説明

誘導装置

【課題】 比較的長い距離を歩行して目的地へと進むユーザを音により適切に誘導することができる誘導装置を提供する。
【解決手段】 スピーカアレイ10は、n個(nは複数)のスピーカを線状または面状に配列してなる装置であり、各スピーカの放射面を下方の横断歩道1に向けた状態で、横断歩道1の上空に配置されている。誘導音生成部20は、制御部30による制御の下、横断歩道1を横断する視覚障害者の移動を手助けするために、横断歩道1を渡る人の頭の高さの移動経路1aの開始点に焦点位置を有する誘導音の音響ビームと、この移動経路1aに沿って焦点位置が移動する誘導音の音響ビームをスピーカアレイ10に出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚障害者等の誘導に好適な誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
指向性の鋭いスピーカにより、3次元空間内の比較的狭い特定エリアに誘導音を放射し、視覚障害者を誘導する誘導装置が各種提案されている。この種の誘導装置によれば、特定エリアに所在する者のみに誘導音を提供し、適切な移動方向等の案内をすることができる。なお、この種の誘導装置は、例えば特許文献1、2等に開示されている。
【特許文献1】特開2002−354572号公報
【特許文献2】特開平6−63070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した従来の誘導装置は、特定エリアに所在する者に対しては適切に誘導音声を提供することができるが、その特定エリアから出てしまった者に対しては誘導音を提供することができない。従って、目的地に辿り着くまでに比較的長い距離を歩行しなければならない者を適切に誘導することができないという問題があった。
【0004】
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、比較的長い距離を歩行して目的地へと進むユーザを音により適切に誘導することができる誘導装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、複数のスピーカを線状または面状に配列してなるスピーカアレイと、誘導音を表すオーディオ信号を遅延させた複数の遅延オーディオ信号を生成し、前記スピーカアレイの各スピーカに供給する遅延オーディオ信号生成手段と、前記スピーカアレイから前記誘導音を表す音響ビームが出力され、かつ、該音響ビームの収束先である焦点が所定の移動経路に沿って移動するように前記複数の遅延オーディオ信号の生成を制御する制御手段とを具備することを特徴とする誘導装置を提供する。
かかる発明によれば、ユーザは、音圧の高くなる音響ビームの焦点に追従して移動することが可能である。従って、音響ビームの焦点の移動経路に沿って、ユーザを誘導することができる。
好ましい態様において、前記制御手段は、前記所定の移動経路に沿って各々の焦点が移動する音響ビームが複数出力されるように、前記複数の遅延オーディオ信号の生成を制御する。
この態様によれば、ユーザは、複数の音響ビームのいずれかの焦点に追従して移動することができる。
他の好ましい態様において、誘導装置は、前記所定の移動経路の開始点近傍への人体の到来を検知するセンサを有し、前記制御手段は、前記センサによる人体の検知を契機として、前記焦点が移動する音響ビームを出力させるための前記複数の遅延オーディオ信号の生成の制御を開始する。
この態様によれば、人体が検知されたときのみ音響ビームによる誘導が行われる。従って、不要な音響ビームの発生を防止することができる。
他の好ましい態様において、前記制御手段は、前記所定の移動経路に沿って焦点が移動する音響ビームを出力させるための遅延オーデイオ信号の他、特定区域内へ誘導音を放射するための遅延オーディオ信号を前記遅延オーディオ信号生成手段に生成させる。
特定区域の典型例は立ち入り禁止区域である。この態様によれば、特定区域内への誘導音の放射により、例えば立ち入り禁止区域である特定区域内にユーザが入っていることをユーザに知らせることができる。
他の好ましい態様において、誘導装置は、音響ビームによる誘導サービスを受ける資格者の所在を求める測位手段を有し、前記制御手段は、前記測位手段により求められた資格者の所在位置に焦点を有する音響ビームが出力されるよう記複数の遅延オーディオ信号の生成の制御を行う。
この態様によれば、誘導を必要とする者のみに音響ビームを放射することができるので、不要な音響ビームの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態である誘導装置の構成例を示す図である。この誘導装置は、音響ビームによる誘導サービスを提供する装置であり、スピーカアレイ10と、誘導音生成部20と、制御部30と、メモリ40とにより構成されている。
【0007】
