説明

誘導溶解炉の制御装置

【課題】簡易な構成で電力変換部の出力電圧と出力電流との位相差を確実に検出することができる誘導溶解炉の制御装置を提供する。
【解決手段】制御回路10は、出力電圧信号生成部11によりIGBT式逆変換器42aの動作信号の立ち上がりとIGBT式逆変換器42bの動作信号の立ち上がりとにより規定される時間領域をON信号とする出力電圧信号を生成すると共に、出力電流信号生成部12により検出された電力変換装置4の出力電流の立ち上がりから次の立ち下がりまでの間をON信号とする出力電流信号を生成する。そして、生成した出力電圧信号および出力電流信号とから電力変換装置4の出力電流と出力電圧との位相差を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
炉壁の外周に設けられた加熱コイルに電力供給手段を介して電力を供給することにより炉内に収納された被加熱材を溶解させる誘導溶解炉の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の誘導溶解炉の制御装置としては、下記特許文献1に示すように、インバータ回路からなる電力変換部の出力電力と出力電流との位相差を検出する時間差検出部を備えるインバータ装置が知られている。
【0003】
具体的に、かかる従来の誘導溶解炉の制御装置では、インバータ駆動信号生成部のインバータ駆動信号Vinvの立ち上がりゼロクロス点aと、電流検出部により検出される負荷に流れる電流iinvの立ち上がりゼロクロス点bとの時間差を位相差として検出する(下記特許文献 段落0022〜0024参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−157345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる従来の誘導溶解炉の制御装置では、電力変換部においてパルス幅制御(PWC制御)を行った場合には、電流iinvが不連続となりゼロクロス点bを正確に検出することが困難となる。
【0006】
さらに、インバータ駆動信号生成部における発振周波数が高い場合には、短周期でインバータ駆動信号Vinvおよび負荷に流れる電流iinvが変化するため、インバータ駆動信号Vinvの立ち上がりゼロクロス点aに対応させて、負荷に流れる電流iinvの立ち上がりゼロクロス点bを検出し、これらの間の位相差を検出することは困難である。
【0007】
以上の事情に鑑みて、本発明は、簡易な構成で電力変換部の出力電圧と出力電流との位相差を確実に検出することができる誘導溶解炉の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明の誘導溶解炉の制御装置は、炉壁の外周に設けられた加熱コイルに電力供給手段を介して電力を供給することにより炉内に収納された被加熱材を溶解させる誘導溶解炉の制御装置であって、
順変換器と、第1および第2スイッチング素子が交互に動作する逆変換器とが直列共振型回路を構成する電力変換部と、
前記第1および第2スイッチング素子の動作信号を検出する信号検出部と、
前記電力変換部の出力電流を検出する電流検出部と、
前記信号検出部により検出された前記第1および第2スイッチング素子の動作信号と、前記電流検出部により検出された前記電力変換部の出力電流とに基づいて、前記電力変換部の出力電圧と出力電流との位相差を検出する位相差検出部と
を備え、
前記位相差検出部は、前記信号検出部により検出された前記第1スイッチング素子の動作信号の立ち上がりと前記第2スイッチング素子の動作信号の立ち上がりとにより規定される時間領域をON信号とする出力電圧信号とすると共に、前記電流検出部により検出された前記電力変換部の出力電流の立ち上がりから次の立ち下がりまでの間をON信号とする出力電流信号として、該出力電圧信号と該出力電流信号との位相差を検出することを特徴とする。
【0009】
かかる第1発明の誘導溶解炉の制御装置によれば、位相差検出部は、信号検出部により検出された第1および第2スイッチング素子の動作信号から次の出力電圧信号を生成する。
【0010】
すなわち、出力電圧信号は、第1および第2スイッチング素子の動作信号そのものではなく、第1スイッチング素子の動作信号の立ち上がりと第2スイッチング素子の動作信号の立ち上がりとにより規定される時間領域をON信号とする出力電圧信号である。
【0011】
さらに、位相差検出部は、電流検出部により検出された前記電力変換部の出力電流から次の出力電流信号を生成する。
