警備制御装置及び警備制御方法
【課題】監視対象の不正な持ち出しを検知可能であると共に、誤報の発生を低減可能な警備制御技術を提供する。
【解決手段】警備状態設定部102は、利用者の操作に応じて、警備モード又は警備解除モードを設定する。警報出力部101は、ICタグリーダ300がICタグ200から読み取った識別情報に基づいて、ICタグリーダ300との通信が不能になったICタグ200を特定し、特定されたICタグ200について状態記憶部103に記憶されている通信状態を、警備モードが設定されている場合には「不明」に更新し、警備解除モードが設定されている場合には「非監視」に更新する。警報出力部101は、警備モードが設定されている場合、通信状態が「不明」に更新されたICタグリーダ300が取り付けられた監視対象について警報情報を監視センタ400に送信する。
【解決手段】警備状態設定部102は、利用者の操作に応じて、警備モード又は警備解除モードを設定する。警報出力部101は、ICタグリーダ300がICタグ200から読み取った識別情報に基づいて、ICタグリーダ300との通信が不能になったICタグ200を特定し、特定されたICタグ200について状態記憶部103に記憶されている通信状態を、警備モードが設定されている場合には「不明」に更新し、警備解除モードが設定されている場合には「非監視」に更新する。警報出力部101は、警備モードが設定されている場合、通信状態が「不明」に更新されたICタグリーダ300が取り付けられた監視対象について警報情報を監視センタ400に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警備制御装置及び警備制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、携帯電話販売店から携帯電話などの物品が盗まれるという事件が多発している。このような事件を防ぐために、閉店後の店内にセンサ網を張り巡らせて不審者の侵入を検知する機械警備システムを導入するという方法がある。しかし、センサ網をかいくぐった侵入があった場合、物品の盗難を検知することは困難である。
【0003】
また、近年では、図書館に、無線により通信を行なうRFID(Radio Frequency Identification)タグ及びRFIDリーダを用いた図書検索システムが導入されている。この図書検索システムでは、本にRFIDタグが貼り付けられると共に、本棚にRFIDリーダが取り付けられている。そして、RFIDリーダと通信可能なRFIDタグが貼り付けられた本は本棚に収納されていると判断される。このような構成によれば、図書館の利用者は、読みたい本が収納されている本棚の場所をすばやく検索することができる。また、このようなRFIDタグを商品などの物品に取り付けて、物品棚に収納される多数の物品を管理する物品管理システムも開発されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
このような物品管理システムと上述の機械警備システムとを連動させることにより、物品の不正な持ち出しを検知して警報を監視センタに送信するシステム(盗難検知システム)を構築することができる。例えば、警備中に、RFIDタグが取り付けられた物品AとRFIDリーダAとの距離が離れたとき、即ち、物品AとRFIDリーダAとの間で通信ができなくなったときに、物品Aが不正に持ち出されているものと判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−217304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、例えば、地震により物品AとRFIDリーダAとの距離が離れたり、停電により物品AとRFIDリーダAとの通信ができない状態になったりする場合がある。この場合、盗難検知システムでは、「物品Aが不正に持ち出された」と誤った判断をする恐れがあり、誤報が発生する恐れがある。また、例えば、警備開始前に、棚卸しなどの何らかの理由により、店員が棚から複数の物品を持ち出したまま、元の位置に戻すことを忘れる場合もある。このような場合にも、正常な持ち出しであるにも関わらず盗難検知システムでは上述と同様の誤った判断をする恐れがあり、誤報が発生する恐れがある。警報が監視センタで受信されると、警備員が現場に急行して、安全確認を行なわなければならないため、誤報が発生すると、労力の無駄が生じることになる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、物品などの監視対象の不正な持ち出しを検知可能であると共に、誤報の発生を低減可能な警備制御装置及び警備制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、監視領域における異常を検知した場合に異常を検知した旨を示す警報情報をネットワークに接続された監視センタに送信する警備制御装置において、監視対象には、当該携帯型情報記憶媒体を識別する識別情報を記憶した携帯型情報記憶媒体が取り付けられ、通信可能な範囲にある前記携帯型情報記憶媒体から前記識別情報を読み取る読取装置が、前記監視領域内に設置され、利用者の操作に応じて、前記監視領域において異常を検知した場合に前記監視センタに前記警報情報を通報する警備モード又は前記監視領域において異常を検知した場合であっても前記監視センタに前記警報情報を通報しない警備解除モードを設定する警備状態設定部と、前記携帯型情報記憶媒体と前記読取装置との通信状態を前記識別情報毎に記憶する記憶部と、前記読取装置が読み取った前記識別情報に基づいて、前記読取装置との通信が不能になった前記携帯型情報記憶媒体の前記識別情報を特定する特定部と、前記警備モードが設定されている場合、特定された前記携帯型情報記憶媒体について前記記憶部に記憶されている前記通信状態を第1の状態に更新し、前記警備解除モードが設定されている場合、特定された前記携帯型情報記憶媒体について前記記憶部に記憶されている前記通信状態を第2の状態に更新する更新部と、前記警備モードが設定されている場合、前記通信状態が前記第1の状態に更新された前記携帯型情報記憶媒体が取り付けられた前記監視対象について、当該監視対象が不正に持ち出された旨を示す警報情報を前記監視センタに送信する送信部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、監視領域における異常を検知した場合に異常を検知した旨を示す警報情報をネットワークに接続された監視センタに送信する警備制御装置で実行される警備制御方法であって、監視対象には、当該携帯型情報記憶媒体を識別する識別情報を記憶した携帯型情報記憶媒体が取り付けられ、通信可能な範囲にある前記携帯型情報記憶媒体から前記識別情報を読み取る読取装置が、前記監視領域内に設置され、前記警備制御装置は、警備状態設定部と、記憶制御部と、特定部と、更新部と、送信部とを備え、前記警備状態設定部が、利用者の操作に応じて、前記監視領域において異常を検知した場合に前記監視センタに前記警報情報を通報する警備モード又は前記監視領域において異常を検知した場合であっても前記監視センタに前記警報情報を通報しない警備解除モードを設定する警備状態設定ステップと、前記記憶制御部が、前記携帯型情報記憶媒体と前記読取装置との通信状態を前記識別情報毎に記憶部に記憶させる記憶制御ステップと、前記特定部が、前記読取装置が読み取った前記識別情報に基づいて、前記読取装置との通信が不能になった前記携帯型情報記憶媒体の前記識別情報を特定する特定ステップと、前記更新部が、前記警備モードが設定されている場合、特定された前記携帯型情報記憶媒体について前記記憶部に記憶されている前記通信状態を第1の状態に更新し、前記警備解除モードが設定されている場合、特定された前記携帯型情報記憶媒体について前記記憶部に記憶されている前記通信状態を第2の状態に更新する更新ステップと、前記送信部が、前記警備モードが設定されている場合、前記通信状態が前記第1の状態に更新された前記携帯型情報記憶媒体が取り付けられた前記監視対象について、当該監視対象が不正に持ち出された旨を示す警報情報を前記監視センタに送信する送信ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、監視対象の不正な持ち出しを検知可能であると共に、誤報の発生を低減可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、一実施の形態にかかる監視システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、状態記憶部103に記憶される物品監視状態情報を例示する図である。
【図3】図3は、同実施の形態にかかる警備制御装置100の行う警備制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、一変形例にかかる警備制御装置100の行う警備制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、一変形例にかかる監視システムの構成を示す図である。