スピーカアレイ10は、n個(nは複数)のスピーカを線状または面状に配列してなる装置であり、図1に示すように、各スピーカの放射面を下方の横断歩道1に向けた状態で、横断歩道1の上空に配置されている。本実施形態では、視覚障害者の横断歩道1の横断を手助けするため、横断歩道1を渡る人の頭の高さの移動経路1aを想定し、この移動経路1aの開始点に焦点位置を有する誘導音の音響ビームと、この移動経路1aに沿って焦点位置が移動する誘導音の音響ビームをスピーカアレイ10により出力する。
【0008】
誘導音生成部20は、このような誘導音の音響ビームをスピーカアレイ10に生成させるための遅延オーディオ信号を生成するための装置である。図1に示すように、誘導音生成部20は、各種の誘導音のオーディオ信号を生成するm個の音源201−k(k=1〜m)と、各々の前段の音源201−kによって出力されるオーディオ信号からスピーカアレイ10の各スピーカに対応付けられたn個の遅延オーディオ信号を各々生成するm個の信号処理部202−k(k=1〜m)と、信号処理部202−k(k=1〜m)から出力される各遅延オーディオ信号を同一スピーカに対応付けられたもの同士加算して出力するn個の加算器203−j(j=1〜n)とを有する。ここで、各加算器203−j(j=1〜n)の出力信号は、スピーカアレイ10における各々に対応したスピーカに供給される。
【0009】
本実施形態において、ある焦点を持った1本の音響ビームをスピーカアレイ10により生成する場合、1個の音源201−kとその後段の信号処理部202−kが、その音響ビームの形成に必要なn個の遅延オーディオ信号を生成する遅延オーディオ信号生成手段として選択される。そして、スピーカアレイ10の各スピーカから放射された音波が焦点位置において同位相で重なり合うように、信号処理部202−kから各スピーカに供給する遅延オーディオ信号の遅延調整およびレベル調整が行われる。このような調整により、焦点位置において局所的に高い音圧が得られる音響ビームをスピーカアレイ10から出力することができる。本実施形態における誘導音生成部20は、このような遅延オーディオ信号生成手段たる音源201−kおよび信号処理部202−kを各々m個有している。従って、本実施形態では、最大m本の音響ビームを同時に形成することが可能である。
【0010】
制御部30は、横断歩道1に設けられた信号機50から現在の表示色を示す信号を受信し、この受信信号に従い、適切な誘導音を視覚障害者に提供するための誘導音生成部20の制御を行う装置である。メモリ40には、各種の誘導音のオーディオ信号を生成させるために音源201−k(k=1〜m)に設定するパラメータが記憶されている。また、メモリ40には、移動経路1aの開始点に音響ビームの焦点を位置させるn個の遅延オーディオ信号を得るための遅延時間および利得を指定するデータが記憶されている。さらにメモリ40には、移動経路1aに沿って音響ビームの焦点を移動させる際に用いるn個の遅延時間関数Dj(x)(j=1〜n)および利得関数Gj(x)(j=1〜n)が記憶されている。ここで、遅延時間関数Dj(x)(j=1〜n)および利得関数Gj(x)(j=1〜n)の独立変数xは、移動経路1a上における開始点(x=0)からの変位であり、遅延時間関数Dk(x)(k=1〜n)および利得関数Gj(x)(j=1〜n)の関数値は、移動経路1a上の開始点からxだけ変位した位置に音響ビームの焦点を位置させるn個の遅延オーディオ信号を得るための遅延時間および利得を表す。制御部30は、移動経路1aに沿って焦点位置が移動する音響ビームを形成する場合、独立変数xを0から逐次増加させつつ、遅延時間関数Dj(x)(j=1〜n)および利得関数Gj(x)(j=1〜n)の値を演算し、演算により得られた遅延時間および利得を、遅延オーディオ信号の生成を行う信号処理部202−kに設定する。
以上が本実施形態の構成である。なお、以上では、説明を簡単にするため、図1において右側から左側に横断歩道1を渡る人を助けるための誘導装置のみを例に説明したが、以上説明したものと基本的に同じ構成により、左側から右側に横断歩道1を渡る人を助けるための誘導装置を設けてもよい。
【0011】
次に本実施形態の動作を説明する。信号機50の表示が赤である場合、制御部30は、例えば音源201−1に指令を送り、「赤です。しばらくお待ち下さい。」という音声を表すオーディオ信号を繰り返し生成させる。また、制御部30は、移動経路1aの開始点に音響ビームの焦点を位置させるためのn個の遅延オーディオ信号の遅延時間を指定するデータをメモリ40から読み出し、これに従い、信号処理部202−1の遅延設定を行う。これにより、図2(a)に示すように、移動経路1aの開始点に向けて、「赤です。しばらくお待ち下さい。」という音声の音響ビームが出力される。従って、このとき視覚障害者が横断歩道1の手前に到着したとすると、彼または彼女はこの音声を聞き、立ち止まることとなる。
【0012】
