説明

警報器

【課題】警報器を回収するときにのみセンサユニットを取り外すことを可能とする。
【解決手段】一方側ケース11と他方側ケース12とからなる筐体10と、前記筐体10に装着され且つ前記筐体10の周囲の異常状態を検出するセンサユニット20と、を有し、前記センサユニット20による異常状態の検出を警報する警報器1において、前記一方側ケース11又は前記他方側ケース12の内側に設けられて、前記筐体10を形成しているときは前記筐体10から着脱不能なように前記センサユニット20と係合し、且つ、前記一方側ケース11と前記他方側ケース12とが分解されたときにのみ、前記センサユニット20を再利用するための係合解除操作が可能となる係合手段を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス漏れ、火災等の異常状態を検出するセンサユニットを有する警報器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般住宅、ビル等には、ガス漏れや一酸化炭素ガスを検出して警報を発するガス漏れ警報器、火災の発生を検知して警報を発する火災警報器等の警報器が設置されており、該警報器の警報によって異常状態の発生を迅速に利用者等に認識させることで、各種異常状態による事故発生の未然防止が図られてきた。このような警報器は、異常状態の発生を検出すると、ブザー音、電子音、音声等の警報信号を発生し、該音声信号を増幅回路で増幅してスピーカーを介して外部に出力することで、利用者等に対して警報を行っている。
【0003】
また、特許文献1に示すガス・火災一体型警報器においては、ガスセンサ部(センサユニット)を火災感知部とは別体で該火災感知部に対して着脱可能に形成することで、ガスセンサ部の交換を極めて簡易なものとし、且つ、ガスセンサ部としてガスセンサ本体と共に取り外されて廃棄処分とすることを可能としている。
【特許文献1】特許3444527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の再利用をするセンサ部が警報器本体から着脱可能な警報器においては、清掃などの際にセンサ部を誤って取り外してしまう可能性があった。そして、一度取り外したセンサ部を警報器本体に再度装着することは困難であり、最悪の場合は、警報器としての機能を果たせない可能性があった。そのため、センサ部を回収するとき以外はセンサ部の取り外しを阻止する警報器が望まれていた。
【0005】
よって本発明は、上述した問題点に鑑み、回収するときにのみセンサユニットを取り外すことができる警報器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明によりなされた請求項1記載の警報器は、一方側ケースと他方側ケースとからなる筐体と、前記筐体に装着され且つ前記筐体の周囲の異常状態を検出するセンサユニットと、を有し、前記センサユニットによる異常状態の検出を警報する警報器において、前記一方側ケース又は前記他方側ケースの内側に設けられて、前記筐体を形成しているときは前記筐体から着脱不能なように前記センサユニットと係合し、且つ、前記一方側ケースと前記他方側ケースとが分解されたときにのみ、前記センサユニットを再利用するための係合解除操作が可能となる係合手段を有することを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載の発明は、請求項1に記載の警報器において、前記センサユニットから取り外されることにより、前記センサユニットの再利用の履歴を示す履歴確認部を有することを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の警報器において、前記センサユニット20に設けられ且つ当該センサユニット20に関する各種履歴がトレース可能な履歴情報記憶手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように請求項1に記載した本発明の警報器によれば、筐体が一方側ケースと他方側ケースとに分解されたときに、筐体に装着されたセンサユニットを再利用のための係合解除操作が可能となる係合手段によってセンサユニットを筐体に係合させて装着するようにしたことから、筐体の分解に応じて効率的に再利用するセンサユニットとその他の解体部品とに分別することができる。また、センサユニットは筐体に係合しているだけのため、分解作業の効率を向上させることができる。よって、警報器を回収するときにのみセンサユニットを取り外し、該取り外したセンサユニットを、清掃、修理、組み付け、調整、検査等の後に再び再利用することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、センサユニットに履歴確認部を設けるようにしたことから、センサユニットの再利用の履歴を容易に確認することができるため、複数回の再利用も確認することができるため、その履歴管理を容易に行うことができる。また、この履歴確認部によって再利用の回数を規定することができるため、安全性を保証することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、履歴情報記憶手段をセンサユニットに設けるようにしたことから、例えば、警報器の分解日、分解者、検査データ、組付日、使用回数等のトレーサビリティー管理を可能とすることができるため、再利用するセンサユニットの安全性を保証することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る警報器を火災警報器に適用し、煙センサユニットの再利用を可能とする場合の一実施の形態を、図1〜図7の図面を参照して説明する。
