説明

警備システムおよび破壊検知装置

【課題】 外部表示装置としての誘導灯に対する破壊行為があった場合にはいち早く侵入異常信号を送信する。
【解決手段】 警備システム1は、監視領域に設置された各種センサ2によって異常を監視する監視装置3と、監視装置3が監視した異常の発生を監視領域の外部に対して表示する誘導灯4と、監視装置3からの異常信号を受信する監視センタ5とを有する。誘導灯4には、誘導灯4が破壊されたことを検知したときに監視装置3へ破壊検知信号を出力する破壊検知部13が設けられる。監視装置3は、誘導灯4の破壊検知部13から破壊検知信号が入力されたときに監視領域に侵入者が侵入した旨の侵入異常信号を監視センタ5に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視対象となる建物の監視領域における異常の発生を監視領域の外部に対して表示する、例えば誘導灯などの破壊を検知する警備システムおよび破壊検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、誘導灯は、例えば警備会社が提供するオンラインの警備システムで使用されている。この種の警備システムでは、図6に示すように、警備対象となる建物51内に異常が発生すると、侵入者が侵入した旨を通知する侵入異常信号が監視センタ52へ通報されるとともに、屋外に設置された対処車誘導装置としての誘導灯53が起動される。
【0003】
監視センタ52では、侵入異常信号によって異常を把握すると、最寄りの対処車54を呼出して即座に現場に直行させる。そして、対処車54の対処員は、屋外に設置された誘導灯53を確認することで、異常のあった建物51を特定し、当該建物51の点検を開始する。
【0004】
このように、警備システムにおける誘導灯53は、警備対象となる建物51に異常が発生したことを周囲に報知し、付近に来た対処員が異常の発生した建物51を特定させる役割を担っている。
【0005】
また、誘導灯53は、監視領域である建物51の外部に設置されており、たとえ誘導灯53が破壊されたとしても建物51へ実際に侵入されている状態ではない。また、誘導灯53が破壊されたとしても、建物51への侵入が容易になるわけでもない。更に、電球の「球切れ」の場合など、誘導灯53は故意の破壊行為以外の要因で破損することがある。このため、従来の警備システムでは、誘導灯53が破壊されても、それを検知しないか、誘導灯53が破損したことを検出したとしても、侵入異常のような緊急性の高い異常と区別し、機器の故障として侵入異常より緊急性の低い異常として扱われていた。
【特許文献1】特開昭59−3600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、建物51への侵入者は、警備システムが導入されていることを事前に知ると、建物51での異常発生を周辺に報知するのを阻止し、対処員の到着を遅らせるために、誘導灯53を破壊することが多くなってきた。
【0007】
監視センタ52では、誘導灯53が破壊された時点では侵入異常信号が送信されないために、異常事態の発生を把握することができない。すなわち、監視センタ52では、建物51内部に押入る前に破壊行為が行われているにもかかわらず、侵入者が建物51内部に実際に押入り、建物51に設置されているセンサが感知した時点で初めて異常があったことを知ることになる。
【0008】
また、例え、誘導灯53の破壊行為を検出したとしても、侵入異常信号という緊急性の高い異常と異なり、緊急性の低い機器異常信号として監視センタに送信することとなり、同様の結果となっていた。
【0009】
このように、従来の警備システムでは、誘導灯53が破壊された場合、緊急事態の可能性があるにもかかわらず、対応が遅れるという問題があった。また、従来は、誘導灯53が外力によって破壊されたことを、経年変化等による球切れと区別して検知できる破壊検知装置は提案されておらず、緊急性の高い破壊行為を単独で検知することができないという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題を解決するため、例えば誘導灯などの外部表示部に対する破壊行為を検知できる破壊検知装置を提供するとともに、外部表示部に対する破壊行為があった場合には侵入者が侵入を企てているものとしていち早く緊急性が高い侵入異常信号を監視センタへ送信することができる警備システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載された警備システムは、監視領域に発生した異常を監視する監視装置と、前記異常の発生を前記監視領域の周囲に対して報知する外部設置の外部表示装置と、前記監視装置からの異常信号を受信する監視センタとを有する警備システムにおいて、