その後、信号機50の表示が赤から青に変わると、制御部30は、音源201−1に指令を送り、それまでに生成していたオーディオ信号に代えて、「青です。この音に従ってお進み下さい。」という音声を表すオーディオ信号を繰り返し生成させる。この結果、図2(b)に示すように、移動経路1aの開始点に向けて、「青です。この音に従ってお進み下さい。」という音声の音響ビームが出力される。従って、このとき視覚障害者が横断歩道1の手前で立ち止まっていたとすると、彼または彼女はこの音声を聞き、横断歩道1の横断を開始することとなる。
【0013】
また、制御部30は、他の音源である例えば音源201−2に指令を送り、「青です。この音に従ってお進み下さい。」という音声を表すオーディオ信号を繰り返し生成させる。さらに制御部30は、視覚障害者が十分に追従して歩行することができる程度の速度で音響ビームの焦点が移動するように、独立変数xを0から逐次増加させつつ、遅延時間関数Dj(x)(j=1〜n)および利得関数Gj(x)(j=1〜n)の値を逐次演算し、演算により得られた遅延時間および利得を、信号処理部202−2に設定する。これにより、図2(b)に示すように、「青です。この音に従ってお進み下さい。」なる内容であり、かつ、焦点が移動経路1aに沿って移動する音響ビームがスピーカアレイ10から出力される。そして、この音響ビームの焦点は、移動経路1aに沿って横断歩道を横断する。ここで、視覚障害者は、音響ビームの焦点付近にいるときには高い音圧を感じ、焦点位置から外れると音圧が低くなるのを感じる。従って、視覚障害者は、高い音圧を感じる方向へ身を移動させ、音響ビームに追従して横断歩道1を渡ることができる。
【0014】
一方、制御部30は、上記視覚障害者を誘導する音響ビームの焦点位置が移動経路1aの開始点から所定距離だけ進むと、横断歩道1に対する新たな入場者のために別の音響ビームを発生させる処理を行う。すなわち、制御部30は、さらに例えば音源201−3と信号処理部202−3を選択し、「青です。この音に従ってお進み下さい。」という音声を表すオーディオ信号の生成と、移動経路1aに沿って焦点位置が移動する音響ビームを得るための遅延オーディオ信号の生成を行わせる。この結果、図2(c)に示すように、先に生成されたものと同様な「青です。この音に従ってお進み下さい。」という音声の音響ビームが生成され、先に生成された音響ビームを追いかけるように移動経路1aに沿って移動する。以下、同様であり、先行する音響ビームの焦点位置が開始点から所定距離だけ進む都度、新たな音源および信号処理部が選択され、先行する音響ビームを追いかける音響ビームが生成され、これらの各音響ビームは横断歩道1を順次横断する。従って、信号が青になった後、横断歩道1の手前に到着した視覚障害者は、その直後に生成される移動する音響ビームを利用し、横断歩道1を渡ることができる。
なお、本実施形態では、誘導サービスを提供する場所を略水平な横断歩道としたが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。例えば、傾斜のある道、上下階へ昇降する階段、エレベータ、建物の入口等、誘導すべき人がいるあらゆる場所に適用可能である。
また、本実施形態では、スピーカアレイ10のスピーカユニットの配列方向を略水平としたが、これに限らず、音響ビームが対象とする移動経路に焦点を作りやすいように、スピーカユニットを斜めや上下方向に配列し、あるいは曲面状に配列する等、適切な配列方向の方向、形状を選択してもよい。
さらに元の音声の移動方向とは別の方向、例えば図1では左から右へ移動する新たな音声を新たな横断者への誘導音として元の音声に重畳して提供してもよい。すなわち、誘導音として複数の音声を生成し、その個々の誘導音の誘導方向を異ならせてもよい。
【0015】
<第2実施形態>
次に図3を参照し、この発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、上記第1実施形態における移動経路1aの開始点付近に、横断歩道1への人の入場を検知する人体センサ1bを設ける。この人体センサ1bは、例えば人に踏まれたときに人体検出信号を出力する重量センサであってもよく、1対の発光部と受光部とからなる光学式のセンサであってもよい。本実施形態における制御部30(図1参照)は、図3(a)に示すように、人体センサ1bにより人が検知されたとき、その時点における信号機50の表示に応じた音声の音響ビームをスピーカアレイ10に出力させる。また、信号が青であるときに、人体センサ1bにより人が検知されたとき、制御部30は、この人の検知をトリガとして、移動経路1aに沿って移動する「青です。この音に従って移動して下さい。」なる音声の音響ビームをスピーカアレイ10から出力させる(図3では図示略)。さらに、信号が青であり、移動する音響ビームが生成されているときに新たな人の横断歩道1への入場が人体センサ1bによって検知された場合には、制御部30は、その人のための移動する音響ビームをスピーカアレイ10に出力させる(図3(c)および(d)参照)。移動する音響ビームを生成するための制御の内容は上記第1実施形態において説明した通りである。
【0016】
