説明

負荷適応型制御ループ切り替え方法及び負荷適応型帰還制御装置

【課題】従来の制御ループの切り替え方法では、制御ループの切り替え時に制御対象回路が不安定になる問題があった。
【解決手段】本発明の制御ループの切り替え方法は、第1の誤差積分値INTG1に第1の誤差値ERR1を加算して第1の誤差積分値INTG1を更新し、第2の誤差積分値INTG2に第2の誤差値ERR1を加算して第2の誤差積分値INTG2を更新し、更新後の第1の誤差積分値INTG1と第2の誤差積分値INTG2とのうち小さな値を示す誤差積分値に基づきPWM信号のデューティ比を決定し、更新後の第1の誤差積分値INTG1とINTG2第2の誤差積分値とのうち小さな値を示す誤差積分値で更新後の第1の誤差積分値INTGと第2の誤差積分値INTG1のうちPWM信号のデューティ比の決定に用いられなかった誤差積分値を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御ループの切り替え方法及び帰還制御装置に関し、特に複数の制御ループを負荷の状況に応じて切り替えて1つの制御対象を制御する負荷適応型制御ループの切り替え方法及び負荷適応型帰還制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路では、負帰還制御により、制御対象回路の出力状態を安定的に制御することが多く行われる。このような負帰還制御を用いる帰還制御装置では、制御対象回路の出力状態のモードに応じて複数の制御ループを切り替えて利用する場合がある。このように、制御ループを切り替えて制御対象回路の動作モードを切り替える技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1では、モータから得られる帰還値に基づきモータを制御するPI制御モードと、速度制御手段より供給される制御信号に基づきモータを制御する速度負荷トルク推定制御モードと、を切り替えながらモータを制御するモータ速度制御装置が開示されている。PI制御モードは主にモータの通常回転動作において用いられ、速度負荷トルク推定制御モードは主にモータを低速で回転させる低速回転動作において用いられる。
【0004】
特許文献1に記載のモータ速度制御装置は、周波数発電機と、周期計測手段と、比較手段と、速度制御手段と、補正手段と、駆動手段と、速度負荷トルク推定手段と、を有する。周波数発電機は、モータの回転速度に比例した周波数信号を発生する。周期計測手段は、周波数信号の周期を計測しモータの平均回転速度に比例した平均速度信号を出力する。比較手段は、速度指令信号と速度帰還信号の差分を求める。速度制御手段は、比較手段の出力に比例・積分の制御補償を行い制御信号を出力する。補正手段は、制御信号を補正し補正信号を出力する。駆動手段は、補正信号に応じた駆動電流をモータに供給する。速度負荷トルク推定手段は、制御信号よりモータの回転速度を推定し得られた速度推定信号を速度帰還信号として比較手段に出力し、平均速度信号と速度推定信号とを比較しその速度誤差により負荷トルク推定信号を生成して補正手段に出力する。
【0005】
そして、特許文献1に記載のモータ速度制御装置は、PI制御モードから速度負荷トルク推定制御モードに切り替える際に、負荷トルク推定信号を速度制御手段における積分値に基づいて初期化し、その後積分値をゼロで初期化する。また、速度負荷トルク推定制御モードからPI制御モードに移行するときは、速度制御手段における積分値を負荷トルク推定信号に基づいて初期化する。
【0006】
特許文献1のモータ速度制御装置は、上記構成により、PI制御モードと速度負荷トルク推定制御モードとの切り替え時に、モータに発生する負荷トルクを補償するDC成分の連続性を保つ。そして、特許文献1のモータ速度制御装置は、移行時にモータの動作を安定させると共に、移行を高速かつ正確に行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−174472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、PI制御モードと速度負荷トルク推定制御モードとを切り換えた時に、モータに発生する負荷トルクを補償するDC成分の連続性を保つことができる。しかし、特許文献1では、外部から与えられる指示(例えば、モード切り替え指示)により制御モードを切り換える。つまり、特許文献1では、モータの負荷トルク、つまり制御対象回路の負荷状態が変動したことに応じて制御モードを切り換えることができない問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる負荷適応型制御ループ切り替え方法の一態様は、制御対象回路の出力状態から得られる第1の帰還データと第1の制御ループ指示値との誤差を示す第1の誤差値に基づき前記制御対象回路の出力状態を制御する出力信号を生成して、前記制御対象回路から得られる第1の帰還データを前記第1の制御ループ指示値に近づける第1の制御ループと、前記制御対象回路の出力状態から得られる第2の帰還データと第2の制御ループ指示値との誤差を示す第2の誤差値に基づき前記制御対象回路の出力状態を制御する前記出力信号を生成して、前記制御対象回路から得られる第2の帰還データを前記第2の制御ループ指示値に近づける第2の制御ループと、を有する負荷適応型帰還制御装置の制御ループ切り替え方法であって、第1の誤差積分値に現周期で得られた前記第1の誤差値を加算して前記第1の誤差積分値を更新し、第2の誤差積分値に現周期で得られた前記第2の誤差値を加算して前記第2の誤差積分値を更新し、更新後の前記第1の誤差積分値と前記第2の誤差積分値とのうち小さな値を示す誤差積分値に基づき前記出力前記を生成し、更新後の前記第1の誤差積分値と前記第2の誤差積分値とのうち小さな値を示す誤差積分値で更新後の前記第1の誤差積分値と前記第2の誤差積分値のうち前記出力信号の生成に用いられなかった誤差積分値を更新する。