【図6】図6は、一変形例にかかる警備制御装置100の行う警備制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる警備制御装置及び警備制御方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態にかかる監視システムの構成を示す図である。監視システムは、警備制御装置100と、ICタグ200と、ICタグリーダ300と、監視センタ400とから構成されている。警備制御装置100と監視センタ400とは電話回線、無線ネットワーク、インターネットなどのネットワーク500を介して接続されている。警備制御装置100と、ICタグリーダ300とは有線又は無線の接続回線を介して接続される。ICタグ200と、ICタグリーダ300とは、RFID(Radio Frequency IDentification)技術により所定の距離の範囲内で非接触で通信可能である。ICタグ200は、監視対象である商品などの物品に1つずつ取り付けられるものであり複数存在し得るが、便宜上、1つのみ図示している。ICタグリーダ300は、監視領域内に配置された物品棚でありICタグ200が取り付けられた物品が陳列される物品棚に設置される。監視領域とは、例えば、商品などの物品が陳列される店内である。尚、この監視領域には、図示しない開閉センサや空間センサが設置される。開閉センサは、扉や窓などに設置され、扉や窓の開閉状態を磁力によって検知することにより、監視領域内の異常の発生を検知する。空間センサは、人体などの侵入物を赤外線によって検知することにより、監視領域内の異常の発生を検知する。
【0013】
ICタグ200は、主に情報を記憶するためのICチップと、ICタグリーダ300と通信を行なうためのアンテナとから構成されている。このようなICタグ200として、電池が不要であるが通信距離が短いパッシブ方式のICタグを用いても、電池が必要であるが数メートル単位の通信距離を制御できるアクティブ方式のICタグを用いても良い。本実施の形態においては、ICタグ200は、各ICタグ200を識別する識別情報を記憶している。
【0014】
ICタグリーダ300は、通信可能な範囲内に存在するICタグ200を認識し、ICタグ200に記憶されている識別情報を非接触で読み取る。なお、ICタグリーダ300は、アンチコリジョン機能を実装したものを用いても良い。アンチコリジョン機能とは、複数のICタグ200に記憶されている識別情報を、これらが衝突することなく読み取る機能をいう。かかる機能を用いることにより、複数の物品が物品棚に同時に陳列される場合でもそれぞれに取り付けられたICタグ200の識別情報を各々ICタグリーダ300は取得することができる。このようなICタグリーダ300は、複数存在して、各物品棚に取り付けられ得るが、便宜上、1つのみ図示している。尚、本実施の形態においては、各ICタグリーダ300に対して、当該ICタグリーダ300と通信するICタグ200は予め定められている。各ICタグリーダ300は、予め定められたICタグ200との通信を定期的に試みて、ICタグ200に記憶された識別情報の取得を試みる。そして、各ICタグリーダ300は、各ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が可能なICタグ200の識別情報を取得してこれを警備制御装置100に出力する。
【0015】
警備制御装置100は、警報出力部101と、警備状態設定部102と、状態記憶部103と、停電検知部104と、地震検知部105と、蓄電部106とを有する。地震検知部105は、加速度センサなどから構成され、地震の発生を検知する。停電検知部104は、例えば、警備制御装置100に供給される電力の電圧を監視して、停電の発生を検知する。蓄電部106は、電力を蓄積するバッテリや無停電電源装置であり、停電が発生した場合に、警備制御装置100の有する各部に電力を供給する。
【0016】
警備状態設定部102は、警備状態として警備モード又は警備解除モードを設定するものであり、図示しない操作パネルを介して操作者の操作により設定される。警備モードとは、監視領域内に誰もいない場合に設定されるモードであり、監視領域内に設置された上述の開閉センサや空間センサが異常の発生を検知した場合には、警報情報を監視センタ400に送信するモードである。警備解除モードとは、監視領域内に設置された上述の開閉センサや空間センサが異常の発生を検知しても、監視センタ400に警報情報を送信しないモードである。
【0017】
警報出力部101は、図示しない記憶装置に記憶された警備制御プログラムに従って処理を行うものであり、監視領域内に設置された上述の開閉センサや空間センサからの検知結果と警備状態設定部102で設定された警備状態とに基づいて、異常の発生を示す警報情報を監視センタ400に送信する。また、警報出力部101は、ICタグリーダ300が出力した識別情報と警備状態設定部102で設定された警備状態とを用いて、物品が不正に持ち出されたことを検知すると、その旨を示す警報情報を監視センタ400に送信すると共に、状態記憶部103にICタグ200毎に記憶される物品監視状態情報を更新する。
【0018】
図2は、状態記憶部103に記憶される物品監視状態情報を例示する図である。状態記憶部103には、監視対象の物品に取り付けられたICタグ200の識別情報毎に物品監視状態情報が記憶される。同図に示されるように、物品監視状態情報は、ICタグ200の識別情報と、最終検知時刻と、最終警備状態と、通信状態と、警報状態とを含む。最終警備状態とは、ICタグ200が取り付けられた物品の存在が最終的に検知されたときの警備状態を示す。警備モードが設定されている場合、警報出力部101は、その最終警備状態を「ON」に更新し、その後警備解除モードに設定が変更されるとその最終警備状態を「OFF」に更新する。但し、警備解除モードが設定されている場合に、ICタグリーダ300が出力した識別情報以外の識別情報を有するICタグ200については、警報出力部101は、その最終警備状態を「OFF」に更新し、その後警備モードに設定が変更されても当該最終警備状態を「ON」に更新しない。
【0019】
通信状態とは、ICタグ200がICタグリーダ300と通信可能であるか否か、監視の必要があるか否かを示す。警報出力部101は、ICタグリーダ300が出力した識別情報と、状態記憶部103に記憶される物品監視状態情報の識別情報とを用いて、各ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が可能なICタグ200の識別情報及び通信が不能になったICタグ200の識別情報を特定して、各ICタグ200の通信状態を判断する。具体的には、警備解除モードが設定されている場合に、ICタグリーダ300が出力した識別情報以外の識別情報を有するICタグ200については、ICタグリーダ300との通信が不能になっているものの、警備が解除された状態で、当該ICタグ200が取り付けられた物品が正当に持ち出されている可能性が高い。このようなICタグ200については、警報出力部101は、通信不能であるがその監視が不要であるとして、その識別情報の物品監視状態情報の通信状態を「非監視」に更新する。また、警備モードが設定されている場合に、ICタグリーダ300が出力した識別情報以外の識別情報を有するICタグ200については、警報出力部101は、通信不能であると判断してその通信状態を「不明」に更新し、ICタグリーダ300が出力した識別情報を有するICタグ200については、通信可能であると判断して、その識別情報の物品監視状態情報の通信状態を「検知」とする。前者については、当該ICタグ200が取り付けられた物品の存在が検知されず、従って、当該物品は不正に持ち出された可能性が高いことを示し、後者の場合、当該ICタグ200が取り付けられた物品の存在が検知され、当該物品は持ち出されていないことを示す。
【0020】
最終検知時刻とは、ICタグ200が取り付けられた物品の存在が最終的に検知された時刻を示す。具体的には、警報出力部101は、ICタグリーダ300から識別情報が出力される度に、通信状態が「検知」であるICタグ200の最終検知時刻を、当該識別情報が出力された時刻に更新する。通信状態が「非監視」及び「不明」であるICタグ200については、警報出力部101は、その最終検知時刻を更新しない。
【0021】
警報状態とは、ICタグ200が取り付けられた物品が不正に持ち出されたことを示す警報情報の出力状態を示す。具体的には、警報出力部101は、警備モードが設定されている場合に、ICタグリーダ300から識別情報が出力されると、当該識別情報以外の識別情報を有するICタグ200のうち通信状態が「非監視」であるものについては、警報情報の出力をキャンセルして、その時刻と共にその旨を示すよう警報状態を更新し、当該識別情報以外の識別情報を有するICタグ200のうち通信状態が「検知」であるものについてはその通信状態を「不明」に更新して、警報情報を監視センタ400に送信し、その時刻と共にその旨を示すよう警報状態を更新する。
【0022】
このような状態記憶部103に記憶される物品監視状態情報と、停電検知部104の検知結果及び地震検知部105の検知結果とに基づいて、警報出力部101は、物品が不正に持ち出されたことを検知すると、その旨を示す警報情報を監視センタ400に送信する。尚、警報出力部101は、停電検知部104が停電の発生を検知した場合には、その旨を示す警報情報を監視センタ400に送信し、地震検知部105の地震の発生を検知した場合には、その旨を示す警報情報を監視センタ400に送信する。
【0023】
監視センタ400は、警備制御装置100から送信された警報情報を受信することによって、監視領域を監視する。
【0024】
