説明

読取装置及び読取システム

【課題】情報コードの偽造をより高い精度で発見することが可能な読取装置及び読取システムを提供する。
【解決手段】読取装置30は、記録媒体50を撮像可能な撮像手段3と、暗号化キーに対応する解読キーを記憶可能な解読キー記憶手段と、撮像手段によって一部非公開コードCが撮像された場合に、少なくとも公開領域Caのデータを解読する解読手段と、公開領域Caに記録された所定情報を検出する所定情報検出手段と、記録媒体において特殊インクが付された特殊インク形成位置を検出するインク位置検出手段と、インク位置検出手段によって検出された特殊インク形成位置が正規位置であるか否かを判断する判断手段とを備えている。解読手段は、判断手段によって特殊インク形成位置が正規位置と判断された場合に、解読キー記憶手段に解読キーが記憶されていることを条件として非公開領域Cbの解読結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置及び読取システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
QRコード(登録商標)などの情報コードは、現在、様々な用途に用いられており、情報コード内に有益な情報、或いは有益となり得る情報を記録して利用者に提供することも多い。例えば、クーポン券や商品券などに情報コードを付す場合、割引内容や金銭的内容をコード内に記録しておく方法が考えられ、抽選券などに情報コードを付す場合、抽選に用いる番号などをコード内に記録しておくような方法が考えられている。このように情報コードを用いると、例えば抽選券の場合、サービス提供者側は利用者から提示された情報コードを読み取るだけで抽選番号を容易に取得でき、当選等の確認を確実に且つ容易に行うことができるため業務効率を高めることができる。
【0003】
しかしながら、このように有益な情報、或いは有益となりうる情報を情報コードに記録して用いる場合、情報コードの偽造が問題となる。例えば、抽選券などでは、本来ならば外れであった抽選券が当りに変更される等の不正な改竄が懸念され、クーポン券などでも、記録内容が利用者側にとってより有利な内容に変更される等の不正な改竄が懸念される。このような不正な改竄が行われると、提供者側が予想外の不利益を被る虞があるため、このような用途、或いはこれに類する用途などでは、情報コードの偽造をより確実に防止することが強く求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−293836公報
【特許文献2】特許第3541731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような偽造の課題を解決しようとする技術としては、例えば特許文献1、2のようなものが提供されている。特許文献1の技術は、抽選券などの偽造や不正使用を防止しようとするものであり、QRコード(登録商標)上に重なるように、特殊インク(可視光を透過し、特定波長の光が照射されたときに所定波長の光を放射するインク)によって所定の図形パターンを形成している。このように抽選券を構成すれば、一般的な利用者にはQRコード上に特殊インクが付されていることが把握できなくなり、例えば情報コードが別の情報コードに張り替えられるような偽造がなされても、特定波長の光を照射して特殊インクが付されているか否かを確認することで発見できるようになる。
【0006】
また、特許文献2の技術では、入場券などにおいて、QRコード(登録商標)上に重なるように、特殊インク(磁気インク、又は特定波長を変調するインク)を付し、所定の図形パターンを形成している。そして、これを読み取る偽造判定装置側では、特殊インクが所定位置に付されていない場合、或いは所定位置に誤りの発生が集中している場合には偽造の可能性が高いと判定している。このようにすれば、正規の情報コードを不正な情報コード(特殊インクが付されていない情報コード)に張り替えるような偽造がなされたとしても、特殊インクの不存在を確認することで偽造を発見することができる。また、特殊インクが付されていない不正な情報コードに張り替えた後に特殊インクが付された紙を所定領域(特殊インクが付されるべき位置)に張り付けるような複雑な偽造が行われても、その所定領域に誤りが集中していることを検出し、偽造を発見できるようになる。
【0007】
しかしながら、情報コードの偽造は将来的には更に高度化する虞もあり、偽造を防止するためには一層の工夫が要求される。特に、現在提供されている各種の券に付される情報コードはコード構成自体が一般的なものであり、記録されたデータを自由に読み出すことができるため、本来的に第三者に開示する必要のないデータや第三者には非公開とするべきデータが第三者に簡単に読み取られてしまい、セキュリティ面で望ましくない。また、特許文献1、2のような偽造判定が何らかの理由で機能しなかった場合には、情報コードに記録されたデータが正規のものとして自由に扱われてしまう虞がある。これらの問題を未然に防ぐためにもセキュリティ性を一層強化することが望まれる。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、記録媒体に付された情報コードが偽造された場合にその偽造をより高い精度で発見することが可能な読取装置及び読取システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、公開領域と、暗号化キーに基づいて暗号化された暗号データが記録された非公開領域とを有すると共に、前記公開領域に所定情報が記録されてなる一部非公開コードが付され、且つ特殊インクが所定位置に付されてなる記録媒体を読取可能な読取装置であって、前記記録媒体を撮像可能な撮像手段と、前記暗号化キーに対応する解読キーを記憶可能な解読キー記憶手段と、前記撮像手段によって前記一部非公開コードが撮像された場合に、少なくとも前記公開領域のデータを解読する解読手段と、前記公開領域に記録された前記所定情報を検出する所定情報検出手段と、前記記録媒体において前記特殊インクが付された特殊インク形成位置を検出するインク位置検出手段と、前記インク位置検出手段によって検出された前記特殊インク形成位置が正規位置であるか否かを判断する判断手段と、を備え、前記解読手段は、前記所定情報検出手段によって前記所定情報が検出され、前記判断手段によって前記特殊インク形成位置が前記正規位置と判断された場合に、前記解読キー記憶手段に前記解読キーが記憶されていることを条件として前記非公開領域の解読結果を出力することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、記録媒体に付された情報コードが偽造された場合に、その偽造をより高い精度で発見することが可能となり、セキュリティ機能をより一層強化することができる。即ち、公開領域に記録された所定情報が所定情報検出手段によって検出され、記録媒体において特殊インクが付された特殊インク形成位置が正規位置であると判断され、更に解読キーが記憶手段に記憶されている場合のみ非公開領域の解読結果を出力するため、第三者が非公開領域の情報を読み出すことが極めて困難となる。例えば、特殊インクが正規位置に配されていない限り非公開領域のデータを読み出すことはできないため偽造そのものが難しくなり、また、コード自体が偽造されたとしても、解読キーが存在しない限り非公開領域の情報を読み出すことができなため、セキュリティ面で万全となる。
