説明

試薬キャリア用パッケージングカセット

【課題】試薬キャリア用パッケージングカセットを提供する。
【解決手段】本発明は、試薬キャリア(7)用の連結された隣接する区画(5)を有するベースハウジング(3)を特徴とする試薬キャリア用パッケージングカセットに関するが、ここで区画は隔壁(9)によって互いに隔てられており、かつ個別に開けられるものであり、各々の区画(5;105)は自身ための密閉カバー(11;111)を有し、その密閉カバーが区画(5;105)を再度密閉できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は試薬キャリア用のパッケージングカセットに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の考慮するタイプの試薬キャリアは、例えば試験ストリップおよび好ましくは試験チップ、例えばサンプル液体中のアナライトを分析するためのバイオチップである。これらは例えば、好ましくは試薬キャリアの試験領域上に固定化されている反応物質と、試験領域を湿らせているサンプル液体中に存在するアナライトとの間の結合反応を検出するイムノアッセイ用途に使用することができる。こうした試薬キャリア(以下ではチップとも呼ぶ)は、望ましくない汚染を避け、かつ反応物質のサンプルアナライトに対するその特異的結合能を保持するために、目的とする使用まで保護されるように処理し取り扱う必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
試薬キャリアのベースハウジングは、種々の固形材料、特にプラスチックから形成することができる。
【0004】
かかるプラスチックチップは例えば、射出成形工程にて製造した後に、チップの試験領域上に反応物質分子を固定するために、例えばマイクロスポット法を使用する「ドライケミストリー」を用いてコーティングすることができる。かかるコーティングは通常、コーティング設備にて自動的に行われる。コーティングおよび乾燥の後に、チップは使える状態となる。その後チップを環境の影響から保護するパッケージ内に配置しなければならない。
【0005】
個々のチップを医学的または化学的検査に用いるまでに実に数週間が経過することがある。したがって、スクリーニングチップに関してパッケージングには、変化する空気湿度、変化する温度、塵埃などといった環境の影響に対して、高い要求が課される。
【0006】
さらに、自動充填装置にて新たに製造されるチップをパッケージングに充填するとき、ならびにチップが消費者により分析器内で使用されるときには、パッケージングを自動的に取り扱うことができるべきである。製造者がパッケージングを充填するときの、および消費者がチップを使用するときの自動化工程は、可能な限り単純で空間節約的となるよう設計すべきである。本発明者らは、次のことを想定する。すなわち、パッケージングを使用するために開封した後に、即時の使用を意図しない、全てではなく一部のチップが必要に応じて使用されるときまでパッケージング内で引き続き保護されるように、パッケージングは複数のチップを収容し固定するのに適しているべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
こうした要件は、本発明の試薬キャリア用パッケージングカセットにより満たされ、該カセットは試薬キャリア用の連結された隣接区画、特に互いに横または/および上下に並ぶように配置された区画を有するベースハウジングを特徴とし、このとき該区画は隔壁によって互いに隔てられており、かつ個別に開けられるものであり、各々の区画はそれ自身のための密閉カバーを有しこれが当該区画を再度密閉することができるようにする。
【0008】