次に、本実施の形態にかかる警備制御装置100の行う警備制御処理の手順について図3を用いて説明する。尚、例えば、閉店時などに店員が、図示しない操作パネルを介して、警備モードを設定する操作を行うと、警備状態設定部102が警備モードを設定し、監視領域の警備が開始される。このとき、警備制御装置100の警報出力部101は、状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報のうち、通信状態が「検知」である物品監視状態の最終警備状態を「ON」に更新する。そして、ICタグリーダ300から識別情報が出力される度に、警報出力部101は、当該識別情報を取得し(ステップS1)、当該識別情報を用いて、各ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が不能になったICタグ200があるか否かを判断する(ステップS2)。通信が不能になったICタグ200がある場合、その識別情報が特定される。尚、ICタグリーダ300から識別情報が出力される度に、警報出力部101は、当該識別情報について、状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報の最終検知時刻を更新する。
【0025】
通信が不能になったICタグ200がある場合(ステップS2:YES)、警報出力部101は、停電検知部104が停電の発生を検知したか否かを判断する(ステップS3)。停電検知部104が停電の発生を検知した場合(ステップS3:YES)、当該ICタグ200とICタグリーダ300との通信が不能になったのは停電の発生が原因である可能性が高い。この場合、警報出力部101は、当該ICタグ200が取り付けられた物品が不正に持ち出されたことを示す警報情報の出力をキャンセルし、当該警報情報を監視センタ400に送信しない(ステップS9)。尚、停電が発生している場合であっても監視領域の警備を継続するため、この場合、警備制御装置100は蓄電部106から供給される電力により動作する。但し、この場合、警報出力部101は、停電の発生を検知した旨を示す警報情報を監視センタ400に送信する。その後ステップS1に戻る。ステップS2の判断結果が否定的である場合もステップS1に戻る。
【0026】
停電検知部104が停電の発生を検知していない場合(ステップS3:NO)、警報出力部101は、地震検知部105が地震の発生を検知したか否かを判断する(ステップS4)。地震検知部105が地震の発生を検知した場合(ステップS4:YES)、当該ICタグ200とICタグリーダ300との通信が不能になったのは、地震の発生により、当該ICタグ200が取り付けられた物品が、ICタグリーダ300が取り付けられた物品棚から落下等している可能性が高い。この場合、警報出力部101は、当該ICタグ200が取り付けられた物品が不正に持ち出されたことを示す警報情報の出力をキャンセルする(ステップS8)。但し、この場合、警報出力部101は、地震の発生を検知した旨を示す警報情報を監視センタ400に送信する。その後ステップS1に戻る。
【0027】
地震検知部105が地震の発生を検知していない場合(ステップS4:NO)、警報出力部101は、通信が不能になったと判断したICタグ200について、状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報を参照して、その識別情報に対応する通信状態が「非監視」であるか否かを判断する(ステップS5)。通信状態が「非監視」である場合(ステップS5:YES)、当該ICタグ200が取り付けられた商品は、警備解除モードが設定されていたときに店員が正当に持ち出している可能性が高い。この場合、警報出力部101は、当該ICタグ200が取り付けられた商品が不正に持ち出されたことを示す警報情報の出力をキャンセルする(ステップS7)。そして、警報出力部101は、当該識別情報の物品監視状態情報について、その時刻と共に警報情報の出力をキャンセルした旨を示すよう警報状態を更新する。その後ステップS1に戻る。
【0028】
一方、通信状態が「非監視」でない場合(ステップS5:NO)、警報出力部101は、当該識別情報のICタグ200が取り付けられた物品が不正に持ち出されたと検知して、その旨を示すと共に当該識別情報と物品監視情報における最終検知時刻とを含む警報情報を監視センタ400に送信する(ステップS6)。そして、警報出力部101は、その時刻と共に警報情報を出力した旨を示すよう警報状態を更新する。その後ステップS1に戻る。
【0029】
また、開店時などに店員が、操作パネルを介して、警備解除モードを設定する操作を行うと、警備状態設定部102が警備解除モードを設定し、監視領域の警備が解除される。このとき、警報出力部101は、状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報のうち、通信状態が「検知」である物品監視状態の最終警備状態を「OFF」に更新する。そして、ICタグリーダ300から識別情報が出力される度に、警報出力部101は、当該識別情報について、状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報の最終検知時刻を更新する。更に、警報出力部101は、当該識別情報を用いて、各ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が不能になったICタグ200があるか否かを判断する。通信が不能になったICタグ200がある場合、警報出力部101は、当該ICタグ200について状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報の通信状態を「非監視」に更新する。その後、閉店時に店員が警備モードを設定する操作を行うと、警備状態設定部102が警備モードを設定し、警報出力部101は、状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報のうち、通信状態が「検知」である物品監視状態の最終警備状態を「ON」に更新して、上述のステップS1の処理に戻る。
【0030】
以上のように、物品に取り付けられたICタグ200との通信状態と警備状態とに応じて、当該物品が不正に持ち出された可能性が高いと判断される場合には、警報情報を出力し、不正に持ち出しされている可能性が低いと判断される場合には、警報情報の出力をキャンセルすることで、誤報を低減することができる。また、このような構成によれば、警備の開始前に、物品が正しく陳列されているか否かを把握することができる。また、停電や地震の発生によりICタグ200と通信不能になった場合には、物品が不正に持ち出されている訳ではないので、警報情報の出力をキャンセルすることで、誤報を低減することができる。このような構成によれば、物品の不正持ち出しの検知と、誤報の低減とを両立させることが可能になる。
【0031】
[変形例]
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、以下に例示するような種々の変形が可能である。
【0032】
上述した実施の形態において、警備制御装置100で実行される警備制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また当該警備制御プログラムを、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
【0033】
上述した実施の形態においては、携帯型情報記録媒体として、ICタグ200を用いたが、これに限らず、例えば、FeliCaチップなどであっても良い。
【0034】
上述した実施の形態においては、監視対象である物品は、上述した商品の他、図書館の本やレンタル店のCDなどの貸し出されるものであっても良いし、美術館などで展示される絵や彫刻や書などのものであっても良い。
【0035】
上述した実施の形態において、地震検知部105は、加速度センサなどから構成されるのではなく、例えば、地震を検知した旨を報知する地震検知装置からの報知によって、地震を検知するようしても良い。例えば、地震検知部105は、ネットワークを介して緊急地震速報などの情報を取得することにより、地震の発生を検知するものであっても良い。
【0036】
また、地震検知部105は、地震の発生の有無のみならず、その震度を検知可能であっても良い。この場合、警報出力部101は、図4に示されるように、ステップS4の後、震度が所定の震度以上であるか否かを判断し(ステップS10)、当該判断結果が肯定的である場合に、ステップS8で警報情報の出力をキャンセルし、ステップS10の判断結果が否定的である場合には、ステップS5に進む。このような構成によれば、物品が物品棚から落下する程の揺れである場合には、警報情報が出力されないので誤報が低減され、一方、物品が物品棚から落下する程の揺れでない場合には、物品が不正に持ち出された可能性が高いとして警報情報が出力される。このため、物品の不正持ち出しの検知と、誤報の低減とをより効果的に両立させることができる。
【0037】
