説明

誘導加熱調理器

【課題】発熱量の大小異なる誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部を収容する電装ボ
ックスを備えた誘導加熱調理器において、各誘導加熱コイルの制御部の冷却、各誘導加熱
コイル及びその周辺部材の冷却が、単一ファンにて有効に行えると共に、該当する制御部
の修理・点検等のサービス製の向上を図る電装ボックス構成を提供する。
【解決手段】発熱量の大小異なる誘導加熱コイルへの通電制御に係る各制御部が、別個の
収容部に収容される積層形態の電装ボックスとし、単一ファンを電装ボックスに一体化し
、このファンからの空気流が、積層の各収容部を経由する空気通路の発熱量に応じて分流
される構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板の下方に配置した誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部を電装ボッ
クスに収容した誘導加熱調理器に関し、特に前記電装ボックスの改良によって良好な冷却
効果が得られる誘導加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
システムキッチンにドロップイン方式にて組み込まれる本体ケース1の上面に耐熱ガラ
ス製の天板2を備え、天板2下方の内部上面左右に誘導加熱コイル3、3を配設し、これ
ら誘導加熱コイル3、3間の後方にラジェントヒータ4を配置し、本体ケース1の内部左
側下方に魚焼き用ロースターケース6を収納配置し、本体ケース1の内部右側後方に冷却
ファン10を配置すると共にこの冷却ファン10の前方に基板ケース11を配置し、この
基板ケース11には、マイクロコンピュータで構成した制御基板やインバータ回路等を収
納したものがある。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−208969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特許文献1のものは、冷却ファン10からの冷風が、基板ケース11を経てロース
ターケース6の側面に配置した遮熱板の通風孔から、ロースターケース6の底面に供給す
るよう構成されている。この場合、冷却ファン10は、本体ケース1の内部右側後方に、
基板ケース11とは別個の取り付けであるため、本体ケース1の内部では、冷却ファン1
0の取り付け作業と、基板ケース11の取り付け作業とをそれぞれ別個に行なう煩雑さと
、更に、冷却ファン10から基板ケース11へ至る送風通路のシール結合作業の煩雑さも
生じるものとなる。
【0005】
また、この特許文献1のものは、基板ケース13内には、インバータユニットや制御基
板を収納するが、誘導加熱コイル2、2用の制御基板やインバータ回路等と、ラジェント
ヒータ4用の制御基板やインバータ回路等の収納形態についての技術の開示はなく、また
、これら制御基板やインバータ回路等の冷却効果の向上や修理・点検等のサービス製の向
上を図る収納形態についての技術の開示はない。
【0006】
本発明は、複数の誘導加熱コイルを備え、これらの誘導加熱コイルへの通電制御に係る
制御部が収容される電装ボックスに冷却用ファンを一体化した構成とすることによって、
冷却ファン10と基板ケース11が別個の取り付けとなる特許文献1の問題点を解決し、
誘導加熱調理器の本体部内への電装ボックスと冷却用ファンとの取り付け作業の簡素化を
図ることができる新規な電装ボックスを提供する。
【0007】
また、本発明は、本体部の上面に天板を備え、誘導加熱調理器の本体部の内部に複数の
誘導加熱コイルと、これらの誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部を収容する電装ボ
ックスを備えた誘導加熱調理器において、各誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部の
冷却効果の向上を図ることができると共に、これらの制御部の修理・点検等のサービス製
の向上を図ることができる新規な電装ボックスを提供するものである。
【0008】
また本発明は、発熱量の大きい誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部と、発熱量の
小さい誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部とが収容される電装ボックスに、冷却用
ファンを一体化した構成とすることによって、冷却ファン10と基板ケース11が別個の
取り付けとなる特許文献1の問題点を解決し、誘導加熱調理器の本体部内への電装ボック
スと冷却用ファンとの取り付け作業の簡素化を図ることができる新規な電装ボックスを提
供する。
【0009】
このため、本発明の電装ボックスは、各誘導加熱コイルに対応する制御部をそれぞれ異
なる収容部へ収容する形態とし、且つ、これら収容部が積層される構成とし、単一のファ
ンによってこの各収容部に分流して空気を送り込むように、この単一のファンを電装ボッ
クスに一体化した構成とすることによって、各収容部が送風のダクトの役目を果たすこと
によって、これら制御部の冷却効果の向上を図ることができると共に、各誘導加熱コイル
に対応する制御部が、どの収容部に収容されているかを判別し易く、該当する制御部の修
理・点検等のサービス製の向上を図ることができるものとする。
【0010】
更に、本発明は、発熱量の大きい二つの誘導加熱コイルと発熱量の小さい一つの誘導加
熱コイルを備えた誘導加熱調理器において、発熱量の小さい誘導加熱コイルへの通電制御
に係る制御部と、発熱量の大きい二つの誘導加熱コイルへの通電制御に係る各制御部が、
別個の収容部に収容される3層積層形態の電装ボックスとし、単一のファンを電装ボック
スに一体化し、このファンからの空気が分流して3層積層の各収容部に送り込まれるよう
にすることによって、各収容部が送風のダクトの役目を果たすことによって、冷却効果の
向上を図ることができると共に、各誘導加熱コイルに対応する制御部が、どの収容部に収
容されているかを判別し易く、該当する制御部の修理・点検等のサービス製の向上を図る
ことができるものとする。
【0011】
また、上記のような3層積層の各収容部において、単一のファンからの送風量が、各収
容部を経由する空気通路の発熱量に応じて分流されるよう、電装ボックスとファンの一体
化によって、それを達成するものである。
【0012】
更に本発明は、上記発熱量小の誘導加熱コイルに替わって輻射式ヒータを備えるように
容易に変更でき、その場合も、同様の作用効果が達成できる誘導加熱調理器とする技術を
提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1発明の誘導加熱調理器は、本体部の上面に天板を備え、前記本体部の内部に発熱量
