説明

貸出用記録媒体処理装置及び遊技媒体貸出管理システム

【課題】貸出用記録媒体処理装置内部の貯留部に貸出用記録媒体が貯留されていない場合でも、貨幣を受け付けてその有価価値に値する遊技媒体を貸し出すことができ、かつ、遊技ホール経営者が貸出用記録媒体を使用したシステムの利用を継続できる貸出用記録媒体処理装置及び遊技媒体貸出管理システムを提供する。
【解決手段】貸出用記録媒体処理装置を、貨幣処理部に貨幣が投入されて貸出用記録媒体処理部で貸出用記録媒体を発行する場合は、該貸出用記録媒体に付与されている識別情報を前記発行情報に含めて前記発行情報送信部で送信する構成とし、貨幣処理部に貨幣が投入されたが貸出用記録媒体処理部に発行可能な貸出用記録媒体がなかった場合は、前記識別情報の代わりに代用情報を代用情報付与部が定め、該代用情報を前記発行情報に含めて発行情報送信部で送信する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばパチンコ機やパチスロ機といった遊技機を備えた遊技ホールで貸出用記録媒体を処理するような貸出用記録媒体処理装置、及び遊技媒体を管理するような貸出用記録媒体管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多くの遊技ホール(所謂、遊技場)では、遊技者が遊技ホールで投入・使用した金額が明確に管理できるようにする為に、貸出用記録媒体を使用したシステムを導入している(特許文献1参照)。
【0003】
このシステムでは、貸出用記録媒体処理装置が、貸出用記録媒体を受け付け、その受け付けた貸出用記録媒体の記録情報を読み取り、読み取った有価価値の分だけ遊技者に遊技媒体を貸し出す処理を実行する。
【0004】
また貸出用記録媒体データベースを有するデータ管理装置を備え、前記貸出用記録媒体の特定情報(ユニークなID)とその有価価値情報とを対応付けて貸出用記録媒体データベースに登録し、各貸出用記録媒体の有価価値情報を管理する。
【0005】
また、前記貸出用記録媒体処理装置は貨幣を受け付け、その受け付けた金額を読み取るとともに、その読み取った有価価値に値する貸出用記録媒体を発行し、前記貸出用記録媒体の有価価値情報から特定される有価価値分、遊技者に遊技媒体を貸し出す処理も行なう。
【0006】
このようなシステムの実現のためには、前記貸出用記録媒体処理装置が貨幣を受け付ける際に、装置内部の貯留部に予め発行用の貸出用記録媒体が貯留されている必要がある。
【0007】
しかし、遊技客の利用状態や遊技ホールの店員の貯留し忘れなどにより、貯留部に貸出用記録媒体が貯留されていない状態となると、貸出用記録媒体を発行することができないため、貨幣を受け付けることができなくなる。
【0008】
一方、貸出用記録媒体処理装置は、遊技機と遊技機の間に設置されるという性質上装置の大きさが限定されるので、装置内部の貯留部に貸出用記録媒体を貯留できる貯留数には限界がある。
【0009】
よって、装置内部の貯留部に貸出用記録媒体が貯留されていない場合が発生し、このような場合には貸出用記録媒体を発行することができず、遊技できる台が限定されてしまう問題が発生する。
【0010】
【特許文献1】特開2002−210207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の問題に鑑み、貸出用記録媒体処理装置内部の貯留部に貸出用記録媒体が貯留されていない場合でも、貨幣を受け付けてその有価価値に値する遊技媒体を貸し出すことができ、また、ホール経営者が貸出用記録媒体を使用したシステムの利用を継続できる貸出用記録媒体処理装置及び遊技媒体貸出管理システムを提供し、遊技者とホール経営者の満足度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、投入された貨幣を処理する貨幣処理部と、該貨幣に対応する有価価値を付与した貸出用記録媒体を発行する貸出用記録媒体処理部と、該貸出用記録媒体処理部で処理する貸出用記録媒体の有価価値に基づいて遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出部と、前記貸出用記録媒体に付与された識別情報および貸出用記録媒体の発行に関する発行情報を管理装置へ送信する発行情報送信部とを備えた貸出用記録媒体処理装置であって、前記識別情報に代わる固有の代用識別情報を作成し、該代用識別情報を代用情報として付与する代用情報付与部をさらに備え、前記貨幣処理部に貨幣が投入されて前記貸出用記録媒体処理部で貸出用記録媒体を発行する場合は、該貸出用記録媒体に付与されている識別情報を前記発行情報に含めて前記発行情報送信部で管理装置へ送信し、発行した貸出用記録媒体の有価価値に基づく前記遊技媒体の貸出を許容する構成とし、前記貨幣処理部に貨幣が投入されたが前記貸出用記録媒体処理部に発行可能な貸出用記録媒体がなかった場合は、前記代用情報付与部が付与した前記代用情報を前記発行情報送信部から管理装置へ送信し、投入された貨幣に基づく遊技媒体の貸出を許容する構成とした貸出用記録媒体処理装置であることを特徴とする。
【0013】
前記遊技媒体は、円盤形状の媒体や球形状の媒体等、遊技に使用する媒体で構成することができる。
前記貸出用記録媒体は、無線通信手段と記憶手段とを備えた円盤形状や長方形で板状の非接触IC媒体、記憶手段と接触端子とを備えた接触IC媒体、又は磁気記憶手段を備えた磁気媒体等、有価価値(価値情報)を記憶可能な媒体で構成することができる。
【0014】
前記有価価値は、発行金額、発行度数、又は遊技媒体数等、価値に関する情報で構成することができる。
前記発行情報は、発行した貸出用記録媒体のシリアルナンバー等の識別情報、貸出可能な遊技媒体の数量を示す貸出可能度数、発行日時、発行を行った貸出用記録媒体処理装置の台番号又はシリアルナンバー、又は、これらの複数で構成することができる。
【0015】
前記代用情報は、別途作成して付与する固有の番号である代用識別情報で構成することができる。
前記代用識別情報は、ランダムな文字列、適宜定めた規則によって順番に割り与える番号、日付や貸出用記録媒体処理装置に関連して作成するID、又は、これらに暗号化やチェックサムの付与等の適宜の処理を施した情報等、固有の情報で構成することができる。
【0016】
前記構成により、貸出用記録媒体処理装置で発行用の貸出用記録媒体が切れていた場合でも、利用者は貨幣の投入によって遊技媒体を借りることができ、遊技者に貸出用記録媒体の貯留を待たせる必要がなく、遊技者にとっての利便性が向上する。
