説明

誘導炉及び浸透方法

誘導炉(1)が開示され、この誘導炉は、誘導炉の内部チャンバー(3)を区画する箱型ハウジング構造(2,6)と、サセプタ材料から作られて互いに略平行に離間配置された第一及び第二の放熱プレート(10,11)を有して内部チャンバーに収容される浸透るつぼ(7)と、第一及び第二の放熱プレートによって加熱されるべくそれら放熱プレートによって挟まれて、浸透材料(15)と該材料が浸透される半製品ワークピース(14)とが収容される浸透チャンバー(13)と、内部チャンバーに収容されて、放熱プレートを誘導加熱するための電流(i,i)が供給される誘導コイル(L1,L2)を有し、誘導コイルが、第一及び第二のスパイラル誘導コイル(L1,L2)を含み、該スパイラルコイルの各々が、放熱プレートの一方に対して比較的短い間隔を持ち且つ放熱プレートの他方に対して比較的長い間隔を持って配置されている。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導炉に関するもので、より詳述すると、請求項1の前文に記載されているタイプの誘導炉に関するものである。また、本発明は浸透方法に関するものである。
【0002】
本願は、2009年3月24日に出願されたイタリア特許願RM2009A000139を優先権主張の基礎とするもので、その出願の内容は参照することにより本願に組み込まれるものである。
【背景技術】
【0003】
高い衝撃抵抗,高い圧縮抵抗及び高い温度抵抗が必要とされる様々な分野においてセラミック複合材料が用いられていることが知られている。それらの抵抗は、単純なセラミック材料によっては担保することのできない特性である。その理由は、単純なセラミック材料が生来的に脆さを有しているからである。
【0004】
具体的には、セラミック複合材料は、カーボンフィラメントと炭素との束を含んだマトリックスにケイ素を浸透させることにより、例えば、ディスクブレーキ用ディスク、より詳しくは、ディスクブレーキ用ディスクのブレーキバンドを製造するためのミル作業(milling operations)において用いることが知られている。そのような浸透は、ケイ素が溶融状態になる温度で通常実施される。
【0005】
公知の技術によれば、そのような複合材料の調製は、
フィラメント束を凝集樹脂とピッチ(pitch)とその他の添加物と混合させ、
その得られた混合物を、加熱及び加圧によって成形される半製品ワークピースを提供するべくモールド内に入れ、
樹脂の炭化又は熱分解を齎すような温度で、半製品ワークピースを炉内で硬化させることにより達成される。
【0006】
この硬化に起因して、半製品ワークピースは多孔質になる。その理由は、樹脂の炭化又は熱分解温度で揮発性物質が失われるからである。
【0007】
その後、硬化された半製品ワークピースに、浸透される材料、この場合には、ケイ素で、更に硬化させることを含んだ浸透処理を施す。そのような硬化は、ケイ素を融解させて半製品ワークピースの孔内に浸透させることを可能にするような温度で実施される。
【0008】
周知の通り、上述した浸透工程(この場合には、シリケイション(silication)とも言う。)は、多くの時間を必要とし、非常に費用が掛る。公知の技術によれば、そのような工程は、ケイ素を融解させるためにケイ素を1400℃〜1700℃の温度で加熱することを含み、更に、真空ポンプによって減圧させることを含んでいる。この目的のために、所望の温度を提供し且つ真空状態にさせることの可能な特別の炉を用いることが知られている。通常用いられる炉には、所謂、不連続炉(英語で、「batch furnace(バッチ式炉)と呼ばれている。)と、トンネル炉とのほぼ二つのタイプのものがある。
【0009】
バッチ式炉によって実施される方法は、炉の容積に等しい量の材料を詰め込む工程と、加熱する工程と、シリケイションのために真空下で温度を維持する工程と、冷却する工程を含んでいる。加熱、温度維持及び冷却を含むサイクルは、約10分程度掛る効果的な浸透を可能にするために、24時間〜48時間の間でその継続時間が変更される。
【0010】
バッチ式炉は、外部圧力に耐えなければならないという事実に起因して構造的に複雑であることに加えて、材料を完全に充填しなければならないという欠点と、小さな連続物又は一体成形品の製造には不適切であるという欠点を有し、その欠点は、製品を製造するのに少なくとも24時間掛るという事実のために更に悪化される。
【0011】
他方、トンネル炉では、トンネル炉内で浸透を実施する時に、処理される材料/ピースを、充填ステーションで充填し、加熱領域で運んで、次にアンロードステーションでアンロードしなければならない。トンネル炉は製造された材料の連続した流れを考慮に入れているが、このような炉は、バッチ式炉と比較して構造的に更に複雑であるという欠点があり、この点に関して、真空状態にされている領域を材料が通過しなければならないことを銘記しなければならない。
【0012】
特許文献1には、炭素/炭素材料から作られた浸透るつぼを含んだ誘導炉が記載されている。その浸透るつぼは、浸透のために必要とされる時間を上述したタイプのバッチ式炉又はトンネル炉と比較して可なり低減させることを可能にする。
【0013】
従って、特に、一体ワークピースの連続した迅速な製造のために、特許文献1に記載の誘導炉との関係で、製造された製品の均一性と安全性に加えて、処理効率とコストの点において、改善された浸透炉を提供することが要請されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際出願PCT/IT2005/000708
