説明

調理セット

【課題】薄皮食品の折りたたみ作業の容易化を図ることが可能な折りたたみ台及び調理セットを提供する。
【解決手段】折りたたみ台10は、薄皮食品を折りたたむための台であって、固定板12と、可動板13〜15と、突出片17とを備えている。固定板12は、薄皮食品が載置される第1平面12aを有している。可動板13〜15は、固定板12の第1平面12aと同一平面状に配置されて薄皮食品が載置される第2平面13a〜15aを有し、固定板12にヒンジ16を介して接続されている。突出片17は、ヒンジ16を支点として、第2平面13a〜15aが第1平面12aに面接触する方向へ可動板13〜15を回動させる操作を行うためのものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折りたたみ台及び調理セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パンなどの焼き菓子を作成するための焼型が知られている。また、焼型には、底壁と、底壁の全周縁から立ち上がる側壁とを有し、側壁の一方側を側壁の他方側に比べて外側に傾斜させたものが提案されている。この焼型によれば、側壁の一方側が側壁の他方側に比べて外側に傾斜しているため、一方側から焼き菓子が取り外し易くなり、焼き菓子の回収作業の容易化を図ることができる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−65141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の焼型などを用いたとしても、調理を得意としない者(特に女児を中心とした子供)にとっては、調理自体は容易なものとならない。特に、クレープ生地、オムライスの玉子の部分、餃子の皮、及び、生春巻きの皮などを含む薄皮食品に関しては、薄皮食品を綺麗に折りたたむことができなければ、完成品の見栄えが低下してしまうが、この綺麗に折りたたむ作業が、調理を得意としない者にとっては、困難な場合がある。
【0004】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、薄皮食品の折りたたみ作業の容易化を図ることが可能な折りたたみ台及び調理セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る折りたたみ台は、薄皮食品を折りたたむ折りたたみ台であって、薄皮食品が載置される第1平面を有した固定板と、固定板の第1平面と同一平面状に配置されて薄皮食品が載置される第2平面を有し、固定板上に折りたたむ方向へ回動可能な可動板と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、固定板を固定する台座をさらに備え、可動板は、台座及び固定板の少なくとも一方にヒンジを介して接続されることが好ましい。
【0007】
また、ヒンジを支点として、第2平面が第1平面に面接触する方向へ可動板を回動させる操作を行う操作部をさらに備えることが好ましい。
【0008】
さらに、可動板を複数備え、操作部は、複数の可動板それぞれに取り付けられて、各可動板を回動させる人力を加えるための突出片であって、突出片の表面には、複数の可動板を回動させる順序を示す順序記号が付されていることが好ましい。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る調理セットは、上記記載の折りたたみ台と、折りたたみ台の台座のうち固定板及び可動板の設置側と逆側において、第1平面及び第2平面と平行に、台座ごと固定板及び可動板を回転させる回転台と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、薄皮食品のもととなる液状の薄皮種が流し込まれる凹部を有し、凹部に流し込まれた薄皮種と共に加熱されることで薄皮食品を作成するための型部品を備え、型部品は、凹部底面に模様となる凹又は凸の少なくとも一方が形成されていることが好ましい。
【0011】
また、薄皮種を凹部内において略均一厚さとするためのトンボをさらに備え、凹部の底面形状は円形となっており、トンボは、棒状の棒状部材と、棒状部材の先端側において棒状部材の軸に対し略垂直に伸びる長尺の生地厚形成部とからなり、生地厚形成部は、棒状部材を棒の軸周りに回転させることにより、薄皮種が流し込まれた凹部内において回転して、薄皮種を略均一厚さとすることが好ましい。
