説明

貼り付け方法、貼り付け用感圧性接着剤及びその感圧性接着剤の層を有する接着製品

【課題】
環境の悪化を招かず、できるだけ簡単な操作で効率よく積層体を製造できる感圧性接着剤を提供すること。また、着けたり剥したりする操作を繰り返し行うことが出来、位置決めなどが容易となる感圧性接着剤を提供すること。
【解決手段】
オレフィン性不飽和基含有重合性単量体を常法により重合させて得る重合体、二種類以上のオレフィン性不飽和基含有重合性単量体を含む単量体混合物を常法により共重合させて得る共重合体、および天然ゴムから選ばれる一種または二種以上と、粘着付与剤とから少なくとも構成される感圧性接着剤であって、しかも、その感圧性接着剤は初期タック値が実質的に無く、かつ加圧処理により粘着力が発現する感圧性接着剤を貼り付け用感圧性接着剤とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかないにもかかわらず、押圧すると接着性が発現する新規な接着剤(以下、感圧性接着剤という)の層を設けた物の貼り付け方法、上記感圧性接着剤層を有する積層体の製造方法に関する。また、本発明は貼り付け用感圧性接着剤、それを有する接着製品および積層体に関する。とくに、オレフィン性不飽和基含有重合性単量体を重合させて得る重合体、及び天然ゴムから選ばれる一種または二種以上の高分子化合物と粘着付与剤とから少なくとも構成される感圧性接着剤であって、しかも初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかなく、かつ加圧されると粘着力が発現する新規な貼り付け用感圧性接着剤、それを有する接着製品および積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
任意の素材からなる芯の表面に化粧材料を張り合わせた積層体から構成される化粧板や間仕切り板などを製造する技術は古くから行われており、いろいろ研究され、数多くの報告がなされてきた。また、ふすま紙、化粧紙、ラベル、ゼッケンなどの接着製品を製造する技術の研究報告も数多くなされている。
【0003】
上記積層体の場合、積層体を構成する素材同士を接着固定する接着剤の研究がなされ、たとえば、フェノール樹脂、尿素樹脂などからなる接着剤が研究され、使用されてきた。 しかし、これらの接着剤を使用すると環境の悪化を招くなどの問題点が指摘されている。
その点、酢酸ビニル系接着剤などのビニル系樹脂接着剤は環境の悪化を招くなどの問題点が回避されるが、作業性の点で問題が指摘されている。
【0004】
また上記、接着製品の場合、アクリル系の感圧性接着剤を用いる製品が多いが、それら製品の場合、接着剤表面がべとつくために、剥離紙で接着面を保護する必要があるうえ、一度剥離紙をはがして接着製品を所定部位に接着させようとする場合、繰り返し着けたり剥したりする操作が難しく、位置決めを丁寧にする必要がある場合などは、接着作業は困難であった。その点、ホットメルトタイプの接着剤を使用すると位置決めなどの作業性が改善されるが、今度はアイロンなどの加熱器具を用いて接着操作する必要があり、さらに高価となる。
加熱操作を回避するための技術として、光硬化させて感圧性接着剤層を形成させる技術が報告されているが(特許文献1)、その技術では、高価な光照射器具を用意する必要があるうえ、適用する範囲も限定されてしまう問題点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−251140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、特に高価な器具などを必要とすることのない簡単な接着操作で、物を異なる物の表面に貼り付ける方法を提供することにある。また、特に高価な器具などを必要とすることのない簡単な接着操作で、積層体を製造することにある。さらに、本発明の課題は、環境の悪化を招かず、できるだけ簡単な操作で効率よく積層体を製造できる感圧性接着剤を提供することにある。また、付けたり剥したりする操作を繰り返し行うことが出来、位置決めなどが容易となる感圧性接着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究する最中、高分子化合物と粘着付与剤とから少なくとも構成される樹脂混合物であって、今までは感圧性接着剤に利用することができないとされており、なんら注目されず研究対象からはずされていた、初期タックが実質的に無い樹脂混合物に着目し、その樹脂混合物から特定の樹脂混合物を選択し、布地表面に転写させ、ついでその布地を合板に接着・固定させようと試みた結果、布地を合板から剥がしたり、合板に布地を付けたりする操作を数回繰り返した後でも、布地を合板に押し付けると、意外にも、簡単に布地は合板に接着し、さらに時間の経過とともに接着強度が増加し、布地が合板に強固に接着できるという驚くべき知見を得、この知見に基づきさらに工夫を重ね、ついに本発明に到達した。
【0008】
すなわち、請求項1の発明は、任意の物の表面に、高分子化合物と粘着付与剤とから少なくとも構成される初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかなく、かつ加圧処理により粘着力が発現する感圧性接着剤層を設け、その設けた感圧接着剤層を他の物の表面に接触させ、押圧することを特徴とする感圧性接着剤層を表面に備える物の貼り付け方法である。ここで、押圧する方法は特に制限されないのであり、前記感圧性接着剤層を有する物が他の物に貼り付けられるのであれば、どのような方法でもよい。また、前記感圧性接着剤層を前記物の全表面に設けてもよいが、前記物の表面の一部分に設けてもよい。