【0011】
請求項2の発明によれば、一部非公開コードの公開領域には、所定情報と共に少なくとも位置情報が記録されており、判断手段は、所定情報検出手段によって所定情報が検出された場合に、公開領域に記録された位置情報に基づいて、特殊インク形成位置が正規位置であるか否かを判断する。この構成によれば、記録媒体において特殊インク形成位置を自由に変更することができるようになる。即ち、特殊インクが付された位置に合った内容となるように公開領域に位置情報が記録されていれば記録媒体の真偽を判定できるため、記録媒体を作成する上でのレイアウトの自由度(特にコード形成位置の自由度)を高めることができる。また、特殊インクを形成する位置を一定に定める必要が無く、容易に変更し得るため、特殊インク形成位置が変更不能な構成と比較してセキュリティ性を高めることができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、一部非公開コードの非公開領域には、位置情報と他の非公開データとが記録されており、解読手段は、所定情報検出手段によって所定情報が検出された場合に、解読キー記憶手段に解読キーが記憶されていることを条件として非公開領域を解読して位置情報を読み取り、判断手段は、解読手段が非公開領域から読み取った位置情報に基づいて、特殊インク形成位置が正規位置であるか否かを判断し、解読手段は、判断手段によって特殊インク形成位置が正規位置であると判断された場合に非公開領域の他の非公開データを出力する。この構成によれば、記録媒体において特殊インク形成位置を自由に変更することができるようになる。即ち、特殊インクが付された位置に合った内容となるように非公開領域に位置情報が記録されていれば記録媒体の真偽を判定できるため、記録媒体を作成する上でのレイアウトの自由度(特にコード形成位置の自由度)を高めることができる。また、特殊インクを形成する位置を一定に定める必要が無く容易に変更し得るため、特殊インク形成位置が変更不能な構成と比較してセキュリティ性を高めることができる。特に、位置情報が非公開領域に記録されているため、第三者はコード内容に基づいて位置情報を取得することができないため、偽造そのものが難しくなる。更に、暗号化された非公開の記録情報を特殊インクの位置と対応させ且つ非公開の記録内容を変更するといった偽造は極めて困難であるため、偽造防止や偽造判別により一層有利となる。
【0013】
請求項4の発明によれば、記録媒体は、特殊インク形成位置と一部非公開コードとが所定領域に重なるように構成されたものであり、解読手段は、撮像手段によって撮像された一部非公開コードの画像において誤りの発生位置を検出する誤り発生位置検出手段と、一部非公開コード内において特殊インク形成位置が所定領域に設けられていない第1異常状態、及び誤り発生位置検出手段によって検出された誤りの発生位置が所定領域に集中する第2異常状態、の少なくともいずれかを検出する異常検出手段と、を備え、異常検出手段により、第1異常状態及び第2異常状態の少なくともいずれかが検出された場合に、非公開領域の解読結果の出力を中止する処理、及びエラーを報知する処理の少なくともいずれかを行う。この構成によれば、正規の一部非公開コードを不正な情報コード(特殊インクが付されていない情報コード)に張り替えるような偽造をより確実に発見することができる。また、特殊インクが付されていない不正な情報コードに張り替えた後に特殊インクが付された紙を所定領域(特殊インクが付されるべき位置)に張り付けるような偽造が行われても、その所定領域に誤りが集中していることを検出し、偽造を確実に発見することができる。
【0014】
請求項5の発明によれば、撮像手段及びインク位置検出手段の外部には、所定情報検出手段、解読手段、解読キー記憶手段、及び判断手段を備えたホストコンピュータが設けられ、更に、撮像手段で撮像された画像データをホストコンピュータに送信する画像データ送信手段と、インク位置検出手段によって検出された特殊インク形成位置のデータをホストコンピュータに送信する位置データ送信手段と、が設けられており、ホストコンピュータにおいて、所定情報検出手段は、画像データ送信手段によって送信されたデータに基づいて公開領域に記録された所定情報を検出し、判断手段は、位置データ送信手段によって送信されたデータに基づいて特殊インク形成位置が正規位置であるか否かを判断し、解読手段は、所定情報検出手段によって所定情報が検出され、判断手段によって特殊インク形成位置が正規位置と判断された場合に、解読キー記憶手段に解読キーが記憶されていることを条件として非公開領域の解読結果を出力する。この構成によれば、撮像手段やインク位置検出手段をホストコンピュータ側の構成と分けることができ、撮像やインク位置検出に適した位置に配置し易くなる。その上で、システム全体として偽造を確実に判別できるようになる。
【0015】
請求項6の発明によれば、情報コードが付された記録媒体と、記録媒体を読み取る読取装置とを備えた読取システムであって、記録媒体には、公開領域と、暗号化キーに基づいて暗号化された暗号データが記録された非公開領域とを有すると共に、公開領域に所定情報が記録されてなる一部非公開コードが情報コードとして付され、更に、特殊インクが所定位置に付されており、読取装置は、記録媒体を撮像可能な撮像手段と、暗号化キーに対応する解読キーを記憶可能な解読キー記憶手段と、撮像手段によって一部非公開コードが撮像された場合に、少なくとも公開領域のデータを解読する解読手段と、公開領域に記録された所定情報を検出する所定情報検出手段と、記録媒体において特殊インクが付された特殊インク形成位置を検出するインク位置検出手段と、インク位置検出手段によって検出された特殊インク形成位置が正規位置であるか否かを判断する判断手段と、を備えており、解読手段は、所定情報検出手段によって所定情報が検出され、判断手段によって特殊インク形成位置が正規位置と判断された場合に、解読キー記憶手段に解読キーが記憶されていることを条件として非公開領域の解読結果を出力する。この構成によれば、請求項1と同様の効果を奏する読み取りシステムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、第1実施形態に係る読取システムを概略的に説明する説明図である。
【図2】図2は、図1の読取システムの一部をなす読取装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】図3は、図1の読取システムで用いられる抽選券を概略的に説明する説明図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る読取システムで用いられる一部非公開コードを概略的に説明する説明図である。
【図5】図5(A)は、図4の一部非公開コードのデータ構成を例示する説明図であり、図5(B)は、公開領域に記録する開示データを例示する説明図であり、図5(C)は、非公開領域に記録する暗号データを例示する説明図である。
【図6】図6は、図4の一部非公開コードのデータ構造を例示する説明図である。
【図7】図7は、第1実施形態に係る読取装置におけるメモリ内の構成を概念的に説明する説明図である。
【図8】図8は、第1実施形態に係る読取装置で行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図9】図9は、第2実施形態に係る読取装置で行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【図10】図10は、第2実施形態に係る読取システムで用いられる一部非公開コードのデータ構造を例示する説明図である。
