説明

試薬調製装置、検体測定装置および試薬調製方法

【課題】迅速に試薬を調製するとともに、品質の劣る試薬が調製されてしまうことを抑制することが可能な試薬調製装置を提供する。
【解決手段】この試薬調製装置4は、RO水を貯留するRO水チャンバ42と、RO水のRO水チャンバ42での滞留時間を計時し、計時された滞留時間が8時間に到達したときに、RO水チャンバ42に貯留されたRO水を廃棄するように電磁バルブ204〜207および空圧部6を制御する制御部49とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる複数の液体から試薬を調製することが可能な試薬調製装置、検体測定装置および試薬調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異なる複数の液体から試薬を調製することが可能な試薬調製装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、高濃度試薬を貯留する試薬定量タンクと、純水を貯留する純水定量タンクと、高濃度試薬と純水とを攪拌して混合するための攪拌タンクとを備えた試薬調製装置が開示されている。この試薬調製装置は、純水定量タンクに予め所定量の純水を貯留しておくように構成されている。これにより、試薬を測定部に供給する必要が生じた場合に、予め貯留されている純水を用いて迅速に試薬を調製することが可能である。
【0004】
また、従来、分析モジュールで用いられる精製水を精製可能なシステムが知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【0005】
上記特許文献2には、精製水を精製する精製モジュールと、精製水を用いて分析を行う分析モジュールとを備えたシステムが開示されている。このシステムは、精製モジュールにより精製された精製水を精製直後に分析モジュールに移送するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−33538号公報
【特許文献2】特開2005−95863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の試薬調製装置では、迅速に試薬を調製することが可能である一方、純水定量タンクに予め所定量の純水を貯留しておくので、貯留時間が長くなるとタンク内の純水に細菌が発生して純水の品質が劣化してしまうことが考えられる。このため、調製された試薬が長時間測定部に供給されなかった場合には、品質の劣化した純水が用いられることに起因して、品質の劣る試薬が調製されてしまうおそれがある。
【0008】
また、上記特許文献2に記載のシステムでは、上記特許文献1と異なり、精製された精製水が精製直後に分析モジュールに移送されるので、精製水の品質が劣化してしまうことを抑制することが可能である。その一方、分析モジュールで精製水が必要となった場合に、精製水を精製する段階から始める必要があるので、迅速に精製水を分析モジュールに供給することができないという不都合がある。したがって、精製水を用いた試薬調製にこのシステムを適用した場合には、精製水を迅速に供給することができないので、迅速に試薬を調製することができないという問題点がある。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、迅速に試薬を調製するとともに、品質の劣る試薬が調製されてしまうことを抑制することが可能な試薬調製装置、検体測定装置および試薬調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0010】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における試薬調製装置は、第1液体を貯留する第1液体貯留部と、第1液体と、第1液体とは異なる第2液体とを含む所定の試薬を調製する試薬調製部と、第1液体貯留部に貯留された第1液体を廃棄する第1液体廃棄部と、第1液体の第1液体貯留部での滞留時間を計時する計時手段と、計時手段により計時された滞留時間が所定時間に到達したときに、第1液体貯留部に貯留された第1液体を廃棄するように第1液体廃棄部を制御する廃棄制御手段とを備える。
【0011】
この発明の第1の局面による試薬調製装置では、上記のように、第1液体を貯留する第1液体貯留部を設けることによって、第1液体を第1液体貯留部に予め貯留しておくことができるので、試薬を測定部に供給する必要が生じた場合に、予め貯留されている第1液体を用いて迅速に試薬を調製することができる。また、この試薬調製装置では、計時手段により計時された滞留時間が所定時間に到達したときに、第1液体貯留部に貯留された第1液体を廃棄するように第1液体廃棄部を制御する廃棄制御手段を設けることによって、第1液体が第1液体貯留部内に所定時間を越えて滞留することが防止されるので、第1液体に細菌が発生するなどして第1液体の品質が劣化してしまうことを抑制することができる。これにより、品質が劣化した第1液体を用いることに起因して品質の劣る試薬が調製されてしまうことを抑制することができる。したがって、この試薬調製装置では、迅速に試薬を調製するとともに、品質の劣る試薬が調製されてしまうことを抑制することができる。
【0012】
上記第1の局面による試薬調製装置において、好ましくは、第1液体貯留部は、第1液体として純水を貯留するように構成されている。このように品質が劣化し易い純水を用いて試薬を調製する場合であっても、純水の品質が劣化してしまうことを抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面による試薬調製装置において、好ましくは、計時手段は、第1液体が試薬調製部に供給されなくなったときに計時を開始するように構成されている。このように構成すれば、第1液体が試薬調製部に供給されなくなって第1液体貯留部に滞留し始めてからの時間を計時手段により計時することができるので、第1液体貯留部での第1液体の滞留時間をより正確に計時することができる。
【0014】
上記第1の局面による試薬調製装置において、好ましくは、第1液体貯留部に第1液体を供給する液体供給部と、滞留時間が所定時間に到達し、第1液体廃棄部により第1液体貯留部に貯留された第1液体が廃棄されると、第1液体貯留部に第1液体を再供給するように液体供給部を制御する供給制御手段とをさらに備える。このように構成すれば、第1液体が第1液体貯留部から廃棄された場合にも、第1液体貯留部に第1液体が再供給されるので、再供給された第1液体を用いて次の試薬の調製処理を迅速に行うことができる。
【0015】
上記第1の局面による試薬調製装置において、好ましくは、第2液体は防腐剤を含み、第2液体を貯留する第2液体貯留部をさらに備える。このように構成すれば、第2液体貯留部での第2液体の滞留時間が長くなった場合でも、防腐剤の作用により第2液体の品質が劣化してしまうことを抑制することができる。
【0016】
上記第1の局面による試薬調製装置において、好ましくは、試薬調製装置の動作を終了させる指示を受け付ける終了指示受付手段をさらに備え、廃棄制御手段は、終了指示受付手段により終了指示が受け付けられると、第1液体貯留部に貯留された第1液体を廃棄するように第1液体廃棄部を制御するように構成されている。このように構成すれば、試薬調製装置の動作が終了された後、動作が再開されるまでの間、第1液体が第1液体貯留部に滞留してしまうことを防止することができる。
【0017】
上記第1の局面による試薬調製装置において、好ましくは、第1液体貯留部に第1液体を供給する液体供給部と、試薬調製装置を起動する起動手段と、起動手段により試薬調製装置が起動されると、第1液体貯留部に第1液体を供給するように液体供給部を制御する供給制御手段とをさらに備える。このように構成すれば、試薬調製装置の起動後に第1液体が第1液体貯留部に供給されるので、試薬調製装置の起動前から第1液体が第1液体貯留部に貯留されている場合に比べて、第1液体貯留部での第1液体の滞留時間を短くすることができ、その結果、第1液体の品質が劣化してしまうことを抑制することができる。
【0018】
この場合、好ましくは、試薬調製装置の動作を終了させる終了手段と、前回の動作終了時に終了手段により正常に動作が終了されたか否かを判定する判定手段とをさらに備え、廃棄制御手段は、判定手段により正常に動作が終了されなかったと判定されると、第1液体貯留部に貯留された第1液体を廃棄するように第1液体廃棄部を制御し、供給制御手段は、第1液体廃棄部により第1液体が廃棄された後の第1液体貯留部に第1液体を再供給するように液体供給部を制御するように構成されている。このように構成すれば、前回の動作終了時に正常に動作が終了されなかったことによって、第1液体が第1液体貯留部に長時間滞留されていた場合でも、第1液体貯留部内の第1液体が廃棄されるので、長時間の滞留により劣化している可能性のある第1液体が試薬調製に用いられることを防止することができる。また、滞留されていた第1液体が廃棄された後、第1液体が第1液体貯留部に再供給されるので、再供給された第1液体を用いて次の試薬の調製処理を迅速に行うことができる。
【0019】
上記判定手段を備えた構成において、好ましくは、試薬調製部は、第1液体と第2液体とを混合するための第3液体貯留部と、第3液体貯留部と流路を介して接続され、第1液体と第2液体とを攪拌するための第4液体貯留部とを含み、試薬調製装置は、第4液体貯留部と流路を介して接続され、第1液体と第2液体とを含む所定の試薬を貯留する第5液体貯留部と、第3液体貯留部および第4液体貯留部に貯留された第1液体と第2液体との混合液を廃棄する第2液体廃棄部とをさらに備え、廃棄制御手段は、判定手段により正常に動作が終了されなかったと判定されると、第3液体貯留部および第4液体貯留部に貯留された混合液を廃棄するように第2液体廃棄部を制御するように構成されている。このように構成すれば、前回の動作終了時に正常に動作が終了されなかったことによって、第3液体貯留部および第4液体貯留部内において所望の濃度とは異なる濃度で混合された可能性のある混合液が廃棄されるので、所望濃度以外の濃度の試薬を供給してしまうことを防止することができる。
【0020】
この発明の第2の局面における検体測定装置は、第1液体を貯留する液体貯留部と、第1液体と第1液体とは異なる第2液体とを含む所定の試薬を調製する試薬調製部と、液体貯留部に貯留された第1液体を廃棄する液体廃棄部と、第1液体の液体貯留部での滞留時間を計時する計時手段と、計時手段により計時された滞留時間が所定時間に到達したときに、液体貯留部に貯留された第1液体を廃棄するように液体廃棄部を制御する廃棄制御手段とを含む試薬調製部と、試薬調製部により調製された試薬を用いて検体を測定する測定部とを備える。
【0021】
この発明の第2の局面による検体測定装置では、上記のように、第1液体を貯留する液体貯留部を試薬調製部に設けることによって、第1液体を液体貯留部に予め貯留しておくことができるので、測定部に試薬を供給する必要が生じた場合に、試薬調製部において予め貯留されている第1液体を用いて迅速に試薬を調製することができる。また、この検体測定装置では、計時手段により計時された滞留時間が所定時間に到達したときに、液体貯留部に貯留された第1液体を廃棄するように液体廃棄部を制御する廃棄制御手段を試薬調製部に設けることによって、第1液体が液体貯留部内に所定時間を越えて滞留することが防止されるので、第1液体に細菌が発生するなどして第1液体の品質が劣化してしまうことを抑制することができる。これにより、試薬調製部において、品質が劣化した第1液体を用いることに起因して品質の劣る試薬が調製されてしまうことを抑制することができる。したがって、この検体測定装置では、試薬調製部において、迅速に試薬を調製するとともに、品質の劣る試薬が調製されてしまうことを抑制することができ、測定部において、試薬調製部により調製された品質に優れる試薬を用いて検体を測定することができる。
