説明

詰替え容器用スパウト及びこれを備えた詰替え容器

【課題】詰替え作業を簡易かつ良好に行える詰替え容器用スパウト及びこれを備えた詰替え容器を提供すること。
【解決手段】被詰替え容器Cに補充する内容物を収容する詰替え容器に設けられる詰替え容器用スパウト2であって、詰替え容器に収容された内容物の注出路Tを構成する略筒状の注出部3と、注出路Tを閉塞する閉塞部5を有する蓋部材4とを備え、注出部3と蓋部材4とは、蓋部材4が注出部3に被さる状態で、閉塞部5が注出路Tを閉塞する閉塞位置から閉塞しなくなる開放位置にまで相対的にスライドさせることが可能であり、蓋部材4は、閉塞部5が開放位置にあるときに注出路Tを蓋部材4の外側に連通させる開口部7を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被詰替え容器に補充する内容物を収容する詰替え容器に設けられる詰替え容器用スパウト及びこれを備えた詰替え容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、洗剤やシャンプー、リンス等の多くの商品が詰替え容器に収容された状態で販売されている。斯かる詰替え容器としては、上側のコーナー部分が斜めに切り取られることにより注出口が開口するパウチ容器や、このパウチ容器の前記注出口に口が塞がらないようにするためのストロー状の注ぎ出し部を設けたもの等がある。
【0003】
すなわち、斯かる詰替え容器は、例えばポンプ式でポリプロピレン製のボトル等の被詰替え容器(使用時用容器)に商品を詰め替えた後は廃棄されるため、被詰替え容器よりも簡易な構成を有している。従って、このような詰替え容器を利用することは、省資源であり、環境保護の面から好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、商品を詰替え容器から被詰替え容器に詰め替える際にその商品がこぼれ易く、また商品が粘性液の場合、時間が掛かる等、詰替え作業が煩わしいこともあり、詰替え容器の利用に消極的な消費者も多い。
【0005】
本発明は上述の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、詰替え作業を簡易かつ良好に行える詰替え容器用スパウト及びこれを備えた詰替え容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る詰替え容器用スパウトは、被詰替え容器に補充する内容物を収容する詰替え容器に設けられる詰替え容器用スパウトであって、
前記詰替え容器に収容された内容物の注出路を構成する略筒状の注出部と、
前記注出路を閉塞する閉塞部を有する蓋部材とを備え、
前記注出部と前記蓋部材とは、該蓋部材が該注出部に被さる状態で、前記閉塞部が前記注出路を閉塞する閉塞位置から閉塞しなくなる開放位置にまで相対的にスライドさせることが可能であり、
前記蓋部材は、前記閉塞部が前記開放位置にあるときに前記注出路を該蓋部材の外側に連通させる開口部を有する(請求項1)。
【0007】
詳しくは、前記注出部及び前記蓋部材はそれぞれ、略筒状の側壁と該側壁の先端側に連設された先端壁とを備え、前記注出部の側壁の外周面に前記蓋部材の側壁の内周面が沿う状態で該注出部と該蓋部材とは相対的にスライド可能であり、
前記注出部の先端壁に、前記注出路の下流部を構成する貫通孔が設けられていると共に、前記蓋部材の先端壁に前記閉塞部が設けられ、該閉塞部は前記貫通孔を閉塞することによって前記注出路を閉塞し、
また、前記蓋部材の先端壁に前記開口部が設けられている(請求項2)。
【0008】
また、前記蓋部材の側壁の内周面又は前記注出部の側壁の外周面の何れか一方に係止部が設けられ、
他方に、前記閉塞部が前記閉塞位置にあるときに前記係止部が係止する第一被係止部と、前記閉塞部が前記開放位置にあるときに前記係止部が係止する第二被係止部との何れか一方若しくは両方が設けられていてもよい(請求項3)。
【0009】
上記詰替え容器用スパウトが、前記閉塞部が前記閉塞位置にある状態で前記注出部と前記蓋部材との相対的なスライドを規制し、この規制の解除が可能に構成されている規制手段を備えていてもよい(請求項4)。