上述した実施の形態においては、警備制御装置100は、各ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が不能になったICタグ200の識別情報を示す通信不能タグ情報をICタグリーダ300から取得するようにした。しかし、これに限らず、例えば、図5に示されるように、ICタグリーダ300と、通信不能タグ判断部301とを有する物品管理装置310から、ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が不能になったICタグ200の識別情報を警備制御装置100は取得するようにしても良い。この場合、通信不能タグ判断部301が、各ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が可能であるICタグ200の識別情報をICタグリーダ300から定期的(例えば5分毎)に取得し、当該情報を用いて、各ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が不能になったICタグ200の識別情報を判断して、これを警備制御装置100に出力すれば良い。警備制御装置100は、図3のステップS1で、通信が不能になったICタグ200の識別情報を取得すると、これは即ち、通信が不能になったICタグ200の識別情報を特定したことになる。そして、通信が不能になったICタグ200があるということであるから、警備制御装置100は、ステップS2の処理を行わずに、ステップS3以降の処理を行う。また、警備制御装置100は、当該識別情報を用いて、ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が可能であるICタグ200を判断して、状態記憶部103に記憶された各物品監視状態情報を適宜更新すれば良い。
【0038】
また、物品管理装置310は、物品を管理するためのその他の機能を有していても良く、このような物品管理装置310と警備制御装置100とを組み合わせることで、物品の不正持ち出しをより効率的に検知することが可能になる。また、状態記憶部103は、警備制御装置100が有するのではなく、物品管理装置310が有するようにしても良く、警備制御装置100は、物品管理装置310から物品監視状態情報を取得して、ステップS5の処理を行うようにしても良い。
【0039】
上述した実施の形態においては、図6に示されるように、ステップS3の後、ステップS11で、警報出力部101は、ICタグリーダ300と通信可能か否かを判断するようにしても良い。ステップS11の判断結果が否定的である場合は、ステップS9で警報情報の出力をキャンセルし、ステップS11の判断結果が肯定的である場合、ステップS12で、なんらかの異常が発生した旨を示す警報情報を監視センタ400に送信するようにしても良い。即ち、停電が発生したのにも関わらず、ICタグリーダ300と通信可能でありICタグリーダ300が正常稼動しているということは、ICタグ200自体が物品から取り外されて不正に持ち出された可能性や、停電検知部104自体に異常が発生している可能性がある。このようなことから、この場合、誤報の扱いをするのではなく、なんらかの異常が発生した旨を示す警報情報を監視センタ400に送信することで、安全性を高めることが可能になる。
【0040】
上述した実施の形態においては、警報出力部101は、警報情報を監視センタ400に送信するようにした。しかし、これに限らず、警報出力部101は、音や音声を出力する音出力部を備え、警報情報の代わりに又は警報情報の送信と共に、威嚇のための警報音や警告メッセージを、音出力部を介して出力しても良い。また、警報出力部101は、赤色などの光を発光する発光部を備え、警報情報の代わりに又は警報情報の送信と共に、発光部を発光させても良い。
【0041】
また、警備制御装置100が音出力部を備える場合、ステップS7では、状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報の通信状態が「非監視」である識別情報を有するICタグ200が取り付けられた物品について、店員を喚起するための音声メッセージを音出力部を介して出力するようにしても良い。即ち、このような物品について、店員が正当に持ち出した後元の位置に戻すことを忘れている可能性がある。このため、当該物品を元の位置に戻す旨を示す音声メッセージを出力することで、その旨を店員に報知して店員を喚起するようにしても良い。
【0042】
上述した実施の形態においては、警備制御装置100は、店員が警備モードを設定する操作を行ったときに、状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報を参照して、通信状態が「非監視」のものがあるか否かを判断するようにしても良い。通信状態が「非監視」の物品監視状態情報がある場合、警備状態設定部102は、警備モードの設定を許可しない、即ち、警備解除モードから警備モードへの移行を許可しないようにしても良い。
【0043】
上述した実施の形態においては、停電の発生が検知された場合と、地震の発生が検知された場合との両方で警報情報の出力をキャンセルするようにしたが、いずれか一方の場合のみ警報情報の出力をキャンセルするようにしても良い。
【符号の説明】
【0044】
100 警備制御装置
101 警報出力部(特定部、更新部、送信部)
102 警備状態設定部
103 状態記憶部
104 停電検知部
105 地震検知部
106 蓄電部
200 ICタグ
300 ICタグリーダ
301 通信不能タグ判断部
310 物品管理装置
400 監視センタ
500 ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、警備制御装置及び警備制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、携帯電話販売店から携帯電話などの物品が盗まれるという事件が多発している。このような事件を防ぐために、閉店後の店内にセンサ網を張り巡らせて不審者の侵入を検知する機械警備システムを導入するという方法がある。しかし、センサ網をかいくぐった侵入があった場合、物品の盗難を検知することは困難である。
【0003】
また、近年では、図書館に、無線により通信を行なうRFID(Radio Frequency Identification)タグ及びRFIDリーダを用いた図書検索システムが導入されている。この図書検索システムでは、本にRFIDタグが貼り付けられると共に、本棚にRFIDリーダが取り付けられている。そして、RFIDリーダと通信可能なRFIDタグが貼り付けられた本は本棚に収納されていると判断される。このような構成によれば、図書館の利用者は、読みたい本が収納されている本棚の場所をすばやく検索することができる。また、このようなRFIDタグを商品などの物品に取り付けて、物品棚に収納される多数の物品を管理する物品管理システムも開発されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
このような物品管理システムと上述の機械警備システムとを連動させることにより、物品の不正な持ち出しを検知して警報を監視センタに送信するシステム(盗難検知システム)を構築することができる。例えば、警備中に、RFIDタグが取り付けられた物品AとRFIDリーダAとの距離が離れたとき、即ち、物品AとRFIDリーダAとの間で通信ができなくなったときに、物品Aが不正に持ち出されているものと判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−217304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、例えば、地震により物品AとRFIDリーダAとの距離が離れたり、停電により物品AとRFIDリーダAとの通信ができない状態になったりする場合がある。この場合、盗難検知システムでは、「物品Aが不正に持ち出された」と誤った判断をする恐れがあり、誤報が発生する恐れがある。また、例えば、警備開始前に、棚卸しなどの何らかの理由により、店員が棚から複数の物品を持ち出したまま、元の位置に戻すことを忘れる場合もある。このような場合にも、正常な持ち出しであるにも関わらず盗難検知システムでは上述と同様の誤った判断をする恐れがあり、誤報が発生する恐れがある。警報が監視センタで受信されると、警備員が現場に急行して、安全確認を行なわなければならないため、誤報が発生すると、労力の無駄が生じることになる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、物品などの監視対象の不正な持ち出しを検知可能であると共に、誤報の発生を低減可能な警備制御装置及び警備制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、監視領域における異常を検知した場合に異常を検知した旨を示す警報情報をネットワークに接続された監視センタに送信する警備制御装置において、監視対象には、当該携帯型情報記憶媒体を識別する識別情報を記憶した携帯型情報記憶媒体が取り付けられ、通信可能な範囲にある前記携帯型情報記憶媒体から前記識別情報を読み取る読取装置が、前記監視領域内に設置され、利用者の操作に応じて、前記監視領域において異常を検知した場合に前記監視センタに前記警報情報を通報する警備モード又は前記監視領域において異常を検知した場合であっても前記監視センタに前記警報情報を通報しない警備解除モードを設定する警備状態設定部と、前記携帯型情報記憶媒体と前記読取装置との通信状態を前記識別情報毎に記憶する記憶部と、前記読取装置が読み取った前記識別情報に基づいて、前記読取装置との通信が不能になった前記携帯型情報記憶媒体の前記識別情報を特定する特定部と、前記警備モードが設定されている場合、特定された前記携帯型情報記憶媒体について前記記憶部に記憶されている前記通信状態を第1の状態に更新し、前記警備解除モードが設定されている場合、特定された前記携帯型情報記憶媒体について前記記憶部に記憶されている前記通信状態を第2の状態に更新する更新部と、前記警備モードが設定されている場合、前記通信状態が前記第1の状態に更新された前記携帯型情報記憶