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明の目的は、上述した要請に応えられるような誘導炉を提供することにある。
【0016】
この目的は、請求項1に記載の本発明による誘導炉と、従属項に記載の本発明の実施形態に係る誘導炉によって達成される。
【0017】
本発明の別の目的は、請求項15に記載の浸透方法を提供することにある。
【0018】
本発明の更なる特徴及び利点については、本発明を何ら限定するものではない本発明の好ましい実施形態に関して添付図面を用いて行った下記記載を参照することにより更に容易に理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、幾つかの部品が断面で示されている、第一の運転状態にある本発明に係る誘導炉の概略的な側面図である。
【図2】図2は、幾つかの部品が断面で示されている、第二の運転状態にある図1に示した誘導炉の概略的な側面図である。
【図3】図3は、図1に示した誘導炉の一部品である絶縁リングの側断面図である。
【図4】図4は、図1に示した誘導炉の、変形例に係る一部品の側断面図である。
【図5】図5は、図1に示した誘導炉の、更に別の変形例に係る一部品の側断面図である。
【図6】図6は、図1に示した誘導炉の別の部品の平面図である。
【図7】図7は、浸透プロセスの簡単なフローチャートを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面において、同一又は同様な要素は同じ参照符号で示されている。
【0021】
添付図面を参照すると、本発明による誘導炉は参照符号1で示されている。この誘導炉1は、好ましくは骨組から成る箱型のハウジング構造2を有し、このハウジング構造2は、誘導炉1の内部チャンバー3を区画している壁を含んでいる。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、誘導炉1は、特に、シリケイション炉であり、好ましくは、ディスクブレーキ用ディスク又はディスクブレーキのディスク用ブレーキバンドの如き、例えば、複合セラミック材料から作られたプレート状の半製品ワークピースのシリケイションのために提供される。
【0023】
図示実施形態においては、誘導炉1は、内部チャンパー3内で所望の真空状態を作り出すための真空ポンプ4を含み、その真空ポンプ4は内部チャンバー3の外部に設けられている。ハウジング構造2の壁の一つに設けられた開口部5が、真空ポンプ4と内部チャンバー3とを接続させている。
【0024】
好ましくは、真空ポンプ4は、運転圧力を大気圧レベルから、制限値を含む、0.01〜500mbarの値、より好ましくは、1〜2mbarの値に低減させるように構成されている。
【0025】
内部チャンバー3は、断熱ライニングを備えた内壁を有している。特に好ましい実施形態においては、そのようなライニングは、チャンバー3の内壁と組み合わされた、グラファイトフェルトから成るパネル6を含んでいる。
【0026】
誘導炉1は、浸透チャンバー13を持った浸透るつぼ7を有し、チャンバー13内で、浸透される材料15の融解、即ち、浸透プロセスが行われる。図1及び図2に示した実施形態においては、浸透るつぼ7の浸透チャンバー13内に、材料15が浸透される半製品ワークピース14が収容される。本発明の一実施形態によれば、材料15が浸透される半製品ワークピース14は、リング状又はディスク状に形成されたプレートであって、多孔質にさせるために炭化(又は熱分解)処理が既に施されていて、従って、多孔質の対象物である。図示した特定の実施形態においては、材料15が浸透される半製品ワークピース14は、略円形の中央開口部30が形成された、ディスクブレーキのディスク用ブレーキバンドである。
【0027】
本発明の特に好ましい実施形態においては、浸透チャンバー13内で材料が浸透される半製品ワークピースを支持するための支持手段が浸透チャンバー13内に設けられている。そのような支持手段は、複数の支持要素又は支持脚部18を含んでいる。
【0028】
材料が浸透される半製品ワークピース14とチャンバー13の内壁との間の隙間を、半製品ワークピース14の孔内に浸透される材料15で少なくとも部分的に満たさせるために、好ましくは、浸透チャンバー13の体積は半製品ワークピース14の体積の少なくとも二倍の大きさに構成されている。好ましくは、浸透される材料15は、例えば、粒状又は粉末状の、ケイ素、例えば、純ケイ素、又は、ケイ素合金,アルミニューム合金又は銅合金である。半製品ワークピース14がディスクブレーキ用ディスクのブレーキバンドである特定の実施形態においては、浸透チャンバー13は、例えば、一つの一体半製品ワークピースの処理を可能にさせる大きさに寸法付けされている。
【0029】
浸透るつぼ7は、第一及び第二の放熱プレート10,11を含み、これら第一のプレート10と第二のプレート11とは互いに平行になって離間配置されている。第一の放熱プレート10と第二の放熱プレート11は、それぞれ、浸透チャンバー13の上側壁と下側壁を構成している。従って、浸透チャンバー13は、所望の温度までプレート10,11によって加熱されるべく、これらプレート10,11によって挟まれている。
【0030】
