説明

読取装置

【課題】読み取り可能な範囲より大きい原稿から複数の領域画像を得て、該複数の領域画像を一枚の原稿画像に合成し、合成された原稿画像に空白部が出ることを防止可能な読取装置及び読取方法を提供する。
【解決手段】読取装置は、各領域に対して読み取りを行い、二番目以降に形成された各領域画像の、当該領域画像の直前に形成された領域画像に対する傾き度合いを、空白確率としてそれぞれ検出する傾き検出部と、各領域画像に対して、対応の傾き度合いが所定の基準度合いより大きいか否かを判定する傾き判定部と、傾き度合いが基準度合いより大きく、原稿画像に空白部が出てしまうと判定された場合、原稿のセット位置をユーザに修正させるための警告を出す警告部と、セット位置がユーザによって修正されると、再び読み取りを行わせ、最新の領域画像を含む各領域画像を合成して、一枚の原稿画像を形成する合成部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読み取り可能な範囲より大きい原稿から複数の領域画像を得て、該複数の領域画像を一枚の原稿画像に合成する読取装置及び読取方法に関し、特に、合成された原稿画像に空白部が出ることを防止可能な読取装置及び読取方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スキャナーのような読取装置において、読み取り可能な範囲より大きい原稿を読み取るためには、原稿の画像を複数の領域に分け、そして、原稿を移動してそれぞれの位置にセットし、各領域を順次に読み取って複数の領域画像を形成し、最後に、形成されたそれぞれの領域画像を一枚の原稿画像に合成する必要がある。
原稿の画像を上記のように複数の領域に分ける時、隣接する二つの領域の境界のところに重なり部分があるように確保する必要がある。それで、領域画像には重なり部分に対応する部分画像があり、原稿画像を合成する時、この部分画像に基づいて各領域画像の合成位置関係を決める。
【0003】
ところで、各領域を読み取るために原稿のセット位置を変更する時、原稿が徐々に傾いてしまうことがある。その場合、後で形成された領域画像は、前に形成された領域画像に対して傾きが生じてしまう。従って、複数の領域画像を原稿画像に合成する時、一番目に形成された領域画像を基準にして、領域画像の傾きに基づいて、各領域画像の合成位置関係を補正してから原稿画像を合成する。
【0004】
このような読取装置について、例えば、下記特許文献1に開示されている。特許文献1では、原稿の各領域を順次に読み取って得た複数の領域画像に対して、各領域画像の部分領域を推定してから、この部分画像に基づいて各領域画像の合成位置をそれぞれ補正し、最後に、原稿画像の合成を行う方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−259110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の移動によって、原稿が傾きすぎて、領域の読み取るべき一部が、読取装置の読み取り可能な範囲から外れる可能性がある。この場合、外れた一部が読み取られなくなってしまうので、上記の補正を行っても、外れた一部の画像を得ることができない。そのため、外れた一部に対応する部分には空白部が出てしまい、合成された原稿画像にも当然、空白部が出てしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
〈構成1〉
本発明は、一つの読取装置を提供する。
本発明に係る読取装置は、読み取り可能な範囲より大きい原稿の画像を複数の領域に分けて、各前記領域をそれぞれ読み取って複数の領域画像を形成して一枚の原稿画像に合成する読取装置であって、各前記領域に対して読み取りを行い、複数の前記領域画像を順次に形成する読取部と、二番目以降に形成された各前記領域画像の、当該領域画像の直前に形成された前記領域画像に対する傾き度合いを、空白確率としてそれぞれ検出する傾き検出部と、各前記領域画像に対して、対応の前記傾き度合いが所定の基準度合いより大きいか否かを判定する傾き判定部と、前記傾き度合いが前記基準度合いより大きく、前記原稿画像に空白部が出てしまうと判定された場合、前記原稿のセット位置をユーザに修正させるための警告を出す警告部と、前記セット位置が前記ユーザによって修正されると、前記読取部に、該当の前記領域画像に対応する領域に対して再び読み取りを行わせ、最新の領域画像を形成させて前記領域画像と置き換える置換制御部と、最新の前記領域画像を含む各前記領域画像を合成して、一枚の原稿画像を形成する合成部とを備えることを特徴とする。
【0008】
〈構成2〉
更に、本発明は、もう一つの読取装置を提供する。本発明に係る読取装置は、読み取り可能な範囲より大きい原稿の画像を複数の領域に分けて、各前記領域をそれぞれ読み取って複数の領域画像を形成して一枚の原稿画像に合成する読取装置であって、各前記領域に対して読み取りを行い、複数の前記領域画像を順次に形成する読取部と、各前記領域画像を合成して、一枚の合成画像を形成する合成部と、前記合成画像に、画像が欠けている部分からなる空白部があるか否かを判定し、ある場合、前記空白部の位置を検出する空白判定検出部と、前記空白部の位置を示すと共に、前記空白部を読み取るべく前記ユーザに前記原稿を前記読取部上にセットさせるための警告を出す警告部と、前記原稿がセットされたと、前記読取部に、前記空白部に対して更に読み取りを行わせて空白部画像を形成させ、前記合成部に、前記空白部画像と前記合成画像とを合成して前記原稿画像を形成させる修正部とを備えることを特徴とする。
【0009】
〈構成3〉
更に、本発明は、一つの読取方法を提供する。本発明に係る読取方法は、読み取り可能な範囲より大きい原稿の画像を複数の領域に分けて、各前記領域をそれぞれ読み取って複数の領域画像を形成して一枚の原稿画像に合成する読取方法であって、各前記領域に対して読み取りを行い、複数の前記領域画像を順次に形成する読取ステップと、二番目以降に形成された各前記領域画像の、当該領域画像の直前に形成された前記領域画像に対する傾き度合いを、空白確率としてそれぞれ検出する傾き検出ステップと、各前記領域画像に対して、対応の前記傾き度合いが所定の基準度合いより大きいか否かを判定する傾き判定ステップと、前記傾き度合いが前記基準度合いより大きく、前記原稿画像に空白部が出てしまうと判定された場合、前記原稿のセット位置をユーザに修正させるための警告を出す警告ステップと、前記セット位置が前記ユーザによって修正されると、該当の前記領域画像に対応する領域に対して再び読み取りを行い、最新の領域画像を形成して前記領域画像と置き換える置換制御ステップと、最新の前記領域画像を含む各前記領域画像を合成して、一枚の原稿画像を形成する合成ステップとを備えることを特徴とする。
【0010】
〈構成4〉
更に、本発明は、もう一つの読取方法を提供する。本発明に係る読取方法は、読み取り可能な範囲より大きい原稿の画像を複数の領域に分けて、各前記領域をそれぞれ読み取って複数の領域画像を形成して一枚の原稿画像に合成する読取方法であって、各前記領域に対して読み取りを行い、複数の前記領域画像を順次に形成する読取ステップと、各前記領域画像を合成して、一枚の合成画像を形成する合成ステップと、前記合成画像に、画像が欠けている部分からなる空白部があるか否かを判定し、ある場合、前記空白部の位置を検出する空白判定検出ステップと、前記空白部の位置を示すと共に、前記空白部を読み取るべく前記ユーザに前記原稿をセットさせるための警告を出す警告ステップと、前記原稿がセットされたと、前記空白部に対して更に読み取りを行って空白部画像を形成し、前記空白部画像と前記合成画像とを合成して前記原稿画像を形成する修正ステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る読取装置及び読取方法によれば、原稿が読み取り可能な範囲から外れて領域画像に空白部が出ても、この空白部の存在を検出して、該空白部に対応する画像を補充することができるので、品質の高い原稿画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る読取装置の実施例1における構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1におけるオペレーションパネルの構成を示す説明図である。
【図3】実施例1における原稿のセット位置のずれを表示するための説明図である。
【図4】本発明に係る読取装置の実施例1における動作を示すフローチャート(その1)である。
