説明

調質圧延方法

【課題】先行鋼板と後行鋼板の溶接点通過後に、後行鋼板の伸び率を設定伸び率まで短時間で到達させて、伸び率不良部の長さを低減することが可能な調質圧延方法を提供する。
【解決手段】先行鋼板11と後行鋼板12の溶接点13が調質圧延機10を通過した後に、調質圧延機10の油圧シリンダ21の位置制御による圧下を行って、後行鋼板12の現在の伸び率変化率から設定伸び率に到達する際の油圧シリンダ21の位置制御の仮目標油柱と、次の測定で予想される予想伸び率を求め、予想伸び率が設定伸び率を超える場合に、仮目標油柱を最終目標油柱とし、最終目標油柱に到達した時点で調質圧延機の制御を荷重制御にして伸び率制御を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板処理ラインにおいて、先行鋼板と後行鋼板の溶接点(鋼板接続部)が調質圧延機(スキンパスミル)を通過後に、後行鋼板の実績伸び率を設定伸び率まで短時間で到達させて、伸び率が不良となった不良部長を低減する調質圧延方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、冷間圧延鋼板の鋼板処理ラインでは、先行鋼板の後端と後行鋼板の先端とを溶接して連続的に焼鈍処理を行った後、連続的に調質圧延が施される。ここで、調質圧延機は、通常の操業では鋼板の実績伸び率で荷重を制御することにより、鋼板の伸び率(数%)を制御しているが、鋼板の溶接点が調質圧延機を通過する際には、調質圧延機に及ぼす衝撃を緩和するため、また後行鋼板の板厚に対応するため、溶接点が調質圧延機を通過する直前に調質圧延機による圧延を一旦中断(ミル開放)、又は軽圧下にし、溶接点通過後に再圧下して伸び率制御を再開している。そして、溶接点通過後における調質圧延機の再圧下では、後行鋼板の鋼種、板厚、及び板幅毎にそれぞれ経験(実績)にて設定された初期設定荷重に向かって荷重制御での圧下が行われ、初期設定荷重に到達した後に、実績伸び率が設定伸び率になるように伸び率制御を再開する手法を用いている。
【0003】
この手法では、後行鋼板の材料特性のバラツキにより、溶接点通過後の後行鋼板の初期設定荷重と実際の伸び率の関係に誤差が生じた場合、伸び率制御開始時点での実績伸び率と設定伸び率が一致しないため、伸び率制御により実績伸び率が設定伸び率に一致するよう制御される。しかし、伸び率制御は、制御サンプリング周期が長く、また制御安定性のためにゲインを低く設定しているので、実績伸び率を設定伸び率に一致させるのに長時間を要し、伸び率が不良となった不良部長が長くなるという問題がある。例えば、伸び率制御により実績伸び率が設定伸び率に一致するまでに要した時間が10秒で、鋼板処理ラインのライン速度が150m/分の場合、25m程度の不良部長が発生する。そこで、後行鋼板の圧延荷重を、設定伸び率、板厚、板幅、及び変形抵抗を含む計算式より算出し、これを初期設定荷重とすることによって、不良部長の短縮を図った調質圧延方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−327310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、調質圧延のように圧下率(板厚の減少量)が少ない圧延の場合、鋼板の弾性変形を無視できないため、計算式は圧延理論式のみでは成り立たず、実験データを基にした近似式となる。そして、様々な鋼種、板厚、及び通板速度に対応しようとした場合、その精度は実用上十分なものとはなり得ないという問題がある。例えば、計算要素として挙げられている変形抵抗は、実験によって得られたもので、その通板速度との関係は対数曲線等によって近似するが、鋼種や板厚のみならず鋼板の張力等によっても曲線の形状が変化するため、実際の様々な条件を正確に対数曲線等で近似させることは、事実上困難である。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、先行鋼板と後行鋼板の溶接点が調質圧延機を通過した後に、後行鋼板の実績伸び率を設定伸び率まで短時間で到達させて、伸び率が不良となった不良部長さを低減することが可能な調質圧延方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係る調質圧延方法は、先行鋼板の後端と後行鋼板の先端を溶接して鋼板の連続処理を行う鋼板処理ラインに設けられた調質圧延機で、前記先行鋼板と前記後行鋼板の溶接点が前記調質圧延機を通過した後に、該調質圧延機の油圧圧下装置による油圧シリンダの位置制御を行いながら該調質圧延機による前記後行鋼板への圧下量を制御し、該調質圧延機の前後に配置された対となるブライドルロールの各ロール周速度より求まる前記後行鋼板の伸び率が設定伸び率に到達した時点で伸び率制御を開始する調質圧延方法であって、