【0010】
前記規制手段を、前記蓋部材の先端壁の周縁から前記注出部の側壁において前記蓋部材が被さらない位置に設けられた鍔部の周縁までを覆うように設けられたシュリンクフィルムとすることができる(請求項5)。
【0011】
また、前記規制手段を、前記蓋部材の側壁に設けられた鍔部と、前記注出部の側壁において前記蓋部材が被さらない位置に設けられた鍔部との何れか一方の鍔部に設けられた係合部分と、他方の鍔部に設けられ前記係合部分が係合する被係合部分とによって構成してもよい(請求項6)。
【0012】
上記詰替え容器用スパウトにおいて、前記蓋部材の側壁に設けられた鍔部の周縁に筒部が連設され、該筒部に、前記被詰替え容器の口部に設けられた雄ねじに係合する係合部分が設けられていてもよい(請求項7)。
【0013】
上記詰替え容器用スパウトにおいて、前記蓋部材の側壁に、該蓋部材が前記被詰替え容器の口部内に挿入されたときに該口部の周縁に係止する鍔部が設けられ、該鍔部には、該鍔部が前記口部の周縁に係止する状態で、前記蓋部材の側壁と前記口部との間の空間を該口部の外側に連通させるエア抜き用の孔部分または欠落部分が設けられていることが好ましい(請求項8)。
【0014】
前記蓋部材の前記開口部が、前記閉塞部が前記閉塞位置にあるときに前記注出部の先端壁によって閉塞されるようにしてもよい(請求項9)。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係る詰替え容器は、請求項1〜9の何れか1項に記載の詰替え容器用スパウトを備えた(請求項10)。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜10に係る発明では、詰替え作業を簡易かつ良好に行える詰替え容器用スパウト及びこれを備えた詰替え容器が得られる。
【0017】
すなわち、請求項1、2に係る発明では、被詰替え容器の口部にスパウトを差し込んだ後、蓋部材を押さえつつ注出部及び容器本体を持ち上げる(上方にスライドさせる)だけで被詰替え容器に対する内容物の詰替えを行うことができる。また、詰替えの際に、被詰替え容器に詰替え容器のスパウトを挿入(接続)した後に、注出部及び容器本体を蓋部材に対して相対的にスライドさせて密封を解く構造とすることができるので、内容物がこぼれることも確実に防止される。
【0018】
請求項3に係る発明では、第一被係止部を設ける場合、スパウト(蓋部材)を被詰替え容器の口部に挿入する際に、スパウトを下に向けても、係止部と第一被係止部との係止によって、蓋部材がスライドして注出部から自然に外れて落下する、ということを防止することができる。また、第二被係止部を設ける場合、注出部及び容器本体を持ち上げる際に、係止部を第二被係止部に係止させれば、注出部及び容器本体から手を放してもそのままの状態を保つことが可能となる。
【0019】
請求項4〜6に係る発明では、規制手段によって注出路の閉塞を確実に保つことができると共に店頭におけるいたずら防止や未開封確認も可能であり、また、規制手段による注出部と蓋部材との相対的なスライドの規制を解除すれば、詰替え作業を支障無く行うことができる。
【0020】
請求項7に係る発明では、スパウトを被詰替え容器の口部に挿入した後、口部に対する蓋部材の挿入状態を維持したまま、注出部及び容器本体を持ち上げる際に、係合部分を口部の雄ねじに係合させておくことにより、蓋部材の鍔部を口部の周縁に押し付けておく手間が省け、注出部及び容器本体の持ち上げ操作が容易になる上、蓋部材が不意に口部から抜けて内容物がこぼれてしまうことを確実に防止することができ、さらに、容器本体自体に形状保持性があれば、内容物の注出中に詰替え容器や被詰替え容器から手を放しておくこともできる。
【0021】
請求項8に係る発明では、詰替え容器(容器本体)から被詰替え容器内への内容物の注出に伴って、被詰替え容器内の空気をエア抜き用の孔部分または欠落部分から流出させることができるので、それだけ被詰替え容器に対する内容物の注入(詰替え)をスムーズに行うことが可能となる。
【0022】