【0022】
上記第2の局面による検体測定装置において、好ましくは、検体は血液であり、第1液体は純水生成装置から供給される純水であり、測定部は、試薬調製部により調製された試薬によって血液を希釈し、血液中の血球を計数するとともに、試薬を洗浄液として用いるように構成されている。ここで、血球計数装置において、希釈液および洗浄液は、溶血剤や染色液などの他の試薬と比較して消費量が多い。このように消費量が多い希釈液および洗浄液を、純水生成装置から供給される純水を用いて試薬調製装置により調製し、測定部に供給することによって、従来頻繁に交換することが必要であった希釈液および洗浄液の交換頻度を減少させることができる。
【0023】
この発明の第3の局面における試薬調製方法は、第1液体を液体貯留部に供給する工程と、第1液体と第1液体とは異なる第2液体とを含む所定の試薬を調製する工程と、第1液体の液体貯留部での滞留時間を計時する工程と、計時された滞留時間が所定時間に到達したときに、液体貯留部に貯留された第1液体を廃棄する工程とを備える。
【0024】
この発明の第3の局面による試薬調製方法では、上記のように、第1液体を液体貯留部に供給する工程を設けることによって、第1液体を液体貯留部に予め貯留しておくことができるので、試薬を測定部に供給する必要が生じた場合に、予め貯留されている第1液体を用いて迅速に試薬を調製することができる。また、計時された滞留時間が所定時間に到達したときに、液体貯留部に貯留された第1液体を廃棄する工程を設けることによって、第1液体が液体貯留部内に所定時間を越えて滞留することが防止されるので、第1液体に細菌が発生するなどして第1液体の品質が劣化してしまうことを抑制することができる。これにより、品質が劣化した第1液体を用いることに起因して品質の劣る試薬が調製されてしまうことを抑制することができる。したがって、この試薬調製方法では、迅速に試薬を調製するとともに、品質の劣る試薬が調製されてしまうことを抑制することができる。
【0025】
この発明の第4の局面における試薬調製装置は、第1液体と第1液体とは異なる第2液体とを含む所定の試薬を調製する試薬調製装置であって、第1液体を貯留する第1液体貯留部と、所定の試薬を調製する試薬調製部と、第1液体貯留部に貯留された第1液体を廃棄する第1液体廃棄部と、試薬調製装置の動作を終了させる指示を受け付ける終了指示受付手段と、終了指示受付手段により終了指示が受け付けられると、第1液体貯留部に貯留された第1液体を廃棄するように第1液体廃棄部を制御する廃棄制御手段とを備える。
【0026】
この発明の第4の局面による試薬調製装置では、上記のように、第1液体を貯留する第1液体貯留部を設けることによって、第1液体を第1液体貯留部に予め貯留しておくことができるので、試薬を測定部に供給する必要が生じた場合に、予め貯留されている第1液体を用いて迅速に試薬を調製することができる。また、この試薬調製装置では、終了指示受付手段により終了指示が受け付けられると、第1液体貯留部に貯留された第1液体を廃棄するように第1液体廃棄部を制御する廃棄制御手段を設けることによって、休日や夜間などの試薬調製装置が動作していない間に第1液体が第1液体貯留部内に長時間滞留することが防止されるので、第1液体に細菌が発生するなどして第1液体の品質が劣化してしまうことを抑制することができる。これにより、品質が劣化した第1液体を用いることに起因して品質の劣る試薬が調製されてしまうことを抑制することができる。したがって、この試薬調製装置では、迅速に試薬を調製するとともに、品質の劣る試薬が調製されてしまうことを抑制することができる。
【0027】
この発明の第5の局面における試薬調製方法は、第1液体と第1液体とは異なる第2液体とを含む所定の試薬を調製する試薬調製装置に備えられた液体貯留部に第1液体を供給する工程と、所定の試薬を調製する工程と、試薬調製装置の動作を終了させる終了指示を受け付ける工程と、終了指示が受け付けられると、液体貯留部に貯留された第1液体を廃棄する工程とを備える。
【0028】
この発明の第5の局面による試薬調製方法では、上記のように、液体貯留部に第1液体を供給する工程を設けることによって、第1液体を液体貯留部に予め貯留しておくことができるので、試薬を測定部に供給する必要が生じた場合に、予め貯留されている第1液体を用いて迅速に試薬を調製することができる。また、この試薬調製方法では、終了指示が受け付けられると、液体貯留部に貯留された第1液体を廃棄する工程を設けることによって、休日や夜間などの試薬調製装置が動作していない間に第1液体が液体貯留部内に長時間滞留することが防止されるので、第1液体に細菌が発生するなどして第1液体の品質が劣化してしまうことを抑制することができる。これにより、品質が劣化した第1液体を用いることに起因して品質の劣る試薬が調製されてしまうことを抑制することができる。したがって、この試薬調製方法では、迅速に試薬を調製するとともに、品質の劣る試薬が調製されてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態による試薬調製装置の使用状態を示した斜視図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による試薬調製装置を備えた血液分析装置の構成を示したブロック図である。
【図3】図1に示した第1実施形態による試薬調製装置を備えた血液分析装置の試料調製部を説明するための図である。
【図4】図1に示した第1実施形態による試薬調製装置を備えた血液分析装置の検出部を示した概略図である。
【図5】図1に示した第1実施形態による試薬調製装置を備えた血液分析装置のデータ処理部の構成を示したブロック図である。
【図6】図1に示した第1実施形態による試薬調製装置の構成を示したブロック図である。
【図7】図1に示した第1実施形態による試薬調製装置のダイアフラムポンプを示した平面図である。
【図8】図7の500−500線に沿った断面における分解図である。
【図9】図7の500−500線に沿った断面図である。
【図10】図1に示した第1実施形態による試薬調製装置のダイアフラムポンプの膜体を示した平面図である。
【図11】図1に示した第1実施形態による試薬調製装置のダイアフラムポンプの内部構造を説明するための平面図である。
【図12】図1に示した第1実施形態による試薬調製装置のダイアフラムポンプの構成を説明するための断面図である。
【図13】図1に示した第1実施形態による試薬調製装置のダイアフラムポンプの構成を説明するための断面図である。
【図14】本発明の第1実施形態による試薬調製装置の制御部を説明するためのブロック図である。
【図15】本発明の第1実施形態による試薬調製装置のRO水自動排出処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明の第1実施形態による試薬調製装置の試薬調製処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】本発明の第1実施形態による試薬調製装置の試薬調製処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図18】図16に示した試薬調製処理動作のステップS16におけるRO水作製処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図19】図16に示した試薬調製処理動作のステップS21における高濃度試薬およびRO水の供給処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図20】本発明の第2実施形態による試薬調製装置の使用状態を示した斜視図である。
【図21】図20に示した第2実施形態による試薬調製装置の構成を示したブロック図である。
【図22】図1に示した第1実施形態および図20に示した第2実施形態による試薬調製装置の変形例を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
(第1実施形態)
まず、図1〜図14を参照して、本発明の第1実施形態による試薬調製装置4の構成について説明する。なお、第1実施形態では、血液検査を行うための血液分析装置1の一部として、本発明の第1実施形態による試薬調製装置4を使用する場合について説明する。
【0032】
血液分析装置1は、図1に示すように、血液の測定を行う機能を有する測定部2と、測定部2から出力された測定データを分析して分析結果を得るデータ処理部3と、検体の処理に用いられる試薬を調製する試薬調製装置4とにより構成されている。測定部2は、フローサイトメトリー法により、血液中の白血球、網状赤血球および血小板の測定を行うように構成されている。また、測定部2は、試薬調製装置4によって調製され、供給される試薬を用いて血液を希釈し、白血球、網状赤血球および血小板の測定を行うように構成されている。さらに、測定部2は、試薬調製装置4によって調製され、供給される上記試薬を洗浄液として用い、後述する試料調製部21に含まれるサンプリングバルブ21bおよび反応チャンバ21c等や、検出部22に含まれるシースフローセル22c等を洗浄するように構成されている。なお、フローサイトメトリー法とは、測定試料を含む試料流を形成するとともに、その試料流にレーザ光を照射することによって、測定試料中の粒子(血球)が発する前方散乱光、側方散乱光および側方蛍光を検出する粒子(血球)の測定方法である。
【0033】
測定部2は、図2に示すように、測定試料調製部21と、測定試料の測定を行う検出部22と、検出部22の出力に対するアナログ処理部23と、表示・操作部24と、測定部2を制御するためのマイクロコンピュータ部25とを備えている。
【0034】
測定試料調製部21は、白血球測定用試料と、網状赤血球測定用試料と、血小板測定用試料とを調製するために設けられている。測定試料調製部21は、図3に示すように、血液が吸引されるサンプリングバルブ21bと、反応チャンバ21cとを含んでいる。採血管21aは、分析対象の血液を収容している。
【0035】
サンプリングバルブ21bは、吸引ピペット(図示せず)により吸引された採血管21aの血液を所定の量だけ定量する機能を有する。また、サンプリングバルブ21bは、吸引された血液に所定の試薬を混合することが可能に構成されている。つまり、サンプリングバルブ21bは、所定量の血液に試薬調製装置4から供給される所定量の試薬が混合された希釈試料を生成可能に構成されている。
【0036】
反応チャンバ21cは、サンプリングバルブ21bから供給される希釈試料に所定の染色液をさらに混合して所定の時間反応させるように構成されている。これにより、測定試料調製部21は、白血球が染色されるとともに赤血球が溶血された、白血球測定用試料を調製する機能を有する。また、測定試料調製部21は、網状赤血球が染色された網状赤血球測定用試料を調製するとともに、血小板が染色された血小板測定用試料を調製する機能を有する。
【0037】