の大小異なる誘導加熱コイルと、前記各誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部を収容
する電装ボックスを備えた誘導加熱調理器において、前記電装ボックスは、前記発熱量大
の誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部を収容する収容部と、前記収容部内を流れた
空気を前記発熱量大の誘導加熱コイルへ下側から吐出するように前記誘導加熱コイルの直
下に配置した送風ダクト部と、前記収容部の上に積層され前記発熱量小の誘導加熱コイル
への通電制御に係る制御部を収容する収容部と、前記各収容部に分流して空気を吐出する
単一のファンとを備え、前記電装ボックスは、前記ファンから吐出される空気が分流して
流れるように、前記発熱量大の誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部を収容する収容
部を流れ前記送風ダクト部から吐出して前記発熱量大の誘導加熱コイル及びその周辺部を
冷却する第1誘導加熱コイル側空気通路と、前記発熱量小の誘導加熱コイルへの通電制御
に係る制御部を収容する収容部を流れ前記発熱量小の誘導加熱コイルの下側から吐出して
前記発熱量小の誘導加熱コイル及びその周辺部を冷却する第2誘導加熱コイル側空気通路
とを形成し、前記第2誘導加熱コイル側空気通路の発熱量よりも前記第1誘導加熱コイル
側空気通路の発熱量が大きく、前記第2誘導加熱コイル側空気通路の空気量よりも前記第
1誘導加熱コイル側空気通路の空気量が多く分流されるよう、前記第1誘導加熱コイル側
空気通路と前記第2誘導加熱コイル側空気通路の空気入口に対して前記ファンの空気吐出
口が配置されたことを特徴とする。
【0014】
第2発明の誘導加熱調理器は、本体部の上面に天板を備え、前記本体部の内部に左右配
置した発熱量大の誘導加熱コイルと、前記左右配置した誘導加熱コイルの中央奥側に配置
された発熱量小の誘導加熱コイルと、前記各誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部を
収容する電装ボックスを備えた誘導加熱調理器において、前記電装ボックスは、前記左右
配置の一方の誘導加熱コイルへの通電制御に係る第1制御部を収容する第1収容部と、前
記第1収容部内を流れた空気を前記発熱量大の誘導加熱コイルへ下側から吐出するように
前記発熱量大の各誘導加熱コイルの直下に左右方向に配置した送風ダクト部と、前記第1
収容部の上に積層され前記左右配置の他方の誘導加熱コイルへの通電制御に係る第2制御
部を収容する第2収容部と、前記第2収容部の上に積層され前記発熱量小の誘導加熱コイ
ルへの通電制御に係る第3制御部を収容する第3収容部と、前記第1収容部と第2収容部
に分流して空気を吐出する単一のファンとを備え、前記電装ボックスは、前記ファンから
吐出される空気が分流して流れるように、前記第1収容部を流れ前記送風ダクト部から吐
出して前記左右配置した発熱量大の誘導加熱コイル及びその周辺部を冷却する第1空気通
路と、前記第2収容部から前記第3収容部を流れ前記発熱量小の誘導加熱コイルの下側か
ら吐出して前記発熱量小の誘導加熱コイル及びその周辺部を冷却する第2空気通路とを形
成し、前記第2空気通路の発熱量よりも前記第1空気通路の発熱量が大きく、前記第2空
気通路の空気量よりも前記第1空気通路の空気量が多く分流されるよう、前記第1空気通
路と前記第2空気通路の空気入口に対して前記ファンの空気吐出口が配置されたことを特
徴とする。
【0015】
第3発明の誘導加熱調理器は、第1発明において、前記ファンは、前記第2誘導加熱コ
イル側空気通路の空気量よりも前記第1誘導加熱コイル側空気通路の空気量が多く分流さ
れる関係にて、前記空気吐出口が、前記両収容部の後面に形成した空気入口の両方に亘る
ように前記電装ボックスに取り付けられたことを特徴とする。
【0016】
第4発明の誘導加熱調理器は、第2発明において、前記ファンは、前記第2空気通路の
空気量よりも前記第1空気通路の空気量が多く分流される関係にて、前記空気吐出口が、
第1収容部と第2収容部との後面に形成した空気入口の両方に亘るように前記電装ボック
スに取り付けられたことを特徴とする。
【0017】
第5発明の誘導加熱調理器は、第1発明乃至第4発明において、前記発熱量小の誘導加
熱コイルに替わって輻射式ヒータを備え、前記発熱量小の誘導加熱コイルへの通電制御に
係る制御部に替わって前記輻射式ヒータへの通電制御に係る制御部を備えたことを特徴と
する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって、誘導加熱調理器が、発熱量の大小異なる誘導加熱コイルを備えたもの
において、これら誘導加熱コイルの制御部を電装ボックスに収容し、これら制御部の冷却
と、各誘導加熱コイル及びその周辺部材の冷却が、単一ファンによって有効に行える電装
ボックス構成を提供できるものとなる。
【0019】
そして、本発明の電装ボックスは、発熱量大の誘導加熱コイルに対応する制御部と発熱
量小の誘導加熱コイルに対応する制御部をそれぞれ異なる収容部へ収容する形態とし、且
つ、これら収容部が積層される構成とし、単一のファンによってこの各収容部に分流して
空気を送り込むように、この単一のファンを電装ボックスに一体化した構成とすることに
よって、各収容部が送風のダクトの役目を果たすことによって、これら制御部の冷却効果
の向上を図ることができると共に、各誘導加熱コイルに対応する制御部が、どの収容部に
収容されているかを判別し易く、該当する制御部の修理・点検等のサービス製の向上を図
ることができるものとなる。
【0020】
更に、本発明では、二つの発熱量大の誘導加熱コイルと一つの発熱量小の誘導加熱コイ
ルを備えた誘導加熱調理器において、発熱量小の誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御
部と、二つの発熱量大の誘導加熱コイルへの通電制御に係る各制御部が、別個の収容部に
収容される3層積層形態の電装ボックスとし、単一のファンを電装ボックスに一体化し、
このファンからの空気が分流して3層積層の各収容部に送り込まれるようにすることによ
って、各収容部が送風のダクトの役目を果たすことによって、冷却効果の向上を図ること
ができると共に、各誘導加熱コイルに対応する制御部が、どの収容部に収容されているか
を判別し易く、該当する制御部の修理・点検等のサービス製の向上を図ることができるも
のとなる。
【0021】
また、上記のような3層積層の各収容部において、単一のファンからの送風量が、各収
容部を経由する空気通路の発熱量に応じて分流されるよう、電装ボックスとファンの一体
化によって、それを達成できるものとなる。
【0022】
また、発熱量小の誘導加熱コイルに替わって輻射式ヒータ(ラジェントヒータともいう