前記位置制御中の前記油圧シリンダの油柱と前記後行鋼板の伸び率をそれぞれ測定し、伸び率測定のサンプリング周期に同期した一定サンプリング時間毎に記憶する工程と、
今回記憶した油柱及び伸び率と前回記憶した油柱及び伸び率を用いて前記後行鋼板の現在の伸び率変化率を求め、該伸び率変化率から伸び率が前記設定伸び率に到達する際の油柱を求めて仮目標油柱とする工程と、
前記伸び率変化率から前記一定サンプリング時間だけ経過した次の測定で予想される伸び率増加量を算出して、前記後行鋼板の次の測定時の予想伸び率を求める工程とを有し、
前記予想伸び率が前記設定伸び率を超える場合に、前記仮目標油柱を前記油圧シリンダの位置制御の最終目標油柱とし、該油圧シリンダの油柱が該最終目標油柱に到達した時点で、前記油圧圧下装置の制御を荷重制御に切り替え、前記後行鋼板の伸び率制御を開始する。
ここで、油圧シリンダのピストンロッド位置のことを油柱と呼ぶ。
【0008】
第1の発明に係る調質圧延方法において、前記油圧圧下装置による前記最終目標油柱への位置決めが完了した時点で、前記後行鋼板に負荷されている圧延荷重を該後行鋼板の伸び率制御の荷重初期値に設定して該後行鋼板の伸び率制御を行うことが好ましい。
【0009】
前記目的に沿う第2の発明に係る調質圧延方法は、先行鋼板の後端と後行鋼板の先端を溶接して鋼板の連続処理を行う鋼板処理ラインに設けられた調質圧延機で、前記先行鋼板と前記後行鋼板の溶接点が前記調質圧延機を通過した後に、該調質圧延機の油圧圧下装置による油圧シリンダの荷重制御を行いながら該調質圧延機による前記後行鋼板への圧下量を制御し、該調質圧延機の前後に配置された対となるブライドルロールの各ロール周速度より求まる前記後行鋼板の伸び率が設定伸び率に到達した時点で伸び率制御を開始する調質圧延方法であって、
前記荷重制御中の前記油圧圧下装置によって前記後行鋼板に負荷されている圧延荷重と前記後行鋼板の伸び率をそれぞれ測定し、伸び率測定のサンプリング周期に同期した一定サンプリング時間毎に記憶する工程と、
今回記憶した圧延荷重及び伸び率と前回記憶した圧延荷重及び伸び率を用いて前記後行鋼板の現在の伸び率変化率を求め、該伸び率変化率から伸び率が前記設定伸び率に到達する際の圧延荷重を求めて仮目標荷重とする工程と、
前記伸び率変化率から前記一定サンプリング時間だけ経過した次の測定で予想される伸び率増加量を算出して、前記後行鋼板の次の測定時の予想伸び率を求める工程とを有し、
前記予想伸び率が前記設定伸び率を超える場合に、前記仮目標荷重を前記油圧シリンダの荷重制御の最終目標荷重とし、圧延荷重が該最終目標荷重に到達した時点で、前記後行鋼板の伸び率制御を開始する。
【0010】
第2の発明に係る調質圧延方法において、前記油圧シリンダによる圧延荷重が前記最終目標荷重に到達した時点で、前記後行鋼板に負荷されている圧延荷重を前記後行鋼板の伸び率制御の荷重初期値に設定して該後行鋼板の伸び率制御を行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明に係る調質圧延方法においては、一定サンプリング時間毎に得られる伸び率変化率から算出される仮目標油柱は、設定伸び率に近づくにつれて、設定伸び率を得るために必要な真の目標油柱に近づいていき、最終的に次の測定で予想される伸び率増加量によって設定伸び率を超える結果になった時点で、仮目標油柱の更新を終了して最終目標油柱への位置決めを完了させる。また、第2の発明に係る調質圧延方法においては、一定サンプリング時間毎に得られる伸び率変化率から算出される仮目標荷重は、設定伸び率に近づくにつれて、設定伸び率を得るために必要な真の目標荷重に近づいていき、最終的に次の測定で予想される伸び率増加量によって設定伸び率を超える結果になった時点で、仮目標荷重の更新を終了して最終目標荷重への圧下を完了させる。以上のことから、実績伸び率を設定伸び率に短時間で到達させることができ、しかも、伸び率測定の周期が長くてもオーバーシュートさせないで実現できる。その結果、不良部長を低減することができる。
【0012】
第1の発明に係る調質圧延方法において、油圧圧下装置の油圧シリンダの油柱が最終目標油柱に到達した時点で、後行鋼板に負荷されている圧延荷重を伸び率制御の荷重初期値に設定することで、荷重初期値は後行鋼板の設定伸び率を得るための必要荷重となるので、調質圧延機の制御を、位置制御から伸び率制御にスムーズに移行することができる。
