説明

負荷制御装置および標識灯

【課題】小型化が可能な負荷制御装置を提供する。
【解決手段】所定の巻数を有する第1二次巻線CT2aと第1二次巻線CT2aよりも巻数が小さい第2二次巻線CT2bとを別体のカレントトランスCTa,CTbとするとともに、第1二次巻線CT2aを第2二次巻線CT2bの一次側とする。第1二次巻線CT2aを含むカレントトランスCTaと第2二次巻線CT2bを含むカレントトランスCTbとをそれぞれ小型化でき、全体として小型化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カレントトランスの二次巻線側を切り替えて異なる電流値に対応可能な負荷制御装置およびこれを備えた標識灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、空港の滑走路や誘導路の路面に、航空機を誘導するための航空標識灯などの標識灯としての埋込形標識灯が埋め込み設置されている。
【0003】
このような埋込形標識灯は、周囲の明るさなどが変化した場合でも標識の見え方を維持するために、周囲の明るさなどに応じて交流定電流電源の出力電流を切り替えて、標識灯が所定の光度比で作動するように負荷制御装置である点灯制御装置によって点灯制御される。
【0004】
光源としては、従来ハロゲン電球などを用いていたものの、近年では、省エネルギで使用寿命が長い発光ダイオード(LED)が用いられてきている。この場合、ハロゲン電球と発光ダイオードとでは、同一光度であっても所要の電流が異なるので、単純にハロゲン電球を発光ダイオードに置き換えただけでは対応できない。
【0005】
このため、交流定電流電源をそのままとして、この交流定電流電源に一次側を接続したカレントトランスの二次側に、所定の光度比に対応する発光ダイオードの電流を出力するための複数の巻線を設け、これらをタップ切り替えすることで出力電流を切り替えるように構成された標識灯が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−65724号公報(第6−8頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、光度比が100%となる定格タップと、光度比が10%となる運用タップとを切り替えるカレントトランスの場合には、一次電流がハロゲン電球に対応する6.6Aであり、定格二次電流が例えば350mA、運用二次電流が例えば35mAとなる。カレントトランスの巻数は電流比の逆数となるので、例えば一次巻線が10ターンである場合、定格タップ用の二次巻線が189ターン、運用タップの二次巻線が1886ターンの巻数となる。また、巻線の線径は、流す電流に対応して大小されるものの、本出願人の計算によれば、例えば定格電力1Wの発光ダイオード2つに対して、一次側で1.3mm以上の線径が必要となり、定格タップの二次巻線では0.3mm以上、運用タップの二次巻線では0.1mm以上が必要となって、カレントトランスが、いわゆるEI−48コアサイズ、すなわち最長辺長さが48mmとなる。このようなEI−48コアサイズのカレントトランスでは、標識灯の灯体に内蔵するには大きすぎるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、小型化が可能な負荷制御装置およびこれを備えた標識灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の負荷制御装置は、交流定電流電源に接続される一次巻線、所定の巻数を有する第1二次巻線、および、この第1二次巻線とは別体に設けられ、この第1二次巻線よりも小さい所定の巻数を有し、かつ、この第1二次巻線を一次側とする第2二次巻線を備えたカレントトランスと;負荷電流に対応して第1二次巻線と第2二次巻線とのいずれかを選択的に負荷側に接続する切替手段と;を具備しているものである。
【0009】
負荷制御装置は、例えば、光源を有する標識灯などの照明装置に用いられるものであるが、これに限定されるものではない。
【0010】
切替手段は、例えば、一次電流を検出してその電流値に対応してオンオフされるリレーなどが用いられる。
【0011】
そして、第1二次巻線と第2二次巻線とを別体とし、かつ、第1二次巻線を第2二次巻線の一次側とすることで、第1二次巻線側と第2二次巻線側とがそれぞれ小型化され、全体としての小型化が可能になる。
【0012】