請求項2の発明は、オレフィン性不飽和基含有重合性単量体を重合させて得る重合体、及び天然ゴムから選ばれる一種または二種以上の高分子化合物と粘着付与剤とから少なくとも構成される感圧性接着剤であって、しかも、その感圧性接着剤は初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかなく、かつ加圧処理により粘着力が発現することを特徴とする貼り付け用感圧性接着剤である。また、前記高分子化合物と粘着付与剤とから少なくとも構成される感圧性接着剤であって、しかも、その感圧性接着剤は室温におけるプローブタック 法による前記感圧性接着剤の初期タックが0.2N/mm以下であり、かつ加圧処理により粘着力が発現し、その粘着力が6N/25mm以上であることを特徴とする貼り付け用感圧性接着剤でもある。前記重合性単量体には、約二十個以下の単量体をあらかじめ重合させて得る重合性オリゴマーを含む。
請求項3の発明は、(メタ)アクリル系重合体と粘着付与剤とから少なくとも構成される貼り付け用感圧性接着剤であり、しかも(メタ)アクリル系重合体の室温におけるプローブタック 法による初期タックが0.2N/mm以下であり、粘着力が9N/25mm以上であることを特徴とする。なお、室温におけるプローブタック 法による初期タックが0.04N/mm以下であり、粘着力が9N/25mm以上である貼り付け用感圧性接着剤はより好ましい。なお、(メタ)アクリル系重合体に属する2種類以上の重合体の混合物を用いてもよい。請求項4の発明は、炭化水素系重合体と粘着付与剤とから少なくとも構成される貼り付け用感圧性接着剤であり、しかも炭化水素系重合体の室温におけるプローブタック 法による初期タックが0.04N/mm以下であり、粘着力が6N/25mm以上であることを特徴とする。なお、炭化水素系重合体に属する2種類以上の重合体の混合物を用いてもよい。
請求項5の発明は、請求項3の発明において、(メタ)アクリル系重合体が(メタ)アクリル系ブロック共重合体及び(メタ)アクリル系共重合体、及び炭化水素系ブロック共重合体から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする。なお、(メタ)アクリル系重合体に属する2種類以上の重合体の混合物を用いてもよい。請求項6の発明は、請求項4の発明において、炭化水素系重合体が炭化水素系ブロック共重合体であることを特徴とする。炭化水素系ブロック共重合体に属する2種類以上の重合体の混合物を用いてもよい。
請求項7記載の発明は、請求項2〜6の発明において、粘着付与剤がロジン系樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、及びフェノール系樹脂から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする。なお、本発明では、重合体100重量部に対して粘着付与剤を20〜250重量部配合することができる。
請求項8の発明は、請求項2〜6項記載のいずれかの感圧性接着剤の層を物の表面に設ける工程、及び該感圧性接着剤層と他の物とを接触させ、押圧する工程から少なくともなることを特徴とする積層体の製造方法である。ここで、前記他の物の表面に前記感圧接着剤層を設けておいてもよい。また、この発明では、前記感圧性接着剤層を前記物の全表面に設けてもよいが、前記物の表面の一部分にのみ設けてもよい。
請求項9の発明は、請求項2〜6記載のいずれかの感圧性接着剤の層を有することを特徴とする積層体に関する発明である。請求項10の発明は、請求項2〜6記載のいずれかの感圧性接着剤の層を有することを特徴とする接着製品に関し、なお、これらの発明では、前記感圧性接着剤の層は連続する一つの層であってもよいし、不連続な層であってもよいし、あるいは部分的に感圧性接着剤を有してもよい。また、上記積層体は二層構造の積層体でもよいが、三層以上の積層体でもよい。
なお本発明は、感圧性接着剤が請求項2〜6項記載のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の物の貼り付け方法の発明でもある。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の一つの大きな特徴が新規な接着剤を用いた任意の物の貼り付け方法にある。この方法により作業性がよく、強固に被着体を接着させることが可能となる。また、その新規な接着剤にも大きな特徴がある。すなわち、初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかなく、しかも加圧すると粘着力が発現し、従来と同様あるいはそれ以上の機能を果たす新規な感圧性接着剤ともいえる。いままで知られている感圧性接着剤は初期タックがあり、初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかない混合物は感圧性接着剤としての機能を果たさないと考えられ、例えば廃棄処理されていることからみると、本発明の感圧性接着剤は新規であり、画期的なものである。
ここで、初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかない状態をプローブタック 法により記載すると、室温におけるプローブタック 法による前記感圧性接着剤の初期タックが0.2N/mm以下である状態をいう。下限値は、限りなく0N/mmに近い値であり、ここでは0N/mmと記載する。初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかない状態とは、JIS Z0237−2000でのボール転がしボールタック試験では5程度以下となる状態を意味し、さらには、2程度以下となる状態と記載することもできる。なお、今まで用いられている普通の感圧性接着剤は接着面が所謂べとべとしており、上記ボールタック試験では初期タック値は10程度以上である。また、指で接触しても感圧性接着剤表面が所謂べとべとしていない状態あるいはわずかにべとべとしているとの感触を得る状態と記載することもできる。