【0010】
本発明にかかる負荷適応型帰還制御装置の一態様は、第1の誤差積分値を保持し、制御対象回路の出力状態から得られる第1の帰還データと第1の制御ループ指示値との誤差を示す第1の誤差値を、保持している前記第1の誤差積分値に加算して前記第1の誤差積分値を更新する第1の誤差積分器と、第2の誤差積分値を保持し、前記制御対象回路の出力状態から得られる第2の帰還データと第2の制御ループ指示値との誤差を示す第2の誤差値を、保持している前記第2の誤差積分値に加算して前記第2の誤差積分値を更新する第2の誤差積分器と、前記第1の誤差積分値と前記第2の誤差積分値とのうち小さな値を示す誤差積分値を制御値として出力する選択部と、前記第1の誤差積分値と前記第2の誤差積分値とのうち小さな値を示す誤差積分値により前記第1の誤差積分値と前記第2の誤差積分値とのうち前記制御値として用いられなかた誤差積分値を更新する積分値更新部と、
前記制御値に基づき出力信号を生成して前記制御対象回路の出力状態を制御する出力信号生成部と、を有する。
【0011】
本発明にかかる負荷適応型制御ループ切り替え方法及び負荷適応型帰還制御装置では、制御ループにおいて生成される複数の誤差積分値のうち最も小さい誤差積分値に基づきPWM信号のデューティ比を決定する制御値を生成すると共に最も小さい誤差積分値により他の誤差積分値を更新する。これにより、本発明にかかる負荷適応型制御ループ切り替え方法及び負荷適応型帰還制御装置は、一方の制御ループによる制御対象回路の出力状態が他方の制御ループによる制御対象回路の出力状態を満たしたことに応じて、制御値として利用される誤差積分値が切り替えられる。つまり、本発明にかかる負荷適応型制御ループ切り替え方法及び負荷適応型帰還制御装置では、制御対象回路の負荷の状況に応じて制御ループの切り替えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる負荷適応型制御ループ切り替え方法及び負荷適応型帰還制御装置によれば、制御対象回路の負荷の状況に応じて制御ループの切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1にかかる帰還制御装置のブロック図である。
【図2】実施の形態1にかかる帰還制御装置における制御値の決定手順を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態1にかかる帰還制御装置の制御特性を示すグラフである。
【図4】実施の形態1にかかる帰還制御装置において誤差積分値の代入処理を行わずに制御ループの切り替えを行った場合の制御特性を示すグラフである。
【図5】実施の形態2にかかる帰還制御装置のブロック図である。
【図6】実施の形態2にかかる帰還制御装置の制御特性を示すグラフである。
【図7】実施の形態3にかかる帰還制御装置のブロック図である。
【図8】実施の形態4にかかる帰還制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本発明にかかる帰還制御装置は、制御対象回路の負荷の状態に応じて制御ループの切り換えを行う負荷適応型帰還制御装置である。以下の説明では、この負荷適応型帰還制御装置を単に帰還制御装置と称して説明を行う。また、以下の説明では、制御対象回路を制御する出力信号としてPWM信号を生成する帰還制御装置について説明するが、本発明における出力信号は、PWM信号に限られず、アナログ信号である場合も含む。
【0015】
図1に実施の形態1にかかる帰還制御装置のブロック図を示す。図1に示すように、実施の形態1にかかる帰還制御装置は、モータを制御対象回路20とするものである。また、図1では、制御対象回路20の出力状態に応じた帰還データを生成する回路として、第1の測定部21及び第2の測定部22を示した。第1の測定部21は、モータの回転速度を検出して、モータの回転速度に応じた第1の帰還データFB1を出力する。第2の測定部22は、モータを駆動する駆動電流を検出し、駆動電流の大きさに応じた第2の帰還データFB2を出力する。
【0016】
図1に示すように、帰還制御装置1は、第1の誤差算出部10、第1の誤差積分器11、第2の誤差算出部12、第2の誤差積分器13、比較部14、選択部15、積分値更新部16、PWM信号生成部17を有する。
【0017】
第1の誤差算出部10は、第1の制御ループ指示値CNT1と第1の帰還データFB1との間の誤差を示す第1の誤差値ERR1を算出する。第1の誤差積分器11は、第1の誤差値ERR1を積分した第1の誤差積分値INTG1を生成する。より具体的には、第1の誤差積分器11は、第1の誤差積分値INTG1を保持し、PWM信号の周期毎に保持している第1の誤差積分値INTG1に誤差値ERR1を加算することで第1の誤差積分値INTG1を更新する。
【0018】
