説明

試料検査のための手持ち式分析装置

【課題】試料の医療上有意な成分を検査するための手持ち式分析装置、およびそのような手持ち式分析装置を、故障または誤作動の可能性が低くなるように動作させる方法を提供する。
【解決手段】検査ユニット20を有し、検査ユニットは、使い捨て分析手段10が搬送路に正しく配置されていることを検出する。検査ユニットは、搬送路に使い捨て分析手段が配置されていることを機械的に検知する電気スイッチ21と、使い捨て分析手段10が配置されていることを光学的に感知する光学センサ30の両方を有する。手持ち式分析装置1は、これら電気スイッチの信号と光学センサの信号とを比較した結果にしたがって制御される。この方法を採用することにより、それに関連した故障と誤作動を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療上有意な成分について試料、特に生体液を検査するための手持ち式分析装置と、そのような手持ち式分析装置を動作させる方法に関する。手持ち式分析装置は、分析器、ディスプレイ、および使い捨て分析手段、特に試験片を収容する交換式マガジンを受容するための装着用開口部を含むハウジングを有する。マガジンは、複数のチャンバを有し、各々のチャンバはマガジンの端面に開口部が設けられ、また、各々の開口部は密封フィルムを用いて封止できるようになっている、たとえば回転ドラム式マガジンである。手持ち式分析装置は、使い捨て分析手段の1つをマガジンから取り出すための取出し装置をさらに有し、取出し装置によって、使い捨て分析手段の1つがマガジンのチャンバから搬送路上に搬出される。この操作中にまたはそれに続けて、使い捨て分析手段は、搬送路を分析ユニットの分析センサまで搬送され、そこで分析が実施される。検査ユニットが、使い捨て分析手段は搬送路に正しく配置されているか否かを判定する。
【背景技術】
【0002】
固形並びに液体試料の化学および生化学分析のために、担持体を用いた迅速試験法が、専門の研究室において、また、特に固定式研究室の外において用いることができるよう確立されている。そのような担持体を用いた迅速試験法は、特別に開発された乾式化学反応に基づいており、高い活性の試薬を用いる反応はしばしば複雑であるにも拘らす、たとえ素人でも容易かつ簡単に実施することができる。
【0003】
糖尿病患者の血中グルコースのレベルを測定する試験要素は、担持体を用いた迅速試験法のポピュラーな例である。帯片に形成された診断用の試験要素は、試験片とも呼ばれる。周知の実施形態は、たとえば尿検査用の単一領域または複数領域が設けられた試験片、および種々の指示紙を含む。帯状の試験要素の他に、別の形態の担持体を用いた迅速試験法もあるために、我々は特にランセットまたは試料採取要素も含む使い捨て分析手段という、より一般的な用語を用いる。
【0004】
そのような使い捨て分析手段は、たとえば光学分析デバイスを用いての測光のように、試験片の色の変化を分析する手持ち式分析装置において用いられる。使い捨て分析手段は、たとえば欧州特許出願公開第1022565号明細書で説明されているような回転ドラム式マガジンに収容される。そのような回転ドラム式マガジンは、環状に配置されていて、使い捨て分析手段を収容する複数のチャンバを有する。各々のチャンバは、回転ドラム式マガジンの対向する端部に挿入用開口部と取出し用開口部とを有する。これらの開口部は、光、湿気または塵埃のような有害な周囲の影響から使い捨て分析手段を保護するために、それぞれ密封フィルムを用いて封止される。
【0005】
Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, 2001 が市販している「Accu-Chek(登録商標) Compact Blood Glucose Meter」のような周知の手持ち式分析装置の場合には、使い捨て分析手段が回転ドラム式マガジンにまだ残っているのか否かまたはそれがすでに取り出されてしまったのか否かを判定するための検査は、取出し装置を動作させることによって行われる。周知の手持ち式分析装置は、2つの電気試験回路を有する。第1の試験回路は、取出し装置のプッシュ・ロッドが回転ドラム式マガジンのチャンバに挿入されたとき、プッシュ・ロッドに装着された金具によって閉じられる。チャンバ内に使い捨て分析手段がある場合には、それはプッシュ・ロッドによって押し出され、その際、使い捨て分析手段によってスイッチが入って第2の試験回路が閉じられる。取出し装置の動作により、第1の試験回路だけが閉じられ第2の試験回路を閉じることにはならなかった場合、このことは、回転ドラム式マガジンの各々のチャンバが空であることを意味する。
【0006】
欧州特許第0779983号明細書は、位置確認インデックス付き分析検出片とその分析装置を開示している。光学センサにより検出される位置確認インデックスを用いることにより、検出片が配置されていること、よって検出片の存在が検出され、その検出結果にしたがって分析の実施が制御される。検出片に位置確認インデックスを用いることにより、特に汚れによる故障を起こす可能性がある、検出片の複雑な構造を無くすことができる。
【0007】
さらに、欧州特許出願公開第1508807号明細書には、試験要素の位置決め装置が説明されており、位置決め装置は、試験要素の方向に変位可能に構成されており、試験要素に対向する先細の円錐形端部が設けられた電気スイッチによって信号を生成する。この先細の円錐形端部は、試験要素の確実な分析ができるよう試験要素を分析装置に配置するために協働する、試験要素の凹みに侵入する。位置決め装置は、変位可能に構成されたスイッチによって、電気接点が、試験要素の存在、すなわち試験要素が正しく配置されたことに対応して開くまたは閉じるように構成されている。そのような位置決め装置は、分析装置の動作に好ましくない影響を与え、典型的には、収容されている容器が完全に空になるまで試験要素を連続して取り出すこと(試験片の継続的積層)または試験要素を次から次へと送り出すことによって、試験要素を搬送路に詰まらせること(試験片詰まり)によって特徴付けられる故障に繋がる汚損を生じがちであることが証明されている。
【0008】
血中グルコースのレベルを測定するための装置のような、試料の医療上有意な成分を検査するための手持ち式分析装置は、年齢または病気のために、認知または手先の器用さが低下している人々がしばしば使用する。従って、そのような分析装置は、操作が可能な限り容易であり、また、誤作動または故障をできる限り起こさないようになっていることが重要である。
【0009】
本発明の目的は、試料の医療上有意な成分を検査するための手持ち式分析装置、およびそのような手持ち式分析装置を、故障または誤作動の可能性が低くなるように動作させる方法を提供することである。
【発明の開示】
【0010】
この目的は、添付した独立特許クレームの特徴を備える、本発明による手持ち式分析装置および/またはそれを動作させる方法によって達成される。本発明の選好実施形態と改良例は、従属特許クレームおよび各々の図面を参照して行う以下の説明によって規定される。
