説明

警報器

【課題】ローバッテリー警報が出されても、電池が切れるまでの残り期間を可能な限り延ばして信頼性を高める。
【解決手段】ローバッテリー監視部60は、電池電源の電圧低下からローバッテリーを検出したときに、間欠的に連動元を示すローバッテリー警報を出力すると共に、他の警報器にローバッテリーを示すイベント信号を送信し、一方、他の警報器からローバッテリーを示すイベント信号を受信した時に、間欠的に連動先を示すローバッテリー警報を出力する。送受信時間制御部62は、ローバッテリーを検出した時に、受信回路44の受信周期を長い周期に変更し、一方、他の警報器からローバッテリーを示すイベント信号を受信した時に、送信回路42の送信時間を変更後の長い受信周期以上の送信時間に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災などの異常を検出して警報すると共に他の警報器に信号を無線送信して警報を連動出力させる警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における火災やガス漏れなどの異常を検出して警報する住宅用警報器(以下「住警器」という)が普及しており、近年にあっては、1つの住戸に複数の住警器を設置して部屋毎に火災などの異常を監視する傾向も増加している。
【0003】
このように住戸内に複数の住警器を設置した場合、異常が発生した部屋とは別の部屋に人がいた場合、警報音が聞こえず火災などの災害が広がる恐れがある。このため、住警器同士を有線接続し、ある住警器で火災を検出して警報した場合、他の住警器に信号を送って同時に警報させる連動警報ができるようにしている。
【0004】
しかしながら、住警器同士を有線接続することは、有線工事が必要なためにコストが高くなる問題がある。この問題は無線式の住警器とすることで解消可能である。しかも、最近における無線回路用ICの低消費電力化に伴い、他の住警器からの信号を受信可能とするために常時受信可能な動作状態としても、たとえば5年を超えるような、実用に耐える電池寿命が保証され、無線式住警器を実用化する環境が整いつつある。
【0005】
ところで無線式の住警器にあっては、他の住警器からいつ異常を示す信号が送信されるかわからないため、いつでも信号を受信できるように受信回路部を待機動作状態にしておく必要があるが、これでは消費電力が大きくなることから、所定の受信周期毎に間欠的に受信動作を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−094719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の電池電源を使用した住警器にあっては、電池電圧が住警器として72時間(3日間)に亘り正常に機能可能な限界電圧に低下したときにローバッテリーを検出し、例えば1分に1回、「ピッ」といった短い警報音を出すようにしている。
【0008】
しかしながら、ローバッテリー警報が出た場合に例えば1週間というような長期不在であったとすると、ローバッテリー警報に気が付くことなく電池切れとなって動作が停止し、無警戒状態になってしまう問題がある。
【0009】
本発明は、ローバッテリー警報が出されても、電池が切れるまでの残り期間を可能な限り延ばして信頼性を高めるようにした警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
電池電源と、
所定の受信周期毎に間欠的に受信動作を行って他の警報器からのイベント信号を受信する受信回路部と、
受信周期以上の送信時間に亘りイベント信号を他の警報器に送信する送信回路部と、
警報を出力する報知部と、
を設けた警報器に於いて、
電池電源の電圧低下からローバッテリーを検出したときに、間欠的に連動元を示すローバッテリー警報を出力すると共に、他の警報器にローバッテリーを示すイベント信号を送信し、一方、他の警報器からローバッテリーを示すイベント信号を受信したときに、間欠的に連動先を示すローバッテリー警報を出力するローバッテリー監視部と、
ローバッテリーを検出したときに、受信回路部の受信周期を長い周期に変更し、一方、他の警報器からローバッテリーを示すイベント信号を受信したときに、送信回路部の送信時間を変更後の長い受信周期以上の送信時間に変更する送受信時間制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
ここで、ローバッテリー監視部は、電池電圧が警報器として所定残り時間に亘り正常に機能可能な限界電圧に低下したときにローバッテリーを検出する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の警報器によれば、電池電圧が低下してローバッテリーが検出されると、それまでの間欠受信周期をより長い周期に変更し、これによって受信回路部の平均消費電流を低減し、その分、電池が切れるまでの時間を長くし、ローバッテリーを検出して警報しても、不在期間中に電池切れにより無警戒状態となってしまうことを可能な限り防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による住警器の外観を示した説明図
【図2】住宅に対する住警器の設置状態を示した説明図
【図3】本発明による住警器の実施形態を示したブロック図