請求項9に係る発明では、蓋部材の閉塞部による注出路の閉塞と、注出部の先端壁による蓋部材の開口の閉塞とによって、詰替え容器の高い密閉性を確保することができる。
【0023】
そして、請求項10に係る発明では、上記各効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(A)及び(B)は、本発明の一実施の形態に係る詰替え容器用スパウトを有する詰替え容器の未注出状態及び注出状態の構成を概略的に示す説明図である。
【図2】(A)及び(B)は、前記詰替え容器用スパウトの蓋部材の構成を概略的に示す正面図及び平面図である。
【図3】(A)及び(B)は、前記詰替え容器用スパウトの注出部の構成を概略的に示す正面図及び縦断面図である。
【図4】前記詰替え容器の未使用状態の構成を概略的に示す説明図である。
【図5】前記詰替え容器用スパウトの変形例の構成を概略的に示す説明図である。
【図6】(A)は、前記詰替え容器用スパウトの他の変形例の構成を概略的に示す説明図、(B)及び(C)はその注出部及び蓋部材の構成を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】
まず、本実施形態に係る詰替え容器はパウチ容器であり、図1(A)及び(B)並びに図4に示すように、袋部を構成する容器本体1とスパウト2とを備えている。
【0027】
容器本体1は、適宜の機能を有するフィルムやアルミニウム箔等を積層したシートから成形され、上下及び側部が熱シールされるものである。尚、容器本体1の構成には公知のものを採用可能であり、その素材や構造・形状等は特に限定されない。
【0028】
スパウト2は、略筒状(本実施形態では略円筒状)の注出部3(図3(A)及び(B)も参照)と、蓋部材4(図2(A)及び(B)も参照)とを備えている。尚、注出部3の基端側は、容器本体1に例えば熱シールにより固着される。
【0029】
そして、本実施形態の詰替え容器は、図1(A)に示すように、被詰替え容器Cの口部C1に、スパウト2をその先端側から挿入した後、図1(B)に示すように、口部C1に対する蓋部材4の挿入状態を維持しつつ、注出部3及び容器本体1を持ち上げることにより、詰替え容器(容器本体1)に収容された内容物を被詰替え容器Cに詰め替える(補充する)ことができるように構成されている。
【0030】
すなわち、注出部3は、詰替え容器(容器本体1)に収容した内容物の注出路T(図1(B)参照)を構成するものであり、図1(A)に示す状態では、この注出路Tは蓋部材4の先端壁4aに設けられた閉塞部5によって閉塞されている。
【0031】
詳しく述べると、注出部3の先端壁3aには、注出路Tの下流部を構成する平面視略一文字状の貫通孔6(図1(B)、図3(A)及び(B)参照)が設けられており、蓋部材4の閉塞部5はこの貫通孔6を閉塞することにより、注出路Tを閉塞する。すなわち、閉塞部5は、貫通孔6を閉塞可能な形状を有している。
【0032】
また、注出部3は、先端側に先端壁3aが連設された略筒状の側壁3bを有し(図3(A)及び(B)参照)、蓋部材4は、先端側に先端壁4aが連設された略筒状の側壁4bを有している(図2(A)及び(B)参照)。そして、注出部3と蓋部材4とは、蓋部材4が注出部3に被さり、注出部3の側壁3bの外周面に蓋部材4の側壁4bの内周面が沿う状態で、閉塞部5が注出路T(貫通孔6)を閉塞する閉塞位置(図1(A)参照)から閉塞しなくなる開放位置(図1(B)参照)にまで、注出部3の軸方向(上下方向)に相対的にスライド可能となっている。
【0033】
さらに、蓋部材4の先端壁4aには、閉塞部5が開放位置にあるとき(図1(B)参照)に注出路Tを蓋部材4の外側に連通させる開口部7(図示例では二つの開口部7)を設けてある(図1(B)及び図2(B)参照)。従って、閉塞部5が開放位置にあるときには、注出路Tが開放されて開口部7からの内容物の注出が可能となる。尚、二つの開口部7は、閉塞部5が閉塞位置にあるとき(図1(A)参照)には、注出部3の先端壁3aによって閉塞される。
【0034】
次に、本実施形態の詰替え容器を用いた詰替え方法について、本詰替え容器のより具体的な構成にも言及しながら、説明する。
【0035】