【0011】
従って、本発明による手持ち式分析装置は、使い捨て分析手段が搬送路に正しく配置されていることを検出する検査ユニットを有するという特定の特徴を備え、検査ユニットは、使い捨て分析手段が搬送路に配置されていることを機械的に検知し、使い捨て分析手段の存在を示す少なくとも1つのスイッチ位置を取り、さらに使い捨て分析手段の配置状態に対応するスイッチ信号を発信する電気スイッチ、使い捨て分析手段が搬送路に配置されていることを光学的に感知して、使い捨て分析手段の配置状態に対応するセンサ信号を発信する光学センサ、および電気スイッチのスイッチ信号を分析し、光学センサのセンサ信号を分析し、さらに、これら信号を比較した結果にしたがって手持ち式分析装置を制御する制御ユニットを有する。
【0012】
本発明による手持ち式分析装置は、使い捨て分析手段が搬送路に正しく配置されていることを判定する検査ユニットが設けられている。使い捨て手段を搬送路に配置することとは、取出し装置が、使い捨て手段をマガジンから取り出して、使い捨て手段を搬送路に配置した状態を指すと了解されるものとし、そのとき、使い捨て手段は、マガジンからの取出しがうまく、すなわち問題なく行われた場合、搬送路に位置付けられ、搬送路に配置される。「正しく配置する」の用語は、使い捨て手段が手順によって予め決められた位置に現実に存在するという事実を意味すると了解されるものとする。そのような予め決められた位置において、たとえば使い捨て手段の単なる存在が確認される、すなわち使い捨て手段が搬送路にあり、意図した位置または意図した領域に可能な限り正しく配置されているか否かを判定するために検査が実施される。別のケースにおいては、使い捨て手段の正確な位置の検査が行われ、それにより使い捨て手段が搬送路の正確な位置または場所にあるのか否かが確認される。使い捨て手段が正しく配置されていることの検査は、これらのケースにおいては、使い捨て手段が搬送路のいずれの位置にあっても行われる。いくつかの実施形態においては、使い捨て手段が正しく配置されていることの検査は、分析センサを用いて分析が行われる位置において実施される。しかし、別の実施形態においては、使い捨て手段が正しく配置されていることを、この測定位置以外の場所、特に測定位置に到達する前に使い捨て手段が達する位置で検査することが有利である。
【0013】
検査ユニットは、搬送路への使い捨て分析手段の配置を互いに独立しながらも一緒に検出を行い、検出した配置状態にしたがって各々スイッチ信号とセンサ信号を発信する電気スイッチおよび追加としての光学センサを有し、これらの信号は、1つの信号の検証および/または検査を、別の信号に基づいて行うことが可能か否かを確認するために、制御ユニットによって一緒に分析される。これにより、特に電気接点の膨潤のために生じる特に電気スイッチの誤作動または故障を検査することが可能になり、それを意図的に行うことによって、発生する損害の大きさを制限することができる。
【0014】
手持ち式分析装置の独創的な構成のために、たとえば電気スイッチの汚損された電気接点に起因する故障を大幅に低減することが確実に可能になる。そのような汚損は、手持ち式分析装置を特定の期間、特に携帯して使用する際に生じるが、それは、ユーザがこれらの装置を大きく変動する環境下で、特に湿気と汚損によって特徴付けられる余り好ましくない環境の下で使用するおよび/または保管するためである。接点汚損の危険は、手持ち式分析装置のハウジングが、特に使い捨て分析手段を収容するまたは取り出すための開口部を有し、その開口部を介して、塵埃や他の粉塵がハウジング内に侵入して電気スイッチの接点に堆積して、電気スイッチの動作に影響を与えるという事実のために生じる。また、電気スイッチの機械的機能にも悪影響がある。
【0015】
このことは、たとえば試験片の継続的積層または試験片詰まりと言われる故障に繋がる。試験片の継続的積層が生じるとき、制御ユニットは、汚損のために機能していない電気接点のことを使い捨て手段の非存在であると解釈するために、新しい使い捨て手段が取出し装置を用いてマガジンから取り出され、電気スイッチ手段の領域に達するまで搬送路上を搬送される。この動作は、マガジンが完全に空になり(試験片の継続的積層)または使い捨て手段が次々と送り出されて搬送路に詰まり(試験片詰まり)、よって手持ち式分析装置の機能が停止するまで繰り返される。ユーザにとっては非常に煩わしく、また、使い捨て手段を不必要に消費するためにお金がかかる、まさにここに説明したこのような故障は、本発明によると大幅に低減させることが可能である。
【0016】
電気スイッチのスイッチ信号を、光学センサの光学センサ信号に基づいて検証および/または検査可能にする独創的な検査ユニットを備えるよう独創的に実施された手持ち式分析装置は、特に搬送路に使い捨て手段が非存在であるという検証結果を用いることにより、電気スイッチ信号を光学センサによって検査することを可能にする。使い捨て手段の存在および/またはその正しい配置が、故障した電気スイッチの誤った信号ではなく、光学センサによって検出および/または判定される場合、制御ユニットは、取出し装置によるマガジンからの使い捨て手段の継続したさらなる取出しを阻止するために、上述した故障の大部分を防止することができる。
【0017】
機械的な検知動作に基づき、使い捨て分析手段が確実に正しく配置されるようにする電気スイッチ、および光学的感知に基づき、正しく配置されていることを判定する光学センサを備える検査ユニットが独創的な構成であるために、検査ユニットによって、正しく配置されていることをきわめて普遍的にかつ高い信頼性を持って検証することが可能になる。
【0018】
電気スイッチは、たとえば変位可能なバネ付きペグに実施され、かつ、一般に帯片の形状または本質的には正方形片に形成される使い捨て手段の表面を機械的に検知するために用いられる変位可能なスイッチ要素を含み、検知動作の結果としてのスイッチ要素の変位に基づいて電気接点を閉じるまたは開くように構成されていることが好ましい。使い捨て手段の表面を機械的に検知することにより、電気スイッチの領域における使い捨て手段の配置についての情報を、きわめて高い信頼性のある、ロバストな方法で入手することが可能になる。この電気スイッチは、特に使い捨て手段の変形または手持ち式分析装置の振動の影響を余り受けないことが証明されている。
【0019】
正しく配置されていることを検出するための、ロバストで感度が抑制されている電気スイッチと、使い捨て手段が正しく配置されていることを光学的検出に基づいて検出する光学センサとを独創的に組み合わせることによって、正しく配置されていることに関する検査ユニットから得られた情報の信頼性が大幅に向上する。ここでの光学センサは、受動的光学センサまたは能動的光学センサに実施される。受動的光学センサは、搬送路に位置する、光学センサの検知領域における使い捨て手段の光学特性を検出する受光器だけを有する。能動的光学センサは、困難な状況下にあっても、信頼できるセンサ信号を発信できるよう、検知領域に対して能動的な照射を行うことによって特徴付けられる。