【図4】本実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図
【図5】本実施形態における初期設定した間欠受信周期での送信側と受信側の動作を示したタイムチャート
【図6】本実施形態における間欠受信周期を短い周期に設定変更した場合の送信側と受信側の動作を示したタイムチャート
【図7】本実施形態における間欠受信周期と平均消費電流の関係を示したタイムチャート
【図8】本実施形態による連動警報を伴う火災監視処理を示したタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明による無線式の住警器の外観を示した説明図であり、図1(A)に正面図を、図1(B)に側面図を示している。
【0015】
図1において、本実施形態の住警器10はカバー12と本体14で構成されている。カバー12の中央には、周囲に煙流入口を開口した検煙部16が配置され、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出するようにしている。
【0016】
カバー12に設けた検煙部16の左下側には音響穴18が設けられ、この背後にスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。検煙部16の下側には警報停止スイッチ20が設けられている。警報停止スイッチ20は点検スイッチとしての機能を兼ねている。
【0017】
警報停止スイッチ20の内部には、点線で示すようにLED22が配置されており、LED22が点灯すると、警報停止スイッチ20のスイッチカバーの部分を透過してLED22の点灯状態が外部から分かるようにしている。
【0018】
また本体14の裏側上部には取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁にビスなどをねじ込み、このビスに取付フック15で取り付けることで、壁面に住警器10を設置することができる。
【0019】
なお図1の住警器10にあっては、検煙部16を備えた火災による煙を検出する住警器を例に取っているが、これ以外に火災による熱を検出するサーミスタを備えた住警器や、火災以外にガス漏れを検出する住警器についても、本発明の対象に含まれる。
【0020】
図2は住宅に対する本実施形態の住警器の設置状態を示した説明図である。図2の例にあっては、住宅24に設けられている台所、居間、主寝室、子供部屋のそれぞれに本実施形態の住警器10−1〜10−4が設置され、更に屋外に建てられたガレージ26にも住警器10−5を設置している。
【0021】
住警器10−1〜10−5のそれぞれは、イベント信号を相互に無線により送受信する機能を備えており、5台の住警器10−1〜10−5で1つのグループを構成して、この住宅全体の火災監視を行っている。
【0022】
いま住宅24の子供部屋で万一、火災が発生したとすると、住警器10−4が火災を検出して警報を開始する。この火災を検出して警報を開始することを、住警器における「発報」という。住警器10−4が発報すると、住警器10−4は連動元として機能し、連動先となる他の住警器10−1〜10−3,10−5に対し、火災発報を示すイベント信号を無線により送信する。他の住警器10−1〜10−3,10−5にあっては、連動元の住警器10−4からの火災発報を示すイベント信号を受信すると、連動先としての警報動作を行う。
【0023】
ここで連動元となった住警器10−4の警報音としては、例えば音声メッセージにより「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を連続して出力する。一方、連動先の住警器10−1〜10−3,10−5にあっては、「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージを連続して出力する。住警器10−1〜10−5が警報音を出している状態で、図1に示した住警器に設けている警報停止スイッチ20を操作すると、警報音の停止処理が行われる。
【0024】
また住警器10−1〜10−5は電池切れを監視するローバッテリー監視機能を備えており、ローバッテリーを検知すると、例えば「ピッ」といった警報音を所定時間置きに間欠的に出力し、障害が発生したことを報知する。またローバッテリーを検出した障害元の住警器は、他の住警器にローバッテリーの発生を示すイベント信号を無線送信し、他の住警器においても同じローバッテリー警報が出力される。この結果、任意の住警器でローバッテリーが検出されると、連動警報を行うグループを構成している全ての住警器から障害警報が出力されることなる。
【0025】
更に、本実施形態の住警器10−1〜10−5にあっては、ローバッテリーを検出すると、通常時の受信回路44の間欠受信周期T12を、より長い間欠受信周期T14に変更して消費電流を下げ、電池寿命を長くする。また、他の住警器からローバッテリーのイベント信号を受信したときは、通常時の送信回路42の送信時間T3を、より長い送信時間T5に変更する。
【0026】
なお、住警器10−1〜10−5はローバッテリー以外にセンサ障害を監視しており、センサ障害を検出すると、ローバッテリー検出と同様に連動警報を行う。
【0027】
図3は本発明による住警器の第1実施形態を示したブロック図である。図3は図2に示した5台の住警器10−1〜10−5につき、その内の住警器10−1について回路構成を詳細に示している。
【0028】