【0013】
第2の発明に係る調質圧延方法において、圧延荷重が最終目標荷重に到達した時点で、圧延荷重を伸び率制御の荷重初期値に設定することで、荷重初期値は後行鋼板の設定伸び率を得るための必要荷重となるので、調質圧延機の制御を、荷重制御から伸び率制御にスムーズに移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る調質圧延方法が適用される調質圧延機の制御ブロック図である。
【図2】同調質圧延方法の手順を示す流れ図である。
【図3】同調質圧延方法の手順を示す流れ図である。
【図4】同調質圧延方法における位置制御中の油柱、伸び率、及び仮目標油柱の関係を示す説明図である。
【図5】同調質圧延方法における溶接点通過前後の調質圧延機の圧下状況の説明図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る調質圧延方法が適用される調質圧延機の制御ブロック図である。
【図7】同調質圧延方法の手順を示す流れ図である。
【図8】同調質圧延方法の手順を示す流れ図である。
【図9】同調質圧延方法における荷重制御中の圧延荷重、伸び率、及び仮目標荷重の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
本発明の第1の実施の形態に係る調質圧延方法が適用される調質圧延機10は、図1に示すように、先行鋼板11の後端と後行鋼板12(次材ともいう)の先端を溶接して鋼板の連続処理を行う鋼板処理ラインに設けられたもので、先行鋼板11と後行鋼板12の溶接点13が調質圧延機10の対となる上、下ワークロール14、15の間を通過した後に、調質圧延機10の油圧圧下装置23による油圧シリンダ21の位置制御を行いながら上、下ワークロール14、15を圧下することにより後行鋼板12への圧下量を制御し、調質圧延機10の前後に配置された対となるブライドルロール16、17の各ロール周速度より求まる後行鋼板12の伸び率εaが設定伸び率εsetに到達した時点で伸び率制御を開始するものである。
【0016】
ここで、上ワークロール14の上バックアップロール18は調質圧延機10のフレーム(図示せず)に荷重計(例えば、ロードセル)19を介して固定されている。また、下ワークロール15は下バックアップロール20を介してフレームに固定された油圧シリンダ21のピストンロッド21aで支持されている。そして、油圧シリンダ21は、サーボバルブ22を介して、油圧圧下装置23と接続している。また、油圧シリンダ21には、油柱(ピストンロッド21aの位置)を測定するための位置計(例えばロッドセンサ)35が設けられている。なお、位置計35の測定周期は、例えば0.2msである。
【0017】
このような構成により、油圧圧下装置23からサーボバルブ22を介して油圧シリンダ21に作動油を供給し、油圧シリンダ21の位置制御を行って、上、下ワークロール14、15間の距離(隙間)を変化させることができ、その結果後行鋼板12への圧下量を調整できる。また、符号24は位置計35の出力に基づいてサーボバルブ22を調整して、油圧シリンダ21の油柱を制御する位置制御器であり、その制御周期は例えば0.5msである。符号25は荷重計19の出力に基づいて、上、下ワークロール14、15で後行鋼板12を圧延する際の圧下荷重を制御する荷重制御器であり、その制御周期は例えば0.5msである。なお、油圧圧下装置23における荷重制御は、荷重計19で測定された荷重Paを荷重指令信号Prefとする荷重制御信号が荷重制御器25から位置制御器24に入力され、荷重制御信号に基づいて位置制御器24が油圧シリンダ21の油柱の位置制御を行うことにより達成される。
【0018】
ブライドルロール16、17には、ブライドルロール16、17の回転数を測定するパルスジェネレータ26、27がそれぞれ設けられ、パルスジェネレータ26、27の出力は、伸び率演算器28に入力される。伸び率演算器28では、ブライドルロール16、17の回転数の差からブライドルロール16、17による鋼板の送り量の差を求めて、伸び率を算出する。ここで、伸び率測定のサンプリング周期、すなわち、パルスジェネレータ26、27によるブライドルロール16、17の回転数の測定周期は、例えば200msである。
【0019】
