説明

認証情報提示装置、プログラムおよび携帯型デバイス

【課題】ユーザが認証情報の選択作業を行うことなく、認証装置によりアクセス可能な認証情報領域を適切な認証情報に適宜書き換えることができ、ユーザビリティに優れた認証情報提示装置、プログラムおよび携帯型デバイスを提供する。
【解決手段】自動改札機から特定情報である駅情報を取得する毎に当該駅情報により特定されるドアゲートシステムにそれぞれ対応する認証情報を自動的に選択し、ドアゲートシステムによりアクセス可能な携帯電話端末の認証用ID領域に記憶する認証情報を選択した認証情報に適宜書き換えるようにする。これにより、ユーザによる認証情報の選択作業が不要となるので、ユーザビリティに優れた認証情報提示装置、プログラムおよび携帯型デバイスを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証情報提示装置、プログラムおよび携帯型デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機に搭載された非接触IC機能を用いて、外部処理装置との間で通信を行うことにより、外部処理装置での種々の処理を可能とした非接触IC機能付き携帯電話機が開発されている。
【0003】
これらの非接触IC機能付き携帯電話機においては、電話機能とは別に、外部処理装置と直接電波を用いた通信により、例えば、ゲートの入退室管理、電子マネーの支払い処理、その他の様々なシステムに対応することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、近年においては、非接触IC機能付き携帯電話機を、ゲートの入退室管理や定期券処理などの複数の用途に使うような場合において、データフォーマットを各用途間で共通化し、共通化したデータフォーマットに対応したリーダライタを用意したシステムが考えられている。このようなシステムにおいては、各用途に関わる認証情報を非接触IC機能付き携帯電話機のICチップ内のメモリに記憶し、記憶している複数の認証情報を非接触IC機能付き携帯電話機の表示部に表示させて利用者に選択させ、利用者の選択に応じた該当の認証情報を非接触IC機能付き携帯電話機からリーダライタに応答する、といった認証手法がとられることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−85466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述した認証手法によれば、利用者は、リーダライタを通過する都度、用途に関わる認証情報の選択作業を行わなければならず、手間や時間などがかかり効率が悪いという問題がある。また、間違った用途に関わる認証情報を選択してしまうと、認証作業を再度実行せねばならなくなる事態が生じる可能性もある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザが認証情報の選択作業を行うことなく、認証装置によりアクセス可能な認証情報記憶領域に記憶する認証情報を適切な認証情報に適宜書き換えることができ、ユーザビリティに優れた認証情報提示装置、プログラムおよび携帯型デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の認証情報提示装置は、利用者のゲートの通過を管理する複数の認証装置に対応する複数の認証情報を記憶するデータ記憶部と、前記各認証装置との間でデータ通信を行う通信手段と、前記通信手段を介して前記各認証装置によりアクセス可能な記憶領域であって、前記認証情報が選択的に書き込まれる認証情報記憶領域と、前記各認証情報と当該各認証情報を特定可能な特定情報とを対応付けて記憶する第1のテーブルと、前記認証装置と、当該認証装置に対して次の移動経路に位置する前記認証装置にかかる前記認証情報とを対応付けて記憶する第2のテーブルと、外部から前記特定情報を取得する取得手段と、取得した前記特定情報が前記第1のテーブルに存在するか否かを判定する判定手段と、取得した前記特定情報が前記第1のテーブルに存在すると判定した場合には、前記第1のテーブルで当該特定情報に対応付けられている前記認証情報を前記データ記憶部から選択する第1選択手段と、前記第1選択手段により選択された前記認証情報を前記認証情報記憶領域に書き込む第1書込手段と、前記認証装置から認証したことを示す命令を受信した場合に、前記第2のテーブルを参照して、認証された前記認証装置の次の移動経路に位置する前記認証装置の前記認証情報を選択する第2選択手段と、前記第2選択手段により選択された前記認証情報を前記認証情報記憶領域に書き込む第2書込手段と、を備える。
【0009】
また、本発明のプログラムは、利用者のゲートの通過を管理する複数の認証装置に対応する複数の認証情報をそれぞれ特定可能な特定情報を、外部から取得する取得機能と、前記各認証情報と当該各認証情報を特定可能な特定情報とを対応付けて記憶する第1のテーブルに、取得した前記特定情報が存在するか否かを判定する判定機能と、取得した前記特定情報が前記第1のテーブルに存在すると判定した場合には、前記第1のテーブルで当該特定情報に対応付けられている前記認証情報を、前記各認証装置にそれぞれ対応する複数の認証情報を記憶するデータ記憶部から選択する第1選択機能と、前記第1選択機能により選択された前記認証情報を、前記各認証装置との間でデータ通信を行う通信手段を介して前記認証装置によりアクセス可能な認証情報記憶領域に書き込む第1書込機能と、前記認証装置から認証したことを示す命令を受信した場合に、前記認証装置と、当該認証装置に対して次の移動経路に位置する前記認証装置にかかる前記認証情報とを対応付けて記憶する第2のテーブルを参照して、認証された前記認証装置の次の移動経路に位置する前記認証装置の前記認証情報を選択する第2選択機能と、前記第2選択機能により選択された前記認証情報を前記認証情報記憶領域に書き込む第2書込機能と、をコンピュータに実行させる。
【0010】
また、本発明の携帯型デバイスは、利用者のゲートの通過を管理する複数の認証装置に対応する複数の認証情報をそれぞれ特定可能な特定情報を、外部から取得する取得機能と、前記各認証情報と当該各認証情報を特定可能な特定情報とを対応付けて記憶する第1のテーブルに、取得した前記特定情報が存在するか否かを判定する判定機能と、取得した前記特定情報が前記第1のテーブルに存在すると判定した場合には、前記第1のテーブルで当該特定情報に対応付けられている前記認証情報を、前記各認証装置にそれぞれ対応する複数の認証情報を記憶するデータ記憶部から選択する第1選択機能と、前記第1選択機能により選択された前記認証情報を、前記各認証装置との間でデータ通信を行う通信手段を介して前記認証装置によりアクセス可能な認証情報記憶領域に書き込む第1書込機能と、前記認証装置から認証したことを示す命令を受信した場合に、前記認証装置と、当該認証装置に対して次の移動経路に位置する前記認証装置にかかる前記認証情報とを対応付けて記憶する第2のテーブルを参照して、認証された前記認証装置の次の移動経路に位置する前記認証装置の前記認証情報を選択する第2選択機能と、前記第2選択機能により選択された前記認証情報を前記認証情報記憶領域に書き込む第2書込機能と、をコンピュータに実行させるプログラムを格納したICチップを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特定情報を取得する毎に当該特定情報により特定される認証装置にそれぞれ対応する認証情報を自動的に選択し、認証装置によりアクセス可能な認証情報記憶領域に記憶する認証情報を選択した認証情報に適宜書き換えるようにしたことにより、ユーザによる認証情報の選択作業が不要となるので、ユーザビリティに優れた認証情報提示装置、プログラムおよび携帯型デバイスを提供することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるシステムの概要を示す説明図である。