【0010】
本発明の感圧性接着剤は、初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかないのであるが、加圧処理すると粘着力が発現する。この点も、本発明により初めて見出されてことである。加圧処理における加圧の程度は特に制限されないのであり、通常の接着操作で用いる程度の加圧の程度でもよい。また、加圧する手段も特に制限されない。
粘着力は、感圧性接着剤の重合体成分、粘着付与剤などの構成成分により変動するし、粘着強度も、用いる感圧性接着剤の種類、感圧性接着剤の厚み、加圧の程度、感圧性接着剤を被着体に押圧した時間などにより変動するのであり、一概に規定することができないが、例えば180度引き剥がし粘着力試験での数値が6N/25mm以上である。上限値は高ければそれだけ好ましいのであって、特に制限されない。あえて表現すれば、技術の進歩に従って変動し、そのときどきに開発された技術の最高値が上限値となる。なお、前記数字は2kg―ロールを5往復押圧処理し、20〜40分間放置後に測定したときの値である(JIS Z0237−2000に準拠するが、加圧の程度を高めに設定する)。
【0011】
上記感圧性接着剤は、オレフィン性不飽和基含有重合性単量体を重合させて得る重合体、及び天然ゴムから選ばれる一種または二種以上の高分子化合物と、粘着付与剤とから少なくとも構成される。なお、再生ゴム、ポリ乳酸などのポリエステル、ウレタン系重合体、及びシリコーン系重合体から選ばれる一種または二種以上の高分子化合物と、粘着付与剤とから少なくとも構成される感圧性接着剤でもよい。
上記オレフィン性不飽和基含有重合性単量体を重合させて得る重合体は、一種類のオレフィン性不飽和基含有重合性単量体を重合させて得る重合体および二種類以上のオレフィン性不飽和基含有重合性単量体を含有する単量体混合物を共重合させて得る共重合体を含む。該重合体は、オレフィン性不飽和基含有重合性単量体を少なくとも含む混合物あるいは二種類以上のオレフィン性不飽和基含有重合性単量体を少なくとも含む混合物を常法により重合させて得られる。
前記オレフィン性不飽和基含有重合性単量体はオレフィン性不飽和結合を分子中に含む重合しうる単量体を意味し、すでに公知の単量体である。ここでは、オレフィン性不飽和基含有重合性単量体には結合には共役ジエン系単量体を含めることとする。
その重合性単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、メトキシスチレン、インデン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、エチレン、プロピレンなどの不飽和炭化水素系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、N,N'−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテルなどの単量体が挙げられるが、そのほか、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン原子含有不飽和単量体、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ビニルピリジン、アクリロニトリル、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、イソプロペニルオキサゾリン等の窒素原子含有不飽和単量体、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有する不飽和単量体、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のけい素原子含有不飽和単量体、グリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和単量体、−カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトンなどの単量体に由来する成分、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、などの単量体も挙げられ、さらに、それら単量体が2〜20程度重合されたオリゴマーでもよい。また、水酸基などの官能基を有する単量体でもよい。
前記単量体を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
それらの中では、不飽和炭化水素系単量体あるいは(メタ)アクリル基含有単量体が好ましく、スチレン、メチルスチレン、t−ブチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、メトキシスチレンなどのビニル芳香族単量体、ブタジエン、イソプレンなどのジエン系単量体、炭素数が4〜5の不飽和オレフィンなどの不飽和炭化水素系単量体、上記(メタ)アクリル酸エステルや(メタ)アクリル基を含有する不飽和単量体などの(メタ)アクリル基含有単量体が好ましい。それら単量体に、本発明の目的を達成する範囲の量のほかの単量体を共存させてもよい。
【0012】
