誘導電動機の駆動装置
【課題】簡易な方式による周波数変換を行う誘導電動機の駆動装置であって、低振動・低騒音、連続電流通電、低電磁ノイズ、発熱・高効率を実現すること。
【解決手段】交流電源1と、双方向スイッチ(10〜13)から構成されるブリッジ回路と、ブリッジ回路を介して交流電源1に接続される単相誘導電動機2とを有し、交流電源1の電圧位相にあわせて、ブリッジ回路で対角位置にある二組の双方向スイッチの通電/遮断制御を行うことで、電源電流および負荷電流が連続となり、電源周波数変換を簡易に実現できる。
【解決手段】交流電源1と、双方向スイッチ(10〜13)から構成されるブリッジ回路と、ブリッジ回路を介して交流電源1に接続される単相誘導電動機2とを有し、交流電源1の電圧位相にあわせて、ブリッジ回路で対角位置にある二組の双方向スイッチの通電/遮断制御を行うことで、電源電流および負荷電流が連続となり、電源周波数変換を簡易に実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源の電源周波数を異なる電源周波数に変換し、簡易に電動機の運転周波数変換を実現する誘導電動機の駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電力変換装置はサイリスタなどを組み合わせて双方向スイッチを構成している(例えば、特許文献1参照)。また、基本的な制御方式として、適時電源を半周期ごとに間引くことにより、擬似的に周波数変換しているものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
図12は、特許文献1に記載された従来の交流電力周波数変換装置を示すものである。同図において、交流電源1と、負荷(誘導電動機)2との間に配置され、2個逆並列で構成された4組の双方向スイッチを構成するサイリスタA1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2と、それぞれのサイリスタゲ−トを駆動する制御回路とから構成され、負荷(誘導電動機)2には、交流電源1の半波成分が交互に印加され、元の周波数の1/2の周波数が負荷(誘導電動機)2に印加されることにより、ほぼ運転速度が1/2となっている。
【0004】
また、図13は同じく特許文献2に記載された従来の誘導電動機速度制御方式における負荷(電動機)に印加される交流電源(W1)を双方向スイッチで間引き通電を行うことで等価的に元の周波数の1/2(W2)、1/3(W3)の周波数で負荷(電動機)に印加した通電状態をしめす図である。また、図14は同じく特許文献3に記載された従来の誘導電動機のタップ切替え方式による速度制御方式での構成を示す図であり、誘導電動機の速度を「強」「中」「弱」「微弱」と変更するにあたり、巻線タップをそれぞれ設け通電巻線を切替えることで速度変更を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−322251号公報
【特許文献2】特開昭55−157991号公報
【特許文献3】特開平10−238830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の構成では、ともに電源からの供給電力を半周期ごとの間引き通電を行うことで擬似的に周波数1/2、1/3を実現化している。従って電源からの供給電流が不連続となり、電源系統に対して高調波電流成分を流出し、電力環境に悪影響を与えるという課題があった。
【0007】
また、負荷である電動機に流れる電流も不連続もしくは高調波成分の電流を含み、トルク脈動やそれに起因する振動・騒音などの課題や、不連続な電流を電動機へ通電するために電源周期ごとに過大な電流が繰返し発生するという課題があった。その結果として電磁ノイズが発生したり、電動機運転電流に高調波電流成分を含むために発熱が生じるといった課題などを有していた。
【0008】
また、従来の構成では速度切替えを巻線タップで調整するために比較的構造が簡単ではあるが、電動機の引き出し線が増加することや切替え回路(もしくはスイッチ数)がタッ
プの数だけ必要となる。また、電動機の巻線に通電使用しない領域が存在することや負トルクを用いて減速するために運転効率が低速域で悪化するといった課題があった。
【0009】
本発明は、前記従来課題を解決するもので、電源電流および負荷電流が連続であり、電源周波数変換を簡易に実現できる誘導電動機の駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために本発明の誘導電動機の駆動装置は、交流電源と、双方向スイッチから構成されるブリッジ回路と、ブリッジ回路を介して交流電源に接続される単相誘導電動機とを備えて、交流電源の電圧位相にあわせて、ブリッジ回路で対角位置にある二組の双方向スイッチの通電/遮断制御を行うことにより、交流電源の周波数を変換することでコンデンサ誘導電動機の運転周波数を変更するものである。
【0011】
これによって電源電流および負荷電流が連続であり、電源周波数変換を簡易に実現できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の誘導電動機の駆動装置は、簡易に電源周波数変換を実現することができる。また、誘導電動機を電圧一定での周波数変調駆動制御時においても、誘導電動機における過大な巻線電流を防止することが可能となり、より高効率な誘導電動機の駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における誘導電動機の駆動装置の主回路結線図
【図2】本発明の実施の形態1におけるコントローラの内部制御処理を示す図
【図3】本発明の実施の形態1における電圧波形図
【図4】本発明の実施の形態1における双方向スイッチの動作図
【図5】本発明の実施の形態1における誘導性負荷での波形図
【図6】本発明の実施の形態2における1/3周波数変換時の電圧波形図
【図7】本発明の実施の形態2における双方向スイッチの動作図
【図8】本発明の実施の形態3におけるコンデンサモータ運転時の結線図
【図9】本発明の実施の形態2における純単相誘導電動機運転時の結線図
【図10】本発明の実施の形態7における誘導電動機の駆動装置の主回路結線図
【図11】本発明の実施の形態7における誘導電動機の駆動装置による速度概要図
【図12】従来の間引き方式による誘導電動機の駆動装置の回路図
【図13】従来の間引き方式による誘導電動機の駆動装置における電圧波形図
【図14】従来のタップ切替え方式による誘導電動機の駆動装置の回路図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、交流電源と、双方向スイッチから構成されるブリッジ回路と、前記ブリッジ回路を介して前記交流電源に接続される単相誘導電動機と、を備えた誘導電動機の駆動装置であって、前記交流電源の電圧位相にあわせて、前記ブリッジ回路で対角位置にある二組の双方向スイッチの通電/遮断制御を行うものである。これによって電源電流および負荷電流が連続であり、電源周波数変換を簡易に実現できる。
【0015】
第2の発明は、特に第1の発明において、双方向スイッチの通電/遮断制御を行うにあたり、電源のゼロクロス付近で電源周期に合わせて切替える事により、電源周波数を等価的に1/N(N:整数)とするものである。電源電圧のゼロクロス電位にて給電方向を反転するために、その切換に伴うノイズ・サ−ジ電圧・スイッチングロスを低減できる。さらに、電源から負荷を見た場合には、常に負荷が接続された状態となり、電流不連続期間
が生じない。一方、負荷から電源を見ると常に電源から電力が給電された状態であり、最大電力を受電消費できるといった特徴をもつものである。
【0016】
第3の発明は、特に第1の発明において、前記単相誘導電動機をコンデンサ単相誘導電動機とし、前記ブリッジ回路の片アームを構成する双方向スイッチの第一中間接続点と前記単相誘導電動機の主巻線の第一端とが第一開閉接点を介して接続され、前記主巻線の他端である第二端と前記ブリッジ回路の他アームを構成する双方向スイッチの第二中間接続点とが接続され、前記補助巻線の第一端と双方向スイッチの前記第一中間接続点とが接続され、前記補助巻線の第二端とコンデンサの第一端とが第二開閉接点を介して直列接続された回路が主巻線に並列接続された第一の回路接続状態と、前記主巻線の第一端と前記補助巻線の第二端とが第三開閉接点を介して接続され、前記補助巻線の第一端と前記第二の双方向スイッチ中間接続点とが第四開閉接点およびコンデンサを介して直列接続された第二の回路接続状態と、から構成され、第一の回路接続状態と第二の回路接続状態との接続状態を選択的に切替えることで、主巻線と前記補助巻線を直列接続とする純単相誘導電動機運転と主巻線と補助巻線を並列接続とするコンデンサモータ運転とを切替えるものである。