伸び率演算器28で算出された伸び率εaと、位置計35で測定された油圧シリンダ21の油柱Yaは、伸び率変化量演算器29に順次入力され、伸び率測定のサンプリング周期に同期した一定サンプリング時間Δt(例えば200ms)の間隔で記憶される。そして、伸び率変化量演算器29では、今回記憶した油圧シリンダ21の油柱及び伸び率と、前回記憶した油圧シリンダ21の油柱及び伸び率を用いて後行鋼板12の現在の伸び率変化率Rsaを求めて、必要圧下量仮目標油柱演算器30に入力する。また、必要圧下量仮目標油柱演算器30には、図示しない生産管理用の制御装置から、後行鋼板12を調質圧延する際の設定伸び率εsetが入力される。
【0020】
必要圧下量仮目標油柱演算器30は、伸び率変化率Rsaから伸び率が設定伸び率εsetに到達する際の油圧シリンダ21の油柱を算出して、これを仮目標油柱Ysetとする。更に、必要圧下量仮目標油柱演算器30は、伸び率変化率Rsaを用いて一定サンプリング時間Δt(例えば200ms)だけ経過した次の測定で予想される伸び率増加量を算出して、後行鋼板12の次の測定での予想伸び率を求める。そして、予想伸び率が設定伸び率εsetを超える場合は、仮目標油柱Ysetを油圧シリンダ21の位置制御の目標値として位置制御器24に入力する。
【0021】
これによって、油圧シリンダ21は目標油柱に向かって移動し、油圧シリンダ21の油柱が目標値に到達した時点で、荷重計19で測定された荷重Paを伸び率制御の荷重初期値Piniとして荷重初期値設定器31に記憶すると共に、荷重初期値設定器31の出力を荷重制御器25に入力して油圧圧下装置23を荷重制御に切り替え、後行鋼板12の伸び率制御を開始する。なお、伸び率制御は、油圧圧下装置23が荷重制御下において、伸び率演算器28で算出された伸び率εaを設定伸び率εsetとする伸び率制御信号に荷重初期値設定器31の信号が加えられた荷重指令信号Prefが、伸び率制御器32から油圧圧下装置23の荷重制御器25に入力され、荷重計19で測定された荷重Paを荷重指令信号Prefとする荷重制御信号が荷重制御器25から位置制御器24に入力され、荷重制御信号に基づいて位置制御器24が油圧シリンダ21の油柱の位置制御を行うことにより達成される。
【0022】
続いて、本発明の第1の実施の形態に係る調質圧延方法について説明する。
第1の実施の形態に係る調質圧延方法は、位置制御中の油圧シリンダ21の油柱と後行鋼板12の伸び率(実績伸び率)をそれぞれ測定し、伸び率測定のサンプリング周期に同期した一定サンプリング時間Δtの間隔で記憶する第1工程と、今回記憶した油圧シリンダ21の油柱Ya1及び伸び率εa1と前回記憶した油圧シリンダ21の油柱Ya2及び伸び率εa2を用いて、後行鋼板12の現在の伸び率変化率Rsaを求め、伸び率変化率Rsaから伸び率が設定伸び率εsetに到達する際の油圧シリンダ21の油柱を求めてを仮目標油柱Ysetとする第2工程と、伸び率変化率Rsaから一定サンプリング時間Δtだけ経過した次の測定で予想される伸び率増加量を算出して、後行鋼板12の次の測定での予想伸び率を求める第3工程とを有している。以下、詳細に説明する。
【0023】
(第1工程)
図2、図3に示すように、先ず、先行鋼板11と後行鋼板12の溶接点13が、調質圧延機10を通過したか否かを判断する(ステップS1)。そして、溶接点13が、調質圧延機10を通過したことが確認されると、調質圧延機10がミル開放中であるか、軽圧下中であるかを確認し(ステップS2)、後行鋼板12が軽圧下中である場合、現在時刻が伸び率測定のサンプリング周期に同期したタイミングであるか否かを確認する(ステップS3)。ここで、調質圧延機10がミル開放中の場合、後行鋼板12を一旦軽圧下荷重(例えば500kN)まで圧下し、後行鋼板12を軽圧下中の状態とする(ステップS4)。
【0024】
次いで、現在時刻が伸び率測定のサンプリング周期に同期したタイミングの場合、後行鋼板12の現在の伸び率εa及び油圧シリンダ21の油柱Yaを、それぞれ今回の伸び率εa1及び油柱Ya1として記憶する。同時に、油圧シリンダ21の仮目標油柱Ysetを、現在の油圧シリンダ21の油柱Yaと任意定数αの和として設定する。なお、αは300μm程度の値である。そして、調質圧延機10の油圧圧下装置23を位置制御に切り替え、圧下を開始する(ステップS5)。
【0025】
(第2工程)
圧下開始後、現在時刻が伸び率測定のサンプリング周期に同期したタイミングであるか否かを確認し(ステップS6)、伸び率測定のサンプリング周期に同期したタイミングの場合、後行鋼板12の現在の伸び率εa及び油圧シリンダ21の油柱Yaをそれぞれ測定する。そして、今回記憶した油圧シリンダ21の油柱Ya1及び伸び率εa1を前回の油圧シリンダ21の油柱Ya2及び伸び率εa2へシフトさせ、測定した現在の伸び率εa及び油圧シリンダ21の油柱Yaを、それぞれ今回の伸び率εa1及び油柱Ya1として記憶する。