)を備えた誘導加熱調理器とする場合でも、輻射式ヒータとその制御部の収容部に対して
も、上記同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る誘導加熱調理器の一部破断により内部を現した正面斜視図である。
【図2】本発明に係る誘導加熱調理器の加熱状態表示器HPと誘導加熱コイルの部分の縦断面図である。
【図3】本発明に係る円弧状導光体と光源の関係を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る誘導加熱調理器の電気的制御部を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る誘導加熱調理器の電装ボックスの分解斜視図である。
【図6】本発明に係る電装ボックスの組み立てられた状態の正面斜視図である。
【図7】本発明に係るファンの斜視図である。
【図8】本発明に係る電装ボックスの内部構成を説明する縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明では、天板に対して配置した加熱源が誘導加熱コイルのみの誘導加熱調理器にお
いては、誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部を電装ボックスに収容する形態とし、
この電装ボックスに一体的に、冷却用ファンと、誘導加熱コイルの下側から送風して誘導
加熱コイル及び周辺部材の冷却のための送風ダクト部とを設けることにより、単一のファ
ンによって、前記制御部の冷却と共に、誘導加熱コイル及び周辺部材へ有効に送風して冷
却する新規な電装ボックス構成とする。
【0025】
また、発熱量の大小異なる誘導加熱コイルと、前記各誘導加熱コイルへの通電制御に係
る制御部を収容する電装ボックスを備えた誘導加熱調理器においては、発熱量大の誘導加
熱コイルへの通電制御に係る制御部と、発熱量小の誘導加熱コイルへの通電制御に係る制
御部とを電装ボックスに収容する形態とし、この電装ボックスに一体的に、冷却用ファン
と、各誘導加熱コイル及びその周辺部材の冷却のための送風用のダクトとを設けることに
より、単一のファンによって、前記各制御部の冷却と共に、各誘導加熱コイル及びその周
辺部材へ通じるそれぞれの送風通路の発熱量に応じた送風量にて、これらを効果的に冷却
する新規な電装ボックス構成とする。
【0026】
更に、本発明では、二つの発熱量大の誘導加熱コイルと一つの発熱量小の誘導加熱コイ
ルを備えた誘導加熱調理器において、発熱量大の誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御
部と、発熱量小の誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部とを電装ボックスのそれぞれ
の収容部に分散収容する形態とし、この電装ボックスに一体的に、冷却用ファンと、各誘
導加熱コイル及びその周辺部材の冷却のための送風用のダクトとを設けることにより、単
一のファンによって、前記各制御部の冷却と共に、各誘導加熱コイル及び周辺部材へ有効
に送風して冷却する新規な電装ボックス構成とする。
【実施例1】
【0027】
以下、本発明の実施例として、二つの発熱量大の誘導加熱コイルと一つの発熱量小の誘
導加熱コイルを備えた代表的な誘導加熱調理器の実施形態について、添付図面を参照して
詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる誘導加熱調理器1の外観構成を示す斜視図であ
る。同図に示す誘導加熱調理器1は、システムキッチンなどにドロップイン方式で組み込
まれて設置される調理器であり、略矩形状のケースに収納された本体部2と、本体部2の
上面に装着された耐熱ガラス製の天板3を備え、本体部2の内部には、手前側(前側)に
天板3の下方に間隔を保って設置された熱源となる左右一対の発熱量大なる第1誘導加熱
コイル4及び第2誘導加熱コイル5と、それらの中央奥側(後側)に誘導加熱コイル4及
び5と間隔を保って配置された一つの発熱量小の第3誘導加熱コイル6を備えている。誘
導加熱コイル4、5及び6にそれぞれ対応する天板3には、鍋等の調理容器を載置する場
所を明示するために、円形状の調理容器載置部8、8及び9が印刷などによって表示され
ている。本実施例では、誘導加熱コイル4、5は3Kwの発熱量のものであり、誘導加熱
コイル6は2Kwの発熱量のものであるがこれに限定されない。
【0028】
一方、天板3の下方部分において、本体部2の前面から見て一方側(図示のものは左側
)には、内部に配置した電熱ヒータ(図示せず)にて魚等の食品を焼き上げるグリル7が
配置され、グリル7の前面開口は手前側へ魚等の食品を引き出し可能に支持されたグリル
扉7Aにて開閉される。また、本体部2の前面から見て他方側(図示のものは右側)、即
ち、グリル7の右隣りの空間に本発明に係る電装ボックス35が配置され、電装ボックス
35の前面側にはグリル扉7Aの右側に操作パネル10が配置されている。
【0029】
誘導加熱コイル4、5及び6は、それぞれ合成樹脂製のコイル台4A、5A、6Aに支
持されており、図2に示すように、天板3の下方に位置する支持板部26に設けた支持ボ
ス26Aにネジ27で取り付けている。支持板部26は、特別に設けたものでもよく、ま
た、グリル7を取り囲む天井板及び電装ボックス35の上面板で形成されるものでもよい
。以下、支持板部26は天井板26と称することとする。図示の形態では、誘導加熱コイ
ル4のコイル台4Aは、グリル7の天井板26の支持ボス26Aにネジ27で取り付けら
れる。また、誘導加熱コイル5のコイル台5Aは、後述のように、電装ボックス35の上
面板39の支持ボス39Aにネジで取り付けられ、誘導加熱コイル6のコイル台6Aは、
後述のように、一部がグリル7の天井板26の支持ボス26Aにネジ27で取り付けられ
、他の部分が電装ボックス35の上面板39の支持ボス39Aにネジで取り付けられる構
成である。
【0030】
操作部10には、シーソー式の電源スイッチ11、ON−OFFをプッシュ式で行なう
3個の操作つまみ12、3個の操作つまみ12に対応配置したLEDによる表示部13な
どが配設されている。3個の操作つまみ12は、それぞれ誘導加熱コイル4、5及び6に
対応し、それぞれプッシュ操作により引き出されることによって、誘導加熱コイル4、5
及び6への通電による運転を開始できる一方、プッシュ操作により押し込まれることで、
それらの運転が停止されるようになっている。また、操作つまみ12を引き出し位置で回
転操作することで、それぞれ誘導加熱コイル4、5、6による火力や調理時間、調理温度
などの各種設定が行えるようになっている。
【0031】
天板3の外周には、天板枠3Aが設けられており、天板枠3Aの前端辺には、操作窓1
4が左右方向に長く穿孔されており、操作窓14内にはタッチキーで構成された操作部1