【0012】
また、棒状部材と型部品とは、棒状部材を棒の軸周りに回転させるにあたり、棒状部材の先端が円形の凹部の中心位置に位置させる位置合わせ機構を有することが好ましい。
【0013】
また、生地厚形成部のうち棒状部材の先端側には、切り欠きが形成されていることが好ましい。
【0014】
また、型部品と共に加熱されて作成された薄皮食品を型部品の凹部から取り外すヘラ部品をさらに備え、ヘラ部品は、基部側において互いに接続された長尺板状の第1のヘラ及び第2のヘラを有し、第1のヘラと第2のヘラとを近づける方向に力を加えることによって、第1のヘラと第2のヘラとで薄皮食品を挟むことが可能であり、第1のヘラは、第2のヘラよりも長尺であって、先端側が第2のヘラよりも薄板状となっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る折りたたみ台によれば、薄皮食品が載置される固定板及び可動板を備え、可動板は固定板上に折りたたむ方向へ回動可能となっている。このため、調理者は、薄皮食品を固定板及び可動板に乗せた上で、可動板を固定板上に折りたたむ方向に回動させることで薄皮食品の折りたたみができ、薄皮食品の折りたたみ作業の容易化を図ることができる。
【0016】
また、固定板を固定する台座をさらに備え、可動板は、台座及び固定板の少なくとも一方にヒンジを介して接続される。このため、固定板、可動板及び台座は一体的となって、それぞれの配置関係が一定に保持されることとなり、折りたたみにあたり配置関係が変わって適切に折りたためなくなってしまう事態を防止することができる。
【0017】
また、ヒンジを支点として、第2平面が第1平面に面接触する方向へ可動板を回動させる操作を行う操作部をさらに備える。このため、調理者は操作部を操作することで可動板を回動できることとなり、可動板に直接触れる必要が無くなっている。これにより、薄皮食品が熱い状態において調理者は可動板に触れることなく、折りたたみを行うことができる。
【0018】
また、操作部は、複数の可動板それぞれに取り付けられて、各可動板を回動させる人力を加えるための突出片であって、突出片の表面には、複数の可動板を回動させる順序を示す順序記号が付されている。このため、どの順序で可動板を回動させて薄皮食品を折りたためば良いかが容易に判断でき、女児などの子供にとっても順序に間違いなく薄皮食品を折りたたむことができる。
【0019】
本発明に係る調理セットによれば、台座のうち固定板及び可動板の設置側と逆側において、第1平面及び第2平面と平行に、台座ごと固定板及び可動板を回転させる回転台をさらに備える。このため、クレープの生地に円周上に生クリームを乗せる場合など、薄皮食品上に円周上に食材を乗せる場合には、回転台によって折りたたみ台を回転させつつ食材を乗せることができ、利便性を向上させることができる。
【0020】
また、型部品は、凹部底面に模様となる凹又は凸の少なくとも一方が形成されているため、薄皮食品の一方の面に絵柄が形成されることとなり、完成品の見栄え向上に寄与することができる。
【0021】
また、生地厚形成部は、棒状部材を棒の軸周りに回転させることにより、薄皮種が流し込まれた凹部内において回転して、薄皮種を略均一厚さとする。このため、凹部に流し込まれた薄皮種の粘性が比較的高い場合などであっても、薄皮種を略均一厚さとして、略均一厚さの薄皮食品を作成することができる。
【0022】
また、棒状部材と型部品とは、棒状部材を棒の軸周りに回転させるにあたり、棒状部材の先端が円形の凹部の中心位置に位置させる位置合わせ機構を有する。このため、棒状部材が凹部の中心に位置せず、棒状部材を棒の軸周りに回転させる際に、生地厚形成部がうまく回転しなくなってしまう事態を抑制することができる。
【0023】
また、生地厚形成部のうち棒状部材の先端側には、切り欠きが形成されているため、棒状部材を棒の軸周りに回転させると、薄皮種の一部は切り欠きから通過すると共に、薄皮種の残部は生地厚形成部によって掻き取られるようになる。これにより、切り欠きがなく、薄皮種の殆どが生地厚形成部によって掻き取られ、薄皮種を略均一厚さとする際に支障となってしまう事態を防止することができる。
【0024】