【0017】
同じ誘導電動機であっても運転状態に合わせて両者の運転状態を変更することが可能である特徴を持つものである。また、誘導電動機への供給電源周波数が高いときには電動機の巻線インピーダンスを低く設定し、運転周波数が低いときには電動機の巻線インピーダンスを高く設定できるために、一定電圧駆動であっても電動機巻線に流れる電流が制限され、第一回路状態と第二回路状態との接続状態を電動機の駆動電源周波数に応じて選択的に切替えることで巻線温度上昇となることを防止できる。
【0018】
第4の発明は、特に第3の発明において、第一の回路接続状態と第二の回路接続状態との接続状態を電源周波数に応じて選択的に切替えることを特徴とするものである。誘導電動機への供給電源周波数が高いときには電動機の巻線インピーダンスを低く設定し、運転周波数が低いときには電動機の巻線インピーダンスを高く設定できるために、一定電圧駆動であっても電動機巻線に流れる電流が制限され、第一回路状態と第二回路状態との接続状態を電動機の駆動電源周波数に応じて選択的に切替えることで巻線温度上昇となることを防止できる。
【0019】
第5の発明は、特に第3の発明において、コンデンサ単相誘導電動機の主巻線と補助巻線との接続を並列接続あるいは直列接続に切替える切換手段により、電源周波数が基本周波数時には並列接続運転で、電源周波数が等価的に1/2周波数での運転時には主巻線と補助巻線を直列接続にて駆動するものである。これにより、電圧一定での周波数変調駆動でありながら異常な巻線温度上昇となることを防止することができる。
【0020】
第6の発明は、特に第3の発明において、単相誘導電動機の運転条件に応じて起動から同期運転速度付近ではコンデンサ単相誘導機運転を行い、同期速度付近ではコンデンサ二相励磁単相誘導機運転もしくは単相誘導電動機運転を行い、同期速度付近から1/2同期速度付近では単相誘導電動機運転を行い、1/2同期速度付近では単相誘導電動機+電源集周波数変換制御の各運転制御を切替えるものであり、高効率な単相誘導電動機運転を実現することができる。
【0021】
第7の発明は、特に第3の発明において、純単相誘導電動機運転時にはコンデンサを前記単相誘導電動機と並列接続となるように電源に接続し、電源力率補償機能として使用するものである。
【0022】
第8の発明は、特に第1〜第7の発明において、タップ切替えによって前記単相誘導電
動機の変速を行う変速手段を具備し、変速手段および前記ブリッジ回路による周波数変換によって運転周波数を変更するものである。これによって、運転動作をより詳細に選択でるとともに、運転周波数に適切に合致した誘導電動機の運転を実現できる。
【0023】
第9の発明は、特に第1〜第8の発明において、双方向スイッチをGaNやSiCなどの半導体素子で構成することで、導通損失低減、スイッチング損失低減を図ることができシステム効率向上につながる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における誘導電動機の駆動装置の基本構成を示す図である。
【0026】
図1において、誘導電動機の駆動装置は、交流電源1には単相交流電源が用いられ、主巻線3と補助巻線4から構成される単相誘導電動機2、起動・運転用のコンデンサ5から構成される。また、コンデンサ5は、前記単相誘導電動機2の補助巻線4と第二開閉器6のb接点6bを介して単相誘導電動機2の補助巻線4に接続されている。さらに、補助巻線4は第三開閉器7のa接点7aを介して、主巻線の一端に接続されている。一方、補助巻線の他端は、第四開閉器8のa接点8aを介してコンデンサ5および第一開閉器9のb接点9bを介して、主巻線3に接続されている。
【0027】
また、この回路ブロックは交流電源1に、それぞれ2個の逆導通阻止IGBT(Q1とQ2、Q3とQ4、Q5とQ6、Q7とQ8)から構成される4組の双方向スイッチ10、11、12、13により、ブリッジ回路を構成して接続されている。それぞれの逆阻止IGBTは、独立したゲート駆動回路を具備しており、コントローラ14からの駆動信号に基づいて8素子の逆導通素子IGBTのゲートをそれぞれ駆動し、逆導通阻止IGBTのON、OFF動作を行うように構成されている。
【0028】
なお、図2は、コントローラ14と各逆導通素子IGBTの駆動回路と各開閉器の駆動信号の処理を示すものである。同図において、コントローラ14は、単相誘導電動機2に対して、運転・停止・運転速度指示などの信号である速度指令信号15と電源位相検出回路16からの位相信号17を入力とし、速度指示に応じて単相誘導電動機2に印加する電源電圧、電源周波数、主巻線3および補助巻線4の結線状態を選択的に切替える判断手段をもつとともに、開閉器の駆動信号と逆導通素子IGBT駆動信号とを送出する。
【0029】
コントローラ14は、単相誘導電動機2の運転周波数を指令信号である速度指令信号15と交流電源1の電圧位相(例えば電圧ゼロクロス)を検出する電源位相検出回路16からの位相信号17との両信号により、前記逆導阻止IGBTからなる双方向スイッチ10、11、12、13の駆動信号(各逆導通素子IGBTのゲート信号に相当)および前記第一開閉器9、第二開閉器6、第三開閉器7および第四開閉器8までの接点を下記のように適切に切替えることで単相誘導電動機2の運転速度変更を行う。
【0030】
図1において、第一開閉器9、第二開閉器6、第三開閉器7および第四開閉器8の接点をすべてb接点通電動作とする。速度指令信号15に基づいて、双方向スイッチ10および13を双方向通電状態で双方向スイッチ11および12を遮断状態とすると、単相誘導電動機2およびコンデンサ5には、交流電源1の電源が供給され起動、運転を維持することが可能となる。また、双方向スイッチ11および12を双方向通電動作とし、双方向スイッチ10および13を遮断状態としても同様の効果を実現できる。
【0031】
また、双方向スイッチに均等に負荷を負担させるためには、電源位相検出回路16からの位相信号17に基づき、電源位相の一周期ごとに双方向スイッチ10および13のペアと双方向スイッチ11および12のペアとの双方向通電状態と遮断状態を切替えても同様の効果を得ることができ、各逆導通素子IGBTの負荷負担を均一化することが可能となる。
【0032】
上記のように、ブリッジ回路を構成する対角位置の双方向スイッチの通電、遮断制御を交流電源1の位相にあわせて行う事により、単相誘導電動機2を所定の速度で運転することが可能となるものである。
【0033】
なお、双方向スイッチ10〜13をGaNやSiCなどの半導体素子を用いて構成した場合には、導通損失低減、スイッチング損失低減を図ることができシステム効率向上につながる。
【0034】
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態における誘導電動機の駆動装置では、図1に示した誘導電動機の駆動装置と構成は同じであり、双方向スイッチの通電状態を工夫する。上記実施の形態ですでに説明を行った同じ構成要素については同一符号を付し、説明を略する。
【0035】
前記第1の実施と同じ構成において、本実施の形態では、交流電源1の電源位相半周期に合わせて、ブリッジ回路を構成する双方向スイッチのペアの双方向通電状態と遮断状態を選択する。これにより、単相誘導電動機2に印加される等価周波数を1/N(N:整数)とすることが可能となり、単相誘導電動機2の運転周波数を定格周波数運転に比べて、低速運転を実現することが可能となる。
【0036】
図3は、本実施の形態の基本概念を説明する図であり、上段は50Hzの正弦波であるが、その一周期ごとに半周期分の電圧を負荷に対して反転印加することにより、等価的に25Hzの電源を作り出すことが可能となる。
【0037】
一方図4は、図3の波形を作り出す各逆導通阻止IGBTQ1〜Q8の動作と交流電源1の位相との関係を示した一例である。上段は50Hz時の運転状態を示す。下段は等価周波数1/2である25Hz時の交流電源1の連続した各半位相周期((1)〜(4))における各逆導通阻止IGBTQ1〜Q8の動作を示している。同図において、負荷である単相誘導電動機2に印加される電位は、(1)と(2)期間と(3)と(4)期間においてはそれぞれ同じ方向に電圧印加されるために、等価25Hz電源となる。