【0013】
図1乃至図4において、火災の発生を警報する火災警報器1は、筐体10と、煙センサユニット20と、係合手段としての係合部30と、基板40と、警報部50と、を有している。この火災警報器1は、センサユニット20による煙の発生(異常状態)の検出を警報部50による警報音、警報表示等によって警報する。
【0014】
筐体10は、一方側ケースとしての上ケース11と、他方側ケースとしての下ケース12と、を有し、それらは合成樹脂等で形成されている。そして、筐体10は、上ケース11と下ケース12とが組み付けられることで箱状に形成される。
【0015】
上ケース11は、上ケース11の上面部11aと、該上面部11aの縁部から立設する側壁11bと、上ケース11に設けられて煙センサユニット20を筐体10の外部に突出させる貫通孔11cと、上面部11aから側壁11bに亘って形成された複数のスリット11dと、を有している。そして、スリット11dから警報部50の警報音を外部に発する構造となっている。
【0016】
下ケース12は、上ケース11に対応した略蓋状に形成されており、その内側には基板40を位置決めする位置決め部12aと、基板40に設けられた警報部50の本体を係止する係止部12bと、火災警報器1を設置場所の壁等に固定するための固定部12cと、を有している。
【0017】
煙センサユニット20は、図3乃至図5に示すように、基板21と、火災センサ22と、コネクタ23と、カバー24と、一対の係合受け部25と、履歴確認部26と、を有している。
【0018】
基板21は、図5に示すように、略円形平板状のプリント基板等であり、コネクタ23と火災センサ22とを電気的に接続する配線パターン(図示せず)を有している。基板21は、履歴確認部26が形成され且つ基板21の本体から突出する確認部21aと、確認部21aに形成され且つ上ケース11の内面に設けられた先端が段状の取付部11eに嵌合固定される嵌合部21bと、を有している。そして、嵌合部21bに上ケース11の取付部11eが嵌合されることで、煙センサユニット20が図3中の取り外し方向Yとは反対方向に移動することを防止している。
【0019】
火災センサ22は、例えば熱センサ、煙センサ等の火災の発生を検出するための各種センサが用いられ、基板21に実装されている。コネクタ23は、基板40と電気的に接続され、且つ、電線、ケーブル等を介して基板21に電気的に接続される。カバー24は、その内部に外気を取り込むことができる籠状に形成されており、基板21に装着されることで、火災センサ22を覆って保護している。
【0020】
係合受け部25は、略矩形状の貫通孔として基板21に形成されている。即ち、係合部30が一方側から貫通可能、且つ、その貫通した部分が反対側で係合できるように形成されている。即ち、係合受け部25は、後述する係合部30のアーム部31に対応する基板21の位置に、対応した数だけ形成されている。
【0021】
履歴確認部26は、図5に示すように、基板21に折り曲げて取り外し可能な爪部材として形成されている。なお、本最良の形態では、1回の再利用を前提としているため、基板21の確認部21aに1つの履歴確認部26を設けている。よって、その履歴確認部26の有無に基づいて、その煙センサユニット20が再利用されたものか否かを作業者等に確認させることができる。このように履歴確認部26を基板21から取り外す構造とすることで、再利用されたか否かの履歴の信頼性を向上することができ、不正に再利用されることを防止することができる。
【0022】
係合部30は、上ケース11の貫通孔11cの縁部から筐体10内に向かって立設するアーム部31と、該立設部31の任意の面に形成された係合凸部32と、を有している。なお、本最良の形態では、係合部30を上ケース11に装着する場合について説明するが、下ケース12に係合部30を形成することもできる。
【0023】
アーム部31は、作業員等に押されると撓むように平板状に合成樹脂等で形成されている。アーム部31の数は、煙センサユニット20の取り外し作業のし易さを考慮すると、本最良の形態のように2つであることが好ましいが、その数は任意に設定することができる。
【0024】
係合凸部32は、アーム部31の長手方向の断面が略三角形状に形成されており、アーム部31が撓んでいないときに、その底面が基板21に係合することで、センサユニット20の取り外し方向Y(図3参照)に向かって引っ張られたときに引っかかり、煙センサユニット20の移動を規制している。そして、一対のアーム部31を相対する方向に撓ませて、基板21と各アーム部31との係合を解除することで、煙センサユニット20を上ケース11から取り外すことができる。