請求項2記載の負荷制御装置は、請求項1記載の負荷制御装置において、切替手段は、第1二次巻線を負荷側に接続している状態で第2二次巻線を短絡させるものである。
【0013】
そして、切替手段が第1二次巻線を負荷側に接続している状態で第2二次巻線を短絡させることにより、第1二次巻線が負荷側に接続されている際に第1二次巻線と第2二次巻線との間に高電圧が発生することが防止される。
【0014】
請求項3記載の標識灯は、負荷としての光源、および、この光源を点灯させる請求項1または2記載の負荷制御装置を備えた点灯ユニットと;光源を覆って点灯ユニットの上部に配置された灯体と;を具備しているものである。
【0015】
標識灯は、例えば、空港の滑走路や誘導路などの路面に埋め込み設置される埋込形の航空標識灯があるが、これに限らず、道路など路面に埋め込み設置される道路標識灯、あるいは地上形のものなどでもよい。
【0016】
光源は、例えば、他の光源に比べて小形である発光ダイオードが好ましいが、発光ダイオードに限定されるものではない。
【0017】
灯体は、例えば、光源からの光を出射窓から側方へと出射するように構成されている。
【0018】
そして、灯体により覆われる負荷としての光源を請求項1または2記載の負荷制御装置により点灯させることで、小型化した標識灯を提供できる。
【0019】
請求項4記載の標識灯は、請求項3記載の標識灯において、上下に離間されて点灯ユニット内に配置され、負荷制御装置の一部が実装された複数の基板を具備し、カレントトランスの第1二次巻線側は、前記基板の上方にてこれら基板と別個に配置され、カレントトランスの第2二次巻線側は、最も上側の基板に実装されているものである。
【0020】
基板は、例えば、一対すなわち2枚の基板とするが、2枚に限定されるものではない。
【0021】
そして、カレントトランスの第1二次巻線側を基板の上方にて基板と別個に配置し、カレントトランスの第2二次巻線側を最も上側の基板に実装することで、全体の重量バランスを分散して、振動による影響が抑制される。
【0022】
請求項5記載の標識灯は、請求項3または4記載の標識灯において、光源およびカレントトランスの第1二次巻線側は、灯体と点灯ユニットとの取付部分よりも上側の位置に取り付けられているものである。
【0023】
そして、光源およびカレントトランスの第1二次巻線側を灯体と点灯ユニットとの取付部分よりも上側の位置に取り付けることで、灯体と点灯ユニットとの取付部分から万一浸水した場合でも、水分が光源や第1二次巻線側に好ましくない影響を与えることが抑制される。
【発明の効果】
【0024】
請求項1記載の負荷制御装置によれば、第1二次巻線と第2二次巻線とを別体とし、かつ、第1二次巻線を第2二次巻線の一次側とすることで、第1二次巻線側と第2二次巻線側とをそれぞれ小型化でき、全体として小型化できる。
【0025】
請求項2記載の負荷制御装置によれば、請求項1記載の負荷制御装置の効果に加えて、切替手段が第1二次巻線を負荷側に接続している状態で第2二次巻線を短絡させることにより、第1二次巻線が負荷側に接続されている際に第1二次巻線と第2二次巻線との間に高電圧が発生することを防止できる。
【0026】
請求項3記載の標識灯によれば、灯体により覆われる負荷としての光源を請求項1または2記載の負荷制御装置により点灯させることで、小型化した標識灯を提供できる。
【0027】
請求項4記載の標識灯によれば、請求項3記載の標識灯の効果に加えて、カレントトランスの第1二次巻線側を基板の上方にて基板と別個に配置し、カレントトランスの第2二次巻線側を最も上側の基板に実装することで、全体の重量バランスを分散して、振動による影響を抑制できる。
【0028】
請求項5記載の標識灯によれば、請求項3または4記載の標識灯の効果に加えて、光源およびカレントトランスの第1二次巻線を灯体と点灯ユニットとの取付部分よりも上側の位置に取り付けることで、灯体と点灯ユニットとの取付部分から万一浸水した場合でも、水分が光源や第1二次巻線側に好ましくない影響を与えることを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0030】
図1ないし図3に第1の実施の形態を示し、図1は負荷制御装置の回路図、図2は負荷制御装置を備えた標識灯の断面図、図3は標識灯の平面図である。
【0031】