前記外部表示装置は、該外部表示装置が破壊されたことを検知したときに前記監視装置へ破壊検知信号を出力する破壊検知部を具備し、
前記監視装置は、前記破壊検知信号が入力されたときに前記監視領域に侵入者が侵入した旨の侵入異常信号を前記監視センタに送信することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載された警備システムは、請求項1の警備システムにおいて、
前記外部表示装置は、
更に、異常の発生を発光によって前記監視領域の外部に対して表示する発光管と該発光管を制御する基板とを具備し、
前記破壊検知部は、
前記発光管と前記基板との間に立設され、両端が前記基板に接続される導体部を含み、前記発光管に加わる外力を受ける脆弱性を有する脆性部材を備え、前記発光管に前記外力が加わって前記導体部が破損したときに破壊を検知することを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載された破壊検知装置は、破壊検知対象物と、
前記破壊検知対象物を制御する基板と、
前記破壊検知対象物と前記基板との間に立設され、両端が前記基板に接続される導体部を含み、前記破壊検知対象物に加わる外力を受ける脆弱性を有する脆性部材と、
を有することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載された破壊検知装置は、請求項3の破壊検知装置において、
前記脆性部材は、前記基板と同一素材で形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載された破壊検知装置は、請求項3又は請求項4の破壊検知装置において、
前記脆性部材は、前記破壊検知対象物に近接又は接する箇所と前記基板との間に空間を形成する形状にて前記基板に立設していることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載された破壊検知装置は、請求項3乃至請求項5の何れかの破壊検知装置において、
前記脆性部材は、前記基板に対して傾斜して取り付けられ、前記基板との取り付け部分には切り欠き部が設けられ、前記破壊検知対象物を抱持するように形成された受け部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の警備システムによれば、誘導灯に対する破壊行為を検知して侵入異常信号を監視センタへ送信するので、侵入者が建物内部に実際に押し入る前にいち早く異常の発生を監視センタで把握することができる。
【0018】
破壊検知対象物と基板との間に脆弱性を有する部材を設ける構成としたので、外部から破壊検知機能があることを視認困難としつつ、破壊を検知することができ、防犯上好ましいものとなる。
また、破壊検知対象物そのものが破壊されなかったとしても、脆性部材が破損すれば、破壊行為を検知することができる。
【0019】
脆性部材を基板と同一素材にて形成すれば、脆性部材の製造が容易となり、基板上に立設する構造を簡単に形成することができる。
【0020】
脆性部材を、破壊検知対象物に近接又は接する箇所と基板との間に空間を形成する形状とすれば、脆性部材の脆弱性が増し、より確実に破壊行為を検知することができる。
【0021】
脆性部材を基板に対して傾斜して取り付け、脆性部材と基板との取り付け部分に切り欠き部を設け、さらに破壊検知対象物を抱持するように形成された受け部を設ければ、破壊検知対象物が基板に対して垂直に移動せず、斜めに移動したとしても、受け部が脆性部材の傾斜方向へ撓むように案内され、切り欠き部において脆性部材が破損することとなり、破壊行為を確実に検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る破壊検知装置および警備システムについて図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る破壊検知装置を含む警備システムの概略構成図、図2は本発明に係る破壊検知装置としても機能する誘導灯の内部構成の概略断面図、図3乃至図5は本発明に係る破壊検知装置の破壊検知部の各種構成例を示す概略図である。
【0023】