【0025】
基板40は、図1に示すように、煙センサユニット20のコネクタ23が接続されるコネクタ受け部41を有し、ガスセンサ50や火災警報器1全体の制御を司る制御部(図示せず)が実装されている。基板40は、下ケース12に固定されると共に、コネクタ受け部41で電気的に接続されたコネクタ23を介して煙センサユニット20を駆動させると共に、ガスセンサ50を駆動させる。
【0026】
警報部50は、スピーカと出力回路を有し、出力回路は入力された警報信号に対してD/A変換などを行った後にスピーカから外部に出力する。
【0027】
次に、上述した構成の火災警報器1の組付例及び分解例を以下に説明する。
【0028】
まず、組み付ける場合、煙センサユニット20を上ケース11の貫通孔11cを貫通させ、且つ、係合部30のアーム部31及び係合凸部32がセンサユニット20の係合受け部25を貫通するように、上ケース11とセンサユニット20とを近づけ、係合凸部32を基板21に係合させることで、センサユニット20はその先端部分が上ケース11の外部に突出した状態で上ケース11に装着される。また、警報部50が実装された基板40は、下ケース12に組み付けられる。そして、センサユニット20のコネクタ23が基板40のコネクタ受け部41に接続され、その後、上ケース11と下ケース12が筐体10となるように組み付けられる。
【0029】
このように組み立てられた火災警報器1の煙センサユニット20は、その煙センサ22からの信号を基板40の前記制御部にコネクタ23を介して出力することで、火災の発生を検出した場合は、前記警報部50によって警報が行われる。このとき、係合部30は筐体10内に収容されているため、筐体10を分解することなく係合解除操作を行うことができない。
【0030】
また、煙センサユニット20を分解する場合、上ケース11と下ケース12とが分解され、コネクタ23とコネクタ受け部41との接続関係が解除される。そして、図3及び図4に示す、煙センサユニット20の基板21に係合している係合部30の一対のアーム部31が、上ケース11の内部で相対する方向に撓まされ且つ煙センサユニット20を上ケース11の外部に向けて押し込まれることで、図1に示すように基板21と係合部30との係合を解除して煙センサユニット20が上ケース11から分離される。
【0031】
そして、取り外された煙センサユニット20は、図5に示す基板21の履歴確認部26の有無に基づいて、再利用が可能であるか否かが作業者等によって確認される。履歴確認部26が存在していない場合、再利用された煙センサ22であることが確認され、煙センサユニット20は廃棄される。また、履歴確認部26が存在している場合、再利用が可能な煙センサ22であることが確認され、その後、掃除、修理、組み付け、調整、検査等が行われ、問題がないことを確認した上で煙センサユニット20は再利用される。なお、再利用については、基板21と煙センサ22、煙センサ22のみなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0032】
以上説明した火災警報器1によれば、筐体10が上ケース11と下ケース12とに分解されたときに、筐体10に装着された煙センサユニット20を再利用のために係合解除操作が可能となる係合部30によって煙センサユニット20を筐体10に係合させて装着するようにしたことから、筐体10の分解に応じて効率的に再利用する煙センサユニット20とその他の解体部品とに分別することができる。また、煙センサユニット20は筐体10に係合しているだけのため、分解作業の効率を向上させることができる。よって、火災警報器1を回収するときにのみ煙センサユニット20を取り外し、該取り外した煙センサユニット20を、例えば清掃、修理、組み付け、調整、検査等の後に再び再利用することができる。
【0033】
また、煙センサユニット20に履歴確認部26を設けるようにしたことから、煙センサユニット20の再利用の履歴を容易に確認することができるため、複数回の再利用も確認することができるため、その履歴管理を容易に行うことができる。また、この履歴確認部26によって再利用の回数を規定することができるため、煙センサユニット20の安全性を保証することができる。
【0034】
なお、上述した火災警報器1では、煙センサユニット20を1回のみ再利用する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、複数回再利用することもできる。しかしながら、煙センサユニット20を長期にわたって再利用する場合、合成樹脂からなるカバー24等が変色してしまう可能性があるため、以下のように火災警報器1を構成することもできる。
【0035】