5が配置されている。操作部15には、火力キー、湯沸しキー、揚げ物キー等のタッチ領
域が印刷により形成されている。また、天板3の後部分に排気口と吸気口を設けるために
、天板枠3Aの後端辺には、左右一対の排気口16と吸気口17が形成されている。一方
、操作部15と両誘導加熱コイル4、5との間には、バックライト付きの液晶表示パネル
からなる表示部18が設けられている。表示部18は、設定火力や調理時間、調理温度な
どの調理に関する情報などを数字及びまたは図形にて表示できるようになっている。
【0032】
加熱状態表示器HPは、図2に示すように、誘導加熱コイル4、5の周囲の前面側には
、誘導加熱コイル4、5を支持するコイル台4A、5Aに、合成樹脂の成形等によって上
面開口の凹状の収納溝19Aを形成した円弧状導光体ケース19が取り付けられている。
導光体ケース19の凹状の収納溝19Aには、横断側面形状が四角形または円形をなす円
弧状の透明樹脂材等(例えば、アクリル樹脂)により形成した導光体20を収納している
。円弧帯状導光体20は、天板3の上面側から視覚可能なるように、天板3には調理容器
載置部8、8の外周部の手前側に円弧状の透明な透光部21が形成され、この透光部21
の真下に導光体20が配置されるように導光体ケース19が取り付けられている。
【0033】
図3に示すように、導光体20は、その左右両端部に光源22を配置している。光源2
2は、赤色光を発するLED(発光ダイオード)23、緑色光を発するLED(発光ダイ
オード)24、青色光を発するLED(発光ダイオード)25を備えており、誘導加熱コ
イル8、8による加熱の強、中、弱の動作状態を表示するための異なる色の可視光線を発
するようにいる。
【0034】
図4は、本実施形態の誘導加熱調理器1の電気的な制御部28を示すブロック図である
。図4に示すように、誘導加熱調理器1は、該誘導加熱調理器1の各部を制御するマイク
ロコンピュータ構成のメイン制御部29、図1に示す表示部13、表示部18及び光源2
2に係る表示制御部18T、図1に示す操作部10及び操作部15に係る操作制御部10
T、誘導加熱調理器1の制御に必要な各種データなどを格納するメモリ30、音声出力部
31、音声出力部31に接続されたスピーカ32、調理機能の制御を行うための調理機能
制御部33の各部を備えている。調理機能制御部33は、誘導加熱コイル4の通電制御を
行うIH4制御部33A、誘導加熱コイル5の通電制御を行うIH5制御部33B、誘導
加熱コイル6の通電制御を行うIH6制御部33C、グリル7の電熱ヒータの通電制御を
行うグリル制御部33D、電装ボックス35のファン40の運転を制御するファン制御部
33Eなどを有しており、誘導加熱調理器1の調理に関する機能を有する各部を制御する
ようになっている。
【0035】
電装ボックス35は、誘導加熱調理器1の電気的な制御部28の全体を収容、または制
御部28の中の選択された制御部を収容する方法がある。電装ボックス35には、制御部
28の全体を収容する形態も考えられるが、実施例では、各制御回路部とそれに接続され
る部分との配置関係や、各制御回路基板間の配線等を考慮して、電装ボックス35には、
制御部28の中の選択された制御部を収容している。その場合、電装ボックス35には、
制御部28の中の発熱量の大きい制御部を収容し、この収容された制御部を単一ファン4
0によって冷却することにより、安定した動作を確保するようにしている。
【0036】
誘導加熱コイル4、5及び6の通電制御に係る制御部33A、33B、33Cは、発熱
量を可変制御するためのインバータ回路を含む回路構成であるため、発熱量の大きい制御
部である。このため、少なくとも、電装ボックス35には、これら制御部33A、33B
、33Cを収容し、これら制御部33A、33B、33Cの冷却を行うと共に、誘導加熱
コイル4、5の冷却と、誘導加熱コイル6の冷却と、誘導加熱コイル4、5の周辺部の冷
却と、誘導加熱コイル6の周辺部の冷却とを単一ファン40によって行なう構成としてい
る。
【0037】
図示の形態では、誘導加熱調理器1がグリル7を備えるタイプであり、電装ボックス3
5は、グリル7の右隣りの空間に配置されている。以下、グリル7を備える誘導加熱調理
器1の構成を図5乃至図8に基づき詳細に説明する。電装ボックス35は、誘導加熱コイ
ル4、5及び6の通電制御に係る制御部がプリント配線基板に取り付けられた状態で収容
されるボックス本体部35Aと、誘導加熱コイル4、5の直下に配置した送風ダクト部3
5Bとで構成されている。送風ダクト部35Bは、ボックス本体部35Aの上面部に略水
平状態で左右方向(横方向)に配置されている。
【0038】
ボックス本体部35Aは、3層に積層された収納部構造をなし、最下部の第1層には、
誘導加熱コイル4及び5の通電制御に係る制御部33A、33Bのうちの一方の制御部を
収容する第1収容部36を形成している。中間部の第2層には、誘導加熱コイル4及び5
のうちの他方の通電制御に係る制御部(図示では33A)を収容する第2収容部37を形
成している。そして、最上部の第3層には、誘導加熱コイル6の通電制御に係る制御部3
3Cを収容する第3収容部38を形成している。
【0039】
誘導加熱コイル4及び5が同等の発熱量を有するものである場合は、誘導加熱コイル4
または5の一方を第1収容部36に収容し、他方を第2収容部37に収容する。また、誘
導加熱コイル4及び5が異なる発熱量を有するものである場合は、大きい発熱量の方を第
1収容部36に収容し、小さい発熱量の方を第2収容部37に収容する。図示のものでは
、誘導加熱コイル4及び5は同等の発熱量を有するものであるため、第1収容部36には
誘導加熱コイル4の通電制御に係る制御部33Aを収容してもよいが、誘導加熱コイル5
の通電制御に係る制御部33Bを収容する形態となっている。以下、この収容状態に基づ
き説明するものとする。
【0040】
図5は電装ボックス35の分解斜視図である。これから明らかなように、第1収容部3
6、第2収容部37、及び第3収容部38は、それぞれ底壁と周囲壁で囲まれ上面が開放
した形態であり、それぞれ合成樹脂の成形によって形成されている。第1収容部36には
、誘導加熱コイル5の通電制御に係るインバータ回路を含む制御部33Bが収容され、第
2収容部37には、誘導加熱コイル4の通電制御に係るインバータ回路を含む制御部33
Aが収容され、第3収容部38には、誘導加熱コイル6の通電制御に係るインバータ回路
を含む制御部33Cが収容される。
【0041】
制御部33Bは、誘導加熱コイル5の通電制御に係る制御部33Bを構成する電気部品
33B1とその放熱フィン(アルミニウムの押し出し材で形成したもの)33B2がプリ
ント配線基板に取り付けられた構成である。また、制御部33Aは、誘導加熱コイル4の
通電制御に係る制御部33Aを構成する電気部品33A1とその放熱フィン(アルミニウ
ムの押し出し材で形成したもの)33A2がプリント配線基板に取り付けられた構成であ