前記重合性単量体あるいはオリゴマーを常法により重合あるいは共重合させて、重合体あるいは共重合体を調製する。その調製方法は上記本発明の感圧性接着剤をもたらす重合体あるいは共重合体が得られる限りにおいて特に限定されることはない。触媒、重合溶媒、共存させる重合補助剤や添加剤はとくに制限されないのであり、重合条件もとくに制限さえない。
前記単量体成分の重合においては、通常用いられるラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、有機過酸化物系重合開始剤やアゾ系重合開始剤等が挙げられる。前記有機過酸化物系重合開始剤としては、具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。前記アゾ系重合開始剤としては、具体的には、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。なお、重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
調製された重合体あるいは共重合体は、所期の目的を達成できる限り、限定されないのであり、重合体あるいは共重合体単独でもよいし、二種類以上併用してもよい。
【0013】
上記共重合体としては、ランダム、ブロック、グラフト共重合体のいずれであってもよい。また、分子量としては、重量平均分子量で1万〜100万程度の範囲にあるものが好ましい。なお、前記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
【0014】
本発明では、初期の目的を達成できる限り、感圧性接着剤をひとつの成分として天然ゴムを用いてもよい。すなわち、初期タックが実質的に無いかあるいは」極めて少ししかない、天然ゴムを使用することができる。この特性を持つ天然ゴムは市販品を購入することによって容易に入手できる。
【0015】
上記ブロック共重合体の中では、とくに(メタ)アクリル系共重合体ブロック共重合体および炭化水素系ブロック共重合体が好ましい。
好ましい(メタ)アクリル系共重合体ブロック共重合体は、式(A−B)m−C、(式中、AおよびBはそれぞれ構造の異なる(メタ)アクリル系重合体ブロックを表し、それぞれのうち少なくとも1つはアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステル単位からなり、CはAと同じ構造でもよいし、異なる構造でもよく、mは1〜30の整数を表す)で表されるブロック共重合体でもよい。上記各ブロックを構成する重合性単量体には、本発明の所期の目的を達成でき、本発明の効果を損なわない範囲での少量であれば、上記規定する範囲外の重合性単量体を併用して用いてもよい。本発明では、m=1で、CはAと同じ構造であるトリブロック共重合体を用いることがとくに有利である。
【0016】
本発明では、上記トリブロック共重合体とジブロック共重合体との混合物とすることが好ましい。それらを混合する量割合は特に限定されないが、トリブロック共重合体100重量部に対してジブロック共重合体を30〜200重量部とすることができる。
上記ジブロック共重合体としては、「硬質ブロック」と「軟質ブロック」とから構成される(メタ)アクリル系共重合体のジブロック共重合体を例示できる。
【0017】
上記トリブロック共重合体、またはジブロック共重合体を製造する方法は、上記本発明の感圧性接着剤をもたらすブロック共重合体が得られる限りにおいて特に限定されることはないが、代表的な方法として、各ブロックを構成する単量体をリビング重合する方法が挙げられる。
【0018】
本発明でのアクリル系共重合体として、二種類あるいは二種類以上の(メタ)アクリル系モノマーを共重合させて得られる(メタ)アクリル系共重合体を挙げることもできる。すなわち、炭素数が4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、そのほかの(メタ)アクリル系モノマーを少量成分とする混合物から公知の方法により重合することにより製造できる。少量成分のモノマーとしては、炭素数が3以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸や官能基を有する(メタ)アクリル系モノマーなどを例示できる。
【0019】
上記アクリル系共重合体を製造する方法は、上記本発明の感圧性接着剤をもたらすアクリル系共重合体が得られる限りにおいて特に限定されることはないが、代表的な方法として、各モノマーを溶液重合する方法が挙げられる。
【0020】
炭化水素系ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体系ブロック重合体と、イソプレン重合体ブロック、ブタジエン重合体ブロックなどのジエン系ブロック重合体とからなるブロック共重合体が好ましいが、それらに限定されない。
そのブロック共重合体の中では、(X−Y)n−Z、(式中、Xはビニル芳香族単量体系ブロック重合体、Yはジエン系ブロック重合体を表し、Zはビニル芳香族単量体系ブロック重合体であり、Xと同じでもよく、異なっていてもよく、nは1〜30の整数を表す)で示されるトリブロック共重合体が好ましい。トリブロック共重合体全体の数平均分子量が10,000〜800,000の範囲にあるのがよい。またビニル芳香族単量体よりなる重合体ブロックの数平均分子量は2,500〜400,000の範囲になるのが好ましく、ジエン系ブロック重合体の数平均分子量は10,000〜400,000の範囲にあるのが好ましい。そして、ブロック共重合体では、ビニル芳香族単量体からの構造単位とイソブチレンからの構造単位の割合が重量で5/95〜80/20であるのが好ましく、10/90〜75/25がより好ましい。