また、測定試料調製部21は、白血球分類測定(以下、「DIFF測定」という)モード時に、白血球測定用試料をシース液とともに測定試料調製部21から後述するシースフローセル22c(図4参照)に供給するように構成されている。また、測定試料調製部21は、網状赤血球測定(以下、「RET測定」という)モード時に、網状赤血球測定用試料をシース液とともに測定試料調製部21からシースフローセル22cに供給するように構成されている。また、測定試料調製部21は、血小板測定(以下、「PLT測定」という)モード時に、血小板測定用試料をシース液とともに測定試料調製部21からシースフローセル22cに供給するように構成されている。
【0038】
検出部22は、図4に示すように、レーザ光を出射する発光部22aと、照射レンズユニット22bと、レーザ光が照射されるシースフローセル22cと、発光部22aから出射されるレーザ光が進む方向の延長線上に配置されている集光レンズ22d、ピンホール22eおよびPD(フォトダイオード)22fと、発光部22aから出射されるレーザ光が進む方向と交差する方向に配置されている集光レンズ22g、ダイクロイックミラー22h、光学フィルタ22i、ピンホール22jおよびAPD(アバランシェフォトダイオード)22kと、ダイクロイックミラー22hの側方に配置されているPD22lとを含んでいる。
【0039】
発光部22aは、シースフローセル22cの内部を通過する測定試料を含む試料流に対して光を出射するために設けられている。また、照射レンズユニット22bは、発光部22aから出射された光を平行光にするために設けられている。また、PD22fは、シースフローセル22cから出射された前方散乱光を受光するために設けられている。なお、シースフローセル22cから出射された前方散乱光により、測定試料中の粒子(血球)の大きさに関する情報を得ることが可能である。
【0040】
ダイクロイックミラー22hは、シースフローセル22cから出射された側方散乱光および側方蛍光を分離するために設けられている。具体的には、ダイクロイックミラー22hは、シースフローセル22cから出射された側方散乱光をPD22lに入射させるとともに、シースフローセル22cから出射された側方蛍光をAPD22kに入射させるために設けられている。また、PD22lは、側方散乱光を受光するために設けられている。なお、シースフローセル22cから出射された側方散乱光により、測定試料中の粒子(血球)の核の大きさなどの内部情報を得ることが可能である。また、APD22kは、側方蛍光を受光するために設けられている。なお、シースフローセル22cから出射された側方蛍光により、測定試料中の粒子(血球)の染色度合いに関する情報を得ることが可能である。また、PD22f、22lおよびAPD22kは、それぞれ、受光した光信号を電気信号に変換する機能を有する。
【0041】
アナログ処理部23は、図4に示すように、アンプ23a、23bおよび23cを含んでいる。また、アンプ23a、23bおよび23cは、それぞれ、PD22f、22lおよびAPD22kから出力された電気信号を増幅および波形処理するために設けられている。
【0042】
マイクロコンピュータ部25は、図2に示すように、制御用プロセッサおよび制御用プロセッサを動作させるためのメモリを有する制御部251と、アナログ処理部23から出力された信号をデジタル信号に変換するA/D変換部252と、A/D変換部252から出力されたデジタル信号に所定の処理を行うための演算部253とを含んでいる。
【0043】
制御部251は、バス254aおよびインターフェース255aを介して測定試料調製部21および検出部22を制御する機能を有する。また、制御部251は、バス254aおよびインターフェース255bを介して表示・操作部24と接続されるとともに、バス254bおよびインターフェース255cを介してデータ処理部3と接続されている。また、演算部253は、インターフェース255dおよびバス254aを介して制御部251に演算結果を出力する機能を有する。また、制御部251は、演算結果(測定データ)をデータ処理部3に送信する機能を有する。
【0044】
データ処理部3は、図1に示すように、パーソナルコンピュータ(PC)などからなり、測定部2の測定データを分析するとともに、その分析結果を表示する機能を有する。また、データ処理部3は、図5に示すように、制御部31と、表示部32と、入力デバイス33とを含んでいる。
【0045】
制御部31は、測定モード情報を含む測定開始信号およびシャットダウン信号を測定部2に送信する機能を有する。また、制御部31は、図5に示すように、CPU31aと、ROM31bと、RAM31cと、ハードディスク31dと、読出装置31eと、入出力インターフェース31fと、画像出力インターフェース31gと、通信インターフェース31iとから構成されている。CPU31a、ROM31b、RAM31c、ハードディスク31d、読出装置31e、入出力インターフェース31f、画像出力インターフェース31gおよび通信インターフェース31iは、バス31hによって接続されている。
【0046】
CPU31aは、ROM31bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM31cにロードされたコンピュータプログラムを実行するために設けられている。ROM31bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU31aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータなどが記録されている。
【0047】
RAM31cは、SRAMまたはDRAMなどによって構成されている。RAM31cは、ROM31bおよびハードディスク31dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU31aの作業領域として利用される。
【0048】
ハードディスク31dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU31aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。後述するアプリケーションプログラム34aも、このハードディスク31dにインストールされている。
【0049】
読出装置31eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体34に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体34には、コンピュータに所定の機能を実現させるためのアプリケーションプログラム34aが格納されている。そして、データ処理部3としてのコンピュータは、その可搬型記録媒体34からアプリケーションプログラム34aを読み出し、そのアプリケーションプログラム34aをハードディスク31dにインストールするように構成されている。
【0050】
なお、上記アプリケーションプログラム34aは、可搬型記録媒体34によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってデータ処理部3と通信可能に接続された外部の機器から上記電気通信回線を通じて提供することも可能である。たとえば、上記アプリケーションプログラム34aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにデータ処理部3がアクセスして、そのアプリケーションプログラム34aをダウンロードし、これをハードディスク31dにインストールすることも可能である。
【0051】
また、ハードディスク31dには、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインターフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、第1実施形態に係るアプリケーションプログラム34aは上記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0052】
入出力インターフェース31fは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインターフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインターフェース、およびD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインターフェースなどから構成されている。入出力インターフェース31fには、キーボードおよびマウスからなる入力デバイス33が接続されており、ユーザがその入力デバイス33を使用することにより、データ処理部3にデータを入力することが可能である。また、ユーザは、入力デバイス33を用いて、測定モードの選択、測定部2および試薬調製装置4の起動およびシャットダウンを行うことが可能である。たとえば、ユーザが入力デバイス33を用いて起動またはシャットダウンを指示すると、起動信号またはシャットダウン信号が通信インターフェース31iを介して試薬調製装置4に送信される。
【0053】
画像出力インターフェース31gは、LCDまたはCRTなどで構成された表示部32に接続されており、CPU31aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部32に出力するようになっている。表示部32は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0054】
ここで、第1実施形態では、試薬調製装置4は、測定部2の測定試料調製部21で用いられる試薬を調製するために設けられている。具体的には、試薬調製装置4は、水道水から作製されるRO水を用いて高濃度試薬を所望の濃度に希釈することにより、血液分析に用いられる試薬を調製するように構成されている。ここで、RO水とは、純水の一種であり、RO(Reverse Osmosis)膜(逆浸透膜)を透過することによって、不純物を取り除かれた水である。また、純水とは、RO水の他に、精製水、脱イオン水、および蒸留水などを含み、不純物を取り除く処理が実施された水であるが、その純度は特に限定されない。
【0055】
試薬調製装置4は、図6に示すように、高濃度試薬チャンバ41と、RO水チャンバ42と、2つの希釈チャンバ43および44と、2つのダイアフラムポンプ45aおよび45bと、攪拌チャンバ46と、供給チャンバ47と、RO水作製部48と、試薬調製装置4の各部の動作を制御する制御部49とを含んでいる。さらに、試薬調製装置4は、筐体外に設置された空圧部6(図1参照)を含み、空圧部6から供給される陰圧および陽圧を用いて、装置内における各液体の移送を行うように構成されている。空圧部6は、試薬調製装置4に対して陰圧を供給するための陰圧源61、および、陽圧を供給するための陽圧源62を有している。
【0056】
高濃度試薬チャンバ41は、高濃度試薬タンク5から高濃度試薬が供給されるように構成されている。高濃度試薬チャンバ41には、チャンバ内に所定量の高濃度試薬が収容されていることを検知するためのフロートスイッチ100が設けられている。フロートスイッチ100は、高濃度試薬チャンバ41内の液量(液面)に応じてフロート部が上下動するように構成されている。フロートスイッチ100のフロート部が下限に到達すると、高濃度試薬タンク5から高濃度試薬チャンバ41に高濃度試薬が供給されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。また、フロートスイッチ100のフロート部が上限に到達すると、高濃度試薬タンク5から高濃度試薬チャンバ41への高濃度試薬の供給が停止されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。また、フロートスイッチ100は、高濃度試薬チャンバ41の上端部近傍に配置されており、高濃度試薬チャンバ41に約300mLの高濃度試薬が貯留されたときに、フロート部が上限に到達するように構成されている。これにより、高濃度試薬チャンバ41には、常時、約300mL貯留されるように高濃度試薬が供給される。
