説明

豚コラーゲンフィルム

豚コラーゲンフィルムは押出し可能なコラーゲンゲルからつくられる。当該豚コラーゲンは雌豚コラーゲンから基本的に成る。脂質に対するコラーゲン比は、通常約10:1、例えば25:1〜50:1の範囲にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された性質を有するコラーゲンフィルムの製造のための、豚、一般的には豚皮膚(豚皮としても知られている)から得られる豚コラーゲンの使用に関する。特に、当該コラーゲンは雌豚から得られる。
【背景技術】
【0002】
天然動物源から得られる再生コラーゲンから作られる人工コラーゲンは長年市販されている。こられのコラーゲンフィルムは、典型的にはハム等の食品の包装に使用されている。現在、主たる動物コラーゲン源は、牛皮から得られる牛コラーゲンである。牛を屠殺後、皮を剥がし、主にコラーゲンを含む下層を裂く。次いで、牛コラーゲンは機械的に細分され、周知の方法でゲルに成形される。ゲルは押出されてフィルムを形成する。次いで、フィルムは典型的にはpH交換及び/又はグルタールアルデヒド等の架橋剤の使用により養生される。
【0003】
コラーゲンはまた、豚、羊、山羊、鳥類、魚等の多くの他の源から得られるが、現在までにこれらのいずれも広範な商業用途は見出されていない。特にこれらの源、特に豚コラーゲンから作られる人工コラーゲンフィルム及び包装は、多くの利点、特に比較的低張力強度を有するように考えられる。にもかかわらず、豚コラーゲンフィルムは、Ed. Geistlich Sons社、商標Bio-Foilから一般的に入手可能であり、ハムの包装を意図している。
【0004】
しかしながら、本発明の目的は改良された性質を有する豚コラーゲンフィルムを提供することである。
【0005】
従来技術では、豚-由来のコラーゲン、特に豚腸から得られるコラーゲンが使用されてきた。牛コラーゲンとの混合物もよく使用される。従って、米国特許第4,407,829号ではSjolanderは、蛋白質分解酵素の使用に関連した方法でコラーゲン・スラリーを製造するための豚腸、豚肺又は牛第一胃の使用を開示している。米国特許第5,411,887号ではSjolanderは、豚腸の酵素処理によるコラーゲンフィルムの製造を開示している。米国特許第5,840,849号ではLoders Croklaanは、共-押出しソーセージ包装用のペーストの製造のための、蛋白質分解酵素で処理した牛コラーゲン及び豚腸コラーゲンの混合物を開示している。
【0006】
米国特許第5,229,497号ではTeepakは、コラーゲン包装の製造のための、牛、豚及び山羊を含む種々の動物源から得られる純粋でない結合組織の使用を開示している。皮膚及び骨は除外される。方法は、3種の酵素処理段階までの使用を含み、結合組織由来の脂質の除去は多数の可能な選択肢によって達成することができる。開示された実施例のみが腱なし牛脚の使用を含む。
【0007】
豚皮膚又は豚皮から得られるコラーゲンの使用を含む多数の従来技術文献もある。米国特許第4,196,223号ではWilson Foodsは、豚皮膚からのコラーゲンの製造、及びコラーゲン包装を製造するためのその後の凝固及びなめしを開示している。しかしながら、製造される包装は市販用詰め物基材の使用には十分でないと言われている(米国特許第4,615,889号を参照されたい)。米国特許第4,615,889号ではDevroは、コラーゲン包装の製造のための、牛コラーゲン及び豚皮膚から得られるコラーゲンの混合物の使用を開示している。特許GB915441号ではArmourは、コラーゲンフィルムの製造のための豚皮膚の使用例を開示している。蛋白質分解酵素を含む方法によるコラーゲンフィルム又は包装の製造は、複雑であり、その結果コスト高となり、そのような理由で商業用途を達成できなかった。ある例では、おそらく必要な強度を達成するために牛及び豚のコラーゲンの混合物が使用されている。我々の経験では、純粋な豚コラーゲン由来のコラーゲンフィルム又は包装の製造は低張力強度の製品に繋がる。
【発明の開示】
【0008】
本発明の目的は、これらの問題を緩和し、基本的に豚コラーゲンフィルムの製造を可能にすることである。
【0009】
