貯水施設からの漏水検知装置
【課題】通常の方法では検知が困難である貯水施設における漏水位置を検知する装置を提供する。
【解決手段】底面のみ開放の遮水容器1と、遮水容器1の底面以外の位置に開口した貫通孔と、貫通孔に取り付けた流速計2とより構成する。水中に遮水容器1を吊り下げて、遮水容器1の底面を水底に載置して周囲の水の流れを遮断し、遮水容器1の内部の水の流れを、流速計2によって計測する。
【解決手段】底面のみ開放の遮水容器1と、遮水容器1の底面以外の位置に開口した貫通孔と、貫通孔に取り付けた流速計2とより構成する。水中に遮水容器1を吊り下げて、遮水容器1の底面を水底に載置して周囲の水の流れを遮断し、遮水容器1の内部の水の流れを、流速計2によって計測する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貯水施設からの漏水検知装置に関するものであり、特に漏水の出口ではなく、入口を検知する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貯水施設とはダム、ため池、プールなどで、河川や降雨からの自然の供給量、あるいは人工的な供給量を上回る過大な漏水が発生したら、発電、農業用水、飲料水の供給などの、貯水施設本来の機能が損なわれる。
そのような場合に、水をためる「器」における漏水個所を検知することは、漏水を抑制して貯水機能を回復する対策を立てる上で重要でかつ有効な方法である。
漏水個所の検知方法としては地上の配管、地中の埋設管、屋根や天井、水タンク、廃棄物処理場の遮水シートなどからの漏水には各種の方法が開発されている。
それに対してダムやため池などの貯水施設からの漏水は、水と地盤が直接接触しているために、水分の変化が生じることがなく、漏水による電気的な変化によって漏水個所を特定することはできない。
漏水の「出口」である浸出点を特定して対処する方法も考えられるが、水の湧き出る個所は周辺の下流の沢、斜面、ダム堤体下部に設けた監査廊など広い範囲にわたって平面的に散らばっているから、漏水個所としての特定も困難であり、また特定できたとしても、多数の漏水個所に対応した対策を講じることは膨大な労力と費用を要することになる。
そのためにダムやため池などの貯水施設における有効な漏水抑制対策としては、漏水の「入口」を特定することがなによりも必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−21439号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の貯水施設からの漏水個所の検知手段としてはダイバーによる目視によることがほとんどであったが、次のような問題があった。
<1> 人による目視であるから、漏水量を定量的に評価することが難しい。
<2> 目視が可能な、規模の大きい、すなわち漏水量の大きい個所しか見つけることができない。
<3> 特に対象範囲が広い場合や、対策工の効果を確認するために調査を繰り返し実施する必要がある場合などでは、経済性や調査期間の点から採用が困難となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような課題を解決する本発明の貯水施設からの漏水検知装置は、底面のみ開放の遮水容器と、遮水容器の底面以外の位置に開口した貫通孔と、貫通孔に取り付けた流速計とより構成し、水中に遮水容器を吊り下げて、遮水容器の底面を水底に載置して周囲の水の流れを遮断し、遮水容器の内部の水の流れを、流速計によって計測できるように構成したことを特徴としたものである。
また本発明の貯水施設からの漏水検知装置は、底面のみ開放の遮水容器と、遮水容器の底面以外の位置に開口した貫通孔と、貫通孔に取り付けた流速計と、遮水容器の上部に取り付けた吊り枠とより構成し、水中に吊り枠を吊り下げて、遮水容器の底面を水底に載置して周囲の水の流れを遮断し、遮水容器の内部の水の流れを、流速計によって計測できるように構成したことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の貯水施設からの漏水検知装置は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<1> 通常の方法では検知が困難である貯水施設における漏水位置を検知することができる。
<2> 漏水位置と漏水量との関係を検知できる。
<3> 貯水池の漏水平面分布を可視化することができる。
<4> その結果、漏水対策や止水対策の計画に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の貯水施設からの漏水検知装置の実施例の斜視図。