警備システム1は、各種センサ2、監視装置3、破壊検知装置の機能を有する外部表示部としての誘導灯4、監視センタ5、対処車6によって構築される。そして、各種センサ2、監視装置3、誘導灯4が監視対象となる建物7に設置されて建物全体を監視し、監視センタ5が監視装置3からの通報によって建物7の異常を監視し、対処車6が監視センタ5からの要請を受けて異常の発生した建物7に直行して異常に対処するようになっている。
【0024】
各種センサ2は、監視対象となる建物7内部の各所に設置される。具体的に、各種センサ2は、例えば窓の開閉を監視するマグネットセンサ、赤外線を受光してその変化量から人体を検知する赤外線センサ、緊急事態が起こったときに利用者が押下する非常ボタンなどで構成される。これら各種センサ2は、建物7内部の監視装置3と接続され、それぞれの検知信号が監視装置3に入力される。
【0025】
図1に示すように、監視装置3は、センサ入力部3a、モード設定部3b、制御部3c、警報部3d、通信部3eを備えて概略構成される。
【0026】
センサ入力部3aは、建物7内部に設置される各種センサ2からの検知信号が入力される。また、センサ入力部3aには、誘導灯4に設けられた後述する破壊検知部13からの破壊検知信号も入力される。
【0027】
モード設定部3bは、監視モードと、解除モードとを利用者が適宜切り替えるものである。なお、監視モードは、建物7内が無人状態のときに設定され、センサ入力部3aに入力される信号を監視するモードである。これに対し、解除モードは、建物7内が有人状態であるときに設定され、監視状態を解除するモードである。このモード設定部3bによるモードの切り替えは、例えばカードリーダーが読み取ったカード内の認証情報、テンキー入力による暗証番号などの認証に基づいて行われる。
【0028】
制御部3cは、モード設定部3bによって設定されたモードに応じて各部を統轄制御している。制御部3cは、監視モード中に、センサ入力部3aを介して入力される各種センサ2からの検知信号に基づいて監視対象となる建物7に異常が発生したか否かを判別し、建物7の異常を判別したときに、監視領域に侵入者が侵入した旨の侵入異常信号を監視センタ5に通知するべく通信部3eを制御している。また、同時に、異常を示す報知を行うべく警報部3dを制御するともに、誘導灯4の後述する発光管11を発光するべく出力制御部12を制御している。
【0029】
また、制御部3cは、モード設定部3bのモード状態に関係なく、誘導灯4の後述する破壊検知部13から破壊検知信号がセンサ入力部3aを介して入力されたときに、監視領域に侵入者が侵入した旨の侵入異常信号を監視センタ5に通知するべく通信部3eを制御している。
【0030】
なお、モード設定部3bが監視モードの場合のみ、誘導灯4からの破壊検知信号がセンサ入力部3aを介して入力されると、監視領域に侵入者が侵入した旨の侵入異常信号を監視センタ5に通知するべく通信部3eを制御する構成としてもよい。また、制御部3cは、誘導灯4から破壊検知信号がセンサ入力部3aを介して入力されたときに、後述する発光管11への駆動電源の供給を停止するべく出力制御部12を制御すれば、誘導灯4への無駄な消費電力を抑えることもできる。
【0031】
警報部3dは、例えばブザー等で構成され、制御部3cの制御により鳴動して異常が発生したことを報知している。
【0032】
通信部3eは、制御部3cの制御により異常が発生したことを電話回線等を通じて監視センタ5へ通信するべく侵入異常信号を送信している。
【0033】
図1に示すように、外部表示部としての誘導灯4は、発光管11、出力制御部12、破壊検知部13を備えている。誘導灯4は、監視対象となる建物7の外部、具体的には建物7の出入口付近の外壁など、建物7の外から見て目立つ場所に設置される。
【0034】
図2に示すように、破壊検知対象物としての発光管11は、基部をなすベース部材14と、光透過性を有するカバー15とからなる誘導灯4の本体をなす筐体16内に収納して設けられる。具体的に、発光管11は、棒状をなして軸線方向(図2の紙面と直交する方向)の両端に端子11aを備えている。そして、発光管11は、ベース部材14上の基板17から所定高さ浮いた状態の位置で両端の端子11aが例えば金属線の導線からなる支持体18を介して半田付けなどにより基板17に固定して配線接続される。
【0035】
なお、基板17は、ベース部材14に固定されており、例えばベークライト、布フェノール、紙エポキシ樹脂、ガラスエポキシ樹脂などで構成され、発光管11を発光させるための出力制御部12を含めて各種回路部品が実装されている。
【0036】