本実施形態の詰替え容器は、未使用状態(例えば販売時の状態)では、図4に示すように閉塞部5が閉塞位置にある。そして、未使用状態の詰替え容器(スパウト2)は、規制手段8としてのシュリンクフィルムを備えている。この規制手段8は、注出部3と蓋部材4との相対的なスライドを規制し、この規制の解除が可能に構成されたものである。
【0036】
そして、シュリンクフィルムである規制手段8は、図4に示すように、蓋部材4の先端壁4aの周縁から注出部3の側壁3aにおいて蓋部材4が被さらない位置に設けられた鍔部9の周縁までを覆うように設けられている。また、このシュリンクフィルムを引き裂いて注出部3及び蓋部材4から取り除くという作業を簡単に行えるように、シュリンクフィルムには図示していない適宜の切り口や弱化線(切り取り線)を設けてある。
【0037】
一方、蓋部材4の側壁4bの内周面には係止部10が設けられており(特に図2(A)及び(B)参照)、これに対して、注出部3の側壁3bの外周面には、閉塞部5が閉塞位置にあるとき(図1(A)参照)に係止部10が係止する第一被係止部11と、閉塞部5が開放位置にあるとき(図1(B)参照)に係止部10が係止する第二被係止部12とが設けられている(特に図3(A)参照)。尚、本実施形態において、係止部10は、蓋部材4の側壁4bの内周面の周方向に略等間隔に設けられた計四つの突起であり、第一被係止部11及び第二被係止部12は、注出部3の側壁3bの外周面に設けられた環状溝である。
【0038】
従って、未使用状態にある詰替え容器では、蓋部材4の閉塞部5による注出部3の貫通孔6の閉塞と、注出部3の先端壁3aによる蓋部材4の開口7の閉塞と、蓋部材4の係止部10による注出部3の第一被係止部11への係止と、シュリンクフィルム(規制手段8)の収縮力とによって、容器の密閉性が確保される。
【0039】
そして、未使用状態にある詰替え容器を用いて被詰替え容器Cに対する詰替え作業を行うには、まず、規制手段8(シュリンクフィルム)を引き裂いて取り除く。これにより、規制手段8による注出部3と蓋部材4との相対的なスライドの規制は解除される。
【0040】
続いて、スパウト2(蓋部材4)を被詰替え容器Cの口部C1に挿入する(図1(A)参照)と、蓋部4の側壁4bに設けられた鍔部13が口部C1の周縁に係止し、詰替え容器が倒立する状態となる。
【0041】
ここで、スパウト2(蓋部材4)を被詰替え容器Cの口部C1に挿入する際に、スパウト2を下に向けただけでは、蓋部材4の係止部10と注出部3の第一被係止部11とが係止しているので、蓋部材4がスライドして注出部3から自然に外れて落下する、ということはない。
【0042】
その後、口部C1に対する蓋部材4の挿入状態を維持しつつ、注出部3及び容器本体1を持ち上げる。ここで、注出部3及び容器本体1を持ち上げる際に、蓋部材4が一緒に持ち上がらないようにするためには、蓋部材4の鍔部13において、注出部3の鍔部9に設けられた欠落部分9aから露出する部分を指(手)で押さえ、鍔部13を口部C1に押し付ければよい。尚、蓋部材4の鍔部13にも欠落部分13a(図2(A)及び(B)参照)を設けてあるが、図2(B)と図3(B)とを重ね合わせるようにして対比すれば明らかなように、欠落部分9aと欠落部分13aとの位相はずらしてあり、注出部3の鍔部9の欠落部分9aから、蓋部材4の鍔部13の一部が必ず露出することになる。
【0043】
また、注出部3及び容器本体1を持ち上げるには、注出部3及び容器本体1の何れかにおいて持ち易い部分を持てばよく、例えば、注出部3の鍔部9において、蓋部材4の鍔部13に設けられた欠落部分13aの上方に位置する部分は、被詰替え容器Cの口部C1との間に隙間が形成されており、鍔部9における他の部分よりも持ち易くなっているので、この部分を持つことが考えられる。
【0044】
上記のようにして注出部3及び容器本体1を持ち上げると、図1(B)に示すように、詰替え容器(容器本体1)の内容物が被詰替え容器C内に注出される。
【0045】