本発明は、雌豚皮膚から得られるコラーゲンの使用が特に有用であることの発見に基づく。
【0010】
従って、本発明の1つの実施態様は、押出し可能なコラーゲンゲルから作られる押出し豚コラーゲンフィルムを提供する;当該フィルムのコラーゲン内容物は雌豚コラーゲンから基本的に成る。
【0011】
雌豚コラーゲンの使用はコラーゲンフィルムに強度を付与することが判明した。特にコラーゲンは実質的に繊維質の形態でフィルム中に存在する。このような理由により、繊維質の(化学的又は酵素的方法よりもむしろ)機械的脱脂は押出しゲルの調製に好ましい。ゲル中及び完成フィルム中のコラーゲンが雌豚から得られるという事実は、本明細書に記載の等収縮張力(IST)測定によって決定することができる。
【0012】
天然豚皮又は皮膚中の脂質に対するコラーゲン比は典型的には1:1〜5:1の範囲にある、ことが理解される。本発明は好ましくは、豚コラーゲン源等の雌豚皮膚又雌豚皮を使用する。好ましくは、脂質に対するコラーゲンの比は少なくとも2.5〜1である。
【0013】
豚皮膚の構造的特徴は周知であり、例えばWorld Leather, October, 1997, 85-90頁で考察されている。従って、豚皮膚は、外側から内側に表皮層、真皮層及び皮下脂肪層を含むことが知られている。真皮層は表皮と比較すると比較的厚く、コラーゲン繊維質の主な存在場所である。豚硬膜毛もまた真皮層に存在し、「円錐状」脂質は、各毛刷状濾胞の下にある真皮層を通って皮下脂肪層から上方に広がる傾向にある。従って、コラーゲン-含有真皮層と皮下脂肪層との間に区分が存在する傾向にある。この区分は幼豚にはより少なく、より高齢の豚により多い。
【0014】
豚皮膚中の脂質に対するコラーゲン比を増加させるには多数の方法がある。最も効果的な方法の1つは、豚皮膚の機械的処理を皮なめし工場で注意深く制御することである。新しい豚皮膚は、脂質に対するコラーゲン比が求められる比になる程度まで皮下脂肪層及び真皮層のいくつかを除いて機械的脱肉に供される。皮質は水酸化ナトリウム等のアルカリによる処理によって化学的に除去することもできる。
【0015】
より少量の脂質は、押出しゲルの調製中に他の段階で除去することもできる。他の方法は、(液体二酸化炭素等の許容される食品物質を用いる)溶媒抽出による脂質の除去を含む。酵素処理は、任意であるが、コラーゲンの繊維特性を減少させる可能性があるため、好ましくない。
【0016】
本発明の別の態様では、豚コラーゲンフィルム中の脂質のパーセンテージは、乾燥重量基準で20重量%未満、特に18重量%未満、特に16重量%未満の濃度に低減されている。
【0017】
脂質に対するコラーゲン比は、少なくとも2.5:1、好ましくは少なくとも3、特に少なくとも3.5及び特に少なくとも4:1である。10:1を越える、20:1さえも越える脂質に対する高いコラーゲン比を達成できる。好ましくは30:1を越える、特に40:1を越える比である。しかしながら、脂質含量は、好ましくは、最終コラーゲンフィルムの性質の良好な全体的バランスを達成するように制御される。好ましい範囲は25:1〜50:1、特に30:1〜45:1を含む。従って、最終フィルム中の一定の脂質比は、それに魅力的光沢を付与するというフィルムの外観を改善し、フィルムが調理品に使用される場合にはフィルムの調理性を改善する傾向にある。豚脂質の不飽和性は、(例えば架橋によって)予想外の強度を付与することができる。従って、グリセロール又は他の湿潤剤等の製品中の他の添加剤の量は、脂質比にある程度依拠する。
【0018】
本発明の目的は、基本的に豚源由来のコラーゲン製品の提供である。牛コラーゲンの含有は好ましくないが、羊、家禽、鳥類、魚等から得られるコラーゲンの少量好ましくは10%未満及び特に5%未満を任意に含むことができる。
【0019】
コラーゲン特性は、幼豚(約4月齢)及び雌豚(約1歳又はそれ以上の雌豚)から得られるコラーゲンを0:100〜10:90(特に5:95)の比で混合することによって変動させることができる。高齢雌豚材料は強度を増加させる傾向にある。
【0020】