【図2】携帯電話端末の概略構成を示す正面図である。
【図3】携帯電話端末の機能構成を示すブロック図である。
【図4】SIMのデータ記憶部の構成を示す模式図である。
【図5】情報書き換え処理に用いられるデータテーブルを示す模式図である。
【図6】自動改札システムの概略構成を示すシステム構成図である。
【図7】自動改札機を概略的に示す外観斜視図である。
【図8】自動改札システムの機能構成を示すブロック図である。
【図9】自動改札機を通過して外部に出る場合についての処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】ドアゲートシステムの概略構成を示すシステム構成図である。
【図11】ゲートを通過して入室する場合についての処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】駅改札通過時の認証用ID情報の切り替え処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施の形態にかかるシステム概要を示す説明図である。
【図14】携帯電話端末の機能構成を示すブロック図である。
【図15】SIMのデータ記憶部の構成を示す模式図である。
【図16】情報書き換え処理に用いられるデータテーブルを示す模式図である。
【図17】認証用ID情報の切り替え処理を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第3の実施の形態にかかる認証用ID情報の切り替え処理を示すフローチャートである。
【図19】情報書き換え処理に用いられる第2のデータテーブルを示す模式図である。
【図20】本発明の第4の実施の形態にかかる移動経路毎に認証用ID情報を書き換える様子を示す模式図である。
【図21】認証用ID情報の切り替え処理を示すフローチャートである。
【図22】情報書き換え処理に用いられる第2のデータテーブルを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる認証情報提示装置、プログラムおよび携帯型デバイスの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図12に基づいて説明する。本実施の形態は認証情報提示装置として携帯電話端末を適用した例である。
【0015】
(システム概要)
図1は、第1の実施の形態にかかるシステムの概要を示す説明図である。図1に示すように、携帯電話端末100には、携帯電話用の周波数帯(例えば、800MHz帯や1.5GHz帯)を使用して携帯電話基地局200を介して通信を行うことにより携帯電話としての役割を果たす機能と、近接非接触通信の周波数帯(例えば、13.56MHz帯)を使用するサービスシステムである自動改札システム300において定期券としての役割を果たす機能と、同じ近接非接触通信の周波数帯を使用するサービスシステムであるドアゲートシステム400においてドア鍵としての役割を果たす機能とが備えられている。
【0016】
ここで、近接非接触通信とは、ISO14443規格で規格化されている非接触ICカード用通信(TypeA,B)のように、通信距離が10cm程度までの無線通信である。
【0017】
本実施の形態においては、携帯電話端末100のユーザは、1台の携帯電話端末100を所持することで、携帯電話端末100の機能を用いて、インターネット通信や通話を行うことができ、加えて、定期券としての機能を用いて自動改札機301(図6参照)を利用したり、ドア鍵としての機能を用いてドアゲートの解除を行うことができる。
【0018】
(携帯電話端末の説明)
まず、携帯電話端末100について説明する。図2は、携帯電話端末100の概略構成を示す正面図である。図2に示すように、携帯電話端末100は、接触、非接触通信機能を有する小型の携帯型デバイス(ICカード)であるSIM(Subscriber Identity Module)150を着脱可能に装着することができる。また、携帯電話端末100は、電話用のロッドアンテナ102とは別に、非接触通信用アンテナ103を端末内部に備えている。非接触通信用アンテナ103は、2から3ターンの銅線コイルなどで形成されている。そして、SIM150の装着時においては、SIM150のICチップ151に設けられた非接触通信端子が非接触通信用アンテナ103の端部A1,A2に接続するように構成されている。
【0019】
非接触通信用アンテナ103は、図2に示すように携帯電話端末100の筐体101の内部周囲に配線したり、SIM150の装着部周囲に配線することができる。非接触通信用アンテナ103の端部A1,A2は、SIM150の非接触通信端子に接続して用いることができる。SIM150の非接触通信端子は、例えば、SIM150の接触端子板のRFU端子であるC4,C8端子である。当該非接触通信用アンテナ103により、携帯電話の通常の無線通信とは異なる帯域13.56MHzによる近接非接触通信を行う。本実施の形態の携帯電話端末100は、この非接触通信により、各種認証装置との間で運賃精算やゲート通過管理処理を行うものである。なお、図2に示したような携帯電話端末100の構成は一例であって、本発明を実現できる構成であれば、これに限定されるものではない。
【0020】
なお、ロッドアンテナ102は、無線電話に用いるアンテナであって、通常の携帯電話が備えるものなので、SIM150の非接触通信には使用されない。
【0021】
携帯電話端末100の筐体101の片面には、カラー液晶ディスプレイなどにより種々の情報を表示する表示部104が設けられている。表示部104と同一平面には、キーパッドや動作選択ボタン等が配列された入力部105が備えられていて、電源のオン−オフ、表示選択や動作決定、あるいは文字入力等が可能となっている。これらは、通常の携帯電話の機能と同様のものである。なお、特に図示しないが、当然のことながら、携帯電話端末100にはマイクやスピーカなどの携帯電話に必要な様々な要素が備わっている。
【0022】
ここで、図3は携帯電話端末100の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、携帯電話端末100には、無線モジュールとして機能するSIM150と、携帯電話機能を発揮する携帯電話モジュール160と、表示部104と、入力部105と、非接触通信用アンテナ103とが備えられている。
【0023】
携帯電話端末100に内蔵されるSIM150のICチップ151には、近接非接触通信で実行されるアプリケーションが格納されるアプリケーション部152と、アプリケーション部152の実行を制御するアプリケーションコントローラ部153と、アプリケーション部152に格納されるアプリケーションを実行する際に用いる各種データを格納するデータ記憶部154が備えられている。
【0024】
本実施の形態においては、SIM150のアプリケーション部152に格納されるアプリケーションは、上述したように、携帯電話端末100を定期券として使用するためのアプリケーションと、携帯電話端末100をドア鍵として使用するためのアプリケーションとが格納されている。