媒体が取り付けられた前記監視対象について、当該監視対象が不正に持ち出された旨を示す警報情報を前記監視センタに送信する送信部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、監視領域における異常を検知した場合に異常を検知した旨を示す警報情報をネットワークに接続された監視センタに送信する警備制御装置で実行される警備制御方法であって、監視対象には、当該携帯型情報記憶媒体を識別する識別情報を記憶した携帯型情報記憶媒体が取り付けられ、通信可能な範囲にある前記携帯型情報記憶媒体から前記識別情報を読み取る読取装置が、前記監視領域内に設置され、前記警備制御装置は、警備状態設定部と、記憶制御部と、特定部と、更新部と、送信部とを備え、前記警備状態設定部が、利用者の操作に応じて、前記監視領域において異常を検知した場合に前記監視センタに前記警報情報を通報する警備モード又は前記監視領域において異常を検知した場合であっても前記監視センタに前記警報情報を通報しない警備解除モードを設定する警備状態設定ステップと、前記記憶制御部が、前記携帯型情報記憶媒体と前記読取装置との通信状態を前記識別情報毎に記憶部に記憶させる記憶制御ステップと、前記特定部が、前記読取装置が読み取った前記識別情報に基づいて、前記読取装置との通信が不能になった前記携帯型情報記憶媒体の前記識別情報を特定する特定ステップと、前記更新部が、前記警備モードが設定されている場合、特定された前記携帯型情報記憶媒体について前記記憶部に記憶されている前記通信状態を第1の状態に更新し、前記警備解除モードが設定されている場合、特定された前記携帯型情報記憶媒体について前記記憶部に記憶されている前記通信状態を第2の状態に更新する更新ステップと、前記送信部が、前記警備モードが設定されている場合、前記通信状態が前記第1の状態に更新された前記携帯型情報記憶媒体が取り付けられた前記監視対象について、当該監視対象が不正に持ち出された旨を示す警報情報を前記監視センタに送信する送信ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、監視対象の不正な持ち出しを検知可能であると共に、誤報の発生を低減可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、一実施の形態にかかる監視システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、状態記憶部103に記憶される物品監視状態情報を例示する図である。
【図3】図3は、同実施の形態にかかる警備制御装置100の行う警備制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】図4は、一変形例にかかる警備制御装置100の行う警備制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、一変形例にかかる監視システムの構成を示す図である。
【図6】図6は、一変形例にかかる警備制御装置100の行う警備制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる警備制御装置及び警備制御方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態にかかる監視システムの構成を示す図である。監視システムは、警備制御装置100と、ICタグ200と、ICタグリーダ300と、監視センタ400とから構成されている。警備制御装置100と監視センタ400とは電話回線、無線ネットワーク、インターネットなどのネットワーク500を介して接続されている。警備制御装置100と、ICタグリーダ300とは有線又は無線の接続回線を介して接続される。ICタグ200と、ICタグリーダ300とは、RFID(Radio Frequency IDentification)技術により所定の距離の範囲内で非接触で通信可能である。ICタグ200は、監視対象である商品などの物品に1つずつ取り付けられるものであり複数存在し得るが、便宜上、1つのみ図示している。ICタグリーダ300は、監視領域内に配置された物品棚でありICタグ200が取り付けられた物品が陳列される物品棚に設置される。監視領域とは、例えば、商品などの物品が陳列される店内である。尚、この監視領域には、図示しない開閉センサや空間センサが設置される。開閉センサは、扉や窓などに設置され、扉や窓の開閉状態を磁力によって検知することにより、監視領域内の異常の発生を検知する。空間センサは、人体などの侵入物を赤外線によって検知することにより、監視領域内の異常の発生を検知する。
【0013】
ICタグ200は、主に情報を記憶するためのICチップと、ICタグリーダ300と通信を行なうためのアンテナとから構成されている。このようなICタグ200として、電池が不要であるが通信距離が短いパッシブ方式のICタグを用いても、電池が必要であるが数メートル単位の通信距離を制御できるアクティブ方式のICタグを用いても良い。本実施の形態においては、ICタグ200は、各ICタグ200を識別する識別情報を記憶している。
【0014】
ICタグリーダ300は、通信可能な範囲内に存在するICタグ200を認識し、ICタグ200に記憶されている識別情報を非接触で読み取る。なお、ICタグリーダ300は、アンチコリジョン機能を実装したものを用いても良い。アンチコリジョン機能とは、複数のICタグ200に記憶されている識別情報を、これらが衝突することなく読み取る機能をいう。かかる機能を用いることにより、複数の物品が物品棚に同時に陳列される場合でもそれぞれに取り付けられたICタグ200の識別情報を各々ICタグリーダ300は取得することができる。このようなICタグリーダ300は、複数存在して、各物品棚に取り付けられ得るが、便宜上、1つのみ図示している。尚、本実施の形態においては、各ICタグリーダ300に対して、当該ICタグリーダ300と通信するICタグ200は予め定められている。各ICタグリーダ300は、予め定められたICタグ200との通信を定期的に試みて、ICタグ200に記憶された識別情報の取得を試みる。そして、各ICタグリーダ300は、各ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が可能なICタグ200の識別情報を取得してこれを警備制御装置100に出力する。
【0015】
警備制御装置100は、警報出力部101と、警備状態設定部102と、状態記憶部103と、停電検知部104と、地震検知部105と、蓄電部106とを有する。地震検知部105は、加速度センサなどから構成され、地震の発生を検知する。停電検知部104は、例えば、警備制御装置100に供給される電力の電圧を監視して、停電の発生を検知する。蓄電部106は、電力を蓄積するバッテリや無停電電源装置であり、停電が発生した場合に、警備制御装置100の有する各部に電力を供給する。
【0016】
警備状態設定部102は、警備状態として警備モード又は警備解除モードを設定するものであり、図示しない操作パネルを介して操作者の操作により設定される。警備モードとは、監視領域内に誰もいない場合に設定されるモードであり、監視領域内に設置された上述の開閉センサや空間センサが異常の発生を検知した場合には、警報情報を監視センタ400に送信するモードである。警備解除モードとは、監視領域内に設置された上述の開閉センサや空間センサが異常の発生を検知しても、監視センタ400に警報情報を送信しないモードである。
【0017】
警報出力部101は、図示しない記憶装置に記憶された警備制御プログラムに従って処理を行うものであり、監視領域内に設置された上述の開閉センサや空間センサからの検知結果と警備状態設定部102で設定された警備状態とに基づいて、異常の発生を示す警報情報を監視センタ400に送信する。また、警報出力部101は、ICタグリーダ300が出力した識別情報と警備状態設定部102で設定された警備状態とを用いて、物品が不正に持ち出されたことを検知すると、その旨を示す警報情報を監視センタ400に送信すると共に、状態記憶部103にICタグ200毎に記憶される物品監視状態情報を更新する。
【0018】
図2は、状態記憶部103に記憶される物品監視状態情報を例示する図である。状態記憶部103には、監視対象の物品に取り付けられたICタグ200の識別情報毎に物品監視状態情報が記憶される。同図に示されるように、物品監視状態情報は、ICタグ200の識別情報と、最終検知時刻と、最終警備状態と、通信状態と、警報状態とを含む。最終警備状態とは、ICタグ200が取り付けられた物品の存在が最終的に検知されたときの警備状態を示す。警備モードが設定されている場合、警報出力部101は、その最終警備状態を「ON」に更新し、その後警備解除モードに設定が変更されるとその最終警備状態を「OFF」に更新する。但し、警備解除モードが設定されている場合に、ICタグリーダ300が出力した識別情報以外の識別情報を有するICタグ200については、警報出力部101は、その最終警備状態を「OFF」に更新し、その後警備モードに設定が変更されても当該最終警備状態を「ON」に更新しない。
【0019】