【図11】図11は、第3施形態に係る読取装置で行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る読取システム及びこれに用いる読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(読取システムの全体構成)
まず、図1〜図3等を参照して読取システム1の全体構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る読取システム1を概略的に説明する説明図である。図2は、図1の読取システムの一部をなす読取装置の構成を概略的に示すブロック図である。図3は、図1の読取システムで用いられる抽選券を概略的に説明する説明図である。
【0018】
図1に示す読取装置30は、一定の速度で搬送される抽選券50に印刷された情報コードを読み取るように構成されており、主として、光学検知センサ5と、カメラ3と、ホストコンピュータ2と、特殊インク検知ユニット4と、搬送装置7とを備えている。また、読取装置30には、カメラ3で撮像された画像データをホストコンピュータ2に送信する画像データ送信手段と、特殊インク検知ユニット4によって検出されたデータ(特殊インク形成位置のデータ等)をホストコンピュータ2に送信する位置データ送信手段とが設けられている。
なお、読取装置30は、上記各要素が一体化した単一の装置として構成されてもよく、複数の装置で構成されてもよい。
【0019】
搬送装置7は、抽選券50を一定の速度で所定方向に搬送する装置として構成されており、図1の例では、モータによって一定の速度で回転する転送ローラ7aが抽選券50の搬送経路に沿って複数位置に配置されている。この搬送装置7は、図示しない制御回路から駆動開始の指示を受けたときに駆動を開始し、所定位置にセットされた抽選券50を一定の速度で搬送する。
【0020】
光学検知センサ5は、例えば、互いに対向する発光素子5aと受光素子5bとによって構成されている。発光素子5aは例えばLEDなどの公知の素子によって構成されており、所定の発光開始時期(例えば、図示しない制御回路によって搬送装置7の駆動が開始されたとき)から継続的に光を照射している。また、受光素子5bは、発光素子5aから所定距離を隔てた位置において受光面を発光素子5a側に向けた構成で対向配置されており、発光素子5aからの光を受光したときに、受光信号を生成し、ホストコンピュータ2に出力するように構成されている。これら発光素子5a及び受光素子5bは、抽選券50の搬送経路を挟んで配置されており、抽選券50が発光素子5aと受光素子5bの間を通るときに、発光素子5aからの光が遮られるようになっている。この構成では、発光素子5aと受光素子5bの間に検知物(抽選券50)が存在しない場合には発光素子5aからの光を受光素子5bが受光して受光信号が出力され、発光素子5aと受光素子5bの間に検知物(抽選券50)が存在する場合には、発光素子5aからの光が受光素子5bに届かず、受光素子5bから受光信号が出力されないようになっている。従って、ホストコンピュータ2では、発光素子5aで発光が開始された後に出力される受光素子5bからの受光信号をモニタし、受光信号の立下りを検出することで抽選券50が基準位置(光学検知センサ5によって検出される位置)に到達したタイミングを把握することができる。
【0021】
次に、カメラ3について説明する。カメラ3は、抽選券50(記録媒体)を撮像する「撮像手段」の一例に相当するものであり、例えば、CMOSイメージセンサあるいはCCDイメージセンサ等の固体撮像素子、制御回路、通信回路などを備えた汎用カメラとして構成されており、情報コードC等を撮像し、画像データを生成するように機能している。このカメラ3は、抽選券50が撮像エリア内に存在する所定のタイミングで当該抽選券50を撮像するように構成されており、抽選券50を撮像したときにはその撮像画像のデータをホストコンピュータ2に送信するようになっている。
【0022】
次に、特殊インク検知ユニット4について説明する。特殊インク検知ユニット4は、抽選券50に塗布された特殊インクを検知するセンサと、制御回路と、通信回路などを備えた構成をなしている。例えば、抽選券50に塗布する特殊インクとして磁気インクを用いる場合、この特殊インク検知ユニット4は、磁気インク読取装置によって構成することができる。この場合、特殊インク検知ユニット4(磁気インク読取装置)のセンサ、磁気ヘッドによって走査することによって磁束の変化を検出するように構成され、上述の搬送装置7によって一定の搬送速度で搬送される抽選券50に対し、位置を固定した磁気ヘッドによって磁束の変化を検出することになる。そして、磁束の変化が検出されたときに、その検出信号をホストコンピュータ2へと出力する。なお、抽選券50は、図3に示すように、当該抽選券50の長手方向が移動方向となっており、磁気ヘッドは、抽選券50の移動に応じて当該抽選券50の所定位置に定められる検査ラインLnに沿って相対的に移動するようになっている。そして、搬送装置7による搬送速度は一定となっており、特殊インク検知ユニット4が位置(特殊インクパターンInにおける検査ラインLn上の始端位置)P1に至ったときにこの特殊インク検知ユニット4から検知信号が出力されるようになっているため、光学検知センサ5が抽選券50を検知してから特殊インク検知ユニット4が検知信号を出力するまでの時間を計測することで、長手方向先端部P2から位置P1までの距離を把握することができる。具体的には、光学検知センサ5が抽選券50を検知してから特殊インク検知ユニット4が検知信号を出力するまでの時間Tと抽選券50の搬送速度Vにより、光学検知センサ5が抽選券50を検知したときから、特殊インク検知ユニット4が特殊インクInを検知するまで(即ち、位置P1が特殊インク検知ユニット4の位置に至るまで)の位置P1の移動距離X1を求めることができ、光学検知センサ5が抽選券50を検知する位置から位置P2が特殊インク検知ユニット4の達するまでの位置P1の移動距離X2は既知の値として記憶しておくことができるため、X1−X2により、位置P1と位置P2の距離Xaを求めることができ、この距離Xaを特殊インクInの位置を示す値とすることができる。
【0023】
この例では、特殊インク検知ユニット4が「インク位置検出手段」の一例に相当し、抽選券50(記録媒体)において特殊インクが付された特殊インク形成位置を検出するように機能する。また、特殊インク検知ユニット4の送信回路は、「位置データ送信手段」の一例に相当し、インク位置検出手段によって検出された特殊インク形成位置のデータをホストコンピュータ2に送信するように機能する。
【0024】