【0025】
SIM150のアプリケーションコントローラ部153は、アプリケーション部152に格納されるアプリケーションを実行する機能を備えている。例えば、図1において、自動改札システム300やドアゲートシステム400が発信する近接非接触通信用の電波を非接触通信用アンテナ103を介して受信すると、アプリケーションコントローラ部153は、アプリケーション部152に格納されているアプリケーションを実行する。
【0026】
また、本実施の形態のSIM150のアプリケーションコントローラ部153は、アプリケーション部152に格納されるアプリケーションに従うことにより、図3に示すように、取得手段として機能する取得部153a、判定手段として機能する判定部153b、第1選択手段として機能する選択部153c、第1書込手段として機能する書込部153dを備えている。これら各部の動作については、後述する。
【0027】
SIM150のデータ記憶部154には、図4に示すように、各種のゲート通過用の認証用ID情報(認証情報)を保存しておく領域154bと、後述するドアゲートシステム400のリーダライタ401(図10参照)により読み取られる認証情報記憶領域であって認証用ID情報(認証情報)のいずれか1つを格納する認証用ID領域154aと、駅情報を格納する駅情報領域154cとが形成されている。
【0028】
また、SIM150のアプリケーション部152に格納されるアプリケーションには、駅改札出口の通過をトリガーとしてゲート通過用の認証用ID情報を適切なものに適宜書き換える情報書き換え処理に用いるデータテーブルT1が登録されている。図5は、情報書き換え処理に用いられるデータテーブルT1を示す模式図である。図5に示すデータテーブルT1によれば、会社の最寄り駅であるA駅の改札通過時は社員証情報を認証用ID領域154aに書き込み、自宅マンションの最寄り駅であるB駅の改札通過時は自宅マンション情報を認証用ID領域154aに書き込み、スポーツクラブの最寄り駅であるC駅の改札通過時はスポーツクラブ会員証情報を認証用ID領域154aに書き込むことを示している。
【0029】
(自動改札システムの説明)
次に、自動改札システム300について説明する。図6は、自動改札システム300の概略構成を示すシステム構成図、図7は自動改札機301を概略的に示す外観斜視図である。
【0030】
図6に示すように、自動改札システム300は、各駅毎に設置された自動改札機301と、これらの自動改札機301を利用者が通過する際に、利用者が使用する携帯電話端末100と、自動改札機301と通信回線302を介して通信可能に接続されている管理センターなどに備えられたホスト装置303とを備えている。
【0031】
図7に示すように、自動改札機301は、利用客が持参した携帯電話端末100をかざす非接触方式のリーダライタ310と、液晶ディスプレイなどにより種々の情報を表示する表示部320と、ゲート330とを備えている。利用者は、自動改札機301を通過する際に、持参した携帯電話端末100をリーダライタ310にかざすと共に、表示部320に表示された情報を見ながら通過していく。これらの自動改札機301は、通常1つの駅に数台から数十台設置されている。
【0032】
特に図示しないが、携帯電話端末100のSIM150のデータ記憶部154には、運賃前払い残高データと利用者の個人情報とが記憶されている。運賃前払い残高データは、利用者の乗車運賃として、自動改札機301を通過する際に精算処理されて支払われて残る残高のデータであり、利用客が予め定期代やプリペイド代などとして所定の金額を鉄道会社などに前払いすることで、携帯電話端末100のSIM150のデータ記憶部154に記憶される。
【0033】
図8は、自動改札システム300の機能構成を示すブロック図である。図8に示すように、自動改札機301は、リーダライタ310や表示部320を制御する制御部340を備えている。また、この制御部340には、通信回線302を介して情報の送受信を行なう送受信部341と、ゲート330の開閉をコントロールするゲート開閉部342と、駅情報などを記憶する記憶部343と、運賃精算部344とが接続されており、接続された各部は当該制御部340により制御される。なお、リーダライタ310は、携帯電話端末100のデータ記憶部154(図3参照)に記憶されたデータを読み取るデータ読取部311と、携帯電話端末100のデータ記憶部154にデータを書き込むデータ書込部312とで構成されている。
【0034】
運賃精算部344は、携帯電話端末100のデータ記憶部154に記憶されている運賃前払い残高データから利用者が使用した運賃を差し引き処理するもので、使用された運賃を差し引いた残金分のデータが、データ書込部312により携帯電話端末100のデータ記憶部154に更新されて記憶される。
【0035】
また、自動改札機301と通信回線302により接続されたホスト装置303は、制御部350と、送受信部351と、記憶部352とを備えている。
【0036】
ここで、駅構内から自動改札機301を通過して改札の外へ出る場合についての処理手順を図9のフローチャートに基づいて説明する。まず、利用者は、自動改札機301を通過する際に、持参した携帯電話端末100を非接触方式のリーダライタ310にかざすと、自動改札機301はリーダライタ310のデータ読取部311により、携帯電話端末100のデータ記憶部154(図3参照)に記憶された運賃前払い残高データと乗車駅IDデータを読み取るとともに(ステップS1)、リーダライタ310のデータ書込部312により駅情報(降車駅IDデータ)を自動改札機301から携帯電話端末100の駅情報領域154cに対して送信して書き込む(ステップS2)。
【0037】
次に、運賃精算部344によりデータ読取部311で読み取った乗車駅IDデータに基づいて、降車駅との運賃を算出すると共に、運賃前払い残高データから今回使用した運賃分を差し引き処理し、この残高を携帯電話端末100のデータ記憶部154に運賃前払い残高データとして記憶させる(ステップS3)。
【0038】
そして、自動改札機301は、表示部320に運賃データと、運賃前払い残高データとを表示させる(ステップS4)。そして、利用者は、表示部320に表示されている記載内容を目視することで、運賃などの情報を認識することができる。また、もし携帯電話端末100の運賃前払い残高データが運賃に足りない場合には、ゲート開閉部342によりゲート330が閉まり、通過ができないような状態になる。
【0039】
なお、本実施の形態においては、駅情報(降車駅IDデータ)を自動改札機301から携帯電話端末100の駅情報領域154cに書き込んだ後(ステップS1)、自動改札機301の通過の可否を判断しているが、これに限るものではない。例えば、正しく自動改札機301を通過できると判断した時点で駅情報(降車駅IDデータ)を取得し、取得した駅情報(降車駅IDデータ)に応じて選択された認証情報に認証用ID領域154aを書き換えるようにしても良い。
【0040】
また、本実施の形態においては、運賃前払い残高データから今回使用した運賃分を差し引き処理するプリペイド方式について説明したが、これに限るものではなく、いわゆる定期券方式にも適用可能である。定期券方式は、乗車駅の自動改札機301で携帯電話端末100に乗車駅IDデータを書き込んだ後、降車駅で乗車駅IDデータおよび降車駅IDデータが携帯電話端末100内に予め記憶された定期券データに合っていれば自動改札機301を通過可能とし、駅情報(降車駅IDデータ)に予め対応付けられている認証情報に認証用ID領域154aを書き換える。