【0021】
また、上記のビニル芳香族単量体よりなる重合体ブロックとジエン系ブロック重合体とから構成されるジブロック共重合体を共存させてもよい。そのジブロック共重合体の数平均分子量がそれぞれ5,000〜400,000の範囲にあるのが好ましい。
【0022】
上記トリブロック共重合体およびジブロック共重合体の製法は上記本発明の感圧性接着剤をもたらすブロック共重合体が得られる限り特に限定されないが、例えば適当な重合開始剤系を用いて、不活性溶媒中でビニル芳香族単量体とイソブチレンをそれぞれのブロック結合順序になるように重合することにより製造することができる。
【0023】
前記粘着付与剤は、本発明の感圧性接着剤の粘着力や保持力などをバランスよく調節することができるなど、特性に大きな影響を及ぼす。
前記粘着付与剤は、天然樹脂系と合成樹脂系とに大別され、天然樹脂系としてはロジン、ガムロジン、トール油ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、マレイン化ロジンなどのロジン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、α−ピネン、β−ピネン、リモネンなどを主体とするテルペン樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂などを挙げることができる。また、合成樹脂系の粘着付与樹脂としては、脂肪族系、脂環族系、芳香族系の石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂などのフェノール系樹脂、キシレン樹脂などを挙げることができ、粘着付与樹脂を配合する場合は、上記した粘着付与樹脂の1種または2種以上を配合することができる。
これらの中では、とくに、(メタ)アクリル系重合体には、ロジン系樹脂、フェノール系樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂等を用いるのが好ましく、炭化水素系重合体には、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂、石油樹脂等を用いるのが好ましい。
しかし、これらに何ら制限されることではない。
【0024】
粘着付与樹脂の配合量は、粘着付与樹脂の種類、共存する重合体、感圧性接着剤の用途、被着体の種類などに応じて変動するのであって、一概に規定することはできないが、例えば、重合体成分100重量部に対して粘着付与樹脂を20〜250重量部程度配合できる。より具体的に説明すると、(メタ)アクリル系重合体成分100重量部に対して粘着付与樹脂を20〜250重量部程度配合することができるし、炭化水素系重合体成分100重量部に対して粘着付与樹脂を20〜70重量部程度配合することが好ましい。
【0025】
本発明では、所期の目的を損なわない限り、感圧性接着剤の分野で慣用される配合剤を必要な量あらかじめ添加しておいても良い。
それら配合剤としては、可塑剤、充填剤などを挙げられる。
【0026】
前記可塑剤としては、例えばパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイルなどのプロセスオイルの他、フタル酸ジエステル系可塑剤、液状ポリイソプレンの水添物、液状ポリブテンなどの可塑化能を有する液状ポリマーが挙げられる。
前記充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタンなどの無機充填剤を例示できる。
【0027】
本発明の感圧性接着剤は前記ポリマーと粘着付与剤とを溶媒共存下混合させることにより容易に調製することができるが、この方法に限定されないのであって、すでに公知の方法を適用して感圧性接着剤を調整することができる。この感圧性接着剤をそのまま芯材や化粧布地などの被着体表面に適用してもよいが、あらかじめ離型処理した支持体表面に塗布し、乾燥させ、ついで、その支持体から被着体表面に感圧性接着剤を転写させる方法を適用してもよい。支持体表面に形成される感圧性接着剤層は連続した状態でもよいし、不連続な状態でもよい。
本発明のとくに好ましい感圧性接着剤は上記ポリマーと粘着付与剤とから少なくとも構成され、しかも初期タック値が実質的に0である感圧性接着剤である。
【0028】
本発明は、上記感圧性接着剤を用いた貼り付け方法でもある。すなわち、上記感圧性接着剤を任意の物の表面に設け、その感圧性接着剤層と他の異なる物とを接触させ、すでに公知の方法・手段を利用して押圧処理し、感圧性接着剤層を有する物を他の物に貼り付けることが可能である。上記物は感圧性接着剤層を設けることができる物であればよいのであって、特に制限されない。感圧性接着剤層と他の異なる物とを接触させる際には、感圧性接着剤層はべたつかないので、接着操作は大変簡単であり、作業性も良くなる。
また、上記本発明の感圧性接着剤を任意の物の表面に設けることができ、ラベル、ゼッケン、各種伝票、ふすま紙などの接着製品とすることも可能である。例えば、表面に情報が印字されたラベルを一例として説明すると、情報が印字されたラベルの基材の反対側に、本発明の感圧性接着剤を前面あるいは一部に設けておく。接着剤面を保護する剥離紙をさらに付してもよいが、付さなくともよい。このラベルを入手したユーザーは、剥離紙が付してあるときはその剥離紙を剥がし、剥離紙が付してないときはそのまま希望する部位に押圧すると、ラベルは容易に接着する。接着されたラベルは簡単に剥がれ落ちないが、人の力で簡単に剥がすことができる。そのまま、放置しておくとやがて強固に接着される特性を本発明の感圧性接着剤は有するので、ラベルの使用目的に応じた対応が可能となる。