【0026】
次いで、前回記憶した油圧シリンダ21の油柱Ya2及び伸び率εa2と、今回記憶した伸び率εa1及び油柱Ya1の差から、一定サンプリング時間Δt毎の伸び率変化率Rsaを次式で算出する(ステップS7)。
Rsa=(εa1−εa2)/(Ya1−Ya2)
更に、算出した伸び率変化率Rsaと設定伸び率εsetから、伸び率を設定伸び率εsetまで増加させるのに必要な必要圧下量修正値ΔSrを、次式で計算する
ΔSr=(εset−εa’)/Rsa
ここで、εa’は伸び率サンプリングにおける測定遅れを補正した現在伸び率であり、以下の式で算出する。
εa’=εa+(εa1−εa2)/2
そして、必要圧下量修正値ΔSrと現在の油圧シリンダ21の油柱Yaから、仮目標油柱YsetをYa+ΔSrに修正する(ステップS8)。
【0027】
(第3工程)
伸び率変化率Rsaを算出した時点で、一定サンプリング時間Δtだけ経過した次の測定で予想される伸び率増加量は、εa1−εa2と予想される。このため、次の測定で予想される後行鋼板12の予想伸び率は、εa’+(εa1−εa2)と求まる。
【0028】
図4に、油圧シリンダ21の位置制御中の油柱Ya、伸び率εa’、及び仮目標油柱Ysetの関係を示す。実際の油柱と伸び率の関係を示す油柱−伸び率カーブは、対数曲線に近い形状のため、一定サンプリング時間Δt毎に得られる伸び率変化率Rsaから算出される仮目標油柱Ysetは、伸び率εa’が設定伸び率εsetに近づくにつれて、設定伸び率εsetを得るために必要な真の目標油柱に徐々に近づいていく。
【0029】
そこで、予想伸び率εa’+(εa1−εa2)が、設定伸び率εsetを超えるか否かを判定する(ステップS9)。予想伸び率εa’+(εa1−εa2)が、設定伸び率εset以下の場合、ステップS6〜ステップS9が繰り返される。一方、予想伸び率εa’+(εa1−εa2)が、設定伸び率εsetを超える場合、仮目標油柱Ysetを油圧シリンダ21の位置制御の最終目標油柱とし、油圧圧下装置23へ出力する。油圧圧下装置23は油圧シリンダ21を最終目標油柱に向けて移動させ、油圧シリンダ21の油柱が最終目標油柱に到達した時点で油圧シリンダ21の油柱の位置決めを終了する(ステップS10)。油圧シリンダ21の位置決めが完了すると、油圧圧下装置23を荷重制御に切り替え、後行鋼板12の伸び率制御を開始する(ステップS11)。
【0030】
このように、伸び率εa’が、次の測定で予想される伸び率増加量εa1−εa2によって設定伸び率εsetを超えた時点で、仮目標油柱Ysetの更新を終了し、最終の仮目標油柱Ysetを最終目標油柱として、油圧圧下装置23による油圧シリンダ21の油柱の位置決めを完了させるので、後行鋼板12の伸び率εa’(実績伸び率ともいう)が設定伸び率εsetに短時間で到達させることができ、しかも、伸び率測定の周期が長くてもオーバーシュートさせないで実現できる。その結果、不良部長を低減できる。
【0031】
図5に、先行鋼板11と後行鋼板12の溶接点13が調質圧延機10を通過した後、ステップS1〜ステップS11に従い、後行鋼板12に圧延荷重が徐々に負荷されて調質圧延が開始されるまでの経過を示す。なお、図5では、溶接点13が調質圧延機10を通過する直前に先行鋼板11を軽圧下する場合を示している。ステップS1〜ステップS5に従い、後行鋼板12への圧下が開始されると、ステップS6〜ステップS9に従い、後行鋼板12に負荷される圧延荷重は徐々に増加する。
【0032】
そして、ステップS9で、予想伸び率εa’+(εa1−εa2)が、設定伸び率εsetを超えると判定されると、仮目標油柱Ysetを油圧シリンダ21の位置制御の最終目標油柱とする。その結果、油圧シリンダ21は最終目標油柱に向けて移動し、油圧シリンダ21の油柱が最終目標油柱に到達した時点で、後行鋼板12は設定伸び率εsetまで圧下される。このため、油圧シリンダ21の油柱が最終目標油柱に到達した時点で、後行鋼板12に負荷されている圧延荷重を伸び率制御の荷重初期値に設定して伸び率制御を開始すると、荷重初期値は後行鋼板12を設定伸び率εsetで調質圧延するための必要荷重(次材必要荷重)となっているので、調質圧延機10に対する制御は位置制御から伸び率制御にスムーズに移行することができる。
【0033】