【0041】
(ドアゲートシステムの説明)
次に、認証装置の1つであるドアゲートシステム400について説明する。図10は、ドアゲートシステム400の概略構成を示すシステム構成図である。図10に示すように、ドアゲートシステム400は、非接触方式のリーダライタ401と、ホストコンピュータ402と、利用者情報を記録した利用者データベース(以下、利用者DBという)403と、ゲート機構404とを備えている。
【0042】
ホストコンピュータ402は、ゲート管理を行うためのコンピュータである。ホストコンピュータ402は、利用者情報を記録した利用者DB403を管理しており、非接触方式のリーダライタ401を介して携帯電話端末100のSIM150の認証用ID領域154aから認証用ID情報を取得し、その認証用ID情報が登録された利用者のものであるかどうかを確認する機能、受信した認証用ID情報が登録された利用者のものである場合に、正当な利用者であると判断して、その認証用ID情報の受信時刻を入退室時刻として利用者DB403に登録する機能、正当な利用者であると判断した場合に、ゲート機構404に開錠指令を送信する機能を有している。これらの機能は、ホストコンピュータ402が専用のプログラムを実行することにより実現される。利用者DB403は、利用者情報として各利用者を特定する認証用ID情報、各利用者の在室状況、その他利用者の個人情報を記録している。
【0043】
ゲート機構404は、ゲート(例えばドア)405の開錠・施錠を管理する機構であり、ホストコンピュータ402からの指令に従って、ゲート(例えばドア)405の開錠・施錠を実行する機能を有している。
【0044】
ここで、ゲート405を通過して入室する場合についての処理手順を図11のフローチャートに基づいて説明する。
【0045】
まず、利用者は、ゲート405を通過する際に、持参した携帯電話端末100を非接触方式のリーダライタ401にかざすと、ホストコンピュータ402はリーダライタ401を介して携帯電話端末100の認証用ID領域154aに記憶された認証用ID情報を読み取る(ステップS11)。
【0046】
次いで、ホストコンピュータ402は、読み出した認証用ID情報が、利用者DB403に登録されている認証用ID情報であって、正しいものであるか否かの照合を行って、入室を許可してもよいか否かの判定を行う(ステップS12)。判定結果が入室許可(OK)の場合には(ステップS13のYes)、ステップS14に進む。
【0047】
ステップS14において、ホストコンピュータ402は、入室許可であることを示す信号(ゲート開放信号)をゲート機構404に伝える。これにより、ゲート機構404によるゲートの開放が行われる。
【0048】
一方、入室不許可(NG)の場合には(ステップS13のNo)、そのまま処理を終了し、ゲート機構の閉鎖状態を保持し、利用者に携帯電話端末100の再確認等を促す。
【0049】
このようなドアゲートシステム400によれば、入退室時には、携帯電話端末100をかざすだけでゲート405を通過することが可能となる。
【0050】
(認証用ID領域154aの情報書き換え処理)
次に、本実施の形態における特徴的な処理について説明する。概略的には、本実施の形態の携帯電話端末100は、駅改札の通過をトリガーとして(すなわち、図9のステップS2で駅情報を携帯電話端末100の駅情報領域154cに対して書き込むことを条件として)、ドアゲートシステム400のリーダライタ401が読み取るSIM150のデータ記憶部154の認証用ID領域154aに書き込まれるゲート通過用の認証用ID情報を適切なものに適宜書き換えるようにした情報書き換え処理を実行する。
【0051】
ここで、図12は駅改札通過時の認証用ID情報の切り替え処理を示すフローチャートである。
【0052】
利用者が会社の最寄り駅であるA駅の自動改札機301を出て、会社へ向かおうとする際に、携帯電話端末100を自動改札機301の非接触方式のリーダライタ310にかざすと、図9のステップS2でも説明したように、携帯電話端末100に内蔵されているSIM150のアプリケーションコントローラ部153の取得部153a(図3参照)は、特定情報である駅情報(ここでは、A駅)を自動改札機301より取得してSIM150のデータ記憶部154の駅情報領域154cに記憶する(ステップS21)。
【0053】
次に、SIM150のアプリケーションコントローラ部153の判定部153bは、取得した駅情報(A駅)がデータテーブルT1に登録されているか否かを判定する(ステップS22)。
【0054】
図5に示すデータテーブルT1には駅情報(A駅)が登録されているので(ステップS23のYes)、ステップS24に進み、SIM150のアプリケーションコントローラ部153の選択部153cはデータテーブルT1において駅情報(A駅)に対応付けられている社員証情報を選択して、書込部153dはSIM150のデータ記憶部154の認証用ID領域154aを選択された社員証情報に書き換える。
【0055】
なお、駅情報がデータテーブルT1に登録されていない場合には(ステップS23のNo)、アプリケーションコントローラ部153の選択部153cはSIM150のデータ記憶部154の認証用ID領域154aに対して書き換えを行わない。
【0056】
このような状態で会社に到着した場合、利用者は、会社のゲート405を通過する際に、持参した携帯電話端末100をドアゲートシステム400の非接触方式のリーダライタ401にかざすと、ドアゲートシステム400のリーダライタ401は、携帯電話端末100のSIM150のデータ記憶部154の認証用ID領域154aを読みとる(ステップS31)。ここで、認証用ID領域154aは利用者DB403に登録されている社員証情報に書き換わっているので(ステップS32のYes)、入室が許可されることになる。
【0057】
以上の処理は、自宅マンションの最寄り駅であるB駅の自動改札機301を出る際、およびスポーツクラブの最寄り駅であるC駅の自動改札機301を出る際にも実行され、自宅マンションの最寄り駅であるB駅の改札を出た時は認証用ID領域154aを自宅マンション情報に書き換え、スポーツクラブの最寄り駅であるC駅の改札を出た時は認証用ID領域154aをスポーツクラブ会員証情報に書き換える。
【0058】
このように本実施の形態によれば、特定情報である駅情報を取得する毎に当該駅情報により特定されるドアゲートシステム400にそれぞれ対応する認証情報を自動的に選択し、ドアゲートシステム400によりアクセス可能なSIM150のデータ記憶部154の認証用ID領域154aを選択した認証情報に適宜書き換えるようにしたことにより、ユーザによる認証情報の選択作業が不要となるので、ユーザビリティに優れたシステムを提供することができる。
【0059】
すなわち、駅改札の通過をトリガーとして、ドアゲートシステム400のリーダライタ401が読み取るSIM150のデータ記憶部154の認証用ID領域154aに書き込まれるゲート通過用の認証用ID情報を適切なものに適宜書き換えるようにしたことにより、利用者が日々の生活で利用する駅改札等の公共機関のゲートを通過する際に、予め設定しておいた当該公共機関に近接する施設のゲート認証用ID情報を自動的に選択することができるので、認証用ID情報の選択作業が不要となり、ユーザビリティに優れたシステムを提供することができる。
【0060】