【図5】本発明に係る読取装置の実施例1における動作を示すフローチャート(その2)である。
【図6】本発明に係る読取装置の実施例1における傾き角度を検出する動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る読取装置の実施例1における重なり部分の類似度の最大値を計算する動作を示す説明図である。
【図8】本発明に係る読取装置の実施例1における比較画像の回転角度を検出する動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る読取装置の実施例1における比較画像の回転角度を検出する動作を示す説明図である。
【図10】本発明に係る読取装置の実施例1における修正警告を出す動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る読取装置の実施例1における原稿画像を合成する動作を示す説明図である。
【図12】本発明に係る読取装置の実施例2における構成を示すブロック図である。
【図13】本発明に係る読取装置の実施例2におけるオペレーションパネルの構成を示す説明図である。
【図14】本発明に係る読取装置の実施例2における動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明に係る読取装置の実施例2における合成動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明に係る読取装置の実施例2における修正警告を出す動作を示すフローチャートである。
【図17】本発明に係る読取装置の実施例2における最新の合成画像を形成する動作を示すフローチャートである。
【図18】本発明に係る読取装置の実施例2における修正警告を出す動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図を用いる実施形態で、本発明に係る読取装置を本発明に係る読取方法と共に詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
〈実施例1の構成〉
図1は、本発明に係る読取装置の実施例1における構成を示すブロック図である。
本発明に係る読取装置の実施例1はスキャナー100であり、図1に示されているように、オペレーションパネル101、読取部102、合成部103、画像記憶部104、傾き検出部105、補正部116、傾き判定部106、警告部107、置換部108、出力部109及び制御部110を備えている。
【0015】
図2は、実施例1におけるオペレーションパネル101の構成を示す説明図である。
図2に示されているように、オペレーションパネル101は、読み取り及び合成の作業における各設定項目をユーザに入力させるための合成読取設定欄111及び合成読取操作欄112と、修正警告などを表示するための表示エリア114からなっている。
合成読取設定欄111では、読み取り可能な範囲の大きさを示す読取サイズ項目111A、最終に出力する原稿画像の大きさをユーザに選択させるための出力サイズ項目111B、形成された各画像のタイプ(カラー又はグレースケール)をユーザに選択させるためのカラーモード項目111C、原稿を読み取る時の解像度をユーザに選択させるための読取解像度項目111D、原稿のセット方向をユーザに選択させるためのセット方向項目111E、及び、原稿のセット位置のずれを検出機能をユーザに選択させるためのセットの位置ずれ検出項目113この六つの項目が設けられている。
【0016】
また、合成読取操作欄112は、ユーザに読取部102の読取動作を制御させるための項目である。この合成読取操作欄112には、読取開始ボタン112A、画像合成ボタン112B、キャンセルボタン112C及び修正ボタン112Dこの四つのボタンが設けられている。その中、修正ボタン112Dは、合成読取設定欄111のセットの位置ずれ検出項目113がユーザに選択された場合のみ有効になる。
【0017】
読取部102は、セットされている原稿を読み取って、画像を形成する機能を有する。原稿が読み取り可能な範囲より大きい場合、原稿の一部の領域しか読み取れないので、この原稿を構成する複数の領域をそれぞれに読み取って、複数の領域画像を順次に形成することになる。
更に、ユーザが原稿を複数の領域に分ける時、隣接する二つの領域の互いの境界のところには重なり部分があるように確保したら、形成された領域画像にも重なり部分がある。
【0018】
画像記憶部104は、揮発性のメモリRAMからなり、読取部102が形成した各領域画像を、形成される順に従って「画像1」、「画像2」のような番号をそれぞれ付けて一時的に記憶する機能を有する。つまり、一番目に形成された領域画像を「画像1」とし、次に毎回領域画像が形成された時、その直前に形成された領域画像の番号に1を増やした数値を番号として付ける。
【0019】
傾き検出部105は、画像記憶部104から、一枚の領域画像を読み出して、比較画像とし、番号がこの比較画像より一つ小さい領域画像を読み出して、基準画像とし、そして、基準画像に対し、基準画像及び比較画像の間の重なり部分に基づいて比較画像の傾き角度(即ち、傾き度合い)を検出する機能を有する。
補正部116は、傾き検出部105により検出された傾き角度に基づいて、比較画像を回転し、傾き角度を消すように補正する機能を有する。
傾き判定部106は、傾き検出部105が検出した比較画像の傾き角度が、予め設定している基準角度より大きいか否かを判定する機能を有する。傾き角度がこの基準角度より大きい場合、比較画像には必ず空白部が出る。
【0020】
警告部107は表示部107Aを含み、比較画像の傾き角度が基準角度より大きい場合、基準画像と比較画像のプレビュー合成画像を文字提示と共に、修正警告として表示部107Aに表示させる機能を有する。本実施例において、表示部107Aは、オペレーションパネル101の表示エリア114からなっている。
置換部108は、修正ボタン112Dがユーザによって押下されると、読取部102に、セット位置が修正された原稿をもう一度読み取られ、置換画像(即ち、比較画像に対応する新たな領域画像)を形成させ、この置換画像を最新の領域画像として比較画像と置き換え、画像記憶部104に記憶させる。
【0021】
図3は、実施例1における原稿のセット位置のずれを表示するための説明図である。
図3に示されているように、ユーザが最初に原稿をセットする時、つまり、最初の領域を読み取る時は、必ず原稿の位置を確認するので、一番目の領域画像を最初の基準画像として設定しても問題がない。しかし、次の領域を読み取る時、原稿がずれているので、二番目の領域画像が基準画像に対して傾きになる。従って、この二枚の領域画像から得た合成画像には空白部が出て、警告部107は、プレビュー合成画像及び「修正提示:原稿を左上に動いてください」の文字提示を、警告として表示エリア114に表示させる。
警告を見たユーザは、原稿のセット位置を修正してから、オペレーションパネル101における修正ボタン112Dを押下して、置換画像を形成させる。
本実施例において、警告はプレビュー合成画像と文字提示からなるビジュアル警告であるが、文字或いは画像だけの警告、または音声の警告であっても良い。
【0022】
合成部103は、傾き検出部105と補正部116とを含み、最新の領域画像を含む各領域画像の傾き角度をそれぞれ検出してから合成位置関係を補正し、そして、補正された各領域画像を一枚の原稿画像に合成する機能を有する。この合成機能は、ユーザが画像合成ボタン112Bを押下することによって起動される。
出力部109は、合成された原稿画像を出力する機能を有する。本実施例において、出力部109は、外部のPCと通信する機能を持つ通信部であり、原稿画像をPCに送信して記憶させる機能を有する。また、読取装置は複合機である場合、出力部109は、原稿画像をプリントすることによって出力する印刷部であっても良い。
【0023】
制御部110は、上記各部を制御する機能を有する。また、制御部110はメモリROM115を備え、このメモリROM115には、画像記憶部104への読み込み制御、領域画像の傾き角度の検出及び補正、プレビュー合成画像の形成及び原稿画像の合成などの処理を行うためのプログラムを格納している。本実施例において、制御部110は置換部108と共に、置換制御部となっている。
【0024】
〈実施例1の動作〉
次に、本発明に係るスキャナー100の動作を、フローチャートに沿って説明する。
図4、5は、実施例1における動作を示すフローチャートである。