浸透るつぼ7は、浸透チャンバー13の周囲を区画している環状側壁12を更に含んでいる。図示実施形態においては、環状側壁12は、放熱プレート11上に配置されて、(例えば、1〜2cmの距離を持って)放熱プレート10から離間配置され、従って、環状側壁12と放熱プレート10との間には隙間19が区画されている。別の実施形態においては、放熱プレート10は環状側壁12に当接配置され、従って、その実施形態においては隙間19は存在しない。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、双方の放熱プレート10,11は、略ディスク状の形状を有し、側壁12は円筒状に形成されている。
【0032】
放熱プレート10,11は、サセプタ材料(susceptor material)、即ち、電磁エネルギーを吸収して、このエネルギーを熱に変換させるのに好適な材料から作られている。
【0033】
本発明の好ましい実施形態においては、双方の放熱プレート10,11は、炭素/炭素材料(C/C)から作られている。好ましくは、環状側壁12もサセプタ材料、好ましくは、C/Cから作られているので、浸透るつぼ7の壁は全体としてC/Cから作られている。本発明の一実施形態によれば、浸透るつぼ7の壁を構成しているC/Cのタイプは、放熱プレート10,11においては、長い織物状繊維を有する0/45°方位の炭素/炭素材料であるが、環状側壁12の内周の材料は、一方向性のものである。浸透るつぼ7を構成するのに用いられる炭素/炭素材料の密度は、好ましくは、制限値を含む1〜1.9g/cm、より好ましくは、1.7g/cmに相当する密度である。
【0034】
本発明の好ましい別の実施形態によれば、浸透るつぼ7の壁(即ち、放熱プレート10,11双方と環状側壁12)はグラファイト、又は、その他の好適なサセプタ材料から作られている。
【0035】
図1及び図2に示されているように、特に有益な実施形態においては、誘導炉1は、例えばグラファイトフェルトの如き断熱材料から作られた環状絶縁壁又は絶縁リング16を更に含み、その環状絶縁壁又はリング16は浸透チャンバー13の回りに延在する絶縁チャンバー8を少なくとも側方で区画している。本発明を何ら制限するものではないが、好ましくは、絶縁チャンバー8の上壁又は下壁は、少なくとも部分的に二つの放熱プレート10,11の一方から構成されている。図示した特定の実施形態においては、放熱プレート10が絶縁チャンバー8を上方で部分的に閉塞して、絶縁リング16の開口部45内に固定されている。絶縁リング16は、図3に示したように断面L字状の側面を有し、好ましくは、一つのリング46と複数のリング47とを軸線方向で重ねて互いに固定することにより提供される。これらリングは比較的堅い材料から作られていて、リング46は、他のリング47と比較して、小さな内径と、広い全幅を有している。有益的には、比較的堅い材料の絶縁リング16の内面は、CFRC(炭素繊維強化カーボン)の保護ホイルによって被覆され、例えば、1.5mmの厚みを有する低剛性の材料から作られている。
【0036】
図1に示した実施形態によれば、絶縁リング16はるつぼ7の側壁12の外径よりも大きな内径を有しているので、炉が図1に示した状態にある時に、絶縁リング16の内面とるつぼ7の側壁12の外面との間に隙間を提供するべく、それらの間の距離は、少なくとも、数cm、例えば、5cm、に等しくなっている。
【0037】
誘導炉1は、内部チャンバー3内に収容された少なくとも誘導コイルL1,L2を更に有し、該誘導コイルL1,L2には、誘導によって放熱プレート10,11の双方を加熱するための少なくとも電流信号i,iが供給される。
【0038】
誘導炉1は、少なくとも供給ラインF1,F2によって誘導コイルL1,L2に接続された交流発電機35を有している。その交流発電機35は、1kHz〜30kHzの好ましい周波数範囲を有する少なくとも交流電流信号i,iを出力するよう構成されている。
【0039】
特に、誘導コイルL1と誘導コイルL2は、第一の誘導スパイラルコイルL1と第二の誘導スパイラルコイルL2を夫々含んでいる。これらスパイラルコイルL1,L2の各々は、それぞれの関連する放熱プレート10又は11からは比較的短い距離を隔てて、及び、他方の放熱プレート11又は10からは比較的長い距離を隔てて、配置されている。実際に、誘導コイルL1が、放熱プレート10に対して比較的短い距離を隔て、及び、放熱プレート11に対して比較的長い距離を隔てて、位置し、他方、誘導コイルL2が、放熱プレート10に対して比較的長い距離を隔て、及び、放熱プレート11に対して比較的短い距離を隔てて、位置していることが、図1及び図2から銘記される。従って、これらコイルの各々は関連する放熱プレート、即ち、プレート10又はプレート11を主に加熱するために設けられているので、誘導コイルL1は主として放熱プレート10に関連し、他方、誘導コイルL2は主として放熱プレート11に関連するものと言うことができる。明らかに、各誘導コイルL1,L2は、関連する放熱プレート10又は11を加熱することに加えて、距離に相違があるため僅かではないが、より少ない程度に、他方の放熱プレート11又は10を加熱する。その理由は、磁場の強度が距離の二乗で低減することが知られているからである。
【0040】
明らかに、るつぼ7の側壁12もサセプタ材料から作られている場合には、側壁12も、放熱プレート10,11と比較してより少ない程度であるが、誘導コイルL1,L2によって発生させられる磁場の影響を受ける。従って、環状側壁12による浸透チャンバー13の加熱についての貢献の程度は、僅かではないが、放熱プレート10,11の貢献度と比較して小さい。
【0041】