図2および図3に示す標識灯としての埋込形標識灯11は、例えば、空港の滑走路や誘導路などの路面12に埋め込み設置される航空標識灯であり、路面12に埋め込み設置される図示しない基台と、この基台の上部に取り付けられる設置部材としての回転方向位置調整用のアダプタリング13と、このアダプタリング13の上部に着脱可能に取り付けられる灯体14と、図示しない基台に取り付けられ灯体14により覆われる点灯ユニット15とを備えている。
【0032】
アダプタリング13には、底部18およびこの底部18の外周部から立設された円筒状の周壁部19が形成され、これら底部18および周壁部19によって灯体14を収納する収納部20が上方に開口形成されている。底部18の周縁部には基台に図示しないボルトで取り付けるための複数の取付孔21および灯体14を取り付けるためのボルトBが下方から挿通されて突出する複数の挿通孔22がそれぞれ形成され、底部18の中央には灯体14の一部が挿入される開口部23が形成されている。基台には、灯体14に電源を供給するケーブルが配線されている。そして、アダプタリング13の周壁部19の上端が路面12と略一致する高さに埋め込み設置されている。
【0033】
また、灯体14は、円盤状の灯体本体25を有し、この灯体本体25の外周部近傍には周方向の複数箇所であって3箇所にアダプタリング13と締結する締結部26が形成されている。これら締結部26にはそれぞれ凹部27および凹部27の底部に取付孔28が形成されている。そして、灯体本体25がパッキング29を介してアダプタリング13の収納部20に嵌め込まれ、アダプタリング13側から突出する締結部品の各ボルトBが各取付孔28から上方に突出し、これらボルトに締結部品のナットである袋ナットNを螺合して締め付けることにより、灯体14がアダプタリング13に液密に固定されている。そして、灯体14の上面は、外周部よりも中央部が上方に少し突出する凸形状で、アダプタリング13に取り付けられた灯体14の上面の外周部はアダプタリング13の周壁部19の上端部つまり路面12と略同じ高さに配置されるとともに、灯体14の上面の中央部はアダプタリング13の周壁部19の上端部および路面12よりも少し上方に突出して配置されている。その灯体14の上面の中央部には平坦部14aが形成されている。
【0034】
灯体本体25の上部側には、互いに正反対となる逆向きでそれぞれ側方へ向けて光をそれぞれ出射可能とする2つの出射窓31、および各出射窓31から灯体本体25の外周部へ向けて設けられた出射溝32が形成されている。
【0035】
2つの出射窓31は、四角形の開口形状で、灯体本体25の中心位置25aに対して互い違いとなる位置にそれぞれ配置されているとともに、各出射窓31の少なくとも一部が灯体本体25の中心位置25aより出射方向aに対して反対側にそれぞれ配置されている。
【0036】
出射溝32は、出射窓31の下部から灯体本体25の外周部の上端にわたって傾斜状に形成される溝底面33、および出射窓31の左右両側部から徐々に拡開するように形成される両側の溝側面34を有し、上方および側方の出射方向aへ向けて拡開開口されている。
【0037】
なお、出射溝32の位置に設けられる締結部26では、出射溝32の溝底面33よりも低い位置に袋ナットNを位置させており、路面12からの灯体14の突出高さを低くしても、出射溝32を通過する光を袋ナットNが遮ることがなく、所望の配光を得ることができるように構成されている。
【0038】
また、灯体本体25の下部側には、パッキング29の位置よりも中心寄りの位置にて、下方に向けて略円筒状の接続部36が突出して形成されている。この接続部36は、点灯ユニット15の上端に嵌合することで、点灯ユニット15の上方との間に、空間部37を区画している。
【0039】
また、灯体14の各出射窓31から光を出射する出射方向aに対して直交する灯体14の周辺部の2箇所の位置には、図示しない治具を係合してこの治具により灯体14を上方に引き上げてアダプタリング13から取り外すための治具係合部38が形成されている。
【0040】
一方の治具係合部38は、灯体14の各出射窓31から光を出射する出射方向aに対して直交する位置の締結部26に設けられており、この締結部26の凹部27の内壁面に灯体14の中心方向へ向けて係合孔39が形成されている。他方の治具係合部38は、灯体14に溝部40が設けられ、この溝部40の内壁面に灯体14の中心方向へ向けて係合孔39が形成されている。
【0041】
そして、例えば、二股状で先端が開閉可能な治具を用い、この治具の二股の各先端に設けられている引掛爪を一方の治具係合部38に対しては凹部27に挿入して係合孔39に引っ掛け、他方の治具係合部38に対しては溝部40に挿入して係合孔39に引っ掛け、両係合孔39に引っ掛け状態で灯体14を上方に引き上げてアダプタリング13から外すことができる。