これに対して、従来の方法では、図5において破線で示すように、後行鋼板の材料特性のバラツキにより、溶接点通過後の後行鋼板の初期設定荷重に誤差が生じると、伸び率制御開始時点での伸び率と設定伸び率εsetが一致しないため、伸び率制御によって伸び率が設定伸び率εsetに一致するよう制御される。伸び率制御では、伸び率測定の周期が長いため制御サンプリング周期が長く、また制御安定性のためにゲインを低く設定しているので、図4に示すように、伸び率が設定伸び率εsetに一致するまでに要する時間が長くなった結果、不良部長が長くなる。
【0034】
本発明の第2の実施の形態に係る調質圧延方法が適用される調質圧延機33は、図6に示すように、先行鋼板11の後端と後行鋼板12(次材ともいう)の先端を溶接して鋼板の連続処理を行う鋼板処理ラインに設けられたもので、先行鋼板11と後行鋼板12の溶接点13が調質圧延機33の対となる上、下ワークロール14、15の間を通過した後に、調質圧延機33の油圧圧下装置23による油圧シリンダ21の荷重制御を行いながら上、下ワークロール14、15を圧下することにより後行鋼板12への圧下量を制御し、調質圧延機33の前後に配置された対となるブライドルロール16、17の各ロール周速度より求まる後行鋼板12の伸び率εaが設定伸び率εsetに到達した時点で伸び率制御を開始するものである。
【0035】
ここで、調質圧延機33の構成は、第1の実施の形態に係る調質圧延方法が適用される調質圧延機10の構成と比較して、必要圧下量仮目標油柱演算器30の代わりに必要圧下量仮目標荷重演算器34を設けたことが特徴となっている。このため、必要圧下量仮目標荷重演算器34についてのみ説明し、同一の構成部材には同一の符号を付して説明は省略する。
【0036】
伸び率演算器28で算出された伸び率εaと、荷重計19で測定された圧延荷重(圧下時の荷重)Paは、伸び率変化量演算器29に順次入力され、伸び率測定のサンプリング周期に同期した一定サンプリング時間Δt(例えば200ms)の間隔で記憶される。そして、伸び率変化量演算器29では、今回記憶した圧延荷重及び伸び率と、前回記憶した圧延荷重及び伸び率を用いて後行鋼板12の現在の伸び率変化率Rsaを求めて、必要圧下量仮目標荷重演算器34に入力する。また、必要圧下量仮目標荷重演算器34には、図示しない生産管理用の制御装置から、後行鋼板12を調質圧延する際の設定伸び率εsetが入力される。
【0037】
必要圧下量仮目標荷重演算器34は、伸び率変化率Rsaから伸び率が設定伸び率εsetに到達する際の圧延荷重を算出して、これを仮目標荷重Psetとする。更に、必要圧下量仮目標荷重演算器34は、伸び率変化率Rsaを用いて一定サンプリング時間Δt(例えば200ms)だけ経過した次の測定で予想される伸び率増加量を算出して、後行鋼板12の予想伸び率を求める。そして、予想伸び率が設定伸び率εsetを超える場合は、仮目標荷重Psetを油圧圧下装置23の荷重制御の最終目標荷重として荷重制御器25に入力する。これによって、油圧圧下装置23は圧延荷重が最終目標荷重になるように油圧シリンダ21を移動させて圧下を行う。次いで、圧延荷重が最終目標荷重に到達した時点で、荷重計19で測定された圧延荷重Paを伸び率制御の荷重初期値Piniとして荷重初期値設定器31に記憶すると共に、荷重初期値設定器31の出力を荷重制御器25に入力して、後行鋼板12の伸び率制御を開始する。
【0038】
続いて、本発明の第2の実施の形態に係る調質圧延方法について説明する。
第2の実施の形態に係る調質圧延方法は、荷重制御中の油圧圧下装置23によって後行鋼板12に負荷されている圧延荷重と後行鋼板12の伸び率(実績伸び率)をそれぞれ測定し、伸び率測定のサンプリング周期に同期した一定サンプリング時間Δtの間隔で記憶する第1工程と、今回記憶した圧延荷重Pa1及び伸び率εa1と前回記憶した圧延荷重Pa2及び伸び率εa2を用いて、後行鋼板12の現在の伸び率変化率Rsaを求め、この伸び率変化率Rsaから伸び率が設定伸び率εsetに到達する際の圧延荷重を求めて仮目標荷重Psetとする第2工程と、伸び率変化率Rsaから一定サンプリング時間Δtだけ経過した次の測定で予想される伸び率増加量を算出して、後行鋼板12の次の測定での予想伸び率を求める第3工程とを有している。以下、詳細に説明する。
【0039】
(第1工程)
図7、図8に示すように、先ず、先行鋼板11と後行鋼板12の溶接点13が、調質圧延機33を通過したか否かを判断する(ステップT1)。そして、溶接点13が、調質圧延機33を通過したことが確認されると、調質圧延機33がミル開放中であるか、軽圧下中であるかを確認し(ステップT2)、後行鋼板12が軽圧下中である場合、現在時刻が伸び率測定のサンプリング周期に同期したタイミングであるか否かを確認する(ステップT3)。ここで、調質圧延機33がミル開放中の場合、後行鋼板12を一旦軽圧下荷重(例えば500kN)まで圧下し、後行鋼板12を軽圧下中の状態とする(ステップT4)。