図示したように、本発明の好ましい実施形態においては、第一及び第二の誘導コイルL1,L2は、平面スパイラル誘導コイルであって、それらは互いに対して及び放熱プレート10,11に対して略平行になっている。例えば、誘導コイルL1,L2の各々は、平面アルキメデススパイラル,フェルマースパイラル,対数スパイラル、又は、別のタイプの平面スパイラル又は略平面スパイラル(ここで用いた用語「略」は、例えば、技術的理由に起因する、正確には平面ではないが、大体平面であるスパイラルの実施形態について言及したものである)に従って形成される。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、スパイラル誘導コイルL1,L2の各々は、スパイラルを形成するように巻回された、例えば、銅製のコンダクターを含んでいる。好ましくは、そのようなコンダクターは、パイプで、更に好ましくは、そのようなパイプ内に冷却流体、例えば、流水を流してもよい。図1及び図2においては、このパイプは円形の断面で示されている。図5に示した修正例においては、パイプは、例えば、正方形断面の如き四角形の断面を有している。図5において、パイプは、パイプ内を冷却流体が流れることを可能にするよう中空状に形成してもよいことが分かる。
【0043】
本発明の特に有益な実施形態によれば、誘導コイルL1と誘導コイルL2は、互いに独立した、個別のコイルであり、より正確に説明すると、それぞれ、対応の供給ラインF1又はF2によって対応の供給電流i又はiが供給される、個別の回路に属する。こうして、浸透チャンバー13を均一に加熱するべく、各誘導コイルL1,L2とそられが関連する放熱プレート10,11との間の異なった距離を補償するための、又は、浸透チャンバー13の不均一又は最適でない加熱を齎す何らかのその他の非対称を補償するための、例えば、供給電流i1,i2の間の電流比を設定するために、発電機35によって、両コイルL1,L2に対して個別に電流を供給することができる。この目的のために、誘導炉1は、電流比を設定するべく、一般に浸透プロセスをコントロールし、特に発電機35をもコントロールするための電子制御系36を備えていてもよい。そのような電子制御系36によって、発電機35に異なった周波数で供給電流i,iを出力させるために発電機35をコントロールすることも可能である。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、供給ラインF1,F2は、これらが誘導コイルL1,L2の間で相互に移動することを可能にするべく、少なくとも部分的に可撓性コンダクターにて構成されている。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、第一の保護シールド21と第二の保護シールド22が、それぞれ、第一の誘導コイルL1と第二の誘導コイルL2とに関係付けられている。好ましくは、そのような第一の保護シールド21と第二の保護シールド22とは、それぞれ、第一の保護プレート21と第二の保護プレート2とにより構成されている。以下においては、保護シールド21,22は、本発明に対して何ら限定を加える意図なく、保護プレート21,22と言う。
【0046】
好ましくは、誘導コイルL1,L2の各々は、対応の保護プレート21又は22内に、少なくとも部分的に埋め込まれ、又は、より好ましくは、(添付図面に示された実施形態におけるように)全体として埋め込まれる。保護プレート21,22は、好ましくは、セラミック材料から作られている。例えば、保護プレート21,22は、耐火セメントから作られている。有益なことに、保護プレート21,22は、誘導コイルL1,L2の断熱を確実にし、同コイルのループ部間の(可能性として温度勾配に起因する)危険な相対的な動きを回避するために同コイルを固定し、融解中に噴出される浸透材料が危険なまでに誘導コイルL1,L2に衝突することを防止する。有益なことに、誘導コイルL1,L2を少なくとも部分的に保護プレート21,22に埋め込んだ場合には、保護プレート21,22によって誘導コイルL1,L2に齎される剛性又は寸法安定性に起因して、誘導炉1のために高密度ループを持った誘導コイルL1,L2を用いることができることが分かる。その理由は、隣接したループ間の距離を、短絡を齎すことなく、任意に低減させることができるからである。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、保護プレート21,22の少なくとも一方は、対応の放熱プレート10又は11を箱状のハウジング構造2に接続するための支持要素として用いられている。好ましくは、保護プレート21,22の双方とも、それぞれ、対応の放熱プレート10,11を箱状のハウジング構造2に接続するための支持要素として用いられる。図1及び図2に示した特定の実施形態においては、特に図2を参照すると、保護プレート21は、放熱プレート10の支持要素として用いられ、放熱プレート10は環状の絶縁壁16とスペーサーアーム39とによって保護プレート21からぶら下がり、且つ、保護プレート22は、放熱プレート11の支持要素として用いられ、放熱プレート11は保護プレート22上に横たわっている。
【0048】
本発明の特定の実施形態においては、保護プレート21は内部チャンバー3の一壁から間接的に吊り下げられ、他方、保護プレート22は内部チャンバー3の反対側の壁に対して間接的に支えられている。
【0049】