【0042】
点灯ユニット15は、灯体14の下面と液密に取り付けられるケース41と、このケース41に収容されるユニット本体42とを備えている。
【0043】
ケース41は、空間部37に連通する開口45を上端部に有する略有底円筒状に形成され、下側から上側へと徐々に拡径されるように形成されている。また、このケース41は、ユニット本体42の上部を載置するための平面部46を開口45の周縁である上端部に備えているとともに、この平面部46よりも下側の外周面に、灯体本体25の接続部36が載置されるフランジ部47が水平方向に突出して形成されている。そして、フランジ部47の上方の外周面には、灯体本体25の接続部36の内周面との間に挟持されるOリングガスケットであるパッキング48を取り付ける溝部49が全周に亘って連続して形成されている。したがって、灯体14と点灯ユニット15のケース41とは液密に接続されている。
【0044】
一方、ユニット本体42は、平面視で略半円状の複数である2つの基板55,56と、これら基板55,56と別個に設けられた取付部材としての平面視で略円形状の取付金具57とを備えている。そして、各基板55,56には、負荷としての光源である発光ダイオード(LED)58を点灯させるための負荷制御装置59が形成されている。
【0045】
基板55,56は、間隔形成部材であるスペーサ61を介して接続されて一体的となり、互いに上下方向に離間されている。また、これら基板55,56は、基板55の上面側にスペーサ61と連結して取り付けられた間隔形成部材であるスペーサ62により取付金具57の下面に接続固定されている。
【0046】
取付金具57は、2つの発光ダイオード58が実装されたLED基板であり、これら発光ダイオード58のそれぞれに対応して光学系64が取り付けられている。また、この取付金具57は、ケース41の平面部46上に外周縁部が載置され、この平面部46に設けられた螺子止め孔65に取付ビス66が上側から螺子止めされることで、ケース41の開口45に一体に固定され、各発光ダイオード58が各出射窓31に対応する位置に配置されている。したがって、この取付金具57は、灯体14と点灯ユニット15との取付部分である接続部36とフランジ部47との接続部分、換言すれば、灯体14と点灯ユニット15との接続面(接触面)よりも上側に取り付けられている。このため、発光ダイオード58は、この灯体14と点灯ユニット15との接続面よりも上側に位置している。
【0047】
光学系64は、各発光ダイオード58の光が各出射窓31から出射するようにするもので、発光ダイオード58の光を入射して配光を制御するレンズ67、およびこのレンズ67で配光が制御された光を出射窓31から出射するプリズム68を有し、レンズ67がレンズホルダ69により取付金具57の上面に取り付けられている。
【0048】
プリズム68は、出射窓31の内側から図示しないパッキングを介して液密に嵌め込まれ、この状態で灯体本体25の下面に取り付けられる押さえ板70によって保持されている。プリズム68には、レンズ67から光を入射する入射面71、入射した光を反射させる反射面72、および反射した光を出射窓31から出射させる出射面73が形成されている。そして、レンズ67からの光がプリズム68の反射面72によって略全反射するようにプリズム68の反射面72が形成および配置されている。すなわち、プリズム68の下方にレンズ67が対向配置され、このレンズ67からプリズム68に光が入射する入射方向と反射面72で反射した光が出射窓31から出射する出射方向aとが略L字状となる関係に配置されている。
【0049】
そして、負荷制御装置59は、負荷である発光ダイオード58を点灯制御する点灯制御装置(点灯制御回路)であり、図1に示すように、交流定電流電源である商用交流電源eに対して、バリスタTNRを介して、所定の巻数を有するカレントトランスCTの一次巻線CT1aが接続され、この一次巻線CT1aに対向して第1二次巻線CT2aが配置されて第1トランス部としての定格負荷電力(大電力)供給用のカレントトランスCTaを構成しているとともに、第1二次巻線CT2aに接続された各一次巻線CT1b,CT1c,CT1dとそれぞれに組み合わせトランスとして、第2二次巻線CT2b、第3二次巻線CT2c、第4二次巻線CT2dが配置されてカレントトランスCTaとそれぞれ別体の第2トランス部としての運用負荷電力(小電力)供給用のカレントトランスCTb、第3トランス部としての制御電源用のカレントトランスCTcおよび第4トランス部としての電流検出用のカレントトランスCTdが構成されている。