【0038】
ここで、単相誘導電動機2は誘導性負荷であるために、電圧と負荷電流との関係は図5に示すように少し電流波形が変形され、単相誘導電動機2の出力トルクリップルおよび速度変動は緩和される。なお、図5はインダクタンス20mH、負荷抵抗成分2Ωでのシミュレーション結果である。
【0039】
さらに、1/3周波数の等価電源波形を作るには、例えば図6に示すような動作を双方向スイッチ10〜13にて行えば、電源周波数50Hz時において約16.7Hzの交流周波数を生み出すことが可能となり、同様の結果が得られる。以下、1/N(N:整数)の周波数を作り出すにも同様に処理をおこなえばよい。これらにより、単相誘導電動機2において、印加電源周波数を簡易的に変更することが可能となり、離散的であるが周波数変更を簡単に実現することが可能となるものである。
【0040】
(実施の形態3)
本発明の第3の実施の形態における誘導電動機の駆動装置では、図1に示した誘導電動機の駆動装置と構成は同じであるため、すでに説明を行った同じ構成要素については同一符号を付し説明を略する。
【0041】
第1のおよび第2の実施の形態において、電源周波数は1/N(N:整数)に周波数変更することが可能となっているが、電源電圧の波高値は変化していない。このために、単相誘導電動機2を駆動する際に、効率面で課題が生じることがある。すなわち、電動機の負荷特性は巻き線インダクタンスおよび巻線抵抗値で代表される。一般に電動機の周波数制御においては、電源周波数とともに電源電圧の実行値をほぼ比例的に変更する必要がある。式(1)にて示すように、インダクタンス値が充分に大きくかつインダクタンス値は電源周波数に依存するために、インピ−ダンス値が電源周波数により変化するためである。
【0042】
Z=r+jωL ・・・・ (1)
(Z:巻線インピーダンス、 r:巻線抵抗 ω:2xπxf f:電源周波数
L:巻線インダクタンス値)
例えば、同じ振幅で1/2周波数の電源を供給した場合には、誘導性負荷には定格周波数の約2倍の電流が流れることで巻線損失が増加し、効率が大きく低下する。本実施の形態では、図1の構成において第一開閉器9、第二開閉器6、第三開閉器7、第四開閉器8の通電接点を切替えることにより、単相誘導電動機2の主巻線3および補助巻線4の結線を並列接続状態と直列接続状態とを選択的に切替えて、交流電源1から見た単相誘導電動機2の等価インピーダンスを変更するものである。
【0043】
図7は、各逆導通阻止IGBTの動作および開閉器の動作を示した図であり、図8、9は同じく各動作時の図1における主回路の回路接続状態を記載したものである。
【0044】
図7において、上段は交流電源1の電源周波数が50Hz時であり、その周波数にて運転を行う場合を示しており、第一開閉器9、第二開閉器6、第三開閉器7、第四開閉器8はb接点接続であり、それぞれの開閉器駆動手段には通電をおこなっていない。この状態での単相誘導電動機2の巻線結線状態は、図8で示すように主巻線3は補助巻線4とコンデンサ5との直列接続回路と並列回路を構成している。また、双方向スイッチもブリッジ回路を構成する対角のスイッチが通電状態であり、それらのスイッチを構成する逆導通阻止IGBTQ1、Q2、Q7、Q8がON状態であり、他のIGBTはOFFとなっている。逆に逆導通阻止IGBTQ3、Q4、Q5、Q6がON状態で、他のIGBTがOFFであっても同じ効果を得ることが可能である。この状態では、交流電源1の電源がそのまま単相誘導電動機2に印加されるので単相誘導電動機2は負荷に応じたすべりに応じた速度での運転を行う。一方、図7の下段においては、第一開閉器9、第二開閉器6、第三開閉器7、第四開閉器8はa接点接続であり、このときの単相誘導電動機2の巻線結線状態は、図9で示すように主巻線3と補助巻線4との直列回路にコンデンサ5が並列に接続された回路構成となっている。さらに、前記第2の実施例と同様に交流電源1の電圧位相に合わせて、各双方向スイッチの通電状態を選択することにより、交流電源周波数の1/2の周波数を作りだしている。この図9にて示した接続状態では、交流電源1に対して単相誘導電動機2の主巻線3と補助巻線4とが直列接続されているので、電源から見た等価インピーダンスは、主巻線3と補助巻線4とのインピーダンス和で図8の接続時に比べて約2倍となり、電源電圧1の実行電圧がそのまま単相誘導電動機2に印加されていても回路電流を約1/2とすることが出来る。
【0045】
これは、電源電圧が1/2であれば回路電流が約1/2で、出力トルク約1/4となり
、
VVVF制御が実現している。
【0046】
(実施の形態4)
本発明の第4の実施の形態における誘導電動機の駆動装置では、図1に示した誘導電動機の駆動装置と構成は同じであるため、すでに説明を行った構成要素については同一符号を付し説明を略する。
【0047】
上記実施の形態において、交流電源1の電源周波数運転と1/2周波数運転との切替えは、コントローラ14に入力される速度指令信号15により、各逆導通素子IGBTQ1〜Q8の通電状態と各開閉器6〜8の駆動状態を選択することにより実現している。特に、第一の回路接続状態と第二の回路接続状態との接続状態を、速度指令信号15の指示値である電源周波数に応じて選択的に切替えている。
【0048】
これによって、同じ誘導電動機であっても運転状態に合わせて両者の運転状態を変更することが可能となる。また、誘導電動機への供給電源周波数が高いときには電動機の巻線インピーダンスを低く設定し、運転周波数が低いときには電動機の巻線インピーダンスを高く設定できるために、一定電圧駆動であっても電動機巻線に流れる電流が制限され、第一回路状態と第二回路状態との接続状態を電動機の駆動電源周波数に応じて選択的に切替えることで巻線温度上昇となることを防止できる。
【0049】
(実施の形態5)
本発明の第5の実施の形態における誘導電動機の駆動装置では、図1に示した誘導電動機の駆動装置と構成は同じであるため、すでに説明を行った構成要素については同一符号を付し説明を略する。
【0050】
本実施の形態では特に、単相誘導電動機2の運転周波数指示が電源周波数であれば、単相誘導電動機2における主巻線3は補助巻線4とコンデンサ5の直列回路と並列接続とし、いわゆるコンデンサモータ駆動とし、運転周波数指示が電源周波数の1/2であれば、単相誘導電動機2における主巻線3と補助巻線4とを直列接続し、その直列回路にコンデンサ5が並列に接続されたいわゆる純単相誘導電動機運転を行っている。
【0051】
本実施例により、運転周波数に応じて単相誘導電動機の等価インピーダンスを変更することが容易であり、簡易な高効率な誘導電動機の駆動装置を提供できる。
【0052】
(実施の形態6)
本発明の第6の実施の形態における誘導電動機の駆動装置では、図1に示した誘導電動機の駆動装置と構成は同じであるため、すでに説明を行った構成要素については同一符号を付し説明を略する。
【0053】
本実施の形態では、単相誘導電動機2は、起動時には起動トルクの大きくかつ軸トルクの大きな前記コンデンサモータ駆動結線として、コンデンサ5により起動加速を行う。次に、速度が誘導電動機の同期速度付近までに到達した場合においては、負荷の大きなときには効率の高いコンデンサモータ駆動とし、負荷の軽いときには定電流で駆動できる純単相誘導電動機運転とする。さらに同期速度から1/2同期速度付近においては、コンデンサ単相誘導電動機運転と双方向スイッチによる擬似周波数変換を併用する。1/2同期速度付近では、純単相誘導電動機運転と双方向スイッチによる擬似周波数変換を併用する。この際、単相誘導電動機の実速度の検出手段は、回転数検出センサなどの速度検出手段(図示せず)を用いることが可能である。負荷の大小判定は電動機の運転電流を電流センサなど(図示せず)で検出することで実現することが可能である。これらの速度検出手段や
負荷判定手段からの信号をコントローラ14に入力することで、各開閉器や双方向スイッチの動作条件を設定するものである。
【0054】
このように、負荷や運転速度に応じて、回路接続状態を変更することで常に安定した運転状態と高効率運転を実現できる。
【0055】
(実施の形態7)
本発明の第6の実施の形態における誘導電動機の駆動装置では、図1に示した誘導電動機の駆動装置と構成は同じであるため、すでに説明を行った構成要素については同一符号を付し説明を略する。