【0017】
このとき、識別情報の代わりとなる代用情報を定めてこれを管理装置へ送信するため、データセンタにて遊技媒体の貸し出しを適切に管理することが可能となる。
【0018】
また、遊技ホールの店員にとっては、遊技者に貸出用記録媒体切れで呼び出されて慌てて貯留する必要がなくなり、トラブルを回避できると共に、待ち時間の削減による遊技機の回転率の向上を図ることができる。
【0019】
さらに、固有の代用識別情報を作成するので、貸出用記録媒体を使用せずに遊技媒体の貸し出しを行った場合でも、遊技者が遊技ホールで投入・使用した金額を明確に把握できる。またこれと共に、貸出用記録媒体を使用した場合と同様のセキュリティレベルを保ち、遊技ホールの店員による不正を防止することができる。
また、遊技媒体の貸し出しに関する情報を確実にデータセンタへ送信でき、遊技ホールの経営をクリアにすることができる。
またこの代用識別情報は、前記貨幣が前記貨幣処理部に投入される毎に変更して作成する自動生成番号とすることができる。
【0020】
またこの発明の態様として、投入された貨幣の有価価値に基づいて前記代用情報を送信して遊技媒体を貸し出した場合に、貸し出した遊技媒体の有価価値を減算して残りの有価価値があれば残有価価値を記憶部に記憶する構成とし、該残有価価値の返却が返却操作部にて指示された場合に、前記貸出用記録媒体処理装置の内部に貸出用記録媒体が貯留されていると検知部で検知できれば、前記残有価価値を前記貸出用記録媒体処理部で貸出用記録媒体に書き込み、該貸出用記録媒体を返却する構成とすることができる。
【0021】
前記記憶部は、貸出用記録媒体処理装置に備えたメモリやハードディスクといった記憶部、あるいは、貸出用記録媒体処理装置と通信可能な管理装置等に備えているメモリやハードディスクといった記憶部等、適宜の記憶部で構成することができる。
【0022】
前記構成により、一旦貨幣を受け付けて直接遊技媒体を貸し出しておき、これによる遊技中に遊技ホールの店員が貸出用記録媒体を貯留することが可能となる。
遊技者は、貨幣にて遊技媒体を借りて遊技し、残有価価値の返却を受ける際に、貸出用記録媒体で受け取ることができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記貸出用記録媒体処理部で残有価価値に対応する有価価値を貸出用記録媒体に書き込んだ場合に、該貸出用記録媒体に付与されている識別情報と前記代用情報とを含めた前記発行情報を前記発行情報送信部で管理装置へ送信する構成とすることができる。
【0024】
これにより、発行情報を受信した管理装置あるいはデータセンタにて、投入された貨幣と、貸出用記録媒体を使用せずに貸し出した遊技媒体の量と、残有価価値を記録して発行(返却)した貸出用記録媒体との整合をとることができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記代用情報を送信して遊技媒体を貸し出した場合に、貸出用記録媒体の貯留が必要であることを報知部で報知する構成とすることができる。
【0026】
前記報知部は、貸出用記録媒体処理装置に備えたランプや液晶等の表示装置、スピーカ等の音声装置、又は管理装置等の他の装置へ報知信号を送信する通信部等、報知を行う適宜の手段で構成することができる。
【0027】
前記構成により、遊技ホールの係員は貸出用記録媒体の貯留が必要であることを、遊技者を介さずに知ることができ、スムーズに貸出用記録媒体の貯留を行うことができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記貸出用記録媒体処理部に発行可能な貸出用記録媒体がない場合は、前記貨幣処理部へ投入許容する金額を制限する構成とし、
投入許容する金額を表示する表示手段を備えることができる。
【0029】
貨幣処理部へ投入許容する金額の制限は、500円又は1000円といったように投入許容する金種を制限することができる。
【0030】
前記構成により、貸出用記録媒体を使用しないで貨幣から多量に遊技媒体を貸し出すことを防止できる。
遊技媒体の貸出単位(例えば500円等)と貨幣処理部へ投入許容する金額とを一致させるように制限した場合には、貨幣から直接遊技媒体を貸し出した後に、残有価価値の返却を行う必要がなく、貸出用記録媒体が切れて残有価価値の返却ができないといった事態を防止できる。
【0031】
またこの発明は、投入された貨幣を処理する貨幣処理部と、該貨幣に対応する有価価値の貸出用記録媒体を発行する貸出用記録媒体処理部と、上記貸出用記録媒体処理部で処理する貸出用記録媒体の有価価値に基づいて遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出部と、前記貸出用記録媒体に付与された識別情報および貸出用記録媒体の発行に関する発行情報を送信する発行情報送信部とを備えた貸出用記録媒体処理装置と、前記発行情報を受信して前記遊技媒体の貸し出しを管理する管理装置とで構成した遊技媒体貸出管理システムであって、前記識別情報に代わる固有の代用識別情報を作成し、該代用識別情報を代用情報として付与する代用情報付与部をさらに備え、前記貨幣処理部に貨幣が投入されて前記貸出用記録媒体処理部で貸出用記録媒体を発行する場合は、該貸出用記録媒体に付与されている識別情報を前記発行情報に含めて前記発行情報送信部で管理装置へ送信し、発行した貸出用記録媒体の有価価値に基づく前記遊技媒体の貸出を許容する構成とし、前記貨幣処理部に貨幣が投入されたが前記貸出用記録媒体処理部に発行可能な貸出用記録媒体がなかった場合は、前記代用情報付与部が付与した前記代用情報を前記発行情報送信部から管理装置へ送信し、投入された貨幣に基づく遊技媒体の貸出を許容する構成とした遊技媒体貸出管理システムとすることができる。
【0032】
これにより、発行情報を管理装置で管理することができ、該管理装置と接続しているデータセンタにて、遊技媒体の貸し出しを適切に管理することが可能となる。
【0033】
またこの発明の態様として、前記管理装置は、前記貸出用記録媒体の識別情報と有価価値とを関連付けて記憶し、前記代用情報を受信した場合にホストコンピュータへ該代用情報を送信する構成とすることができる。
【0034】
これにより、ホストコンピュータを設置しているデータセンタでは、貸出用記録媒体の管理だけでなく、貨幣から直接貸し出した遊技媒体の管理も確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0035】