必要な脱脂とは別に、豚コラーゲンは一般的方法で処理されて押出し可能な水性ゲルを形成することができる。一般的に、豚原料は脱脂された後、まず肉挽機で次にミル(例えばプレートミル)で分解され、繊維性ペーストを生じる。脂質は機械的に繊維性ペーストから除かれる。次いで、ペーストは、コラーゲンを膨張させるため、塩酸等の強鉱酸又は乳酸等の有機酸で酸性にされる。あるいは、アルカリ性膨張ゲルは周知の方法に従って作ることができる。通常、ゲルは94〜96%の水及び4〜6%(典型的には約5%)のコラーゲン及び他の構成物を重量で含む。
【0021】
場合により、アルギン酸エステル、例えばアルギン酸エチレングリコール又はアルギン酸プロピレングリコール等のアルギン酸グリコールを押出しゲル中に含んでもよい。これは、フィルム強度、特にフィルム湿潤強度を改善することが明らかとなっている。従って、この改善は、破裂高保持(Burst Height Retention)値や機械方向(MD)湿潤引裂強度にも見出される。一般的に、アルギン酸エステルは、(典型的にはフィルム中に20重量%まで、好ましくは10重量%までに相当する)ゲル中に1重量%まで、好ましくは0.5重量%まで存在する。ゲル及びフィルム中では、アルギン酸エステルに対するコラーゲン比は、一般的に重量で95:5〜75:25の範囲である。
【0022】
グルセロール及びソルビトール等の湿潤剤を含む他の添加剤を、他の所望の周知の添加剤(例えば矯味・矯臭剤、着色剤及びスパイス)と共に含んでもよい。湿潤剤は、フィルム中に乾燥重量基準で好ましくは10〜45%、好ましくは15〜40%(例えば15〜45%;又は10〜40%)の量で存在し、グリセロール、ソルビトール又はそれらの混合物を含んでもよい。セルロースはフィルムの収縮張力を修正するために含んでもよい。ゲルは、コラーゲンフィルムを架橋し、その結果その強度を増加させるのに効果的な、凝固剤、例えばグルタールアルデヒド、グリオキサール、液状煙又は多価カチオン(アルミニウム等)を含んでもよい。アルミニウムイオンもフィルムを耐水化する。しかしながら、この強度増加は弾性低減のコスト高に繋がる。次いで、ゲルをホモジナイズし、押出す前に立たせることができる。
【0023】
一般的に、ゲルのコラーゲン固体含量は重量基準で、2〜10%、好ましくは2.5〜7%の範囲にある。フィルム中のコラーゲン固体含量は、通常50〜70重量%(典型的には60重量%)の範囲ある。
【0024】
押出しは、一般的にスロット押出成形機によって実行され、押出された原料は一般的に0.2〜5mmの範囲の湿潤厚で支持ベルトに適用される。押出しフィルムは、塩浴(例えば塩化ナトリウム又は硫酸アンモニウム溶液)、アルカリ浴(例えば炭酸ナトリウム)又はグルタールアルデヒド溶液等の液状凝固剤で更に処理して、フィルムを凝固させることができる。凝固は、アンモニアガス等のガス状アルカリを用いて達成することもできる。これらの処理は、フィルムの乾燥前後に適用することができる。
【0025】
当然のことながら、フィルムは他の製品に更に加工することができる。例えば、周知の方法で細く切断しかつよじって、食用ストリングを形成させることができる。当該ストリングは網を形成させるために使用することができる。例えば、ストリング及び網は、ポークロースト、豚の肩肉、豚の脇腹肉又は豚のもも肉を縛るために用いることができる。
【0026】
本発明の豚コラーゲンフィルムは、本明細書に記載の試験方法により、300 gf/mmより大きい、特に400 gf/mmより大きい、通常500 gf/mmより大きい押出し方向(MD)に湿潤引裂強度を有することが判った。
【0027】
豚コラーゲンフィルムは、特に乾燥状態において優れた強度を有し、豚肉片又は他の肉片等の湿性食品の包装に用いることができる。それは、豚の肩肉片から得られる成形調理ハムの製造に特に有用である。豚コラーゲンフィルムは、良好な強度、良好な調理能、良好な外観及びフィルム完全性を呈する。従って、本発明の更なる態様は、豚コラーゲンの製造方法、及び豚コラーゲンフィルムで包装された又はコラーゲンゲルで被覆された及びフィルムを形成するために養生された食品(特に豚肉製品)を含む。
【0028】
本発明の実施態様は、専ら実施例によって記載されるだろう。
【0029】
背景
商業的に入手可能な(Ed. Geistlich Sons Ltd.)豚コラーゲンフィルム(Geistlich l及び2)は、分析され、以下の乾燥重量基準を含むことが判っている:
Geistlich 1 Geistlich 2
コラーゲン 48. 7% 68.8%
グリセロール 19.7% 20.6%
脂質 30.6% 12.4%
灰分 0.7% 0.4%
コラーゲン:脂肪比 1.6:1 5.5:1
【0030】
これらの実施例では、重量パーセンテージは実験的誤差の範囲内で約100%であろう。
【0031】
脱脂
原料は、通常、塩漬け豚(雌豚)皮膚(皮)として入手される。典型的な脱脂方法は以下のステップのいくつか又は全てを含む:
1. 初期浸漬-皮膚を処理ドラムに加え、次いで28℃で150%〜200%相当の重量の新鮮な浄化水を加える。1時間まで回転させ、容器から排水する。
2. 主な浸漬-生皮の100%〜200%重量に投下な水(28〜32℃)を加える。0.5%までの(再水和及び表面脂質の除去に役立つ)炭酸ナトリウム等を加え、(再水和及び表面脂質の除去に役立つ)Danol WA等の湿潤剤を0.2重量%まで加える。
3. 容器からの脂質除去-皮除去。皮片全部をPoletto、Rizzi、Mosconi及びPersico製の特許権のあるフレッシング・マシーンに入れた。良質なコラーゲンを過度に除去することなく、よく見える脂質の削減を効果的にするために、カッターの高さを好適な位置にセットする。脂質の除去は、好適な特許権のあるフレッシング・マシーンを用いて浸漬段階前に行うこともできる。かかる方法で調製された皮は、通常、塩漬け状態で出荷されるが、塩を使用せずに凍結してもよい。かかる方法で調製された原料は、初期浸漬段階を終了後に直ちに脱毛に進めることができる。
4. 脱毛-材料の重さを秤り直して容器に入れる。水(約25℃)を皮の200%相当の重量まで加える。硫酸ナトリウムを3.5重量%まで又はヒドロ亜硫酸ナトリウムを5重量%まで加え、次いで湿潤剤を0.2重量%まで加える。処理中、pHを11〜12に維持するために、通常、水酸化ナトリウム又は石灰等の強アルカリを添加する。通常、Erhavit MC又はAglutan PR等の限られた助剤を0.3重量%まで加えてもよい。典型的な処理時間は、当該溶液が排出されるまでの12〜60時間の間である。
5. 洗浄1-(200%相当の重量)新鮮浄化水及び湿潤剤(典型的に0.2%)を加え、30分間回転した後排水する。
6. 洗浄2-(200%相当の重量)新鮮浄化水を加え、次いで30分間回転した後排水する。残渣の界面活性剤を除くため(容器中に泡の形跡がなくなるまで)、この段階を4回まで繰り返すことができる。
7. 脱石灰-約9のpHの硫酸アンモニウム溶液で、(石灰を前もって使用した場合にのみ)過剰のカルシウムイオンを除去する。
8. 緩衝液-クエン酸及びクエン酸ナトリウムの溶液又は塩酸で皮のpHを約2.5〜6に減少させる。
9. 最終洗浄-排出溶液の伝導率が200umhos未満に低下する濃度まで溶解塩を除くために、大量の新鮮な浄化水で皮を洗浄する。
【実施例】
【0032】
実施例1a及び1b
a)塩漬け雌豚皮膚を、前記方法によって再水和し、洗浄し、脱毛し及び機械的に脱脂することによって調製した。
b)得られた皮膚はコラーゲンを有していた;44:1の脂質比。
c)次いで、皮膚を更に洗浄し、脱石灰し、pH約4.5に緩衝化した後、再度洗浄して溶解塩の濃度を減少させた。
d)次いで、これらの皮膚を分解した;最初に肉挽機で次いでプレートミルで行い、繊維状ペーストを製造した。
e)このペーストをグリセロール、ソルビトール、塩酸、硫酸アルミニウム及びグルタールアルデヒドの混合物と混合し、重量で表わされる構成物からなる膨張した水性ペーストを得た(水をバランスとした);
HCl 0.12%
コラーゲン 3.03%
脂質 0.07%
グリセロール 1.16%
ソルビトール 0.29%
アルミニウムイオン 0. 0106%
グルタールアルデヒド 0.0012%
(計 4.68%-バランス)
f)このペーストを酪農ホモジナイザーによってホモジナイズし、粘着性のツルツルした膨張ゲルを得た。
g)このゲルをスロット押出機によって約0.5 mmの湿り厚で連続支持ベルト上に押出し、次いで約60℃の温度で乾燥した。
h)得られた乾燥フィルムを特許権のある機械を用いて巻いた。