なお、携帯電話端末100の紛失時には、紛失した携帯電話端末100を拾った人が利用できないよう、下記方法で対応する。
【0061】
1.携帯電話端末100の通信サービス提供会社(以下、キャリアと呼ぶ)に連絡し、制御設定を行う。具体的には、利用者がキャリアに携帯電話端末100を紛失した旨を連絡し、キャリアから紛失した携帯電話端末100へ、認証ID領域154aの書き換え機能の停止命令を送信してもらう。また、社員証情報などを登録している登録会社にも連絡を行う。これにより、紛失した携帯電話端末100は認証ID領域154aの書き換え機能が停止しており、さらに携帯電話端末100の読取側の管理システムやホストコンピュータ側の機能も停止しているため、入室等ができなくなる。
2.ドアゲートシステム400のリーダライタ401に対し、制御設定を行う。具体的には、ドアゲートシステム400のリーダライタ401に対し、紛失した携帯電話端末100に対しては、認証・入室できないように設定する。これにより、紛失した携帯電話端末100は認証・入室許可しないように設定されるため、入室ができなくなる。
【0062】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態を図13ないし図17に基づいて説明する。なお、前述した第1の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
【0063】
ここで、図13は本発明の第2の実施の形態にかかるシステム概要を示す説明図、図14は携帯電話端末600の機能構成を示すブロック図である。
【0064】
第1の実施の形態においては、駅改札の通過をトリガーとして、携帯電話端末100の認証用ID領域154aに書き込まれるゲート通過用の認証用ID情報を適切なものに適宜書き換えるようにしたが、本実施の形態は、携帯電話端末600の位置情報(特定情報)に基づいて認証用ID領域154aに書き込まれるゲート通過用の認証用ID情報を適切なものに適宜書き換えるようにした点で異なるものである。
【0065】
図13および図14に示すように、本実施の形態の携帯電話端末600の携帯電話モジュール620においては、位置情報計測手段として機能するGPS(Global Positioning System)レシーバ630が搭載されている点で、第1の実施の形態の携帯電話端末100の携帯電話モジュール160とは異なっているものである。
【0066】
携帯電話端末600のGPSレシーバ630は、GPS衛星500からの電波を定期的に受信し、携帯電話端末600自体の現在位置を計測することにより、位置情報を検出することができる。より詳細には、携帯電話端末600のGPSレシーバ630は、少なくとも3個のGPS衛星500から乱数記号で変調された形の電波を受信し、GPS衛星500とGPSレシーバ630との時間差を計測して位置情報を把握する。
【0067】
図13に示すように、本実施の形態の携帯電話端末600には、携帯電話用の周波数帯(例えば、800MHz帯や1.5GHz帯)を使用して携帯電話基地局200を介して通信することにより携帯電話としての役割を果たす機能と、近接非接触通信の周波数帯(例えば、13.56MHz帯)を使用するサービスシステムである複数のドアゲートシステム400においてドア鍵としての役割を果たす機能とが備えられている。
【0068】
また、本実施の形態の携帯電話端末600のSIM610のデータ記憶部154には、図15に示すように、各種の認証用ID情報を保存しておく領域154bと、ドアゲートシステム400のリーダライタ401により読み取られる領域であって各認証用ID情報のいずれか1つを格納する認証用ID領域154aと、GPS衛星500からの電波を受信して位置を計測した結果の位置情報を格納する位置情報領域154dとが形成されている。
【0069】
さらに、携帯電話端末600のSIM610のアプリケーション部152に格納されるアプリケーションには、ゲート通過用の認証用ID情報を適切なものに適宜書き換える情報書き換え処理に用いるデータテーブルが登録されている。図16は、情報書き換え処理に用いられるデータテーブルT2を示す模式図である。図16に示すデータテーブルT2によれば、認証用ID情報が各位置情報に対応付けられている。例えば、“東経139.800、北緯36.000”の地点に会社がある場合には、“東経139.800、北緯36.000”に対して認証用ID情報である社員証情報が対応付けられている。
【0070】
次に、本実施の形態における特徴的な処理について説明する。概略的には、本実施の形態の携帯電話端末600は、携帯電話端末600の位置情報に基づいて、ドアゲートシステム400のリーダライタ401が読み取るSIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aに書き込まれるゲート通過用の認証用ID情報を適切なものに適宜書き換えるようにした情報書き換え処理である。
【0071】
ここで、図17は認証用ID情報の切り替え処理を示すフローチャートである。図17に示すように、携帯電話端末600のSIM610のアプリケーションコントローラ部153は、GPSレシーバ630を利用して当該携帯電話端末600の位置情報を確認する(ステップS41)。位置情報の確認は、GPS衛星500より電波を定期的に受信して位置情報を計測して確認するものであっても良いし、電源投入時にGPS衛星500より電波を受信して計測して確認するものであっても良いし、通話時であったとしてもGPS衛星500より電波を受信して位置情報を計測して確認するものであっても良い。
【0072】
携帯電話端末600に内蔵されているSIM610のアプリケーションコントローラ部153の取得部153aは、GPSレシーバ630で計測された位置情報(ここでは、“東経139.800、北緯36.000”)を取得してSIM610のデータ記憶部154の位置情報領域に記憶する(ステップS42)。
【0073】
次に、SIM610のアプリケーションコントローラ部153の判定部153bは、GPSレシーバ630で計測された位置情報(東経139.800、北緯36.000)がデータテーブルに登録されているか否かを判定する(ステップS43)。なお、位置情報がデータテーブルに登録されているか否かの判定は、位置情報(経度、緯度)が完全に一致する場合のみに限らなくとも良く、誤差(例えば、30m程度)を含むように設定可能にしても良い。
【0074】
図16に示すデータテーブルT2には位置情報(東経139.800、北緯36.000)が登録されているので(ステップS44のYes)、ステップS45に進み、SIM610のアプリケーションコントローラ部153の選択部153cはデータテーブルT2において位置情報(東経139.800、北緯36.000)に対応付けられている社員証情報を選択して、書込部153dはSIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aを選択された社員証情報に書き換える。
【0075】
なお、位置情報が登録されていない場合には(ステップS44のNo)、SIM610のアプリケーションコントローラ部153の判定部153bは、データ記憶部154に対して認証用ID領域154aの書き換えを行わない。
【0076】