この発明により、貸出用記録媒体処理装置内部の貯留部に貸出用記録媒体が貯留されていない場合でも、貨幣を受け付けてその有価価値に値する遊技媒体を貸し出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0037】
まず、図1に示すシステム構成図と共に、パチンコホールなどの遊技娯楽施設(以下、遊技ホール)に構築される遊技媒体貸出管理システム1のシステム構成について説明する。
【0038】
遊技媒体貸出管理システム1には、精算機6、データ管理装置7、販売機5、貸出用記録媒体処理装置11、遊技機12(パチンコ機12a、パチスロ機12b)を、通信を中継するハブ(図示省略)を介して通信可能に接続して備えている。またデータ管理装置7には、遠隔地のホストコンピュータ8を通信可能に接続している。
【0039】
精算機6は、内蔵している記憶部に貸出用記録媒体精算プログラムを格納しており、遊技に使用されず残った貸出用記録媒体20や、一部遊技に利用して減額されて返却した貸出用記録媒体20が遊技者によって投入され、該投入された貸出用記録媒体20を精算する。
【0040】
データ管理装置7は、内蔵している記憶部に貸出用記録媒体管理プログラム及びマスターデータベースを格納しており、マスターデータベースによって貸出用記録媒体20の発行状況と使用状況を記憶し、一括管理している。
【0041】
ホストコンピュータ8は、遠隔地の第三者管理センターに備えており、例えばデータ管理装置7から貸出用記録媒体20の発行処理情報などを収集するといった処理を実行する。
【0042】
販売機5は、内蔵している記憶部に貸出用記録媒体処理プログラムを格納しており、貨幣投入による貸出用記録媒体20の発行を実行する。
【0043】
貸出用記録媒体処理装置11は、貸出用記録媒体20を処理する装置であり、内蔵している記憶部に貸出用記録媒体処理プログラムを格納しており、貨幣投入による貸出用記録媒体20の発行、貸出用記録媒体20投入による遊技媒体の払い出し、貸出用記録媒体20切れの場合の貨幣投入による遊技媒体の払い出しを実行する。
【0044】
遊技機12は、パチンコ機又はパチスロ機等の遊技用の装置であり、投入された遊技媒体に基づいてパチンコゲーム又はパチスロゲームといった遊技を許容し、遊技に応じて遊技媒体を払い出す。
【0045】
以上の構成により、データ管理装置7にて貸出用記録媒体20の発行状況と使用状況を記憶し管理することができ、貸出用記録媒体20の発行処理情報などをホストコンピュータ8へ送信することができる。
【0046】
次に、図2に示す正面図、及び図3に示す部分拡大正面図と共に、前記貸出用記録媒体処理装置11の外観構成について説明する。ここでは、貸出用記録媒体20として貸出用記録媒体20を使用する場合について説明する。
【0047】
貸出用記録媒体処理装置11は、正面上方に利用者の操作等を許容する操作盤11aを備え、正面下方に遊技媒体を払い出す遊技媒体払出口11bを備えている。
【0048】
操作盤11aには、図3に示すように、左半分上から順に状態表示ランプ11c、貸出用記録媒体投入口11d、紙幣投入口11e、貸出用記録媒体返却口11f、及びガイド11gを備えている。
【0049】
また、右半分には、上から順に遊技媒体を貸出可能な貸出可能度数表示器11i、返却ボタン11j、貸出ボタン11k、及び、投入可能金額表示部11mを備えている。
【0050】
状態表示ランプ11cは、貸出用記録媒体処理装置11の状態を報知するランプである。
貸出用記録媒体投入口11dは、貸出用記録媒体20の投入を受け付ける投入口であり、内部に備えた内部処理機構(図4と共に後述)に繋がっている。
【0051】
紙幣投入口11eは、紙幣の投入を受け付ける投入口であり、内部に備えた貨幣処理部(図示省略)に繋がっている。
貸出用記録媒体返却口11fは、貸出用記録媒体20の返却を行う返却口であり、内部に備えた内部処理機構(図4と共に後述)に繋がっている。
【0052】
ガイド11gは、貸出用記録媒体20が落ちないように保持するガイドである。
貸出可能度数表示器11iは、貸出可能度数を表示するデジタル表示器である。
返却ボタン11jは、遊技者による返却指示を受け付けるボタンスイッチである。
【0053】
貸出ボタン11kは、遊技者による遊技媒体の貸出指示を受け付けるボタンスイッチである。
投入可能金額表示部11mは、投入可能な金額を表示するデジタル表示器である。
【0054】
以上の構成により、投入可能金額表示部11mで表示している金額内の紙幣が紙幣投入口11eから投入されると、該紙幣の金額に対応する有価価値を記録した貸出用記録媒体20を内部で発行することができる。
【0055】
この発行が行われるか、貸出用記録媒体投入口11dに貸出用記録媒体20が投入されると、貸出可能度数表示器11iに遊技媒体を貸し出し可能な度数を表示することができる。
【0056】
貸出ボタン11kが押下されると、上記度数の範囲内で貸し出し単位に相当する遊技媒体を、遊技媒体払出口11bから払い出す、あるいは遊技機12へ払出し命令をして遊技機12より払い出すことができる。
【0057】
返却ボタン11jが押下された場合には、残度数を書き込んだ貸出用記録媒体20を、貸出用記録媒体返却口11fから返却することができる。
また、状態表示ランプ11cにより、貸出用記録媒体20切れ等、貸出用記録媒体処理装置11の状態を報知することができる。
【0058】
次に、図4に示す左側面断面図(図3のAA断面から見た図)と共に、前記貸出用記録媒体処理装置11の上部に備えたケーシング110の内部処理機構について説明する。なお、ケーシング110の正面(図示右側)は、図3に示した操作盤11aである。
【0059】
ケーシング110の下方位置には、回転軸116bを中心に正逆回転するロータ116を備えている。該ロータ116は、ケーシング110内に回転軸116bにて軸支されており、適宜のギアを介して連結した駆動手段(モータ等)により正逆回転される。
【0060】
ロータ116は、円板の外周面上の1箇所の位置にU字型に凹部を備えた形状に形成しており、この凹部が貸出用記録媒体20を保持するホルダ116aとして機能する。
【0061】
ロータ116の外周の外側には、ロータ116がホルダ116aにて貸出用記録媒体20を保持した状態で回転できるように、円弧状の回転空間114を備えている。
【0062】