る。更に、制御部33Cは、誘導加熱コイル6の通電制御に係る制御部33Cを構成する
電気部品33C1とその放熱フィン(アルミニウムの押し出し材で形成したもの)33C
2がプリント配線基板に取り付けられた構成である。
【0042】
電装ボックス35は、制御部33B、33A、33Cの冷却、及び誘導加熱コイル4、
5及び6の冷却並びその周辺部の冷却を行うために、ファン40が電装ボックス35の後
部に組み込まれている。ファン40は、図7に示すように、シロッコファン40Aが電動
機40Bによって駆動される形態であり、シロッコファン40Aを取り囲むファンケース
40Cと電動機40Bが、電装ボックス35の後部に取り付けられている。シロッコファ
ン40Aは、ファンケース40Cの側面に開口した空気吸い込み口41から空気を吸い込
み、ファンケース40Cの正面側に開口した空気吐出口42から吐出される。このため、
ファンケース40Cは、空気吐出口42が第1収容部36と第2収容部37の各後壁面に
形成した空気入口36E、37Eの両方に亘るように、電装ボックス35の後部に取り付
けられ、それによって、空気吐出口42から空気入口36E、37Eへ流入する空気量は
、第2収容部37の底壁37Tの後端によってPとQに分流され、第1収容部36と第2
収容部37へPとQに分流して流通する。
【0043】
電装ボックス35は、第1収容部36の空気出口と送風ダクト部35Bの空気入口とを
連通するための連通ダクト44を側面部に備えている。また、冷却用空気を導くために、
単一のファン40への空気吸い込み側のダクト43が、誘導加熱調理器1の後部の吸気口
17に連通するように、電装ボックス35の後側に配置されている。それぞれ第1収容部
36、第2収容部37、及び第3収容部38の右側面には、縦方向に形成されたダクト3
6D、37D、38Dを一体に成形によって形成している。連通ダクト44は、ダクト3
6D、37D、38Dが連通することによって、電装ボックス35の右側面に縦方向に形
成される。連通ダクト44の空気吸い込み口となる下端部がダクト36Dにて形成され、
連通ダクト44の空気吐出口となるダクト38Dの上端部は、送風ダクト部35Bの空気
吸い込み口となる右端部に連通する状態となる。なお、空気吸い込み側のダクト43は、
電装ボックス35に一体化しなくてもよい。
【0044】
上記の制御部33B、33A、33Cが収容され、単一のファン40が取り付けられた
状態で、第1収容部36の上面開口を第2収容部37の底壁で塞ぐように、第1収容部3
6の上面開口に第2収容部37を載せる。また、第2収容部37の上面開口を第3収容部
38の底壁で塞ぐように、第2収容部37の上面開口に第3収容部38を載せる。また、
第3収容部38の上面開口を上面板39で塞ぐように、第3収容部38の上面開口に上面
板39を載せる。更に、3個の支持ボス39A間に位置決めされるように上面板39の上
面に、送風ダクト部35Bを左右方向状態に載せる。
【0045】
第1収容部36と第2収容部37は、それぞれ形成したフランジ形態の結合部36Aと
37A1がネジにて結合されて一体化される。また、第2収容部37と第3収容部38は
、それぞれ形成したフランジ形態の結合部37A2と38A1がネジにて結合されて一体
化される。更に、第3収容部38と上面板39は、それぞれ形成したフランジ形態の結合
部38A2と39A1がネジにて結合されて一体化される。更にまた、上面板39と送風
ダクト部35Bは、送風ダクト部35Bに形成したフランジ形態の結合部35B1が上面
板39の結合孔39A3にネジにて結合されて一体化される。このようにして組み立てら
れた電装ボックス35は、図6に示している。
【0046】
このような組み立てによって、連通ダクト44の空気吸い込み口となる下端部は、第1
収容部36の右側面に連通し、連通ダクト44の空気吐出口となる上端部は、送風ダクト
部35Bの空気吸い込み口となる右端部に連通する状態となる。
【0047】
なお、組み立てられた電装ボックス35が本体部2に収納設置されるとき、上面板39
に形成したフランジ形態の結合部39A2、及び送風ダクト部35Bに形成したフランジ
形態の結合部35B2が、前記グリル7の天井板26にネジにて結合される。このように
、電装ボックス35が本体部2に収納設置されることにより、送風ダクト部35Bの下面
は、前記グリル7の天井板26にて塞がれ、左右方向の空気ダクトが形成される。なお、
送風ダクト部35Bは、それ自体で空気ダクトを形成するように、その下面が予め塞がれ
たダクト形態であっても差し支えない。
【0048】
上記のように組み立てられた電装ボックス35が、図1に示すように本体部2に収納設
置された状態において、送風ダクト部35Bは、グリル7の天井と天板3との間の空間に
おいて、左右方向に略水平状態配置でもって、誘導加熱コイル4、5を支持するコイル台
4A、5Aの下方部に位置する。この状態において、ファン40の運転によって、誘導加
熱調理器1の後部の吸気口17から吸い込まれた誘導加熱調理器1の周辺部の空気は、吸
気口17に連通した吸気ダクト43を通り、空気吸い込み口41からシロッコファン40
Aへ吸い込まれ、図8に矢印で示すように、空気吐出口42から第1収容部36と第2収
容部37の後端部に形成した空気入口36E、37Eへ流入する。空気吐出口42から空
気入口36E、37Eへ流入する空気量は、第2収容部37の底壁37Tの後端によって
PとQに分流され、第1収容部36と第2収容部37へPとQに分流して流通する。
【0049】
第1収容部36へ流入した空気は、制御部33Bを冷却した後、連通ダクト44を通っ
て送風ダクト部35Bへ流れる。送風ダクト部35Bの上面には、誘導加熱コイル4、5
の下面に対応する位置に、空気吐出部として複数の空気吐出口35Dを形成しており、こ
の空気吐出口35Dから吐出する空気によって、誘導加熱コイル4、5及びそれを支持す
るコイル台4A、5A等周辺部材を冷却する。誘導加熱コイル4、5及びそれを支持する
コイル台4A、5A等周辺部材を冷却した空気は、天板3の下面の空間に沿って流れ、そ
の間に、表示制御部18T及びその他の部分を冷却しつつ、誘導加熱調理器1の後部の排
気口16から誘導加熱調理器1の外へ排出される。
【0050】
このように、第1収容部36へ流入した空気が、制御部33Bを冷却した後、誘導加熱
コイル4、5の下側から吐出され、誘導加熱コイル4、5及びその周辺部を冷却するよう
に流れる空気通路が形成されることとなり、これを第1空気通路と称することとする。
【0051】
一方、第2収容部37へ流入した空気は、制御部33Aを冷却した後、第2収容部37
の前端部と第3収容部38の前端部に形成した連通部45から第3収容部38へ流入し、
制御部33Cを冷却する。制御部33Cを冷却した空気は、その一部が第3収容部38の
後端部に対応して上面板39に形成した第1空気吐出口46から、ガイド壁48に沿って
上面板39と天板3との間の空間に吐出される。また、上面板39には、誘導加熱コイル