i)当該フィルムをpHが5を越えるまでアンモニアガスで処理することによって更に加工した(表のEx 1a)。
j)乾燥及び巻く前にガス状アンモニアで処理する以外は、上記フィルムの更なる実施態様は同一のゲル及び押出機から製造した(表のEx 1b)。
【0033】
実施例2a及び2b(PGAを含む)
a)塩漬け雌豚皮膚を、前記方法によって再水和、洗浄、脱毛及び機械的脱脂した。
b)得られた皮膚はコラーゲンを有していた;44:1の脂質比。
c)次いで、皮膚を更に洗浄し、脱石灰し、pH約4.5に緩衝化した後、再度洗浄して溶解塩の濃度を減少させた。
d)次いで、これらの皮膚を分解した;まず肉挽機で次にプレートミルで行い、繊維性ペーストを製造した。
e)このペーストをグルセロール、ソルビトール、塩酸、硫酸アルミニウム、グルタールアルデヒド及びアルギン酸プロピレングリコール(PGA)の混合物で混合し、重量による構成の膨張した水性ペーストを形成した(水をバランスとした);
HCl 0.12%
コラーゲン 3.03%
脂質 0.07%
グリセロール 1.16%
ソルビトール 0.29%
PGA 0.3%
アルミニウムイオン 0.0106%
グルタールアルデヒド 0.0012%
(計 4.98%-バランス水)
f)このペーストを酪農用ホモジナイザーによってホモジナイズし、粘着性のある滑らかな膨張ゲルを製造した。
g)このゲルをスロット押出機によって約0.5 mmの湿り厚で連続支持ベルト上に押出し、次いで約60℃の温度で乾燥した。
h)得られた乾燥フィルムを特許権のある機械を用いて巻いた。
i)当該フィルムをpHが5を越えるまでアンモニアガスで処理することによって更に加工した(表のEx 2a)。
j)乾燥及び巻く前にガス状アンモニアで処理する以外は、上記フィルムの更なる実施態様は同一のゲル及び押出機から製造した(表のEx 2b)。
【0034】
実施例3(PGA及び高脂質)
a)塩漬け雌豚皮膚を、前記方法によって再水和、洗浄、脱毛及び機械的脱脂した。
b)得られた皮膚はコラーゲンを有していた;10.0:1の脂質比。
c)次いで、皮膚を更に洗浄し、脱石灰し、pH約4.5に緩衝化した後、再度洗浄して溶解塩の濃度を減少させた。
d)次いで、これらの皮膚を分解した;まず肉挽機で次にプレートミルで行い、繊維性ペーストを製造した。
e)このペーストをグルセロール、ソルビトール、塩酸、硫酸アルミニウム、グルタールアルデヒド及びアルギン酸プロピレングリコール(PGA)の混合物で混合し、重量による構成の膨張した水性ペーストを形成した(水をバランスとした);
HCl 0.12%
コラーゲン 3.03%
脂質 0.3%
グリセロール 1.16%
ソルビトール 0.29%
PGA 0.3%
アルミニウムイオン 0.0106%
グルタールアルデヒド 0.0012%
(計 5.21%-バランス水)
f)このペーストを酪農用ホモジナイザーによってホモジナイズし、粘着性のある滑らかな膨張ゲルを製造した。
g)このゲルをスロット押出機によって約0.5 mmの湿り厚で連続支持ベルト上に押出した。h)当該フィルムをpHが5を越えるまでアンモニアガスで処理することによって更に加工し、温度約60℃で乾燥した。
i)得られた乾燥フィルムを特許権のある機械を用い巻いた。
【0035】
フィルムの性質を以下に示す(本明細書に記載の試験方法a)〜c)によって測定した):
重量 39 g/m2
pH 5.2
引裂高 81.1 cm
【0036】
(蒸気/燻製ハム製造処理後の)商業的消費者の評価によって決定される特性は、詰め性/切り抜き性及び調理性、フィルム外観及び全体性が全て、典型的な牛コラーゲンフィルムに匹敵する、ものであった。
【0037】
試験方法
以下の試験方法を用いて、表のデータを得た。
a)重量
1. 1メートルの長さのフィルムを切断した。
2. フィルムを秤量した。
3. フィルム幅を測定した。
4. 平方メートル当りの重量を計算した。
【0038】
b) pH
1. フィルムの5g試料を混合容器に入れた。
2. 室温で100 mlの蒸留水を加えた。
3. フィルム及び水を好適な高剪断ミキサーで混合した。
4. 初期校正の後、pHを好適な機器で測定した。
【0039】
c) 引裂高
1. フィルムをその幅の様々な位置でサンプリングした。