【0050】
なお、カレントトランスCTaは、図2に示す基板55,56とは別個(別置き)に形成されて取付金具57の下面に取付ねじ75により固定され、各基板55,56の側方に位置している。したがって、このカレントトランスCTaは、灯体14と点灯ユニット15との接続面よりも上側に取り付けられている。また、カレントトランスCTb〜CTdは、それぞれ上側に位置する基板55の下面に実装され、基板55,56間に位置している。そして、これらカレントトランスCTa〜CTdは、ケース41の内面に対して離間された非接触な状態、すなわち宙吊り状態となっている。換言すれば、ケース41とユニット本体42との間には、空間77が形成されている。
【0051】
図1に戻って、第1二次巻線CT2aは、発光ダイオード58に定格電流を流すために一次巻線CT1aに対して所定の巻数比を有するように所定の巻数に設定されている。また、第1二次巻線CT2aの巻き始め側には、切替手段としてのリレーRyの入力側リレー端子である複数すなわち2つの異なる第1切替タップT1a,T1bが接続されている。さらに、第1二次巻線CT2aの巻き終わり側は、それぞれ一次巻線CT1b,CT1c,CT1dと接続されている。
【0052】
第2二次巻線CT2bは、発光ダイオード58に定格電流よりも小さい運用電流を流すために一次巻線CT1aに対して所定の巻数比を有するように所定の巻数に設定されている。したがって、この第2二次巻線CT2bは、第1二次巻線CT2aよりも小さい巻数を有している。また、第2二次巻線CT2bの巻き始め側には、第1切替タップT1aと対をなすリレーRyの入力側リレー端子である第2切替タップT2aが接続されている。
【0053】
ここで、リレーRyは、出力側リレー端子としての出力側端子である出力タップTOa,TObと、出力タップTOaと切替タップT1a,T2aとの間に設けられ励磁電流によって切り替わる第1スイッチ部としてのスイッチ片SW1と、出力タップTObと第1切替タップT1bとの間に設けられ励磁電流によって切り替わる第2スイッチ部としてのスイッチ片SW2とをそれぞれを備え、切替タップT1a,T2aのいずれか一方が出力タップTOaと接続されるように切り替わるとともに、第1切替タップT1bが出力タップTObと接続されるかどうか切り替わるように制御される。
【0054】
また、リレーRyの出力タップTObは、一次巻線CT1bの巻き始め側と接続され、このリレーの出力タップTOa,TOb間には、ダイオードD1〜D4を接続した整流手段としての全波整流手段であるブリッジダイオードBD1が接続されている。また、このブリッジダイオードBD1の出力側には、抵抗R1、定電圧素子であるツェナダイオードZD1および抵抗R2の直列回路とスイッチング素子であるサイリスタSCRとの並列回路が接続され、ツェナダイオードZD1のアノード側と抵抗R2との接続点が、サイリスタSCRのゲートに接続されてサージ保護部79が構成されている。そして、このサージ保護部79を介して、ブリッジダイオードBD1のー出力側に発光ダイオード58が接続されている。
【0055】
第3二次巻線CT2cは、第1二次巻線CT2aよりも小さい巻数を有している。また、この第3二次巻線CT2cには、リレーRyの制御用定電源部81が接続されている。この制御用定電源部81は、第3二次巻線CT2cに接続された全波整流手段としてのブリッジダイオードBD2の出力側に、スイッチング素子としてのチョッピング用のNチャネル型の電界効果トランジスタ(FET)Q1と平滑用の電解コンデンサC1との並列回路が接続され、この電界効果トランジスタQ1のソース端子と電解コンデンサC1のプラス側との間に、ダイオードD5が接続されている。さらに、電解コンデンサC1の出力側には、例えば3端子を有する定電圧ICIC1と、比較器すなわちコンパレータであるICIC2と、定電圧素子であるツェナダイオードZD2および分圧用の抵抗R3,R4の直列回路との並列回路が接続されている。
【0056】
定電圧ICIC1には、入力側端子とアース端子との間にコンデンサC2が接続されているとともに、出力側端子とアース端子との間に、コンデンサC3と電解コンデンサC4との並列回路が接続されている。
【0057】