【0056】
図9は、純単相誘導電動機運転時の結線状態を示し、同図において誘導電動機の起動・運転コンデンサは、本実施例においては電動機と並列に電源に接続されており、電源力率補償(力率改善)を行うことができる。
【0057】
これにより、運転時における遅れ力率を改善できる。
【0058】
(実施の形態8)
図10は、本発明の第7の実施の形態における誘導電動機の駆動装置であり、図1ですでに説明を行った構成要素については同一符号を付し説明を略する。
【0059】
同図に示すように、H、M、Lの3タップをもつ巻戻し結線形誘導電動機18を備える。巻戻し結線形誘導電動機18は、主巻線19および補助巻線20から構成されるが、補助巻線20において巻線の途中から中間タップとして3タップ(図10中 H、M、Lで表記)が引出されており、速度変更が可能となっている。
【0060】
本実施の形態では、速度指令信号15に基づいてコントローラ21からの信号によりリレー開閉器などを用いて適切なタップを選択される。通常、定電圧・定周波数でタップ切替えにて電動機の運転周波数を選択されることが多いが、低速運転時に補助巻線の磁界力が低下し、主巻線と補助巻線とが生み出す合成磁界が低下するために電動機効率が低下することが課題である。しかし、本実施の形態では、誘導電動機のタップ切替えによる速度調整機能と前記双方向スイッチから構成されるブリッジ回路による等価周波数変換機能とを組合せることにより、より決め細やかな運転状態を創出し、低速時においても高効率の運転が可能となり、運転速度設定もより多様化できるものである。
【0061】
図11は、タップ選定(H、M、L)と電源周波数(50、25Hz)との組合せにより、速度1〜速度6までの組みあわせを選定できることを示している。従来タップ切換え方式では、速度3での運転時に効率が著しく低下していたが、速度4の状態での運転を実現することにより、電動機の巻線効率が高い状態での運転が可能となるので比較的高効率運転を実現できる。本実施の形態での説明では、速度切換えタップの設定を
H>M>L>1/2H ・・・(2)
として説明しているが、50Hz駆動時のH、M、Lタップ運転と25Hz駆動時のH、M、Lが重なっていても問題はなく、同様の効果を得ることができる。
【0062】
また、上記実施の形態3の制御方式との組合せによれば、さらに高効率化を実現できる。
【0063】
あるいは、電動機の変速手段としてのタップとその切替え手段とブリッジ回路による周
波数変換手段とを具備することで、電源周波数が高い時には巻線インピーダンスが低いタップを選択し、電源周波数が低い時には巻線インピーダンスが高いタップを選択するといった電源周波数変換に応じた巻線タップを選択することで電圧一定での周波数変調駆動状態での動作安定状態をより詳細に選択することができ、運転周波数により適切に合致した誘導電動機の運転状態を具現化できるものである。
【0064】
なお、上記実施の形態1から8においては、双方向スイッチ10、11、12、13は逆導通阻止IGBTから構成される双方向スイッチで説明をしたが、当然他のFETや単方向素子とダイオードなどの組合せた半導体素子による双方向スイッチや機械接点リレーであっても同様の効果を得ることができる。
【0065】
開閉器6、7、8、9は、機械接点リレーで説明したが、半導体リレー、双方向スイッチであっても同様の効果を得ることができる。
【0066】
単相誘導電動機2の巻線構成は、主巻線と補助巻線から構成される誘導電動機で説明したが、他の誘導同期電動機などであっても同様の効果を得ることができる。また、タップ切替え電動機として、巻き戻し結線形電動機を用いて説明したが、他の巻線方式例えばT形結線、L形結線などの方式でも同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明にかかる誘導電動機の駆動装置は、インバータ駆動装置などのように複雑でなく、簡易的に実現することができ、かつ電動機のトルク脈動やそれに起因する振動・騒音などが低減化でき、電磁ノイズや不要な発熱が少ない電力変換装置を提供することが可能となり、種々の誘導電動機の駆動装置に適用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 交流電源
2 単相誘導電動機
3、19 主巻線
4、20 補助巻線
5 コンデンサ
6 第二開閉器
7 第三開閉器
8 第四開閉器
9 第一開閉器
10 双方向スイッチ(逆導通阻止IGBTから構成)
11 双方向スイッチ(逆導通阻止IGBTから構成)
12 双方向スイッチ(逆導通阻止IGBTから構成)
13 双方向スイッチ(逆導通阻止IGBTから構成)
14、21 コントローラ
15 速度指令信号
16 電源位相検出回路
17 位相信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源の電源周波数を異なる電源周波数に変換し、簡易に電動機の運転周波数変換を実現する誘導電動機の駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電力変換装置はサイリスタなどを組み合わせて双方向スイッチを構成している(例えば、特許文献1参照)。また、基本的な制御方式として、適時電源を半周期ごとに間引くことにより、擬似的に周波数変換しているものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
図12は、特許文献1に記載された従来の交流電力周波数変換装置を示すものである。同図において、交流電源1と、負荷(誘導電動機)2との間に配置され、2個逆並列で構成された4組の双方向スイッチを構成するサイリスタA1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2と、それぞれのサイリスタゲ−トを駆動する制御回路とから構成され、負荷(誘導電動機)2には、交流電源1の半波成分が交互に印加され、元の周波数の1/2の周波数が負荷(誘導電動機)2に印加されることにより、ほぼ運転速度が1/2となっている。
【0004】
また、図13は同じく特許文献2に記載された従来の誘導電動機速度制御方式における負荷(電動機)に印加される交流電源(W1)を双方向スイッチで間引き通電を行うことで等価的に元の周波数の1/2(W2)、1/3(W3)の周波数で負荷(電動機)に印加した通電状態をしめす図である。また、図14は同じく特許文献3に記載された従来の誘導電動機のタップ切替え方式による速度制御方式での構成を示す図であり、誘導電動機の速度を「強」「中」「弱」「微弱」と変更するにあたり、巻線タップをそれぞれ設け通電巻線を切替えることで速度変更を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−322251号公報
【特許文献2】特開昭55−157991号公報
【特許文献3】特開平10−238830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の構成では、ともに電源からの供給電力を半周期ごとの間引き通電を行うことで擬似的に周波数1/2、1/3を実現化している。従って電源からの供給電流が不連続となり、電源系統に対して高調波電流成分を流出し、電力環境に悪影響を与えるという課題があった。
【0007】
また、負荷である電動機に流れる電流も不連続もしくは高調波成分の電流を含み、トルク脈動やそれに起因する振動・騒音などの課題や、不連続な電流を電動機へ通電するために電源周期ごとに過大な電流が繰返し発生するという課題があった。その結果として電磁ノイズが発生したり、電動機運転電流に高調波電流成分を含むために発熱が生じるといった課題などを有していた。
【0008】
また、従来の構成では速度切替えを巻線タップで調整するために比較的構造が簡単ではあるが、電動機の引き出し線が増加することや切替え回路(もしくはスイッチ数)がタッ
プの数だけ必要となる。また、電動機の巻線に通電使用しない領域が存在することや負トルクを用いて減速するために運転効率が低速域で悪化するといった課題があった。
【0009】
本発明は、前記従来課題を解決するもので、電源電流および負荷電流が連続であり、電源周波数変換を簡易に実現できる誘導電動機の駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために本発明の誘導電動機の駆動装置は、交流電源と、双方向スイッチから構成されるブリッジ回路と、ブリッジ回路を介して交流電源に接続される単相誘導電動機とを備えて、交流電源の電圧位相にあわせて、ブリッジ回路で対角位置にある二組の双方向スイッチの通電/遮断制御を行うことにより、交流電源の周波数を変換することでコンデンサ誘導電動機の運転周波数を変更するものである。