ステップ1:原稿の一部の領域がスキャナー100にセットされ、オペレーションパネル101の合成読取設定欄111における各項目がユーザによって設定される。
本実施例において、図3に示されているように、読み取る可能な範囲のサイズはA3であり、出力する原稿画像のサイズもA3であり、形成された各画像のタイプはカラーであり、読取解像度は600dpiであり、原稿のセット方向は横置きである。また、セットの位置ずれ検出項目113は、ユーザによって選択されている。
【0025】
ステップ2:読取開始ボタン112Aがユーザによって押下されると、読取部102は、原稿の読み取り可能な領域を読み取って、一番目の領域画像を形成する。
ステップ3:制御部110は、ステップ2において形成された領域画像に番号「1」を付け、画像記憶部104に記憶させる。
ステップ4:原稿のセット位置がユーザによって移動され、読取開始ボタン112Aが再び押下されると、読取部102は、原稿の読み取り可能な領域を読み取って、新たな領域画像を形成する。
ステップ5:制御部110は、今回形成された領域画像に、直前に形成された領域画像の番号より1を増やした数値の番号を付けて、画像記憶部104に記憶させる。
【0026】
ステップ6:制御部110は、ステップ1において、セットの位置ずれ検出項目113が選択されているか否かを判定する。
ステップ7:選択されている場合、傾き検出部105は、画像記憶部104に記憶されている領域画像の中で、番号が一番大きい領域画像を読み出して、比較画像とし、そして、この比較画像の直前の領域画像を読み出して、基準画像とする。
【0027】
ステップ8:傾き検出部105は、基準画像に対し、比較画像の傾き角度を検出する動作を行う。この動作は、後で図6を用いて説明する。
ステップ9:傾き判定部106は、ステップ8にて検出された比較画像の傾き角度が、所定の基準角度より大きいか否かを判定する。本実施例では、基準角度が20°に設定されている。
ステップ10:傾き角度が基準角度より大きい場合、原稿の一部が必ず読み取り可能な範囲から外れているので、警告部107は、原稿のセット位置を調整して再読取ための警告を表示エリア114に表示させる。この動作は、後で図10を用いて説明する。
【0028】
ステップ11:修正警告が出された後、制御部110は、修正ボタン112Dが押下されたか否かを判定する。
ステップ12:修正ボタン112Dが押下された場合、制御部110は、ユーザによってセット位置が修正された原稿を、読取部102に再び読取らせて、置換画像を形成させる。
ステップ13:置換部108は、ステップ12にて形成された置換画像を比較画像と置き換え、画像記憶部104に記憶させ、そして、ステップ8に戻り、比較画像の傾き角度の検出動作を行う。
【0029】
ステップ14:また、ステップ6において、セットの位置ずれ検出項目113が選択されていない場合、或いは、ステップ9において、比較画像の傾き角度が基準角度より小さい場合、或いは、ステップ11において、修正ボタン112Dが押下されていない場合、制御部110は、読取開始ボタン112Aが押下されたか否かを判定する。読取開始ボタン112Aが押下された場合、ステップ4に戻り、読取部102は原稿を読み取って、次の領域画像を形成する。
ステップ15:読取開始ボタン112Aが押下されていない場合、制御部110は、画像合成ボタン112Bが押下されたか否かを判定する。押下されていない場合、制御部110は、ユーザの指令を待つ。
【0030】
ステップ16:画像合成ボタン112Bが押下されたと、合成部103は、画像記憶部104に記憶されている各領域画像を取得し、読み取り順番を確認する。
ステップ17:合成部103は、取得した領域画像において、互いに結合する領域画像の組合せを決める。
ステップ18:合成部103は、一回目の合成処理で結合する予定の二枚の領域画像の内、番号が小さいほうを基準画像とし、番号が大きいほうを比較画像とする。二回目以後の合成処理では、読み取る順番が隣接し、お互いに合成されていない二枚の画像の内、回転されない画像を基準画像とし、回転された画像を比較画像とする。
【0031】
ステップ19:各組合せに対し、合成部103は基準画像に対して比較画像の傾き角度を検出する。この動作は、ステップ8と同じであり、後で図6を用いて説明する。
ステップ20:各組合せに対し、合成部103は検出された傾き角度に基いて画像を補正する。一回目の合成処理は比較画像を回転させ、傾き角度を補正する。二回目以後の合成処理は、上記ステップ18で判断された基準画像から合成された部分領域画像を前記傾き角度に基いて回転させる。
ステップ21:各組合せに対し、合成部103は、補正された画像と直前の画像とを合成し、合成画像を形成する。
ステップ22:合成部103は、ステップ20において形成された合成画像の枚数が1であるか否かを判定する。1ではない場合、各合成画像を新たな領域画像として、ステップ16に戻り、もう一回の合成を行う。
【0032】
ステップ23:ステップ21において、合成画像の枚数が1である場合、合成部103は、この合成画像のサイズを調整して、原稿画像を得る。本実施例において、サイズを調整する時、一番目に形成された領域画像の左上の隅角を原稿画像の左上の隅角とし、この左上の隅角を基準として、原稿画像の左辺と上辺を決め、その後、ユーザによって予め設定されているサイズと合わせるように、原稿画像の右辺と下辺を決める。
ステップ24:原稿画像を得ると、出力部109は、この原稿画像を、スキャナー100と接続されているPCに送信して記憶させる。
【0033】
図11は、本発明に係る読取装置の実施例1における原稿画像を合成する動作を示す説明図である。
図11(1)に示されているように、原稿が四つの領域に分けて読み取られ、そして、形成された四枚の領域画像に、順次に「1」、「2」、「3」、「4」の番号が付けられている。
図11(2)に示されているように、一回目の合成において、まず領域画像1と領域画像2を組み合わせ、領域画像3と領域画像4を組み合わせ、そして、領域画像1と領域画像3を基準画像とし、領域画像2と領域画像4を比較画像とする。
一回目の合成が終わったら、図11(3)、(4)に示されているように、二枚の合成画像をそれぞれ得て、その二枚の合成画像を新たな領域画像として、二回目の合成を行う。
ここで、順番が隣接し、互いに合成していない二枚の画像に基き二回目の合成を行う。例えば図11の(2)で画像2と画像3が隣接し、合成していない。また一回目の合成で画像3を基準画像とし、回転処理を行われていない。そのため、二回目の合成では、画像3を基準画像、画像2を比較画像として、画像2が画像3と接続するための傾き角度を算出し、この傾き角度に基いて一回目で画像3と画像4の合成画像を回転させ、さらに画像1と画像2の合成画像と接続する。
二回目の合成が終わったら、図11(5)に示されているように、一枚の合成画像を得る。そして、図11(6)における太い枠が強調しているように、この合成画像のサイズを調整し、所定のサイズの原稿画像を得る。
【0034】
図6は、実施例1における傾き角度を検出する動作を示すフローチャートである。
ステップ601:基準画像と比較画像に対して、2値化の処理を行う。本実施例では、閾値により2値化する方法を採用している。まず、カラー画像からグレースケール画像に変更し、そして、このグレースケール画像における全ての画素の輝度値を、所定の閾値と比較し、輝度値が閾値より大きい画素の輝度値を255に設定し(即ち、白で表す)、輝度値が閾値より小さい画素の輝度値を0に設定する(即ち、黒で表す)。こうして、基準画像と比較画像の2値化画像をそれぞれ得る。
【0035】
ステップ602:ステップ601で得た2値化画像を用いて、基準画像と比較画像の互いの重なり部分の位置を仮定する。
ユーザが始めに原稿をセットする時、一般的には、図3(1)に示されているように、まず、原稿の隅角をスキャナー100の隅角と合わせてセットし、その後、原稿を左右に移動するによって最上部の一行の各領域をそれぞれセットして読み取らせて、そして、原稿を下に移動し、一行ずつ各領域をそれぞれセットして読み取らせる。従って、重なり部分の位置を仮定する時、基準画像に対して、右側、下側、左側、上側の優先順位で仮定し、また、比較画像に対して、左側、上側、右側、下側の優先順位で仮定する。つまり、まず基準画像の右側が比較画像の左側と重なっていると仮定する。
【0036】
ステップ603:ステップ602で仮定された基準画像と比較画像の互いの重なり部分での類似度の最大値を計算する。
図7は、基準画像の右側が比較画像の左側と重なっていると仮定された場合、類似度の最大値を計算する処理の説明図である。