【0057】
また、高濃度試薬チャンバ41は、電磁バルブ200を介して高濃度試薬タンク5に接続され、電磁バルブ201を介して空圧部6の陰圧源61に接続されている。また、高濃度試薬チャンバ41は、電磁バルブ202の開閉により、大気に開放され、または、閉塞されるように構成されている。また、高濃度試薬チャンバ41は、流路300により、ダイアフラムポンプ45a(45b)から希釈チャンバ43(44)に液体を移送するための流路301に接続されている。また、流路300上には、電磁バルブ203が設けられており、電磁バルブ203は、流路301の近傍に配置されている。具体的には、電磁バルブ203と流路301との間の流路300aの長さは、約15mmの小さい長さに設定されている。また、高濃度試薬チャンバ41に接続される流路300(300a)は、約1.8mmの内径を有しており、流路301は、約4.0mmの内径を有している。
【0058】
また、第1実施形態では、高濃度試薬には防腐剤が含まれている。防腐剤としては、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)ナトリウムがあり、たとえば、TKM−A(株式会社エーピーアイコーポレーション製)が(2−ピリジルチオ−1−オキシド)ナトリウムを含む防腐剤である。
【0059】
RO水チャンバ42は、高濃度試薬を希釈するためのRO水がRO水作製部48から供給されるように構成されている。RO水チャンバ42には、チャンバ内に収容されるRO水が上限量に達したこと、および、下限量に達したことをそれぞれ検知するためのフロートスイッチ101および102が設けられている。フロートスイッチ101(102)は、RO水チャンバ42内の液量(液面)に応じてフロート部が上下動するように構成されている。フロートスイッチ101のフロート部がRO水チャンバ42の上限量に対応する位置に到達すると、RO水作製部48からRO水チャンバ42へのRO水の供給が停止されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。また、フロートスイッチ102のフロート部がRO水チャンバ42の下限量に対応する位置に到達すると、RO水作製部48からRO水チャンバ42にRO水が供給されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。また、フロートスイッチ101は、RO水チャンバ42の上端部近傍に配置されており、RO水チャンバ42に約600mLのRO水が貯留されたときに、フロート部がRO水チャンバ42の上限量に対応する位置に到達するように構成されている。また、フロートスイッチ102は、RO水チャンバ42に貯留されているRO水が約300mLまで減少したときに、フロート部がRO水チャンバ42の下限量に対応する位置に到達するように構成されている。これにより、試薬調製装置4が動作している間、RO水チャンバ42には、約300mL以上約600mL以下のRO水が貯留されることとなる。
【0060】
また、RO水チャンバ42は、チャンバ内のRO水を廃棄可能に構成されている。具体的には、RO水チャンバ42は、電磁バルブ204を介して陽圧源62に接続されているとともに、電磁バルブ205を介して廃棄流路に接続されており、電磁バルブ204および205の両方を開放することによって、陽圧力で内部のRO水が廃棄流路に押し出されるように構成されている。また、RO水チャンバ42は、電磁バルブ206の開閉により、大気に開放され、または、閉塞されるように構成されている。また、RO水チャンバ42は、電磁バルブ207を介してRO水作製部48の後述するRO水貯留タンク48aに接続されている。また、RO水チャンバ42は、電磁バルブ208を介して、流路302によりダイアフラムポンプ45aおよび45bに接続されている。
【0061】
希釈チャンバ43および44は、それぞれ、RO水により高濃度試薬を希釈するために設けられている。また、希釈チャンバ43(44)は、後述するように、ダイアフラムポンプ45aおよび45bによって送り込まれる約300mLの液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)を収容可能に構成されている。希釈チャンバ43(44)には、チャンバ内に収容された液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)の残量が所定量に到達したことを検知するためのフロートスイッチ103(104)が設けられている。フロートスイッチ103(104)は、希釈チャンバ43(44)内の液量(液面)に応じてフロート部が上下動するように構成されている。希釈チャンバ43(44)は、常時大気開放された状態となるように構成されている。また、希釈チャンバ43(44)は、電磁バルブ209(210)を介して、流路303(304)により流路301に接続されている。流路303(304)は、流路301と同様に、約4mmの内径を有している。なお、電磁バルブ210を閉じた状態で、電磁バルブ209を開放することによって、流路301を介して移送される液体(RO水および高濃度試薬)を希釈チャンバ43に移送することが可能である。一方、電磁バルブ209を閉じた状態で、電磁バルブ210を開放すれば、流路301を介して移送される液体(RO水および高濃度試薬)を希釈チャンバ43に移送することが可能である。すなわち、電磁バルブ209および210は、それぞれ、流路303および304の流路切替部として機能するように構成されている。
【0062】
また、希釈チャンバ43(44)は、電磁バルブ211(212)を介して、攪拌チャンバ46に接続されている。また、希釈チャンバ43(44)と電磁バルブ211(212)との間には、気泡センサ400(401)が設けられている。気泡センサ400(401)は、透過型センサであり、流路を通る気泡を検知するように構成されている。これにより、フロートスイッチ103(104)のフロート部が下限に到達し、かつ、気泡センサ400(401)で気泡が検知されることによって、制御部49により、希釈チャンバ43(44)内の液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)が全て排出されたことを確認することが可能となる。そして、希釈チャンバ43(44)が空になる(チャンバ内の液体が全て排出される)と、空になった希釈チャンバ43(44)に高濃度試薬およびRO水が供給されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。
【0063】
ダイアフラムポンプ45aおよび45bは、互いに同様の構成を有しており、同時に同じ動作を行うように構成されている。ダイアフラムポンプ45a(45b)は、1回の定量動作で高濃度試薬およびRO水をそれぞれ約6.0mL(一定量)分定量する機能を有している。また、ダイアフラムポンプ45a(45b)は、電磁バルブ213(215)を介して陰圧源61に接続されているとともに、電磁バルブ214(216)を介して陽圧源62に接続されている。
【0064】
次に、ダイアフラムポンプ45a(45b)の詳細な構成について説明する。なお、第1実施形態では、ダイアフラムポンプ45aおよび45bが互いに同様の構成を有しているので、代表してダイアフラムポンプ45aについて説明し、ダイアフラムポンプ45bの詳細な説明は省略する。
【0065】
ダイアフラムポンプ45aは、図7に示すように、平面的に見て、円形形状を有している。また、ダイアフラムポンプ45aは、図8および図9に示すように、EPDMなどのゴム材からなる膜体451と、膜体451を両側から挟みこむように構成された一対のケース片452および453とを含んでいる。
【0066】
膜体451は、図10に示すように、平面的に見て円形形状を有する平板状に形成されており、ネジ454を貫通させるための6つのネジ孔451aを有している。また、膜体451は、図8および図9に示すように、ケース片452および453により、両側から挟み込まれるように構成されている。
【0067】
ケース片452は、図8、図9および図11に示すように、流通口部452a(図8および図9参照)と、円錐台形状に形成された内壁部452bと、平面的に見て内壁部452bの略中央に配置された十字形状の溝部452cと、6つのネジ孔452d(図11参照)と、平面的に見て、内壁部452bを取り囲むように形成された輪形状の挟持部452eとを有している。なお、ケース片453は、図8、図9および図11に示すように、ケース片452と同様に構成されており、流通口部453a(図8および図9参照)、内壁部453b、溝部453c、ネジ孔453d(図11参照)および挟持部453eは、それぞれ、流通口部452a、内壁部452b、溝部452c、ネジ孔452dおよび挟持部452eに対応している。
【0068】
ケース片452および453は、図9に示すように、挟持部452eおよび453eで膜体451を挟み込んだ状態で、互いに6つのネジ454(図7参照)により接合されている。これにより、内壁部452bおよび膜体451により囲まれた室部452fと、内壁部453bおよび膜体451により囲まれた室部453fとが形成される。また、流通口部452aおよび室部452fは、溝部452cを介して、互いに空間的に接続されているとともに、流通口部453aおよび室部453fは、溝部453cを介して、互いに空間的に接続されている。また、室部452fおよび453fは、膜体451により、互いに空間的に隔離されている。
【0069】
また、流通口部452aは、陰圧源61および陽圧源62に接続されている。また、流通口部453aは、RO水チャンバ42に接続される流路302および希釈チャンバ43(44)に液体を移送するための流路301に接続されている。ダイアフラムポンプ45aは、流通口部452aに接続される陰圧源61により、室部452fに陰圧が供給されると、図12に示すように、膜体451が内壁部452bに密着されるように構成されている。これにより、膜体451により隔てられた室部453fの容積が拡大され、流通口部453aを介して室部453f内に液体(RO水、高濃度試薬、またはRO水および高濃度試薬の混合液)が流入される。また、ダイアフラムポンプ45aは、流通口部452aに接続される陽圧源62により、室部452fに陽圧が供給されると、図13に示すように、膜体451が内壁部453bに密着されるように構成されている。これにより、膜体451により隔てられた室部453fの容積が実質的にゼロとなるので、室部453f内の液体が流通口部453aを介して流路301に流出(押し出)される。ダイアフラムポンプ45aは、この際流出される液量が約6.0mLとなるように構成されている。なお、高濃度試薬チャンバ41、RO水チャンバ42、ダイアフラムポンプ45aおよび45b、空圧部6、流路300〜304、電磁バルブ200〜210および213〜216により、試薬調製装置4の液体定量部50(図6参照)が構成されている。
【0070】