ところで、上述したように、蓋部材4の鍔部13には欠落部分13aが設けられており、欠落部分13aは詰替え容器(容器本体1)の内容物が被詰替え容器C内に注出される際(詰替え時)の被詰替え容器Cのエア抜きに資するものとなるが、欠落部分13aに加えて、鍔部13に、鍔部13が口部C1の周縁に係止する状態で、蓋部材4の側壁4bと口部C1との間の空間を口部C1の外側に連通させるエア抜き用の孔部分13bを例えば複数設けてもよい(特に図2(B)参照)。このように構成すれば、詰替え容器(容器本体1)から被詰替え容器C内への内容物の注出に伴って、被詰替え容器C内の空気を孔部分13bからも流出させることができるので、それだけ被詰替え容器Cに対する内容物の注入(詰替え)をスムーズに行うことが可能となる。
【0046】
尚、鍔部13が口部C1の周縁に係止する状態で、蓋部材4の側壁4bと口部C1との間に上記エア抜きのための空間が形成されるようにするために、本実施形態では、蓋部材4の側壁4bの外径を口部C1の内径よりも小としてあるが、この構成に加えて、例えば、側壁4bの外周面の数箇所(例えば周方向に等間隔に四箇所)に、口部C1の内面に当接する縦リブ(図示していない)を設けたり、あるいはこれらの構成に代えて、例えば、蓋部材4の側壁4bの外径と口部C1の内径とを略同径とし、側壁4bの外周面に縦溝(図示していない)を設けたりすることもできる。何れの場合も、上記エア抜きのための空間は形成される上、蓋部材4の側壁4bを、縦リブを介して、あるいは直接、口部C1内に嵌着固定させることができるので、被詰替え容器Cに対して詰替え容器(容器本体1)が安定性良く接続された状態となり、詰替え容器(容器本体1)から被詰替え容器C内への内容物の注出中に、詰替え容器(容器本体1)から手を放しておくことも可能となる。
【0047】
また、注出部3及び容器本体1を持ち上げる際に、注出部3の第一被係止部11から外れた蓋部材4の係止部10を第二被係止部12に係止させれば、注出部3及び容器本体1から手を放してもそのままの状態を保つことが可能となる。
【0048】
そして、被詰替え容器Cに対する内容物の注入(詰替え)が完了すれば、口部C1からスパウト2(蓋部材4)を抜けばよい。
【0049】
上述のように、本実施形態の詰替え容器を用いて被詰替え容器Cに対する内容物の詰替えを行うには、被詰替え容器Cの口部C1にスパウト2を差し込んだ後、蓋部材4を押さえつつ注出部3及び容器本体1を持ち上げる(上方にスライドさせる)だけでよく、詰替え作業が簡易である。また、詰替えの際に、被詰替え容器Cに詰替え容器のスパウト2を挿入(接続)した後に、注出部3及び容器本体1を蓋部材4に対して相対的にスライドさせて密封を解く構造のため、内容物がこぼれることも確実に防止される。
【0050】
ここで、容器本体1に収容される内容物(被詰替え容器Cに詰め替える内容物)としては、例えば、洗剤、シャンプーやリンス等が挙げられるが、上記の詰替え作業を行えるものであれば特に限定されない。
【0051】
また、被詰替え容器Cは、スパウト2の蓋部材4を挿入可能な口部C1を有し、上記の詰替え作業を行えるものであればよく、上掲のポリプロピレン製のボトル等に限定されるものではない。
【0052】
一方、注出部3の材質は、容器本体1の構成等に応じて任意のものを用いればよく、例えば、ポリエチレン(PE,LLDPE)やポリプロピレン(PP)等を用いることができる。
【0053】
これに対して、蓋部材4は注出部3の貫通孔6を閉塞する閉塞部5を有しており、貫通孔6を確実に密閉する必要があるので、蓋部材4の材質としては、柔軟性が有り、閉塞部5と貫通孔6との嵌合(食い込み)が良好となるポリエチレン等を用いることが好ましく、弾性素材を用いることもできる。
【0054】
本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0055】
上記の実施の形態の詰替え容器は、スパウト2が上を向いた状態(図4参照)で直立し、スパウト2が下を向いた状態(図1(A)及び(B)参照)は倒立した状態に該当する。しかし、詰替え容器を、スパウト2が下を向いた状態(図1(A)及び(B)参照)で直立するように構成してあってもよい。
【0056】