また、第1のヘラは、第2のヘラよりも長尺であるため、第1のヘラにより薄皮食品を下から支えつつ、第2のヘラにより挟むことができ、薄皮食品を折りたたみ台に乗せる作業について利便性を高めることができる。特に、第1のヘラは、先端側が第2のヘラよりも薄板状となっているため、第1のヘラを薄皮食品の下側に差し込みやすくなっており、一層利便性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る折りたたみ台を含む調理セットの外観斜視図である。図1に示す調理セット1は、
薄皮食品に関する調理者の調理を容易化するものであって、特に手先が大人よりも比較的器用でない女児を中心とした子供向けのものである。なお、以下の説明では、クレープの生地を薄皮食品の一例として挙げるが、薄皮食品はクレープの生地に限らず、オムライスの玉子の部分、餃子の皮、及び、生春巻きの皮などであってもよい。すなわち、薄皮食品とは、広げた状態において食されることなく、折りたたんだ状態において食されるものをいう。
【0026】
図1に示すように、調理セット1は、折りたたみ台10と、回転台20と、クレープパン(型部品)30と、トンボ40と、ヘラ部品50とを備えている。折りたたみ台10は、クレープの生地である薄皮食品を折りたたむものであって、台座11と、固定板12と、複数の可動板13〜15と、複数のヒンジ16a〜16dと、複数の突出片17a〜17cと、円形突起18とからなっている。
【0027】
台座11は、折りたたみ台10を下方から支持するものである。固定板12は、台座11と一体成型されるなどにより、台座に固定された板部材である。この固定板12は、図1に示すように、中心角を60°とした扇形状となっており、この扇形状の上側表面は薄皮食品が載置される第1平面12aとなっている。
【0028】
複数の可動板13〜15は、可動可能に設けられた板部材である。これら複数の可動板13〜15は、固定板12の第1平面12aと同一平面に配置された第2平面13a〜15aを有し、第2平面13a〜15aには薄皮食品が載置されるようになっている。複数のヒンジ16a〜16dは、台座11又は固定板12と可動板13〜15とを接続する接続部品であり、自己の位置を支点として可動板13〜15を回動可能としたものである。
【0029】
具体的に説明すると、複数の可動板13〜15は、第1可動板13と、第2可動板14と、第3可動板15とからなっている。第1可動板13は、図1に示すように、中心角を180°とした半円形状となっており、半円の直線部分において第1ヒンジ16aと第2ヒンジ16bが接続されている。これら第1ヒンジ16a及び第2ヒンジ16bは、台座11にも固定されている。このため、第1可動板13は、第1ヒンジ16a及び第2ヒンジ16bを支点として回動することとなり、第1可動板13の第2平面13aは、固定板12の第1平面12a、第2可動板14の第2平面14a、及び第3可動板15の第2平面15aに面接触するようになっている。
【0030】
また、第2可動板14は、中心角を60°とした扇形状となっており、扇の直線部分において第3ヒンジ16cが接続されている。第3ヒンジ16cは、固定板12にも接続されている。このため、第2可動板14は、第3ヒンジ16cを支点として回動することとなり、第2可動板14の第2平面14aは、固定板12の第1平面12aに面接触するようになっている。
【0031】
また、第3可動板15は、中心角を60°とした扇形状となっており、扇の直線部分において第4ヒンジ16dが接続されている。第4ヒンジ16dは、固定板12にも接続されている。このため、第3可動板15は、第4ヒンジ16dを支点として回動することとなり、第3可動板15の第2平面15aは、固定板12の第1平面12aに面接触するようになっている。
【0032】
複数の突出片17a〜17cは、各ヒンジ16a〜16dを支点として、可動板13〜15の第2平面13a〜15aを、固定板12の第1平面12aに面接触する方向へ回動させる操作部として機能するものである。これら複数の突出片17は、それぞれが可動板13〜15の外周側に1つずつ取り付けられており、調理者の人力により力を作用させて各可動板13〜15を回動させるようになっている。
【0033】