本発明の感圧性接着剤を上記被着体表面に適用する方法はとくに制限されないのであり、被着体の性状、置かれた位置や環境などに応じて、適宜最適な方法を選べばよい。また、前記感圧性接着剤層を前記物の全表面に設けてもよいが、前記物の表面の一部分にのみ設けてもよい。
【0029】
本発明は、上記感圧性接着剤を用いた積層体の製造方法でもある。すなわち、上記感圧性接着剤を任意の物の表面に設ける工程、及びその感圧性接着剤層と他の異なる物とを接触させ、すでに公知の方法・手段を利用して押圧処理し、積層体を得ることが可能である。上記物は感圧性接着剤層を設けることができる物であればよいのであって、特に制限されない。感圧性接着剤層を他の異なる物に接触させる際には、感圧性接着剤層はべたつかないので、積層体を製造する操作は大変簡単であり、作業性も良くなる。
本発明の感圧性接着剤を上記被着体表面に適用する方法はとくに制限されないのであり、被着体の性状、置かれた位置や環境などに応じて、適宜最適な方法を選べばよい。また、前記感圧性接着剤層を前記物の全表面に設けてもよいが、前記物の表面の一部分にのみ設けてもよい。
本発明の感圧性接着剤は、例えば、任意の芯材の片面あるいは両面に化粧材、補強材、そのほかそれぞれ特有の目的・機能を有する材料などを積層させるときに好適に用いられる。また、本発明の感圧性接着剤は積層体の製造するときにも用いられる。具体的には、ボール紙などの各種台紙とその上に貼り付ける化粧紙、写真印画紙など、書類や書籍などとその表面に設ける保護カバーフィルムなどが挙げられる。前記芯材の素材、形状はとくに制限されないのであり、合板、集成材などの木質系材料、鉄板、アルミニウム製板などを例示でき、その形状も連続体、一部空間を有する材料などとくに制限されない。前記、芯材に積層させる材料の材質や形状もとくに制限されないのであり、それぞれ特有の目的・機能を満足することが出来るように選択できる。例えば、不連続体や曲面を有する材料でもよい。
前記化粧材や補強材としては、化粧紙、化粧布地、化粧樹脂シート、各種無機材料製ボード、各種ガラス製品などを例示できるが、それらに限定されない。
【発明の効果】
【0030】
本発明の感圧性接着剤は、初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかなく、加圧により粘着力が発現する感圧性接着剤であるので、その感圧性接着剤が備わった化粧布地を芯材の所定位置に配置させるときには、いわゆるベタツキがほとんどないので、感圧性接着剤を被着体の所定位置に配置させる操作が極めて楽であるうえ、一度化粧布地を芯材の所定位置に配置した後でも、化粧布地の配置場所が適切でないと判断したときに、化粧布地を再度適切な位置に置き換えることが簡単にできるという特性を持つ。しかも、その化粧布地を任意の手段で押圧すると、化粧布地は芯材表面にしっかりと接着されるばかりでなく、時間の経過とともに強固に化粧布地が芯材表面に接着されるので、化粧布地は簡単に剥がれ落ちなくなる。
また、本発明の感圧性接着剤を適用すると、化粧布地がめくれたり、はがれるなどのいわゆるブリスターも発生することが無い。さらに、ラベルやゼッケンなどは、従来の感圧性接着剤を使用したものよりの長時間にわたって、繰り返し使用可能である。
本発明により、簡単な操作で、外観に優れる化粧材などの積層体を作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下、とくに断らない限り、%、部は、それぞれ重量%、重量部を意味する。
【0032】
(実施例1) 感圧性接着剤の調製
アクリル系ブロック共重合体混合物(LA2140:株式会社クラレ製)100重量部、アクリル系ブロック共重合体(LA1114e;株式会社クラレ製)100重量部およびロジンエステル系粘着付与剤(スーパーエステルA125:荒川化学社製)200重量部を、トルエン400重量部に溶解させ、ポリエチレンテレフタレートフィルムに塗工し、トルエンを乾燥除去し、感圧性接着剤を得た。なお、以下の実施例において、特に断らない限り、トルエンの使用量は感圧性接着剤を構成する樹脂と同量である。
(実施例2) 感圧性接着剤の調製
ロジンエステル系粘着付与剤(A125)200重量部の代わりに同じ粘着付与剤を300重量部とし、それ以外は実施例1と同様な操作を行い、感圧性接着剤を調製した。
【0033】
(試験例1)
実施例1のトルエン溶液を、厚さ1.3mmのガラス板表面に、乾燥後の厚みが40μmとなるように塗工して、乾燥し、感圧性接着剤の層を形成した。その感圧性接着剤を下記測定試料とした。
実施例2のトルエン溶液も同様に操作し、得られた感圧性接着剤を下記測定試料とした。
初期タック(プローブタック)の測定
ASTM D 2979に準拠して、プローブタックを測定した。測定結果を下記表1に示した。
用いたプローブ 直径5mm、
測定荷重 19.6g/5mmφ(1.0N/cm
接触時間 1秒
剥離速度 10mm/sec
測定機器 プローブタックテスターTE−600−D(テスター産業株式会社製)
【0034】
粘着力の測定
JISZ0237−2000に準拠して、180度引きはがし粘着力(以下、ピール強度という)を測定した。測定結果を下記表1に示した。
温度 (23±2)℃
相対湿度 (50±5)%
加圧条件 2kgローラーで5往復
放置時間 20〜40分、
引張速さ 300mm/min
試料の幅 8.4mm又は25mm
【0035】
(試験例2) 初期タック(ボール転がしボールタック)の測定
実施例1及び実施例2の感圧性接着剤を測定試料として、JIS Z0237−2000に準拠して、ボール転がしボールタック法(以下、傾斜式ボールタック法という)による初期タックを測定した。測定結果を下記表1に示した。