【図2】漏水を検知する状態の説明図。
【図3】貯水施設に漏水検知装置を吊り下ろす状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図面を参照にしながら本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0009】
<1>全体の構成。
本発明の貯水施設からの漏水検知装置は、底面のみ開放の遮水容器1と、遮水容器1の底面以外の位置に取り付けた流速計2と、遮水容器1の上部に取り付けた吊り枠3とより構成する。
【0010】
<2>遮水容器。
遮水容器1は遮水材で形成した、底面のみ開放した容器である。
材料として柔軟性のあるシート状の材料を使用した場合には、傘のような骨組を備え、その骨組みにシート状の遮水材をかぶせて構成する。
遮水容器1として金属板のような剛性の高い材料で構成することもできる。
遮水容器1は図の実施例のような四角錐である必要はなく、多角形、お椀状など各種の形状を採用することができる。
遮水容器1の中心には容器プレート11を設ける。
その容器プレート11と、後述する吊り枠3の中央板をボルト12で固定する。
さらに容器プレート11の下面に、照明用ライト、水中カメラ、水中マイクなどを遮水容器1の内部に向けて取り付けることができる。
そうすれば、測定領域内の監視、漏水音測定などが可能となり、漏水状況に関する多くの追加情報を得ることができる。
【0011】
<3>スカート。
遮水容器1の下縁の全周には伸縮性の大きい材料で形成した幕をスカート13として取り付ける。
遮水容器1を水底に下ろした時に、このスカート13の部分が周囲に広がって遮水容器1内への水の侵入を阻止できる。
【0012】
<4>吊り枠。
遮水容器1が、剛性の大きい材料で構成した場合には直接水中に吊り下ろすことができる。
しかし遮水容器1が柔軟性に富んで変形しやすい場合には、遮水容器1を吊り枠3の下に取り付ける。
吊り枠3は鋼材を矩形、円形に形成した外周枠31と、外周枠31の中央に、梁32を介して設けた中央板33で構成する。
この中央板33の下面に、前記した遮水容器1のボルト12を介して遮水容器1を取り付ける。
【0013】
<5>流速計。
遮水容器1の、底面以外の一部、例えば前記した容器プレート11には貫通孔を開口する。
そして、この貫通孔に流速計2を取り付ける。
流速計2は、貫通孔を通過する水の速度を計測するものであり、市販の電磁流速計、プロペラ式流速計など各種の流速計2を採用することができる。
流れの方向が分かる流速計2を逆向きに2台設置すると、漏水量だけでなく、湧水量を測定することも可能となる。
【0014】
<6>ワイヤ類。
漏水検知に際しては図3に示すような台船4から遮水容器1を吊り下ろす。
そのために、吊り枠3の周囲にはフック34を設け、このフック34を介して枠吊りワイヤw1の端部を取り付ける。
台船4から枠吊りワイヤw1を巻き出せば、吊り枠3を水中に吊り下ろすことができる。
さらに、スカート13の下端にはスカート支持ワイヤw2の端部を取り付け、台船4から巻き上げ、巻き下げを可能であるように構成する。
このスカート支持ワイヤw2を巻き上げた状態で遮水容器1を水底に載置し、その後にスカート支持ワイヤw2を緩めれば、柔軟性の高いスカート13部分が遮水容器1の周囲の水底を被覆するので、遮水容器1の内部と周囲との間に水の流れを遮断することができる。
これらのワイヤ群は、吊り枠3の上に位置するワイヤ通し板5の貫通穴を通過させることでまとめて水上に案内する。
【0015】
<7>検知の方法。
次の上記の装置を使用して漏水を検知する方法を説明する。
【0016】
<8>遮水容器の吊り下げ。
図3に示すように台船4からウインチ41で枠吊りワイヤw1を巻き出して遮水容器1を直接、あるいは吊り枠3を介して、遮水容器1を水底に載置する。
特に水底に凹凸がある場合には、スカート支持ワイヤw2を巻き上げておく。
遮水容器1が水底に達したら、スカート支持ワイヤw2を巻き出すことで、スカート13によって周囲の水底を被覆し、遮水容器1への水の侵入を阻止して設置できる。
水底が傾斜している場合、すなわち水底が貯水施設の周囲の斜面などである場合には、枠吊りワイヤw1の長さを変えて、吊り枠3の角度を調整して行う。
したがって各ワイヤw1、w2は各々独立しており、個別のウインチ41で巻き出し、巻き戻しが可能なように構成する。
【0017】
<9>漏水のある場合。
以上の状態で遮水容器1の内部の水は、周囲の水と遮断されている。
もし遮水容器1で被覆した範囲で水底からの漏水があると、図2に示すように内部の水が動き、総漏水量に等しい水量の水が貫通孔を通過して遮水容器1の内部に流れ込んでくる。