2. 各々の試料を径50.8 mmのパースペクスカラムの基部に付した(clamped)。
3. 水を1.5 L/分の一定流速でカラム上部に導入した。
4. 破裂(rupture)が記録される前に水の高さを維持した。
5.15種の試料(5種の縁1、5種の中央、5種の縁2)を各フィルム種について試験し、平均を記録した。
【0040】
d) 穿刺破裂高
1. 各フィルム試料を15 mm離れた1.4 mm径のピンを有する2-ピン装置によって予備-穿刺する以外は、破裂高と同じ方法によって試験を行った。穿刺は試験域の中央近くに位置付けした。
【0041】
e) 破裂高保持
1. 平均穿刺破裂高を平均破裂高で割ることにより決定される計算値。
【0042】
f) 湿潤引裂試験(Md及びTd方向)
1. フィルム試料をサイズ9cm x 9cmに切断した。
2. 機械方向又は縁の中央から中心の横方向へフィルムを4.5cm切断した。
【0043】
【化1】

【0044】
3. 機械方向及び横方向を別々に試験した。
4. 試料の非カット部分を30秒間氷水中に浸漬した。
5. カット部分を一対の上部あご部(jaw)及び下部あご部を用いてInstron 5544張力計で締めた。
6. 試料を全部で4cmの間隔を空けて速度5 cm/分で押出した。
7. 引裂エネルギーを記録した。
【0045】
g) 色度
1. 特許権のある色度計を好適な白色基準タイルを用いて校正した。
2. 次いで、5種のフィルム試験片を基準タイル上に置き、色度を測定した。
3. 平均L、a及びb値を記録した。
【0046】
h) Md及びTd方向の2D引裂試験
1. フィルム試料を19cm x 19cmの寸法に切断した。
2. 次いで、フィルム試料を相対湿度65%、20℃で24時間の状態にした。
3. 試料を破れるまで速度1 cm/分で2軸延伸した。
4. 引裂値での圧力を記録した。
5. 同一の試験から、2%延伸での割線係数を計算した(これは、試験開始時の試料の弾性を示す)。
【0047】
i) フィルムのにおい
1. テストパネルの人は、においを記載するように求められ、それを良好、普通又は悪いと記録するように求められた。
【0048】
j) 外観
1. 巻いたフィルムの可視色/外観。
【0049】
k) 厚さ
特許権のある薄いフィルム厚測定機械例えばElco meterで測定した。
【0050】
等収縮張力(IST)測定
良く理解できることであるが、哺乳動物のコラーゲンは、水と接触すると温度60℃〜70℃で、初期長さの約25%〜33%に急激に収縮する。収縮が試料を急激にのせることによって阻害される場合には、相当の張力がかかるだろう。IST試験は、一定の加熱速度で生じる張力を測定することによってコラーゲンの熱収縮を試験する。
【0051】
装置は以下ものから基本的に成る:
a) 試験試料を置くことができる一対の対抗あご部、一組のあご部は歪みゲージと直接連結されている。
b) あご部セットは、それ自体、固い強化フレーム上に置かれる。
c) 単一のフレーム内で、多数のあご部は一般的にはその周囲が等距離で結合されている。
d) フレーム全体を浸漬するための及び熱液体、通常水で充填されたタンク。
e) 液体の温度を上げるための浸漬タンクのヒーター設備。
f) 試験期間中生じる張力を記録する装置。
g) 個々の歪みゲージからのアウトプットを図示する装置。
【0052】
A) 原料IST
方法は下記のステップから成る:
1) 背骨方向にあって脂質の存在が見えない、背骨に近い皮の中央から等しい大きさの5種の試験片を切り取った(stamping)。
2) 全ての試料の重量をチェックした後、装置の各あご部にそれらを置き、残余張力を最小にする間しっかりと固定するように注意した。
3) 水浴中に装置を浸漬し、全ての試験試料を試験中十分に確実に浸漬した。
4) 浴槽中で水を40℃に予熱した。
5) 全ての歪みゲージをゼロに設定した。
6) あご部セットのそれぞれのあご部から生じる張力の記録を開始した。
7) 水浴の温度を90℃まで1℃/分上昇させた。
8) 試験終了後には、等価な非試験試料セットについてコラーゲン含量を分析した。
9) 最終張力データを5試料について平均化し、原料の乾燥重量に標準化し、次いで温度に対して図示した。