このような状態で会社に到着した場合、利用者は、会社のゲート405を通過する際に、持参した携帯電話端末600をドアゲートシステム400の非接触方式のリーダライタ401にかざすと、ドアゲートシステム400のリーダライタ401は、携帯電話端末600のSIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aを読みとる(ステップS31)。ここで、認証用ID領域154aは利用者DB403に登録されている社員証情報に書き換わっているので(ステップS32のYes)、入室が許可されることになる。
【0077】
このように本実施の形態によれば、位置情報を取得する毎に当該位置情報により特定されるドアゲートシステム400にそれぞれ対応する認証情報を自動的に選択し、ドアゲートシステム400によりアクセス可能なSIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aを選択した認証情報に適宜書き換えるようにしたことにより、ユーザによる認証情報の選択作業が不要となるので、ユーザビリティに優れたシステムを提供することができる。
【0078】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態を図18および図19に基づいて説明する。なお、前述した第1の実施の形態または第2の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
【0079】
本実施の形態は、マンションの共有部のエントランスに設けられたドアゲートシステム400と、マンションの住人のみが入室可能な部分(例えば、自宅ドア)に設けられたドアゲートシステム400とで認証用ID情報を変更する場合における認証用ID情報の切り替え処理を示すものである。
【0080】
なお、本実施の形態の携帯電話端末600のSIM610のデータ記憶部154には、図15で示したように、各種の認証用ID情報を保存しておく領域154bと、ドアゲートシステム400のリーダライタ401により読み取られる領域であって各認証用ID情報のいずれか1つを格納する認証用ID領域154aと、GPS衛星500からの電波を受信して位置を計測した結果の位置情報を格納する位置情報領域154dとが形成されている。
【0081】
次に、自宅の最寄り駅の改札を出て、自宅マンションへ帰宅する場合の処理を例に挙げて説明する。ここで、図18は認証用ID情報の切り替え処理を示すフローチャートである。図18に示すように、携帯電話端末600のSIM610のアプリケーションコントローラ部153は、第2の実施の形態のステップS41〜S45と同様に、利用者が自宅の最寄り駅の改札を出て自宅マンションへ帰宅する際に、GPSレシーバ630で計測された位置情報(ここでは、“東経139.692、北緯35.680”)を取得し、図16に示すデータテーブルT2を参照してSIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aを選択されたマンションエントランス鍵情報(マンションの共有部のエントランスに設けられたドアゲートシステム400用の認証用ID情報)に書き換える(ステップS51〜S55)。
【0082】
なお、位置情報が登録されていない場合には(ステップS54のNo)、SIM610のアプリケーションコントローラ部153の判定部153bは、データ記憶部154に対して認証用ID領域154aの書き換えを行わず、ステップS51に戻る。
【0083】
このような状態で、マンションの共有部のエントランスに設けられたドアゲートシステム400(図13参照)の非接触方式のリーダライタ401に、利用者が持参した携帯電話端末600をかざすと、リーダライタ401はSIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aが「マンションエントランス鍵情報」になっていると判断した場合にのみ(ステップS81,ステップS82のYes)、ゲート405を開放して入場を許可し(ステップS83)、ドアゲートシステム400から認証したことを示す命令とともにゲート情報(ここでは、マンションエントランス)を携帯電話端末600に送信する(ステップS84)。
【0084】
一方、携帯電話端末600に内蔵されているSIM610のアプリケーションコントローラ部153の取得部153aが、ドアゲートシステム400から送信されたゲート情報(ここでは、マンションエントランス)を取得すると(ステップS56のYes)、SIM610のアプリケーションコントローラ部153の判定部153bは、取得したゲート情報(マンションエントランス)がデータテーブルT3(図19参照)に登録されているか否かを判定する(ステップS57)。このようなデータテーブルT3は、SIM610のアプリケーション部152に格納されるアプリケーションに登録されている。図19に示す第2のデータテーブルT3によれば、マンションのエントランスに設けられたドアゲートシステム400のゲート通過時は自宅ドア用のマンション鍵情報を認証用ID領域154aに書き込むことを示している。
【0085】
図19に示すデータテーブルT3にはゲート情報(マンションエントランス))が登録されているので(ステップS57のYes)、ステップS58に進み、SIM610のアプリケーションコントローラ部153の選択部(第2選択手段)153cはデータテーブルT3においてゲート情報(マンションエントランス)に対応付けられているマンション鍵情報を選択し、携帯電話端末600の書込部(第2書込手段)153dはSIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aを選択されたマンション鍵情報に書き換える(ステップS58)。
【0086】
なお、ゲート情報が登録されていない場合には(ステップS57のNo)、SIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aの書き換えは行わない。
【0087】
このような状態でマンションの住人のみがエントランスを通過して自宅ドアに設けられたドアゲートシステム400を通って入室する際に、持参した携帯電話端末600をドアゲートシステム400の非接触方式のリーダライタ401にかざすと、ドアゲートシステム400のリーダライタ401は、携帯電話端末600のSIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aを読みとる(ステップS31)。ここで、認証用ID領域154aは利用者DB403に登録されているマンション鍵情報に書き換わっているので(ステップS32のYes)、入室が許可されることになる。
【0088】
このように本実施の形態によれば、利用者が自宅の最寄り駅の改札を出て自宅マンションへ帰宅する際において、位置情報を取得する毎に当該位置情報により特定されるドアゲートシステム400にそれぞれ対応する認証情報を自動的に選択し、ドアゲートシステム400によりアクセス可能なSIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aを選択した認証情報に適宜書き換えるとともに、書き換えられた認証情報によりドアゲートシステム400に認証されてゲートが開放される度に、このタイミングをトリガーとして、データ記憶部154の認証用ID領域154aを次の移動経路に位置するドアゲートシステム400にかかる認証情報に適宜書き換えるようにしたことにより、ユーザによる認証情報の選択作業が不要となるとともに、よりセキュアなシステムを構築することができる。
【0089】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態を図20ないし図22に基づいて説明する。なお、前述した第1の実施の形態ないし第3の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し説明も省略する。