具体的に第1突出片17aは、第1可動板13の外周側に設けられており、第2突出片17bは、第2可動板14の外周側に設けられている。また、第3突出片17cは、第3可動板15の外周側に設けられている。さらに、これら第1〜第3突出片17a〜17cは、表面(上側であって折りたたみ台10をテーブル等に置いた状態で調理者に視認される側)に複数の可動板13〜15を可動させる順序を示す順序記号(具体的には番号)17a1〜17c1が付されている。このため、調理者は、薄皮食品を折りたたむ際に、どのような順序で折りたたんで良いかを容易に把握できるようになっている。
【0034】
円形突起18は、台座11の下側に設けられた突起である。具体的に台座11は中空状に形成されており、円形突起18は、中空状の底面部に設けられている。折りたたみ台10は、この円形突起18により回転台20と取り付けられるようになっている。
【0035】
回転台20は、折りたたみ台10を回転させるためのものであって、台座11のうち固定板12及び可動板13〜15の設置側と逆側(すなわち下側)に配置されるものである。この回転台20は、上部品21と、下部品22と、複数のローラ23a〜23cとを備えている。上部品21は、一端が閉塞された有底筒状の部材であって、上側に位置する平面部21aの中心位置に円形孔21bが形成されている。この円形孔21bは、折りたたみ台10の台座11に形成される円形突起18が嵌り込むようになっている。また、上部品21は、中空状に形成される台座11の中空部分に嵌る形状となっている。これにより、折りたたみ台10と上部品21とは中心位置が固定された状態で接続可能となっている。
【0036】
下部品22は、上部品21の下側に設けられた円形のゴム部品である。また、複数のローラ23a〜23cは、上部品21の平面部21aに設けられる回動部品である。このような構成となっているため、円形突起18が円形孔21bに嵌り込むようにして、折りたたみ台10を回転台20に乗せることにより、第1平面12aと第2平面13a〜15aと平行に、台座11ごと折りたたみ台10を回動させることができる。
【0037】
クレープパン30は、薄皮食品を作成するためのものであって、型本体31と、取っ手部32と、円形突起33とを備えている。型本体31は、上側に円形の凹部31aを有し、薄皮食品のもととなる液状の薄皮種が流し込まれるものである。クレープの薄皮種は、小麦粉、牛乳、卵及び水などから作成される液状のものである。調理者は、凹部31aへ薄皮種を流し込み、クレープパン30ごと加熱することにより、薄皮食品を作成することができる。なお、クレープ30は、直接火により加熱できるように鉄製等であってもよいが、女児など子供が調理することを考慮すると、樹脂により構成され、直接火により加熱しない電子レンジなどの機器によって加熱されることが望ましい。
【0038】
また、型本体31は、凹部31aの底面に模様31bが形成されている。この模様31bは、花形やハート型など、薄皮食品の表面の見栄えを向上させるために設けられた凹又は凸である。なお、模様31bが凸により形成されると、模様31bにより形成される絵柄部分において薄皮食品が薄くなり、薄皮食品が破れてしまう可能性が高まる。このため、模様31bは、凹によって形成されることが好ましい。
【0039】
さらに、型本体31は、凹部31aの底面中心位置に円孔31cが形成されている。この円孔31cは、後述のトンボ40の先端42aが嵌り込むようになっている。加えて、型本体31は、下側に有底筒状に形成される台座31dを備えている。取っ手部32は、クレープパン30の掴み部分であり、加熱後のクレープパン30が調理者によって持たれる際に、熱さが調理者の手に伝わり難くなるように設けられている。
【0040】
円形突起33は、折りたたみ台10の円形突起18と同様に、回転台20の円形孔21bに嵌る突起であって、台座31dの中央部に形成されている。このため、折りたたみ台10のみならず、クレープパン30についても、凹部31aの底面と平行に回転可能となっている。
【0041】
トンボ40は、凹部31に流し込まれた薄皮種の厚さを、略均一とするためのものであって、把持部41と、棒状部材42と、生地厚形成部43とを有している。把持部41は、調理者によって把持される部分である。
【0042】
棒状部材42は、一端が把持部41に接続された長尺棒状の部材である。この棒状部材42の先端42aは、やや先細りとなっており、クレープパン30に設けられる円孔31cに嵌る構成となっている。
【0043】
