の場合、搬送装置W用プログラムを実行する(ステップS47d)。
【0074】
測定制御部16は、ステップS48において、装置本体12が動作状態である動作状態信号をシステム制御部13に送信し、図1に示したインジケータ6を橙色に点灯させることにより、装置本体12が動作中であることを表示する(ステップS49)。そして、測定制御部16は、ステップS50において、測定が完了したか否かを判断し、測定が完了しなかった場合には、ステップS49に処理を戻す。測定制御部16は、測定が完了した場合には、ステップS51において、測定完了信号をシステム制御部13へ送信し、処理をステップS42に戻す。
【0075】
一方、システム制御部13は、ステップS65において、動作状態信号を受信したか否かを判断し、動作状態信号を受信した場合、測定動作中の表示を表示部28に行う(ステップS66)。また、システム制御部13は、ステップS65において、動作状態信号を受信しなかったと判断した場合、処理をステップS62に戻す。そして、システム制御部13は、ステップS67において、測定完了信号を受信したか否かを判断し、測定完了信号を受信した場合には、ステップS62に処理を戻し、測定完了信号を受信しなかった場合には、処理をステップS66に戻す。
【0076】
また、ステップS63において、測定スタートがされなかった場合、システム制御部13は、ステップS68において、シャットダウンの指示を受け付けた否かを判断する。ステップS68において、シャットダウンの指示を受け付けた場合、システム制御部13は、ステップS62に処理を戻す。一方、ステップS68において、シャットダウンの指示を受け付けた場合、システム制御部13は、シャットダウン信号を測定制御部16に送信する(ステップS69)。
【0077】
測定制御部16は、ステップS43において、測定スタート信号が受信されなかった場合、ステップS52において、シャットダウン信号を受信したか否かを判断する。ステップS52において、シャットダウン信号を受信しなかった場合は、測定制御部16は、ステップS42に処理を戻す。一方、ステップS52において、シャットダウン信号を受信した場合には、ステップS53において、制御部16はシャットダウンを実行し、シャットダウン完了信号をシステム制御部13へ送信し(ステップS54)、処理を終了する。
【0078】
システム制御部13は、ステップS70において、シャットダウン完了信号を受信したか否かを判断し、シャットダウン完了信号を受信するまで、その処理を繰り返す。
【0079】
搬送装置用プログラムは、例えば、複数のモジュール(プログラムの部品)、すなわち、いずれの搬送装置11にも共通する共通モジュールと、各搬送装置に応じて用いられる専用モジュールとからなり、共通モジュールを起動するとともに、接続した搬送装置に応じた専用モジュールを選択的に起動することによって、測定制御部16は、各搬送装置に応じた動作を行なわせる。
【0080】
以上の通り、本実施形態では、分析装置10の測定制御部16に複数種(X、Y、Z、W)の搬送装置11に対応する搬送装置用プログラムが予め記憶され、入力された搬送装置11の特定情報に対応した搬送装置用プログラムが測定制御部16によって実行されるので、サービスマンが分析装置10に搬送装置11X、11Y、11、11Wを接続したとき、その種類に応じた搬送装置用プログラムを組み込む必要はない。したがって、搬送装置11の接続に伴う設定作業等を簡略化することができる。
【0081】
また、搬送装置11が制御部を備えている場合には、搬送装置11との通信用プログラムが実行され、搬送装置11が制御部を備えていない場合には、搬送装置11の制御用プログラムが実行されるので、各種搬送装置11に対して適切な動作を行なわせることができる。
【0082】
搬送装置11の特定情報は、システム制御部13の入力部29から容易に入力することができる。また、入力部29による特定情報の入力は、サービスマン等の所定の入力権限を有する者のみ行うことができ、その他のユーザー等による入力は規制されているので、誤った特定情報が入力されることに伴う誤動作を防止することができる。
【0083】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、説明する。図20は、本発明の第2実施形態に係る試料処理装置(分析装置)10に試料搬送装置(搬送装置)11を接続した状態の概略側面図である。第2実施形態では、各搬送装置11に、その種類を特定するための特定情報を有する識別部42が設けられ、分析装置10に、識別部42を検出する検出手段43が設けられている。本実施形態の検出手段43は、光学センサからなる検知センサ43A、43Bを備え、識別部42は、検知センサ43を遮光することができる遮光板により構成されている。
【0084】