容器本体1は、パウチ容器に限らず、例えばプラスチックボトル等のボトルやカートン等であっても良い。すなわち、容器本体1の材質、形状や容量等の構成は、被詰替え容器Cに対する内容物の詰替えを行うという目的に合致するものであれば良い。
【0057】
注出部3は、略円筒状に限らず、略楕円筒状や角筒状等であってもよい。
【0058】
また、図3(B)に示す注出部3の略一文字状の貫通孔6の幅(図3(B)における左右方向の幅)を、内容物の性状等に応じて図示するものより小さくしても大きくしてもよいことは勿論、貫通孔6の形状を、略一文字状ではなく、略十文字状や略星形状等としてもよい。これに対して、閉塞部5の形状は、貫通孔6を閉塞できるものであればよい。すなわち、注出部3と蓋部材4とは、注出部3の軸方向への相対的なスライドによって、注出路Tが閉塞される状態と開放される状態とに変更可能に構成されていればよい。従って、例えば、蓋部材4の開口6を、蓋部材4の先端壁4aではなく側壁4bに設けたり、あるいは先端壁4aと側壁4bとの両方に設けたりするようなことも可能である。
【0059】
注出部3の基端側に設けられる容器本体1への取付部3c(図1(A)及び(B)、図3(B)参照)は、略円筒状であってもよいが、一般的にスパウトパウチに利用されている舟形形状等としてもよい。さらに、容器本体1が例えばボトルの場合には注出部3がねじで容器本体1に係合するようにし、容器本体1が例えばカートンの場合には注出部3に設けた鍔形をカートン内面の接着層と接着させる等、容器本体1の構成に応じた取付方法を用いることができる。
【0060】
注出部3の側壁3bにおいて、閉塞部5が閉塞位置にあるときには蓋部材4の側壁4bに覆われ、閉塞部5が開放位置にあるときには覆われない部分に、光透過性を持たせ(該部分を透明又は半透明とし)、図1(B)に示す詰替え時に注出部3の側壁3b内を通過する内容物を側壁3bの該部分の外側から直接、または影として間接的に視認可能とし、詰替えが完了したことを簡単に把握することができるようにしてもよい。この場合、例えば蓋部材4に光遮断性を持たせてあれば、外部の光が側壁3bの前記部分から内部に入射することが防止され、光の入射による内容物の変質等を防止することができる。
【0061】
注出部3の鍔部9は、略リング状に限らず、花びら形や十文字形等であってもよい。また、鍔部9を設けなくてもよく、この場合、当然のことながら鍔部9を掴むことはできなくなるので、図1(A)に示す状態から図1(B)に示す状態とするに際しては、例えば、抽出部3の側壁3bを掴んで抽出部3及び容器本体1を引き上げるようにすることが考えられる。
【0062】
蓋部材4の係止部10を構成する突起の数は四つに限らない。また、第一被係止部11、第二被係止部12をそれぞれ突起とし、係止部10を各突起が係止する環状溝とする等、係止部10と第一、第二被係止部11,12とは、互いに係止可能であればよく、種々の構成を採用可能である。さらに、係止部10を注出部3の外周面に設け、第一被係止部11、第二被係止部12を蓋部材4の内周面に設けてもよい。
【0063】
蓋部材4の鍔部13は、蓋部材4を被詰替え容器Cの口部C1に挿入した際に、口部C1の周縁に係止し、詰替え容器の倒立姿勢を維持できるように構成されていれば良く、略リング状に限らず、花びら形や十文字形等とすることもできる。
【0064】
図2(B)には、蓋部材4の鍔部13に計六つの孔部分13bが設けられた例を示してあるが、孔部分13bの数や各孔部分13bの形状、大きさ等は種々に変更可能である。また、欠落部分13aを、鍔部13が口部C1の周縁に係止する状態で、蓋部材4の側壁4bと口部C1との間の空間を口部C1の外側に連通させるエア抜き用の欠落部分として構成すれば、孔部分13bと同様の機能(被詰替え容器Cのエア抜き機能)を欠落部分13aにも発揮させることが可能であり、この場合、欠落部分13aと孔部分13bとで必要なエア抜き機能が得られるように構成すればよい。すなわち、欠落部分13a、孔部分13bの何れか一方のみを設けるようにすることもできる。
【0065】