ICIC2は、プラス側端子がダイオードD5のカソード側に接続されているとともに、マイナス側端子がアースに接続されている。また、このICIC2の非反転入力端子は、抵抗R3,R4の接続点と接続されているとともに、反転入力端子は、定電圧ICIC1の出力側端子に接続される基準電圧設定用の抵抗R5,R6の直列回路におけるこれら抵抗R5,R6の接続点と接続されている。また、これら抵抗R5,R6の接続点は、コンデンサC5を介してアースに接続されている。そして、このICIC2の出力端子は、抵抗R7を介して電圧効果トランジスタQ1のゲート端子に接続され、この抵抗R7と電界効果トランジスタQ1のゲート端子との接続点が、抵抗R8を介してアースに接続されている。
【0058】
第4二次巻線CT2dは、第1二次巻線CT2aよりも小さい巻数を有している。また、この第4二次巻線CT2dには、抵抗R9と、抵抗R10およびダイオードD6の直列回路との並列回路が接続され、さらに、ダイオードD6のカソード側に抵抗R11とコンデンサC6との並列回路が接続されており、これら第4二次巻線CT2d、抵抗R9,R10,R11、ダイオードD6およびコンデンサC6により、一次電流を監視する電流検出部83が構成されている。
【0059】
また、コンデンサC6の出力側は、抵抗R12を介して比較器としてのレベル判定手段であるオペアンプとしてのコンパレータすなわちICIC3の非反転入力端子と接続されている。このICIC3の反転入力端子は、制御用定電源部81の定電圧ICIC1の出力端子とアースとの間に形成された基準電圧設定用の抵抗R13,R14および可変抵抗VRの直列回路における抵抗R13,R14の接続点と接続されているとともに、抵抗R14および可変抵抗VRと並列にコンデンサC7が接続されている。
【0060】
さらに、ICIC3の出力端子には、抵抗R16,R17の直列回路が接続され、これら抵抗R16,R17の接続点が、スイッチング素子であるNPN型のトランジスタQ2のベース端子に接続され、抵抗R17がこのベース端子とエミッタ端子との間に接続されている。また、ICIC3の出力端子と非反転入力端子との間には、抵抗R18が接続されている。さらに、トランジスタQ2のコレクタ端子には、ダイオードD7とリレーRyとの並列回路が接続され、このダイオードD7のカソード側が制御用定電源部81のツェナダイオードZD2のカソード側と接続されている。そして、抵抗R12〜R18、ICIC3、コンデンサC7およびトランジスタQ2により、電流検出部83により検出した一次電流の電流値のレベルを、ICIC3に設定された電流閾値によって判断する電流レベル判定部85が構成されている。したがって、ICIC3の電流閾値は、例えば発光ダイオード58の定格電流(350mA)と運用電流(35mA)との中間の値に設定されている。
【0061】
なお、ICIC3は、ICIC2と同一のパッケージに含まれるチップでもよい。
【0062】
そして、このように構成された埋込形標識灯11では、電流検出部83において、抵抗R11に流れる電流値を介して一次電流の電流値を監視し、電流レベル判定部85において、例えば発光ダイオード58を光度比100%で発光させる定格電流(350mA)とするか、光度比10%で発光させる運用電流(35mA)とするかをICIC3の電流閾値により判断して、トランジスタQ2をオンオフすることで制御用定電源部81からの電力をリレーRyに供給してこのリレーRyをオンオフすることで、ブリッジダイオードBD1により全波整流されて発光ダイオード58に各電流が流れ、発光ダイオード58が各光度比で点灯する。
【0063】
具体的に、リレーRyがオフされた状態では、スイッチ片SW1が第1切替タップT1aと出力タップTOaとを接続し、スイッチ片SW2が第1切替タップT1bからオフされて、第1二次巻線CT2a側から定格電流が発光ダイオード58側へと供給され、リレーRyがオンされた状態では、スイッチ片SW1が第2切替タップT2aと出力タップTOaとを接続し、スイッチ片SW2が第1切替タップT1bと出力タップTObとを接続して、第2二次巻線CT2b側から運用電流が発光ダイオード58側へと供給される。
【0064】
そして、発光ダイオード58が点灯すると、各発光ダイオード58の光がレンズ67に入射し、このレンズ67で配光が制御されて出射する光をプリズム68の入射面71から入射し、このプリズム68に入射した光を反射面72で全反射するとともに出射面73から出射し、つまり出射窓31から出射溝32を通じて光を側方へ出射する。
【0065】