第2の誤差算出部12は、第2の制御ループ指示値CNT2と第2の帰還データFB2との間の誤差を示す第2の誤差値ERR2を算出する。第2の誤差積分器13は、第2の誤差値ERR2を積分した第2の誤差積分値INTG2を生成する。より具体的には、第2の誤差積分器13は、第2の誤差積分値INTG2を保持し、PWM信号の周期毎に保持している第2の誤差積分値INTG2に誤差値ERR2を加算することで第2の誤差積分値INTG2を更新する。
【0019】
比較部14は、第1の誤差積分値INTG1と第2の誤差積分値INTG2とを比較して、最も小さい誤差積分値に該当する誤差積分値を判定し、最も小さい誤差積分値を示す選択信号SELを出力する。実施の形態1にかかる帰還制御装置1では、誤差積分値は2つである。そのため、実施の形態1にかかる帰還制御装置1の比較部14は、第1の誤差積分値INTG1と第2の誤差積分値INTG2とのうち小さい方の誤差積分値を示す選択信号SELを出力する。
【0020】
選択部15は、選択信号SELに応じて第1の誤差積分値INTG1と第2の誤差積分値INTG2とのいずれか一方を選択し、選択した誤差積分値を制御値CNT_FBとして出力する。より具体的には、選択部15は、選択信号SELにより示される値が小さい誤差積分値を選択し、選択した誤差積分値を制御値CNT_FBとして出力する。
【0021】
積分値更新部16は、選択信号SELに応じて第1の誤差積分器11と第2の誤差積分器13とのいずれか一方を選択し、選択した側の誤差積分器に保持されている誤差積分値を制御値CNT_FBで更新する。より具体的には、積分値更新部16は、選択信号SELにより示される値が小さい側の誤差積分値を保持している誤差積分器以外の誤差積分器を選択し、選択した誤差積分器に保持されている誤差積分値を制御値CNT_FBで更新する。
【0022】
PWM信号生成部17は、制御値CNT_FBに基づきPWM信号のデューティ比を決定する。そして、PWM信号生成部17は、決定されたデューティ比のPWM信号を制御対象回路20に与える。
【0023】
帰還制御装置1は、第1の制御ループと第2の制御ループとのいずれか一方を用いて制御対象回路20の出力状態を制御する。この第1の制御ループは、第1の誤差算出部10、第1の誤差積分器11、選択部15、PWM信号生成部17、制御対象回路20、第1の測定部21を含む。また、第2の制御ループは、第2の誤差算出部12、第2の誤差積分器13、選択部15、PWM信号生成部17、制御対象回路20、第2の測定部22を含む。
【0024】
第1の制御ループは、制御対象回路20の出力状態から得られる第1の帰還データFB1と第1の制御ループ指示値CNT1との誤差を示す第1の誤差値ERR1に基づきデューティ比が決定されるPWM信号を生成する。より具体的には、第1の制御ループでは、第1の誤差値ERR1から第1の誤差積分値INTG1を生成し、第1の誤差積分値INTG1によりPWM信号のデューティ比を決定する。そして、第1の制御ループを用いて動作する帰還制御装置1は、このPWM信号を用いて制御対象回路20の出力状態を制御し、制御対象回路20から得られる第1の帰還データFB1を第1の制御ループ指示値CNT1に近づける。なお、実施の形態1では、第1の制御ループ指示値CNT1としてモータの回転数を指示する定回転指示値を用いる。
【0025】
第2の制御ループは、制御対象回路20の出力状態から得られる第2の帰還データFB2と第2の制御ループ指示値CNT2との誤差を示す第2の誤差値ERR2に基づきデューティ比が決定されるPWM信号を生成する。より具体的には、第2の制御ループでは、第2の誤差値ERR2から第2の誤差積分値INTG2を生成し、第2の誤差積分値INTG2によりPWM信号のデューティ比を決定する。そして、第2の制御ループを用いて動作する帰還制御装置1は、制御対象回路20から得られる第2の帰還データFB2を第2の制御ループ指示値CNT2に近づける。なお、実施の形態1では、第2の制御ループ指示値CNT2としてモータを駆動する駆動電流の大きさを指示する定電流指示値を用いる。
【0026】
ここで、帰還制御装置1における制御値CNT_FBの決定手順についてさらに詳細に説明する。図2に、実施の形態1にかかる帰還制御装置1における制御値CNT_FBの決定手順を示すフローチャートを示す。なお、帰還制御装置1は、PWM信号の周期毎にこの決定手順を繰り返し実行する。
【0027】
図2に示すように、帰還制御装置1は、まず、第1の制御ループの誤差値ERR1を算出する(ステップS1)。続いて、第1の制御ループの第1の誤差積分値INTG1を更新する(ステップS2)。より具体的には、ステップS2では、第1の誤差積分器11に保持されている第1の誤差積分値INTG1にステップS1で算出された第1の誤差値ERR1を加算することで第1の誤差積分値INTG1の値を更新する。
【0028】
続いて、帰還制御装置1は、第2の制御ループの誤差値ERR2を算出する(ステップS3)。続いて、第2の制御ループの第2の誤差積分値INTG2を更新する(ステップS4)。より具体的には、ステップS4では、第2の誤差積分器13に保持されている第2の誤差積分値INTG2にステップS3で算出された第2の誤差値ERR2を加算することで第2の誤差積分値INTG2の値を更新する。
【0029】