【0020】
特に使い捨て手段が汚損されているとき、能動的光学センサは、きわめて良質の信号を発信する。光学センサは、検知領域に対する能動的な照射が、搬送路の、使い捨て手段によって反射された光を検出する受光器と同じ側で行われるよう、反射方式で用いることが好ましい。これにより、光学センサを非常に小型化できる。これに替えて、光学センサを透過方式で用いることも可能であり、この場合、各々の要素は、搬送路および/または使い捨て手段の両側に、従って互いに対向して配置される。これにより光学センサの各々の要素は別体となるが、配線の密度を増すことにより小さいスペースに収まるために、非常に小型の手持ち式分析装置に装着することが特に有利である。
【0021】
電気スイッチの選好形態は、使い捨て手段の方向に先細になる円錐形で、使い捨て分析手段に対向する端部を備えた変位可能なペグ形状の電気スイッチを有するために、スイッチ要素領域における使い捨て分析手段の存在および/または配置を検出できるだけでなく、それに加え、先細の円錐形端部を備えたペグが使い捨て手段の隆起部および/または凹みに係合するという事実によって、使い捨て手段を能動的に配置することが可能であるために、使い捨て手段は、所望の分析位置に動かされるおよび/またはそこに保持される。用語「凹み」は、また、使い捨て手段の開口または孔を含むと了解されるものとする。この配置機能を支えるために、変位可能なペグは、バネが装着されていて、バネの作用により使い捨て手段を分析のための所望の位置に動かすようになっていることが好ましい。
【0022】
このように、検査ユニットは、一方では複合ユニット、すなわち使い捨て分析手段が正しく配置されていることを検証および/または検査を行うためのユニットとしての機能、および他方では分析のために所望の位置に能動的に配置するためのユニットとしての機能が組み合わされていることにより、手持ち式分析装置は、きわめて高い信頼性と抑制された感度を有するように実施可能であり、そのために、誤りに対する大きい耐性を有する。その後の分析のために配置されたこの位置は、使い捨て手段が正しく配置されていることを光学的に検出するための最適な位置であるために、手持ち式分析装置の動作をきわめて信頼できるものにしてくれる。電気スイッチは、その検査機能と配置機能とが、搬送路の使い捨て分析手段の同一の位置または異なる位置に関係するように構成されている。
【0023】
手持ち式分析装置の選好形態は、使い捨て分析手段の位置特有面構造と協働し、また、変位可能なスイッチ要素の位置に応じて異なるスイッチ状態になる電気スイッチを有するために、検査ユニットが高度に分化した切換動作を行うようにすることができる。この位置特有面構造は、特に、幅および/または深さが変化する、使い捨て分析手段の溝、および幅および/または高さが変化する、使い捨て分析手段の傾斜台によって特徴付けられる外形に実施される。スイッチ要素の位置によって異なる溝への侵入および/または位置によって異なる傾斜台による上昇のために、使い捨て手段の異なる位置を選択的に検出し、制御ユニットによって、手持ち式分析装置を位置により異なるよう制御することが可能である。特に、分析の時点が最適になるように制御することが可能である。特に消費について有効な動作モードに関しては、電気エネルギーの消費を最小にするために、手持ち式分析装置の各々の電気部品が意図的に早い時点で作動できるおよび/または停止できるようになっていることが、特に有利である。このようにして、故障の頻度を低下させることが可能である。
【0024】
手持ち式分析装置の特に好ましい実施形態は、光学センサが、電気スイッチの、たとえば変位可能なペグ自体のようなスイッチ要素の位置を検出し、スイッチ要素の位置に応じて、使い捨て分析手段の搬送路への配置によって決まる電気スイッチの電気スイッチ信号を設定することが可能であり、これにより、光学センサによって電気スイッチの配置信号を検証および/または検査ができるように構成されていることを特徴とする。検査ユニットのこの実施形態においては、検査ユニットをモジュール化することによって、手持ち式分析装置を非常に小型化することができる。また、このようにして得られた検査ユニットは一体化できるために、独創的な手持ち式分析装置を、その修理が容易になるように実施することが可能になる。
【0025】
手持ち式分析装置の選好実施形態によると、使い捨て分析手段が搬送路に配置されていることを検出する光学センサおよび分析センサは、複合センサに一体化されている。ここで一体化とは、両方のセンサが1つの構造体に組み込まれていることを意味してもよい、または両方のセンサが両機能を果たす1つのセンサに実施されていることを意味することが好ましい。特に、両方のセンサを光学センサの形態に構成するとき、両機能を1つのセンサに一体化できることが好ましい。この場合、2つの機能は、時間的順序で、すなわち最初に使い捨て分析手段が搬送路に配置されていることを検出する光学センサの機能を、次いで試料を光学的に分析する光学的分析センサの機能の順で実施される。この独創的な手持ち式分析装置は、故障の低減に加え、非常に小型化されており、そのために、手持ち式分析装置は、その取扱いが特に容易である。さらに、センサ数低減のために、信頼性の向上、よって故障回数のさらなる減少が可能である。
【0026】
手持ち式分析装置の選好実施形態によると、取出し装置による使い捨て分析手段のマガジンからの取出しは、電気スイッチのスイッチ信号または光学センサのセンサ信号のいずれか一方が、使い捨て分析手段は搬送路に正しく配置されたことを示し、他方の信号が、使い捨て分析手段は搬送路に正しく配置されていないことを示し、両方の信号に矛盾がある場合、制御ユニットによって阻止される。これにより、「使い捨て手段が正しく配置されていない」状態を示す、よって使い捨て手段の非存在をも示すことができるセンサ信号は、新しい使い捨て手段のマガジンからの取出しが間違いなく行われないようにし、また、使い捨て手段の不必要な消費も行われないために、本発明によると、いわゆる試験片の継続的積層という故障が防止される。搬送路に複数の使い捨て分析手段が詰まる危険(いわゆる試験片詰まり)は、従って、この機能を備えた手持ち式分析装置のこの構成によると、大幅に排除される。手持ち式分析装置の独創的な構成のために、故障回数を低下させることが可能になる。
【0027】
医療上有意な成分について試料を検査するために分析センサを作動させ、次いで使い捨て分析手段の搬送路への正しい配置が、使い捨て分析手段が正しく配置されていることを示す、電気スイッチのスイッチ信号によって確認されたとき分析を開始することは、特に有利であることが証明されている。このことは、光学センサ信号とは無関係に実施されることが好ましく、これにより、手持ち式分析装置および手持ち式分析装置を動作させる方法を、きわめて簡単で、ロバストに実施することが可能になる。電気スイッチは、光学センサに対し、ここではある程度優先するようにされているために、光学センサは、電気スイッチのスイッチ信号が、搬送路の正しい位置に使い捨て分析手段が存在しないことを示したときだけ、電気スイッチのスイッチ信号を検査するおよび/または検証するための事実上の動作を開始する。