【0012】
すなわち、出力電流信号は、電流検出部により検出された前記電力変換部の出力電流そのものではなく、電力変換部の出力電流の立ち上がりから次の立ち下がりまでの間をON信号とする出力電流信号である。
【0013】
このようにして加工された出力電流信号は、電力変換部においてパルス幅制御(PWC制御)を行った場合に、出力電流波形自体が不連続になっても確実に出力電流を検出することができる。
【0014】
さらに、このようにして加工された出力電圧信号は、発振周波数が高く、短い周期で第1および第2スイッチング素子の動作信号が変化する場合でも、確実に出力電圧を検出することができる。
【0015】
そして、加工された出力電圧信号および出力電流信号とを位相差検出回路などで比較することで、簡易な構成で電力変換部の出力電圧と出力電流との位相差を確実に検出することができる。
【0016】
第2発明の誘導溶解炉の制御装置は、第1発明において、
前記位相差検出部は、前記信号検出部により検出された前記第1および第2スイッチング素子の動作信号の各立ち上がりエッジをON信号として、リセット・セット・フリップ・フロップ回路により前記出力電圧信号を生成すると共に、前記電流検出部により検出された前記電力変換部の出力電流の立ち上がりエッジおよび立下りエッジをそれぞれON信号として、リセット・セット・フリップ・フロップ回路により前記出力電流信号を生成することを特徴とする。
【0017】
かかる第2発明の誘導溶解炉の制御装置によれば、信号検出部により検出された第1および第2スイッチング素子の動作信号の各立ち上がりエッジをON信号として、リセット・セット・フリップ・フロップ回路を用いることで、第1スイッチング素子の動作信号の立ち上がりと第2スイッチング素子の動作信号の立ち上がりとにより規定される時間領域をON信号とする出力電圧信号を簡易かつ確実に生成することができる。
【0018】
また、電流検出部により検出された電力変換部の出力電流の立ち上がりエッジおよび立下りエッジをそれぞれON信号として、リセット・セット・フリップ・フロップ回路を用いることで、電力変換部の出力電流の立ち上がりから次の立ち下がりまでの間をON信号とする出力電流信号を簡易かつ確実に生成することができる。
【0019】
このように、出力波形のエッジをON信号として、リセット・セット・フリップ・フロップ回路を用いることで、簡易な構成で電力変換部の出力電圧と出力電流との位相差を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】誘導溶解炉の制御装置の構成を示す全体構成図。
【図2】制御回路の構成を示す説明図。
【図3】制御回路の出力電圧信号生成回路の処理内容を示す説明図。
【図4】制御回路の出力電流信号生成回路の処理内容を示す説明図。
【図5】制御回路の位相差検出回路の処理内容を示す説明図。
【図6】周波数制御時の位相差検出の例を示す説明図。
【図7】パルス幅制御時の位相差検出の例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照して、本実施形態の誘導溶解炉の制御装置について説明する。誘導溶解炉は、溶解炉内に収納された被加熱材Xを溶解させるものである。
【0022】
具体的に、誘導溶解炉の制御装置は、電源1と、高圧受電盤2と、変換装置用変圧器3と、電力変換装置4(本発明の電力変換部に相当する)と、誘導加熱装置5と、制御回路10(本発明の位相差検出部としての機能を有する)と、コントローラ100とを備える。
【0023】
電源1は、定格の交流電源であって、高圧受電盤2に接続されている。
【0024】
高圧受電盤2は、誘導溶解炉への電源通電・停止と故障発生時の電源遮断を行う装置であって、パワーヒューズ2aと遮断器2bとを備える。パワーヒューズ2aは、短絡事故時に電流遮断する手段であって、遮断器2bは、電源の通電と停止に伴う開閉動作を行う。
【0025】
変換装置用変圧器3は、高圧受電盤2に接続され、電力変換装置4への入力電圧が所定の値となるように調整する。
【0026】
電力変換装置4は、変換装置用変圧器3に接続され、50Hzまたは60Hzの商用電源から任意の高周波電圧を生成するための装置であって、交流/直流変換器である順変換器41a,41bと、直流/交流変換器である逆変換器42a,42bとを備え、制御回路10からの出力制御信号により制御される。
【0027】