好ましくは、放熱プレート11は、突出したスペーサースタッド38を含んだ少なくともシールド又は保護ライニング23,29を介装することにより保護プレート22に間接的に接触し、放熱プレート11はスペーサースタッド38に効果的に支持されている。図1及び図2に示した本発明の実施形態によれば、保護ライニングは、フェルト層29と、窒化ホウ素から作られて、フェルト層29に支持されたタイル(tile)23と、該タイル23に一体に設けられたスタッド38を有している。図4を参照すると、本発明の別の実施形態によれば、保護ライニングは、耐火セメントから成るマスク40を有し、該マスク40は、保護プレート22を部分的に包むような形状に形成されて、保護プレート22に支持されている。また、この場合には、スペーサースタッド38は、好ましくは、マスク40と一体に形成される。
【0050】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、誘導炉1は、可動誘導コイル(この実施形態においては、誘導コイルL2)をハウジング構造2に接続させるための支持装置24を更に含んでいる。この支持装置24は、可動誘導コイルL2をハウジング構造2に対して移動させるために、例えば、コントロールユニット36によって制御可能に構成されている。コントロールユニット36によって支持装置24を制御することにより、誘導コイルL1,L2の間の間隔を変更して、誘導コイルL1,L2が互いに相対的に近接した第一の運転状態(図1参照)と誘導コイルL1,L2が互いに相対的に離れた第二の運転状態(図2参照)に設定することができる。図示実施形態においては、誘導コイルL2が保護プレート22内に埋め込まれているので、制御可能な支持装置24は、保護プレート22、即ち、可動保護プレート22をもハウジング構造2に対して接続させることを可能にさせる。実際に、支持装置24は、誘導コイルL1,L2が互いに相対的に近接した第一の運転状態(図1参照)と誘導コイルL1,L2が互いに相対的に離れた第二の運転状態(図2参照)となるように誘導コイルL1,L2を設定するべく保護プレート21,22の間の間隔を変更するために、保護プレート22をハウジング構造2に対して移動させるように制御される。
【0051】
図示実施形態においては、制御可能な装置24は、空気圧シリンダを含んでいる。
【0052】
本発明の特に有益な実施形態によれば、誘導炉1は、他方の誘導コイルL1をハウジング構造2に接続させるための支持装置25,26,34を更に有している。支持装置26は、誘導炉1が第一の運転状態(図1)にある時に、誘導コイルL1を誘導コイルL2に対して適切に位置決めさせることを確実にするための位置調整カップリング素子である。図示した特定の実施形態においては、誘導コイルL1が保護プレート21に埋め込まれているので、支持装置25,26,34は保護プレート21をハウジング構造2に接続させることを可能にする。従って、少なくとも位置調整カップリング素子26は、誘導炉1が第一の運転状態(図1)にある時に、保護プレート21を保護プレート22に対して正確に位置決めさせることを確実にする。
【0053】
図示した特定の実施形態においては、伸縮自在なピストンのような、長さを変更することの可能な位置調整カップリング素子26が複数設けられ、限定されるものではないが、図1及び図2の実施例においては、三つのカップリング素子26が設けられている。位置調整カップリング素子26としては、伸縮自在なピストン26に代えて、通常のスライドガイド、又は、クリアランスを備えた機械的カップリング素子の如き、別の種類の位置調整カップリング素子を用いることができることは明らかである。有益なことに、図示実施形態においては、図2に示した運転状態から図1に示した運転状態へと変化する過程における保護プレート22の移動によって齎される可能性のある応力を位置調整カップリング素子26が吸収して、絶縁リング16と保護プレート22とが適切な位置で当接することを確実にさせる。更に、そのようなカップリング素子26は、有益なことに、誘導炉1が図1に示した運転状態にある時に、内部チャンバー3内で危険な応力を生じさせる可能性のある熱ひずみを打ち消すことを可能にする。
【0054】
本発明の別の実施形態によれば、コイルL1,L2の支持装置の少なくとも一つは、金属製支持プレート25又は27を有している。図示した特定の実施形態においては、一対の略ディスク状の金属製支持プレート25,27が設けられている。支持プレート25と支持プレート27は、夫々、保護プレート21と保護プレート22とに関連するもので、スペーサーアーム34を介してそれら保護プレート21,22に夫々接続されている。金属製支持プレート25だけを示している図6を参照すると、誘導炉1の運転中に金属製支持プレート25,27の内部に望ましくない電流が誘導によって生ずることを回避するために、金属製支持プレート25,27は有益なことに金属製支持プレート25,27の中央部33から周縁部51まで伸びたスルーカット(through−cut)50を備えている。
【0055】
図1を参照すると、放熱プレート10,11の少なくとも一方、図示実施形態においては、放熱プレート10は、誘導炉1の運転中に浸透チャンバー13内で発生する蒸気の、真空ポンプ4による抽出を可能にさせるための少なくとも第一の貫通開口部31を含み、該貫通開口部31は浸透チャンバー13と連通している。好ましくは、その第一の貫通開口部31は放熱プレート10の略中央に設けられている。好ましくは、第一の貫通開口部31が設けられた放熱プレート10に関連するコイルL1の保護プレート21は、同様に、放熱プレート10の第一の貫通開口部31の前方に、好ましくは、軸線方向で第一の貫通開口部31と整列位置した第二の貫通開口部32を有している。更に好ましくは、金属製支持プレート25は、同様に、第一の貫通開口部31と第二の貫通開口部32の前方に、軸線方向でそれらと整列位置した第三の貫通開口部33を有している。こうして、有益なことに、材料が浸透される環状の半製品ワークピース14を、それの中央開口部30が貫通開口部31,32,33と軸線方向で整列位置するように浸透チャンバー13内で位置決めさせることが可能となり、従って、真空ポンプ4を開口部30,31,32,33と接続させるための、ハウジング構造2に設けられた開口部5にほとんど直接的に向いた蒸気の抽出路が提供される。図1に示した特定の実施形態においては、開口部30,31,32,33,5が、軸線41に沿って軸線方向で互いに整列配置されていることが理解できる。