【0011】
これによって電源電流および負荷電流が連続であり、電源周波数変換を簡易に実現できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の誘導電動機の駆動装置は、簡易に電源周波数変換を実現することができる。また、誘導電動機を電圧一定での周波数変調駆動制御時においても、誘導電動機における過大な巻線電流を防止することが可能となり、より高効率な誘導電動機の駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における誘導電動機の駆動装置の主回路結線図
【図2】本発明の実施の形態1におけるコントローラの内部制御処理を示す図
【図3】本発明の実施の形態1における電圧波形図
【図4】本発明の実施の形態1における双方向スイッチの動作図
【図5】本発明の実施の形態1における誘導性負荷での波形図
【図6】本発明の実施の形態2における1/3周波数変換時の電圧波形図
【図7】本発明の実施の形態2における双方向スイッチの動作図
【図8】本発明の実施の形態3におけるコンデンサモータ運転時の結線図
【図9】本発明の実施の形態2における純単相誘導電動機運転時の結線図
【図10】本発明の実施の形態7における誘導電動機の駆動装置の主回路結線図
【図11】本発明の実施の形態7における誘導電動機の駆動装置による速度概要図
【図12】従来の間引き方式による誘導電動機の駆動装置の回路図
【図13】従来の間引き方式による誘導電動機の駆動装置における電圧波形図
【図14】従来のタップ切替え方式による誘導電動機の駆動装置の回路図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、交流電源と、双方向スイッチから構成されるブリッジ回路と、前記ブリッジ回路を介して前記交流電源に接続される単相誘導電動機と、を備えた誘導電動機の駆動装置であって、前記交流電源の電圧位相にあわせて、前記ブリッジ回路で対角位置にある二組の双方向スイッチの通電/遮断制御を行うものである。これによって電源電流および負荷電流が連続であり、電源周波数変換を簡易に実現できる。
【0015】
第2の発明は、特に第1の発明において、双方向スイッチの通電/遮断制御を行うにあたり、電源のゼロクロス付近で電源周期に合わせて切替える事により、電源周波数を等価的に1/N(N:整数)とするものである。電源電圧のゼロクロス電位にて給電方向を反転するために、その切換に伴うノイズ・サ−ジ電圧・スイッチングロスを低減できる。さらに、電源から負荷を見た場合には、常に負荷が接続された状態となり、電流不連続期間
が生じない。一方、負荷から電源を見ると常に電源から電力が給電された状態であり、最大電力を受電消費できるといった特徴をもつものである。
【0016】
第3の発明は、特に第1の発明において、前記単相誘導電動機をコンデンサ単相誘導電動機とし、前記ブリッジ回路の片アームを構成する双方向スイッチの第一中間接続点と前記単相誘導電動機の主巻線の第一端とが第一開閉接点を介して接続され、前記主巻線の他端である第二端と前記ブリッジ回路の他アームを構成する双方向スイッチの第二中間接続点とが接続され、前記補助巻線の第一端と双方向スイッチの前記第一中間接続点とが接続され、前記補助巻線の第二端とコンデンサの第一端とが第二開閉接点を介して直列接続された回路が主巻線に並列接続された第一の回路接続状態と、前記主巻線の第一端と前記補助巻線の第二端とが第三開閉接点を介して接続され、前記補助巻線の第一端と前記第二の双方向スイッチ中間接続点とが第四開閉接点およびコンデンサを介して直列接続された第二の回路接続状態と、から構成され、第一の回路接続状態と第二の回路接続状態との接続状態を選択的に切替えることで、主巻線と前記補助巻線を直列接続とする純単相誘導電動機運転と主巻線と補助巻線を並列接続とするコンデンサモータ運転とを切替えるものである。
【0017】
同じ誘導電動機であっても運転状態に合わせて両者の運転状態を変更することが可能である特徴を持つものである。また、誘導電動機への供給電源周波数が高いときには電動機の巻線インピーダンスを低く設定し、運転周波数が低いときには電動機の巻線インピーダンスを高く設定できるために、一定電圧駆動であっても電動機巻線に流れる電流が制限され、第一回路状態と第二回路状態との接続状態を電動機の駆動電源周波数に応じて選択的に切替えることで巻線温度上昇となることを防止できる。
【0018】
第4の発明は、特に第3の発明において、第一の回路接続状態と第二の回路接続状態との接続状態を電源周波数に応じて選択的に切替えることを特徴とするものである。誘導電動機への供給電源周波数が高いときには電動機の巻線インピーダンスを低く設定し、運転周波数が低いときには電動機の巻線インピーダンスを高く設定できるために、一定電圧駆動であっても電動機巻線に流れる電流が制限され、第一回路状態と第二回路状態との接続状態を電動機の駆動電源周波数に応じて選択的に切替えることで巻線温度上昇となることを防止できる。
【0019】
第5の発明は、特に第3の発明において、コンデンサ単相誘導電動機の主巻線と補助巻線との接続を並列接続あるいは直列接続に切替える切換手段により、電源周波数が基本周波数時には並列接続運転で、電源周波数が等価的に1/2周波数での運転時には主巻線と補助巻線を直列接続にて駆動するものである。これにより、電圧一定での周波数変調駆動でありながら異常な巻線温度上昇となることを防止することができる。
【0020】
第6の発明は、特に第3の発明において、単相誘導電動機の運転条件に応じて起動から同期運転速度付近ではコンデンサ単相誘導機運転を行い、同期速度付近ではコンデンサ二相励磁単相誘導機運転もしくは単相誘導電動機運転を行い、同期速度付近から1/2同期速度付近では単相誘導電動機運転を行い、1/2同期速度付近では単相誘導電動機+電源集周波数変換制御の各運転制御を切替えるものであり、高効率な単相誘導電動機運転を実現することができる。
【0021】
第7の発明は、特に第3の発明において、純単相誘導電動機運転時にはコンデンサを前記単相誘導電動機と並列接続となるように電源に接続し、電源力率補償機能として使用するものである。
【0022】
第8の発明は、特に第1〜第7の発明において、タップ切替えによって前記単相誘導電
動機の変速を行う変速手段を具備し、変速手段および前記ブリッジ回路による周波数変換によって運転周波数を変更するものである。これによって、運転動作をより詳細に選択でるとともに、運転周波数に適切に合致した誘導電動機の運転を実現できる。
【0023】
第9の発明は、特に第1〜第8の発明において、双方向スイッチをGaNやSiCなどの半導体素子で構成することで、導通損失低減、スイッチング損失低減を図ることができシステム効率向上につながる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における誘導電動機の駆動装置の基本構成を示す図である。
【0026】
図1において、誘導電動機の駆動装置は、交流電源1には単相交流電源が用いられ、主巻線3と補助巻線4から構成される単相誘導電動機2、起動・運転用のコンデンサ5から構成される。また、コンデンサ5は、前記単相誘導電動機2の補助巻線4と第二開閉器6のb接点6bを介して単相誘導電動機2の補助巻線4に接続されている。さらに、補助巻線4は第三開閉器7のa接点7aを介して、主巻線の一端に接続されている。一方、補助巻線の他端は、第四開閉器8のa接点8aを介してコンデンサ5および第一開閉器9のb接点9bを介して、主巻線3に接続されている。
【0027】
また、この回路ブロックは交流電源1に、それぞれ2個の逆導通阻止IGBT(Q1とQ2、Q3とQ4、Q5とQ6、Q7とQ8)から構成される4組の双方向スイッチ10、11、12、13により、ブリッジ回路を構成して接続されている。それぞれの逆阻止IGBTは、独立したゲート駆動回路を具備しており、コントローラ14からの駆動信号に基づいて8素子の逆導通素子IGBTのゲートをそれぞれ駆動し、逆導通阻止IGBTのON、OFF動作を行うように構成されている。
【0028】