生地厚形成部43は、棒状部材42の先端側において棒状部材42の軸に対し、略垂直方向に伸びる長尺状(凹部31aの内周直径程度の長さ)の部材である。この生地厚形成部43は、調理者が把持部41を操作して、棒状部材42を軸周りに回転させることにより、薄皮種が流し込まれた凹部31a内において回転し、薄皮種を略均一厚さとすることとなる。
【0044】
特に、棒状部材42の先端42aとクレープパン30の円孔31cとは、棒状部材42の先端42aを凹部31aの中心位置に位置させる位置合わせ機構となっている。このため、生地厚形成部43を回転させる際に、生地厚形成部43の両端部が凹部31の内壁に接触して、回転させ難くなる事態を防止している。
【0045】
また、図1に示すように、生地厚形成部43のうち棒状部材42の先端42a側には、複数の切り欠き43aが形成されている。これにより、凹部31a内で生地厚形成部43を回転させる際、薄皮種の一部は切り欠き43aを通過すると共に、薄皮種の残部は生地厚形成部43によって掻き取られるようになる。一方、切り欠き43aが形成されていない場合、薄皮種の殆どが掻き取られ、薄皮種を略均一厚さとすることに支障をきたす可能性がある。しかし、本実施形態に係る生地厚形成部43は、切り欠き43aが形成されているため、薄皮種を略均一厚さとする際に支障となってしまう事態を防止することができる。
【0046】
ヘラ部品50は、クレープパン30と共に加熱されて作成された薄皮食品を、クレープパン30から取り外すものであって、第1のヘラ52と第2のヘラ51とからなっている。これらのヘラ51,52は、基部側において互いに接続された長尺板状の部材であって、第1のヘラ52と第2のヘラ51とを近づける方向に力を加えることにより、薄皮食品を挟むことが可能に構成されている。
【0047】
図2は、図1に示したヘラ部品50を示す拡大側面図である。図2に示すように、第1のヘラ52は、第2のヘラ51よりも長尺に形成されている。このため、薄皮食品を下から支えつつ薄皮食品を挟むことができ、薄皮食品を折りたたみ台10に乗せる作業の利便性を高めることができるようになっている。特に、図2に示すように、第1のヘラ52の先端52aは、第2のヘラ51の先端51aよりも薄板状に形成されている。このため、第1のヘラ52を薄皮食品の下側に差し込みやすくなっており、一層利便性を高めるようになっている。
【0048】
また、図2に示すように、第2のヘラ51の先端側51aは、丸みを有しており、薄皮食品を挟んだ状態において、薄皮食品を傷付けにくいようになっている。さらに、第1のヘラ52の先端側52aは、ヘラ部品50の外側に向けて先細りとなる傾斜構造となっており、内側に向けて先細りとなる傾斜構造の場合と比較して薄皮食品を傷付け難いようになっている。
【0049】
次に、本実施形態に係る調理セット1を用いた調理方法について図3〜図6を参照して説明する。図3〜図6は、本実施形態に係る調理セット1を用いた調理方法について示す斜視図である。
【0050】
まず、調理者は、薄皮食品のもととなる液状の薄皮種をクレープパン30の凹部31aに流し込む。その後、調理者は、図3に示すように、トンボ40の棒状部材42の先端42aを、クレープパン30の円孔31cに嵌め込む。そして、調理者は、把持部41を操作して、生地厚形成部43を凹部31a内において回転させる。これにより、薄皮種は略均一厚さとなる。
【0051】
なお、クレープパン30は、回転台20によって回転可能となっているため、回転台20をクレープパン30の下側に載置し、トンボ40を固定した状態で、クレープパン30の取っ手部32等を掴んで回転させるようにしてもよい。これにより、大人よりも手先が器用でない子供であっても、比較的容易に薄皮種の厚さを略均一にすることができるからである。
【0052】
次に、調理者は、薄皮種をクレープパン30ごと電子レンジ等に入れ、所定時間加熱する。これにより、クレープの生地、すなわち薄皮食品が作成される。この薄皮食品は、凹部31の底面の模様31bによって一面に絵柄が形成されたものとなる。
【0053】
そして、調理者は、ヘラ部品50を用いて薄皮食品をクレープパン30から取り外す。このとき、調理者は、第1のヘラ52を薄皮食品の下側に差し込む。そして、調理者は、第1のヘラ52と第2のヘラ51とを近づけるように力を加えて、薄皮食品を挟み込んで、薄皮食品をクレープパン30から取り外す。
【0054】