【0028】
本発明は、また、医療上有意な成分について試料、特に生体液を検査するために、手持ち式分析装置を動作させる方法に関し、手持ち式分析装置は、ディスプレイ、使い捨て分析手段をマガジン、特に回転ドラム式マガジンから取り出して、それを搬送路上に搬送するための取出し装置、搬送路において使い捨て分析手段の供給を受けることができる分析センサ、および使い捨て分析手段が搬送路に正しく配置されていることを検出する検査ユニットを有し、方法は、また、手持ち式分析装置の起動、およびそれに続くマガジンからの使い捨て分析手段の取り出しと、搬送路上へのそれの搬送の後に、使い捨て分析手段は搬送路に配置されていることを機械的に検知する電気スイッチの信号と、使い捨て分析手段は搬送路に配置されていることを光学的に感知する光学センサの信号とが制御ユニットによって分析され、かつ、これら信号を比較した結果にしたがって手持ち式分析装置は制御されるという特定の特徴を含む。
【0029】
両信号の分析は、各々の検出位置を検証および/または検査することによって行われ、とりわけその結果にしたがって、分析センサおよび/または取出し装置および/またはディスプレイが制御される。使い捨て手段が搬送路に配置されていることを示す種々の信号を検査および/または検証するという独創的なオプションによって、故障、および故障に関係する誤作動を減らすことができるが、これにより、本発明による分析装置の使用時における使いやすさと信頼性が大きく向上する。
【0030】
使い捨て分析手段が正しく配置されていることを電気スイッチによって検出したときには、光学センサ信号とは無関係に、分析センサによる計測動作を開始つまり始めることは、特に有利であることが証明されている。この構成は、正しく配置されていることを明確に示す電気スイッチのスイッチ信号が、原則として検査および/または検証を必要としないきわめて信頼性の高い信号であるという事実を利用している。この構成を採ることにより、手持ち式分析装置を動作させるための、非常に簡単で、十分に信頼できる方法が提供される。
【0031】
電気スイッチの信号または光学センサの信号のいずれか一方が正しく配置されていることを示し、他方の信号が使い捨て分析手段は正しく配置されていないことを示して、2つの信号が互いに矛盾するとき、取出し装置による使い捨て分析手段の取出しが制止されるよう、手持ち式分析装置を動作させる方法を定めることは有利であることが証明されている。このとき、本発明においては、マガジンからの使い捨て分析手段の新たな取出しが確実に阻止されるようになっているために、試験片の継続的積層の形態の、使い捨て手段の連続搬送および/または試験片詰まりの形態の、搬送路における使い捨て手段の詰まりのような不要な故障が防止される。また、ディスプレイを用いて、特定のエラーメッセージを表示することが好ましい。
【0032】
使い捨て分析手段が正しく配置されていないことが、電気スイッチおよび光学センサによって検出された場合、とりわけそのような使い捨て分析手段の非存在が検出されかつ相互に確認された場合、取出し装置が作動して、マガジンから使い捨て手段が取り出され、さらに搬送路上を分析センサの方向に搬送され、そこで、独創的な検査ユニットを用いて、使い捨て手段が正しく配置されていることの検出・検査が行われる。使い捨て手段が搬送路に正しく配置されていることを、独創的な方法で検証することによって、手持ち式分析装置の動作は非常に高い信頼性を持って確実に行われることになり、この動作は、故障の数がきわめて少ないことを特徴とする。
【0033】
動作の信頼性は、マガジンが完全に空になったか否かを検査し、正しく配置されていないことが検出されるとともに、相互確認が得られている場合には、取出し装置の作動継続を阻止することによってさらに向上させることができる。ディスプレイを用いて、マガジンが完全に空になったことを示すエラーメッセージを出力することが好ましい。独創的な方法の、この実施形態によると、分析装置の取扱いが特に容易になり、手持ち式分析装置の誤作動または故障の大部分が排除される。
【0034】
本発明のさらなる詳細と利点について、添付図面を参照しつつ、例示としての実施形態に基づき説明する。ここで説明する特徴は、本発明の選好実施形態を構成するために、個別にまたは組み合わせて用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1〜図3は、試料の、特に血液、尿または唾液のような生体液の医療上有意な成分を検査するための、小型で携帯可能な手持ち式分析装置1の異なる図を示す。図1に示した手持ち式分析装置1は、血中グルコースのレベルを測定するために用いられ、従来型の電池または太陽電池の形態の、一体化された電源2を有する。分析結果は、ディスプレイ3、好ましくは省電力型の液晶ディスプレイまたはOLED(有機EL)ディスプレイを用いて表示される。手持ち式分析装置1は、交換可能な回転ドラム式マガジン6をマガジン区画7に受容するための装着用開口部5を備えたハウジング4を有し、回転ドラム式マガジン6は、マガジン区画7において幾何学的縦軸を中心にして駆動装置により回動可能である。図1は、装着用開口部5が閉じられている手持ち式分析装置1を示す。図2と図3は、装着用開口部5が開かれている手持ち式分析装置1を示す。図3は、構造をより良く示すためにハウジング4の一部だけが切開されており、それにより、マガジン区画7の内部を見ることができる。
【0036】
ハウジング4は、端面に、回転ドラム式マガジン6に収容された使い捨て分析手段10用のアウトプット開口部9を有する。これらの使い捨て手段10は、試料を塗布することができる試験片に構成されていることが好ましい。試験片に含まれる試薬は、試料の医療上有意な成分と反応し、反応の結果が、手持ち式分析装置1の分析装置を用いて分析される。そのような分析装置は、たとえば試験片に構成されている使い捨て手段10の色の変化を検出する分析センサとして機能する光学センサを有する、または試料の伝導率の変化を判定するセンサを有する。
【0037】
回転ドラム式マガジン6は、幾何学的な縦軸の周囲に環状に配置された多数のチャンバ12を有し、これらのチャンバは、使い捨て分析手段10を収容する。チャンバ12は、回転ドラム式マガジン6を1段ずつ回動させることによって、取出し位置に次々と配置することができるために、使い捨て手段10は、必要に応じて回転ドラム式マガジン6の各々のチャンバ12から取り出し、さらに、ハウジング4のアウトプット開口部9を介して排出することができる。
【0038】