ロータ116の図示右上方向には、回転空間114から貸出用記録媒体投入口11dに連通する投入通路117を備えている。これにより、貸出用記録媒体投入口11dから投入された貸出用記録媒体20を、ロータ116へ誘導し、ロータ116のホルダ116aで保持することができる。
【0063】
ロータ116の図示左上方向には、回転空間114からケーシング110の上面に備えた開口部111に連通する貯留通路113を備えている。これにより、発行可能な貸出用記録媒体20を貯留通路113に貯留しておき、必要に応じて、ロータ116を回転させて貯留通路113の最下位の貸出用記録媒体20をホルダ116aで保持し、発行することができる。
【0064】
また、貸出用記録媒体投入口11dから投入された貸出用記録媒体20が使い切られた場合には、ロータ116を回転させてホルダ116aで保持する貸出用記録媒体20を貯留通路113へ移動させることができる。
【0065】
このとき、既に貯留通路113に貯留されている貸出用記録媒体20があれば、この貯留されている貸出用記録媒体20を押し上げる。貸出用記録媒体20が溢れる場合には、開口部111から上方へ押し上げられた貸出用記録媒体20が、ケーシング110の外部へ放り出されることとなる。
【0066】
また、貯留通路113に貸出用記録媒体20を貯留する場合には、遊技ホールの店員が特定のボタンを操作して貸出用記録媒体投入口11dから貸出用記録媒体20を投入することができる。
【0067】
貯留通路113と回転空間114の連通部近傍には、貯留有無検知手段として機能するセンサ115を備えている。これにより、貯留状態の貸出用記録媒体20が1枚以上存在しているか否か検知できる。
【0068】
ロータ116の図示右下方向には、回転空間114から貸出用記録媒体返却口11fに連通する返却通路119を備えている。これにより、貸出用記録媒体20に残有価価値がある状態で返却ボタン11j(図3)が押下された場合に、ロータ116を回転させてホルダ116aで保持する貸出用記録媒体20を返却通路119に移動させ、該返却通路119から貸出用記録媒体返却口11fへ返却することができる。
【0069】
なお、貯留通路113、回転空間114、投入通路117、及び返却通路119は、いずれも貸出用記録媒体20の厚みより少し大きい程度の厚みに形成しており、貸出用記録媒体20が厚み方向に複数重なることがないようにしている。
【0070】
以上の構成により、貸出用記録媒体処理装置11は、貸出用記録媒体20の投入の受け付け、貸出用記録媒体20の貯留、貯留されている貸出用記録媒体20の発行、及び貸出用記録媒体20の返却を行うことができる。
【0071】
また、貸出用記録媒体20として円盤形状のものではなく、長方形の板状のものを使用する場合は、適宜の構成により、貸出用記録媒体20の投入の受け付け、貸出用記録媒体20の貯留、貯留されている貸出用記録媒体20の発行、及び貸出用記録媒体20の返却を行う構成とすれば良い。
【0072】
次に、図5に示すブロック図と共に、貸出用記録媒体20の内部に備えているICモジュールの構成について説明する。
貸出用記録媒体20のICモジュールは、CPU21、ROM22、RAM23、EEPROM24、変復調器25、電源回路26、及びアンテナ27で構成している。
【0073】
CPU21は、ROM22に格納されたプログラムによって各回路装置を駆動制御する。
ROM22は、不揮発性でデータの書込みが不可能であり、駆動制御に必要なプログラムを記録する。
【0074】
RAM23は、揮発性でデータの消去、再書込みが可能であり、動作に必要なデータを記録する。
EEPROM24は、不揮発性でデータの消去、再書込みが可能であり、後述する貸出用記録媒体データを格納している。
【0075】
変復調器25は、前記アンテナ27と共に通信手段を構成し、販売機5、精算機6、貸出用記録媒体処理装置11に備えたそれぞれの貸出用記録媒体処理装置11の内部処理機構と非接触状態でデータの送受信を実行する。
電源回路26は、アンテナ27に信号を受信した時の起電力により電力を発生し、各回路に供給する。
【0076】
以上の構成により、貸出用記録媒体20に対してデータの記録と読出しができる。データの読書きは非接触で可能であるため、例えば磁気カードのように磁気ヘッドまで搬送するといった必要がなく、搬送時間を削減して高速処理を行うことができ、素早い読み込み、書き出しが可能となる。
【0077】
次に、図6に示すデータ説明図と共に、各貸出用記録媒体20に格納する貸出用記録媒体データについて説明する。なお、ここでは貸出用記録媒体20のEEPROM24に格納する貸出用記録媒体データの例で説明する。
【0078】
貸出用記録媒体データは、シリアルNo.、ホールNo.、遊技媒体貸出し可能度数、発行日付、島No.、貸出用記録媒体処理装置No.、及びSUMの項目で構成する。
【0079】
シリアルNo.は、貸出用記録媒体20に固有の情報として付与したユニークな番号を格納する。
ホールNo.は、遊技ホール毎に付けた番号を格納する。
【0080】
遊技媒体貸出し可能度数は、遊技媒体の貸出し可能な度数である。
発行日付は、貸出用記録媒体20を発行した当日の日付データを格納する。
【0081】
島No.は、貸出用記録媒体20を発行した貸出用記録媒体処理装置11の所属する中継機(図示省略)の番号を格納する。なお、販売機5で発行された貸出用記録媒体20の場合は、販売機5の所属する中継機(図示省略)の番号を格納する。
【0082】
貸出用記録媒体処理装置No.は、貸出用記録媒体20を発行した貸出用記録媒体処理装置11の番号を格納する。
SUMは、データの正誤をチェックするデータチェックサムで構成する。
【0083】
以上の構成により、貸出用記録媒体20の管理に必要なデータを、貸出用記録媒体20内に格納しておくことができる。
【0084】
次に、図7〜図10に示す処理フロー図と共に、貸出用記録媒体処理装置11が貸出用記録媒体管理プログラムに基づいて実行する動作について説明する。
【0085】
この動作では、従来の貸出用記録媒体20を使用したシステムであれば、貸出用記録媒体処理装置11内部の貯留部(例えば貯留通路113)に予め発行用の貸出用記録媒体20が貯留されている必要があったところ、貨幣を受け付ける際に遊技者の利用状態や遊技ホールの店員の貯留し忘れなどにより貯留部に貸出用記録媒体20が貯留されていない場合でも、貸出用記録媒体20を仮発行できるようにしている。
【0086】