次いで、調理者は、図4に示すように、薄皮食品を裏返さないように、折りたたみ台10の固定板12及び可動板13〜15の上に載置する。次に、調理者は、図5に示すように、クレープの作成に必要となる生クリームやフルーツを薄皮食品の上に載置する。このとき、調理者は、折りたたみ台10の下側に回転台20を載置しておく。これにより、生クリームなど、薄皮食品上に円周上に食材を乗せる場合には、回転台20によって折りたたみ台10を回転させつつ食材を乗せることができる。
【0055】
次に、図6を参照する。なお、図6においては、生クリームやフルーツ等の図示を省略する。調理者は、図6に示すようにして、突出片17a〜17cの表面に記載される順序記号17a1〜17c1に従って可動板13〜15を回動させる。具体的に、調理者は、第1突出片17aを持ち、第1可動板13の第2平面13aを、固定板12の第1平面12aに面接触させるように第1可動板13を回動させる(図6(a)参照)。これにより、円形の薄皮食品が半円形状に折りたたまれる。
【0056】
その後、調理者は、第2突出片17bを持ち、第2可動板14の第2平面14aを、固定板12の第1平面12aに面接触させるように第2可動板14を回動させる(図6(b)参照)。これにより、半円形の薄皮食品が中心角120°の扇形に折りたたまれる。次いで、調理者は、第3突出片17cを持ち、第3可動板15の第2平面15aを、固定板12の第1平面12aに面接触させるように第3可動板15を回動させる(図6(c)参照)。これにより、中心角120°の扇形となった薄皮食品が中心角60°の扇形に折りたたまれる。
【0057】
以上により、調理を得意としない者(特に女児を中心とした子供)であっても、薄皮食品を綺麗に折りたたむことができ、見栄えの良いクレープを作成することはできる。特に、クレープの表面には、模様31bによって絵柄が描かれており、一層見栄えの良いクレープを作成することができる。
【0058】
このようにして、本実施形態に係る折りたたみ台10によれば、薄皮食品が載置される固定板12及び可動板13〜15を備え、可動板13〜15は固定板12上に折りたたむ方向へ可動可能となっている。このため、調理者は、薄皮食品を固定板12及び可動板13〜15に乗せた上で、可動板13〜15を固定板12上に折りたたむ方向へ回動させることで折りたたみができ、薄皮食品の折りたたみ作業の容易化を図ることができる。
【0059】
また、固定板12を固定する台座11をさらに備え、可動板13〜15、台座11及び固定板12の少なくとも一方にヒンジ16a〜16dを介して接続される。このため、固定板12、可動板13〜15及び台座11は一体的となって、それぞれの配置関係が一定に保持されることとなり、折りたたみにあたり配置関係が変わって適切に折りたためなくなってしまう事態を防止することができる。
【0060】
また、ヒンジ16a〜16dを支点として、第2平面13a〜15aが第1平面12aに面接触する方向へ可動板13〜15を回動させる操作を行う突出片17a〜17cをさらに備える。このため、調理者は突出片17a〜17cを操作することで可動板13〜15を回動できることとなり、可動板13〜15に直接触れる必要が無くなっている。これにより、薄皮食品が熱い状態において調理者は可動板13〜15に触れることなく、折りたたみを行うことができる。
【0061】
また、突出片17a〜17cは、複数の可動板13〜15それぞれに取り付けられて、各可動板13〜15を回動させる人力を加えるためのものであって、突出片17a〜17cの表面には、複数の可動板13〜15を回動させる順序を示す番号が付されている。このため、どの順序で可動板13〜15を回動させて薄皮食品を折りたためば良いかが容易に判断でき、女児などの子供にとっても順序に間違いなく薄皮食品を折りたたむことができる。
【0062】
また、本実施形態に係る調理セット1によれば、台座11のうち固定板12及び可動板13〜15の設置側と逆側において、第1平面12a及び第2平面13a〜15aと平行に、台座11ごと固定板12及び可動板13〜15を回転させる回転台20をさらに備える。このため、クレープの生地に円周上に生クリームを乗せる場合など、薄皮食品上に円周上に食材を乗せる場合には、回転台20によって折りたたみ台を回転させつつ食材を乗せることができ、利便性を向上させることができる。
【0063】
また、クレープパン30は、凹部31aの底面に模様31bとなる凹又は凸の少なくとも一方が形成されているため、薄皮食品の一方の面に絵柄が形成されることとなり、完成品の見栄え向上に寄与することができる。