10) 原料分析から得られる乾燥コラーゲン含量に張力データを標準化するのがより一般的である。
11) 開示された例では、試料は、細分及び分解する前に緩衝化及び洗浄された皮から切り取った。IST試験はまた、他の好適な処理段階における原料で実施することができる。
【0053】
B) フィルムIST
方法は以下のステップから成る:
1) フィルム試料の完全幅で等しい大きさの試験片を押出し方向(Md)及び横方向(Td)に切り取った。
2) 各試験は、32試験片を各あご部セットに装填すること、及び原料試験のために行われる上記の処理に従うことを含んだ。
3) 試験実施後に、張力データは個々の試験の総数を平均化した。
4) フィルム試料のコラーゲン含量が著しく異なっている場合、温度に対して図示する前に、データを乾燥コラーゲン含量に標準化した。
【0054】
【表1】

【0055】
ISTチャート記録
【0056】
【表2】

【0057】
全ての場合に、チャートは、Devroフィルムが高収縮初期温度、典型的には52℃より高い、を有することを強調している。Geistlichフィルムに関しては、この値は50℃未満であった。
【0058】
一般的にDevroフィルムは、相当高い収縮張力を有し、最高収縮温度も相当高い。
【0059】
このことは、より熱に安定なコラーゲンの存在を示すものである。
【0060】
差走査熱量計(DSC)
通常の方法によりフィルムにDSCを使用した。フィルムの結果を以下の表2に示す。
【0061】
【表3】

【0062】
実施例4(最終製品製造:)
i) 以下の混合物を準備し、混合した:
豚肩肉片 55Kg
亜硝酸塩 1.65Kg
ポリリン酸塩 0.25Kg
アスコルビン酸塩 0.08Kg
デキストロース 0.58Kg
水 24.9Kg
ii) 見掛け重量lkgのハムは、Possenti製の装置等の特許権のあるハム製造装置を用いて、上記の実施例1a、1b、2a及び2bのコラーゲンフィルムと共に弾性網を適用することによって製造された。末端を留め、非調理製品は調理ラックに置いた。好適な位置でフィルムに穴を開けることにより気泡を抜くことができた。
iii) 当該ハムは以下の通常の方法で調理した:
調理 非燻製 20分 122°F ドライバルブ 100% RH
調理 非燻製 30分 131°F ドライバルブ 15% RH
調理 燻製 30分 140°F ドライバルブ 64% RH
調理 非燻製 20分 140°F ドライバルブ 15% RH
調理 燻製 30分 149°F ドライバルブ 64% RH
調理 非燻製 20分 149°F ドライバルブ 15% RH
調理 燻製 30分 154°F ドライバルブ 65% RH
調理 非燻製 20分 172°F ドライバルブ 100%RH
冷水シャワー 20分
最終製品の性質を表3に示す。
【0063】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、実施例1a、1b、2a及び2b(発明)のDevroフィルム、及びGeistlich 1及び2市販豚フィルムの機械押出方向(MD)のIST値を示す。
【図2】図2は、実施例1a、1b、2a及び2b(発明)のDevroフィルム、及びGeistlich 1及び2市販豚フィルムの横方向(TD)でのIST値を示す。
【図3】図3は、初期収縮温度をより明確に説明するそのデータを示す。
【図4】図4は、初期収縮温度をより明確に説明するそのデータを示す。
【図5】図5は、未加工の豚コラーゲンと石灰化豚コラーゲンとの比較における、未加工の雌豚コラーゲン原料及び石灰化雌豚コラーゲン原料のIST値を示す。
【図6】図6は、発明のフィルムの繊維性を示す、実施例1aの製品の走査電子顕微鏡写真(SEM's)である。
【図7】図7は、発明のフィルムの繊維性を示す、実施例1bの走査電子顕微鏡写真(SEM's)である。
【図8】図8は、発明のフィルムの繊維性を示す、実施例2aの走査電子顕微鏡写真(SEM's)である。
【図9】図9は、発明のフィルムの繊維性を示す、実施例2b及びGeistlich(比較例)の製品の走査電子顕微鏡写真(SEM's)である。
【図10】図10は、発明のフィルムの繊維性を示す、Geistlich(比較例)の製品の走査電子顕微鏡写真(SEM's)である。