図6及び図7に示すように、火災警報器1は、上述した構成に加え、パネル60を有している。このパネル60は、パネル本体61と、このパネル本体61から上ケース11に向かって立設する複数(図7中では3つ)の脚部62と、を有している。パネル本体61は、煙センサユニット20を隠蔽可能な形状に形成されている。脚部62は、上ケース11の表面に設けられた筒部11fに挿入されることで、上ケース11に対してパネル60を着脱自在に装着している。即ち、上述した上ケース11には、筒部11fを形成することになる。
【0036】
このようなパネル60を設けることで、外観上これまでは再利用が困難な樹脂部品であってもパネル60によって隠蔽されることから、多少の変色であれば、目立たないため、より多くの回数にわたって煙センサユニット20を再利用することができる。
【0037】
なお、上述した火災警報器1では、係合手段である係合部30が煙センサユニット20の係合受け部25に貫通させて係合させる場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば煙センサユニット20の基板21を挟持するように係合させるなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0038】
また、上述した火災警報器1では、煙センサユニット20の全てを再利用する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、火災センサ22のみを再利用するなど種々異なる実施形態とすることができる。
【0039】
さらに、上述した本最良の形態では、本発明の警報器を火災警報器1に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、ガス漏れ警報器、ガス漏れ、火災の発生を警報する複合型警報器等に適用することもできる。そして、複合型警報器の場合は、ガスセンサと火災センサ22をそれぞれユニットとして筐体10内で係合させることができる。
【0040】
また、上述した煙センサユニット20にバーコード等の履歴情報記憶手段を貼付等により設けることもできる。そして、そのバーコード等と、例えば、警報器の分解日、分解者、検査データ、組付日、使用回数等の履歴情報を関連付けて管理しておくことで、煙センサユニット20のトレーサビリティー管理を可能とすることができる。また、バーコード等自体を履歴情報としても差し支えない。さらに、この履歴情報記憶手段を例えばICタグ等で実現することで、そのICタグ等の内蔵メモリに履歴情報を直接記憶しておくこともできる。以上のように履歴情報記憶手段を煙センサユニット20に設けることで、煙センサユニット20のトレーサビリティー管理を可能とすることができるため、再利用する煙センサユニット20の安全性を保証することができる。
【0041】
このように上述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の警報器を適用した火災警報器の分解斜視図である。
【図2】図1の火災警報器の組み付け状態を示す斜視図である。
【図3】図2中の直線A−Aを通る上ケース部分の断面図である。
【図4】図2中の煙センサユニットが装着された上ケースの裏側を示す部分斜視図である。
【図5】煙センサユニットの基板を示す斜視図である。
【図6】図2の火災警報器にパネルを設けた場合の斜視図である。
【図7】図6の火災警報器の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 火災警報器(警報器)
10 筐体
11 上ケース(一方側ケース)
12 下ケース(他方側ケース)
20 煙センサユニット(センサユニット)
21 基板
22 火災センサ
23 コネクタ
24 カバー
25 係合受け部
26 履歴確認部
30 係合部(係合手段)
31 アーム部
32 係合凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側ケースと他方側ケースとからなる筐体と、前記筐体に装着され且つ前記筐体の周囲の異常状態を検出するセンサユニットと、を有し、前記センサユニットによる異常状態の検出を警報する警報器において、
前記一方側ケース又は前記他方側ケースの内側に設けられて、前記筐体を形成しているときは前記筐体から着脱不能なように前記センサユニットと係合し、且つ、前記一方側ケースと前記他方側ケースとが分解されたときにのみ、前記センサユニットを再利用するための係合解除操作が可能となる係合手段を有することを特徴とする警報器。
【請求項2】
前記センサユニットから取り外されることにより、前記センサユニットの再利用の履歴を示す履歴確認部を有することを特徴とする請求項1に記載の警報器。
【請求項3】
前記センサユニットに設けられ且つ当該センサユニットに関する各種履歴がトレース可能な履歴情報記憶手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−225869(P2008−225869A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63568(P2007−63568)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】