発光管11は、気体中放電を利用した瞬間閃光光源で構成することができ、例えばキセノン・ネオン・アルゴン・クリプトン等の希ガス入り発光管からなる。この発光管11は、制御部3cから出力制御部12を介して駆動電源が供給され、制御部3cを介して出力制御部12の制御により、異常発生時に点灯や点滅による発光動作を行う。
【0037】
出力制御部12は、制御部3cの制御によって発光管11に駆動電源を供給するとともに、異常発生時に点灯や点滅により異常の発生を監視領域の外部に知らせるべく発光管11を発光駆動している。
【0038】
このように、異常発生時には、発光管11が発光して点灯や点滅を行い、外部に異常を報知することにより、対処車6の対処員が異常の発生した建物7をすぐに特定することができるようになっている。
【0039】
破壊検知部13は、誘導灯4が破壊されたことを検知したときに、監視装置3のセンサ入力部3aに破壊検知信号を出力している。すなわち、本例の誘導灯4は、外部からの破壊行為を検知する破壊検知装置としても機能する。
【0040】
以下、誘導灯4が破壊検知装置として機能するために装備する破壊検知部13の具体的な構造について図2乃至図5を用いて詳述する。
【0041】
図2の破壊検知部13は、基板17と同材質の脆弱性を有する薄板状に形成され、2本の橋脚部21の間に1本の橋桁部22が一体形成されたコ字状の脆性部材23から構成される。この脆性部材23は、2本の橋脚部21の端部が基板17に固定される。脆性部材23は、発光管11の駆動時の熱の影響を直接受けないように、発光管11の直下に近接した状態で所定距離離れて基板17上に立設される。また、脆性部材23には、導体部としての1本の導体パターン24が例えば印刷により形成されている。そして、脆性部材23を基板17と同材質にすることにより、基板17の加工工程時に導体パターン24を含めて同時に製造できるので、安価に構成できるとともに、脆性部材23の製造工程の簡略化も図れる。また、脆性部材23を基板17上に立設した構造を容易に形成することができる。
【0042】
図2において、導体パターン24は、橋脚部21および橋桁部22の各表面のほぼ中央部分に位置し、橋脚部21および橋桁部22の幅より狭い幅で脆性部材23の形状(コ字状)に沿って形成されている。そして、この導体パターン24は、両端が基板17上の配線パターンを介してセンサ入力部3aに配線接続される。なお、導体パターン24は、外部からの破壊行為によって誘導灯4が破壊されたときに破損する形状であれば良く、例えば図2において橋脚部21と橋桁部22の全面や縁寄りに導体パターン24を形成することもできる。
【0043】
また、導体パターン24は、脆性部材23の表裏両面に形成することもできるが、発光管11の反対側の一方の面のみに形成すれば、発光管11の発光時の発熱による焼きつきで導体パターン24が破損するのを防止することができる。
【0044】
上記構成による破壊検知部13は、脆性部材23の導体パターン24の両端がセンサ入力部3aに接続され、この導体パターン24に対して制御部3cから所定の電力が供給される。なお、モードに関係なく誘導灯4の破壊検知を行う場合、導体パターン24に対して常時電力が供給される。これに対し、監視モード時のみ誘導灯4の破壊検知を行う場合には、監視モード中のみ導体パターン24に対して電力が供給される。これにより、誘導灯4の破壊検知時に、外部からハンマー等でカバー15を通して発光管11を破壊しようとすると、この発光管11の破壊に伴って発光管11が基板17方向へ移動するので、この発光管11の移動によって脆性部材23に対しても力が加わり、脆性部材23の導体パターン24が破損(破断を含む)する。そして、脆性部材23の導体パターン24が破損すると、センサ入力部3aを介して導体パターン24に供給される電力(電流、電圧を含む)が変化し、このときの電力が破壊検知信号としてセンサ入力部3aを介して制御部3cに入力される。制御部3cでは、センサ入力部3aから入力される破壊検知信号の電力と予め設定された基準電力とを比較し、破壊検知信号の電力が基準電力より小さいときに異常有りと判定する。また、電力を供給したときの導体パターン24における抵抗値の変化から異常を判定してもよい。以上により、例えば、発光管11への電力の通電状態を監視して判定するような球切れの異常と発光管11に対する破壊行為の異常とを区別して監視センタ5へ異常を送信することができる。
【0045】