【0064】
また、生地厚形成部43は、棒状部材42を棒の軸周りに回転させることにより、薄皮種が流し込まれた凹部31a内において回転して、薄皮種を略均一厚さとする。このため、凹部31aに流し込まれた薄皮種の粘性が比較的高い場合などであっても、薄皮種を略均一厚さとして、略均一厚さの薄皮食品を作成することができる。
【0065】
また、棒状部材42とクレープパン30とは、棒状部材42を棒の軸周りに回転させるにあたり、棒状部材42の先端42aが円形の凹部31aの中心位置に位置させる位置合わせ機構(先端42aと円孔31c)を有する。このため、棒状部材42が凹部31aの中心に位置せず、棒状部材42を棒の軸周りに回転させる際に、生地厚形成部43がうまく回転しなくなってしまう事態を抑制することができる。
【0066】
また、生地厚形成部43のうち棒状部材42の先端側には、切り欠き43aが形成されているため、棒状部材42を棒の軸周りに回転させると、薄皮種の一部は切り欠き43aから通過すると共に、薄皮種の残部は生地厚形成部43によって掻き取られるようになる。これにより、切り欠き43aがなく、薄皮種の殆どが生地厚形成部43によって掻き取られ、薄皮種を略均一厚さとする際に支障となってしまう事態を防止することができる。
【0067】
また、第1のヘラ52は、第2のヘラ51よりも長尺であるため、第1のヘラ52により薄皮食品を下から支えつつ、第2のヘラ51により挟むことができ、薄皮食品を折りたたみ台10に乗せる作業について利便性を高めることができる。特に、第1のヘラ52は、先端52a側が第2のヘラ51よりも薄板状となっているため、第1のヘラ52を薄皮食品の下側に差し込みやすくなっており、一層利便性を高めることができる。
【0068】
以上、本発明に係る折りたたみ台及び調理セットを実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0069】
例えば、上記実施形態において折りたたみ台10は、突出片17a〜17cを操作して薄皮食品を折りたたむように構成されているが、これに限らず、操作ハンドル等を備え、操作ハンドル等を回転操作することにより、複数の可動板13〜15が順次回動して、薄皮食品を折りたたむように構成されていてもよい。また、操作スイッチを備え、電動により複数の可動板13〜15が順次回動して、薄皮食品を折りたたむように構成されていてもよい。
【0070】
また、トンボ40の生地厚形成部43は、クレープパン30の凹部31aの直径程度の長さを有していたが、これに限らず、棒状部材42から両側に向かって伸びる生地厚形成部43のうち一側を切り取って、クレープパン30の凹部31aの半径程度の長さを有していてもよい。これによっても、薄皮種を略均一厚さにできるからである。
【0071】
また、生地厚形成部43の切り欠き43aの形状及び個数は、図1に示すものに限られず、他の形状及び他の個数であってもよい。さらに、ヒンジ16a〜16dは、図1に示すものに限られず、薄肉ヒンジであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係る折りたたみ台を含む調理セットの外観斜視図である。
【図2】図1に示したヘラ部品を示す拡大側面図である。
【図3】本実施形態に係る調理セットを用いた調理方法について示す斜視図であって、トンボの使用方法を示している。
【図4】本実施形態に係る調理セットを用いた調理方法について示す斜視図であって、ヘラ部品の使用方法を示している。
【図5】本実施形態に係る調理セットを用いた調理方法について示す斜視図であって、折りたたみ台の第1の使用方法を示している。
【図6】本実施形態に係る調理セットを用いた調理方法について示す斜視図であって、折りたたみ台の第2の使用方法を示している。
【符号の説明】
【0073】
1 調理セット
10 折りたたみ台
11 台座
12 固定板
12a 第1平面
13〜15 可動板
13a〜15a 第2平面
16a〜16d ヒンジ
17a〜17c 突出片
18 円形突起
20 回転台
21 上部品
22 下部品
23 ローラ
30 クレープパン
31 型本体
31a 凹部
31b 模様
31c 円孔
32 取っ手部
33 円形突起
40 トンボ
41 把持部
42 棒状部材