住警器10−1はCPU28を備え、CPU28に対してはアンテナ31を備えた無線回路部30、記録回路部32、センサ部34、報知部36、操作部38及び電池電源40を設けている。
【0029】
無線回路部30には送信回路42と受信回路44が設けられ、他の住警器10−2〜10−5との間でイベント信号を無線により送受信できるようにしている。無線回路部30としては、日本国内の場合には例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステムの無線局の無線設備の標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を備える。
【0030】
もちろん無線回路部30としては、日本国内以外の場所については、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
【0031】
受信回路44は間欠受信動作を行っている。受信回路44の間欠受信動作は、例えばT1=5ミリ秒の受信動作時間に続いて例えばT2=10秒の休止時間を置く周期T12(=T1+T2)の間欠受信となる。この間欠受信に対応して送信回路42は、イベント信号を間欠受信周期T12(=T1+T2)以上となるT3時間に亘り連続的に送信する。
【0032】
受信回路44の間欠受信周期T12は例えば10年の電池寿命を確保する平均消費電流となるように、住警器の設計段階で決定された周期であり、出荷段階で設定されたデフォルト周期となっている。
【0033】
また、本実施形態の受信回路44は、予め設定しているデフォルトの間欠受信周期T12を、ローバッテリーを検出したときに、電池寿命を延ばすために長い間欠受信周期T13に変更できるようにしている。この間欠受信周期T12の長い周期T13への変更に伴い、ローバッテリーを検出していない住警器の送信回路42の送信時間は、通常時の送信時間T3から、より長い送信時間T5に変更される。
【0034】
記録回路部32にはメモリ46が設けられている。メモリ46には住警器を特定するID(識別子)となる送信元符号50と、図2のように複数の住警器で連動警報を行うグループを構成するためのグループ符号52が格納されている。送信元符号50としては、国内に提供される住警器の数を予測し、例えば同一符号として重複しないように26ビットの符号コードが使用される。
【0035】
グループ符号52はグループを構成する複数の住警器に共通に設定される符号であり、無線回路部30で受信した他の住警器からのイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ46に登録しているグループ符号52に一致したときに、このイベント信号を有効な信号として受信して処理することになる。
【0036】
なお本実施形態にあっては、記録回路部32にメモリ46を使用しているが、メモリ46の代わりにディップスイッチを設け、ディップスイッチにより送信元符号50やグループ符号52を設定するようにしてもよい。送信元符号50やグループ符号52の符号長(ビット数)が少ない場合には、ディップスイッチを用いた記録回路部32が望ましい。
【0037】
センサ部34には、本実施形態にあっては検煙部16が設けられ、煙濃度に応じた煙検出信号をCPU28に出力している。センサ部34には検煙部16以外に、火災による温度を検出するサーミスタを設けてもよい。またガス漏れ監視用の住警器の場合には、センサ部34にガス漏れセンサが設けられることになる。
【0038】
報知部36にはスピーカ56とLED22が設けられている。スピーカ56は、図示しない音声合成回路部からの音声メッセージや警報音を出力する。LED22は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常及び障害を表示する。
【0039】
操作部38には警報停止スイッチ20と送受信時間制御部62が設けられている。警報停止スイッチ20を操作すると、住警器10−1から流している警報音を停止することができる。警報停止スイッチ20は、本実施形態にあっては点検スイッチを兼用している。
【0040】
警報停止スイッチ20は、報知部36からスピーカ56により警報音を出力しているときに有効となる。一方、警報音を出力していない通常監視状態で警報停止スイッチ20は点検スイッチとして機能し、点検スイッチを押すと、報知部36から点検用の音声メッセージなどが出力される。
【0041】
電池電源40は、例えば所定セル数のアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては住警器10−1における無線回路部30を含む回路部全体の低消費電力化により、約10年の電池寿命を保証している。
【0042】
CPU28にはプログラムの実行により実現される機能として、異常監視部58、ローバッテリー監視部60及び送受信時間制御部62が設けられている。
【0043】
異常監視部58は、センサ部34に設けた検煙部16からの煙検出信号が火災レベルを超えて火災を検出したときに、報知部36のスピーカ56から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、火災発報を示すイベント信号を無線回路部30の送信回路42によりアンテナ31から他の住警器10−2〜10−5に向けて送信させる。
【0044】