カセット配置は、区画を列として並べて配置することがパッケージングカセットの自動取扱を容易にするときに、パッケージングカセットの空間節約的で低価格の実装を可能とする。個々の区画は互いに独立に開けることができるため、分析工程ではそれぞれの場合に、カセット内の他のチップをあるいは消費しなければならなくなるような環境の影響に曝露することなく、当該分析工程に必要な分だけカセットからチップを使用することができる。パッケージングカセットの各々の区画はそれ自身のための密閉カバーを有し、これにより該区画を再度密閉することが可能となる。区画が再度密閉可能であることは、製造者が試薬キャリアを調製しているとき、例えば好ましい事例ではまだ反応物質を用意していない試薬キャリアをパッケージングカセット中に供給し、その後パッケージングカセットの外でまたは場合によりパッケージングカセットの中で適当な試薬でコーティングし、コーティングと乾燥の後に、最終的にパッケージングカセット内に保護状態で再度収容するときに、利用することができる。いずれにしてもパッケージングカセットが使い捨て可能な製品としてのみならず使用後に再度充填することのできるパッケージングカセットとしても使用される場合には、パッケージングカセットの個々の区画を再度密閉することができるようにすべきである。しかしながら、本発明のパッケージングカセットは好ましくは使い捨て可能なパッケージングカセットであり、その試薬キャリアが使用された後に該パッケージングカセットも使用済みと見なされ再利用用廃棄物へと移される。これに関連して、使用された試薬キャリアもパッケージングカセット内に残しておなければならないことがある。区画を再度密閉できることはこの場合にも重要である。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によると、パッケージングカセットの密閉カバーとベースハウジングは閉鎖要素を有し、それら閉鎖要素は互いに割り当てられ互いに相補的であり、かつ区画が密閉カバーにより閉鎖されるときに前記閉鎖要素は締付またはスナップ嵌合の様式で互いに密閉的に係合する。かかるスナップ閉鎖要素は、単純に成形して付けるか、共通の製造工程でベースハウジングおよび密閉カバーと共に形成することができる。閉鎖要素はさらに、閉じた状態の区画が外部の湿度や塵埃の影響から強固に密閉されるよう、密閉機能を導入することもできる。
【0010】
特に好ましい態様では、ベースハウジングにヒンジ取付された密閉カバーはヒンジ連結蓋である。ヒンジ連結蓋には、単純な手段で手動および自動取扱可能であり、ベースハウジングに分離不能に設置されうるという利点がある。これに関連して、ベースハウジングおよびヒンジ連結蓋が一体として、特に一体の射出成形製品として相互接続された状態で製造されるパッケージングカセットの特別な変形版が好ましい。ヒンジ連結蓋の開閉動作のための旋回能は、「フィルムヒンジ」により、すなわち密閉カバーとベースハウジングの間の薄壁型移行部により確保することができる。パッケージングカセットは好ましくはプラスチックでできている。これに関連して本発明のある実施形態において、パッケージングカセットを、試薬が入る前の試薬キャリアと同じ材料で製造することは好ましい。したがって、パッケージングカセットと試薬キャリア本体は、1つのそして同一の製造原版から得ることができる。
【0011】
上記のように、パッケージングカセットおよび場合により試薬キャリアのためには射出成形技術が好ましい製造技術であるが、ブロー成形技術のような他の製造方法も考慮される。このことは、パッケージングカセットと試薬キャリア本体が異なる材料から製造されかつ異なる製造によってもたらされるという可能性を除外しない。
【0012】
各々の密閉カバーには好ましくは操作タブが設けられ、このときある一列の区画に割り当てられた密閉カバーの本質的に同一に設計された操作タブは、順に互いに隣り合ってまたは互いの上下にあり、閉じた状態では外向きにベースハウジングの端を超えて突出している。操作タブは、区画が手動でまたは場合により機械的に開閉されるときに、密閉カバーの係合を容易にする。さらに、上記のように配置された操作タブは、所望であれば複数のおよび場合により全ての区画を同時に機械的に開閉するのを容易にする。
【0013】
製造の単純化、および材料の経済的使用に関連して次のことを提唱する。すなわち、ベースハウジングは、全ての区画または場合により区画のグループが互いに対して列状に並んだくぼみとして押圧されているベースプレートから本質的になるものであり、該区画は成形取付されたヒンジ連結蓋により閉じることが意図される。くぼみが互いに対して列状に、場合によりグループとして並んでいるというとき、これはパッケージングカセットに複数の区画の列があってもよいことを示すことを意図している。一方で、本発明の好ましい実施形態は、本質的に同一に設計された区画の単一の列という配置を提供する。