なお、特殊インク検知ユニット4からホストコンピュータ2に送信する「特殊インク形成位置のデータ」は、例えば、特殊インク検知ユニット4が位置P1を検出したタイミングを示す信号(タイミング信号)とすることができる。この場合、ホストコンピュータ2では、光学検知センサ5が抽選券50を検知したタイミングと、特殊インク検知ユニット4が特殊インクInの位置P1を検知したタイミングとを把握することができ、これらのタイミングに基づいて、光学検知センサ5が抽選券50を検知したときから、特殊インク検知ユニット4が特殊インクInの位置P1を検知するまでの時間Tを算出することができる。また、特殊インク検知ユニット4からホストコンピュータ2に送信する「特殊インク形成位置のデータ」は、位置P1を検出したタイミングに基づく時間データ(例えば、光学検知センサ5が抽選券50を検知したときから、特殊インク検知ユニット4が特殊インクInの位置P1を検知するまでの時間Tのデータ)等であってもよい。或いは、時間Tから位置P1と位置P2の距離Xaを求め、この距離Xaをホストコンピュータ2に送信するようにしてもよい。なお、このように時間Tや距離Xaを特殊インク検知ユニット4で算出するようにするためには、光学検知センサ5での検知タイミングが特殊インク検知ユニット4で把握できるようにしておけばよい。
【0025】
次に、ホストコンピュータ2について説明する。図2は、第1実施形態に係る読取装置30の構成を概略的に示すブロック図である。図2に示すように、ホストコンピュータ2は、情報処理装置として構成されており、例えば汎用的なパーソナルコンピュータなどが好適に用いられる。この読取装置30は、CPU等からなる制御部31、液晶モニタ等として構成される表示部32、ROM、RAM、HDD等からなる記憶部33、マウスやキーボード等として構成される操作部34、通信インターフェースとして構成される通信部35等を備えており、上述のカメラ3、特殊インク検知ユニット4、光学検知センサ5から各種情報が入力可能となるように接続されている。
【0026】
(抽選券の構成)
次に、記録媒体としての抽選券50について説明する。
図3は、第1実施形態に係る抽選券50を示す概略図である。図3に示すように、抽選券50は長手状に構成されており、その一方面側の所定領域において一部非公開コードCが印刷されている。また、抽選券50において一部非公開コードCと重なるように四角形状の特殊インクパターンInが上述の特殊インクによって形成されている。また、抽選券50の右側の領域(図中Aで示した領域)には、抽選番号及びその他の情報が文字を用いて印刷されている。2つの一部非公開コードCには、例えばこれらの文字情報をデータ化したものが記録されており、一部非公開コードCの非公開領域には、例えば抽選番号のデータが記録されている。
【0027】
次に、一部非公開コードについて説明する。図4は、第1実施形態に係る読取システム1で用いられる一部非公開コードCを概略的に説明する説明図である。なお、図4では、一部非公開コードCの具体的セル構成は省略しているが、公知のQRコードと同様の構成(明色セル及び暗色セルをマトリックス状に配列した構成)とすることができる。一部非公開コードCは、図4に示すように、暗号化キーを用いずに読み取りが可能となる非暗号化データ(公開データ)が記録される公開領域Caと、暗号化キーによって暗号化された暗号化データ(非公開データ)が記録される非公開領域Cbと、誤り訂正符号が記録される誤り訂正領域とを備えている。更に、本実施形態では、公開領域Caに後述する連携識別子(所定情報)が記録されており、非公開領域Cbには上述の抽選番号情報などが記録されている。
【0028】
次に、データ構成について説明する。図5(A)は、図4の一部非公開コードCのデータ構成を例示する説明図であり、図5(B)は、公開領域Caに記録する開示データを例示する説明図であり、図5(C)は、非公開領域Cbに記録する暗号データを例示する説明図である。一部領域を非公開領域(暗号化キーの取得を条件として読み取り可能な領域)Cbとし、他の領域を公開領域(暗号化キーを用いずに読み取り可能な領域)Caとする一部非公開コードCの生成方法や生成される一部非公開コードCの具体的構成としては、例えば、特開2009−9547公報、特開2008−299422公報などに開示された技術を好適に用いることができる。図5(A)には、これら公報の技術を用いた場合の一部非公開コードCのデータ構成を例示しており、このうち、「開示コード」は、図5(B)のような各開示データ(固有IDや有効期間データ等の各公開データ)をJISの基本仕様(JISX0510:2004)に従って符号化したものである。また、「秘匿コード」は、図5(C)のような各暗号データ(抽選番号情報等の各非公開データを暗号化した各暗号データ)をJISの基本仕様(JISX0510:2004)に従って符号化したものである。
【0029】
なお、一部非公開コードCの生成方法や生成される一部非公開コードCの具体的構成はこの例に限られるものではなく、一部領域に暗号化データを記録し、他の領域に非暗号化データを記録した二次元コードを生成可能な方法であれば、これら公報に記載された方法以外の方法で生成されていてもよい。
【0030】
図6は、図4の一部非公開コードCのデータ構造を具体的に例示する説明図である。図6に示すように、一部非公開コードCには、公開領域のデータとして、所定の公開データや特殊インクを検知するための識別子が記録されており、更に、公開領域のデータに続く構成で公開領域のデータの終端を示す識別子が記録されている。また、それら以外の領域には暗号化された非公開データ(抽選番号情報等)が記録されている。公開データ部分には、ユーザが自由に読み取ることができる情報と、特殊インクとの連携を示すインジケータが含まれている。特殊インクとの連携を示すインジケータは、例えば予め定められた配列の数字によって構成されている。このように構成されているため、公開領域のデータ(終端の識別子までのデータ)については、解読キーが存在しなくても解読可能となっており、非公開データについては、非公開データの暗号化を解読するための解読キー及び解読アルゴリズムが存在しなければ、解読できないようになっている。なお、非公開データの暗号化は、例えば図示しない情報処理装置により、読取装置30の記憶部33に記憶される解読キー及び解読アルゴリズムに対応する暗号化キー及び暗号化アルゴリズムを用いて行われるようになっており、一部非公開コードCの生成も当該情報処理装置によって行われるようになっている。
【0031】
図7は、第1実施形態に係る読取装置30における記憶部33内の構成を概念的に説明する説明図である。本実施形態では、読取装置30が一部非公開コードCにおける非公開領域Cbのデータを解読したときに、図7のように、記憶部33における非アクセス領域に一時的に書き込まれるようになっている。図7の例では、記憶部33において、ユーザによるアクセスが可能となるアクセス領域と、ユーザによるアクセスが制限された非アクセス領域とが設けられており、アドレス番号が00h〜10hの部分については非アクセス領域とされており、アドレス番号が11h以降の部分についてはアクセス領域とされている。なお、図7では、非公開領域Cbにおいて後述する抽選番号情報が記録されている場合を例示しており、非公開領域Cbの解読データ(抽選番号情報等)が非アクセス領域に記録されるようになっている。
【0032】
なお、本実施形態の「アクセス領域」とは、読取装置30に対する外部操作(例えば操作部34による操作)によって外部から読み取りが可能な領域であり、「非アクセス領域」は、読取装置30に対する外部操作(例えば操作部34による操作)ではアクセスできない領域であってもよく、或いは特別のコマンドや特別なパスワードを条件として外部からアクセスが可能となる領域(即ち、特別のコマンド或いは特別なパスワードを知る者だけがアクセス可能となる領域)であってもよい。
【0033】
(コード読取処理)
次に、コード読取処理について説明する。