なお、図2は、コントローラ14と各逆導通素子IGBTの駆動回路と各開閉器の駆動信号の処理を示すものである。同図において、コントローラ14は、単相誘導電動機2に対して、運転・停止・運転速度指示などの信号である速度指令信号15と電源位相検出回路16からの位相信号17を入力とし、速度指示に応じて単相誘導電動機2に印加する電源電圧、電源周波数、主巻線3および補助巻線4の結線状態を選択的に切替える判断手段をもつとともに、開閉器の駆動信号と逆導通素子IGBT駆動信号とを送出する。
【0029】
コントローラ14は、単相誘導電動機2の運転周波数を指令信号である速度指令信号15と交流電源1の電圧位相(例えば電圧ゼロクロス)を検出する電源位相検出回路16からの位相信号17との両信号により、前記逆導阻止IGBTからなる双方向スイッチ10、11、12、13の駆動信号(各逆導通素子IGBTのゲート信号に相当)および前記第一開閉器9、第二開閉器6、第三開閉器7および第四開閉器8までの接点を下記のように適切に切替えることで単相誘導電動機2の運転速度変更を行う。
【0030】
図1において、第一開閉器9、第二開閉器6、第三開閉器7および第四開閉器8の接点をすべてb接点通電動作とする。速度指令信号15に基づいて、双方向スイッチ10および13を双方向通電状態で双方向スイッチ11および12を遮断状態とすると、単相誘導電動機2およびコンデンサ5には、交流電源1の電源が供給され起動、運転を維持することが可能となる。また、双方向スイッチ11および12を双方向通電動作とし、双方向スイッチ10および13を遮断状態としても同様の効果を実現できる。
【0031】
また、双方向スイッチに均等に負荷を負担させるためには、電源位相検出回路16からの位相信号17に基づき、電源位相の一周期ごとに双方向スイッチ10および13のペアと双方向スイッチ11および12のペアとの双方向通電状態と遮断状態を切替えても同様の効果を得ることができ、各逆導通素子IGBTの負荷負担を均一化することが可能となる。
【0032】
上記のように、ブリッジ回路を構成する対角位置の双方向スイッチの通電、遮断制御を交流電源1の位相にあわせて行う事により、単相誘導電動機2を所定の速度で運転することが可能となるものである。
【0033】
なお、双方向スイッチ10〜13をGaNやSiCなどの半導体素子を用いて構成した場合には、導通損失低減、スイッチング損失低減を図ることができシステム効率向上につながる。
【0034】
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態における誘導電動機の駆動装置では、図1に示した誘導電動機の駆動装置と構成は同じであり、双方向スイッチの通電状態を工夫する。上記実施の形態ですでに説明を行った同じ構成要素については同一符号を付し、説明を略する。
【0035】
前記第1の実施と同じ構成において、本実施の形態では、交流電源1の電源位相半周期に合わせて、ブリッジ回路を構成する双方向スイッチのペアの双方向通電状態と遮断状態を選択する。これにより、単相誘導電動機2に印加される等価周波数を1/N(N:整数)とすることが可能となり、単相誘導電動機2の運転周波数を定格周波数運転に比べて、低速運転を実現することが可能となる。
【0036】
図3は、本実施の形態の基本概念を説明する図であり、上段は50Hzの正弦波であるが、その一周期ごとに半周期分の電圧を負荷に対して反転印加することにより、等価的に25Hzの電源を作り出すことが可能となる。
【0037】
一方図4は、図3の波形を作り出す各逆導通阻止IGBTQ1〜Q8の動作と交流電源1の位相との関係を示した一例である。上段は50Hz時の運転状態を示す。下段は等価周波数1/2である25Hz時の交流電源1の連続した各半位相周期((1)〜(4))における各逆導通阻止IGBTQ1〜Q8の動作を示している。同図において、負荷である単相誘導電動機2に印加される電位は、(1)と(2)期間と(3)と(4)期間においてはそれぞれ同じ方向に電圧印加されるために、等価25Hz電源となる。
【0038】
ここで、単相誘導電動機2は誘導性負荷であるために、電圧と負荷電流との関係は図5に示すように少し電流波形が変形され、単相誘導電動機2の出力トルクリップルおよび速度変動は緩和される。なお、図5はインダクタンス20mH、負荷抵抗成分2Ωでのシミュレーション結果である。
【0039】
さらに、1/3周波数の等価電源波形を作るには、例えば図6に示すような動作を双方向スイッチ10〜13にて行えば、電源周波数50Hz時において約16.7Hzの交流周波数を生み出すことが可能となり、同様の結果が得られる。以下、1/N(N:整数)の周波数を作り出すにも同様に処理をおこなえばよい。これらにより、単相誘導電動機2において、印加電源周波数を簡易的に変更することが可能となり、離散的であるが周波数変更を簡単に実現することが可能となるものである。
【0040】
(実施の形態3)
本発明の第3の実施の形態における誘導電動機の駆動装置では、図1に示した誘導電動機の駆動装置と構成は同じであるため、すでに説明を行った同じ構成要素については同一符号を付し説明を略する。
【0041】
第1のおよび第2の実施の形態において、電源周波数は1/N(N:整数)に周波数変更することが可能となっているが、電源電圧の波高値は変化していない。このために、単相誘導電動機2を駆動する際に、効率面で課題が生じることがある。すなわち、電動機の負荷特性は巻き線インダクタンスおよび巻線抵抗値で代表される。一般に電動機の周波数制御においては、電源周波数とともに電源電圧の実行値をほぼ比例的に変更する必要がある。式(1)にて示すように、インダクタンス値が充分に大きくかつインダクタンス値は電源周波数に依存するために、インピ−ダンス値が電源周波数により変化するためである。
【0042】
Z=r+jωL ・・・・ (1)
(Z:巻線インピーダンス、 r:巻線抵抗 ω:2xπxf f:電源周波数
L:巻線インダクタンス値)
例えば、同じ振幅で1/2周波数の電源を供給した場合には、誘導性負荷には定格周波数の約2倍の電流が流れることで巻線損失が増加し、効率が大きく低下する。本実施の形態では、図1の構成において第一開閉器9、第二開閉器6、第三開閉器7、第四開閉器8の通電接点を切替えることにより、単相誘導電動機2の主巻線3および補助巻線4の結線を並列接続状態と直列接続状態とを選択的に切替えて、交流電源1から見た単相誘導電動機2の等価インピーダンスを変更するものである。
【0043】
図7は、各逆導通阻止IGBTの動作および開閉器の動作を示した図であり、図8、9は同じく各動作時の図1における主回路の回路接続状態を記載したものである。
【0044】
図7において、上段は交流電源1の電源周波数が50Hz時であり、その周波数にて運転を行う場合を示しており、第一開閉器9、第二開閉器6、第三開閉器7、第四開閉器8はb接点接続であり、それぞれの開閉器駆動手段には通電をおこなっていない。この状態での単相誘導電動機2の巻線結線状態は、図8で示すように主巻線3は補助巻線4とコンデンサ5との直列接続回路と並列回路を構成している。また、双方向スイッチもブリッジ回路を構成する対角のスイッチが通電状態であり、それらのスイッチを構成する逆導通阻止IGBTQ1、Q2、Q7、Q8がON状態であり、他のIGBTはOFFとなっている。逆に逆導通阻止IGBTQ3、Q4、Q5、Q6がON状態で、他のIGBTがOFFであっても同じ効果を得ることが可能である。この状態では、交流電源1の電源がそのまま単相誘導電動機2に印加されるので単相誘導電動機2は負荷に応じたすべりに応じた速度での運転を行う。一方、図7の下段においては、第一開閉器9、第二開閉器6、第三開閉器7、第四開閉器8はa接点接続であり、このときの単相誘導電動機2の巻線結線状態は、図9で示すように主巻線3と補助巻線4との直列回路にコンデンサ5が並列に接続された回路構成となっている。さらに、前記第2の実施例と同様に交流電源1の電圧位相に合わせて、各双方向スイッチの通電状態を選択することにより、交流電源周波数の1/2の周波数を作りだしている。この図9にて示した接続状態では、交流電源1に対して単相誘導電動機2の主巻線3と補助巻線4とが直列接続されているので、電源から見た等価インピーダンスは、主巻線3と補助巻線4とのインピーダンス和で図8の接続時に比べて約2倍となり、電源電圧1の実行電圧がそのまま単相誘導電動機2に印加されていても回路電流を約1/2とすることが出来る。
【0045】
これは、電源電圧が1/2であれば回路電流が約1/2で、出力トルク約1/4となり