続いて、帰還制御装置1は、第1の誤差積分値INTG1と第2の誤差積分値INTG2とのうち最も小さな誤差積分値を判定する(ステップS5)。実施の形態1では誤差積分値は2つであるため、ステップS5では、第1の誤差積分値INTG1と第2の誤差積分値INTG2との大小関係に基づき、どちらの誤差積分値が小さいかを判定する。
【0030】
そして、ステップS5において第1の誤差積分値INTG1が第2の誤差積分値INTG2以下であると判断された場合(ステップS5のYESの枝)、制御値CNT_FBとして第1の誤差積分値INTG1を出力する(ステップS6)。また、この場合、第2の制御ループの第2の誤差積分値INTG2を第1の誤差積分値INTG1で更新する(ステップS7)。
【0031】
一方、ステップS5において第2の誤差積分値INTG2の方が第1の誤差積分値INTG1よりも大きい判断された場合(ステップS5のNOの枝)、制御値CNT_FBとして第2の誤差積分値INTG2を出力する(ステップS8)。また、この場合、第2の制御ループの第1の誤差積分値INTG1を第2の誤差積分値INTG2で更新する(ステップS9)。
【0032】
続いて、実施の形態1にかかる帰還制御装置1の動作について説明する。図3に実施の形態1にかかる帰還制御装置1の制御特性を示すグラフを示す。図3に示すように、帰還制御装置1は、モータの回転速度が低い期間はモータを定電流動作により駆動する。定電流駆動では、帰還制御装置1は、第2の制御ループを用いて、駆動電流の大きさを示す第2の帰還データFB2が第2の制御ループ指示値CNT2となるようにPWM信号のデューティ比を決定する。一方、帰還制御装置1は、モータの回転速度が第1の制御ループ指示値CNT1となる期間はモータを定回転動作により駆動する。定回転動作では、帰還制御装置1は、第1の制御ループを用いて、モータの回転速度を示す第1の帰還データFB1が第1の制御ループ指示値CNT1となるようにPWM信号のデューティ比を決定する。
【0033】
ここで、定電流駆動を行う回転動作領域(例えば、定電流動作領域)と定回転駆動を行う回転動作領域(例えば、定回転動作領域)との切り替え動作について説明する。まず、帰還制御装置1では、図2のステップS6〜S9の動作によって、PWM信号の周期の開始時点において第1の誤差積分値INTG1と第2の誤差積分値INTG2とが同一の値となっている。
【0034】
モータの回転速度が第1の制御ループ指示値CNT1(例えば、定回転指示値)で示される回転速度よりも遅い場合、定電流動作領域における定電流駆動が行われる。定電流動作領域では、モータの回転速度が第1の制御ループ指示値CNT1で示される回転速度より遅いため、第1の制御ループ指示値CNT1と第1の帰還データFB1との差が大きい。つまり、定電流動作領域においては、第1の誤差値ERR1が大きくなる。一方、定電流動作領域においては、モータが第2の制御ループ指示値CNT2で示される値に応じた大きさの駆動電流で駆動されるため、第2の制御ループ指示値CNT2と第2の帰還データFB2との差は小さい。つまり、定電流動作領域においては、第2の誤差値ERR2は第1の誤差値ERR1よりも小さくなる。つまり、定電流動作領域では、図2のステップS4が終了した時点において、第2の誤差積分値INTG2は、第1の誤差積分値INTG1よりも大きくなる。従って、定電流動作領域においては、帰還制御装置1は、第2の誤差積分値INTG2を制御値CNT_FBとする。そして、帰還制御装置1は、制御値CNT_FBとして選択した第2の誤差積分値INTG2により第1の誤差積分値INTG1を更新する。
【0035】
そして、定電流動作を継続するとモータの回転速度が徐々に速くなり、第1の制御ループ指示値CNT1と第1の帰還データFB1との誤差が小さくなる。そして、第1の誤差値ERR1と第2の誤差値ERR2との大小関係が逆転した時点で、第1の誤差積分値INTG1が第2の誤差積分値INTG2との大小関係も逆転する。これにより、帰還制御装置1は、制御値CNT_FBとして用いる誤差積分値を第2の誤差積分値INTG2から第1の誤差積分値INTG1に切り替える。つまり、帰還制御装置1は、利用する制御ループを第2の制御ループから第1の制御ループに切り替える。このとき、帰還制御装置1では、非選択状態の制御ループ中の誤差積分値を選択状態の制御ループ中の誤差積分値により常に更新しているため、制御ループの切り替え時に制御値CNT_FBが不連続になることがない。そのため、帰還制御装置1では、回転速度が安定させながら制御ループの切り替えを行うことができる。
【0036】
そして、定回転動作領域においては、モータの回転速度が第1の制御ループ指示値CNT1とほぼ等しく、駆動電流と第2の制御ループ指示値CNT2で示される値との差が定電流動作領域の場合よりも大きくなる。つまり、定回転動作領域においては、第1の誤差値ERR1が小さく、第2の誤差値ERR2が大きくなる。これにより、定回転動作領域では、図2のステップS4が終了した時点において、第1の誤差積分値INTG1は、第2の誤差積分値INTG2よりも大きくなる。従って、定回転動作領域においては、帰還制御装置1は、第1の誤差積分値INTG1を制御値CNT_FBとする。そして、帰還制御装置1は、制御値CNT_FBとして選択した第1の誤差積分値INTG1により第2の誤差積分値INTG2を更新する。
【0037】