【0090】
本実施の形態は、移動経路毎に認証用ID情報を書き換えるようにしたものである。より具体的には、図20に示すように、ドアゲートシステム400に認証されてゲート405が開放される度に、経路順に、SIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aを書き換えるようにしたものである。
【0091】
本実施の形態の携帯電話端末600のSIM610のデータ記憶部154には、図15で示したように、各種の認証用ID情報を保存しておく領域154bと、ドアゲートシステム400のリーダライタ401により読み取られる領域であって各認証用ID情報のいずれか1つを格納する認証用ID領域154aと、GPS衛星500からの電波を受信して位置を計測した結果の位置情報を格納する位置情報領域154dとが形成されている。
【0092】
次に、自宅の最寄り駅の改札を出て、自宅マンションへ帰宅する場合の処理を例に挙げて説明する。ここで、図21は認証用ID情報の切り替え処理を示すフローチャートである。なお、ステップS51〜S55については第3の実施の形態と同様であることから、その説明は省略する。
【0093】
図21に示すように、SIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aを選択されたマンションエントランス鍵情報(マンションの共有部のエントランスに設けられたドアゲートシステム400用の認証用ID情報)に書き換えられた状態で、マンションの共有部のエントランスに設けられたドアゲートシステム400(図13参照)の非接触方式のリーダライタ401に、利用者が持参した携帯電話端末600をかざすと、リーダライタ401はSIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aが「マンションエントランス鍵情報」になっていると判断した場合にのみ(ステップS81,ステップS82のYes)、ゲート405を開放して入場を許可し(ステップS83)、ドアゲートシステム400から認証したことを示す命令とともにゲート情報(ここでは、マンションエントランス)を携帯電話端末600に送信する(ステップS84)。
【0094】
一方、携帯電話端末600に内蔵されているSIM610のアプリケーションコントローラ部153の取得部153aが、ドアゲートシステム400から送信されたゲート情報(ここでは、マンションエントランス)を取得すると(ステップS56のYes)、SIM610のアプリケーションコントローラ部153の判定部153bは、取得したゲート情報(マンションエントランス)がデータテーブルT4(図22参照)に登録されているか否かを判定する(ステップS57)。このようなデータテーブルT4は、SIM610のアプリケーション部152に格納されるアプリケーションに登録されている。図22に示す第2のデータテーブルT4によれば、マンションのエントランスに設けられたドアゲートシステム400のゲート通過時はエレベータ(1F)用のエレベータ(1F)情報を認証用ID領域154aに書き込み、エレベータ(1F)に設けられたドアゲートシステム400のゲート通過時は自宅ドア用のマンション鍵情報を認証用ID領域154aに書き込み、自宅ドアに設けられたドアゲートシステム400のゲート通過時はエレベータ(4F)用のエレベータ(4F)情報を認証用ID領域154aに書き込み、エレベータ(4F)に設けられたドアゲートシステム400のゲート通過時はマンションエントランス情報を認証用ID領域154aに書き込むことを示している。すなわち、アプリケーションコントローラ部153の選択部(第2選択手段)153cはデータテーブルT4においてゲート情報(マンションエントランス)に対応付けられているエレベータ(1F)情報を選択し、携帯電話端末600の書込部(第2書込手段)153dはSIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aを選択されたエレベータ(1F)情報に書き換える(ステップS58)。
【0095】
このような状態で、利用者は、持参した携帯電話端末600をエレベータ(1F)に設けられたドアゲートシステム400の非接触方式のリーダライタ401にかざすと、リーダライタ401はSIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aが「エレベータ(1F)情報」になっていると判断した場合にのみ(ステップS61,ステップS62のYes)、エレベータを動作させ(ステップS63)、ドアゲートシステム400から認証したことを示す命令とともにゲート情報(ここでは、エレベータ(1F))を携帯電話端末600に送信する(ステップS64)。
【0096】
一方、携帯電話端末600に内蔵されているSIM610のアプリケーションコントローラ部153の取得部153aが、ドアゲートシステム400から送信されたゲート情報(ここでは、エレベータ(1F))を取得すると(ステップS71のYes)、SIM610のアプリケーションコントローラ部153の判定部153bは、取得したゲート情報(エレベータ(1F))がデータテーブルT4(図22参照)に登録されているか否かを判定する(ステップS72)。
【0097】
図22に示すデータテーブルT4にはゲート情報(エレベータ(1F))が登録されているので(ステップS72のYes)、ステップS73に進み、SIM610のアプリケーションコントローラ部153の選択部(第2選択手段)153cはデータテーブルT4においてゲート情報(エレベータ(1F))に対応付けられているマンション鍵情報を選択して、書込部(第2書込手段)153dはSIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aを選択されたマンション鍵情報に書き換える(ステップS73)。
【0098】
なお、ゲート情報が登録されていない場合には(ステップS72のNo)、SIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aの書き換えは行わない。
【0099】
このような状態でマンションの住人のみが自宅ドアに設けられたドアゲートシステム400を通過する際に、持参した携帯電話端末600をドアゲートシステム400の非接触方式のリーダライタ401にかざすと、ドアゲートシステム400のリーダライタ401は、携帯電話端末600のSIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aを読みとる(ステップS31)。ここで、認証用ID領域154aはマンション鍵情報に書き換わっているので(ステップS32のYes)、入室が許可されることになる。
【0100】
このように本実施の形態によれば、ドアゲートシステム400に認証されてゲートが開放される度に、当該ドアゲートシステム400から特定情報としてゲート情報を取得するようにしたことにより、経路順に、SIM610のデータ記憶部154の認証用ID領域154aを書き換えることができる。これにより、男女等の属性により行き先フロアを設定することも可能である。
【0101】