(1)


(2)
図7に表示されている比較画像を一列ずつに左に移動して基準画像の右側の画素と重ねる。グレー色で表示された部分は、基準画像と比較画像の互いの重なり部分である。比較画像におけるこの重なり部分の四つの端点の画素は、座標値

、で表し、比較画像の一番左側の列の画素から一列ずつに移動し、毎回移動して形成した重なっている領域の類似度を計算する。基準画像と比較画像の互いの重なり部分の類似度を


(3)
ここで、比較画像と基準画像の重なり部分にある画素において、比較画像中の座標値が

比較画像と基準画像の互いの重なり部分が完全に一致する時の類似度が1になる。比較画像と基準画像の重なり部分の範囲を基準画像の半分に設定し、互いの重なっている領域が基準画像の半分になるまでの類似度を全部計算し、その中の最大値を求める。
【0037】
ステップ604:類似度の最大値を0.95と比較する。
ステップ605:類似度の最大値が0.95より大きい場合、仮定された重なり部分の位置が正しくて、且つ、比較画像が傾いていないと認定し、傾き角度を零とし、且つ、その重なり部分の四つの端点の座標値を記録する。例えば、図7において、グレー色の重なり部分の四つの端点

が記録される。
ステップ606:また、類似度の最大値が0.95より小さい場合、比較画像が基準画像とつなげるための回転角度を検出する。この動作は、後で図8を用いて説明する。
【0038】
ステップ607:ステップ606において、回転角度を検出できたか否かを判定する。
ステップ608:回転角度を検出できた場合、仮定された重なり部分の位置が正しいと認定し、この回転角度を比較画像の傾き角度とし、且つ、重なり部分の四つの端点の座標値を記録する。
ステップ609:回転角度を検出できなかった場合、比較画像を回転しても基準画像と一致する箇所がなくて、仮定された重なり部分の位置が間違っていると認定し、そして、優先順位に基づいて、重なり部分の可能な位置が全部仮定されたか否かを判定する。
ステップ610:優先順位に基づいて、仮定されていない位置がまだあれば、互いの重なり部分の位置を再び仮定し、ステップ603に戻る。例えば、ステップ602で仮定されたように基準画像の右側と比較画像の左側が合わせない場合、優先順位に基づいて、今度は基準画像の下側が比較画像の上側と重なっていると仮定する。
【0039】
ステップ611:また、ステップ609において、重なり部分の可能な位置が全部仮定されても、互いに合わせる部分がない場合、比較画像が基準画像との間に重なり部分がないと認定し、原稿が読み可能な範囲から外れた、或いは読み取る順次が間違っていると判定し、エラー信号を出す。
ステップ612:ステップ605、或いはステップ608において、求めた傾き角度及び重なり部分の位置をまとめて取得する。
【0040】
図8は、実施例1における比較画像の回転角度を検出する動作を示すフローチャートである。
ステップ801:ステップ612で取得した重なり部分の位置に基づいて、基準画像からテンプレートを作成し、比較画像から探索画像を作成する。
図9は、実施例1における比較画像の回転角度を検出する動作を示す説明図である。
図9に示されているように、基準画像の右側と比較画像の左側の部分が互いの重なり部分であるので、基準画像の一番右側の画素から真ん中に幅20pixels、高さH/3pixelsの領域をテンプレートとする。ここでHは基準画像の高さである。また、比較画像の一番左側の画素から幅100pixels、高さHpixelsの領域を探索画像とする。
【0041】
ステップ802:テンプレートを所定の角度で少しずつ回転し、回転画像を形成する。本実施例において、回転の角度を1°に設定する。
テンプレート中にある画素の座標値が