通信状態とは、ICタグ200がICタグリーダ300と通信可能であるか否か、監視の必要があるか否かを示す。警報出力部101は、ICタグリーダ300が出力した識別情報と、状態記憶部103に記憶される物品監視状態情報の識別情報とを用いて、各ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が可能なICタグ200の識別情報及び通信が不能になったICタグ200の識別情報を特定して、各ICタグ200の通信状態を判断する。具体的には、警備解除モードが設定されている場合に、ICタグリーダ300が出力した識別情報以外の識別情報を有するICタグ200については、ICタグリーダ300との通信が不能になっているものの、警備が解除された状態で、当該ICタグ200が取り付けられた物品が正当に持ち出されている可能性が高い。このようなICタグ200については、警報出力部101は、通信不能であるがその監視が不要であるとして、その識別情報の物品監視状態情報の通信状態を「非監視」に更新する。また、警備モードが設定されている場合に、ICタグリーダ300が出力した識別情報以外の識別情報を有するICタグ200については、警報出力部101は、通信不能であると判断してその通信状態を「不明」に更新し、ICタグリーダ300が出力した識別情報を有するICタグ200については、通信可能であると判断して、その識別情報の物品監視状態情報の通信状態を「検知」とする。前者については、当該ICタグ200が取り付けられた物品の存在が検知されず、従って、当該物品は不正に持ち出された可能性が高いことを示し、後者の場合、当該ICタグ200が取り付けられた物品の存在が検知され、当該物品は持ち出されていないことを示す。
【0020】
最終検知時刻とは、ICタグ200が取り付けられた物品の存在が最終的に検知された時刻を示す。具体的には、警報出力部101は、ICタグリーダ300から識別情報が出力される度に、通信状態が「検知」であるICタグ200の最終検知時刻を、当該識別情報が出力された時刻に更新する。通信状態が「非監視」及び「不明」であるICタグ200については、警報出力部101は、その最終検知時刻を更新しない。
【0021】
警報状態とは、ICタグ200が取り付けられた物品が不正に持ち出されたことを示す警報情報の出力状態を示す。具体的には、警報出力部101は、警備モードが設定されている場合に、ICタグリーダ300から識別情報が出力されると、当該識別情報以外の識別情報を有するICタグ200のうち通信状態が「非監視」であるものについては、警報情報の出力をキャンセルして、その時刻と共にその旨を示すよう警報状態を更新し、当該識別情報以外の識別情報を有するICタグ200のうち通信状態が「検知」であるものについてはその通信状態を「不明」に更新して、警報情報を監視センタ400に送信し、その時刻と共にその旨を示すよう警報状態を更新する。
【0022】
このような状態記憶部103に記憶される物品監視状態情報と、停電検知部104の検知結果及び地震検知部105の検知結果とに基づいて、警報出力部101は、物品が不正に持ち出されたことを検知すると、その旨を示す警報情報を監視センタ400に送信する。尚、警報出力部101は、停電検知部104が停電の発生を検知した場合には、その旨を示す警報情報を監視センタ400に送信し、地震検知部105の地震の発生を検知した場合には、その旨を示す警報情報を監視センタ400に送信する。
【0023】
監視センタ400は、警備制御装置100から送信された警報情報を受信することによって、監視領域を監視する。
【0024】
次に、本実施の形態にかかる警備制御装置100の行う警備制御処理の手順について図3を用いて説明する。尚、例えば、閉店時などに店員が、図示しない操作パネルを介して、警備モードを設定する操作を行うと、警備状態設定部102が警備モードを設定し、監視領域の警備が開始される。このとき、警備制御装置100の警報出力部101は、状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報のうち、通信状態が「検知」である物品監視状態の最終警備状態を「ON」に更新する。そして、ICタグリーダ300から識別情報が出力される度に、警報出力部101は、当該識別情報を取得し(ステップS1)、当該識別情報を用いて、各ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が不能になったICタグ200があるか否かを判断する(ステップS2)。通信が不能になったICタグ200がある場合、その識別情報が特定される。尚、ICタグリーダ300から識別情報が出力される度に、警報出力部101は、当該識別情報について、状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報の最終検知時刻を更新する。
【0025】
通信が不能になったICタグ200がある場合(ステップS2:YES)、警報出力部101は、停電検知部104が停電の発生を検知したか否かを判断する(ステップS3)。停電検知部104が停電の発生を検知した場合(ステップS3:YES)、当該ICタグ200とICタグリーダ300との通信が不能になったのは停電の発生が原因である可能性が高い。この場合、警報出力部101は、当該ICタグ200が取り付けられた物品が不正に持ち出されたことを示す警報情報の出力をキャンセルし、当該警報情報を監視センタ400に送信しない(ステップS9)。尚、停電が発生している場合であっても監視領域の警備を継続するため、この場合、警備制御装置100は蓄電部106から供給される電力により動作する。但し、この場合、警報出力部101は、停電の発生を検知した旨を示す警報情報を監視センタ400に送信する。その後ステップS1に戻る。ステップS2の判断結果が否定的である場合もステップS1に戻る。
【0026】
停電検知部104が停電の発生を検知していない場合(ステップS3:NO)、警報出力部101は、地震検知部105が地震の発生を検知したか否かを判断する(ステップS4)。地震検知部105が地震の発生を検知した場合(ステップS4:YES)、当該ICタグ200とICタグリーダ300との通信が不能になったのは、地震の発生により、当該ICタグ200が取り付けられた物品が、ICタグリーダ300が取り付けられた物品棚から落下等している可能性が高い。この場合、警報出力部101は、当該ICタグ200が取り付けられた物品が不正に持ち出されたことを示す警報情報の出力をキャンセルする(ステップS8)。但し、この場合、警報出力部101は、地震の発生を検知した旨を示す警報情報を監視センタ400に送信する。その後ステップS1に戻る。
【0027】
地震検知部105が地震の発生を検知していない場合(ステップS4:NO)、警報出力部101は、通信が不能になったと判断したICタグ200について、状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報を参照して、その識別情報に対応する通信状態が「非監視」であるか否かを判断する(ステップS5)。通信状態が「非監視」である場合(ステップS5:YES)、当該ICタグ200が取り付けられた商品は、警備解除モードが設定されていたときに店員が正当に持ち出している可能性が高い。この場合、警報出力部101は、当該ICタグ200が取り付けられた商品が不正に持ち出されたことを示す警報情報の出力をキャンセルする(ステップS7)。そして、警報出力部101は、当該識別情報の物品監視状態情報について、その時刻と共に警報情報の出力をキャンセルした旨を示すよう警報状態を更新する。その後ステップS1に戻る。
【0028】
一方、通信状態が「非監視」でない場合(ステップS5:NO)、警報出力部101は、当該識別情報のICタグ200が取り付けられた物品が不正に持ち出されたと検知して、その旨を示すと共に当該識別情報と物品監視情報における最終検知時刻とを含む警報情報を監視センタ400に送信する(ステップS6)。そして、警報出力部101は、その時刻と共に警報情報を出力した旨を示すよう警報状態を更新する。その後ステップS1に戻る。
【0029】
また、開店時などに店員が、操作パネルを介して、警備解除モードを設定する操作を行うと、警備状態設定部102が警備解除モードを設定し、監視領域の警備が解除される。このとき、警報出力部101は、状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報のうち、通信状態が「検知」である物品監視状態の最終警備状態を「OFF」に更新する。そして、ICタグリーダ300から識別情報が出力される度に、警報出力部101は、当該識別情報について、状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報の最終検知時刻を更新する。更に、警報出力部101は、当該識別情報を用いて、各ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が不能になったICタグ200があるか否かを判断する。通信が不能になったICタグ200がある場合、警報出力部101は、当該ICタグ200について状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報の通信状態を「非監視」に更新する。その後、閉店時に店員が警備モードを設定する操作を行うと、警備状態設定部102が警備モードを設定し、警報出力部101は、状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報のうち、通信状態が「検知」である物品監視状態の最終警備状態を「ON」に更新して、上述のステップS1の処理に戻る。
【0030】