【0056】
誘導炉1は、好ましくは、チャンバー3内に、例えば、窒素の如き冷却流体を注入するためのシステム37を更に有し、このシステム37は、例えば、コントロールユニット36によって制御される。また、好ましくは、誘導炉1は、強制対流冷却システム(図示せず)を含んでいる。
【0057】
図7を参照して、上記タイプの誘導炉によって実施される浸透方法の好ましい実施形態について説明する。参照符号100で示したこの方法は、空気圧シリンダ24と、窒素注入システム37と、発電機35と、真空ポンプ4と、誘導炉1に含まれるその他の部品,変換器と、強制対流冷却システムに作動的に接続される誘導炉1のコントロールユニット36を介して直接的に制御可能であるので、この方法は、自動的又は殆ど自動的に実施することができる。誘導炉1に含まれる上記部品としては、ポジションセンサ,温度センサ及び圧力センサ等がある。
【0058】
浸透方法100は、誘導コイルL1と誘導コイルL2とが互いに離間している図2に示した運転状態に誘導炉1を設定するために、誘導炉1を予めセットするための初期工程101を含んでいる。
【0059】
浸透方法100は、浸透るつぼ7、特に、放熱プレート11と環状壁14とによって形成される枠組みを積み込む工程を更に含み、その枠組み内には、ディスクブレーキのディスク用ブレーキバンドの如き、材料が浸透される半製品ワークピース14が、その半製品ワークピース14の孔内に浸透されるケイ素の如き材料15と共に収容されている。従って、本発明を何ら限定するものではないこの例示的な浸透方法100は、材料が浸透される多孔質半製品ワークピース14のシリケイション方法である。この方法100を実施するにあたっては、枠組み11,12は、例えば、ロボットのフォーク(図示せず)によって予めチャンバー3から取り出されている。この状態で、枠組み11,12の積み込みが例えば、上記ロボットのフォームによって実施される。この場合に、枠組み11,12の積み込み工程102は、材料が浸透される半製品ワークピース14とケイ素15とが充填された枠組み11,12を例えば上記フォークによって保護プレート22上に位置決めさせることを含んでいる。材料が浸透される半製品ワークピースとケイ素15とを枠組み11,12内に充填する前に、枠組み11,12を、本発明を何ら制限するものではないが、好ましくは、窒化ホウ素を枠組み11,12上にスプレイし、それらをグラファイトペーパーで被覆し、更に窒化ホウ素をそれらにスプレイするというような、枠組み11,12に対する前処理を施すことが考えられる。材料が浸透される半製品ワークピース14を充填する工程は、例えば、材料が浸透される半製品ワークピース14が相対的に厚いか又は薄いかを決定し及び/又はその直径が相対的に大きいか又は小さいかを決定するために、材料が浸透される半製品ワークピース14の種類を(例えば、上記フォークによって)自動的に同定することを含んでいてもよい。この場合には、同定作業によって得られた、材料が浸透される半製品ワークピース14の種類に関する少なくとも同定情報をコントロールユニット36に入力又は送信する。
【0060】
浸透方法100は、絶縁チャンバー8が少なくとも部分的に閉成され且つ環状絶縁壁16が可動保護プレート22に当接する、図1に示した運転状態に、誘導炉1をさせるべく、コイルL2を、この実施形態においては、保護プレート22をも、シリンダ24によって移動させる後続の工程を含んでいる。有益なことに、環状絶縁壁16の可動保護プレート22に対する適切な当接は、位置調整カップリング素子26によって担保される。
【0061】
後続の工程104においては、誘導炉1のチャンバー3の内圧を約800〜900mbarの値から約0.01〜250mbar、好ましくは、約1mbarに下げるために、例えば、コントロールユニット36を介して真空ポンプ4を駆動させる。
【0062】
真空ポンプ4を駆動させる工程104と同時に実施される、加熱/浸透工程と呼ばれる工程105において、るつぼ7の感受部品、主に、放熱プレート10,11を加熱するための周波数とパワーとを有する交流電流信号をコイルL1,L2に供給する。そのような加熱は、関連する誘導コイルL1,L2内の交流電流の流れによって生じる電磁場によって双方の放熱プレート10,11内で誘導される寄生電流よって主として達成される。こうして、プレート10,11は、浸透される材料15が融解状態になる温度まで、浸透チャンバー13内に放熱する。ケイ素の場合には、プレート10,11は、浸透チャンバー13内の温度が約1400℃〜1700℃、好ましくは、約1500℃に達するまで加熱される。この温度範囲内で、ケイ素15は、融解し、材料が浸透される半製品ワークピース14の孔内に浸透する。更に、この工程105においては、放熱プレート10,11に関連する直接誘導による加熱に加えて、誘導コイルL1,L2が直接誘導によって半製品ワークピース14を加熱し、半製品ワークピースにおける寄生電流の直接誘導に起因する自己発熱に加えてチャンバー13の加熱に起因して、ケイ素15が半製品ワークピースに浸透するのに最適な状態に達する。この工程105において発生する蒸気は、工程105全体を通して駆動している真空ポンプ4によって排出される。