【0014】
区画は好ましくは、各々の区画が実質的に1つの単一試薬キャリアのみおよび場合により小さな乾燥剤貯蔵部を収容することができるように空間条件について寸法が決められかつ最適化される。空間最適化(これにはパッケージングカセットの閉じた区画内の試薬キャリアの周辺の空間の低減が含まれるべきである)に関して言えば、密閉カバーは、試薬キャリアに占有されていない閉鎖状態での区画内の空間に入る、内側に突出したバルジを有することができる。
【0015】
各々の区画には好ましくは乾燥剤貯蔵部が割り当てられており、この貯蔵部はある量の乾燥剤(例えば吸湿材)を保持することができる。区画の乾燥剤貯蔵部は、例えば密閉カバーのくぼみの中に形成することができ、このとき該くぼみには区画内部への少なくとも1つの連絡用開口が設けられる。くぼみとその中に配置されうる乾燥剤を密閉ホイルを用いて外部に対して閉鎖することができるが、これは本発明のある変形版では必要に応じて除外してもよい。乾燥剤貯蔵部を、これとは別にまたはこれに加えて、ベースハウジングの底部領域に設けることができ、このとき連絡孔を有するトラフ状のバルジが前記乾燥剤貯蔵部を形成することもできる。ベースハウジングの底部領域にある乾燥剤貯蔵部はまた、密閉ホイルにより外部から密閉されている。乾燥剤貯蔵部として上に記載したくぼみまたは空洞は、これとは別にまたはこれに加えて、試薬キャリアに割り当てられた液体試薬または乾燥試薬のための貯蔵部として使用することもできる。
【0016】
パッケージングカセットには、例えばインクジェットなどにより直接印字または書き込みを施すことができる。粘着ホイルまたは密閉ホイルもまたパッケージングカセット上の情報媒体として適当である。
【0017】
本発明の実施例を、図面を参照しながら以下でさらに詳細に説明する。
【0018】
図1は、パッケージングカセット1を示しており、これは試薬キャリア7のための互いに横並びで配置された20個の区画5を有するベースハウジング3を有し、このときそれぞれの区画5は隔壁9によって互いに隔てられている。各々の区画にはそれ自身のための密閉カバー11が割り当てられており、これがそれぞれの区画を任意に閉じるまたは開けることを可能にする。図1では図面の下方の5個の区画5が開いた状態で示され、これに対して残りの区画5は閉じた状態で示されている。
【0019】
この例では最下部の2つの開いた区画5が空であり、すなわち試薬キャリアなしで示されているが、これはベースハウジング3内の区画5のトラフ形状をより明確に示すためである。試薬キャリア7の固定されたパッケージング位置を示すために、残りの開いた区画5には試薬キャリア7が描かれている。区画5の充填と区画5からの試薬キャリア7の取り出しは、示された実施例では通常、上方から行われる。
【0020】
図示されているベースハウジング3と、フィルムヒンジ12によりヒンジ連結された密閉カバー11とは、射出成形工程において連結されたユニットとして製造される。
【0021】
図1と図2のパッケージングカセットは本質的に水平の向きで使用されることを意図しており、そのため区画5の開口部は上部にあり、かつ共通の水平面上にある。
【0022】
密閉カバー11は、区画くぼみ5の縁の輪郭にマッチする円形の外周の密閉リップ13を有し、これは、区画が閉じたときに、区画くぼみ5の上り階段形状の拡張部15と締付嵌合するかまたはそれとスナップ式に閉じる。この様式だとそれぞれの区画5は確実に閉じられ外部に対して密閉される。区画5が閉じた状態のときには、密閉カバーの自由端に設けられたタブ部分14が密閉カバーのヒンジ12に対して遠位の、ベースハウジング3の端17を超えて外側に突出する。タブ14は、区画5を個別に、一群として、または全て開くために、密閉カバー11を手動でまたは機械的に把持することを容易にする。
【0023】
図1に示す試薬キャリアチップ7はそれぞれトラフ状のくぼみ21を有し、そのくぼみの底は試験領域を形成し、該領域には固定化された試薬のコーティングが後の分析のために施される。示した試薬キャリアチップ7は、例を示すことのみを意図したものである。パッケージングカセット1は他の種類のチップを保持するために使用することもできる。