6及びそれを支持するコイル台6Aに対応する位置に、空気吐出部として複数の第2空気
吐出口47を形成しており、制御部33Cを冷却した空気は、この第2空気吐出口47か
ら吐出する空気によって、誘導加熱コイル6及びそれを支持するコイル台6A等を冷却す
る。
【0052】
第1空気吐出口46から上面板39と天板3との間の空間に吐出される空気と、第2空
気吐出口47から吐出する空気は、天板3の下面に沿って流れ、その間に各部を冷却しつ
つ誘導加熱調理器1の後部の排気口16から誘導加熱調理器1の外へ排出される。
【0053】
このように、第2収容部37へ流入した空気が、制御部33Aを冷却した後、第3収容
部38へ流入して制御部33Cを冷却し、誘導加熱コイル6及びその周辺部を冷却するよ
うに流れる空気通路が形成されることとなり、これを第2空気通路と称することとする。
【0054】
上記のように、電装ボックス35には、単一のファン40によって空気吐出口42から
吐出される冷却用空気が流れる空気通路として、第1収容部36から連通ダクト44を通
って送風ダクト部35Bへ流れて誘導加熱コイル4、5及びその周辺を冷却する第1空気
通路と、第2収容部37から第3収容部38を流れて誘導加熱コイル6及びその周辺を冷
却する第2空気通路とが形成されている。このため、単一のファン40によって空気吐出
口42から第1収容部36と第2収容部37へPとQに分流して送風される空気量の割合
は、この第1空気通路と第2空気通路とにおける冷却効果が適切に行なわれる割合に分流
されることが好ましい。
【0055】
誘導加熱コイル4及び5、誘導加熱コイル6、並びにこれらの通電制御に係る制御部3
3B、33A、33Cが、どのような空気通路に配置されるかによって、その空気通路の
発熱量が定まるが、実施例の構成では、前記第2空気通路の発熱量よりも前記第1空気通
路の発熱量が大きい設定である。このため、第1空気通路を流れる空気量が第2空気通路
を流れる空気量よりも多くなるように、ファン40によって空気吐出口42から吐出され
る空気の分流割合を定めている。
【0056】
その実施例の一つとして、前記第2空気通路の発熱量よりも前記第1空気通路の発熱量
が略3倍であるため、第1収容部36へ流入する空気量Pは、第2収容部37へ流入する
空気量Qの3倍の空気量が流れるように、空気吐出口42を第1収容部36と第2収容部
37の後端部の空気入口に対して配置しており、空気吐出口42から3:1の割合に分流
して送風される構成によって、好ましい冷却効果が得られている。
【0057】
電装ボックス35には、制御部28の中の発熱量の大きい制御部を収容し、これらの制
御部を単一ファンによって冷却することにより、安定した動作を確保するようにしている
ため、上記の構成では、制御部28の中の発熱量の大きい制御部であるところの誘導加熱
コイル5、4及び6の通電制御に係る制御部33B、33A、33Cが、3層に分かれて
、それぞれ第1収容部36、第2収容部37、第3収容部38へ収容された構成である。
【0058】
しかし、制御部28のその他の部分である操作制御部10T、表示制御部18T、メイ
ン制御部29、メモリ30、音声出力部31、グリル制御部33D、ファン制御部33E
のうち、選択されたもの、またはこれらすべてを、第1収容部36、第2収容部37、第
3収容部38のいずれかに、または分散して収容するようにしてもよい。例えば、発熱量
の大きいグリル制御部33Dを第1収容部36に収容するようにしてもよい。また、グリ
ル制御部33Dを第1収容部36に収容し、メイン制御部29を第2収容部37または第
3収容部38に収容するようにしてもよい。更に、図1に示すように、表示制御部18T
を天板3の下側空間に配置し、その他の操作制御部10T、メイン制御部29、メモリ3
0、音声出力部31、グリル制御部33D、ファン制御部33Eが、それぞれ第1収容部
36、第2収容部37、第3収容部38へ分散して収容するようにしてもよい。
【0059】
この場合も、前記第2空気通路の発熱量よりも前記第1空気通路の発熱量が大きい設定
である。このため、第1空気通路を流れる空気量が第2空気通路を流れる空気量よりも多
くなるように、ファン40によって空気吐出口42から吐出される空気の分流割合を定め
る。そして、前記第2空気通路の発熱量よりも前記第1空気通路の発熱量が略3倍である
構成では、第1収容部36へ流入する空気量Pは、第2収容部37へ流入する空気量Qの
3倍の空気量が流れるように、空気吐出口42を第1収容部36と第2収容部37の後端
部の空気入口に対して配置しており、空気吐出口42から3:1の割合に分流して送風さ
れる構成によって、好ましい冷却効果が得られる。
【0060】
また、上記で説明した誘導加熱調理器1は、誘導加熱コイル5、4及び6を備えたもの
であるが、一つの発熱量大の誘導加熱コイル(例えば誘導加熱コイル5)を備え、一つの
発熱量小の誘導加熱コイル6を備える誘導加熱調理器1においては、第2収容部37に制
御部33Cを収容し、第3収容部38を省いた2層構造となり、第1収容部36の上面開
口に第2収容部37を載せ、第2収容部37の上面開口を上面板39で塞ぐように、第2
収容部37の上面開口に上面板39を載せる。更に、上面板39の上面に送風ダクト部3
5Bを左右方向状態に載せる構成とすればよい。
【0061】
この場合、単一のファン40によって空気吐出口42から吐出される冷却用空気が流れ
る空気通路として、上記一つの発熱量大の誘導加熱コイル(例えば誘導加熱コイル5)へ
の通電制御に係る制御部33Bを収容する収容部36を流れ、ダクト36D、37Dを通
って送風ダクト部35Bから吐出して誘導加熱コイル5及びその周辺部を冷却する第1誘
導加熱コイル側空気通路と、更に、一つの発熱量小の誘導加熱コイル6への通電制御に係
る制御部33Cを収容する収容部37を流れ、発熱量小の誘導加熱コイル6の下側から吐
出して誘導加熱コイル6及び周辺部を冷却する第2誘導加熱コイル側空気通路とが形成さ
れるものとなる。この場合も、前記第2誘導加熱コイル側空気通路の発熱量よりも前記第
1誘導加熱コイル側空気通路の発熱量が大きいため、ファン40は、第2誘導加熱コイル
側空気通路の空気量よりも第1誘導加熱コイル側空気通路の空気量が多く分流される関係
にて、空気吐出口42が、両収容部36、37の後面に形成した空気入口36E、37E
の両方に亘るように電装ボックス35に取り付けられる。
【実施例2】
【0062】
上記実施例1で説明した誘導加熱調理器1は、誘導加熱コイル5、4及び6を備えたも
のであるが、誘導加熱コイル6の替わりに、輻射式ヒータ(ラジェントヒータともいう、
以下、RHと称することとする)を配置する構成とすることもできる。この場合、図4に
示す電気的制御部28は、IH6制御部33Cの替わりに輻射式ヒータの通電制御に係る
制御部(ここでは、制御部33Hと称することとする)を設ければよく、電装ボックス3