また、異常監視部58は、他の住警器10−2〜10−5のいずれかから火災発報を示すイベント信号を無線回路部30の受信回路44により受信したときに、報知部36のスピーカ56から連動先を示す警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる音声メッセージを連続的に出力させる。
【0045】
ここで、異常監視部58で火災発報を検出して連動元警報音を出すときには、報知部36のLED22を例えば明滅させ、一方、連動先警報音を出す場合には、報知部36のLED22を点滅させる。これによって、連動元警報と連動先警報におけるLED22の表示を区別できるようにしている。もちろん、連動元警報と連動先警報のいずれについても、同じLED22の明滅または点滅表示であってもよい。
【0046】
ローバッテリー監視部60は、電池電源40の電圧低下によるローバッテリーを検出したときに、例えば1分に1回、「ピッ」といった短いローバッテリー警報音を出すと共に、ローバッテリーを示すイベント信号を他の住警器10−2〜10−5に送信する。
【0047】
ここで、ローバッテリー監視部60は、電池電源40の電池電圧が警報器として所定残り時間に亘り正常に機能可能な限界電圧に低下したときにローバッテリーを検出する。
【0048】
また、ローバッテリー監視部60は、他の住警器10−2〜10−5のいずれかからローバッテリーを示すイベント信号を受信したときに、ローバッテリー警報音を同様に間欠的に出すことにより、障害警報音の連動出力を行う。このローバッテリーの連動先での警報については、警報音に同期してLED22を点滅させても良い。
【0049】
送受信時間制御部62は、ローバッテリーを検出した時に、初期設定している受信回路44の受信周期T12を長い周期T13に変更して電池寿命を延ばし、一方、他の住警器からローバッテリーを示すイベント信号を受信したときに、初期設定している送信回路42の送信時間T3を、変更した間欠受信周期T13以上の送信時間T5に変更する。
【0050】
図4は本実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図である。図4において、イベント信号48は送信元符号50、グループ符号52及びイベント符号54で構成されている。送信元符号50は例えば26ビットの符号である。またグループ符号52は例えば8ビットの符号であり、同一グループを構成する例えば図3の5台の住警器10−1〜10−5につき同じグループ符号が設定されている。
【0051】
なおグループ符号52としては、同一グループの住警器に同一のグループ符号を設定する以外に、予め定めたグループを構成する住警器に共通な基準符号と、各住警器に固有な送信元符号との演算から求めた住警器ごとに異なるグループ符号であってもよい。
【0052】
イベント符号54は、火災、ガス漏れなどの異常や障害といったイベント内容を表す符号であり、本実施形態にあっては3ビット符号を使用しており、例えば「001」で火災、「010」でガス漏れ、「011」でローバッテリー、残りをリザーブとしている。
【0053】
なおイベント符号54のビット数は、イベントの種類が増加したときには更に4ビット、5ビットと増加させることで、複数種類のイベント内容を表すことができる。
【0054】
図5は本実施形態における通常時の送信側と受信側の動作を示したタイムチャートである。図5(A)は送信側住警器の送信動作であり、図5(B)は受信側住警器の受信動作である。
【0055】
図5(B)の受信側住警器にあっては、通常の監視状態では初期設定された受信動作時間T1と休止時間T2からなる間欠受信周期T12(=T1+T2)により間欠的な受信動作を行っており、受信動作時間T1は例えばT1=5ミリ秒であり、中止時間T2は例えばT2=10秒であり、したがって間欠受信周期T12はT12=約10秒となっている。
【0056】
この状態で、図5(A)に示す送信側住警器が任意のタイミングで火災発報すると、火災発報を示すイベント信号を送信する。火災発報のイベント信号の送信時間T3は、間欠受信周期T12以上の時間とする。これによって、送信タイミングがどのようなタイミングであっても、送信時間T3の間に少なくとも1回の受信時間T1が入り、間欠受信であっても、イベント信号を確実に受信し、且つ電池寿命を延ばすことができる。
【0057】
図6は本実施形態におけるローバッテリー検出時の送信側と受信側の動作を示したタイムチャートで、図6(A)は送信側住警器の送信動作であり、図6(B)は受信側住警器の受信動作である。
【0058】
図6(B)の受信側住警器にあっては、ローバッテリーの検出に応じ、受信動作時間T1はそのままで、休止時間をそれまでのT2時間からT3時間に延ばして間欠受信周期T13(=T1+T3)により間欠的な受信動作を行っており、受信動作時間T1は例えばT1=5ミリ秒であり、中止時間T3は例えばT3=20秒である。
【0059】
図7は本実施形態における間欠受信周期と平均消費電流の関係を示したタイムチャートである。図7(A)通常時の間欠受信周期T12における間欠受信動作であり、この場合の平均電流Ia1は
Ia1=(Ir×T1)/T12
で与えられる。
【0060】
図7(B)はローバッテリーの検出に基づき、間欠受信周期T12を長い間欠受信周期T14に変更した場合であり、この場合の平均消費電流Ia2は
Ia2=(Ir×T1)/T14
で与えられる。
【0061】