【0024】
ベースハウジング3の長手方向の側部17、18は連続の案内溝23、25をその長手方向に有し、この溝によりパッケージングカセットを自動充填装置または自動分析装置の案内レール上を案内される方式で移動させることが可能となる。図2によるとパッケージングカセット1の底面の図には、くぼみ27がベースハウジング3の底にも圧入されており、そのことにより各々の区画の下にはその底面にくぼみ27が有ることが示されている。こうしたくぼみ27は区画5を乾燥したままに保つために乾燥剤を保持するために使用する。こうした乾燥剤貯蔵部27とそれが割り当てられた区画5の間には連結孔29が設けられており、そのためある特定の区画5内の湿気はあるとすれば乾燥剤貯蔵部27に到達することができる。図1の実施例は、乾燥剤貯蔵部27同士の間の隔壁を省略することで、より大きな乾燥剤貯蔵部を形成し、次いでそれらを複数の区画5に割り当てるように改変することができる。
【0025】
くぼみ27は、図2では別に示されている密閉ホイル31により外部に対して密閉される必要があり、例えば蒸気不透過性のアルミニウムラミネート加工された密閉ホイルでありうる。試験に特有の情報、標識、印などを例えば密閉ホイルに印字することができる。
【0026】
図3の実施例は、乾燥剤のための貯蔵部くぼみ27がヒンジ結合された蓋閉鎖部11内に提供されているという点において上記実施例と異なる。貯蔵部くぼみ27の寸法は、関係する密閉カバー11が閉鎖位置にあるときに、試薬キャリアチップ7のトラフ領域21に係合することができる寸法である。これには、貯蔵部27中の乾燥剤を乾燥状態に保つ必要のある試薬キャリアチップ7の領域の近くまで動かすことができるという利点のみならず、さらに、閉じた区画5内の空気容積を小さく抑えられるという利点がある。乾燥剤貯蔵部27と区画5の間には連絡孔29が設けられる。乾燥剤貯蔵部27は、密閉ホイル31aのストリップにより外部に対して密閉され、そのうちの3つが貯蔵部くぼみ27をより明確に示すために持ち上げられた状態で示されている。試験に特有の情報、印などのような情報を、密閉ホイル31aのストリップに印字することができる。
【0027】
図3のパッケージングカセットはこれ以外の点では本質的に図1のパッケージングカセットのように設計される。そのため、図1における機能の同一の要素に割り当てられた参照番号を用いて図3における対応する要素を標識した。したがって、基本的に図1および2の説明を用いて図3を理解することができる。
【0028】
図面に示されていないパッケージングカセットの設計変形版の1つは、密閉カバーおよび区画の底面に乾燥剤貯蔵部としての別のくぼみがないものである。こうした設計変形版では、もし乾燥剤を使用するのであれば、乾燥剤のための空間を区画内に予め確保してもよい。
【0029】
さらに、大部分が図3のパッケージングカセットに対応するが、しかし図3におけるくぼみ27がそれ自身を区画5に連結する孔29を有しないため乾燥剤貯蔵部として機能しない変形版にも言及する。このことにもかかわらず、これらは区画5の空間容積を減少させるため好適である。
【0030】
この後者の変形版は、例えば、試薬キャリアに割り当てられているくぼみ27に液体試薬または乾燥試薬が保持されるように適合させることができる。図3に示した実施形態のこのような改変については、好ましくは予め用意されかつ最初は閉じている連絡用開口を、くぼみ27の底に設けるべきである。これらは例えば、開けるために穿孔する必要のある連絡用開口であってもよく、穿孔して開けるとそれぞれの液体試薬または場合により乾燥試薬が割り当てられた試薬キャリアへと、したがってその試験領域へと通過できるようになる。
【0031】
本発明のパッケージングカセットのさらなる実施例を、図4a〜図4cに透視図で示す。図4a〜図4cでは、図1〜3における要素にその機能が対応する要素を、それぞれの参照番号に100を加えた番号で標識した。
【0032】