【図11】図11は、発明のフィルムの繊維性を示す、Geistlich(比較例)の製品の走査電子顕微鏡写真(SEM's)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出し可能なコラーゲンゲルから作られる押出し豚コラーゲンフィルムであって、当該フィルムの当該コラーゲン内容物が雌豚コラーゲンから基本的に成る、前記フィルム。
【請求項2】
前記フィルムの脂質パーセンテージが、乾燥重量基準で20重量%未満である、請求項1記載のフィルム。
【請求項3】
前記脂質パーセンテージが18%未満である、請求項2記載のフィルム。
【請求項4】
脂質に対するコラーゲンの重量比が少なくとも4:1である、請求項1記載のフィルム。
【請求項5】
前記比が10:1を越える、請求項4記載のフィルム。
【請求項6】
前記比が25:1〜50:1の範囲にある、請求項5記載のフィルム。
【請求項7】
前記コラーゲンが、羊、家禽、鳥類、魚から得られるコラーゲンの10重量%未満を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項8】
5重量%未満を含む、請求項7記載のフィルム。
【請求項9】
前記豚コラーゲンが、幼豚及び雌豚から得られるコラーゲンを0:100〜10:90の比で含む、請求項1〜8のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項10】
アルギン酸グリコールを更に含む、請求項1〜9のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項11】
前記アルギン酸グリコールが、前記ゲル中に0.5重量%まで存在する、請求項10記載のフィルム。
【請求項12】
アルギン酸エステルに対するコラーゲン比が重量で95:5〜75:25の範囲にある、請求項10記載のフィルム。
【請求項13】
湿潤剤を更に含む、請求項1〜12のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項14】
前記湿潤剤が、乾燥重量基準で15〜45%の量にある、請求項13記載のフィルム。
【請求項15】
凝固剤を更に含む、請求項1〜14にいずれか1項記載のフィルム。
【請求項16】
前記ゲル中の前記コラーゲン固体含量が、2〜10%の範囲にある、請求項1〜15のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項17】
300 gf/mmを越える押出し方向での湿潤引裂強度を有する、請求項1〜16のいずれか1項記載のフィルム。
【請求項18】
請求請1〜17のいずれか1項記載のフィルムから形成される紐又は綱。
【請求項19】
押出し豚コラーゲンフィルムの製造方法であって、当該コラーゲン内容物が雌豚コラーゲンから基本的に成り、以下のステップ:
−脱脂雌豚皮膚を製造すること;
−当該雌豚皮膚を押出しゲルに成形すること;及び
−当該ゲルを押出し、そしてフィルムを形成すること
を含む、前記方法。
【請求項20】
前記雌豚皮膚が機械的脱肉(defleshing)によって脱脂される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜17のいずれか1項記載の前記豚フィルムで包装した食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2006−520408(P2006−520408A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502298(P2006−502298)
【出願日】平成16年2月18日(2004.2.18)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000661
【国際公開番号】WO2004/073407
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(505308711)デブロ パブリック リミティド カンパニー (1)
【Fターム(参考)】