この流速を流速計2で計測する。
したがって流速計2が流速を検知したら、その測定領域には漏水があるということが分かる。
測定した領域からの漏水量は、貫通孔の断面積と流速の積で知ることができる。
単位面積当たりの漏水量は、測定領域からの透水量を、測定領域の面積で割ることで知ることができる。
その場合に測定精度や最小可能漏水量は、貫通孔の断面積を変えることにより、あるいは流速計2の性能を変えることにより任意に設定することができる。
例えば測定領域に対して貫通孔の断面積を小さくすれば、流速が大きくなるから、同じ性能の流速計2を使用した場合でも少ない漏水量を知ることができる。
【0018】
<10>測定結果の利用。
測定個所の位置測定は、陸地の基地点を参照する測量、あるいは台船4に設置した少なくとも3台のGPSによって行う。
こうして位置を確認しながら、台船4を直交するXY方向に一定距離づつ移動させて漏水量を測定する。
その結果、多数の測定領域において等しい漏水量の位置を結んでコンター表示して、漏水量の平面分布を可視化することができる。
また漏水量の分布結果から、漏水量の大きな個所と小さな個所を判定することが可能となり、止水対策などの実施個所の計画に用いることができる。
さらに止水抑制対策を実施した場合には、その前後において漏水量の測定を実施し、各段階の測定結果を色彩の濃淡で表現した平面図でまとめて比較すると、漏水抑制対策の効果を定量的に評価することが可能となる。
【符号の説明】
【0019】
1:遮水容器
2:流速計
3:吊り枠
5:ワイヤ通し板
w1:枠吊りワイヤ
w2:スカート支持ワイヤ
【技術分野】
【0001】
本発明は貯水施設からの漏水検知装置に関するものであり、特に漏水の出口ではなく、入口を検知する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貯水施設とはダム、ため池、プールなどで、河川や降雨からの自然の供給量、あるいは人工的な供給量を上回る過大な漏水が発生したら、発電、農業用水、飲料水の供給などの、貯水施設本来の機能が損なわれる。
そのような場合に、水をためる「器」における漏水個所を検知することは、漏水を抑制して貯水機能を回復する対策を立てる上で重要でかつ有効な方法である。
漏水個所の検知方法としては地上の配管、地中の埋設管、屋根や天井、水タンク、廃棄物処理場の遮水シートなどからの漏水には各種の方法が開発されている。
それに対してダムやため池などの貯水施設からの漏水は、水と地盤が直接接触しているために、水分の変化が生じることがなく、漏水による電気的な変化によって漏水個所を特定することはできない。
漏水の「出口」である浸出点を特定して対処する方法も考えられるが、水の湧き出る個所は周辺の下流の沢、斜面、ダム堤体下部に設けた監査廊など広い範囲にわたって平面的に散らばっているから、漏水個所としての特定も困難であり、また特定できたとしても、多数の漏水個所に対応した対策を講じることは膨大な労力と費用を要することになる。
そのためにダムやため池などの貯水施設における有効な漏水抑制対策としては、漏水の「入口」を特定することがなによりも必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−21439号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の貯水施設からの漏水個所の検知手段としてはダイバーによる目視によることがほとんどであったが、次のような問題があった。
<1> 人による目視であるから、漏水量を定量的に評価することが難しい。
<2> 目視が可能な、規模の大きい、すなわち漏水量の大きい個所しか見つけることができない。
<3> 特に対象範囲が広い場合や、対策工の効果を確認するために調査を繰り返し実施する必要がある場合などでは、経済性や調査期間の点から採用が困難となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような課題を解決する本発明の貯水施設からの漏水検知装置は、底面のみ開放の遮水容器と、遮水容器の底面以外の位置に開口した貫通孔と、貫通孔に取り付けた流速計とより構成し、水中に遮水容器を吊り下げて、遮水容器の底面を水底に載置して周囲の水の流れを遮断し、遮水容器の内部の水の流れを、流速計によって計測できるように構成したことを特徴としたものである。