【0040】
次いで、現在時刻が伸び率測定のサンプリング周期に同期したタイミングの場合、後行鋼板12の現在の伸び率εa及び圧延荷重Paを、それぞれ今回の伸び率εa1及び圧延荷重Pa1として記憶する。同時に、圧延荷重の仮目標荷重Psetを、現在の圧延荷重Paと任意定数αの和として設定する。なお、αは100ton程度の値である。そして、調質圧延機33の油圧圧下装置23は荷重制御のまま、圧下を開始する(ステップT5)。
【0041】
(第2工程)
圧下開始後、現在時刻が伸び率測定のサンプリング周期に同期したタイミングであるか否かを確認し(ステップT6)、伸び率測定のサンプリング周期に同期したタイミングの場合、後行鋼板12の現在の伸び率εa及び圧延荷重Paをそれぞれ測定する。そして、今回記憶した圧延荷重Pa1及び伸び率εa1を前回の圧延荷重Pa2及び伸び率εa2へシフトさせ、測定した現在の伸び率εa及び圧延荷重Paを、それぞれ今回の伸び率εa1及び圧延荷重Pa1として記憶する。
【0042】
次いで、前回記憶した圧延荷重Pa2及び伸び率εa2と、今回記憶した伸び率εa1及び圧延荷重Pa1の差から、一定サンプリング時間Δt毎の伸び率変化率Rsaを次式で算出する(ステップT7)。
Rsa=(εa1−εa2)/(Pa1−Pa2)
更に、算出した伸び率変化率Rsaと設定伸び率εsetから、伸び率を設定伸び率εsetまで増加させるのに必要な必要圧下量修正値ΔSrを、次式で計算する
ΔSr=(εset−εa’)/Rsa
ここで、εa’は伸び率サンプリングにおける測定遅れを補正した現在伸び率であり、以下の式で算出する。
εa’=εa+(εa1−εa2)/2
そして、必要圧下量修正値ΔSrと現在の圧延荷重Paから、仮目標荷重PsetをPa+ΔSrに修正する(ステップT8)。
【0043】
(第3工程)
伸び率変化率Rsaを算出した時点で、一定サンプリング時間Δtだけ経過した次の測定で予想される伸び率増加量は、εa1−εa2と予想される。このため、次の測定で予想される後行鋼板12の予想伸び率は、εa’+(εa1−εa2)と求まる。
【0044】
図9に、荷重制御中の圧延荷重Pa、伸び率εa’、及び仮目標荷重Psetの関係を示す。実際の圧延荷重と伸び率の関係を示す圧延荷重−伸び率カーブは、対数曲線に近い形状のため、一定サンプリング時間Δt毎に得られる伸び率変化率Rsaから算出される仮目標荷重Psetは、伸び率εa’が設定伸び率εsetに近づくにつれて、設定伸び率εsetを得るために必要な真の目標荷重に徐々に近づいていく。
【0045】
そこで、予想伸び率εa’+(εa1−εa2)が、設定伸び率εsetを超えるか否かを判定する(ステップT9)。予想伸び率εa’+(εa1−εa2)が、設定伸び率εset以下の場合、ステップT6〜ステップT9が繰り返される。一方、予想伸び率εa’+(εa1−εa2)が、設定伸び率εsetを超える場合、仮目標荷重Psetを油圧シリンダ21の荷重制御の最終目標荷重とし、油圧圧下装置23へ出力する。油圧圧下装置23は最終目標荷重に向けて圧下を進行させ、圧延荷重を最終目標荷重に到達させる(ステップT10)。そして、圧延荷重が最終目標荷重に到達した時点で、調質圧延機33による後行鋼板12の伸び率制御を開始する(ステップT11)。
【0046】
このように、伸び率εa’が、次の測定で予想される伸び率増加量εa1−εa2によって設定伸び率εsetを超えた時点で、仮目標荷重Psetの更新を終了し、最終の仮目標荷重Psetを最終目標荷重として油圧圧下装置23による圧下を進行させるので、後行鋼板12の伸び率εa’(実績伸び率ともいう)を設定伸び率εsetに短時間で到達させることができ、しかも、伸び率の周期が長くてもオーバーシュートさせないで実現できる。その結果、不良部長を低減できる。
なお、先行鋼板11と後行鋼板12の溶接点13が調質圧延機33を通過してから、ステップT1〜ステップT11の手順により後行鋼板12に圧延荷重が徐々に負荷されて伸び率制御による調質圧延が開始されるまでの経過は、図4、図5に示す位置制御の場合と同様なので、説明は省略する。
【0047】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
【符号の説明】
【0048】