以上のように、物品に取り付けられたICタグ200との通信状態と警備状態とに応じて、当該物品が不正に持ち出された可能性が高いと判断される場合には、警報情報を出力し、不正に持ち出しされている可能性が低いと判断される場合には、警報情報の出力をキャンセルすることで、誤報を低減することができる。また、このような構成によれば、警備の開始前に、物品が正しく陳列されているか否かを把握することができる。また、停電や地震の発生によりICタグ200と通信不能になった場合には、物品が不正に持ち出されている訳ではないので、警報情報の出力をキャンセルすることで、誤報を低減することができる。このような構成によれば、物品の不正持ち出しの検知と、誤報の低減とを両立させることが可能になる。
【0031】
[変形例]
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、以下に例示するような種々の変形が可能である。
【0032】
上述した実施の形態において、警備制御装置100で実行される警備制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また当該警備制御プログラムを、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
【0033】
上述した実施の形態においては、携帯型情報記録媒体として、ICタグ200を用いたが、これに限らず、例えば、FeliCaチップなどであっても良い。
【0034】
上述した実施の形態においては、監視対象である物品は、上述した商品の他、図書館の本やレンタル店のCDなどの貸し出されるものであっても良いし、美術館などで展示される絵や彫刻や書などのものであっても良い。
【0035】
上述した実施の形態において、地震検知部105は、加速度センサなどから構成されるのではなく、例えば、地震を検知した旨を報知する地震検知装置からの報知によって、地震を検知するようしても良い。例えば、地震検知部105は、ネットワークを介して緊急地震速報などの情報を取得することにより、地震の発生を検知するものであっても良い。
【0036】
また、地震検知部105は、地震の発生の有無のみならず、その震度を検知可能であっても良い。この場合、警報出力部101は、図4に示されるように、ステップS4の後、震度が所定の震度以上であるか否かを判断し(ステップS10)、当該判断結果が肯定的である場合に、ステップS8で警報情報の出力をキャンセルし、ステップS10の判断結果が否定的である場合には、ステップS5に進む。このような構成によれば、物品が物品棚から落下する程の揺れである場合には、警報情報が出力されないので誤報が低減され、一方、物品が物品棚から落下する程の揺れでない場合には、物品が不正に持ち出された可能性が高いとして警報情報が出力される。このため、物品の不正持ち出しの検知と、誤報の低減とをより効果的に両立させることができる。
【0037】
上述した実施の形態においては、警備制御装置100は、各ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が不能になったICタグ200の識別情報を示す通信不能タグ情報をICタグリーダ300から取得するようにした。しかし、これに限らず、例えば、図5に示されるように、ICタグリーダ300と、通信不能タグ判断部301とを有する物品管理装置310から、ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が不能になったICタグ200の識別情報を警備制御装置100は取得するようにしても良い。この場合、通信不能タグ判断部301が、各ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が可能であるICタグ200の識別情報をICタグリーダ300から定期的(例えば5分毎)に取得し、当該情報を用いて、各ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が不能になったICタグ200の識別情報を判断して、これを警備制御装置100に出力すれば良い。警備制御装置100は、図3のステップS1で、通信が不能になったICタグ200の識別情報を取得すると、これは即ち、通信が不能になったICタグ200の識別情報を特定したことになる。そして、通信が不能になったICタグ200があるということであるから、警備制御装置100は、ステップS2の処理を行わずに、ステップS3以降の処理を行う。また、警備制御装置100は、当該識別情報を用いて、ICタグリーダ300に対して予め定められたICタグ200のうち通信が可能であるICタグ200を判断して、状態記憶部103に記憶された各物品監視状態情報を適宜更新すれば良い。
【0038】
また、物品管理装置310は、物品を管理するためのその他の機能を有していても良く、このような物品管理装置310と警備制御装置100とを組み合わせることで、物品の不正持ち出しをより効率的に検知することが可能になる。また、状態記憶部103は、警備制御装置100が有するのではなく、物品管理装置310が有するようにしても良く、警備制御装置100は、物品管理装置310から物品監視状態情報を取得して、ステップS5の処理を行うようにしても良い。
【0039】
上述した実施の形態においては、図6に示されるように、ステップS3の後、ステップS11で、警報出力部101は、ICタグリーダ300と通信可能か否かを判断するようにしても良い。ステップS11の判断結果が否定的である場合は、ステップS9で警報情報の出力をキャンセルし、ステップS11の判断結果が肯定的である場合、ステップS12で、なんらかの異常が発生した旨を示す警報情報を監視センタ400に送信するようにしても良い。即ち、停電が発生したのにも関わらず、ICタグリーダ300と通信可能でありICタグリーダ300が正常稼動しているということは、ICタグ200自体が物品から取り外されて不正に持ち出された可能性や、停電検知部104自体に異常が発生している可能性がある。このようなことから、この場合、誤報の扱いをするのではなく、なんらかの異常が発生した旨を示す警報情報を監視センタ400に送信することで、安全性を高めることが可能になる。
【0040】
上述した実施の形態においては、警報出力部101は、警報情報を監視センタ400に送信するようにした。しかし、これに限らず、警報出力部101は、音や音声を出力する音出力部を備え、警報情報の代わりに又は警報情報の送信と共に、威嚇のための警報音や警告メッセージを、音出力部を介して出力しても良い。また、警報出力部101は、赤色などの光を発光する発光部を備え、警報情報の代わりに又は警報情報の送信と共に、発光部を発光させても良い。
【0041】
また、警備制御装置100が音出力部を備える場合、ステップS7では、状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報の通信状態が「非監視」である識別情報を有するICタグ200が取り付けられた物品について、店員を喚起するための音声メッセージを音出力部を介して出力するようにしても良い。即ち、このような物品について、店員が正当に持ち出した後元の位置に戻すことを忘れている可能性がある。このため、当該物品を元の位置に戻す旨を示す音声メッセージを出力することで、その旨を店員に報知して店員を喚起するようにしても良い。
【0042】
上述した実施の形態においては、警備制御装置100は、店員が警備モードを設定する操作を行ったときに、状態記憶部103に記憶された物品監視状態情報を参照して、通信状態が「非監視」のものがあるか否かを判断するようにしても良い。通信状態が「非監視」の物品監視状態情報がある場合、警備状態設定部102は、警備モードの設定を許可しない、即ち、警備解除モードから警備モードへの移行を許可しないようにしても良い。
【0043】
上述した実施の形態においては、停電の発生が検知された場合と、地震の発生が検知された場合との両方で警報情報の出力をキャンセルするようにしたが、いずれか一方の場合のみ警報情報の出力をキャンセルするようにしても良い。
【符号の説明】
【0044】
100 警備制御装置
101 警報出力部(特定部、更新部、送信部)
102 警備状態設定部
103 状態記憶部
104 停電検知部
105 地震検知部
106 蓄電部
200 ICタグ
300 ICタグリーダ
301 通信不能タグ判断部
310 物品管理装置
400 監視センタ
500 ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域における異常を検知した場合に異常を検知した旨を示す警報情報をネットワークに接続された監視センタに送信する警備制御装置において、
監視対象には、当該携帯型情報記憶媒体を識別する識別情報を記憶した携帯型情報記憶媒体が取り付けられ、
通信可能な範囲にある前記携帯型情報記憶媒体から前記識別情報を読み取る読取装置が、前記監視領域内に設置され、
利用者の操作に応じて、前記監視領域において異常を検知した場合に前記監視センタに前記警報情報を通報する警備モード又は前記監視領域において異常を検知した場合であっても前記監視センタに前記警報情報を通報しない警備解除モードを設定する警備状態設定部と、
前記携帯型情報記憶媒体と前記読取装置との通信状態を前記識別情報毎に記憶する記憶部と、
前記読取装置が読み取った前記識別情報に基づいて、前記読取装置との通信が不能になった前記携帯型情報記憶媒体の前記識別情報を特定する特定部と、
前記警備モードが設定されている場合、特定された前記携帯型情報記憶媒体について前記記憶部に記憶されている前記通信状態を第1の状態に更新し、前記警備解除モードが設定されている場合、特定された前記携帯型情報記憶媒体について前記記憶部に記憶されている前記通信状態を第2の状態に更新する更新部と、