で表し、回転後のこの画素の座標値が

で表す。式(4)と式(5)によって変換できる。

(4)

(5)
ここで、

はテンプレートを回転するための基準点の座標値であり、本実施例において、回転画像の中心点を基準点に設定する。

は回転角度である。
回転されたテンプレートの四つの端点を含める一番小さい矩形領域をテンプレートの回転画像として

で表し、式(6)によって定義する。

(6)
ここで、

は矩形領域に属する画素の座標の集合を表し、

はテンプレートに属する画素の座標の集合を表す。
【0042】
ステップ803:ステップ802で作成したテンプレートの回転画像を、ステップ801で作成した比較画像の探索画像とテンプレートマッチングし、最大類似度を求める。テンプレートマッチングとは、テンプレートを探索画像と照らし合わせて該当する箇所を探す方法である。探索画像において、テンプレートと一致する箇所で求めた類似度が一番大きいと考え、式(7)によって計算された類似度から最大値を求める。テンプレートの回転画像の四つの端点を時計周りの順に従って

で表す。

(7)
ここで、

は式(8)で定義する。

(8)
【0043】
ステップ804:計算された類似度の最大値を0.95と比較する。
ステップ805:類似度の最大が0.95より大きい場合、回転された角度の数値を回転角度の数値とし、テンプレートの回転方向の逆方向を回転角度の方向とし、且つ、テンプレート領域の四つの端点の座標値を重なり部分の範囲として記録する。
ステップ806:類似度の最大が0.95より小さい場合、回転された角度の数値を35と比較する。一般的には、セットされた原稿の傾き角度が35°より小さいと考え、ここで回転角度の限界値を35°に設定する。
【0044】
ステップ807:回転された角度の数値が35より小さい場合、回転の角度に1°を増やして、テンプレートを再び回転し、回転画像を再び形成し、ステップ803に戻る。
ステップ808:回転された角度の数値が35より大きい場合、テンプレートが探索画像と一致する箇所がないと判断し、回転角度を検出できないと認定する。
【0045】
図10は、実施例1における修正警告を出す動作を示すフローチャートである。
ステップ1001:上記ステップ8で検出られた比較画像の傾き角度及び重なり部分の位置を取得する。
ステップ1002:上記傾き角度に基づいて、比較画像を回転し、回転画像を形成し、この回転画像を

で表す。
【0046】
ステップ1003:上記重なり部分の座標値に基づいて、回転画像と基準画像を結合して、プレビュー合成画像を形成する。例えば、基準画像の右側と比較画像の左側の部分が互いの重なり部分である時、基準画像の右側の画素から真ん中に幅20pixels、高さH/3pixelsの領域をテンプレートとし、また、回転画像の一番左側の画素から幅100pixels、高さHpixelsの領域を探索画像とし、その後、テンプレートマッチングを行い、類似度を計算し、類似度が一番大きい箇所が探索画像中テンプレートと一致する箇所とする。探索画像におけるこの一致する箇所の座標値(即ち、四つの端点の座標値)を求める。図9に示されているように、テンプレートと一致する箇所の座標値から、結合すべく画像のサイズ及び二枚の画像の結合位置が分かる。基準画像を

で表し、プレビュー合成画像を

で表し、以下の式で定義する。

(9)
ここで、

は基準画像中の画素の集合を表し、

は比較画像中の画素の集合を表す。図9に示されているように、合成された画像のサイズは

で表し、式10によって計算できる。

(10)
【0047】
ステップ1004:プレビュー合成画像を所定のサイズに縮小する。所定のサイズは、表示エリア114に表示されるサイズで、ここは

で表す。まず、所定のサイズに縮小するための縮小率を求め、そして、この縮小率に基づいて適切な画像縮小法を用いて合成画像を縮小する。本実施例において、画像縮小法としてダウン・サンプリング法を採用する。ダウン・サンプリング法は、元画像に対して縱に1/L、横に1/Mするように縮小する場合、元画像のLxMの各領域から1画素を単純に選び出し、画像を再構成する単純な方法である。ここの縮小率は