【0063】
好ましくは、加熱/浸透工程105中に、誘導コイルL1,L2に供給される電流は、浸透チャンバー13と半製品ワークピースの均一な加熱を担保するべく、コントロールユニット36によって、場合によっては、特定の種類の半製品ワークピース14に関する同定情報に依存して、設定され且つ制御される。好ましくは、この工程は、浸透チャンバー13と半製品ワークピース14を最適に加熱するべく、誘導コイルL1,L2に供給される各電流の比強度を決定し設定すること、又は、それら電流の値間の比率を決定し設定することを含んでいる。
【0064】
本発明の一実施形態に係る浸透方法100は、好ましくは、るつぼが閉塞された状態で実施される後続の冷却工程106を含んでいる。この工程においては、誘導炉1が図1に示した運転状態に維持され且つ誘導コイルL1,L2への電流供給が遮断されると共に絶縁チャンバー8内が例えば800℃に等しい所定温度閾値になるまで注入システム37を介してチャンバー3に窒素が注入される。
【0065】
本発明の一実施形態に係る浸透方法100は、好ましくは、るつぼが開成された状態で実施される後続の冷却工程107を含んでいる。この工程においては、誘導炉1が図2に示した運転状態にされ且つ所定温度閾値が例えば250℃に達するまで強制対流冷却システムが駆動される。
【0066】
続いて、誘導炉1を開成して、好ましくは、ロボットのフォークによって浸透るつぼ7の枠組み11,12を取り除く工程108が実施される。材料が浸透されたワークピースの製造サイクル中に、工程101〜工程108は、材料が浸透された複数のワークピースの連続した製造のために上述した様々な時間で繰り返される。
【0067】
上述した記述から、本発明の目的が完全に達成されることが理解される。
【0068】
特に、上述したタイプの誘導炉によれば、半製品ワークピースへの材料の浸透を比較的短い時間内で完了させることを可能にして、材料が浸透されたワークピースの均一生産を確実にさせる。特に、実地試験の結果は、対応の放熱プレート10又は11に対しては比較的近い距離をもって、他方のプレート11又は10に対しては比較的離れた距離をもって、それぞれ配置された第一のスパイラル誘導コイルL1とL2を設けることにより、特に均一な浸透プロセスが可能になることを示した。これは、上述した如き特徴を持せたために、浸透炉における又は材料が浸透されるワークピースの位置決めにおける構造的非対称を補償するべく又は特定の加熱条件を満たすべく、放熱プレートの各々の加熱を良好にコントロールすることができるという事実に主に起因する。更に、上述した記述から明らかなように、二つのスパイラルコイルを設けることにより、るつぼの搬入と搬出とを簡単に実施することができるようにさせる。その主な理由は、放熱プレートに対して平行に移動させて、るつぼを炉から抽出することができるからである。こうして、浸透プロセスを短縮させて、処理コストを低減させることができる。
【0069】
本発明による誘導炉においては、反復可能な信頼性のある態様で、個々の小型なワークピースに関してさえも良好な費用対効果をもって浸透処理を実施することができる。
【0070】
特別な及び付随的な要請に応えるべく、本願の特許請求の範囲に記載された本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、当業者が、本発明に係る誘導炉に対して様々な修正及び変更を加えることができることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導炉(1)の内部チャンバー(3)を区画している箱型のハウジング構造(2,6)と、
前記内部チャンバー(3)内に収容されて、サセプタ材料から作られて互いに略平行になって離間配置された第一の放熱プレート(10)と第二の放熱プレート(11)と、浸透材料(15)と該浸透が浸透される半製品ワークピース(14)とが収容される浸透チャンバー(13)を有する浸透るつぼ(7)と、
前記内部チャンバー(3)内に収容されて、前記放熱プレート(10,11)を誘導加熱するための少なくとも電流(i,i)が供給される少なくとも誘導コイル(L1,L2)を有し、
前記浸透チャンバー(13)が、前記放熱プレート(10,11)によって加熱されるように、前記放熱プレート(10,11)によって挟まれた誘導炉(1)において、
前記誘導コイル(L1,L2)が、第一及び第二のスパイラル誘導コイル(L1,L2)を有し、該スパイラル誘導コイル(L1,L2)の各々が、対応の放熱プレート(10又は11)に対して比較的短い距離を隔て、他方の放熱プレート(11又は10)に対して比較的長い距離を隔てて位置決めされていることを特徴とする誘導炉(1)。
【請求項2】
前記第一及び第二の誘導コイル(L1,L2)が、互いに略平行になった平面スパイラル誘導コイルである、請求項1に記載の誘導炉(1)。
【請求項3】
前記第一の誘導コイル(L1)と前記第二の誘導コイル(L2)に夫々連結される第一の保護シールド(21)と第二の保護シールド(22)を有する、請求項1又は2に記載の誘導炉(1)。
【請求項4】
前記第一及び第二の保護シールドが第一及び第二の保護プレート(21,22)を有し、前記第一の誘導コイル(L1)と前記第二の誘導コイル(L2)が夫々少なくとも部分的に前記第一の保護プレート(21)と第二の保護プレート(22)内に埋め込まれている、請求項1〜3の何れかに記載の誘導炉(1)。