遮光板42は、搬送装置11の後下部、すなわち、分析装置10の装置本体12と接続される接続部に後方へ突出して設けられている。分析装置10の装置本体12に搬送装置11が接続されると、遮光板42が、装置本体12の下側(支持脚14によって形成された空間S)に挿入されるようになっている。一方、検知センサ43A、43Bは、装置本体12の前下部、すなわち、搬送装置11に対する接続部15に設けられ、挿入された遮光板42を検出することが可能となっている。
【0085】
図21は、検知センサ43A、43Bと、遮光板42との関係を示す説明図である。本実施形態では、3種類の搬送装置11を接続した場合と、搬送装置11を接続しない場合との4つのパターンを識別可能である。具体的に、分析装置10には、2つの検知センサ(第1、第2検知センサ)43A、43Bが設けられ、各搬送装置11には、それぞれ図21(a)〜(c)に示すような遮光板42が設けられている。なお、第2実施形態では、第1実施形態で説明した4種類X、Y、Z、W(図3及び図18参照)の搬送装置11のうち、3種類X、Y、Zを識別するものとした。
【0086】
図21(a)の搬送装置Xの遮光板42には、両方の検知センサ43A、43Bを遮光する2つの遮光部42a、42bが設けられている。図21(b)の搬送装置Yの遮光板42には、第1検知センサ43Aのみを遮光する1つの遮光部42aが設けられ、図21(c)の搬送装置Zの遮光板42には、第2検知センサ42Bのみを遮光する1つの遮光部42bが設けられている。
【0087】
分析装置10に接続された搬送装置11の種類(X、Y、Z)と、第1、第2検知センサ43A、43Bの状態及び出力との関係は図22に示す通りである。この図22によれば、分析装置10に搬送装置Xを接続したときは、第1、第2検知センサ43A、43Bとも遮光され(図21(a)の状態)、双方とも出力がLowレベルとなる。搬送装置Yを接続したときは、第1検知センサ43Aは遮光されてLowレベルの出力となるが、第2検知センサ43Bは遮光されずに入光状態となり、Highレベルの出力となる(図21(b)の状態)。搬送装置Zを接続したときは、第2検知センサ43Bは遮光されてLowレベルの出力となるが、第1検知センサ43Aは遮光されずに入光状態となり、Highレベルの出力となる(図21(c)の状態)。搬送装置を接続しない場合は、第1、第2検知センサ43A、43Bともに遮光されず入光状態となり、いずれの出力もHighレベルとなる。
【0088】
したがって、分析装置10にどの搬送装置X、Y、Zを接続するかによって第1、第2検知センサ43A、43Bの出力の組み合わせが異なり、この出力の組み合わせを判別することによって、接続した搬送装置11の種類を認識することができる。
【0089】
図23は、本実施形態の分析装置10及び搬送装置11のブロック図である。図23において、分析装置10の装置本体12には、第1、第2検知センサ43A、43Bが設けられている。第1、第2検知センサ43A、43B以外の構成については、図3に示す構成と同じであり、その説明については省略する。この第1、第2検知センサ43A、43Bの出力信号は、測定制御部16のセンサ信号処理部23及びI/Oコントローラ22を介してマイクロプロセッサ20に伝達されるようになっている。
【0090】
図24は、搬送装置11が接続された分析装置10が、搬送装置の種類を自動的に識別し、サンプラ測定モードを行う場合の手順を示すフローチャートである。図24のフローチャートは、図19のフローチャートのステップS45、S46が異なっており、さらにステップS47dがない以外は、図19のフローチャートのステップと同じである。図24に示すように、装置本体12の測定制御部16は、ステップS145において、検知センサ43A、43Bの出力信号を読み出し、検知センサ43A、43Bの出力信号の組み合わせが何であるかを判断する(ステップS146)。測定制御部16は、検知センサ43A、43Bの出力信号の組み合わせが(Low、Low)の場合、搬送装置X用プログラムを実行し(ステップS47a)、検知センサ43A、43Bの出力信号の組み合わせが(Low、High)の場合、搬送装置Y用プログラムを実行し(ステップS47b)、検知センサ43A、43Bの出力信号の組み合わせが(High、Low)の場合、搬送装置Z用プログラムを実行する(ステップS47c)。上記以外の処理については、図13のフローチャートと同様な処理が行われる。
【0091】
以上の通り、第2実施形態では、分析装置10の測定制御部16に複数種(X、Y、Z)の搬送装置11に対応する搬送装置用プログラムが予め記憶され、接続された搬送装置11を特定する特定情報を検出し、検出した特定情報に応じて搬送装置用プログラムを選択し、このプログラムを実行しているので、分析装置10に接続された搬送装置11ごとに、搬送装置用プログラムを組み込む必要はない。したがって、搬送装置11の接続に伴う設定作業等を簡略化することができる。
【0092】
また、搬送装置11の特定情報の検出は、分析装置10に搬送装置11を接続するだけで検出センサ43によって行うことができるので、搬送装置11の接続に伴う設定作業等をより一層簡略化することができる。