となり、縮小した画像は

で表す。
【0048】
ステップ1005:ステップ1004で形成されたプレビュー合成画像を、文字提示と共に、警告として表示エリア114に表示する。ここの文字提示は、ステップ8で取得された原稿のセット位置のずれ情報を示し、例えば、図3に示されている「修正提示:原稿を左上に動いてください」のようなメッセージである。
【0049】
〈実施例1の効果〉
本発明に係る実施例1では、原稿の各領域の領域画像を形成するたびに、形成された領域画像の傾き角度の大きさを検出し、大きすぎる傾き角度を検出した場合、ユーザに原稿のセット位置を修正させるための提示を出し、そして、ユーザが原稿のセット位置を修正した後、対応の領域をもう一度読み取って置換画像を形成し、最後に、置換画像を修正前の領域画像と置き換えてから原稿画像に合成する。
従って、本発明に係る実施例1によれば、原稿が移動中に読み取り可能な範囲から外れた場合、原稿の外れを適宜に検出して提示を表示し、ユーザに原稿のセット位置を修正する機会を与えることができる。その結果、領域画像及び原稿画像における空白部の発生を避けることができ、品質の高い原稿画像を得ることができる。
【実施例2】
【0050】
次に、実施例2について説明する。
尚、実施例1におけると同様な構成について、同一の符号を与え、そして、同様な説明を省略する。
〈実施例2の構成〉
図12は、本発明に係る読取装置の実施例2における構成を示すブロック図である。
本発明に係る読取装置の実施例2はスキャナー200であり、図12に示されているように、オペレーションパネル201、読取部102、合成部203、画像記憶部104、空白判定検出部205、修正部206、警告部207、出力部209及び制御部210を備えている。
【0051】
図13は、実施例2におけるオペレーションパネル201の構成を示す説明図である。
図13に示されているように、オペレーションパネル201は、読み取り及び合成の作業における各設定項目をユーザに入力させるための合成読取設定欄211及び合成読取操作欄212と、プレビュー合成画像を表示するための表示エリア214からなっている。
合成読取設定欄211では、読み取り可能な範囲の大きさを示す読取サイズ項目211A、最終に出力する原稿画像の大きさをユーザに選択させるための出力サイズ項目211B、形成された各画像のタイプ(カラー又はグレースケール)をユーザに選択させるためのカラーモード項目211C、原稿を読み取る時の解像度をユーザに選択させるための読取解像度項目211D及び原稿のセット方向をユーザに選択させるためのセット方向項目121Eこの五つの項目が設けられている。
【0052】
また、合成読取操作欄212は、ユーザに読取部202の読取動作を制御させるための項目である。この合成読取操作欄212には、読取開始ボタン212A、画像合成ボタン212B、キャンセルボタン212C、修正ボタン212D及び出力ボタン212Eとしてこの五つのボタンが設けられている。
【0053】
合成部203は、補正部116と傾き検出部105とを含み、読取部102によって形成された全ての領域画像を一枚の合成画像に合成する機能を有する。この合成機能は、ユーザが画像合成ボタン212Bを押下することによって起動される。
空白判定検出部205は、合成部203によって形成された合成画像に、画像が欠けている部分からなる空白部があるか否かを判定し、空白部がある場合、この空白部の位置を検出するを機能を有する。
警告部207は、検出された空白部の位置を示すプレビュー合成画像を、原稿の位置を修正するための文字提示と共に、警告として表示エリア214に表示させる機能を有する。
修正部206は、修正ボタン212Dがユーザによって押下されると、読取部102に、セット位置が修正された原稿をもう一度読み取られて空白部画像を形成させ、そして、形成された空白部画像と合成画像とを合成して最新の合成画像を形成し、この最新の合成画像を前の合成画像と置き換え、空白判定検出部205に再び空白部の有無を検出させる機能を有する。
【0054】
出力部209は、出力ボタン212Eがユーザによって押下されると、最新の合成画像を原稿画像として出力する機能を有する。
制御部210は、上記各部を制御する機能を有する。また、制御部210はメモリROM215を備え、このメモリROM215には、画像記憶部104への読み込み制御、合成画像の合成、空白部の検出、プレビュー合成画像の形成及び最新の合成画像の形成などの処理を行うためのプログラムを格納している。
【0055】
〈実施例2の動作〉
次に、本発明に係るスキャナー200の動作を、フローチャートに沿って説明する。
図14は、実施例2における動作を示すフローチャートである。
ステップ1401:原稿の一部の領域がスキャナー200にセットされ、オペレーションパネル201の合成読取設定欄211における各項目がユーザによって設定される。
本実施例において、図13に示されているように、読み取る可能な範囲のサイズはA3であり、出力する原稿画像のサイズもA3であり、形成された各画像のタイプはカラーであり、読取解像度は600dpiであり、原稿のセット方向は横置きである。
【0056】
ステップ1402:読取部102は、読取開始ボタン212Aが押下されたことによって、原稿の各領域を順次に読取り、複数の領域画像を順次に形成し、画像記憶部104に記憶させる。領域画像を記憶する際、実施例1と同じ、形成された順番によって各領域画像に番号を付ける。即ち、今回形成された領域画像に、直前に形成された領域画像の番号より1を増やした数値の番号を付ける。
ステップ1403:制御部210は、画像合成ボタン212Bが押下されたか否かを判定する。押下されていない場合、制御部210は、ユーザの指令を待つ。
ステップ1404:画像合成ボタン212Bが押下されると、合成部203は、画像記憶部104に記憶されている全ての領域画像を取得し、一枚の合成画像に合成する。この合成動作は、後で図15を用いて具体的に説明する。
【0057】
ステップ1405:空白判定検出部205は、合成画像における空白部の存在と位置を検出し、そして、警告部207は、空白部の位置を強調するためのプレビュー合成画像を形成し、このプレビュー合成画像を含む修正警告を表示エリア214に表示させる。この修正警告を出す動作は、後で図16と図18を用いて具体的に説明する。
ステップ1406:修正警告が出された後、制御部210は、修正ボタン212Dが押下されたか否かを判定する。
ステップ1407:修正ボタン212Dが押下された場合、制御部210は、ユーザによってセット位置が修正された原稿を、読取部102に再び読取らせて、空白部画像を形成させる。
【0058】
ステップ1408:修正部206は、合成部203に、形成された空白部画像と合成画像とを最新の合成画像に合成させるこの最新の合成画像の合成動作は、後で図17を用いて具体的に説明する。
ステップ1409:修正部206は、形成された最新の合成画像を前の合成画像と置き換え、画像記憶部104に記憶させ、そして、ステップ5に戻り、空白判定検出部205に、置き換えられた合成画像における空白部の位置を再び検出させる。
【0059】
ステップ1410:また、ステップ6において、修正ボタン212Dが押下されていない場合、制御部210は、出力ボタン212Eが押下されたか否かを判定する。押下されていない場合、制御部210は、ユーザの指令を待つ。
ステップ1411:出力ボタン212Eがユーザによって押下されると、出力部209は、合成画像を原稿画像として出力する。
【0060】
図15は、実施例2における合成動作を示すフローチャートである。
ステップ1501〜ステップ1504は、実施例1の図5のステップ16〜ステップ19と同じなので、ここでの説明を省略する。
【0061】
ステップ1505:ステップ1504において求めた傾き角度に基づいて、この傾き角度を補正するように比較画像を回転し、回転によって補正された回転画像のラベル画像を作成する。
比較画像を

で表し、その中にある画素の座標値を

で表し、回転後のこの画素の座標値を

で表す。回転するための基準点が比較画像の中心点とし、

で表す。以下の式にその変換関係を表す。

(11)

(12)
補正された比較画像を含む一番小さい矩形を

で表す。この矩形領域のラベル画像を

で表す。

(13)

は、矩形領域に属する画素の集合を表し、

は、比較画像に属する画素の集合を表す。
【0062】
ステップ1506:ステップ1504において求めた重なり領域の座標値に基づいて、回転によって補正された比較画像と基準画像とを合成画像に合成する。
ステップ1507:ステップ1506において得た合成画像のラベル画像を作成する。
この合成画像のラベル画像を