貸出用記録媒体処理装置11は、遊技者によって貸出用記録媒体処理装置11に投入された貨幣(例えば紙幣)を検知するまで待機する(ステップn1)。
貨幣を検知すると、貯留部に貸出用記録媒体20が貯留されているかを確認する(ステップn2)。
【0087】
貯留部に貸出用記録媒体20が貯留されている場合は(ステップn2:Yes)、貸出用記録媒体20に遊技媒体貸出し可能度数等(図6)の発行処理情報を書き込んで発行し(ステップn3)、貸出可能度数表示器11iで遊技媒体貸出し可能度数を表示する(ステップn4)。
【0088】
このとき、図11の(G)のデータ説明図に示すように、貸出用記録媒体20を発行したことを示す発行処理情報を、貸出用記録媒体処理装置11の通信部がデータ管理装置7に送信する(ステップn5)。
【0089】
この発行処理情報は、データ項目としてシリアルNo.、仮発行処理用番号、処理コード、残遊技媒体貸し出し可能度数(金額)、処理日付、貸出用記録媒体処理装置No..、及びSUMを備えている。
【0090】
発行処理情報は、前述した貸出用記録媒体データ(図6)と同様のデータ項目を一部に含んでおり、異なるデータ項目は次のとおりである。
【0091】
仮発行処理用番号は、貸出用記録媒体20を発行せずに貨幣を受け付けて遊技媒体を払い出す場合に使用する項目であり、貯留部に貸出用記録媒体20が存在する場合には使用しない。
【0092】
処理コードは、発行、貸出、又は返却といった処理のコードを格納する。
処理日付は、発行、貸出、又は返却といった処理を実行した日付を格納する。
【0093】
ステップn5の段階では、データ処理としては貸出用記録媒体20を発行しているが、物理的には、貸出用記録媒体20の例で図4に図示したように、貸出用記録媒体20を保持した状態で待機しており、貸出用記録媒体20の払い出しを行わない。
これにより、発行した貸出用記録媒体20を遊技者がすぐに貸出用記録媒体投入口11dへ投入したのと同様の状態にしている。
【0094】
データ管理装置7では、図10の(A)の処理フロー図に示すように、貸出用記録媒体処理装置11から貸出用記録媒体20を発行したことを受信すると(ステップp1:Yes)、貸出用記録媒体処理装置11からの発行処理情報をデータベースに反映する(ステップp2)。
【0095】
前記ステップn5の次は、図8の処理フロー図に示すように、遊技者によって貸出用記録媒体処理装置11の貸出ボタン11kが押下されるか(ステップn6)、返却ボタン11jが押下されるまで(ステップn13)待機する。
【0096】
遊技者によって貸出用記録媒体処理装置11の貸出ボタン11kが押下された場合は(ステップn6:Yes)、貸出用記録媒体20に残遊技媒体貸出し可能度数等を書き込む(ステップn7)。
【0097】
貸出用記録媒体処理装置11は、予め決められた貸し出し単位に対応する数の遊技媒体を払い出し(ステップn8)、貸出可能度数表示器11iに残遊技媒体貸出し可能度数を表示する(ステップn9)。
【0098】
貸出用記録媒体処理装置11は、遊技媒体を払い出したことを示す遊技媒体払出情報をデータ管理装置7に送信する(ステップn10)。このとき送信する遊技媒体払出情報は、図11の(G)に示した発行処理情報と同一である。
【0099】
データ管理装置7では、図10の(B)の処理フロー図に示すように、貸出用記録媒体処理装置11から遊技媒体を払い出したことを受信すると(ステップq1:Yes)、貸出用記録媒体処理装置11からの遊技媒体払出情報をデータベースに反映(更新)する(ステップq2)。
【0100】
図8のステップn10の次に、貸出用記録媒体処理装置11は、残遊技媒体貸出し可能度数があるかどうかを確認し(ステップn11)、残遊技媒体貸出し可能度数(価値)があれば(ステップn11:Yes)、ステップn6にリターンする。
【0101】
貸出用記録媒体20に残遊技媒体貸出し可能度数(価値)がなければ(ステップn11:No)貸出用記録媒体20を貯留部に回収し(ステップn12)、処理を終了する。
【0102】
前記ステップn6で、遊技者の操作によって貸出ボタン11kが押下されずに(ステップn6:No)、返却ボタンが押された場合(ステップn13:Yes)は、貸出用記録媒体処理装置11は貸出用記録媒体20を遊技者に返却する(ステップn14)。
【0103】
貸出用記録媒体処理装置11は、図11の(H)のデータ説明図に示すように、データ管理装置7に貸出用記録媒体20を遊技者に返却したことを示す返却情報を送信し(ステップn15)、処理を終了する。
【0104】
データ管理装置7では、図10の(C)の処理フロー図に示すように、貸出用記録媒体処理装置11から貸出用記録媒体20を返却したことを受信すると(ステップr1:Yes)、貸出用記録媒体処理装置11からの返却情報をデータベースに反映(更新)する(ステップr2)。
【0105】
図7にて説明したステップn2で、貯留部に貸出用記録媒体20がなかった場合には(ステップn2:No)、貸出用記録媒体処理装置11の記憶部に遊技媒体貸出し可能度数等の仮発行処理情報を記憶し(ステップn16)、貸出可能度数表示器11iで遊技媒体貸出し可能度数を表示する(ステップn17)。
【0106】
このとき、図12の(I)のデータ説明図に示すように、貸出用記録媒体20を発行せずに貨幣を受け付けたことを示す仮発行処理情報をデータ管理装置7に送信する(ステップn18)。この仮発行処理は、貸出用記録媒体20を仮想的に発行する処理とも捉えることができる。
【0107】
仮発行処理情報は、前述した発行処理情報(図11の(G))と同一のデータ項目で構成する。データ内容は、発行処理情報とは一部異なり、シリアルNo.には何も格納せず、仮発行処理用番号にはユニークな番号を格納する。
【0108】
このユニークな番号は、貸出用記録媒体処理装置11の制御部が、貸出用記録媒体処理装置11の装置番号や貸出用記録媒体処理装置11のシリアルナンバーに対応して、貨幣が投入される毎に変更して作成する自動生成番号であり、重複しないユニークな番号としている。
【0109】
なお、セキュリティを保つことができれば、これ以外の番号を仮発行処理用番号に使用するように構成しても良い。このような仮発行処理用番号は、データの正当性を高く証明することができるものであることが望ましい。
データ管理装置7では、前述した図10の(A)の処理を実行する。
【0110】
前記ステップn18の次は、図9の処理フロー図に示すように、遊技者によって貸出用記録媒体処理装置11の貸出ボタン11kが押下されるか(ステップn19)、返却ボタン11jが押下されるまで(ステップn25)待機する。