また本発明の貯水施設からの漏水検知装置は、底面のみ開放の遮水容器と、遮水容器の底面以外の位置に開口した貫通孔と、貫通孔に取り付けた流速計と、遮水容器の上部に取り付けた吊り枠とより構成し、水中に吊り枠を吊り下げて、遮水容器の底面を水底に載置して周囲の水の流れを遮断し、遮水容器の内部の水の流れを、流速計によって計測できるように構成したことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の貯水施設からの漏水検知装置は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<1> 通常の方法では検知が困難である貯水施設における漏水位置を検知することができる。
<2> 漏水位置と漏水量との関係を検知できる。
<3> 貯水池の漏水平面分布を可視化することができる。
<4> その結果、漏水対策や止水対策の計画に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の貯水施設からの漏水検知装置の実施例の斜視図。
【図2】漏水を検知する状態の説明図。
【図3】貯水施設に漏水検知装置を吊り下ろす状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図面を参照にしながら本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0009】
<1>全体の構成。
本発明の貯水施設からの漏水検知装置は、底面のみ開放の遮水容器1と、遮水容器1の底面以外の位置に取り付けた流速計2と、遮水容器1の上部に取り付けた吊り枠3とより構成する。
【0010】
<2>遮水容器。
遮水容器1は遮水材で形成した、底面のみ開放した容器である。
材料として柔軟性のあるシート状の材料を使用した場合には、傘のような骨組を備え、その骨組みにシート状の遮水材をかぶせて構成する。
遮水容器1として金属板のような剛性の高い材料で構成することもできる。
遮水容器1は図の実施例のような四角錐である必要はなく、多角形、お椀状など各種の形状を採用することができる。
遮水容器1の中心には容器プレート11を設ける。
その容器プレート11と、後述する吊り枠3の中央板をボルト12で固定する。
さらに容器プレート11の下面に、照明用ライト、水中カメラ、水中マイクなどを遮水容器1の内部に向けて取り付けることができる。
そうすれば、測定領域内の監視、漏水音測定などが可能となり、漏水状況に関する多くの追加情報を得ることができる。
【0011】
<3>スカート。
遮水容器1の下縁の全周には伸縮性の大きい材料で形成した幕をスカート13として取り付ける。
遮水容器1を水底に下ろした時に、このスカート13の部分が周囲に広がって遮水容器1内への水の侵入を阻止できる。
【0012】
<4>吊り枠。
遮水容器1が、剛性の大きい材料で構成した場合には直接水中に吊り下ろすことができる。
しかし遮水容器1が柔軟性に富んで変形しやすい場合には、遮水容器1を吊り枠3の下に取り付ける。
吊り枠3は鋼材を矩形、円形に形成した外周枠31と、外周枠31の中央に、梁32を介して設けた中央板33で構成する。
この中央板33の下面に、前記した遮水容器1のボルト12を介して遮水容器1を取り付ける。
【0013】
<5>流速計。
遮水容器1の、底面以外の一部、例えば前記した容器プレート11には貫通孔を開口する。
そして、この貫通孔に流速計2を取り付ける。
流速計2は、貫通孔を通過する水の速度を計測するものであり、市販の電磁流速計、プロペラ式流速計など各種の流速計2を採用することができる。
流れの方向が分かる流速計2を逆向きに2台設置すると、漏水量だけでなく、湧水量を測定することも可能となる。
【0014】
<6>ワイヤ類。
漏水検知に際しては図3に示すような台船4から遮水容器1を吊り下ろす。
そのために、吊り枠3の周囲にはフック34を設け、このフック34を介して枠吊りワイヤw1の端部を取り付ける。
台船4から枠吊りワイヤw1を巻き出せば、吊り枠3を水中に吊り下ろすことができる。
さらに、スカート13の下端にはスカート支持ワイヤw2の端部を取り付け、台船4から巻き上げ、巻き下げを可能であるように構成する。
このスカート支持ワイヤw2を巻き上げた状態で遮水容器1を水底に載置し、その後にスカート支持ワイヤw2を緩めれば、柔軟性の高いスカート13部分が遮水容器1の周囲の水底を被覆するので、遮水容器1の内部と周囲との間に水の流れを遮断することができる。
これらのワイヤ群は、吊り枠3の上に位置するワイヤ通し板5の貫通穴を通過させることでまとめて水上に案内する。
【0015】
<7>検知の方法。
次の上記の装置を使用して漏水を検知する方法を説明する。
【0016】
<8>遮水容器の吊り下げ。
図3に示すように台船4からウインチ41で枠吊りワイヤw1を巻き出して遮水容器1を直接、あるいは吊り枠3を介して、遮水容器1を水底に載置する。