そのようなチャンバ12の数は、選択可能である。一般に、チャンバ12の数は10〜100が好都合であるが、チャンバ12の数は15〜30であることが好ましい。チャンバ12の各々は、回転ドラム式マガジン6の端面に使い捨て手段10を取り出すための取出し用開口部13を有し、また、取出し用開口部13の反対側に、取出し装置16のプッシュ・ロッド15を挿入するための挿入用開口部14を有する。挿入用開口部14および取出し用開口部13は、使い捨て手段10を保護するために密封フィルム17によって封止されている。欧州特許出願公開第1022565号明細書に説明されているように、使い捨て手段10は、プッシュ・ロッド15で挿入用開口部14の密封フィルム17に孔を開けるとともに、使い捨て手段10で取出し用開口部13の密封フィルム17に孔を開けるようにプッシュ・ロッド15を用いることによって、チャンバ12から押し出すことができる。
【0039】
回転ドラム検査装置8を用いて、挿入用開口部14の1つが密封フィルム17によって封止されている、従って使用予定の使い捨て手段10がそこに収容されているか否かについての情報を含む信号が生成される。回転ドラム検査装置18により、回転ドラム式マガジン6が完全に空になっているか否かを検査することが可能になる。回転ドラム検査装置18の代替としてまたはそれに追加して、回転ドラム式マガジン6のチャンバ12から取り出した使い捨て手段の数を数えるために、計数装置を装備して、最大数に達したとき「回転ドラム空」の信号を出力するようにしてもよい。
【0040】
図4は、搬送路に使い捨て分析手段10が正しく配置されていることを検出し、その際、さらに、位置決め装置として正しく配置されることを支援する、および/または正しい配置を保持させる検査ユニット20の構造を示す概略図である。
【0041】
検査ユニット20は、本質的には制御ユニット40、光学センサ30および電気スイッチ21からなる。光学センサ30と電気スイッチ21は、搬送路に使い捨て分析手段10が配置されていることを検知して、制御ユニット40に、配置されていることを示すスイッチ信号を発信するおよび/または対応するセンサ信号を発信する機能を共に有し、これにより、制御ユニット40は、これら信号に対して共通の分析を行って手持ち式分析装置1および/またはその各々の要素を制御することが可能になる。
【0042】
電気スイッチ21は、変位可能であり、また、使い捨て分析手段10の方向に先細になる円錐形端部23を備えるよう形成されるとともに、使い捨て分析手段10に割り当てられたペグ22を有する。ペグ22の先細の円錐形端部23は、使い捨て手段10の測定位置において、使い捨て分析手段10の凹み26に侵入するとともに、端部23が先細の円錐形であることにより、それを位置付けることができるように構成されている。位置を確保するためのこの配置する操作により、手持ち式分析装置1の、たとえば光学センサ30により実施されることもある分析センサによって、使い捨て手段10の信頼性の高い光学的分析が確実なものにされる。従って、光学センサ30を用いることにより、使い捨て手段10が正しく配置されていることを高い信頼性を持って、光学的に検出する操作も、また、確実に行うことが可能になる。凹み26は、また、使い捨て手段10を貫通する孔に形成してもよい。このことは、図4において、凹み26の一点鎖線によって示されている。電気スイッチ21のその他の有利な実施形態については、欧州特許出願公開第1508807号明細書に説明されている。
【0043】
しかし、図4は、分析が実施される、搬送路の測定位置には配置されていない使い捨て手段10を示す。従って、ペグ22の先細の円錐形端部23は、使い捨て手段10の凹み26および/または孔に侵入することなく、使い捨て手段10の表面に当接している。使い捨て手段10は、矢印の方向に図示した位置まで搬送路に搬入され、そこで、搬送路におけるその正しい配置が検査ユニット20によって検証される。この検証の際に、使い捨て手段10が、搬送路の検査位置に位置付けられているか否かを、すなわち回転ドラム式マガジンのチャンバから取出し装置によって搬送されて、いわば、この検査位置に到達しているか否かを確認するための検査が実施される。使い捨て手段10が(図示した検査位置において)正しく配置されていることを検査後に、それは、測定位置に到達するまで矢印の方向にさらに搬送され、そこで、端部23が凹み26に侵入しかつ分析が行われる。
【0044】
使い捨て手段10は、搬送路の支持面29上の電気スイッチ21の領域および/または光学センサ30の領域に配置される。使い捨て分析手段10を導入することにより、ペグ22は、端部23が支持面29に接触している当接位置を離れて、ここに図示した位置まで上向きに変位し、そこで、使い捨て手段10の上側に当接する。この変位は、使い捨て手段10の矢印方向への前進と、先細の円錐形端部23のアウトフロー縁に沿った摺動とによって引き起こされる。搬送路および/または支持面29に直交する方向へのペグ22のこの変位は、バネ24が発生するスプリング力に抗して起こる。バネ24は、使い捨て手段10がスプリング力に抗して変位位置、たとえばここに図示した位置までペグ22を変位させるまで、それを当接位置に確実に保持する。
【0045】
ペグ22の変位に従い、電気接点25は、ペグ22およびペグ22と接点バネ27の間の機械的接点19によって開閉される。この電気接点25の2つの接点の接触は、可動式接点バネ27および固定式板バネ28によって行われる。ここに説明した状態のとき、ペグ22は、接点バネ27と板バネ28の間の接触によって電気接点25を閉じ、それにより、使い捨て手段10が正しく配置されていること(その存在)を示す電気信号を発生する。ペグ22が当接位置にあるとき、すなわち使い捨て手段10が非存在のとき、接点バネ27と板バネ28の間の電気接点25は、機械的接点19が接点バネ27を押下するために開き、それにより、使い捨て手段が存在しないことを示す信号が生じる。使い捨て手段10を搬送路に挿入したとき、接点バネ27は板バネ28の方にそらされて、電気接点25を閉じるために、制御ユニット40は、使い捨て手段10が正しく配置されている状態であることを示す電気スイッチ信号を受信する。接点バネ27と板バネ28からなる電気接点25は閉じられる。
【0046】
搬送路に使い捨て分析手段10が存在しない場合には、ペグ22は、バネ24によって当接位置に動かされて支持面29に接触した状態になるために、接点バネ27を板バネ28に向けて最早押圧することはない。電気接点25は開かれ、電気スイッチ信号が制御ユニット40に送信されることはない。このことは、使い捨て分析手段10が電気スイッチ21の監視領域に存在しないというスイッチ情報であることを意味する。
【0047】
このスイッチ状態のとき、電気接点25は開く。手持ち式分析装置1は、使用中以外およびユーザが運搬しているとき、通常はこのスイッチ状態にある。特にポケットに入れてまたは衣服の下で運搬されているとき、粉塵が手持ち分析装置1のハウジング4の開口部を介して侵入して、ハウジング4内部に残留する危険がある。電気スイッチ21の電気接点25の領域に侵入して、接点バネ27と板バネ28の間の電気的接触を阻止する粉塵は、特に有害である。このとき、存在する使い捨て分析手段10がペグ22をそらせるが、粉塵によって阻止されているために、接触に至らせることはできない。電気的接触がないために、制御ユニット40は、使い捨て分析手段10が正しく配置されていることおよび/または存在することについての情報をまったく受け取ることができない。ペグ22または機械的接点19の機械的動作も、また、粉塵によって妨げられる。