(試験例3) 初期タック(フィンガータック)の測定
実施例1及び実施例2の感圧性接着剤表面に親指を押し付け、引き剥がすときの抵抗感を2名のパネラーにより、下記基準項目に従い官能評価した。評価結果を下記表1に示した。
基準項目
1.僅かなタックか殆どタックが無い
2.セロハン粘着テープより少し弱いタックがある。
3.セロハン粘着テープと同程度のタックがある。
4.セロハン粘着テープより少し強いタックがある。
5.セロハン粘着テープより強いタックがある。
【0036】
表1



プローブタック値の単位は(N/mm)である(以下、同様)。ピール強度の単位はN/25mmである(以下、特に断らない限り同様)。フィンガータックの欄の数値はパネラーの平均値である(以下、同様)
【0037】
(実施例3〜6) 感圧性接着剤の調製
表2に記載の重合体の量と粘着付与剤の量とを実施例1と同様に処理し、感圧性接着剤を得た。
【0038】
表2


表中、LAは、LA2140とLA1114eとの等量(重量)混合物、スミライトレジンはフェノール樹脂粘着付与剤(住友ベークライト社製)、タマノル901はテルペンフェノール樹脂粘着付与剤(荒川化学社製)である。
【0039】
実施例3〜6のトルエン溶液を用いて、試験例1と同様な方法により、感圧性接着剤の層を形成し、初期タック(プローブタック)と粘着力の測定試料とした。その測定結果を表3に示す。
表3


傾斜式ボールタックの欄の−は、測定していないことを示す。
【0040】
(実施例7〜13) 感圧性接着剤の調製
表4に記載の重合体の量と粘着付与剤の量とを実施例1と同様に処理し、感圧性接着剤を得た。
表4

表中、A115はロジンエステル系粘着付与剤(スーパーエステルA115:荒川化学社製)である。
実施例7〜13の感圧性接着剤を測定試料として、試験例2と同様な操作により、傾斜式ボールタック法による初期タックを測定した。
その結果、用いた鋼球すべてが止まらなかった。
このことから、実施例7〜13の感圧性接着剤の初期タックは殆ど無いということが出来る。なお、実施例13の粘着力は7.5N/8.4mmである。他の感圧性接着剤も特許請求の範囲の数値を満足する。
【0041】
(実施例14) 感圧性接着剤の調製
スチレン−イソプレンブロック共重合体(クインタック3421:日本ゼオン社製)70重量部、テルペンフェノール樹脂粘着付与剤(タマノル901:荒川化学社製)30重量部を、トルエンに溶解させ、実施例1と同様な操作を行い、感圧性接着剤得た。
(実施例15〜21) 感圧性接着剤の調製
表6に記載の重合体の量と粘着付与剤の量とを実施例14と同様に処理し、感圧性接着剤を得た。
【0042】
表6


表中、SISは、スチレン−イソプレンブロック共重合体(クインタック3421)である。
【0043】
実施例14〜21のトルエン溶液を用いて、試験例1と同様な方法により、感圧性接着剤の層を形成し、初期タック(プローブタック)と粘着力の測定試料とした。その測定結果を表7に示す。
表7

【0044】
実施例17の感圧性接着剤を測定試料として、試験例2および3と同様に操作し、初期タックを測定した。その結果、傾斜式ボールタックは2以下で、フィンガータックは1.5であった。
【0045】
(実施例22〜23) 感圧性接着剤の調製
表8に記載の重合体の量と粘着付与剤の量とを実施例14と同様に処理し、感圧性接着剤を得た。
表8

表中、エスコレッツE−1315は石油樹脂系粘着付与剤(エクソンモービル社製)、アルコンP125は水素添加石油樹脂:荒川化学社製)である。
【0046】
実施例22〜23感圧性接着剤を、試験例2と同様な試験を行った。
その結果、用いた鋼球すべてが止まらなかった。
このことから、実施例22〜23の感圧性接着剤の初期タックは殆ど無いということが出来る。また、粘着力も特許請求の範囲の数値を満足する(N/8.4mm)。
【0047】
(実施例24〜27) 感圧性接着剤の調製
表9に記載の重合体の量と粘着付与剤の量とを実施例1と同様に処理し、感圧性接着剤を得た。
表9


表中、SKダインはアクリル系接着剤(綜研化学株式会社製)である。
【0048】
実施例24〜27の感圧性接着剤を測定試料として、試験例2と同様に操作し、傾斜式ボールタック法による初期タックを測定した。
その結果、用いた鋼球すべてが止まらなかった。
このことから、実施例24〜27の感圧性接着剤の初期タックは殆ど無いということが出来る。また、粘着力も特許請求の範囲の数値を満足する(N/8.4mm)。
【0049】
(試験例4) 経時変化の測定
アクリル系ブロック共重合体混合物(LA2140)100重量部、アクリル系ブロック共重合体(LA1114e)100重量部およびロジンエステル系粘着付与剤(A115)180重量部を、トルエンに溶解させ、実施例1と同様に操作し、感圧性接着剤を調製した。その感圧性接着剤面に、基材を重ね、1kgのローラーを2往復処理した。ついで、試験例1と同様に操作し、表中に記載した所定時間経過直後のピール強度の変化を求めた。その結果を表10に示す。
【0050】
(試験例5) 経時変化の測定
SKダイン701を100重量部、粘着付与剤(タマノル901)67重量部を、トルエンに溶解させ、これ以降は試験例4と同様に操作し、表中に記載した所定時間経過直後のピール強度(N/8.4mm)の変化を求めた。
その結果を表10に示す。
【0051】
表10
ピール強度値

【0052】
(比較例1)
アクリル系ブロック重合体混合物(LA)に実施例1と同様な操作を行い、樹脂膜を得た。
この膜を、試験例4と同様に操作し、時間の経過によるピール強度の変化を求めた。