で表し、式(14)で求める。ここで、

は基準画像のラベル画像を表す。

(14)
即ち、比較画像及び基準画像における空白画素のラベルに0を付け、且つ、合成画像のラベル画像において、比較画像及び基準画像における空白画素が重なった場合、この画素のラベルに0を与え、そうではない場合に1を与える。このように設定したら、合成画像のラベル画像から合成画像中の空白画素の存在と位置がわかる。
【0063】
ステップ1508:合成部203は、ステップ1507において形成された合成画像の枚数が1であるか否かを判定する。1ではない場合、各合成画像を新たな領域画像として、ステップ1502に戻り、もう一回の合成を行う。
ステップ1509:合成画像の枚数が1である場合、合成部203は、この合成画像のサイズを調整し、且つ、サイズの調整によってカットされた合成画像の画素のラベルデータを合成画像のラベル画像から削除する。本実施例において、サイズを調整する時、一番目に形成された領域画像の左上の隅角を原稿画像の左上の隅角とし、この左上の隅角を基準として、原稿画像の左辺と上辺を決め、その後、ユーザによって予め設定されているサイズと合わせるように、原稿画像の右辺と下辺を決める。
【0064】
図16は、実施例2における修正警告を出す動作を示すフローチャートである。
図18は、実施例2における修正警告を出す動作を示す説明図である。
ステップ1601:ステップ1404で作成された合成画像のラベル画像から、ラベルが0である画素(即ち、空白画素)の位置を検出する。
ステップ1602:検出された空白画素の位置に基づいて、合成画像における空白画素を赤色のRGB値を与えて強調する。図18(1)に示されているように、空白部は右上角にある。
ステップ1603:空白画素が強調された合成画像を縮小し、プレビュー合成画像を形成する。縮小処理の方法は、図10のステップ1004と同じである。
ステップ1604:図18(2)に示されているように、形成されたプレイビュー画像を、「修正提示:赤い領域をセットし、修正ボタンを押下してください」の文字提示と共に、修正警告として表示エリア214に表示させる。
【0065】
図17は、実施例2における最新の合成画像を形成する動作を示すフローチャートである。
ステップ1701:ユーザが修正警告の文字提示に基づいて、空白部を含む原稿の領域をスキャナー200にセットし、修正ボタン212Dを押下すると、修正部206は、読取部102に、セットされた原稿を再び読み取られて空白部画像を形成させ、画像記憶部104に記憶させる。
ステップ1702:修正部206は、合成画像からテンプレートを作成し、空白部画像から探索画像を作成する。具体的には、修正部206は、合成画像のラベル画像に基づいて空白部の位置を確認し、その空白部の位置が合成画像の中心或いは中にある場合、空白部の画素を中心として、空白部画像のサイズの1.5倍の範囲内の領域を探索画像とし、空白部画像をテンプレートとする。また、空白部が合成画像の隅角にある場合、空白部を含んで適当なサイズの領域をテンプレートとし、空白部画像を探索画像とする。
ステップ1703:ステップ1702にて決めたテンプレートと探索画像を用いて、テンプレートマッチングを行い、テンプレートを照らし合わせて探索画像との類似度を計算し、その類似度が最大になる箇所を見つける。類似度を求める式は式(7)と同じである。類似度が最大になる時、空白部に対応する部分の画素を探索画像から分離して合成画像に結合し、最新の合成画像に合成する。
【0066】
〈実施例2の効果〉
本発明に係る実施例2では、全ての領域画像が形成されて、一枚の合成画像が合成された後、空白部の有無の検出を行い、そして、空白部が検出された場合、ユーザに原稿のセット位置を修正させて、空白部を含む領域を再び読み取って空白部画像を形成し、最後に、空白部画像を合成画像と共に原稿画像に合成する。
従って、本発明に係る実施例2によれば、合成画像が形成された後、空白部の有無をまとめて検出することができ、空白部が存在する場合、この空白部を埋めるための機会をユーザに与えることができる。その結果、原稿の複数の領域を順次に読み取る時に、ユーザに手間を掛けず、作業の効率を上げることができる。
【符号の説明】
【0067】
100 200 スキャナー
101 201 オペレーションパネル
102 読取部
103 203 合成部
104 画像記憶部
105 傾き検出部
106 傾き判定部
107 207 警告部
107A 207A 表示部
108 置換部
109 209 出力部
110 210 制御部
111 211 合成読取設定欄
111A 211A 読取サイズ項目
111B 211B 出力サイズ項目
111C 211C カラーモード項目
111D 211D 読取解像度項目
111E 211E セット方向項目
112 212 合成読取操作欄
112A 212A 読取開始ボタン
112B 212B 画像合成ボタン
112C 212C キャンセルボタン
112D 212D 修正ボタン
113 セットの位置ずれ検出項目
114 214 表示エリア
115 215 メモリROM
116 補正部
205 空白判定検出部
206 修正部
212E 出力ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取り可能な範囲より大きい原稿の画像を複数の領域に分けて、各前記領域をそれぞれ読み取って複数の領域画像を形成して一枚の原稿画像に合成する読取装置であって、
各前記領域に対して読み取りを行い、複数の前記領域画像を順次に形成する読取部と、
二番目以降に形成された各前記領域画像の、当該領域画像の直前に形成された前記領域画像に対する傾き度合いを、空白確率としてそれぞれ検出する傾き検出部と、
各前記領域画像に対して、対応の前記傾き度合いが所定の基準度合いより大きいか否かを判定する傾き判定部と、
前記傾き度合いが前記基準度合いより大きく、前記原稿画像に空白部が出てしまうと判定された場合、前記原稿のセット位置をユーザに修正させるための警告を出す警告部と、
前記セット位置が前記ユーザによって修正されると、前記読取部に、該当の前記領域画像に対応する領域に対して再び読み取りを行わせ、最新の領域画像を形成させて前記領域画像と置き換える置換制御部と、
最新の前記領域画像を含む各前記領域画像を合成して、一枚の原稿画像を形成する合成部とを備えることを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記合成部は、前記傾き検出部と補正部とを含み、
前記領域画像の前記傾き度合いが前記基準度合いより小さいと判定された場合、前記補正部は、前記傾き度合いに基づいて、前記領域画像を回転してその合成位置を補正することを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記傾き検出部は、最新の前記領域画像の前記傾き度合いを更に検出し、