このように、上述した図2の破壊検知部13では、脆性部材23に橋状の形態を採用している。この場合、橋桁部22上面の中央部が発光管11の直下に近接するように配置され、さらに橋脚部21の一端は基板17上に固定されている。脆性部材23を橋状とすると、橋桁部22と基板17との間に空間25が形成されることとなる。これにより、図2における上方向からの力に対する脆性部材23の脆弱性が増す。従って、発光管11に対して圧力が加わり、基板17方向へ移動したときの力によって脆性部材23が確実に破損する。これにより、発光管11が破壊されたときに、脆性部材23が破損しないようなことが無く、確実に誘導灯4の破壊を検知することができる。
【0046】
なお、脆性部材23は、図2に示す橋状の形態に限定されるものではない。すなわち、脆性部材23は、脆性部材23から見て発光管11の反対側から発光管11に外力が加わって発光管11が移動したときに、脆性部材23が破損しやすいように基板17との間に空間25を有する構成であれば良い。例えば導体パターン24を有する略U字状の脆性部材23を発光管11の直下に近接して配置し基板17に固定して用いることもできる。
【0047】
次に、図3(a)の破壊検知部13は、図2の破壊検知部13における脆性部材23の橋脚部21を1本で構成したものである。この構成において、脆性部材23は、橋桁部22の橋脚部21の無い先端が発光管11の直下に近接して所定距離離れて位置し、基板17に固定して設けられる。また、導体パターン24は、橋脚部21から橋桁部22にわたってコ字状に形成されており、両端が基板17上の配線パターンを介してセンサ入力部3aに配線接続される。これにより、発光管11が破壊されて基板17方向へ移動したときの力が脆性部材23に伝達されやすくなり、発光管11の破壊に伴って脆性部材23の導体パターン24が破損し、確実に誘導灯4の破壊を検知することができる。
【0048】
なお、図3(a)の構成では、橋脚部21と橋桁部22との接続部分の角度θが90°となっているが、この角度θを鋭角にすれば、橋脚部21と橋桁部22の結合部分の脆弱性が増し、確実に異常を検知することができる。
【0049】
次に、図3(b)の破壊検知部13は、導電性を有する2つの支持体31と、導体部としての例えば銅線等の導電性を有する金属細線32とによって脆性部材23を構成している。この破壊検知部13は、2つの支持体31が所定間隔をおいて垂直又は斜めに立設して一端が基板17に固定され、他端同士が金属細線32で接続されている。この構成の場合においても、発光管11が破壊されて基板17方向へ移動したときの力が脆性部材23に伝達され、発光管11の破壊に伴って脆性部材23の金属細線32が破損し、確実に誘導灯4の破壊を検知することができる。
【0050】
次に、図3(c)の破壊検知部13は、図2の構成において、橋桁部22の発光管11と対向する位置に発光管11を抱持する受け部33が設けられたものである。図3(c)の例では、円柱棒状の発光管11の中央に位置して発光管11を抱持するようにV字状の受け部33が橋桁部22に設けられている。そして、この受け部33の傾斜面33aによって発光管11を受け止める構成となっている。この構成によれば、発光管11が破壊行為により押圧された際、発光管11が基板17に対して垂直方向に移動せず、斜めに移動したとしても、受け部33が発光管11の移動を傾斜面33aで受け止め、この傾斜面33aがガイドの役目を果たすので、破壊行為の検知を更に確実なものとすることができる。
【0051】
図4、図5を用いて、本発明の好適な一実施例を示す。図4は破壊検知部13となる基板17と脆性部材23との取付構造の具体例を示している。この破壊検知部13は、図3(c)の受け部33を有する橋状の脆性部材23で構成され、2つの橋脚部21が円柱棒状の発光管11を挟むように発光管11の中心軸線と直交する発光管11の両側に位置し、かつ橋桁部22中央の受け部33が発光管11を抱持するように位置して、全体が基板17の水平な取付面17aに対して所定角度傾斜した傾斜部となって橋脚部21が基板17に固定されたものである。さらに、図5に示されるように橋脚部21の基板17側の端部付近には切り欠き部26が設けられている。この構成によれば、破壊行為により発光管11が基板17に対して斜めに移動した場合(図5中右下方向又は左下方向)、受け部33の傾斜面33aが発光管11の移動を受け止める。そして、取付面17aに対し所定方向に傾斜して固定された脆性部材23は、受け部33の傾斜面33aに加わる力により、当該傾斜面33aに案内されて所定方向に撓む。この脆性部材23の撓みにより、橋脚部21は切り欠き26にて破損することとなる。したがって、脆性部材23を基板17の取付面17aに対して垂直に固定した場合と比較して、脆性部材23の脆弱性が更に増し、発光管11が破壊されて脆性部材23が破損しないことがなく、確実に誘導灯4の破壊を検知することができる。