攪拌チャンバ46は、図6に示すように、約300mLの液体を収容可能に構成されており、希釈チャンバ43(44)から移送される液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)を攪拌するために設けられている。具体的には、攪拌チャンバ46は、屈曲されたパイプ416を有し、希釈チャンバ43(44)から移送される液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)がパイプ416を通過することによって、攪拌チャンバ46の内壁面に沿って攪拌チャンバ46内に流入されるように構成されている。これにより、希釈チャンバ43(44)から移送される液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)が攪拌チャンバ46の内壁面に沿って流動されるので、対流が発生し、容易に、高濃度試薬とRO水とが攪拌される。なお、高濃度試薬とRO水とは、希釈チャンバ43(44)内、および、希釈チャンバ43(44)から攪拌チャンバ46への流路内においても、ある程度攪拌されているが、攪拌チャンバ46を上記のように構成することによって、より確実に攪拌することが可能である。
【0071】
攪拌チャンバ46には、チャンバ内に収容された液体(高濃度試薬およびRO水の混合液)の残量が所定量に到達したことを検知するためのフロートスイッチ105が設けられている。フロートスイッチ105は、攪拌チャンバ46内の液量(液面)に応じてフロート部が上下動するように構成されている。フロートスイッチ105のフロート部が下限に到達してチャンバ内が空になると、希釈チャンバ43および44のいずれか一方から攪拌チャンバ46に約300mLの混合液が供給されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。そして、希釈チャンバ43および44の一方から供給されて攪拌された混合液が攪拌チャンバ46から排出されると、次は、希釈チャンバ43および44の他方から攪拌チャンバ46に約300mLの混合液が供給される。また、攪拌チャンバ46は、電磁バルブ217を介して陰圧源61に接続されているとともに、電磁バルブ218を介して陽圧源62に接続されている。
【0072】
供給チャンバ47は、測定部2に供給するための所定量の試薬を貯留しておくために設けられている。供給チャンバ47には、チャンバ内に収容される試薬の残量が約300mLに到達したことを検知するためのフロートスイッチ106が設けられている。また、供給チャンバ47には、供給チャンバ47内に収容される試薬の残量が略ゼロとなったことを検知するためのフロートスイッチ107が設けられている。フロートスイッチ106(107)は、供給チャンバ47内の液量(液面)に応じてフロート部が上下動するように構成されている。フロートスイッチ106のフロート部は、供給チャンバ47の高さ方向の上端部近傍から中間位置にかけて移動可能に構成されている。フロートスイッチ106のフロート部が供給チャンバ47の高さ方向の中間位置(フロートスイッチ106のフロート部の移動可能範囲における下限位置)まで到達すると、攪拌チャンバ46から供給チャンバ47に約300mLの所望濃度の試薬が供給されるように、制御部49により各部が制御されるように構成されている。これにより、供給チャンバ47には、常時、約300mL以上約600mL以下の所望濃度の試薬が貯留されることとなる。このように供給チャンバ47に所定量の試薬を貯留しておくことによって、供給指示に応じて測定部2に迅速に試薬を移送することが可能である。なお、試薬を供給チャンバ47に貯留しておいたとしても、試薬には上記の防腐剤が含まれているので、試薬の劣化は抑制される。
【0073】
また、フロートスイッチ107のフロート部は、供給チャンバ47の底部近傍で移動可能に構成されている。フロートスイッチ107により、チャンバ内に収容される試薬の残量が略ゼロとなったことを検知した場合には、測定部2への試薬の供給は停止される。これにより、何らかの理由で試薬が供給チャンバ47に移送されなかったとしても、極力測定部2への試薬の供給を継続させながら、測定部2に供給する試薬に気泡が混入することを防止することが可能である。
【0074】
また、供給チャンバ47は、電磁バルブ219を介して攪拌チャンバ46に接続されている。また、供給チャンバ47は、電磁バルブ220を開放することにより、メンテナンス時などにチャンバ内の試薬を廃棄可能に構成されている。また、供給チャンバ47は、常時大気開放された状態となるように構成されている。また、供給チャンバ47は、フィルタ471を介して測定部2に接続されている。フィルタ471は、測定部2に供給される試薬に不純物が混入するのを防止するために設けられている。
【0075】
攪拌チャンバ46と供給チャンバ47との間には、試薬の電気伝導度を測定するための導電率センサ402が設けられている。導電率センサ402は、導電率センサ402が配置された位置における試薬の温度を測定するための温度センサ403を含んでいる。また、導電率センサ402と電磁バルブ219との間には、電磁バルブ221を介して廃棄流路が接続されている。
【0076】
RO水作製部48は、高濃度試薬を希釈するための希釈用液体としてのRO水を、水道水を用いて作製することが可能なように構成されている。また、RO水作製部48は、RO水貯留タンク48aと、RO膜48bと、水道水に含まれる不純物を取り除くことによって、RO膜48bを保護するためのフィルタ48cとを含んでいる。さらに、RO水作製部48は、水分子がRO膜48bを透過するようにフィルタ48cを通過した水に高圧をかける高圧ポンプ48dと、水道水の供給を制御する電磁バルブ222とを含んでいる。
【0077】
RO水貯留タンク48aは、RO膜48bを透過したRO水を貯留するために設けられている。RO水貯留タンク48aには、所定量のRO水が貯留されていることを検知するためのフロートスイッチ108が設けられている。さらに、RO水貯留タンク48aには、RO水貯留タンク48a内のRO水の電気伝導度を測定するための導電率センサ404が設けられている。導電率センサ404は、RO水の温度を測定するための温度センサ405を含んでいる。なお、RO水がRO水作製部48からRO水貯留タンク48aに供給される速度、すなわち、RO水作製部48によるRO水の作製速度は、約20L/時間以上約50L/時間以下である。
【0078】
図14に示すように、制御部49は、CPU49aと、ROM49bと、RAM49cと、データ処理部3に接続される通信インターフェース49dと、各回路を介して、試薬調製装置4内の各部に接続されるI/O(Input/Output)部49eとを含んでいる。
【0079】
CPU49aは、ROM49bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM49cにロードされたコンピュータプログラムを実行するために設けられている。また、CPU49aは、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、RAM49cを作業領域として利用するように構成されている。
【0080】
次に、試薬の電気伝導度の目標値を求める一般式を以下の式(1)に示す。
【0081】
={X+(A−1)Y}/A・・・・・(1)
上記式(1)において、Zは、高濃度試薬とRO水とが混合攪拌された試薬の25℃における電気伝導度の目標値(ms/cm)、Xは、高濃度試薬の25℃における電気伝導度(ms/cm)、Yは、RO水の25℃における電気伝導度(ms/cm)、Aは、希釈倍率(既知)(第1実施形態では25倍)をそれぞれ表す。なお、Xは、高濃度試薬固有の値であり、予め実験などにより得られた既知の値である。
【0082】
また、温度センサ405により得られるRO水の温度、および、温度センサ403により得られる試薬の温度を考慮するための補正式を以下の式(2)に示す。
【0083】
Z=[{X+(A−1)Y}/A]×{1+α1(T2−25)}
=[[X+(A−1)Y1/{1+α0(T1−25)}]/A]×{1+α1(T2−25)}・・・・・(2)
上記式(2)において、Zは、高濃度試薬とRO水とが混合攪拌された試薬のT2℃における電気伝導度の目標値(ms/cm)、Y1は、RO水のT1℃における電気伝導度(ms/cm)、T1は、RO水の温度(℃)、T2は、高濃度試薬とRO水とが混合攪拌された試薬の温度(℃)、α0は、RO水の電気伝導度の25℃に対する温度係数、α1は、高濃度試薬とRO水とが混合攪拌された試薬の電気伝導度の25℃に対する温度係数をそれぞれ表す。なお、温度係数α0およびα1は、液体の種類や濃度によって異なるが、JIS(日本工業規格)では、簡易的に0.02が用いられる。
【0084】
第1実施形態では、CPU49aは、上記した式(2)により目標値Zを算出するように構成されている。したがって、CPU49aは、所望する希釈倍率A(既知)、RO水の電気伝導度の検出値Y1、RO水の温度の測定値T1、混合攪拌された試薬の温度の測定値T2および高濃度試薬の電気伝導度X(既知)に基づいて、目標値を決定する。
【0085】
通信インターフェース49dは、ユーザが試薬調製装置4内で発生したエラーを確認することができるように、エラー情報をデータ処理部3に伝達可能に構成されている。エラー情報としては、高濃度試薬タンク5の交換を促すための情報、RO水が供給されなくなったことを知らせる情報、陰圧源61および陽圧源62の異常を知らせる情報などがある。これらのエラー情報に基づいて、データ処理部3の表示部32にエラー通知が表示される。
【0086】
I/O部49eは、図14に示すように、各センサ回路を介して、フロートスイッチ100〜108、気泡センサ400、401、導電率センサ402、404および温度センサ403、405から信号が入力されるように構成されている。また、I/O部49eは、各駆動回路を介して、電磁バルブ200〜222、高圧ポンプ48dおよび空圧部6の駆動を制御するために、各駆動回路に信号を出力するように構成されている。
【0087】
次に、図6および図15を参照して、本発明の第1実施形態によるRO水自動排出処理動作について説明する。なお、図15に示されるステップS1〜S7の処理は、試薬調製装置4が起動してからシャットダウンされるまで、図16および図17を用いて後述する試薬調製処理動作と並行して継続的に実行される。
【0088】
ここで、第1実施形態では、図15のステップS1において、CPU49aにより、所定の条件が満たされているか否かが判断される。具体的には、以下の3つの条件全てが満たされているか否かが判断される。1つ目の条件として、図6に示す2つの希釈チャンバ43および44の両方がそれぞれ約300mLの混合液で満たされていること、2つ目の条件として、攪拌チャンバ46が約300mLの混合液で満たされていること、3つ目の条件として、供給チャンバ47に約300mL以上約600mL以下の所望濃度の試薬が貯留されていることが要求される。上記3つの条件全てを満たす場合には、新たな試薬調製処理が必要ない状態であるため、RO水チャンバ42内のRO水が使用されずにRO水がRO水チャンバ42に滞留することとなる。すなわち、CPU49aにより、上記3つの条件全てが満たされているか否かを判断することによって、RO水チャンバ42内のRO水が使用されなくなったと判断することが可能である。
【0089】
そして、上記3つの条件全てが満たされている場合(すなわち、RO水チャンバ42内のRO水が使用されなくなった場合)、ステップS2において、CPU49aにより、計時が開始されているか否かが判断され、計時が既に開始されていればステップS4に進む。一方、計時が開始されていない場合には、ステップS3において、計時が開始される。その後、ステップS4において、計時開始から8時間が経過したか否かが判断され、8時間経過していなければステップS1に戻る。