【0093】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく適宜設計変更可能である。例えば、例えば、試料処理装置10は、試験管32の搬送距離や送りピッチの違いに基づく種類のみを識別できるものであってもよいし、搬送装置11がその制御部を備えているか否かに基づく種類のみを識別できるものであってもよい。
【0094】
第1実施形態において、測定制御部16の記憶部21に搬送装置11を特定する設定値を記憶するようにしたが、システム制御部13の記憶装置(ハードディスク27d)に記憶し、次回以降、分析装置10を起動するときの初期化処理において、システム制御部13が、設定値を測定制御部16に送信するようにしても良い。
【0095】
第2実施形態において、検出センサ43の数や遮光板42の遮光部の数、構造等は、識別する搬送装置11の種類の数に応じて決定することができる。また、検出センサ43は、光学センサに限定されず、近接センサ等の他の非接触式センサとしてもよいし、マイクロスイッチ等の接触式センサとしてもよい。さらに、搬送装置11に設けられる識別部42は、遮光板に限らずバーコード等により構成することができ、検出手段43は、識別部42の形態に応じて適宜変更可能である。
【0096】
第1実施形態において、分析装置10に搬送装置11を接続しない場合の動作については、説明しなかったが、ユーザーによって、搬送装置11を特定する設定値「0」がシステム制御部13の入力部29に入力されると、設定値「0」が測定制御部16に送信され、制御部16によって、設定値「0」が記憶部21に記憶され、記憶した設定値「0」が読み出されることによって、マニュアル測定のプログラムが実行されるようにしても良い。
【0097】
第2実施形態において、分析装置10に搬送装置11を接続しない場合の動作については、説明しなかったが、分析装置10の第1検知センサ43A、第2検知センサ43Bの出力信号が(High、High)の場合、その出力信号が制御部16に送られ、制御部16によって、マニュアル測定のプログラムが実行されるようにしても良い。
【0098】
本発明の試料処理装置は、尿中有形成分分析装置に限らず、血液分析装置や、試料から標本を作製する標本作製装置等の他の装置にも採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の第1実施形態に係る分析装置(試料処理装置)に搬送装置を接続した状態を示す斜視図である。
【図2】分析装置から搬送装置を離脱した状態を示す斜視図である。
【図3】同分析装置及び搬送装置のブロック図である。
【図4】システム制御部を構成するパソコンのブロック図である。
【図5】検体分配部、試料調整部、及び光学検出部の概略機能構成を示す図である。
【図6】光学検出部の構成を示す図である。
【図7】分析装置及び搬送装置の概略平面図である。
【図8】搬送装置の種類を示す平面図である。
【図9】(a)は10検体用ラックの構成を示す斜視図、(b)は同正面図である。
【図10】5検体用ラックの構成を示す斜視図である。
【図11】装置本体(測定制御部)と搬送装置との通信の手順を示すタイムチャートである。
【図12】装置本体(測定制御部)と搬送装置との通信の手順を示すタイムチャートである。
【図13】分析装置に搬送装置を接続した場合に、搬送装置の設定値を設定する手順を示すフローチャートである。
【図14】第1実施形態の操作プログラムの表示画面(メニュー画面)の構成図である。
【図15】同操作プログラムの表示画面(コントローラ画面)の構成図である。
【図16】同操作プログラムの表示画面(サービス画面)の構成図である。
【図17】同操作プログラムの表示画面(サービス設定画面)の構成図である。
【図18】搬送装置の種類と設定値との関係を示す表である。
【図19】第1実施形態の分析装置が搬送装置測定モードを行う手順を示すフローチャートである。
【図20】本発明の第2実施形態に係る分析装置に搬送装置を接続した状態を示す概略側面図である。
【図21】検出手段及び識別部を示す説明図である。
【図22】検出手段の状態及び出力と、搬送装置との関係を示す表である。
【図23】分析装置及び搬送装置のブロック図である。
【図24】第2実施形態の分析装置が搬送装置測定モードを行う手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0100】
10 分析装置(試料処理装置)
10a 試料吸引部
11 搬送装置(サンプラ)
12 装置本体(処理部)
15 接続部
16 測定制御部(制御部)
29 入力部
32 試験管(試料容器)
42 遮光板(識別部)
43 検出センサ(検出手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料容器中の試料を処理する試料処理装置であって、