以上のように、第1二次巻線CT2aと第2二次巻線CT2bとを別体のカレントトランスCTa,CTbとし、かつ、第1二次巻線CT2aを第2二次巻線CT2bの一次側とすることで、第1二次巻線CT2aを含むカレントトランスCTaと第2二次巻線CT2bを含むカレントトランスCTbとをそれぞれ小型化でき、負荷制御装置59および埋込形標識灯11を全体として小型化できる。
【0066】
上述のように構成することで、例えばカレントトランスCTaは、いわゆるEI−41コアサイズ(最長辺長さ41mm)、カレントトランスCTbはEI−24コアサイズ(最長辺長さ24mm)となる。
【0067】
すなわち、個々のカレントトランスCTa,CTbの大きさをそれぞれ抑制できることにより、これらカレントトランスを1つの大きいカレントトランスとした場合と比較して、配置の自由度を向上でき、ケース41内の比較的小さいデッドスペースなどを有効に利用して負荷制御装置59を省スペースで配置できる。
【0068】
同様に、第1二次巻線CT2aを一次側とした各二次巻線CT2c,CT2dを含むカレントトランスCTc,CTdをそれぞれカレントトランスCTaと別体とすることにより、カレントトランスCTc,CTdも小型化でき、配置の自由度を向上できる。
【0069】
例えば、カレントトランスCTcは、いわゆるEI−24コアサイズ(最長辺長さ24mm)、カレントトランスCTdは、直径20mmのリングコアで構成される。
【0070】
この結果、埋込形標識灯11において、上記負荷制御装置59を用いることで、例えば直径約60mmの一般的な小型の標識灯内でも容易に配置でき、小型の埋込形標識灯11を提供できる。
【0071】
また、第1二次巻線CT2aを含む負荷制御装置59中の最大の重量物であるカレントトランスCTaを基板55,56の上方の取付金具57に別置きとするとともに、第2二次巻線CT2bを含む重量物であるカレントトランスCTbを上側に位置する基板55に実装することで、ケース41の内部の重量バランスを分散して、下側に重量物を集中的に配置する場合と比較して振動の影響を受けにくくできる。
【0072】
さらに、第1二次巻線CT2aを含むカレントトランスCTaを、点灯ユニット15と灯体14とを組み合わせるための取付金具57に固定することにより、灯体14と点灯ユニット15との取付部からカレントトランスCTaまでの距離を近付け、振動の影響を受けにくくできる。
【0073】
同様に、二次巻線CT2c,CT2dを含む重量物であるカレントトランスCTc,CTdをそれぞれ上側に位置する基板55に実装することで、ケース41の内部の重量バランスをより分散して、振動の影響をより受けにくくできる。
【0074】
しかも、カレントトランスCTaを基板55,56に対して別置きとすることで、例えば一次側の電源の仕様が変更となった場合にでも、カレントトランスCTaを容易に交換でき、このような電源の仕様変更に容易に対応できる。
【0075】
発光ダイオード58および第1二次巻線CT2aを含むカレントトランスCTaを灯体14と点灯ユニット15との取付部分よりも上側の位置に取り付けることで、発光ダイオード58および第1二次巻線CT2aを浸水ルートから上方に外れた位置とし、灯体14と点灯ユニット15との取付部分から万一浸水した場合でも、水分が発光ダイオード58や第1二次巻線CT2a側に好ましくない影響を与えることを抑制できる。
【0076】
また、カレントトランスCTa〜CTdを含むユニット本体42をそれぞれケース41内に宙吊りとしてケース41内との間に空間77を形成することで、ケース41内に浸水した場合でも、その水分が空間77内に留水され、ユニット本体42側に水分を行きにくくできる。
【0077】
特に、発光ダイオード58は、それ自体に防滴処理を施すことができないので、取付金具57の上側に配置することで、万一の浸水に対して発光ダイオード58を確実に保護できる。
【0078】
次に、図4に第2の実施の形態を示し、図4は負荷制御装置の回路図である。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0079】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態のリレーRyが、第1二次巻線CT2aを発光ダイオード58側に接続している状態、すなわちオフ状態で第2二次巻線CT2bの両端子間を短絡させるものである。
【0080】