その結果、30分経過しても、ピール強度の測定値は低かった。
【0053】
(実施例28)
実施例7で得た感圧性接着剤を、幅8.4mmのポリエチレンテレフタレートフィルムに転写したものを、ステンレス板に綿布を貼り付けた板の綿布面に、1kg−ローラーで1往復すると、簡単に接着した。3分後の接着強度は6.7N/8.4mmであった。なお、感圧性接着剤の厚さは120μmとなるよう調整した。
【0054】
(実施例29)
実施例7で得た感圧性接着剤を、幅8.4mmのポリエチレンテレフタレートフィルムに転写したものを、ベークライト板の表面に、1kg−ローラーで1往復すると、簡単に接着した。3分後の接着強度を測定しようと試みたが、接着強度が高すぎて測定不能であった。そこで、0.5kg−ローラーで1往復すると、簡単に接着した。3分後の接着強度は11,4N/8.4mmであった。なお、感圧性接着剤の厚さは120μmとなるよう調整した。
【0055】
本発明は次のような発明でもある。
(1)初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかなく、かつ加圧処理により粘着力が発現する樹脂組成物であって、本質的にオレフィン性不飽和基含有重合性単量体を重合させて得る重合体、及び天然ゴムから選ばれる一種または二種以上の高分子化合物と粘着付与剤とから本質的になる樹脂組成物。
(2)重合体が(メタ)アクリル系重合体、炭化水素系重合体、及び天然ゴムから選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする上記(1)記載の樹脂組成物。
(3)重合体が(メタ)アクリル系共重合体、(メタ)アクリル系ブロック共重合体, 及び炭化水素系ブロック共重合体から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする上記(2)記載の樹脂組成物。
(4)粘着付与剤がロジン系樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、及びテルペンフェノール系樹脂から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする上記(1)記載の樹脂組成物。
(5)上記(1〜4)のいずれか記載の樹脂組成物の感圧性接着剤としての使用。
(6)上記(1〜4)のいずれか記載の樹脂組成物からなる貼り付け用感圧性接着剤の層を有する接着製品又は積層体。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の物の表面に設けた、高分子化合物と粘着付与剤とから少なくとも構成される初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかなく、かつ加圧処理により粘着力が発現する感圧性接着剤層を、他の物に接触させ、押圧することを特徴とする感圧性接着剤層を表面に備える物の貼り付け方法。
【請求項2】
オレフィン性不飽和基含有重合性単量体を重合させて得る重合体、及び天然ゴムから選ばれる一種または二種以上の高分子化合物と粘着付与剤とから少なくとも構成される初期タックが実質的に無いかあるいは極めて少ししかなく、かつ加圧処理により粘着力が発現することを特徴とする貼り付け用感圧性接着剤。
【請求項3】
(メタ)アクリル系重合体と粘着付与剤とから少なくとも構成され、しかも(メタ)アクリル系重合体の室温におけるプローブタック 法による初期タックが0.2N/mm以下であり、粘着力が9N/25mm以上であることを特徴とする貼り付け用感圧性接着剤。
【請求項4】
炭化水素系重合体と粘着付与剤とから少なくとも構成され、しかも炭化水素系重合体の室温におけるプローブタック 法による初期タックが0.04N/mm以下であり、粘着力が6N/25mm以上であることを特徴とする貼り付け用感圧性接着剤。
【請求項5】
(メタ)アクリル系重合体が(メタ)アクリル系ブロック共重合体及び(メタ)アクリル系共重合体から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする請求項3記載の貼り付け用感圧性接着剤。
【請求項6】
炭化水素系重合体が炭化水素系ブロック共重合体であることを特徴とする請求項5記載の貼り付け用感圧性接着剤。
【請求項7】
粘着付与剤がロジン系樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、及びフェノール系樹脂から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の貼り付け用感圧性接着剤。
【請求項8】
請求項2〜6項記載のいずれかの感圧性接着剤の層を任意の物の表面に設ける工程、及び該感圧性接着剤層と他の物とを接触させ、押圧する工程から少なくともなることを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項9】
請求項2〜6項記載のいずれかの感圧性接着剤の層を有することを特徴とする積層体。
【請求項10】
請求項2〜6項記載のいずれか記載の感圧性接着剤の層を有することを特徴とする接着製品。

【公開番号】特開2007−119758(P2007−119758A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263648(P2006−263648)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(304047004)コクヨS&T株式会社 (56)
【Fターム(参考)】