5の第3収容部38には、この制御部33Hを収容して、上記同様の空気の流れを形成す
れば、上記同様の作用効果を達成できる。
【0063】
この場合の具体的な構成は、上記図1乃至図8、及び上記の説明において、誘導加熱コ
イル6を輻射式ヒータRHとし、IH6制御部33Cを輻射式ヒータの通電制御部33H
とすれば、他の部分は上記説明と同じである。この場合の技術的手段としては、以下の通
りとなる。
【0064】
即ち、第6発明の誘導加熱調理器1は、本体部の上面に天板を備え、本体部の内部に誘
導加熱コイルと、輻射式ヒータと、誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部及び輻射式
ヒータへの通電制御に係る制御部を収容する電装ボックスを備えた誘導加熱調理器におい
て、前記電装ボックスは、前記誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部を収容する収容
部と、前記収容部内を流れた空気を前記誘導加熱コイルへ下側から吐出するように前記誘
導加熱コイルの直下に配置した送風ダクト部と、前記収容部の上に積層され前記輻射式ヒ
ータへの通電制御に係る制御部を収容する収容部と、前記各収容部に分流して空気を吐出
する単一のファンとを備え、前記電装ボックスは、前記ファンから吐出される空気が分流
して流れるように、前記誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部を収容する収容部を流
れ前記送風ダクト部から吐出して前記誘導加熱コイル及びその周辺部を冷却する誘導加熱
コイル側空気通路と、前記輻射式ヒータへの通電制御に係る制御部を収容する収容部を流
れ前記輻射式ヒータの下側から吐出して前記輻射式ヒータ及び周辺部を冷却する輻射式ヒ
ータ側空気通路とを形成し、前記輻射式ヒータ側空気通路の発熱量よりも前記誘導加熱コ
イル側空気通路の発熱量が大きく、前記輻射式ヒータ側空気通路の空気量よりも前記誘導
加熱コイル側空気通路の空気量が多く分流されるよう、前記誘導加熱コイル側空気通路と
前記輻射式ヒータ側空気通路の空気入口に対して前記ファンの空気吐出口が配置されたこ
とを特徴とする。
【0065】
第7発明の誘導加熱調理器は、本体部の上面に天板を備え、前記本体部の内部に左右配
置した誘導加熱コイルと、前記左右配置した誘導加熱コイルの中央奥側に配置された輻射
式ヒータと、前記誘導加熱コイル及び前記輻射式ヒータへの通電制御に係る制御部を収容
する電装ボックスを備えた誘導加熱調理器において、前記電装ボックスは、前記左右配置
の一方の誘導加熱コイルへの通電制御に係る第1制御部を収容する第1収容部と、前記第
1収容部内を流れた空気を前記誘導加熱コイルへ下側から吐出するように前記各誘導加熱
コイルの直下に左右方向に配置した送風ダクト部と、前記第1収容部の上に積層され前記
左右配置の他方の誘導加熱コイルへの通電制御に係る第2制御部を収容する第2収容部と
、前記第2収容部の上に積層され前記輻射式ヒータへの通電制御に係る第3制御部を収容
する第3収容部と、前記第1収容部と第2収容部に分流して空気を吐出する単一のファン
とを備え、前記電装ボックスは、前記ファンから吐出される空気が分流して流れるように
、前記第1収容部を流れ前記送風ダクト部から吐出して前記誘導加熱コイル及び周辺部を
冷却する第1空気通路と、前記第2収容部から前記第3収容部を流れ前記輻射式ヒータの
下側から吐出して前記輻射式ヒータ及び周辺部を冷却する第2空気通路とを形成し、前記
第2空気通路の発熱量よりも前記第1空気通路の発熱量が大きく、前記第2空気通路の空
気量よりも前記第1空気通路の空気量が多く分流されるよう、前記第1空気通路と前記第
2空気通路の空気入口に対して前記ファンの空気吐出口が配置されたことを特徴とする。
【0066】
第8発明の誘導加熱調理器は、第6発明において、前記ファンは、前記輻射式ヒータ側
空気通路の空気量よりも前記誘導加熱コイル側空気通路の空気量が多く分流される関係に
て、前記空気吐出口が、前記両収容部の後面に形成した空気入口の両方に亘るように前記
電装ボックスに取り付けられたことを特徴とする。
【0067】
第9発明の誘導加熱調理器は、第7発明において、前記ファンは、前記第2空気通路の
空気量よりも前記第1空気通路の空気量が多く分流される関係にて、前記空気吐出口が、
第1収容部と第2収容部との後面に形成した空気入口の両方に亘るように前記電装ボック
スに取り付けられたことを特徴とする。
【0068】
これによって、以下の効果を奏するものとなる。即ち、この第6発明乃至第9発明によ
って、誘導加熱調理器が、誘導加熱コイルと輻射式ヒータ(ラジェントヒータともいう)
を備えたものにおいて、誘導加熱コイルや輻射式ヒータの制御部を電装ボックスに収容し
、これら制御部の冷却と、誘導加熱コイル及びその周辺部材の冷却、更には、輻射式ヒー
タ及びその周辺部材の冷却が、単一ファンによって有効に行える電装ボックス構成を提供
できるものとなる。
【0069】
そして、第6発明乃至第9発明の電装ボックスは、誘導加熱コイルに対応する制御部と
輻射式ヒータに対応する制御部をそれぞれ異なる収容部へ収容する形態とし、且つ、これ
ら収容部が積層される構成とし、単一のファンによってこの各収容部に分流して空気を送
り込むように、この単一のファンを電装ボックスに一体化した構成とすることによって、
各収容部が送風のダクトの役目を果たすことによって、これら制御部の冷却効果の向上を
図ることができると共に、誘導加熱コイルと輻射式ヒータに対応する制御部が、どの収容
部に収容されているかを判別し易く、該当する制御部の修理・点検等のサービス製の向上
を図ることができるものとなる。
【0070】
更に、第6発明乃至第9発明では、二つの誘導加熱コイルと一つの輻射式ヒータを備え
た誘導加熱調理器において、輻射式ヒータへの通電制御に係る制御部と、二つの誘導加熱
コイルへの通電制御に係る各制御部が、別個の収容部に収容される3層積層形態の電装ボ
ックスとし、単一のファンを電装ボックスに一体化し、このファンからの空気が分流して
3層積層の各収容部に送り込まれるようにすることによって、各収容部が送風のダクトの
役目を果たすことによって、冷却効果の向上を図ることができると共に、各誘導加熱コイ
ルに対応する制御部と輻射式ヒータに対応する制御部が、どの収容部に収容されているか
を判別し易く、該当する制御部の修理・点検等のサービス製の向上を図ることができるも
のとなる。
【0071】
また、上記のような3層積層の各収容部において、単一のファンからの送風量が、各収
容部を経由する空気通路の発熱量に応じて分流されるよう、電装ボックスとファンの一体
化によって、それを達成できるものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に係る誘導加熱調理器は、上記実施例に示した構成に限定されず、種々の形態の