特に水底に凹凸がある場合には、スカート支持ワイヤw2を巻き上げておく。
遮水容器1が水底に達したら、スカート支持ワイヤw2を巻き出すことで、スカート13によって周囲の水底を被覆し、遮水容器1への水の侵入を阻止して設置できる。
水底が傾斜している場合、すなわち水底が貯水施設の周囲の斜面などである場合には、枠吊りワイヤw1の長さを変えて、吊り枠3の角度を調整して行う。
したがって各ワイヤw1、w2は各々独立しており、個別のウインチ41で巻き出し、巻き戻しが可能なように構成する。
【0017】
<9>漏水のある場合。
以上の状態で遮水容器1の内部の水は、周囲の水と遮断されている。
もし遮水容器1で被覆した範囲で水底からの漏水があると、図2に示すように内部の水が動き、総漏水量に等しい水量の水が貫通孔を通過して遮水容器1の内部に流れ込んでくる。
この流速を流速計2で計測する。
したがって流速計2が流速を検知したら、その測定領域には漏水があるということが分かる。
測定した領域からの漏水量は、貫通孔の断面積と流速の積で知ることができる。
単位面積当たりの漏水量は、測定領域からの透水量を、測定領域の面積で割ることで知ることができる。
その場合に測定精度や最小可能漏水量は、貫通孔の断面積を変えることにより、あるいは流速計2の性能を変えることにより任意に設定することができる。
例えば測定領域に対して貫通孔の断面積を小さくすれば、流速が大きくなるから、同じ性能の流速計2を使用した場合でも少ない漏水量を知ることができる。
【0018】
<10>測定結果の利用。
測定個所の位置測定は、陸地の基地点を参照する測量、あるいは台船4に設置した少なくとも3台のGPSによって行う。
こうして位置を確認しながら、台船4を直交するXY方向に一定距離づつ移動させて漏水量を測定する。
その結果、多数の測定領域において等しい漏水量の位置を結んでコンター表示して、漏水量の平面分布を可視化することができる。
また漏水量の分布結果から、漏水量の大きな個所と小さな個所を判定することが可能となり、止水対策などの実施個所の計画に用いることができる。
さらに止水抑制対策を実施した場合には、その前後において漏水量の測定を実施し、各段階の測定結果を色彩の濃淡で表現した平面図でまとめて比較すると、漏水抑制対策の効果を定量的に評価することが可能となる。
【符号の説明】
【0019】
1:遮水容器
2:流速計
3:吊り枠
5:ワイヤ通し板
w1:枠吊りワイヤ
w2:スカート支持ワイヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面のみ開放の遮水容器と、
遮水容器の底面以外の位置に開口した貫通孔と、
貫通孔に取り付けた流速計とより構成し、
水中に遮水容器を吊り下げて、遮水容器の底面を水底に載置して周囲の水の流れを遮断し、
遮水容器の内部の水の流れを、流速計によって計測できるように構成したことを特徴とした、
貯水施設からの漏水検知装置。
【請求項2】
底面のみ開放の遮水容器と、
遮水容器の底面以外の位置に開口した貫通孔と、
貫通孔に取り付けた流速計と、
遮水容器の上部に取り付けた吊り枠とより構成し、
水中に吊り枠を吊り下げて、遮水容器の底面を水底に載置して周囲の水の流れを遮断し、
遮水容器の内部の水の流れを、流速計によって計測できるように構成したことを特徴とした、
貯水施設からの漏水検知装置。
【請求項1】
底面のみ開放の遮水容器と、
遮水容器の底面以外の位置に開口した貫通孔と、
貫通孔に取り付けた流速計とより構成し、
水中に遮水容器を吊り下げて、遮水容器の底面を水底に載置して周囲の水の流れを遮断し、
遮水容器の内部の水の流れを、流速計によって計測できるように構成したことを特徴とした、
貯水施設からの漏水検知装置。
【請求項2】
底面のみ開放の遮水容器と、
遮水容器の底面以外の位置に開口した貫通孔と、
貫通孔に取り付けた流速計と、
遮水容器の上部に取り付けた吊り枠とより構成し、
水中に吊り枠を吊り下げて、遮水容器の底面を水底に載置して周囲の水の流れを遮断し、
遮水容器の内部の水の流れを、流速計によって計測できるように構成したことを特徴とした、
貯水施設からの漏水検知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2012−42277(P2012−42277A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182298(P2010−182298)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
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