【0048】
電気スイッチ21は、使い捨て手段10の方向に、限定された周波数範囲の光を照射するLED31を有する能動的な光学センサ30に構成されている。図4には図示されていない実施形態において、光学センサ30は、支持面29に面する側とは反対側の、使い捨て手段10側に配置されている。その場合、図4において、光学センサ30は、使い捨て手段10の上方、すなわち電気スイッチ21と同じ側で、後者の隣に直接接して配置される。光学センサ30に面する、支持面29の領域は、光学センサ30の領域の黒色に着色されることが好ましい。これにより、少量の光だけが支持面29によって後方散乱を起こす。使い捨て手段10が光学センサ30からの光の照射を受ける領域に位置付けられる場合、使い捨て手段10は、較正のために分析の一部に用いられる明るい面、たとえば白色領域(いわゆる白レベル調節部)のような特に白い面を一般に有するために、反射光の量が大きく増加する。反射光は、光学センサ30の光検出器32によって検出される。これら2つの状態は、反射光の光量と光検出器32が受光した光量とが大きく異なるために、光学センサ30によってこれら2つの状態を非常に高い信頼性を持って区別することができる。光学センサ30は、使い捨て手段10が搬送路に、よって支持面29上に正しく配置された状態にあること、または搬送路に使い捨て手段10が存在しない状態にあることのいずれか一方に対応したセンサ信号を制御ユニット40に送信する。制御ユニット40は、電気スイッチ21と光学センサ30の2つの信号を一緒に分析するために、センサ信号を用いて電気スイッチ信号の検査および/または検証が実施されることになる。
【0049】
図4に示した実施形態において、光学センサ30は、支持面29に面する使い捨て手段10側に配置されている。従って、光学センサ30は、使い捨て手段10の下方、すなわち電気スイッチ21とは反対側の使い捨て手段10側に位置付けられる。このために、支持面29は、光学センサ30の領域に開口部または透明な窓33を有する。光学センサ30からの照射を受ける領域に使い捨て手段10が存在しない場合、少量の散乱光だけが、光検出器32に送り返される。しかし、光学センサ30からの照射を受けるとともに、分析の一部として較正に用いられる領域、たとえば白色領域(いわゆる白レベル調節部)に、明るい面、特に白色面を一般に有する使い捨て手段10が存在する場合には、反射光の光量が大きく増加する。反射光は、光学センサ30の光検出器32によって検出される。これら2つの状態は、反射光の光量と光検出器32が受光した光量とが大きく異なるために、光学センサ30によってこれら2つの状態を非常に高い信頼性を持って区別することができる。センサは、使い捨て手段10が搬送路に、よって支持面29上に正しく配置された状態にあること、または搬送路に使い捨て手段10が存在しない状態にあることのいずれか一方に対応したセンサ信号を制御ユニット40に送信する。制御ユニット40は、電気スイッチ21と光学センサ30の2つの信号を一緒に分析するために、センサ信号を用いて電気スイッチ信号の検査および/または検証が実施されることになる。
【0050】
図4を用いて説明した両実施形態において、その後の計測過程は、使い捨て手段10が図4に示した使い捨て手段10の位置に正しく配置されていることを検証した後に実施される。複数の実施形態のこの計測過程において、分析は、使い捨て手段10がこの位置にあるとき、分析センサを用いて直ちに実施される。しかし、光学センサ30が同時に分析センサとしても用いられる場合または分析センサが光学センサ30と一体化されている場合には、たとえば光度測定検査領域が分析センサの可視領域に入るまで、使い捨て手段10を、測定位置に向けてここに示した位置より矢印方向にさらに搬送することが一般には必要である。使い捨て手段10が測定位置にあるとき、ペグ22の端部23は、凹み26に侵入することができる。このとき、電気接点25は、いずれかが閉じた状態を維持できるために、正しく配置されたこと、すなわち使い捨て手段10の存在を示す信号がさらに発信される。しかし、選好実施形態においては、電気接点25は、使い捨て手段10が測定位置にあるとき開いて、使い捨て手段10は測定位置に到達したことを示す信号を発信する。開いた電気接点25が、使い捨て手段10は一見存在しないということを示す事実は、制御ユニット40による対応したシーケンス制御に組み込むことが可能であり、その場合、使い捨て手段10が測定位置に正しく配置されていることは、事前に検証されている。
【0051】
図5は、手持ち式分析装置を検証および/または制御するための操作を、特に検査ユニット20の機能に注目して、フロー・チャートの形式で模式的に例示する。
【0052】
工程S1において、ボタンを操作して手持ち式分析装置1を起動した後に、試験片に構成されている使い捨て分析手段10が要求され、工程S2において、帯片状の使い捨て手段10が、回転ドラム式マガジン6から取出し装置16によって取り出されて搬送路に配置され、さらに分析センサの方向に搬送される。帯片状の使い捨て手段10は、その後、電気スイッチ21および/または光学センサ30の領域に到達する。電気スイッチ21のペグ22は、帯片状の使い捨て手段10によって変位させられて、板バネ28と接点バネ27の間の電気接点を閉じる。これにより、使い捨て手段10が正しく配置された状態であることを示すスイッチ信号が、制御ユニット40に送られる。この検出は、工程S3において行われる。電気スイッチ21によって、使い捨て手段10が正しく配置されたことについてのスイッチ信号が制御ユニット40に送られた場合、工程S4において、分析センサが作動して、グルコースのような医療上有意な成分について、分析対象の試料の分析が実施される。計測結果は、ディスプレイ3によって出力される。この計測手順は、使い捨て手段10が正しく配置された状態あることについての電気スイッチ21の検出結果は信頼性が非常に高いために、分析センサを用いて、計測過程を簡単かつ直接的な手法で開始することができる。
【0053】
工程S3において、電気スイッチ21が、使い捨て手段10は正しく配置された状態にないことを検出し、その情報を制御ユニット40に送るような場合には、その後に、正しく配置されていることの光学的検出が光学センサ30によって行われる。これは、工程S5において行われる。光学センサ30はこのケースのときにだけ作動し、それ以外は動作を停止している。従って、光学センサ30は、電気スイッチ21のスイッチ信号が、使い捨て分析手段10は搬送路の正しい位置に存在しないことを示すときにだけ、電気スイッチ21のスイッチ信号を検査および/または検証するために作動する。従って、手持ち式分析装置1は、非常にエネルギー消費の小さい動作を行うことが可能になる。光学センサ30は、取出し装置16が使い捨て分析手段10を搬送路上に搬送するために作動したにも拘らず、電気スイッチ21のスイッチ信号が、使い捨て分析手段10は搬送路の正しい位置に存在しないことを示すとき、電気スイッチ21のスイッチ信号を検査および/または検証するために、自動的に作動するようになっていることが有利である。