本実施形態によれば、人体の検知をトリガにして音響ビームの出力が行われるため、不要な音響ビームの出力を防止し、音響ビームの出力のために消費される電力を節約することができるという効果がある。また、周囲への不要な騒音を低減することができ、環境保全にも寄与することができる。
【0017】
好ましい態様では、音響ビームによる誘導サービスを受け得る資格者であることを示すIDを記憶したRFIDタグを視覚障害者に携帯させ、人体センサ1bとして、このRFIDタグと非接触通信を行う無線通信装置を設置する。この態様では、RFIDタグを携帯した視覚障害者が横断歩道1に入場し、無線通信装置によりRFIDタグからIDが読み取られたときに、それをトリガとして、誘導用の音響ビームの出力が行われる。従って、誘導を必要とする人のみに音響ビームを出力し、不要な音響ビームの出力を防止することができるという効果がある。
【0018】
<第3実施形態>
次に図4を参照し、この発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、この発明に係る誘導装置を駅のホームに適用したものである。駅のホームには、多数の突起からなる帯状の誘導標識が設けられている。視覚障害者は、この誘導標識を杖などにより確認することができるが、自分がこの誘導標識の外側(線路側)にいるのか内側にいるのかを知ることが困難な場合も多い。本実施形態は、この点に鑑み、視覚障害者がより安全に列車に乗車することができるように誘導を行うものである。本実施形態に係る誘導装置の構成は、基本的に第1実施形態のものと同様である。
【0019】
本実施形態において、列車がホームに入場していない場合、制御部30(図1参照)は、スピーカアレイ10から誘導標識6の外側(線路側)の領域内に「危険です。ホームの内側に移動して下さい。」なる音声の平行ビームを誘導標識6の外側(線路側)から内側に移動するように放射させる。誘導標識6の外側にいる視覚障害者は、この音声を聞くことにより、自分が誘導標識の外側にいることを知り、誘導標識6を踏み越えて、ホーム内側に移動することができる。列車7がホームに入場し、列車7のドアが開くと、制御部30は、これをトリガとし、ホーム中央付近から列車7のドアまで移動する「この音に従ってご乗車下さい。」なる音声の音響ビームをスピーカアレイ10により繰り返し生成する。従って、視覚障害者は、この音響ビームに従って安全に列車7に乗車することができる。
【0020】
<第4実施形態>
図5はこの発明の第4実施形態である誘導装置の構成を示すブロック図である。上記第1〜第3実施形態と同様、本実施形態に係る誘導装置も、音響ビームによる誘導サービスをユーザに提供する装置である。本実施形態において、音響ビームによる誘導サービスを受けるユーザは、サービスを受ける資格を証明するIDを送信する無線通信装置を携帯する。また、誘導サービスが提供されるサービスエリアには、このユーザの無線通信装置と無線通信を行う複数の無線通信装置300が配置されている。測位装置200は、これらの無線通信装置300により、サービスエリア内のユーザの携帯する無線通信装置からIDを読み取り、そのユーザが誘導サービスを受ける資格を持つユーザであるか否かを判定する。その際、測位装置200は、各無線通信装置300におけるIDの受信強度に基づき、そのIDの発信源の位置、すなわち、音響ビームによる誘導サービスを受けるユーザの所在位置を求め、誘導制御装置100に通知する。誘導制御装置100は、測位装置200から通知された位置に所在するユーザにスピーカアレイ10から誘導音の音響ビームを提供するための制御を行う。
【0021】
上記第1実施形態では、スピーカアレイ10から出力される誘導音の音響ビームの焦点を予め決められた移動経路1aに沿って移動させた。このため、音響ビームによる誘導サービスを望むユーザは、移動経路1aの開始点近傍に到達しなければならなかった。これに対し、本実施形態においては、サービスエリア内の任意の場所にいるユーザに音響ビームによる誘導サービスを提供する。このようなサービスを可能にするため、誘導制御装置100には、いわゆるナビゲーション機能が設けられている。この誘導制御装置100は、測位装置200からユーザの現在位置の通知を受けると、その現在位置からサービスエリア内の目的位置までの経路を求め、その経路に沿って誘導音の音響ビームの移動させる。
本実施形態によれば、例えば上記第1実施形態において取り上げた横断歩道の歩行者に音響ビームによる誘導サービスを提供する場合に、横断歩道から離れた場所を含む広範囲のサービスエリア内に所在するユーザを、ナビゲーション機能により横断歩道の手前まで誘導し、横断歩道を横断させる、というサービスが可能になる。
【0022】
<他の実施形態>
以上、この発明の実施形態を説明したが、これら以外にも、本発明には各種の実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
【0023】