【0090】
計時開始から8時間経過した場合には、ステップS5において、RO水チャンバ42内のRO水を廃棄する。具体的には、CPU49aにより、電磁バルブ206、207および208を閉じた状態で電磁バルブ204および205を開放させることによって、陽圧力でチャンバ内のRO水を廃棄流路に押し出す。これにより、RO水チャンバ42内に長時間(8時間)滞留していたRO水を廃棄することが可能である。なお、RO水チャンバ42から廃棄されたRO水を再びRO水作製部48に移送して、廃棄されたRO水から新たなRO水を作製してもよい。そして、RO水チャンバ42内のRO水が全て廃棄された後、ステップS6において、CPU49aにより、電磁バルブ204、205および208を閉じるとともに、電磁バルブ206および207を開放することによって、RO水作製部48で新たに作製されたRO水をRO水チャンバ42に供給する。
【0091】
また、ステップS1において、上記3つの条件のうち少なくとも1つの条件を満たさない場合には、ステップS7において計時がリセットされて、ステップS1に戻る。
【0092】
次に、図6、図16および図17を参照して、本発明の第1実施形態による試薬調製装置4の試薬調製処理動作について説明する。
【0093】
試薬調製処理動作は、ユーザがデータ処理装置3から装置起動を指示したとき、すなわち、試薬調製装置4がデータ処理装置3から起動信号を受信したときに開始される。試薬調製処理動作が開始されると、まず、図16のステップS11において、CPU49aにより、ROM49bに記憶されているコンピュータプログラムの初期化が行われる。次に、ステップS12において、CPU49aにより、前回の動作終了時において試薬調製装置4が正常にシャットダウンされたか否かが判断される。具体的には、後述するように、正常にシャットダウンされた場合にONに設定されるフラグに基づいて判断される。正常にシャットダウンされていた場合には、ステップS16に進み、正常にシャットダウンされていない場合には、ステップS13に進む。
【0094】
ステップS13では、高濃度試薬チャンバ41および供給チャンバ47以外のチャンバ42、43、44および46内の液体を全て廃棄する。具体的には、CPU49aにより、電磁バルブ206、207および208を閉じた状態で、電磁バルブ204および205を開放させて、RO水チャンバ42内のRO水を廃棄する。なお、RO水チャンバ42から廃棄されたRO水を再びRO水作製部48に移送して、廃棄されたRO水から新たなRO水を作製してもよい。また、CPU49aにより、電磁バルブ211、212、217および219を閉じた状態で、電磁バルブ218および221を開放させて、陽圧力で攪拌チャンバ46内の混合液を廃棄流路に押し出す。さらに、CPU49aにより、電磁バルブ212、218、219および221を閉じた状態で、電磁バルブ211および217を開放させて、陰圧力で希釈チャンバ43内の混合液を攪拌チャンバ46に移送し、その後、上記の動作により攪拌チャンバ46から混合液を廃棄する。また、希釈チャンバ44の混合液についても、CPU49aにより、電磁バルブ211、218、219および221を閉じた状態で、電磁バルブ212および217を開放させることによって、陰圧力で攪拌チャンバ46に移送する。
【0095】
このように、ステップS13において、高濃度試薬チャンバ41および供給チャンバ47以外のチャンバ42、43、44および46内の液体を全て廃棄することによって、長時間滞留された可能性のあるRO水を試薬調製に使用してしまうこと、および、希釈倍率が不明な試薬を調製してしまうことを防止することが可能である。
【0096】
なお、高濃度試薬チャンバ41の高濃度試薬には防腐剤が含まれており、約1ヶ月程度の滞留時間では品質が劣化しないため、高濃度試薬チャンバ41内の高濃度試薬を廃棄する必要はない。また、供給チャンバ47には、後述するように、所望の濃度に希釈された試薬しか貯留されておらず、かつ、高濃度試薬に含まれる防腐剤が混入しているので、貯留されている試薬の品質に問題はなく廃棄する必要がない。
【0097】
その後、ステップS14において、流路、RO水チャンバ42、希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46の洗浄を行う。具体的には、RO水作製部48で新たに作製されたRO水がRO水チャンバ42に供給された後、CPU49aにより、電磁バルブ206、208および213(215)を開放させることによって、ダイアフラムポンプ45a(45b)に陰圧力で約12.0mL(各ダイアフラムポンプにそれぞれ約6.0mL)のRO水が流入される。次に、電磁バルブ208および213(215)を閉じた状態で、電磁バルブ214(216)および209を開放させることによって、ダイアフラムポンプ45a(45b)内の約12.0mL(各ダイアフラムポンプそれぞれに約6.0mL)のRO水を陽圧力で希釈チャンバ43に移送する。そして、上記の動作を25回繰り返すことによって、希釈チャンバ43に新たに作製された約300mLのRO水が供給される。
【0098】
その後、CPU49aにより、電磁バルブ211および217を開放させることによって、希釈チャンバ43から攪拌チャンバ46に約300mLのRO水を移送する。そして、CPU49aにより、電磁バルブ217および219を閉じた状態で、電磁バルブ218および221を開放させることによって、攪拌チャンバ46内のRO水を廃棄する。
【0099】
また、希釈チャンバ43から攪拌チャンバ46にRO水が移送されている間に、希釈チャンバ44には、希釈チャンバ43に移送するのと同様の動作によって、新たに作製された約300mLのRO水が供給される。希釈チャンバ44から攪拌チャンバ46へのRO水の移送も、希釈チャンバ43から攪拌チャンバ46への移送と同様の動作によって行われる。このように、上記の一連の動作によって、流路、RO水チャンバ42、希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46それぞれの内部が新たに作製されたRO水により洗浄される。なお、上記ステップS13の前に、RO水チャンバ42には、後述するステップS16のRO水作製処理と同様の動作によって、既に所定量のRO水が貯留されている。
【0100】
次に、ステップS15において、所望濃度の試薬を調製する動作と同様の動作によって、攪拌チャンバ46に試薬を調製し、調製した試薬を全て廃棄する。具体的には、後述するステップS21およびS22の動作によって所望濃度の試薬を攪拌チャンバ46に供給した後、CPU49aにより、電磁バルブ217および219を閉じた状態で、電磁バルブ218および221を開放させることによって攪拌チャンバ46内の試薬を廃棄する。これにより、たとえ流路、希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46に所望濃度を超える濃度の試薬が残留していたとしても、上記したRO水による洗浄に加えて、所望濃度の試薬によっても洗浄されるので、試薬が所望濃度以外の濃度に調製されてしまうのを抑制することが可能となる。
【0101】
そして、ステップS16において、RO水作製部48でRO水作製処理を行う。次に、図6および図18を参照して、図16に示した試薬調製処理動作のステップS16におけるRO水作製処理動作について説明する。
【0102】
まず、図18のステップS161において、CPU49aにより、図6に示す電磁バルブ222が開放され、水道水がフィルタ48cを通過する。次に、ステップS162において、CPU49aにより、高圧ポンプ48dが駆動され、フィルタ48cを通過した水が高圧によりRO膜48bを透過する。そして、ステップS163において、フロートスイッチ108の検知結果に基づいて、所定量のRO水がRO水貯留タンク48aに収容されているか否かが判断される。RO水が所定量に満たない場合には、ステップS162に戻り継続してRO水をRO水貯留タンク48aに供給する。一方、RO水が所定量に達した場合には、ステップS164において、電磁バルブ222が閉じられるとともに、高圧ポンプ48dの駆動が停止されて、動作が終了される。
【0103】
図16のステップS16のRO水作製処理動作が終了した後、ステップS17において、RO水チャンバ42にRO水を供給する。そして、ステップS18において、CPU49aにより、フロートスイッチ100の検知結果に基づいて、高濃度試薬チャンバ41に所定量の高濃度試薬が収容されているか否かが判断される。所定量の高濃度試薬が貯留されていない場合には、ステップS19において、高濃度試薬タンク5から高濃度試薬チャンバ41に高濃度試薬が補充される。具体的には、CPU49aにより、電磁バルブ202および203を閉じた状態で、電磁バルブ200および201を開放させることによって、高濃度試薬を陰圧力で高濃度試薬チャンバ41に供給する。
【0104】
所定量の高濃度試薬が高濃度試薬チャンバ41に収容されている場合には、ステップS20において、CPU49aにより、供給チャンバ47に所定量の試薬が貯留されているか否かが判断される。すなわち、供給チャンバ47に約300mL以上約600mL以下の試薬が貯留されているか否かが判断される。所定量の試薬が貯留されている場合には、ステップS27に移行される。一方、所定量の試薬が貯留されていない場合には、ステップS21において、高濃度試薬およびRO水の供給処理が行われる。
【0105】
次に、図6、図12、図13および図19を参照して、図16に示した試薬調製処理動作のステップS21における高濃度試薬およびRO水の供給処理動作について説明する。
【0106】
まず、試薬調製装置4の初期状態(試薬調製処理の直前の状態)として、図6に示す流路301〜304は、実質的にRO水により満たされているとともに、流路300は、実質的に高濃度試薬により満たされている。なお、流路300と流路301とは直接接続されているが、流路301の約4.0mmの内径に対して、流路300(300a)の内径は約1.8mmと小さいため、流路300内の高濃度試薬は、流路301内のRO水と混合され難くなっている。また、電磁バルブ203と流路301との間の流路300aは、内径が約1.8mmかつ約15mmの小さい長さに設定されているので、流路300aに存在する高濃度試薬の量は極めて少量である。
【0107】
図19のステップS211において、ダイアフラムポンプ45aおよび45bにより、RO水チャンバ42から約12.0mL(各ダイアフラムポンプでそれぞれ約6.0mL)のRO水が吸引される。具体的には、CPU49aにより、電磁バルブ213(215)および208が開放されることによって、図12に示すように、室部452fに陰圧が供給されて、流路302を介して室部453fにRO水が流入される。次に、ステップS212において、電磁バルブ213(215)および208が閉じられた後、電磁バルブ214(216)および209が開放されることにより、図13に示すように、室部452fに陽圧が供給されて、室部453fからRO水が吐出される。これにより、流路301および303を介して、約12.0mL(各ダイアフラムポンプでそれぞれ約6.0mL)のRO水が希釈チャンバ43に供給される。
【0108】