スパウト2の先端面(上面)の略全体を覆うように、あるいはシュリンクフィルムである規制手段8の上部開口8a(図4参照)を覆うように、ラベル(図示していない)をスパウト2の先端面あるいは規制手段8に剥離可能に貼着してもよく、この場合には、斯かるラベルによって、注出部3の先端壁3aと蓋部材4の先端壁4aとの隙間から異物が詰替え容器内に進入することを防止することができる。
【0066】
図5に示すように、蓋部材4の側壁4bに設けられた鍔部13の周縁に筒部14を連設し、筒部14に、被詰替え容器Cの口部C1に設けられた雄ねじC2に係合する係合部分14aを設けてもよい。この場合、スパウト2を口部C1に挿入した後、口部C1に対する蓋部材4の挿入状態を維持したまま、注出部3及び容器本体1を持ち上げる際に(図1(B)参照)、係合部分14aを雄ねじC2に係合させておくことにより、蓋部材4の鍔部13を口部C1の周縁に押し付けておく手間が省け、注出部3及び容器本体1の持ち上げ操作が容易になる上、蓋部材4が不意に口部C1から抜けて内容物がこぼれてしまうことを確実に防止することができ、さらに、容器本体1自体に形状保持性があれば、内容物の注出中に詰替え容器や被詰替え容器Cから手を放しておくこともできる。
【0067】
図6(A)〜(C)に示すように、規制手段8を、注出部3の鍔部9または蓋部材4の鍔部13の何れか一方(図示例では鍔部13)に設けられた係合部分15と、他方の鍔(図示例では鍔部9)に設けられ係合部分15が係合する被係合部分16とによって構成してもよい。
【0068】
すなわち、係合部分15は、図6(A)及び(C)に示すように、鍔部13に連設され他方の鍔部9を抱くように折れ曲がった縦断面略コの字状をしており、その先端側に凹部(図示例では貫通孔)15aが設けられている。また、被係合部分16は、図6(A)及び(B)に示すように、鍔部9の容器本体1側の面において凹部15aに対応する位置に設けられた凸部である。
【0069】
そして、図6(A)に示すように、被係合部分(凸部)16に係合部分15(凹部15a)が係合する状態では、注出部3と蓋部材4との注出部3の軸方向への相対的なスライドが規制され、この状態から、係合部分15が鍔部9の欠落部分9aに対応する位置にくるまで、注出部3と蓋部材4とを注出部3の軸回りに相対的に回動させれば、係合部分15と被係合部分16との係合が解かれ、前記規制が解除されるように構成されている。
【0070】
ここで、注出部3と蓋部材4とを注出部3の軸回りに相対的に回動させる必要があるので、注出部3の貫通孔6は注出部3の軸を中心とする略円形状としてあり(図6(B)参照)、蓋部材4の閉塞部5はこの略円形状の貫通孔6を閉塞可能な形状(例えば貫通孔6より少し大きな略円柱形状)としてある(図6(A)及び(C)参照)。また、図6(A)に示すように、先端壁3aは開口部7内に進入しないように構成してある。
【0071】
尚、係合部分15に凹部15aを設けず、鍔部9にも凸部である被係合部分16を設けないようにして、係合部分15が鍔部9に単に係合するだけとなるようにしてもよい。この場合、鍔部9自体が被係合部分16となる。
【0072】
また、図6(C)には、係合部分15を鍔部13に対して部分的に設けた例を示してあるが、係合部分15を鍔部13に対して全体的に設けてもよい。
【0073】
また、図6(A)〜(C)には、注出部3と蓋部材4とを注出部3の軸回りに相対的に回動させれば、係合部分15と被係合部分16との係合が解かれるように構成した例を示してあるが、このような構成に代えて、例えば、鍔部13と係合部分15との境界部分を薄肉にし、係合部分15を外側に延ばして広げることにより、係合部分15と被係合部分16(鍔部9)との係合が解かれるようにしてもよい。
【0074】
また、鍔部13に係合部分15を設け、鍔部9に被係合部分16を設ける(あるいは鍔部9を被係合部分16とする)構成に代えて、鍔部9に係合部分15を設け、鍔部13に被係合部分16を設ける(あるいは鍔部13を被係合部分16とする)構成を採用してもよい。
【0075】
尚、上述した複数の変形例は、相互に適宜に組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0076】
1 容器本体
2 スパウト
3 注出部
4 蓋部材
5 閉塞部
6 貫通孔
7 開口部