【0054】
工程S5において、使い捨て手段10は光学センサ30の検出範囲内に存在しないことが判明した場合、このことは電気スイッチ信号を確認することになるために、制御ユニット40は、取出し装置16を作動させて回転ドラム式マガジン6の次のチャンバから次の使い捨て手段10を取り出して、それを分析センサの方向に搬送する。これにより、工程S1における要求にしたがって、使い捨て手段10が、所望の分析を実施するために確実に搬送される。工程S8において、回転ドラム検査装置18または計数装置により、回転ドラムが完全に空になっていて、回転ドラム式マガジン6に最早使い捨て手段10が存在しないことが判明した場合、このことは、工程S9において、ディスプレイ3を用いてユーザに報告され、手持ち式分析装置1のその後の動作は停止される。
【0055】
工程S5において、光学センサ30により使い捨て手段10の正しい配置、よって存在が検出され、対応するセンサ信号が制御ユニット40に送られている場合には、この矛盾する信号内容は制御ユニット40により検出されるとともに、手持ち式分析装置1は故障していると判断される。この故障は、帯片状の使い捨て手段10が電気スイッチ21の領域および光学センサ30の範囲にあるにも拘らず、電気スイッチ21によって検出されないために、工程S4における計測動作が開始されないことを特徴とする。この場合には、工程S6において、ディスプレイ3によって、この故障を指摘するエラーメッセージが出力されるとともに、ユーザに対して、スイッチ21の電気接点27、28のクリーニングをするようにとの指示が出される。このことは、手持ち式分析装置1の対応するクリーニングプログラムを起動することによって自動的に行われる。これにより、電気スイッチ21の機能が復元し、よって手持ち式分析装置1の機能が復元する。
【0056】
エラーメッセージの出力に加え、工程S7において、使い捨て手段10は装置から押し出されるために、クリーニングが無事行われた後には、その後の分析が無事行われる可能性が大きくなる。
【0057】
従って、工程S5において、電気スイッチ21のスイッチ信号および光学センサ30のセンサ信号の分析が行われ、手持ち式分析装置1は、これら信号を制御ユニット40によって比較した結果にしたがって制御される。ここに説明した動作手順を採用することにより、取出し装置16により使い捨て手段10が回転ドラム式マガジン6から連続して搬出されたにも拘らず分析が行われない、いわゆる試験片の継続積層の故障および/または搬送路にすでにある使い捨て手段10の上に別の使い捨て手段10を押し出すことによって、搬送路に使い捨て手段10詰まりを引き起こす試験片詰まりの故障を確実にかつ大幅に低減できる。
【0058】
上述した方法の工程は、概ね以下のように特徴付けることができる。S1手持ち式分析装置起動、S2試験片取出し、S3スイッチ信号問い合わせ、S4分析開始、S5センサ信号問い合わせ、S6エラーメッセージ、S7試験片取出し、S8マガジンからの供給の検査、およびS9空マガジン。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】手持ち式分析装置の例示としての実施形態を示す。
【図2】図1に示した手持ち式分析装置の、回転ドラム式マガジンおよび使い捨て分析手段を備えるマガジン区画が開かれた状態を示す。
【図3】図2の手持ち式分析装置を別の側から見たときの図である。
【図4】電気スイッチおよび光学センサを備える手持ち式分析装置の例示としての実施形態の詳細を示す。
【図5】手持ち式分析装置を動作させるための、例示としての方法の図式を示す。
【符号の説明】
【0060】
1 手持ち式分析装置
2 電源
3 ディスプレイ
4 ハウジング
5 装着用開口部
6 回転ドラム式マガジン
7 マガジン区画
9 アウトプット開口部
10 使い捨て手段
12 チャンバ
13 取出し用開口部
14 挿入用開口部
15 プッシュ・ロッド
16 取出し装置
17 密封フィルム
18 回転ドラム検査装置
19 機械的接点
20 検査ユニット
21 電気スイッチ
22 ペグ
23 先細の円錐形端部
24 バネ
25 電気接点
26 凹み
27 接点バネ
28 板バネ
29 支持面
30 光学センサ
31 LED
32 光検出器
33 窓
40 制御ユニット
S1 手持ち式分析装置起動
S2 試験片取出し
S3 スイッチ信号問い合わせ
S4 分析開始
S5 センサ信号問い合わせ
S6 エラーメッセージ
S7 試験片取出し
S8 マガジンからの供給の検査
S9 空マガジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療上有意な成分について試料、特に生体液を検査するための手持ち式分析装置(1)において、
ディスプレイ(3)と、
ハウジング(4)と、
使い捨て分析手段(10)、特に試験片を収容する交換式マガジン(6)、特に回転ドラム式マガジンを受容するための装着用開口部(5)と、
使い捨て分析手段(10)を前記マガジン(6)から取り出して、それを搬送路上に搬送するための取出し装置(16)と、
前記搬送路において、使い捨て分析手段(10)の供給を受ける分析センサと、
使い捨て分析手段(10)が前記搬送路に正しく配置されていることを検出する検査ユニット(20)とを有し、
前記検査ユニット(20)は、
使い捨て分析手段(10)が前記搬送路に配置されていることを機械的に検知し、使い捨て分析手段(10)の存在を示す少なくとも1つのスイッチ位置を取り、さらに前記使い捨て分析手段(10)の配置状態に対応するスイッチ信号を発信する電気スイッチ(21)と、
使い捨て分析手段(10)が前記搬送路に配置されていることを光学的に感知して、前記使い捨て分析手段(10)の配置状態に対応するセンサ信号を発信する光学センサ(30)と、
前記電気スイッチ(21)のスイッチ信号を分析し、前記光学センサ(30)のセンサ信号を分析し、さらに、これら信号を比較した結果にしたがって前記手持ち式分析装置(1)を制御する制御ユニット(40)とを有することを特徴とする手持ち式分析装置(1)。
【請求項2】
前記電気スイッチ(21)は、特にバネが装着されているとともに、前記使い捨て分析手段(10)に対向する先細の円錐形端部(23)を備える、スイッチ要素としての変位可能なペグ(22)を有し、また、前記使い捨て分析手段(10)は、前記ペグ(22)の前記先細の円錐形端部に対応する、位置特有面構造としての、少なくとも1つの隆起部および/または凹み(26)を有することを特徴とする請求項1記載の手持ち式分析装置(1)。
【請求項3】