【0111】
遊技者によって貸出用記録媒体処理装置11の貸出ボタン11kが押下された場合は(ステップn19:Yes)、貸出用記録媒体処理装置11の記憶部に残遊技媒体貸出し可能度数等を記憶する(ステップn20)。
【0112】
貸出用記録媒体処理装置11は、予め決められた貸し出し単位に対応する数の遊技媒体を払い出し(ステップn21)、貸出可能度数表示器11iに残遊技媒体貸出し可能度数を表示する(ステップn22)。
【0113】
貸出用記録媒体処理装置11は、遊技媒体を払い出したことを示す遊技媒体払出情報をデータ管理装置7に送信する(ステップn23)。このとき送信する遊技媒体払出情報は、図12の(I)に示した仮発行処理情報と同一である。
データ管理装置7では、前述した図10の(B)の動作を実行する。
【0114】
貸出用記録媒体処理装置11は、残遊技媒体貸出し可能度数があるかどうかを確認し(ステップn24)、残遊技媒体貸出し可能度数(価値)があれば(ステップn24:Yes)、ステップn19にリターンする。
【0115】
貸出用記録媒体20に残遊技媒体貸出し可能度数(価値)がなければ(ステップn24:No)、処理を終了する。
前記ステップn19で、遊技者の操作によって貸出ボタン11kが押下されずに(ステップn19:No)、返却ボタンが押された場合(ステップn15:Yes)は、貸出用記録媒体20が貯留されていないので、貸出用記録媒体処理装置11は貸出用記録媒体20の貯留を催促する貯留催促信号をデータ管理装置7に送信する(ステップn26)。
【0116】
なお、貸出用記録媒体20が貯留部(例えば図4の貯留通路113)に存在するか否かセンサ等(例えば図4のセンサ115)で検知し、検知されなければステップn26を実行する構成としても良い。
このような構成とした場合は、ステップn2:No〜n26の間で店員によって貸出用記録媒体20が貯留された場合に、不要な催促を行わなくて済む。
【0117】
データ管理装置7では、図10の(D)の処理フロー図に示すように、貯留催促信号を受信すると(ステップs1:Yes)、図13の(L)の画面イメージ図に示すように、貸出用記録媒体処理装置11の装置番号と貸出用記録媒体20の貯留を遊技ホールの店員に促す文言を監視画面(CRT等の表示部)に表示する(ステップs2)。
【0118】
この監視画面では、障害等の発生時刻、障害等の発生した貸出用記録媒体処理装置11の台番号、障害内容、復旧状況を一覧表形式に表示しており、この一覧表の上に重ねて、貸出用記録媒体20の貯留を至急行わせる文面を表示する。
【0119】
貸出用記録媒体処理装置11は、予め設定したある一定時間ごとに、貯留部に貸出用記録媒体20が貯留されていないかセンサ115(図4)で検知し(ステップn27)、貯留されていなければ(ステップn27:No)、前記ステップn26を繰返し実行して、貯留されていないことをデータ管理装置7に送信する。
【0120】
前記ステップn27で、遊技ホールの店員によって貯留部に貸出用記録媒体20が貯留されたことを検知した場合は(ステップn27:Yes)、貸出用記録媒体処理装置11はデータ管理装置7に貯留されたことを示す貯留済情報を送信する(ステップn28)。
【0121】
データ管理装置7では、図10の(E)の処理フロー図に示すように、貸出用記録媒体処理装置11から貯留部に貸出用記録媒体20が貯留されたことを受信すると(ステップu1:Yes)、図13の(M)の画面イメージ図に示すように、貸出用記録媒体20が貯留されたことを遊技ホールの店員に知らせる文言を、障害画面の復旧状況部分に表示する(ステップu2)。
【0122】
前記ステップn28の次に、貸出用記録媒体処理装置11は、仮発行処理での残貸出し度数を、貯留された貸出用記録媒体20に書き込み発行処理を行う(ステップn29)。
【0123】
貸出用記録媒体処理装置11は、このように発行した貸出用記録媒体20を遊技者に返却し(ステップn30)、仮発行処理を行ってから貸出用記録媒体20を返却したことを示す仮発行処理時返却情報をデータ管理装置7に送信し(ステップn31)、処理を終了する。
【0124】
この仮発行処理時返却情報は、図12の(J)のデータ説明図に示すように、仮発行処理用番号と、新たに貯留された貸出用記録媒体20のシリアルNo.との両方を格納したデータである。
データ管理装置7では、前述した図10の(C)の処理を実行する。
【0125】
以上の動作により、貸出用記録媒体処理装置11内部の貯留部に貸出用記録媒体20が貯留されていない場合でも、遊技者は遊技媒体を借りることができる。
このような場合でも、貯留されている場合と同様にデータ管理装置7へ情報を送信しているため、データ管理装置7は、遠隔地のホストコンピュータ8に仮発行処理した有価価値情報(いわば仮想的に発行した貸出用記録媒体20の有価価値情報)を送信でき、このように仮発行処理した有価価値情報も第三者のデータセンタによる管理ができる。
【0126】
実際の運用では、貸出用記録媒体処理装置11で貸出用記録媒体20を発行して返却するよりも、販売機5で貸出用記録媒体20を発行してこの貸出用記録媒体20が貸出用記録媒体処理装置11に投入されることの方が多いため、貯留切れを起こすことは少ない。
【0127】
しかし、貯留切れで貸出用記録媒体20が発行できず遊技できないと、その瞬間の遊技者に与える不満感は大きい。
【0128】
このような不満を、上述した遊技媒体貸出管理システム1により、貸出用記録媒体20が切れていても貨幣投入で遊技媒体を貸し出せるようにすることで解消することができ、遊技者が快適に遊技できる環境を提供できる。
【0129】
また、貸出用記録媒体20を発行せずに遊技媒体を貸し出す仮発行処理は一時的な処理であり、店員による貸出用記録媒体20の貯留で通常の処理に戻るため、データセンタでの管理に支障が生じない。
【0130】
さらに、一時的な処理である仮発行処理でも、仮発行処理用番号によって貸出用記録媒体20を使用した場合と同程度のセキュリティレベルで管理でき、データセンタで十分な管理ができ、店員による不正等を防止することができる。
【実施例2】
【0131】
次に、実施例2として、貯留部に貸出用記録媒体20がない場合は、受け付ける貨幣を制限するタイプについて説明する。
ここでは、受け付ける貨幣として1000円のみを設定した例で説明する。
【0132】