、
VVVF制御が実現している。
【0046】
(実施の形態4)
本発明の第4の実施の形態における誘導電動機の駆動装置では、図1に示した誘導電動機の駆動装置と構成は同じであるため、すでに説明を行った構成要素については同一符号を付し説明を略する。
【0047】
上記実施の形態において、交流電源1の電源周波数運転と1/2周波数運転との切替えは、コントローラ14に入力される速度指令信号15により、各逆導通素子IGBTQ1〜Q8の通電状態と各開閉器6〜8の駆動状態を選択することにより実現している。特に、第一の回路接続状態と第二の回路接続状態との接続状態を、速度指令信号15の指示値である電源周波数に応じて選択的に切替えている。
【0048】
これによって、同じ誘導電動機であっても運転状態に合わせて両者の運転状態を変更することが可能となる。また、誘導電動機への供給電源周波数が高いときには電動機の巻線インピーダンスを低く設定し、運転周波数が低いときには電動機の巻線インピーダンスを高く設定できるために、一定電圧駆動であっても電動機巻線に流れる電流が制限され、第一回路状態と第二回路状態との接続状態を電動機の駆動電源周波数に応じて選択的に切替えることで巻線温度上昇となることを防止できる。
【0049】
(実施の形態5)
本発明の第5の実施の形態における誘導電動機の駆動装置では、図1に示した誘導電動機の駆動装置と構成は同じであるため、すでに説明を行った構成要素については同一符号を付し説明を略する。
【0050】
本実施の形態では特に、単相誘導電動機2の運転周波数指示が電源周波数であれば、単相誘導電動機2における主巻線3は補助巻線4とコンデンサ5の直列回路と並列接続とし、いわゆるコンデンサモータ駆動とし、運転周波数指示が電源周波数の1/2であれば、単相誘導電動機2における主巻線3と補助巻線4とを直列接続し、その直列回路にコンデンサ5が並列に接続されたいわゆる純単相誘導電動機運転を行っている。
【0051】
本実施例により、運転周波数に応じて単相誘導電動機の等価インピーダンスを変更することが容易であり、簡易な高効率な誘導電動機の駆動装置を提供できる。
【0052】
(実施の形態6)
本発明の第6の実施の形態における誘導電動機の駆動装置では、図1に示した誘導電動機の駆動装置と構成は同じであるため、すでに説明を行った構成要素については同一符号を付し説明を略する。
【0053】
本実施の形態では、単相誘導電動機2は、起動時には起動トルクの大きくかつ軸トルクの大きな前記コンデンサモータ駆動結線として、コンデンサ5により起動加速を行う。次に、速度が誘導電動機の同期速度付近までに到達した場合においては、負荷の大きなときには効率の高いコンデンサモータ駆動とし、負荷の軽いときには定電流で駆動できる純単相誘導電動機運転とする。さらに同期速度から1/2同期速度付近においては、コンデンサ単相誘導電動機運転と双方向スイッチによる擬似周波数変換を併用する。1/2同期速度付近では、純単相誘導電動機運転と双方向スイッチによる擬似周波数変換を併用する。この際、単相誘導電動機の実速度の検出手段は、回転数検出センサなどの速度検出手段(図示せず)を用いることが可能である。負荷の大小判定は電動機の運転電流を電流センサなど(図示せず)で検出することで実現することが可能である。これらの速度検出手段や
負荷判定手段からの信号をコントローラ14に入力することで、各開閉器や双方向スイッチの動作条件を設定するものである。
【0054】
このように、負荷や運転速度に応じて、回路接続状態を変更することで常に安定した運転状態と高効率運転を実現できる。
【0055】
(実施の形態7)
本発明の第6の実施の形態における誘導電動機の駆動装置では、図1に示した誘導電動機の駆動装置と構成は同じであるため、すでに説明を行った構成要素については同一符号を付し説明を略する。
【0056】
図9は、純単相誘導電動機運転時の結線状態を示し、同図において誘導電動機の起動・運転コンデンサは、本実施例においては電動機と並列に電源に接続されており、電源力率補償(力率改善)を行うことができる。
【0057】
これにより、運転時における遅れ力率を改善できる。
【0058】
(実施の形態8)
図10は、本発明の第7の実施の形態における誘導電動機の駆動装置であり、図1ですでに説明を行った構成要素については同一符号を付し説明を略する。
【0059】
同図に示すように、H、M、Lの3タップをもつ巻戻し結線形誘導電動機18を備える。巻戻し結線形誘導電動機18は、主巻線19および補助巻線20から構成されるが、補助巻線20において巻線の途中から中間タップとして3タップ(図10中 H、M、Lで表記)が引出されており、速度変更が可能となっている。
【0060】
本実施の形態では、速度指令信号15に基づいてコントローラ21からの信号によりリレー開閉器などを用いて適切なタップを選択される。通常、定電圧・定周波数でタップ切替えにて電動機の運転周波数を選択されることが多いが、低速運転時に補助巻線の磁界力が低下し、主巻線と補助巻線とが生み出す合成磁界が低下するために電動機効率が低下することが課題である。しかし、本実施の形態では、誘導電動機のタップ切替えによる速度調整機能と前記双方向スイッチから構成されるブリッジ回路による等価周波数変換機能とを組合せることにより、より決め細やかな運転状態を創出し、低速時においても高効率の運転が可能となり、運転速度設定もより多様化できるものである。
【0061】
図11は、タップ選定(H、M、L)と電源周波数(50、25Hz)との組合せにより、速度1〜速度6までの組みあわせを選定できることを示している。従来タップ切換え方式では、速度3での運転時に効率が著しく低下していたが、速度4の状態での運転を実現することにより、電動機の巻線効率が高い状態での運転が可能となるので比較的高効率運転を実現できる。本実施の形態での説明では、速度切換えタップの設定を
H>M>L>1/2H ・・・(2)
として説明しているが、50Hz駆動時のH、M、Lタップ運転と25Hz駆動時のH、M、Lが重なっていても問題はなく、同様の効果を得ることができる。
【0062】
また、上記実施の形態3の制御方式との組合せによれば、さらに高効率化を実現できる。
【0063】
あるいは、電動機の変速手段としてのタップとその切替え手段とブリッジ回路による周
波数変換手段とを具備することで、電源周波数が高い時には巻線インピーダンスが低いタップを選択し、電源周波数が低い時には巻線インピーダンスが高いタップを選択するといった電源周波数変換に応じた巻線タップを選択することで電圧一定での周波数変調駆動状態での動作安定状態をより詳細に選択することができ、運転周波数により適切に合致した誘導電動機の運転状態を具現化できるものである。
【0064】
なお、上記実施の形態1から8においては、双方向スイッチ10、11、12、13は逆導通阻止IGBTから構成される双方向スイッチで説明をしたが、当然他のFETや単方向素子とダイオードなどの組合せた半導体素子による双方向スイッチや機械接点リレーであっても同様の効果を得ることができる。
【0065】
開閉器6、7、8、9は、機械接点リレーで説明したが、半導体リレー、双方向スイッチであっても同様の効果を得ることができる。
【0066】
単相誘導電動機2の巻線構成は、主巻線と補助巻線から構成される誘導電動機で説明したが、他の誘導同期電動機などであっても同様の効果を得ることができる。また、タップ切替え電動機として、巻き戻し結線形電動機を用いて説明したが、他の巻線方式例えばT形結線、L形結線などの方式でも同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明にかかる誘導電動機の駆動装置は、インバータ駆動装置などのように複雑でなく、簡易的に実現することができ、かつ電動機のトルク脈動やそれに起因する振動・騒音などが低減化でき、電磁ノイズや不要な発熱が少ない電力変換装置を提供することが可能となり、種々の誘導電動機の駆動装置に適用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 交流電源
2 単相誘導電動機
3、19 主巻線
4、20 補助巻線
5 コンデンサ
6 第二開閉器
7 第三開閉器
8 第四開閉器
9 第一開閉器
10 双方向スイッチ(逆導通阻止IGBTから構成)
11 双方向スイッチ(逆導通阻止IGBTから構成)
12 双方向スイッチ(逆導通阻止IGBTから構成)
13 双方向スイッチ(逆導通阻止IGBTから構成)
14、21 コントローラ