パッケージングカセット101は、直立の配置で使用されるように設計され、そのため隣接する区画105の列は本質的に垂直に並ぶ。図1〜3の実施例とは対照的に、試薬キャリア107はパッケージングカセット101におけるその貯蔵態勢では横同士の水平面では並んでおらず、むしろ互いの上に平行面として並んでいる。ベースハウジング103の区画105は引き出しとして使用することができ、そのことにより試薬キャリア107を区画105に水平方向に挿入しそして押し出すことができる。図4cでは、パッケージングカセット101の後側に開口32が示され、該開口を通って排出ボルトが対応する試薬キャリア107を前方開口34から押出し、このことにより該試薬キャリアを分析機器の輸送ユニットに送達することができる。一方で区画105は、試薬キャリアが把持デバイスまたは例えば吸引リフターにより前方開口34を通って挿入および除去することができるように設計される。
【0033】
図4bの試薬キャリア107は図1の試薬キャリアに対応しうる。
【0034】
隔壁109により互いに隔てられている区画5は、別々に開閉することができ、このために密閉カバー111が設けられる。こうした密閉カバー111は原則的には図1の密閉カバー111と全く同一に構築する。密閉カバー111はフィルムヒンジ112によりベースハウジング103に連結され、そのことにより区画105の開閉のためにその垂直方向のヒンジ軸周りで折り畳むことができる。図4bにはまた、密閉カバー111が開口34の縁の輪郭と一致する密閉用リング113を有し、対応する区画105が閉じているときに対応する開口34と締付嵌合するまたは開口34とスナップ式に閉じることが示されている。区画105が閉じた状態のときには、密閉カバーの自由端に設けられたタブ部分114が密閉カバー111のヒンジ112に対して遠位のベースハウジング103の端117を超えて外向に突出する。タブ114は、区画105を個別に、一群として、または全て開くために密閉カバー111を手動でまたは機械的に把持することを容易にする。図4aの45は、カバー111から突き出したスナップフックの形状のスナップ連結要素を指しており、これは対応するカバー111が閉じたときにハウジング103の前側の相補的スナップ連結要素として設けられたバー46と、スナップ式にかみ合って係合する。スナップ連結部45、46は、閉じた状態で区画5の密閉を確保する。
【0035】
図4bに示すように、各々の区画105には乾燥剤貯蔵部127が割り当てられており、該貯蔵部は区画の横に水平方向に配置され、かつ連結孔129により関係する区画105と連絡する。第1の密閉ホイル131が乾燥剤貯蔵部127を外部から密閉する。図4aでは、この密閉ホイル131は、乾燥剤貯蔵部の開口を有するベースハウジング103の側部36に接着状態として示されている。明瞭にするために、密閉ホイル131は図4bと図4cでは示されていない。
【0036】
また、排出用開口32が、密閉ホイル(図4cでは未接着状態でベースハウジング103の隣に示され、参照番号38で標識されている)により閉鎖されていることにも留意されたい。
【0037】
上部のハンドグリップ40は、パッケージングカセット101の手動のまたは場合により機械的な取扱を容易にする。またセンタリングスター42が下部端に設けられ、これはベースハウジング103を分析機器または自動装填装置内で正確に位置を合わせる役割を果たす。
【0038】
ベースハウジング103は、好ましくは密閉カバーフラップ111と共に一体として構築され例えば射出成形工程で製造される。したがってベースハウジングは好ましくはプラスチックから製造される。図4a〜図4cの実施例の示されていない変形版では、上方視点では区画が二次元マトリックスを形成するように、互いの上に配置された2以上の列の区画を設けることができる。また想定されうる図4a〜図4bの実施例の改変版では、各々の平面に2つの区画が連続して設けられ、それらのカバーは互いにベースハウジングの反対側に配置される。
【0039】
図4a〜図4cの実施例の寸法は、各々の区画が1より多い試薬キャリア107を保有できないようなものである。実施例のある変形版では、2以上の試薬キャリア107を1つの区画105にはめることができる。
【0040】
本発明のパッケージングカセットは自動装置に使用することができ、したがって、試薬キャリアの寿命全体に渡り、射出成形によるその製造からコーティングを経て消費者の装置において処理されそこで破棄されるまで、試薬キャリアに随伴するのに適している。