なお、各実施の形態の携帯電話端末100,600においては、ドアゲートシステム400のリーダライタ401に対して近接するが接触せずに無線でデータ通信を行う近接非接触通信により、ドアゲートシステム400との間でデータ通信を行うものとしたが、これに限るものではなく、ドアゲートシステム400のリーダライタ401に対して接触することによりデータ通信を行う接触通信により、ドアゲートシステム400との間でデータ通信を行うものであっても良い。
【0102】
また、各実施の形態においては、携帯電話端末100,600に対してSIM150,610を着脱自在に装着するようにしたが、これに限るものではなく、携帯電話端末100,600に非接触用のICチップを内蔵するようにしても良い。
【0103】
さらに、各実施の形態においては、認証情報提示装置として携帯電話端末100,600を適用するようにしたが、これに限るものではなく、携帯情報端末であるPDA(Personal Digital Assistant)などにも適用可能である。
【0104】
100,600 認証情報提示装置、携帯電話端末
103 アンテナ
150,610 ICカード
151 ICチップ
153a 取得手段
153b 判定手段
153c 第1選択手段、第2選択手段
153d 第1書込手段、第2書込手段
154 データ記憶部
154a 認証情報記憶領域
300,400 認証装置
301 自動改札機
330,405 ゲート
630 位置情報計測手段
T1,T2 第1のテーブル
T3,T4 第2のテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者のゲートの通過を管理する複数の認証装置に対応する複数の認証情報を記憶するデータ記憶部と、
前記各認証装置との間でデータ通信を行う通信手段と、
前記通信手段を介して前記各認証装置によりアクセス可能な記憶領域であって、前記認証情報が選択的に書き込まれる認証情報記憶領域と、
前記各認証情報と当該各認証情報を特定可能な特定情報とを対応付けて記憶する第1のテーブルと、
前記認証装置と、当該認証装置に対して次の移動経路に位置する前記認証装置にかかる前記認証情報とを対応付けて記憶する第2のテーブルと、
外部から前記特定情報を取得する取得手段と、
取得した前記特定情報が前記第1のテーブルに存在するか否かを判定する判定手段と、
取得した前記特定情報が前記第1のテーブルに存在すると判定した場合には、前記第1のテーブルで当該特定情報に対応付けられている前記認証情報を前記データ記憶部から選択する第1選択手段と、
前記第1選択手段により選択された前記認証情報を前記認証情報記憶領域に書き込む第1書込手段と、
前記認証装置から認証したことを示す命令を受信した場合に、前記第2のテーブルを参照して、認証された前記認証装置の次の移動経路に位置する前記認証装置の前記認証情報を選択する第2選択手段と、
前記第2選択手段により選択された前記認証情報を前記認証情報記憶領域に書き込む第2書込手段と、
を備えることを特徴とする認証情報提示装置。
【請求項2】
前記通信手段は、前記認証装置に対して近接するが接触せずに無線でデータ通信を行う近接非接触通信である、
ことを特徴とする請求項1記載の認証情報提示装置。
【請求項3】
前記通信手段は、前記認証装置に対して接触することによりデータ通信を行う接触通信である、
ことを特徴とする請求項1記載の認証情報提示装置。
【請求項4】
当該装置の位置情報を計測する位置情報計測手段をさらに備え、
前記取得手段は、前記位置情報計測手段から前記特定情報として前記位置情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1記載の認証情報提示装置。
【請求項5】
前記第1のテーブルは、前記各認証情報と当該各認証情報を特定可能な位置情報とを対応付けて記憶しており、
前記判定手段は、取得した前記位置情報が前記第1のテーブルに存在するか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の認証情報提示装置。
【請求項6】
利用者のゲートの通過を管理する複数の認証装置に対応する複数の認証情報をそれぞれ特定可能な特定情報を、外部から取得する取得機能と、
前記各認証情報と当該各認証情報を特定可能な特定情報とを対応付けて記憶する第1のテーブルに、取得した前記特定情報が存在するか否かを判定する判定機能と、
取得した前記特定情報が前記第1のテーブルに存在すると判定した場合には、前記第1のテーブルで当該特定情報に対応付けられている前記認証情報を、前記各認証装置にそれぞれ対応する複数の認証情報を記憶するデータ記憶部から選択する第1選択機能と、
前記第1選択機能により選択された前記認証情報を、前記各認証装置との間でデータ通信を行う通信手段を介して前記認証装置によりアクセス可能な認証情報記憶領域に書き込む第1書込機能と、
前記認証装置から認証したことを示す命令を受信した場合に、前記認証装置と、当該認証装置に対して次の移動経路に位置する前記認証装置にかかる前記認証情報とを対応付けて記憶する第2のテーブルを参照して、認証された前記認証装置の次の移動経路に位置する前記認証装置の前記認証情報を選択する第2選択機能と、
前記第2選択機能により選択された前記認証情報を前記認証情報記憶領域に書き込む第2書込機能と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
利用者のゲートの通過を管理する複数の認証装置に対応する複数の認証情報をそれぞれ特定可能な特定情報を、外部から取得する取得機能と、
前記各認証情報と当該各認証情報を特定可能な特定情報とを対応付けて記憶する第1のテーブルに、取得した前記特定情報が存在するか否かを判定する判定機能と、
取得した前記特定情報が前記第1のテーブルに存在すると判定した場合には、前記第1のテーブルで当該特定情報に対応付けられている前記認証情報を、前記各認証装置にそれぞれ対応する複数の認証情報を記憶するデータ記憶部から選択する第1選択機能と、
前記第1選択機能により選択された前記認証情報を、前記各認証装置との間でデータ通信を行う通信手段を介して前記認証装置によりアクセス可能な認証情報記憶領域に書き込む第1書込機能と、
前記認証装置から認証したことを示す命令を受信した場合に、前記認証装置と、当該認証装置に対して次の移動経路に位置する前記認証装置にかかる前記認証情報とを対応付けて記憶する第2のテーブルを参照して、認証された前記認証装置の次の移動経路に位置する前記認証装置の前記認証情報を選択する第2選択機能と、
前記第2選択機能により選択された前記認証情報を前記認証情報記憶領域に書き込む第2書込機能と、
をコンピュータに実行させるプログラムを格納したICチップを備えることを特徴とする携帯型デバイス。
【請求項8】
前記各認証装置との間でデータ通信を行う前記通信手段を有している携帯電話端末に対して着脱自在に装着され、
装着状態では、前記ICチップに設けられた通信端子が前記通信手段を構成するアンテナに接続される、
ことを特徴とする請求項7記載の携帯型デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−198915(P2012−198915A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115851(P2012−115851)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2007−108291(P2007−108291)の分割
【原出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】