システム構成、貸出用記録媒体処理装置11の構成、貸出用記録媒体20の構成、及びデータ構成は、上述した実施例1と同様であるので、その詳細な説明を省略する。異なる部分については、次に説明する動作説明の中で適宜説明する。
【0133】
図14の処理フロー図に示すように、まず貸出用記録媒体処理装置11は、遊技者によって貸出用記録媒体処理装置11に投入された貨幣を検知する(ステップw1)。
【0134】
貨幣を検知した場合は(ステップw1:Yes)、予め定めた規定の金種としている1000円であるかを確認し(ステップw2)、1000円でなければ(ステップw2:No)、その貨幣を返却して処理を終了する。
【0135】
1000円であれば(ステップw2:Yes)、貸出用記録媒体20に遊技媒体貸出し可能度数を書き込む処理ではない代替の処理を行ない、外見からはあたかも貸出用記録媒体20を発行したかのように、貸出用記録媒体20を仮想的に発行する仮発行処理を実行する。
【0136】
すなわち、貸出用記録媒体処理装置11は、貸出可能度数表示器11iに遊技媒体貸出し可能度数を表示し(ステップw3)、貯留部に貸出用記録媒体20が貯留されている場合に行なう処理(前述した図7のステップn3)を行わずに、貸出用記録媒体20を仮発行で処理したことを示す仮発行処理情報(図12の(I))をデータ管理装置7に送信する(ステップw4)。
【0137】
この時、実施例1とは異なり、貯留部に貯留されている場合に送信する貸出用記録媒体20のシリアルNo.の代わりに、仮発行処理用番号として固定値を送信する。
【0138】
この固定値は、貸出用記録媒体処理装置11の装置番号として貸出用記録媒体処理装置11毎の固定値とする、あるいは貸出用記録媒体処理装置11に関わらず1つの固定値とすることができる。
【0139】
データ管理装置7は、前述した図10の(A)の処理を実行する。
貸出用記録媒体処理装置11は、貸出用記録媒体処理装置11に貯留されている場合と同様に、予め決められた遊技媒体数を払い出す(ステップw5)。
【0140】
貸出用記録媒体処理装置11は、貯留部に貸出用記録媒体20が貯留されている場合に行なう処理(図8のステップn7)を行わず、貸出可能度数表示器11iに残遊技媒体貸出し可能度数を表示する(ステップw6)。
【0141】
貸出用記録媒体処理装置11は、遊技媒体を貸し出したことを示す仮発行処理時返却情報(図12の(J))をデータ管理装置7に送信し(ステップw7)、処理を終了する。
【0142】
この時、貯留部に貯留されている場合に送信する貸出用記録媒体20のシリアルNo.の代わりに、仮発行処理用番号として固定値を送信する。
データ管理装置7は、前述した図10の(B)の処理を実行する。
【0143】
以上の構成により、保留部に貸出用記録媒体20がなかった場合でも、遊技者は所定金額の貨幣を投入して遊技媒体を借り受けることができる。
貸出用記録媒体処理装置11では、1000円のみを受け付け、1000円分の遊技媒体を貸し出すため、シリアルNo.のようにセキュリティの高い仮発行処理用番号の管理を行わなくても、セキュリティを保つことができる。
【0144】
なお、この実施例2では、1000円のみ貨幣を受け付けるような処理を説明したが、データ管理装置7にて予め受け入れ可能な貨幣を指定するように構成しても良い。
【0145】
この場合は、図15の画面イメージ図に示すように、データ管理装置7あるいは貸出用記録媒体20にて、受け付け可能とする金種を、自由な1つ又は複数の金種に店員が設定できる構成とすれば良い。
【0146】
これにより、遊技ホールの要求に対応できる自由度の高い遊技媒体貸出管理システム1を提供することができ、遊技ホール経営者の満足度を向上させることができる。
【0147】
なお、上記各実施例では、貸出用記録媒体20で仮発行処理用番号を付与したが、貸出用記録媒体20がデータ管理端末に問い合わせて、データ管理端末7が仮発行処理用番号を付与する構成としても良い。
【0148】
これにより、1台のデータ管理端末7で仮発行処理用番号を管理することができ、複数存在する貸出用記録媒体20で個別に仮発行処理用番号を付与するよりも、ユニークなIDを容易に作成することができる。
【0149】
また、図13の(L)の画面イメージ図に示したような催促表示は、例えばステップn2(図7)でNoに進んだ場合に表示する等、適宜のタイミングで行う構成としても良い。これにより、早めに貸出用記録媒体20を貯留することが可能となり、返却時に遊技者を待たさないようにすることが可能となる。
【0150】
また、催促表示のような貯留切れの報知は、データ管理端末に限らず、貸出用記録媒体20でランプ点灯やアラーム音の発音等にて報知する構成としても良い。
これにより、遊技ホールを見回っている店員が、貯留切れに気付いて随時貯留することができる。
【0151】
また、貸出用記録媒体20を発行せずに貨幣(現金)で遊技媒体の貸し出しを可能とする仮発行処理について、該仮発行処理を許容する回数又は金額を制限しても良い。この制限は、例えば連続して何回又は何円、あるいは、予め定めた所定期間(例えば1日や3時間等)で何回又は何円等とすることができる。
【0152】
これにより、貸出用記録媒体20を発行しない貨幣からの遊技媒体の貸し出しを、貯留部の貸出用記録媒体20が切れた一時的な場合に限定することができ、貸出用記録媒体20切れの状態で延々と使用されることを防止できる。従って、遊技ホールの店員がわざと貸出用記録媒体20を貯留せずに、貨幣から直接遊技媒体の貸し出しを行う状態を継続するといったことを防止できる。
【0153】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の管理装置は、実施形態のデータ管理装置7に対応し、
以下同様に、
貨幣処理部は、貸出用記録媒体処理装置11の貨幣処理部に対応し、
発行情報送信部は、貸出用記録媒体処理装置11の通信部に対応し、
記憶部は、貸出用記録媒体処理装置11の記憶部に対応し、
代用情報付与部は、貸出用記録媒体処理装置11の制御部に対応し、
遊技媒体貸出部は、遊技媒体払出口11bに対応し、
表示手段は、投入可能金額表示部11mに対応し、
識別情報は、実施例1の貸出用記録媒体20のシリアルNo.に対応し、
検知部は、センサ115に対応し、
代用情報は、仮発行処理用番号に対応し、
代用識別情報は、自動生成番号に対応し、
報知部は、データ管理装置7の表示部に対応し、
発行情報は、発行処理情報及び仮発行処理情報に対応し、