その後、ステップS213において、ダイアフラムポンプ45aおよび45bにより、高濃度試薬チャンバ41から約12.0mL(各ダイアフラムポンプでそれぞれ約6.0mL)の高濃度試薬が吸引される。具体的には、CPU49aにより、電磁バルブ214(216)および209が閉じられた後、電磁バルブ202、203および213(215)が開放されることにより、図12に示すように、室部452fに陰圧が供給されて、流路300および301を介して室部453fに高濃度試薬が吸引される。詳細には、高濃度試薬チャンバ41から流出された約12.0mLの高濃度試薬が流路301に残留しているRO水と混合されることにより、室部453fにRO水と高濃度試薬との混合液が吸引される。また、このときの流路301には、RO水と高濃度試薬との混合液が充満されている。すなわち、この状態においては、室部453fおよび流路301を合わせた領域に、高濃度試薬チャンバ41から流出された約12.0mLの高濃度試薬が存在している。なお、高濃度試薬は、流路300aにも存在するが、上述のように、流路300aに存在する高濃度試薬の量は極めて少量であるので、実質的に無視することができる。さらに、2回目の試薬調製処理動作以降の高濃度試薬の吸引時には、前回の試薬調製処理動作により流路300aに残留していた高濃度試薬が流路301側に押し出されるので、室部453fおよび流路301を合わせた領域に、より正確に約12.0mLの高濃度試薬が存在することになる。
【0109】
次に、ステップS214において、電磁バルブ202、203および213(215)が閉じられた後、電磁バルブ214(216)および209が開放されることにより、図13に示すように、室部452fに陽圧が供給されて、室部453fからRO水および高濃度試薬の混合液が吐出される。これにより、流路301および303を介して、RO水および高濃度試薬の混合液が希釈チャンバ43に供給される。この際、流路301および303には、数mLの高濃度試薬がRO水と混合された状態で残留している。
【0110】
そして、ステップS215において、CPU49aにより、n=1に設定される。ここで、nは、ダイアフラムポンプ45aおよび45bによるRO水の吐出回数を表しており、1から始まる実数で定義される。次に、ステップS216において、上記ステップS211と同様に、ダイアフラムポンプ45aおよび45bにより、RO水チャンバ42から約12.0mLのRO水が吸引される。そして、ステップS217において、上記ステップS212と同様に、ダイアフラムポンプ45aおよび45bの室部453fからRO水が吐出される。これにより、流路301および303に残留していた高濃度試薬が、RO水とともに希釈チャンバ43に移送される。
【0111】
その後、ステップS218において、CPU49aにより、nが22よりも大きいか否かが判断される。nが22よりも大きくない場合には、ステップS219において、n=n+1に設定され、nが22よりも大きくなるまでステップS216〜ステップS219の動作が繰り返される。すなわち、ダイアフラムポンプ45aおよび45bによる高濃度試薬の吸引および吐出動作1回に対して、RO水の吸引および吐出動作が24回行われるまでステップS216〜ステップS219の動作が繰り返される。そして、nが22よりも大きくなると、動作は終了される。これにより、希釈チャンバ43には、約12.0mL×24回=約288mLのRO水と、約12.0mL×1回=約12mLの高濃度試薬とで約288mL+約12mL=約300mLの混合液が供給される。また、ダイアフラムポンプ45aおよび45bによる高濃度試薬の吸引および吐出動作の後、RO水の吸引および吐出動作を23回行うため、流路301および303に残留していた高濃度試薬はすべて希釈チャンバ43に移送され、その結果、流路301および303には、RO水のみが存在する状態となる。
【0112】
なお、上記の動作において、電磁バルブ209に替えて、電磁バルブ210を駆動すれば、希釈チャンバ44に、約288mLのRO水と約12mLの高濃度試薬とからなる約300mLの混合液を移送することが可能である。
【0113】
図16のステップS21による高濃度試薬およびRO水の供給処理が行われた後、ステップS22において、CPU49aにより、電磁バルブ211(212)および217が開放させて、陰圧力で希釈チャンバ43(44)内の試薬を攪拌チャンバ46に移送する。この際、移送される試薬は、攪拌チャンバ46内に設けられたパイプ416により、攪拌チャンバ46の内壁に沿うように流されることによって、攪拌チャンバ46内で攪拌される。
【0114】
次に、ステップS23において、電磁バルブ211(212)および217が閉じられた後、電磁バルブ218および219が開放されて、試薬が攪拌チャンバ46から供給チャンバ47に移送される。この際、ステップS24において、導電率センサ402により、電気伝導度Cが測定されるとともに、温度センサ403により試薬の温度T2が測定される。そして、ステップS25において、CPU49aにより、電気伝導度Cが所定範囲内にあるか否かが判断される。具体的には、上記式(2)により算出される、希釈倍率25倍における電気伝導度の目標値Zに対して、測定された電気伝導度Cが所定範囲内にあるか否かが判断される。電気伝導度Cが所定範囲内にない場合には、ステップS26において、電磁バルブ219が閉じられるとともに、電磁バルブ221が開放されて、電気伝導度Cが所定範囲内にない試薬が廃棄流路を介して廃棄される。これにより、精度よく希釈された試薬のみを供給チャンバ47に貯留させることが可能となる。
【0115】
ステップS27において、CPU49aにより、データ処理部3を介して伝達される測定部2からの試薬供給指示があるか否かが判断され、指示がない場合には、ステップS29に進む。試薬供給指示がある場合には、ステップS28において、測定部2から供給される陰圧力により供給チャンバ47内の試薬がフィルタ471を介して測定部2に移送される。そして、ステップS29において、CPU49aにより、ユーザからのシャットダウン指示の有無が判断され、指示がない場合にはステップS16に移行される。
【0116】
シャットダウン指示がある場合には、ステップS30において、調製途中の試薬が最終的に供給チャンバ47に移送されるまで、上記の動作が継続される。具体的には、供給チャンバ47内に所定量(約300mL以上約600mL以下)の試薬がない場合には、上記ステップS21〜ステップS26の動作により試薬調製が継続されているので、調製途中で動作を停止すると、所望濃度とは異なる濃度に希釈された試薬が流路、希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46に残留することとなる。このため、ステップS30において調製動作を継続させることによって、所望濃度とは異なる濃度に希釈された試薬が流路、希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46に残留することを防止することが可能である。
【0117】
そして、ステップS31において、シャットダウンを実行する。この際、RO水チャンバ42からRO水を排出する。これにより、試薬調製装置4が次回起動されるまでRO水がRO水チャンバ42に滞留してしまうのを防止することが可能である。その後、ステップS32において、シャットダウンが正常に行われたことを示すフラグをONに設定し、試薬調製処理動作を終了する。なお、図16および図17に示した試薬調製処理と、図15に示したRO水自動排出処理とは、CPU49aにより、試薬調製装置4が稼働している間、継続的に並行して実行されている。
【0118】
第1実施形態では、上記のように、RO水を貯留するRO水チャンバ42を設けることによって、RO水をRO水チャンバ42に予め貯留しておくことができるので、試薬を供給する必要が生じた場合に、予め貯留されているRO水を用いて迅速に試薬を調製することができる。また、この試薬調製装置4では、CPU49aにより、計時された滞留時間が8時間に到達したときに、RO水チャンバ42に貯留されたRO水を廃棄することによって、RO水がRO水チャンバ42内に8時間を越えて滞留することが防止されるので、RO水に細菌が発生するなどしてRO水の品質が劣化してしまうことを抑制することができる。これにより、品質が劣化したRO水を用いることに起因して品質の劣る試薬が調製されてしまうことを抑制することができる。したがって、この試薬調製装置4では、迅速に試薬を調製するとともに、品質の劣る試薬が調製されてしまうことを抑制することができる。
【0119】
また、第1実施形態では、RO水が使用されなくなったときに計時を開始するようにCPU49aを構成することによって、RO水がRO水チャンバ42に滞留し始めてからの時間を計時することができるので、RO水チャンバ42でのRO水の滞留時間をより正確に計時することができる。
【0120】
また、第1実施形態では、CPU49aにより、RO水チャンバ42に貯留されたRO水が廃棄されると、RO水チャンバ42にRO水を再供給することによって、RO水がRO水チャンバ42から廃棄された場合にも、RO水チャンバ42にRO水が再供給されるので、再供給されたRO水を用いて次の試薬の調製処理を迅速に行うことができる。
【0121】
また、第1実施形態では、前回の動作終了時に正常に動作が終了されたか否かを判定し、正常に動作が終了されなかったと判定すると、RO水チャンバ42に貯留されたRO水を廃棄するとともに、RO水が廃棄された後のRO水チャンバ42にRO水を再供給するようにCPU49aを構成することによって、前回の動作終了時に正常に動作が終了されなかったことによって、RO水がRO水チャンバ42に長時間滞留されていた場合でも、RO水チャンバ42内のRO水が廃棄されるので、長時間の滞留により劣化している可能性のあるRO水が試薬調製に用いられることを防止することができる。また、滞留されていたRO水が廃棄された後、RO水がRO水チャンバ42に再供給されるので、再供給されたRO水を用いて次の試薬の調製処理を迅速に行うことができる。
【0122】
また、第1実施形態では、CPU49aにより、正常に試薬調製装置4の動作が終了されなかったと判定すると、希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46に貯留された混合液を廃棄することによって、前回の動作終了時に正常に動作が終了されなかったことにより、希釈チャンバ43(44)および攪拌チャンバ46内において所望の濃度とは異なる濃度で混合された可能性のある混合液が廃棄されるので、所望濃度以外の濃度の試薬を測定部2に供給してしまうことを防止することができる。
【0123】
また、第1実施形態では、CPU49aにより、試薬調製装置4のシャットダウン指示を受け付けた後、RO水チャンバ42に貯留されたRO水を廃棄することによって、試薬調製装置4がシャットダウンされた後、動作が再開されるまでの間、RO水がRO水チャンバ42に滞留してしまうことを防止することができる。
【0124】
(第2実施形態)
次に、図20および図21を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、RO水作製部700が外部に設けられた試薬調製装置600について説明する。
【0125】
血液分析装置1は、図20に示すように、血液の測定を行う機能を有する測定部2と、測定部2から出力された測定データを分析して分析結果を得るデータ処理部3と、検体の処理に用いられる試薬を調製する試薬調製装置600とにより構成されている。
【0126】
ここで、第2実施形態では、図20および図21に示すように、試薬調製装置600は、外部に設けられたRO水作製部700により作製されたRO水を用いて高濃度試薬を所望の濃度に希釈することによって、血液分析に用いられる試薬を調製するように構成されている。