試料容器を搬送する複数種類の搬送装置の中の所定の搬送装置を接続するための接続部と、
接続された搬送装置によって所定の位置に搬送された前記試料容器中の試料を吸引するための吸引部と、
前記吸引部により吸引された試料に所定の処理を行う処理部と、
前記接続部に接続された搬送装置の種類を特定する特定情報の入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段によって入力を受け付けた特定情報に基づいて、接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行する制御部と、
を備える試料処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、試料の測定を行う測定部、又は、試料から標本を作製する標本作製部である請求項1記載の試料処理装置。
【請求項3】
前記搬送装置の種類に応じた複数の搬送装置用プログラムを記憶する記憶部をさらに備え、前記制御部は、入力された特定情報に対応する搬送装置用プログラムを前記記憶部から選択し、選択された前記搬送装置用プログラムを実行することにより、接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行する請求項1記載の試料処理装置。
【請求項4】
前記接続部は、試料容器の搬送動作が互いに異なる前記複数種類の搬送装置のうちいずれかの搬送装置を接続可能であり、前記制御部は、入力を受け付けた特定情報に基づいて、接続された搬送装置に対応する前記試料容器搬送動作の制御処理を実行する請求項1記載の試料処理装置。
【請求項5】
前記試料容器を搬送するための搬送機構と前記搬送機構の動作を制御するための第2制御部とを備えた搬送装置が前記接続部に接続され、その搬送装置を特定する特定情報が、前記入力手段によって入力された場合、前記制御部は、前記搬送装置の第2制御部と通信を行い、前記第2制御部から受信した前記試料容器の搬送情報に基づいて、前記吸引部による吸引動作の制御処理を実行する請求項1記載の試料処理装置。
【請求項6】
前記第2制御部は、試料容器が所定位置に搬送されるよう搬送機構の動作を制御し、前記試料容器が所定位置に搬送されたとき、前記制御部に搬送情報として搬送終了信号を送信し、前記制御部は、受信した前記搬送終了信号に基づいて、前記吸引部による吸引動作の制御処理を実行する請求項5記載の試料処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、試料吸引動作が終了した後、吸引動作終了信号を前記第2制御部に送信し、受信した前記吸引動作終了信号に基づいて、前記第2制御部は、前記搬送機構による第2試料容器の所定位置への搬送動作の制御処理を実行する請求項6記載の試料処理装置。
【請求項8】
前記試料容器を搬送するための搬送機構を備え、前記搬送機構の動作を制御するための第2制御部を備えていない搬送装置が前記接続部に接続され、その搬送装置を特定する特定情報が、前記入力手段によって入力された場合、前記制御部は、接続された搬送装置に対応する前記搬送機構動作の制御処理を実行する請求項1記載の試料処理装置。
【請求項9】
試料容器中の試料を処理する試料処理装置であって、
試料容器を搬送する複数種類の搬送装置の中の所定の搬送装置を接続するための接続部と、
接続された搬送装置によって所定の位置に搬送された前記試料容器中の試料を吸引するための吸引部と、
前記吸引部により吸引された試料に所定の処理を行う処理部と、
前記接続部に接続された搬送装置を特定するための特定情報を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された特定情報に基づいて、接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行する制御部と、
を備える試料処理装置。
【請求項10】
前記検出手段が、前記接続部に設けられている請求項9記載の試料処理装置。
【請求項11】
試料容器中の試料を処理する試料処理装置であって、
試料容器を搬送する複数種類の搬送装置の中の所定の搬送装置を接続するための接続部と、
接続された搬送装置によって所定の位置に搬送された前記試料容器中の試料を吸引するための吸引部と、
前記吸引部により吸引された試料に所定の処理を行う処理部と、
前記接続部に接続された搬送装置の種類を特定する特定情報の入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段によって入力された特定情報に基づいて、接続された搬送装置と通信を行う通信手段と、
を備える試料処理装置。
【請求項1】
試料容器中の試料を処理する試料処理装置であって、
試料容器を搬送する複数種類の搬送装置の中の所定の搬送装置を接続するための接続部と、
接続された搬送装置によって所定の位置に搬送された前記試料容器中の試料を吸引するための吸引部と、