(1)上記各実施形態では、視覚障害者に音響ビームによる誘導サービスを提供する場合を例に挙げたが、この発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。例えばデパート内のある売り場(○○売り場とする。)において目玉商品の売り出しを行う場合に、デパート内の各所にスピーカアレイを配置し、これらにより「○○売り場はこちらです。」といった誘導音の音響ビームを発生させ、各音響ビームの焦点を○○売り場への道順に従って移動させ、客を○○売り場へ誘導する、という実施の態様もあり得る。
また、誘導音は、直接行動を促す音声でなく、間接的に行動を促す音声でもよい。例えば、「まもなく信号が赤に変わります」、「男子トイレは左側で、女子トイレは右側です」、「ここは出口専用です」等である。
【0024】
(2)音響ビームの移動速度をユーザに合わせて変えるようにしてもよい。具体的には、誘導サービスを受ける資格を照明するIDと希望する音響ビームの移動速度に関する情報を記憶したRFIDをユーザに携帯させる。そして、例えば上記第1実施形態における横断歩道など、音響ビームによる誘導サービスを行うサービスエリアにユーザが入場した場合には、そのユーザが携帯するRFIDから移動速度に関する情報を読み出し、この情報に従い、当該ユーザに提供する音響ビームの移動速度を決定する。この態様によれば、ユーザの希望する適切な速度で音響ビームの焦点を移動させ、安全にユーザの誘導を行うことができる。
また、上記第1〜第4実施形態において、音響ビームの焦点の移動速度を信号機の色や点滅速度に応じて変えてもよい。例えば、信号機の色が青色から黄色に変わった場合には、音響ビームの焦点の移動速度を上げて、歩行者に歩行速度を速めるように促してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の第1実施形態である誘導装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態の動作を示す図である。
【図3】この発明の第2実施形態である誘導装置の動作を示す図である。
【図4】この発明の第3実施形態である誘導装置の動作を示す図である。
【図5】この発明の第4実施形態である誘導装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0026】
10…スピーカアレイ、1a…移動経路、20…誘導音生成部、201−k(k=1〜m)…音源、202−k(k=1〜m)…信号処理部、203−j(j=1〜n)…加算器、30…制御部、40…メモリ、50…信号機、200…測位装置、300…無線通信装置、100…誘導制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスピーカを線状または面状に配列してなるスピーカアレイと、
誘導音を表すオーディオ信号を遅延させた複数の遅延オーディオ信号を生成し、前記スピーカアレイの各スピーカに供給する遅延オーディオ信号生成手段と、
前記スピーカアレイから前記誘導音を表す音響ビームが出力され、かつ、該音響ビームの収束先である焦点が所定の移動経路に沿って移動するように前記複数の遅延オーディオ信号の生成を制御する制御手段と
を具備することを特徴とする誘導装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記所定の移動経路に沿って各々の焦点が移動する音響ビームが複数出力されるように、前記複数の遅延オーディオ信号の生成を制御することを特徴とする請求項1に記載の誘導装置。
【請求項3】
前記所定の移動経路の開始点近傍への人体の到来を検知するセンサを有し、
前記制御手段は、前記センサによる人体の検知を契機として、前記焦点が移動する音響ビームを出力させるための前記複数の遅延オーディオ信号の生成の制御を開始することを特徴とする請求項1に記載の誘導装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記所定の移動経路に沿って焦点が移動する音響ビームを出力させるための遅延オーデイオ信号の他、特定区域内へ誘導音を放射するための遅延オーディオ信号を前記遅延オーディオ信号生成手段に生成させることを特徴とする請求項1に記載の誘導装置。
【請求項5】
音響ビームによる誘導サービスを受ける資格者の所在を求める測位手段を有し、
前記制御手段は、前記測位手段により求められた資格者の所在位置に焦点を有する音響ビームが出力されるよう記複数の遅延オーディオ信号の生成の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の誘導装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−82688(P2007−82688A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273930(P2005−273930)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】