具体的に、電力変換装置4は、入力側にダイオード式順変換器41a,41bを備え、出力側にIGBT式逆変換器42a,42bを備え、順変換器41a,41bには直列に直流リアクトル43が接続されると共に、順変換器41a,41bに並列に直流コンデンサ44が接続される。
【0028】
なお、IGBT式逆変換器42aが本発明の第1スイッチング素子に相当し、IGBT式逆変換器42bが本発明の第2スイッチング素子に相当する。
【0029】
さらに、電力変換装置4は、順変換器41a,41bの出力側の直流電圧(a)を検出して出力する直流電圧検出器45と、直流電流(b)を検出して出力する直流電流検出器46とを備え、直流電圧検出器45および直流電流検出器46の出力値は、制御回路10に出力される。
【0030】
なお、制御回路10による電力変換装置4の制御内容については詳細を後述する。
【0031】
逆変換器42a,42bと誘導加熱装置5との間には、高周波整合装置として機能を有する、力率調整用高周波コンデンサ47a,47bと、出力電流(d)を検出して出力する電流検出器48(本発明の電流検出部に相当する)と、出力電圧(e)を検出して出力する電圧検出器49とを備える。ここで、電流検出器48および電圧検出器49の出力値は、制御回路10に出力される。
【0032】
誘導加熱装置5は、電力変換装置4から供給される高周波電流を加熱コイル51に通電させることにより、溶解炉本体内に収納された被加熱材Xにうず電流を発生させ、うず電流により金属材料間に発生するジュール熱で被加熱材Xを昇温させて溶解させる。
【0033】
コントローラ100は、誘導溶解炉の運転・停止を始めとする誘導溶解炉の運転の全般を制御する。
【0034】
次に、説明を後回しにした制御回路10について、図2を参照して説明する。
【0035】
制御回路10は、誘導溶解炉の制御装置としてIGBT式逆変換器42a,42bの制御を行う制御信号生成部としての機能を備えるほか、図2に示すように、本発明の位相差検出部としての機能を有する出力電圧信号生成回路11と、出力電流信号生成回路12と、位相差検出回路13とを備える。
【0036】
なお、本実施形態において、制御回路10がIGBT式逆変換器42a,42bの制御を行う制御信号を生成し、その生成した信号を検出する信号検出部としての機能を有する。
【0037】
出力電圧信号生成回路11は、制御回路10からIGBT式逆変換器42a,42bへ出力された動作信号であるゲート信号を検出して、かかるゲート信号を基に電力変換装置4の出力電圧信号を次のように生成する。
【0038】
図3に示すように、出力電圧信号生成回路11は、IGBT式逆変換器42aのゲート信号であるU相ゲート信号に対して、IGBT式逆変換器42bのゲート信号であるX相ゲート信号を参照してデットタイム調整を行った上で、(U相ゲート信号1以外の信号2等を除去して)U相ゲート信号の1つの信号を取り出す。
【0039】
ここで、デットタイム調整を行うのは、電力変換装置4の出力電圧は、IGBT式逆変換器42a,42bのゲート信号に同期して出力されるものであるため、実際のゲート信号に合わせるためである。なお、デットタイム調整後のゲート信号を検出する場合には、かかるデットタイム調整を行う必要はない。
【0040】
同様にして、出力電圧信号生成回路11は、IGBT式逆変換器42bのゲート信号であるX相ゲート信号に対して、U相ゲート信号を参照してデットタイム調整を行った上で、(X相ゲート信号1以外の信号2等を除去して)X相ゲート信号の1つの信号を取り出す。
【0041】
このようにして取り出されたU相ゲート信号1とX相ゲート信号1とをリセット・セット・フリップ・フロップ回路(RS−FF)に導入することにより、出力電圧信号生成回路11は、IGBT式逆変換器42aの動作信号の立ち上がりとIGBT式逆変換器42bの動作信号の立ち上がりとにより規定される時間領域をON信号とする出力電圧信号(g)を生成する。
【0042】
出力電流信号生成回路12は、電流検出器48により検出された出力電流を基に電力変換装置4の出力電流信号を次のように生成する。
【0043】
図4に示すように、出力電流信号生成回路12は、電流検出器48により検出された出力電流(d)の立ち上がりおよび立ち下がりを2つの二値化回路によりそれぞれ検出する矩形波を生成し、これらの矩形波をリセット・セット・フリップ・フロップ回路(RS−FF)に導入することにより、出力電流信号生成回路12は、出力電流の立ち上がりから次の立ち下がりまでの間をON信号とする出力電流信号(h)を生成する。
【0044】