また、定回転動作中にモータの負荷トルクが大きくなる等の原因によりモータの回転速度が低下した場合、帰還制御装置1では、第1の誤差値ERR1が第2の誤差値ERR2よりも大きくなる。このとき、帰還制御装置1では、定回転動作領域において、第2の誤差積分値INTG2が第1の誤差積分値INTG1により更新されている。そのため、誤差値の大小関係の逆転に伴い、第1の誤差積分値INTG1と第2の誤差積分値INTG2との大小関係も逆転する。そして、この誤差積分値の大小関係の逆転が生じると、帰還制御装置1は、制御値CNT_FBとして利用する誤差積分値を第1の誤差積分値INTG1から第2の誤差積分値INTG2に切り替える。つまり、つまり、帰還制御装置1は、利用する制御ループを第1の制御ループから第2の制御ループに切り替え、モータの駆動方式を定回転動作から定電流動作に切り替える。このとき、帰還制御装置1では、非選択状態の制御ループ中の誤差積分値を選択状態の制御ループ中の誤差積分値により常に更新しているため、制御ループを第1の制御ループから第2の制御ループに切り替えた場合においても制御値CNT_FBが不連続になることがない。そのため、帰還制御装置1では、回転速度が安定させながら制御ループの切り替えを行うことができる。
【0038】
ここで、比較例として、帰還制御装置1において誤差積分値の代入処理を行わずに制御ループの切り替えを行った場合の動作について説明する。図4に、実施の形態1にかかる帰還制御装置1において誤差積分値の代入処理を用いない場合の制御特性を示す。図4に示すように、誤差積分値の代入処理を行わない場合、制御ループの切り替え時にモータの回転速度が不安定になる。これは、誤差積分値の代入処理を行わない場合、制御ループの切り替え時に制御値CNT_FBの値が不連続になるためである。
【0039】
まず、定電流動作領域から定回転動作領域に切り替える場合、つまり、制御ループを第2の制御ループから第1の制御ループに切り替えた場合について説明する。この場合、定回転動作に利用される第1の誤差積分値INTG1は、定電流動作領域において第1の誤差値ERR1が積分されることで大きな値となっている。つまり、第1の誤差積分値INTG1は、回転速度を上昇させることを指示する値となっている。そのため、第2の制御ループから第1の制御ループの切り替わり時に、モータの回転速度が第1の制御ループ指示値で示される値よりも速くなり、回転速度が収束するまでに時間を要する。
【0040】
続いて、定回転動作領域から定電流動作領域に切り替える場合、つまり、制御ループを第1の制御ループから第2の制御ループに切り替えた場合について説明する。この場合、定電流動作に利用される第2の誤差積分値INTG2は、定回転動作領域において第2の誤差値ERR2が積分されることで大きな値又は小さな値となっている。つまり、第2の誤差積分値INTG2は、駆動電流を小さくすること又は大きくすることを指示する値となっている。そのため、第1の制御ループから第2の制御ループの切り替わり時に、モータの駆動電流が第2の制御ループ指示値CNT2で示される値よりも小さくなるか大きくなるかのいずれかの状態となり、モータの回転速度が定電流にて駆動される状態に収束するまでに時間を要する。なお、図3では、定回転動作中に第2の誤差積分値INTG2が大きな値となり、定電流動作に移行した後に駆動電流が第2の制御ループ指示値CNT2で示される値よりも小さくなる場合を示すものである。
【0041】
上記説明より、実施の形態1にかかる帰還制御装置1では、複数の制御ループのそれぞれに設けられる誤差積分値のうち最も小さな誤差積分値を制御値CNT_FBとすると共に、最も小さな誤差積分値で他の誤差積分値を常に更新する。これにより、帰還制御装置1では、誤差値の大小関係が逆転したことに応じて制御ループが切り替わる。つまり、実施の形態1にかかる帰還制御装置1は、制御対象回路20の出力状態(又は負荷状態)に応じて制御ループを切り換える負荷適応型帰還制御装置として動作することができる。また、帰還制御装置1では、当該制御ループの切り替わり時の制御値CNT_FBの連続性を確保することができる。また、帰還制御装置1では、制御値CNT_FBの連続性が確保されることから、制御ループの切り替わり時に制御対象回路20の出力状態の安定性を維持することができる。
【0042】
また、実施の形態1にかかる帰還制御装置1では、モータの起動不良を回避することができる。まず、モータは、駆動回路がPWM信号に応じて生成する駆動信号に基づき動作する。そして、モータの停止状態において大きなトルク負荷がかかっている場合において、定回転動作のみでモータを起動する場合、モータが回転しないため駆動回路はトルク負荷より大きなトルクをモータに与えるために大きな駆動電流を流す。しかし、駆動回路を構成するトランジスタを焼損から保護するために、許容される駆動電流によってもモータが回転しない場合、駆動電流を小さくする処理が行われる。このような制限が行われた場合、モータのトルク負荷が小さくなってもモータの駆動電流が制限されているためにモータが起動できない場合がある。なお、このような起動不良を回避するために定電流動作のみによりモータを制御した場合、モータのトルク変動によってモータの回転速度が変動するため、モータを定回転速度で制御することができない問題がある。しかし、実施の形態1にかかる帰還制御装置1では、モータのトルク負荷が大きく、モータが停止状態を維持する場合においてはモータを定電流動作により駆動回路の焼損を防止しながら、定電流動作において出力される駆動電流によりモータが回転可能な程度にモータトルク負荷が小さくなった時点でモータを起動することができる。そして、モータが所望の回転速度に達した時点でモータを定回転動作により制御することができる。