図8は、第1実施形態に係る読取装置30で行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。図8に示すコード読取処理は、例えば、所定の開始条件が成立した時(例えば抽選券50が所定の挿入口(図示略)に挿入され、この抽選券50の挿入が図示しないセンサによって検出されたとき)に読取装置30の制御部31によって実行されるものである。この読取処理では、まず、2次元コードを撮像する処理を行う(S1)。具体的には、図8の読取処理の開始に伴い、搬送装置7によって抽選券50が所定速度で送り出されるようになっており、抽選券50に印刷された一部非公開コードCが所定の撮像位置に配置されるタイミング(例えば、光学検知センサ5で検知されてから一定時間経過したタイミング)でこの一部非公開コードCがカメラ3によって撮像されるようになっている。
【0034】
このように撮像された一部非公開コードCの画像データは、カメラ3からホストコンピュータ2に送信され、記憶部33に記憶されることになる。なお、本実施形態では、カメラ3に設けられた制御回路及び通信回路が「画像データ送信手段」の一例に相当しており、カメラ3(撮像手段)で撮像された画像データ(具体的には、カメラ3に設けられた固体撮像素子で生成された画像データ)をホストコンピュータ2に送信するように機能する。
【0035】
S1の処理では、このようにホストコンピュータ2に送信された画像データを解析し、当該画像データに含まれる一部非公開コードCの公開領域のデータ(即ち、暗号化されていないデータ)を公知の方法によって解読する。具体的には、例えば一部非公開コードCに記録されているデータを、先頭から終端子まで読み取り、その間の領域(公開領域)のデータを解読する。本発明に係る読取システム1で用いられる一部非公開コードCには、公開領域において所定情報(連携識別子(連携インジケータ))とその他の開示コードが記録されているため、所定情報(連携識別子(連携インジケータ))が確認できれば、読取対象のコードであることが判明する。従って、このような所定情報(連携識別子(連携インジケータ))が確認された場合には、S2でYesに進み、S3以降の具体的処理を行うことになる。一方、このような所定情報が確認されない場合には、読取対象のコードではないといえるため、この場合にはS2にてNoに進み、公開領域のみの解読、出力を行い(S8)、当該処理を終了する。
この例では、制御部31が「所定情報検出手段」の一例に相当し、公開領域Caに記憶された所定情報(連携識別子(連携インジケータ))を検出するように機能する。
【0036】
S2でYesに進んだ後には、所定時間内に特殊インクを検知したか否かを判断する処理を行う(S3)。上述したように、搬送装置7による搬送速度は一定となっており、特殊インク検知ユニット4が位置(特殊インクパターンInにおける検査ラインLn上の始端位置)P1に至ったときにこの特殊インク検知ユニット4から検知信号が出力されるようになっているため、光学検知センサ5が抽選券50を検知してから特殊インク検知ユニット4が検知信号を出力するまでの時間を計測することで、長手方向先端部P2から位置P1までの距離を把握することができるようになっている。そして、特殊インクが正規位置にある場合、光学検知センサ5が抽選券50を検知してから特殊インク検知ユニット4が検知信号を出力するまでの時間は予め定められた所定値T1となるべきであるため、S3の処理では、光学検知センサ5が抽選券50を検知してから特殊インク検知ユニット4が検知信号を出力するまでの時間Tが所定値T1に近い正規範囲内であるか否かを判断している。具体的には、所定値T1をその範囲内に含む時間範囲Ta〜Tb(Ta≦T1≦Tb)が予め定められており、S3の処理では、光学検知センサ5が抽選券50を検知してから特殊インク検知ユニット4が検知信号を出力するまでの時間TがTa〜Tbの範囲内であるか否かを判断している。
【0037】
また、記憶部33には、「インク位置」の情報として距離Xaの基準となる正規の値が記録されており、S3では、光学検知センサ5が抽選券50を検知してから特殊インク検知ユニット4が検知信号を出力するまでの時間Tに基づいてXaを求め、このXaが記憶部33に記録された「インク位置」(正規値)と一致するか否かについても判断している。そして、時間TがTa〜Tbの範囲内(正規範囲内)であり、特殊インク形成位置(位置P1)が正規位置である場合(即ち、Xaが記憶部33に記録された正規値と一致する場合)には、S3でYesに進み、そうでなければS3でNoに進むようになっている。なお、特殊インクを検知しなかった場合、時間TがTa〜Tbの範囲外である場合、距離Xaが正規値に一致しない場合には、公開領域Caのデータの読取処理のみを行い(S8)、当該読取処理を終了する。
この例では、制御部31が「判断手段」の一例に相当し、インク位置検出手段によって検出された特殊インク形成位置(位置P1)が正規位置であるか否かを判断するように機能する。
【0038】
S3でYesに進む場合、非公開データCbの読み取り処理を行う(S4)。上述したように、一部非公開コードCの非公開領域Cbには、暗号化キーに基づいて暗号化された暗号データが記録されており、S4では暗号化キーに対応する解読キーを記憶部33から読み出すと共に、読み出した解読キーを使用して非公開領域Cbに記録される暗号データを復号化する処理を行う。具体的には、非公開領域Cbに記憶されたデータコード(暗号データを符号化してなる秘匿コード)を公知の方法でデコードした後、そのデコードデータを、読み出された解読キー(非公開領域Cbの暗号データを解読することを可能とする復号キー)を用いて復号化する。なお、非公開領域Cbの具体的解読方法は様々であり、例えば、特開2009−9547公報、特開2008−299422公報と同様の方法などを用いてもよく、他の公知方法を用いてもよい。
【0039】
なお、本実施形態では、記憶部33が「解読キー記憶手段」の一例に相当し、非公開領域Cbの暗号化キーに対応する解読キーを記憶可能とされている。
また、制御部31は「解読手段」の一例に相当し、カメラ3(撮像手段)によって一部非公開コードCが撮像された場合に、公開領域Caのデータを解読するように機能しており、より具体的には、所定情報検出手段によって所定情報が検出され、判断手段によって特殊インク形成位置が正規位置と判断された場合に、解読キー記憶手段に前記解読キーが記憶されていることを条件として非公開領域Cbの解読結果を出力するように機能する。
【0040】
続くS5の処理では、S4の処理で解読して読み取りを行った非公開データ(例えば抽選番号データ)を、記憶部33内の非アクセス領域Cbに書き込む。その後、解読された非公開データを外部装置(例えばホストコンピュータ2に接続された外部の情報処理装置等)に出力する(S6)。そして、S6の処理の後には、記憶部33内の非アクセス領域Cbに書き込んだ非公開データを消去する。この例では、記憶部33の非アクセス領域で非公開データ(抽選番号データ等)を扱っているため記憶部33で非公開データを記録している際に第三者がこの非公開データにアクセスし難くなり、S6での通信処理が終わった後に記憶部33に記録された非公開データを消去しているため、非公開データの使用後に、第三者が何らかの方法で非公開データを取り出して不正に使用することを回避することができる。
【0041】
(第1実施形態の主な効果)