【0041】
これは以下の様式で行うことができる:
・未コーティングの試薬キャリア本体をパッケージングカセット内に手動または自動で挿入しその区画を閉じる;
・試薬キャリアをパッケージングカセットに入った状態でコーティング設備に輸送する;
・カセットカバーを全自動的に開け、試薬キャリアをカセットからコーティング運搬体に移す;
・コーティング後に、試薬キャリアを全自動的にコーティング運搬体からパッケージングカセットに移して戻し、密閉カバーを畳んで降ろすことによりカセット区画を閉じる;
・あるいはまた試薬キャリアはパッケージングカセット内でコーティングすることもでき、すなわち試薬キャリアはコーティング工程中にパッケージングカセット内に留まってもよい;
・パッケージングカセットに乾燥剤を備え、ラベル付けする;
・カセットを外部パッケージングに装填する;
・調製した試薬キャリアの入ったカセットを消費者に輸送する;
・消費者が試薬キャリアの入ったカセットを分析機器に挿入する;
・分析機器内で個々の密閉カバーを全自動的に開き、対応する試薬キャリアを処理へと導くために、パッケージングカセットから全自動的に移す;
・処理の後に、従って全ての試薬キャリアについて分析が行われた後に、分析器が試薬キャリアとカセットを廃棄物再利用のための容器に廃棄する。
【0042】
図1〜4の例では、密閉カバーに密閉用リップを設けて区画を密閉し、確実に閉じた状態とした。これとは別にまたはこれに加えて、例えば密閉のために「ビーズ(bead)」連結を設けることも可能である。
【0043】
上に説明した実施例では各々の個別のチップにはそれ自身の区画を設けた。
【0044】
別の実施例は、各々の区画に2以上のチップが収容されることを規定する。
【0045】
さらに、予め決定された切断点を区画同士の間に設けることができ、これがカセットを必要に応じて分割することができるようにする。
【0046】
図に示されていない、本発明のパッケージングカセットの別の実施形態は円形のまたは輪状の形状をしており、これは例えば図1または図3の実質的に線形なカセットを湾曲または円へと曲げた変形版に改変することにより得ることができる。これは上部に密閉カバーを配置した平坦なカルーセル変形版、またはバレルの外周に側面に沿って密閉カバーを配置したバレル型変形版であり得る。
【0047】
本発明のパッケージングカセットは、図面に示す試薬キャリア7とは大幅に構造が異なる試薬キャリアまたは類似の小さな容器、例えば試験化学物質または処理用化学物質のための試験片、試験チューブまたは他の小さな容器を収容するよう設計できることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のパッケージングカセットの第1の実施例を、開いた状態および閉じた状態の試薬キャリア用区画と共に、上方からの透視図にて示す図である。
【図2】図1のパッケージングカセットを下方からの透視図にて示す図である。
【図3】本発明のパッケージングカセットの第2の実施例を、上方からの透視図にて示す図である。
【図4a】本発明のパッケージングカセットの第3の実施例を透視図にて示す図であって、パッケージングカセットを、前側からの視点で、部分的に閉じた状態で示している。
【図4b】本発明のパッケージングカセットの第3の実施例を透視図にて示す図であって、パッケージングカセットを、図4aと似た視点で、完全に開いた状態で示している。
【図4c】本発明のパッケージングカセットの第3の実施例を透視図にて示す図であって、後側が見える視点でのパッケージングカセットを示している。
【符号の説明】
【0049】
1 パッケージングカセット
3 ベースハウジング
5 区画
7 試薬キャリア
9 隔壁
11 密閉カバー
12 ヒンジ
13 密閉リップ
14 タブ
15 拡張部
17 端
21 くぼみ