位相差検出回路13は、図5に示すように、出力電圧信号生成回路11により生成された出力電圧信号(g)と、出力電流信号生成回路12により生成された出力電流信号(h)とからフリップ・フロップ回路により位相差信号(i),(j)を生成する。
【0045】
次に、以上のように構成された誘導溶解炉の制御装置によれば、図6に示すように、誘導溶解炉を周波数制御する場合においても、図7に示すように、誘導溶解炉をパルス幅制御する場合においても、電力変換装置4の出力電圧および出力電流の位相差を検出することができる。
【0046】
まず、図6を参照して、高周波コンデンサ47a,47bと加熱コイル51とで構成される直列共振回路の負荷共振周波数f1に対して、電力変換装置4の発振周波数f2を可変制御することで、直列共振回路の昇圧比を調整する周波数制御の場合について説明する。
【0047】
図6(a)は、力率1の場合であり、図6(b)は、遅れ力率の場合である。
【0048】
まず、図6(a)に示す力率1の場合に、制御回路10は、IGBT式逆変換器42a,42bへ出力された動作信号であるゲート信号に対して、出力電圧信号生成回路11により出力電圧信号(g)を生成する。一方、出力電流信号生成回路12により、出力電流により出力電流信号(h)を生成する。
【0049】
この場合、電力変換装置4の出力電圧と出力電流とは同期しているため、これらの出力電圧信号(g)と出力電流信号(h)とから位相差検出回路13により検出される位相差信号(i),(j)は、いずれもフラットとなっている。
【0050】
次に、図6(b)に示す遅れ力率の場合に、制御回路10は、同様に、IGBT式逆変換器42a,42bへ出力された動作信号であるゲート信号に対して、出力電圧信号生成回路11により出力電圧信号(g)を生成し、出力電流信号生成回路12により、出力電流から出力電流信号(h)を生成する。
【0051】
この場合、電力変換装置4の出力電圧に対して出力電流が位相遅れとなっているため、これらの出力電圧信号(g)と出力電流信号(h)とから位相差検出回路13により検出される位相差信号は、位相遅れを示す信号(j)において、遅れ時間に相当する矩形波が検出される。
【0052】
次に、図7を参照して、IGBT式逆変換器42a,42bのパルス幅をゲート信号により可変させて電力変換装置4の出力を制御するパルス幅制御の場合について説明する。この場合には、仮に仮想中性点(COM)を設定して出力電圧YU(図1参照)を検出したとしても、図中に破線で囲った領域では、斜線で示すように通電電流の流れる方向によって不要電圧が発生するため、一般に出力電圧の検出が困難である。
【0053】
図7(a)は、力率1の場合であり、図7(b)は、遅れ力率の場合である。
【0054】
まず、図7(a)に示す力率1の場合に、制御回路10は、同様に、IGBT式逆変換器42a,42bへ出力された動作信号であるゲート信号に対して、出力電圧信号生成回路11により出力電圧信号(g)を生成する。
【0055】
一方、出力電流信号生成回路12により、出力電流(d)から出力電流信号(h)を生成する。この場合も、出力電流(d)は不連続となっているが、出力電流(d)の立ち上がりから次の立ち下がりまでの間をON信号とする出力電流信号(h)を生成する。
【0056】
これら出力電圧信号(g)と出力電流信号(h)とから位相差検出回路13により検出される位相差信号(i),(j)は、電力変換装置4の出力電圧と出力電流とが同期しているため、いずれもフラットとなっている。
【0057】
次に、図7(b)に示す遅れ力率の場合に、制御回路10は、IGBT式逆変換器42a,42bへ出力された動作信号であるゲート信号に対して、出力電圧信号生成回路11により出力電圧信号(g)を生成する。
【0058】
この場合には、出力電圧信号生成回路11は、デットタイム調整を考慮して、実際のIGBT式逆変換器42aの動作信号の立ち上がりとIGBT式逆変換器42bの動作信号の立ち上がりとにより規定される時間領域をON信号とする出力電圧信号(g)を生成する。
【0059】
一方、出力電流信号生成回路12により、出力電流(d)から出力電流信号(h)を生成する。この場合、出力電流(d)は不連続となっているが、予め出力電流(d)の立ち上がりおよび立ち下がりを2つの二値化回路により検出して矩形波を生成して、これをリセット・セット・フリップ・フロップ回路(RS−FF)に導入することで、出力電流(d)の立ち上がりから次の立ち下がりまでの間をON信号とする出力電流信号(h)を生成することができる。
【0060】