第1実施形態に係る読取装置30によれば、抽選券50(記録媒体)に付された情報コードCが偽造された場合に、その偽造をより高い精度で発見することが可能となり、セキュリティ機能をより一層強化することができる。即ち、公開領域Caに記録された所定情報(連携識別子(連携インジケータ))が所定情報検出手段によって検出され、抽選券50(記録媒体)において特殊インクが付された特殊インク形成位置が正規位置であると判断され、更に解読キーが記憶部33(記憶手段)に記憶されている場合のみ非公開領域Cbの解読結果を出力するため、第三者が非公開領域Cbの情報を読み出すことが極めて困難となる。例えば、特殊インクが正規位置に配されていない限り非公開領域Cbのデータを読み出すことはできないため偽造そのものが難しくなり、また、コード自体が偽造されたとしても、解読キーが存在しない限り非公開領域Cbの情報を読み出すことができなため、セキュリティ面で万全となる。
【0042】
また、上記構成では、カメラ3(撮像手段)及び特殊インク検知ユニット4(インク位置検出手段)の外部には、所定情報検出手段、解読手段、解読キー記憶手段、及び判断手段を備えたホストコンピュータ2が設けられ、更に、カメラ3(撮像手段)で撮像された画像データをホストコンピュータに送信する画像データ送信手段と、特殊インク検知ユニット4(インク位置検出手段)によって検出された特殊インク形成位置のデータをホストコンピュータ2に送信する位置データ送信手段と、が設けられている。そして、ホストコンピュータ2において、所定情報検出手段は、画像データ送信手段によって送信されたデータに基づいて公開領域Caに記録された所定情報(連携識別子(連携インジケータ))を検出し、判断手段は、位置データ送信手段によって送信されたデータに基づいて特殊インク形成位置が正規位置であるか否かを判断し、解読手段は、所定情報検出手段によって所定情報が検出され、判断手段によって特殊インク形成位置が正規位置と判断された場合に、解読キー記憶手段に解読キーが記憶されていることを条件として非公開領域の解読結果を出力している。
この構成によれば、カメラ3(撮像手段)や特殊インク検知ユニット4(インク位置検出手段)をホストコンピュータ2側の構成と分けることができ、撮像やインク位置検出に適した位置に配置し易くなる。その上で、システム全体として偽造を確実に判別できるようになる。
【0043】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、読取処理内容のみが第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。例えば、ハードウェア構成は、第1実施形態と同一であるため、図1、図2を参照されたい。また、一部非公開コードCの構成については、具体的なデータ内容のみが第1実施形態と異なるだけで、それ以外の構成や生成方法、解読方法は第1実施形態と同様である。よって、適宜、図4等を参照して、コード読取処理のみを説明することとする。
【0044】
(コード読取処理)
本発明の第2実施形態に係るコード読取処理について説明する。図9は、第2実施形態に係る読取装置30で行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。図10は、第2実施形態に係る読取システム1で用いられる一部非公開コードCのデータ構造を例示する説明図である。本実施形態でも、読取処理は、読取装置30にて所定操作が行われることで開始され、まず、一部非公開コードCを撮像する処理を行う(S21)。なお、S21の処理は、図8のS1の処理と同様である。続いて、図8のS2と同様の処理(S22)が行われる。また、S22でYesに進む場合には、S3と同様に、光学検知センサ5が抽選券50を検知してから特殊インク検知ユニット4が検知信号を出力するまでの時間Tを計測し、この時間Tが上述の正規範囲Ta〜Tbに収まっているか否かを判断する。収まっている場合(即ち、所定時間内に特殊インクを検知できた場合)には、S23にてYesに進み、S24の判断処理を行う。
【0045】
S24の処理では、抽選券50に付された特殊インクの形成位置P1(図3)が正規の位置であるか否かを判断する(S24)。図10に示すように、一部非公開コードCの公開領域Caには、所定情報(「特殊インク検知」を示す連携インジケータ)と共に位置情報(特殊インク形成位置)を示す数値が入力されている。そして、第1実施形態と同様の所定情報検出手段によって所定情報(連携インジケータ)が検出された場合に、公開領域Caに記録された位置情報に基づいて特殊インク形成位置P1が正規位置であるか否か判断している。具体的には、例えば「インク位置」の情報として距離Xaの基準となる正規の値が記録されており、S24では、光学検知センサ5が抽選券50を検知してから特殊インク検知ユニット4が検知信号を出力するまでの時間Tに基づいてXaを求め、このXaが公開領域Caに記録された「インク位置」(正規値)と一致するか否かを判断する。S24の処理において、算出された距離Xaが公開領域Caに記録された「インク位置」(正規値)と一致する場合、即ち、特殊インク形成位置P1が正規位置であると判断される場合には、
S24にてYesに進み、S25以降の処理を行う。なお、S25〜S28までの処理は、図8のS4〜S7の処理と同様である。一方、算出された距離Xaが公開領域Caに記録された「インク位置」(正規値)と一致しない場合、即ち、特殊インク形成位置P1が正規位置でないと判断される場合には、S24にてNoに進み、公開領域Caにおけるデータの読取処理を行い(S29)、当該コードの読取処理を終了する。
【0046】
(第2実施形態の主な効果)
第2実施形態に係る読取装置30によれば、記録媒体に付された情報コードCが偽造された場合に、その偽造をより高い精度で発見することが可能となり、セキュリティ機能をより一層強化することができる。即ち、所定情報(特殊インクと連携を示すインジケータ)が所定情報検出手段によって検出され、更に記録媒体において特殊インクが付された特殊インク形成位置が正規位置であると判断した場合のみ、解読キーによって解読を実行するため、真贋判定の確実性を高めることができる。例えば、正規の情報コードCを不正な特殊インクが付されていない情報コードCに張り替えるような偽造がなされ、その上で、特殊インクが付された紙を所定領域に貼り付けるような複雑な偽造が行われても、情報コードCを読み出すことはない。また、暗号データは非公開領域Cbに記録されているため、特殊インク形成位置が正規位置であると判断したのみでは、公開領域Caのデータのように自由に読み出すことはできないため、セキュリティ面でより望ましい。したがって、第三者による情報コードCの偽造そのものが難しくなり、機密管理において一層の情報秘匿性を高めることができる。
【0047】
また、上記構成によれば、抽選券50(記録媒体)において特殊インク形成位置P1を自由に設計変更することができるようになる。即ち、特殊インクが付された位置P1に合った内容となるように公開領域Caに位置情報が記録されていれば記録媒体の真偽を判定できるため、記録媒体を作成する上でのレイアウトの自由度(特にコード形成位置の自由度)を高めることができる。また、特殊インクを形成する位置を一定に定める必要が無く、容易に変更し得るため、特殊インク形成位置が変更不能な構成と比較してセキュリティ性を高めることができる。