【0127】
また、試薬調製装置600には、図20に示すように、タッチパネル式の表示部601が設けられている。試薬調製装置600のCPU49aは、タッチパネル式の表示部601を介して、ユーザから、試薬調製装置600の起動、シャットダウンおよび各種設定などの指示を受け付けるように構成されている。
【0128】
なお、第2実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0129】
第2実施形態では、上記のように、RO水作製部700を試薬調製装置600の外部に設けることによって、試薬調製装置600の構成を簡易な構成とすることができる。
【0130】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0131】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0132】
たとえば、上記第1実施形態および第2実施形態では、高濃度試薬を25倍に希釈する例を示したが、本発明はこれに限らず、高濃度試薬を25倍以外の他の倍率として、たとえば20倍に希釈するようにしてもよい。この場合、ダイアフラムポンプ45aおよび45bを用いて、RO水を1回定量した後、高濃度試薬を1回定量し、その後、RO水を18回定量することにより希釈倍率20倍の試薬を調製してもよい。
【0133】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、希釈用液体としてのRO水を1回定量した後、高濃度試薬を1回定量し、その後、RO水を23回定量して希釈倍率25倍の試薬を調製する例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、RO水を2回定量した後、高濃度試薬を1回定量し、その後、RO水を22回定量して希釈倍率25倍の試薬を調製してもよい。
【0134】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、2つのダイアフラムポンプ45aおよび45bを設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、1つのダイアフラムポンプを設ける構成であってもよいし、2つ以上のダイアフラムポンプを設ける構成であってもよい。
【0135】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、ダイアフラムポンプをRO水の移送および高濃度試薬の移送の両方に共用する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、複数のダイアフラムポンプを設けて、RO水の移送および高濃度試薬の移送をそれぞれ別々のダイアフラムポンプを用いて行う構成であってもよい。
【0136】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、ダイアフラムポンプを用いてRO水および高濃度試薬を定量する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、1回の定量動作で予め定められた一定量の液体を定量可能な定量器であれば、たとえば、ピストンのストローク量が固定されたシリンジポンプを用いてRO水および高濃度試薬を定量する構成であってもよい。
【0137】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、試薬調製装置の一例として、測定部と別個に設置される試薬調製装置を示したが、本発明はこれに限らず、図22に示すように、測定部内に設けられ、試薬調製機構として機能する試薬調製装置であってもよい。このように試薬調製機構を備える測定部(装置)としては、たとえば、血球計数装置、免疫測定装置および塗抹標本作製装置などがあるが、特に、希釈用液体の使用量が多い血球計数装置に適している。
【0138】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、RO水チャンバにRO水が8時間滞留された場合にRO水を廃棄する構成の例を示したが、本発明はこれに限らず、RO水の品質が劣化しない範囲の時間であれば、8時間よりも短い時間でRO水を廃棄する構成であってもよいし、8時間よりも長い時間でRO水を廃棄する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0139】
1 血液分析装置
2 測定部
4、600 試薬調製装置
6 空圧部
41 高濃度試薬チャンバ
42 RO水チャンバ
43、44 希釈チャンバ
45a、45b ダイアフラムポンプ
47 供給チャンバ
48、700 RO水作製部
49 制御部
204〜207、211、212、217、218、219、221 電磁バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液体を貯留する第1液体貯留部と、
前記第1液体と、前記第1液体とは異なる第2液体とを含む所定の試薬を調製する試薬調製部と、
前記第1液体貯留部に貯留された前記第1液体を廃棄する第1液体廃棄部と、
前記第1液体の前記第1液体貯留部での滞留時間を計時する計時手段と、
前記計時手段により計時された前記滞留時間が所定時間に到達したときに、前記第1液体貯留部に貯留された前記第1液体を廃棄するように前記第1液体廃棄部を制御する廃棄制御手段とを備える、試薬調製装置。
【請求項2】
前記第1液体貯留部は、前記第1液体として純水を貯留するように構成されている、請求項1に記載の試薬調製装置。
【請求項3】
前記計時手段は、前記第1液体が前記試薬調製部に供給されなくなったときに計時を開始するように構成されている、請求項1または2に記載の試薬調製装置。
【請求項4】
前記第1液体貯留部に前記第1液体を供給する液体供給部と、
前記滞留時間が前記所定時間に到達し、前記第1液体廃棄部により前記第1液体貯留部に貯留された前記第1液体が廃棄されると、前記第1液体貯留部に前記第1液体を再供給するように前記液体供給部を制御する供給制御手段とをさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試薬調製装置。
【請求項5】
前記第2液体は防腐剤を含み、
前記第2液体を貯留する第2液体貯留部をさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の試薬調製装置。
【請求項6】
前記試薬調製装置の動作を終了させる指示を受け付ける終了指示受付手段をさらに備え、
前記廃棄制御手段は、前記終了指示受付手段により終了指示が受け付けられると、前記第1液体貯留部に貯留された前記第1液体を廃棄するように前記第1液体廃棄部を制御するように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の試薬調製装置。
【請求項7】
前記第1液体貯留部に前記第1液体を供給する液体供給部と、
前記試薬調製装置を起動する起動手段と、
前記起動手段により前記試薬調製装置が起動されると、前記第1液体貯留部に前記第1液体を供給するように前記液体供給部を制御する供給制御手段とをさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試薬調製装置。
【請求項8】
前記試薬調製装置の動作を終了させる終了手段と、
前回の動作終了時に前記終了手段により正常に動作が終了されたか否かを判定する判定手段とをさらに備え、
前記廃棄制御手段は、前記判定手段により正常に動作が終了されなかったと判定されると、前記第1液体貯留部に貯留された前記第1液体を廃棄するように前記第1液体廃棄部を制御し、
前記供給制御手段は、前記第1液体廃棄部により前記第1液体が廃棄された後の前記第1液体貯留部に前記第1液体を再供給するように前記液体供給部を制御するように構成されている、請求項7に記載の試薬調製装置。
【請求項9】
前記試薬調製部は、前記第1液体と前記第2液体とを混合するための第3液体貯留部と、前記第3液体貯留部と流路を介して接続され、前記第1液体と前記第2液体とを攪拌するための第4液体貯留部とを含み、
前記試薬調製装置は、前記第4液体貯留部と流路を介して接続され、前記第1液体と前記第2液体とを含む前記所定の試薬を貯留する第5液体貯留部と、前記第3液体貯留部および前記第4液体貯留部に貯留された前記第1液体と前記第2液体との混合液を廃棄する第2液体廃棄部とをさらに備え、
前記廃棄制御手段は、前記判定手段により正常に動作が終了されなかったと判定されると、前記第3液体貯留部および前記第4液体貯留部に貯留された前記混合液を廃棄するように前記第2液体廃棄部を制御するように構成されている、請求項8に記載の試薬調製装置。
【請求項10】
第1液体を貯留する液体貯留部と、前記第1液体と前記第1液体とは異なる第2液体とを含む所定の試薬を調製する試薬調製部と、前記液体貯留部に貯留された前記第1液体を廃棄する液体廃棄部と、前記第1液体の前記液体貯留部での滞留時間を計時する計時手段と、前記計時手段により計時された前記滞留時間が所定時間に到達したときに、前記液体貯留部に貯留された前記第1液体を廃棄するように前記液体廃棄部を制御する廃棄制御手段とを含む試薬調製部と、
前記試薬調製部により調製された試薬を用いて検体を測定する測定部とを備える、検体測定装置。
【請求項11】
前記検体は血液であり、
前記第1液体は純水生成装置から供給される純水であり、
前記測定部は、前記試薬調製部により調製された試薬によって前記血液を希釈し、前記血液中の血球を計数するとともに、前記試薬を洗浄液として用いるように構成されている、請求項10に記載の検体測定装置。
【請求項12】
第1液体を液体貯留部に供給する工程と、
前記第1液体と前記第1液体とは異なる第2液体とを含む所定の試薬を調製する工程と、
前記第1液体の前記液体貯留部での滞留時間を計時する工程と、
計時された前記滞留時間が所定時間に到達したときに、前記液体貯留部に貯留された前記第1液体を廃棄する工程とを備える、試薬調製方法。
【請求項13】
第1液体と前記第1液体とは異なる第2液体とを含む所定の試薬を調製する試薬調製装置であって、
前記第1液体を貯留する第1液体貯留部と、
前記所定の試薬を調製する試薬調製部と、
前記第1液体貯留部に貯留された前記第1液体を廃棄する第1液体廃棄部と、
前記試薬調製装置の動作を終了させる指示を受け付ける終了指示受付手段と、
前記終了指示受付手段により終了指示が受け付けられると、前記第1液体貯留部に貯留された前記第1液体を廃棄するように前記第1液体廃棄部を制御する廃棄制御手段とを備える、試薬調製装置。
【請求項14】
第1液体と前記第1液体とは異なる第2液体とを含む所定の試薬を調製する試薬調製装置に備えられた液体貯留部に前記第1液体を供給する工程と、
前記所定の試薬を調製する工程と、
前記試薬調製装置の動作を終了させる終了指示を受け付ける工程と、
前記終了指示が受け付けられると、前記液体貯留部に貯留された前記第1液体を廃棄する工程とを備える、試薬調製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−197292(P2010−197292A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−44099(P2009−44099)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】