前記傾き判定部は、最新の前記領域画像の前記傾き度合いが、前記基準度合いより大きいか否かを更に判定することを特徴とする請求項1或いは2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記傾き検出部は、隣り合う二つの前記領域画像の重なり部分に基づいて、前記領域画像の前記傾き度合いを検出することを特徴とする請求項1−3の何れかに記載の読取装置。
【請求項5】
前記警告部は表示部を有し、
前記表示部は、警告された前記領域画像と、当該領域画像の直前に形成された前記領域画像とのプレビュー合成画像を表示すると共に、ユーザに原稿のセット位置を修正させるための文字提示を表示することを特徴とする請求項1―4の何れか一項に記載の読取装置。
【請求項6】
読み取り可能な範囲より大きい原稿の画像を複数の領域に分けて、各前記領域をそれぞれ読み取って複数の領域画像を形成して一枚の原稿画像に合成する読取装置であって、
各前記領域に対して読み取りを行い、複数の前記領域画像を順次に形成する読取部と、
各前記領域画像を合成して、一枚の合成画像を形成する合成部と、
前記合成画像に、画像が欠けている部分からなる空白部があるか否かを判定し、ある場合、前記空白部の位置を検出する空白判定検出部と、
前記空白部の位置を示すと共に、前記空白部を読み取るべく前記ユーザに前記原稿を前記読取部上にセットさせるための警告を出す警告部と、
前記原稿がセットされたと、前記読取部に、前記空白部に対して更に読み取りを行わせて空白部画像を形成させ、前記合成部に、前記空白部画像と前記合成画像とを合成して前記原稿画像を形成させる修正部とを備えることを特徴とする読取装置。
【請求項7】
前記合成画像に前記空白部がない場合、前記修正部は、前記合成画像を前記原稿画像とすることを特徴とする請求項6に記載の読取装置。
【請求項8】
前記合成部は、傾き検出部と補正部とを含み、
前記傾き検出部は、二番目以降に形成された各前記領域画像の、当該領域画像の直前に形成された前記領域画像に対する傾き度合いを、それぞれ検出し、
前記補正部は、前記傾き度合いに基づいて、前記領域画像を回転してその合成位置を補正することを特徴とする請求項6或いは7に記載の読取装置。
【請求項9】
前記傾き検出部は、隣り合う二つの前記領域画像の重なり部分に基づいて、前記領域画像の前記傾き度合いを検出することを特徴とする請求項8に記載の読取装置。
【請求項10】
前記警告部は表示部を有し、
前記表示部は、前記合成画像のプレビュー合成画像を表示すると共に、前記空白部を読み取るべく前記ユーザに前記原稿をセットさせるための文字提示を表示することを特徴とする請求項6−9の何れか一項に記載の読取装置。
【請求項11】
読み取り可能な範囲より大きい原稿の画像を複数の領域に分けて、各前記領域をそれぞれ読み取って複数の領域画像を形成して一枚の原稿画像に合成する読取方法であって、
各前記領域に対して読み取りを行い、複数の前記領域画像を順次に形成する読取ステップと、
二番目以降に形成された各前記領域画像の、当該領域画像の直前に形成された前記領域画像に対する傾き度合いを、空白確率としてそれぞれ検出する傾き検出ステップと、
各前記領域画像に対して、対応の前記傾き度合いが所定の基準度合いより大きいか否かを判定する傾き判定ステップと、
前記傾き度合いが前記基準度合いより大きく、前記原稿画像に空白部が出てしまうと判定された場合、前記原稿のセット位置をユーザに修正させるための警告を出す警告ステップと、
前記セット位置が前記ユーザによって修正されると、該当の前記領域画像に対応する領域に対して再び読み取りを行い、最新の領域画像を形成して前記領域画像と置き換える置換制御ステップと、
最新の前記領域画像を含む各前記領域画像を合成して、一枚の原稿画像を形成する合成ステップとを備えることを特徴とする読取方法。
【請求項12】
前記領域画像の前記傾き度合いが前記基準度合いより小さいと判定された場合、前記傾き度合いに基づいて、前記領域画像を回転してその合成位置を補正する補正ステップを更に備えることを特徴とする請求項11に記載の読取方法。
【請求項13】
最新の前記領域画像に対して、前記傾き検出ステップと前記傾き判定ステップとを再び行うことを特徴とする請求項11或いは12に記載の読取方法。
【請求項14】
隣り合う二つの前記領域画像の重なり部分に基づいて、前記領域画像の前記傾き度合いを検出することを特徴とする請求項11−13の何れかに記載の読取方法。
【請求項15】
前記警告ステップにおいて、
警告された前記領域画像と、当該領域画像の直前に形成された前記領域画像とのプレビュー合成画像を表示すると共に、ユーザに原稿のセット位置を修正させるための文字提示を表示することを特徴とする請求項11―14の何れか一項に記載の読取方法。
【請求項16】
読み取り可能な範囲より大きい原稿の画像を複数の領域に分けて、各前記領域をそれぞれ読み取って複数の領域画像を形成して一枚の原稿画像に合成する読取方法であって、
各前記領域に対して読み取りを行い、複数の前記領域画像を順次に形成する読取ステップと、
各前記領域画像を合成して、一枚の合成画像を形成する合成ステップと、
前記合成画像に、画像が欠けている部分からなる空白部があるか否かを判定し、ある場合、前記空白部の位置を検出する空白判定検出ステップと、
前記空白部の位置を示すと共に、前記空白部を読み取るべく前記ユーザに前記原稿をセットさせるための警告を出す警告ステップと、
前記原稿がセットされたと、前記空白部に対して更に読み取りを行って空白部画像を形成し、前記空白部画像と前記合成画像とを合成して前記原稿画像を形成する修正ステップとを備えることを特徴とする読取方法。
【請求項17】
前記合成画像に前記空白部がない場合、前記合成画像を前記原稿画像とすることを特徴とする請求項16に記載の読取方法。
【請求項18】
前記合成ステップにおいて、
二番目以降に形成された各前記領域画像の、当該領域画像の直前に形成された前記領域画像に対する傾き度合いを、それぞれ検出し、
前記傾き度合いに基づいて、前記領域画像を回転してその合成位置を補正することを特徴とする請求項16或いは17に記載の読取方法。
【請求項19】
隣り合う二つの前記領域画像の重なり部分に基づいて、前記領域画像の前記傾き度合いを検出することを特徴とする請求項18に記載の読取方法。
【請求項20】
前記警告ステップにおいて、
前記合成画像のプレビュー合成画像を表示すると共に、前記空白部を読み取るべく前記ユーザに前記原稿をセットさせるための文字提示を表示することを特徴とする請求項16−19の何れか一項に記載の読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−160957(P2012−160957A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20018(P2011−20018)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】