10:調質圧延機、11:先行鋼板、12:後行鋼板、13:溶接点、14:上ワークロール、15:下ワークロール、16、17:ブライドルロール、18:上バックアップロール、19:荷重計、20:下バックアップロール、21:油圧シリンダ、21a:ピストンロッド、22:サーボバルブ、23:油圧圧下装置、24:位置制御器、25:荷重制御器、26、27:パルスジェネレータ、28:伸び率演算器、29:伸び率変化量演算器、30:必要圧下量仮目標油柱演算器、31:荷重初期値設定器、32:伸び率制御器、33:調質圧延機、34:必要圧下量仮目標荷重演算器、35:位置計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行鋼板の後端と後行鋼板の先端を溶接して鋼板の連続処理を行う鋼板処理ラインに設けられた調質圧延機で、前記先行鋼板と前記後行鋼板の溶接点が前記調質圧延機を通過した後に、該調質圧延機の油圧圧下装置による油圧シリンダの位置制御を行いながら該調質圧延機による前記後行鋼板への圧下量を制御し、該調質圧延機の前後に配置された対となるブライドルロールの各ロール周速度より求まる前記後行鋼板の伸び率が設定伸び率に到達した時点で伸び率制御を開始する調質圧延方法であって、
前記位置制御中の前記油圧シリンダの油柱と前記後行鋼板の伸び率をそれぞれ測定し、伸び率測定のサンプリング周期に同期した一定サンプリング時間毎に記憶する工程と、
今回記憶した油柱及び伸び率と前回記憶した油柱及び伸び率を用いて前記後行鋼板の現在の伸び率変化率を求め、該伸び率変化率から伸び率が前記設定伸び率に到達する際の油柱を求めて仮目標油柱とする工程と、
前記伸び率変化率から前記一定サンプリング時間だけ経過した次の測定で予想される伸び率増加量を算出して、前記後行鋼板の次の測定時の予想伸び率を求める工程とを有し、
前記予想伸び率が前記設定伸び率を超える場合に、前記仮目標油柱を前記油圧シリンダの位置制御の最終目標油柱とし、該油圧シリンダの油柱が該最終目標油柱に到達した時点で、前記油圧圧下装置の制御を荷重制御に切り替え、前記後行鋼板の伸び率制御を開始することを特徴とする調質圧延方法。
【請求項2】
請求項1記載の調質圧延方法において、前記油圧圧下装置による前記最終目標油柱への位置決めが完了した時点で、前記後行鋼板に負荷されている圧延荷重を該後行鋼板の伸び率制御の荷重初期値に設定して該後行鋼板の伸び率制御を行うことを特徴とする調質圧延方法。
【請求項3】
先行鋼板の後端と後行鋼板の先端を溶接して鋼板の連続処理を行う鋼板処理ラインに設けられた調質圧延機で、前記先行鋼板と前記後行鋼板の溶接点が前記調質圧延機を通過した後に、該調質圧延機の油圧圧下装置による油圧シリンダの荷重制御を行いながら該調質圧延機による前記後行鋼板への圧下量を制御し、該調質圧延機の前後に配置された対となるブライドルロールの各ロール周速度より求まる前記後行鋼板の伸び率が設定伸び率に到達した時点で伸び率制御を開始する調質圧延方法であって、
前記荷重制御中の前記油圧圧下装置によって前記後行鋼板に負荷されている圧延荷重と前記後行鋼板の伸び率をそれぞれ測定し、伸び率測定のサンプリング周期に同期した一定サンプリング時間毎に記憶する工程と、
今回記憶した圧延荷重及び伸び率と前回記憶した圧延荷重及び伸び率を用いて前記後行鋼板の現在の伸び率変化率を求め、該伸び率変化率から伸び率が前記設定伸び率に到達する際の圧延荷重を求めて仮目標荷重とする工程と、
前記伸び率変化率から前記一定サンプリング時間だけ経過した次の測定で予想される伸び率増加量を算出して、前記後行鋼板の次の測定時の予想伸び率を求める工程とを有し、
前記予想伸び率が前記設定伸び率を超える場合に、前記仮目標荷重を前記油圧シリンダの荷重制御の最終目標荷重とし、圧延荷重が該最終目標荷重に到達した時点で、前記後行鋼板の伸び率制御を開始することを特徴とする調質圧延方法。
【請求項4】
請求項3記載の調質圧延方法において、前記油圧シリンダによる圧延荷重が前記最終目標荷重に到達した時点で、前記後行鋼板に負荷されている圧延荷重を前記後行鋼板の伸び率制御の荷重初期値に設定して該後行鋼板の伸び率制御を行うことを特徴とする調質圧延方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−224595(P2011−224595A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95286(P2010−95286)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【出願人】(390022873)日鐵プラント設計株式会社 (275)
【Fターム(参考)】