すなわち、第2二次巻線CT2bは、複数すなわち2つの異なる第2切替タップT2a,T2bを有し、リレーRyは、スイッチ片SW2が出力タップTObと切替タップT1b,T2bとの間に設けられている。
【0081】
そして、定格電流を発光ダイオード58側に流す、すなわち光度比100%で発光ダイオード58を発光させる場合には、リレーRyに励磁電流が流れず、このリレーRyがオフされて、スイッチ片SW1が第1切替タップT1aと出力タップTOaとを接続し、スイッチ片SW2が第2切替タップT2bと出力タップTObとを接続して、第1二次巻線CT2a側から定格電流が発光ダイオード58側へと供給され、リレーRyがオンされた状態では、スイッチ片SW1が第2切替タップT2aと出力タップTOaとを接続し、スイッチ片SW2が第1切替タップT1bと出力タップTObとを接続して、第2二次巻線CT2b側から運用電流が発光ダイオード58側へと供給されることで、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができるだけでなく、リレーRyのオフ状態で、第2二次巻線CT2bの両端子がスイッチ片SW2により短絡されるので、二次巻線CT2a,CT2b間、すなわち開放端となる切替タップT1b,T2a間に高電圧が発生することを防止できる。
【0082】
そして、このような高電圧を防止できることで、高電圧に伴う絶縁破壊などを防止でき、信頼性を向上できる。
【0083】
なお、上記各実施の形態において、標識灯としては、埋込形に限定されるものではない。
【0084】
また、標識灯以外の任意の照明装置にも上記負荷制御装置59を用いることができる。
【0085】
さらに、光源としては、発光ダイオード58以外の任意の光源を用いることができる。
【0086】
そして、光源だけでなく、任意の負荷に対して適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す負荷制御装置の回路図である。
【図2】同上負荷制御装置を備えた標識灯の断面図である。
【図3】同上標識灯の平面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す負荷制御装置の回路図である。
【符号の説明】
【0088】
11 標識灯としての埋込形標識灯
14 灯体
15 点灯ユニット
55,56 基板
58 負荷としての光源である発光ダイオード
59 負荷制御装置
CT カレントトランス
CT1a 一次巻線
CT2a 第1二次巻線
CT2b 第2二次巻線
e 交流定電流電源である商用交流電源
Ry 切替手段としてのリレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流定電流電源に接続される一次巻線、所定の巻数を有する第1二次巻線、および、この第1二次巻線とは別体に設けられ、この第1二次巻線よりも小さい所定の巻数を有し、かつ、この第1二次巻線を一次側とする第2二次巻線を備えたカレントトランスと;
負荷電流に対応して第1二次巻線と第2二次巻線とのいずれかを選択的に負荷側に接続する切替手段と;
を具備していることを特徴とする負荷制御装置。
【請求項2】
切替手段は、第1二次巻線を負荷側に接続している状態で第2二次巻線を短絡させる
ことを特徴とする請求項1記載の負荷制御装置。
【請求項3】
負荷としての光源、および、この光源を点灯させる請求項1または2記載の負荷制御装置を備えた点灯ユニットと;
光源を覆って点灯ユニットの上部に配置された灯体と;
を具備していることを特徴とする標識灯。
【請求項4】
上下に離間されて点灯ユニット内に配置され、負荷制御装置の一部が実装された複数の基板を具備し、
カレントトランスの第1二次巻線側は、前記基板の上方にてこれら基板と別個に配置され、
カレントトランスの第2二次巻線側は、最も上側の基板に実装されている
ことを特徴とする請求項3記載の標識灯。
【請求項5】
光源およびカレントトランスの第1二次巻線側は、灯体と点灯ユニットとの取付部分よりも上側の位置に取り付けられている
ことを特徴とする請求項3または4記載の標識灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−104368(P2009−104368A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274956(P2007−274956)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】