43 生地厚形成部
43a 切り欠き
50 ヘラ部品
51 第2のヘラ
52 第1のヘラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄皮食品を折りたたむ折りたたみ台であって、薄皮食品が載置される第1平面を有した固定板と、
前記固定板の第1平面と同一平面状に配置されて薄皮食品が載置される第2平面を有し、前記固定板上に折りたたむ方向へ回動可能な可動板と、
を備えることを特徴とする折りたたみ台。
【請求項2】
前記固定板を固定する台座をさらに備え、
前記可動板は、前記台座及び前記固定板の少なくとも一方にヒンジを介して接続されることを特徴とする請求項1に記載の折りたたみ台。
【請求項3】
前記ヒンジを支点として、前記第2平面が前記第1平面に面接触する方向へ前記可動板を回動させる操作を行う操作部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の折りたたみ台。
【請求項4】
前記可動板を複数備え、
前記操作部は、複数の可動板それぞれに取り付けられて、各可動板を回動させる人力を加えるための突出片であって、
前記突出片の表面には、複数の可動板を回動させる順序を示す順序記号が付されている
ことを特徴とする請求項3に記載の折りたたみ台。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の折りたたみ台と、
前記折りたたみ台の前記台座のうち前記固定板及び前記可動板の設置側と逆側において、前記第1平面及び前記第2平面と平行に、前記台座ごと前記固定板及び前記可動板を回転させる回転台と、
を備えることを特徴とする調理セット。
【請求項6】
薄皮食品のもととなる液状の薄皮種が流し込まれる凹部を有し、前記凹部に流し込まれた薄皮種と共に加熱されることで薄皮食品を作成するための型部品をさらに備え、
前記型部品は、凹部底面に模様となる凹又は凸の少なくとも一方が形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の調理セット。
【請求項7】
前記薄皮種を前記凹部内において略均一厚さとするためのトンボをさらに備え、
前記凹部の底面形状は円形となっており、
前記トンボは、棒状の棒状部材と、前記棒状部材の先端側において前記棒状部材の軸に対し略垂直に伸びる長尺の生地厚形成部とからなり、
前記生地厚形成部は、前記棒状部材を棒の軸周りに回転させることにより、前記薄皮種が流し込まれた前記凹部内において回転して、前記薄皮種を略均一厚さとする
ことを特徴とする請求項5又は請求項6のいずれかに記載の調理セット。
【請求項8】
前記棒状部材と前記型部品とは、前記棒状部材を棒の軸周りに回転させるにあたり、前記棒状部材の先端が円形の前記凹部の中心位置に位置させる位置合わせ機構を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の調理セット。
【請求項9】
前記生地厚形成部のうち棒状部材の先端側には、切り欠きが形成されている
ことを特徴とする請求項7又は請求項8のいずれかに記載の調理セット。
【請求項10】
前記型部品と共に加熱されて作成された薄皮食品を前記型部品の凹部から取り外すヘラ部品をさらに備え、
前記ヘラ部品は、基部側において互いに接続された長尺板状の第1のヘラ及び第2のヘラを有し、前記第1のヘラと前記第2のヘラとを近づける方向に力を加えることによって、前記第1のヘラと前記第2のヘラとで薄皮食品を挟むことが可能であり、
前記第1のヘラは、前記第2のヘラよりも長尺であって、先端側が前記第2のヘラよりも薄板状となっている
ことを特徴とする請求項5から請求項10のいずれか1項に記載の調理セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−297374(P2009−297374A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−157424(P2008−157424)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【特許番号】特許第4231543号(P4231543)
【特許公報発行日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】