【0043】
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1にかかる帰還制御装置1を用いて電源回路を制御する例について説明する。そこで、図2に、実施の形態2にかかる帰還制御装置2のブロック図を示す。図2に示すように、帰還制御装置2を構成する機能ブロックは実施の形態1にかかる帰還制御装置1と実質的に同じものである。そこで、実施の形態2の説明では、実施の形態1と同じ構成要素については、実施の形態1の説明と同じ符号を用いて説明を省略する。
【0044】
図2に示すように、実施の形態2にかかる帰還制御装置2は、制御対象回路23として電源回路を制御する。また、制御対象回路の変更に合わせて、第1の測定部21及び第2の測定部22は、第1の測定部24及び第2の測定部25に変更される。第1の測定部24は、電源回路の出力電圧をモニタし、出力電圧に応じた第1の帰還データFB1を出力する。第2の測定部25は、電源回路の出力電流をモニタし、出力電流に応じた第2の帰還データFB2を出力する。また、実施の形態2では、制御対象回路の変更に伴い、帰還制御装置2には、第1の制御ループ指示値CNT1として定電圧指示値が入力され、第2の制御ループ指示値CNT2として定電流指示値が入力される。
【0045】
続いて、実施の形態2における帰還制御装置2の動作について説明する。そこで、図6に実施の形態2にかかる帰還制御装置2の制御特性を示すグラフを示す。図6に示すように、実施の形態2にかかる帰還制御装置2では、電源回路の出力電圧が第1の制御ループ指示値CNT1に達するまでの期間は定電流動作を行う。そして、出力電圧に対応する第1の帰還データFB1と第1の制御ループ指示値CNT1との誤差を示す第1の誤差値ERR1と、出力電流に対応する第2の帰還データFB2と第2の制御ループ指示値CNT2との誤差を示す第2の誤差値ERR2と、の大小関係の逆転に伴い第1の誤差積分値INTG1と第2の誤差積分値INTG2との大小関係が逆転したことに応じて、帰還制御装置2は、制御ループを第2の制御ループから第1の制御ループへと切り替える。また、電源回路が出力電流を供給する負荷回路で消費される負荷電流が増加して、出力電圧が低下して第1の誤差値ERR1と、第2の誤差値ERR2と、の大小関係の逆転に伴い第1の誤差積分値INTG1と第2の誤差積分値INTG2との大小関係が逆転したことに応じて、帰還制御装置2は、制御ループを第1の制御ループから第2の制御ループへと切り替える。
【0046】
このとき、実施の形態2にかかる帰還制御装置2では、制御値CNT_FBとして利用する誤差積分値により制御値CNT_FBとして選択されない誤差積分値を常に更新する。そのため、実施の形態2においても帰還制御装置1では、制御ループの切り替え時に制御値CNT_FBの連続性が確保され、出力電圧の安定性が維持される。
【0047】
また、制御対象回路が電源回路である場合、電源回路を構成するトランジスタの焼損を避けるために電源回路はフの字特性とすることがある。このようなフの字特性を有する電源回路の場合、負荷回路の動作開始時の負荷電流が大きい場合に出力電圧が十分に上昇せずに起動不良となる場合がある。しかし、実施の形態2にかかる帰還制御装置2を利用することとで、動作開始時の負荷電流が大きい場合であっても、定電流動作により起動可能になった時点で、負荷回路を起動することができ、かつ定電流動作モードから定電圧動作モードへ切り替わった時に、過大な出力キャパシタや出力電圧クランプ回路(出力過電圧保護回路)を用いる事なく、出力にスパイク状の過電圧が発生する事を抑制することが出来る。
【0048】
このように、本発明にかかる帰還制御装置では、制御対象回路が電源回路であったとしても、制御ループの切り替え時に制御対象回路の出力状態の安定性を確保することができる。また、実施の形態2の説明は、本発明にかかる帰還制御装置は、制御対象回路が複数の制御ループの切り替えにより制御されるものであれば、制御ループの切り替え時に制御対象回路の出力状態を安定に維持することを示すものである。
【0049】
実施の形態3
実施の形態3にかかる帰還制御装置3のブロック図を図7に示す。なお、実施の形態3の説明では、実施の形態1と同じ構成要素に実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0050】
図7に示すように、実施の形態3にかかる帰還制御装置3は、実施の形態1にかかる帰還制御装置1に3つ目の制御ループに対応した機能ブロックを追加下ものである。具体的には、帰還制御装置3は、帰還制御装置1に、第3の誤差算出部30及び第3の誤差積分器31を追加したものである。また、帰還制御装置3は、第3の誤差積分器31の追加に伴い、比較部14、選択部15、積分値更新部16に代えて比較部32、選択部33、積分値更新部34を備える。
【0051】
また、図7に示すように、実施の形態3では、3つ目の制御ループを構成するために、第3の測定部26が追加される。第3の測定部26は、モータの温度をモニタし、温度に対応した第3の帰還データFB3を出力する。さらに、実施の形態3にかかる帰還制御装置3には、第3の制御ループに対する指示値として、第3の制御ループ指示値CNT3が与えられる。第3の制御ループ指示値CNT3は、モータの温度、駆動対象物或いは環境温度を指定する温度制御指示値である。