ものに適用できるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものであ
る。
【符号の説明】
【0073】
1・・・・・誘導加熱調理器
2・・・・・本体部
3・・・・・天板
4・・・・・誘導加熱コイル
5・・・・・誘導加熱コイル
6・・・・・誘導加熱コイルまたは輻射式ヒータ(ラジェントヒータ)
7・・・・・グリル
7A・・・・グリル扉
8、9・・・調理容器載置部
10・・・・操作パネル
11・・・・電源スイッチ
12・・・・操作つまみ
13・・・・表示部
14・・・・操作窓
15・・・・操作部
16・・・・排気口
17・・・・吸気口
18・・・・表示部
18T・・・表示制御部
19・・・・導光体ケース
20・・・・円弧帯状導光体
21・・・・透光部
22・・・・光源
23・・・・LED
24・・・・LED
25・・・・LED
26・・・・支持板部(グリルの天井板)
27・・・・ネジ
28・・・・電気的制御部
29・・・・メイン制御部
30・・・・メモリ
31・・・・音声出力部
32・・・・スピーカ
33・・・・調理機能制御部
33A・・・IH4制御部
33B・・・IH5制御部
33C・・・IH6制御部
33D・・・グリル制御部
33E・・・ファン制御部
35・・・・電装ボックス
35A・・・ボックス本体部
35B・・・送風ダクト部
36・・・・第1収容部
36D・・・ダクト
36E・・・空気入口
37・・・・第2収容部
37D・・・ダクト
37E・・・空気入口
37T・・・底壁
38・・・・第3収容部
38D・・・ダクト
39・・・・上面板
40・・・・ファン
40A・・・シロッコファン
40B・・・電動機
40C・・・ファンケース
41・・・・空気吸い込み口
42・・・・空気吐出口
43・・・・吸気ダクト
44・・・・連通ダクト
45・・・・連通部
46・・・・第1空気吐出口
47・・・・第2空気吐出口
48・・・・ガイド壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の上面に天板を備え、前記本体部の内部に発熱量の大小異なる誘導加熱コイルと
、前記各誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部を収容する電装ボックスを備えた誘導
加熱調理器において、前記電装ボックスは、前記発熱量大の誘導加熱コイルへの通電制御
に係る制御部を収容する収容部と、前記収容部内を流れた空気を前記発熱量大の誘導加熱
コイルへ下側から吐出するように前記誘導加熱コイルの直下に配置した送風ダクト部と、
前記収容部の上に積層され前記発熱量小の誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部を収
容する収容部と、前記各収容部に分流して空気を吐出する単一のファンとを備え、前記電
装ボックスは、前記ファンから吐出される空気が分流して流れるように、前記発熱量大の
誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部を収容する収容部を流れ前記送風ダクト部から
吐出して前記発熱量大の誘導加熱コイル及びその周辺部を冷却する第1誘導加熱コイル側
空気通路と、前記発熱量小の誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部を収容する収容部
を流れ前記発熱量小の誘導加熱コイルの下側から吐出して前記発熱量小の誘導加熱コイル
及びその周辺部を冷却する第2誘導加熱コイル側空気通路とを形成し、前記第2誘導加熱
コイル側空気通路の発熱量よりも前記第1誘導加熱コイル側空気通路の発熱量が大きく、
前記第2誘導加熱コイル側空気通路の空気量よりも前記第1誘導加熱コイル側空気通路の
空気量が多く分流されるよう、前記第1誘導加熱コイル側空気通路と前記第2誘導加熱コ
イル側空気通路の空気入口に対して前記ファンの空気吐出口が配置されたことを特徴とす
る誘導加熱調理器。
【請求項2】
本体部の上面に天板を備え、前記本体部の内部に左右配置した発熱量大の誘導加熱コイ
ルと、前記左右配置した誘導加熱コイルの中央奥側に配置された発熱量小の誘導加熱コイ
ルと、前記各誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部を収容する電装ボックスを備えた
誘導加熱調理器において、前記電装ボックスは、前記左右配置の一方の誘導加熱コイルへ
の通電制御に係る第1制御部を収容する第1収容部と、前記第1収容部内を流れた空気を
前記発熱量大の誘導加熱コイルへ下側から吐出するように前記発熱量大の各誘導加熱コイ
ルの直下に左右方向に配置した送風ダクト部と、前記第1収容部の上に積層され前記左右
配置の他方の誘導加熱コイルへの通電制御に係る第2制御部を収容する第2収容部と、前
記第2収容部の上に積層され前記発熱量小の誘導加熱コイルへの通電制御に係る第3制御
部を収容する第3収容部と、前記第1収容部と第2収容部に分流して空気を吐出する単一
のファンとを備え、前記電装ボックスは、前記ファンから吐出される空気が分流して流れ
るように、前記第1収容部を流れ前記送風ダクト部から吐出して前記左右配置した発熱量
大の誘導加熱コイル及びその周辺部を冷却する第1空気通路と、前記第2収容部から前記
第3収容部を流れ前記発熱量小の誘導加熱コイルの下側から吐出して前記発熱量小の誘導
加熱コイル及びその周辺部を冷却する第2空気通路とを形成し、前記第2空気通路の発熱
量よりも前記第1空気通路の発熱量が大きく、前記第2空気通路の空気量よりも前記第1
空気通路の空気量が多く分流されるよう、前記第1空気通路と前記第2空気通路の空気入
口に対して前記ファンの空気吐出口が配置されたことを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項3】
前記ファンは、前記第2誘導加熱コイル側空気通路の空気量よりも前記第1誘導加熱コ
イル側空気通路の空気量が多く分流される関係にて、前記空気吐出口が、前記両収容部の
後面に形成した空気入口の両方に亘るように前記電装ボックスに取り付けられたことを特
徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項4】
前記ファンは、前記第2空気通路の空気量よりも前記第1空気通路の空気量が多く分流
される関係にて、前記空気吐出口が、第1収容部と第2収容部との後面に形成した空気入
口の両方に亘るように前記電装ボックスに取り付けられたことを特徴とする請求項2に記
載の誘導加熱調理器。
【請求項5】
前記発熱量小の誘導加熱コイルに替わって輻射式ヒータを備えたことを特徴とする請求
項1乃至請求項4のいずれかに記載の誘導加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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