残有価価値は、残遊技媒体貸出し可能度数に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】遊技媒体貸出管理システムのシステム構成図。
【図2】貸出用記録媒体処理装置の正面図。
【図3】貸出用記録媒体処理装置の部分拡大正面図。
【図4】貸出用記録媒体処理装置の上部に備えたケーシングの左側面断面図。
【図5】ICモジュールブロック図。
【図6】貸出用記録媒体データのデータ説明図。
【図7】貸出用記録媒体処理装置の動作を示す処理フロー図。
【図8】貸出用記録媒体処理装置の動作を示す処理フロー図。
【図9】貸出用記録媒体処理装置の動作を示す処理フロー図。
【図10】データ管理装置の動作を示す処理フロー図。
【図11】貸出用記録媒体を発行して処理する場合に送信するデータの説明図。
【図12】貸出用記録媒体を仮発行で処理する場合に送信するデータの説明図。
【図13】データ管理装置に表示する画面の説明図。
【図14】実施例2の貸出用記録媒体処理装置の動作を示す処理フロー図。
【図15】実施例2のデータ管理装置に表示する画面のイメージ図。
【符号の説明】
【0155】
1…遊技媒体貸出管理システム
7…データ管理装置
8…ホストコンピュータ
11…貸出用記録媒体処理装置
11b…遊技媒体払出口
20…貸出用記録媒体
115…センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された貨幣を処理する貨幣処理部と、
該貨幣に対応する有価価値を付与した貸出用記録媒体を発行する貸出用記録媒体処理部と、
該貸出用記録媒体処理部で処理する貸出用記録媒体の有価価値に基づいて遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出部と、
前記貸出用記録媒体に付与された識別情報および貸出用記録媒体の発行に関する発行情報を管理装置へ送信する発行情報送信部とを備えた貸出用記録媒体処理装置であって、
前記識別情報に代わる固有の代用識別情報を作成し、該代用識別情報を代用情報として付与する代用情報付与部をさらに備え、
前記貨幣処理部に貨幣が投入されて前記貸出用記録媒体処理部で貸出用記録媒体を発行する場合は、
該貸出用記録媒体に付与されている識別情報を前記発行情報に含めて前記発行情報送信部で管理装置へ送信し、発行した貸出用記録媒体の有価価値に基づく前記遊技媒体の貸出を許容する構成とし、
前記貨幣処理部に貨幣が投入されたが前記貸出用記録媒体処理部に発行可能な貸出用記録媒体がなかった場合は、
前記代用情報付与部が付与した前記代用情報を前記発行情報送信部から管理装置へ送信し、投入された貨幣に基づく遊技媒体の貸出を許容する構成としたことを特徴とする
貸出用記録媒体処理装置。
【請求項2】
前記代用識別情報は、前記貨幣が前記貨幣処理部に投入される毎に変更して作成する自動生成番号であることを特徴とする
請求項1記載の貸出用記録媒体処理装置。
【請求項3】
投入された貨幣の有価価値に基づいて前記代用情報を送信して遊技媒体を貸し出した場合に、貸し出した遊技媒体の有価価値を減算して残りの有価価値があれば残有価価値を記憶部に記憶する構成とし、
該残有価価値の返却が返却操作部にて指示された場合に、前記貸出用記録媒体処理装置の内部に貸出用記録媒体が貯留されていると検知部で検知できれば、前記残有価価値を前記貸出用記録媒体処理部で貸出用記録媒体に書き込み、該貸出用記録媒体を返却する構成とした
請求項1又は2記載の貸出用記録媒体処理装置。
【請求項4】
前記貸出用記録媒体処理部で残有価価値に対応する有価価値を貸出用記録媒体に書き込んだ場合に、該貸出用記録媒体に付与されている識別情報と前記代用情報とを含めた前記発行情報を前記発行情報送信部で管理装置へ送信する構成とした
請求項3記載の貸出用記録媒体処理装置。
【請求項5】
前記代用情報を送信して遊技媒体を貸し出した場合に、貸出用記録媒体の貯留が必要であることを報知部で報知する構成とした
請求項1から4のいずれか1つに記載の貸出用記録媒体処理装置。
【請求項6】
前記貸出用記録媒体処理部に発行可能な貸出用記録媒体がない場合は、前記貨幣処理部へ投入許容する金額を制限する構成とし、
投入許容する金額を表示する表示手段を備えた
請求項1から5のいずれか1つに記載の貸出用記録媒体処理装置。
【請求項7】
投入された貨幣を処理する貨幣処理部と、該貨幣に対応する有価価値の貸出用記録媒体を発行する貸出用記録媒体処理部と、該貸出用記録媒体処理部で処理する貸出用記録媒体の有価価値に基づいて遊技媒体を貸し出す遊技媒体貸出部と、前記貸出用記録媒体に付与された識別情報および貸出用記録媒体の発行に関する発行情報を送信する発行情報送信部とを備えた貸出用記録媒体処理装置と、
前記発行情報を受信して前記遊技媒体の貸し出しを管理する管理装置とで構成した遊技媒体貸出管理システムであって、
前記識別情報に代わる固有の代用識別情報を作成し、該代用識別情報を代用情報として付与する代用情報付与部をさらに備え、
前記貨幣処理部に貨幣が投入されて前記貸出用記録媒体処理部で貸出用記録媒体を発行する場合は、
該貸出用記録媒体に付与されている識別情報を前記発行情報に含めて前記発行情報送信部で管理装置へ送信し、発行した貸出用記録媒体の有価価値に基づく前記遊技媒体の貸出を許容する構成とし、
前記貨幣処理部に貨幣が投入されたが前記貸出用記録媒体処理部に発行可能な貸出用記録媒体がなかった場合は、
前記代用情報付与部が付与した前記代用情報を前記発行情報送信部から管理装置へ送信し、投入された貨幣に基づく遊技媒体の貸出を許容する構成としたことを特徴とする
遊技媒体貸出管理システム。
【請求項8】
前記管理装置は、
前記貸出用記録媒体の識別情報と有価価値とを関連付けて記憶し、
前記代用情報を受信した場合にホストコンピュータへ該代用情報を送信する構成とした
請求項7記載の遊技媒体貸出管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−45774(P2011−45774A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271819(P2010−271819)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【分割の表示】特願2004−358397(P2004−358397)の分割
【原出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】