【0048】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、読取処理の内容のみ(即ち、図8の処理を図11の処理に変更した点のみ)が第1実施形態と異なり、それ以外は第1実施形態と同様である。例えば、ハードウェア構成は、第1実施形態と同一であるため、適宜、図1、図2を参照されたい。また、一部非公開コードCの構成については、具体的なデータ内容のみが第1実施形態と異なるだけで、それ以外の構成や生成方法、解読方法は第1実施形態と同様である。よって、適宜、図4等を参照して、コード読取処理のみを説明することとする。
【0049】
(コード読取処理)
本発明の第3実施形態に係るコード読取処理について説明する。図11は、第3実施形態に係る読取装置30で行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。本実施形態でも、読取処理は、読取装置30にて所定操作が行われることで開始され、まず、図8のS1と同様に、一部非公開コードCを撮像する処理を行う(S31)。続いて、図8のS2或いは図9のS22と同様の判断処理(S32)を行う。また、S32にてYesに進む場合には、図9のS23、S24と同様の判断処理(S33、S34)を行う。そして、S34にてYesに進む場合にはS35の処理に移行する。
【0050】
S35の処理では、情報コードC内の特定位置に誤り訂正が集中しているか否か判断する(S35)。本実施形態では、抽選券50(記録媒体)において、特殊インクInが付された位置(特殊インク形成位置)と一部非公開コードCとが所定領域(例えば特定領域AR1、AR2)に重なるように構成されており、情報コードCにおける特殊インクInが付された特定領域AR1、AR2の位置が予め定められ、この特定領域AR1、AR2の位置情報が記憶部33に記憶されている。そして、S35の処理では、情報コードC全体の解読を行うと共にその解読の際に公知の誤り訂正方式を用いて誤り訂正を行い、情報コードCにおいて誤りが発生した位置を検出するようになっている。なお、S35で情報コードCの解読を行う際には、非公開領域Cbについても、記憶部33に記憶された解読キーを用いて暫定的に解読を行っておく。そして、特定領域AR1及びAR2のいずれかにおいて、各領域で所定割合(例えば、50%)以上の誤りが検出された場合には、「コード内の特定位置に誤り訂正が集中している」としてS35にてYesに進む。なお、S35にてYesに進む場合の以降の処理(S36〜S39)は、図8のS4〜S7と同様である。また、S40の処理は、図8のS8と同様である。
【0051】
本実施形態では、情報コードCの解読を行い得る制御部31が「解読手段」の一例に相当する。また、制御部31は、「誤り発生位置検出手段」の一例に相当し、カメラ3(撮像手段)によって撮像された一部非公開コードCの画像において誤りの発生位置を検出するように機能する。また、S35の処理を行い得る制御部31は、「異常検出手段」の一例に相当し、一部非公開コードC内において特殊インク形成位置が所定領域に設けられていない第1異常状態(即ち、上述の時間Tが時間範囲Ta〜Tbの範囲外となる異常状態)、及び誤り発生位置検出手段によって検出された誤りの発生位置が所定領域(特定領域AR1又はAR2)に集中する第2異常状態を検出するように機能する。なお、異常検出手段により、第1異常状態及び第2異常状態の少なくともいずれかが検出された場合(即ち、S33にてNoに進む場合、或いはS35にてYesに進む場合)に、S40において、エラーを報知する処理を行うようにしてもよい。
【0052】
(第3実施形態の主な効果)
第3実施形態で用いられる抽選券5(記録媒体)では、特殊インク形成位置と一部非公開コードとが所定領域に重なるように構成されており、解読手段は、撮像手段によって撮像された一部非公開コードCの画像において誤りの発生位置を検出する誤り発生位置検出手段と、一部非公開コードC内において特殊インク形成位置が所定領域に設けられていない第1異常状態、及び誤り発生位置検出手段によって検出された誤りの発生位置が所定領域に集中する第2異常状態、の少なくともいずれかを検出する異常検出手段とを備えている。異常検出手段により、第1異常状態及び第2異常状態の少なくともいずれかが検出された場合に、非公開領域の解読結果の出力を中止する処理、及びエラーを報知する処理の少なくともいずれかを行う。この構成によれば、正規の一部非公開コードを不正な情報コード(特殊インクが付されていない情報コード)に張り替えるような偽造をより確実に発見することができる。また、特殊インクが付されていない不正な情報コードに張り替えた後に特殊インクが付された紙を所定領域(特殊インクが付されるべき位置)に張り付けるような偽造が行われても、その所定領域に誤りが集中していることを検出し、偽造を確実に発見することができる。
【0053】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0054】
上記実施形態では、「特殊インク」として磁気インクを用いたが、磁気インク以外の特殊インクを用いてもよい。例えば、記録媒体50に印刷される情報コードCのインクとは異なるインクであって且つ所定波長の光を変調して反射するようなインクを用いてもよい。この場合、特殊インク検知ユニット4としては、所定波長の光を照射するように構成し、特殊インクによって変調された反射光を検知するように構成すればよい。
【0055】
第2実施形態では、位置情報(距離Xaの正規の値を示す「インク位置」の情報)が一部非公開コードCの公開領域Caに記録される例を示したが、この位置情報は、一部非公開コードCの非公開領域Cbにおいて他の非公開データと共に暗号化された状態で記録されていてもよい。
この場合、図9の処理において、S23の処理を省略し且つS24とS25を変更すればよく、S22でYesと判断された場合に、S25と同様の処理、即ち、記憶部33(解読キー記憶手段)に解読キー(非公開領域Cbの暗号化キーに対応する解読キー)が記憶されていることを条件として非公開領域Cbを解読して位置情報(距離Xaの基準となる正規の値)を読み取る処理を行い、その後、その位置情報に基づいて、S24と同様の処理、即ち、抽選券50に付された特殊インクの形成位置P1(図3)が正規の位置であるか否かを判断する処理を行うようにすればよい。そして、特殊インク形成位置P1(図3)が正規位置と判断された場合に、非公開領域Cbの他の非公開データを出力するようにすればよい。
この場合、制御部31が「解読手段」の一例に相当し、所定情報検出手段によって所定情報が検出された場合(即ち、S22でYesの場合)に、記憶部33(解読キー記憶手段)に解読キーが記憶されていることを条件として非公開領域Cbを解読して位置情報を読み取るように機能する。
また、制御部31は、「判断手段」の一例に相当し、解読手段が非公開領域Cbから読み取った位置情報に基づいて、特殊インク形成位置P1が正規位置であるか否かを判断するように機能する。
また、「解読手段」に相当する制御部31は、判断手段によって特殊インク形成位置P1が正規位置であると判断された場合に非公開領域Cbの他の非公開データを出力するように機能する。