前記警備モードが設定されている場合、前記通信状態が前記第1の状態に更新された前記携帯型情報記憶媒体が取り付けられた前記監視対象について、当該監視対象が不正に持ち出された旨を示す警報情報を前記監視センタに送信する送信部とを備える
ことを特徴とする警備制御装置。
【請求項2】
前記送信部は、前記通信状態が前記第2の状態である前記携帯型情報記憶媒体が取り付けられた前記監視対象について、当該監視対象が不正に持ち出された旨を示す警報情報を前記監視センタに送信しない
ことを特徴とする請求項1に記載の警備制御装置。
【請求項3】
前記警備モードが設定されている場合、前記通信状態が前記第2の状態に更新された前記携帯型情報記憶媒体が取り付けられた前記監視対象について、当該監視対象が不正に持ち出された旨を示す音声を出力する音出力部を更に備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の警備制御装置。
【請求項4】
前記警備状態設定部は、前記警備モードを設定する操作が行われたとき、前記記憶部に記憶された前記通信状態が前記第2の状態に更新された前記携帯型情報記憶媒体がある場合、前記警備モードを設定しない
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の警備制御装置。
【請求項5】
地震の発生を検知する地震検知部を更に備え、
前記送信部は、地震の発生が検知された場合、前記監視対象についての前記警報情報を前記監視センタに送信しない
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の警備制御装置。
【請求項6】
停電の発生を検知する停電検知部を更に備え、
前記送信部は、停電の発生が検知された場合、前記監視対象についての前記警報情報を前記監視センタに送信しない
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の警備制御装置。
【請求項7】
監視領域における異常を検知した場合に異常を検知した旨を示す警報情報をネットワークに接続された監視センタに送信する警備制御装置で実行される警備制御方法であって、
監視対象には、当該携帯型情報記憶媒体を識別する識別情報を記憶した携帯型情報記憶媒体が取り付けられ、
通信可能な範囲にある前記携帯型情報記憶媒体から前記識別情報を読み取る読取装置が、前記監視領域内に設置され、
前記警備制御装置は、警備状態設定部と、記憶制御部と、特定部と、更新部と、送信部とを備え、
前記警備状態設定部が、利用者の操作に応じて、前記監視領域において異常を検知した場合に前記監視センタに前記警報情報を通報する警備モード又は前記監視領域において異常を検知した場合であっても前記監視センタに前記警報情報を通報しない警備解除モードを設定する警備状態設定ステップと、
前記記憶制御部が、前記携帯型情報記憶媒体と前記読取装置との通信状態を前記識別情報毎に記憶部に記憶させる記憶制御ステップと、
前記特定部が、前記読取装置が読み取った前記識別情報に基づいて、前記読取装置との通信が不能になった前記携帯型情報記憶媒体の前記識別情報を特定する特定ステップと、
前記更新部が、前記警備モードが設定されている場合、特定された前記携帯型情報記憶媒体について前記記憶部に記憶されている前記通信状態を第1の状態に更新し、前記警備解除モードが設定されている場合、特定された前記携帯型情報記憶媒体について前記記憶部に記憶されている前記通信状態を第2の状態に更新する更新ステップと、
前記送信部が、前記警備モードが設定されている場合、前記通信状態が前記第1の状態に更新された前記携帯型情報記憶媒体が取り付けられた前記監視対象について、当該監視対象が不正に持ち出された旨を示す警報情報を前記監視センタに送信する送信ステップとを含む
ことを特徴とする警備制御方法。
【請求項1】
監視領域における異常を検知した場合に異常を検知した旨を示す警報情報をネットワークに接続された監視センタに送信する警備制御装置において、
監視対象には、当該携帯型情報記憶媒体を識別する識別情報を記憶した携帯型情報記憶媒体が取り付けられ、
通信可能な範囲にある前記携帯型情報記憶媒体から前記識別情報を読み取る読取装置が、前記監視領域内に設置され、
利用者の操作に応じて、前記監視領域において異常を検知した場合に前記監視センタに前記警報情報を通報する警備モード又は前記監視領域において異常を検知した場合であっても前記監視センタに前記警報情報を通報しない警備解除モードを設定する警備状態設定部と、
前記携帯型情報記憶媒体と前記読取装置との通信状態を前記識別情報毎に記憶する記憶部と、
前記読取装置が読み取った前記識別情報に基づいて、前記読取装置との通信が不能になった前記携帯型情報記憶媒体の前記識別情報を特定する特定部と、
前記警備モードが設定されている場合、特定された前記携帯型情報記憶媒体について前記記憶部に記憶されている前記通信状態を第1の状態に更新し、前記警備解除モードが設定されている場合、特定された前記携帯型情報記憶媒体について前記記憶部に記憶されている前記通信状態を第2の状態に更新する更新部と、
前記警備モードが設定されている場合、前記通信状態が前記第1の状態に更新された前記携帯型情報記憶媒体が取り付けられた前記監視対象について、当該監視対象が不正に持ち出された旨を示す警報情報を前記監視センタに送信する送信部とを備える
ことを特徴とする警備制御装置。
【請求項2】
前記送信部は、前記通信状態が前記第2の状態である前記携帯型情報記憶媒体が取り付けられた前記監視対象について、当該監視対象が不正に持ち出された旨を示す警報情報を前記監視センタに送信しない
ことを特徴とする請求項1に記載の警備制御装置。
【請求項3】
前記警備モードが設定されている場合、前記通信状態が前記第2の状態に更新された前記携帯型情報記憶媒体が取り付けられた前記監視対象について、当該監視対象が不正に持ち出された旨を示す音声を出力する音出力部を更に備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の警備制御装置。
【請求項4】
前記警備状態設定部は、前記警備モードを設定する操作が行われたとき、前記記憶部に記憶された前記通信状態が前記第2の状態に更新された前記携帯型情報記憶媒体がある場合、前記警備モードを設定しない
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の警備制御装置。
【請求項5】
地震の発生を検知する地震検知部を更に備え、
前記送信部は、地震の発生が検知された場合、前記監視対象についての前記警報情報を前記監視センタに送信しない
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の警備制御装置。
【請求項6】
停電の発生を検知する停電検知部を更に備え、
前記送信部は、停電の発生が検知された場合、前記監視対象についての前記警報情報を前記監視センタに送信しない
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の警備制御装置。
【請求項7】
監視領域における異常を検知した場合に異常を検知した旨を示す警報情報をネットワークに接続された監視センタに送信する警備制御装置で実行される警備制御方法であって、
監視対象には、当該携帯型情報記憶媒体を識別する識別情報を記憶した携帯型情報記憶媒体が取り付けられ、
通信可能な範囲にある前記携帯型情報記憶媒体から前記識別情報を読み取る読取装置が、前記監視領域内に設置され、
前記警備制御装置は、警備状態設定部と、記憶制御部と、特定部と、更新部と、送信部とを備え、
前記警備状態設定部が、利用者の操作に応じて、前記監視領域において異常を検知した場合に前記監視センタに前記警報情報を通報する警備モード又は前記監視領域において異常を検知した場合であっても前記監視センタに前記警報情報を通報しない警備解除モードを設定する警備状態設定ステップと、
前記記憶制御部が、前記携帯型情報記憶媒体と前記読取装置との通信状態を前記識別情報毎に記憶部に記憶させる記憶制御ステップと、
前記特定部が、前記読取装置が読み取った前記識別情報に基づいて、前記読取装置との通信が不能になった前記携帯型情報記憶媒体の前記識別情報を特定する特定ステップと、
前記更新部が、前記警備モードが設定されている場合、特定された前記携帯型情報記憶媒体について前記記憶部に記憶されている前記通信状態を第1の状態に更新し、前記警備解除モードが設定されている場合、特定された前記携帯型情報記憶媒体について前記記憶部に記憶されている前記通信状態を第2の状態に更新する更新ステップと、
前記送信部が、前記警備モードが設定されている場合、前記通信状態が前記第1の状態に更新された前記携帯型情報記憶媒体が取り付けられた前記監視対象について、当該監視対象が不正に持ち出された旨を示す警報情報を前記監視センタに送信する送信ステップとを含む
ことを特徴とする警備制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2010−282513(P2010−282513A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136668(P2009−136668)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】
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