前記吸引部により吸引された試料に所定の処理を行う処理部と、
前記接続部に接続された搬送装置の種類を特定する特定情報の入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段によって入力を受け付けた特定情報に基づいて、接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行する制御部と、
を備える試料処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、試料の測定を行う測定部、又は、試料から標本を作製する標本作製部である請求項1記載の試料処理装置。
【請求項3】
前記搬送装置の種類に応じた複数の搬送装置用プログラムを記憶する記憶部をさらに備え、前記制御部は、入力された特定情報に対応する搬送装置用プログラムを前記記憶部から選択し、選択された前記搬送装置用プログラムを実行することにより、接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行する請求項1記載の試料処理装置。
【請求項4】
前記接続部は、試料容器の搬送動作が互いに異なる前記複数種類の搬送装置のうちいずれかの搬送装置を接続可能であり、前記制御部は、入力を受け付けた特定情報に基づいて、接続された搬送装置に対応する前記試料容器搬送動作の制御処理を実行する請求項1記載の試料処理装置。
【請求項5】
前記試料容器を搬送するための搬送機構と前記搬送機構の動作を制御するための第2制御部とを備えた搬送装置が前記接続部に接続され、その搬送装置を特定する特定情報が、前記入力手段によって入力された場合、前記制御部は、前記搬送装置の第2制御部と通信を行い、前記第2制御部から受信した前記試料容器の搬送情報に基づいて、前記吸引部による吸引動作の制御処理を実行する請求項1記載の試料処理装置。
【請求項6】
前記第2制御部は、試料容器が所定位置に搬送されるよう搬送機構の動作を制御し、前記試料容器が所定位置に搬送されたとき、前記制御部に搬送情報として搬送終了信号を送信し、前記制御部は、受信した前記搬送終了信号に基づいて、前記吸引部による吸引動作の制御処理を実行する請求項5記載の試料処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、試料吸引動作が終了した後、吸引動作終了信号を前記第2制御部に送信し、受信した前記吸引動作終了信号に基づいて、前記第2制御部は、前記搬送機構による第2試料容器の所定位置への搬送動作の制御処理を実行する請求項6記載の試料処理装置。
【請求項8】
前記試料容器を搬送するための搬送機構を備え、前記搬送機構の動作を制御するための第2制御部を備えていない搬送装置が前記接続部に接続され、その搬送装置を特定する特定情報が、前記入力手段によって入力された場合、前記制御部は、接続された搬送装置に対応する前記搬送機構動作の制御処理を実行する請求項1記載の試料処理装置。
【請求項9】
試料容器中の試料を処理する試料処理装置であって、
試料容器を搬送する複数種類の搬送装置の中の所定の搬送装置を接続するための接続部と、
接続された搬送装置によって所定の位置に搬送された前記試料容器中の試料を吸引するための吸引部と、
前記吸引部により吸引された試料に所定の処理を行う処理部と、
前記接続部に接続された搬送装置を特定するための特定情報を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された特定情報に基づいて、接続された搬送装置を動作させるための制御処理を実行する制御部と、
を備える試料処理装置。
【請求項10】
前記検出手段が、前記接続部に設けられている請求項9記載の試料処理装置。
【請求項11】
試料容器中の試料を処理する試料処理装置であって、
試料容器を搬送する複数種類の搬送装置の中の所定の搬送装置を接続するための接続部と、
接続された搬送装置によって所定の位置に搬送された前記試料容器中の試料を吸引するための吸引部と、
前記吸引部により吸引された試料に所定の処理を行う処理部と、
前記接続部に接続された搬送装置の種類を特定する特定情報の入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段によって入力された特定情報に基づいて、接続された搬送装置と通信を行う通信手段と、
を備える試料処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2008−203189(P2008−203189A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−42263(P2007−42263)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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