【0052】
図5は破壊検知部13における脆性部材23の形状を示している。図5では、図3(c)の構成による薄板状の脆性部材23において、両側の橋脚部21の先端部分に導電性を有する凸状の取付部34を設け、この凸状の取付部34を基板17の対応する取付孔17bに嵌合して半田付けし、脆性部材23を基板17に固定したものである。この取付構造によれば、基板17上に脆性部材23を容易に設置することが可能となる。また、橋脚部21には前述の切り欠き部26が設けられている。
【0053】
ところで、上述した形態では、薄板状の脆性部材23に1本の線状による導体パターン24として形成したもの、支持体31に支持された1本の金属細線32として形成したものを導体部として採用しているが、この構成に限定されるものではない。また、脆性部材23の基板17に対する取付形態も図4の構成に限定されるものではない。図4の例では、脆性部材23全体が傾斜部をなして基板17の取付面17aに対して所定角度傾斜して取り付けられた構成であるが、脆性部材23の一部分、例えば基板17寄りの一部分や発光管11寄りの一部分に傾斜部を有して取り付ける構成とすることもできる。すなわち、脆性部材23は、誘導灯4の破壊行為時に導体部(導体パターン24、金属細線32)が脆性部材23と一緒に破損する構成であればどのような形態でも良く、図示のものに限定されない。また、破壊検知対象物として発光管を例として説明したが、これに限定されるものではない。また、発光管11と脆性部材23とは所定距離離れて設けられている構成を例として挙げたが、接するように構成してもよい。
【0054】
次に、上記のように構成される破壊検知装置としての誘導灯4を含む警備システム1において、破壊行為が行われたときの動作について以下に説明する。
【0055】
侵入者が誘導灯4を破壊しようとする場合、誘導灯4内部の発光管11を狙ってハンマーやバール等の道具を使ってカバー15に対して打撃を加える。この打撃により発光管11が基板17の方向へ移動し、この発光管11の移動により脆性部材23に対して力が加わる。脆性部材23は、発光管11の移動に伴う加圧力にある程度耐えるが、やがてこの加圧力に対して耐え切れなくなり、導体部としての導体パターン24や金属細線32が破損(破断)する。制御部3cでは、脆性部材23における導体部(導体パターン24や金属細線32)の導通状態をセンサ入力部3aを介して監視することによって導体部の破損を判断している。そして、導体部が破損して導通状態が変化する(導体パターン24や金属細線32が破断したときは導通状態でなくなる)と、警報部3dを駆動させるとともに、通信部3eによって、監視センタ5へ侵入異常信号を送出する。
【0056】
図4、図5にて示した例においては、破壊行為による発光管11の移動方向(脆性部材23に対する加圧力の方向)が、基板17に対して垂直となる方向である場合、上述のように脆性部材23が加圧力に耐え切れず導体部としての導体パターン24が破損することとなる。
【0057】
また、図4、図5にて示した例において、破壊行為による発光管11の移動方向が、基板17に対して斜めである場合(図5中右下方向又は左下方向)、受け部33の傾斜面33aが発光管11の移動を受け止める。そして、取付面17aに対し所定方向に傾斜して固定された脆性部材23は、受け部33の傾斜面33aに加わる力により、当該傾斜面33aに案内されて所定方向に撓む。この脆性部材23の撓みにより、橋脚部21は切り欠き部26にて破損することとなる。
【0058】
以上の構成により、本例の破壊検知装置(誘導灯4)を含む警備システム1を採用すれば、誘導灯4が破壊された時点で監視装置3が侵入異常信号として監視センタ5へ異常を通知するので、いち早く異常を監視センタ5で把握することが可能となる。
【0059】
そして、本例の破壊検知部13は、透光性を有するカバー15の外から見て、発光管11の奥側(基板17側)に配置されるので、外観上、すなわちカバー15を通して外部から壊検知機能の識別が困難となる。
【0060】
また、本例の破壊検知部13では、破壊行為により発光管11に対して外部から圧力が加わった場合、発光管11の移動によって確実に破壊検知部13の脆性部材23および導体部(導体パターン24、金属細線32)に力が伝達されるので、発光管11の破壊と同時あるいはそれ以前に破壊行為を検知することができる。つまり、破壊行為により発光管11が発光不能にならなかった場合でも、脆性部材23が破損していれば破壊行為を検知することができる。そして、脆性部材23の少なくとも一部に傾斜部を有して基板17に固定する構成とすれば、発光管11が破壊されたときに発光管11の移動に伴って加えられる力によってより確実に脆性部材23および導体部を損傷させて破壊行為を検知することができる。