8 規制手段
9 鍔部
10 係止部
11 第一被係止部
12 第二被係止部
13 鍔部
C 被詰替え容器
C1 口部
T 注出路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被詰替え容器に補充する内容物を収容する詰替え容器に設けられる詰替え容器用スパウトであって、
前記詰替え容器に収容された内容物の注出路を構成する略筒状の注出部と、
前記注出路を閉塞する閉塞部を有する蓋部材とを備え、
前記注出部と前記蓋部材とは、該蓋部材が該注出部に被さる状態で、前記閉塞部が前記注出路を閉塞する閉塞位置から閉塞しなくなる開放位置にまで相対的にスライドさせることが可能であり、
前記蓋部材は、前記閉塞部が前記開放位置にあるときに前記注出路を該蓋部材の外側に連通させる開口部を有する詰替え容器用スパウト。
【請求項2】
前記注出部及び前記蓋部材はそれぞれ、略筒状の側壁と該側壁の先端側に連設された先端壁とを備え、前記注出部の側壁の外周面に前記蓋部材の側壁の内周面が沿う状態で該注出部と該蓋部材とは相対的にスライド可能であり、
前記注出部の先端壁に、前記注出路の下流部を構成する貫通孔が設けられていると共に、前記蓋部材の先端壁に前記閉塞部が設けられ、該閉塞部は前記貫通孔を閉塞することによって前記注出路を閉塞し、
また、前記蓋部材の先端壁に前記開口部が設けられている請求項1に記載の詰替え容器用スパウト。
【請求項3】
前記蓋部材の側壁の内周面又は前記注出部の側壁の外周面の何れか一方に係止部が設けられ、
他方に、前記閉塞部が前記閉塞位置にあるときに前記係止部が係止する第一被係止部と、前記閉塞部が前記開放位置にあるときに前記係止部が係止する第二被係止部との何れか一方若しくは両方が設けられている請求項1または2に記載の詰替え容器用スパウト。
【請求項4】
前記閉塞部が前記閉塞位置にある状態で前記注出部と前記蓋部材との相対的なスライドを規制し、この規制の解除が可能に構成されている規制手段を備えた請求項1〜3の何れか1項に記載の詰替え容器用スパウト。
【請求項5】
前記規制手段は、前記蓋部材の先端壁の周縁から前記注出部の側壁において前記蓋部材が被さらない位置に設けられた鍔部の周縁までを覆うように設けられたシュリンクフィルムである請求項4に記載の詰替え容器用スパウト。
【請求項6】
前記規制手段は、前記蓋部材の側壁に設けられた鍔部と、前記注出部の側壁において前記蓋部材が被さらない位置に設けられた鍔部との何れか一方の鍔部に設けられた係合部分と、他方の鍔部に設けられ前記係合部分が係合する被係合部分とによって構成される請求項4に記載の詰替え容器用スパウト。
【請求項7】
前記蓋部材の側壁に設けられた鍔部の周縁に筒部が連設され、該筒部に、前記被詰替え容器の口部に設けられた雄ねじに係合する係合部分が設けられている請求項1〜6の何れか1項に記載の詰替え容器用スパウト。
【請求項8】
前記蓋部材の側壁に、該蓋部材が前記被詰替え容器の口部内に挿入されたときに該口部の周縁に係止する鍔部が設けられ、該鍔部には、該鍔部が前記口部の周縁に係止する状態で、前記蓋部材の側壁と前記口部との間の空間を該口部の外側に連通させるエア抜き用の孔部分または欠落部分が設けられている請求項1〜7の何れか1項に記載の詰替え容器用スパウト。
【請求項9】
前記蓋部材の前記開口部は、前記閉塞部が前記閉塞位置にあるときに前記注出部の先端壁によって閉塞される請求項1〜8の何れか1項に記載の詰替え容器用スパウト。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の詰替え容器用スパウトを備えた詰替え容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−207489(P2011−207489A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74777(P2010−74777)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000178826)日本山村硝子株式会社 (140)
【Fターム(参考)】