23、25 案内溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬キャリア(7;107)用の連結された隣接区画(5;105)、特に互いに横または/および上下に配置された区画を有するベースハウジング(3;103)を特徴とする試薬キャリア用パッケージングカセットであって、該区画(5;105)は隔壁(9;109)により互いに隔てられており、かつ個別に開けるものであり、各々の区画(5;105)はそれ自身ための密閉カバー(11;111)を有し、該密閉カバーが該区画(5;105)を再度密閉できるようにした、前記試薬キャリア用パッケージングカセット。
【請求項2】
密閉カバー(11;111)およびベースハウジング(3;103)が閉鎖要素(13、15;113、115)を有し、該閉鎖要素が、互いに割り当てられ互いに相補的であり、かつ区画(5;105)が密閉カバー(11;111)により閉鎖されるときに前記閉鎖要素が互いに密閉的に係合することを特徴とする、請求項1に記載の試薬キャリア用パッケージングカセット。
【請求項3】
密閉カバー(11;111)が、ベースハウジング(3;103)上にヒンジ取り付けされれているヒンジ連結蓋であることを特徴とする、請求項1または2に記載の試薬キャリア用パッケージングカセット。
【請求項4】
ベースハウジング(3;103)とヒンジ連結蓋(11;111)が、一体として、特に一体の射出成形製品として相互接続されて製造されることを特徴とする、請求項3に記載の試薬キャリア用パッケージングカセット。
【請求項5】
各々の密閉カバー(11;111)に操作タブ(14;114)が設けられており、1列の区画(5;105)に割り当てられた密閉カバー(11;111)の操作タブ(14;114)が、順に互いに隣り合ってまたは互いの上下にあり、かつ閉じた状態では外向きにベースハウジング(3;103)の端(17;117)を超えて突出していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の試薬キャリア用パッケージングカセット。
【請求項6】
全ての区画(5)または場合により区画のグループが互いに対して列状に並んだくぼみの形態であるベースプレート(3)を特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の試薬キャリア用パッケージングカセット。
【請求項7】
区画(5)がそれぞれ、本質的に単一の試薬キャリア(7)のみおよび場合により乾燥剤の小さな貯蔵部を収容することができるように、空間条件に関して寸法が決められかつ最適化されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の試薬キャリア用パッケージングカセット。
【請求項8】
各々の区画(5)に乾燥剤貯蔵部(27;127)が割り当てられていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の試薬キャリア用パッケージングカセット。
【請求項9】
乾燥剤貯蔵部(27)が密閉カバー(11)内に設けられていることを特徴とする、請求項8に記載の試薬キャリア用パッケージングカセット。
【請求項10】
乾燥剤貯蔵部(27)がベースハウジング(3)の底部領域に設けられていることを特徴とする、請求項8に記載の試薬キャリア用パッケージングカセット。
【請求項11】
それぞれの乾燥剤貯蔵部(27)が、密閉ホイルにより外部に対して密閉されている、トラフ状の圧痕であることを特徴とする、請求項9または10に記載の試薬キャリア用パッケージングカセット。
【請求項12】
プラスチックから製造されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の試薬キャリア用パッケージングカセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【公表番号】特表2009−523102(P2009−523102A)
【公表日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549839(P2008−549839)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000268
【国際公開番号】WO2007/082696
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】