このため、間欠受信周期T12がローバッテリーの検出時に長い間欠受信周期T14に変更されることで、電池電源40がローバッテリー状態にあっても、受信回路44の消費電流を減らし、電池寿命を可能な限り引き延ばすことができる。
【0062】
図8は図3の住警器10−1に設けたCPU28による処理を示したフローチャートである。図8において、住警器の電池電源を有効(オン)とすると、ステップS1で初期化処理が行われる。この初期設定では、住警器10−1〜10−5により連動グループを設定する処理が含まれる。
【0063】
続いて住警器は監視状態に入り、ステップS2で、センサ部32に設けた検煙部16による火災発報の有無を判別しており、火災発報が判別されるとステップS3に進み、火災発報のイベント信号を他の住警器10−2〜10−5に送信した後、ステップS4で連動元の火災警報を報知部36のスピーカ56からの音響出力及びLED22の点灯制御で出力する。
【0064】
一方、ステップS2で火災発報が判別されない場合には、ステップS5に進み、他の住警器から火災発報のイベント信号を受信したか否か判別しており、火災発報のイベント信号の受信を判別すると、ステップS6で連動先の火災警報を出力する。
【0065】
続いてステップS7でローバッテリー検出の有無を判別しており、ローバッテリー検出
が判別されるとステップS8に進み、ローバッテリーを示すイベント信号を他の住警器10−2〜10−5に送信した後、ステップS9で間欠的な連動元のローバッテリー警報を出力する。
【0066】
続いてステップS10で受信回路44の間欠受信周期を、初期設定している周期T12から、例えば2倍の周期T14に変更する。一方、ステップS7でローバッテリー検出でなかったときは、ステップS11で他の住警器10−1〜10−5からローバッテリーを示すイベント信号の受信の有無を判別し、受信した場合には、ステップS12で間欠的な連動先のローバッテリー警報を出力する。更にステップS13で送信回路44の受信動作時間を通常時のT3時間から、より長いT5時間に変更する。
【0067】
続いて、ステップS14で警報中の警報停止操作を判別するとステップS15で報知音を停止する。
【0068】
なお、上記の実施形態は火災検出を対象とした住警器を例に取るものであったが、これ以外にガス漏れ警報器や防犯用の警報器など、それ以外の適宜の異常を検出する警報器につき、本実施形態の予備異常を含む監視処理をそのまま適用することができる。また住宅用に限らす、ビルやオフィス用などの各種の用途の警報器にも適用できる。
【0069】
また上記の実施形態は、警報器にセンサ部を一体に設けた場合を例に取るものであったが、他の実施形態として住警器からセンサ部を別体として設けた警報器であってもよい。
【0070】
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0071】
10,10−1〜10−5:住警器
12:カバー
14:本体
15:取付フック
16:検煙部
18:音響孔
20:警報停止スイッチ
22:LED
24:住宅
26:ガレージ
28:CPU
30:無線回路部
31:アンテナ
32:記録回路部
34:センサ部
36:報知部
38:操作部
40:電池電源
42:送信回路
44:受信回路
46:メモリ
48:イベント信号
50:送信元符号
52:グループ符号
54:イベント符号
56:スピーカ
58:異常監視部
60:ローバッテリー監視部
62:送受信時間制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池電源と、
所定の受信周期毎に間欠的に受信動作を行って他の警報器からのイベント信号を受信する受信回路部と、
前記受信周期以上の送信時間に亘りイベント信号を他の警報器に送信する送信回路部と、
警報を出力する報知部と、
を設けた警報器に於いて、
前記電池電源の電圧低下からローバッテリーを検出したときに、間欠的に連動元を示すローバッテリー警報を出力すると共に、他の警報器にローバッテリーを示すイベント信号を送信し、一方、他の警報器からローバッテリーを示すイベント信号を受信したときに、間欠的に連動先を示すローバッテリー警報を出力するローバッテリー監視部と、
前記ローバッテリーを検出した時に、前記受信回路部の受信周期を長い周期に変更し、一方、他の警報器からローバッテリーを示すイベント信号を受信した時に、前記送信回路部の送信時間を変更後の長い受信周期以上の送信時間に変更する送受信時間制御部と、
を備えたことを特徴とする警報器。
【請求項2】
請求項1記載の警報器に於いて、前記ローバッテリー監視部は、前記電池電圧が警報器として所定残り時間に亘り正常に機能可能な限界電圧に低下したときに前記ローバッテリーを検出することを特徴とする警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−138102(P2012−138102A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−37081(P2012−37081)
【出願日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【分割の表示】特願2010−164679(P2010−164679)の分割
【原出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】