【0052】
第3の誤差算出部30は、第3の制御ループ指示値CNT3と第3の帰還データFB3との間の誤差を示す第3の誤差値ERR3を算出する。第3の誤差積分器31は、第3の誤差値ERR3を積分した第3の誤差積分値INTG3を生成する。より具体的には、第3の誤差積分器31は、第3の誤差積分値INTG3を保持し、PWM信号の周期毎に保持している第3の誤差積分値INTG3に誤差値ERR3を加算することで第3の誤差積分値INTG3を更新する。
【0053】
比較部32は、第1の誤差積分値INTG1から第3の誤差積分値INTG3の値を比較して、最も小さい誤差積分値に該当する誤差積分値を判定し、最も小さい誤差積分値を示す選択信号SELを出力する。
【0054】
選択部33は、第1の誤差積分値INTG1、第2の誤差積分値INTG2、及び第3の誤差積分値INTG3のうち選択信号SELで示された誤差積分値を選択し、選択した誤差積分値を制御値CNT_FBとして出力する。
【0055】
積分値更新部34は、第1の誤差積分器11、第2の誤差積分器13、及び、第3の誤差積分器31のうち選択信号SELで示された誤差積分値を保持する誤差積分器以外の誤差積分器を選択し、選択した誤差積分器に保持されている誤差積分値を制御値CNT_FBで更新する。つまり、積分値更新部34により誤差積分値が更新された後は、第1の誤差積分器11、第2の誤差積分器13、及び、第3の誤差積分器31に保持されている誤差積分値は、更新前に最も小さな値の誤差積分値と等しくなる。
【0056】
実施の形態3にかかる帰還制御装置3では、3つの制御ループに基づき動作するが、積分値更新部34の動作により誤差値を加算する前の3つの誤差積分値が常に同じ値に維持される。これにより、実施の形態3にかかる帰還制御装置3では、3つの制御ループの間で制御ループを切り替えた場合においても、実施の形態1と同様に制御値CNT_FBの連続性を確保することができる。そして、帰還制御装置3においても、実施の形態1にかかる帰還制御装置1と同様に、制御ループの切り替わり時に制御値CNT_FBの連続性が確保されることから、制御ループの切り替えに伴う制御対象回路の出力状態の安定性を向上させることができる。
【0057】
実施の形態4
実施の形態4にかかる帰還制御装置4のブロック図を図8に示す。なお、実施の形態4の説明では、実施の形態1と同じ構成要素に実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0058】
図8に示すように、実施の形態4にかかる帰還制御装置4は、実施の形態1にかかる帰還制御装置1にPWM信号のデューティ比を外部から直接制御する非線形PWM回転制御値を入力する経路を追加したものである。具体的には、帰還制御装置4は、帰還制御装置1に、PWMデューティキャプチャ部41が追加される。また、帰還制御装置4は、PWMデューティキャプチャ部41の追加に伴い、比較部14、選択部15、積分値更新部16に代えて比較部42、選択部43、積分値更新部44を備える。
【0059】
また、図8に示すように、実施の形態4にかかる帰還制御装置4には、非線形PWM回転制御値が外部PWM制御信号CNT4として与えられる。例えば、この外部PWM制御信号CNT4は、PWM信号である。そして、帰還制御装置4、外部PWM制御信号CNT4に基づき動作する場合、外部PWM制御信号CNT4と同じPWM信号を出力する。
【0060】
PWMデューティキャプチャ部41は、外部PWM制御信号CNT4のデューティ比に対応する誤差積分値INTG4を第4の誤差積分値として出力する。つまり、誤差積分値INTG4を制御値CNT_FBとして利用した場合、PWM信号生成部17は、外部PWM制御信号CNT4と同じデューティ比のPWM信号を出力する。なお、誤差積分値INTG4は、正確には誤差に制御信号と帰還データとの誤差を積算したものではなく、他の誤差積分値に相当する値として生成されるものである。
【0061】
比較部42は、第1の誤差積分値INTG1、第2の誤差積分値INTG2、及び誤差積分値INTG4を比較して、最も小さい誤差積分値に該当する誤差積分値を判定し、最も小さい誤差積分値を示す選択信号SELを出力する。
【0062】
選択部43は、第1の誤差積分値INTG1、第2の誤差積分値INTG2、及び誤差積分値INTG4のうち選択信号SELで示された誤差積分値を選択し、選択した誤差積分値を制御値CNT_FBとして出力する。
【0063】
積分値更新部44は、第1の誤差積分器11及び第2の誤差積分器13のうち選択信号SELで示された誤差積分値を保持する誤差積分器以外の誤差積分器を選択し、選択した誤差積分器に保持されている誤差積分値を制御値CNT_FBで更新する。より具体的には、第1の誤差積分値INTG1又は第2の誤差積分値INTG2が最も小さな誤差積分値である場合、積分値更新部44は、大きな値を有する誤差積分値を小さな値を有する誤差積分値で更新する。また、積分値更新部44は、誤差積分値INTG4が最も小さな値である場合、誤差積分値INTG4により第1の誤差積分値INTG1及び第2の誤差積分値INTG2を更新する。
【0064】