前記位置特有面構造は、前記搬送路における前記使い捨て分析手段(10)の位置に応じて、スイッチ要素として形成されている前記ペグ(22)の偏位に影響を与える外形を有し、前記外形は、特に幅および/または深さが変化する溝または幅および/または高さが変化する傾斜台であることを特徴とする請求項2記載の手持ち式分析装置(1)。
【請求項4】
前記光学センサ(30)は、前記電気スイッチ(21)のスイッチ要素の、特に可変可能なペグ(22)位置を判定するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の手持ち式分析装置(1)。
【請求項5】
前記光学センサ(30)は、前記使い捨て分析手段(10)の存在および/または位置を、その光反射または光透過特性に基づいて判定するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の手持ち式分析装置(1)。
【請求項6】
前記光学センサ(30)は、前記分析センサとともに一体化センサを構成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の手持ち式分析装置(1)。
【請求項7】
前記取出し装置(16)による使い捨て分析手段(10)の前記マガジン(6)からの取出しは、前記電気スイッチ(21)のスイッチ信号または前記光学センサ(30)のセンサ信号のいずれか一方の信号が、使い捨て分析手段(10)は前記搬送路に正しく配置されていることを示し、他方の信号が正しく配置されていないことを示すとき、前記制御ユニット(40)によって阻止され、また、好ましくはエラーメッセージが前記ディスプレイ(3)に追加して出力されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の手持ち式分析装置(1)。
【請求項8】
前記分析センサ(15)は、使い捨て分析手段(10)が前記搬送路に正しく配置されていることを、使い捨て分析手段(10)が正しく配置されていることを示す、前記電気スイッチ(21)のスイッチ信号によって検出されたとき、医療上有意な成分について試料を検査するために作動できることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の手持ち式分析装置(1)。
【請求項9】
前記光学センサ(30)は、前記電気スイッチ(21)のスイッチ信号が、使い捨て分析手段(10)は前記搬送路の正しい位置に存在しないことを示すときだけ、前記電気スイッチ(21)の前記スイッチ信号を検査および/または検証するために作動できることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の手持ち式分析装置(1)。
【請求項10】
医療上有意な成分について試料、特に生体液を検査するための手持ち式分析装置(1)を動作させる方法において、
前記手持ち式分析装置(1)は、
ディスプレイ(3)と、
使い捨て分析手段(10)をマガジン、特に回転ドラム式マガジン(6)から取り出して、それを搬送路上に搬送するための取出し装置(16)と、
前記搬送路において使い捨て分析手段(10)の供給を受けることができる分析センサと、
使い捨て分析手段(10)が前記搬送路に正しく配置されていることを検出する検査ユニット(20)とを有し、
前記手持ち式分析装置(1)の起動、
および、それに続く前記マガジン(6)からの使い捨て分析手段(10)の取出しと、前記搬送路上へのそれの搬送の後に、
使い捨て分析手段(10)は前記搬送路に配置されていることを機械的に検知する電気スイッチ(21)の信号と、使い捨て分析手段(10)は前記搬送路に配置されていることを光学的に感知する光学センサ(30)の信号とが制御ユニット(40)によって分析され、かつ、これら信号を比較した結果にしたがって前記手持ち式分析装置(1)は制御されることを特徴とする手持ち式分析装置(1)を動作させる方法。
【請求項11】
医療上有意な成分について試料を検査するために、前記分析センサによる計測動作は、正しく配置されていることを示す信号が前記電気スイッチ(21)によって発信されたとき開始されることを特徴とする請求項10記載の手持ち式分析装置(1)を動作させる方法。
【請求項12】
前記光学センサ(30)は、前記電気スイッチ(21)のスイッチ信号が、使い捨て分析手段(10)は前記搬送路の正しい位置に存在しないことを示すときだけ、前記電気スイッチ(21)の前記スイッチ信号を検査および/または検証するために作動させられることを特徴とする請求項10〜11のいずれか1項に記載の手持ち式分析装置(1)を動作させる方法。
【請求項13】
前記光学センサ(30)は、使い捨て分析手段(10)を前記搬送路上に搬送するための前記取出し装置(16)が作動させられたにも拘らず、前記電気スイッチ(21)のスイッチ信号は、使い捨て分析手段(10)が前記搬送路の正しい位置に存在しないことを示すとき、前記電気スイッチ(21)の前記スイッチ信号を検査および/または検証するために自動的に作動させられることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の手持ち式分析装置(1)を動作させる方法。
【請求項14】
前記取出し装置(16)による使い捨て分析手段(10)の取出しは、前記電気スイッチ(21)または前記光学センサ(30)のいずれか一方の信号が、使い捨て分析手段(10)は前記搬送路に正しく配置されていることを示し、他方の信号が、使い捨て分析手段(10)は正しく配置されていないことを示すとき停止され、また、好ましくはエラーメッセージが前記ディスプレイ(3)に追加して出力されることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の手持ち式分析装置(1)を動作させる方法。
【請求項15】
前記取出し装置(16)は、使い捨て分析手段(10)が正しく配置されていないことを前記電気スイッチ(21)によって検出し、また、正しく配置されていないことを前記光学センサ(30)によって確認したとき作動させられることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の手持ち式分析装置(1)を動作させる方法。
【請求項16】
前記マガジン(6)が完全に空であることが検出されたとき、前記取出し装置(16)のその後の動作は阻止され、また、好ましくはエラーメッセージが出力されることを特徴とする請求項15記載の手持ち式分析装置(1)を動作させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−292479(P2008−292479A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−124594(P2008−124594)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】