15 速度指令信号
16 電源位相検出回路
17 位相信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源と、
双方向スイッチから構成されるブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路を介して前記交流電源に接続される単相誘導電動機と、
を備えた誘導電動機の駆動装置であって、
前記交流電源の電圧位相にあわせて、前記ブリッジ回路で対角位置にある二組の双方向スイッチの通電/遮断制御を行うことを特徴とする誘導電動機の駆動装置。
【請求項2】
前記ブリッジ回路を構成する双方向スイッチの通電/遮断制御を、前記交流電源のゼロクロス付近で電源周期に合わせて切替える事により、単相誘導電動機に通電される電源周波数を等価的に1/N(N:整数)とする請求項1項に記載の誘導電動機の駆動装置。
【請求項3】
前記単相誘導電動機をコンデンサ単相誘導電動機とし、
前記ブリッジ回路の片アームを構成する双方向スイッチの第一中間接続点と前記単相誘導電動機の主巻線の第一端とが第一開閉接点を介して接続され、前記主巻線の他端である第二端と前記ブリッジ回路の他アームを構成する双方向スイッチの第二中間接続点とが接続され、前記単相誘導電動機の補助巻線の第一端と双方向スイッチの前記第一中間接続点とが接続され、前記補助巻線の第二端とコンデンサの第一端とが第二開閉接点を介して直列接続された回路が主巻線に並列接続された第一の回路接続状態と、
前記主巻線の第一端と前記補助巻線の第二端とが第三開閉接点を介して接続され、前記補助巻線の第一端と前記第二の双方向スイッチ中間接続点とが第四開閉接点およびコンデンサを介して直列接続された第二の回路接続状態と、から構成され、
前記第一の回路接続状態と前記第二の回路接続状態との接続状態を選択的に切替えることで、前記主巻線と前記補助巻線を直列接続とする純単相誘導電動機運転と、前記主巻線と前記補助巻線を並列接続とするコンデンサモータ運転とを選択的に使用することを特徴とする請求項1に記載の誘導電動機の駆動装置。
【請求項4】
前記第一の回路接続状態と前記第二の回路接続状態との接続状態を、電源周波数に応じて選択的に切替えることを特徴とする請求項3に記載の誘導電動機の駆動装置。
【請求項5】
前記コンデンサ単相誘導電動機の主巻線と補助巻線との接続を、並列接続あるいは直列接続に切替える切換手段を具備し、
電源周波数が基本周波数時には並列接続とし、電源周波数が等価的に1/2周波数での運転時には、前記主巻線と前記補助巻線を直列接続にて駆動することを特徴とする請求項3に記載の誘導電動機の駆動装置。
【請求項6】
前記単相誘導電動機の運転条件に応じて、
起動から同期運転速度付近:コンデンサ単相誘導機運転
同期速度付近:コンデンサ単相誘導機運転もしくは純単相誘導電動機運転
同期速度付近〜1/2同期速度付近:コンデンサ単相誘導電動機運転+双方向ブリッジ駆動制御(周波数変換)
1/2同期速度付近:純単相誘導電動機+双方向ブリッジ駆動制御(周波数変換)
の各運転制御を切替えることを特徴とする請求項3に記載の誘導電動機の駆動装置。
【請求項7】
純単相誘導電動機運転時には、前記コンデンサを前記単相誘導電動機と並列接続となるように電源に接続することを特徴とする請求項3に記載の誘導電動機の駆動装置。
【請求項8】
タップ切替えによって前記単相誘導電動機の変速を行う変速手段を具備し、
前記変速手段および前記ブリッジ回路による周波数変換によって運転周波数を変更する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の誘導電動機の駆動装置。
【請求項9】
前記双方向スイッチは、GaNもしくはSiCを用いた半導体素子により構成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の誘導電動機の駆動装置。
【請求項1】
交流電源と、
双方向スイッチから構成されるブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路を介して前記交流電源に接続される単相誘導電動機と、
を備えた誘導電動機の駆動装置であって、
前記交流電源の電圧位相にあわせて、前記ブリッジ回路で対角位置にある二組の双方向スイッチの通電/遮断制御を行うことを特徴とする誘導電動機の駆動装置。
【請求項2】
前記ブリッジ回路を構成する双方向スイッチの通電/遮断制御を、前記交流電源のゼロクロス付近で電源周期に合わせて切替える事により、単相誘導電動機に通電される電源周波数を等価的に1/N(N:整数)とする請求項1項に記載の誘導電動機の駆動装置。
【請求項3】
前記単相誘導電動機をコンデンサ単相誘導電動機とし、
前記ブリッジ回路の片アームを構成する双方向スイッチの第一中間接続点と前記単相誘導電動機の主巻線の第一端とが第一開閉接点を介して接続され、前記主巻線の他端である第二端と前記ブリッジ回路の他アームを構成する双方向スイッチの第二中間接続点とが接続され、前記単相誘導電動機の補助巻線の第一端と双方向スイッチの前記第一中間接続点とが接続され、前記補助巻線の第二端とコンデンサの第一端とが第二開閉接点を介して直列接続された回路が主巻線に並列接続された第一の回路接続状態と、
前記主巻線の第一端と前記補助巻線の第二端とが第三開閉接点を介して接続され、前記補助巻線の第一端と前記第二の双方向スイッチ中間接続点とが第四開閉接点およびコンデンサを介して直列接続された第二の回路接続状態と、から構成され、
前記第一の回路接続状態と前記第二の回路接続状態との接続状態を選択的に切替えることで、前記主巻線と前記補助巻線を直列接続とする純単相誘導電動機運転と、前記主巻線と前記補助巻線を並列接続とするコンデンサモータ運転とを選択的に使用することを特徴とする請求項1に記載の誘導電動機の駆動装置。
【請求項4】
前記第一の回路接続状態と前記第二の回路接続状態との接続状態を、電源周波数に応じて選択的に切替えることを特徴とする請求項3に記載の誘導電動機の駆動装置。
【請求項5】
前記コンデンサ単相誘導電動機の主巻線と補助巻線との接続を、並列接続あるいは直列接続に切替える切換手段を具備し、
電源周波数が基本周波数時には並列接続とし、電源周波数が等価的に1/2周波数での運転時には、前記主巻線と前記補助巻線を直列接続にて駆動することを特徴とする請求項3に記載の誘導電動機の駆動装置。
【請求項6】
前記単相誘導電動機の運転条件に応じて、
起動から同期運転速度付近:コンデンサ単相誘導機運転
同期速度付近:コンデンサ単相誘導機運転もしくは純単相誘導電動機運転
同期速度付近〜1/2同期速度付近:コンデンサ単相誘導電動機運転+双方向ブリッジ駆動制御(周波数変換)
1/2同期速度付近:純単相誘導電動機+双方向ブリッジ駆動制御(周波数変換)
の各運転制御を切替えることを特徴とする請求項3に記載の誘導電動機の駆動装置。
【請求項7】
純単相誘導電動機運転時には、前記コンデンサを前記単相誘導電動機と並列接続となるように電源に接続することを特徴とする請求項3に記載の誘導電動機の駆動装置。
【請求項8】
タップ切替えによって前記単相誘導電動機の変速を行う変速手段を具備し、
前記変速手段および前記ブリッジ回路による周波数変換によって運転周波数を変更する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の誘導電動機の駆動装置。
【請求項9】
前記双方向スイッチは、GaNもしくはSiCを用いた半導体素子により構成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の誘導電動機の駆動装置。
【図5】
【図6】
【図12】
【図13】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【図6】
【図12】
【図13】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図14】
【公開番号】特開2011−244576(P2011−244576A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113882(P2010−113882)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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