これら出力電圧信号(g)と出力電流信号(h)とから位相差検出回路13により検出される位相差信号(i),(j)は、電力変換装置4の出力電圧に対して出力電流が位相遅れとなっているため、位相遅れを示す信号(j)において、遅れ時間に相当する矩形波が検出される。
【0061】
以上、詳しく説明したように、本実施形態の誘導溶解炉の制御装置によれば、出力電圧信号生成回路11により加工された出力電圧信号(g)は、発振周波数が高く、短い周期でIGBT式逆変換器42a,42bの動作信号が変化する場合でも、確実に出力電圧を検出することができる。
【0062】
さらに、出力電流信号生成回路12により加工された出力電流信号(h)は、電力変換部においてパルス幅制御(PWC制御)を行った場合に、出力電流波形自体が不連続になっても確実に出力電流を検出することができる。
【0063】
そして、加工された出力電圧信号(g)および出力電流信号(h)を位相差検出回路13などで比較することで、簡易な構成で電力変換装置4の出力電圧と出力電流との位相差を確実に検出することができる。さらに、検出された位相差を基に力率制御を行うことで、電力損失が生じることを抑制することが可能となる。
【0064】
なお、本実施形態では、制御回路10がIGBT式逆変換器42a,42bの制御を行う制御信号を生成し、その生成した信号を検出する信号検出部としての機能を有する構成について説明したが、信号検出部はこれに限定されるものではない。すなわち、制御回路10以外に別途、IGBT式逆変換器42a,42bの制御信号(動作信号)を検出する信号検出部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…電源、2…高圧受電盤、3…変換装置用変圧器、4…電力変換装置(電力変換部)、5…誘導加熱装置、10…制御回路(信号検出部)、11…出力電圧信号生成回路、12…出力電流信号生成回路、13…位相差検出回路(位相差検出部)、41a,41b…ダイオード式順変換器、42a,42b…IGBT式逆変換器(第1および第2スイッチング素子)、48…電流検出器(電流検出部)、51…加熱コイル、100…コントローラ、X…被溶解材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉壁の外周に設けられた加熱コイルに電力供給手段を介して電力を供給することにより炉内に収納された被加熱材を溶解させる誘導溶解炉の制御装置であって、
順変換器と、第1および第2スイッチング素子が交互に動作する逆変換器とが直列共振型回路を構成する電力変換部と、
前記第1および第2スイッチング素子の動作信号を検出する信号検出部と、
前記電力変換部の出力電流を検出する電流検出部と、
前記信号検出部により検出された前記第1および第2スイッチング素子の動作信号と、前記電流検出部により検出された前記電力変換部の出力電流とに基づいて、前記電力変換部の出力電圧と出力電流との位相差を検出する位相差検出部と
を備え、
前記位相差検出部は、前記信号検出部により検出された前記第1スイッチング素子の動作信号の立ち上がりと前記第2スイッチング素子の動作信号の立ち上がりとにより規定される時間領域をON信号とする出力電圧信号とすると共に、前記電流検出部により検出された前記電力変換部の出力電流の立ち上がりから次の立ち下がりまでの間をON信号とする出力電流信号として、該出力電圧信号と該出力電流信号との位相差を検出することを特徴とする誘導溶解炉の制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の誘導溶解炉の制御装置において、
前記位相差検出部は、前記信号検出部により検出された前記第1および第2スイッチング素子の動作信号の各立ち上がりエッジをON信号として、リセット・セット・フリップ・フロップ回路により前記出力電圧信号を生成すると共に、前記電流検出部により検出された前記電力変換部の出力電流の立ち上がりエッジおよび立下りエッジをそれぞれON信号として、リセット・セット・フリップ・フロップ回路により前記出力電流信号を生成することを特徴とする誘導溶解炉の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−243692(P2012−243692A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115318(P2011−115318)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000242127)北芝電機株式会社 (53)
【Fターム(参考)】