【請求項5】
前記保護プレート(21,22)がセラミック材料から作られている、請求項4に記載の誘導炉(1)。
【請求項6】
前記誘導コイルの一方(L2)を前記ハウジング構造(2)に接続するための支持装置(24)を有し、該支持装置(24)が、それをコントロールすることにより前記誘導コイル(L1,L2)の間の間隔を変えるために、及び、前記誘導コイル(L1,L2)を互いに比較的近接した第一の運転状態位置と互いに比較的離間した第二の運転状態位置との間を移動させるために、前記誘導コイル(L2)を移動させるようにコントロール可能に構成されている、請求項1〜5の何れかに記載の誘導炉(1)。
【請求項7】
前記誘導コイルの他方(L1)を支持するための支持装置(25,26)を更に有し、該支持装置(25,26)が、前記誘導コイル(L1)の位置を調製し、且つ、誘導炉が前記第一の運転状態になった時に前記誘導コイル(L1)を前記可動コイル(L2)に対して正確に位置決めさせることを確実にするための少なくともカップリング素子(26)を有している、請求項6に記載の誘導炉(1)。
【請求項8】
前記支持装置の少なくとも一つが、金属製プレート(25,27)を有し、該金属製プレートが、その金属製プレートの中央部(33)から周縁部(51)まで伸びたスルーカット(50)を備えている、請求項6又は7に記載の誘導炉(1)。
【請求項9】
前記浸透るつぼ(7)が、前記放熱プレート(10,11)の一方に支えられた環状壁(12)を含んでいる、請求項1〜8の何れかに記載の誘導炉(1)。
【請求項10】
前記第一の誘導コイルと前記第二の誘導コイル(L1,L2)が、互いに個別に構成され、夫々に個別の電流が供給されるようになっている、請求項1〜9の何れかに記載の誘導炉(1)。
【請求項11】
前記電流間の強度比を設定するためのコントロールシステム(36)を含んでいる、請求項10に記載の誘導炉(1)。
【請求項12】
前記二つの放熱プレート(10,11)の少なくとも一方(10)が、前記誘導炉(1)の運転中に前記浸透チャンバー(13)内で発生する蒸気を抽出させるための、前記浸透チャンバー(13)に連通した第一の貫通開口部(31)を少なくとも有している、請求項1〜11の何れかに記載の誘導炉(1)。
【請求項13】
前記第一の貫通開口部(31)が設けられた前記放熱プレート(10)に関連する前記コイルが前記保護プレート(21)内に埋め込まれ、前記保護プレート(21)が、前記第一の貫通開口部(31)に対向した第二の貫通開口部(32)を有している、請求項4に従属する請求項12に記載の誘導炉(1)。
【請求項14】
前記浸透チャンバー(13)を取り囲む絶縁チャンバー(8)を区画する、断熱材から作られた環状壁(16)を更に有し、前記絶縁チャンバー(8)が上方又は下方において前記放熱プレート(10,11)の一方によって区画されている、請求項1〜13の何れかに記載の誘導炉(1)。
【請求項15】
浸透チャンバー(13)を区画している浸透るつぼと、サセプタ材料から作られて互いに略平行に離間配置された第一の放熱プレート(10)と第二の放熱プレート(11)と、少なくとも誘導コイル(L1,L2)を含んだ誘導炉(1)内に、半製品ワークピース(14)を誘導する工程(102)と、
誘起効果で前記第一及び第二の放熱プレート(10,11)を加熱することにより、前記浸透チャンバー(13)を放熱により加熱する工程(105)を含む、半製品ワークピース(14)に材料を浸透させるための浸透方法(100)であって、
前記誘導コイル(L1,L2)が、第一のスパイラルコイル(L1)と第二のスパイラルコイル(L2)を有し、該スパイラルコイル(L1,L2)の各々が、前記放熱プレート(10,11)の一方に対して比較的短い間隔を持ち且つ前記放熱プレート(10,11)の他方に対して比較的長い間隔を持って配置され、
前記加熱工程(105)が、前記放熱プレート(10,11)に夫々関連するスパイラルコイル(L1,L2)によって各放熱プレート(10,11)を加熱することを含んでいる、半製品ワークピース(14)に材料を浸透させるための浸透方法(100)。
【請求項16】
前記誘導コイル(L1,L2)が互いに離間した個別のコイルであって、前記加熱工程(105)が、前記コイルに夫々個別の電流を供給することを含んでいる、請求項15に記載の浸透方法(100)
【請求項17】
前記浸透チャンバーと前記半製品ワークピースとを均一に加熱するために、前記電流の各々の比強度レベルを設定する工程を更に含んでいる、請求項16に記載の浸透方法。
【請求項18】
前記半製品ワークピース(14)が、ディスクブレーキのディスク用のブレーキバンドである、請求項15〜17の何れかに記載の浸透方法(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−521531(P2012−521531A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501213(P2012−501213)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052300
【国際公開番号】WO2010/108744
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(504401639)フレニ ブレンボ エス.ピー.エー. (22)
【Fターム(参考)】