【0061】
さらに、本例のいずれの破壊検知部13の構成でも、脆性部材23における発光管11の反対側に空間25が設けられるので、脆性部材23の脆弱性が増す。これにより、破壊行為をより確実に検知することができる。
【0062】
そして、破壊検知部13として脆性部材23に受け部33を設けた図3(c)の構成を採用すれば、破壊行為が行われたときに脆性部材23に対して直線的に圧力が加わらなくても、受け部33が発光管11を抱持するので、発光管11を破壊する行為があったときに、発光管11に加えられた力を脆性部材23に伝達して脆性部材23の導体部を確実に破損することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る破壊検知装置を含む警備システムの概略構成図である。
【図2】本発明に係る破壊検知装置としても機能する誘導灯の内部構成の概略断面図である。
【図3】(a)〜(c) 本発明に係る破壊検知装置の破壊検知部の各種構成例を示す概略図である。
【図4】本発明に係る破壊検知装置の破壊検知部の他の構成例を示す部分斜視図である。
【図5】本発明に係る破壊検知装置の破壊検知部の他の構成例を示す概略図である。
【図6】従来の警備システムの概略構成図である。
【符号の説明】
【0064】
1 警備システム
2 センサ
3 監視装置
3a センサ入力部
3b モード設定部
3c 制御部
3d 警報部
3e 通信部
4 誘導灯(外部表示装置、破壊検知装置)
5 監視センタ
6 対処車
11 発光管
12 出力制御部
13 破壊検知部
14 ベース部材
15 カバー
16 筐体
17 基板
17a 取付面
17b 取付孔
18 支持体
21 橋脚部
22 橋桁部
23 脆性部材
24 導体パターン(導体部)
25 空間(逃げ部)
26 切り欠き部
31 支持体
32 金属細線(導体部)
33 受け部
33a 傾斜面
34 凸状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域に発生した異常を監視する監視装置と、前記異常の発生を前記監視領域の周囲に対して報知する外部設置の外部表示装置と、前記監視装置からの異常信号を受信する監視センタとを有する警備システムにおいて、
前記外部表示装置は、該外部表示装置が破壊されたことを検知したときに前記監視装置へ破壊検知信号を出力する破壊検知部を具備し、
前記監視装置は、前記破壊検知信号が入力されたときに前記監視領域に侵入者が侵入した旨の侵入異常信号を前記監視センタに送信することを特徴とする警備システム。
【請求項2】
前記外部表示装置は、
更に、異常の発生を発光によって前記監視領域の外部に対して表示する発光管と該発光管を制御する基板とを具備し、
前記破壊検知部は、
前記発光管と前記基板との間に立設され、両端が前記基板に接続される導体部を含み、前記発光管に加わる外力を受ける脆弱性を有する脆性部材を備え、前記発光管に前記外力が加わって前記導体部が破損したときに破壊を検知することを特徴とする請求項1記載の警備システム。
【請求項3】
破壊検知対象物と、
前記破壊検知対象物を制御する基板と、
前記破壊検知対象物と前記基板との間に立設され、両端が前記基板に接続される導体部を含み、前記破壊検知対象物に加わる外力を受ける脆弱性を有する脆性部材と、
を有することを特徴とする破壊検知装置。
【請求項4】
前記脆性部材は、前記基板と同一素材で形成されている請求項3記載の破壊検知装置。
【請求項5】
前記脆性部材は、前記破壊検知対象物に近接又は接する箇所と前記基板との間に空間を形成する形状にて前記基板に立設している請求項3又は請求項4に記載の破壊検知装置。
【請求項6】
前記脆性部材は、前記基板に対して傾斜して取り付けられ、前記基板との取り付け部分には切り欠き部が設けられ、前記破壊検知対象物を抱持するように形成された受け部を有する請求項3乃至請求項5の何れかに記載の破壊検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−99673(P2006−99673A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287933(P2004−287933)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】