このような構成によれば、抽選券50(記録媒体)において特殊インク形成位置を自由に変更することができるようになる。即ち、特殊インクが付された位置に合った内容となるように非公開領域Cbに位置情報が記録されていれば抽選券50(記録媒体)の真偽を判定できるため、記録媒体を作成する上でのレイアウトの自由度(特にコード形成位置の自由度)を高めることができる。また、特殊インクを形成する位置を一定に定める必要が無く容易に変更し得るため、特殊インク形成位置が変更不能な構成と比較してセキュリティ性を高めることができる。特に、位置情報が非公開領域Cbに記録されているため、第三者はコード内容に基づいて位置情報を取得することができないため、偽造そのものが難しくなる。更に、暗号化された非公開の記録情報を特殊インクの位置と対応させ且つ非公開の記録内容を変更するといった偽造は極めて困難であるため、偽造防止や偽造判別により一層有利となる。
【符号の説明】
【0056】
1…読取システム
2…ホストコンピュータ
3…カメラ(撮像手段)
4…特殊インク検知ユニット(インク位置検出手段)
5…光学検知センサ
30…読取装置
31…制御部(解読手段、所定情報検出手段、判断手段)
32…表示部
33…記憶部(解読キー記憶手段)
34…操作部
35…通信部
50…抽選券(記録媒体)
C…一部非公開コード(情報コード)
Ca…公開領域
Cb…非公開領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公開領域と、暗号化キーに基づいて暗号化された暗号データが記録された非公開領域とを有すると共に、前記公開領域に所定情報が記録されてなる一部非公開コードが付され、且つ特殊インクが所定位置に付されてなる記録媒体を読取可能な読取装置であって、
前記記録媒体を撮像可能な撮像手段と、
前記暗号化キーに対応する解読キーを記憶可能な解読キー記憶手段と、
前記撮像手段によって前記一部非公開コードが撮像された場合に、少なくとも前記公開領域のデータを解読する解読手段と、
前記公開領域に記録された前記所定情報を検出する所定情報検出手段と、
前記記録媒体において前記特殊インクが付された特殊インク形成位置を検出するインク位置検出手段と、
前記インク位置検出手段によって検出された前記特殊インク形成位置が正規位置であるか否かを判断する判断手段と、
を備え、
前記解読手段は、前記所定情報検出手段によって前記所定情報が検出され、前記判断手段によって前記特殊インク形成位置が前記正規位置と判断された場合に、前記解読キー記憶手段に前記解読キーが記憶されていることを条件として前記非公開領域の解読結果を出力することを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記一部非公開コードの前記公開領域には、前記所定情報と共に少なくとも位置情報が記録されており、
前記判断手段は、前記所定情報検出手段によって前記所定情報が検出された場合に、前記公開領域に記録された前記位置情報に基づいて、前記特殊インク形成位置が正規位置であるか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記一部非公開コードの前記非公開領域には、位置情報と他の非公開データとが記録されており、
前記解読手段は、前記所定情報検出手段によって前記所定情報が検出された場合に、前記解読キー記憶手段に前記解読キーが記憶されていることを条件として前記非公開領域を解読して前記位置情報を読み取り、
前記判断手段は、前記解読手段が前記非公開領域から読み取った前記位置情報に基づいて、前記特殊インク形成位置が正規位置であるか否かを判断し、
前記解読手段は、前記判断手段によって前記特殊インク形成位置が正規位置であると判断された場合に前記非公開領域の前記他の非公開データを出力することを特徴とする請求項2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記記録媒体は、前記特殊インク形成位置と前記一部非公開コードとが所定領域に重なるように構成されたものであり、
前記解読手段は、
前記撮像手段によって撮像された前記一部非公開コードの画像において誤りの発生位置を検出する誤り発生位置検出手段と、
前記一部非公開コード内において前記特殊インク形成位置が前記所定領域に設けられていない第1異常状態、及び前記誤り発生位置検出手段によって検出された前記誤りの発生位置が前記所定領域に集中する第2異常状態、の少なくともいずれかを検出する異常検出手段と、
を備え、
前記異常検出手段により、前記第1異常状態及び前記第2異常状態の少なくともいずれかが検出された場合に、前記非公開領域の解読結果の出力を中止する処理、及びエラーを報知する処理の少なくともいずれかを行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の読取装置。
【請求項5】
前記撮像手段及び前記インク位置検出手段の外部には、前記所定情報検出手段、前記解読手段、前記解読キー記憶手段、及び前記判断手段を備えたホストコンピュータが設けられ、
更に、前記撮像手段で撮像された画像データを前記ホストコンピュータに送信する画像データ送信手段と、
前記インク位置検出手段によって検出された前記特殊インク形成位置のデータを前記ホストコンピュータに送信する位置データ送信手段と、
が設けられており、
前記ホストコンピュータにおいて、前記所定情報検出手段は、前記画像データ送信手段によって送信されたデータに基づいて前記公開領域に記録された前記所定情報を検出し、前記判断手段は、前記位置データ送信手段によって送信されたデータに基づいて前記特殊インク形成位置が正規位置であるか否かを判断し、前記解読手段は、前記所定情報検出手段によって前記所定情報が検出され、前記判断手段によって前記特殊インク形成位置が前記正規位置と判断された場合に、前記解読キー記憶手段に前記解読キーが記憶されていることを条件として前記非公開領域の解読結果を出力することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の読取装置。
【請求項6】
情報コードが付された記録媒体と、前記記録媒体を読み取る読取装置とを備えた読取システムであって、
前記記録媒体には、公開領域と、暗号化キーに基づいて暗号化された暗号データが記録された非公開領域とを有すると共に、前記公開領域に所定情報が記録されてなる一部非公開コードが前記情報コードとして付され、更に、特殊インクが所定位置に付されており、
前記読取装置は、
前記記録媒体を撮像可能な撮像手段と、
前記暗号化キーに対応する解読キーを記憶可能な解読キー記憶手段と、
前記撮像手段によって前記一部非公開コードが撮像された場合に、少なくとも前記公開領域のデータを解読する解読手段と、
前記公開領域に記録された前記所定情報を検出する所定情報検出手段と、
前記記録媒体において前記特殊インクが付された特殊インク形成位置を検出するインク位置検出手段と、
前記インク位置検出手段によって検出された前記特殊インク形成位置が正規位置であるか否かを判断する判断手段と、
を備えており、
前記解読手段は、前記所定情報検出手段によって前記所定情報が検出され、前記判断手段によって前記特殊インク形成位置が前記正規位置と判断された場合に、前記解読キー記憶手段に前記解読キーが記憶されていることを条件として前記非公開領域の解読結果を出力することを特徴とする読取システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−58031(P2013−58031A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195196(P2011−195196)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】