実施の形態4にかかる帰還制御装置4では、2つの制御ループに加え外部入力による制御にも対応する。このとき、帰還制御装置4では、積分値更新部44の動作により誤差値を加算する前の2つの誤差積分値が常に同じ値に維持され、かつ、最も小さな誤差積分値が制御値CNT_FBとして生成される。これにより、実施の形態4にかかる帰還制御装置4では、2つの制御ループと外部入力による制御との間で制御方式を切り替えた場合においても、実施の形態1と同様に制御値CNT_FBの連続性を確保することができる。そして、帰還制御装置4においても、実施の形態1にかかる帰還制御装置1と同様に、制御方式の切り替わり時に制御値CNT_FBの連続性が確保されることから、制御方式の切り替えに伴う制御対象回路の出力状態の安定性を向上させることができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1〜4 帰還制御装置
10、12、30 誤差算出部
11、13 誤差積分器
14、32、42 比較部
15、33、43 選択部
16、34、44 積分値更新部
17 PWM信号生成部
20、23 制御対象回路
21、22、24、25、26 測定部
41 デューティキャプチャ部
44 積分値更新部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象回路の出力状態から得られる第1の帰還データと第1の制御ループ指示値との誤差を示す第1の誤差値に基づき前記制御対象回路の出力状態を制御する出力信号を生成して、前記制御対象回路から得られる第1の帰還データを前記第1の制御ループ指示値に近づける第1の制御ループと、
前記制御対象回路の出力状態から得られる第2の帰還データと第2の制御ループ指示値との誤差を示す第2の誤差値に基づき前記制御対象回路の出力状態を制御する前記出力信号を生成して、前記制御対象回路から得られる第2の帰還データを前記第2の制御ループ指示値に近づける第2の制御ループと、を有する負荷適応型帰還制御装置の制御ループ切り替え方法であって、
第1の誤差積分値に現周期で得られた前記第1の誤差値を加算して前記第1の誤差積分値を更新し、
第2の誤差積分値に現周期で得られた前記第2の誤差値を加算して前記第2の誤差積分値を更新し、
更新後の前記第1の誤差積分値と前記第2の誤差積分値とのうち小さな値を示す誤差積分値に基づき前記出力前記を生成し、
更新後の前記第1の誤差積分値と前記第2の誤差積分値とのうち小さな値を示す誤差積分値で更新後の前記第1の誤差積分値と前記第2の誤差積分値のうち前記出力信号の生成に用いられなかった誤差積分値を更新する制御ループ切り替え方法。
【請求項2】
前記制御対象回路の出力状態から得られる第3の帰還データと第3の制御ループ指示値との誤差を示す第3の誤差値に基づき前記制御対象回路の出力状態を制御する前記出力信号を生成して、前記制御対象回路から得られる第3の帰還データを前記第3の制御ループ指示値に近づける第3の制御ループをさらに備え、
第3の誤差積分値に現周期で得られた前記第3の誤差値を加算して前記第3の誤差積分値を更新し、
更新後の前記第1の誤差積分値から前記第3の誤差積分値のうち最も小さな値を示す誤積分値に基づき前記出力信号を生成し、
更新後の前記第1の誤差積分値から前記第3の誤差積分値のうち最も小さな値を示す誤差積分値で更新後の前記第1の誤差積分値から前記第3の誤差積分値のうち前記出力信号の生成に用いられなかった誤差積分値を更新する請求項1に記載の制御ループ切り替え方法。
【請求項3】
外部から入力される制御信号に対応する第4の誤差積分値を生成し、
更新後の前記第1、第2の誤差積分値と前記第4の誤差積分値のうち最も小さな値を示す誤差積分値に基づき前記出力信号を生成し、
更新後の前記第1の誤差積分値と前記第2の誤差積分値と前記第4の誤差積分値のうち最も小さな値を示す誤差積分値で更新後の前記第1の誤差積分値と前記第2の誤差積分値のうち前記出力信号の生成に用いられなかった誤差積分値を更新する請求項1又は2に記載の制御ループの切り替え方法。
【請求項4】
第1の誤差積分値を保持し、制御対象回路の出力状態から得られる第1の帰還データと第1の制御ループ指示値との誤差を示す第1の誤差値を、保持している前記第1の誤差積分値に加算して前記第1の誤差積分値を更新する第1の誤差積分器と、
第2の誤差積分値を保持し、前記制御対象回路の出力状態から得られる第2の帰還データと第2の制御ループ指示値との誤差を示す第2の誤差値を、保持している前記第2の誤差積分値に加算して前記第2の誤差積分値を更新する第2の誤差積分器と、
前記第1の誤差積分値と前記第2の誤差積分値とのうち小さな値を示す誤差積分値を制御値として出力する選択部と、
前記第1の誤差積分値と前記第2の誤差積分値とのうち小さな値を示す誤差積分値により前記第1の誤差積分値と前記第2の誤差積分値とのうち前記制御値として用いられなかた誤差積分値を更新する積分値更新部と、
前記制御値に基づき出力信号を生成して前記制御対象回路の出力状態を制御する出力信号生成部と、
を有する負荷適応型帰還制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−252669(P2012−252669A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127074(P2011−127074)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(511138113)
【Fターム(参考)】